JP2000182634A - 固体電解質の成膜方法 - Google Patents
固体電解質の成膜方法Info
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Abstract
体電解質膜を成膜する。 【解決手段】 この発明の固体電解質の成膜方法は、電
気化学蒸着法により基材23上に固体電解質28を成膜
する固体電解質の成膜方法において、CVD成膜段階と
EVD成膜段階とで第1の原料成分と第2の原料成分の
混合比率を変えることを特徴とするものであり、固体電
解質膜への酸化物の固溶量を均一にし、固体電解質の導
電率を均一にすることが可能になる。
Description
よって固体電解質を成膜する固体電解質の成膜方法に関
する。
側を挟む2つの電極より構成される。この2つの電極の
一方を燃料極、他方を空気極と呼ぶ。燃料極には外部よ
り水素ガス等の燃料ガスが供給され、空気極には外部よ
り空気等の酸化ガスが供給される。燃料電池は、燃料ガ
スと酸化ガスから水を生成する電気化学的反応を電解質
を介して行う過程で、直接電気エネルギーを外部に供給
できる。
よりいくつかの種別に分類される。固体電解質型燃料電
池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)は、電解質
としてイオン導電性を有する酸化物固体を用いたもので
ある。この酸化物固体、即ち固体電解質が良好なイオン
導電性を示すには、高温条件が必要であるため、通常、
SOFCは800℃〜1200℃の温度条件で動作され
る。
SOFCと円筒型SOFCに大きく分けられる。円筒型
SOFCは、平板型に比較し、動作領域にシール部を有
さないためシールに係る問題の発生が少ないとともに、
そりや歪みの問題も生じにくいという利点を有する。
本体の構造例を示す概略断面図である。同図に示すよう
に、一般に、円筒形空気極101を支持管とし、その外
周面に固体電解質102と燃料極103が順次形成され
ている。また、外表面には、円筒長軸方向に平行な帯状
領域に、空気極101とのみ電気的に接続されたインタ
コネクタ104が形成されている。
くは酸化ガスが供給され、外部回路を介して運ばれる電
子との作用で、酸素イオンが生成される。この酸素イオ
ンは固体電解質102を介して燃料極103に運ばれ、
ここで水素と反応し、副生成物である水とともに電子を
生成する。電子は、外部回路に取り込まれ、発電に寄与
する。
性が必要であるとともに、空気極101、燃料極103
を介して一方の面は酸化雰囲気、他方の面は還元雰囲気
に接触するため、800℃〜1200℃の動作温度にお
ける酸化還元両雰囲気で、化学的に安定なことが必要と
される。併せて、電子導電性を有さず、ガスを通さない
ように気密性にすぐれた材料であることも望まれる。一
般に、このような要件を充たす材料として、イットリア
安定化ジルコニア(YSZ)等が選択されている。
導電性を有さず、高い電子導電性を示すことが必要であ
る。また、隣接する固体電解質102と熱膨張率が近似
していることが望まれる。
で、高温還元雰囲気で化学的に安定であることが必要で
あり、空気極101は、空気に曝される為、高温酸化雰
囲気で化学的に安定であることが必要である。
(Ni)とYSZのサーメット等、空気極101として
は、ランタンコバルトネート(LaCoO3)やランタ
ンマンガネート(LaMnO3)を母体としたペロブス
カイト型酸化物等が選択されることが多い。
電気的に接続したモジュールの構成例を示す断面図であ
る。上段の2つの電池セルの燃料極103と下段の2つ
の電池セルの空気極101を、ニッケルフェルト107
とインタコネクタ104を介して電気的に接続すること
により、上下の電池セルを直列に接続している。また、
上段電池セルの空気極101は、インタコネクタ10
4、ニッケルフェルト107を介して集電母材(カソー
ド電極)122に接続され、下段電池セルの燃料極10
3は、ニッケルフェルト107を介して集電母材(アノ
ード電極)121に接続されている。
おける燃料ガス等の流れを示す説明図である。図5に示
すように発電の際には、各単電池106の外側に燃料ガ
ス109を流し、内側に空気110を流し込む方法をと
る。すなわち、各単電池106の開口側端部から導管1
11によって空気を内部に供給すると、単電池106の
閉塞端部側で空気の流れが反転し、発電部112で外側
を流れる燃料ガス109と並行する流れとなり、発電に
寄与する。なお、発電に消費されなかった余剰燃料ガス
109aは燃焼室113で余剰空気110aと混合して
燃され、空気110の予熱に使われる。
図である。この従来の電気化学蒸着装置では、反応室2
21内を真空に近い状態、約1Torrとし、かつヒー
