JP2007282330A - 車両制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】据え切り操舵時の転舵機構の負荷を低減する。
【解決手段】車両制御装置200において、インホイールモータ20は、タイヤに振動を与える。統合ECU100およびHV−ECU60は、車両10が停止中に車輪14を転舵させる場合、転舵対象となる車輪14のタイヤに振動を与えるようインホイールモータ20を制御して、転舵対象となる車輪14のタイヤと路面との間の摩擦力を変化させる。モード切替スイッチ36には、ユーザによって車輪14の転舵指令が入力される。統合ECU100およびHV−ECU60は、ユーザによって転舵指令が入力された場合に、転舵対象となる車輪14のタイヤに振動を与えるようインホイールモータ20を制御する。
【選択図】図1
【解決手段】車両制御装置200において、インホイールモータ20は、タイヤに振動を与える。統合ECU100およびHV−ECU60は、車両10が停止中に車輪14を転舵させる場合、転舵対象となる車輪14のタイヤに振動を与えるようインホイールモータ20を制御して、転舵対象となる車輪14のタイヤと路面との間の摩擦力を変化させる。モード切替スイッチ36には、ユーザによって車輪14の転舵指令が入力される。統合ECU100およびHV−ECU60は、ユーザによって転舵指令が入力された場合に、転舵対象となる車輪14のタイヤに振動を与えるようインホイールモータ20を制御する。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両制御装置に関し、特に、車両停止時に転舵対象となる車輪のタイヤと路面との間の摩擦力を変化させる車両制御装置に関する。
車両が停止中に運転者によってステアリングホイールが操作される、いわゆる据え切り操舵が行われた場合、車輪を転舵するために高いトルクが必要となる。車輪の転舵をアシストするパワーステアリング機構が知られているが、この据え切り操舵のために大型化が必要となる。近年、特に車両の多様な旋回を実現するために、より大きな角度で車輪を転舵することが求められており、据え切り操舵時における車輪の転舵トルクの低減が求められている。
このため、例えば特許文献1では、操舵トルクから必要アシスト力を求め、ホイールインモータの駆動を制御するホイールインモータ式電気自動車の制御装置が提案されている。また、例えば特許文献2では、目標操舵角に対してオーバーシュートさせた目標操舵軌跡を演算する車輌用自動操舵装置が提案されている。また、例えば特許文献3では、据え切り後保舵時に、操舵輪を自動で転舵させ、転舵角を一旦増加あるいは減少させた後、減少あるいは増加させて所要保舵力を減少させる電気制御操舵装置が提案されている。
また、タイヤと路面との間の摩擦力は路面の状況によって変化するため、広範な種類の路面において安定した車両制御を実現することは困難である。このため、たとえば特許文献4では、電動モータの駆動信号に微小振動の信号を重畳してタイヤに微小振動を与えることにより、タイヤと路面間の摩擦力を制御する車両制御方法が提案されている。また、例えば特許文献5では、タイヤに微小振動を付加してタイヤ−路面間に発生する微小振動を抑制することにより、タイヤに加わる外乱を補償して車両の操縦安定性を向上させる車両制御方法が提案されている。
特開平7−7816号公報
特開2004−175280号公報
特開2004−189025号公報
国際公開第02/000463号パンフレット
国際公開第03/095261号パンフレット
しかし、上述の特許文献1乃至3に記載される技術では、転舵機構に与えられる負荷を低減することは困難である。また、車両走行中における操舵よりも据え切り操舵の方が転舵機構に与えられる負荷は大きい。これに対して特許文献4および5に記載される技術では、据え切り操舵時における操舵機構の負荷低減を実現することは困難である。
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、据え切り操舵時の転舵機構の負荷を低減することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両制御装置は、タイヤに振動を与える振動発生アクチュエータと、車両停止時に車輪を転舵させる場合に、転舵対象となる車輪のタイヤに振動を与えるよう前記振動発生アクチュエータを制御して、転舵対象となる車輪のタイヤと路面との間の摩擦力を変化させる振動制御部と、を備える。この態様によれば、据え切り転舵の際に転舵対象となる車輪のタイヤと路面との摩擦力を低減させることが可能となり、据え切り転舵時の転舵機構への負荷を低減させることができる。
