JP2007285086A - 鉄筋コンクリート造外断熱建物の外壁構造、及び使用する断熱支持パネル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 複合パネル2でコンクリート外壁Wを外断熱被覆し、鉄筋コンクリート袖壁5や鉄筋コンクリートバルコニー床スラブSBを、断熱層3B(4B)に支持用Z筋1を貫通保持した断熱支持パネル3(4)によって、コンクリート外壁Wと熱遮断してZ筋1群のみによって片持ち支持する。
【選択図】 図1
Description
従来例1(図8)のバルコニー床スラブに於ける熱橋抑制手段は、図8(B),(C)に示す如く、断熱材上部に多数の長尺連結鉄筋群を串刺し状態で並列配置すると共に、断熱材下部には圧縮用鉄筋群を配置し、各圧縮用鉄筋の両端の支圧板を断熱材から突出させると共に、各ラチス筋を圧縮用鉄筋の近傍に配置して、ラチス筋の両側延長部を断熱材上部の長尺連結鉄筋間に並列延出した熱橋低減ユニットを、図8(A)に示す如く、バルコニー用型枠と住戸躯体用型枠とに差渡し状に配置して、コンクリート打設によりコンクリートバルコニーを熱橋低減用鉄筋ユニットで支持するものである。
即ち、図9(A)の従来例2にあっては、コンクリート袖壁の全外周を、コンクリート外壁同様に、断熱被覆用の複合パネルで被覆するものであり、図9(B)の従来例3にあっては、コンクリート外壁は複合パネルで断熱被覆するが、コンクリート外壁から突出した袖壁は、外断熱被覆することなく、コンクリート躯体内側、即ち、外壁の内側の、コンクリート袖壁からの熱橋作用を受ける部位に断熱材を貼着して、断熱機能を補強するものである。
また、バルコニー等の跳ね出し部は、大きさ、及び形状も様々であって、対応する鉄筋ユニットの準備が困難である。
しかも、型枠組み時には、住戸躯体側に配筋された鉄筋が邪魔になって、熱橋低減用鉄筋ユニットの配置、及び配筋固定が困難であり、バルコニー型枠及び住戸躯体型枠内での配筋組立てが困難、且つ煩雑な作業となる。
また、バルコニー床スラブと住戸躯体との境界面に熱橋低減用鉄筋ユニットを配置し、コンクリート躯体構築後に、コンクリート外壁に断熱材を張着する後貼り工法の外断熱建物となるため、汎用性が無い。
また、従来例3の、鉄筋コンクリート袖壁の構築手段にあっては、図9(B)に示す如く、袖壁は、複合パネルで被覆しないために、厚さが薄く出来るが、袖壁の熱橋を抑制するために、コンクリート躯体内面に断熱補強材を貼着することとなり、コンクリート躯体内での断熱補強では、熱橋の低減が25%程度しか期待出来ず、従来例2(図9(A))より熱橋低減率が低い。
また、図9(C)に示す如く、従来例2も従来例3も、共に、袖壁は耐力壁であって、袖壁の軸力(鉛直力)を土中の基礎梁に伝達するため、袖壁は、耐力壁としての厚さ(標準:180mm)が必要で、軸力を下方に伝達するため、袖壁に開口部(化粧窓)は配置出来ない。
本発明は、これら従来例1,2,3の問題点を、一挙に解決、又は改善するものであって、鉄筋コンクリートのバルコニー床スラブ、及び鉄筋コンクリート袖壁を、共に、コンクリート躯体に、熱橋作用を抑制して片持ち支持するものであって、外断熱鉄筋コンクリート建物から突出するバルコニー及び袖壁を合理的に構築する技術を提供するものである。
また、Z筋1は、被支持体側、即ち、バルコニーB又は袖壁5側から支持体側、即ち、コンクリート躯体CF側に亘って延出し、且つ、被支持体を片持ち支持する支持鉄棒であれば良く、単本形態でも良いが、典型的には、図7(B)に示す、3本の鉄筋を一体化したトラス形態である。
