JPH1012252A - 固体電解質型燃料電池とその製造方法 - Google Patents

固体電解質型燃料電池とその製造方法

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JPH1012252A
JPH1012252A JP8165725A JP16572596A JPH1012252A JP H1012252 A JPH1012252 A JP H1012252A JP 8165725 A JP8165725 A JP 8165725A JP 16572596 A JP16572596 A JP 16572596A JP H1012252 A JPH1012252 A JP H1012252A
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JP
Japan
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fuel cell
solid electrolyte
cell
separator
sealing material
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JP8165725A
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Inventor
Tsutomu Iwazawa
力 岩澤
Mikiyuki Ono
幹幸 小野
Masataka Mochizuki
正孝 望月
Masakatsu Nagata
雅克 永田
Namiko Kaneda
波子 兼田
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Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 平板型固体電解質型燃料電池において、電池
セルとセパレータのシール部におけるの熱応力の発生を
抑制するとともに、シール部の化学的安定性を高め、気
密性の維持を図る。 【解決手段】 電池セルとセパレータのシール部のシー
ル材として、前記固体電解質型燃料電池の動作温度より
高い融点を有する平均粒径0.5μm以下の酸化物超微
粉末を1000℃〜1200℃で焼成した焼結体を用い
る。さらに、この焼結体として、高温の酸化還元雰囲気
で化学的に安定であり、電池セルの構成材料と熱膨張率
が近似する材料を選択する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体電解質型燃料
電池に関し、特に平板型構造の電池において、電池セル
とセパレータとのシール部に特徴を有する固体電解質型
燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池の基本構造は、電解質とその両
側を挟む2つの電極より構成される。この2つの電極の
一方を燃料極、他方を空気極と呼ぶ。燃料極には外部よ
り水素ガス等の燃料ガスが供給され、空気極には外部よ
り空気等の酸化ガスが供給される。燃料電池は、これら
のガスの電気化学的反応により、電気エネルギーを生成
する。
【0003】燃料電池は、用いる電解質の材料の種類に
よりいくつかの種別に分類される。固体電解質型燃料電
池(SOFC)は、電解質として、イオン導電性を有す
る酸化物固体を用いたものである。この酸化物固体、即
ち固体電解質が良好なイオン導電性を示すには、高温条
件が必要で有るため、通常、SOFCは800℃〜12
00℃の温度条件で動作される。
【0004】図6は、平板型のSOFCの構成例を示す
分解斜視図である。電池セル101は、支持体である板
状の空気極105と、空気極105の一方の面上に形成
される固体電解質104と、さらにその面上に形成され
る燃料極103から構成される。
【0005】図6には、単一の電池セル101とその両
側のセパレータ102のみを示しているが、通常は、よ
り高い起電力を得る為に、電池セル101をセパレータ
102を介して複数個積層して用いる。以下、単に「セ
ル」と呼ぶ場合は、電池セル101とセパレータ102
を含めた構造を指すものとする。
【0006】セパレータ102の両面には、隣接する電
