JP5285332B2 - 建物 - Google Patents

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Description

本発明は、組立住宅等の建物に関する。
住宅に代表される建築物では、暖房効率や冷房効率を向上させて省エネルギー化をはかることを目的として断熱材が充填されている。木造住宅では躯体を構成する柱や梁が多少の断熱性を有するため、断熱材を柱と梁の間に充填するのみでも効果を得ることが出来るが、鉄骨造の住宅では柱や梁に高い断熱性を期待することができない。
すなわち、鉄骨造の住宅では、外壁材としてALC(軽量気泡コンクリート)パネルを用いるのが一般的であり、これらALCパネルの断熱性と柱や梁の間に充填される断熱材によって建物は所定の断熱効果を有している。しかし、梁や柱を熱伝導率の大きな鉄材により形成するため、外壁を支持する梁や柱が屋内外の熱の伝達経路となってしまう熱橋となる問題がある。
特に、中間階の梁は、床スラブを支持すると共に一般にH型鋼により形成されるために他の部位よりも断熱材の収め方が複雑なものとなり、これによって当該梁周りの断熱性を例えば当該梁下方の壁面部(一般部)よりも低下させてしまう虞があった。
かかる問題を解決すべく、例えば特許文献1には、鉄骨躯体の住宅において、板状の断熱材の小口面を段状に形成し、該断熱材をH型鋼からなる鉄骨梁の側面に嵌め込むことによって鉄骨梁の側面を断熱材により覆う構成が開示されている。
特開平11−172801号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示の構成においては、鉄骨梁のH型鋼の上フランジ上に床スラブ下面を当接させた状態で支持する構成であるため、当該上フランジ→床スラブとなる伝熱経路が形成されることなり、これによって当該梁の上フランジと床スラブの接触部位のみならず、当該接触部位の周囲の断熱性が損なわれてしまうことが考えられる。
そこで、本発明は、鉄骨梁と床スラブの接触部位及びその周囲の断熱性を向上させた建物を提供することを目的とする。
上記課題解決のための具体的手段として、本願発明に係る建物は、
(1)軽量気泡コンクリートからなる床スラブと、該床スラブを支持する鉄骨梁と、該鉄骨梁の一側面に対向した状態で当該鉄骨梁に支持される外壁と、該外壁及び鉄骨梁に沿って設けられて前記床スラブの直下の階を断熱する各階断熱構造とを備え、
前記各階断熱構造は、
前記鉄骨梁に対し外壁とは反対側に設けられて当該鉄骨梁の上端部に対向する第1断熱部と、
該第1断熱部に連結されて鉄骨梁の側面から下面に亘って及び前記外壁に沿って設けられる第2断熱部とを備え、
前記第1断熱部は、平板状に形成され、厚さt bm を以下の式(1)に定められる範囲内とすると共に前記鉄骨梁の端部からの延設長さl bm を以下の式(2)に定められる範囲内として、前記床スラブの下面に沿って前記鉄骨梁から離間する方向に延設されていることを特徴としている。
10≦t bm ≦30 ・・・(1)
50≦l bm ≦250 ・・・(2)
ただし、単位はmmとする。
上記範囲の大きさを有する第1断熱部を配備することにより、鉄骨梁周りの断熱性能の低下を適正に抑制することができるのである。
これによれば、鉄骨梁と床スラブの接触部位に第1断熱部が設けられることにより、当該鉄骨梁と床スラブの接触部位が当該第1断熱部により覆われることとなるので、該接触部位の断熱性の向上が図られる。のみならず、当該第1断熱部は第2断熱部と床スラブにより挟持された状態で鉄骨梁から離間する方向に延設されているので、当該第1断熱部によって床スラブの下面が覆われることとなる。これにより、床スラブが鉄骨梁により接触することにより鉄骨梁→床スラブ→床スラブ下方の空間(以下、床下空間とも言う)となる伝熱経路が形成されるとしても、当該床スラブと床下空間との間には第1断熱部が介在することとなり、これによって、上記伝熱経路の形成による断熱性能の低減が著しく抑制されることとなるのである。
(2)また、前記鉄骨梁は上下フランジをウェブで連結してなるH型鋼であって、前記第1断熱部は、前記床スラブの下面に沿って設けられる本体部と、前記ウェブに向けて突出して上フランジの下面を覆う突出部とを備え、前記第2断熱部は、前記第1断熱部の突出部と本体部のいずれか又は両方に密着していることが好ましい。
これによれば、第2断熱部と床スラブにより第1断熱部を確実に挟持することができる。また、第2断熱部の床下空間に向けての突出量を抑制することができる。
(3)前記第2断熱部は、前記鉄骨梁のウェブに沿った状態で設けられる板状の沿ウェブ断熱体を備え、該沿ウェブ断熱体は、一方の側部を上下フランジ間に入り込ませると共に他方の側部を上下フランジの端部よりも前記外壁から離間する方向に突出させた状態で設けられていることが好ましい。
これによれば、鉄骨梁の上フランジの端部と床下空間との間には、第1断熱部のみならず第2断熱部の沿ウェブ断熱体も位置することとなるので、当該鉄骨梁→床下空間となる伝熱経路がこれら2つの断熱部により遮断されることとなり、より効果的に断熱性能の向上を図ることができる。
)また、前記第1断熱部は、硬質プラスチック系断熱材により形成されていることが好ましい。
これによれば、第1断熱部を板状に形成することができ、鉄骨梁に対する設置や第2断熱材と床スラブによる挟持も容易に行うことができる。
なお、硬質プラスチック系断熱材とは、ポリエチレンフォームB、発泡ポリエチレン、フェノール樹脂発泡体、ビーズ法ポリスチレンフォーム、押出法ポリスチレンフォーム等のことを示している。
)さらに、前記床スラブの上面には、床面の下地となる下地層が形成されており、該下地層は、前記床スラブの直上の階の各階断熱構造の第2断熱部の下端部に当接して当該第2断熱部から離間する方向に延設される板状の中間材と、該中間材に隣り合った状態で敷設される下地材とを備え、
