JP4397582B2 - 半導体装置の作製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はレーザ光の照射方法およびそれを行うためのレーザ照射装置(レーザ発振装置と出力されるレーザ光を被照射体まで導く光学系を含む装置)に関する。また、レーザ光の照射により半導体膜の結晶化、活性化、または加熱等を工程に含む半導体装置の作製方法に関する。なお、ここでいう半導体装置には、液晶表示装置や発光装置等の電気光学装置及び該電気光学装置を部品として含む電子装置も含まれるものとする。
【0002】
【従来の技術】
近年、ガラス等の絶縁基板上に形成された非晶質半導体膜を結晶化させ、結晶構造を有する半導体膜(以下、結晶性半導体膜という)を形成する技術が広く研究されている。結晶化法としては、ファーネスアニール炉を用いた熱アニール法や、瞬間熱アニール法(RTA法)、又はレーザアニール法などが検討されている。結晶化に際してはこれらの方法のうち、いずれか一つまたは複数を組み合わせて行うことも可能である。
【0003】
結晶性半導体膜は、非晶質半導体膜と比較して非常に高い移動度を有する。このため、この結晶性半導体膜を用いて薄膜トランジスタ(以下、TFTと記す)を形成し、例えば、1枚のガラス基板上に、画素部用、または、画素部用と駆動回路用のTFTを形成したアクティブマトリクス型の液晶表示装置等に利用されている。
【0004】
通常、ファーネスアニール炉で非晶質半導体膜を結晶化させるには、600℃以上で10時間以上の熱処理を必要としている。この結晶化に適用できる基板材料は石英であるが、石英基板は高価で、特に大面積に加工するのは非常に困難である。生産効率を上げる手段の1つとして基板を大面積化することが挙げられるが、安価で大面積基板に加工が容易なガラス基板上に半導体膜を形成する研究がなされる理由はこの点にある。近年においては一辺が1mを越えるサイズのガラス基板の使用も考慮されるようになっている。
【0005】
その一例として、金属元素を用いる熱結晶化法は、従来問題とされていた結晶化温度を低温化することを可能としている(例えば、特許文献1参照。)。その方法は、非晶質半導体膜にニッケルまたは、パラジウム、または鉛等の元素を微量に添加し、その後550℃にて4時間の熱処理で結晶性半導体膜の形成を可能にしている。550℃であれば、ガラス基板の歪み点温度以下であるため、変形等の心配のない温度である。
【0006】
一方、レーザアニール法は、基板の温度をあまり上昇させずに、半導体膜にのみ高いエネルギーを与えることが出来るため、歪み点温度の低いガラス基板には勿論、プラスチック基板等にも用いることが出来る点で注目されている技術である。
【0007】
レーザアニール法の一例は、エキシマレーザに代表されるパルスレーザ光を、照射面において、数cm角の四角いスポットや、長さ100mm以上の線状となるように光学系にて成形し、レーザ光の照射位置を被照射体に対し相対的に移動させて、アニールを行う方法である。なお、ここでいう「線状」は、厳密な意味で「線」を意味しているのではなく、アスペクト比の大きい長方形(もしくは長楕円形もしくはそれに近似できる形状)を意味する。例えば、アスペクト比が2以上(好ましくは10〜10000)のもの指すが、照射面における形状が矩形状であるレーザ光(矩形状ビーム)に含まれることに変わりはない。なお、線状とするのは被照射体に対して十分なアニールを行うためのエネルギー密度を確保するためであり、矩形状や面状であっても被照射体に対して十分なアニールを行えるのであれば構わない。
【0008】
このようにして作製される結晶性半導体膜は、複数の結晶粒が集合して形成されており、その結晶粒の位置と大きさはランダムなものである。ガラス基板上に作製されるTFTは素子分離のために、結晶性半導体を島状のパターニングに分離して形成している。その場合において、結晶粒の位置や大きさを指定して形成する事はできなかった。結晶粒内と比較して、結晶粒の界面(結晶粒界)は非晶質構造や結晶欠陥などに起因する再結合中心や捕獲中心が無数に存在している。この捕獲中心にキャリアがトラップされると、結晶粒界のポテンシャルが上昇し、キャリアに対して障壁となるため、キャリアの電流輸送特性を低下することが知られている。チャネル形成領域の半導体膜の結晶性は、TFTの特性に重大な影響を及ぼすが、結晶粒界の影響を排除して単結晶の半導体膜でチャネル形成領域を形成することはほとんど不可能であった。
【0009】
最近、連続発振(CW)レーザを一方向に走査させながら半導体膜に照射することで、走査方向に繋がって結晶成長し、その方向に長く延びた単結晶の粒を無数に形成する技術が報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0010】
この方法を用いれば、少なくともTFTのチャネル方向には結晶粒界のほとんどないものが形成できると考えられている。
【0011】
【特許文献1】
特開平7-183540号公報
【非特許文献1】
ハラ、外5名,“Ultra-high Performance Poly-Si TFTs on a Glass by a Stable Scanning CW Laser Lateral Crystallization”,エーエムエルシーディー‘01(AMLCD '01),2001,p.227-230.
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本方法においては、半導体膜に十分に吸収される波長域のCWレーザを使う都合上、出力が10W程度と非常に小さいレーザしか適用できないため、生産性の面でエキシマレーザを使う技術と比較し劣っている。なお、本方法に適当なCWレーザは、出力が高く、波長が可視光線のもの以下で、出力の安定性の著しく高いものであり、例えば、YVO4レーザの第2高調波や、YAGレーザの第2高調波、YLFレーザの第2高調波、YAlO3レーザの第2高調波、Arレーザなどが当てはまる。しかしながら、先に列挙した諸レーザを、半導体膜の結晶化に適用すると、出力不足を補うためにビームのスポットサイズを著しく小さくする必要があるなど、生産性やレーザアニールの均一性などの点に問題がある。本発明は、このような欠点を克服することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
CWレーザによる半導体膜の結晶化工程においては、少しでも生産性を上げるためにレーザビームを照射面において細長い形状に加工し、細長い形状のレーザビーム(以下線状ビームと称する。)の長手方向に垂直な方向に走査させ、半導体膜を結晶化させることが盛んに行われている。
【0014】
細長い形状のレーザビームの形状は、レーザ発振器から射出されるレーザビームの形状に大きく影響される。例えば、固体レーザにおいて使用されるロッドの形状が丸い場合は、射出されるレーザビームの形状も丸状であり、それを引き伸ばすと楕円状のレーザビームとなる、あるいは、固体レーザにおいて使用されるロッドがスラブ状のものであれば、射出されるレーザビームの形状は矩形状であり、それを引き伸ばすと矩形状のレーザビームとなる。但し、スラブレーザの場合、ビームの長径方向と短径方向とで拡がり角が異なるため、レーザ発振器からの距離によりビームの形状が大きく異なることに注意する必要がある。本発明は、それらのビームを総称して線状ビームと呼ぶ。また、本発明において線状ビームとは、短手方向の長さに対して、長手方向の長さが10倍以上のものを指していう。また、本発明において、線状ビームの最大エネルギー密度を1としたとき、e-2以上のエネルギーを持つ範囲を線状ビームと定義する。また、本明細書中においては、該線状ビームの長さを長径、幅を短径と表現することとする。
【0015】
本発明では、出力の小さいレーザを複数用いそれぞれのレーザビームを線状ビームに成形したのち、それらのレーザビームを合成することでより長い線状ビームを成形することで、生産性やレーザアニールの均一性を向上させる。また本発明は合成の程度を数値化し、よりレーザアニールの均一性の高いレーザ照射装置および照射方法、並びに半導体装置の作製方法を提供する。以下に本発明を列挙する。
【0016】
本発明で開示するレーザ照射方法に関する構成は、複数のレーザ発振器から射出される複数のレーザビームの形状が丸状である場合において、複数のレーザビームを引き伸ばして長径のe-2幅がa、短径のe-2幅がbの線状ビームに加工し、互いの前記長径方向の端部を重ね、より長い線状ビームを成形する際、複数のレーザビームのうち互いに重なるレーザビームの中心座標をそれぞれ(x、y)、(x'、y')としたとき、長径とx軸を平行に座標を張り、前記短径とy軸を平行に座標を張ると、
((x−x')/a)2 + ((y−y')/b)2<(R) 2
を満たすレーザ照射方法であることを特徴とする。上記、Rは、0.72好ましくは0.63である。上記不等式の範囲外であると、隣り合う(重なる)線状ビームの間に、細長い単結晶の粒が形成されない領域が出来るので、特性の高い半導体膜の領域が連続的につながらず、ビームを1つにする意味が希薄になる。
【0017】
本発明で開示するレーザ照射方法に関する発明の他の構成は、複数のレーザ発振器から射出される複数のレーザビームの形状が矩形状である場合において、複数のレーザビームを引き伸ばして長径のe-2幅がa、短径のe-2幅がbの線状ビームに加工し、互いの前記長径方向の端部を重ね、より長い線状ビームを成形する際、複数のレーザビームのうち互いに重なるレーザビームの中心座標をそれぞれ(x、y)、(x'、y')としたとき、長径とx軸を平行に座標を張り、前記短径とy軸を平行に座標を張ると、
|y−y'|/b<R、かつ、|x−x'|<a
を満たすレーザ照射方法であることを特徴とする。上記、Rは、0.72好ましくは0.63である。上記不等式は、短径方向にはガウシアン状のエネルギー分布を示し、長径方向にはエネルギー分布の均一な線状ビームに適用できる。上記不等式の範囲外であると、隣り合う(重なる)線状ビームの間に、細長い単結晶の粒が形成されない領域が出来るので、特性の高い半導体膜の領域が連続的につながらず、ビームを1つにする意味が希薄になる。
【0018】
本発明で開示するレーザ照射方法に関する発明の他の構成は、複数のレーザ発振器から射出される複数のレーザビームの形状が矩形状である場合において、複数のレーザビームを引き伸ばして長径のe-2幅がa、短径のe-2幅がbの線状ビームに加工し、互いの前記長径方向の端部を重ね、より長い線状ビームを成形する際、複数のレーザビームのうち互いに重なるレーザビームの中心座標をそれぞれ(x、y)、(x'、y')としたとき、長径とx軸を平行に座標を張り、前記短径とy軸を平行に座標を張ると、
|x−x'|/a<R、かつ、|y−y'|<b
を満たすレーザ照射方法であることを特徴とする。上記、Rは、0.72好ましくは0.63である。上記不等式は、長径方向にはガウシアン状のエネルギー分布を示し、短径方向にはエネルギー分布の均一な線状ビームに適用できる。上記不等式の範囲外であると、隣り合う(重なる)線状ビームの間に、細長い単結晶の粒が形成されない領域が出来るので、特性の高い半導体膜の領域が連続的につながらず、ビームを1つにする意味が希薄になる。
