JP2007285061A - ユニット建物 - Google Patents

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Abstract

【課題】上階ユニットが下階ユニットに対してセットバックして据え付けられる構造において、プランニングの自由度を向上させることができるユニット建物を得る。
【解決手段】下階ユニット14の上面に載置される上階ユニット20はセットバックユニットとされている。従って、下階ユニット14の天井大梁42Aの中間部に上階ユニット20の建物外周側の柱40Aが位置されるが、補強梁50の上縁側に延出部54を設けて上階ユニット20の建物外周側の柱40Aの下端部に接合したので、下階ユニット14側に中間柱を設置する等の対策が不要になる。従って、プラニングの自由度を向上させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、セットバックユニットを使ったユニット建物に関する。
下記特許文献1には、下階ユニットの外壁線に対して上階ユニットの外壁線を後退(セットバック)させることにより、その上階ユニット前面部分をバルコニーや下屋に使用し、プランニングの自由度を確保することを企図した技術が開示されている。
特開平4−302630
しかしながら、上記先行技術による場合、セットバックユニットである上階ユニットの柱を下階ユニットの天井大梁の長手方向略中間部で受ける構造を採っているため、構造力学的にみて下階ユニットの天井大梁に大きな負担がかかる。かかる負担増に対処するべく、下階ユニットの天井大梁の鉛直剛性を適切に上げる必要があるが、部材の断面形状を変更して対処するのは、鉄鋼系工業化住宅の場合には生産性の観点から望ましくない。そうなると天井大梁の板厚を増加させる方法を採らざるを得ないが、設備工程の負荷を適正化する必要があることから、板厚の増加にも限度がある。従って、板厚の増加でも対処しきれない場合には、下階ユニットの柱間のスパン長を短めに制限するとか、下階ユニットの適切な位置に中間柱を新設するといった手法になり、プランニングの自由度を著しく低下させる。
本発明は上記事実を考慮し、上階ユニットが下階ユニットに対してセットバックして据え付けられる構造において、プランニングの自由度を向上させることができるユニット建物を得ることが目的である。
請求項1の発明に係るユニット建物は、建物外周側に配置された下階ユニットと、この下階ユニットの上面に載置されると共に建物外周側の柱の位置が下階ユニットの建物外周側の柱の位置よりも建物内方側へオフセットされたセットバックユニットとして構成された上階ユニットと、を含んで構成されたユニット建物であって、隣接する下階ユニットの天井梁間の隙間には長尺状の補強梁が配置されており、当該補強梁の一部を上階ユニットの建物外周側の柱の下端部に固定した、ことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1記載のユニット建物において、前記補強梁は、前記上階ユニットの建物外周側の柱の近傍位置から建物高さ方向へ延出された延出部を備えており、当該延出部を含めた補強梁の梁成は当該上階ユニットの建物外周側の柱の下端部に届く高さに設定されている、ことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2記載のユニット建物において、前記延出部は、前記上階ユニットの建物外周側の柱の近傍位置から建物内方側の柱の近傍位置まで延在されている、ことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のユニット建物において、前記補強梁は、隣接する下階ユニットにおいて対向して配置される一対の天井梁にそれぞれ固定されている、ことを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のユニット建物において、前記補強梁は、隣接する上階ユニットにおいて対向して配置される建物外周側の一対の柱にそれぞれ固定されている、ことを特徴とする。
請求項1記載の本発明によれば、ユニット建物は、建物外周側に配置された下階ユニットと、その上面に載置された上階ユニットとを含んで構成されている。さらに、この上階ユニットは、セットバックユニットとして構成されている。つまり、上階ユニットは、建物外周側の柱の位置が下階ユニットの建物外周側の柱の位置よりも建物内方側へオフセットされたユニットとして構成されている。このため、セットバックユニットである上階ユニットの建物外周側の柱を下階ユニットの天井梁で支える構造になるため、構造力学的にみれば下階ユニットの天井梁に大きな負担がかかることになる。
