JP2007284265A - 改質システムの停止方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 改質システムを停止する際に、改質器やCO低減手段等の結露発生を防止する。
【解決手段】 改質システムの停止に際して、混合触媒層5に対する空気供給を停止し、その状態で改質器1への原料ガスと水蒸気の供給を継続し、その改質反応の吸熱作用により改質器1の混合触媒層5とシフト触媒層6を急速冷却させ、その際、シフト触媒層6に結露が生じないように改質器1への原料と水蒸気の供給量を調整する。またCO低減手段17に燃料ガスと空気を供給し、燃料ガスの酸化熱によりCO低減手段17に設けた酸化触媒層に結露が生じることを防止する。
【選択図】 図1

Description

本発明は原料ガスを水蒸気で改質して水素リッチな改質ガスを生成し、その改質ガスを燃料電池等の付加設備に供給する改質システムの停止方法に関する。
従来から、原料ガスと水蒸気の混合物(以下、原料一水蒸気混合物という。)を改質触媒の存在下に水蒸気改質し、水素リッチな改質ガスを生成する改質器が知られている。改質器で得られる水素リッチな改質ガスは、残留するCO(一酸化炭素)をCO低減手段で酸化触媒の存在下に酸素含有ガスと反応させてCOへ変換し、特に低温で作動する固体高分子電解質型燃料電池用には、数ppmレベルまでCOを低減してから燃料として供給される。原料ガスには、メタン等の炭化水素、メタノール等の脂肪族アルコール類、或いはジメチルエーテル等のエーテル類、都市ガスなどが用いられる。このような改質器において、メタンを原料ガスとして使用した場合の水蒸気改質の反応式は、CH+2HO→CO+4Hで示すことができ、好ましい改質反応温度は650〜750℃の範囲である。
改質器の改質反応に必要な熱を供給する方式として外部加熱型と、内部加熱型がある。外部加熱型の改質器は、外部に加熱部を設け、その熱源で原料ガスと水蒸気を反応させて改質ガスを生成するようになっている。内部加熱型の改質器はその供給側(上流側)に部分酸化反応層を設け、該部分酸化反応層で発生した熱を用いて下流側に配備した水蒸気改質反応層を水蒸気改質反応温度まで加熱し、該加熱された水蒸気改質触媒層で水蒸気改質反応をさせて水素リッチな改質ガスを生成するようになっている。
部分酸化反応は、CH+1/2・O→CO+2Hで示すことができ、好ましい部分酸化反応の温度は250℃以上の範囲である。内部加熱型の改質器を改良したものとして自己酸化内部加熱型の改質器が例えば特許文献1、2に記載されている。特許文献1、2の改質器は外側の予備改質室とそれに連通する内側の主改質室を備えた二重構造になっており、予備改質室には改質触媒層が設けられ、主改質室には酸化空気の供給管、改質触媒と酸化触媒を混合した混合触媒層、シフト触媒層等が設けられる。なお主改質室の中央部に酸化空気を供給する供給管が延長され、その供給管が混合触媒層に延長する部分に複数のノズルからなる空気噴出部が形成される。
改質触媒層は原料ガスを水蒸気改質するものであり、例えばNiO−A1あるいはNiO−SiO・A1などのNi系改質反応触媒やWO−SiO・A1やNiO−WO・SiO・A1などが使用される。混合触媒層を構成する改質触媒は上記と同様なものが使用され、それに均一に分散される酸化触媒は原料一水蒸気混合物中の原料ガスを酸化して、その酸化熱により水蒸気改質反応に必要な温度を得るもので、例えば白金(Pt)やロジウム(Rh)あるいはルテニウム(Ru)あるいはパラジウム(Pd)が使用される。なお改質触媒に対する酸化触媒の混合割合は、水蒸気改質すべき原料ガスの種類に応じて1〜15%程度の範囲で選択され、例えば原料ガスとしてメタンを使用する場合は5%±2%程度、メタノールの場合は2%±1%程度の混合割合とされる。
シフト触媒層は改質ガスに含まれるCOを低減するものであり、CuO―ZnO、Fe、Fe等のシフト触媒が使用される。なおシフト触媒層は後述するように高温シフト触媒層と低温シフト触媒層により構成されるが、両者は同じシフト触媒を用いることができる。
改質器の水蒸気改質に必要な水蒸気を発生するため、通常、改質システムには水蒸気発生手段が設けられる。水蒸気発生手段は気体燃料または液体燃料をバーナで燃焼し、発生する高温の燃焼ガスで水を加熱して水蒸気を発生するものである。そして水蒸気発生手段で発生した水蒸気と原料ガス供給手段からの原料ガスをエジェクタからなる吸引混合手段で混合して得られた原料一水蒸気混合物が改質器に供給される。
