JP2007285539A - 空調システム - Google Patents

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Abstract

【課題】換気に伴う顕熱負荷および除湿や加湿の潜熱負荷を処理するためのエネルギー消費量を低減するとともに、室内に長時間晒されても快適な室内環境を作り出す。
【解決手段】例えば、室内を除湿・冷房する夏季運転モードにおいては、外調機2によって換気および除湿がなされるとともに、空調機3によって冷房および除湿がなされ、制御装置4によって、外調機2は、該外調機2に配設された湿度計20の検出湿度が所定範囲内になる除湿運転を行うように制御され、空調機3は、該空調機3に配設された温度計21の検出温度が下限設定値以下となった状態で空調機の圧縮機19を運転停止または運転能力の低減をし、その後前記温度計21の検出温度が上限設定値以上となった状態で前記圧縮機19を運転再開または運転能力を通常運転に戻すように制御されるようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は、外調機と空調機とを連携的に制御することによって換気および室内空気の温度・湿度調整を行い、快適な室内環境を維持する空調システムに関する。
近年、地球温暖化の傾向が顕著となっており、その対策として主たる温室効果ガスである二酸化炭素の排出量を削減すべく電力および化石燃料の高効率使用による省エネルギー活動が進められている。このような省エネルギー活動の一環として、民生分野(家庭、業務)では住宅やオフィスビルの高気密化がなされ、空調効率の向上が図られるようになったが、反面シックハウス症候群(家具・建材から発生する有害化学物質による健康被害)が発生し易くなったため、住宅やオフィスなどでの24時間連続の換気が義務付けられるようになった。
ところが、24時間連続の換気には、エネルギー消費の観点から以下の問題点が有する。すなわち、夏季や梅雨時においては、高温多湿の外気が直接室内へ導入されると、空調機の除湿・冷房運転が高負荷となり、空調機のエネルギー消費量が増大する。冬季においても同様に、低温低湿の外気が直接室内へ導入されると、空調機の加湿・暖房運転が高負荷となり、空調機のエネルギー消費量が増大する。
前述の空調機による除湿・加湿運転は、以下の理由からエネルギー消費量が大幅に増大する問題がある。例えば除湿運転について詳述すると、空調機は処理対象の空気を露点以下まで冷却し、空気中の水蒸気を水に凝縮(潜熱除去)して分離することによって除湿がなされ、その後この低温化した空気を再加熱するなどの非効率な運転が行われている。理論的に検討すると、作動媒体の蒸発温度Tevaと凝縮温度Tconとを用いて次式から求まる空調機の冷房時理論COP(成績係数)は、蒸発温度Tevaを露点以下とする除湿運転の場合、小さな値となり、エネルギー効率が悪くなる。
冷房時理論COP =Teva/(Tcon−Teva)(但し、温度は絶対温度)
従って空調機による除湿負荷を減少できれば、空調機は単に流通空気の温度調整をするだけで良く、凝縮潜熱を除去する負荷をはじめ、低温度領域まで空気を冷却する負荷からも開放される。
さらに具体例を用いて詳述すると、夏季運転において、気温33℃、相対湿度60%の外気を、気温26℃、相対湿度50%まで冷却する場合、室内空気の露点は15℃程度となり、Teva=5℃、Tcon=43℃と仮定すれば、理論COPは、
(理論COP)=(5+273)/(43−5)=7.3 となる。
これに対し、除湿を不要とした場合は、Teva=16℃、Tcon=43℃ と見積もれるから、(理論COP)=(16+273)/(43−16)=12.2 となり、理論効率は67%上昇する。さらに、冷却負荷総量は凝縮熱分が入らないので空調機のエネルギー消費量が大幅に改善することが可能となる。
同様に、冬季や乾燥季には空調機の暖房負荷は変わらないものの、乾燥した外気を加湿するためのエネルギー消費量が増大する問題があった。室内加湿には超音波加湿装置などが用いられるが、最終的に加湿分の蒸発潜熱によって室内空気温度が低減するため、この熱量に相当する電力を消費するという問題があった。そのため、室内から室外へ排出される空気に含まれる水分を分離回収して、これを室外からの給気に添加すれば、加湿に伴う空調負荷が低減し、大幅な省エネルギーが実現できる。
従来より、上述のような空調負荷を低減して省エネルギーを図るようにした空調装置がいくつか提案されている。例えば、下記特許文献1では、室内の湿度を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された湿度が所定値以上の場合、換気扇を始動させる制御信号を発生する制御信号発生手段と、前記制御信号発生手段から入力された信号に応じて換気扇の駆動を行う換気駆動手段と、を具備する換気制御装置が提案されている。
また、下記特許文献2では、空調空間の室内空気を循環させて処理する空調機と、外気を処理して上記空調空間内に導く外調機とを有し、上記外調機は、上記外気中の水分を吸着し、室内空気によって再生されるデシカントと、該デシカントを再生する熱源となるヒートポンプとを有し、さらに、上記空調空間の湿度を検出する湿度センサと、この湿度センサの検出値に基づいて上記ヒートポンプの運転を制御する制御装置とを有する空調システムが提案されている。
下記特許文献3では、所定空間の温度が一定になるように空気調和動作を連続的に行っている連続運転状態での上記所定空間に居るある複数の人間が感じた温冷感および快適感を求め、上記所定空間における上記空気調和動作を所定時間だけ強制的に停止させて運転を間欠動作させた状態での上記所定空間に居る上記複数の人間が感じた温冷感および快適感と、上記連続運転状態での上記所定空間に居る上記複数の人間が感じた温冷感および快適感とが同程度になるような上記間欠動作の停止時間と運転時間とを予め求め、上記所定空間の温度の如何に拘わらず、上記求めた上記間欠動作の停止時間と運転時間によって、上記所定空間における上記空気調和動作を間欠動作させ、上記間欠動作による空気調和がなされている上記所定空間に居る上記複数の人間が、上記連続運転状態での上記所定空間に居る場合に比べて、快適さが損なわれたと感じないようにした空気調和機が提案されている。
特開平8−189677号公報 特開平9−318128号公報 特開2005−257270号公報
しかしながら、上記特許文献1によれば、室内の湿度に応じて適切な換気が行われるようになるが、24時間の強制的な換気が必要な場合、夏季や冬季の外気を直接導入しなければならず、室内に湿度調整装置を設置し、湿度を調整する必要があるため、エネルギーを大きく消費する問題があった。
上記特許文献2によれば、外調機と空調機とを連携させて、主に外調機により湿度を、空調機により温度を調整するようにして省エネルギー性が向上できるが
、デシカントの再生に専用のヒートポンプを設置する必要があることと、24時間換気や加湿・暖房運転という冬季を含めた通年運用が考慮されていないなどの問題を有する。
上記特許文献3では、空調機を間欠動作させて運転・停止を繰り返すことによって室温を一定に保つようにしているが、換気を伴う場合には空調機の停止により室温とともに相対湿度も上昇するため、快適性の確保に問題があった。
一方、今までの空調装置は、温度管理を軸とした一元的観点から制御を行う空調であるように思われる。ところが、人間の感性においては、主に温度と湿度を同時に認識して「暑い」、「寒い」、「ベタベタする」、「カサカサする」などの体感によって快適か否かを判断している。
特に空調に対する感性は経時的変化の影響を受ける傾向にある。すなわち、「最初はスーッとして気持ちよかったが寒すぎる」などのように、その環境に入った初期の段階と、その環境に長時間さらされた後の段階では、同じ環境でも感じ方が異なる。そのため、気温や湿度に適度な「ゆらぎ」を与えることで快適感を呼び覚ますような工夫を行う空調システムも散見される。例えば、夏季の暑い日中に屋外から空調の効いた建物内に入った瞬間には、温度差を大きくとった低温送風を行う空調環境(例えばデパートやビルエントランス)が心地よいが、その様な環境に長く居れば非常に苦痛となる。また、プールなどの施設では低温とする代わりに湿度を下げることで快適感を得るという工夫を行うケースもある。
この様に、室内空調においては、その場所に居る居住者の状況を経時的に考慮することも重要な要素の一つであるが、従来は湿度調整と温度調整とを単独の空調機で行うことが多かったため、必ずしも快適な環境を作り出すことができず、エネルギー消費という面からも極めて非効率な空調が行われていた。
前述の通り、従来の空調装置は主に温度調整を主とする一元管理的な空調システムであったため、室内の湿度調整を行う場合には余計なエネルギーが消費されていた。さらに加えて、今日のシックハウス症候群などの健康被害を防止すべく義務づけられた24時間連続換気は、空調効率が損なわれるため省エネルギー化が不可欠となっている。
