JP4229465B2 - 片持ち支持形式の袖壁を備えた外壁構造、及び該外壁の構築方法 - Google Patents

片持ち支持形式の袖壁を備えた外壁構造、及び該外壁の構築方法 Download PDF

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Description

本発明は、鉄筋コンクリート造外断熱建物に、バルコニー袖壁、ポーチ袖壁、外壁から突出する化粧壁などの垂直形態突出物(以下、本明細書中では袖壁と称する)を、コンクリート躯体の外壁に片持ち形式で構築した外壁構造と、支持鉄筋(以下、本明細書中ではZ筋と称する)を備えた不燃断熱ブロックを嵌着した断熱支持パネルを用いて該外壁を構築する方法とに関するものであり、建築の技術分野に属するものである。
鉄筋コンクリート増の外断熱建物は、コンクリート躯体の外側を断熱材で被覆するため、太陽日射のコンクリート躯体への熱応力が微小となって、コンクリート躯体のひび割れが抑制出来ること、コンクリート躯体が空気に接触しないために、コンクリートの中性化が抑制出来、鉄筋棒鋼の腐蝕が防止出来て建物の耐久性が向上すること、更には、建物内の温度環境が維持出来ると共に、結露が少なくて、カビ、ダニの発生が抑制出来、健康面でも優れた住環境が維持出来るため、省エネルギーの高性能建物として評価されている。
しかし、鉄筋コンクリート造建物にあって、外壁から突出する袖壁は、バルコニーや庇、外廊下など、外壁から突出する床スラブの支持や、火災時の延焼防止、プライバシー保護、風雨の遮断、美観上、などの目的で採用されているが、断熱層がコンクリート躯体の外面を被覆する外断熱コンクリート建築物にあっては、コンクリート躯体の外壁から突出するコンクリート造袖壁がヒートブリッジ(熱橋)となり、コンクリート建築物の外断熱機能を低下させることによるエネルギーロスの問題、内部結露の発生によるカビ、ダニの発生での健康面での問題、室内床スラブの外壁近傍での温度低下(上昇)による居住性悪化の問題が存在する。
そして、これら問題を解決するための袖壁のヒートブリッジ対策としては、図9(A)に示す従来例1、及び図9(B)に示す従来例2がある。
即ち、図9(A)の従来例1は、非特許文献に挙げられたものであって、袖壁の全外面を複合パネル(断熱層+外装下地材)でコンクリート躯体のコンクリート外壁と同様に、外断熱被覆する手法である。
また、図9(B)の従来例2も、非特許文献に挙げられたものであって、コンクリート躯体の外壁は、複合パネルで外断熱に被覆するが、コンクリート壁から突出した袖壁は、外断熱被覆を施すことなく、コンクリート躯体の内側部位、即ち、外壁の内側のコンクリート袖壁からの熱橋(冷橋)作用を受ける部位、には、断熱材を貼着して断熱機能を補強するものである。
北海道外断熱協議会発行「2003年版、RC造外断熱工法ハンドブック、第40〜47頁:熱損失係数の計算の項」
従来例1にあっては、図9(A)に示す如く、袖壁の両側面及び先端面、即ち、袖壁の全外周面、を複合パネルで被覆するため、袖壁は完全な外断熱構造となるが、袖壁の厚さが大となり、複合パネルの袖壁の形態に対応した貼着、特に先端面の貼着、の作業性が悪く、複合パネルの貼着施工面でコスト高となる。
また、袖壁の厚さの増大により、袖壁の側面でのバルコニーの空間も狭くなり、しかも、コンクリート外壁と同形態の袖壁は、美観上も好ましくない。
また、従来例2にあっては、図9(B)に示す如く、袖壁は、複合パネルで被覆しないため袖壁の厚さは薄く出来るが、袖壁がコンクリート躯体への熱橋となり、該熱橋抑制のために、コンクリート躯体内面に断熱補強材を貼着することとなるが、コンクリート躯体内面での断熱補強は、熱橋の低減が75%程度までしか期待出来ず、従来例1の袖壁より熱橋抑制機能が低い。
しかも、コンクリート躯体内面には、断熱補強材の貼着による段差が生じ、内装仕上げに際しては、断熱補強材の段差を解消するための、内装材貼着下地の付設が必要となり、内装仕上げ面での、施工数及びコストが増大する。
その上、断熱補強材の配置により、コンクリート壁の蓄熱性が損なわれる不利がある。
本発明は、これら従来例1,2の問題点を解決、又は改善するものであって、鉄筋コンクリート造の袖壁自体を、バルコニーや外壁等に、応力的に干渉させることなく、コンクリート壁から片持ち支持形態で、且つ、コンクリート壁への熱橋を抑制した形態で構築出来る手法を提供するものである。
本発明の外壁構造は、例えば、図1に示す如く、鉄筋コンクリート造の外壁Wから鉄筋コンクリート造の袖壁5を片持ち支持形態で突出付設した外壁構造であって、外壁Wは、断熱層2Bと外装下地材2Aとを層着した複合パネル2によって外断熱被覆し、袖壁5は、基端5bを外壁表面Wfと断熱支持パネル3で熱的に遮断し、且つ、図5(A)の如く、断熱支持パネル3の嵌入用孔H1に嵌着した不燃支持ブロック4の不燃断熱材4Bを貫通するZ筋1の、一半の突出部APをコンクリート躯体CF内に、他半の突出部BPを袖壁5内に、コンクリート打設により一体化固着して、Z筋1のみによって片持ち支持したものである。
この場合、断熱支持パネル3は、図5(A)に示す如く、本体の断熱層3Bの嵌入用孔H1に、Z筋1を備えた不燃支持ブロック4を嵌着したものであって、本体の断熱層3Bは、鉄筋コンクリート袖壁から鉄筋コンクリート躯体CFへの熱橋作用が抑制出来れば良く、典型的には、JISA9511の発泡プラスチック系断熱層であって、複合パネル2の断熱層2Bと同一材料で、同厚とすれば良い。
また、不燃支持ブロック4は、図6(A)に示す如く、Z筋1と、Z筋1の中央部を被覆保持する不燃断熱材4Bとから成り、不燃断熱材4Bとしては、例えば、炭酸カルシウム系発泡板の、フジ化成工業(株)製のロックセルボード(商品名)、高密度の人造鉱物繊維保温材である、パラマウント硝子工業(株)製のパラボード(商品名)、日東紡績(株)製のロックボード(商品名)が採用可能であるが、炭酸カルシウム系発泡板のロックセルボード(フジ化成工業(株)、商品名)は、孔開け、切断の加工性に優れ、且つ、物性(圧縮強度、熱伝導率、透湿性)が断熱層3Bと近似であるため好適である。
また、Z筋1は、鉄筋コンクリート袖壁5の負荷応力を安全に支承すれば良く、構造計算によってZ筋1の配置本数、配置間隔を決定すれば良い。
尚、Z筋1は、本明細書中では、袖壁5とコンクリート躯体CFとに亘って延びて、袖壁5を片持ち支持する鉄筋支持棒の総称であり、1本の鉄筋であっても、図4に示す如く、2本の鉄棒1U,1Dをトラス筋1Mで一体化強化したトラス構造鉄筋でも良く、Z筋構成鉄筋は、コンクリート固着力の観点から、異形棒鋼の採用が好ましい。
また、コンクリート躯体CFは、鉄筋コンクリート造建物の躯体であって、建物躯体を構成する外壁や梁、柱、床スラブ等を含むものである。
従って、本発明の外壁構造は、コンクリート躯体CFの外壁Wが複合パネル2によって外断熱被覆され、且つ、外壁Wから突出した袖壁5も、コンクリート袖壁の基端5bとコンクリート外壁の表面Wf間を断熱支持パネル3で熱的に遮断しているため、袖壁5からコンクリート躯体CFへの熱橋作用は、袖壁5のコンクリート→Z筋→コンクリート躯体、の作用のみとなり、従来の、袖壁5のコンクリート→外壁コンクリート、の熱橋作用が阻止出来て、コンクリート袖壁からコンクリート躯体への熱橋作用は大幅(約1/2)に低減出来る。
