JP2007289133A - こんにゃく粉を主原料とする麺類 - Google Patents
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Abstract
【課題】 腰がある食感を有し,また,湯伸びしない麺類を製造するために,原料粉末にこんにゃく粉を併用する方法が提案されていたが,従来の製麺方法では加水量を増やすことができないため,原料粉末100重量部に対しこんにゃく粉は10重量部の添加が限度であり,満足できるものは得られていない。
【解決手段】 原料粉末に加水した後,こんにゃく粉を加えて60℃以上に加熱した後に40℃以下の室温に麺状に押し出す方法により,加水量を増すことができるようになり,原料粉末100重量部に対し,こんにゃく粉を10〜45重量部の範囲で添加することが可能になった。
【選択図】なし
【解決手段】 原料粉末に加水した後,こんにゃく粉を加えて60℃以上に加熱した後に40℃以下の室温に麺状に押し出す方法により,加水量を増すことができるようになり,原料粉末100重量部に対し,こんにゃく粉を10〜45重量部の範囲で添加することが可能になった。
【選択図】なし
Description
本発明は,腰がある食感を有し,また湯伸びし難い麺類に関する。
麺の良否を左右する要件はまず食感にある。咀嚼時の適度な粘弾性いわゆる腰と,程良い歯切れ感が求められる。
また,麺を熱い汁に入れた後経過時間で軟化するいわゆる湯伸びと,軟化で生じる汁の濁りが無いことも重要である。
これらの要件を満足させるため,従来から原料粉末である小麦粉,澱粉の品種の選択,および配合比の調整等が検討されて来た。
また,麺類の品質改良剤として,レシチンのような乳化剤,重合リン酸塩、および増粘多糖類等の添加物の効果が種々研究されている。
これらの研究,報告の中にはこんにゃく粉を使用したものがある。
まず,こんにゃく膨潤液にアルカリ性物質を加えゲル化物を生成させる方法がある。(例えば,特許文献1参照)これは原料粉末と水の混合物にこんにゃく粉を添加した後,水酸化カルシウム溶液を混ぜ合わせ,約60℃の湯中に絞り出すものであるが,この方法で製造された麺はこんにゃくゲルが物性の主体となり,麺本来の食感とは異なるものである。またアルカリ性物質の添加により,こんにゃく特有の臭いが生じ好ましくない。
次にアルカリ性物質を添加しないものもある。(例えば特許文献2および3参照)しかし,この方法は原料粉末が100重量部に対し,こんにゃく粉の添加量が,10重量部未満と少なく,麺の品質改良効果は小さい。
こんにゃく粉の配合による麺類の品質改良が多いに期待できるが,従来の製麺方法では原料粉末100重量部に対し,こんにゃく粉が配合できる量は10重量部が上限であり,これ以上に配合できる製麺技術は完成していない。
特開昭64−60343号 公報 特開平3−65152号 公報
本発明は麺類を製造するにあたり,原料粉末が100重量部に対し,こんにゃく粉を10〜45重量部と高含有に配合することが可能な製麺方法を完成し,こんにゃく粉を高含有とすることにより腰がある食感を有し,また湯伸びし難い麺類を提供することを目的とする。
従来の製麺方法では,原料粉末に対し,こんにゃく粉を高含有にできない理由を以下に春雨を例として述べる。
春雨の原料は澱粉であり,通常澱粉に加水して調製されたスラリーを熱湯中に糸状に流下する,もしくは押し出すという方法で製造される。熱湯中で澱粉は直ちに糊化し,高粘度のゾルとなり麺線となる。この場合,澱粉濃度が一定量以上含まれていないとゾルの粘度が不足して麺線が保てず,湯中で崩壊してしまう。
澱粉と水の配合割合は澱粉100重量部に対し,水は70〜100重量部の範囲で調整され,これより水が多いと前述のように湯中で麺線は崩壊する。
一方,こんにゃく粉は保水力が強く,冷〜温水中で膨潤し高い粘度を示す。従ってスラリー中に少量のこんにゃく粉を添加しただけで著しく増粘し,さらに添加量を増加すると,こんにゃく粉の強い吸水力により,やがては澱粉粒子どうしが接着しただけの固形物となり,もはや圧力を加えてもとうてい押し出すことは不可能である。
