JP2007288121A - アクティブマトリクス基板の製造方法、アクティブマトリクス基板、電気光学装置及び電子機器 - Google Patents

アクティブマトリクス基板の製造方法、アクティブマトリクス基板、電気光学装置及び電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】基板の一部をレーザーアニール処理する際にレーザー光の反射が起こりにくいアクティブマトリクス基板の製造方法、アクティブマトリクス基板、電気光学装置及び電子機器を提供すること。
【解決手段】基板10上に、(a)酸化珪素膜41、(b)非晶質珪素膜42A、(c)酸化珪素膜43、(d)非晶質珪素膜44Aを積層する。非晶質珪素膜44Aは、画素領域5にのみ残るようにパターニングする。次に、(e)レーザー光を照射することにより、非晶質珪素膜44Aと、駆動回路領域6に形成された非晶質珪素膜42Aとを結晶化させ、移動度の高い多結晶珪素膜42P,44Pを形成する。画素領域5に形成された非晶質珪素膜42Aは結晶化されずに残る。こうして得られた移動度の異なる非晶質珪素膜42A及び多結晶珪素膜42Pをそれぞれ画素領域5、駆動回路領域6におけるTFTの半導体膜として用いる。
【選択図】図5

Description

本発明は、負荷のスイッチング動作を行う負荷回路と当該負荷の駆動を制御する駆動回路とが同一面上に形成されたアクティブマトリクス基板の製造方法、アクティブマトリクス基板、電気光学装置及び電子機器に関する。
マトリクス状に配置された複数の画素を有する液晶表示装置、有機EL表示装置及びイメージセンサ等の各種電子デバイスにおいては、画素(負荷)のスイッチング動作を行う多数の半導体装置(TFTなど;以下、TFT)を含む画素回路が形成されたアクティブマトリクス基板が用いられるのが一般的である。かかる基板には、画素回路のほか、各画素の駆動を制御する多数のTFTを備えた駆動回路が形成される。
ここで、駆動回路のTFTの半導体膜にキャリア移動度(以下、単に移動度と呼ぶ)の高いものを用いてTFTを高性能化すれば、駆動回路を高速に動作させることができる。一方で、画素回路に含まれるTFTの半導体膜の移動度を高くし過ぎると、当該画素回路に光が照射された場合に生ずるTFTのリーク電流が増大してしまうという問題がある。画素回路のTFTの半導体膜に光が入射すると、半導体膜に電子・正孔対が生成され、TFTにリーク電流が流れるが、このとき半導体膜の移動度が高いとリーク電流が増大してしまうのである。こうした現象は、光が画素領域を透過する構成の透過型液晶表示装置において顕著である。透過型液晶表示装置の画素回路のTFTにおいてリーク電流が増大すると、表示むら等が発生し、表示品位が低下する。
こうした現象を回避するため、駆動回路のTFTの半導体膜のみを、画素回路のTFTの半導体膜に対して高移動度化することが行われている。同一基板上に形成された半導体膜の一部を高移動度化するための技術としては、レーザーアニール装置を用いて、高移動度化したい部位の半導体膜にのみレーザー光を照射して多結晶半導体膜を形成する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。さらに、このように選択的にレーザー光を照射するために、基板表面のうちレーザー光を照射させない部位に金属膜を形成してマスクとする方法が知られている。
特開平5−63172号公報
しかしながら、金属膜でレーザー光をマスクする場合には、金属膜で反射されたレーザー光がレーザーアニール装置のアニールチャンバー内壁に照射されて装置が損傷するという問題点があった。また、金属膜で反射されたレーザー光がレーザーアニール装置のアニールチャンバー内壁に照射された結果、内壁に付着していた不純物がアニールチャンバー内を拡散してアクティブマトリクス基板に付着し、品質の低下につながるという問題点があった。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、基板の一部をレーザーアニール処理する際にレーザー光の反射が起こりにくいアクティブマトリクス基板の製造方法、アクティブマトリクス基板、電気光学装置及び電子機器を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のアクティブマトリクス基板の製造方法は、負荷のスイッチング動作を行う負荷回路と前記負荷の駆動を制御する駆動回路とが同一面上に形成されるアクティブマトリクス基板の製造方法であって、基板上に第1絶縁膜を形成する工程と、前記第1絶縁膜上に第1珪素膜を形成する工程と、前記第1珪素膜上に第2絶縁膜を形成する工程と、前記第2絶縁膜上であって、前記負荷回路が形成される領域のうち前記負荷回路に含まれるスイッチング素子が形成される領域を少なくとも含み、かつ前記駆動回路が形成される領域を含まない領域に第2珪素膜を形成する工程と、前記基板の前記第2珪素膜が形成された側から、前記第2珪素膜及び前記第2珪素膜が形成されていない領域に形成された前記第1珪素膜にレーザー光を照射して結晶化させることにより、多結晶珪素膜を形成する工程とを含むことを特徴とする。
このような製造方法によれば、駆動回路が形成される領域の第1珪素膜は、レーザー光の照射(レーザーアニール)によって、移動度の高い多結晶珪素膜となる。一方、負荷回路が形成される領域の第1珪素膜のうち、スイッチング素子が形成される領域にはレーザー光が到達しないか、又は弱められたレーザー光が到達する。これは、当該領域に積層された第2珪素膜がレーザー光の全部又は一部を吸収するマスクとして機能するからである。これにより、負荷回路のスイッチング素子が形成される領域には、前記多結晶珪素膜より相対的に移動度の低い第1珪素膜が残る。したがって、駆動回路が形成される領域の半導体膜のみを、負荷回路が形成される領域の半導体膜に対して高移動度化することができる。