また、Z筋1も種類、配置構造を好適に選択決定することにより、本発明の鉄筋コンクリート袖壁5でのZ筋1は、従来のコンクリート袖壁からコンクリート躯体に連通する配筋(横鉄筋)の熱伝達よりも低減化可能であり、本発明の外壁構造は、外壁Wの外断熱被覆と相俟って、外気からの熱橋作用の大幅に低減されたコンクリート躯体となる。
また、Z筋1は、断熱支持パネル3内の不燃断熱材4Bで保持されているため、火災による断熱支持パネル3の燃焼時にも、Z筋1の加熱劣下は抑制出来る。
更に、Z筋1を備えた不燃支持ブロック4は、断熱支持パネル3への嵌着用部材として工場生産出来るため、均質、且つ、支持強度の保証された部材として準備出来、広範囲の施工現場での、品質の保証された袖壁の提供を可能とする。
また、鉄筋コンクリート袖壁5は、構造的には、コンクリート躯体と独立してZ筋1群のみによって片持ち形態で支持されるため、袖壁5の突出形態が自在に設計出来、美観上の必要性によって窓(開口部)の配置や、袖壁5の高さも自在に構築出来、コンクリート袖壁の設計が自在となる。
また、鉄筋コンクリート袖壁5は、構造力学上、独立付設物(二次構造物)であるため、袖壁の厚さも薄く出来て、バルコニー床のスペース確保に有利であり、上階と下階、及び左右の袖壁の厚さ相違による、美観、識別面での好みにも対処可能となる。
また、本発明の外壁構造にあっては、例えば図8(A)に示す如く、袖壁5を熱的に遮断する断熱支持パネル3は、厚さTBが複合パネル2の断熱層2Bの厚さT3と実質上等厚であり、且つ、断熱支持パネル3と断熱層2Bとは衝合接続しているのが好ましい。
この場合は、コンクリート打設用の型枠組み作業に於いて、Z筋1を保持する不燃支持ブロック4を嵌合保持する断熱支持パネル3を、複合パネル2間に、且つ複合パネル断熱層2Bと整列配置するだけで良いため、複合パネル2と、別個独立の断熱支持パネル3との衝合連接作業が容易となり、且つ、コンクリート外壁Wを被覆する複合パネルと同一の熱橋抑制機能を備えたコンクリート袖壁5が得られる。
また、Z筋1は、図4に示す如く、Z上端筋1UとZ下端筋1Dとを、台形状に屈曲して水平上辺部1U´、両側の中間傾斜部1S、及び両側の水平下辺部1D´を備えたZトラス筋1Mで、上下方向に応力中心距離L15を保って一体化固着したものが好ましい。
この場合、Z上端筋1U、Z下端筋1Dの径、長さは、適用するコンクリート袖壁5の構造計算によって決定すれば良いが、Z上端筋1UとZ下端筋1Dとは、コンクリートとの固着力の観点から、即ち、構造計算上の観点から同径の異形棒鋼が好ましく、Z下端筋1Dは圧縮抗力負担であるため、引張抗力負担のZ上端筋1Uより短寸と出来る。
そして、引張り応力と圧縮応力の作用界面の剪断応力作用面は45°傾斜であるため、中間傾斜部1Sの傾斜角θを45°とすれば、Z筋1のトラス構造は、引張り応力、圧縮応力、剪断応力にも好適に対抗出来るようになる。
従って、該Z筋1は、Z上端筋1UとZ下端筋1Dとが、上下に必要応力中心距離L15を保って一体化しているため、引張り応力用の上端筋1Uと圧縮応力用の下端筋1Dとを別個独立的に配置する場合と比べて、遥かに大きな支持力(構造計算上:3.64倍)を発揮する。
そして、鉄筋コンクリート袖壁5の支持に関しては、例えば図3に示すように、袖壁5の厚さT5が180mm、奥行LBが1500mm、高さ1hが階高の2700mmの場合、コンクリート袖壁5を支持するために必要なZ筋1の数量(Z上端筋1U、Z下端筋1D共22mm径の場合は1.52本となるが、安全率をみて3本とする)を構造計算で算出し、Z筋1の必要本数が3本の場合は、階高1h(標準:2700mm)で三分割し、各分割高さ(3h)の中央に、Z筋1を900mm間隔に配置すれば良い。
従って、図3の如く、高さ3hが900mm、断熱層3Bの上下間中央に、Z筋1を貫通保持する不燃支持ブロック4を嵌着した断熱支持パネル3でZ筋1を配置すれば、Z筋1は、少ない本数で大間隔となるため、鉄筋コンクリート袖壁5の、型枠組み時のZ筋1の配置、固定、及びZ筋1周辺への配筋作業が容易となり、コンクリート袖壁5の構築の作業性が向上する。
そして、該配筋作業性、袖壁5の構築の作業性、のメリットは、高さが階高1h(2700mm)の断熱支持パネル3に、上下900mmの間隔で、Z筋1を3本等間隔に配置する場合にあっても同じである。
また、外壁構造の発明にあっては、図8(A)に示す如く、袖壁5を熱的に遮断する断熱支持パネル3は、幅WBが袖壁5の壁厚T5より若干大であり、図5(B)の如く、幅WBの中央に配置した縦方向長孔形態の嵌入用孔H1に、Z筋1を貫通保持した不燃支持ブロック4を嵌着しているのが好ましい。
この場合、嵌入用孔H1への不燃支持ブロック4の嵌着は、不燃断熱材4Bを空密嵌着とすれば、嵌着隙間からの断熱機能損失が生じない。
そして、不燃支持ブロック4は、嵌入用孔H1に嵌着する不燃断熱材4Bの周面に、図6(A)の如く、隙間追従シート12Aを付設して嵌着すれば、不燃支持ブロック4は、断熱支持パネル3に空密嵌着出来る。
また、一般に、鉄筋コンクリート躯体に鉄筋コンクリート袖壁を突設する場合は、作業上、コンクリート打設は、まずコンクリート躯体に打設し、次いで袖壁に打設することとなるが、この場合、断熱支持パネル3の両側3L,3Rが、図8(A)に示す如く、複合パネル2の断熱層2B側に若干寸法ds(標準:10mm)入り込み、断熱支持パネル3の両側が複合パネル2の外装下地材2Aに掛かった形態となるため、断熱支持パネル3の複合パネル2との整列配置が容易であると共に、断熱支持パネル3のコンクリート躯体(外壁)側からのコンクリート流動圧による変位も好適に抑制する。
そして、断熱支持パネル3の嵌入用孔H1が、上下方向長孔形態であるため、図6(A)の如く、上下方向に中心間距離L15を備えたトラス構造のZ筋1を必要最小限の、断面が上下方向に矩形の不燃断熱材4Bで被覆保持した不燃支持ブロック4の嵌入用孔H1への空密嵌着が、簡単に実施出来、嵌入用孔H1の断熱修復も容易であり、Z筋1を貫通保持した不燃支持ブロック4の準備、及び不燃支持ブロック4を嵌着した断熱支持パネル3の準備が容易となる。
また、袖壁5を支持するZ筋1は、図4(B)に示す如く、断熱支持パネル3の厚さTBと実質上等厚Y4の、不燃支持ブロック4の不燃断熱材4B内で、Zトラス筋1Mの水平上辺部1U´が、不燃断熱材4Bの厚さY4全域に亘って、Z上端筋1Uの下面に固着して、不燃断熱材4Bに剛構造機能を付与しているのが好ましい。
この場合、不燃支持ブロック4は、図6(B)に示す如く、炭酸カルシウム系発泡板のロックセルボード(フジ化成工業(株)、商品名)を、厚さY4の不燃断熱材片4B´として一対用意し、Zトラス筋1Mの水平上辺部1U´が不燃断熱材4B間に埋没するように、Z筋1を不燃断熱材片4B´で挟着一体化すれば良い。
従って、Z筋1は、図3に示す如く、両側の中間傾斜部1Sが、コンクリート躯体CF内、及びコンクリート袖壁5内に埋設形態となる
そして、不燃支持ブロック4の不燃断熱材4Bの厚さY4の全域に亘って、Zトラス筋1Mによるトラス構造が導入出来ているため、それ自体は強度の小さな不燃断熱材4Bが、力学上は、コンクリート体に置換した構造となり、且つ、Zトラス筋1Mの、コンクリート躯体CF内及び袖壁5内に固着した中間傾斜部1Sに負荷する圧縮力が、耐圧縮力に優れたコンクリートに伝達される。