池セル101の電極面に必要なガスを供給する為、通気
溝107、108が形成されている。燃料極103に隣
接する通気溝108には、矢印で示す方向に水素ガス等
の燃料ガスが供給され、空気極105に隣接する通気溝
107には、矢印に示す方向に空気が供給される。
【0007】空気極105では、供給される酸素から酸
素イオンが生成される。この酸素イオンは、固体電解質
104を通り燃料極103に到達する。燃料極103で
は、この酸素イオンと燃料極103に供給される水素ガ
スとが反応し、電子を生成する。同時に副生成物として
水も生成される。
【0008】固体電解質104は、高い酸素イオン導電
性を有し、800℃〜1200℃の電池の動作温度にお
ける酸化および還元雰囲気で、化学的に安定なことが必
要とされる。併せて、電子導電性を有さず、ガスを通さ
ないように気密性にすぐれた材料であることも望まれ
る。一般に、このような要件を充たす材料として、安定
化ジルコニア(YSZ)が選択されることが多い。
【0009】燃料極103及び空気極105は、ガスが
内部まで侵入できるように多孔質体である。いずれもイ
オン導電性は有さず、高い電子導電性を示すことが必要
である。また、隣接する固体電解質104と熱膨張率が
近似していることが望まれる。
【0010】燃料極103は、水素ガスに曝されるの
で、高温還元雰囲気で化学的に安定であることが必要で
あり、空気極105は、空気に曝される為、高温酸化雰
囲気で化学的に安定であることが必要である。
【0011】一般には、燃料極103としては、ニッケ
ル(Ni)とYSZのサーメット等、空気極105とし
ては、ランタンコバルトネート(LaCoO3)やラン
タンマンガネート(LaMnO3)を母体としたペロブ
スカイト型酸化物が選択される。
【0012】セパレータ102は、一方の面に空気の通
気溝、他方の面に水素ガスの通気溝を有する為、高温の
酸化および還元雰囲気で化学的に安定であることが必要
とされる。空気と水素ガスが互いに上下でリークして接
触することがないように気密性も必要である。又、電池
セルと熱膨張率が近似していることが望ましい。
【0013】一方、セパレータ102は、複数の電池セ
ルを電気的に接続するインターコネクタとしての役目も
担う為、電子導電性が高いことも要求される。これらの
条件を充たすものとして、ランタンクロマイト系酸化物
(LaCrO3)等がセパレータ材料として使用され
る。
【0014】図6に示すように、セパレータ102の通
気溝107、108の両側端部に、セパレータ102と
電池セル101のシール部106、110が設けられ
る。通気溝107、108に供給される水素ガス等がセ
ル外部に漏れないように、シール部には気密性が要求さ
れる。
【0015】通常、シール材としては、ガラスが用いら
れる。シール部106に帯状の薄板ガラスをのせ、この
状態で電池セル101とセパレータ102を組合わせ、
セル構造体を作る。上下より圧力をかけながらガラスの
溶融点以上に加熱することで、電池セル101とセパレ
ータ102の境界部をシールする。このガラスの種類と
しては、ほう珪酸ガラスが用いられることが多い。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】電池セル101とセパ
レータ102のシール部106、110には気密性が要
求される。水素等の燃料ガスは、小量の空気との接触に
より発火する為、燃料極103を表面に擁する固体電解
質104とセパレータ102とのシール部106は、特
に高い気密性の維持が要求される。
【0017】しかしながら、従来シール材として用いら
れるほう珪酸ガラスの融点は約830℃程度であり、S
OFCの動作温度において溶融状態にある。通気溝10
8に供給される燃料ガスのガス圧とセル外部の圧力差が
小さい場合には問題は少ないが、セルサイズが大型化
し、燃料ガスを高圧で供給する必要がでてくると、セル
内外のガス圧の差によって、溶融状態のシール部から燃
料ガスがリークする危険がある。
【0018】シール材は、SOFCの動作時において溶
融状態にあるが、動作終了後はセル温度の下降に従い固
化する。即ち、電池のヒートサイクルにおいて、シール
材は溶融状態と固化状態を行き来する。
【0019】シール材が溶融状態にある場合は、シール