該中間材は、少なくとも前記床スラブよりも小さい熱伝導率を有する素材で形成されると共に、前記下地材は、前記床スラブと同程度以上の熱伝導率を有する素材で形成されていることが好ましい。
これによれば、床スラブの上方の断熱性能も向上させることができることとなるので、床スラブ上下方空間のいずれに対してもバランスよく断熱効果を得ることができ、床スラブを支持する鉄骨梁周りの総合的な断熱性能の向上を図ることができるのである。
本発明の建物によれば、鉄骨梁と床スラブの接触部位及びその周囲の断熱性を向上させる。
以下、図1及び図2に基づき、本発明を実施した一形態につき、詳細に説明する。
図1に示す如く、本発明に係る建物は、基礎10と、該基礎10上に組み上げられる構造躯体11と、該構造躯体11に支持される外壁12と、該外壁12及び構造躯体11に沿って設けられる断熱構造13とを備えて形成される地上2階の組立住宅である。
基礎10は、外壁12や間仕切り壁の長さ方向に連続する同一断面の鉄筋コンクリート製の布基礎として形成されている。
構造躯体11は、基礎10上に立設される鉄骨柱(図示省略)と、該鉄骨柱間に架け渡される鉄骨梁14と、基礎10や鉄骨梁14に支持される床スラブ15とを備えて形成される鉄骨軸組ブレース構造として構成されている。また、鉄骨柱の間に耐震要素(図示省略)を設置する構成も採用可能である。
鉄骨柱は、鋼製の角パイプにより又は該角パイプの端部に柱頭部材や柱脚部材を取り付けて形成されている。耐震要素は、一対の角パイプをブレースや制振フレームにより連結して形成される。
鉄骨梁14は、上下一対のフランジ14a、14bと、該フランジ14a、14bの中央部間を連結するウェブ14cとを備えて形成される所謂H型鋼により形成されており、同じく鋼製のジョイントピースを介して鉄骨柱に連結支持されている。
なお、鉄骨梁14を形成する鋼材の熱伝導率λは通常53.0W/mK程度である。
また、これら鉄骨柱、ジョイントピース、鉄骨梁14間の接続は高力ボルト接合等の機械的手段(図示省略)によりなされており、これによって溶接接合を排することとして作業者の熟練によらず接合部位の品質を一定のものとしている。
床スラブ15は、1階床スラブ15a、2階床スラブ15b、屋根スラブ15cからなり、複数枚の平板状の軽量気泡コンクリート(ALC)製の床パネルを敷設することにより形成されている。1階床スラブ15aを形成する床パネルは、端部を基礎10の上面に載置した状態で設置されている。また、2階床スラブ15b及び屋根スラブ15cを形成する床パネルは、端部を鉄骨梁14の上フランジ14a上面に載置した状態で、該鉄骨梁14に取り付けられた剛床金物(図示省略)を介して当該鉄骨梁14に支持されている。
これら床パネルとしては、通常は75mm〜100mmの厚さのものが用いられ、その軽量気泡コンクリートとしては、特に限定されないが、典型的には、0.17W/mK程度の熱伝導率を有するものを使用することができる。
本実施形態においては、100mmの厚さで、熱伝導率が0.17W/mKの軽量気泡コンクリートを用いている。
外壁12は、1階外壁12a及び2階外壁12bからなり、それぞれ、複数枚の平板状の軽量気泡コンクリート(ALC)製の外壁パネルを並べて配備することにより形成されている。
各外壁パネルは、当該各階の床スラブ15(15a、15b)の下面から鉄骨梁14の上フランジ14aの上面に至る少なくとも各階の高さに相当する高さを有している。また、図2中に示す如く、各階の外壁パネルは、鉄骨梁14や基礎10から外壁パネルに向けて突出した状態に取り付けられる自重受け金具やイナズマプレート等の各種支持金物16を介して鉄骨梁14や基礎10に上下端部が支持されている。
なお、当該外壁パネルも、上記ALC製の床パネルと同様の性能を有している。本実施例においては、75mmの厚さに形成されると共に熱伝導率を典型的には0.17W/mKとする軽量気泡コンクリートが使用される。
上述の如く、軽量気泡コンクリートにより形成される床スラブ15や外壁12は、軽量で且つ良好な断熱性能を有するものとなる。
また、鉄骨梁14の上方で、該鉄骨梁14に支持される床スラブ15と該床スラブ15に対向する2階の外壁12の下端部との間となる位置には、間隙が形成されている。該間隙は、上記剛床金物、自重受け金物やイナズマプレート等の各種支持金物16を梁に取り付けるためのスペースであって、これら各種金物、床スラブ15及び外壁12の設置後にモルタル17が充填される。
なお、該モルタルの熱伝導率は通常は1.5W/mK程度である。
断熱構造13は、1階外壁12a及び2階床スラブ15bを支持する鉄骨梁14に沿って設けられる1階断熱構造13aと、2階外壁12b及び屋根スラブ15cを支持する鉄骨梁14に沿って設けられる2階断熱構造13bと、屋根スラブ15c上に設けられる屋根断熱構造13cと、1階床スラブ15a上に設けられる床断熱構造13dとを備えている。
各階断熱構造13a、13bは、鉄骨梁14に対し外壁12a、12bとは反対側に設けられて当該鉄骨梁14の上端部に対向する第1断熱部18と、該第1断熱部18に連結されて鉄骨梁14の側面から下面に亘って及び前記外壁12a、12bに沿って設けられる第2断熱部19とを備えている。
第2断熱部19は、外壁12a、12bに沿って設けられる沿外壁断熱体19aと、該沿外壁断熱体19aに連続して鉄骨梁14の下フランジ14bの下面から該下フランジ14bの屋内側の端部を回り込んで設けられる沿下フランジ断熱体19bと、該沿フランジ断熱体19b上に立設されて鉄骨梁14のウェブ14cと対向する沿ウェブ断熱体19cとを備えている。