そして、両側の中間傾斜部1S、及び水平下辺部1D´が、鉄筋コンクリートと一体となってZトラス筋1Mが拘束されるため、コンクリート袖壁5は、強固な片持ち支持が可能となる。
従って、コンクリート躯体CFと一体化した袖壁5は、断熱層3B域、即ち、不燃断熱材4B域、も剛構造となるため、Zトラス筋1MによるZ上端筋1UとZ下端筋1Dとの間への十分な応力中心距離L15の付与と相俟って、コンクリート袖壁5の垂直方向曲げモーメントによる撓み量が極端に低減(標準:袖壁先端5tの変位0.494mm、袖壁基端5bの変位0.001mm)出来、コンクリート袖壁5の強固な支持が可能となる。
また、Z筋1は、図4(A)に示す如く、突出部AP,BPでは、錆止め塗料1Bを塗布し、不燃支持ブロック4の不燃断熱材4B内では、耐火塗料1Aを塗布して、不燃断熱材4Bに保持されているのが好ましい。
この場合、Z筋1には、全長に亘って防蝕、断熱性のエポキシ樹脂塗料の耐火コート下塗材((株)エスケー化研、商品名)を、断熱性錆止め塗料1Bとして下塗りし、不燃断熱材4B対応部位には、更に、SK耐火コート上塗材((株)エスケー化研、商品名)を耐火塗料1Aとして上塗りすれば良く、耐火コート下塗材により、Z筋1は、コンクリート内での腐蝕が抑制され、断熱性、耐久性が向上する。
従って、火災時に断熱支持パネル3が燃焼しても、Z筋1は、断熱支持パネル3の嵌入用孔H1に嵌着した不燃断熱材4Bと、耐火塗料1Aとの二段防御により、Z筋1の火災による強度劣下が好適に抑止出来るものとなり、同時に、不燃支持ブロック4の不燃断熱材4Bが、断熱支持パネル3の嵌入用孔H1の、必要な断熱機能修復をも果たし、コンクリート袖壁5は、耐火性、耐久性を備え、且つ熱橋作用の無いものとなる。
また、外壁構造の発明にあって、Z筋1は、図2(B)に示す如く、コンクリート躯体CF内固着用の突出部APが、屈曲してコンクリート躯体CF内で固着されているのが好ましい。
この場合は、Z筋1の突出部APが屈曲形態であるため、屈曲突出部APのコンクリート躯体CF内配置は、外壁Wの厚さTW(標準:180mm)内でも可能となる。
従って、鉄筋コンクリート袖壁5は、コンクリート躯体CFからの突設位置が自在となり、建物設計の自由度が増す。
そして、Z筋1が屈曲形態であるため、コンクリート固着力が増し、コンクリート躯体側への突出部APの短寸化も可能となる。
しかも、Z筋の突出部APの先端に、図2(B)の如く、定着板1Cを固定する場合は、Z筋1の突出部APの更なる短寸化が可能となる。
また、外壁構造の発明にあっては、コンクリート外壁Wを、コンクリート外壁Wより透湿抵抗の小さな発泡プラスチック系断熱層2Bと、該断熱層2Bより透湿抵抗の小さな外装下地材2Aとを層着一体化した透湿性外断熱用の複合パネル2で被覆するのが好ましい。
この場合、標準としての180mm厚のコンクリート壁Wの透湿抵抗は、126mhmmHg/gであるから、標準75mm厚の断熱層2Bとしては、押出法ポリスチレンフォームを採用すれば、透湿抵抗は52.5mhmmHg/gとなり、外装下地材2Aとしての、12mm厚のマグネシウムセメント板の透湿抵抗は、14mhmmHg/gであり、複合パネル2に、押出法ポリスチレンフォーム板の75mm厚断熱層2Bと、12mm厚のマグネシウムセメント板2Aとの層着タイプを用いれば、コンクリート壁Wから外装下地材2Aへと、順次、透湿抵抗が大から小に変化した構造に出来る。
従って、該複合パネル2を張設した外断熱外壁は、室内の水蒸気を、自然と外部に透過放湿するものとなり、鉄筋コンクリート袖壁5を突出付設した鉄筋コンクリート建築物は、外壁Wが透湿性外断熱被覆により、内部結露が抑制出来ると共に、コンクリート袖壁5からも、建物内部への熱橋が抑制されて内部結露の発生が抑制され、カビやダニの発生の無く、住環境の優れた省エネルギー建物を提供する。
また、外壁の構築方法の発明は、図7に示す如く、外装下地材2Aと発泡プラスチック系断熱層2Bとを層着した透湿性外断熱用の複合パネル2を、外装下地材2Aを外面にして外壁外側型枠F0として立設し、慣用の外壁内側型枠F1と共に外壁型枠FWを構築し、袖壁5の配置部位では、図5(A)に示す如く、複合パネル2の断熱層2Bと等厚の断熱層3Bの嵌入用孔H1に、Z筋1を保持した不燃支持ブロック4の不燃断熱材4Bを嵌着した断熱支持パネル3を、側方の複合パネル2の断熱層2Bと衝合接続して立設し、断熱支持パネル3の両側面に慣用の袖壁型枠F5´,F5”を立設して、袖壁型枠F5を外壁型枠FWに接続して構築し、袖壁型枠F5内の配筋は自己完結形態に構築し、次いで、外壁型枠FW及び袖壁型枠F5にコンクリート打設し、袖壁型枠F5内のZ筋1の、一半の突出部APをコンクリート躯体CF内に、他半の突出部BPを袖壁5内に一体化固着するものである。
この場合、複合パネル2にあっては、発泡プラスチック系断熱層2Bとして、JISA9511の、押出法ポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォーム等の厚さT3が75mmのものを採用し、外装下地材2Aとして厚さ12mmのマグネシウムセメント板を採用すれば良く、断熱支持パネル3の断熱層3Bも、複合パネル断熱層2Bと同厚、同材質を採用すれば良い。
また、断熱支持パネル3は、図5に示す如く、パネル本体としての断熱層3Bの嵌入用孔H1に、Z筋1の中央を不燃断熱材4Bで包み込んだ形態の不燃支持ブロック4を嵌着するもので、Z筋1として、Z上端筋1UとZ下端筋1Dとを、水平上辺部1U´、両側の中間傾斜部1S及び両側の水平下辺部1D´から成るZトラス筋1Mで、上下方向に応力中心距離L15を保って一体化固着した、引張り抗力及び圧縮抗力の強大な、上下方向トラス構造のZ筋1を貫通保持した断熱支持パネル3を採用すれば良い。
そして、断熱支持パネル3への不燃支持ブロック4の嵌着は、断熱支持パネル3を立設した状態でも、断熱支持パネル3の立設前の準備段階でも良く、不燃支持ブロック4は、不燃断熱材4Bの側面に、図6(A)の如く、隙間追従シート12Aを添着して嵌入用孔H1に嵌入すれば、不燃支持ブロック4は空密嵌着出来、嵌入用孔H1による断熱機能損失は生じない。
また、断熱支持パネル3の、上下高さ3h、及び上下連続配置する枚数は、コンクリート袖壁5の支持に必要なZ筋1の本数を構造計算で算出し、Z筋1の必要本数が、等間隔配置出来るように決めれば良く、図5(A)の如く、1枚の断熱支持パネル3に1本のZ筋を配置しても、階高(標準:2700mm)の高さ1hの断熱支持パネル3に、必要本数のZ筋1を配置しても良い。
従って、片持ち支持の袖壁を備えた外壁の構築方法の発明にあっては、外壁型枠FWは従来の外壁捨型枠構築の手法で構築し、袖壁型枠F5は、従来の袖壁型枠の構築の工程中に、袖壁型枠内に断熱支持パネル3のみを側方の複合パネル断熱層2Bと衝合当接で接続配置すれば良く、しかも、袖壁型枠F5内での配筋が自己完結形態、即ち、縦筋8A、横筋8B、幅止め筋8Cの配筋は、各袖壁型枠F5内のみで完結した形態であるため、外壁型枠FW内への配筋作業と、袖壁型枠F5内での配筋作業とが、別々に実施出来、配筋の作業性も良い。
また、袖壁5は、構造上、コンクリート外壁Wから独立的に構築出来るため、袖壁5の設計の自由度が向上する。