また、レーザー光のマスクとなる第2珪素膜は金属膜に比べてレーザー光を反射しにくいので、基板にレーザー光を照射して上記多結晶珪素膜を形成する際にレーザー光の反射が起こりにくい。よって、上記製造方法によれば、レーザー光の反射光によるレーザーアニール装置の損傷が起こりにくい。また、このようにレーザー光の反射が起こりにくいことにより、アニールチャンバー内壁に不純物が付着していたとしても当該不純物が拡散しにくく、ひいては当該不純物が基板に付着しにくいので、高品質なアクティブマトリクス基板を製造することができる。
上記アクティブマトリクス基板の製造方法において、前記第2珪素膜を形成する工程は、前記負荷回路が形成される領域の略全体に前記第2珪素膜を形成する工程であることが好ましい。
このような製造方法によれば、負荷回路が形成される領域の略全体が第2珪素膜によってマスクされ、当該領域に形成された第1珪素膜がレーザー光から保護される。負荷回路が形成される領域の略全体に形成された第2珪素膜は、負荷回路の各スイッチング素子の位置に対応して形成された場合の第2珪素膜と比較して、各スイッチング素子の位置におけるマスクとしての機能が安定している。照射するレーザー光のエネルギー密度を高くすると、第2珪素膜の端部がレーザーアニールによって損傷することがある。レーザーアニールを行うと第2珪素膜は一瞬溶融する。その溶融時に第2珪素膜の端部は膜が流れて膜厚が薄くなる。薄膜化した第2珪素膜の端部に繰り返しレーザーアニールを行うと、第2珪素膜がアブレーションによって損傷する。第2珪素膜が損傷すると、レーザー光に対するマスクとしての機能が低下してしまう。その結果、負荷回路の各スイッチング素子の特性にばらつきが生じたり、光リーク電流が増大してしまったりする。このような現象は、第2珪素膜を負荷回路の各スイッチング素子の位置に対応して形成した場合、つまり、第2珪素膜が端部を多く有する小面積の島の集合である場合に発生し易い。本発明のように、第2珪素膜を負荷回路が形成される領域の略全体に形成すれば、上記のような不具合現象が発生するのは負荷回路の最外周部だけになる。負荷回路の最外周部をダミー回路として実際の表示部に使用しなければ、特性ばらつきが少なくて光リーク電流の低いスイッチング素子が得られる。このように、上記製造方法によれば、高品質なアクティブマトリクス基板を製造することができる。
本発明によるアクティブマトリクス基板は、上記アクティブマトリクス基板の製造方法によって製造されたことを特徴とする。このような構成によれば、負荷回路のTFTの半導体膜が、駆動回路のTFTの半導体膜に対して低移動度となるため、光によるリーク電流が生じにくいアクティブマトリクス基板が得られる。
本発明による電気光学装置は、上記アクティブマトリクス基板と、前記アクティブマトリクス基板に対向配置された対向基板と、前記アクティブマトリクス基板と前記対向基板との間に挟持された液晶とを備えることを特徴とする。このような構成の電気光学装置は、光によるリーク電流が生じにくいアクティブマトリクス基板を備えるので、高品位な表示を行うことができる。
本発明による電子機器は、上記電気光学装置を備えることを特徴とする。このような構成の電気光学装置は、上記電気光学装置によって高品位な表示を行うことができる。
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に示す各図においては、各構成要素を図面上で認識され得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法や比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。
(第1の実施形態)
<A.液晶表示装置>
まず、図1から図3を用いて、本発明の「電気光学装置」としての液晶表示装置1について説明する。図1は、液晶表示装置1の平面図であり、図2は、図1中のA−A線で液晶表示装置1を切断して示す断面図である。図3は、液晶表示装置1の画素領域5に形成された画素回路の一部を示す回路図である。ここで、「画素」、「画素回路」はそれぞれ本発明における「負荷」、「負荷回路」に対応し、「画素領域5」は本発明における「負荷回路が形成される領域」に対応する。
図1及び図2に示すように、液晶表示装置1は、素子基板11と対向基板21とがシール材51を介して貼り合わされてなり、素子基板11と対向基板21との間には液晶50が封入されている。液晶50は、液晶注入口53から注入される。液晶注入口53は、液晶50の注入が完了した後、封止材52によって封止される。上記素子基板11は、本発明の「アクティブマトリクス基板」に対応する。
素子基板11の対向基板21に対向する面のうち画素領域5に対応する領域には、画素を構成するTFT305、画素電極37、及びデータ線34、走査線36等が形成されており(図3参照)、対向基板21の素子基板11に対向する面には全面に対向電極(不図示)が形成されている。また、素子基板11には、多数のTFT306(図6(e)参照)を含むデータ線駆動回路61及び走査線駆動回路62が形成されている。データ線駆動回路61は、データ線34に画像信号を供給し、走査線駆動回路62は、走査線36に走査信号を供給する。ここで、上記TFT305は、本発明における「スイッチング素子」に対応する。また、データ線駆動回路61及び走査線駆動回路62は、本発明における「駆動回路」に対応する。データ線駆動回路61及び走査線駆動回路62が形成された領域を、以下では「駆動回路領域6」とも呼ぶ。