沿外壁断熱体19aは、硬質ウレタンフォームや押出法ポリスチレンフォーム保温板或いはフェノール樹脂発泡体等の成形体や発泡体等、「住宅の省エネルギー基準の解説」(財団法人建築環境・省エネルギー機構発行(第1版:平成14年6月1日発行)137頁〜138頁の「発泡プラスチック系断熱材」に規定されている各種の断熱材を板状に形成して構成されており、下端の小口面を下階の床スラブ15又は該床スラブ15と外壁12との間のモルタル17に当設させて該外壁12に沿って起立すると共に、上端の小口面を鉄骨梁14の下フランジ14bの下面に当設させた状態でこれら床スラブ15と鉄骨梁14の間に設けられている。
本実施形態においては、主な沿外壁断熱体19aとして、フェノール樹脂発泡体からなるものを採用しており、具体的には、本件出願人が開発して既に国際出願(特願2000−558158)した技術(ネオマフォーム(登録商標))に係るものを用いている。当該技術に係るフェノール樹脂発泡体は、断熱材として好ましく使用することが可能で、且つ気密材としても好ましく使用することが可能である。
上記技術に係るフェノール樹脂発泡体は、フェノール樹脂基体部と、多数の微細気泡から形成される気泡部とを有し、密度を10kg/m〜100kg/mとするフェノールフォームである。また、該フェノール樹脂発泡体は、微細気泡が炭化水素を含有し且つ平均気泡径が5μm〜200μmの範囲にあり、大部分の微細気泡の気泡壁が滑らかなフェノール樹脂基体面によって構成されている。そして、発泡剤が炭化水素であるにも拘らず、従来のフロン系発泡剤と遜色のない熱伝導率を持ち、且つ熱伝導率の経時的な変化もなく、圧縮強度等の機械的強度に優れ、脆性も改善される。
上記フェノール樹脂発泡体は、高い断熱性と気密性を有し、且つこれらの性能を長期間維持し得る性質を有している。フェノール樹脂発泡体に於ける断熱性は、気泡径が5μm〜200μmの範囲、好ましくは10μm〜150μmと小さく、且つ独立気泡率を80%以上と高く保持することによって、確保することが可能である。またフェノール樹脂発泡体は高い耐燃焼性を有しており、火炎が作用したとき、表面が炭化することで、着火することがなく、且つガスが発生することもない。
例えば、フェノール樹脂発泡体の密度を27kg/mに設定した場合、20℃に於ける熱伝導率は0.02W/m・Kであり、圧縮強さは15N/cm、熱変形温度は200℃である。
ところで、押出法ポリスチレンフォーム保温板3種は、熱伝導率;0.028W/m・K、圧縮強さ;20N/cm、熱変形温度;80℃であり、硬質ウレタンフォーム2種は熱伝導率;0.024W/m・K、圧縮強さ;8N/cm、熱変形温度;100℃である。したがって、前記フェノール樹脂発泡体は、これら押出法ポリスチレンフォーム保温板3種や硬質ウレタンフォーム2種よりも充分に高い性能を有する。このため、フェノール樹脂発泡体からなる断熱材では、従来の押出発泡ポリスチレンや硬質ウレタンフォームの約2/3程度の厚さで略同等の断熱性能を発揮することが可能である。
またフェノール樹脂発泡体は、比較的脆い材料であるため、少なくとも片面にクラフト紙や不織布からなる保護層を設けるのが一般的である。特に、本件出願人が開発して特許出願している特開平11−198332号公報に開示されたフェノール樹脂発泡体積層板は、保護層を形成する不織布を改良することによって接着性能を向上させたものであり、この不織布によってフェノール樹脂発泡体の強度を改善して、強度、断熱性共に優れた建築用断熱材料として提供されるものである。
なお、本実施形態としては、沿外壁断熱体19aとして厚さを25mmとする上記ネオマフォームを用いている。
沿下フランジ断熱体19bは、ポリエチレンフォームBを加工して形成されており、下フランジ14bの下面に沿う平板部19b1と、該平板部19b1から突出する中間部19b2と、該中間部19b2に連結されて且つ平板部19b1に平行に延設される折返し部19b3とを備えている。折返し部19b3は、中間部19b2により形成される隙間を介して平板部19b1と対向している。当該隙間に鉄骨梁14の下フランジ14bを嵌入させることにより、該沿下フランジ断熱体19bは下フランジ14bを下面から屋内側端部に亘って覆う状態で鉄骨梁14に取り付けられることとなる。
なお、沿下フランジ断熱体19bの厚さは、本実施形態においては、平板部19b1、中間部19b2、折返し部19b3のいずれも厚さを25mmとされている。従って、沿下フランジ断熱体19bを鉄骨梁14の下フランジ14bに取り付けると、該下フランジ14bの屋内側の端部よりも中間部19b2が25mm突出することとなる。
沿ウェブ断熱体19cは、沿外壁断熱体19aと同様のフェノール樹脂発泡体を板状に形成して構成されており、沿下フランジ断熱体19bの折返し部19b3上に起立させると鉄骨梁14のウェブ14cと対向する。また、沿ウェブ断熱体19cの高さは、上述の如く沿下フランジ断熱体19b上に起立させると、床スラブ15下面又は鉄骨梁14の上フランジ14aの下面との間に所定間隔の隙間を有する大きさに設定されている。
また、該沿ウェブ断熱体19cは、一方の側部を上下フランジ14a、14b間に入り込ませると共に、他方の側部を上下フランジ14a、14bの端部よりも前記外壁12a、12bから離間する方向に突出させた状態で設けられている。
なお、該沿ウェブ断熱体19cの厚さは、本実施形態においては、40mmの厚さを有しており、そのうちの15mmが鉄骨梁14の上下フランジ14a、14b間に収容され、25mmが該これら上下フランジ14a、14bよりも床下空間に向けて突出している。
第1断熱部18は、上記ポリエチレンフォームBにより板状に形成されており、床スラブ15の下面に沿って設けられる本体部18aと、鉄骨梁14のウェブ14cに向けて突出して当該鉄骨梁14の上フランジ14aの下面を覆う突出部18bとを備えている。
本体部18aは、平板状に形成されており、床スラブ15の下面に沿って鉄骨梁14の上フランジ14aの屋内側端部から離間する方向に延設されている。