そこで本発明の主たる課題は、24時間(通年)又は連続する換気を前提とする空調システムにおいて、換気に伴う顕熱負荷および除湿や加湿の潜熱負荷を処理するためのエネルギー消費量を低減するとともに、室内に長時間さらされても快適な室内環境を作り出すことができ、コンパクトかつ簡易な設備により設備コストを抑えた空調システムを提供することにある。
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、外気を室内へ供給する給気ダクトおよび室内空気を室外へ排出する排気ダクトと、除湿材を内蔵し、前記給気ダクトに配置された流路と前記排気ダクトに配置された流路との流通空気間で湿度交換可能とした湿度交換部から構成される外調機と、
室内空気を循環させる循環流路を設けるとともに、その途中に送風機を設け、前記循環流路の流通空気を温度調整するため冷媒が循環する冷媒流路を形成し、この冷媒流路に蒸発器、膨張弁、凝縮器および圧縮機が設けられた空調機と、
前記外調機の湿度交換部を通過した前記給気ダクト内の空気湿度を計測する湿度計および前記空調機を通過した前記循環流路内の空気温度を計測する温度計による測定値に基づいて、前記外調機および空調機の運転状態を制御する制御装置とを備えた空調システムであって、
室内を除湿・冷房する夏季運転モードにおいては、前記外調機によって換気および除湿がなされるとともに、前記空調機によって冷房および除湿がなされ、前記制御装置によって、前記外調機は前記湿度計の検出湿度が所定範囲内になる除湿運転を行うように制御され、前記空調機は前記温度計の検出温度が下限設定値以下となった状態で前記圧縮機を運転停止または運転能力の低減をし、その後前記温度計の検出温度が上限設定値以上となった状態で前記圧縮機を運転再開または運転能力を通常運転に戻すように制御され、
室内を加湿・暖房する冬季運転モードにおいては、前記外調機によって換気および加湿がなされるとともに、前記空調機によって暖房および加湿がなされ、前記制御装置によって、前記外調機は前記湿度計の検出湿度が所定範囲内になる加湿運転を行うように制御され、前記空調機は前記温度計の検出温度が上限設定値以上となった状態で前記圧縮機を運転停止または運転能力の低減をし、その後前記温度計の検出温度が下限設定値以下となった状態で前記圧縮機を運転再開または運転能力を通常運転に戻すように制御されることを特徴とする空調システムが提供される。
請求項2に係る本発明として、外気を室内へ供給する給気ダクトおよび室内空気を室外へ排出する排気ダクトと、除湿材を内蔵し、前記給気ダクトに配置された流路と前記排気ダクトに配置された流路とを切り換えることによって両流路の流通空気間で湿度交換可能とした湿度交換部と、両ダクトを流れる流通空気間で熱交換可能とした熱交換部とから構成される外調機と、
室内空気を循環させる循環流路を設けるとともに、その途中に送風機を設け、前記循環流路の流通空気を温度調整するため冷媒が循環する冷媒流路を形成し、この冷媒流路に蒸発器、膨張弁、凝縮器および圧縮機が設けられた空調機と、
前記外調機の湿度交換部を通過した前記給気ダクト内の空気湿度を計測する湿度計および前記空調機を通過した前記循環流路内の空気温度を計測する温度計による測定値に基づいて、前記外調機および空調機の運転状態を制御する制御装置とを備えた空調システムであって、
室内を除湿・冷房する夏季運転モードにおいては、前記外調機によって換気および除湿がなされるとともに、前記空調機によって冷房および除湿がなされ、前記制御装置によって、前記外調機は前記湿度計の検出湿度が所定範囲内になる除湿運転を行うように制御され、前記空調機は前記温度計の検出温度が下限設定値以下となった状態で前記圧縮機を運転停止または運転能力の低減をし、その後前記温度計の検出温度が上限設定値以上となった状態で前記圧縮機を運転再開または運転能力を通常運転に戻すように制御され、
室内を加湿・暖房する冬季運転モードにおいては、前記外調機によって換気および加湿がなされるとともに、前記空調機によって暖房および加湿がなされ、前記制御装置によって、前記外調機は前記湿度計の検出湿度が所定範囲内になる加湿運転を行うように制御され、前記空調機は前記温度計の検出温度が上限設定値以上となった状態で前記圧縮機を運転停止または運転能力の低減をし、その後前記温度計の検出温度が下限設定値以下となった状態で前記圧縮機を運転再開または運転能力を通常運転に戻すように制御されることを特徴とする空調システムが提供される。
上記請求項1、2記載の本発明では、前記制御装置によって、前記夏季運転モードにおいては、前記外調機は前記湿度計の検出湿度が所定範囲内になる除湿運転を行うように制御され、前記空調機は前記温度計の検出温度が下限設定値以下となった状態で前記圧縮機を運転停止または運転能力の低減をし、その後前記温度計の検出温度が上限設定値以上となった状態で前記圧縮機を運転再開または運転能力を通常運転に戻すように制御され、前記冬季運転モードにおいては、前記外調機は前記湿度計の検出湿度が所定範囲内になる加湿運転を行うように制御され、前記空調機は前記温度計の検出温度が上限設定値以上となった状態で前記圧縮機を運転停止または運転能力の低減をし、その後前記温度計の検出温度が下限設定値以下となった状態で前記圧縮機を運転再開または運転能力を通常運転に戻すように制御されることにより、24時間(通年)又は連続する換気を前提とする空調システムにおいて、外調機と空調機とを連携的に組み合わせて運転することにより、換気に伴う顕熱負荷および除湿や加湿の潜熱負荷を処理するためのエネルギー消費量が低減できるとともに、室内に長時間晒されても快適な室内環境を作り出すことができるようになる。
請求項3に係る本発明として、外気が前記湿度交換部に流入する直前に外気の加熱手段を有することを特徴とする請求項1、2いずれかに記載の空調システムが提供される。
上記請求項3記載の本発明では、冬季運転モードにおいて、外気が低温のため、湿度交換部の給気流路に内蔵した除湿材からの水分脱着が十分になされない問題を解消することが可能となる。
請求項4に係る本発明として、前記外調機の給気流路の外気取込み部に温度計を設置し、その指示値に基づいて前記夏季運転モードと前記冬季運転モードとを自動選択することを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の空調システムが提供される。
請求項5に係る本発明として、前記空調機は、前記循環流路の流通空気と熱交換を行う第1熱交換器を備えるとともに、前記外調機の排気ダクト内であって湿度交換部の流入前の流通空気と熱交換を行う第2熱交換器とを備え、かつ前記第1熱交換器と第2熱交換器とを巡る冷媒流路が設けられるとともに、この冷媒流路中に膨張弁と圧縮機とが配設され、前記夏季運転モードには前記第1熱交換器が蒸発器として、前記第2熱交換器が凝縮器又はその一部として作用し、前記冬季運転モードには前記第1熱交換器が凝縮器として、前記第2熱交換器が蒸発器又はその一部として作用することを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の空調システムが提供される。
上記請求項5記載の本発明では、夏季運転モードにおいては、前記第2熱交換器が凝縮器として作用することにより、湿度交換部へ流入する排気流路の流通空気が加熱され、前記湿度交換部の排気流路に配設された除湿材の再生が促進されるようになる。また、冬季運転モードにおいては、前記第2熱交換器が蒸発器として作用することにより、湿度交換部へ流入する排気流路の流通空気が冷却され、流通空気の相対湿度が上昇するので、前記湿度交換部の排気流路に配設された除湿材への水分吸着が促進されるようになる。
請求項6に係る本発明として、前記外調機の湿度交換部は、給気流路および排気流路を構成するための一方側ダクトと他方側ダクトとが近接する部位において、両ダクト間に跨るとともに、両ダクトが接続されたケーシング内に、除湿材が塗布、含浸又は接着されるとともに、通気性を有しない熱交換可能な多数の伝熱シートによって層状に区画された多数の流路が形成され、該層状の流路は、一方側ダクトと他方側ダクトとを繋ぐとともに、交差する2組の対角関係の内、一方側対角の関係で一方側ダクトと他方側ダクトとが連通され、他方側対角の関係で一方側ダクトと他方側ダクトとが閉鎖された第1流路と、他方側対角の関係で一方側ダクトと他方側ダクトとが連通され、一方側対角の関係で一方側ダクトと他方側ダクトとが閉鎖された第2流路とが交互に形成され、かつ前記第1流路と第2流路とが平面的にほぼ90度の方向角度差を持つとともに、前記第1流路、第2流路および前記ダクトと直交する軸の軸芯回りに回転可能に支持され、前記直交する軸の軸芯回りにほぼ90度回転させることにより前記第1流路を給気流路として一方側ダクトから他方側ダクトへ流通させ、前記第2流路を排気流路として一方側ダクトから他方側ダクトへ流通させる状態と、前記第2流路を給気流路として一方側ダクトから他方側ダクトへ流通させ、前記第1流路を排気流路として一方側ダクトから他方側ダクトへ流通させる状態とを交互に切り換え可能としたことを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の空調システムが提供される。
