JP2007285672A - 断熱箱体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】断熱箱体7は、外箱13及び内箱14からなる箱体7Aに形成される空間に真空断熱パネル12が配置され、硬質ポリウレタンフォーム11が充填されている。断熱箱体7は、シクロペンタンとの溶解性の低い成分を40%以上有する混合物であるポリオール成分とイソシアネート成分とを、触媒、整泡剤、ポリオール混合物100重量部に対して1.5〜1.8重量部の水、及び13〜15重量部のシクロペンタンを組み合わせた混合発泡剤の中で反応させる硬質ポリウレタンフォームを用い、真空断熱パネル12の面のウレタン流動厚みを真空断熱パネル厚みの2倍以上とし、注入口6から20mm以上離れて真空断熱パネル12を配置して硬質ポリウレタンフォーム11が充填されている。
【選択図】図3
Description
(1)前記硬質ポリウレタンフォームの注入口から少なくとも500mm以上離れた硬質ポリウレタンフォームのスキン層の全体密度が30〜33kg/m3で、圧縮強度が0.1MPa以上で、空気中に70℃と−20℃の温度で24時間放置時後の寸法変化率が1.0%以下となる前記硬質ポリウレタンフォームを用いたこと。
(2)前記真空断熱パネルとして、バインダーを含まない無機繊維重合体を単体或いはプラスチックフィルムからなる内袋内に収納した芯材と、前記芯材を収納して内部を減圧し周縁部を溶着して封止したラミネートフィルムからなる外包材とを備えた真空断熱パネルを用いたこと。
(1)前記硬質ポリウレタンフォームの注入口から少なくとも500mm以上離れた硬質ポリウレタンフォームのスキン層の全体密度が30〜33kg/m3で、圧縮強度が0.1MPa以上で、空気中に70℃と−20℃の温度で24時間放置時後の寸法変化率が1.0%以下となる前記硬質ポリウレタンフォームを用いること。
(2)前記真空断熱パネルとして、バインダーを含まない無機繊維重合体を単体或いはプラスチックフィルムからなる内袋内に収納した芯材と、前記芯材を収納して内部を減圧し周縁部を溶着して封止したラミネートフィルムからなる外包材とを備えた真空断熱パネルを用いること。
表1の従来例1は、真空断熱パネルを搭載せず、硬質ポリウレタンフォーム11の流動厚みTを35mmに設定した例である。この従来例1では、硬質ポリウレタンフォーム11を発泡した時、該当部近傍に未充填ボイドは観察されず、熱伝導率は10℃で18.5mW/m・Kであり、全体密度からコア密度を減じた数値は2.9であった。以上より、従来例1は、硬質ポリウレタンフォーム11の状態はスキン層も薄く良好であると考えられ、熱伝導率も良好な数値となった。なお、従来例1は、真空断熱パネルを搭載していないため、真空断熱パネルを搭載したものと比較して、断熱箱体としての断熱性能は低いものである。
(比較例1)
表1の比較例1は、真空断熱パネル12の厚みtを5mm、硬質ポリウレタンフォーム11の流動厚みTを8mmに設定した例である(T<2t)。この比較例1では、硬質ポリウレタンフォーム11を発泡した時、該当部近傍には未充填ボイドが発生し、熱伝導率は20.2mW/m・Kと良くなく、全体密度からコア密度を減じた数値は5.3と高い結果となった。これは、急激な硬質ポリウレタンフォーム11の断熱厚みの変化によって、流動の際に発泡ガスを巻き込み、スキン層を形成し易く、フォームの状態は極めて悪くなり、また、局地的に密度も上昇し、熱伝導率が悪化したと考えられる。この熱伝導率の悪化は、冷蔵庫の消費電力量が大きくなるという問題を発生させる。
(実施例1)
表1の実施例1は、真空断熱パネル12の厚みtを5mm、硬質ポリウレタンフォーム11の流動厚みTを10mmに設定した例である(T=2t)。この実施例1では、硬質ポリウレタンフォーム11を発泡した時、該当部近傍に未充填ボイドは発生せず、熱伝導率は18.7mW/m・K、全体密度からコア密度を減じた数値は3.2となり、硬質ポリウレタンフォーム11そのものとしては従来例1と大差無い数値となっている。これは、硬質ポリウレタンフォーム11の流動がスムーズに行われて、硬質ポリウレタンフォーム11が持つ実力通りの物性が得られているものと考えられる。
(実施例2)
