JP2007297978A - 可変容量型圧縮機 - Google Patents

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哲彦 深沼
Hisaya Yokomachi
尚也 横町
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Abstract

【課題】可変容量型圧縮機におけるカム体と回転支持体との間の連結機構を構成するピンとその摺接対象との角当たりを回避し、且つピンの端部とその摺接対象との間における面圧を低減する。
【解決手段】斜板20に形成された支持アーム21にはピン22が支持されている。ピン22の一端部には被ガイド部25が一体形成されており、ピン22の他端部には被ガイド部26が一体形成されている。被ガイド部25は、被ガイド周面251と、被ガイド周面251に連なる円錐面252と、円錐面252に連なる端面253とを有している。被ガイド周面251は、被ガイド部25の外側に向けて凸の凸曲面である。被ガイド部26は、被ガイド周面261と、被ガイド周面261に連なる円錐面262と、円錐面262に連なる端面263とを有している。被ガイド周面261は、ピン22の被ガイド部26の外側に向けて凸の凸曲面である。
【選択図】図2

Description

本発明は、カム体が回転軸に固定された回転支持体に対して連結機構を介して傾角可変に連結されており、カム体を収容する制御圧室の調圧によってカム体の傾角を変更して吐出容量を制御する可変容量型圧縮機に関する。
特許文献2に開示の可変容量型圧縮機における連結機構では、斜板(カム体)の所定位置にピンが設けられており、このピンの両端には球状部が設けられている。回転軸と一体に回転する回転部材(回転支持体)には一対の長溝がほぼ平行に設けられており、一対の球状部が一対の長溝内をガイドされるようになっている。別の例では、回転部材にピンが設けられており、斜板に一対の長溝が設けられている。斜板は、回転軸の周面に沿ってスライド可能なヒンジボールに傾動可能に支持されている。長溝による球状部のガイドは、ヒンジボールを中心とした斜板の傾動を可能にする。
球状部の径は、長溝の幅よりも小さくしてあり、球状部と長溝の壁面とは、点接触している。この接触部位における摩耗は、球状部と長溝の壁面との間のクリアランスの拡大に繋がり、ガタ付きによる異音が生じやすくなる。そのため、球状部と長溝の壁面との間における面圧は、摩耗を回避するために小さい方がよい。しかし、長溝の幅よりも小さい径の球状部と長溝の壁面とを点接触させる構成では、面圧が大きい。
特許文献1に開示の可変容量型圧縮機における連結機構の例では、斜板にピンが設けられている。回転軸と一体に回転するロータ(回転支持体)には一対のロータ係合部が形成されており、各ロータ係合部には溝部が設けられている。別の例では、ロータにピンが設けられており、斜板に一対のアーム係合部が設けられている。
ピンの端部(ピン連結部)は、一対の溝部内をガイドされるようになっている。斜板は、回転軸の周面に沿ってスライド可能な球面ブッシュに傾動可能に支持されている。一対の溝部によるピン端部のガイドは、球面ブッシュを中心とした斜板の傾動を可能にする。
ピンの端部は、円周面を有し、斜板にピンを設けた例では、ロータ係合部は、ピン端部の斜板側の円周面に接してピン端部を案内し、ロータにピンを設けた例では、アーム係合部は、ピン端部のロータ側の円周面に接してピン端部を案内する。
ロータ係合部側あるいはアーム係合部側のガイド面とピン端部の円周面とが接触すれば、ピン端部とガイド面との間における面圧は、特許文献2の球状部の場合よりも、小さくなる。
特開平10−274154号公報 特開2001−289159号公報
しかし、ピン端部の円周面とピン端部の端面との境には角部があり、ピンが傾けばロータ係合部側あるいはアーム係合部側のガイド面と前記角部とが接触する。ロータ係合部側あるいはアーム係合部側のガイド面と前記角部との接触による角部における面圧は、大きい。そのため、角部が摩耗してロータ係合部側あるいはアーム係合部側のガイド面と角部との間のクリアランスが大きくなり、異音が生じやすくなる。また、ロータ係合部側あるいはアーム係合部側のガイド面の角部とピン端部円周面とが接触する場合にも同様に摩耗の問題が生じる。
本発明は、可変容量型圧縮機におけるカム体と回転支持体との間の連結機構を構成するピンとその摺接対象との角当たりを回避し、且つピンの端部とその摺接対象との間における面圧を低減することを目的とする。