改質システムを停止する際に、改質器への原料ガス供給および酸化空気の供給を停止すると、改質器の内部温度は急激に降下しないため、改質器内に残留する原料ガスが高温により炭素析出現象を起こす。その炭素析出を防止するため、例えば特許文献3に、改質システムの停止に際して改質器内部に残留する原料ガスを水蒸気でパージする方法が提案されている。特許文献3の改質システムの停止方法は、改質器への原料ガス供給を停止した後に、改質器に残留する原料ガスを水蒸気でパージしてから改質器を自然冷却し、改質器の内部温度が原料ガスの炭素析出温度以下になった時点で改質器内を原料ガスで置換している。
特開2001−192201号公報 特開2005−149860号公報 特開2002−151124号公報
従来の改質システムの停止方法では、改質システムを停止する際に改質器への原料ガス供給および酸化空気の供給を停止しているが、該方法では改質システム停止直後から改質器を自然冷却により温度低下させる。そのため改質器の冷却速度は緩やかなので、改質システムの停止に要する時間が長くなるという問題があった。
上記問題を解決する方法として、改質システムの停止に際して、先ず混合触媒層に対する空気供給を停止し、その状態で改質器への原料ガスと水蒸気の供給を継続し、その改質反応の吸熱作用により改質器の混合触媒層とシフト触媒層を急速冷却させる方法が考えられる。しかし該方法を採用した場合、混合触媒層と共にシフト触媒層が急速に冷却されるが、シフト触媒層(特に低温シフト触媒層)の温度が必要以上に冷却されて該部分に結露を生じることが分かった。シフト触媒層に結露が生じると、改質器の再起動までの保温に要する熱エネルギー、もしくは再起動に際しての昇温に要する熱エネルギーが増加するという問題がある。
また従来の改質システムでは、改質システムの停止初期に、改質器に連通するCO低減手段の温度が急速に低下し、CO低減手段の内部に結露が生じることが分かった。CO低減手段の内部に結露が生じると、CO低減手段を再起動したときに内部に設けた酸化触媒の触媒反応を低下させ、また場合によっては酸化触媒自体が劣化するという問題がある。
さらに従来の改質システムでは、改質器の冷却過程において、改質器から改質ガスや未反応の原料ガス等が流出するが、この流出ガスはシステムの系外に排出していた。しかし流出ガスを系外に排出することは環境対策から好ましくない上に、利用価値のあるガスを無駄に廃棄するという問題がある。
さらに従来の改質システムでは、水蒸気パージをした後、系内を密閉系に維持して改質器の内部温度を炭素析出温度以下まで冷却する間に、系内に残留する水蒸気が温度低下により凝縮し、密閉系の圧力が負圧領域へ低下するおそれがある。系内が負圧になると外部から大気が浸入し、触媒を酸化させて劣化を促進させる。また残留する可燃性ガスと浸入した空気中の酸素が混合して爆発をする危険性もある。
そこで本発明は、これら従来の改質器システムの停止方法における諸問題を解決することを課題とする。そして、本発明は混合触媒層とシフト触媒層を急速冷却させる際に、シフト触媒層が必要以上に急速冷却させないようにした改質システムの停止方法の提供を第1の目的とする。また本発明はCO低減手段に結露が生じることを防止する改質システムの停止方法の提供を第2の目的とする。
また本発明は改質器から流出するガスを有効利用できる改質システムの停止方法の提供を第3の目的とする。さらに本発明は改質器とCO低減手段の系統を密閉系に維持した際に、密閉系が負圧領域になることを防止した改質システムの停止方法の提供を第4の目的とする。
前記課題を解決する本発明の第1の改質器システムの停止方法は、原料ガスを水蒸気で改質して水素リッチな改質ガスを生成する改質触媒と原料ガスを空気で酸化して酸化熱を生成する酸化触媒とを混合して形成した混合触媒層と、前記生成した改質ガスに含まれるCO(一酸化炭素)を低減するシフト触媒層を設けた改質器を備えてなる改質システムの停止方法である。そして改質システムの停止に際して、先ず混合触媒層に対する酸化用空気の供給を停止し、その状態で改質器への原料ガスと水蒸気の供給を継続し、その改質反応の吸熱作用により改質器の混合触媒層とシフト触媒層を急速冷却させ、その際シフト触媒層に結露が生じないように、改質器への原料ガスと水蒸気の供給量を調整することを特徴とする(請求項1)。
上記改質システムの停止方法において、前記混合触媒層が所定温度領域まで低下したとき、改質器への原料ガスの供給を停止して改質器内を水蒸気パージし、改質器の内部温度が原料ガスの炭素析出温度以下になったとき、改質器内を原料ガスで置換することができる(請求項2)。