表1の実施例2は、真空断熱パネル12の厚みtを5mm、硬質ポリウレタンフォーム11の流動厚みTを15mmに設定した例である(T>2t)。この実施例2では、硬質ポリウレタンフォーム11を発泡した時、該当部近傍に未充填ボイドは発生せず、熱伝導率は18.5mW/m・K、全体密度からコア密度を減じた数値は3.4となり、従来例1と大差無い数値となっている。これは、硬質ポリウレタンフォーム11の流動がスムーズに行われて、実際の硬質ポリウレタンフォーム11が持つ実力通りの物性が得られているものと考えられる。
(比較例2)
表1の比較例2は、真空断熱パネル12の厚みtを10mm、硬質ポリウレタンフォーム11の流動厚みTを15mmに設定した例である(T<2t)。比較例2では、硬質ポリウレタンフォーム11を発泡した時、該当部近傍には未充填ボイドが発生し、熱伝導率は19.6mW/m・Kと良くなく、全体密度からコア密度を減じた数値は5.1と高い結果となった。これは、急激な硬質ポリウレタンフォーム11の断熱厚みの変化によって、流動の際に発泡ガスを巻き込み、スキン層を形成し易く、フォームの状態は極めて悪くなり、また、局地的に密度も上昇し、熱伝導率が悪化したと考えられる。
(実施例3)
表1の実施例3は、真空断熱パネル12の厚みtを10mm、硬質ポリウレタンフォーム11の流動厚みTを20mmに設定した例である(T=2t)。この実施例3では、硬質ポリウレタンフォーム11を発泡した時、該当部近傍に未充填ボイドは発生せず、熱伝導率は18.6mW/m・K、全体密度からコア密度を減じた数値は3.5となり、硬質ポリウレタンフォーム11そのものとしては従来例1と大差無い数値となっている。これは、硬質ポリウレタンフォーム11の流動がスムーズに行われて、硬質ポリウレタンフォーム11が持つ実力通りの物性が得られているものと考えられる。
(実施例4)
表1の実施例4は、真空断熱パネル12の厚みtを10mm、硬質ポリウレタンフォーム11の流動厚みTを25mmに設定した例である(T>2t)。この実施例4では、硬質ポリウレタンフォーム11を発泡した時、該当部近傍に未充填ボイドは発生せず、熱伝導率は18.5mW/m・K、全体密度からコア密度を減じた数値は3.3となり、やや差異はあるが従来例と大差無い数値となっている。これは、硬質ポリウレタンフォーム11の流動がスムーズに行われて、硬質ポリウレタンフォーム11が持つ実力通りの物性が得られているものと考えられる。
(比較例3)
表1の比較例3は、真空断熱パネル12の厚みtを15mm、硬質ポリウレタンフォーム11の流動厚みTを10mmに設定した例である(T<2t)。この比較例3では、硬質ポリウレタンフォーム11を発泡した時、該当部近傍には未充填ボイドが発生し、熱伝導率は19.4mW/m・Kと良くなく、全体密度からコア密度を減じた数値は5.1と高い結果となった。これは、急激な硬質ポリウレタンフォーム11の断熱厚みの変化によって、流動の際に発泡ガスを巻き込み、スキン層を形成し易く、フォームの状態は極めて悪くなり、また、局地的に密度も上昇し、熱伝導率が悪化したと考えられる。
(実施例5)
表1の実施例5は、真空断熱パネル12の厚みtを15mm、硬質ポリウレタンフォーム11の流動厚みTを30mmに設定した例である(T=2t)。この実施例5では、硬質ポリウレタンフォーム11を発泡した時、該当部近傍に未充填ボイドは発生せず、熱伝導率は18.5mW/m・K、全体密度からコア密度を減じた数値は3.4となり、硬質ポリウレタンフォーム11そのものとしては従来例1と大差無い数値となっている。これは、硬質ポリウレタンフォーム11の流動がスムーズに行われて、硬質ポリウレタンフォーム11が持つ実力通りの物性が得られているものと考えられる。
(実施例6)
表1の実施例6は、真空断熱パネル12の厚みtを15mm、硬質ポリウレタンフォーム11の流動厚みTを40mmに設定した例である(T>2t)。この実施例6では、硬質ポリウレタンフォーム11を発泡した時、該当部近傍に未充填ボイドは発生せず、熱伝導率は18.6mW/m・K、全体密度からコア密度を減じた数値は3.4となり、硬質ポリウレタンフォーム11そのものとしては従来例1と大差無い数値となっている。これは、硬質ポリウレタンフォーム11の流動がスムーズに行われて、硬質ポリウレタンフォーム11が持つ実力通りの物性が得られているものと考えられる。
表2の従来例2は、真空断熱パネルを搭載せず、硬質ポリウレタンフォーム11のみとした例である。従来例2では、注入口6の近傍における外観歪みは良好であり、目立った表層ボイドも見られず、硬質ポリウレタンフォーム11の抗圧力は0.15MPaと良好な数値を示した。
(比較例4)