本発明は、ピストンが回転軸と一体的に回転するカム体を介して前記回転軸の回転に連動されており、前記カム体は、前記回転軸に固定された回転支持体に対して連結機構を介して傾角可変に連結されており、前記連結機構は、前記カム体と前記回転支持体との一方を支持部として該支持部に支持されたピンと、前記カム体と前記回転支持体との他方をピンガイドとして該ピンガイドに設けられて前記ピンの端部を案内するガイド部とを備え、前記カム体を収容する制御圧室の調圧によって前記カム体の傾角が変更されて吐出容量が制御される可変容量型圧縮機を対象とし、請求項1の発明は、前記ピンの端部が被ガイド周面を有し、前記ガイド部が前記被ガイド周面に接して前記ピンの端部を案内するガイド面を有し、前記端部の被ガイド周面が、前記ピンの軸方向に延び、且つ前記ピンの外側に向けて凸の凸曲線で形成されており、前記凸曲線の少なくとも一部が、前記端部の周径と同径の円の曲率よりも小さい曲率の曲線を含み、前記凸曲線上の2点を結ぶ直線が、前記ピンの端部の内部にあることを特徴とする。
凸曲線から形成される被ガイド周面は、ピンとガイド部との角当たりを防止し、且つピン端部とガイド部との接触箇所における面圧の低減に寄与する。
好適な例では、前記被ガイド周面は、前記凸曲線を前記ピンの中心軸線を中心に回転させて形成されている。
このような凸曲線から形成される被ガイド周面は、ピンの中心軸線を中心にピンを回転させてピンの周面を切削することによって容易に形成される。
好適な例では、前記ガイド面は、平面である。
被ガイド周面の端が角部になっている場合にも、前記角部がピンに角当たりすることはない。
請求項4の発明は、前記ピンの端部は、円柱周面を有し、前記ガイド部は、前記ピンの端部の円柱周面に接して前記ピンの端部を案内するガイド面を有し、前記ガイド面は、前記ピンの軸方向に延び、且つ前記ピンの端部に向けて凸の凸曲線で形成されており、前記凸曲線の少なくとも一部は、前記端部の周径と同径の円の曲率よりも小さい曲率の曲線を含み、前記凸曲線上の2点を結ぶ直線は、前記ガイド部の内部にある。
少なくとも一部が凸曲線で形成されたガイド面は、ガイド部とピン側の角当たりを防止し、且つピン端部とガイド部との接触箇所における面圧の低減に寄与する。
本発明の可変容量型圧縮機は、カム体と回転支持体との間の連結機構を構成するピンとその摺接対象との角当たりを回避し、且つピンの端部とその摺接対象との間における面圧を低減することができるという優れた効果を奏する。
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。
図1に示すように、シリンダブロック11の前端にはフロントハウジング12が連結されている。シリンダブロック11の後端にはリヤハウジング13がバルブプレート14、弁形成プレート15を介して連結されている。シリンダブロック11、フロントハウジング12及びリヤハウジング13は、可変容量型圧縮機10の全体ハウジングを構成する。
制御圧室121を形成するフロントハウジング12とシリンダブロック11とには回転軸16がラジアルベアリング17,18を介して回転可能に支持されている。制御圧室121から外部へ突出する回転軸16は、外部駆動源である車両エンジンEから駆動力を得る。
回転軸16には回転支持体19が止着されており、カム体としての斜板20が回転軸16の軸方向へスライド可能かつ傾動可能に支持されている。回転軸16は、斜板20の中心部に設けられた軸孔201に通されており、斜板20は、軸孔201の周壁を介して回転軸16の外周面をスライド可能である。
図2(a)に示すように、斜板20の回転支持体19に対する対向面側には支持アーム21が一体形成されている。図2(b)に示すように、支持アーム21には支持孔211が回転軸16と直交する方向へ延びるように形成されており、支持孔211にはピン22が圧入して嵌合されている。ピン22は、被把持部221にて斜板20の支持アーム21に支持されている。斜板20及び支持アーム21は、ピン22を支持する支持部を構成する。
ピン22の一端部〔図2(b)において被把持部221よりも右側の端部〕には被ガイド部25が一体形成されており、ピン22の他端部〔図2(b)において被把持部221よりも左側の端部〕には被ガイド部26が一体形成されている。
図2(d)に示すように、第1端部としての被ガイド部25は、被ガイド周面251と、被ガイド周面251に連なる円錐面252と、円錐面252に連なる端面253とを有している。被ガイド周面251は、ピン22の被ガイド部25の外側に向けて凸の凸曲面である。被ガイド周面251と円錐面252との境界254は、鈍角の角部となっている。被ガイド周面251より被把持部221側の周面には環状凹部223が形成されており、被ガイド周面251と環状凹部223との境界255は、鈍角の角部となっている。環状凹部223は、被ガイド周面251の研磨加工を行ない易いように設けられている。
