JP2007288701A - 非可逆回路素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 金属ケースの内側底面に配置したアース板と、アース板上に配置した板状ガーネット部材と、板状ガーネット部材上に配置したストリップライン部材と、ストリップライン部材上に配置した永久磁石を備えた非可逆回路素子であって、ストリップライン部材は、中央部から延出する帯状電極からなる接合部と、帯状電極間に形成された分岐線路と、板状ガーネット部材の縁部に到るまでに、分岐線路と連続する低インピーダンス線路を備え、板状ガーネット部材は、その平面方向の略中央位置でシリコーンゴム接着剤によりストリップライン部材と接着した。
【選択図】 図1
Description
図11及び図12に示す平面図と断面図は、分布定数型の非可逆回路素子の内部構造を示している。分布定数型の非可逆回路素子は、金属ケース9に、円形状の中心部でY字状に接合され中心から放射状に分岐して設けられたストリップライン部材8(中心導体とも呼ばれる)と、その中心部と同軸上に前記ストリップライン部材8を挟むように配置された板状ガーネット部材7と、その両側に配置され、前記板状ガーネット部材7に直流磁界を与える永久磁石4を備えている。通常このような構造を採るのが一般的である。
なお、永久磁石4はいずれかの一枚である場合もある。そして金属ケースの側壁部にコネクタ20を設け、このコネクタ20の中心端子50にストリップライン部材の端部を接続している。
この中心導体8の端部は、それぞれ、金属ケース9の周囲から突き出るように入出力端子8a、8b、8cを形成している。この入出力端子8a、8b、8cは、通常0.1〜0.25mmの薄い銅板などで形成されていることが多く、先端を折り曲げて、回路基板に半田付けする構成になっている。
特に未習熟の作業者が非可逆回路素子を組み立てる場合に位置ずれが生じ易く、その電気的特性が大きくばらつき、製品歩留まりに大きく影響する。また、組み立て後であっても、落下させるなどして非可逆回路素子に衝撃が加わると、ストリップライン部材の位置ずれが生じる場合があった。
そこで、板状ガーネット部材の外周縁で、各入出力端子8a、8b、8c側を接着剤で固定することが行なわれていた。しかしながら、前記接着剤を複数の箇所に塗布しなければならず、また板状ガーネット部材の外周縁に塗布した接着剤が主面側に回りこみ、これを取り除くのに工数増を招く。さらには接着剤によって入出力端子とアース板との間で寄生容量が形成され、インピーダンスのずれが生じることもあった。
そこで本発明は、ストリップライン部材の位置ずれが生じることなく、電気的特性に優れた非可逆回路素子を提供することを目的とする。
本発明においては、前記ストリップライン部材と前記永久磁石との間に更に板状ガーネット部材を備え、これをシリコーンゴム接着剤により前記ストリップライン部材と接着するのも好ましい。
前記仕切り部材は、はんだリフロー等による高温環境下であっても、軟化し難いLCP(液晶ポリマー)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、エポキシなどの耐熱性樹脂で形成するのが好ましい。
また、ストリップライン部材や板状ガーネット部材との線膨張係数は、1桁程度の差異があるのが通常である。この様な線膨張係数の相違によって、環境変化に伴う膨張収縮が繰り返された場合等の経時変化による劣化によって、シリコーンゴム接着剤が剥離する場合があっても、シリコーンゴムの弾性力によってストリップライン部材が移動自由とならないように保持することも出来る。このような機能を発揮させるには、シリコーンゴム接着剤の硬化後の硬度が、80以下(JIS K 6253 デュロメータA)であることが好ましい。
この非可逆回路素子は、金属ケース9内側に配置され、その外周の開口部から突出するような延長部を備えた樹脂部材10にそってストリップライン部材8を外部へ延出させ、前記延長部の端部に設けた端子25と、マイクロストリップライン部材8の端部8a、8bと接続し、金属材料で製作された金属ケース9には、その内底と同一面で金属ケースの外周に向かって終端抵抗を配置する支持板が突き出されており、マイクロストリップライン部材8の端部8cは、この支持板に配置された吸収抵抗Rと接続してなり、面実装可能としている。
金属ケース9に3箇所に切欠があり、その切欠にあわせて樹脂部材10の腕部30が配置される。前記樹脂部材10は、厚みが0.8〜1.0mmであるが、曲げ強度に強い材質で、例えば、ガラスエポキシ樹脂、液晶ポリマーで作られているので、外力が加わった場合でも、変形がほとんど無い。このため端子部の変形を生じ難いので、実装基板と間の平衡性が保てて、密着性がよくなり、半田付けをより確実に出来てオープン等の電気的接続の不具合が生じることが無い接続の信頼性の高い製品となる。
このマイクロストリップライン部材8は、厚さ30〜250μmの薄板金属板をエッチングして形成される。中央部から前記円板状ガーネット部材7の外周近傍にまで3方向に延出する帯状電極30を備え、これらの帯状電極30からなる接合部60を備える。前記帯状電極30間で円板状ガーネット部材7半径の略1/2の箇所に、それぞれ分岐線路40が設けられ、さらに円板状ガーネット部材7の外周縁に到るまでの部分に整合回路として機能する低インピーダンス線路35が設けられている。分岐線路40はアース板6とで、ストリップラインを形成する。
分岐線路40のλ/4線路長を確保するために、円板状ガーネット部材7上に占める前記接合部の面積は、所定の周波数で動作するように設定された円板状ガーネット部材7の面積よりも大きく減じざるを得ない。そこで低インピーダンス線路35によって、動作周波数のずれと帯域幅の狭帯化を補償している。前記低インピーダンス線路35は、前記アース板6とで接地コンデンサを形成する。