前記課題を解決する本発明の第2の改質器システムの停止方法は、原料ガスを水蒸気で改質して水素リッチな改質ガスを生成する改質触媒と原料ガスを空気で酸化して酸化熱を生成する酸化触媒とを混合して形成した混合触媒層と、前記生成した改質ガスに含まれるCO(一酸化炭素)を低減するシフト触媒層を設けた改質器を備え、さらに改質器から流出する改質ガスに微量含まれるCOを低減するCO低減手段を設けた改質システムの停止方法である。そして前記CO低減手段は空気でCOを酸化して炭酸ガスに変換する酸化触媒層を有し、改質システムの停止に際して、CO低減手段が温度低下してその内部に結露が生じないように、前記酸化触媒層に燃料ガスと空気を供給し、燃料ガスが空気と反応して生じる酸化熱によりCO低減手段の内部温度を前記結露が生じる温度以上に維持することを特徴とする(請求項3)。
上記CO低減手段を有する改質システムの停止方法において、原料ガスと水蒸気を改質器に供給し、改質器を通過して流出するガスを燃料ガスとしてCO低減手段に供給することができる(請求項4)。
さらに上記改質システムの停止方法において、前記混合触媒層が所定温度領域まで低下したとき、改質器の内部を水蒸気パージすると共にCO低減手段への空気供給を停止し、改質器の内部温度が原料ガスによる炭素析出温度以下になったとき、改質器内を原料ガスで置換することができる(請求項5)。
前記課題を解決する本発明の第3の改質器システムの停止方法は、原料ガスを水蒸気で改質して水素リッチな改質ガスを生成する改質触媒と原料ガスを空気で酸化して酸化熱を生成する酸化触媒とを混合して形成した混合触媒層と、前記生成した改質ガスに含まれるCO(一酸化炭素)を低減するシフト触媒層を設けた改質器を備え、さらに改質器から流出する改質ガスに微量含まれるCOを低減するCO低減手段を設けた改質システムの停止方法である。そして前記改質器へ水蒸気を供給するため、燃料を燃焼して生成する高温の燃焼ガスにより水蒸気を発生させる水蒸気発生手段を設け、改質システムの停止に際して、CO低減手段から流出するガスを前記水蒸気改質手段の燃料として供給するようにしたことを特徴とする(請求項6)。
上記改質システムの停止方法において、前記CO低減手段から流出するガスを凝縮器に供給し、そこでガスに含まれている水分を凝縮により除去し、水分を除去したガスを前記水蒸気改質手段の燃料として供給することができる(請求項7)。
前記課題を解決する本発明の第4の改質器システムの停止方法は、原料ガスを水蒸気で改質して水素リッチな改質ガスを生成する改質触媒と原料ガスを空気で酸化して酸化熱を生成する酸化触媒とを混合して形成した混合触媒層と、前記生成した改質ガスに含まれるCO(一酸化炭素)を低減するシフト触媒層を設けた改質器を備え、さらに改質器から流出する改質ガスに微量含まれるCOを低減するCO低減手段を設けた改質システムの停止方法である。そして改質システムの停止に際して、前記混合触媒層が所定温度領域まで低下したとき、改質器への原料ガスの供給を停止して改質器内を水蒸気パージし、その状態で改質器とCO低減手段の系統を密閉系に維持すると共に、該系内が負圧状態になることを防止するように改質器に適時水蒸気を供給し、改質器の内部温度が原料ガスの炭素析出温度以下になったとき、改質器内を原料ガスで置換することを特徴とする(請求項8)。
本発明の第1の改質システムの停止方法は、改質システムの停止に際して、先ず混合触媒層に対する酸化用空気の供給を停止し、その状態で改質器への原料ガスと水蒸気の供給を継続し、その改質反応の吸熱作用により改質器の混合触媒層とシフト触媒層を急速冷却させ、その際シフト触媒層に結露が生じないように、改質器への原料ガスと水蒸気の供給量を調整することを特徴とする。本停止方法によれば、改質システムの停止時間を短縮するために改質器を急速冷却しても、シフト触媒層における結露発生を防止できる。また改質器の再起動までの保温もしくは再起動に際しての昇温に要する熱エネルギーが増加するという問題が解消される。
本発明の第2の改質システムの停止方法は、改質システムの停止に際して、CO低減手段が温度低下してその内部に結露が生じないように、前記酸化触媒層に燃料ガスと空気を供給し、燃料ガスが空気と反応して生じる酸化熱によりCO低減手段の内部温度を前記結露が生じる温度以上に維持することを特徴とする。本停止方法によれば、CO低減手段の内部に結露が発生することを防止できるので、CO低減手段を再起動したときに内部の酸化触媒の触媒反応を低下させ、また酸化触媒を劣化させるという問題が解消される。