タ222によって約1000〜1200℃として、空気
極支持管となる多孔質の基材228の内側には酸素
O2、水蒸気H2Oの混合ガス224を導入し、他側面に
はYSZ膜の原料となる塩化イットリウムYCl3、塩
化ジルコニウムZrCl4の混合粉末225をキャリア
ガスであるアルゴンArガスに混入して原料供給管23
6から供給する。供給された混合粉末は反応室221内
で気化され、酸素O2、水蒸気H2Oと反応し、YSZ膜
が形成される。
示す概略説明図である。図7(a)に示すように最初は
基材23の多数の孔27を酸素、水蒸気が通過する。そ
して、酸素、水蒸気と塩化ジルコニウム、塩化イットリ
ウムとが反応して図7(b)に示すように基材23の表
面にYSZ膜28(a)が形成され、徐々に基材23の
多数の孔27を閉塞していく。これがCVD段階であ
る。
とEVD段階となり、塩化ジルコニウム、塩化イットリ
ウムと酸素、水蒸気とは直接反応することはなくなる。
しかし、酸素O2がYSZ膜面上で還元されて酸素イオ
ンO2-となり、YSZ膜28中を拡散し、酸素イオンO
2-は塩化ジルコニウム、塩化イットリウムと反応する。
これらの反応により生じた電子e-は水蒸気、酸素と反
応する。そして図7(c)に示すようにYSZ膜28
(b)が成長する。これがEVD段階である。
化学蒸着法による固体電解質の成膜方法では、良好な導
電率を有する固体電解質膜を得難いという問題があっ
た。
分では固溶している酸化物の量が多いために、一方基材
から遠い部分では固溶している酸化物の量が少ないため
に、いずれも導電率が極大となる領域外になってしまう
という問題があった。
化イットリウムの添加量が約8モル%で導電率が極大を
示す。しかし、従来の成膜方法では、酸化イットリウム
の量が、基材に近い部分で約12モル%、基材に遠い部
分で約4モル%となってしまうという問題があった。
なされたもので、基材に近い部分及び基材から遠い部分
のいずれも固溶している酸化物の量が導電率が極大にな
る領域内にある固体電解質を成膜することができる固体
電解質の成膜方法を提供することを目的とする。
くとも2種類の原料成分から電気化学蒸着法によって基
材上に固体電解質を成膜する固体電解質の成膜方法であ
って、化学蒸着による第1の成膜段階における第1の原
料成分と第2の原料成分の混合比が、電気化学蒸着によ
る第2の成膜段階における当該2つの成分の混合比と異
なることを特徴とするものである。
の成膜方法において、第1の原料成分が塩化イットリウ
ム(YCl3)であり、第2の原料成分が塩化ジルコニ
ウム(ZrCl4)であることを特徴とするものであ
る。
法では、化学蒸着(CVD:Chemical Vapor Depositio
n)段階と電気化学蒸着(EVD:Electrochemical Vap
orDeposition)段階で原料成分の混合比を変えることに
よって導電率の均質な固体電解質を得ることが可能にな
る。
基づいて説明する。
用しうる成膜装置の一例を示している。この固体電解質
の成膜装置は、マイクロパウダーフィーダ(MPF)3
1,32を具備する。
原料成分が、CVD成膜に適した比率で混合され、貯蔵
されている。一方、MPF32には、第1の原料成分と
第2の原料成分が、EVD成膜に適した比率で混合さ
れ、貯蔵されている。酸化イットリウムで安定化したジ
ルコニア(YSZ)は、酸化イットリウムの添加量が約
8モル%で導電率が極大を示す。よって、YSZ膜を成
膜するために、第1の原料成分として塩化イットリウ
ム、第2の原料成分として塩化ジルコニウムを使用する
場合、理論的にはCVD成膜、EVD成膜のいずれの段
階においてもモル比で塩化イットリウム:塩化ジルコニ
ウム=1:5の原料を供給すれば良い。しかし、CVD
反応により成膜されたYSZ膜には酸化イットリウムが
固溶し易く、一方EVD反応により成膜されたYSZ膜
には酸化イットリウムが固溶し難いため、CVD反応段
階では塩化イットリウム:塩化ジルコニウム=0.7〜
1.0:10〜12とし、EVD反応段階では塩化イッ
トリウム:塩化ジルコニウム=1.5〜1.8:4〜6
とすることが好ましい。
FC)33によって制御され、MPF32はMFC34
によって制御される。MFC33の制御の下、不活性ガ
スであるアルゴンガスArをキャリアガスとして用い
て、MPF31からモル比1.0:10の塩化イットリ
ウムと塩化ジルコニウムを反応室21に供給し、CVD
成膜を開始する。
れ、反応室21の内部には、固体電解質を内周面に成膜
するために空気極をなす基材23が取り付けられ、基材
23の外側に酸素・水蒸気混合ガス24が供給されてい
る。また、原料供給管36から塩化イットリウム・塩化
ジルコニウム混合粉末が反応室21内に供給される。