図2(c)に示すように、第2端部としての被ガイド部26は、被ガイド周面261と、被ガイド周面261に連なる円錐面262と、円錐面262に連なる端面263とを有している。被ガイド周面261は、ピン22の被ガイド部26の外側に向けて凸の凸曲面である。被ガイド周面261と円錐面262との境界264は、鈍角の角部となっている。被ガイド周面261より被把持部221側の周面には環状凹部224が形成されており、被ガイド周面261と環状凹部224との境界265は、鈍角の角部となっている。環状凹部224は、被ガイド周面261の研磨加工を行ない易いように設けられている。
図3に示すように、被ガイド周面251は、ピン22の軸方向(ピン22の中心軸線222の方向)に延び、且つピン22の外側に向けて凸の第1凸曲線E1で形成されている。第1凸曲線E1は、被ガイド部25の周径(被ガイド周面251の最大の周径R1)と同径の円の曲率よりも小さい曲率の母線であり、被ガイド周面251は、前記母線(第1凸曲線E1)をピン22の中心軸線222を中心に回転させて形成されている。第1凸曲線E1上の2点を結ぶ直線〔図2(c)に例として直線L1を示す〕は、被ガイド部25の内部にある。
被ガイド周面261は、ピン22の軸方向(ピン22の中心軸線222の方向)に延び、且つピン22の外側に向けて凸の第2凸曲線E2形成されている。第2凸曲線E2は、被ガイド部26の周径(被ガイド周面261の最大の周径R2)と同径の円の曲率よりも小さい曲率の母線であり、被ガイド周面261は、前記母線(第2凸曲線E2)をピン22の中心軸線222を中心に回転させて形成されている。第2凸曲線E2上の2点を結ぶ直線〔図2(d)に例として直線L2を示す〕は、被ガイド部26の内部にある。
第1凸曲線E1,E2は、円弧曲線である。被ガイド部25と被ガイド部26とは、端面253,263間の真ん中でピン22の中心軸線222に対して垂直な仮想平面Y〔図3に図示〕に関して鏡映対称であり、第1凸曲線E1及び第2凸曲線E2の曲率半径は、同一に設定されており、被ガイド部25の周径R1及び被ガイド部26の周径R2は、同一に設定されている。第1凸曲線E1及び第2凸曲線E2の曲率半径は、周径R1(=R2)と同径の円の半径よりも10倍以上の大きさである。第1凸曲線E1の円中心E1cを中心とした第1凸曲線E1の角度幅をθ(ラジアン単位)とすると、第2凸曲線E2の円中心E2cを中心とした第2凸曲線E2の角度幅もθとなる。
図2(a)に示すように、回転支持体19の斜板20に対する対向面側にはガイドアーム23,24が一体形成されている。第1ガイド部としてのガイドアーム23は、第1ガイド壁27と第2ガイド壁28と第3ガイド壁29とを備えており、第2ガイド部としてのガイドアーム24は、第4ガイド壁30と第5ガイド壁31と第6ガイド壁32とを備えている。
図2(b)に示すように、第1ガイド壁27は、被ガイド周面251の斜板20側の部位と接触可能なガイド平面271を有する。第2ガイド壁28は、被ガイド周面251の回転支持体19側の部位と接触可能なガイド平面281を有し、第3ガイド壁29は、端面253と接触可能なガイド平面291を有する。ガイド平面271,281は、互いに平行である。ガイド平面271,281,291のガイド方向は、ピン22と直交し、かつ回転軸16に対して傾斜する方向である。第3ガイド壁29は、ピン22の軸方向への移動を規制する。
第4ガイド壁30は、被ガイド周面261の斜板20側の部位と接触可能なガイド平面301を有する。第5ガイド壁31は、被ガイド周面261の回転支持体19側の部位と接触可能なガイド平面311を有し、第6ガイド壁32は、端面263と接触可能なガイド平面321を有する。ガイド平面301,311,321のガイド方向は、ピン22と直交し、かつ回転軸16に対して傾斜する方向である。第6ガイド壁32は、ピン22の軸方向への移動を規制する。
ガイド平面271,301は、同一平面上にあり、ガイド平面281,311は、前記平面とは別の同一平面上にある。又、ガイド平面271,301は、ガイド平面281,311と平行である。
ガイドアーム23は、被ガイド部25を案内し、ガイドアーム24は、被ガイド部26を案内する。回転支持体19、ガイドアーム23,24は、ピンガイドを構成する。
図3に示すように、被ガイド周面251の幅W1の長さは、ガイド平面271,281の幅W2の長さよりも小さくしてあり、第1ガイド壁27側から第2ガイド壁28側に見た場合、被ガイド周面251の幅W1は、ガイド平面271,281の幅W2内に包含されている。又、被ガイド周面261の幅W3の長さは、ガイド平面301,311の幅W4の長さよりも小さくしてあり、第4ガイド壁30側から第5ガイド壁31側に見た場合、被ガイド周面261の幅W3は、ガイド平面301,311の幅W4内に包含されている。