上記請求項6記載の本発明では、除湿材が塗布、含浸又は接着されるとともに、通気性を有しない熱交換可能な多数の伝熱シートによって層状に区画された多数の給気流路と排気流路とが形成されるため、給気流路における除湿材の水分吸着に伴う吸着熱は、除湿材に接触する伝熱シートを介して、排気流路の除湿材に熱伝導されるようになる。これにより、給気流路の除湿材は冷却されて水分吸着が促進されるとともに、排気流路の除湿材は加熱されて吸着した水分の脱着(再生)が促進されるようになり、除湿材の水分吸脱着が効率よく行えるとともに、エネルギー効率を向上することができるようになる。
さらに、前記湿度交換部を軸の軸芯回りにほぼ90度回転させることによって流路の切り換えが行われるようになっているので、湿度交換部をコンパクトかつ簡易な設備により設備コストを抑えることができるようになる。
請求項7に係る本発明として、前記外調機の湿度交換部は、前記給気ダクト及び排気ダクトの一方に、流路を構成するケーシング内部に除湿材を内蔵する第1湿度調整部が設けられ、他方に流路を構成するケーシング内部に除湿材を内蔵する第2湿度調整部が設けられ、前記第1湿度調整部と第2湿度調整部とが直接的または連結部材を介して一体的とされ、前記第1湿度調整部及び第2湿度調整部は、これらの中心部にダクト方向に沿って設けられた回転軸によって回転自在に支持され、前記回転軸を180度づつ正方向又は逆方向に回転させることにより、前記第1湿度調整部と第2湿度調整部とが入れ替わる流路構成としたことを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の空調システムが提供される。
上記請求項7記載の本発明では、前記第1の湿度調整部および第2湿度調整部は夫々ケーシングに収容された構造とし、除湿材の吸湿、再生の切り替えは前記それぞれの回転軸を中心として回転し入れ替えることにより行うようにしたため、複雑な流路構成が無くなり、コンパクトかつ簡易な設備により設備コストを抑えることができるようになる。
請求項8に係る本発明として、前記外調機の湿度交換部は、給気流路および排気流路を構成するための一方側ダクトと他方側ダクトとが近接する部位において、両ダクト間に跨るとともに両ダクトが接続された所定長さのケーシング内に、除湿材が塗布、含浸又は接着されるとともに、通気性を有しない熱交換可能な多数の伝熱シートによって層状に区画された多数の流路が形成され、該層状の流路は、一方側ダクトと他方側ダクトとを繋ぐとともに、交差する2組の対角関係の内、一方側対角の関係で一方側ダクトと他方側ダクトとが連通され、他方側対角の関係で一方側ダクトと他方側ダクトとが閉鎖された第1流路と、他方側対角の関係で一方側ダクトと他方側ダクトとが連通され、一方側対角の関係で一方側ダクトと他方側ダクトとが閉鎖された第2流路とが交互に形成され、かつ前記流路と平行する中心軸芯周りに支持された湿度交換部を配置し、前記湿度交換部を前記中心軸芯周りにほぼ180度回転させることにより、前記第1流路を給気流路として一方側ダクトから他方側ダクトへ流通させ、前記第2流路を排気流路として一方側ダクトから他方側ダクトへ流通させる状態と、前記第2流路を給気流路として一方側ダクトから他方側ダクトへ流通させ、前記第1流路を排気流路として一方側ダクトから他方側ダクトへ流通させる状態とを交互に切り換え可能とするか、前記湿度交換部を前記中心軸芯回りにほぼ180度回転させることにより、前記第1流路を給気流路として一方側ダクトから他方側ダクトへ流通させ、前記第2流路を排気流路として他方側ダクトから一方側ダクトへ流通させる状態と、前記第2流路を給気流路として一方側ダクトから他方側ダクトへ流通させ、前記第1流路を排気流路として他方側ダクトから一方側ダクトへ流通させる状態とを交互に切り換え可能としたことを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の空調システムが提供される。
上記請求項8記載の本発明では、多数の伝熱シートにより層状に区画された多数の給気流路と排気流路とが形成され、各流路の空気を相互に対向して流通させるか又は平行して流通させるようにした、いわば対向流型又は平行流型の湿度交換部である。このように、対向流型又は平行流型の湿度交換部とすることにより、換気に伴う顕熱負荷および除湿や加湿の潜熱負荷を処理するためのエネルギー消費量がさらに低減できる。なお、前記湿度交換部の流路長を所定の長さ確保することにより、伝熱シートによって熱交換が同時に行われるため、前記熱交換部(顕熱)を無くした外調機とすることができる。
請求項9に係る本発明として、前記外調機の熱交換部は、給気流路および排気流路を構成するための一方側ダクトと他方側ダクトとが近接する部位において、両ダクトに跨るとともに、両ダクトが接続されたケーシング内に、多数の伝熱板によって層状に区画された多数の流路が形成され、該層状の流路は、一方側ダクトと他方側ダクトとを繋ぐとともに、交差する2組の対角関係の内、他方側対角の関係で一方側ダクトと他方側ダクトとが連通され、一方側対角の関係で一方側ダクトと他方側ダクトとが閉鎖された第1流路と、一方側対角の関係で一方側ダクトと他方側ダクトとが連通され、他方側対角の関係で一方側ダクトと他方側ダクトとが閉鎖された第2流路とが交互に形成されたことを特徴とする請求項2〜8いずれかに記載の空調システムが提供される。
上記請求項9記載の本発明では、前記伝熱板で区画され、交互に形成された給気流路と排気流路との流通空気の温度差によって熱伝導が行われるようになる。そのため、排気流路を流通する外気は、給気流路を流通する室内空気との間で温度調整がされて室内へ供給されるようになり、換気に伴う顕熱負荷および除湿や加湿の潜熱負荷を処理するためのエネルギー消費量が低減できる。
請求項10に係る本発明として、前記外調機の熱交換部は、前記給気ダクト及び排気ダクトの一方に、流路を構成するケーシング内部に蓄熱材を内蔵する第1温度調整部が設けられ、他方に流路を構成するケーシング内部に蓄熱材を内蔵する第2温度調整部が設けられ、前記第1温度調整部と第2温度調整部とが直接的または連結部材を介して一体的とされ、前記第1温度調整部及び第2温度調整部は、これらの中心部にダクト方向に沿って設けられた回転軸によって回転自在に支持され、前記回転軸を180度づつ正方向又は逆方向に回転させることにより、前記第1温度調整部と第2温度調整部とが入れ替わる流路構成としたことを特徴とする請求項2〜8いずれかに記載の空調システムが提供される。
上記請求項10記載の本発明では、前記第1の温度調整部および第2温度調整部は夫々ケーシングに収容された構造とし、蓄熱材の蓄熱、放熱の切り替えは前記それぞれの回転軸を中心として回転し入れ替えることにより行うようにしたため、複雑な流路構成が無くなり、コンパクトかつ簡易な設備により設備コストを抑えることができる。
請求項11に係る本発明として、前記圧縮機は、インバーター制御によって任意に回転数を制御可能としたことを特徴とする請求項1〜10いずれかに記載の空調システムが提供される。
以上詳説のとおり本発明によれば、24時間(通年)又は連続する換気を前提とする空調システムにおいて、換気に伴う顕熱負荷および除湿や加湿の潜熱負荷を処理するためのエネルギー消費量が低減できるとともに、室内に長時間さらされても快適な室内環境を作り出すことができ、コンパクトかつ簡易な設備により設備コストを抑えた空調システムが提供される。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
〔第1形態例〕
図1は、本発明の第1形態例に係る空調システム1のシステム構成図である。
〔空調システム1の構成〕
本発明に係る空調システム1は、図1に示されるように、主に対象となる室内の換気を行う外調機2と、主に室内の空調を行う空調機3と、これら外調機2および空調機3の流通空気の状態を計測して外調機2および空調機3の運転状態を制御する制御装置4とから構成されている。