ユーザによって車輪の転舵指令が入力される入力部を更に備えてもよい。前記振動制御部は、ユーザによって転舵指令が入力された場合に、転舵対象となる車輪のタイヤに振動を与えるよう前記振動発生アクチュエータを制御してもよい。この態様によれば、ユーザによって転舵指令が入力されることにより据え切り転舵される場合においても、転舵機構への負担を低減させることができる。
車輪の転舵角度を検出する転舵角度センサを更に備えてもよい。前記振動制御部は、検出された転舵角度が所定の値を超える場合に、転舵対象となる車輪のタイヤに振動を与えるよう前記振動発生アクチュエータを制御してもよい。一般に転舵角度が大きい場合、転舵角度が小さい場合に比べ転舵機構への負荷は大きい。この態様によれば、転舵機構への負荷が大きい場合に、転舵対象となる車輪のタイヤと路面との摩擦力を効果的に低減させることができる。
車輪の転舵角度を検出する転舵角度センサを更に備えてもよい。前記振動制御部は、検出された転舵角度に応じてタイヤに与える振動の振幅を変化させるよう前記振動発生アクチュエータを制御してもよい。この態様によれば、転舵機構への負荷が比較的小さい場合にタイヤに与える振幅を小さくするよう制御するなど、転舵機構の負荷に応じた適切な振幅の振動をタイヤに与えることが可能となる。このため、振動発生アクチュエータの負荷を低減させることができる。
車輪の転舵角度を検出する転舵角度センサを更に備えてもよい。前記振動制御部は、検出された転舵角度に応じてタイヤに与える振動の周波数を変化させるよう前記振動発生アクチュエータを制御してもよい。この態様によれば、転舵機構への負荷に応じた適切な周波数の振動をタイヤに与えることが可能となり、振動発生アクチュエータの負担を低減させることができる。
前記振動発生アクチュエータは、車輪を回転駆動するモータであってもよい。この態様によれば、車輪を回転駆動するモータを、タイヤに振動を与えるためのアクチュエータとして利用することができることから、振動発生アクチュエータを設けることによるコストの増加やアクチュエータの占有領域の発生等を抑制することができる。
前記振動制御部は、右輪のいずれかおよび左輪のいずれかが転舵対象となる場合、転舵対象となる右輪および左輪の各々に同位相の波形の駆動トルクを与えるよう前記モータの作動を制御してもよい。左右の車輪が逆位相で振動すると、タイヤと路面との摩擦力によって、車両に上方から見て回転する方向へ力が与えられる。このため、タイヤと路面との間が静止摩擦状態から動摩擦状態へと円滑に移行することが困難となり、タイヤと路面との摩擦力を安定して低減させることが困難となる。この態様によれば、左右の車輪のタイヤに同位相の振動が与えられることから、タイヤと路面との間を静止摩擦状態から動摩擦状態へと円滑に移動させることが可能となり、タイヤと路面との摩擦力を安定して低減させることができる。
前記振動制御部は、前輪のいずれかおよび後輪のいずれかが転舵対象となる場合、転舵対象となる前輪および後輪の各々に相互に逆位相の波形の駆動トルクを与えるよう前記モータの作動を制御してもよい。前後の車輪が同位相で振動すると、タイヤと路面との摩擦力によって、車両に前後方向へ力が与えられる。このため、タイヤと路面との間が静止摩擦状態から動摩擦状態へと円滑に移行することが困難となり、タイヤと路面との摩擦力を安定して低減させることが困難となる。この態様によれば、前後の車輪のタイヤに逆位相の振動が与えられることから、タイヤと路面との間を静止摩擦状態から動摩擦状態へと円滑に移動させることが可能となり、タイヤと路面との摩擦力を安定して低減させることができる。
右前輪の転舵中心位置をKFR、左前輪の転舵中心位置をKFL、右後輪の転舵中心位置をKRR、および左後輪の転舵中心位置をKRLとした場合、前記振動制御部は、KFRとKFLとを結ぶ直線、KRRとKRLとを結ぶ直線、KFRとKRRとを結ぶ直線、およびKFLとKRLとを結ぶ直線によって囲まれる領域の所定箇所に車両の旋回中心を移動させるよう車輪を転舵する場合に、転舵対象となる車輪のタイヤに振動を与えるよう前記振動発生アクチュエータを制御してもよい。このような領域に車両の旋回中心を移動させる場合、大きな転舵角度で車輪を転舵する必要が生じ、転舵機構への負荷は大きなものとなる。この態様によれば、このような場合においてタイヤと路面との摩擦力を低減させることができ、転舵機構への負荷を低減させることができる。