上記改質システムの停止方法において、原料ガスと水蒸気を改質器に供給し、改質器を通過して流出するガスを燃料ガスとしてCO低減手段に供給することができる。本停止法方法によれば、改質器への原料ガス供給手段をCO低減手段への燃料供給手段として兼用できるので、改質システムの構成がより簡単化する。
本発明の第3の改質システムの停止方法は、改質器へ水蒸気を供給するため、燃料を燃焼して生成する高温の燃焼ガスにより水蒸気を発生させる水蒸気発生手段を設け、改質システムの停止に際して、CO低減手段から流出するガスを前記水蒸気改質手段の燃料として供給するようにしたことを特徴とする。本停止方法によれば、改質システムの停止に際して、改質器から流出する流出物を系外に排出せずに有効利用できると共に、特別な焼却装置を設ける必要がない。
本発明の第4の改質システムの停止方法は、混合触媒層が所定温度領域まで低下したとき、改質器への原料ガスの供給を停止して改質器内を水蒸気パージし、その状態で改質器とCO低減手段の系統を密閉系に維持すると共に、該系内が負圧状態になることを防止するように改質器に適時水蒸気を供給し、改質器の内部温度が原料ガスの炭素析出温度以下になったとき、改質器内を原料ガスで置換することを特徴とする。本停止方法によれば、改質システムの停止に際して、改質器を含む密閉系が冷却過程において負圧領域に維持されることを防止できる。そのため密閉系内に外部から大気が浸入し、触媒を酸化させ、あるいは劣化を促進させ、または残留する可燃性ガスと酸素が混合して爆発をする危険性などの問題を回避できる。
次に図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。図1は本発明の停止方法の1例を説明するための改質システムのプロセスフロー図である。改質器1は二重筒状に配置した外側の予備改質室2と内側の主改質室3を備えており、全体が薄型に形成される。予備改質室2と主改質室3はそれぞれ細長く断面が扁平状に形成されると共に、それらの断面は互いに相似形とされる。予備改質室2は外筒と内筒の間に形成され、主改質室3は内筒の内側に形成される。
本発明が適用できる改質器1は、このような二重構造に構成されたものに限らず、予備改質室2と主改質室3が別体として構成されるもの、あるいは予備改質室2を有さず主改質室3のみで水蒸気改質を行うように構成されたものにも適用できる。したがって本発明における改質器1は、図1のような二重構造の内側に配置される主改質室3を有するもの以外に、別体として配置される主改質室3、または予備改質室2を有しない主改質室3(単一の改質室)のみを有するもの等も含む。
予備改質室2に改質触媒層4が設けられ、主改質室3に改質触媒と酸化触媒を混合した混合触媒層5とシフト触媒層6が設けられ、シフト触媒層6は上流側の高温シフト触媒層7と下流側の低温シフト触媒層8により構成される。そして主改質室3の中央部に沿って酸化用空気を供給する供給管9が混合触媒層5まで延長され、その混合触媒層5中の延長部分に空気の噴出部10が設けられる。供給管9は酸化用空気を供給する配管9aに接続され、配管9aの途中に後述するCO低減手段(いわゆるPROX)17内に配置した加熱用の熱交換部が設けられる。
予備改質室2の下部に原料ガスの供給部11(具体的には原料―水蒸気混合物の供給部11)が設けられ、主改質室3の下部には改質ガスの排出部12が設けられる。なお改質器1の周囲は電熱ヒータからなる加熱部1aが設けられ、改質システムを停止してから再起動までの期間中に改質器1の内部を水蒸気の凝縮温度以上(例えば100〜120℃程度)に保温できるようになっている。
主改質室3の上部に起動用のプレヒータ13が連接される。プレヒータ13は改質システムの起動時に燃料ガスをスタート用空気で酸化(燃焼)して高温のガスを生成し、その高温のガスで混合触媒層5を含む改質器1の内部を昇温するものであり、プレヒータ13の内部には電気ヒータが配置されると共に、白金(Pt)やパラジウム(Pd)等の酸化触媒が充填される。
そして改質システムの起動時には、エジェクタからなる吸引混合手段14の出口側から原料ガス(若しくは原燃料)とスタート空気の混合物がプレヒータ13に供給され、該混合物中の原料ガスが酸化触媒の存在下に空気に含まれる酸素と反応し、その酸化熱で発生する高温ガスが混合触媒層5に流出する。混合触媒層5に流入した高温ガスは、混合触媒層5を含む改質器1の内部を加熱しながら通過し、排出部12から改質器1の外部に流出する。
改質器1の排出部12は配管16を経てCO低減手段17の入口側に連通し、その入口側に設けたエジェクタからなる混合部17aにおいて酸化用空気と混合される。CO低減手段17には白金等の酸化触媒を充填した酸化触媒層が設けられ、そこで改質ガスに微量に残留するCO(一酸化炭素)を酸素と反応させ炭酸ガスに変換して低減する。