そして、自己完結形態の配筋を備えた袖壁型枠F5側からは、Z筋1群のみが断熱支持パネル3内の不燃断熱材4Bを貫通して外壁型枠FW内に突出しているため、コンクリート打設によって得られる袖壁5は、鉄筋コンクリート袖壁5でありながら、コンクリート外壁Wとは、断熱支持パネル3の、断熱層3Bと、断熱層3Bの嵌入用孔H1に埋設した不燃断熱材4Bとで熱的に遮断されてZ筋1群のみが連通した構造となり、鉄筋コンクリート外壁Wも複合パネル2で外断熱被覆しているため、コンクリート躯体CFは、外部からの熱橋作用の抑制されたものとなり、請求項1の外壁構造が好適に実施出来る。
また、構築方法の発明にあっては、断熱支持パネル3は、例えば図3に示す如く、パネル高さ3hを階高寸法1hの等分割寸法とし、各断熱支持パネル3の上下方向中央の嵌入用孔H1に、Z筋1を保持した不燃支持ブロック4の不燃断熱材4Bを、嵌着して用いるのが好ましい。
この場合、採用するZ筋1を基に、構造計算によって1本のZ筋を備えた断熱支持パネル3の高さを決定すれば良い。
そして、パネル本体としての断熱層3Bの中央の嵌入用孔H1への、Z筋1を保持した不燃断熱材4Bの嵌入固定作業は、断熱支持パネル3が短尺(標準:900mm)化しているため、工場内作業で実施出来、作業性が良いばかりか、各断熱支持パネル3が均質製品として準備出来、しかも、同一構造であるため、各断熱支持パネル3を選択作業無しに、上下接続するだけでZ筋1のコンクリート袖壁5内への定間隔配置となり、断熱支持パネル3の上下連結作業も容易となる。
そして、短寸化された断熱支持パネル3は、製造、保管、搬送が容易であると共に、ポーチ袖壁等、短寸化された袖壁の構築にも対処出来る。
また、不燃支持ブロック4の断熱支持パネル3への嵌入時には、図6(A)に示す如く、不燃断熱材4Bの両側面4Sに隙間追従シート12Aを貼着して実施するのが好ましい。
この場合、隙間追従シート12Aは、経時膨張によって不燃断熱材4Bと嵌入用孔H1との隙間を空密的に閉止し、隙間の空気を密閉空気断熱層とするため、断熱支持パネル3の嵌入用孔H1を穿設したための断熱機能損失は補償出来る。
また、袖壁型枠F5の構築時には、断熱支持パネル3の断熱層3Bと、複合パネル2の断熱層2Bとの衝合接続は、図8(A)に示す如く、断熱層3Bのスリット溝3Gと、断熱層2Bのスリット溝2Gとに亘って、接合板3Eを嵌入して実施するのが好ましい。
この場合、接合板3Eは、断熱層3Bと断熱層2Bとの前後方向(図8(A)の上下方向)での相対位置関係を規制するものであり、標準は、肉厚3mmで、幅80mm、高さは階高1h(標準:2700mm)のプラスチック板を採用すれば良く、両断熱層3B,2Bのスリット溝3G,2Gは、スリット幅X3が3mm強、深さY3が40mm強で、全高に及ぶ形態とすれば良いが、接合板3Eがスリット溝3G,2Gで摩擦保持される場合は、接合板3Eの長さを短尺物とし、断熱層3B,2Bの適所に部分嵌入で実施出来る。
従って、接合板3Eの使用により、複合パネル2の断熱層2Bに対する断熱支持パネル3の整合配置が容易となり、且つ、接合板3Eは、コンクリート打設時の、コンクリート圧による断熱支持パネル3の変位を抑制する利点がある。
また、袖壁型枠F5の構築に際しては、断熱支持パネル3は、袖壁型枠F5内で、上下適所を、図8(A),(B)に示す如く、セパレータ10H´、断熱材用コーン11A、アンカー11Bを用いて挟着保持するのが好ましい。
この場合、セパレータ10H´、断熱材用コーン11A、アンカー11B等は、それ自体慣用の、型枠組みの姿勢保持部材である。
また、断熱支持パネル3は、図5に示す如く、板状の断熱層3Bに、Z筋1を貫通保持した不燃断熱材4Bを嵌入固定したものであり、袖壁型枠F5内では、袖壁5の高さ(標準:階高1h)だけ上下に延長する断熱層3Bを保持する必要がある。
そして、断熱支持パネル3は、階高の高さの1枚物であれば、適当に挟着保持すれば良いが、実施例(図3)の如く、複数枚を上下に接続する場合は、少なくとも接続部J3は挟着保持すべきである。
そして、アンカー11Bの、外壁型枠FW内への突出部、及び袖壁型枠F5への突出部を、各型枠FW,F5内の配筋と堅結することにより、断熱層3Bの上下適所、及び接続部J3を挟着保持する断熱材用コーン(KPコン)11Aが位置保持出来、断熱材用コーン11Aを各断熱支持パネルの各断熱層3Bの上下接続部J3、又は上下適所に配置することにより、断熱支持パネル3は、そのZ筋1の突出部AP,BPの各型枠FW,F5内での配筋との堅結保持と相俟って、打設コンクリートの圧力による変位が抑制出来る。
従って、断熱支持パネル3の上下接続、及び位置保持作業が容易となり、コンクリート袖壁型枠F5の構築が容易となる。
この場合、両側の断熱材用コーン11Aを連結するセパレータ10H´は鉄棒であるが、断熱材用コーン11Aで熱橋が遮断されている。
また、構築方法の発明にあっては、図8(A)に示す如く、断熱支持パネル3の断熱層3Bの幅WBを、袖壁厚T5より若干両側に突出する寸法とし、断熱層3Bの両側面3L,3Rを複合パネル2の断熱層2Bの側端の入り込み面2L,2Rに衝合当接させるのが好ましい。
この場合、断熱層3Bの両側面3L,3Rの袖壁5の側面からの若干の突出寸法は、標準10mm程度で良い。
従って、図8(A)で明らかな如く、断熱支持パネル3の断熱層3Bは、突出両側面3L,3Rが複合パネル2の断熱層2Bの入り込み面2L,2Rと当接するため、両側面3L,3Rの突出部が、複合パネル2の外装下地材2A(典型的には、12mm厚のマグネシウムセメント板)での支持形態となり、断熱層3Bの複合パネル2への衝合当接作業が容易となると共に、作業工程上、袖壁型枠F5内へのコンクリート打設に先行して実施する、外壁型枠FW内へのコンクリート打設によって生ずる、コンクリート圧による断熱層3Bへの加圧変位作用にも、外装下地材2Aが好適に対抗支承作用を奏する。
本発明の外壁構造を備えた建物は、鉄筋コンクリート袖壁5が鉄筋コンクリート躯体CFと熱的に遮断された形態で、Z筋1のみによって片持ち支持されるため、袖壁5を外断熱被覆しなくても、コンクリート袖壁5からコンクリート躯体CF側への熱橋作用は、外気→袖壁のコンクリート→Z筋→コンクリート躯体側コンクリート→居室内、のルートで作用し、従来のコンクリート袖壁とコンクリート躯体の一体連続形態での、袖壁のコンクリート断面積経由の熱橋作用が無くなる。
従って、本発明にあっては、鉄筋コンクリート袖壁5の外周面に、何ら外断熱施工を施さなくても、コンクリート躯体CF内への熱橋作用の抑制されたものとなり、従来例1のコンクリート袖壁全周を外断熱被覆するものや、従来例2のコンクリート躯体内部に断熱補強を施すものに比べて、遥かに経済的に、且つ施工容易に、外断熱建物が得られる。
更に、鉄筋コンクリート袖壁5は、Z筋1のみでの片持ち支持となるため、袖壁5の突設位置は、Z筋1群の突出部APがコンクリート躯体CF内に配置可能な位置であれば良く、鉄筋コンクリート袖壁5を薄くしたり、袖壁開口部(窓)を開口したり、袖壁高さを所望高さとすることが可能となり、鉄筋コンクリート袖壁の設計が自在となる。
そして、鉄筋コンクリート袖壁5は、従来の如き耐力壁ではなく、二次構造物であるため、バルコニー床スラブや袖壁下方でのスペース活用に制約は生じない。
従って、本発明の外壁構造は、外断熱被覆されたコンクリート外壁Wから熱橋作用を抑制した形態でコンクリート袖壁を突設したため、得られる鉄筋コンクリート建物は、鉄筋コンクリート袖壁5を付設したにも関わらず、内部結露の発生が無くて衛生面でも優れた、且つ、外断熱による耐久性に優れた、省エネルギーの高品質建物となる。