【0019】
本発明で開示するレーザ照射方法に関する発明の他の構成は、複数のレーザ発振器から射出される複数のレーザビームの形状が矩形状である場合において、複数のレーザビームを引き伸ばして長径のe-2幅がa、短径のe-2幅がbの線状ビームに加工し、互いの前記長径方向の端部を重ね、より長い線状ビームを成形する際、複数のレーザビームのうち互いに重なるレーザビームの中心座標をそれぞれ(x、y)、(x'、y')としたとき、長径とx軸を平行に座標を張り、前記短径とy軸を平行に座標を張ると、
|x−x'|/a<R、かつ、|y−y'|/b<R
を満たすレーザ照射方法であることを特徴とする。上記、Rは、0.72好ましくは0.63である。上記不等式は、短径方向にはガウシアン状のエネルギー分布を示し、長径方向にもガウシアン状のエネルギー分布を示す線状ビームに適用できる。上記不等式の範囲外であると、隣り合う(重なる)線状ビームの間に、細長い単結晶の粒が形成されない領域が出来るので、特性の高い半導体膜の領域が連続的につながらず、ビームを1つにする意味が希薄になる。
【0020】
本発明で開示するレーザ照射方法に関する発明の他の構成は、複数のレーザ発振器から射出される複数のレーザビームの形状が丸状と矩形状である場合において、複数のレーザビームを引き伸ばして長径のe-2幅がa、短径のe-2幅がbの線状ビームに加工し、互いの前記長径方向の端部を重ね、より長い線状ビームを成形する際、複数のレーザビームのうち互いに重なるレーザビームの中心座標をそれぞれ(x、y)、(x'、y')としたとき、長径とx軸を平行に座標を張り、前記短径とy軸を平行に座標を張ると、
((x−x')/a)2 + ((y−y')/b)2<(R) 2
を満たすレーザ照射方法であることを特徴とする。上記、Rは、0.72好ましくは0.63である。上記不等式の範囲外であると、隣り合う(重なる)線状ビームの間に、細長い単結晶の粒が形成されない領域が出来るので、特性の高い半導体膜の領域が連続的につながらず、ビームを1つにする意味が希薄になる。
【0021】
上記発明において、
0.52<|x−x'|/a
を満たすと線状ビームをより長くできるので生産性が上がり好ましい。
【0022】
上記発明において、
b<[50μm]
を満たすと線状ビームをより長くできるので生産性が上がり好ましい。
【0023】
上記発明の構成において、レーザは、連続発振の気体レーザ、固体レーザまたは金属レーザであることを特徴としている。気体レーザとして、Arレーザ、Krレーザ、CO2レーザ等があり、固体レーザとして、YAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、Y2O3レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、Ti:サファイヤレーザ等があり、金属レーザとしてはヘリウムカドミウムレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザ等が挙げられる。エキシマレーザは通常パルス発振ではあるが、連続発振も原理的に可能という説もある。もしそのようなものが出来れば、本発明に連続発振のエキシマレーザを適用できる。
【0024】
また、上記発明の構成において、レーザビームは非線形光学素子により高調波に変換されていることを特徴とする。非線形光学素子に使われる結晶は、例えばLBOやBBOやKDP、KTPやKB5、CLBOと呼ばれるものを使うと変換効率の点で優れている。これらの非線形光学素子をレーザの共振器の中に入れることで、変換効率を大幅に上げることができる。
【0025】
また、上記発明の構成において、レーザビームはTEM00で発振されると、得られる長いビームのエネルギー均一性を上げることができるので好ましい。
【0026】
本発明で開示するレーザ照射装置に関する発明の構成は、複数のレーザ発振器と、該複数のレーザ発振器から射出され、かつ、スポットの形状が丸状である複数のレーザビームを引き伸ばす手段と、引き伸ばされた複数のレーザビームを互いの前記長径方向の端部を重ね、照射面またはその近傍において線状ビームを形成する手段と、を有するレーザ照射装置であって、引き伸ばされた複数のレーザビームのそれぞれの照射面における長径のe-2幅をa、短径のe-2幅をbとし、長径とx軸を平行に座標を取り、前記短径とy軸を平行に座標を取ると、引き伸ばされた複数のレーザビームのうち互いに重なるレーザビームの中心座標をそれぞれ(x、y)、(x'、y')とすると、
((x−x')/a)2 + ((y−y')/b)2<R2
を満たすことを特徴とするレーザ照射装置である。上記、Rは、0.72好ましくは0.63である。上記不等式の範囲外であると、隣り合う(重なる)線状ビームの間に、細長い単結晶の粒が形成されない領域が出来るので、特性の高い半導体膜の領域が連続的につながらず、ビームを1つにする意味が希薄になる。
【0027】
本発明で開示するレーザ照射装置に関する発明の他の構成は、複数のレーザ発振器と、該複数のレーザ発振器から射出され、かつ、スポットの形状が矩形状である複数のレーザビームを引き伸ばす手段と、引き伸ばされた複数のレーザビームを互いの前記長径方向の端部を重ね、照射面またはその近傍において線状ビームを形成する手段と、を有するレーザ照射装置であって、引き伸ばされた複数のレーザビームのそれぞれの照射面における長径のe-2幅をa、短径のe-2幅をbとし、長径とx軸を平行に座標を取り、前記短径とy軸を平行に座標を取ると、引き伸ばされた複数のレーザビームのうち互いに重なるレーザビームの中心座標をそれぞれ(x、y)、(x'、y')とすると、
|y−y'|/b<R、かつ、|x−x'|<a
を満たすことを特徴とするレーザ照射装置である。上記、Rは、0.72好ましくは0.63である。上記不等式の範囲外であると、隣り合う(重なる)線状ビームの間に、細長い単結晶の粒が形成されない領域が出来るので、特性の高い半導体膜の領域が連続的につながらず、ビームを1つにする意味が希薄になる。
【0028】
本発明で開示するレーザ照射装置に関する発明の他の構成は、複数のレーザ発振器と、該複数のレーザ発振器から射出され、かつ、スポットの形状が矩形状である複数のレーザビームを引き伸ばす手段と、引き伸ばされた複数のレーザビームを互いの前記長径方向の端部を重ね、照射面またはその近傍において線状ビームを形成する手段と、を有するレーザ照射装置であって、引き伸ばされた複数のレーザビームのそれぞれの照射面における長径のe-2幅をa、短径のe-2幅をbとし、長径とx軸を平行に座標を取り、前記短径とy軸を平行に座標を取ると、引き伸ばされた複数のレーザビームのうち互いに重なるレーザビームの中心座標をそれぞれ(x、y)、(x'、y')とすると、
|x−x'|/a<R、かつ、|y−y'|<b
を満たすことを特徴とするレーザ照射装置である。上記、Rは、0.72好ましくは0.63である。上記不等式の範囲外であると、隣り合う(重なる)線状ビームの間に、細長い単結晶の粒が形成されない領域が出来るので、特性の高い半導体膜の領域が連続的につながらず、ビームを1つにする意味が希薄になる。
【0029】
本発明で開示するレーザ照射装置に関する発明の他の構成は、複数のレーザ発振器と、該複数のレーザ発振器から射出され、かつ、スポットの形状が矩形状である複数のレーザビームを引き伸ばす手段と、引き伸ばされた複数のレーザビームを互いの前記長径方向の端部を重ね、照射面またはその近傍において線状ビームを形成する手段と、を有するレーザ照射装置であって、引き伸ばされた複数のレーザビームのそれぞれの照射面における長径のe-2幅をa、短径のe-2幅をbとし、長径とx軸を平行に座標を取り、前記短径とy軸を平行に座標を取ると、引き伸ばされた複数のレーザビームのうち互いに重なるレーザビームの中心座標をそれぞれ(x、y)、(x'、y')とすると、
|x−x'|/a<R、かつ、|y−y'|/b<R
を満たすことを特徴とするレーザ照射装置である。上記、Rは、0.72好ましくは0.63である。上記不等式の範囲外であると、隣り合う(重なる)線状ビームの間に、細長い単結晶の粒が形成されない領域が出来るので、特性の高い半導体膜の領域が連続的につながらず、ビームを1つにする意味が希薄になる。
【0030】
本発明で開示するレーザ照射装置に関する発明の他の構成は、複数のレーザ発振器と、該複数のレーザ発振器から射出され、かつ、進行方向に対する垂直な断面における形状が丸状および矩形状である複数のレーザビームを引き伸ばす手段と、引き伸ばされた複数のレーザビームを互いの前記長径方向の端部を重ね、照射面またはその近傍において線状ビームを形成する手段と、引き伸ばされた複数のレーザビームのそれぞれの照射面における長径のe-2幅をa、短径のe-2幅をbとし、長径とx軸を平行に座標を取り、前記短径とy軸を平行に座標を取ると、引き伸ばされた複数のレーザビームのうち互いに重なるレーザビームの中心座標をそれぞれ(x、y)、(x'、y')とすると、
((x−x')/a)2 + ((y−y')/b)2<R2
を満たすことを特徴とするレーザ照射装置である。上記、Rは、0.72好ましくは0.63である。上記不等式の範囲外であると、隣り合う(重なる)線状ビームの間に、細長い単結晶の粒が形成されない領域が出来るので、特性の高い半導体膜の領域が連続的につながらず、ビームを1つにする意味が希薄になる。
【0031】
また、本発明で開示する半導体装置の作製方法に関する発明の構成は、複数のレーザビームを半導体膜上もしくはその近傍にて複数の線状ビームに加工し、複数のレーザ発振器から射出される複数のレーザビームの形状が丸状である場合において、複数のレーザビームを半導体膜上もしくはその近傍にて長径のe-2幅がa、短径のe-2幅がbの線状ビームに加工し、互いの前記長径方向の端部を重ね、より長い線状ビームを成形する際、複数のレーザビームのうち互いに重なるレーザビームの中心座標をそれぞれ(x、y)、(x'、y')としたとき、長径とx軸を平行に座標を張り、前記短径とy軸を平行に座標を張ると、
((x−x')/a)2 + ((y−y')/b)2<(R) 2
を満たす半導体装置の作製方法であることを特徴とする。上記、Rは、0.72好ましくは0.63である。上記不等式の範囲外であると、隣り合う(重なる)線状ビームの間に、細長い単結晶の粒が形成されない領域が出来るので、特性の高い半導体膜の領域が連続的につながらず、ビームを1つにする意味が希薄になる。
【0032】
本発明で開示する半導体装置の作製方法に関する発明の他の構成は、複数のレーザビームを半導体膜上もしくはその近傍にて複数の線状ビームに加工し、複数のレーザ発振器から射出される複数のレーザビームの形状が矩形状である場合において、複数のレーザビームを半導体膜上もしくはその近傍にて長径のe-2幅がa、短径のe-2幅がbの線状ビームに加工し、互いの前記長径方向の端部を重ね、より長い線状ビームを成形する際、複数のレーザビームのうち互いに重なるレーザビームの中心座標をそれぞれ(x、y)、(x'、y')としたとき、長径とx軸を平行に座標を張り、前記短径とy軸を平行に座標を張ると、