部がむしろ熱応力の緩衝材となる場合も多い。しかし、
セル温度が下がり、シール材が固化すると、シール材と
被シール材との熱膨張率の差が問題となる。例えば被シ
ール材である固体電解質104と空気極105の熱膨張
率が、約10〜11×10-6/℃であるのに対し、固化
状態のほう珪酸ガラスの熱膨張率は3〜4×10-6/℃
と小さい。この為、電池セル101とシール材の熱膨張
率の差に起因する熱応力の発生がセルの破壊を招くこと
がある。
【0020】また、動作温度において、SiO2を主成
分とするほう珪酸ガラスからは、Si、SiO等のガス
が揮発する。これらの揮発成分は、ニッケルとYSZの
サーメットである燃料極103と化合物を形成して、電
池特性の劣化を招くことがある。
【0021】本発明は、上記問題に鑑みてなされたもの
であり、電池セルとセパレータ間のシール部の特性を改
善できる固体電解質型燃料電池とその製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明の固体電解質型燃
料電池は、固体電解質、前記固体電解質の一方の面に備
えられる空気極および前記固体電解質の他方の面に備え
られる燃料極とを有する電池セルと、前記電池セルの少
なくとも一方の面に対向して備えられるセパレータと、
前記電池セルと前記セパレータとの境界面の端部をシー
ルするシール部とを有する固体電解質型燃料電池におい
て、前記シール部が、前記固体電解質型燃料電池の動作
温度より高い融点を持つ平均粒径0.5μm以下の酸化
物粉末を主成分とする原料粉末の焼結体からなるシール
材を有する。
【0023】電池の動作温度においても、シール材が溶
融することなく固体状態を維持できる。電池内に供給さ
れる燃料ガス等の圧力に影響されず、シール部の気密性
の維持が容易となる。又、平均粒径0.5μm以下の酸
化物粉末は、電池セルの構成材料に特性変化を与えない
温度範囲で焼結できる。
【0024】前記焼結体が、7×10-6/℃以上11×
10-6/℃以下の熱膨張率を有していてもよい。電池セ
ルおよびセパレータの熱膨張率と、焼結体の熱膨張率が
近似するので、シール部に発生する熱応力を小さくでき
る。
【0025】前記酸化物粉末が、主成分として安定化ジ
ルコニウム、スピネル、もしくはアルミナのいずれか、
またはこれらの複数の材料の混合物を有していてもよ
い。これらの酸化物は、電池の動作温度における酸化お
よび還元雰囲気において化学的に安定であり、反応性の
高いガスを揮発しないので、電池特性に影響を与えるこ
とが少ない。
【0026】特に、前記酸化物粉末が、主成分として前
記固体電解質の主成分と同じ材料を有してもよい。固体
電解質とシール材の熱膨張率をほぼ揃えることができる
為、シール部での熱応力の発生をより効果的に抑制でき
る。
【0027】本発明の固体電解質型燃料電池の製造方法
は、目的とする固体電解質型燃料電池の動作温度より高
い融点を有し平均粒径0.5μm以下の酸化物粉末に、
水とバインダーを混練して粘土状のシール材原料を作製
する工程と、前記粘土状のシール材原料を電池セルとセ
パレータの境界面の端部に挟み込みセル構造体を作製す
る工程と、前記セル構造体を1000℃〜1200℃の
温度に昇温する工程とを有する。
【0028】平均粒径0.5μm以下の酸化物粉体をシ
ール材原料として用いることにより、通常より低い焼成
温度である1000〜1200℃で、高融点酸化物粉体
の焼結体によるシール部を形成することができる。又、
この焼成温度は電池動作温度の範囲内であるので、最初
の電池動作の昇温工程で、シール材の焼成を併せて行う
ことが可能となる。また、粘土状のシール材原料の作製
により、容易にシール部の形状に適したシール材を加工
することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明の実施例における固体電解
質型燃料電池の製造工程について、図面を参照して説明
する。まず、図1(A)〜図2を用いて、電池セルとセ
パレータの製造工程について説明する。
【0030】図1(A)に示す空気極11を、以下の手
順で作製する。この空気極11は、電池セルの支持体と
なる。
【0031】平均粒径3〜10μmのペロブスカイト型
の結晶構造を有するランタンストロンチウムマンガネー