また、バルコニーBも、袖壁5も、Z筋1のみで片持ち支持するため、構造力学的には、バルコニーBと、袖壁5とは無干渉とするのが好ましいが、袖壁5とバルコニー床スラブSBとを隣接連続配置する場合にあっては、バルコニー床スラブSBの長辺方向上端筋を袖壁5内に延出して、両者の隣接部でのコンクリートひび割れを抑制することも可能である。
また、鉄筋コンクリートの、バルコニー床スラブSB、及び袖壁5は、コンクリート躯体CFと独立してZ筋1群のみによって片持ち支持されるため、バルコニー床スラブSB及び袖壁5の形態が自在に設計出来、袖壁5に意匠上の開口部すら配置出来、建築物としての設計の自由度が大となる。
を保って一体化固着したものが好ましい。
しかも、Z筋1は、工場生産品となるため、品質保証された、均質品として建築現場に供給出来、バルコニーや袖壁の、施工業者の相違による、安全性に欠けた構築上のバラツキが防止出来る。
この場合、バルコニー床スラブSBの型枠内での配筋作業にあって、長辺方向上端筋9Aの配筋固着は、最後の工程として実施出来るため、袖壁5の型枠内への延出固定作業は容易であり、バルコニー床スラブSBで重力による引張り応力を最大値で受ける上面部近傍が、袖壁5と上端筋9Aで一体化するため、バルコニー床スラブSBは、基端から先端まで、袖壁との一体化構造となり、バルコニー床スラブSB独自の撓み(標準:基端で0.3mm、先端で2.0mm)が袖壁5独自の撓み(標準:基端で0.001mm、先端で0.494mm)と合体され、バルコニー床スラブSBと袖壁5との接合部でのコンクリートひび割れが抑制出来る。
この場合、突出部APは、側方への屈曲でも、下方への屈曲でも良く、屈曲角は90°が好ましい。
そして、突出部APを屈曲させれば、屈曲突出部APのコンクリート躯体CF内への配置が、図2(B)の如く、外壁Wの厚さTW(標準:180mm)内でも可能となる。
従って、バルコニー床スラブSBは、居住部床スラブSAと段差を保つ形態、即ち、直線延伸した突出部APを居住部床スラブSA内で固定出来ない形態での付設が可能となり、コンクリート袖壁5も、図2(B)の如く、外壁Wへの付設が可能となり、バルコニー床スラブSB及びコンクリート袖壁5の突設位置が自在となる。
しかも、断熱支持パネル4は、工場での製作となるため、均質で、信頼性ある製品として準備出来、1枚のパネルに貫通保持するZ筋は少ない(標準:2本)ため、保管、運搬も容易であって、広範囲の施工現場への展開が可能であると共に、該断熱支持パネル4で構築した片持ち支持バルコニーBは、安全性の保証されたものとなる。
断熱支持パネルの断熱層4Bは、上下左右の複合パネル2の断熱層2Bや袖壁5を熱遮断する断熱層3Bと、面一に整合配置することにより、コンクリート外壁Wを均質に断熱被覆出来るものであるため、断熱層4Bの四周面にスリット溝4Gを備えておれば、型枠組み時に、隣接断熱層2B,3Bのスリット溝2G,2G´,3Gとの間に、図4に示す如く、十字ジョイント12の垂直ブレード12Fや、接合板3Aを嵌入することにより、位置決め作業が容易となり、且つ上下、左右接続状態の維持が容易となり、バルコニー床スラブSBの構築時の型枠構築作業が容易となる。
しかも、断熱支持パネル3は、バルコニー用の断熱支持パネル4同様に、工場生産となるため、均質で、信頼性ある製品として準備出来、1枚のパネルにZ筋1の配置本数が少ない(標準:1本)ため、保管、運搬も容易であって、遠隔地への展開も容易であって、該断熱支持パネル3を採用した片持ち支持袖壁5は、安全性の保証されたものとなる。
コンクリート袖壁の断熱支持パネル3は、コンクリート袖壁5の基端5b全面をコンクリート外壁Wと熱遮断すると共に、バルコニー床スラブSBの基端Bb面をコンクリート外壁Wと熱遮断する断熱層4B、及びコンクリート外壁Wを断熱被覆する複合パネル2の断熱層2Bと共に、コンクリート外壁表面Wfを隙間無く覆う必要がある。