表2の比較例4は、注入口6と真空断熱パネル12の端辺との距離Lが0mmの例である(L=0)。この比較例4では、注入口6と真空断熱パネル12の端辺とが一致していため、注入口6の近傍においては、大きな歪みが観察され、表層ボイドも点在し、抗圧力は0.07MPaと小さくフォーム強度が劣る結果となった。
(比較例5)
表2の比較例5は、注入口6と真空断熱パネル12の端辺との距離Lが10mmの例である(L=10)。この比較例5では、注入口6の近傍においては、歪みが観察され、表層ボイドも点在し、抗圧力は0.10MPaでフォーム強度がやや劣る結果となった。
(比較例6)
表2の比較例6は、注入口6と真空断熱パネル12の端辺との距離Lが15mmの例である(L=15)。この比較例6では、注入口6の近傍においては、小さい歪みが観察され、表層ボイドも小さいものが幾らか存在する結果となった。一方、硬質ポリウレタンフォーム11の抗圧力は、0.13MPaとなり、従来例2に近い値となった。
(実施例7)
表2の実施例7は、注入口6と真空断熱パネル12の端辺との距離Lが20mmの例である(L=20)。この実施例7では、真空断熱パネル部分は断熱厚が局所的に薄くなっているが、注入口6から流動距離が確保されているため、ウレタン増粘に大きな影響はなく、大きなボイドの発生も無かった。これよって、比較的良好な外観状態を確保し、且つ未充填ボイド等が無く、真空断熱パネルの断熱特性を発揮することが可能、つまり消費電力量の小さい冷蔵庫を提供することが可能と言える。また、硬質ポリウレタンフォーム11の注入口6から30mmの距離において採取したウレタンフォーム11の抗圧力を測定したところ、0.15MPaであり、真空断熱パネルを設置しない従来例2と同等の数値となった。
(実施例8)
表2の実施例8は、注入口6と真空断熱パネル12の端辺との距離Lが25mmの例である(L=20)。この実施例8では、真空断熱パネル部分は断熱厚が局所的に薄くなっているが、注入口6から流動距離が確保されているため、ウレタン増粘に大きな影響はなく、大きなボイドの発生も無かった。これによって、比較的良好な外観状態を確保し、且つ未充填ボイド等が無く、真空断熱パネルの断熱特性を発揮することが可能、つまり消費電力量の小さい冷蔵庫を提供することが可能と言える。また、硬質ポリウレタンフォームの注入口から30mmの距離において採取したウレタンフォームの抗圧力を測定したところ、0.15MPaであり、真空断熱パネルを設置しない従来例2と同等の数値となった。
表3の比較例6は、ポリオールAを60部、ポリオールCを20部、ポリオールDを5部、ポリオールEを15部配合した混合ポリオールに、水部数を0.5部、発泡剤であるシクロペンタンを18部加え、他の助剤とイソシアネート溶液とを反応させて発泡した例である。この配合は、炭酸ガス発生を抑制するために水部数を少なくし、シクロペンタン部数を多くして発泡効率を上げているものであり、熱伝導率改善に特化した組み合わせである。
(比較例7)
表3の比較例7は、比較例6に対して、ポリオールAを半減し、新規にポリオールBを追加し、水部数も1.1部に増量し、シクロペンタンの部数を16部とした例である。その結果、比較例7では、比較例6に対して、全体密度は低くなったが、低温寸法変化率が大きくなり、また、フォーム表面に表層ボイドが見受けられた。表層ボイドは冷蔵庫実機においては、外箱の凹みや歪に繋がる。
(比較例8)
表3の比較例8は、比較例7に対して、ポリオールAを無くし、ポリオールBを中心とする配合とし、水部数を1.4部と増量し、シクロペンタンを14部に減じた例である。その結果、比較例8では、比較例6に対して、全体密度は低くなったが、低温寸法変化率が大きくなり、また、フォーム表面に表層ボイドが見受けられた。
(比較例9)
表3の比較例9は、比較例6に対して、ポリオールAを若干減じて40部とし、ポリオールCおよびポリオールDを増加し、水部数を1.2部とし、シクロペンタン量を12部と減じた例である。
(実施例9)
表3の実施例9では、熱伝導率改善のために、シクロペンタン部数を15部に増加した。また、ポリオールEを増量しシクロペンタンとの相溶性が低いポリオール成分が、ポリオール成分全体の40%を占めるように配合した。また、流動性を向上する狙いで水部数を増加して1.5部とした。
(実施例10)
表3の実施例10では、実施例9に対して、水部数を1.8部とさらに増加し、それ以外の配合についてはそのままとした。その結果、注入量についてはさらなる低減を達成した。ただし、フォームの全体密度も小さくなっており、それに伴い圧縮強度も低下している。寸法安定性はさらに良好となった。