ここで、TFT305,306の詳細な構成について、図6(e)の断面図を用いて説明する。この図に示すように、TFT305は、石英からなる基板10上に、酸化珪素膜41、半導体膜としての多結晶珪素膜42Q、熱酸化膜45、酸化珪素膜46、ゲート電極47、酸化珪素膜48がこの順に積層されてなり、多結晶珪素膜42Qにはソース電極31及びドレイン電極33が、またゲート電極47には端子電極32が接続されている。一方、TFT306は、半導体膜として多結晶珪素膜42Pが用いられている点がTFT305と異なる。ここで、多結晶珪素膜42Pは、レーザーアニールにより結晶化した珪素膜であって、TFT305に含まれる多結晶珪素膜42Qより相対的に移動度の高い珪素膜である。
次に、図3を用いて画素回路の概略について説明する。この図に示すように、画素領域5においては、複数の走査線36と複数のデータ線34とが交差するように配線され、走査線36とデータ線34とで区画された領域に画素電極37がマトリクス状に配置されている。そして、走査線36とデータ線34の各交差部分に対応して本発明の「スイッチング素子」としてのTFT305が設けられ、このTFT305に画素電極37が接続されている。
TFT305は、走査線36のオン信号によってオンとなり、このとき、データ線34に供給された画像信号が画素電極37に供給される。また、画素電極37と並列に蓄積容量35が設けられており、これによって画素電極37の電位は画像信号が印加された時間よりも長い時間保持される。蓄積容量35は、容量電極39に接続されている。容量電極39は、蓄積容量35の固定電位側容量電極として機能する。液晶50には、画素電極37と対向電極との間の電圧によって決まる駆動電圧が印加され、液晶50は当該駆動電圧に応じた状態に配向する。液晶表示装置1は、このように液晶50の配向を制御することによって透過光の偏光状態を変化させ、当該透過光を偏光板等の偏光選択手段を用いて選択的に取り出すことによって表示を行う装置である。
上述したように、液晶表示装置1においては、駆動回路領域6に形成されたTFT306の半導体膜は、画素領域5に形成されたTFT305の半導体膜より移動度の高いものが用いられている。このため、データ線駆動回路61及び走査線駆動回路62を高速に動作させることができるとともに、画素領域5に配置されたTFT305の光によるリーク電流を抑えることができる。よって、リーク電流に起因する表示むら等のない、高品位な表示を行うことができる。
<B.素子基板の製造方法>
続いて、図4から図6を用いて、素子基板11の製造方法について説明する。図4は、素子基板11の製造工程を示す工程図である。図5及び図6は、当該製造工程における素子基板11の断面図であって、素子基板11のうち、画素領域5及び駆動回路領域6のそれぞれの一部の断面を拡大して示したものである。これらの図及び以下の説明は、1つの液晶表示装置1に対応する素子基板11に着目したものであるが、実際には、素子基板11は図7に示すような円盤状の石英のウェハ100に、一度に多数個製造される。
図4の工程P101では、石英からなる基板10上に、本発明の「第1絶縁膜」としての酸化珪素膜41を形成する(図5(a))。ここで、基板10は、図7に示す石英のウェハ100の一部である。この工程は、例えば、プラズマ化学気相堆積法(PECVD法)や低圧化学気相堆積法(LPCVD法)、あるいはスパッタリング法等の物理気相堆法により基板10上に酸化珪素膜41を厚さ数100nm程度に形成することによって行われる。
次に、工程P102では、酸化珪素膜41上に、本発明の「第1珪素膜」としての非晶質珪素膜42Aを形成する(図5(b))。この工程は、例えば、プラズマ化学気相堆積法(PECVD法)や低圧化学気相堆積法(LPCVD法)、あるいはスパッタリング法等の物理気相堆積法により酸化珪素膜41上に非晶質珪素膜42Aを厚さ50nm程度に形成することによって行われる。
続く工程P103では、非晶質珪素膜42A上に、本発明の「第2絶縁膜」としての酸化珪素膜43を形成する(図5(c))。この工程は、例えば、プラズマ化学気相堆積法(PECVD法)や低圧化学気相堆積法(LPCVD法)、あるいはスパッタリング法等の物理気相堆積法により非晶質珪素膜42A上に酸化珪素膜43を形成することによって行われる。酸化珪素膜43の膜厚dは、レーザー光の干渉効果を考慮して決定する必要がある。酸化珪素膜43の屈折率をn、後に照射するレーザー光の波長をλとする。酸化珪素膜43での入射光と反射光の干渉効果によって、非晶質珪素膜42Aに入射する光の強度は、酸化珪素膜43の膜厚dがおよそ(2m+1)×λ/4nの時に極大となり、dがおよそ(m+1)×λ/2nの時に極小となる。但しmは0以上の整数であり、m=0,1,2,…である。dを極大条件に設定すれば、非晶質珪素膜42Aは酸化珪素膜43が無い場合に比べて低いレーザーエネルギー密度で結晶化する。dを極小条件に設定すれば、非晶質珪素膜42Aは酸化珪素膜43が無い場合と同等若しくは高いレーザーエネルギー密度で結晶化する。
以上の工程P101から工程P103では、画素領域5及び駆動回路領域6のいずれに対しても同一のプロセスを行い、同一の構成要素を形成する。
次に、工程P104では、酸化珪素膜43上に「第2珪素膜」としての非晶質珪素膜44Aを形成する。この工程は、例えば、プラズマ化学気相堆積法(PECVD法)や低圧化学気相堆積法(LPCVD法)、あるいはスパッタリング法等の物理気相堆積法により酸化珪素膜43上に非晶質珪素膜44Aを厚さ50nm程度に形成することによって行われる。非晶質珪素膜44Aは、後述するレーザー照射に耐えうる強度を確保するために、少なくとも20nm以上の厚さに形成することが好ましい。この後、フォトリソグラフィ法を用いて非晶質珪素膜44Aをエッチング加工し、島状にパターニングする(図5(d))。ここで、非晶質珪素膜44Aを残す領域は、画素領域5(図1参照)の略全体とする。