|y−y'|/b<R、かつ、|x−x'|<a
を満たす半導体装置の作製方法であることを特徴とする。上記、Rは、0.72好ましくは0.63である。上記不等式の範囲外であると、隣り合う(重なる)線状ビームの間に、細長い単結晶の粒が形成されない領域が出来るので、特性の高い半導体膜の領域が連続的につながらず、ビームを1つにする意味が希薄になる。
【0033】
本発明で開示する半導体装置の作製方法に関する発明の他の構成は、複数のレーザビームを半導体膜上もしくはその近傍にて複数の線状ビームに加工し、複数のレーザ発振器から射出される複数のレーザビームの形状が矩形状である場合において、複数のレーザビームを半導体膜上もしくはその近傍にて長径のe-2幅がa、短径のe-2幅がbの線状ビームに加工し、互いの前記長径方向の端部を重ね、より長い線状ビームを成形する際、複数のレーザビームのうち互いに重なるレーザビームの中心座標をそれぞれ(x、y)、(x'、y')としたとき、長径とx軸を平行に座標を張り、前記短径とy軸を平行に座標を張ると、
|x−x'|/a<R、かつ、|y−y'|<b
を満たす半導体装置の作製方法であることを特徴とする。上記、Rは、0.72好ましくは0.63である。上記不等式の範囲外であると、隣り合う(重なる)線状ビームの間に、細長い単結晶の粒が形成されない領域が出来るので、特性の高い半導体膜の領域が連続的につながらず、ビームを1つにする意味が希薄になる。
【0034】
本発明で開示する半導体装置の作製方法に関する発明の他の構成は、複数のレーザビームを半導体膜上もしくはその近傍にて複数の線状ビームに加工し、複数のレーザ発振器から射出される複数のレーザビームの形状が矩形状である場合において、複数のレーザビームを半導体膜上もしくはその近傍にて長径のe-2幅がa、短径のe-2幅がbの線状ビームに加工し、互いの前記長径方向の端部を重ね、より長い線状ビームを成形する際、複数のレーザビームのうち互いに重なるレーザビームの中心座標をそれぞれ(x、y)、(x'、y')としたとき、長径とx軸を平行に座標を張り、前記短径とy軸を平行に座標を張ると、
|x−x'|/a<R、かつ、|y−y'|/b<R
を満たす半導体装置の作製方法であることを特徴とする。上記、Rは、0.72好ましくは0.63である。上記不等式の範囲外であると、隣り合う(重なる)線状ビームの間に、細長い単結晶の粒が形成されない領域が出来るので、特性の高い半導体膜の領域が連続的につながらず、ビームを1つにする意味が希薄になる。
【0035】
本発明で開示する半導体装置の作製方法に関する発明の他の構成は、複数のレーザビームを半導体膜上もしくはその近傍にて複数の線状ビームに加工し、複数のレーザ発振器から射出される複数のレーザビームの形状が丸状と矩形状である場合において、複数のレーザビームを半導体膜上もしくはその近傍にて長径のe-2幅がa、短径のe-2幅がbの線状ビームに加工し、互いの前記長径方向の端部を重ね、より長い線状ビームを成形する際、複数のレーザビームのうち互いに重なるレーザビームの中心座標をそれぞれ(x、y)、(x'、y')としたとき、長径とx軸を平行に座標を張り、前記短径とy軸を平行に座標を張ると、
((x−x')/a)2 + ((y−y')/b)2<(R) 2
を満たす半導体装置の作製方法であることを特徴とする。上記、Rは、0.72好ましくは0.63である。上記不等式の範囲外であると、隣り合う(重なる)線状ビームの間に、細長い単結晶の粒が形成されない領域が出来るので、特性の高い半導体膜の領域が連続的につながらず、ビームを1つにする意味が希薄になる。
【0036】
上記発明において、
0.52<|x−x'|/a
を満たすとより線状ビームを長くできるので生産性が上がり好ましい。
【0037】
上記発明の構成において、レーザは、連続発振の気体レーザ、固体レーザまたは金属レーザであることを特徴としている。気体レーザとして、Arレーザ、Krレーザ、CO2レーザ等があり、固体レーザとして、YAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、Ti:サファイヤレーザ等があり、金属レーザとしてはヘリウムカドミウムレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザ等が挙げられる。エキシマレーザは通常パルス発振ではあるが、連続発振も原理的に可能という説もある。もしそのようなものが出来れば、本発明に連続発振のエキシマレーザを適用できる。
【0038】
また、上記発明の構成において、レーザビームは非線形光学素子により高調波に変換されていることを特徴とする。非線形光学素子に使われる結晶は、例えばLBOやBBOやKDP、KTPやKB5、CLBOと呼ばれるものを使うと変換効率の点で優れている。これらの非線形光学素子をレーザの共振器の中に入れることで、変換効率を大幅に上げることができる。
【0039】
また、上記発明の構成において、レーザビームはTEM00で発振されると、得られる長いビームのエネルギー均一性を上げることができるので好ましい。
【0040】
また、本明細書中において、エネルギー分布がガウシアン状であるとは、照射面上におけるレーザビームのエネルギープロファイルがガウシアン分布、またはそれに準ずる形状であることを意味する。
【0041】
上記本発明が示す式を満たす複数のレーザビームを半導体膜に照射するとより均一なレーザアニールを行うことができる。また、本発明は、特に半導体膜の結晶化や結晶性の向上、不純物元素の活性化を行うのに適している。また、線状ビームを複数個互いに合成させるので、スループットを向上させることを可能とする。本発明を利用したアクティブマトリクス型の液晶表示装置に代表される半導体装置において、半導体装置の動作特性および信頼性の向上を実現することができる。さらに、従来のレーザアニール方法のようにガスレーザを使ったものではなく固体レーザを使用することができるため半導体装置の製造コストの低減を実現することができる。
【0042】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
本実施形態について図1〜図4、図6、図7を用いて説明する。本実施形態では、複数の線状ビームを互いに重ね合わせて、より長い線状ビームにしたときに、均一に半導体膜をレーザアニールできる条件を導出する。
【0043】
まず、半導体膜を均一に照射するレーザ出力の条件を算出した。図4において、LD励起式の10Wのレーザ発振器100(Nd:YVO4レーザ、CW、第2高調波)を用意する。レーザ発振器は、TEM00の発振モードで、共振器にLBO結晶が内蔵されており、第2高調波に変換されている。ビーム径は2.25mmである。広がり角は0.3mrad程度である。45°反射ミラーにて、鉛直方向から20°傾いた下方にレーザビームの進行方向を変換する。次に、線状ビーム103の長径を、水平面上に配置された半導体膜表面104において250μm程度、短径を40μm程度とするために、焦点距離が20mmの平凸レンズ102にレーザビームを角度20°で入射させる。このとき平凸レンズ102の平面の方を水平面と一致させる。このようにすると、非点収差により長く延びたビームが半導体膜104上に形成される。平凸レンズ102から半導体膜104との距離は、100μmピッチで調整した。この調整により入射面と半導体膜104との交線方向に長い線状ビーム103を形成した。上述のレンズや半導体膜などの位置関係は、わかりやすくするため水平面や鉛直方向などを基準に取ったが、相対位置が同じであれば、問題なく本発明を実施できることは言うまでも無い。
【0044】
半導体膜104は、基板上に形成した。具体的にはガラス基板上に厚さ200nm程度の酸化珪素膜を成膜し、さらにその上に厚さ150nmのa−Si膜を形成した。その後、半導体膜の耐レーザ性を上げるため500℃の窒素雰囲気にて1時間の加熱処理を行った。
【0045】
図3に、線状ビーム103を半導体膜104上で、その短径方向に走査させ、半導体膜をアニールしたときの半導体膜の変化とレーザ出力との関係を示す。図の横軸は、ビームの長径方向を示し、縦軸は、レーザ発振器の出力を示す。図中のガウス分布を示す曲線は、線状ビームの長径方向におけるエネルギー分布を示す。走査の速度は50cm/sで固定し、レーザ出力を3.2W〜6.2Wまで変化させ、半導体膜の変化の様子を見た。レーザ出力が3.2W以下では、前述の長い単結晶粒は全く形成されなかった。レーザ出力が3.7Wになると幅40μm程度にわたり、長い単結晶粒がいくつも形成された。長い単結晶粒で敷き詰められる領域を大粒径結晶形成領域と呼ぶことにする。同様にレーザ出力が5.2W、6.2Wと上げていくと、幅が増えてゆき、100μm、120μmとなった。レーザ出力を6.2Wにあげるとレーザ出力がもっとも高いレーザビームの中央で半導体膜が飛んでしまった。半導体膜が飛んでしまった領域の幅は20μm程度であった。以上の結果から、図3において、大粒径結晶形成領域ができるレーザ出力の範囲を特定できる。すなわち、図3中央の横に長い線Aは、大粒径結晶形成領域ができるレーザ出力の閾値を表し、その上の横に長い線Bが、半導体膜が飛んで使い物にならなくなるレーザ出力の閾値を示す。
【0046】
この実験結果からわかることは、線状ビームの短径方向における断面のエネルギー分布においてのエネルギーの最大値が、線Aと線Bとの間にある線状ビームを形成すれば、線状ビームの長径方向に一様に広がる大粒径結晶形成領域が得られることである。もしも線状ビームの長径方向において、線Bを越えるエネルギー分布があれば、半導体膜の飛びが発生するので均一なレーザアニールができない。また、線状ビームの長径方向において、線Aを下回るエネルギー分布が線状ビームの長径方向を分断する位置にあれば、2つの大粒径結晶形成領域の間に微結晶領域もしくは、結晶化していない非結晶化領域ができあがるため、これもまた均一なレーザアニールができない。
【0047】
複数の線状ビームを合成して、より長い線状ビームを形成し均一なレーザアニールを行うためには、合成された線状ビームのエネルギー分布が線Aと線Bとの間に入っている必要がある。数値で表現すると、±25%以内のエネルギー分布であれば均一なレーザアニールができるレーザ出力が存在することになる。このことを図1、図2に沿って説明する。
【0048】
図1に2つの線状ビームを互いに隣接させ重ね合わせた状態を示す。線状ビーム1の中央における断面A−A’のエネルギー分布を図2の1)に示す。また、線状ビーム1と2の中間における断面B−B’のエネルギー分布を図2の2)に示す。各断面において最大のエネルギーをE1、E2とすると
|E1-E2|/|E1+E2|≦0.25・・・1)
であれば均一なレーザアニールができるということになる。しかしながら、このような条件では、エネルギーのマージンが非常に小さいので安全を見ると、
|E1-E2|/|E1+E2|≦0.10・・・2)
であればより確実に均一なレーザアニールを行うことが可能となる。