CO低減手段17の出口側は開閉弁19を設けた配管18を経てアンモニア吸収タンク20に連通する。本実施形態におけるアンモニア吸収タンク20は、改質ガスに微量含まれる原料ガス由来のアンモニア成分を水に吸収させて除去するもので、配管18の先端を水中に開口して改質ガスをバブリングにより噴出するようになっている。このように配管18の先端を水中に開口することにより、配管18の先端部分が水封される。なお、アンモニア成分は、改質反応中に窒素が存在する場合に、N+3H→NHで生成する。
アンモニア吸収タンク20は配管21を経て燃料電池15に連通し、配管21の途中には開閉弁22が設けられる。燃料電池15には配管23からカソード空気が供給され、さらに図示しない循環配管により冷却用水が燃料電池15に循環し、燃料電池15から未反応水素を含むアノード排ガスが配管24、25を経て凝縮器26に流出する。配管24、25には開閉弁27、28が夫々設けられ、配管24と前記配管21を接続するバイパス配管29が設けられ、そのバイパス配管29には開閉弁30が設けられる。
凝縮器26には図示しない冷却配管が設けられ、そこでガス中に含まれている水蒸気等を凝縮し除去するものである。凝縮器26の出口側は開閉弁32を設けた配管31に接続され、配管31の先端はエジェクタからなる吸引混合手段33に連通する。なお図1には配管25から点線で示す配管34が分岐され、配管34に開閉弁35が設けられている。この配管34は従来の改質システムの停止方法を説明するために参考までに示したものであり、改質システムの停止の際に改質器1から流出する流出ガスをバイパス配管30から配管25,34を経てシステムの系外に排出するために、これら配管34と開閉弁35が設けられる。
改質器1に水蒸気を供給するために水蒸気発生手段36が設けられる。水蒸気発生手段36は上部に水ドラム37、下部に燃焼部38を備え、水ドラム37には配管39が接続され、配管39から例えば純水が適時補給される。純水の補給は例えば配管39に流量調整弁(図示せず)を設け、水ドラム37の水位が一定レベルになるように、その流量調整弁を制御装置(図示せず)により制御する。なお水ドラム37への水補給は前記凝縮器26や燃料電池15からの排水等で行うこともできる。水ドラム37には水蒸気を排出する配管40が接続され、配管40には開閉弁41が設けられ、配管40の先端は前記吸引混合手段14に連通する。
水蒸気発生手段36の燃焼部38にはバーナ42が設けられ、バーナ42には前記吸引混合手段33からの燃料および一次空気の混合物が供給される。さらに燃焼部38には二次空気を供給する配管43が接続される。吸引混合手段33には配管31によるアノード排ガスや後述する改質器1からの流出ガス、または脱硫装置44および開閉弁45を設けた配管46による原料ガス、或いは配管47による天然ガスや都市ガス等の補助燃料などの一つまたは複数が燃料として選択され供給される。
吸引混合手段14には原料ガスを供給する配管48が接続され、配管48は脱硫装置44に連通し、その途中に開閉弁49およびCO低減手段17に配置した熱交換部が設けられる。吸引混合手段14には更にスタート用空気を供給する配管50が接続される。そして吸引混合手段14の出口側には配管51が接続され、配管51の途中にCO低減手段17に配置した熱交換部が設けられる。そして配管51の先端は配管52と配管53に分岐され、開閉弁54を設けた配管52は改質器1の供給部11に連通し、開閉弁55を設けた配管53はプレヒータ13に連通する。
次に図1の改質システムの運転方法を説明する。改質システムが平常運転しているときは、水蒸気発生手段36の燃焼部42には燃料電池からのアノード排ガスが燃料として供給される。水蒸気発生手段36で発生した水蒸気は配管40から吸引混合手段14に供給され、そこで配管48から供給される原料ガスと混合される。吸引混合手段14から流出する原料―水蒸気混合物は配管51,52を経て改質器1の供給部11に供給される。
供給部11に供給された原料―水蒸気混合物は、予備改質室2の改質触媒層4を通過する間に原料ガスの一部が改質されて主改質室3の混合触媒層5に流入する。混合触媒層5には空気供給管9から酸化用空気が供給され、原料ガスの一部が酸素と反応して混合装置5を改質反応に必要な温度(例えば700℃程度)に維持する。そして残った原料ガスは混合触媒層5で改質されて水素リッチな改質ガスを生成し、その改質ガスはシフト触媒層6に流入する。