実際に押し出しが可能な配合量は,澱粉100重量部,水100重量部の場合では,こんにゃく粉は10重量部が上限である。
このように,従来の製麺方法ではこんにゃく粉を高含量に配合することは困難であった。
本発明は麺類を製造するにあたり,原料粉末が100重量部に対し,こんにゃく粉を10〜45重量部配合することが可能な製麺方法を完成し,こんにゃく粉を高含量とすることにより,腰がある食感を有し,また湯伸びし難い麺類を提供することを目的とする。
この目的を達成するための手段を,発明が解決しようとする課題と同様に,以下に春雨を例として説明する。
本発明は,例えば春雨を製造するにあたり,澱粉に加水しスラリー状とした後,澱粉が100重量部に対し,こんにゃく粉を10〜45重量部加え,混練しながら60℃以上に加熱した後,40℃以下の空気中に麺状に押し出して麺線を得るものである。
澱粉スラリーにこんにゃく粉を加え60℃以上に加熱することにより,澱粉は糊化し,澱粉とこんにゃくの混合ゾルとなる。この段階で澱粉の糊化は完了しているので,従来法の熱湯中に押し出す工程は不要となり,加水量を増やしても,熱湯中での麺線の崩壊を考慮する必要は無くなる。即ち,こんにゃく粉の配合量を増やしても,加水量が多くできるため,こんにゃく粉の膨潤が可能であり,従ってこんにゃく粉の増量ができるようになる。
この澱粉とこんにゃくの混合ゾルは高粘度であるが,次の40℃以下の空気中に押し出されて冷却されることにより,くびれ,ちぎれが無い連続的な麺線の成形が可能となる。
具体的な配合量は,澱粉が100重量部に対してこんにゃく粉は10〜45重量部であり,また加水量はこんにゃく粉の配合量により,200〜500重量部の範囲で調整するのが好ましい。
澱粉は一般に60℃以上で糊化するが,本発明においては充分な糊化とこんにゃく粉の溶解のために85℃以上の加熱が好ましい。
また,40℃以下の空気中に押し出す工程においては,麺線の強度の発現のためには,より低い温度が好ましいが現実的には20〜0℃の範囲が適している。なお,この押し出しは糸こんにゃく製造機が使用出来る。
以上の方法で製造された麺線は竿かけされ,通常の春雨の製造工程である冷凍,解凍処理が施される。冷凍温度は−40〜−20℃,冷凍時間は20〜30時間である。その後,麺線を乾燥庫に移送し,30〜60℃の温度で水分が14〜16%となるまで乾燥し、製品となる。
春雨は湯戻しし,喫食されるが,本発明による春雨は腰がある食感を有し,また湯伸びが少ないので可食時間を長くとれるものである。
また,こんにゃく用凝固剤であるアルカリ性物質を添加しないので,こんにゃく粉が高含量に配合されているにも拘わらず臭いの発生は無い。
以上のように,本発明の内容を春雨を例にとり述べたが,本発明は春雨にとどまるものではなく麺類すべて,即ちうどん,そうめん,ひやむぎ,パスタ類,中華めん,そば,ビーフン等にも応用できる。
上述したように,本発明による麺類は,原料粉末100重量部に対し,こんにゃく粉を10〜45重量部と高含有に配合されたものであり,腰がある食感を有し,また,湯伸びしない麺類が提供できるものである。
以下,本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
実施例1 こんにゃく粉含有の春雨
春雨は緑豆澱粉,馬れいしょ澱粉、甘しょ澱粉,とうもろこし澱粉などの澱粉を原料として製造されるものである。本実施例における配合は次のとうりである。
緑豆澱粉 2 kg
馬れいしょ澱粉 2 kg
甘しょ澱粉 2 kg
とうもろこし澱粉 2 kg
水 20 l
こんにゃく粉 2.5 kg
この場合,澱粉100重量部に対しこんにゃく粉は31重量部である。
春雨は緑豆澱粉,馬れいしょ澱粉、甘しょ澱粉,とうもろこし澱粉などの澱粉を原料として製造されるものである。本実施例における配合は次のとうりである。
緑豆澱粉 2 kg
馬れいしょ澱粉 2 kg
甘しょ澱粉 2 kg
とうもろこし澱粉 2 kg
水 20 l
こんにゃく粉 2.5 kg
この場合,澱粉100重量部に対しこんにゃく粉は31重量部である。
まず,澱粉と水を混合しスラリーとした。これを撹拌しながら徐々にこんにゃく粉を添加し,10分間撹拌を継続した。その後撹拌を停止し1時間静置してこんにゃくを膨潤させた。次にニーダー付の加熱釜に投入し,混合しながら90℃まで加熱してこんにゃくと澱粉の混合ゾルを得た。