【0049】
図6に2つの互いに隣接する線状ビームの中心間距離をどの程度とすれば、式1)または式2)の満たす条件が得られるかを計算した結果を示す。図6に示すグラフは、図1においてオフセット量を0とした場合の、エネルギーE1とE2の差を表したものである。すなわち縦軸は|E1-E2|/|E1+E2|×100(%)となる。図6のグラフから、式1)が満たされる2つの線状ビームの中心間距離は、0.72以内と言うことになり、式2)が満たさせるものは、0.63以内と言うこととなる。
【0050】
図7に、オフセット量と2つのビーム中心間距離の関係を示す。図中の円内の範囲に2つのビームの関係が収まっていれば、エネルギーE1とE2の差は±10%以内に収まる。同様に、図7に半径0.72の円を描けば、その円内の範囲に2つのビームの関係が収まっていれば、エネルギーE1とE2の差は±25%以内に収まる。前記範囲を示す不等式は、それぞれ[課題を解決するための手段]に記載した。再度不等式を記載すると、
((x−x')/a)2 + ((y−y')/b)2<(R) 2
となる。但し、Rは0.63または0.72である。
【0051】
ここで、距離は線状ビームの長径のe-2幅で規格化している。また、中心間距離は、0.52以下となるとE1とE2のエネルギー差が0となるためこれ以上2つのビームを近づけることは線状ビームの長さを短くするだけなので不合理である。よって、中心間距離は0.52以上であることが好ましい。
【0052】
上記本発明が示す式を満たす複数の線状ビームを半導体膜に照射するとより均一なレーザアニールを行うことができる。また、本発明は、特に半導体膜の結晶化や結晶性の向上、不純物元素の活性化を行うのに適している。また、複数の線状ビームの一部を互いに合成させ、最適化させることにより、長径方向に均一なレーザビームを形成できるので、スループットを向上させることを可能とする。そして、その均一性の高いレーザビームを用いて結晶化させることにより均一性の高い結晶性半導体膜を形成でき、TFTの電気的特性のばらつきを低減することができる。さらに、本発明を利用したアクティブマトリクス型の液晶表示装置に代表される半導体装置において、半導体装置の動作特性および信頼性の向上を実現することができる。また、従来のレーザアニール方法のようにガスレーザを使ったものではなく固体レーザを使用することができるため半導体装置の製造コストの低減を実現することができる。
【0053】
(実施の形態2)
本実施の形態においては、4台のレーザを合成しより長い線状ビームを形成する例を示す。また、その装置を使って半導体膜をレーザアニールする例を示す。
【0054】
まず、4台のレーザ発振器を用い長い線状ビームを形成する方法を図5に沿って説明する。シリンドリカルレンズ201、202は焦点距離20mmの平凸シリンドリカルレンズで、互いに母線を平行に配置され、線状ビームが形成される面200における線状ビームの長径を含み面200に垂直な平面に対称に配置する。シリンドリカルレンズの曲率を持った面は上向きとする。このとき母線は長径と平行である。シリンドリカルレンズ201、202は面200に対し、25°傾けて配置される。このようにシリンドリカルレンズを傾けるのは、光学素子と比較して非常に小さい4つの線状ビームを照射面200に重ねて形成するためである。
【0055】
シリンドリカルレンズ201の平面部分に垂直で線状ビームの長径を含む平面上に、光軸Aと光軸Bとが含まれるように焦点距離150mmの平凸シリンドリカルレンズ203、205を配置する。光軸Aと長径とのなす角度は80°、光軸Bと長径とのなす角度も80°とし、シリンドリカルレンズ203の平面部と光軸Aを垂直にし、シリンドリカルレンズ205の平面部と光軸Bを垂直にする。また、シリンドリカルレンズ203、205から射出するレーザビームの照射面200までの光路長を120mm程度とすればよい。また、このときシリンドリカルレンズ203、205の母線と線状ビームの長径方向は垂直となるように配置する。
【0056】
シリンドリカルレンズ206、204はシリンドリカルレンズ205、203に対して面対称な位置に配置され、焦点距離はそれぞれ150mmである。前記面は線状ビームの長径を含み面200に垂直な面である。このような光学系に光軸A、B、C、Dを通るレーザビームを4本入射させると、図5中の拡大図に示す線状ビーム207が形成できる。これらの線状ビームの重なりの程度を実施形態1に示した数式に従って合成する。
【0057】
次に半導体膜の作製方法の例を示す。半導体膜はガラス基板上に形成する。例えば、厚さ0.7mmのガラス基板の片面に厚さ200nmの酸化窒化シリコンを成膜しその上に厚さ150nmのa−Si膜をプラズマCVD法にて成膜する。さらに半導体膜のレーザに対する耐性を高めるために、500℃1時間の熱アニールを該半導体膜に対して行った。熱アニールの他に、従来技術の項目で述べた金属元素による半導体膜の結晶化を行ってもよい。どちらの膜を使っても、最適なレーザビームの照射条件はほぼ同様である。
【0058】
次いで、半導体膜に対するレーザの照射の例を示す。図示しない4台のレーザ発振器の出力はそれぞれ最大10W程度である。これらをレーザアニールに適当な出力に調整する。好ましくは3W〜10W程度であり、それは半導体膜を走査させる速度によって最適な出力は変化する。半導体膜の表面を面200の位置に設置し、適当なステージの上に乗せて線状ビーム207の長径と垂直な方向に走査させる。ここでは、出力5W、走査の速度を50cm/s程度とすると、幅1〜2mm程度の大粒径結晶形成領域が形成できる。半導体膜の表面の面積が大きい場合は、幅1〜2mmの大粒径結晶形成領域を並列に形成することで、半導体膜の表面全体を大粒径結晶形成領域とすることができる。
【0059】
このように、複数のレーザビームを実施の形態1で示す数式にしたがって合成し、合成して形成されたレーザビームを半導体膜に照射するとより均一なレーザアニールを行うことができる。また、本発明は、特に半導体膜の結晶化や結晶性の向上、不純物元素の活性化を行うのに適している。また、複数の線状ビームの一部を互いに合成させ、最適化させることにより、長径方向に均一なレーザビームを形成できるので、スループットを向上させることを可能とする。そして、その均一性の高いレーザビームを用いて結晶化させることにより均一性の高い結晶性半導体膜を形成でき、TFTの電気的特性のばらつきを低減することができる。さらに、本発明を利用して作製されるアクティブマトリクス型の液晶表示装置に代表される半導体装置において、半導体装置の動作特性および信頼性の向上を実現することができる。また、従来のレーザアニール方法のようにガスレーザを使ったものではなく固体レーザを使用することができるため半導体装置の製造コストの低減を実現することができる。
【0060】
【実施例】
[実施例1]
本実施例ではアクティブマトリクス基板の作製方法について図8〜図11を用いて説明する。本明細書ではCMOS回路、及び駆動回路と、画素TFT、保持容量とを有する画素部を同一基板上に形成された基板を、便宜上アクティブマトリクス基板と呼ぶ。
【0061】
まず、本実施例ではバリウムホウケイ酸ガラス、またはアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラスからなる基板400を用いる。なお、基板400としては、石英基板やシリコン基板、金属基板またはステンレス基板の表面に絶縁膜を形成したものを用いても良い。また、本実施例の処理温度に耐えうる耐熱性が有するプラスチック基板を用いてもよいし、可撓性基板を用いても良い。なお、本発明はエネルギー分布が同一である線状ビームを容易に形成できるので、複数の線状ビームにより大面積基板を効率良くアニールすることが可能である。
【0062】
次いで、基板400上に酸化珪素膜、窒化珪素膜または酸化窒化珪素膜などの絶縁膜から成る下地膜401を公知の手段により形成する。本実施例では下地膜401として2層構造を用いるが、絶縁膜の単層膜または2層以上積層させた構造を用いても良い。
【0063】
次いで、下地膜上に半導体膜を形成する。半導体膜は公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により25〜200nm(好ましくは30〜150nm)の厚さで半導体膜を成膜し、レーザ結晶化法により結晶化させる。レーザ結晶化法は、実施形態1または実施形態2、またはこれらの実施形態を組み合わせて、レーザ光を半導体膜に照射する。用いるレーザは、連続発振の固体レーザまたは気体レーザまたは金属レーザが望ましい。なお、固体レーザとしては連続発振のYAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、Ti:サファイヤレーザ等があり、気体レーザとしてはArレーザ、Krレーザ、CO2レーザ等があり、金属レーザとしては連続発振のヘリウムカドミウムレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザ等が挙げられる。もし実用化できれば連続発振のエキシマレーザも本発明に適用できる。もちろん、レーザ結晶化法だけでなく、他の公知の結晶化法(RTAやファーネスアニール炉を用いた熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いた熱結晶化法等)と組み合わせて行ってもよい。半導体膜としては、非晶質半導体膜や微結晶半導体膜、結晶性半導体膜などがあり、非晶質珪素ゲルマニウム膜、非晶質シリコンカーバイト膜などの非晶質構造を有する化合物半導体膜を適用しても良い。
【0064】
本実施例では、プラズマCVD法を用い、50nmの非晶質珪素膜を成膜し、この非晶質珪素膜に結晶化を助長する金属元素を用いた熱結晶化法およびレーザ結晶化法を行う。金属元素としてニッケルを用い、溶液塗布法により非晶質珪素膜上に導入した後、550℃で5時間の熱処理を行って第1の結晶性珪素膜を得る。そして、出力10Wの連続発振のYVO4レーザから射出されたレーザ光を非線形光学素子により第2高調波に変換したのち、実施形態1にしたがってレーザアニールを行い、第2の結晶性珪素膜を得る。第1の結晶性珪素膜にレーザ光を照射して第2の結晶性珪素膜とすることで、結晶性が向上する。このときのエネルギー密度は0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。そして、0.5〜2000cm/s程度の速度でレーザ光に対して相対的にステージを動かして照射し、第2の結晶性珪素膜を形成する。
【0065】
もちろん、第1の結晶性珪素膜を用いてTFTを作製することもできるが、第2の結晶性珪素膜は結晶性が向上しているため、TFTの電気的特性が向上するので望ましい。
【0066】
このようにして得られた結晶性半導体膜をフォトリソグラフィ法を用いたパターニング処理により、半導体層402〜406を形成する。
【0067】
また、半導体層402〜406を形成した後、TFTのしきい値を制御するために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピングを行ってもよい。