ここで、図2中に示す如く本体部18aの厚さをtbmmm、鉄骨梁14の上フランジ14aの屋内側端部からの延設長さをlbmとすると、tbmを以下の式(1)に定められる範囲内とすると共にlbmを以下の式(2)に定められる範囲内とすることが好ましい。
10≦tbm ・・・(1)
50≦lbm ・・・(2)
ただし、単位はmmとする。
なお、本実施形態においては、本体部18aの厚さをtbm=25mm、延設長さをlbm=200mmとしている。
また、本実施形態は鉄骨梁14と床スラブ15間の伝熱経路に伴う断熱性能の低下を抑制することを目的とするのであるから、当該目的に鑑みると、徒にtbmやlbmを長大に設定しても顕著な効果を得られるわけではなく、却って他の部材との納まり等を阻害する虞がある。そうすると、本体部18aの最大厚さはtbmmaX=30mm程度が好ましく、延設の最大長さはlbmmaX=250mm程度が好ましい。
また、本体部18aと突出部18bとの間には、鉄骨梁14の上フランジ14aの板厚に等しい大きさを有する段部が形成されており、これによって、本体部18aを床スラブ15の下面に密着させると、突出部18bは鉄骨梁14の上フランジ14aの下面に密着する。また、突出部18bの本体部18aからの突出長さは、最大でも上フランジ14a端部〜該上フランジ14aとウェブ14cの接続部までの大きさであって、本実施形態においては48mmとされている。
また、上記第2断熱部19の沿ウェブ断熱体19cの高さは、上記第1断熱部18の突出部18bを上フランジ14aに当設させた状態での当該突出部18b下端から沿下フランジ断熱体19bまでの長さよりも僅かに大きく形成されている。したがって、第1断熱部18を床スラブ15下面に沿って配備した状態で、当該沿ウェブ断熱体19cを第1断熱部18の突出部18b及び本体部18aと、沿下フランジ断熱体19bの折返し部19b3との間に押し入れることにより、第1断熱部18の突出部18bは上フランジ14aに密着することとなり、これによって、第1断熱部18は、床スラブ15と第2断熱部19に挟持される。
なお、本実施形態においては、沿ウェブ断熱体19cの屋内側側面を沿下フランジ断熱体19bの屋内側側面と一致させた状態で当該沿ウェブ断熱体19cを設けており、これによってこれら沿下フランジ断熱体19bと沿ウェブ断熱体19cの間に形成される気密ラインを覆うための気密テープの貼着を容易なものとしている。
一方、図3に示す如く、沿ウェブ断熱体19cの屋外側の側面を沿下フランジ断熱体19bの折返し部19b3のウェブ対向側の端面に沿って設けることも可能であり、そうすると、沿ウェブ断熱体19cは僅かな隙間を介して鉄骨梁14のウェブ14cと対向し、沿ウェブ断熱体19cの全体が鉄骨梁14の上下フランジ14a、14b間に収容されるものとなる。
また、図2の第2断熱部19の各断熱体としては、フェノール樹脂、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム等、熱伝導率を0.02W/mK〜0.06W/mKとする硬質プラスチック系断熱材を適宜採用することが可能であり、第1断熱部18としても、フェノール樹脂、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム等、熱伝導率を0.02W/mK〜0.06W/mKとする硬質プラスチック系断熱材を適宜採用することが可能である。
一方、床スラブ15の上面には、2階床面の高さを調整するための下地層20と、該下地層20に積層されて居室の床面を形成する仕上げ層21とが設けられている。
該下地層20は、外壁12(12a、12b)に近接する床スラブ15の周縁部に敷設される中間材22と、該中間材22に端部同士を突き合わせて隣り合った状態で床スラブ15の中央部に敷設される下地材23とを備えている。
中間材22は、本実施形態では、押出法ポリスチレンフォーム保温板3種(熱伝導率:0.028W/mK)で板状に形成して構成されている。また、中間材22は、空隙に充填されたモルタル17上面から床スラブ15の端部上面に亘って敷設されており、該モルタル17上に位置する端部が、2階断熱構造13bの沿外壁断熱体19aの下端部に当接する。これにより、中間材22は、当該沿外壁断熱体19aから離間する方向に延設されるものとなっている。
また、中間材22は、厚さをtmm、長さ(各階断熱構造13a、13bの沿外壁断熱体19aに当接する屋外側端縁から屋内側端縁まで)をlとすると、tを以下の式(3)に定められる範囲内とすると共にlを以下の式(4)に定められる範囲内とすることが好ましい。
20≦t ・・・(3)
100≦l ・・・(4)
ただし、単位はmmとする。
なお、本実施形態においては厚さt=20、長さl=250mmとしている。
下地材23は、本実施形態では、モルタルを主材とするセルフレベリング材(典型的には、比重:2.0、熱伝導率:1.5W/mK)であって、当該セルフレベリング材を中間材22の側方となる床スラブ15中央部に向けて流し込むことにより、2階床面が水平に形成される。
この様に、中間材22は押出法ポリスチレンフォーム保温板3種で、下地材23はセルフレベリング材でそれぞれ形成しているので、中間材22は、床スラブ15(床パネル)よりも有意に小さい熱伝導率を有するものとなる一方、下地材23は、床スラブ(床パネル)15と同程度以上の熱伝導率を有するものとなる。
かかる点に鑑みると、中間材22としては、ポリスチレンフォーム以外にも、フェノール樹脂、ポリエチレンフォーム等、熱伝導率を0.02W/mK〜0.06W/mKとするプラスチック系断熱材を適宜採用することが可能であり、下地材23としては、セルフレベリング材以外にも、合板、パーティクルボード、アスファルトマット、モルタル材等、熱伝導率を0.15W/mK〜1.5W/mKとする材を適宜採用することが可能である。
