JP2007291515A - 微粒子、その製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】減圧下で形成された火炎中もしくは火炎による燃焼雰囲気中に、金属イオンを含む液体原料を噴霧することによって微粒子を得る。還元雰囲気では金属微粒子が、酸化雰囲気では金属酸化物微粒子が、還元雰囲気かつ窒化雰囲気で金属窒化物微粒子が得られる。これらの微粒子の大きさは、酸化剤や燃料などの流量、圧力、温度を制御することによって、所望の粒径とすることができる。
【選択図】図2
Description
例えば、酸化物系のセラミックス原料粉末については、特開2003−89574号公報に記載のように、高純度で微粒の粉末を合成する方法として共沈法やアルコキシド法が採用されている。
しかし、共沈法やアルコキシド法では原料が高価であり、沈降粉末の仮焼、粉砕が必要であるため、その工程において不純物が混入しやすいという問題点が存在した。
しかし、この方法では電気エネルギーと水素ガスを利用するために高コストであり、大量生産には不向きである。
また、特開2003−313607号公報には、金属塩溶液をミスト状として減圧下に加熱して金属微粒子を得る方法が開示されている。しかし、この方法では、加熱炉を用いて加熱するようにしているので、ミストの加熱温度に限界があり、金属酸化物の微粒子を製造することができない不都合がある。
請求項1にかかる発明は、減圧下で形成された火炎中もしくは燃焼雰囲気中に、金属イオンを含む液体原料を噴霧することで微粒子を得る微粒子製造方法である。
請求項2にかかる発明は、前記火炎を還元火炎とするか、もしくは前記燃焼雰囲気を還元雰囲気とすることで金属微粒子を得る請求項1記載の微粒子製造方法である。
請求項4にかかる発明は、前記火炎を還元火炎とするか、もしくは前記燃焼雰囲気を還元雰囲気とし、かつ窒化雰囲気とすることで金属窒化物微粒子を得る請求項1記載の微粒子製造方法である。
請求項6にかかる発明は、前記火炎を拡散火炎とする請求項1ないし4のいずれかに記載の微粒子製造方法である。
請求項8にかかる発明は、前記液体原料が有機溶媒を含み、該有機溶媒と酸化剤の流量比を調整することで酸化雰囲気となるような火炎を形成し、金属酸化物微粒子を得る請求項3記載の微粒子製造方法である。
請求項10にかかる発明は、前記微粒子製造方法において、圧力と温度を制御することによって、所望の粒径の微粒子を得る請求項1ないし9のいずれかに記載の微粒子製造方法である。
請求項12にかかる発明は、請求項1ないし11のいずれかに記載の微粒子製造方法によって得られた金属、金属酸化物、金属窒化物あるいは金属非酸化物からなる微粒子である。
また、反応容器内の雰囲気をバーナでの燃焼条件によって簡単に変更できるので、金属微粒子、金属酸化物微粒子、金属窒化物微粒子等を同一装置によって容易に製造することができる。
本発明は、減圧下において形成された火炎中、もしくはこの火炎によって得られた燃焼雰囲気中に、金属イオンを含む液体原料を噴霧することによって、噴霧液滴となった原料が蒸発し、酸化反応、もしくは還元反応が行われ、金属微粒子または金属酸化物微粒子、金属窒化物微粒子など、所望の微粒子が形成される。
この発明において、火炎中とは燃焼反応が活発に行われている領域を言い、燃焼雰囲気中とは燃焼反応がほぼ完了している領域を言う。
また、多孔板3の周囲には、バーナを冷却するための冷却水を流すための冷却流路4が設けられている。
なお、多孔板3に代えて、連続気泡が形成された多孔質材料を用い、この気泡を利用して燃料および酸化剤を噴出するようにしてもよい。
また、冷却流路4には、冷却水入口管6からの冷却水が送り込まれ、冷却流路4を流れて冷却水出口管7から排出されるように構成されている。
この微粒子製造用バーナ1は、後述のように、反応容器10の底部に取り付けられている。
なお、バーナ1は、反応容器の天井に設けてもよい。バーナ1を天井に設けた場合には生成した微粒子と排ガスは反応容器の下部から取り出す。ただし、凝集した反応生成物は生成した微粒子に混入しないよう、反応容器の底部から排出されるようにするほうがよい。