【0068】
次いで、半導体層402〜406を覆うゲート絶縁膜407を形成する。ゲート絶縁膜407はプラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを40〜150nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施例では、プラズマCVD法により110nmの厚さで酸化窒化珪素膜を形成する。勿論、ゲート絶縁膜は酸化窒化珪素膜に限定されるものでなく、他の絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
【0069】
次いで、ゲート絶縁膜407上に膜厚20〜100nmの第1の導電膜408と、膜厚100〜400nmの第2の導電膜409とを積層形成する。本実施例では、膜厚30nmのTaN膜からなる第1の導電膜408と、膜厚370nmのW膜からなる第2の導電膜409を積層形成する。TaN膜はスパッタ法で形成し、Taのターゲットを用い、窒素を含む雰囲気内でスパッタする。また、W膜は、Wのターゲットを用いたスパッタ法で形成した。その他に6フッ化タングステン(WF6)を用いる熱CVD法で形成することもできる。いずれにしてもゲート電極として使用するためには低抵抗化を図る必要があり、W膜の抵抗率は20μΩcm以下にすることが望ましい。
【0070】
なお、本実施例では、第1の導電膜408をTaN、第2の導電膜409をWとしているが、特に限定されず、いずれもTa、W、Ti、Mo、Al、Cu、Cr、Ndから選ばれた元素、または元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また、AgPdCu合金を用いてもよい。
【0071】
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスク410〜415を形成し、電極及び配線を形成するための第1のエッチング処理を行う。第1のエッチング処理では第1及び第2のエッチング条件で行う(図8(B))。本実施例では第1のエッチング条件として、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング用ガスにCF4とCl2とO2とを用い、それぞれのガス流量比を25:25:10(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。この第1のエッチング条件によりW膜をエッチングして第1の導電層の端部をテーパー形状とする。
【0072】
この後、レジストからなるマスク410〜415を除去せずに第2のエッチング条件に変え、エッチング用ガスにCF4とCl2とを用い、それぞれのガス流量比を30:30(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約30秒程度のエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2を混合した第2のエッチング条件ではW膜及びTaN膜とも同程度にエッチングされる。なお、ゲート絶縁膜上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。
【0073】
上記第1のエッチング処理では、レジストからなるマスクの形状を適したものとすることにより、基板側に印加するバイアス電圧の効果により第1の導電層及び第2の導電層の端部がテーパー形状となる。このテーパー部の角度は15〜45°となる。こうして、第1のエッチング処理により第1の導電層と第2の導電層から成る第1の形状の導電層417〜422(第1の導電層417a〜422aと第2の導電層417b〜422b)を形成する。416はゲート絶縁膜であり、第1の形状の導電層417〜422で覆われない領域は20〜50nm程度エッチングされ薄くなった領域が形成される。
【0074】
次いで、レジストからなるマスクを除去せずに第2のエッチング処理を行う。(図8(C))ここでは、エッチングガスにCF4とCl2とO2とを用い、W膜を選択的にエッチングする。この時、第2のエッチング処理により第2の導電層428b〜433bを形成する。一方、第1の導電層417a〜422aは、ほとんどエッチングされず、第2の形状の導電層428〜433を形成する。
【0075】
そして、レジストからなるマスクを除去せずに第1のドーピング処理を行い、半導体層にn型を付与する不純物元素を低濃度に添加する。ドーピング処理はイオンドープ法、若しくはイオン注入法で行えば良い。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜5×1014/cm2とし、加速電圧を40〜80keVとして行う。本実施例ではドーズ量を1.5×1013/cm2とし、加速電圧を60keVとして行う。n型を付与する不純物元素として15族に属する元素、典型的にはリン(P)または砒素(As)を用いるが、ここではリン(P)を用いる。この場合、導電層428〜433がn型を付与する不純物元素に対するマスクとなり、自己整合的に不純物領域423〜427が形成される。不純物領域423〜427には1×1018〜1×1020/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加する。
【0076】
レジストからなるマスクを除去した後、新たにレジストからなるマスク434a〜434cを形成して第1のドーピング処理よりも高い加速電圧で第2のドーピング処理を行う。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜1×1015/cm2とし、加速電圧を60〜120keVとして行う。ドーピング処理は第2の導電層428b、430b、432bを不純物元素に対するマスクとして用い、第1の導電層のテーパー部の下方の半導体層に不純物元素が添加されるようにドーピングする。続いて、第2のドーピング処理より加速電圧を下げて第3のドーピング処理を行って図9(A)の状態を得る。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1015〜1×1017/cm2とし、加速電圧を50〜100keVとして行う。第2のドーピング処理および第3のドーピング処理により、第1の導電層と重なる低濃度不純物領域436、442、448には1×1018〜5×1019/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加され、高濃度不純物領域435、441、444、447には1×1019〜5×1021/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加される。
【0077】
もちろん、適当な加速電圧にすることで、第2のドーピング処理および第3のドーピング処理は1回のドーピング処理で、低濃度不純物領域および高濃度不純物領域を形成することも可能である。
【0078】
次いで、レジストからなるマスクを除去した後、新たにレジストからなるマスク450a〜450cを形成して第4のドーピング処理を行う。この第4のドーピング処理により、pチャネル型TFTの活性層となる半導体層に一導電型とは逆の導電型を付与する不純物元素が添加された不純物領域453、454、459、460を形成する。第2の導電層429a、432aを不純物元素に対するマスクとして用い、p型を付与する不純物元素を添加して自己整合的に不純物領域を形成する。本実施例では、不純物領域453、454、459、460はジボラン(B2H6)を用いたイオンドープ法で形成する(図9(B))。この第4のドーピング処理の際には、nチャネル型TFTを形成する半導体層はレジストからなるマスク450a〜450cで覆われている。第1乃至3のドーピング処理によって、不純物領域439、447、448にはそれぞれ異なる濃度でリンが添加されているが、そのいずれの領域においてもp型を付与する不純物元素の濃度を1×1019〜5×1021atoms/cm3となるようにドーピング処理することにより、pチャネル型TFTのソース領域およびドレイン領域として機能するために何ら問題は生じない。
【0079】
以上までの工程で、それぞれの半導体層に不純物領域が形成される。
【0080】
次いで、レジストからなるマスク450a〜450cを除去して第1の層間絶縁膜461を形成する。この第1の層間絶縁膜461としては、プラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを100〜200nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施例では、プラズマCVD法により膜厚150nmの酸化窒化珪素膜を形成した。勿論、第1の層間絶縁膜461は酸化窒化珪素膜に限定されるものでなく、他の珪素を含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
【0081】
次いで、たとえばレーザ光を照射して、半導体層の結晶性の回復、それぞれの半導体層に添加された不純物元素の活性化を行う。レーザ活性化は、例えば、実施形態1または実施形態2、またはこれらの実施形態を組み合わせて、レーザ光を半導体膜に照射する。用いるレーザは、連続発振の固体レーザまたは気体レーザまたは金属レーザが望ましい。なお、固体レーザとしては連続発振のYAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、Ti:サファイヤレーザ等があり、気体レーザとしてはArレーザ、Krレーザ、CO2レーザ等があり、金属レーザとしては連続発振のヘリウムカドミウムレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザ等が挙げられる。もし実用化できるのであれば、連続発振のエキシマレーザも本発明に適用できる。このとき、連続発振のレーザを用いるのであれば、レーザ光のエネルギー密度は0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.01〜10MW/cm2)が必要であり、レーザ光に対して相対的に基板を0.5〜2000cm/sの速度で移動させる。また、活性化の場合、パルス発振のレーザを用いてもよいが、このときは周波数300Hz以上とし、レーザーエネルギー密度を50〜1000mJ/cm2(代表的には50〜500mJ/cm2)とするのが望ましい。このとき、レーザ光を50〜98%オーバーラップさせても良い。なお、レーザアニール法の他に、熱アニール法、またはラピッドサーマルアニール法(RTA法)などを適用することができる。
【0082】
また、第1の層間絶縁膜を形成する前に活性化を行っても良い。ただし、用いた配線材料が熱に弱い場合には、本実施例のように配線等を保護するため層間絶縁膜(珪素を主成分とする絶縁膜、例えば窒化珪素膜)を形成した後で活性化処理を行うことが好ましい。
【0083】