さらに具体的には、本発明に係る空調システム1は、図1に示されるように、それぞれ独立的に形成した外気を室内へ供給する給気ダクト(図示例では8→9’→8”)および室内空気を室外へ排出する排気ダクト(図示例では9”→8’→9)と、両ダクト間(図示例では給気ダクト8、9’および排気ダクト8’、9間)に跨るとともに、両ダクトが接続され、かつ除湿材7を内蔵し、前記給気ダクト8、9’に配置された流路(給気流路S)と前記排気ダクト8’、9に配置された流路(排気流路E)とを切り換えることによって両流路の流通空気間で湿度交換可能とした湿度交換部5と、両ダクト間(図示例では給気ダクト9’、8”および排気ダクト9”、8’間)に跨るとともに、両ダクトが接続され、両ダクトを流れる流通空気間で熱交換可能とした熱交換部6とから構成される外調機2と、室内空気を循環させる循環流路Cを設けるとともに、その途中に送風機15を設け、前記循環流路Cの流通空気を温度調整するため冷媒が循環する冷媒流路Rを形成し、この冷媒流路Rに蒸発器16、膨張弁17、凝縮器18および圧縮機19が設けられた空調機3と、前記外調機2の湿度交換部5を通過した前記給気ダクト9’内の空気湿度を計測する湿度計20および前記空調機3を通過した前記循環流路C内の空気温度を計測する温度計21による測定値に基づいて、前記外調機2および空調機3の運転状態を制御する制御装置4とが設けられたものである。
以下、各部の構成についてさらに詳述する。
(外調機2の構成)
まずはじめに、本発明の第1形態例に係る前記外調機2の前記湿度交換部5の構成について詳述する。本発明に係る第1形態例に係る湿度交換部5は、図2〜図6に示されるように、給気流路Sおよび排気流路Eを構成するための一方側ダクト8、8’と他方側ダクト9、9’とが近接する部位において、両ダクト間に跨るとともに、両ダクトが接続されたケーシング10内に、除湿材7が塗布、含浸又は接着されるとともに、通気性を有しない熱交換可能な多数の伝熱シート11、11…によって層状に区画された多数の流路が形成され、該層状の流路は、一方側ダクト8、8’と他方側ダクト9、9’とを繋ぐとともに、交差する2組の対角関係(一方側対角8、9’および他方側対角8’、9)の内、図3に示されるように、一方側対角の関係で一方側ダクト8と他方側ダクト9’とが連通され、他方側対角の関係で一方側ダクト8’と他方側ダクト9とが閉鎖された第1流路(図示例では給気流路Sとして使用)と、図4に示されるように、他方側対角の関係で一方側ダクト8’と他方側ダクト9とが連通され、一方側対角の関係で一方側ダクト8と他方側ダクト9’とが閉鎖された第2流路(図示例では排気流路Eとして使用)とが交互に形成され、かつ前記第1流路と第2流路とが平面的にほぼ90度の方向角度差を持つとともに、前記第1流路、第2流路および前記ダクト8…、9…と直交する軸12の軸芯回りに回転可能に支持された、いわば直交流型の湿度交換部5である。
そして、本発明の第1形態例に係る湿度交換部5は、前記直交する軸12の軸芯回りにほぼ90度回転させることにより前記第1流路を給気流路Sとして一方側ダクト8から他方側ダクト9’へ流通させ、前記第2流路を排気流路Eとして一方側ダクト8’から他方側ダクト9へ流通させる状態と、前記第2流路を給気流路Sとして一方側ダクト8から他方側ダクト9’へ流通させ、前記第1流路を排気流路Eとして一方側ダクト8’から他方側ダクト9へ流通させる状態とを交互に切り換え可能としている。
すなわち、本発明の第1形態例に係る湿度交換部5は、図5、図6に示されるように、円筒形状のケーシング10内に、多数の伝熱シート11、11…によって、第1流路および第2流路(前記給気流路S、排気流路E)が多数の層状に区画されて形成されており、この湿度交換部5を前記軸12の軸芯回りにほぼ90度回転させることにより、流路の切り換えが行われ、内蔵する除湿材7の吸湿と再生とが交互になされるようになっている。
前記除湿材7には、従来より公知のシリカゲル、ゼオライト、高分子除湿材などを使用することができる。特に本発明では、これら各種除湿材の内、35℃等温吸着線図(図24参照)において、相対湿度約60%以上の湿度領域での最大吸湿量が相対湿度約30%以下の湿度領域での最大吸湿量の2倍以上のものとすることが望ましい。このような物性値を有する除湿材としては、特定量のカリウム塩型カルボキシル基を含有し、かつ架橋構造を有する有機高分子の吸放湿性重合体から構成される高分子除湿材、例えば特開2005−21840号公報に開示されるものを使用することができる。これによって、流通する空気の十分な除湿および加湿が可能になり、湿度交換部5を小型化することも可能となる。
前記伝熱シート11は、前述のように一方の面側に配設された除湿材の吸着熱を他方の面側の除湿材に効率よく伝導させるため、鉄鋼材料や非鉄鋼材料の金属材料または非金属材料など各種工業材料のうち熱伝導性に優れたもの、好ましくは、熱伝導率170kcal/mh℃以上である材料を使用する。また、一方の流路を流通する流通空気やそれに含まれる水分が他方の流路に流入するのを防止するため、前記伝熱シート11は、空気や水分を透過しない材料を使用する。
前記伝熱シート11には、その両面に、シリカゲル等の除湿材7が塗布、含浸又は接着されるようにする。具体的には、除湿材をバインダーと混合した後に塗布するか、ガラス繊維、植物繊維、動物繊維及び/又は化学繊維などの繊維状シートに直径0.1mm以下の微細粒子状とした除湿材を懸濁させた懸濁液を含浸後、乾燥固定するか、粉粒状にした除湿材を接着剤等により層状に接着することによって定着させることが望ましい。
また、前記伝熱シート11に除湿剤を塗布、含浸又は接着する構成に代えて、粉粒状にしたシリカゲル等の除湿材と、通気性を確保するために例えば中空状に形成した充填物との混合物が、前記伝熱シート11の配設位置に隣接する各流路に前記伝熱シートと接するように充填されるとともに、その出入口を前記除湿材および充填物の外形寸法より小さな開口を有する通気性の膜または網により塞がれることによって配設されるようにしてもよい。
このようにして伝熱シート11の両面に配設された除湿材7は、一方側面に配設された除湿材7によって流通空気の除湿がなされると同時に、他方側面に配設された除湿材7によって流通空気の加湿がなされるようになっている。伝熱シート11の一方側面に配設された除湿材7の吸湿熱(除湿材の水分吸着に伴う温度上昇)は、伝熱シート11を熱伝導して他方側面の除湿材7を加熱して、この除湿材の水分脱着作用を促進させている。
以上のように、本発明の第1形態例に係る湿度交換部5は、除湿材7が塗布、含浸又は接着されるとともに、通気性を有しない熱交換可能な多数の伝熱シート11によって層状に区画された多数の給気流路Sと排気流路Eとが形成されるため、給気流路Sにおける除湿材7の水分吸着に伴う吸着熱は、除湿材7に接触する伝熱シート11を介して、排気流路Eの除湿材7に熱伝導されるようになる。これにより、給気流路Sの除湿材7は冷却されて水分吸着が促進されるとともに、排気流路Eの除湿材7は加熱されて吸着した水分の脱着(再生)が促進されるようになり、除湿材7の水分吸脱着が効率よく行えるとともに、エネルギー効率を向上することができるようになる。
さらに、前記湿度交換部5を軸12の軸芯回りにほぼ90度回転させることによって流路の切り換えが行われるようになっているので、湿度交換部5を単純な構造で、かつコンパクト化することができるようになる。
次に、本発明の第1形態例に係る前記外調機2の前記熱交換部6の構成について詳述する。本発明の第1形態例に係る前記熱交換部6は、図7〜図10に示されるように、給気流路Sおよび排気流路Eを構成するための一方側ダクト8’、8”と他方側ダクト9’、9”とが近接する部位において、両ダクトに跨るとともに、両ダクトが接続されたケーシング13内に、多数の伝熱板14、14…によって層状に区画された多数の流路が形成され、該層状の流路は、一方側ダクト8’、8”と他方側ダクト9’、9”とを繋ぐとともに、交差する2組の対角関係(一方側対角8’、9”および他方側対角9’、8”)の内、図8に示されるように、他方側対角の関係で一方側ダクト8”と他方側ダクト9’とが連通され、一方側対角の関係で一方側ダクト8’と他方側ダクト9”とが閉鎖された第1流路(図示例では給気流路Sとして使用)と、図9に示されるように、一方側対角の関係で一方側ダクト8’と他方側ダクト9”とが連通され、他方側対角の関係で一方側ダクト8”と他方側ダクト9’とが閉鎖された第2流路(図示例では排気流路Eとして使用)とが交互に形成され、前記第1流路を給気流路Sとして他方側ダクト9’から一方側ダクト8”へ流通させ、前記第2流路を排気流路Eとして他方側ダクト9”から一方側ダクト8’へ流通させるように形成した熱交換部6とすることが好ましい。
すなわち、本発明の第1形態例に係る熱交換部6は、図10に示されるように、ケーシング13内に、多数の伝熱板14、14…によって、前記給気流路Sおよび排気流路Eが多数の層状に区画されて形成されることにより、給気流路Sの流通空気と排気流路Eの流通空気とが伝熱板14を介して熱交換が行われるようになっている。
前記伝熱板14は、前記伝熱シート11と同様に、鉄鋼材料や非鉄鋼材料の金属材料または非金属材料など各種工業材料のうち熱伝導性に優れたものが好適に使用できる。また、一方の流路を流通する流通空気やそれに含まれる水分が他方の流路に流入するのを防止するため、前記伝熱板14は、空気や水分を透過しない材料を使用する。