そして、断熱耐火材3EでZ筋1を被覆すれば、断熱耐火材3Eと挿入用孔H1との間に若干の空隙が出来るが、現場発泡ウレタンで充填すれば、Z筋1は、若干の上下左右動が許容され、型枠組み時のZ筋1の位置の微調整が可能となり、Z筋1の配筋固定が容易となる。
従って、挿入用孔H1内への断熱耐火材3Eの被覆充填、現場発泡ウレタンの注入充填は、座板7がストッパーの役目を奏して作業が容易となり、Z筋1は座板7を支点として若干の上下左右回動が可能となって、配筋時の位置の微調整、及び位置固定作業が容易となる。
しかも、Zトラス筋1Mは、Z上端筋1Uの引張り応力対抗に助力する引張り応力対抗機能も奏する。
従って、本発明のZ筋1は、Z上端筋1UとZ下端筋1Dとの間への十分な応力中心距離L15の付与と相俟って、断熱支持パネル4では、バルコニー床スラブ基端Bbの曲げモーメントによる撓み量が極端に低減(標準:0.3mm以下)出来、断熱支持パネル3では、コンクリート袖壁基端5bの曲げモーメントによる撓み量が極端に低減(標準:0.001mm)出来、バルコニー床スラブSB、及びコンクリート袖壁5の強固な片持ち支持を可能とする。
この場合、Z筋1の全長全面に亘って、防蝕、断熱性のエポキシ樹脂塗料の耐火コート下塗材((株)エスケー化研、商品名)を、断熱性錆止め塗料1Bとして塗布し、断熱層3B,4B対応部位には、更に、SK耐火コート上塗材((株)エスケー化研、商品名)を耐火塗料1Aとして上塗りすれば良い。
しかも、断熱性錆止め塗料1Bは、コンクリート→Z筋1、の熱伝導を低減するため、該Z筋1で片持ち支持した、バルコニー床スラブSBやコンクリート袖壁5からコンクリート躯体CFへの熱橋作用も極端に低減出来る。
従って、コンクリート躯体CF側の突出部APが折曲したため、Z筋1の片持ち支持は、外壁W内への定着すら可能となり、バルコニー床スラブSBや袖壁5の付設位置が自在となり、建物設計の自由度が向上する。
図1は、本発明の外壁構造の一部切欠斜視図である。
図1に示す如く、コンクリート外壁Wは、壁厚(肉厚)TWが180mmで、階高1hが2700mmであり、外壁Wの外面Wfを厚さT1が87mmの複合パネル2で被覆しており、複合パネル2は、75mm厚の発泡プラスチック系断熱層2Bに12mm厚のマグネシウムセメント板を外装下地材2Aとして層着した、透湿性の密着型の複合パネルである。
また、袖壁5は、厚さT5が180mmで、階高1h(2700mm)の無開口壁であり、奥行きLBがバルコニーBと同じ1500mmであって、コンクリート袖壁支持用の、断熱層3BがZ筋1を貫通保持した断熱支持パネル3によって、コンクリート躯体CFの側面の耐力壁外壁Wから延長形態に、片持ち支持で突設したものである。
図7(A)は、コンクリート袖壁用の断熱支持パネル3の斜視図であって、縦長形態の発泡プラスチック系断熱層3Bの中央に1本のZ筋1を貫通保持したものである。
断熱層3Bは、JISA9511の発泡プラスチック系断熱板であって、厚さTBが75mmで、コンクリート外壁W被覆用の複合パネル2の断熱層2Bと同材質、且つ、同厚とし、幅W3は200mmで、コンクリート袖壁5の厚さT5(180mm)より若干(20mm)広幅とする。
また、高さ3hは900mmとし、階高1h(2700mm)と同高のコンクリート袖壁5の高さの1/3、即ち、2700mm高さのコンクリート袖壁5に対し、上下に3枚接続して対処するものとする。
そして、断熱層3Bの左側3L及び右側3R両側面の中央には、上下に亘るスリット溝3G(標準:幅X3が3.5mm、深さY3が40mm)を、接続板7A嵌入用に切り込んだものである。
断熱支持パネル4は、バルコニー床スラブSBを片持ち支持するパネルであって、図6に示す如く、横長形態の発泡プラスチック系断熱層4BにZ筋1を2本貫通保持したものであり、断熱層4Bは、袖壁用断熱支持パネル3の断熱層3Bの厚さTBと同厚75mm、且つ、同一材質である。