第1ガイド壁27のガイド平面271と第2ガイド壁28のガイド平面281との間の間隔は、被ガイド周面251の周径R1よりも大きくしてあり、第1ガイド壁27のガイド平面271及び第2ガイド壁28のガイド平面281と被ガイド部25との間にはクリアランスが存在する。このクリアランスの最小クリアランスC1〔図3に図示〕の大きさをCoとする。
第4ガイド壁30のガイド平面301と第5ガイド壁31のガイド平面311との間の間隔は、被ガイド周面261の周径R2よりも大きくしてあり、第4ガイド壁30のガイド平面301及び第5ガイド壁31のガイド平面311と被ガイド部26との間にはクリアランスが存在する。このクリアランスの最小クリアランスC2〔図3に図示〕の大きさは、最小クリアランスC1〔図3に図示〕の大きさCoと同一である。
図3は、実線で示すピン22の被ガイド部25の被ガイド周面251がガイド平面281に接した状態を示し、且つ実線で示すピン22の被ガイド部26の被ガイド周面261がガイド平面311に接した状態(以下、ピン非傾き状態という)を示す。鎖線で示す被ガイド部25は、被ガイド周面251がガイド平面271に接し、且つ被ガイド周面261がガイド平面311に接した傾き状態にある。なお、図3では被ガイド部26側の鎖線による傾き状態の図示を省略している。
図3に実線で示すピン22の状態から、被ガイド周面251をガイド平面281に接触させながら境界254上の点Pe1がガイド平面281に接触するまでピン22を傾けることができたとすると、ピン22はθ/2だけ傾く。つまり、図3に示すピン非傾き状態からピン22をθ/2だけ反時計回りに傾けることができたとすると、点Pe1(角形状の境界254)がガイド平面281に接触する。
同様に、図3に示すピン非傾き状態から、被ガイド周面261をガイド平面311に接触させながら境界264上の点Pe2がガイド平面311に接触するまでピン22を傾けることができたとすると、ピン22はθ/2だけ傾く。つまり、図3に示すピン非傾き状態からピン22をθ/2だけ時計回りに傾けることができたとすると、点Pe2(角形状の境界264)がガイド平面311に接触する。
以下において、角形状の境界254がガイド平面271,281に角当たりせず、且つ角形状の境界264がガイド平面301,311に角当たりしない条件について言及する。
ピン22が図3のピン非傾き状態から角度θ/2だけ時計回りに傾いたとき、被ガイド周面261がガイド平面311に接触し、図3に示す境界254上の点P1がガイド平面271に接したとする。そうすると、点P1は、ピン22の傾きによって、被ガイド周面261の幅W3の中央W31とガイド平面311との接点P2を近似的に中心にして、角度θ/2だけ回動する。
幅W1,W3の大きさをWとし、被ガイド周面251と被ガイド周面261との間の間隔をZとすると、ピン軸方向(図3の状態にあるピン22の中心軸線222の方向)に対して垂直な方向の点P1の移動量F1は、近似的に次式(3)で表される。
F1=(Z+W/2+W)×θ/2=(Z+3×W/2)×θ/2・・・(3)
クリアランスC1,C2の大きさCoが移動量F1よりも小さければ、点P1がガイド平面271に接することはない。つまり、移動量F1とCoとの間に次式(4)の関係があれば、点P1がガイド平面271に接することはない。
Co<F1=(Z+3×W/2)×θ/2・・・(4)
つまり、θとCoとの間に次式(1)の関係があれば、点P1がガイド平面271に接することはない。
Co<(Z+3×W/2)×θ/2・・・(1)
Co,θは、式(1)の関係を満たすように設定されており、点P1(つまり、角形状の境界254)がガイド平面271,281に角当たりすることはない。
同様に、ピン22が図3のピン非傾き状態から角度θ/2だけ反時計回りに傾いたとき、被ガイド周面251がガイド平面281に接触し、図3に示す境界264上の点P3がガイド平面301に接したとする。そうすると、点P3は、ピン22の傾きによって、被ガイド周面251の幅W1の中央W11とガイド平面311との接点P4を近似的に中心にして、角度θ/2だけ回動する。従って、被ガイド部25がガイド平面281に接し、且つ被ガイド部26がガイド平面301に接した場合にも、θとCoとの間に式(1)の関係があれば、角形状の境界264がガイド平面301,311に接することはない。
回転軸16と一体的に回転する回転支持体19の回転力は、ガイドアーム23側の第3ガイド壁29のガイド平面291と、ピン22の被ガイド部25側の端面253との係合を介して斜板20に伝達され、斜板20は、回転軸16と一体的に回転する。