しかし、本発明では、隣接する下階ユニットの天井梁間の隙間に長尺状の補強梁を配置して下階ユニットの天井梁を補強するのみならず、補強梁の一部を上階ユニットの建物外周側の柱の下端部に固定したので、本来鉛直剛性のアップに限度のあった天井梁の剛性を必要量適切に増加させることができる。その結果、下階ユニットの柱間のスパン長を短めに制限する必要もなくなり、又下階ユニットの適切な位置に中間柱を新設する必要もなくなる。
請求項2記載の本発明によれば、上述したように、補強梁は隣接する下階ユニットの天井梁間の隙間に配置される長尺状の部材として構成されているが、本発明では、更に上階ユニットの建物外周側の柱の近傍位置から建物高さ方向へ延出する延出部を設け、この延出部を含めた補強梁の梁成を上階ユニットの建物外周側の柱の下端部に届く高さに設定したので、最小限の部材面積で補強梁を上階ユニットの建物外周側の柱の下端部に固定することができる。
請求項3記載の本発明によれば、補強梁の延出部が上階ユニットの建物外周側の柱の近傍位置から建物内方側の柱の近傍位置まで延在されているため、補強梁を上階ユニットの建物外周側の柱の下端部だけでなく、床梁とも接合することができる。
請求項4記載の本発明によれば、補強梁は隣接する下階ユニットにおいて対向して配置される一対の天井梁にそれぞれ固定されているので、補強梁の下階ユニットへの取付状態が安定化する。
請求項5記載の本発明によれば、補強梁は、隣接する上階ユニットにおいて対向して配置される建物外周側の一対の柱にそれぞれ固定されているので、補強梁の上階ユニットへの取付状態が安定化する。
以上説明したように、請求項1記載のユニット建物は、上階ユニットが下階ユニットに対してセットバックして据え付けられる構造において、プランニングの自由度を向上させることができるという優れた効果を有する。
請求項2記載の本発明に係るユニット建物は、補強梁の延出部を上階ユニットの建物外周側の柱の下端部に固定したので、最小限の歩留まり及び重量増加で上階ユニットの水平剛性を増大させることができるという優れた効果を有する。
請求項3記載の本発明に係るユニット建物は、下階ユニットの鉛直剛性及び上階ユニットの水平剛性のいずれも増加させることができ、下階ユニットの天井梁の撓み量の低減及び上階ユニットの水平変形の低減をより一層強化することができるという優れた効果を有する。
請求項4記載の本発明に係るユニット建物は、下階ユニット側での荷重の伝達性能を良好に発揮させることができるという優れた効果を有する。
請求項5記載の本発明に係るユニット建物は、上階ユニットからの荷重の伝達性能を良好に発揮させることができるという優れた効果を有する。
以下、図1〜図4を用いて、本発明に係るユニット建物の一実施形態について説明する。
図1には、本実施形態に係るユニット建物10の全体構成が側面図で示されている。この図に示されるように、ユニット建物10は、基礎12と、複数の下階ユニット14、16を妻方向及び桁方向に隣接配置することにより構成された下階部分(一階部分)18と、複数の上階ユニット20、22を妻方向及び桁方向に隣接配置することにより構成され上階部分(二階部分)24と、図示しない屋根部と、によって構成されている。
下階ユニット14は箱形に構成されており、四隅に立設された柱30と、対向する柱30の上端部同士を繋ぐ天井大梁32と、対向する柱30の下端部同士を繋ぐ床大梁34と、を備えている。なお、天井大梁32及び床大梁34は長短二種類の二組の梁によってそれぞれ構成されており、スパン長が長い方の大梁を指す場合は符合に「A」を付けて表記し、スパン長が短い方の大梁を指す場合には符合に「B」を付けて表記することにする。
一方、上階ユニット20も箱形に構成されており、四隅に立設された柱40と、対向する柱40の上端部同士を繋ぐ天井大梁42と、対向する柱40の下端部同士を繋ぐ床大梁44と、を備えている。なお、天井大梁42及び床大梁44は長短二種類の二組の梁によってそれぞれ構成されており、スパン長が長い方の大梁を特に指す場合は符合に「A」を付けて表記し、スパン長が短い方の大梁を特に指す場合には符合に「B」を付けて表記することにする。
上述した上階ユニット20は下階ユニット14よりもユニットサイズが短くなっている。このため、上階ユニット20の建物外側(図1の紙面右側)の柱40Aの位置は下階ユニット14の建物外周側の柱40Aの位置よりも距離Aだけ建物内方側へオフセットして配置されており、上階ユニット20はセットバックユニットを構成している。
図1及び図2に示されるように、隣接する下階ユニット14の天井大梁32A間には所定寸法の隙間48が形成されており、この隙間48には平鋼で構成された長尺状の補強梁50が配置されている。