混合ゾルを糸こんにゃく製造機を使用して,直径0.5mmの目皿を通し,10℃に設定した空気中に押し出し麺線を得た。麺線は充分な強度を有し,竿かけ作業に何ら支障は無かった。
得られた麺線を−20℃の冷凍庫で24時間冷凍し,冷凍庫から取り出し,2時間室温で自然解凍した後,40℃の乾燥機に移送し6時間送風乾燥し,春雨を得た。
このようにして製造された春雨を熱湯中で5分間湯戻しした。春雨は腰がある良好な食感を有し,熱湯中に20分間以上浸しても湯伸びがほとんど無く,また浸漬した湯も濁らず見場が良いものであった。
実施例2 こんにゃく粉含有の即席うどん
うどんは中力粉,強力粉の小麦粉を原料として製造されるものである。本実施例における配合は次のとおりである。
中力粉 10 kg
食塩 0.3 kg
水1 3 l
水2 20 l
こんにゃく粉 1.6 kg
この場合,中力粉100重量部に対し、こんにゃく粉は16重量部である。
うどんは中力粉,強力粉の小麦粉を原料として製造されるものである。本実施例における配合は次のとおりである。
中力粉 10 kg
食塩 0.3 kg
水1 3 l
水2 20 l
こんにゃく粉 1.6 kg
この場合,中力粉100重量部に対し、こんにゃく粉は16重量部である。
まず,中力粉と食塩を混合した後に,水1を添加し,均一に混合してそぼろ状とし,室温で1時間ねかせた。次に,このものをニーダー付の加熱釜に投入し,水2を加え,均一なペーストとなるまで撹拌し、撹拌を継続しながら徐々にこんにゃく粉を添加し,10分間撹拌を継続した。その後撹拌を停止し,1時間静置してこんにゃく粉を膨潤させた後90℃まで加熱してこんにゃくと小麦粉の混合ゾルを得た。
混合ゾルを糸こんにゃく製造機を使用して,直径1.5mmの目皿を通し,15℃の設定した空気中に押し出し麺線を得た。麺線は充分な強度を有し,くびれ,ちぎれが無いものであった。
このようにして製造された即席うどんを5分間茹でた。うどんは腰がある良好な食感を有し,10分間以上茹でても,湯伸びがほとんど無く,また茹で汁の濁りも無く見場が良いものであった。
Claims (3)
- こんにゃく粉を主原料とする麺類。
- 原料粉末が100重量部に対し,こんにゃく粉を10〜45重量部配合することを特徴とする請求項1記載の麺類。
- 原料粉末に加水し,次にこんにゃく粉を加え,60℃以上に加熱した後に,40℃以下の空気中に麺状に押し出すことを特徴とする請求項1および請求項2記載の麺類の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006140811A JP2007289133A (ja) | 2006-04-20 | 2006-04-20 | こんにゃく粉を主原料とする麺類 |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009189285A (ja) * | 2008-02-14 | 2009-08-27 | Ezaki Glico Co Ltd | 即席春雨及びその製造方法 |
CN102783620A (zh) * | 2011-05-20 | 2012-11-21 | 谢伟 | 富硒紫薯粉丝加工工艺方法 |
CN102940218A (zh) * | 2012-11-30 | 2013-02-27 | 上海韬鸿投资管理咨询有限公司 | 橡子复合营养粉丝及其制备方法 |
CN104222733A (zh) * | 2014-07-30 | 2014-12-24 | 巫山县黛溪老磨坊食品有限公司 | 无矾黄姜粉丝及其制备方法 |
CN113142468A (zh) * | 2020-01-07 | 2021-07-23 | 益海嘉里(南昌)粮油食品有限公司 | 荞麦产品及其制备方法 |
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2006
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