そして、高さ4hは200mm、幅(横長)L4は900mmであり、幅方向両側から225mmの位置に、2個の、幅40mm、高さ135mmの上下方向長孔をZ筋挿入用孔H1として間隔LZ(450mm)を保って穿設し、該挿入用孔H1には、袖壁5用の断熱支持パネル3同様に、一側外面(標準:バルコニー側)に、図7(D)に示す座板7を貼着し、各2個の挿入用孔H1に、図7(B)に示すZ筋1を貫入し、断熱支持パネル3同様に、挿入用孔H1内にカオウール(イソライト工業(株)、商品名)を充填し、現場発泡ウレタンを注入充填して、Z筋2本を保持し、且つ、挿入用孔H1を断熱修復する。
即ち、バルコニー用の断熱支持パネル4は、図4に示す如く、Z筋1の2本を断熱層4Bの両端から225mmの位置に、間隔LZ(450mm)保って保持したものであって、各断熱支持パネル4を横方向に整合接続すれば、各Z筋1群は450mm間隔配置となるものである。
Z筋1は、バルコニー床スラブSB、及びコンクリート袖壁5を片持ち支持する支持棒鋼であって、製作及び準備の合理化の観点から、バルコニー床スラブ支持用の断熱支持パネル4と、コンクリート袖壁支持用の断熱支持パネル3とには、同一基準のZ筋1を採用する。
そして、Z筋1自体は、図7(B)に示す如く、Z上端筋1Uと、Z下端筋1Dとを、水平上辺部1U´、中間傾斜部1S及び水平下辺部1D´から成るZトラス筋1Mにより、応力中心距離(Z上端筋1Uの軸心とZ下端筋1Dの軸心間距離)L15を保って、水平上辺部1U´をZ上端筋1U下面に、水平下辺部1D´をZ下端筋1D上面に当接して、両側から溶接固着一体化したものである。
即ち、曲げモーメントMの一般式:M=at×ft×jに基づいて決定すれば良い。
ここで、atは、引張鉄筋棒鋼の断面積、ftは、鉄筋棒鋼の許容引張応力度、jは、曲げ材の応力中心距離である。
上記一般式から明らかな如く、同一径の鉄筋棒鋼を採用しても、棒鋼の応力中心距離の値が支持力向上に極めて重要であるため、本発明にあっては、図7(B)の如く、Zトラス筋1Mの中間傾斜部1Sが断熱層3B(4B)厚TB全域に亘り、且つ、45°傾斜の条件の下に、最大限の応力中心距離L15を確保する。
Z上端筋1Uの全長(mm) 1276 1200 1144
Z下端筋1Dの全長(mm) 793 760 727
重量(kg/個所) 4.7 6.0 7.5
出願時価格(円/個所) 298 381 475
強度の余裕 43% 58% 68%
バルコニー先端の変位量(mm) 2.6 2.0 1.7
居住部床スラブSAと断熱層2B
との当接部の変位量(mm) 0.3 0.3 0.3
変位 1/482 1/596 1/711
尚、Zトラス筋1Mは、全て径16mmの異形棒鋼を、且つ、同一形態で採用する。
径19mm 径22mm 径25mm
Z上端筋1Uの全長(mm) 1300 1200 1150
Z下端筋1Dの全長(mm) 820 760 730
重量(kg) 4.8 6.0 7.5
出願時価格(円/個所) 305 381 477
強度の余裕 31% 49% 61%
Z筋の数量(本) 2.06 1.52 1.17
袖壁先端の変位量(mm) 0.668 0.494 0.376
袖壁基端の変位量(mm) 0.001 0.001 0.001
変位 1/1988 1/2687 1/3258
風圧力による袖壁先端の
水平変位量(mm) 0.09 0.09 0.09
風圧力による袖壁基端の
水平変位量(mm) 0.29 0.16 0.1
変位 1/258 1/468 1/750
尚、Zトラス筋1Mは、全て同一異形棒鋼を、且つ、同一形態で採用する。