ト(LaSrMnO3)粉末に、水を20wt%、メチ
ルセルロース等のバインダーを10wt%となるように
混合し、全体を良く混練して粘土状にする。次にこの粘
土状の原料を押し出し成型法を用いて板状に加工する。
なお、同時にシール材埋め込み用の溝12aを形成す
る。
【0032】押し出し成型法で得た板状体を大気雰囲気
中で焼成する。約100℃/hrの速度で徐々に温度を
上げる。途中、一定温度で水分とバインダーを蒸発さ
せ、約1300℃〜1500℃の温度で約5時間焼成す
る。この条件の下、LaSrMnO3の多孔質焼結体か
らなる空気極11が形成される。焼結後の空気極11の
サイズは5cm×5cm、厚み2mmとする。シール材
埋め込み用の溝12aの大きさは、深さ1mm、幅5m
mとする。
【0033】次に、図1(B)に示すように、空気極1
1の表面上に、減圧プラズマ溶射法を用いて、YSZか
らなる固体電解質13を形成する。この方法において
は、減圧雰囲気中でプラズマを発生させ、このプラズマ
でYSZの粉末を溶融する。この溶融状態のYSZを空
気極11表面に吹き付け、約100μm〜200μmの
YSZ膜を形成する。減圧雰囲気で成膜を行うので、緻
密なYSZ膜からなる固体電解質13を得ることができ
る。尚、ここで用いるYSZは、ジルコニア(ZrO
2)母材に8〜10mol%のイットリア(Y2O3)を
固溶させたものである。
【0034】図1(C)に示すように、固体電解質13
の表面上に、大気圧プラズマ溶射法を用いて、厚み約5
0〜200μmの多孔質のNiとYSZのサーメットか
らなる燃料極14を形成する。大気圧プラズマ溶射法
は、減圧プラズマ溶射法と同様に、プラズマにより原料
粉体を溶融させ、この溶融状態の原料を基板に吹き付け
ることで膜を形成する方法である。減圧プラズマ溶射法
の場合に較べ多孔質の膜を形成できる。
【0035】なお、燃料極14を形成する際、固体電解
質13上を枠状の薄い銅板でマスキングすることによ
り、固体電解質13の中央のみに電極サイズ約3cm×
3cmの燃料極14を形成する。
【0036】次に、図2に示すように、セパレータ15
を作製する。先に説明した空気極11の作製工程と同様
に、原料粉末に水とバインダーを混合し、混練により粘
土状としたものを押し出し成型し、その後、これを焼成
する工程を経て、セパレータ15を作製する。
【0037】原料粉末としては、平均粒径0.1〜25
μmのランタンカルシアクロマイト(LaCaCrO
3)を用いる。水を20wt%、バインダーを10wt
%となるように混合する。焼成温度条件は、大気中で、
1400〜1700℃とする。
【0038】図2に示すように、セパレータ15は、燃
料極14と対向する面に燃料ガスの通気溝16を有する
とともに、固体電解質13とのシール部には、電池セル
上の溝12bの形状に対応する凸部が形成される。
【0039】ここまでの工程を経て、電池セル20とセ
パレータ15がそれぞれ作製される。
【0040】つぎに、図3(A)〜図4を参照しなが
ら、本発明の特徴部分である電池セル20とセパレータ
15とのシール部の作製工程について説明する。特に、
燃料電極14を擁する電池セル20の一方の面とセパレ
ータ15とのシール方法について、3つの実施例を説明
する。
【0041】第1のシール方法の実施例について説明す
る。この実施例では、シール材原料の主成分としてアル
ミナ(Al2O3)の超微粉末を用いる。
【0042】平均粒径0.2μm以下のAl2O3超微粉
末に、水とバインダーであるメチルセルロースを混合す
る。混合比は、水を20wt%、メチルセルロースを1
0wt%とする。全体を良く混練し粘土状とする。水分
とメチルセルロースが蒸発しないように常温以下に維持
しながら押し出し成型法等を用いて、粘土状シール原料
を棒状に成型する。
【0043】この棒状のシール材原料の径および長さ
は、溝12bの幅と深さに応じて適当に選択する。必ず
しも棒状である必要はなく、例えば帯状のものであって
もよい。
【0044】図3(A)に示すように、シール材原料1
7を電池セル20上に形成したシール材埋め込み用溝1
2b内にセットする。尚、図4は、この状態を分解斜視
図で示したものである。
【0045】図3(B)に示すように、電池セル20と