ガイドアーム23,24、ピン22及び支持アーム21は、斜板20を傾角可変かつ回転軸16から斜板20へ回転トルク伝達可能に、回転支持体19に斜板20を連結する連結機構39を構成する。
斜板20の径中心部が回転支持体19側へ移動すると、斜板20の傾角が増大する。斜板20の最大傾角は、回転支持体19と斜板20との当接によって規制され、斜板20の最小傾角は、回転軸16に装着されたサークリップ33〔図1に図示〕と斜板20との当接によって規制される。図1に実線で示す斜板20は、最大傾角状態にあり、鎖線で示す斜板20は、最小傾角状態にある。斜板20の最小傾角は、0°よりも大きくしてある。
図1に示すように、シリンダブロック11に貫設された複数のシリンダボア111内にはピストン34が収容されている。斜板20の回転運動は、斜板20に係留されたシュー35を介してピストン34の前後往復運動に変換され、ピストン34がシリンダボア111内を往復動する。ピストン34は、回転軸16と一体的に回転する斜板20を介して回転軸16の回転に連動されている。
リヤハウジング13内には吸入室131及び吐出室132が区画形成されている。バルブプレート14には吸入ポート141が形成されている。バルブプレート14及び弁形成プレート15には吐出ポート142が形成されている。弁形成プレート15には吸入弁151が形成されており、バルブプレート14に接合された弁形成プレート36には吐出弁361が形成されている。吸入室131内の冷媒は、ピストン34の吸入動作〔図1において右側から左側への移動〕により吸入ポート141から吸入弁151を押し退けてシリンダボア111内へ流入する。シリンダボア111内へ流入したガス状の冷媒は、ピストン34の吐出動作〔図1において左側から右側への移動〕により吐出ポート142から吐出弁361を押し退けて吐出室132へ吐出される。吐出弁361は、リテーナ37に当接して開度規制される。
吐出室132と吸入室131とは、図示しない外部冷媒回路によって接続されている。吐出室132から外部冷媒回路へ流出した冷媒は、吸入室131へ還流する。
図2(a)に示すように、回転軸16は、矢印Qの方向に回転し、回転軸16の軸線161を含むようにピン22と直交する仮想平面Hによって分けられた斜板20の片側半分は、吸入行程対応領域Sであり、他方の片側半分は、吐出行程対応領域Dである。回転軸16の軸方向に見て、吸入行程対応領域Sに対応するピストン34は、吸入行程にあり、吐出行程対応領域Dに対応するピストン34は、吐出行程にある。ピン22の被ガイド部25は、吸入行程対応領域S側にあり、ピン22の被ガイド部26は、吐出行程対応領域D側にある。
図1に示すように、回転支持体19とフロントハウジング12との間にはスラストベアリング38が介在されている。スラストベアリング38は、シリンダボア111からピストン34、シュー35、斜板20及び連結機構39を介して回転支持体19に作用する圧縮反力を受け止める。
吐出室132と制御圧室121とは、供給通路40を介して接続されており、制御圧室121と吸入室131とは、排出通路41を介して接続されている。吐出室132内の冷媒は、供給通路40を介して制御圧室121へ供給される。制御圧室121内の冷媒は、排出通路41を介して吸入室131へ排出される。
供給通路40上には電磁式の容量制御弁42が介在されている。吐出室132から供給通路40を経由した制御圧室121への冷媒供給量は、容量制御弁42の弁開度の増減に応じて増減する。制御圧室121内の冷媒は、排出通路41を介して吸入室131へ流出しているため、吐出室132から供給通路40を経由した制御圧室121への冷媒供給量の増減に応じて制御圧室121内の圧力が上下する。冷媒供給量が増大すると制御圧室121内の圧力が上がり、冷媒供給量が減少すると制御圧室121内の圧力が下がる。制御圧室121内のこのような調圧により、斜板20の傾角が増減して吐出容量が増減する。
斜板20の傾角の増減に伴い、被ガイド部25がガイド平面271,281,291に沿って移動すると共に、被ガイド部26がガイド平面301,311,321に沿って移動する。
第1の実施形態では以下の効果が得られる。