このZ筋1は、バルコニー用断熱支持パネル4にあっては、図6の如く、450mm間隔で配置すれば、実施例のバルコニー床スラブSBを、58%の強度余裕を保って安全に片持ち支持し、コンクリート袖壁5にあっては、900mm間隔で上下配置することにより、実施例のコンクリート袖壁5を、49%の強度余裕を保って安全に片持ち支持する。
コンクリート外壁Wの一般壁部にあっては、階高1h(2700mm)の高さを有する密着型の複合パネル2を、外装下地材2Aを外面にして捨型枠とし、コンクリート壁型枠を慣用の手法で構築し、バルコニーB突設部にあっては、断熱支持パネル4の高さ4h(200mm)だけ短寸化した複合パネル2を捨型枠に立設してコンクリート壁型枠を構築し、該型枠上にバルコニー床スラブ型枠を慣用の手法で水平突設する。
そして、該バルコニー床スラブ型枠内に、断熱支持パネル4を、断熱層4Bを、コンクリート壁型枠の複合パネル2の断熱層2B上に整合載置する。
この場合、コンクリート型枠に採用する複合パネル2の断熱層2Bには、図6に示す如く、上下面及び両側面にスリット溝2Gを付設しておき、垂直ブレード12F及び水平ブレード12Mを備えた十字ジョイント12の、下方垂直ブレード12Fを複合パネル断熱層2B上面のスリット溝2Gに、上方垂直ブレード12Fを断熱層4Bの下面のスリット溝4Gに嵌入して整合当接させる。
そして、断熱支持パネル4のZ筋1の、内方への突出部APを、慣用の手法で構築する居住部床スラブSAの型枠内に位置決めし、外方への突出部BPを、バルコニー床スラブ型枠内に位置決めし、Z筋1を型枠配筋内に確保する。
また、コンクリート袖壁型枠は、慣用の手法で外壁型枠から突出構築し、袖壁型枠内には、図3に示す如く、高さ3hが900mmの断熱支持パネル3を順次上下接続して、断熱層3Bを複合パネル断熱層2B、及びバルコニー支持パネル断熱層4Bと整合配置する。
また、コンクリート袖壁型枠内に配置する断熱層3Bと、外壁型枠内の複合パネル断熱層2Bと、バルコニー床スラブ型枠内の断熱層4Bとの側面での当接衝合は、図6に示す如く、接合板3Aの、一半を断熱層2Bの側面のスリット溝2G及び断熱層4Bの側面のスリット溝4Gに嵌入し、他半を断熱層3Bの側面のスリット溝3Gに嵌入すれば、各断熱層2B,4B,3Bの面一での衝合接続が容易であり、外壁Wの出隅部にあっては、図5(A)に示す如く、複合パネル2の断熱層2Bの、内側面での断熱層3Bとの当接面にスリット溝2G´を配置すれば、接合板3Aの適用が可能である。
尚、バルコニー床スラブSB内配筋時に、図4に示す如く、バルコニー長辺方向上端筋9Aを袖壁型枠内に延出し、図3に示す如く、バルコニーBの先端のパラペットPと袖壁間に接合筋6を配置しておけば、バルコニー床スラブSBとコンクリート袖壁5との界面が一体化して、コンクリートひび割れが抑制出来る。
実施例では、図1、図2(A)の如く、コンクリート袖壁5を、コンクリート躯体CFの側面外壁Wから延出したが、図2(B)の如く、コンクリート袖壁5用の、断熱支持パネル3のZ筋1のコンクリート躯体CF側への突出部APを折曲することにより、コンクリート袖壁5は、コンクリート外壁Wへの片持ち支持が可能となり、外壁Wのどの部位からの突出付設も可能となる。
同様に、バルコニー支持用の断熱支持パネル4で、Z筋1の内方への突出部APを折曲して、コンクリート外壁W内に固着(図示せず)すれば、バルコニー床スラブSBは、居住部床スラブSAと段差のある形態での付設も可能となる。
そして、コンクリート袖壁5用の断熱支持パネル3にも、バルコニー支持用の断熱支持パネル4にも、Z筋1の内方突出部APを、側方又は下方に90°屈曲させることにより、バルコニー床スラブSBやコンクリート袖壁5の突出付設位置の自由度が増し、建物のデザイン設計の自由度が増す。
この場合は、バルコニーBと袖壁5とは、力学上干渉が無いため、設計の自由度が増し、型枠構築も容易となる。