改質ガスはシフト触媒層6で含まれているCOの大部分が除去されてから排出部12に排出され、さらに配管16を経てCO低減手段17に流入する。CO低減手段17に流入した改質ガスはそこで微量に残留するCOをさらにppmオーダーまで低減した後、配管18からアンモニア吸収水タンク20にバブリングされる。アンモニア吸収タンク20では改質ガスに含まれているアンモニアが水に吸収されて除去される。そしてアンモニアを除去した改質ガスはアンモニア吸収タンク20の上部空間から配管21を経て燃料電池15に供給される。
燃料電池15から未反応水素を含むアノード排ガスが配管24に排出され,さらに配管25を通って凝縮器26に流入し、そこでアノード排ガスに含まれている水蒸気が凝縮により除去され、乾燥したアノード排ガスは配管31を通って吸引混合手段33に燃料として供給される。なお水蒸気発生手段36に要求される水蒸気発生量に対する燃料として、アノード排ガスだけでは不足する場合は脱流装置44からの原料ガスまたは配管47からの都市ガス等の補助燃料が吸引混合手段33に追加供給される。
次に図1の改質システムの停止方法について説明する。なお以下の説明は図示しない制御装置からの制御指令により各開閉弁やポンプ等を自動制御して行うことができる。改質システムの停止指令に基づき、先ず開閉弁22,27を閉じ、開閉弁30を開けてアンモニア吸収タンク20から流出する改質ガスの流れを燃料電池15への配管21から水蒸気発生手段36への配管25に切り換える。
一方、前記停止指令により配管9aから改質器1の混合触媒層5への酸化用空気の供給を停止する。しかし暫くの間(急速冷却工程中)は改質器1への原料―水蒸気混合物の供給を継続する。このように混合触媒層5への酸化用空気の供給を停止した後も改質器1へ原料―水蒸気混合物の供給を行うと、改質反応が吸熱反応であるため改質器1の温度、具体的には改質器1の主改質室3に設けた混合触媒層5、高温シフト触媒層7および低温シフト触媒層8の温度が急速に冷却される。なお予備改質室2に設けた改質触媒層4は主改質室3からの伝熱により加熱されるので、これも主改質室3の冷却に追従して冷却する。
シフト触媒層6を構成する高温シフト触媒層7と低温シフト触媒層8の冷却速度は混合装触媒層5から流出する改質ガスの温度低下及び混合触媒層5側からの伝熱量低下などに左右される。具体的には、混合触媒層5への原料―水蒸気混合物の供給量を増加すると高温シフト触媒層7および低温シフト触媒層8の冷却速度はそれに比例して大きくなり、原料―水蒸気混合物の供給量を減少すると高温シフト触媒層7および低温シフト触媒層8の冷却速度はそれに比例して小さくなる。
混合触媒層5への原料―水蒸気混合物の供給量が多すぎると、シフト触媒層6の冷却速度が必要以上に大きくなって、シフト触媒層中6に存在する水蒸気が凝縮し結露を発生することがあり、特に下流側に配置された低温シフト触媒層8中における結露発生の可能性が高い。シフト触媒層6に結露が生じると、前記のように改質器の再起動までの保温もしくは再起動に際しての昇温に要する熱エネルギーが増加するという問題があるので、本実施形態では吸引混合手段14から改質器1への原料―水蒸気混合物の供給量を調整することによりこの問題を回避している。
改質器1への原料―水蒸気混合物の供給量を調整するには、例えば低温シフト触媒層8の内部温度を温度検出手段で検出し、その検出温度が予め設定された温度以下、例えば水の凝縮温度以下にならないように、図示しない制御装置が開閉弁41の開度を調整して吸引混合手段14への水蒸気の供給量を調整する。吸引混合手段14への水蒸気の供給量を増減すると、その増減量に比例して原料ガスの供給量が増減するので、改質器1への原料―水蒸気混合物の供給量を増減することができる。
上記のように改質システムの停止指令後における改質器1の改質反応の継続中において、混合触媒層5の温度低下に追従して改質反応率も低下し、それに伴って改質器1から流出する改質ガスに含まれる未反応原料ガスも増加してくるが、暫くの間は改質ガスが主成分である流出ガスがCO低減手段17の混合部17aに流入する。この時点でCO低減手段17の混合部17aへの酸化用空気の供給を継続して行うことにより、CO低減手段17には改質ガスと幾分かの未反応原料ガス、さらには未反応の水蒸気を含むガスが酸化用空気と混合されて流入する。
CO低減手段17内には前記のように酸化触媒層が設けられているので、流入した改質ガスと幾分かの未反応原料ガスがその酸化触媒の存在下に酸素と効率よく反応(燃焼)して酸化熱を発生する。従ってこの改質ガスと幾分かの未反応原料ガスはCO低減手段17への燃料ガスとなる。改質システムの停止操作中において、CO低減手段17の内部は急速に冷却し、残留する水蒸気が凝縮して酸化触媒層に結露を生じさせるおそれがある。