程度まで低下させ、さらにヒータ22によって1000
℃以上の温度まで加熱する。そして酸素・水蒸気混合ガ
ス24を0.5〜1.5ml/minの流量で基材23
の外側に供給する。
末は、反応室で1200℃の高温に加熱されて気化す
る。気化した塩化ジルコニウム、塩化イットリウムと、
水蒸気、酸素とが反応して(CVD反応)、基材23内
面にYSZ膜28が成膜される(図7(b))。CVD
反応により固体電解質膜が成膜され、図7に示す基材2
3の孔27がほぼ全てふさがれるとEVD成膜段階に移
行する(図7(c))。基材の孔27がほぼ全てふさが
れると酸素消費量が減少するため、排ガス中の酸素濃度
変化を測定することにより、EVD成膜段階に移行した
ことが感知できる。また、基材の孔27がほぼ全てふさ
がれると、基材の孔27を通過するガスはほとんど無く
なるため、内側出口と外側出口の差圧を測定すること等
によってもEVD成膜段階に移行したことが感知でき
る。
たら、CVD成膜に適したものからEVD成膜に適した
ものに原料を変える。具体的には、MPF31からの原
料供給を停止させるとともに、MPF32からの原料供
給を開始する。反応室21で気化された塩化イットリウ
ム、塩化ジルコニウムと、酸素イオンとが反応して(E
VD反応)、CVDにより形成されたYSZ膜の上に新
たなYSZ膜が形成される(図7(c))。
−EVD作用によってYSZ膜28が成膜される。
用いて作成した円筒型SOFC単一セルであって、セル
本体からインタコネクタを無くした円筒型SOFC(以
下、インタコネクタレスSOFCと表す。)の構造例を
示す断面図である。図中上側にセル長軸方向に平行な断
面を、図中下側にセル長軸方向に垂直な断面をそれぞれ
示している。
スSOFCは、空気極114を支持円筒体とし、空気極
114の内表面全面に固体電解質113の層が形成され
ており、さらに固体電解質113の内表面全面に燃料極
112の層が形成されている。なお、ここには円筒形セ
ルの片側が封じられた構造のものを示している。
料ガスを供給するための導電性チューブ111が挿入さ
れている。この導電性チューブ111と燃料極112と
の隙間には、導電性のNiフェルト115が充填されて
おり、燃料極112と導電性チューブ111とを電気的
に接続している。このように、導電性チューブ111
は、燃料ガスの供給管であるとともに、燃料極112の
外部引き出し電極としての機能を兼ね備えている。
空気極114の内表面には、固体電解質113、燃料極
112の各層が同心円状の連続膜として形成される。よ
って、インタコネクタ形成に必要となるマスキング等の
工程が不要であるとともに、電池として有効な動作領域
を広く確保できる。
体電解質を成膜したが、これに限定されることはなく、
反応室の構造を若干変更し、原料供給管を通じて原料を
基材の外側に供給し、酸素・水蒸気混合ガスを基材の内
側に供給する構造にすることによって、基材の外周面に
固体電解質を成膜することもできる。
気極支持管をなす基材のランタンストロンチウムマンガ
ネート(La(Sr)MnO3)管(外径φ21mm、
内径φ17mm、長さ30cm)を反応室内に取り付
け、1Torr程度まで真空にし、ヒータによって反応
室を1200℃に設定し、さらに基材の外側に水蒸気と
酸素の混合ガスを1.0ml/minの流量で供給す
る。
ムそれぞれの原料粉末を、それらのイットリウム、ジル
コニウム重量に換算してそれぞれ1.0g/hr、1
0.0g/hr程度となる流量で反応室の基材の内側に
供給する。また、キャリアガス(アルゴンガス)の供給
量は1.0ml/min程度とする。
加熱されて気化し、水蒸気、酸素と反応して(CVD反
応)、基材内表面にYSZ膜が形成される。約30分
後、反応室から排出されるガス中の酸素濃度が上昇する
ことからCVD成膜段階からEVD成膜段階へ移行した
ことが感知できる。
ムそれぞれの供給量を変化させ、イットリウム、ジルコ
ニウム重量に換算してそれぞれ2.5g/hr、8.5
g/hr程度となる流量で反応室に供給する。かかる供
給量は約30分かけて徐々に変化させる。つまり、塩化
イットリウムの供給量は、イットリウム重量に換算して
1.0g/hrであるものを毎分0.05g/hr増加
させる。すなわち、10分後に1.5g/hr、20分
後に2.0g/hr、30分後に2.5g/hrとす
る。塩化ジルコニウムの供給量は、ジルコニウム重量に
換算して10.0g/hrであるものを毎分0.05g
/hr減少させる。すなわち、10分後に9.5g/h
r、20分後に9.0g/hr、30分後に8.5g/
hrとする。
化ジルコニウムと、酸素イオンとが反応して(EVD反
応)、CVDにより形成されたYSZ膜の上に新たなY
SZ膜が形成される。4時間EVD成膜を行うことによ