続く工程P105では、レーザーアニール装置を用いて、基板10の非晶質珪素膜44Aが形成された側からレーザー光を照射する。当該レーザー光は、非晶質珪素膜44Aが形成された領域(すなわち画素領域5)においては非晶質珪素膜44Aに照射され、駆動回路領域6を含む、非晶質珪素膜44Aが形成されていない領域においては酸化珪素膜43を透過して非晶質珪素膜42Aに照射される。
ここで、照射するレーザー光としてはパルスレーザー光が好ましく、具体的には光の波長約248nmのKrFエキシマレーザー光、波長約308nmのXeClエキシマレーザー光、波長約532nmのNd:YAGレーザー光の第二高調波又はNd:YVO4レーザー光の第二高調波、波長約266nmのNd:YAGレーザー光の第四高調波又はNd:YVO4レーザー光の第四高調波等を用い、例えばパルス幅30nsec、エネルギー密度0.1〜1.0J/cm2として照射するとよい。これらの光を非晶質珪素膜42A,44Aに照射すると、溶融・固化し、結晶化して、それぞれ移動度の高い多結晶珪素膜42P,44Pとなる。
ところで、画素領域5に形成された非晶質珪素膜44Aの、波長308nmの光に対する吸収係数は約0.15nm-1であるので、膜厚50nmの非晶質珪素膜44Aを透過する波長308nmの光は、入射光の0.1%にも満たない。したがって、非晶質珪素膜44Aに波長308nmのXeClエキシマレーザー光を照射した場合、ほとんど全ての光は非晶質珪素膜44Aに吸収され、その直下に形成された非晶質珪素膜42Aには入射しない。すなわち、画素領域5における非晶質珪素膜44Aは、レーザー光に対するマスクとして機能する。このため、画素領域5においては、非晶質珪素膜44Aのみが結晶化して多結晶珪素膜44Pとなり、非晶質珪素膜42Aは結晶化されない状態で残る。一方、駆動回路領域6にはマスクとしての非晶質珪素膜44Aが形成されていないので、酸化珪素膜43を透過したレーザー光が非晶質珪素膜42Aに照射される。この結果、駆動回路領域6における非晶質珪素膜42Aは多結晶珪素膜42Pとなる(図5(e))。酸化珪素膜43の膜厚dを前述の極大条件に設定すると、酸化珪素膜43の下の非晶質珪素膜42Aが結晶化しやすくなる。よって、非晶質珪素膜42Aの結晶化条件を最適化すると、マスクとしての非晶質珪素膜44Aは結晶化しにくくなる。つまり、マスクとしての非晶質珪素膜44Aが損傷しにくくなる。レーザー光の波長が308nmの場合、酸化珪素膜43の膜厚dを40nmから60nm程度、又は145nmから165nm程度にすれば、酸化珪素膜43の膜厚dは前記極大条件に近くなるので、マスクとしての非晶質珪素膜44Aが損傷しにくくなる。
また、レーザー光のマスクとなる非晶質珪素膜44Aは金属膜に比べてレーザー光を反射しにくいので、レーザー光の反射光によるレーザーアニール装置の損傷が起こりにくい。また、このようにレーザー光の反射が起こりにくいことにより、アニールチャンバー内壁に不純物が付着していたとしても当該不純物が拡散しにくく、ひいては当該不純物が基板10に付着しにくいので、高品質な素子基板11を製造することができる。
なお、レーザー光に波長532nmのものを用いた場合は以下のようになる。膜厚50nmの非晶質珪素膜44Aに波長532nmの光を照射した場合、非晶質珪素膜44Aの吸収係数は約0.014nm-1なので、非晶質珪素膜44Aを透過する光は入射光の約50%となる。また、膜厚50nmの多結晶珪素膜44Pに照射する場合、多結晶珪素膜44Pの吸収係数は約0.00426nm-1なので、多結晶珪素膜44Pを透過する光は入射光の約81%となる。よって、レーザー光として波長532nmの光を用いた場合、画素領域5における、非晶質珪素膜44A直下の非晶質珪素膜42Aには、駆動回路領域6における非晶質珪素膜42Aに入射するレーザー光に比べて低いエネルギーを持ったレーザー光が入射する。その結果、画素領域5の珪素膜の結晶性は、駆動回路領域6の珪素膜の結晶性に比べて低くなる。レーザー光の波長が532nmの場合、酸化珪素膜43の膜厚dを80nmから100nm程度にすれば、酸化珪素膜43の膜厚dは前記極大条件に近くなるので、マスクとしての非晶質珪素膜44Aが損傷しにくくなる。
次に、工程P106では、多結晶珪素膜44P及び酸化珪素膜43をエッチングして除去する(図5(f))。
続く工程P107では、非晶質珪素膜42A及び多結晶珪素膜42Pをフォトリソグラフィ法を用いてエッチング加工し、島状にパターニング加工する(図6(a))。具体的には、非晶質珪素膜42Aは、画素領域5に形成されるTFT305の形成領域を残してエッチング加工し、多結晶珪素膜42Pは、駆動回路領域6に形成されるTFT306の形成領域を残してエッチング加工する。
次に、工程P108では、熱酸化法を用いて非晶質珪素膜42A及び多結晶珪素膜42Pの表面に熱酸化膜45を形成する(図6(b))。この工程は、基板10を約1000℃の酸素雰囲気中に置くことによって行われる。このとき、非晶質珪素膜42Aは、熱酸化時の熱による固相成長で多結晶珪素膜42Qとなる。熱酸化によって結晶化された多結晶珪素膜42Qは、レーザーアニールによって結晶化された多結晶珪素膜42Pよりは相対的に結晶性が低く、低移動度の珪素膜である。
次に、工程P109では、酸化珪素膜41、多結晶珪素膜42P,42Q、熱酸化膜45を覆って酸化珪素膜46を形成する。この工程は、電子サイクロトロン共鳴PECVD法(ECR−CVD法)、LPCVD法又はPECVD法等を用いて行われる。こうして形成された酸化珪素膜46及び上述した熱酸化膜45は、TFT305,306のゲート絶縁膜として機能する。このゲート絶縁膜は、熱酸化膜45のみ、又は酸化珪素膜46のみから構成されていても良い。