(実施例11)
表3の実施例11では、実施例10に対して、シクロペンタンとの相溶性の低いポリオールDの配合量を増加し、ポリオール全体に対して、シクロペンタンとの相溶性の低いポリオールの割合が50%以上となるように配合した。その結果、注入量については大幅な低減を達成した。また、全体密度が小さくなっているが、圧縮強度は大幅に改善し比較例に近い数値となり寸法安定性も良好な結果となっている。これは、シクロペンタンとの相溶性の低いポリオールを加える方が、シクロペンタンに対して気泡セルが、より不溶となり、発泡剤であるシクロペンタンが気泡セル内に十分封止されて、シクロペンタンと気泡セル内の可塑化効果が、より小さくなるためと考えられる。また、フォームの状態、熱伝導率についても良好であった。
Claims (6)
- 外箱及び内箱からなる箱体の前記外箱と前記内箱との間に形成される空間に真空断熱パネルが配置された状態で硬質ポリウレタンフォームが充填された断熱箱体において、
シクロペンタンとの溶解性の低い成分を40%以上有する混合物であるポリオール成分とイソシアネート成分とを、触媒、整泡剤、ポリオール混合物100重量部に対して1.2〜2.0重量部の水、及び13〜15重量部のシクロペンタンを組み合わせた混合発泡剤の中で反応させる硬質ポリウレタンフォームを用い、
前記外箱と前記内箱との間に形成される空間の前記真空断熱パネルが設置された面における前記硬質ポリウレタンフォームが流動する間隙として、前記真空断熱パネルの厚さの2倍以上の間隙を確保し、
前記硬質ポリウレタンフォームを充填するための注入口に最も近い前記真空断熱パネルの端辺が当該注入口から20mm以上離れるように前記真空断熱パネルを前記箱体内に配置され、前記硬質ポリウレタンフォームが充填されている
ことを特徴とする断熱箱体。 - 請求項1において、前記硬質ポリウレタンフォームの注入口から少なくとも500mm以上離れた硬質ポリウレタンフォームのスキン層の全体密度が30〜33kg/m3で、圧縮強度が0.1MPa以上で、空気中に70℃と−20℃の温度で24時間放置時後の寸法変化率が1.0%以下となる前記硬質ポリウレタンフォームを用いたことを特徴とする断熱箱体。
- 請求項1において、前記真空断熱パネルとして、バインダーを含まない無機繊維重合体を単体或いはプラスチックフィルムからなる内袋内に収納した芯材と、前記芯材を収納して内部を減圧し周縁部を溶着して封止したラミネートフィルムからなる外包材とを備えた真空断熱パネルを用いたことを特徴とする断熱箱体。
- 外箱及び内箱からなる箱体を形成し、この箱体の前記外箱と前記内箱との間に形成される空間に真空断熱パネルを配置した状態で硬質ポリウレタンフォームを充填して断熱箱体を形成する断熱箱体の製造方法において、
シクロペンタンとの溶解性の低い成分を40%以上有する混合物であるポリオール成分とイソシアネート成分とを、触媒、整泡剤、ポリオール混合物100重量部に対して1.2〜2.0重量部の水、及び13〜15重量部のシクロペンタンを組み合わせた混合発泡剤の中で反応させる硬質ポリウレタンフォームを用い、
前記外箱と前記内箱との間に形成される空間の前記真空断熱パネルが設置された面における前記硬質ポリウレタンフォームが流動する間隙として、前記真空断熱パネルの厚さの2倍以上の間隙を確保し、
前記硬質ポリウレタンフォームを充填するための注入口に最も近い前記真空断熱パネルの端辺が当該注入口から20mm以上離れるように前記真空断熱パネルを前記箱体内に配置し、この状態で前記硬質ポリウレタンフォームを充填する
ことを特徴とする断熱箱体の製造方法。 - 請求項4において、前記硬質ポリウレタンフォームの注入口から少なくとも500mm以上離れた硬質ポリウレタンフォームのスキン層の全体密度が30〜33kg/m3で、圧縮強度が0.1MPa以上で、空気中に70℃と−20℃の温度で24時間放置時後の寸法変化率が1.0%以下となる前記硬質ポリウレタンフォームを用いることを特徴とする断熱箱体の製造方法。
- 請求項4において、前記真空断熱パネルとして、バインダーを含まない無機繊維重合体を単体或いはプラスチックフィルムからなる内袋内に収納した芯材と、前記芯材を収納して内部を減圧し周縁部を溶着して封止したラミネートフィルムからなる外包材とを備えた真空断熱パネルを用いることを特徴とする断熱箱体の製造方法。
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