また、下地層20の上面に形成された仕上げ層21は、下地層20の中間材22及び下地材23上に敷設される第1仕上げ部材21aと、第1仕上げ部材21a上に敷設されて上面を露出させる第2仕上げ部材21bとを備えている。第1仕上げ部材21aの上面には、沿外壁断熱体19aに対向して設けられる内装材24が立設されており、第2仕上げ部材21bは、第1仕上げ部材21aの当該内装材24よりも屋内側となる領域を覆っている。
これら第1仕上げ部材21aや第2仕上げ部材21bは、合板、合成木材、パーティクルボード、プラスチック系断熱材やフローリング材等により形成されており、夫々の板厚は9mm〜30mmのものが用いられている。
なお、本実施形態においては、厚さ12mmの合板を第1仕上げ部材21aとし、厚さ13mmのフローリング材を第2仕上げ部材21bとして仕上げ層21を構成している。
本実施形態は以上の構成からなるものであって、本実施形態によれば、図2中に示す如く1階の外壁12aを構成する外壁パネルと2階の外壁12bを構成する外壁パネル間に配備されている自重受け金物やイナズマプレート等の支持金物16が熱橋となり、当該支持金物16から鉄骨梁14にかけて外壁12a、12bの内外に亘る伝熱経路が形成されることとなるが、鉄骨梁14と床スラブ15の接触部位に第1断熱部18が設けられることにより、当該鉄骨梁14と床スラブ15の接触部位及びその周辺が屋内側より第1断熱部18により覆われることとなる。このため、該第1断熱部18によって鉄骨梁14→床下空間(屋根裏又は居室)Sに至る伝熱経路が遮断されることとなり、この結果、支持金物16及び鉄骨梁14が熱橋となることに起因する当該床下空間Sの温度変化が抑制されるものとなるのである。のみならず、当該第1断熱部18は第2断熱部19と床スラブ15により挟持された状態で鉄骨梁14から離間する方向に延設されているので、床スラブ15の下面は、外壁12から屋内側に向けて所定範囲の領域が第1断熱部18によって覆われることとなる。これにより、床スラブ15が鉄骨梁14により接触することにより鉄骨梁14→床スラブ15にかけて伝熱経路が形成されるとしても、当該伝熱経路と床下空間Sとの間には第1断熱部18が介在することとなり、これによって、床スラブ15→床下空間Sに至る伝熱経路が遮断されることとなり、これによっても支持金物16及び鉄骨梁14が熱橋となることに起因する当該床下空間Sの温度変化が抑制されるものとなるのである。
したがって、第1断熱部18は、鉄骨梁14→床下空間Sとなる伝熱経路及び鉄骨梁14→床スラブ15→床下空間Sとなる伝熱経路も遮断するものとなり、当該第1断熱部18によって鉄骨梁14から床下空間Sに至る2つの伝熱経路が遮断され、これによって、床下空間Sの断熱性が確保され、ひいては建物全体の断熱性能の向上が図られることとなる。
また、沿ウェブ断熱体19cは、一方の側部を上下フランジ14a、14b間に入り込ませると共に他方の側部を上下フランジ14a、14bの端部よりも床下空間Sに突出させた状態で設けられており、鉄骨梁14の上フランジ14aの端部と床下空間Sとの間には、第1断熱部18のみならず該沿ウェブ断熱体19cも位置することとなるので、当該鉄骨梁14→床下空間Sとなる伝熱経路がこれら2つの断熱部により遮断されることとなり、より効果的に断熱性能の向上が図られ、これによって、第1断熱部18の本体部の薄化及び短小化が図られる。
また、床スラブ15の上面側においても、沿外壁断熱体19aと接触させた状態で床スラブ15及びモルタル17に亘って中間材22が敷設されており、当該中間材22が床スラブ15よりも熱伝導率を小さなものとしているので、鉄骨梁14→床スラブ15→床上空間Uとなる伝熱経路が形成される場合であっても、当該断熱経路と床スラブ15上の居室空間との間に中間材22が位置することとなり、これによって、当該伝熱経路が遮断されることとなる。同様に、鉄骨梁14→モルタル17→床上空間Uとなる伝熱経路が形成される場合であっても、当該断熱経路も中間材22により遮断されることとなる。
したがって、第2断熱部19は、鉄骨梁14→床スラブ15→床上空間Uとなる伝熱経路及び鉄骨梁14→モルタル17→床下空間Sとなる伝熱経路も遮断するものとなり、当該第2断熱部19によって鉄骨梁14から床上空間Uに至る2つの伝熱経路が遮断され、これによって、床上空間Uの断熱性が確保され、ひいては建物全体の断熱性能の向上が図られることとなる。
また、当該中間材22は床スラブ15の周縁部にのみ配備され、床スラブ15の中央部は、当該床スラブ15よりも大きな熱伝導率を有する下地材20により覆われることとなるため、床スラブ15の中央部においては当該床スラブ15上下間での熱移動が著しく阻害される虞はなく、これによって、建物全体でのエネルギー効率を維持することができるのである。
また、外壁12と床スラブ15との間に存在するモルタル17により、上述の如き鉄骨梁14→床スラブ15とする第1の伝熱経路に加えて、鉄骨梁14→モルタル17とする第2の伝熱経路や鉄骨梁14→床スラブ15→モルタル17とする第3の伝熱経路が形成されることとなる。然も、当該モルタル17は床スラブ15よりも大きい熱伝導率を有するので、伝熱経路はこれら第1〜第3の伝熱経路に分岐し若しくは第2や第3の伝熱経路が第1の伝熱経路よりも卓越することが考えられる。このため、第1の伝熱経路を通過する熱量は相対的に減少する。したがって、第1の伝熱経路と床上空間U上には中間材22が設けられていることにより断熱性は確保されているものの、かかる伝熱経路による伝熱に起因する床上空間Uの温度変化はより抑制される。
さらに、モルタル17上に各階断熱構造13a、13bや中間材22が配備されるので、これら第2や第3の伝熱経路から居室に至る伝熱経路はこれら各階断熱構造13a、13bや中間材22によって抑制されることとなる。したがって、上述の如き床上の断熱構造により鉄骨梁14から床上空間Uに至る伝熱はさらに抑制されるのである。