続く工程P110では、酸化珪素膜46上にタンタル又はアルミニウムの金属薄膜をスパッタリング法により形成した後、パターニングすることによって、ゲート電極47を形成する(図6(c))。ゲート電極47形成後のプロセス最高温度が1000℃程度で、ゲート電極47に金属薄膜が使えない場合には、不純物イオンが注入された多結晶珪素膜を用いてゲート電極47を形成してもよい。
次に、工程P111では、ゲート電極47をマスクとして多結晶珪素膜42Qにドナー又はアクセプターとなる不純物イオンを打ち込み、ソース領域42QS、ドレイン領域42QDとチャネル形成領域42QCをゲート電極47に対して自己整合的に作製する。同様に、ゲート電極47をマスクとして多結晶珪素膜42Pにドナー又はアクセプターとなる不純物イオンを打ち込み、ソース領域42PS、ドレイン領域42PDとチャネル形成領域42PCをゲート電極47に対して自己整合的に作製する。イオン打ち込み用のマスクを用いて、LDD(Lightly Doped Drain)構造にしても良い。画素領域5に形成するTFT305にLDD構造を採用すれば、TFT305のオフ電流をより低下させることができる。NMOSトランジスタを作製する場合、例えば、不純物元素としてリン(P)を1×1016cm-2の濃度で多結晶珪素膜42P,42Qに打ち込む。その後、XeClエキシマレーザーを照射エネルギー密度300mJ/cm2から400mJ/cm2程度で照射するか、250℃〜1000℃程度の温度で熱処理することにより不純物原子の活性化を行う。
次に、工程P112では、酸化珪素膜46及びゲート電極47の上面に、層間絶縁膜としての酸化珪素膜48を形成する(図6(d))。酸化珪素膜48は、例えば、PECVD法によって約500nmの膜厚で形成する。
続く工程P113では、ソース電極31、端子電極32、ドレイン電極33を形成する(図6(e))。より詳しくは、まず、ソース領域42QS,42PS及びドレイン領域42QD,42PDに至るコンタクトホールを、酸化珪素膜48,46及び熱酸化膜45に開ける。そして、コンタクトホール内及び酸化珪素膜48上のコンタクトホールの周縁部にソース電極31及びドレイン電極33を形成する。ソース電極31及びドレイン電極33は、例えばスパッタリング法によりアルミニウムを堆積して形成する。同様に、ゲート電極47用の端子電極32を形成する。すなわち、ゲート電極47に至るコンタクトホールを酸化珪素膜48に開けて、ゲート電極47用の端子電極32を形成する。
以上の工程により、画素領域5には多結晶珪素膜42Qを含むTFT305が、また駆動回路領域6には多結晶珪素膜42Pを含むTFT306がそれぞれ形成される。また、画素領域5に画素回路を形成し、駆動回路領域6にデータ線駆動回路61及び走査線駆動回路62を形成して、素子基板11が完成する。これらの回路形成はTFT306の形成前であっても後であってもどちらでもよい。また、この後公知の方法によって対向基板21の貼り合わせ、液晶50の注入、封止剤52による液晶注入口53の封止、ウェハ100のブレイク(分割)等を行うことにより、液晶表示装置1が得られる。
上記のような素子基板11の製造方法によれば、駆動回路領域6に形成されたTFT306の半導体膜(多結晶珪素膜42P)は、画素領域5に形成されたTFT305の半導体膜(多結晶珪素膜42Q)より移動度の高いものとなり、データ線駆動回路61及び走査線駆動回路62を高速に動作させることができるとともに、画素領域5に配置されたTFT305の光によるリーク電流を抑えることができる。よって、リーク電流に起因する表示むら等のない、高品位な表示を行うことができる。また、レーザー光を照射する工程においてマスクとなる非晶質珪素膜44Aはレーザー光を反射しにくいので、上記製造方法によれば、レーザー光の反射光によるレーザーアニール装置の損傷が起こりにくい。また、このようにレーザー光の反射が起こりにくいことにより、アニールチャンバー内壁に不純物が付着していたとしても当該不純物が拡散しにくく、ひいては当該不純物が基板10に付着しにくいので、高品質な素子基板11を製造することができる。
(第2の実施形態)
続いて、図4及び図8を用いて第2の実施形態に係る素子基板11の製造方法について説明する。図8は、素子基板11の製造工程における断面図であって、素子基板11のうち、画素領域5及び駆動回路領域6のそれぞれの一部の断面を拡大して示したものである。本実施形態の製造方法は、第1の実施形態に係る製造工程の一部に変更を加えたものであって、その他は第1の実施形態と同様であるので、以下では相違点を中心に説明する。
以下、図4の工程図を用いて説明する。工程P101では、石英からなる基板10上に酸化珪素膜41を形成する(図8(a))。工程P102では、酸化珪素膜41上に非晶質珪素膜42Aを形成する(図8(b))。工程P103では、非晶質珪素膜42A上に酸化珪素膜43を形成する。工程P104では、酸化珪素膜43上に非晶質珪素膜44Aを形成する(図8(c))。ここまでの工程は、第1の実施形態と同様である。
この後、フォトリソグラフィ法を用いて非晶質珪素膜44Aをエッチング加工し、島状にパターニングする。ここで、非晶質珪素膜44Aを残す領域は、画素領域5(図1参照)の略全体とする。そして、さらに酸化珪素膜43についても同様にして島状にパターニングする。すなわち、酸化珪素膜43を画素領域5の略全体を残して除去し、非晶質珪素膜44Aと同一の形状にパターニングする(図8(d))。本実施形態は、この点において、第1の実施形態と異なる。