酸化触媒層に結露が生じると、前記のようにCO低減手段17を再起動したとき、その酸化触媒の触媒反応を低下させ、また酸化触媒を劣化させるという問題がある。しかし本実施形態では上記のように、改質システムの停止操作に入った後にもCO低減手段17に燃料ガスと酸化用空気を供給し、その燃料ガスの酸化により発生する熱によりCO低減手段17の内部温度を所定温度、すなわち結露発生温度以上に維持しているので、結露発生による問題は生じない。なおCO低減手段17の内部温度を精密に調整する必要性はないが、例えば混合部17aへの酸化用空気の供給量を調整することにより、酸化熱の発生量を調整し、それによってCO低減手段17の内部温度を所定範囲に調整することができる。
CO低減手段17に流入したガスの一部は前記のように酸化反応に消費されるが、大部分はそのままCO低減手段17から配管18に流出する。配管18の流出ガスはアンモニア吸収タンク20に流入し、そこで含まれているアンモニア成分と水分を除去してから配管21に流出する、配管21の流出ガスはバイパス配管29、配管25、凝縮器26、配管31を通って吸引混合手段33に供給され、そこで一次空気と混合されて水蒸気発生手段36に燃料として供給される。このように改質システムの停止操作中に改質器1から流出するガスは水蒸気発生手段36の燃料として有効に利用されるので、改質システムの熱効率向上に寄与できる。
改質器1が所定温度まで冷却(例えば平常運転温度の700℃程度から400〜550℃程度まで冷却)されたとき、開閉弁49を閉じて改質器1への原料ガス供給を停止すると、改質器1には水蒸気のみ供給されるので、改質器1の内部に残留する原料ガスや改質ガスを水蒸気で置換する操作、すなわち水蒸気パージが実施される。水蒸気パージを実施した後は、開閉弁54と開閉弁19を閉じて改質器1及びそれに連通するCO低減手段17の系統を密閉系として、改質器1の内部が炭素析出温度以下になるまで自然冷却する。
しかし改質器1とCO低減手段17の系統を密閉系に維持すると、それらを接続する配管等に残留する水蒸気が温度低下により凝縮し、密閉系の内部が負圧領域に向かうおそれがある。密閉系の内部が負圧になると、前記のように外部から大気が浸入し、触媒を酸化して触媒劣化を促進し、または残留する可燃性ガスと酸素が混合して爆発をする危険性がある。そこで本実施形態では、密閉系の内部が負圧領域に維持されないように、開閉弁54を適時開けて改質器1へ水蒸気を供給する操作を行う。
上記水蒸気供給による負圧回避操作は、例えば改質器1の内部圧力を圧力検出手段で検出し、その検出圧力が予め設定された所定の圧力(例えば大気圧〜僅かに正圧の範囲)になるように、図示しない制御装置が開閉弁54を適時開ける方法で実施できる。なお、改質器1には水蒸気発生手段36から吸引混合手段14を経由して水蒸気が適時供給されるが、この時点での水蒸気発生手段36における必要な水蒸気発生量は、例えば補助燃料を燃焼することにより確保できる。
改質器1の内部が炭素析出温度領域以下(例えば180℃程度の温度)になったら、開閉弁49を開けて配管48から吸引混合手段14に原料ガスを供給し、その原料ガスを配管52から改質器1の供給部11に供給して改質器1内部を原料ガスで置換する。そしてこれら一連の操作により本発明による改質システムの停止操作が完了する。なお、停止操作完了後は、加熱器1の周囲に設けた加熱部1aにより、改質器1内部を保温温度(例えば水の凝縮温度100℃〜120℃程度の温度)に維持することが望ましい。
本発明の改質システムの停止方法は、原料ガスを水蒸気改質して水素リッチな改質ガスを生成し、燃料電池等の付加設備に供給する改質システムに利用できる。
本発明の改質システムの起動方法を説明するためのプロセスフロー図。
符号の説明
1 改質器
1a 加熱部
2 予備改質室
3 主改質室
4 改質触媒層
5 混合触媒層
6 シフト触媒層
7 高温シフト触媒層
8 低温シフト触媒層
9 供給管
9a 配管
10 噴出部
11 供給部
12 排出部
13 プレヒータ
14 吸引混合手段
15 燃料電池
16 配管
17 CO低減手段
17a 混合部
18 配管
19 開閉弁
20 アンモニア吸収タンク
21 配管
22 開閉弁
23〜25 配管
26 凝縮器
27,28 開閉弁
29 バイパス配管
30 開閉弁
31 配管
32 開閉弁
33 吸引混合手段
34 配管
35 開閉弁
36 水蒸気発生手段
37 水ドラム
38 燃焼部
39、40 配管
41 開閉弁
42 バーナ