この例の装置は、図1に示したバーナ1、反応容器10、液体原料容器11、液体原料供給装置である送液ポンプ12、熱交換器13、微粒子捕集装置14、ガス冷却器15、真空ポンプ16から概略構成されている。
また、反応容器10内で生成した微粒子を同伴した燃焼ガスおよび気化した溶媒は、反応容器10の上部から真空ポンプ16の吸引作用により排ガスとして抜き出され、熱交換器13に送られ、ここで冷却されて下流の微粒子捕集装置14に送られるように構成されている。
バーナ1の噴霧ノズル2には、所望の金属イオンを溶解させた液体原料、酸化剤および燃料が供給される。バーナ1から反応容器10へ原料を噴霧する位置は、図2に示した位置に限定されるものではない。
次に、真空ポンプ16を用いて反応容器5内を所定の圧力まで減圧し、反応容器10内の雰囲気が安定したら、バーナ1から金属イオン(Fe、Cu、Ni、Zn、Co、Mg、Mn、Al、Nbなど)を含む液体原料を噴霧する。反応容器5内を減圧にすることにより、噴霧された液体原料が広範囲に分散し、細かく、かつ粒径の揃った金属微粒子を製造することが可能になる。
一般に、反応物質である燃料や酸化剤が気体である場合のように、同相の反応物質の燃焼を均一燃焼と呼ぶ。均一燃焼の場合、燃料と酸化剤が初めから混合している燃焼を予混合燃焼という。一方、燃焼時に燃料と酸化剤が拡散、混合して混合気を形成する燃焼形態を拡散燃焼という。
本発明における燃焼方法は予混合燃焼および拡散燃焼のどちらも採用できるが、雰囲気調整は予混合燃焼を採用したほうがより好ましい。
また、液体原料に有機溶媒を混和させた場合には、多孔板3から酸化剤のみを噴射するようにし、該有機溶媒を燃料としても良い。
減圧下に噴出された液体原料は、減圧沸騰微粒化現象を発現し、細かな噴霧液滴を得られると同時に、形成過程での粒子同士の衝突も抑制され、凝集割合も小さくすることができる。さらに雰囲気中の温度分布を均一にすることにより、形成微粒子の組成均一性が向上させることができる。
従来からのロジンラムラー分布等に代表される粒径分布ではなく、粒径分布の狭いピークをもった粒径分布を得ることが可能となる。
(実施例1)
図2に示した製造装置において、反応容器を減圧下にし、図1に示したバーナにより火炎を形成させた。本実施例では、燃料としてメタンを、酸化剤として純酸素を用いた。これらを予混合した後、バーナより噴出させて予混合火炎を形成させた。火炎を形成させた後に、バーナ中心部に配置された液体原料噴霧ノズルから液体原料を噴霧させ、微粒化させて供給した。使用した液体原料は、酢酸亜鉛二水和物の20wt%水溶液であり、加圧容器から噴霧ノズルに供給した。
本実施例における実施条件を表1に示す。
生成された亜鉛微粒子を観察した結果、ピークを持った粒度分布で、平均粒子径は1μm以下の球状亜鉛粒子が確認された。エタノールを溶媒とした酢酸亜鉛を用いた場合も、表1に示す条件で、ほぼ同様の亜鉛微粒子が製造可能であった。
図2の装置を用い、表2に示す条件で酸化亜鉛微粒子を生成させた。使用した液体原料は、実施例1と同じ酢酸亜鉛二水和物の20wt%水溶液であるが、酸化剤の供給量を変え、反応容器内を酸化雰囲気とした。生成された酸化亜鉛微粒子を観察した結果、ピークを持った粒度分布で、平均粒子径は1μm以下の球状酸化亜鉛粒子が確認された。
液体原料を塩化酸化ジルコニウム八水和物と四塩化チタンの混合水溶液に変更して、実施例1と同様に実験を行った。その結果、チタン酸ジルコニウム微粒子が生成され、観察の結果、ピークを持った粒度分布で平均粒子径は1μm以下の球状チタン酸ジルコニウム微粒子が確認された。
液体原料を酢酸イットリウム、酢酸バリウム、酢酸銅の混合水溶液に変更して実験を行った。この場合、生成させる所望の複合酸化物中の金属組成比になるように水溶液中金属イオン濃度比を調整して行った。その結果、平均組成が初期金属イオン濃度比と同一で、平均粒子径が1μm以下の複合酸化物セラミックス微粒子が生成された。
図2に示した装置において、反応容器を減圧下にし、バーナにより火炎を形成させた。本実施例では、燃料としてメタンを、酸化剤として純酸素を用いた。これらを予混合した後、バーナより噴出させて予混合火炎を形成させた。火炎を形成させた後に、バーナ中心部に配置された噴霧ノズルから液体原料を噴霧させ、微粒化させて供給した。