そして、熱処理(300〜550℃で1〜12時間の熱処理)を行うと水素化を行うことができる。この工程は第1の層間絶縁膜461に含まれる水素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。第1の層間絶縁膜の存在に関係なく半導体層を水素化することができる。
【0084】
次いで、第1の層間絶縁膜461上に無機絶縁膜材料または有機絶縁物材料から成る第2の層間絶縁膜462を形成する。本実施例では、膜厚1.6μmのアクリル樹脂膜を形成したが、粘度が10〜1000cp、好ましくは40〜200cpのものを用い、表面に凸凹が形成されるものを用いる。
【0085】
本実施例では、鏡面反射を防ぐため、表面に凸凹が形成される第2の層間絶縁膜を形成することによって画素電極の表面に凸凹を形成した。また、画素電極の表面に凹凸を持たせて光散乱性を図るため、画素電極の下方の領域に凸部を形成してもよい。その場合、凸部の形成は、TFTの形成と同じフォトマスクで行うことができるため、工程数の増加なく形成することができる。なお、この凸部は配線及びTFT部以外の画素部領域の基板上に適宜設ければよい。こうして、凸部を覆う絶縁膜の表面に形成された凸凹に沿って画素電極の表面に凸凹が形成される。
【0086】
また、第2の層間絶縁膜462として表面が平坦化する膜を用いてもよい。その場合は、画素電極を形成した後、公知のサンドブラスト法やエッチング法等の工程を追加して表面を凹凸化させて、鏡面反射を防ぎ、反射光を散乱させることによって白色度を増加させることが好ましい。
【0087】
そして、駆動回路506において、各不純物領域とそれぞれ電気的に接続する配線463〜467を形成する。なお、これらの配線は、膜厚50nmのTi膜と、膜厚500nmの合金膜(AlとTiとの合金膜)との積層膜をパターニングして形成する。もちろん、二層構造に限らず、単層構造でもよいし、三層以上の積層構造にしてもよい。また、配線の材料としては、AlとTiに限らない。例えば、TaN膜上にAlやCuを形成し、さらにTi膜を形成した積層膜をパターニングして配線を形成してもよい(図10)。
【0088】
また、画素部507においては、画素電極470、ゲート配線469、接続電極468を形成する。この接続電極468によりソース配線(443aと443bの積層)は、画素TFTと電気的な接続が形成される。また、ゲート配線469は、画素TFTのゲート電極と電気的な接続が形成される。また、画素電極470は、画素TFTのドレイン領域442と電気的な接続が形成され、さらに保持容量を形成する一方の電極として機能する半導体層458と電気的な接続が形成される。また、画素電極471としては、AlまたはAgを主成分とする膜、またはそれらの積層膜等の反射性の優れた材料を用いることが望ましい。
【0089】
以上の様にして、nチャネル型TFT501とpチャネル型TFT502からなるCMOS回路、及びnチャネル型TFT503を有する駆動回路506と、画素TFT504、保持容量505とを有する画素部507を同一基板上に形成することができる。こうして、アクティブマトリクス基板が完成する。
【0090】
駆動回路506のnチャネル型TFT501はチャネル形成領域437、ゲート電極の一部を構成する第1の導電層428aと重なる低濃度不純物領域436(GOLD領域)、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域452を有している。このnチャネル型TFT501と電極466で接続してCMOS回路を形成するpチャネル型TFT502にはチャネル形成領域440、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域454と、n型を付与する不純物元素およびp型を付与する不純物元素が導入された不純物領域453を有している。また、nチャネル型TFT503にはチャネル形成領域443、ゲート電極の一部を構成する第1の導電層430aと重なる低濃度不純物領域442(GOLD領域)、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域456を有している。
【0091】
画素部の画素TFT504にはチャネル形成領域446、ゲート電極の外側に形成される低濃度不純物領域445(LDD領域)、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域458を有している。また、保持容量505の一方の電極として機能する半導体層には、n型を付与する不純物元素およびp型を付与する不純物元素が添加されている。保持容量505は、絶縁膜416を誘電体として、電極(432aと432bの積層)と、半導体層とで形成している。
【0092】
また、本実施例で作製するアクティブマトリクス基板の画素部の上面図を図11に示す。なお、図8〜図11に対応する部分には同じ符号を用いている。図10中の鎖線A−A’は図11中の鎖線A―A’で切断した断面図に対応している。また、図10中の鎖線B−B’は図11中の鎖線B―B’で切断した断面図に対応している。
【0093】
以上のようにして作製されるアクティブマトリクス基板は特性が単結晶に近い半導体膜を用いて作製されたTFTを有しており、また半導体膜の物性の一様性が非常に高いため、動作特性や信頼性を十分なものとなり得る。また、複数の線状ビームの一部を互いに合成させ、最適化させることにより、長径方向に均一なレーザビームを形成できるので、スループットを向上させることを可能とする。そして、その均一性の高いレーザビームを用いて結晶化させることにより均一性の高い結晶性半導体膜を形成でき、TFTの電気的特性のばらつきを低減することができる。さらに、本発明を利用したアクティブマトリクス型の液晶表示装置に代表される半導体装置において、半導体装置の動作特性および信頼性の向上を実現することができる。また、従来のレーザアニール方法のようにガスレーザを使ったものではなく固体レーザを使用することができるため半導体装置の製造コストの低減を実現することができる。
【0094】
[実施例2]
本実施例では、実施例1で作製したアクティブマトリクス基板から、反射型液晶表示装置を作製する工程を以下に説明する。説明には図12を用いる。
【0095】
まず、実施例1に従い、図10の状態のアクティブマトリクス基板を得た後、図10のアクティブマトリクス基板上、少なくとも画素電極470上に配向膜567を形成しラビング処理を行う。なお、本実施例では配向膜567を形成する前に、アクリル樹脂膜等の有機樹脂膜をパターニングすることによって基板間隔を保持するための柱状のスペーサ572を所望の位置に形成した。また、柱状のスペーサに代えて、球状のスペーサを基板全面に散布してもよい。
【0096】
次いで、対向基板569を用意する。次いで、対向基板569上に着色層570、571、平坦化膜573を形成する。赤色の着色層570と青色の着色層571とを重ねて、遮光部を形成する。また、赤色の着色層と緑色の着色層とを一部重ねて、遮光部を形成してもよい。
【0097】
本実施形態では、実施例1に示す基板を用いている。従って、実施例1の画素部の上面図を示す図11では、少なくともゲート配線469と画素電極470の間隙と、ゲート配線469と接続電極468の間隙と、接続電極468と画素電極470の間隙を遮光する必要がある。本実施例では、それらの遮光すべき位置に着色層の積層からなる遮光部が重なるように各着色層を配置して、対向基板を貼り合わせた。
【0098】
このように、ブラックマスク等の遮光層を形成することなく、各画素間の隙間を着色層の積層からなる遮光部で遮光することによって工程数の低減を可能とした。
【0099】
次いで、平坦化膜573上に透明導電膜からなる対向電極576を少なくとも画素部に形成し、対向基板の全面に配向膜574を形成し、ラビング処理を施した。
【0100】
そして、画素部と駆動回路が形成されたアクティブマトリクス基板と対向基板とをシール材568で貼り合わせる。シール材568にはフィラーが混入されていて、このフィラーと柱状スペーサによって均一な間隔を持って2枚の基板が貼り合わせられる。その後、両基板の間に液晶材料575を注入し、封止剤(図示せず)によって完全に封止する。液晶材料575には公知の液晶材料を用いれば良い。このようにして図12に示す反射型液晶表示装置が完成する。そして、必要があれば、アクティブマトリクス基板または対向基板を所望の形状に分断する。さらに、対向基板のみに偏光板(図示しない)を貼りつけた。そして、公知の技術を用いてFPCを貼りつけた。
【0101】
以上のようにして作製される液晶表示装置は特性が単結晶に近い半導体膜を用いて作製されたTFTを有しており、また半導体膜の物性の一様性が非常に高いため、液晶表示装置の動作特性や信頼性を十分なものとなり得る。また、複数の線状ビームの一部を互いに合成させ、最適化させることにより、長径方向に均一なレーザビームを形成できるので、スループットを向上させることを可能とする。そして、その均一性の高いレーザビームを用いて結晶化させることにより均一性の高い結晶性半導体膜を形成でき、TFTの電気的特性のばらつきを低減することができる。さらに、本発明を利用して作製される液晶表示装置における動作特性および信頼性の向上を実現することができる。また、従来のレーザアニール方法のようにガスレーザを使ったものではなく固体レーザを使用することができるため液晶表示装置の製造コストの低減を実現することができる。そして、このような液晶表示装置は各種電子機器の表示部として用いることができる。
【0102】
なお、本実施例は実施形態1乃至2と自由に組み合わせることが可能である。
【0103】
[実施例3]
本実施例では、実施例1で示したアクティブマトリクス基板を作製するときのTFTの作製方法を用いて、発光装置を作製した例について説明する。本明細書において、発光装置とは、基板上に形成された発光素子を該基板とカバー材の間に封入した表示用パネルおよび該表示用パネルにTFTを備えた表示用モジュールを総称したものである。なお、発光素子は、電場を加えることで発生するルミネッセンス(Electro Luminescence)が得られる有機化合物を含む層(発光層)と陽極層と、陰極層とを有する。また、有機化合物におけるルミネッセンスには、一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光)と三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)があり、これらのうちどちらか、あるいは両方の発光を含む。
【0104】
なお、発光素子において陽極と陰極の間に形成された全ての層を有機発光層と定義する。有機発光層には具体的に、発光層、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層等が含まれる。基本的に発光素子は、陽極層、発光層、陰極層が順に積層された構造を有しており、この構造に加えて、陽極層、正孔注入層、発光層、陰極層や、陽極層、正孔注入層、発光層、電子輸送層、陰極層等の順に積層した構造を有していることもある。