また、構築方法の発明にあっては、外壁型枠FAの外側の捨型枠として立設配置した複合パネル2間に、袖壁支持用のZ筋1を備えた断熱支持パネル3を、断熱層3Bを複合パネル断熱層2Bと並列接続形態に衝合当接すれば、コンクリート袖壁5の型枠F5が配置出来ること、断熱支持パネル3に嵌入するZ筋1を備えた不燃支持ブロック4は、小型の工場生産品であるため取扱いが容易であること、及び、均質で安全性の保証された製品として準備出来ること、更には、断熱支持パネルの配置施工は、コンクリート外壁型枠FWの配筋組立て後となって、Z筋1と壁筋(縦筋8A、横筋8B、幅止め筋8C)との配置固定の作業性が良いこと、等により、断熱支持パネル3の配置、及び型枠組みの作業性が良い。
従って、断熱支持パネル3のZ筋1のコンクリート躯体内固定用の突出部APがコンクリート躯体側の外壁型枠FW内に配置、固定出来さえすれば、鉄筋コンクリート袖壁5はコンクリート外壁Wから突出形成出来、設計の自由度の高い、熱橋作用の抑制されたコンクリート袖壁が、作業性良く、合理的に構築出来、本願の請求項1の外壁構造が好適に実施出来る。
しかも、本発明に使用する断熱支持パネル3は、Z上端筋1UとZ下端筋1Dとを、中間傾斜部1Sを備えたZトラス筋1Mで、上下に応力中心距離L15を保って一体化固着した、荷重支持力の強大なZ筋1を不燃断熱材4B内に貫通保持した不燃支持ブロック4を備えているため、各Z筋1を大間隔で配置してもコンクリート袖壁5の安全な支持が可能となり、自在な設計に基づく袖壁5の構築を可能とする。
そして、断熱支持パネル3は、本体の断熱層3Bと、不燃支持ブロック4とを別々に準備出来、不燃支持ブロック4は、小型の単体品であって、工場生産で準備出来るため、均質、且つ安全な支持用部材として、製作、保管、搬送が容易であり、本発明の断熱支持パネル3の準備は、ユーザー(施工業者)の要求に応じることが出来、それぞれの施工現場で、安全、且つ、均質な片持ち支持のコンクリート袖壁5の構築を可能とする。
従って、本発明の断熱支持パネル3を採用するコンクリート袖壁5の構築方法は、本願請求項1の優れた外壁構造の経済的、合理的な構築を可能とし、該構築の普及を可能とする。
〔鉄筋コンクリート袖壁の構造(図1、図2)〕
図1は、鉄筋コンクリート袖壁5を備えた外壁構造の一部切断斜視図であり、図2(A)は図1の横断面図である。
コンクリート躯体CFは、階高1hが2700mmで、壁厚TWが180mmの耐力壁としてのコンクリート外壁Wを備え、コンクリート外壁Wの外面は、厚さT3が75mmの断熱層2Bと、厚さT2が12mmの外装下地材(マグネシウムセメント板)2A、との層着物である複合パネル2が外断熱に被覆し、鉄筋コンクリート袖壁5は、壁厚T5が180mmで、階高1h(2700mm)の無開口壁であり、奥行きLBが1500mmであって、断熱層3Bによってコンクリート外壁Wと熱的に遮断され、且つ、コンクリート袖壁5内からコンクリート外壁W内に、断熱支持パネル3に嵌入固着した不燃支持ブロック4から突出させたZ筋1群のみによって片持ち支持されたものである。
そして、断熱支持パネル3は、中央に嵌入用孔H1を備えた断熱層3B本体と、該嵌入用孔H1に嵌入止着した不燃支持ブロック4とから成り、不燃支持ブロック4は、不燃断熱材4Bで貫通Z筋1を保持したものである。
そして、Z筋1は、図3に示す如く、階高1h(標準:2700mm)を三分割した高さ3h(標準:900mm)の断熱支持パネル3の中央の不燃断熱材4Bに貫通保持され、断熱支持パネル3からの、一半のコンクリート側への突出部APと、他半の袖壁側への突出部BPとを備えており、図1のコンクリート袖壁5は、図3に示す如く、3枚の断熱支持パネル3を上下に接続し、等間隔に配置された3本のZ筋により、階高1hが2700mmの高さのコンクリート袖壁5を支持したものである。
〔Z筋(図4)〕
図4(A)は、Z筋1の正面図であり、図4(B)はZ筋の要部拡大図である。
Z筋1は、図4(A)に示す如く、コンクリート袖壁5の、引張応力負担用のZ上端筋1Uと、圧縮応力負担用のZ下端筋1Dとを、中央の水平上辺部1U´、該水平上辺部1U´から45°で降下する両側の中間傾斜部1S、及び中間傾斜部1S下端から両側に延出する水平下辺部1D´を備えたZトラス筋1Mで、上下に応力中心距離L15を保って溶接一体化固定したものである。
Z筋1は、鉄筋コンクリート袖壁5を片持ち支持形態で支持する強度が必要であり、袖壁自体の固定荷重に風圧を加味して、Z筋1の各構成棒鋼の径、長さを決定する必要があり、曲げモーメントMの一般式:M=at×ft×jに基づいて決定すれば良い。
ここで、atは、引張鉄筋の断面積、ftは、鉄筋棒鋼の許容引張応力度、jは、曲げ材の応力中心距離である。
上記一般式から明らかな如く、同一径の鉄筋棒鋼を採用しても、棒鋼の応力中心距離を保つのが支持力向上に極めて重要であるため、本発明にあっては、図4(A)の如く、Zトラス筋1Mで応力中心距離(Z上端筋1UとZ下端筋1Dとの軸心間距離)L15を確保する。
そして、応力中心距離L15は、Zトラス筋1Mの水平上辺部1U´が不燃断熱材4B厚さY4全域に亘る条件、不燃断熱材4B、断熱層3B、複合パネル断熱層2Bの各厚さが75mmの等厚である条件、及びZトラス筋1Mの両側の中間傾斜部1Sが45°傾斜の条件の下で決定出来、Z上端筋1Uと水平上辺部1U´との固着部ZUの長さが80mmであれば、厚さY4が75mmの不燃断熱材4B内に、Z上端筋1UとZトラス筋の水平上辺部1U´との固着部ZUが厚さY4の全域に亘った配置と出来る。
また、Z筋1を構成する各鉄筋棒鋼の径、長さは、適用するコンクリート袖壁5に対する性能と、コスト面、及び袖壁の奥行き寸法LBから決定すれば良く、例えば、図1の、奥行きLBが1500mm、厚さT5が180mmの袖壁5に、同径のZ上端筋1UとZ下端筋1Dとを、間隔L14が75mmで、径16mmのZトラス筋1Mの両側の中間傾斜部1Sが45°傾斜に一体化したZ筋1を、900mmの間隔(3h)にZ筋1本配置の場合、Z上端筋1U及びZ下端筋1Dとして、鉄筋径22mmの採用の場合より、鉄筋径25mmの採用の方が、Z上端筋1Uでは50mm、Z下端筋1Dでは30mm短縮出来るが、重量は1.5kg増加し、材料コストが高くなる。
勿論、25mmの棒鋼は、強度面で61%の余裕が生じ、22mm棒鋼の強度余裕49%より強度が向上し、コンクリート袖壁5の基端5bの変位量は、径25mmの棒鋼も、径22mmの棒鋼も、共に0.001mmであるが、袖壁先端5tの変位量は、径25mmの棒鋼の場合が0.376mm、径22mmの棒鋼の場合は0.494mmとなり、変位は、径25mm棒鋼で1/3258、径22mmの棒鋼で1/2687となり、径25mmの棒鋼を採用すれば、径22mmの棒鋼の採用より、強度、変位性能は向上する。
また、袖壁5の風圧付加による影響は、風力34m/sでの計算であるが、安全率を加味して該風力の1.5倍で計算すれば、袖壁5の水平変位量は、径25mmの棒鋼の場合、袖壁基端5bでは、0.1mm(径22mmでは0.16mm)、袖壁先端5tでは、1.88mm(径22mmでは3.01mm)で変位は1/750(径22mmでは1/468)となる。