また、上述の如き床スラブ15の下面側の断熱のための構成のみを設けると、床スラブ15上面側に向かう伝熱経路の方に熱が流れ易くなることにより床上空間Uの断熱性を却って阻害する虞があり、同様に、上述の如き床スラブ15の上面側の断熱のための構成のみを設けると、床スラブ15下面側に向かう伝熱経路の方に熱が流れ易くなることにより床下空間Sの断熱性を却って阻害する虞があるものの、本実施形態によれば、床スラブ15下方側の第1断熱部18と床スラブ15上方側の中間材22とが共に外壁12側から屋内側に向けて沿設されており、これらが床スラブ15を介して対向しており、これによって、床スラブ15→床下空間Sとなる伝熱経路と床スラブ15→床上空間Uとなる伝熱経路の双方が同時に抑制されることとなる。このため、これら床スラブ15の上下方空間に対する一方の断熱性の向上に伴って他方の断熱性の低下を招来する虞はなく、むしろ一方が他方の断熱性能を補完しあうこととなって、床スラブ15の上下方空間のいずれに対してもバランスよく断熱効果を得られるものとなるのである。
すなわち、本実施形態においては、上述の如き構成により床スラブ15の下面側の断熱のための構成と、床スラブ15の上面側の断熱のための構成との相乗効果によって、当該床スラブ15を支持する鉄骨梁14周りの総合的な断熱性能の向上が図られ、建物全体の断熱性能の著しい向上が図られているのである。
以上、本発明に係る建物の実施形態について詳述したが、本発明は上記実施形態にのみ限定されるものではない。
例えば、上記実施形態は2階建ての戸建て住宅であるが、3階以上の建物とし、各階に上述の如き構成を採用する場合であっても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
本願発明の構成は以上であって、本願発明の有効性を確認すべく、本願発明者らは、中間階の床スラブを支持する鉄骨梁周り及びその周辺の断熱構造として、以下に示す複数の実施例とを用いて解析を行った。
解析1
<実施例>
上記実施形態において、鉄骨梁14を高さ250mm、巾100mm(フランジ厚さ9mm、ウェブ厚さ4.5mm)(λFe=53.0W/mK)とすると共に、外壁12を厚さ75mmの軽量気泡コンクリート(λALC=0.17W/mK)とし、床スラブ15を厚さ100mmの軽量気泡コンクリートとする。床スラブ15と外壁12間にはモルタル17(λモルタル=1.5W/mK)を設ける。
また、各階断熱構造13a、13bの第2断熱部19の沿外壁断熱体19aを厚さ25mmのネオマフォーム(λNF=0.020W/mK)とし、沿下フランジ断熱体19bを厚さ25mmのポリエチレンフォームB(λPE=0.042W/mK)とし、沿ウェブ断熱体19cを厚さ40mmのネオマフォームとする。
さらには、中間材22を厚さ20mm、屋外側端縁から屋内側端縁までの長さを250mmのXPS3種(λXPS=0.028W/mK)とし、下地材23は厚さ20mmのモルタルとする。
なお、XPSとは、押出ポリスチレンのことであって、液化した原料と発泡剤と難燃剤を高温・高圧下で良く混ぜ、一気に通常気圧・温度の環境に吹出させることで、連続的に発泡・硬化させ、これを必要な大きさに切断した板状の難燃性の発泡スチロールであり、スタイロフォーム(登録商標。商標権者:ザ ダウ ケミカル カンパニー)等が公知である。
そして、第1断熱部18をポリエチレンフォームB(λPE=0.042W/mK)、発泡PE(λPE=0.054W/mK)、XPS3種(λXPS=0.028W/mK)、ネオマフォーム(λNF=0.020W/mK)のいずれかの素材とするものをそれぞれ解析モデル(I)〜(IV)とし、且つ、各解析モデルについて第1断熱部18の本体部18aの厚さtbmを10mm、15mm、20mm、25mm、30mmとすると共に、延設長さlbmを25mm、50mm、75mm、100mm、150mm、200mm、250mmとしたものをそれぞれ解析することとする。
また、中間材22の厚さtを20mm、長さ(各階断熱構造13a、13bの沿外壁断熱体19aに当接する屋外側端縁から屋内側端縁まで)lを250mmのパーティクルボード(λPCB=0.15W/mK)とし、下地材23は厚さ20mmのモルタルとする。
そして、第1断熱部18をポリエチレンフォームB(λPE=0.042W/mK)とするものをそれぞれ解析モデル(V)とし、且つ、当該解析モデル(V)についても本体部の厚さtbm及び延設長さlbmを上述の如くしたものを解析にかけることとする。
<解析ソフト>
解析ソフトとして、熱橋計算ソフト(TB1 for Windows ver.1.0(財団法人住宅建築省エネルギー機構)フリーソフト)を用いる。該熱橋計算ソフトは、鉄骨などの熱橋を有する壁、天井、床の実質熱貫流率及び熱橋係数を求めるための開発されたプログラムで、壁の平均熱貫流率、実質的熱貫流率、基準熱橋係数、熱橋係数、(各層の材料温度)を計算することができる。
<モデル化に伴う仮定>
なお、露点温度計測位置は、第1断熱部18及び第2断熱部19の内側表面の全面とし、最も低温となることが想定される第1断熱部18と沿ウェブ断熱体19cの取り合い部、または、第1断熱部18と床スラブ15(床ALC)下面の取り合い部に注視した。
<条件設定と合否判定>
室外−4.7℃、室内15℃、相対湿度70%rh時とする条件設定下において、温度計測部位にて9.7℃以上であれば合格、それ以下であれば不合格とする。
なお、当該条件の設定及び合否基準は、「計算又は実験の結果による温熱環境(結露の発生を防止する対策)に関する試験ガイドライン(住宅性能評価基幹等連絡協議会:平成16年4月15日決定(平成16年12月20日改正))」に基づくものであって、当該ガイドラインの地域区分IVに該当するものを採用している。また、当該試験ガイドラインによれば、室内条件の温度条件は露点温度で9.6℃とされている為、今回の解析においては9.7℃以上を合格とした。