図3に示されるように、補強梁50は、本体部52と本体部52の上縁側の所定位置から建物上方側へ延出された延出部54とによって構成されている。本体部52のスパン長は下階ユニット14の天井大梁32Aのスパン長に略一致されている(図1参照)。また、本体部52の両側面には、所定の間隔で配置されかつ断面形状がコ字状に形成された複数のブラケット56が溶接により固着されている。本体部52の板厚と本体部52の両側面に固着された一対のブラケット56の突出長さとを足した長さが、天井大梁32A間の隙間48の間隙寸法に略一致されている。そして、ボルト58及びナット60でブラケット56の中間部が天井大梁32Aのウェブ32A1に締結されることにより、補強梁50の本体部52が隣接する下階ユニット14の対向する一対の天井大梁32Aに固定されている。
補足すると、図2において、下階ユニット14の天井大梁32Aの下フランジ32A2の下面に示されている部材は天井下地材62であり、かかる天井下地材62に天井材64が固定されて、天井パネルが構成されている。なお、床パネル側も基本的には同様の構成になっている。
図3に戻り、補強梁50の延出部54は、本体部52の長手方向において、上階ユニット20の建物外側(図1の紙面右側)の柱40Aの立設位置に設けられており、又当該柱40Aの下端部に届く高さまで延出されている。この延出部54の両側面には、前述したブラケット56よりも突出量が少ないコ字状のブラケット66が溶接により固着されている。これらのブラケット66が隣接する上階ユニット20の建物外周側の柱40Aの下端部にボルト68及びナット70で締結されることにより、補強梁50の延出部54が上階ユニット20の建物外周側の柱40Aに固定されている。なお、図2の柱40Aの下端部は一本物の柱の下端部であるが、柱を三分割して床仕口柱としてもよい。また、ここで使用されるボルト68は柱40Aの下端部を貫通している。
さらに、以上の説明から解るように、上述した補強梁50の本体部52の本来の梁成h1(図3参照)は下階ユニット14の天井大梁32Aの梁成と略一致されているが(図1参照)、延出部54が形成された部分での梁成h2(図3参照)はこれよりも高く、上階ユニット20の建物外周側の柱40Aの下端部に届く高さに設定されている。
(作用・効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
ユニット建物10を構成する上階ユニット20は、下階ユニット14に対して距離Aだけ建物屋内側へオフセットされたセットバックユニットとされているため、上階ユニット20の建物外周側の柱40Aは下階ユニット14の天井大梁32Aの長手方向の途中部分に位置される。つまり、セットバックユニットである上階ユニット20の建物外周側の柱40Aを下階ユニット14の天井大梁32Aで支える構造になるため、構造力学的にみれば下階ユニット14の天井大梁32Aに大きな負担がかかることになる。
しかし、本実施形態では、隣接する下階ユニット14の天井大梁32A間の隙間48に長尺状の補強梁50を配置して下階ユニット14の天井大梁32Aを補強するのみならず、補強梁50の一部(延出部54)を上階ユニット20の建物外周側の柱40Aの下端部に固定したので、本来鉛直剛性のアップに限度のあった天井大梁32Aの剛性を必要量適切に増加させることができる。その結果、下階ユニットの柱間のスパン長を短めに制限する必要もなくなり、又下階ユニットの適切な位置に中間柱を新設する必要もなくなる。以上より、本実施形態に係るユニット建物10によれば、上階ユニット20が下階ユニット14に対してセットバックして据え付けられる構造において、プランニングの自由度を向上させることができる。
なお、上階ユニット20をセットバックユニットとしたことにより、上階ユニット20の前方に広いスペース74(図1参照)が形成されるが、このスペース74は種々の用途に使うことができる。例えば、採光窓を設置したり、サンルームを設置したり、バルコニーとして利用する等である。
また、本実施形態では、上述したように、補強梁50は隣接する下階ユニット14の天井大梁32A間の隙間48に配置される長尺状の部材(平鋼)として構成されているが、本実施形態では、更に上階ユニット20の建物外周側の柱40Aの近傍位置(真下)から建物高さ方向へ延出する延出部54を設け、この延出部54を含めた補強梁50の梁成h2を上階ユニット20の建物外周側の柱40Aの下端部に届く高さに設定したので、最小限の部材面積で補強梁50を上階ユニット20の建物外周側の柱40Aの下端部に固定することができる。その結果、本実施形態によれば、最小限の歩留まり及び重量増加で上階ユニット20の水平剛性を増大させることができる。
なお、上記効果を補足すると、下階ユニット14の天井大梁32Aの鉛直剛性がアップすると、当該天井大梁32Aの撓み量を抑制する効果が得られる。これに対し、上階ユニット20の水平剛性がアップすると、上階ユニット20の水平方向への変形を抑制する効果が得られる。