以上のように、本発明の第1形態例に係る熱交換部6は、多数の伝熱板14、14…によって、前記給気流路Sおよび排気流路Eが多数の層状に区画されて形成されるため、室内空気によって温度調整された外気を室内に供給することができ、換気に伴う空調機3の顕熱負荷を低減することができるようになる。
(空調機3の構成)
続いて、本発明に係る空調機3の構成について詳述する。前記空調機3は、図1に示されるように、室内空気を循環させる循環流路Cの流通空気と熱交換を行う第1熱交換器K1を備えるとともに、前記外調機2の排気ダクト8’内であって湿度交換部5の流入前の流通空気と熱交換を行う第2熱交換器K2とを備え、かつ前記第1熱交換器K1と第2熱交換器K2とを巡る冷媒流路Rが設けられるとともに、この冷媒流路R中に膨張弁17と圧縮機19とが配設され、室内を除湿・冷房する夏季運転モードには前記第1熱交換器K1が蒸発器16として、前記第2熱交換器K2が凝縮器18又はその一部として作用し、室内を加湿・暖房する冬季運転モードには前記第1熱交換器K1が凝縮器18として、前記第2熱交換器K2が蒸発器16又はその一部として作用するようにしたものである。
このように、夏季運転モードにおいて、前記第2熱交換器K2が凝縮器18又はその一部として作用することにより、湿度交換部5へ流入する排気流路Eの流通空気が加熱され、前記湿度交換部5の排気流路Eに配設された除湿材7の再生が促進されるようになる。また、冬季運転モードにおいて、前記第2熱交換器が蒸発器16又はその一部として作用することにより、湿度交換部5へ流入する排気流路Eの流通空気が冷却され、流通空気の相対湿度が上昇するので、前記湿度交換部5の排気流路Eに配設された除湿材7への水分吸着が促進されるようになる。
また、前記圧縮機19は、インバーター制御によって任意に回転数の制御ができるようにすることが望ましい。これによって圧縮機19の運転能力を任意に変化させることができ、空調能力の管理が容易となる。
前記冷媒流路Rを循環する冷媒は、フルオロカーボン系冷媒、アンモニア、空気、二酸化炭素など公知のものを使用することができるが、冷凍能力や地球環境保護の観点から、使用条件に応じてアンモニア、空気または二酸化炭素とすることが望ましい。
(制御装置4の構成)
次に、本発明に係る制御装置4の構成について詳述する。前記制御装置4は、図1に示されるように、外調機2の湿度交換部5を通過した給気流路S内の空気湿度を計測する湿度計20と、前記空調機3を通過した循環流路C内の空気温度を計測する温度計21と、これら湿度計20および温度計21の測定値を基に、前記湿度交換部5および圧縮機19の運転状態を制御する制御装置本体22とから構成される。
前記湿度計20は、公知の湿度計、例えば湿度に応じて電気抵抗が変化する電気抵抗式湿度センサ、多孔質の高分子材料やセラミック材料からなる誘電体に吸着した水分に応じて電気容量が変化する電気容量式湿度センサ、プロトン伝導性の固体電解質セラミックスの隔壁両側の水蒸気圧力および酸素分圧に応じてネルンスト起電力が変化する濃淡電池型湿度センサ、サーミスタの電気抵抗変化から湿度を測定するサーミスタ式湿度センサまたは塩化リチウムの吸湿特性を利用した塩化リチウム露点計など各種の湿度計を使用することができる。
前記温度計21は、公知の温度計、例えばバイメタル式などの機械式温度センサ、電気抵抗式温度センサまたは熱電対式温度センサなど各種の温度計を使用することができる。
前記制御装置本体22は、前記湿度計20および温度計21からの電気信号を処理して、この計測値が所定範囲内になるように、湿度交換部5および圧縮機19の運転状態を制御する制御機構を備えている。
〔空調システム1の運転状態〕
次に、上述の構成からなる空調システム1の運転手順について詳述する。空調システム1は、室内を除湿・冷房する夏季運転モードにおいては、前記外調機2によって換気および除湿がなされるとともに、前記空調機3によって冷房および除湿がなされ、前記制御装置4によって、前記外調機2は前記湿度計20の検出湿度が所定範囲内になる除湿運転を行うように制御され、前記空調機3は前記温度計21の検出温度が下限設定値以下となった状態で前記圧縮機19を運転停止または運転能力の低減をし、その後前記温度計21の検出温度が上限設定値以上となった状態で前記圧縮機19を運転再開または運転能力を通常運転に戻すように制御されている。また、室内を加湿・暖房する冬季運転モードにおいては、前記外調機2によって換気および加湿がなされるとともに、前記空調機3によって暖房および加湿がなされ、前記制御装置4によって、前記外調機2は前記湿度計20の検出湿度が所定範囲内になる加湿運転を行うように制御され、前記空調機3は前記温度計21の検出温度が上限設定値以上となった状態で前記圧縮機19を運転停止または運転能力の低減をし、その後前記温度計21の検出温度が下限設定値以下となった状態で前記圧縮機19を運転再開または運転能力を通常運転に戻すように制御されている。
以下、前記夏季運転モードおよび冬季運転モードの場合に分けて詳述する。
(夏季運転モード)
まず、外調機2の給気流路Sでは、高温多湿の外気が、給気ファン(図示せず)によって給気ダクト8を通って湿度交換部5内に形成された多数の給気流路Sに分散して導かれ、この湿度交換部5内に内蔵する除湿材7と接触し除湿されながら流れる。その後、この湿度交換部5を通過した空気は、給気ダクト9’を通って熱交換部6の給気流路Sへ送られ、伝熱板14を介して排気流路Eを流通する室内空気との熱交換が行われて冷却された後、給気ダクト8”を通り室内へ供給される。他方、外調機2の排気流路Eでは、室内空気が排気ファン(図示せず)によって排気ダクト9”を通って熱交換部6の排気流路Eに導かれ、前記給気流路Sの流通空気と熱交換によって加熱された後、排気ダクト8’を通って湿度交換部5へ送られる。そして、湿度交換部5の排気流路Eに導入された流通空気は、内蔵する除湿材7から水分を脱着(再生)した後、外部へ排出される。
一方、空調機3では、送風機15によって室内空気が循環流路Cを通って空調機3内に導かれ、この流通空気は、圧縮機19によって冷媒が循環して冷却された蒸発器16を通過することによって冷却されて、その後室内へ供給される。
上述の外調機2と空調機3の運転によって、室内空気は、換気がなされるとともに、温度および湿度が低下する。一方、前記湿度交換部5の給気流路Sに配設された除湿材7には多量の水分が吸着し、除湿能力が低下するようになる。この除湿能力の低下は、制御装置4の湿度計20によって検知され、制御装置本体22は、湿度計20の測定値が上限設定値以上になった状態で、湿度交換部5の流路を切り換えるように、自動的に湿度交換部5に信号を送信するようになっている。この流路の切り換えは、前記湿度交換部5を前記軸12の軸芯回りにほぼ90度回転させることにより行われる。湿度交換部5では、流路が切り替わることによって、これまで給気流路Sとして使用していた前記第1流路が排気流路Eとなり、これまで排気流路Eとして使用していた前記第2流路が給気流路Sとなる。そして、給気流路Sで流通空気(給気)の除湿を行っていた除湿材7は、流通空気(排気)で水分を脱着して、再生が行われるようになる。
ところで、空調機3の運転によって、室内温度は低下し続け、所定温度以下になると居住者が寒さを感じるようになる。そこで、温度計21によって空調機3を通過した循環流路C内の流通空気温度を計測し、この測定値が下限設定値以下になったら、冷凍サイクルの圧縮機19を停止するかまたは運転能力を低減するようにする。これに伴い、循環流路Cに配設された蒸発器16の冷却が停止または低減し、流通空気の温度低下が抑止される。このとき、循環流路Cの送風機15は、常時運転するようにしておくことが望ましい。空調機3の送風状態を維持しておくことにより、室内空気が撹拌されるので、室内空気が滞留することがなく、常に快適な状態が維持できる。
その後、室内空気の温度が上昇し、上限設定値以上になったら、前記圧縮機19の運転を再開して、循環流路Cの流通空気を冷却する。このように、送風機15を常時運転して、室内空気の温度を温度計21により常に計測しているので、室内の快適な状態が維持できるようになる。
次に、図11に基づき、本発明に係る空調システム1の空気状態について詳述する。図11は、夏季運転モードにおける室内空気の湿り空気線図である。同図中、斜線領域は、室内空気の温度湿度の設定範囲である。
高温多湿の外気(A点:例えば30℃、相対湿度65%)は、湿度交換部5の給気流路Sに配設する除湿材7と接触して水分が吸着される。このとき、除湿材7は吸湿工程で発熱する。一方この給気流路Sと伝熱シート11を介して排気流路Eに配設する除湿材7は、熱交換部6によって昇温された排気によって再生され、このとき再生工程で吸熱する。給気流路Sにおける除湿材7が発熱した熱は、伝熱シート11を介して排気流路Eの除湿材7に伝熱され、排気流路Eの除湿材7の再生が促進される。