(1)図3に鎖線で示すようにピン22が傾いた場合、被ガイド周面251,261が円柱周面であるとすると、角形状の境界254,255がガイド平面271,281に角当たりし、角形状の境界264,265がガイド平面301,311に角当たりする。あるいは、被ガイド周面251がガイド平面281に接触し、且つ被ガイド周面261がガイド平面301に接触するようにピン22が傾いた場合にも、被ガイド周面251,261が円柱周面であるとすると、角形状の境界254,255がガイド平面271,281に角当たりし、角形状の境界264,265がガイド平面301,311に角当たりする。しかし、第1凸曲線E1によって被ガイド周面251を形成すると共に、第2凸曲線E2によって被ガイド周面261を形成した構成では、図3に鎖線で示すようにピン22が傾いた場合にも、角形状の境界254,255とガイド平面271,281との角当たりが防止され、角形状の境界264,265とガイド平面301,311との角当たりが防止される。被ガイド周面251を第1凸曲線E1で形成すると共に、被ガイド周面261を第2凸曲線E2で形成した構成は、被ガイド部25とガイドアーム23との角当たり、及び被ガイド部26とガイドアーム24との角当たりを防止する。又、被ガイド部25の外側に向けて凸の凸曲面である被ガイド周面251は、被ガイド周面251とガイドアーム23との接触箇所における面圧の低減に寄与する。又、被ガイド部26の外側に向けて凸の凸曲面である被ガイド周面261は、被ガイド周面261とガイドアーム24との接触箇所における面圧の低減に寄与する。
(2)被ガイド周面251は、ピン22の中心軸線222を中心に第1凸曲線E1を回転させて形成されており、被ガイド周面261は、ピン22の中心軸線222を中心に第2凸曲線E2を回転させて形成されている。第1凸曲線E1から形成される被ガイド周面251、及び第2凸曲線E2から形成される被ガイド周面251は、中心軸線222を中心にピン22を回転させてピン22の周面を切削することによって容易に形成される。
(3)角度幅θ、最小クリアランスC1,C2の大きさCo及び間隔Zを式(1)の関係によって設定した構成では、角形状の境界254がガイド平面271,281に角当たりすることがより確実に抑制され、角形状の境界264がガイド平面301,311に角当たりすることがより確実に抑制される。
次に、図4の第2の実施形態を説明する。第1の実施形態と同じ構成部には同じ符合が用いてある。
第1ガイド壁27側から第2ガイド壁28側を見た場合、被ガイド周面251の一部がガイド平面271,281から被把持部221側にはみ出しているが、被ガイド周面251の幅W1の中央W11は、ガイド平面271,281の範囲内にある。又、第4ガイド壁30側から第5ガイド壁31側を見た場合、被ガイド周面261の一部がガイド平面301,311から被把持部221側にはみ出しているが、被ガイド周面261の幅W3の中央W31は、ガイド平面301,311の範囲内にある。
ガイド壁27,30のガイド平面271,301の端部にある角部と対向する被ガイド周面251,261が凸曲面に形成されているため、角当りによる摩耗が抑制される。
次に、図5(a),(b),(c)の第3の実施形態を説明する。第1の実施形態と同じ構成部には同じ符合が用いてある。
被ガイド周面251Aを形成する第1凸曲線E3は、円弧曲線E31と、円弧曲線E31に滑らかに繋がる直線E32と、直線E32に滑らかに繋がる円弧曲線E33とから形成されている。被ガイド周面251Aは、ピン22の中心軸線222を中心に第1凸曲線E3を回転させて形成された凸曲面となっている。円弧曲線E31,E33の曲率は同じにしてあり、且つ被ガイド部25の周径(被ガイド周面251の最大の周径R1)と同径の円の曲率よりも小さい曲率にしてある。
円弧曲線E31上又は円弧曲線E33上の1点と、直線E32上の1点とを繋いだ直線は、被ガイド部25の内部にあり、円弧曲線E31上の1点と円弧曲線E33上の1点とを繋いだ直線は、被ガイド部25の内部にある。
被ガイド周面261Aを形成する第2凸曲線E4は、円弧曲線E41と、円弧曲線E41に滑らかに繋がる直線E42と、直線E42に滑らかに繋がる円弧曲線E43とから形成されている。被ガイド周面261Aは、ピン22の中心軸線222を中心に第2凸曲線E4を回転させて形成された凸曲面となっている。円弧曲線E41,E43の曲率は同じにしてあり、且つ被ガイド部26の周径(被ガイド周面261の最大の周径R2)と同径の円の曲率よりも小さい曲率にしてある。
円弧曲線E41上又は円弧曲線E43上の1点と、直線E42上の1点とを繋いだ直線は、被ガイド部26の内部にあり、円弧曲線E41上の1点と円弧曲線E43上の1点とを繋いだ直線は、被ガイド部26の内部にある。
第3の実施形態では、第1の実施形態における(1),(2)項と同様の効果が得られる。
次に、図6(a),(b),(c)の第4の実施形態を説明する。第1の実施形態と同じ構成部には同じ符合が用いてある。