そして、バルコニー床スラブSBと袖壁5との間に隙間が生じる場合は、必要に応じて、防水シート等の可撓性シートで隙間を閉止すれば良い。
この場合、バルコニー床スラブSBの先端に立設したパラペットPを、高さd1を適切に決定して、両側の袖壁5間の梁機能を付与すれば、バルコニー床スラブSBの変位量は更に低減出来、コンクリート袖壁5の薄肉化及び、配筋減が可能となる。
1A 耐火塗料
1B 錆止め塗料
1C 定着板
1D Z下端筋
1D´ 水平下辺部
1M Zトラス筋
1S 中間傾斜部
1U Z上端筋
1U´ 水平上辺部
2 複合パネル
2A 外装下地材(マグネシウムセメント板)
2B,3B,4B 断熱層
2G,2G´,3G,4G スリット溝
3 袖壁用断熱支持パネル(断熱支持パネル、支持パネル)
3A 接合板
3E 断熱耐火材(耐火被覆材)
4 バルコニー用断熱支持パネル(断熱支持パネル、支持パネル)
5 コンクリート袖壁(袖壁、鉄筋コンクリート袖壁)
5b 基端(袖壁基端)
6 接合筋
7 座板
8,8´ 壁筋
8A 縦筋
8B 横筋
8C,8C´ 幅止め筋
9A 長辺方向上端筋
9B 長辺方向下端筋
9C 短辺方向上端筋
9D 短辺方向下端筋
10H´ セパレータ
11A KPコン
11B アンカー
12 十字ジョイント
12F 垂直ブレード
12M 水平ブレード
AP,BP 突出部(Z筋突出部)
B バルコニー
Bb 基端(バルコニー基端)
CF コンクリート躯体
H1 挿入用孔
H2,H2´,H3 挿入用円孔
J3 上下接合部
L15 応力中心距離
P パラペット
SA 居住部床スラブ
SB バルコニー床スラブ
Sf,Sf´ コンクリート床表面
W コンクリート外壁(外壁)
Wf 外壁表面
ZD,ZU 固着部
Claims (16)
- 鉄筋コンクリート造外断熱建物のコンクリート外壁(W)から、鉄筋コンクリートのバルコニー床スラブ(SB)、及び鉄筋コンクリートの袖壁(5)を、片持ち支持形態で突出付設した外壁構造であって、外壁(W)は、断熱層(2B)と外装下地材(2A)とを層着した複合パネル(2)によって外断熱被覆し、バルコニー床スラブ(SB)は、基端(Bb)全面を横長の断熱層(4B)で外壁表面(Wf)と熱的に遮断すると共に、断熱層(4B)を貫通するZ筋(1)の一半の突出部(AP)をコンクリート躯体(CF)内に、他半の突出部(BP)をバルコニー床スラブ(SB)内に固定して片持ち支持し、袖壁(5)は、基端(5b)全面を縦長の断熱層(3B)で外壁表面(Wf)と熱的に遮断すると共に、断熱層(3B)を貫通するZ筋(1)の一半の突出部(AP)をコンクリート躯体(CF)内に、他半の突出部(BP)を袖壁(5)内に固定して片持ち支持した、鉄筋コンクリート造外断熱建物の外壁構造。
- Z筋(1)は、Z上端筋(1U)とZ下端筋(1D)とを、水平上辺部(1U´)、中間傾斜部(1S)及び水平下辺部(1D´)から成るZトラス筋(1M)で、上下方向に応力中心距離(L15)を保って一体化固着したものである、請求項1の外壁構造。
- バルコニー床スラブ(SB)を熱遮断する断熱層(4B)、及び袖壁(5)を熱遮断する断熱層(3B)が、共に、複合パネル(2)の断熱層(2B)と同一材料で、且つ、同一厚さである、請求項1又は2の外壁構造。
- バルコニー床スラブ(SB)の長辺方向上端筋(9A)が袖壁(5)内に延びている、請求項1乃至3のいずれか1項の外壁構造。
- Z筋(1)の中間傾斜部(1S)が、断熱層(3B,4B)内で、厚さ(TB)全域に亘って傾斜配置して、断熱層(3B,4B)に剛構造機能を付与している、請求項2、又は3、又は4の外壁構造。
- Z筋(1)は、コンクリート躯体(CF)内固着用の突出部(AP)が屈曲してコンクリート躯体(CF)内で固定されている、請求項1乃至5のいずれか1項の外壁構造。