使用した液体原料は、酢酸亜鉛二水和物の20wt%水溶液:Aと、5wt%水溶液:Bである。これらの原料を、加圧容器から噴霧ノズルに供給した。本実施例の条件を表3に示す。
生成された酸化亜鉛微粒子を観察した結果、ピークを持った粒度分布となり、水溶液Aを原料とした場合、平均粒子径が0.2μmの球状酸化亜鉛粒子が確認された。一方、水溶液Bを原料とした場合、平均粒子径が0.07μmの球状酸化亜鉛粒子が確認された。すなわち、微粒子の平均粒子径は、液体原料中の基材濃度によって制御することが可能であった。
Claims (16)
- 減圧下で形成された火炎中もしくは燃焼雰囲気中に、金属イオンを含む液体原料を噴霧することで微粒子を得る微粒子製造方法。
- 前記火炎を還元火炎とするか、もしくは前記燃焼雰囲気を還元雰囲気とすることで金属微粒子を得る請求項1記載の微粒子製造方法。
- 前記火炎を酸化火炎とするか、もしくは前記燃焼雰囲気を酸化雰囲気とすることで金属酸化物微粒子を得る請求項1記載の微粒子製造方法。
- 前記火炎を還元火炎とするか、もしくは前記燃焼雰囲気を還元雰囲気とし、かつ窒化雰囲気とすることで金属窒化物微粒子を得る請求項1記載の微粒子製造方法。
- 前記火炎を予混合火炎とする請求項1ないし4のいずれかに記載の微粒子製造方法。
- 前記火炎を拡散火炎とする請求項1ないし4のいずれかに記載の微粒子製造方法。
- 前記液体原料が有機溶媒を含み、該有機溶媒と酸化剤の流量比を調整することで還元雰囲気となるような火炎を形成し、金属微粒子を得る請求項2記載の微粒子製造方法。
- 前記液体原料が有機溶媒を含み、該有機溶媒と酸化剤の流量比を調整することで酸化雰囲気となるような火炎を形成し、金属酸化物微粒子を得る請求項3記載の微粒子製造方法。
- 前記液体原料が有機溶媒を含み、該有機溶媒、酸化剤、窒素およびアンモニアの流量比を調整することで還元雰囲気であり、かつ窒化雰囲気となるような火炎を形成し、金属窒化物微粒子を得る請求項4記載の微粒子製造方法。
- 前記微粒子製造方法において、圧力と温度を制御することによって、所望の粒径の微粒子を得る請求項1ないし9のいずれかに記載の微粒子製造方法。
- 前記微粒子製造方法において、液体原料の金属イオン濃度を制御することによって、所望の粒径の微粒子を得る請求項1ないし9のいずれかに記載の微粒子製造方法。
- 請求項1ないし11のいずれかに記載の微粒子製造方法によって得られた金属、金属酸化物、金属窒化物あるいは金属非酸化物からなる微粒子。
- 減圧下で火炎もしくは燃焼雰囲気を形成し、金属イオンを含む液体原料を噴霧する微粒子製造用バーナであって、金属イオンを含む液体原料を反応容器内に噴霧する噴霧ノズルと、この噴霧ノズルの周囲に設けられて燃料−酸化剤の混合気を噴出する多数の噴出口が形成された多孔板あるいは多孔質部材あるいは円環状ノズルを備えた微粒子製造用バーナー。
- 減圧下で火炎もしくは燃焼雰囲気を形成し、金属イオンを含む液体原料を噴霧する微粒子製造用バーナであって、燃料と酸化剤とを反応容器内に別々に噴出する流路を備え、その中心部には金属イオンを含む液体原料を噴霧するノズルを備えた微粒子製造用バーナ。
- 金属イオンを含む液体原料を大気圧以下の減圧下で処理することで微粒子を得るための反応容器、該反応容器内に還元雰囲気もしくは酸化雰囲気あるいは還元雰囲気であって、かつ窒化雰囲気を形成するためのバーナ、前記反応容器に液体原料を供給するための液体原料供給装置、前記反応容器内で製造された微粒子を回収するための微粒子捕集装置、該微粒子捕集装置からの排ガスを冷却するガス冷却器、前記反応容器内を減圧にするための真空ポンプから構成される微粒子製造装置。
- 前記液体原料供給装置が噴霧ノズルを備えており、この噴霧ノズルが前記バーナと一体化されている請求項15記載の微粒子製造装置。
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- 2007-03-28 JP JP2007084588A patent/JP2007291515A/ja active Pending
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