【0105】
図13は本実施例の発光装置の断面図である。図13において、基板700上に設けられたスイッチングTFT603は図10のnチャネル型TFT503を用いて形成される。したがって、構造の説明はnチャネル型TFT503の説明を参照すれば良い。
【0106】
基板700上に設けられた駆動回路は図10のCMOS回路を用いて形成される。従って、構造の説明はnチャネル型TFT501とpチャネル型TFT502の説明を参照すれば良い。なお、本実施例ではシングルゲート構造としているが、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。
【0107】
また、配線701、703はCMOS回路のソース配線、702はドレイン配線として機能する。また、配線704はソース配線708とスイッチングTFTのソース領域とを電気的に接続する配線として機能し、配線705はドレイン配線709とスイッチングTFTのドレイン領域とを電気的に接続する配線として機能する。
【0108】
なお、電流制御TFT604は図10のpチャネル型TFT502を用いて形成される。従って、構造の説明はpチャネル型TFT502の説明を参照すれば良い。なお、本実施例ではシングルゲート構造としているが、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。
【0109】
また、配線706は電流制御TFTのソース配線(電流供給線に相当する)であり、707は電流制御TFTの画素電極711上に重ねることで画素電極711と電気的に接続する電極である。
【0110】
なお、711は、透明導電膜からなる画素電極(発光素子の陽極)である。透明導電膜としては、酸化インジウムと酸化スズとの化合物、酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物、酸化亜鉛、酸化スズまたは酸化インジウムを用いることができる。また、透明導電膜にガリウムを添加したものを用いても良い。画素電極711は、上記配線を形成する前に平坦な層間絶縁膜710上に形成する。本実施例においては、樹脂からなる平坦化膜710を用いてTFTによる段差を平坦化することは非常に重要である。後に形成される発光層は非常に薄いため、段差が存在することによって発光不良を起こす場合がある。従って、発光層をできるだけ平坦面に形成しうるように画素電極を形成する前に平坦化しておくことが望ましい。
【0111】
配線701〜707を形成後、図13に示すようにバンク712を形成する。バンク712は100〜400nmの珪素を含む絶縁膜もしくは有機樹脂膜をパターニングして形成すれば良い。
【0112】
なお、バンク712は絶縁膜であるため、成膜時における素子の静電破壊には注意が必要である。本実施例ではバンク712の材料となる絶縁膜中にカーボン粒子や金属粒子を添加して抵抗率を下げ、静電気の発生を抑制する。この際、抵抗率は1×106〜1×1012Ωm(好ましくは1×108〜1×1010Ωm)となるようにカーボン粒子や金属粒子の添加量を調節すれば良い。
【0113】
画素電極711の上には発光層713が形成される。なお、図13では一画素しか図示していないが、本実施例ではR(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した発光層を作り分けている。また、本実施例では蒸着法により低分子系有機発光材料を形成している。具体的には、正孔注入層として20nm厚の銅フタロシアニン(CuPc)膜を設け、その上に発光層として70nm厚のトリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体(Alq3)膜を設けた積層構造としている。Alq3にキナクリドン、ペリレンもしくはDCM1といった蛍光色素を添加することで発光色を制御することができる。
【0114】
但し、以上の例は発光層として用いることのできる有機発光材料の一例であって、これに限定する必要はまったくない。発光層、電荷輸送層または電荷注入層を自由に組み合わせて発光層(発光及びそのためのキャリアの移動を行わせるための層)を形成すれば良い。例えば、本実施例では低分子系有機発光材料を発光層として用いる例を示したが、中分子系有機発光材料や高分子系有機発光材料を用いても良い。なお、本明細書中において、昇華性を有さず、かつ、分子数が20以下または連鎖する分子の長さが10μm以下の有機発光材料を中分子系有機発光材料とする。また、高分子系有機発光材料を用いる例として、正孔注入層として20nmのポリチオフェン(PEDOT)膜をスピン塗布法により設け、その上に発光層として100nm程度のパラフェニレンビニレン(PPV)膜を設けた積層構造としても良い。なお、PPVのπ共役系高分子を用いると、赤色から青色まで発光波長を選択できる。また、電荷輸送層や電荷注入層として炭化珪素等の無機材料を用いることも可能である。これらの有機発光材料や無機材料は公知の材料を用いることができる。
【0115】
次に、発光層713の上には導電膜からなる陰極714が設けられる。本実施例の場合、導電膜としてアルミニウムとリチウムとの合金膜を用いる。勿論、公知のMgAg膜(マグネシウムと銀との合金膜)を用いても良い。陰極材料としては、周期表の1族もしくは2族に属する元素からなる導電膜もしくはそれらの元素を添加した導電膜を用いれば良い。
【0116】
この陰極714まで形成された時点で発光素子715が完成する。なお、ここでいう発光素子715は、画素電極(陽極)711、発光層713及び陰極714で形成されたダイオードを指す。
【0117】
発光素子715を完全に覆うようにしてパッシベーション膜716を設けることは有効である。パッシベーション膜716としては、炭素膜、窒化珪素膜もしくは窒化酸化珪素膜を含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層で用いる。
【0118】
この際、カバレッジの良い膜をパッシベーション膜として用いることが好ましく、炭素膜、特にDLC膜を用いることは有効である。DLC膜は室温から100℃以下の温度範囲で成膜可能であるため、耐熱性の低い発光層713の上方にも容易に成膜することができる。また、DLC膜は酸素に対するブロッキング効果が高く、発光層713の酸化を抑制することが可能である。そのため、この後に続く封止工程を行う間に発光層713が酸化するといった問題を防止できる。
【0119】
さらに、パッシベーション膜716上に封止材717を設け、カバー材718を貼り合わせる。封止材717としては紫外線硬化樹脂を用いれば良く、内部に吸湿効果を有する物質もしくは酸化防止効果を有する物質を設けることは有効である。また、本実施例においてカバー材718はガラス基板や石英基板やプラスチック基板(プラスチックフィルムも含む)や可撓性基板の両面に炭素膜(好ましくはDLC膜)を形成したものを用いる。炭素膜以外にもアルミ膜(AlON、AlN、AlOなど)、SiNなどを用いることができる。
【0120】
こうして図13に示すような構造の発光装置が完成する。なお、バンク712を形成した後、パッシベーション膜716を形成するまでの工程をマルチチャンバー方式(またはインライン方式)の成膜装置を用いて、大気解放せずに連続的に処理することは有効である。また、さらに発展させてカバー材718を貼り合わせる工程までを大気解放せずに連続的に処理することも可能である。
【0121】
こうして、基板700上にnチャネル型TFT601、602、スイッチングTFT(nチャネル型TFT)603および電流制御TFT(nチャネル型TFT)604が形成される。
【0122】
さらに、図13を用いて説明したように、ゲート電極に絶縁膜を介して重なる不純物領域を設けることによりホットキャリア効果に起因する劣化に強いnチャネル型TFTを形成することができる。そのため、信頼性の高い発光装置を実現できる。
【0123】
また、本実施例では画素部と駆動回路の構成のみ示しているが、本実施例の製造工程に従えば、その他にも信号分割回路、D/Aコンバータ、オペアンプ、γ補正回路などの論理回路を同一の絶縁体上に形成可能であり、さらにはメモリやマイクロプロセッサをも形成しうる。
【0124】
以上のようにして作製される発光装置は特性が単結晶に近い半導体膜を用いて作製されたTFTを有しており、また半導体膜の物性の一様性が非常に高いため、発光装置の動作特性や信頼性を十分なものとなり得る。また、複数の線状ビームの一部を互いに合成させ、最適化させることにより、長径方向に均一なレーザビームを形成できるので、スループットを向上させることを可能とする。そして、その均一性の高いレーザビームを用いて結晶化させることにより均一性の高い結晶性半導体膜を形成でき、TFTの電気的特性のばらつきを低減することができる。さらに、本発明を利用して作製される発光装置の動作特性および信頼性の向上を実現することができる。また、従来のレーザアニール方法のようにガスレーザを使ったものではなく固体レーザを使用することができるため発光装置の製造コストの低減を実現することができる。そして、このような発光装置は各種電子機器の表示部として用いることができる。
【0125】
なお、本実施例は実施形態1乃至2と自由に組み合わせることが可能である。
【0126】
[実施例4]
本発明を適用して、様々な半導体装置(アクティブマトリクス型液晶表示装置、アクティブマトリクス型発光装置、アクティブマトリクス型EC表示装置)を作製することができる。即ち、それら電気光学装置を表示部に組み込んだ様々な電子機器に本発明を適用できる。
【0127】
その様な電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、プロジェクター、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナビゲーション、カーステレオ、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書籍等)などが挙げられる。それらの例を図14、図15及び図16に示す。
【0128】
図14(A)はパーソナルコンピュータであり、本体3001、画像入力部3002、表示部3003、キーボード3004等を含む。本発明により作製された半導体装置を表示部3003に適用することで、本発明のパーソナルコンピュータが完成する。
【0129】
図14(B)はビデオカメラであり、本体3101、表示部3102、音声入力部3103、操作スイッチ3104、バッテリー3105、受像部3106等を含む。本発明により作製された半導体装置を表示部3102に適用することで、本発明のビデオカメラが完成する。
【0130】
図14(C)はモバイルコンピュータ(モービルコンピュータ)であり、本体3201、カメラ部3202、受像部3203、操作スイッチ3204、表示部3205等を含む。本発明により作製された半導体装置を表示部3205に適用することで、本発明のモバイルコンピュータが完成する。
【0131】