以下、使用鉄筋棒鋼の径19mm、径22mm、径25mmで、図1の袖壁5に適用する場合を試算比較すると次の通りである。

径19mm 径22mm 径25mm
Z上端筋1Uの全長(mm) 1300 1200 1150
Z下端筋1Dの全長(mm) 820 760 730
重量(kg) 5.0 6.3 7.8
出願時価格(円) 320 403 500
強度の余裕 31% 49% 61%
Z筋の数量(本) 2.06 1.52 1.17
袖壁先端の変位量(mm) 0.668 0.494 0.376
袖壁基端の変位量(mm) 0.001 0.001 0.001
変位 1/1988 1/2687 1/3258
風圧力による袖壁先端の
水平変位量(mm) 5.45 3.01 1.88
風圧力による袖壁基端の
水平変位量(mm) 0.29 0.16 0.1
変位 1/258 1/468 1/750

尚、径16mmのZトラス筋1Mは、全て同一異形棒鋼を、且つ、同一形態で採用する。
従って、本発明の図1の実施例の鉄筋コンクリート袖壁5は、奥行きLBが1500mmで、厚さT5が180mm、高さが階高1h(2700mm)であるため、Z筋1としては、該袖壁5内に3本等間隔(900mm間隔)に配置するタイプとし、図4(A)の如く、Z上端筋1Uとしては、長さL10が1200mm、径22mmの異形棒鋼を、Z下端筋1Dとしては、長さL12が760mm、径22mmの異形棒鋼を、Zトラス筋1Mとしては、両側の中間傾斜部1Sの傾斜角θが45°、水平上辺部1U´及び水平下辺部1D´が各80mmで、水平上辺部1U´は不燃断熱材4Bの厚さY4(75mm)に亘って配置した、台形状で、高さL14が75mmに屈曲形成した、径16mmの異形棒鋼を採用し、Zトラス筋1Mの、水平上辺部1U´をZ上端筋1Uの中央下面に、水平下辺部1D´をZ下端筋1Uの上面に当接し、両側面溶着による固着部ZU,ZDで一体化し、次いで、Z上端筋1U、Z下端筋1D及びZトラス筋1Mの外周全長に、防蝕性、付着性、断熱性に優れたエポキシ樹脂塗料(耐火コート下塗材:(株)エスケー化研、商品名)を、錆止め塗料1Bとして2回塗布し、不燃断熱材4B内に位置させる部位には、更に、耐火塗料1A(SK耐火コート:(株)エスケー化研、商品名)を塗布して、Z筋1を準備する。
〔断熱支持パネル3(図5)〕
図5(A)は、断熱支持パネル3の全体斜視図であって、図5(B)は、断熱支持パネルの本体を構成するパネル形状の断熱層3Bの全体斜視図である。
即ち、断熱支持パネル3は、上下左右の中央の嵌入用孔H1に、図6(A)に示す不燃支持ブロック4を嵌入止着したものである。
断熱層3Bは、JISA9511の発泡プラスチック系断熱板、(典型的には押出法ポリスチレンフォーム板)であって、厚さTBが75mmで、外壁W被覆用に使用する複合パネル2の断熱層2Bと同材質、且つ、等厚とし、幅WBは200mmで、適用するコンクリート袖壁5の厚さT5(180mm)より20mm広幅とする。
また、高さ3hは900mmとし、階高1h(2700mm)と同高さのコンクリート袖壁5の高さの1/3とする。
また、断熱層3Bの上下左右中央部には、幅(W4)60mm、上下高さ(4h)205mmの上下方向長孔を、不燃支持ブロック4の嵌入用孔H1として穿設し、両側面3L,3Rの幅中央に、幅X3が3.5mm前後で、深さY3が45mmのスリット溝3Gを、上下全長に亘って設ける。
〔不燃支持ブロック(図6)〕
図6(A)は不燃支持ブロック4の全体斜視図であって、図6(B)は製作説明図である。
そして、不燃支持ブロック4は、図5(A)に示す如く、断熱支持パネル本体を構成する断熱層3Bの嵌入用孔H1に嵌入止着する部材であって、不燃断熱材4BでZ筋1を保持した部材である。
不燃断熱材4Bは、断熱層3Bの嵌入用孔H1内に嵌入埋設しても、断熱層3Bに断熱欠損を生じない材質、即ち、JISA9511の発泡プラスチック系断熱層3Bと物性の近似した材質、を選択する必要があり、フジ化成工業(株)製の炭酸カルシウム系発泡板のロックセルボード(商品名)は、切断加工性に優れており、物性は、発泡プラスチック系断熱板と近似で、熱伝導率が0.032kcal/mh℃(発泡プラスチック系は0.022〜0.037kcal/mh℃)、透湿性が0.038g/mhmmHg(発泡プラスチック系は0.02〜0.14g/mhmmHg)、圧縮強度は1.8kgf/cm(発泡プラスチック系は0.5〜2.0kgf/cm)、重さ(密度)は90kg/m(発泡プラスチック系は15〜45kg/m)であり、ロックセルボード(商品名)は、断熱層3B内に一体化埋設しても、不燃性を発揮し、且つ、断熱層3Bと一体となって近似の断熱機能を発揮する。
従って、不燃支持ブロック4は、図6(B)に示す如く、炭酸カルシウム系発泡板を、高さZ4が200mm、厚さY4が75mm、幅X4が50mmのブロック形態の不燃断熱材4Bとして用意し、該不燃断熱材4Bを幅X2が25mmに2分割して不燃断熱材片4B´とし、該両方の不燃断熱材片4B´の内面4Dに、面対称に、且つ、Z筋1が高さZ4の中央に配置出来るように、上方には、Z上端筋1U用の嵌合溝H2と、Zトラス筋1Mの水平上辺部1U´用の嵌合溝H2´とを連設し、下方には、Z下端筋1D用の嵌合溝H3を、テーブル式発泡スチロールカッターで形成する。
この場合、各嵌合溝H2,H2´,H3の径は、各嵌合鉄筋(Z上端筋、Zトラス筋、Z下端筋)の径より若干(標準:6mm)大きく形成する。
次いで、予め用意したZ筋1に、図6(B)に示す如く、不燃断熱材4Bの前後外面4Fの位置LF−LFから、間隔d12(標準:10mm)を保った内側位置に、厚さ2mm、幅20mmの隙間追従シート12A(積水化学工業(株)、ソフトロン(商品名))を巻き付け、該Z筋1を両方の不燃断熱材片4B´の嵌合溝H2,H2´,H3に嵌合して、不燃断熱材片4B´の内面4Dでの接着により、不燃断熱材片4B´を一体化する。
そして、隙間追従シート12Aが経時膨張して各嵌合溝H2,H2´,H3を充填密閉した後(標準:1時間後)に、Z筋1を挟着保持した不燃断熱材4Bの前後の嵌合溝H2,H2´,H3の隙間から、慣用の耐火シーリング13を慣用のシーリングガンで充填し、不燃断熱材4Bの幅中央の接着界面に隙間があれば、該隙間にも耐火シーリングを充填して、Z筋1を一体化保持した不燃支持ブロック4とする。
そして、図6(B)に示す如く、不燃断熱材4Bの、下面には両面接着テープ12Bを、前後両端では、両側面4Sから上面に亘って、保護シートを備えた2mm厚、20mm幅の隙間追従シート12Aを貼着し、工場生産品として準備する。
従って、不燃支持ブロック4は、重量が、Z筋1の重さ6.3kgに不燃断熱材4Bの重さ20gが加わった、軽量で、小さくて、持ち運び、及び保管の容易な製品となり、均質で安全性の保証された支持用材として、各施工現場への展開が可能となる。
〔複合パネル2(図1、図8)〕
複合パネル2は、図1に示す如く、コンクリート外壁Wを外断熱被覆するものであり、厚さT2が12mmで軽量(10kg/m)のマグネシウムセメント板から成る外装下地材2Aと、JISA9511の押出法ポリスチレンフォームの厚さT3が75mmの断熱層2Bとを層着した、厚さT1が87mmのパネルであって、断熱層2Bの透湿抵抗(52.5mhmmHg/g)より外装下地材2Aの透湿抵抗(14mhmmHg/g)を小とした透湿性外断熱パネルであり、該複合パネル2でコンクリート外壁Wを外断熱被覆すれば、透湿抵抗はコンクリート外壁W→断熱層2B→外装下地材、と順次低下して、水蒸気をコンクリート壁Wから外方へ放出可能とするパネルである。