組み立てジグに立てられた3つのガイドピンを基準にして外周を支持された下側の円板状ガーネット部材7の中央部分に、シリコーンゴム接着剤をディスペンサ(定量吐出装置)により塗布する。塗布量は円板状ガーネット部材やストリップライン部材8の形状にもよるが、円板状ガーネット部材の外径がφ20mm以下であれば、φ1mm〜φ2mm程度の塗布量で十分である。
そして円板状ガーネット部材7の上側からストリップライン部材8を配置する。前記ストリップライン部材8は、組み立てジグに立てられたガイドピンを基準にして、平面方向にずれなく配置される。更にストリップライン部材8の接合部60にシリコーンゴム接着剤を塗布し、その上に上側の円板状ガーネット部材を配置する。中心導体部材の組み立ては、ガイドピンを基準にして行なわれるため、精度良く円板状ガーネット部材をストリップライン部材の上下に積み重ねることができる。
更に上下円板状ガーネット部材でストリップライン部材を押圧するようにクリップで固定して、乾燥器にて接着剤を硬化させた。硬化は接着剤の性能を劣化させない程度の温度で行なうが、100℃〜200℃の温度で、30分〜2時間程度の保持時間とするのが好ましい。
SPCCからなる金属ケース9を準備し、その内側底面に0.1mm厚み円形状アース板6を配置した。金属ケース9の表面には、Cuめっき、Niめっき、Auめっきの順に5〜30μm厚みのめっき層を形成している。円形状アース板6上には、厚みが0.5mmの液晶ポリマーで形成された樹脂部材10が配置される。そして樹脂部材10の透孔に、一対の円板状ガーネット部材7とストリップライン部材8とでなる中心導体部材が配置される。
マイクロストリップライン部材8は、厚さ150μmの薄板金属板をエッチングして形成されたものである。各円板状ガーネット部材は、φ17×1.0mm厚みで、比誘電率εrが11、飽和磁化4πMsが115mTであり、誘電損失tanδεが2×10−4のガーネットフェライトを用いた。また接着剤として、粘度が110Pa・s、1MHzにおける比誘電率が3.5、誘電正接が5×10−3、硬度がデュロメータA 50のシリコーンゴム接着剤を用い、150℃で30分保持し硬化させて、円板状ガーネット部材7とストリップライン部材8とを接着した。
図6に見るように、比較例の非可逆回路素子では通過帯域が狭帯域であるとともに、挿入損損失そのものも劣ることが判る。各試料の1960MHzにおける挿入損失は、実施例で平均0.239dB、標準偏差0.0146、比較例で平均0.289dB、標準偏差0.0198であった。
また板状ガーネット部材の外周縁で、各入出力端子を接着剤で固定し、インピーダンスのずれを永久磁石の磁力の調整などで補正した非可逆回路素子を準備し評価したところ、本実施例の挿入損失と同程度であった。これらのことから本発明に係る非可逆回路素子が少ない工数で作成できるとともに、優れた電気的特性を発揮していることがわかる。
本実施例においては、中心導体部材は一枚の円板状ガーネット部材7と、これにシリコーンゴム接着剤で接着されるストリップライン部材8とで構成される。円板状ガーネット部材は、φ17×0.5mm厚みで、比誘電率εrが11のものを用いた。ストリップライン部材8の上にはLCP(液晶ポリマー)からなる仕切り部材15が配置され、その上には永久磁石4が配置される。実施例1と比べて上側の円板状ガーネット部材7、アース板6、鉄板5を有さない点でも相違する。
前記仕切り部材15は、前記永久磁石4の外周を支持する鍔部を備え、マイクロストリップライン部材8と永久磁石4との間隔tを規定するように、両方に当接して配置される。永久磁石4の上には、厚みが0.8mmのSPCCからなる鉄板3、同様にSPCCからなり厚みが0.2mmの蓋2が配置され、下ケース9上端の折り返し部に蓋2の端部をかしめて内部部材を固定する。この際に、仕切り部材15がストリップライン部材8を押圧するようにした。本実施例の非可逆回路素子も、実施例1と同様に優れた電気的特性が得られた。
2 蓋
3 上鉄板
4 永久磁石
5 下鉄板
6 アース板
7 板状ガーネット部材(フェライト)
8 ストリップライン部材(中心導体)
8a、8b、8c 入出力端子
9 金属ケース
25 端子
Claims (3)
- 金属ケースの内側底面に配置されるアース板と、前記アース板上に配置された板状ガーネット部材と、前記板状ガーネット部材上に配置されるストリップライン部材と、前記ストリップライン部材上に配置される永久磁石を備えた非可逆回路素子であって、
前記ストリップライン部材は、中央部から延出する帯状電極からなる接合部と、前記帯状電極間に形成された分岐線路と、前記板状ガーネット部材の縁部に到るまでに、前記分岐線路と連続する低インピーダンス線路を備え、
前記板状ガーネット部材は、その平面方向の略中央位置でシリコーンゴム接着剤により前記ストリップライン部材と接着してなることを特徴とする非可逆回路素子。 - 前記ストリップライン部材と前記永久磁石との間に更に板状ガーネット部材を備え、これをシリコーンゴム接着剤により前記ストリップライン部材と接着したことを特徴とする請求項1に記載の非可逆回路素子。
- シリコーンゴム接着剤の硬化後の硬度が、80以下(JIS K 6253 デュロメータA)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の非可逆回路素子。
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