図14(D)はゴーグル型ディスプレイであり、本体3301、表示部3302、アーム部3303等を含む。表示部3302は基板として可撓性基板を用いており、表示部3302を湾曲させてゴーグル型ディスプレイを作製している。また軽量で薄いゴーグル型ディスプレイを実現している。本発明により作製される半導体装置を表示部3302に適用することで、本発明のゴーグル型ディスプレイが完成する。
【0132】
図14(E)はプログラムを記録した記録媒体(以下、記録媒体と呼ぶ)を用いるプレーヤーであり、本体3401、表示部3402、スピーカ部3403、記録媒体3404、操作スイッチ3405等を含む。なお、このプレーヤーは記録媒体としてDVD(Digital Versatile Disc)、CD等を用い、音楽鑑賞や映画鑑賞やゲームやインターネットを行うことができる。本発明により作製された半導体装置を表示部3402に適用することで、本発明の記録媒体が完成する。
【0133】
図14(F)はデジタルカメラであり、本体3501、表示部3502、接眼部3503、操作スイッチ3504、受像部(図示しない)等を含む。本発明により作製された半導体装置を表示部3502に適用することで、本発明のデジタルカメラが完成する。
【0134】
図15(A)はフロント型プロジェクターであり、投射装置3601、スクリーン3602等を含む。本発明により作製された半導体装置を投射装置3601の一部を構成する液晶表示装置3808やその他の駆動回路に適用することで、本発明のフロント型プロジェクターが完成する。
【0135】
図15(B)はリア型プロジェクターであり、本体3701、投射装置3702、ミラー3703、スクリーン3704等を含む。本発明により作製された半導体装置を投射装置3702の一部を構成する液晶表示装置3808やその他の駆動回路に適用することで、本発明のリア型プロジェクターが完成する。
【0136】
なお、図15(C)は、図15(A)及び図15(B)中における投射装置3601、3702の構造の一例を示した図である。投射装置3601、3702は、光源光学系3801、ミラー3802、3804〜3806、ダイクロイックミラー3803、プリズム3807、液晶表示装置3808、位相差板3809、投射光学系3810で構成される。投射光学系3810は、投射レンズを含む光学系で構成される。本実施例は三板式の例を示したが、特に限定されず、例えば単板式であってもよい。また、図15(C)中において矢印で示した光路に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相差を調節するためのフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
【0137】
また、図15(D)は、図15(C)中における光源光学系3801の構造の一例を示した図である。本実施例では、光源光学系3801は、リフレクター3811、光源3812、レンズアレイ3813、3814、偏光変換素子3815、集光レンズ3816で構成される。なお、図15(D)に示した光源光学系は一例であって特に限定されない。例えば、光源光学系に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相差を調節するフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
【0138】
ただし、図15に示したプロジェクターにおいては、透過型の電気光学装置を用いた場合を示しており、反射型の電気光学装置及び発光装置での適用例は図示していない。
【0139】
図16(A)は携帯電話であり、本体3901、音声出力部3902、音声入力部3903、表示部3904、操作スイッチ3905、アンテナ3906等を含む。本発明により作製された半導体装置を表示部3904に適用することで、本発明の携帯電話が完成する。
【0140】
図16(B)は携帯書籍(電子書籍)であり、本体4001、表示部4002、4003、記憶媒体4004、操作スイッチ4005、アンテナ4006等を含む。本発明により作製された半導体装置は表示部4002、4003に適用することで、本発明の携帯書籍が完成する。携帯書籍を文庫本と同程度の大きさにすることもでき、持ち運びを容易にしている。
【0141】
図16(C)はディスプレイであり、本体4101、支持台4102、表示部4103等を含む。表示部4103は可撓性基板を用いて作製されており、軽量で薄いディスプレイを実現できる。また、表示部4103を湾曲させることも可能である。本発明により作製される半導体装置を表示部4103に適用することで、本発明のディスプレイが完成する。本発明のディスプレイは特に大画面化した場合において有利であり、対角10インチ以上(特に30インチ以上)のディスプレイには有利である。
【0142】
以上のようにして作製される電子機器は特性が単結晶に近い半導体膜を用いて作製されたTFTを有しており、また半導体膜の物性の一様性が非常に高いため、電子機器の動作特性や信頼性を十分なものとなり得る。また、複数の線状ビームの一部を互いに合成させ、最適化させることにより、長径方向に均一なレーザビームを形成できるので、スループットを向上させることを可能とする。そして、その均一性の高いレーザビームを用いて結晶化させることにより均一性の高い結晶性半導体膜を形成でき、TFTの電気的特性のばらつきを低減することができる。さらに、本発明を利用したアクティブマトリクス型の液晶表示装置に代表される半導体装置において、半導体装置の動作特性および信頼性の向上を実現することができる。また、従来のレーザアニール方法のようにガスレーザを使ったものではなく固体レーザを使用することができるため半導体装置の製造コストの低減を実現することができる。
【0143】
また、本発明の適用範囲は極めて広く、さまざまな分野の電子機器に適用することが可能である。なお、本実施例の電子機器は実施形態1〜2および実施例1、2または1、3の組み合わせからなる構成を用いても実現することができる。
【0144】
【発明の効果】
本発明の構成を採用することにより、以下に示すような基本的有意性を得ることが出来る。
(a)本発明が示す式を満たす複数のレーザビームを被照射体に照射するとより均一なレーザアニールが行える。
(b)被照射体に対して均一にアニールすることを可能とする。特に半導体膜の結晶化や結晶性の向上、不純物元素の活性化を行うのに適している。
(c)複数の線状ビームの一部を互いに合成させるので、スループットを向上させることを可能とする。
(d)従来のレーザアニール方法のようにガスレーザを使ったものではなく固体レーザを使用することができるため半導体装置の製造コストの低減を実現することができる。
(e)以上の利点を満たした上で、アクティブマトリクス型の液晶表示装置に代表される半導体装置において、半導体装置の動作特性および信頼性の向上を実現することができる。さらに、半導体装置の製造コストの低減を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1を説明する図。
【図2】 実施の形態1を説明する図。
【図3】 実施の形態1を説明する図。
【図4】 実施の形態1を説明する図。
【図5】 実施の形態2を説明する図。
【図6】 実施の形態1を説明する図。
【図7】 実施の形態1を説明する図。
【図8】 画素TFT、駆動回路のTFTの作製工程を示す断面図。
【図9】 画素TFT、駆動回路のTFTの作製工程を示す断面図。
【図10】 画素TFT、駆動回路のTFTの作製工程を示す断面図。
【図11】 画素TFTの構成を示す上面図。
【図12】 アクティブマトリクス型液晶表示装置の作製工程を示す断面図。
【図13】 発光装置の駆動回路及び画素部の断面構造図。
【図14】 半導体装置の例を示す図。
【図15】 半導体装置の例を示す図。
【図16】 半導体装置の例を示す図。
Claims (5)
- 連続発振の第1及び第2のレーザ発振器から射出されるエネルギー分布がガウシアン状の第1及び第2のレーザビームの形状が丸状であって、前記第1及び第2のレーザビームを厚さ25nm〜200nmの非晶質半導体膜上もしくはその近傍にて長径のe−2幅がa、短径のe−2幅がbの線状ビームにそれぞれ加工し、互いの前記長径方向の端部を重ね、前記線状ビームより長い線状ビームを成形し、前記成形した線状ビームを前記非晶質半導体膜に照射し、前記成形した線状ビームの短軸方向に走査させることによって前記非晶質半導体膜を結晶化する半導体装置の作製方法であって、
前記第1及び第2のレーザビームの中心座標をそれぞれ(x、y)、(x’、y’)としたとき、前記長径とx軸を平行に座標を張り、前記短径とy軸を平行に座標を張ると、
((x−x’)/a)2 + ((y−y’)/b)2<(0.72)2
または、
((x−x’)/a)2 + ((y−y’)/b)2<(0.63)2
を満たし、
かつ、
|x−x’|/a>0.52
を満たすことを特徴とする半導体装置の作製方法。 - 連続発振の第1及び第2のレーザ発振器から射出されるエネルギー分布がガウシアン状の第1及び第2のレーザビームの形状が丸状と矩形状であって、前記第1及び第2のレーザビームを厚さ25nm〜200nmの非晶質半導体膜上もしくはその近傍にて長径のe−2幅がa、短径のe−2幅がbの線状ビームにそれぞれ加工し、互いの前記長径方向の端部を重ね、前記線状ビームより長い線状ビームを成形し、前記成形した線状ビームを前記非晶質半導体膜に照射し、前記成形した線状ビームの短軸方向に走査させることによって前記非晶質半導体膜を結晶化する半導体装置の作製方法であって、
前記第1及び第2のレーザビームの中心座標をそれぞれ(x、y)、(x’、y’)としたとき、前記長径とx軸を平行に座標を張り、前記短径とy軸を平行に座標を張ると、
((x−x’)/a)2 + ((y−y’)/b)2<(0.72)2
または、
((x−x’)/a)2 + ((y−y’)/b)2<(0.63)2
を満たし、
かつ、
|x−x’|/a>0.52
を満たすことを特徴とする半導体装置の作製方法。 - 請求項1または2において、前記第1及び第2のレーザ発振器は、気体レーザ、固体レーザおよび金属レーザから選ばれたものであることを特徴とする半導体装置の作製方法。
- 請求項1乃至3のいずれか一項において、前記短径のe−2幅bは、50μm以下であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
- 請求項1乃至4のいずれか一項において、前記第1及び第2のレーザ発振器は、Arレーザ、Krレーザ、CO2レーザ、YAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、Y2O3レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、Ti:サファイヤレーザ、ヘリウムカドミウムレーザ、銅蒸気レーザおよび金蒸気レーザから選ばれたものであることを特徴とする半導体装置の作製方法。
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