- 複合パネル(2)が、コンクリート外壁(W)より透湿抵抗の小さな発泡プラスチック系断熱層(2B)と、該断熱層(2B)より透湿抵抗の小さな外装下地材(2A)とを層着一体化したパネルである、請求項1乃至6のいずれか1項の外壁構造。
- 横長形態の発泡プラスチック系断熱層(4B)にZ筋(1)を貫通保持した、バルコニー床スラブ(SB)を片持ち支持するための断熱支持パネル(4)であって、断熱層(4B)は、上下方向に長孔形態の挿入用孔(H1)を備えて、厚さ(TB)が、コンクリート壁(W)を外断熱被覆する複合パネル(2)の断熱層(2B)と同厚であり、高さ(4h)が、少なくとも、片持ち支持するバルコニー床スラブ(SB)の基端(Bb)の厚さ(TS)であり、Z筋(1)は、Z上端筋(1U)とZ下端筋(1D)とを、水平上辺部(1U´)、中間傾斜部(1S)及び水平下辺部(1D´)から成るZトラス筋(1M)で、上下に、応力中心距離(L15)を保って一体化したものであり、断熱層(4B)の挿入用孔(H1)から突出するZ筋(1)の、一半の突出部(AP)をコンクリート躯体(CF)内への固定部とし、他半の突出部(BP)をバルコニー床スラブ(SB)内への固定部とした、バルコニー床スラブ支持用断熱支持パネル。
- 断熱層(4B)の上面、下面、及び左右両側面の幅中央に、スリット溝(4G)を配置した、請求項8の断熱支持パネル。
- 縦長形態の発泡プラスチック系断熱層(3B)にZ筋(1)を貫通保持した、コンクリート袖壁(5)を片持ち支持するための断熱支持パネル(3)であって、断熱層(3B)は、上下方向に長孔形態の挿入用孔(H1)を備え、厚さ(TB)が、コンクリート壁(W)を外断熱被覆する複合パネル(2)の断熱層(2B)と同厚であり、左右幅(W3)が、片持ち支持する袖壁(5)の壁厚(T5)と、少なくとも同寸であり、Z筋(1)は、Z上端筋(1U)とZ下端筋(1D)とを、水平上辺部(1U´)、中間傾斜部(1S)及び水平下辺部(1D´)から成るZトラス筋(1M)で、上下に、応力中心距離(L15)を保って一体化したものであり、断熱層(3B)の挿入用孔(H1)から突出するZ筋(1)の、一半の突出部(AP)をコンクリート躯体(CF)内への固着部とし、他半の突出部(BP)をコンクリート袖壁(5)内への固着部とした、コンクリート袖壁支持用断熱支持パネル。
- 断熱層(3B)の両側面の幅中央に、スリット溝(3G)を配置した、請求項10の断熱支持パネル。
- Z筋(1)は、断熱層(3B,4B)の上下方向長孔形態の挿入用孔(H1)を貫通し、挿入用孔(H1)内では、断熱耐火材(3E)でZ筋(1)を充填被覆保持した、請求項8乃至11のいずれか1項の断熱支持パネル。
- 挿入用孔(H1)の一側外面を、上下にZ筋挿入用円孔(H2,H2´,H3)を備えた座板(7)で貼着閉止した、請求項8乃至12のいずれか1項の断熱支持パネル。
- Z筋(1)は、Zトラス筋(1M)の中間傾斜部(1S)が、外方から内方へと降下する45°傾斜であり、中間傾斜部(1S)を断熱層(3B,4B)の厚さ(TB)全域に介在して、断熱層(3B,4B)に剛構造機能を付与した、請求項8乃至13のいずれか1項の断熱支持パネル。
- Z筋(1)は、断熱層(3B,4B)内の部位には、耐火塗料(1A)を塗布し、突出部(AP,BP)の部位には、断熱性錆止め塗料(1B)を塗布した、請求項8乃至14のいずれか1項の断熱支持パネル。
- Z筋(1)の突出部(AP)が、コンクリート躯体(CF)内固着用に、実質上90°折曲している、請求項8乃至15のいずれか1項の断熱支持パネル。
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