セパレータ15とを組み合わせ、上下より圧力を加えて
いく。棒状のシール材原料17は粘土状なので、溝12
bの形に適合した形状に容易に変形し、溝12bの底を
埋める。
【0046】通気溝16に、窒素ガス(N2)を供給す
る。上下より圧力を加えながら、50℃/hrの昇温速
度で、徐々にセル全体の温度を上げていく。昇温の過程
で、約60℃および約350℃で昇温を一時止め、水分
とメチルセルロースを蒸発させる。
【0047】セル全体の温度が、1000℃〜1200
℃に到達した段階で、圧力を加えながら、約5時間この
温度を維持する。シール材原料17の主成分であるAl
2O3の超微粉末が焼結し、電池セル20とセパレータ1
5との境界部がシールされる。
【0048】尚、図4に示す様に、燃料極14を擁する
電池セル20の一方の面には、固体電解質13が枠状に
露出しており、露出した固体電解質13上にシール部が
形成される。この構造では、多孔質の燃料電極14を介
さずに、ともに緻密な構造を有するセパレータ15と固
体電解質13同士をシールするので、シール部の気密性
を上げることができる。
【0049】シール材として用いたAl2O3の超微粉末
の焼成温度は、通常のSOFCの動作温度の範囲内にあ
る。よって、電池セル20とセパレータ15を組み上
げ、実際の動作状態と同様なセル構造体を形成し、供給
ガスと昇温条件の調整のみでシール材の焼成を行うこと
ができる。シール材の焼結後、通気溝16に供給するガ
スを窒素ガスから水素ガスに置き換えれば、そのまま電
池動作に切り替えることもできる。
【0050】尚、図示していないが、同時に空気極11
とそれに対面するセパレータとのシールも、上述した方
法を用いて行うことができる。この場合は、セパレータ
のシール部分に、上述と同様なシール材埋め込み用の溝
を作り、そこに棒状に押し出し成型した粘土状のシール
材原料をセットする。なお、シール材原料の焼成中、空
気極11に隣接する通気溝には空気を供給すればよい。
【0051】第2のシール方法の実施例について説明す
る。この実施例では、シール材の主成分として固体電解
質13の材質と同じYSZの超微粉末を用いる。
【0052】平均粒径0.2μm以下のYSZ超微粉末
に、水とメチルセルロースを混合する。混合比は、水を
15wt%、メチルセルロースを8wt%とする。第1
のシール方法の実施例と同様に、全体を良く混練して粘
土状とし、水分とメチルセルロースが蒸発しないように
常温以下に維持しながら押し出し成型法を用いて、シー
ル材原料を棒状に加工する。
【0053】以下に続く焼成工程も、上述した第1のシ
ール方法の実施例と同様な条件を用いることができる。
即ち、シール部に粘土状の棒状シール材原料を挟んで、
セパレータ15と電池セル20とを組み合わせセル構造
体を形成する。燃料極14側の通気溝に窒素ガスを供給
しながら徐々に昇温し、1000℃〜1200℃の温度
で圧力を加えながら焼成すれば、YSZの焼結体からな
るシール部が形成される。
【0054】第3のシール方法の実施例について説明す
る。この実施例では、シール材の主成分として2種類の
酸化物の超微粉末を用いる。
【0055】平均粒径0.2μm以下のYSZの超微粉
末と平均粒径0.15μm以下のスピネル(MgAl2
O4)を1対1の比率で混合する。この混合した超微粉
末に、水とメチルセルロースを加える。混合比は、水が
10wt%、メチルセルロースが8wt%とする。
【0056】これに続くシール工程は、上述の第1のシ
ール方法と同様に行えばよいので、説明は省略するが、
この場合も、加圧条件下1000℃〜1200℃の温度
でシール材原料を焼結させることができる。
【0057】以上に、第1から第3のシール方法の実施
例を含む固体電解質型燃料電池の作製工程の実施例につ
いて説明した。図4は、この実施例の方法を用いて作製
される複数の電池セルを積層したSOFCの斜視図であ
る。2つの電池セル21、22はセパレータ23を介し
て積層されている。電池セル22上のセパレータ24の
上に、さらに電池セルを積み上げることもできる。各電
池セルとセパレータは、酸化物超微粉末の焼結体からな
るシール材18で、通気溝の両側端部の境界面をシール
される。
【0058】通常、Al2O3やYSZ等の高融点セラミ
ックスの焼結体を作製する際には、平均粒径数μm〜十