〔外壁Wと袖壁5の構築(図7、図8)〕
図7は、図2(A)に示す、出隅部のコンクリート外壁Wから袖壁5を突出させる外壁Wと袖壁5との型枠組み状態の横断面図であり、図8(A)は図7の型枠にコンクリート打設し、型枠解体後の要部拡大説明図であり、図8(B)は、図8(A)の矢印B視図である。
型枠組みは、まず外壁型枠FWを、図7に示す如く、複合パネル2を、外装下地材2Aを外面にして捨型枠に用いて外側型枠F0とし、慣用の内側型枠F1と共に、外壁型枠FWを立設する。
この場合、両側の複合パネル2の、断熱支持パネル3の断熱層3Bとの当接面2L,2Rでは、予め、図8(A)の如く、断熱層2Bをds(10mm)入り込んだ形態とし、且つ、当接面にスリット溝2G,2G´を配置しておく。
次いで、断熱支持パネル3の本体の断熱層3B(高さ900mm)を順次下方から上方へ断熱層3Bの連接形態に立設する。
この場合、断熱層3Bの側面のスリット溝3Gと、両側の複合パネル2のスリット溝2G,2G´とに亘って接合板3Eを嵌入して、断熱層3Bと、複合パネル2の断熱層2Bとの整合状態を確保し、図8(A)に示す如く、幅WBが200mmの断熱層3Bの両側の各10mmが、複合パネル2の外装下地材2Aに掛かった状態に配置する。
また、各断熱層3Bの上下接合部にあっては、図8(A),(B)に示す如く、それ自体慣用のセパレータ10H´、KPコン(断熱材用コーン)11A、アンカー11Bを用い、断熱層3Bの接続部J3を断熱材用コーン(KPコン)11Aで挟着保持する。
次いで、不燃支持ブロック4を、不燃断熱材4Bの、下面の接着テープ12B、及び両側面から上面に亘る隙間追従シートの保護シートを剥がして、各断熱層3Bの嵌入用孔H1に不燃断熱材4Bを嵌入止着して、断熱層3Bを不燃支持ブロック4を嵌着した断熱支持パネル3とし、不燃断熱材4Bから居住部Aの壁配筋内へ突出したZ筋1の突出部APを、壁筋(縦筋8A,横筋8B,幅止め筋8C)に針金で緊結して壁筋内に固定する。
尚、不燃断熱材4Bは、厚さY4(75mm)は断熱層3Bの厚さTB(75mm)と同じではあるが、高さZ4が200mmであり、幅X4が50mmであるため、嵌入用孔H1(高さ205mm、幅60mm)への嵌入は容易であり、嵌入用孔H1と不燃断熱材4Bとの隙間は、不燃断熱材4Bの前後に配置した隙間追従シート12Aが経時膨張して、四周の隙間を空密閉止する。
そのため、不燃断熱材4Bの四周の空隙は密閉空気断熱層となり、嵌入用孔H1での断熱欠損は生じない。
そして、外壁型枠FW、及び袖壁型枠F5は、慣用の、型枠構築手段の縦端太10B、横端太10C、セパレータ10H、KPコン(断熱材用コーン)10K、リブ座金10L等により型枠組みする。
また、コンクリート袖壁型枠F5内での縦筋8A、横筋8B、幅止め筋8Cによる配筋は、袖壁型枠F5内での完結型とし、袖壁型枠F5と外壁型枠FWとは、断熱支持パネル3のZ筋1のみを連通させる。
尚、この場合、断熱支持パネル3の上下接続部を挟着確保した、セパレータ10H´、KPコン(断熱材用コーン)11A、アンカー11Bは、袖壁5に対する支持力が無く、各断熱材用コーン11Aで熱橋が遮断されている。
そして、外壁型枠FW内にコンクリート打設し、次いで袖壁型枠F5内にコンクリート打設する。
この場合、断熱支持パネル3の断熱層3Bは、外壁型枠FW側からのコンクリート流動圧を受けるが、断熱層3Bの両端3L,3Rが上下全長に亘って、複合パネル2の外装下地材2Aに10mm(ds)掛かっていること、断熱層3Bと断熱層2Bとに亘って接合板3Eが嵌合していること、及び3枚の断熱層3Bの上下接続部J3は断熱材用コーン11Aで挟着されて袖壁型枠F5内に保持されていることにより、断熱層3B、即ち、断熱支持パネル3は変位することなく、コンクリート外壁Wとコンクリート袖壁5との間で、適正位置を保って打設コンクリートと一体化する。
従って、型枠FA,F5を解体すれば、コンクリー外壁Wは、複合パネル2によって、透湿性の外断熱に被覆され、鉄筋コンクリート袖壁5は、各階毎のコンクリート袖壁5が自己完結形態の配筋を備えて、各階のコンクリート袖壁5毎に、Z筋1群のみによってコンクリート外壁Wに片持ち支持されたものとなる。
そして、各鉄筋コンクリート袖壁5は、コンクリート外壁Wに対して、複合パネルの断熱層2Bと、同材料で同厚の断熱層3Bによって熱的に遮断されたものとなり、コンクリート袖壁5からコンクリート外壁W側、即ち、コンクリート躯体CF側、への熱橋作用は、外気→袖壁のコンクリート→Z筋→外壁のコンクリート→居室内、のルートのみとなる。
〔その他〕
不燃支持ブロック4のZ筋1として、図2(B)に示す如く、コンクリート躯体内固着用の突出部APを屈曲形態突出部としたものを採用すれば、Z筋突出部APのコンクリート壁Wの壁幅TW(標準:180mm)内での一体化固着が可能となり、コンクリート袖壁5の突設位置が自由となり、コンクリート袖壁5の設計の自由度が向上する。
この場合、突出部AP先端に定着板1Cを固定しておけば、屈曲形態の突出部の固着力が増加し、屈曲突出部APの短寸化も可能となる。
また、実施例では、断熱支持パネル3は、予め断熱層3Bを立設型組みした後、不燃支持ブロック4を嵌合止着したが、断熱層3Bが階高1h(2700mm)を分割した短寸物であれば、予め、断熱層3Bに不燃支持ブロック4を嵌入して断熱支持パネル3とした後、型枠組み施工することも可能であり、この場合は、断熱支持パネル3の準備は、広い場所での作業となり、不燃支持ブロック4の正確な嵌合作業が容易となる。
また、断熱支持パネル3は、実施例では、階高1hの袖壁に対し三分割形態としたが、袖壁5の高さと等高の断熱層3Bに、必要数の不燃支持ブロック4を配置したものとしても、本発明の目的は達成出来る。
この場合は、断熱支持パネル3が上下長尺物となるため、実施例の如く、断熱層3Bを予め立設し、外壁Wの配筋、組立て後に、各不燃支持ブロック4を断熱層3Bの各嵌入用孔H1に嵌着して断熱支持パネル3とし、Z筋1の突出部AP,BPを型枠内配筋と緊結固定するのが好ましい。
また、実施例では、袖壁支持用のZ筋1として、Z上端筋1UとZ下端筋1DとをZトラス筋1Mでトラス構造に組立てたZ筋1を用いたが、Z筋1として、必要径及び必要長さを備えた1本の棒鋼形態のZ筋を必要本数配置しても良い。
この場合は、単棒のZ筋は多くの本数(標準:トラス構造Z筋1の本数の3倍)を配置することとなり、配置型組み作業が煩雑となるが、不燃支持ブロック4、及び断熱支持パネル3の製作が、簡便、且つ安価となる。
また、実施例では、外壁被覆用の外断熱パネルとして、透湿性複合パネル2を採用したが、本件出願人が開発した、特許第3526562号(特開2003−35036号)の上下方向通気層を備えたセメント板と断熱層とを層着した断熱複合パネルをコンクリート外壁Wの被覆に適用しても良い。
この場合は、断熱複合パネルの通気層自体が内部結露抑制機能を生ずるため、複合パネルの外面のセメント板(外装下地材)への表装材の選択の自由度が向上する。