これによって、外調機2を通過して室内に供給する空気の状態は、C点(例えば28℃、相対湿度30%)の状態にすることができる。これによって、室内空気はB点(例えば24℃、相対湿度40%)の状態(下限設定値)に近づく。
この下限設定値になった状態で、空調機3は、圧縮機19の運転能力を低減する。すると、室内温度は上昇していくが、室内に供給される給気の絶対湿度は、湿度計20によりほぼ一定に制御されているので、室内空気の状態はB点から右方向へ水平に移動するようになる。すなわち、室温は上昇するが、相対湿度は低下するようになるため、居住者の体感での快適性はある程度維持されるようになる。
その後、室内空気が上限設定値まで上昇したら、圧縮機19の運転を通常運転に復帰する。これによって室内空気は、B点の状態を回復するようになる。
図12は、上述の夏季運転モードにおける実施例について、空調機3の負荷と室内空気の温度、湿度の変動を示した模式図である。
同図中、室温が下限設定値になった状態(X点)において、温度計21の測定結果に基づいて制御装置4は、空調機3の圧縮機19の運転能力を低減する。その結果、室内温度は徐々に上昇するが相対湿度は低下し、室内の快適性が保持される。その後、快適領域の上限設定値に近付いたら、空調機3の圧縮機19を通常運転に復帰して室内の快適性が維持できる。
(冬季運転モード)
冬季運転モードの場合、外調機2の流路構成については前述の夏季運転モードの場合と同様であるが、温湿度の授受という点で異なる。具体的には、給気流路Sでは、低温低湿の外気が、給気ファン(図示せず)によって給気ダクト8を通って湿度交換部5内に形成された多数の給気流路S…に分散して導かれ、この湿度交換部5内に内蔵する除湿材7と接触して加湿(除湿材7が再生)されながら流れる。その後この湿度交換部5を通過した空気は、給気ダクト9’を通って熱交換部6の給気流路Sへ送られ、伝熱板14を介して排気流路Eを流通する室内空気との熱交換が行われて加熱された後、給気ダクト8”を通り室内へ供給される。他方、外調機2の排気流路Eでは、室内空気が排気ファン(図示せず)によって排気ダクト9”を通って熱交換部6の排気流路Eに導かれ、前記給気流路Sの流通空気との熱交換によって冷却された後、排気ダクト8’を通って湿度交換部5へ送られる。湿度交換部5の排気流路Eに導入された流通空気は、内蔵する除湿材7に水分が吸着された後、外部へ排出される。
ここで、冬季においては、外気が低温のため、湿度交換部5の給気流路Sに内蔵した除湿材7からの水分脱着が十分になされない問題がある。そこで、図1に示されるように、外気が湿度交換部5に流入する直前に外気の加熱手段23を有するようにすることが望ましい。この加熱手段23は、電熱器などの公知の加熱器とすることができる。
一方、空調機3では、送風機15によって室内空気が循環流路Cを通って空調機3内に導かれ、この流通空気は、圧縮機19によって冷媒が循環して加熱された凝縮器18を通過することによって加熱され、その後室内へ供給される。
冬季運転モードにおいても、前述の夏季運転モードの場合と同様に、湿度計20の測定値に基づき湿度交換部5の流路切り換えが行われ、温度計21の測定値に基づき圧縮機19の運転制御が行われている。
なお、夏季運転モードと冬季運転モードの切り換えは、外調機2の給気流路Sの外気取込み部に温度計を設置し、その指示値に基づいて各運転モードを選択することが望ましい。
次に、冬季運転モードにおける室内空気の状態について、図13に基づき詳述する。同図中、斜線領域は、室内空気の温度湿度の設定範囲である。
低温低湿の外気G点(例えば0℃、相対湿度40%)は、給気流路Sにおいて加湿および加熱され、F点(例えば20℃、相対湿度45%)の状態で室内に供給される。これによって、室内空気はE点(例えば22℃、相対湿度40%)の状態(上限設定値)に近づく。
この上限設定値になった状態で、空調機3は、圧縮機19の運転能力を低減する。すると、室内温度は低下していくが、室内に供給される給気の絶対湿度は湿度計20によりほぼ一定に制御されているので、室内空気の状態はE点から左方向へ水平に移動するようになる。すなわち、室温は低下するが、相対湿度は上昇するようになるため、居住者の体感での快適性はある程度維持されるようになる。
その後、室内空気が下限設定値まで低下したら、圧縮機19の運転を通常運転に復帰する。これによって室内空気は、E点の状態を回復するようになる。
上述のように、空調機3の圧縮機19の運転能力を低減または運転を停止しても、湿度を制御することによって、室内居住者の体感での快適性はある程度維持できるので、空調機の消費エネルギーを大幅に低減することが可能となる。
〔第2形態例〕
本発明の第2形態例に係る空調システム1は、上記第1形態例の湿度交換部5を、図14〜図16に示されるように、外気を室内へ供給する給気ダクト8、8’及び室内空気を室外へ排出する排気ダクト9、9’の一方に、流路を構成するケーシング30内部に除湿材7を内蔵する第1湿度調整部31が設けられ、他方に流路を構成するケーシング32内部に除湿材7を内蔵する第2湿度調整部33が設けられ、前記第1湿度調整部31と第2湿度調整部33とが直接的または連結部材34を介して一体的とされ、前記第1湿度調整部31及び第2湿度調整部33は、これらの中心部にダクト方向に沿って設けられた回転軸35によって回転自在に支持され、前記回転軸35を180度づつ正方向又は逆方向に回転させることにより、前記第1湿度調整部31と第2湿度調整部33とが入れ替わる流路構成としたものである。
そして、モータ36によって前記回転軸35を180度づつ正方向又は逆方向に回転させることにより、前記第1湿度調整部31と第2湿度調整部33とが入れ替わる流路構成となっている。すなわち、前記給気流路Sにおいて、除湿材7が空気中の水分を吸着している間、前記排気流路Eにおいては、除湿材7が空気中に水分を放出する再生が行われ、前記第1湿度調整部31と第2湿度調整部33とを入れ替える運転パターンを繰り返すようになっている。
前記除湿材7は、上記形態例1記載の除湿材と同様に、従来より公知のシリカゲル、ゼオライト、高分子除湿材などを使用することができ、この除湿材7はそれぞれケーシング30、32内に通気可能に充填して使用される。前記湿度交換部5には、その入口および出口に、それぞれ通気性のメッシュが配置され、内蔵する除湿材7が外部へ流出しないようになっている。
以上のように、本発明の第2形態例に係る空調システム1は、湿度交換部5を、前記第1の湿度調整部31および第2湿度調整部33は夫々ケーシング30、32に収容された構造とし、除湿材の吸湿、再生の切り替えは前記回転軸35を中心として回転し入れ替えることにより行うようにしたため、複雑な流路構成が無くなり、設備コストやランニングコストを低減することが可能となる。
また、本第2形態例では、給気側流路と排気側流路とを夫々独立のケーシング30,32によって構成したが、従来より公知の単一ケーシングによるデシカント装置によって代用することが可能である。すなわち、単一ケーシング内に除湿材7を充填し、このデシカント装置を給気流路と排気流路とに跨るように配置するとともに、ダクト方向に沿って設けられた回転軸によって回転制御可能とし、所定時間経過時に回転軸を正方向又は逆方向に180°回転させることにより流路の入れ替えを行うようにしてもよい。
〔第3形態例〕
本発明の第3形態例に係る空調システム1は、上記第1形態例の湿度交換部5を、図17〜図20に示されるように、給気流路Sおよび排気流路Eを構成するための一方側ダクト8、8’と他方側ダクト9、9’とが近接する部位において、両ダクト間に跨るとともに両ダクトが接続された所定長さのケーシング50内に、除湿材7が塗布、含浸又は接着されるとともに、通気性を有しない熱交換可能な多数の伝熱シート11、11…によって層状に区画された多数の流路が形成され、該層状の流路は、一方側ダクト8、8’と他方側ダクト9、9’とを繋ぐとともに、交差する2組の対角関係(一方側対角8、9’および他方側対角8’、9)の内、図18に示されるように、一方側対角の関係で一方側ダクト8と他方側ダクト9’とが連通され、他方側対角の関係で一方側ダクト8’と他方側ダクト9とが閉鎖された第1流路(図示例では給気流路Sとして使用)と、図19に示されるように、他方側対角の関係で一方側ダクト8’と他方側ダクト9とが連通され、一方側対角の関係で一方側ダクト8と他方側ダクト9’とが閉鎖された第2流路(図示例では排気流路Eとして使用)とが交互に形成され、かつ前記流路と併行する軸51の軸芯周りに支持された湿度交換部5を配置したものとすることができる。