数μmの粉末が用いられることが多い。この場合、焼結
温度として、約1500℃以上の温度条件が用いられ
る。
【0059】シール材原料の焼成を行う際は、既に動作
状態と同様に電池セルとセパレータを組み上げた状態で
加熱する必要があるが、1200℃以上の温度では、電
池セルの構成材料が特性変化を示す恐れがある。
【0060】上述の第1から第3のシール方法の実施例
では、酸化物の超微粉末を用いている点に特徴がある。
超微粉末は通常の粉体に比較し比表面積が大きい為、反
応性が高く、通常必要とされる焼結温度より低温で焼結
させることができる。
【0061】Al2O3の粉末は、粉末粒径を小さくする
程焼結に必要な温度が下がり、平均粒径0.5μm以下
の粉末Al2O3を用いれば、1000℃〜1200℃の
条件で焼結が可能となることが知られている。特に、上
述の実施例に示したように、平均粒径0.2μm以下の
粉末を用いれば、確実に電池セルの動作温度で焼結を行
うことができる。また焼成の際圧力を加えることで、さ
らに焼結を促進することができる。
【0062】一般に、他の酸化物の粉末も同様な傾向を
有する。YSZおよびMgAl2O4の粉末も、Al2O3
粉末と同様な傾向を有し、平均粒径0.5μm以下、好
ましくは0.2μm以下の超微粉末を用いれば、100
0℃〜1200℃の温度条件で焼結が可能となる。
【0063】上述の第1から第3のシール方法の実施例
は、このような超微粉末の特徴を活かして、電池セルの
構成材料の特性劣化が生じない温度範囲で、シール部の
酸化物超微粉末を焼結させている。
【0064】さらに、超微粉末の焼結体は、平均粒径数
μmの粉末を用いた焼結体に比較し、緻密な構造を有し
ているため、気密性が高いシール部を形成できる。
【0065】シール部を形成する酸化物の融点はいずれ
も高く、電池の動作温度において固体なので、従来のガ
ラスシール材の様に、溶融状態のシール部から通気溝内
のガスがリークする心配も少ない。
【0066】従来シール材として用いられていたほう珪
酸ガラスの熱膨張率は、約3〜4×10-6/℃であった
が、上述の実施例で用いたAl2O3、YSZ、もしくは
YSZとMgAl2O4の焼結体の熱膨張率は、いずれも
約7〜11×10-6/℃の範囲にある。電池セル20お
よびセパレータ15の熱膨張率は10〜11×10-6/
℃であり、これと近似している。よって、実施例の電池
は、従来に較べ、電池動作のヒートサイクルに伴うシー
ル部での熱応力の発生が抑制でき、熱応力に起因するシ
ール部近傍での破損が生じにくい。
【0067】特に、第2のシール方法の実施例のよう
に、電池セルの構成部材である固体電解質13と同一材
料であるYSZをシール材として用いれば、電池セル2
0とシール部との間での熱応力の発生をより一層抑制で
きる。
【0068】第3のシール方法の実施例のように、複数
の酸化物の超微粉末を混合して用いれば、シール部の熱
膨張率を調整することも可能となる。
【0069】従来のようにSiO2を主成分に含むほう
珪酸ガラス等をシール材に用いた場合は、動作温度で、
シール部が溶融状態であるとともに、SiOやSi等の
揮発成分を生成していた。これらの揮発成分は燃料極1
4と反応し、電池動作特性に影響を与えることがあっ
た。
【0070】しかし、Al2O3、YSZ、およびMgA
l2O4は、共に電池の動作温度の酸化および還元雰囲気
で化学的に安定であり、燃料電極14と反応するような
揮発成分を生じる恐れは少ない。
【0071】上述の実施例では、Al2O3、YSZ、お
よびMgAl2O4をシール材として用いる例について述
べたがこれら以外の材料をシール材に用いることも可能
である。動作温度より高い融点を有し、動作温度での酸
化雰囲気および還元雰囲気において化学的に安定であ
り、電池セルの構成材と近似する熱膨張率を有する酸化
物の超微粉末であれば良い。
【0072】以上、実施例に沿って本発明を説明した
が、本発明は、これらに制限されるものではない。実施
例中に示した電池セル、セパレータの材料、作製方法お
よび各サイズは、これらに制限されない。例えば、固体
電解質13は、上述した溶射法の他にもEVD法やスラ
リー法を用いることもできる。電池セルの面サイズは、
さらに大きくしてもよい。均一に各電極にガスが供給さ