続く工程P105では、レーザーアニール装置を用いて、基板10の非晶質珪素膜44Aが形成された側からレーザー光を照射する。当該レーザー光は、非晶質珪素膜44Aが形成された領域(すなわち画素領域5)においては非晶質珪素膜44Aに照射されるとともに、駆動回路領域6を含む、非晶質珪素膜44Aが形成されていない領域においては非晶質珪素膜42Aに照射される。この結果、レーザー光が照射された部位における非晶質珪素膜42A,44Aは溶融・固化し、結晶化して、それぞれ移動度の高い多結晶珪素膜42P,44Pとなる。一方で、非晶質珪素膜44Aが積層された領域に形成された非晶質珪素膜42Aは、非晶質珪素膜44Aがマスクとして機能するため、ほとんどレーザー光の照射を受けない。このため、この領域の非晶質珪素膜42Aは、全く結晶化されないか、一部結晶化されるにとどまる(図8(e))。
ここで、非晶質珪素膜42A上には酸化珪素膜43がないため、非晶質珪素膜42Aにはレーザー光が直接照射される。このため、酸化珪素膜43におけるレーザー光の干渉効果が無いので、酸化珪素膜43がある場合と比較して、非晶質珪素膜42Aの結晶化を制御しやすくなる。
次に、工程P106では、多結晶珪素膜44P及び酸化珪素膜43をエッチングして除去する(図8(f))。例えば、酸化珪素膜43をウェットエッチングで除去し、多結晶珪素膜44Pをリフトオフ法によって除去する。以下、工程P107から工程P113については第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
このような素子基板11の製造方法によっても、駆動回路領域6に形成されたTFT306の半導体膜(多結晶珪素膜42P)を、画素領域5に形成されたTFT305の半導体膜(多結晶珪素膜42Q)より移動度の高いものとすることができる。さらに、TFT306の半導体膜は、酸化珪素膜43を通さず直接レーザー光を照射して結晶化させたものであるので、より高品位な半導体膜とすることができる。これにより、データ線駆動回路61及び走査線駆動回路62を高速に動作させることができるとともに、画素領域5に配置されたTFT305の光によるリーク電流を抑えることができる。
(第3の実施形態)
続いて、図9及び図10を用いて第3の実施形態に係る素子基板11の製造方法について説明する。図9は、素子基板11の製造工程を示す工程図であり、図10は、当該製造工程における素子基板11の断面図であって、素子基板11のうち、画素領域5及び駆動回路領域6のそれぞれの一部の断面を拡大して示したものである。
図9の工程P201では、石英からなる基板10上に酸化珪素膜41を形成する。工程P202では、酸化珪素膜41上に非晶質珪素膜42Aを形成する。工程P203では、非晶質珪素膜42A上に酸化珪素膜43を形成する。工程P204では、酸化珪素膜43上に非晶質珪素膜44Aを形成する。この後、フォトリソグラフィ法を用いて非晶質珪素膜44Aをエッチング加工し、島状にパターニングする(図10(a))。ここで、非晶質珪素膜44Aを残す領域は、画素領域5(図1参照)の略全体とする。
続く工程P205では、レーザーアニール装置を用いて、基板10の非晶質珪素膜44Aが形成された側からレーザー光を照射する。当該レーザー光は、非晶質珪素膜44Aが形成された領域(すなわち画素領域5)においては非晶質珪素膜44Aに照射され、駆動回路領域6を含む、非晶質珪素膜44Aが形成されていない領域においては酸化珪素膜43を透過して非晶質珪素膜42Aに照射される。この結果、レーザー光が照射された部位における非晶質珪素膜42A,44Aは溶融・固化し、結晶化して、それぞれ移動度の高い多結晶珪素膜42P,44Pとなる。一方で、非晶質珪素膜44Aが積層された領域に形成された非晶質珪素膜42Aは、非晶質珪素膜44Aがマスクとして機能するため、ほとんどレーザー光の照射を受けない。このため、この領域の非晶質珪素膜42Aは、全く結晶化されないか、一部結晶化されるにとどまる(図10(b))。ここまでの工程は、第1及び第2の実施形態と同様である。
次に、工程P206では、多結晶珪素膜44Pをエッチングして除去する(図10(c))。このとき、酸化珪素膜43を除去しない点が第1及び第2の実施形態と異なる。
続く工程P207では、非晶質珪素膜42A、多結晶珪素膜42P、及び酸化珪素膜43をフォトリソグラフィ法を用いてエッチング加工し、島状にパターニングする(図10(d))。具体的には、非晶質珪素膜42Aは、画素領域5に形成されるTFT305の形成領域を残してエッチング加工し、多結晶珪素膜42Pは、駆動回路領域6に形成されるTFT306の形成領域を残してエッチング加工する。酸化珪素膜43も、非晶質珪素膜42A、多結晶珪素膜42Pと同一の形状にパターニングする。
次に、工程P208では、熱酸化法を用いて非晶質珪素膜42A及び多結晶珪素膜42Pの表面に熱酸化膜45を形成する(図10(e))。この工程は、基板10を約1000℃の酸素雰囲気中に置くことによって行われる。このとき、非晶質珪素膜42A、多結晶珪素膜42Pと酸化珪素膜43との境界領域に熱酸化膜45が形成される。また、酸化珪素膜43は、熱酸化時に焼き締められて膜質が良くなる。こうして形成された熱酸化膜45は、酸化珪素膜43とともにTFT305,306のゲート絶縁膜として機能する。
また、非晶質珪素膜42Aは、熱酸化時の熱による固相成長で多結晶珪素膜42Qとなる。熱酸化によって結晶化された多結晶珪素膜42Qは、レーザーアニールによって結晶化された多結晶珪素膜42Pよりは相対的に結晶性が低く、低移動度の珪素膜である。
この後、本実施形態では新たな酸化珪素膜の形成を行わず、工程P210に進む。工程P210では、酸化珪素膜43上にタンタル又はアルミニウムの金属薄膜をスパッタリング法により形成した後、パターニングすることによって、ゲート電極47を形成する(図10(f))。金属薄膜の代わりに不純物イオンが注入された多結晶珪素膜を用いても良い。