43 配管
44 脱硫装置
45 開閉弁
46、47 配管
48 配管
49 開閉弁
50〜53 配管
54,55 開閉弁

Claims (8)

  1. 原料ガスを水蒸気で改質して水素リッチな改質ガスを生成する改質触媒と原料ガスを空気で酸化して酸化熱を生成する酸化触媒とを混合して形成した混合触媒層5と、前記生成した改質ガスに含まれるCO(一酸化炭素)を低減するシフト触媒層6を設けた改質器1を備えてなる改質システムの停止方法において、改質システムの停止に際して、先ず混合触媒層5に対する酸化用空気の供給を停止し、その状態で改質器1への原料ガスと水蒸気の供給を継続し、その改質反応の吸熱作用により改質器1の混合触媒層5とシフト触媒層6を急速冷却させ、その際、シフト触媒層6に結露が生じないように改質器1への原料ガスと水蒸気の供給量を調整することを特徴とする改質システムの停止方法。
  2. 請求項1において、前記混合触媒層5が所定温度領域まで低下したとき、改質器1への原料ガスの供給を停止して改質器1内を水蒸気パージし、改質器1の内部温度が原料ガスの炭素析出温度以下になったとき、改質器1内を原料ガスで置換することを特徴とする改質システムの停止方法。
  3. 原料ガスを水蒸気で改質して水素リッチな改質ガスを生成する改質触媒と原料ガスを空気で酸化して酸化熱を生成する酸化触媒とを混合して形成した混合触媒層5と、前記生成した改質ガスに含まれるCO(一酸化炭素)を低減するシフト触媒層6を設けた改質器1を備え、さらに改質器1から流出する改質ガスに微量含まれるCOを低減するCO低減手段17を設けた改質システムの停止方法において、前記CO低減手段17は酸化触媒層を有し、改質システムの停止に際して、CO低減手段17が温度低下してその内部に結露が生じないように、前記酸化触媒層に燃料ガスと空気を供給し、燃料ガスが空気と反応して生じる酸化熱によりCO低減手段17の内部温度を前記結露が生じる温度以上に維持することを特徴とする改質システムの停止方法。
  4. 請求項3において、原料ガスと水蒸気を改質器1に供給し、改質器1を通過して流出するガスを燃料ガスとしてCO低減手段17に供給することを特徴とする改質システムの停止方法。
  5. 請求項4において、前記混合触媒層5が所定温度領域まで低下したとき、改質器1の内部を水蒸気パージすると共に、CO低減手段17への空気供給を停止し、改質器1の内部温度が原料ガスによる炭素析出温度以下になったとき、改質器1内を原料ガスで置換することを特徴とする改質システムの停止方法。
  6. 原料ガスを水蒸気で改質して水素リッチな改質ガスを生成する改質触媒と原料ガスを空気で酸化して酸化熱を生成する酸化触媒とを混合して形成した混合触媒層5と、前記生成した改質ガスに含まれるCO(一酸化炭素)を低減するシフト触媒層6を設けた改質器1を備え、さらに改質器1から流出する改質ガスに微量含まれるCOを低減するCO低減手段17を設けた改質システムの停止方法において、前記改質器1へ水蒸気を供給するため、燃料を燃焼して生成する高温の燃焼ガスにより水蒸気を発生させる水蒸気発生手段36を設け、改質システム1の停止に際して、CO低減手段17から流出するガスを前記水蒸気発生手段36の燃料として供給するようにしたことを特徴とする改質システムの停止方法。
  7. 請求項6において、前記CO低減手段17から流出するガスを凝縮器26に供給し、そこでガスに含まれている水分を凝縮して除去し、水分を除去したガスを前記水蒸気発生手段36の燃料として供給するようにしたことを特徴とする改質システムの停止方法。
  8. 原料ガスを水蒸気で改質して水素リッチな改質ガスを生成する改質触媒と原料ガスを空気で酸化して酸化熱を生成する酸化触媒とを混合して形成した混合触媒層5と、前記生成した改質ガスに含まれるCO(一酸化炭素)を低減するシフト触媒層6を設けた改質器1を備え、さらに改質器1から流出する改質ガスに微量含まれるCOを低減するCO低減手段17を設けた改質システムの停止方法において、改質システムの停止に際して、前記混合触媒層5が所定温度領域まで低下したとき、改質器1への原料ガスの供給を停止して改質器1内を水蒸気パージし、その状態で改質器1とCO低減手段17の系統を密閉系に維持すると共に、該系内が負圧状態になることを防止するように改質器1に適時水蒸気を供給し、改質器1の内部温度が原料ガスの炭素析出温度以下になったとき、改質器1内を原料ガスで置換することを特徴とする改質システムの停止方法。
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