そして、本発明の第3形態例に係る湿度交換部5は、前記軸51の軸芯周りにほぼ180度回転させることにより、前記第1流路を給気流路Sとして一方側ダクト8から他方側ダクト9’へ流通させ、前記第2流路を排気流路Eとして一方側ダクト8’から他方側ダクト9へ流通させる状態と、前記第2流路を給気流路として一方側ダクト8から他方側ダクト9’へ流通させ、前記第1流路を排気流路Eとして一方側ダクト8’から他方側ダクト9へ流通させる状態とを交互に切り換え可能とするか、前記軸51の軸芯回りにほぼ180度回転させることにより、前記第1流路を給気流路Sとして一方側ダクト8から他方側ダクト9’へ流通させ、前記第2流路を排気流路Eとして他方側ダクト9から一方側ダクト8’へ流通させる状態と、前記第2流路を給気流路Sとして一方側ダクト8から他方側ダクト9’へ流通させ、前記第1流路を排気流路Eとして他方側ダクト9から一方側ダクト8’へ流通させる状態とを交互に切り換え可能としたものである。
すなわち、前記湿度交換部5は、図20に示されるように、円筒形状のケーシング50内に、多数の伝熱シート11、11…によって、第1流路および第2流路(給気流路S、排気流路E)が多数の層状に区画されて形成されており、この湿度交換部5を前記軸51の軸芯回りにほぼ180度回転させることにより、流路の切り換えが行われ、内蔵する除湿材7の吸湿と再生とが交互になされるようになっている。
前記除湿材7および伝熱シート11は、上記第1形態例に係る除湿材7および伝熱シート11と同様のものを使用することができる。
以上のように、本発明の第3形態例に係る空調システム1は、湿度交換部5を、通気性を有しない熱交換可能な多数の伝熱シート11、11…によって層状に区画された多数の流路が形成され、各流路の空気を相互に対向して流通させるか又は平行して流通させることによって、湿度交換の効果が向上できる。
特に、本形態例に係る外調機2は、前記湿度交換部の流路長を所定の長さ確保することにより、伝熱シートによって熱交換が同時に行われるため、例えば、前記湿度交換部5のケーシング50の流路に沿った長さ寸法を流路の幅寸法に対して2倍以上とすることにより、前記湿度交換部5において伝熱シート11を介して熱交換(顕熱)が同時に行われるようになり、熱交換部6を省略することが可能である。
〔第4形態例〕
本発明の第4形態例に係る空調システム1は、上記第1形態例の熱交換部6を、図21〜図23に示されるように、外気を室内へ供給する給気流路Sと、室内空気を室外へ排出する排気流路Eの途中に設けられ、前記給気流路S及び排気流路Eの一方に、流路を形成するためのケーシング36内部に蓄熱材37を内蔵する第1温度調整部38が設けられ、他方に流路を形成するためのケーシング39内部に蓄熱材37を内蔵する第2温度調整部40が設けられ、前記第1温度調整部38と第2温度調整部40とが直接的または連結部材41を介して一体的とされ、前記第1温度調整部38及び第2温度調整部40は、これらの中心部に流路方向に沿って設けられた回転軸42によって回転自在に支持され、前記回転軸42を180度づつ正方向又は逆方向に回転させることにより、前記第1温度調整部38と第2温度調整部40とが入れ替わる流路構成としたものである。
前記蓄熱材37は、一般的に知られているように、岩石、コンクリート、セラミックス、金属等の粒状物質や相変換物質 (PCM:Phase Change Material)などの蓄熱性能に優れた蓄熱体を内蔵しており、気体が通過する際に蓄熱体の放熱および蓄熱の作用により、通過する気体の温度調整を行うことができる。また、前記熱交換部6には、その入口および出口に、それぞれ通気性のメッシュが配置され、内蔵する蓄熱材37が外部へ流出しないようになっている。
以上のように、本発明の第4形態例に係る空調システム1では、熱交換部6を前記第1温度調整部38および第2温度調整部40は夫々ケーシング36、39に収容された構造とし、蓄熱材の蓄熱、放熱の切り替えは前記それぞれの回転軸42を中心として回転し入れ替えることにより行うようにしたため、複雑な流路構成が無くなり、設備コストやランニングコストを低減することが可能となる。
〔他の形態例〕
(1)本発明に係る空調システム1は、上記第1形態例〜第3形態例いずれかに記載された湿度交換部5と、上記第1形態例または第4形態例いずれかに記載された熱交換部6とを組み合わせて構成することができる。
(2)上記形態例1の湿度交換部5、上記形態例2の湿度交換部5、上記形態例3の湿度交換部5または上記形態例4の熱交換部6は、流路の切り替えを行う際、各ケーシングが各流路のダクト8、8’、9、9’と適正に接続される位置にあるかどうかを検出する、例えば近接スイッチ、リミットスイッチ等の検出器(図示せず)と、その検出した結果により各回転軸の回転角を制御する制御手段とを備えるようにすることができる。また、各ケーシングとこれに接続するダクト8、8’、9、9’との少なくとも1箇所以上において、各ケーシングとダクトとを固定するための固定手段(図示せず)を備えるようにすることが望ましい。
(3)上記形態例の湿度交換部5を、隣接した給気ダクトと排気ダクトとに跨るとともに除湿材7を内蔵した回転式のデシカントロータを配設し、このデシカントロータが連続して回転することにより、給気ダクトと排気ダクトとの流通空気間で湿度交換可能に形成してもよい。この構成により、湿度交換部5の流路の切り換えが不要になる。また、デシカントロータが連続して回転することにより、除湿材7の吸脱着が連続して繰り返され、湿度調整された空気が供給できるようになる。
本発明の第1形態例に係る空調システム1の構成図である。 本発明の第1形態例に係る湿度交換部5の側面図である。 その給気流路Sを示す水平断面図である。 その排気流路Eを示す水平断面図である。 本発明の第1形態例に係る湿度交換部5の斜視図である。 図3のVI-VI断面図である。 本発明の第1形態例に係る熱交換部6の側面図である。 その給気流路Sを示す水平断面図である。 その排気流路Eを示す水平断面図である。 本発明の第1形態例に係る熱交換部6の斜視図である。 夏季運転モードの空気線図である。 夏季運転モードの空調機負荷、室温および相対湿度の変動状態を示す模式図である。 冬季運転モードの空気線図である。 本発明の第2形態例に係る湿度交換部5の側面図である。 図14のXV-XV断面図である。 本発明の第2形態例に係る湿度交換部5の斜視図である。 本発明の第3形態例に係る湿度交換部5の側面図である。 その給気流路Sを示す水平断面図である。 その排気流路Eを示す水平断面図である。 本発明の第3形態例に係る湿度交換部5の斜視図である。 本発明の第4形態例に係る熱交換部6の側面図である。 図21のXXII-XXII断面図である。 本発明の第4形態例に係る熱交換部6の斜視図である。 除湿材の35℃における等温吸着線図の例を示した図である。
符号の説明
1…空調システム、2…外調機、3…空調機、4…制御装置、5…湿度交換部、6…熱交換部、7…除湿材、8・8’・8”・9・9’・9”…ダクト、15…送風機、19…圧縮機、20…湿度計、21…温度計、S…給気流路、E…排気流路、C…循環流路、R…冷媒流路

Claims (11)

  1. 外気を室内へ供給する給気ダクトおよび室内空気を室外へ排出する排気ダクトと、除湿材を内蔵し、前記給気ダクトに配置された流路と前記排気ダクトに配置された流路との流通空気間で湿度交換可能とした湿度交換部から構成される外調機と、
    室内空気を循環させる循環流路を設けるとともに、その途中に送風機を設け、前記循環流路の流通空気を温度調整するため冷媒が循環する冷媒流路を形成し、この冷媒流路に蒸発器、膨張弁、凝縮器および圧縮機が設けられた空調機と、
    前記外調機の湿度交換部を通過した前記給気ダクト内の空気湿度を計測する湿度計および前記空調機を通過した前記循環流路内の空気温度を計測する温度計による測定値に基づいて、前記外調機および空調機の運転状態を制御する制御装置とを備えた空調システムであって、
    室内を除湿・冷房する夏季運転モードにおいては、前記外調機によって換気および除湿がなされるとともに、前記空調機によって冷房および除湿がなされ、前記制御装置によって、前記外調機は前記湿度計の検出湿度が所定範囲内になる除湿運転を行うように制御され、前記空調機は前記温度計の検出温度が下限設定値以下となった状態で前記圧縮機を運転停止または運転能力の低減をし、その後前記温度計の検出温度が上限設定値以上となった状態で前記圧縮機を運転再開または運転能力を通常運転に戻すように制御され、
    室内を加湿・暖房する冬季運転モードにおいては、前記外調機によって換気および加湿がなされるとともに、前記空調機によって暖房および加湿がなされ、前記制御装置によって、前記外調機は前記湿度計の検出湿度が所定範囲内になる加湿運転を行うように制御され、前記空調機は前記温度計の検出温度が上限設定値以上となった状態で前記圧縮機を運転停止または運転能力の低減をし、その後前記温度計の検出温度が下限設定値以下となった状態で前記圧縮機を運転再開または運転能力を通常運転に戻すように制御されることを特徴とする空調システム。
  2. 外気を室内へ供給する給気ダクトおよび室内空気を室外へ排出する排気ダクトと、除湿材を内蔵し、前記給気ダクトに配置された流路と前記排気ダクトに配置された流路とを切り換えることによって両流路の流通空気間で湿度交換可能とした湿度交換部と、両ダクトを流れる流通空気間で熱交換可能とした熱交換部とから構成される外調機と、
