JP2007283893A - 電動ステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電動ステアリング装置10は、回転軸24の表面に設けられ操舵トルクに応じて磁歪特性が変化する磁歪部と、磁歪部に生じた磁歪効果を検出する検出コイルと、磁歪部及び検出コイルを収納するセンサハウジング86と、からなる磁歪式トルクセンサ41を有し、センサ出力に応じて電動モータを駆動するものである。回転軸は端部24aに、ラック33と噛み合うピニオン32を有する。ラックとピニオンは、ギヤハウジング51に収納される。ギヤハウジングは、中間固定部材61を介してセンサハウジングを取付けるものである。中間固定部材は、ギヤハウジングに対するセンサハウジングの位置決めをするとともに、回転軸を軸受63を介して回転可能に且つ軸方向移動を規制して支承する部材である。
【選択図】図3
Description
図12に示すように、特許文献1による従来の電動ステアリング装置200は、図示せぬステアリングハンドルにステアリングシャフト及び自在軸継手201を介して回転軸202を連結し、この回転軸202の一端部202aにラックアンドピニオン機構203を介してラック軸204を連結し、このラック軸204に操舵用車輪(図示せず)を連結したというものである。
回転軸202、ラックアンドピニオン機構203、軸受222,223、及びウォームホイール225は、ギヤハウジング224に収納されている。
ギヤハウジング224は、回転軸202を第2軸受223を介して軸方向への移動を規制して支承するとともに、センサハウジング215を取り付けるものである。
ここで、基準点P21は、ギヤハウジング224に対する回転軸202の軸方向における取付け基準位置である。
このため、中間固定部材を基準として、磁歪部の位置と検出コイルの位置の両方を、精度良く設定することができる。磁歪部の位置に対して、検出コイルの位置を精度良く合わせることができる。従って、磁歪式トルクセンサのトルク検出精度を、より高めることができる。しかも、簡単な構成によって達成することができる。
これに対して請求項1に係る発明では、回転軸の軸長が異なる、つまり磁歪部の位置に対して、検出コイルの位置が大きくずれてしまうような場合であっても、寸法の異なる中間固定部材に交換するだけで、十分に対応することができる。このため、同一のギヤハウジングを多機種の電動ステアリング装置に用いることができるので、コストの低減に繋がる。
図1は本発明に係る第1実施例の電動ステアリング装置の模式図である。
電動ステアリング装置10は、車両のステアリングハンドル21から車両の転舵用車輪(例えば前輪)31,31に至るステアリング系20と、このステアリング系20に補助トルクを加える補助トルク機構40とからなる。
ラックアンドピニオン機構25は、ピニオン軸24に形成されたピニオン32と、ラック軸26に形成されたラック33とからなる。
図2及び図3に示すように、電動ステアリング装置10は、ピニオン軸24、ラックアンドピニオン機構25、電動モータ43及びボールねじ44を、車幅方向(図2の左右方向)へ延びるギヤハウジング51に収納したものである。
図3に示すように、第1ハウジング52は、上部開口に中間固定部材61を介してセンサハウジング86を取付けたものである。
ギヤハウジング51は、ピニオン軸24を第1軸受62を介して回転可能に支承することになる。なお、ピニオン軸24は、ギヤハウジング51に収納された第1軸受62に対して、軸方向への移動が可能である。CLはピニオン軸24の中心線である。
詳しくは、図3に示すように、ギヤハウジング51の上部開口におけるフランジ54に平板状の中間固定部材61を重ね合わせてボルト止めし、中間固定部材61の上端のフランジ面61aにセンサハウジング86の下端のフランジ面86aを重ね合わせてボルト止めした構成である。
なお、ギヤハウジング51に対して、中間固定部材61は径方向への移動が規制されている。また、中間固定部材61に対して、センサハウジング86は径方向への移動が規制されている。
図3及び図4に示すように、磁歪式トルクセンサ41は、ピニオン軸24の一部の表面に設けられトルクに応じて磁歪特性が変化する上下一対の磁歪部81,82と、この磁歪部81,82に対し所定の距離を有して対向して配置され磁歪部81,82に生じた磁歪効果を検出する検出コイル85A〜85Dと、一対の検出コイル85A,85B又は検出コイル85C,85Dの周囲を囲う磁気シールド用のバックヨーク87、87と、ピニオン軸24の磁歪部81,82、検出コイル85A〜85D及びバックヨーク87、87を収納するセンサハウジング86とからなる。
さらにセンサハウジング86は、図3に示すように、検出部83,83にて検出された検出信号を処理するセンサ回路部90を収納している。