被ガイド周面251Bを形成する第1凸曲線E5は、円弧曲線E51と、円弧曲線E51に滑らかに繋がる円弧曲線E52とから形成されている。円弧曲線E51の曲率は、円弧曲線E52の曲率よりも小さくしてあり、且つ被ガイド部25の周径(被ガイド周面251Bの最大の周径R1)と同径の円の曲率よりも小さい曲率にしてある。円弧曲線E52の曲率は、被ガイド部25の周径(被ガイド周面251Bの最大の周径R1)と同径の円の曲率よりも小さい曲率にしてある。被ガイド周面251Bは、ピン22の中心軸線222を中心に第1凸曲線E5を回転させて形成された凸曲面となっている。第1凸曲線E5上の2点を繋いだ直線は、被ガイド部25の内部にある。
被ガイド周面261Bを形成する第2凸曲線E6は、円弧曲線E61と、円弧曲線E61に滑らかに繋がる円弧曲線E62とから形成されている。円弧曲線E61の曲率は、円弧曲線E62の曲率よりも小さくしてあり、且つ被ガイド部26の周径(被ガイド周面261Bの最大の周径R2)と同径の円の曲率よりも小さい曲率にしてある。円弧曲線E62の曲率は、被ガイド部26の周径(被ガイド周面261Bの最大の周径R2)と同径の円の曲率よりも小さい曲率にしてある。被ガイド周面261Bは、ピン22の中心軸線222を中心に第2凸曲線E6を回転させて形成された凸曲面となっている。第2凸曲線E6上の2点を繋いだ直線は、被ガイド部26の内部にある。
第4の実施形態では、第1の実施形態における(1),(2)項と同様の効果が得られる。
次に、図7(a),(b)の第5の実施形態を説明する。第1の実施形態と同じ構成部には同じ符合が用いてある。
被ガイド周面251D,261Dは、円柱周面であり、第1ガイド壁27、第2ガイド壁28、第4ガイド壁30及び第5ガイド壁31には凸曲面のガイド面272,282,302,312が形成されている。ガイド面272は、ピン22の軸方向(中心軸線222の方向)に延び、且つ被ガイド部25に向けて凸の凸曲線E7を平行移動して形成された凸曲面である。ガイド面282は、ピン22の軸方向(中心軸線222の方向)に延び、且つ被ガイド部25に向けて凸の凸曲線E8を平行移動して形成された凸曲面である。ガイド面302は、ピン22の軸方向(中心軸線222の方向)に延び、且つ被ガイド部26に向けて凸の凸曲線E9を平行移動して形成された凸曲面である。ガイド面312は、ピン22の軸方向(中心軸線222の方向)に延び、且つ被ガイド部26に向けて凸の凸曲線E10を平行移動して形成された凸曲面である。
凸曲線E7上の2点を結ぶ直線は、ガイドアーム23の第1ガイド壁27の内部にあり、凸曲線E8上の2点を結ぶ直線は、ガイドアーム23の第2ガイド壁28の内部にある。凸曲線E9上の2点を結ぶ直線は、ガイドアーム24の第4ガイド壁30の内部にあり、凸曲線E10上の2点を結ぶ直線は、ガイドアーム24の第5ガイド壁31の内部にある。
ガイド面272,282は、ガイドアーム23とピン22との角当たりを防止し、且つ被ガイド部25とガイドアーム23との接触箇所における面圧の低減に寄与する。又、ガイド面302,312は、ガイドアーム24とピン22との角当たりを防止し、且つ被ガイド部26とガイドアーム24との接触箇所における面圧の低減に寄与する。
次に、図8の第6の実施形態を説明する。第1の実施形態と同じ構成部には同じ符合が用いてある。
斜板20にガイドアーム23C,24Cが一体形成されており、回転支持体19Cに支持アーム21Cが一体形成されていると共に、支持アーム21Cにピン22が支持されている。ガイドアーム23Cには第1ガイド壁27、第2ガイド壁28及び第3ガイド壁29が形成されており、ガイドアーム24Cには第4ガイド壁30、第5ガイド壁31及び第6ガイド壁32が形成されている。ピン22の被ガイド部25の被ガイド周面251、及び被ガイド部26の被ガイド周面261は、第1の実施形態の場合と同じ形状である。
回転支持体19C及び支持アーム21Cは、ピン22を支持する支持部を構成し、斜板20、ガイドアーム23C,24Cはピンガイドを構成する。ガイドアーム23C,24C、ピン22及び支持アーム21Cは、斜板20を傾角可変かつ回転軸16から斜板20へ回転トルク伝達可能に、回転支持体19Cに斜板20を連結する連結機構39Cを構成する。
第6の実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
本発明では、以下のような実施形態も可能である。
○第5の実施形態において、第3の実施形態における凸曲線あるいは第4の実施形態における凸曲線を用いてガイド面272,282,302,312を形成してもよい。
○第3の実施形態における円弧曲線E5,E8の曲率を被ガイド部25の周径(被ガイド周面251Aの最大の周径)と同径の円の曲率よりも大きい曲率としてもよい。
前記した実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