    室内空気を循環させる循環流路を設けるとともに、その途中に送風機を設け、前記循環流路の流通空気を温度調整するため冷媒が循環する冷媒流路を形成し、この冷媒流路に蒸発器、膨張弁、凝縮器および圧縮機が設けられた空調機と、
    前記外調機の湿度交換部を通過した前記給気ダクト内の空気湿度を計測する湿度計および前記空調機を通過した前記循環流路内の空気温度を計測する温度計による測定値に基づいて、前記外調機および空調機の運転状態を制御する制御装置とを備えた空調システムであって、
    室内を除湿・冷房する夏季運転モードにおいては、前記外調機によって換気および除湿がなされるとともに、前記空調機によって冷房および除湿がなされ、前記制御装置によって、前記外調機は前記湿度計の検出湿度が所定範囲内になる除湿運転を行うように制御され、前記空調機は前記温度計の検出温度が下限設定値以下となった状態で前記圧縮機を運転停止または運転能力の低減をし、その後前記温度計の検出温度が上限設定値以上となった状態で前記圧縮機を運転再開または運転能力を通常運転に戻すように制御され、
    室内を加湿・暖房する冬季運転モードにおいては、前記外調機によって換気および加湿がなされるとともに、前記空調機によって暖房および加湿がなされ、前記制御装置によって、前記外調機は前記湿度計の検出湿度が所定範囲内になる加湿運転を行うように制御され、前記空調機は前記温度計の検出温度が上限設定値以上となった状態で前記圧縮機を運転停止または運転能力の低減をし、その後前記温度計の検出温度が下限設定値以下となった状態で前記圧縮機を運転再開または運転能力を通常運転に戻すように制御されることを特徴とする空調システム。
  3. 外気が前記湿度交換部に流入する直前に外気の加熱手段を有することを特徴とする請求項1、2いずれかに記載の空調システム。
  4. 前記外調機の給気流路の外気取込み部に温度計を設置し、その指示値に基づいて前記夏季運転モードと前記冬季運転モードとを自動選択することを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の空調システム。
  5. 前記空調機は、前記循環流路の流通空気と熱交換を行う第1熱交換器を備えるとともに、前記外調機の排気ダクト内であって湿度交換部の流入前の流通空気と熱交換を行う第2熱交換器とを備え、かつ前記第1熱交換器と第2熱交換器とを巡る冷媒流路が設けられるとともに、この冷媒流路中に膨張弁と圧縮機とが配設され、前記夏季運転モードには前記第1熱交換器が蒸発器として、前記第2熱交換器が凝縮器又はその一部として作用し、前記冬季運転モードには前記第1熱交換器が凝縮器として、前記第2熱交換器が蒸発器又はその一部として作用することを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の空調システム。
  6. 前記外調機の湿度交換部は、給気流路および排気流路を構成するための一方側ダクトと他方側ダクトとが近接する部位において、両ダクト間に跨るとともに、両ダクトが接続されたケーシング内に、除湿材が塗布、含浸又は接着されるとともに、通気性を有しない熱交換可能な多数の伝熱シートによって層状に区画された多数の流路が形成され、該層状の流路は、一方側ダクトと他方側ダクトとを繋ぐとともに、交差する2組の対角関係の内、一方側対角の関係で一方側ダクトと他方側ダクトとが連通され、他方側対角の関係で一方側ダクトと他方側ダクトとが閉鎖された第1流路と、他方側対角の関係で一方側ダクトと他方側ダクトとが連通され、一方側対角の関係で一方側ダクトと他方側ダクトとが閉鎖された第2流路とが交互に形成され、かつ前記第1流路と第2流路とが平面的にほぼ90度の方向角度差を持つとともに、前記第1流路、第2流路および前記ダクトと直交する軸の軸芯回りに回転可能に支持され、前記直交する軸の軸芯回りにほぼ90度回転させることにより前記第1流路を給気流路として一方側ダクトから他方側ダクトへ流通させ、前記第2流路を排気流路として一方側ダクトから他方側ダクトへ流通させる状態と、前記第2流路を給気流路として一方側ダクトから他方側ダクトへ流通させ、前記第1流路を排気流路として一方側ダクトから他方側ダクトへ流通させる状態とを交互に切り換え可能としたことを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の空調システム。
  7. 前記外調機の湿度交換部は、前記給気ダクト及び排気ダクトの一方に、流路を構成するケーシング内部に除湿材を内蔵する第1湿度調整部が設けられ、他方に流路を構成するケーシング内部に除湿材を内蔵する第2湿度調整部が設けられ、前記第1湿度調整部と第2湿度調整部とが直接的または連結部材を介して一体的とされ、前記第1湿度調整部及び第2湿度調整部は、これらの中心部にダクト方向に沿って設けられた回転軸によって回転自在に支持され、前記回転軸を180度づつ正方向又は逆方向に回転させることにより、前記第1湿度調整部と第2湿度調整部とが入れ替わる流路構成としたことを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の空調システム。
  8. 前記外調機の湿度交換部は、給気流路および排気流路を構成するための一方側ダクトと他方側ダクトとが近接する部位において、両ダクト間に跨るとともに両ダクトが接続された所定長さのケーシング内に、除湿材が塗布、含浸又は接着されるとともに、通気性を有しない熱交換可能な多数の伝熱シートによって層状に区画された多数の流路が形成され、該層状の流路は、一方側ダクトと他方側ダクトとを繋ぐとともに、交差する2組の対角関係の内、一方側対角の関係で一方側ダクトと他方側ダクトとが連通され、他方側対角の関係で一方側ダクトと他方側ダクトとが閉鎖された第1流路と、他方側対角の関係で一方側ダクトと他方側ダクトとが連通され、一方側対角の関係で一方側ダクトと他方側ダクトとが閉鎖された第2流路とが交互に形成され、かつ前記流路と平行する中心軸芯周りに支持された湿度交換部を配置し、前記湿度交換部を前記中心軸芯周りにほぼ180度回転させることにより、前記第1流路を給気流路として一方側ダクトから他方側ダクトへ流通させ、前記第2流路を排気流路として一方側ダクトから他方側ダクトへ流通させる状態と、前記第2流路を給気流路として一方側ダクトから他方側ダクトへ流通させ、前記第1流路を排気流路として一方側ダクトから他方側ダクトへ流通させる状態とを交互に切り換え可能とするか、前記湿度交換部を前記中心軸芯回りにほぼ180度回転させることにより、前記第1流路を給気流路として一方側ダクトから他方側ダクトへ流通させ、前記第2流路を排気流路として他方側ダクトから一方側ダクトへ流通させる状態と、前記第2流路を給気流路として一方側ダクトから他方側ダクトへ流通させ、前記第1流路を排気流路として他方側ダクトから一方側ダクトへ流通させる状態とを交互に切り換え可能としたことを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の空調システム。
  9. 前記外調機の熱交換部は、給気流路および排気流路を構成するための一方側ダクトと他方側ダクトとが近接する部位において、両ダクトに跨るとともに、両ダクトが接続されたケーシング内に、多数の伝熱板によって層状に区画された多数の流路が形成され、該層状の流路は、一方側ダクトと他方側ダクトとを繋ぐとともに、交差する2組の対角関係の内、他方側対角の関係で一方側ダクトと他方側ダクトとが連通され、一方側対角の関係で一方側ダクトと他方側ダクトとが閉鎖された第1流路と、一方側対角の関係で一方側ダクトと他方側ダクトとが連通され、他方側対角の関係で一方側ダクトと他方側ダクトとが閉鎖された第2流路とが交互に形成されたことを特徴とする請求項2〜8いずれかに記載の空調システム。
  10. 前記外調機の熱交換部は、前記給気ダクト及び排気ダクトの一方に、流路を構成するケーシング内部に蓄熱材を内蔵する第1温度調整部が設けられ、他方に流路を構成するケーシング内部に蓄熱材を内蔵する第2温度調整部が設けられ、前記第1温度調整部と第2温度調整部とが直接的または連結部材を介して一体的とされ、前記第1温度調整部及び第2温度調整部は、これらの中心部にダクト方向に沿って設けられた回転軸によって回転自在に支持され、前記回転軸を180度づつ正方向又は逆方向に回転させることにより、前記第1温度調整部と第2温度調整部とが入れ替わる流路構成としたことを特徴とする請求項2〜8いずれかに記載の空調システム。
  11. 前記圧縮機は、インバーター制御によって任意に回転数を制御可能としたことを特徴とする請求項1〜10いずれかに記載の空調システム。
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