次に、工程P211では、ゲート電極47をマスクとして多結晶珪素膜42Qにドナー又はアクセプターとなる不純物イオンを打ち込み、ソース領域42QS、ドレイン領域42QDとチャネル形成領域42QCをゲート電極47に対して自己整合的に作製する。同様に、ゲート電極47をマスクとして多結晶珪素膜42Pにドナー又はアクセプターとなる不純物イオンを打ち込み、ソース領域42PS、ドレイン領域42PDとチャネル形成領域42PCをゲート電極47に対して自己整合的に作製する。前述したようにLDD構造を採用しても良い。
次に、工程P212では、酸化珪素膜43及びゲート電極47の上面に、層間絶縁膜としての酸化珪素膜48を形成する(図10(g))。
続く工程P213では、ソース電極31、端子電極32、ドレイン電極33を形成する(図10(h))。より詳しくは、まず、ソース領域42QS,42PS及びドレイン領域42QD,42PDに至るコンタクトホールを、酸化珪素膜48,43及び熱酸化膜45に開ける。そして、コンタクトホール内及び酸化珪素膜48上のコンタクトホールの周縁部にソース電極31及びドレイン電極33を形成する。ソース電極31及びドレイン電極33は、例えばスパッタリング法によりアルミニウムを堆積して形成する。同様に、ゲート電極47用の端子電極32を形成する。すなわち、ゲート電極47に至るコンタクトホールを酸化珪素膜48に開けて、ゲート電極47用の端子電極32を形成する。
以上の工程により、画素領域5には多結晶珪素膜42Qを含むTFT305が、また駆動回路領域6には多結晶珪素膜42Pを含むTFT306がそれぞれ形成される。また、画素領域5に画素回路を形成し、駆動回路領域6にデータ線駆動回路61及び走査線駆動回路62を形成して、素子基板11が完成する。これらの回路形成はTFT306の形成前であっても後であってもどちらでもよい。また、この後公知の方法によって対向基板21の貼り合わせ、液晶50の注入、封止剤52による液晶注入口53の封止、ウェハ100のブレイク(分割)等を行うことにより、液晶表示装置1が得られる。
以上の製造方法によれば、工程P203で形成した酸化珪素膜43を除去せずにゲート絶縁膜として利用することにより、第1の実施形態と比較して酸化珪素膜の形成工程を1つ省略することができる。
このような素子基板11の製造方法によっても、駆動回路領域6に形成されたTFT306の半導体膜(多結晶珪素膜42P)は、画素領域5に形成されたTFT305の半導体膜(多結晶珪素膜42Q)より移動度の高いものとなるので、データ線駆動回路61及び走査線駆動回路62を高速に動作させることができるとともに、画素領域5に配置されたTFT305の光によるリーク電流を抑えることができる。よって、リーク電流に起因する表示むら等のない、高品位な表示を行うことができる。また、レーザー光を照射する工程においてマスクとなる非晶質珪素膜44Aはレーザー光を反射しにくいので、上記製造方法によれば、レーザー光の反射光によるレーザーアニール装置の損傷が起こりにくい。また、このようにレーザー光の反射が起こりにくいことにより、アニールチャンバー内壁に不純物が付着していたとしても当該不純物が拡散しにくく、ひいては当該不純物が基板10に付着しにくいので、高品質な素子基板11を製造することができる。
(電子機器)
上述した液晶表示装置1は、例えば、図11に示すような「電子機器」としてのプロジェクタ200に搭載して用いることができる。プロジェクタ200は、本体201、レンズ202を有している。プロジェクタ200は、内蔵された光源(不図示)から光を射出し、これを内部に備え付けられた液晶表示装置1によって変調した後にレンズ202から前方に投写する装置である。ここで、液晶表示装置1は、画素領域5と駆動回路領域6とで半導体膜の移動度を異ならせてあるため、光源からの光によるリーク電流が生じにくく、表示むら等が生じにくい。よって、このようなプロジェクタ200は、高品位な表示を行うことができる。
本発明による液晶表示装置1は、プロジェクタ200の他にも様々な電子機器に搭載可能であり、例えば、リアプロジェクタ、携帯電話機、パーソナルコンピュータ、PDA、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、時計等、表示部を備えた各種電子機器に適用することができる。こうした電子機器も、リーク電流に起因する表示むら等のない、高品位な表示を行うことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。変形例としては、例えば以下のようなものが考えられる。
(変形例1)
上記実施形態の構成に代えて、図12の断面図に示すように、基板10と半導体膜(多結晶珪素膜42P,42Q)との間、より具体的には基板10と酸化珪素膜41との間に遮光膜49を有する構成としてもよい。遮光膜49は、平面的には多結晶珪素膜42P,42Qと重なる領域に配置し、好ましくは多結晶珪素膜42P,42Qよりも広い領域に配置する。これにより、基板10側から多結晶珪素膜42P,42Qに入射する光を遮ることができ、TFT305,306の光によるリーク電流の発生をより効果的に抑えることができる。遮光膜49の材料としては、例えば、スパッタリング等の方法により形成された、Ti、Cr、W、Ta、Mo及びPd等を含む金属膜、或いは金属シリサイド等の金属合金膜を用いることができる。遮光膜49の厚さは特に限定されないが、例えば100nm〜500nm程度とする。遮光膜49は、上記金属膜又は金属合金膜を基板10上に成膜した後に、フォトリソグラフィ法を用いてエッチング加工し、島状の形状にパターニングすることによって得られる。
(変形例2)