磁歪膜81,82は、歪みの変化に対して磁束密度の変化の大きい材料からなる膜であり、例えば、ピニオン軸24の外周面に気相メッキ法で形成したNi−Fe系の合金膜である。この合金膜の厚みは望ましくは20〜50μm程度である。なお、合金膜の厚みは、これ以下又はこれ以上であってもよい。第1磁歪膜81の磁歪方向に対して、第2磁歪膜82の磁歪方向は異なっている(磁歪異方性を有する)。なお、2つの磁歪膜81,82は、軸長手方向に所定の間隔を有して配列したものである。
検出部83は、ピニオン軸24が通された上下一対の筒状のコイルボビン84,84と、コイルボビン84,84にそれぞれ巻かれた検出コイル85A,85B(又は、検出コイル85C,85D)と、コイルボビン84,84及び検出コイル85A,85B(又は、検出コイル85C,85D)を収納する磁性を有したヨーク87とからなる。コイルボビン84,84及び検出コイル85A,85B(又は、検出コイル85C,85D)をヨーク87で囲うことができる。
具体的には、上部の第1磁歪部81に対して、第1検出コイル85A及び第2検出コイル85Bが配置される。下部の第2磁歪部82に対して、第3検出コイル85C及び第4検出コイル85Dが配置される。
図3に示すように、(1)先ず、ピニオン軸24を第2軸受63を介して中間固定部材61に組付け、(2)次に、検出部83,83をセンサハウジング86に組付け、(3)次に、センサハウジング86をピニオン軸24に通しつつ中間固定部材61の上に重ねてボルト止めすることにより、磁歪式トルクセンサ41を組み立てる。
これで、基準点P1から磁歪部82,81までの高さH1,H2、及び、基準点P1から検出コイル85A〜85Dやヨーク87,87までの高さH1,H2は、自動的に且つ容易に決まる。しかも、磁歪部81,82の位置に対して、検出コイル85A〜85Dやヨーク87,87の位置を精度良く合わせることができる。
すなわち、図3及び図4に示すように第1実施例では、ピニオン軸24に設けられた磁歪部81,82及び検出コイル85A〜85Dをセンサハウジング86に収納したものにおいて、ギヤハウジング51に中間固定部材61を介してセンサハウジング86を取り付け、ギヤハウジング51に対して中間固定部材61でセンサハウジング86の位置決めをし、ピニオン軸24を第2軸受63を介して中間固定部材61で回転可能に且つ軸方向への移動を規制して支承したものである。
これに対して第1実施例では、ピニオン軸24の軸長が異なる、つまり磁歪部81,82の位置に対して、検出コイル85A〜85Dの位置が大きくずれてしまうような場合であっても、寸法(特に奥行き寸法H3)の異なる中間固定部材61に交換するだけで、十分に対応することができる。このため、同一のギヤハウジング51を多機種の電動ステアリング装置10に用いることができるので、コストの低減に繋がる。
すなわち、加工精度や組立精度の関係で、磁歪部81,82に対して、検出コイル85A〜85D及び磁気シールド用のバックヨーク87,87の中心が、ある程度ずれた場合であっても、磁歪部81,82から検出コイル85A〜85D及びバックヨーク87,87が、はみ出ることはない。
図5に示すように、磁歪式トルクセンサ41のセンサ回路部90は、励磁回路91、第1変換回路92、第2変換回路93及びトルク信号出力回路94からなる。
励磁回路91は、Hブリッジに結線された4つの検出コイル85A〜85Dに励磁電圧を印加するものである。第1変換回路92は、第1検出コイル85Aと第3検出コイル85Cとの接続点に接続され、検出信号を整流・増幅・変換して第1検出電圧VT1として出力するものである。第2変換回路93は、第2検出コイル85Bと第4検出コイル85Dとの接続点に接続され、検出信号を整流・増幅・変換して第2検出電圧VT2として出力するものである。トルク信号出力回路94は、第1変換回路92及び第2変換回路93の第1・第2検出電圧VT1,VT2を演算してトルク検出電圧VT3として出力するものである。トルク検出電圧VT3は、操舵トルク信号のことである。
VT3=k×(VT1−VT2)+Vo ・・・・・・(1)
VTF=(VT1+VT2)/2 ・・・・・・(2)
すなわち、磁歪部81,82の1つ当たりに検出コイル85A〜85Dを複数設けるとともに、これら複数の検出コイル85A〜85Dをピニオン軸24の軸方向に配置したものである。
従って、外部から磁歪式トルクセンサ41に与える磁気的な影響や温度変化の影響を極力抑制することができる。このため、磁歪式トルクセンサ41の検出精度を高め且つ安定させるとともに、磁歪式トルクセンサ41の故障検出の精度に与える磁気的な影響を排除して、安定した故障検出をすることができる。
図6は本発明に係る第1実施例の磁歪式トルクセンサのトルク検出電圧特性図であり、横軸を操舵トルクとし縦軸を検出電圧として、第1・第2検出電圧VT1,VT2及びトルク検出電圧VT3の特性を表したものである。