れるように、セパレータに備える通気溝を複数としても
よい。又、実施例中、空気極に形成したシール材原料の
埋め込み用溝は必ずしも必要としない。
【0073】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の固体電
解質型燃料電池によれば、動作温度においても、シール
材が溶融することなく固体状態を維持できる為、燃料ガ
ス等の圧力に影響されることなく、シール部の気密性の
維持が容易となる。
【0074】動作状態において、シール部が化学的に安
定であるため、電池セル構成材の特性劣化を誘発するこ
とが少ない。
【0075】又、熱膨張率が電池セルの構成材料と近似
するシール材を選択することにより、シール部での熱応
力の発生を抑制でき、電池のヒートサイクルに対する電
池の耐久性を上げることができる。
【0076】本発明の固体電解質型燃料電池の製造方法
によれば、より簡易な工程で、かつ電池特性に悪影響を
与えない温度条件でシール部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例によるSOFCの製造方法を説
明するための各工程における電池セルの断面図である。
【図2】本発明の実施例によるSOFCの製造方法を説
明するためのセパレータの断面図である。
【図3】本発明の実施例によるSOFCの製造方法を説
明するための各工程における電池の断面図である。
【図4】本発明の実施例によるSOFCの製造方法を示
す工程途中の電池の斜視図である。
【図5】本発明の実施例による複数の電池セルの積層構
造を有するSOFCを示す電池の斜視図である。
【図6】従来のSOFCの構造を示す電池の分解斜視図
である。
【符号の説明】
11・・・空気極、12a、12b・・・溝、13・・
・固体電解質、14・・・燃料極、15、23、24・
・・セパレータ、16・・・通気溝、17、18・・・
シール材、20、21、22・・・電池セル
フロントページの続き (72)発明者 永田 雅克 東京都江東区木場一丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 兼田 波子 東京都江東区木場一丁目5番1号 株式会 社フジクラ内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体電解質、前記固体電解質の一方の面
    に備えられる空気極および前記固体電解質の他方の面に
    備えられる燃料極とを有する電池セルと、 前記電池セルの少なくとも一方の面に対向して備えられ
    るセパレータと、前記電池セルと前記セパレータとの境
    界面の端部をシールするシール部とを有する固体電解質
    型燃料電池において、 前記シール部が、前記固体電解質型燃料電池の動作温度
    より高い融点を持つ平均粒径0.5μm以下の酸化物粉
    末を主成分とする原料粉末の焼結体からなるシール材を
    有することを特徴とする固体電解質型燃料電池。
  2. 【請求項2】 前記焼結体が、7×10-6/℃以上11
    ×10-6/℃以下の熱膨張率を有することを特徴とする
    請求項1に記載の固体電解質型燃料電池。
  3. 【請求項3】 前記酸化物粉末が、主成分として安定化
    ジルコニウム、スピネル、もしくはアルミナのいずれ
    か、またはこれらの複数の材料の混合物を有する請求項
    1もしくは2に記載の固体電解質型燃料電池。
  4. 【請求項4】 前記酸化物粉末が、主成分として前記固
    体電解質の主成分と同じ材料を有する請求項1もしくは
    2に記載の固体電解質型燃料電池。
  5. 【請求項5】 目的とする固体電解質型燃料電池の動作
    温度より高い融点を有し平均粒径0.5μm以下の酸化
    物粉末に、水とバインダーを混練して粘土状のシール材
    原料を作製する工程と、 前記粘土状のシール材原料を電池セルとセパレータの境
    界面の端部に挟み込みセル構造体を作製する工程と、 前記セル構造体を1000℃〜1200℃の温度に昇温
    する工程とを有する固体電解質型燃料電池の製造方法。
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