<解析結果>
図4(a)は第1断熱部18をポリエチレンフォームBとした場合(解析モデル(I))の解析結果であり、図4(b)は第1断熱部18を発泡PEとした場合(解析モデル(II))の解析結果であり、図4(c)は第1断熱部18をXPS3種とした場合(解析モデル(III))の解析結果であり、図4(d)は第1断熱部18をネオマフォームとした場合(解析モデル(IV))の解析結果であり、図4(e)は中間材22をパーティクルボードとした場合(解析モデル(V))の解析結果である。
なお、図4(a)〜図4(e)においては、図4(a)の結果を参照して合格と推定されるものについては○とし、不合格と推定されるものについては×としている。
解析結果から明らかなとおり、厚さtbmを10mm以上とする共に延設長さlbmを50mm以上とすると、いずれの素材により第1断熱部18を形成しても床下空間Sは9.7℃以上となって合格となり、鉄製である鉄骨梁14が熱橋となるにも拘らず、当該熱橋による影響を充分に抑制して建物全体の断熱性能の向上が図られていることが確認される。
解析2
<実施例>
上記実施例と同様の鉄骨梁14、外壁12、床スラブ15、モルタル17を用いる。
また、各階断熱構造13a、13bの第1断熱部18を厚さtbm=25mm、延設長さlbm=250mmとするポリエチレンフォームB(λPE=0.042W/mK)とし、第2断熱部19の沿下フランジ断熱体19bを厚さ25mmのポリエチレンフォームB(λPE=0.042W/mK)とし、沿ウェブ断熱体19cを厚さ40mmのネオマフォームとする。
また、沿外壁断熱体19aを厚さ25mmのネオマフォーム(λNF=0.02W/mK)とするものを解析モデル(VI)とし、厚さ45mmのネオマフォームとするものを解析モデル(VII)とする。
そして、各解析モデル(VI)(VII)において中間材22をXPS3種により形成することとし、且つ、厚さtを10mm、15mm、20mm、25mm、30mmとすると共に、長さ(各階断熱構造13a、13bの沿外壁断熱体19aに当接する屋外側端縁から屋内側端縁まで)lを0mm、50mm、100mm、150mm、200mm、250mm、300mmとするものを解析とする。
なお、沿外壁断熱体19aを厚さ25mmのネオマフォームとする場合、当該中間材22は、鉄骨梁14と91mm分だけオーバラップしているため、鉄骨梁14の上フランジ14aの屋内側端部からの延設長さlfaとするとlfa=0mm、−39mm、9mm、59mm、109mm、159mm、209mmとなる。また、沿外壁断熱体19aを厚さ45mmのネオマフォームとする場合、当該中間材22は、鉄骨梁14と71mm分だけオーバラップしているため、鉄骨梁14の上フランジ14aの屋内側端部からの延設長さlfaとするとlfa=0mm、−19mm、29mm、79mm、129mm、179mm、229mmとなる。
さらには、沿外壁断熱体19aを厚さ25mmのネオマフォーム(λNF=0.02W/mK)とすると共に中間材22をパーティクルボード(λPCB=0.15W/mK)としたものを解析モデル(VIII)とし、中間材22の厚さtを10mm、15mm、20mm、25mm、30mmとすると共に、長さ(各階断熱構造13a、13bの沿外壁断熱体19aに当接する屋外側端縁から屋内側端縁まで)lを0mm、50mm、100mm、150mm、200mm、250mm、300mmとするものを解析する。
なお、沿外壁断熱体19aを厚さ25mmのネオマフォームとする場合、当該中間材22は、鉄骨梁14と91mm分だけオーバラップしているため、鉄骨梁14の上フランジ14aの屋内側端部からの延設長さlfaとするとlfa=0mm、−39mm、9mm、59mm、109mm、159mm、209mmとなる。
<解析ソフト、モデル化に伴う仮定、条件設定と合否判定>
上記解析1と同様である。なお、露点温度計測位置は、第1断熱部18と中間材22の内側表面の全面とし、最も低温となることが想定される第1断熱部18と中間材22の取り合い部、または、中間材22と床下地材23(モルタル)上面の取り合い部に注視した。
<解析結果>
図5(a)は沿外壁断熱体19aの厚さを25mmとした場合(解析モデル(VI))の解析結果であって、図5(b)は沿外壁断熱体19aの厚さを45mmとした場合(解析モデル(VII))の解析結果である。また、図5(c)は中間材22をパーティクルボードにより形成してなる解析モデル(VIII)の解析結果である。
図5(a)の解析結果から明らかなとおり、中間材22を少なくとも厚さtを15mm以上とする共に長さlを100mm以上のものを採用すると、床上空間Uの温度は9.7℃以上となって合格となり、鉄製である鉄骨梁14が熱橋となるにも拘らず、当該熱橋による影響を充分に抑制して建物全体の断熱性能の向上が図られていることが確認される。
また、中間材22を薄化又は短小化するには、沿外壁断熱体19aを少なくとも45mm以上の厚さに形成することが好ましく、そうすると、図5(b)の解析結果から明らかなとおり、中間材22の厚さtを10mm以上とする共に長さlを50mm以上とする場合であっても床上空間Uは9.7℃以上となって合格となり、かかる構成によっても熱橋による影響を充分に抑制して建物全体の断熱性能の向上が図られていることが確認される。