り、全膜厚50μmのYSZ固体電解質膜が得られる。
溶量をEPMA法により、基材上方5μm、45μmの
2点で測定すると、それぞれ9モル%、10モル%を示
す。
より、1000℃にて測定したところ、0.11S/c
mが得られた。
ットリウムの固溶量は、ほぼ均一であり、導電率も文献
値データと同等の良好なものとなる。
ば、CVD成膜時とEVD成膜時において供給原料中の
第1の成分と第2の成分の混合比率を変化させることに
より、固体電解質膜中の酸化物の固溶量を均一とし、固
体電解質膜の導電率を均一かつ良好なものとすることが
可能になる。
膜装置の一例を示す概略説明図である。
た円筒型SOFC単一セルの構造例を示す断面図であ
る。
を示す概略断面図である。
したモジュールの構成例を示す断面図である。
ス等の流れを示す説明図である。
る。
図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 少なくとも2種類の原料成分から電気化
学蒸着法によって基材上に固体電解質を成膜する固体電
解質の成膜方法であって、 化学蒸着による第1の成膜段階における第1の原料成分
と第2の原料成分の混合比が、電気化学蒸着による第2
の成膜段階における当該2つの成分の混合比と異なるこ
とを特徴とする固体電解質の成膜方法。 - 【請求項2】 前記第1の原料成分が塩化イットリウム
(YCl3)であり、前記第2の原料成分が塩化ジルコ
ニウム(ZrCl4)であることを特徴とする請求項1
に記載の固体電解質の成膜方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10356728A JP2000182634A (ja) | 1998-12-15 | 1998-12-15 | 固体電解質の成膜方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10356728A JP2000182634A (ja) | 1998-12-15 | 1998-12-15 | 固体電解質の成膜方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000182634A true JP2000182634A (ja) | 2000-06-30 |
Family
ID=18450484
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10356728A Pending JP2000182634A (ja) | 1998-12-15 | 1998-12-15 | 固体電解質の成膜方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000182634A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012091140A (ja) * | 2010-10-28 | 2012-05-17 | Sumitomo Electric Ind Ltd | ガス分解素子、発電装置及びガス分解方法 |
WO2012165409A1 (ja) * | 2011-05-30 | 2012-12-06 | 京セラ株式会社 | 固体酸化物形燃料電池セルおよび燃料電池セルスタック装置ならびに燃料電池モジュール、燃料電池装置 |
-
1998
- 1998-12-15 JP JP10356728A patent/JP2000182634A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012091140A (ja) * | 2010-10-28 | 2012-05-17 | Sumitomo Electric Ind Ltd | ガス分解素子、発電装置及びガス分解方法 |
WO2012165409A1 (ja) * | 2011-05-30 | 2012-12-06 | 京セラ株式会社 | 固体酸化物形燃料電池セルおよび燃料電池セルスタック装置ならびに燃料電池モジュール、燃料電池装置 |
JP2013069697A (ja) * | 2011-05-30 | 2013-04-18 | Kyocera Corp | 固体酸化物形燃料電池セルおよび燃料電池セルスタック装置ならびに燃料電池モジュール、燃料電池装置 |
JP5197890B2 (ja) * | 2011-05-30 | 2013-05-15 | 京セラ株式会社 | 固体酸化物形燃料電池セルおよび燃料電池セルスタック装置ならびに燃料電池モジュール、燃料電池装置 |
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