図8は本発明に係る第2実施例の電動ステアリング装置の模式図である。図9は本発明に係る第2実施例の電動ステアリング装置の全体構成図であり、左端部及び右端部を断面して表した。図10は図9の10−10線断面図である。
すなわち、第2実施例の補助トルク機構40Aは、ステアリングハンドル21に加えたステアリング系20の操舵トルクを磁歪式トルクセンサ41で検出し、この検出信号に基づき制御部42で制御信号を発生し、この制御信号に基づき操舵トルクに応じた補助トルクを電動モータ111で発生し、補助トルクをウォームギヤ機構112を介してピニオン軸24に伝達するものである。
ギヤハウジング51は、ピニオン軸24を第1軸受121を介して回転可能に支承するとともに、ピニオン軸24を第2軸受122を介して回転可能に且つ軸方向への移動を規制して支承することになる。なお、ピニオン軸24は、ギヤハウジング51に収納された第1軸受121に対して、軸方向への移動が可能である。
図10及び図11に示すように、ピニオン軸24のうち上下の磁歪部81,82間は、第4軸受124と、第4軸受124を保持する軸受保持部材125と、軸受保持部材125の外周面に取り付けられた弾性体126とを介してセンサハウジング86で支持されている。
このため、ピニオン軸24は、センサハウジング86と軸受保持部材125との隙間の分だけ径方向へ変位することができる。つまり、ピニオン軸24に撓みが発生したときには、径方向に作用する力に応じて、弾性体126は弾性変形し得る。
すなわち、図10及び図11に示すように第2実施例では、ピニオン軸24に設けられた磁歪部81,82及び検出コイル85A〜85Dをセンサハウジング86に収納したものにおいて、上記第1実施例と同様に、磁歪部81,82の幅寸法W1を、ヨーク87,87の幅寸法W2よりも大きく設定したものである。
すなわち、加工精度や組立精度の関係で、磁歪部81,82に対して、検出コイル85A〜85D及び磁気シールド用のバックヨーク87,87の中心が、ある程度ずれた場合であっても、磁歪部81,82から検出コイル85A〜85D及びバックヨーク87,87が、はみ出ることはない。
このように、路面反力や電動モータ111等の影響による振動の発生を防止し、耐久性の向上を図りつつ、滑らかな操舵感を有する、電動ステアリング装置100を得ることができる。
Claims (3)
- 回転軸の一部の表面に設けられ操舵トルクに応じて磁歪特性が変化する磁歪部と、前記磁歪部に対し所定の距離を有して対向して配置され前記磁歪部に生じた磁歪効果を検出する検出コイルと、前記回転軸の前記磁歪部及び前記検出コイルを収納するセンサハウジングと、からなる磁歪式トルクセンサを有し、この磁歪式トルクセンサの出力に応じて電動モータを駆動する電動ステアリング装置において、
前記回転軸の端部には、ラックと噛み合うピニオンが設けられ、
これらのラック及びピニオンは、ギヤハウジングに収納されたものであり、
前記ギヤハウジングは、中間固定部材を介して前記センサハウジングを取り付けるものであり、
前記中間固定部材は、前記ギヤハウジングに対する前記センサハウジングの位置決めをするとともに、前記回転軸を軸受を介して回転可能に且つ軸方向への移動を規制して支承する部材であることを特徴とした電動ステアリング装置。 - 回転軸の一部の表面に設けられ操舵トルクに応じて磁歪特性が変化する磁歪部と、前記磁歪部に対し所定の距離を有して対向して配置され前記磁歪部に生じた磁歪効果を検出する検出コイルと、前記検出コイルの周囲を囲うバックヨークと、前記回転軸の前記磁歪部、前記検出コイル及び前記バックヨークを収納するセンサハウジングと、からなる磁歪式トルクセンサを有し、この磁歪式トルクセンサの出力に応じて電動モータを駆動する電動ステアリング装置において、
前記回転軸には、一端部側から他端部側へ、ラックアンドピニオン機構のピニオン、軸受、ウォームギヤ機構のウォームホイール、及び前記磁歪部が、この順に設けられており、
前記ラックアンドピニオン機構、前記軸受及び前記ウォームホイールは、ギヤハウジングに収納されたものであり、
前記ギヤハウジングは、前記回転軸を前記軸受を介して回転可能に且つ軸方向への移動を規制して支承するとともに、前記センサハウジングを取り付けるものであり、
前記磁歪部の幅寸法及び前記バックヨークの幅寸法のことを、前記回転軸における軸方向の長さとしたときに、前記磁歪部の幅寸法は、前記バックヨークの幅寸法よりも大きく設定されていることを特徴とした電動ステアリング装置。 - 前記磁歪部の1つ当たりに、前記検出コイルが複数設けられており、これら複数の検出コイルは、前記回転軸の軸方向に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電動ステアリング装置。
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