また、解析モデル(VI)と解析モデル(VIII)は床スラブ上の中間材22の材質だけ異なるものであるが、これらの解析結果である図5(a)と図5(c)とを比較すると、パーティクルボードの熱伝導率はXPSよりも著しく大きいにも拘らず、解析モデル(VIII)の方が解析モデル(VI)よりも温度が低い。これは、床スラブ15→床上空間Uとなる伝熱経路を遮断する断熱材としては、XPSよりもパーティクルボードの方が断熱性能が低いため、床スラブ15→床下空間Sとなる伝熱経路よりも床スラブ15→床上空間Uとなる伝熱経路が卓越することとなり、上記解析結果の如く当該床下空間Sの断熱性能は向上するものの、床上空間Uの断熱性能を阻害することとなり、当該解析においても解析モデル(VIII)においては床上空間Uの温度が9.7℃を下回ることとなってしまう(解析モデル(VIII)の条件における床上空間Uの温度状態については、解析モデル(V)の図4(e)参照)。ましてや、中間材22を設けない構成においてはかかる傾向が顕著になることは言うまでもない。
即ち、これら解析モデル(I)及び解析モデル(V)、並びに解析モデル(VIII)の結果より、床スラブ15の上下に亘って本実施形態の如き断熱構造を設けることにより、床スラブ15上下方空間に対する一方の断熱性の向上に伴って他方の断熱性の低下を招来する虞はなく、むしろ一方が他方の断熱性能を補完しあうこととなって、床スラブ15上下方空間のいずれに対してもバランスよく断熱効果を得られるものとなることが確認される。
本発明の第一の実施形態に係る建物を示す側断面図である。 図1の要部を拡大して示した側断面図である。 図2と同様の図で、本発明の第二の実施形態に係る建物の要部を示す側断面図である。 本発明の実施例を含む解析モデルについて特に第1断熱部に関する断熱効果の解析結果を表す表で、(a)は第1断熱部としてポリエチレンフォームBを用いた解析モデル(I)の解析結果、(b)は第1断熱部として発泡PEを用いた解析モデル(II)の解析結果、(c)は第1断熱部としてXPS3種を用いた解析モデル(III)の解析結果、(d)は第1断熱部としてネオマフォームを用いた解析モデル(IV)の解析結果、(e)は中間材としてパーティクルボードを用いた解析モデル(V)の解析結果である。 本発明の実施例を含む解析モデルについて特に中間材に関する断熱効果の解析結果を表す表で、(a)は沿外壁断熱体厚さを25mmとした解析モデル(VI)の解析結果、(b)は沿外壁断熱体厚さを45mmとした解析モデル(VII)の解析結果、(c)は中間材にパーティクルボードを用いた解析モデル(VIII)の解析結果である。
符号の説明
10 基礎
11 構造躯体
12 外壁
12a 1階外壁
12b 2階外壁
13 断熱構造
13a 1階断熱構造
13b 2階断熱構造
13c 屋根断熱構造
13d 床断熱構造
14 鉄骨梁
14a 上フランジ
14b 下フランジ
14c ウェブ
15 床スラブ
15a 1階床スラブ
15b 2階床スラブ
15c 屋根スラブ
16 支持金物
17 モルタル
18 第1断熱部
18a 本体部
18b 突出部
19 第2断熱部
19a 沿外壁断熱体
19b 沿下フランジ断熱体
19b1 平板部
19b2 中間部
19b3 折返し部
19c 沿ウェブ断熱体
20 下地層
21 仕上げ層
21a 第1仕上げ部材
21b 第2仕上げ部材
22 中間材
23 下地材
24 内装材
S 床下空間(スラブ下方の空間、屋根裏)
U 床上空間

Claims (5)

  1. 軽量気泡コンクリートからなる床スラブと、該床スラブを支持する鉄骨梁と、該鉄骨梁の一側面に対向した状態で当該鉄骨梁に支持される外壁と、該外壁及び鉄骨梁に沿って設けられて前記床スラブの直下の階を断熱する各階断熱構造とを備え、
    前記各階断熱構造は、
    前記鉄骨梁に対し外壁とは反対側に設けられて当該鉄骨梁の上端部に対向する第1断熱部と、
    該第1断熱部に連結されて鉄骨梁の側面から下面に亘って及び前記外壁に沿って設けられる第2断熱部とを備え、
    前記第1断熱部は、平板状に形成され、厚さt bm を以下の式(1)に定められる範囲内とすると共に前記鉄骨梁の端部からの延設長さl bm を以下の式(2)に定められる範囲内として、前記床スラブの下面に沿って前記鉄骨梁から離間する方向に延設されていることを特徴とする建物。
    10≦t bm ≦30 ・・・(1)
    50≦l bm ≦250 ・・・(2)
    ただし、単位はmmとする。
  2. 前記鉄骨梁は上下フランジをウェブで連結してなるH型鋼であって、前記第1断熱部は、前記床スラブの下面に沿って設けられる本体部と、前記ウェブに向けて突出して上フランジの下面を覆う突出部とを備え、前記第2断熱部は、前記第1断熱部の突出部と本体部のいずれか又は両方に密着していることを特徴とする請求項1に記載の建物。
  3. 前記第2断熱部は、前記鉄骨梁のウェブに沿った状態で設けられる板状の沿ウェブ断熱体を備え、該沿ウェブ断熱体は、一方の側部を上下フランジ間に入り込ませると共に他方の側部を上下フランジの端部よりも前記外壁から離間する方向に突出させた状態で設けられていることを特徴とする請求項2に記載の建物。
  4. 前記第1断熱部は、硬質プラスチック系断熱材により形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の建物。
  5. 前記床スラブの上面には、床面の下地となる下地層が形成されており、該下地層は、前記床スラブの直上の階の各階断熱構造の第2断熱部の下端部に当接して当該第2断熱部から離間する方向に延設される板状の中間材と、該中間材に隣り合った状態で敷設される下地材とを備え、
    該中間材は、少なくとも前記床スラブよりも小さい熱伝導率を有する素材で形成されると共に、前記下地材は、前記床スラブと同程度以上の熱伝導率を有する素材で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の建物。
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