本発明外壁構造の一部切欠斜視図である。 本発明の袖壁と外壁の関係を示す横断面図であって、(A)は実施例図、(B)は変形例図である。 本発明の断熱支持パネルの配置形態を示すもので、図2(A)のC−C線縦断面図である。 本発明のZ筋の説明図であって、(A)は、Z筋の正面図、(B)は、(A)の部分拡大図である。 本発明の断熱支持パネルの説明図であって、(A)は全体斜視図、(B)は不燃支持ブロック嵌合前の断熱層の全体斜視図である。 本発明に使用する不燃支持ブロックの説明図であって、(A)は全体斜視図、(B)は分解斜視図である。 本発明の型枠組みの説明図であって、(A)は横断面図、(B)は、(A)の矢印B視部分図、(C)は、(A)の矢印C視部分図である。 断熱支持パネルの配置状態説明図であって、(A)は要部横断面図、(B)は要部縦断面図である。 従来例図であって、(A)は、従来例1の横断面図、(B)は、従来例2の横断面図である。
符号の説明
1 Z筋
1A 耐火塗料
1B 錆止め塗料
1C 定着板
1D Z下端筋
1D´ 水平下辺部
1h 階高
1M Zトラス筋
1S 中間傾斜部
1U Z上端筋
1U´ 水平上辺部
2 複合パネル
2A 外装下地材(マグネシウムセメント板)
2B,3B 断熱層(発泡プラスチック系断熱層)
2G,2G´,3G スリット溝
3 断熱支持パネル
3E 接合板
4 不燃支持ブロック
4B 不燃断熱材
4B´ 不燃断熱材片
4D 内面
4F 端面
4S 側面
5 鉄筋コンクリート袖壁(コンクリート袖壁、袖壁)
5b 袖壁基端(基端)
5t 袖壁先端
8 配筋
8A 縦筋
8B 横筋
8C 幅止め筋
10A 型板
10B 縦端太
10C 横端太
10H,10H´ セパレータ
10K,11A KPコン(断熱材用コーン)
10K´ Pコン
10L リブ座金
11B アンカー
12A 隙間追従シート
12B 接着テープ
13 耐火シーリング
A 居住部
AP,BP 突出部(Z筋突出部)
B バルコニー
CF コンクリート躯体
F0 外壁外側型枠(外側型枠)
F1 外壁内側型枠(内側型枠)
F5,F5´,F5” 袖壁型枠
FW 外壁型枠
H1 嵌入用孔
H2,H2´,H3 嵌合溝
J3 接続部(上下接続部)
L15 応力中心距離
P パラペット
SA 居住部床スラブ
SB バルコニー床スラブ
Sf,Sf´ コンクリート床表面
W コンクリート外壁(外壁、コンクリート壁)
Wf 外壁表面
ZD,ZU 固着部

Claims (13)

  1. 鉄筋コンクリート造の外壁(W)から鉄筋コンクリート造の袖壁(5)を片持ち支持形態で突出付設した外壁構造であって、外壁(W)は、断熱層(2B)と外装下地材(2A)とを層着した複合パネル(2)によって外断熱被覆し、袖壁(5)は、基端(5b)を外壁表面(Wf)と断熱支持パネル(3)で熱的に遮断し、且つ、断熱支持パネル(3)の嵌入用孔(H1)に嵌着した不燃支持ブロック(4)の不燃断熱材(4B)を貫通するZ筋(1)の、一半の突出部(AP)をコンクリート躯体(CF)内に、他半の突出部(BP)を袖壁(5)内に、コンクリート打設により一体化固着して、Z筋(1)のみによって片持ち支持した、袖壁を備えた外壁構造。
  2. 袖壁(5)を熱的に遮断する断熱支持パネル(3)は、厚さ(TB)が複合パネル(2)の断熱層(2B)の厚さ(T3)と実質上等厚であり、且つ、断熱支持パネル(3)と断熱層(2B)とは衝合接続している、請求項1の外壁構造。
  3. Z筋(1)は、Z上端筋(1U)とZ下端筋(1D)とを、台形状に屈曲して水平上辺部(1U´)、両側の中間傾斜部(1S)、及び両側の水平下辺部(1D´)を備えたZトラス筋(1M)で、上下方向に応力中心距離(L15)を保って一体化固着したものである、請求項1又は2の外壁構造。
  4. 袖壁(5)を熱的に遮断する断熱支持パネル(3)は、幅(WB)が袖壁(5)の壁厚(T5)より若干大であり、幅(WB)の中央に配置した縦方向長孔形態の嵌入用孔(H1)に、Z筋(1)を貫通保持した不燃支持ブロック(4)を嵌着している、請求項1、又は2、又は3の外壁構造。
  5. Z筋(1)は、断熱支持パネル(3)の厚さ(TB)と実質上等厚(Y4)の、不燃支持ブロック(4)の不燃断熱材(4B)内で、Zトラス筋(1M)の水平上辺部(1U´)が、不燃断熱材(4B)の厚さ(Y4)全域に亘って、Z上端筋(1U)の下面に固着して、不燃断熱材(4B)に剛構造機能を付与している、請求項3又は4の外壁構造。
  6. Z筋(1)は、突出部(AP,BP)では、錆止め塗料(1B)を塗布し、不燃支持ブロック(4)の不燃断熱材(4B)内では、耐火塗料(1A)を塗布して、不燃断熱材(4B)に保持されている、請求項1乃至5のいずれか1項の外壁構造。
  7. Z筋(1)は、コンクリート躯体(CF)内固着用の突出部(AP)が、屈曲してコンクリート躯体(CF)内で固着している、請求項1乃至6のいずれか1項の外壁構造。
  8. コンクリート外壁(W)を、コンクリート外壁(W)より透湿抵抗の小さな発泡プラスチック系断熱層(2B)と、該断熱層(2B)より透湿抵抗の小さな外装下地材(2A)とを層着一体化した透湿性外断熱用の複合パネル(2)で被覆した、請求項1乃至7のいずれか1項の外壁構造。
  9. 外装下地材(2A)と発泡プラスチック系断熱層(2B)とを層着した透湿性外断熱用の複合パネル(2)を、外装下地材(2A)を外面にして外壁外側型枠(F0)として立設し、慣用の外壁内側型枠(F1)と共に外壁型枠(FW)を構築し、袖壁(5)の配置部位では、複合パネル(2)の断熱層(2B)と等厚の断熱層(3B)の嵌入用孔(H1)に、Z筋(1)を保持した不燃支持ブロック(4)の不燃断熱材(4B)を嵌着した断熱支持パネル(3)を、側方の複合パネル(2)の断熱層(2B)と衝合接続して立設し、断熱支持パネル(3)の両側面に慣用の袖壁型枠(F5´,F5”)を立設して、袖壁型枠(F5)を外壁型枠(FW)に接続して構築し、袖壁型枠(F5)内の配筋は自己完結形態に構築し、次いで、外壁型枠(FW)及び袖壁型枠(F5)にコンクリート打設し、袖壁型枠(F5)内のZ筋(1)の、一半の突出部(AP)をコンクリート躯体(CF)内に、他半の突出部(BP)を袖壁(5)内に一体化固着する、片持ち支持の袖壁を備えた外壁の構築方法。
  10. 断熱支持パネル(3)は、パネル高さ(3h)を階高(1h)の等分割寸法とし、各断熱支持パネル(3)の上下方向中央の嵌入用孔(H1)に、Z筋(1)を保持した不燃支持ブロック(4)の不燃断熱材(4B)を、嵌着して用いる、請求項9の構築方法。
  11. 断熱支持パネル(3)の断熱層(3B)と、複合パネル(2)の断熱層(2B)との衝合接続は、断熱層(3B)のスリット溝(3G)と、断熱層(2B)のスリット溝(2G)とに亘って、接合板(3E)を嵌入して実施する、請求項9又は10の構築方法。
  12. 断熱支持パネル(3)は、袖壁型枠(F5)内で、上下適所を、セパレータ(10H´)、断熱材用コーン(11A)、アンカー(11B)を用いて挟着保持する、請求項9、又は10、又は11の構築方法。
  13. 断熱支持パネル(3)の断熱層(3B)の幅(WB)を、袖壁厚(T5)より若干両側に突出する寸法とし、断熱層(3B)の両側面(3L,3R)を複合パネル(2)の断熱層(2B)の側端の入り込み面(2L,2R)に衝合当接させる、請求項9乃至12のいずれか1項の構築方法。
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