さらに、本実施形態では、補強梁50は隣接する下階ユニット14において対向して配置される一対の天井大梁32Aにそれぞれブラケット56を介して固定されているので、補強梁50の下階ユニット14への取付状態が安定化する。このため、下階ユニット14側での荷重の伝達性能を良好に発揮させることができる。
また、本実施形態では、補強梁50は、隣接する上階ユニット20において対向して配置される建物外側の一対の柱40Aにブラケット66を介してそれぞれ固定されているので、補強梁50の上階ユニット20への取付状態が安定化する。このため、上階ユニット20からの荷重の伝達性能を良好に発揮させることができる。
〔本実施形態の補足説明〕
以下に、本実施形態の補足説明をする。
(1) 本実施形態では、一般住宅に対して本発明を適用したが、これに限らず、他の用途(商業的用途、工業的用途、農業的用途、福祉施設・公共施設等の非営利目的の行政的用途を含む)に対して本発明を用いてもよい。
(2) 本実施形態では、補強梁50の本体部52の一部のみ(上階ユニット20の建物外周側の柱40Aの長手方向と本体部52とが交差する位置)に延出部54を設けたが、これに限らず、図4に示されるように、本体部82の前記延出部54に相当する位置から建物屋内側の全範囲に上階ユニット20側へ延出する延出部84を設けてもよい。換言すれば、梁成がh2に設定された本体部82の建物外側の上縁角部(上階ユニット20の建物外周側の柱40Aから更に建物外側へ至る部分をカットすることにより構成された補強梁80を用いてもよい。この場合、延出部84は上階ユニット20の建物外周側の柱40Aの近傍位置から上階ユニット20の建物内方側の柱40Bの近傍位置まで延在される。
上記構成によれば、補強梁80の延出部84が上階ユニット20の建物外周側の柱40Aの近傍位置から建物内方側の柱40Bの近傍位置まで延在されているため、補強梁80の延出部84を上階ユニット20の建物外周側の柱40Aの下端部だけでなく、床大梁44Aも接合することができる。従って、下階ユニット14の鉛直剛性及び上階ユニット20の水平剛性のいずれも増加させることができ、下階ユニット14の天井梁の撓み量の低減及び上階ユニット20の水平変形の低減をより一層強化することができるという優れた効果を有する。
(3) さらに、本実施形態では、隣接する下階ユニット14の天井大梁32Aにブラケット56を介して補強梁50の本体部52が固定される構成を採ったが、これに限らず、本体部52を長手方向に延長させて、隣接する下階ユニット14の一対の建物外周側の柱32A及び一対の建物内方側の柱32Bの少なくとも一方とも接合する構成を採ってもよい。
本実施形態に係るユニット建物の全体構成を示す側面図である。 図1の2−2線断面図である。 補強梁単体の斜視図である。 別の実施形態に係る補強梁単体の斜視図である。
符号の説明
10 ユニット建物
14 下階ユニット
20 上階ユニット
30A 建物外周側の柱
32A 天井大梁
40A 建物外周側の柱
40B 建物内方側の柱
42A 天井大梁
48 隙間
50 補強梁
54 延出部
56 ブラケット
58 ボルト
60 ナット
66 ブラケット
68 ボルト
70 ナット
80 補強梁
84 延出部

Claims (5)

  1. 建物外周側に配置された下階ユニットと、この下階ユニットの上面に載置されると共に建物外周側の柱の位置が下階ユニットの建物外周側の柱の位置よりも建物内方側へオフセットされたセットバックユニットとして構成された上階ユニットと、を含んで構成されたユニット建物であって、
    隣接する下階ユニットの天井梁間の隙間には長尺状の補強梁が配置されており、
    当該補強梁の一部を上階ユニットの建物外周側の柱の下端部に固定した、
    ことを特徴とするユニット建物。
  2. 前記補強梁は、前記上階ユニットの建物外周側の柱の近傍位置から建物高さ方向へ延出された延出部を備えており、
    当該延出部を含めた補強梁の梁成は当該上階ユニットの建物外周側の柱の下端部に届く高さに設定されている、
    ことを特徴とする請求項1記載のユニット建物。
  3. 前記延出部は、前記上階ユニットの建物外周側の柱の近傍位置から建物内方側の柱の近傍位置まで延在されている、
    ことを特徴とする請求項2記載のユニット建物。
  4. 前記補強梁は、隣接する下階ユニットにおいて対向して配置される一対の天井梁にそれぞれ固定されている、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のユニット建物。
  5. 前記補強梁は、隣接する上階ユニットにおいて対向して配置される建物外周側の一対の柱にそれぞれ固定されている、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のユニット建物。
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