本発明の車両制御装置によれば、据え切り操舵時の転舵機構の負荷を低減することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という。)について詳細に説明する。
図1は、車両制御装置200の全体構成図である。本図は車両を上方から見た図である。車両制御装置200が搭載された車両10は、右前輪14FR、左前輪14FL、右後輪14RR、左後輪14RL(以下、必要に応じてこれらを総称して「車輪14」という)からなる4つの車輪14、および車体12により構成される。車両制御装置200は、統合電子制御ユニット(以下、「統合ECU」という)100、ハイブリッド電子制御ユニット(以下、「HV−ECU」という)60、後述するインホイールモータ、車輪速センサ22、後述する転舵電子制御ユニット(以下、「転舵ECU」という)、後述する転舵機構、舵角センサ34、トルクセンサ35、モード切替スイッチ36などによって構成される。
車輪14の各々は、タイヤ(図示せず)およびホイール(図示せず)を有する。タイヤは路面と接し、タイヤと路面との摩擦力によって車両10に推進力および制動力を与える。右前輪14FR、左前輪14FL、右後輪14RR、左後輪14RLには、それぞれ右前輪用インホイールモータ20FR、左前輪用インホイールモータ20FL、右後輪用インホイールモータ20RR、左後輪用インホイールモータ20RL(以下、必要に応じてこれらを総称して「インホイールモータ20」という)が連結されており、車輪14の各々は、連結されたインホイールモータ20によって回転駆動される。
インホイールモータ20の各々は、ロータ、ステータ、および減速機構など(図示せず)を有している。ロータは車輪14と同軸に回転可能に設けられる。ステータはロータを囲うように環状に巻回されたコイルによって構成され、インホイールモータ20のカバーに固定される。減速機構は、ギア機構により構成され、ロータの回転を減速して車輪14に伝達する。これにより車輪14の各々はインホイールモータ20によって独立して駆動可能とされている。インホイールモータ20の各々は、HV−ECU60に接続される。HV−ECU60は統合ECU100に接続されている。
インホイールモータ20の各々には、車輪速センサ22が設けられている。本実施形態においては、車輪速センサ22には、スリットが設けられモータの作動とともに回転可能な円板と光学センサを含む回転センサであるエンコーダが採用されている。なお、ホールIC方式やピックアップコイル方式による回転センサが車輪速センサ22に採用されてもよいことは勿論である。車輪速センサ22の各々は統合ECU100に接続され、車輪速センサ22の検出結果は統合ECU100に入力される。
車輪14の各々は、車輪14の各々に対応して車体12に設けられたナックルアーム(図示せず)に回転可能に支持されている。ナックルアームは上方においてアッパーアームのジョイント部と、下方においてロアアームのジョイント部と、略鉛直な軸を中心に回動可能に支持されている。このように、アッパーアームのジョイント部およびロアアームのジョイント部によって、仮想軸としてのキングピンが形成される。車輪14はこのように形成されたキングピンを中心に転舵される。
車輪14の各々に対応して、右前輪用転舵機構25FR、左前輪用転舵機構25FL、右後輪用転舵機構25RR、左後輪用転舵機構25RL(以下、必要に応じてこれらを総称して「転舵機構25」という)が車体12に設けられている。右前輪用転舵機構25FR、左前輪用転舵機構25FL、右後輪用転舵機構25RR、左後輪用転舵機構25RLは、それぞれ右前輪用転舵モータ24FR、左前輪用転舵モータ24FL、右後輪用転舵モータ24RR、左後輪用転舵モータ24RL(以下、必要に応じてこれらを総称して「転舵モータ24」という)を有する。転舵モータ24の各々は、駆動信号が入力されることによって、駆動信号に応じた角度を回転する。
右前輪用転舵モータ24FRは右前輪用転舵ECU26FRに接続される。同様に左前輪用転舵モータ24FLは左前輪用転舵ECU26FLに、右後輪用転舵モータ24RRは右後輪用転舵ECU26RRに、左後輪用転舵モータ24RLは左後輪用転舵ECU26RLにそれぞれ接続される(以下、必要に応じ、右前輪用転舵ECU26FR、左前輪用転舵ECU26FL、右後輪用転舵ECU26RR、左後輪用転舵ECU26RLを総称して「転舵ECU26」という)。転舵ECU26の各々は、統合ECU100に接続される。