上記各実施形態は、レーザー光に対するマスクとしての非晶質珪素膜44Aを画素領域5の略全体に形成するものであるが、これに代えて、図13に示すように画素領域5のうちTFT305が形成される領域にのみ選択的に非晶質珪素膜44Aを形成してもよい。ここで、図13(a)は、基板10上のうち非晶質珪素膜44Aを形成すべき画素領域5の位置を示した平面図であり、図13(b)は、図13(a)中の領域Bを拡大して示した平面図である。図13(b)に示すように、本変形例においては、画素領域5のうち、各画素におけるTFT305の形成領域に重なる領域にのみ非晶質珪素膜44Aを形成する。こうした構成の非晶質珪素膜44Aによっても、レーザー光照射工程においてTFT305が形成されるべき領域に配置された非晶質珪素膜42Aをマスクすることができる。この変形例2を第2の実施形態に適用すると、多結晶珪素膜44Pのリフトオフを行いやすくなるという効果がある。
(変形例3)
第1及び第2の実施形態の工程P102、又は第3の実施形態の工程P202においては、非晶質珪素膜42Aを形成した後に、必要に応じてこの非晶質珪素膜42Aを結晶化させてもよい。非晶質珪素膜42Aを結晶化させることによって、素子基板11の電気特性を向上させることができる。結晶化の方法としては、固相成長法が挙げられる。固相成長法は、窒素などの不活性ガス雰囲気中で500℃〜700℃程度の温度で数時間のアニールを行う方法であり、非晶質珪素膜42Aは固相のまま結晶化される。固相成長法によって、非晶質珪素膜42Aは結晶粒径の大きい多結晶珪素膜となる。こうして形成された多結晶珪素膜も、後にレーザーアニールによって形成される駆動回路領域6における多結晶珪素膜42Pよりは相対的に移動度の低いものとなるので、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。熱酸化や600℃を超えるようなアニール工程を行わない場合には、この変形例3を適用して非晶質珪素膜42Aを結晶化させる必要がある。
第1の実施形態の液晶表示装置の平面図。 図1に示す液晶表示装置の断面図。 図1に示す液晶表示装置における画素回路の各種素子、配線等の等価回路図。 第1の実施形態の素子基板の製造工程を示す図。 (a)から(f)は、第1の実施形態の素子基板の製造工程における素子基板の断面図。 (a)から(e)は、第1の実施形態の素子基板の製造工程における素子基板の断面図。 素子基板の製造に用いるウェハの斜視図。 (a)から(f)は、第2の実施形態の素子基板の製造工程における素子基板の断面図。 第3の実施形態の素子基板の製造工程を示す図。 (a)から(h)は、第3の実施形態の素子基板の製造工程における素子基板の断面図。 電子機器としてのプロジェクタの斜視図。 本発明の実施形態の変形例に係る素子基板の断面図。 (a),(b)は、本発明の実施形態の変形例に係る素子基板における非晶質珪素膜の配置位置を説明するための平面図。
符号の説明
1…電気光学装置としての液晶表示装置、5…画素領域、6…駆動回路領域、10…基板、11…アクティブマトリクス基板としての素子基板、21…対向基板、31…ソース電極、32…端子電極、33…ドレイン電極、34…データ線、35…蓄積容量、36…走査線、37…画素電極、41…第1絶縁膜としての酸化珪素膜、42A…第1珪素膜としての非晶質珪素膜、42P…多結晶珪素膜、42Q…多結晶珪素膜、43…第2絶縁膜としての酸化珪素膜、44A…第2珪素膜としての非晶質珪素膜、44P…多結晶珪素膜、45…熱酸化膜、46,48…酸化珪素膜、47…ゲート電極、49…遮光膜、50…液晶、61…データ線駆動回路、62…走査線駆動回路、100…ウェハ、200…電子機器としてのプロジェクタ、305,306…スイッチング素子としてのTFT。

Claims (5)

  1. 負荷のスイッチング動作を行う負荷回路と前記負荷の駆動を制御する駆動回路とが同一面上に形成されるアクティブマトリクス基板の製造方法であって、
    基板上に第1絶縁膜を形成する工程と、
    前記第1絶縁膜上に第1珪素膜を形成する工程と、
    前記第1珪素膜上に第2絶縁膜を形成する工程と、
    前記第2絶縁膜上であって、前記負荷回路が形成される領域のうち前記負荷回路に含まれるスイッチング素子が形成される領域を少なくとも含み、かつ前記駆動回路が形成される領域を含まない領域に第2珪素膜を形成する工程と、
    前記基板の前記第2珪素膜が形成された側から、前記第2珪素膜及び前記第2珪素膜が形成されていない領域に形成された前記第1珪素膜にレーザー光を照射して結晶化させることにより、多結晶珪素膜を形成する工程とを含むことを特徴とするアクティブマトリクス基板の製造方法。
  2. 請求項1に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法であって、
    前記第2珪素膜を形成する工程は、前記負荷回路が形成される領域の略全体に前記第2珪素膜を形成する工程であることを特徴とするアクティブマトリクス基板の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法によって製造されたことを特徴とするアクティブマトリクス基板。
  4. 請求項3に記載のアクティブマトリクス基板と、
    前記アクティブマトリクス基板に対向配置された対向基板と、
    前記アクティブマトリクス基板と前記対向基板との間に挟持された液晶とを備えることを特徴とする電気光学装置。
  5. 請求項4に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
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