〔1〕第1端部としての被ガイド部25は、被ガイド周面251と、被ガイド周面251に連なる円錐面252と、円錐面252に連なる端面253とを有しており、第2端部としての被ガイド部26は、被ガイド周面261と、被ガイド周面261に連なる円錐面252と、円錐面262に連なる端面253とを有している請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の可変容量型圧縮機。
〔2〕角度幅θ、最小クリアランスC1,C2の大きさCo、及び間隔Zは、式(1)の関係を満たすように設定されている請求項1乃至請求項3、前記〔1〕項のいずれか1項に記載の可変容量型圧縮機。
Co<(Z+3×W/2)×θ/2・・・(1)
第1の実施形態を示す圧縮機全体の側断面図。 (a)は、平面図。(b)は、平断面図。(c),(d)は、一部破断拡大平面図。 一部破断平面図。 第2の実施形態を示す一部破断平面図。 第3の実施形態を示し、(a)は、一部破断平面図。(b),(c)は、一部破断拡大平面図。 第4の実施形態を示し、(a)は、一部破断平面図。(b),(c)は、一部破断拡大平面図。 第5の実施形態を示し、(a)は、平断面図。(b)は、一部破断拡大平面図。 第6の実施形態を示す平断面図。
符号の説明
10…可変容量型圧縮機。121…制御圧室。16…回転軸。19…ピンガイドを構成する回転支持体。19C…支持部を構成する回転支持体。20…支持部としての斜板(カム体)。21,21C…支持部を構成する支持アーム。22…ピン。222…中心軸線。23,23C…第1ガイド部としてのガイドアーム。24,24C…第2ガイド部としてのガイドアーム。25…第1端部としての被ガイド部。251,261,251A,261A,251B,261B,251D,261D…被ガイド周面。271,281,291,301,311,321…ガイド平面。272,282,302,312…ガイド面。34…ピストン。39,39C…連結機構。E1〜E10…凸曲線。E32,E42…直線。L1,L2…直線。R1,R2…周径。

Claims (4)

  1. ピストンが回転軸と一体的に回転するカム体を介して前記回転軸の回転に連動されており、前記カム体は、前記回転軸に固定された回転支持体に対して連結機構を介して傾角可変に連結されており、前記連結機構は、前記カム体と前記回転支持体との一方を支持部として該支持部に支持されたピンと、前記カム体と前記回転支持体との他方をピンガイドとして該ピンガイドに設けられて前記ピンの端部を案内するガイド部とを備え、前記カム体を収容する制御圧室の調圧によって前記カム体の傾角が変更されて吐出容量が制御される可変容量型圧縮機において、
    前記ピンの端部は、被ガイド周面を有し、前記ガイド部は、前記被ガイド周面に接して前記ピンの端部を案内するガイド面を有し、前記端部の被ガイド周面は、前記ピンの軸方向に延び、且つ前記ピンの外側に向けて凸の凸曲線で形成されており、前記凸曲線の少なくとも一部は、前記端部の周径と同径の円の曲率よりも小さい曲率の曲線を含み、前記凸曲線上の2点を結ぶ直線は、前記ピンの端部の内部にある可変容量型圧縮機。
  2. 前記被ガイド周面は、前記凸曲線を前記ピンの中心軸線を中心に回転させて形成されている請求項1に記載の可変容量型圧縮機。
  3. 前記ガイド面は、平面である請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載の可変容量型圧縮機。
  4. ピストンが回転軸と一体的に回転するカム体を介して前記回転軸の回転に連動されており、前記カム体は、前記回転軸に固定された回転支持体に対して連結機構を介して傾角可変に連結されており、前記連結機構は、前記カム体と前記回転支持体との一方を支持部として該支持部に支持されたピンと、前記カム体と前記回転支持体との他方をピンガイドとして該ピンガイドに設けられて前記ピンの端部を案内するガイド部とを備え、前記カム体を収容する制御圧室の調圧によって前記カム体の傾角が変更されて吐出容量が制御される可変容量型圧縮機において、
    前記ピンの端部は、円柱周面を有し、前記ガイド部は、前記ピンの端部の円柱周面に接して前記ピンの端部を案内するガイド面を有し、前記ガイド面は、前記ピンの軸方向に延び、且つ前記ピンの端部に向けて凸の凸曲線で形成されており、前記凸曲線の少なくとも一部は、前記端部の周径と同径の円の曲率よりも小さい曲率の曲線を含み、前記凸曲線上の2点を結ぶ直線は、前記ガイド部の内部にある可変容量型圧縮機。
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