転舵機構25の各々は、転舵モータ24の他に、ボールねじ機構27、第1タイロッド38、第2タイロッド40、第3タイロッド42、回動軸44、連結部46、回動軸48、および連結部50を有する。ボールねじ機構27は、筒状に形成されたナット(図示せず)および転舵軸(図示せず)を有する。転舵軸は軸方向が車両左右方向となるよう車体12内部に配置される。ナットの内周には雌ネジ溝が形成されている。転舵軸の外周には雄ネジ溝が形成されている。転舵軸の雄ねじ溝とナットの雌ねじ溝によって形成される転動路に複数の転動ボールが配置され、ボールねじ機構27が構成される。
第1タイロッド38は軸状に形成され、その一端はボールねじ機構27の転舵軸の一端に 回動可能に連結される。前輪の転舵機構25においては、回動軸44は前輪の中心軸より後方において車体12に固定されている。第2タイロッド40は軸状に形成され、車体12に回動軸44を中心に回動可能に結合される。このとき第2タイロッド40は、回動軸44から前方に向かって延在するように配置される。後輪の転舵機構25においては、回動軸44は後輪の中心軸より前方に配置される。前輪の転舵機構25と同様、第2タイロッド40は車体12に回動軸44を中心に回動可能に結合される。このとき第2タイロッド40は、回動軸44から後方に向かって延在するように配置される。
第1タイロッド38の他端は、第2タイロッド40の長さ方向略中央に回動可能に連結される。第3タイロッド42は軸状に形成され、一端が第2タイロッド40の他端に回動可能に連結される。回動軸48の他端は車輪14のナックルアームに回動可能に連結される。以上の構成によって、転舵モータ24が作動すると、ボールねじ機構27によって転舵軸が軸方向に推進し、これに連結される第1タイロッド38も軸方向に推進する。第1タイロッド38に連結された第2タイロッド40は回動軸44を中心に回動し、第3タイロッド42の一端を引張りまたは押し込み、ナックルアームを回転させる。このように、転舵機構25は、4つの車輪14を各々独立にキングピンを中心に転舵させる。
また、車両10の室内には、ステアリングホイール32が設けられている。ステアリングホイール32は車体12に対して回転可能なステアリングシャフトに固定されている。ステアリングシャフトには舵角センサ34およびトルクセンサ35が設けられている。舵角センサ34は、車両が直進するときのステアリングホイール32の回転方向位置を基準位置として、この基準位置からの第3タイロッド42の操舵角度を検出する。トルクセンサ35は運転者がステアリングホイール32を操舵する操舵トルクを検出する。舵角センサ34およびトルクセンサ35は統合ECU100に接続されている。舵角センサ34およびトルクセンサ35の検出結果は統合ECU100に出力される。
また車両10の室内には、モード切替スイッチ36が設けられている。モード切替スイッチ36は、後述する第1乃至第4方向転換モード、および4WSモードのいずれかに対応する5つのスイッチ群によって構成される。モード切替スイッチ36はこれらの5つのモードのユーザによる選択を受け付ける。モード切替スイッチ36は統合ECU100に接続されている。ユーザによってモード切替スイッチ36が押されると、いずれのモードのスイッチが押されたかを示す選択モード識別情報が統合ECU100に出力される。
図2は、各ECUの機能ブロック図である。統合ECU100は、演算ユニット102、RAM104、ROM106などを有する。ROM106には、様々な演算を実行するためのプログラムや、後述する車輪14の転舵角度の閾値データを含むデータが格納されている。RAM104は、舵角センサ34、トルクセンサ35、車輪速センサ22の検出結果を含む様々なデータが一時的に格納され、また、ROM106に格納されたプログラムの実行のためのワークエリアとして利用される。演算ユニット102は、ROM106に格納されたプログラムやRAM104に格納されたデータなどを利用して、車輪14の目標転舵角度の演算など様々な演算を実行する。
統合ECU100は、モード切替スイッチ36から入力された選択モード識別情報を利用してユーザによってどのモードが選択されたかを判定する。また、統合ECU100は、転舵ECU26から入力される駆動信号情報などを利用して、車輪14の現在の転舵角度を算出する。統合ECU100は、選択されたモードと算出した車輪14の現在の転舵角度を利用して、転舵すべき車輪14の転舵角度を算出する。
統合ECU100は、算出した転舵角度を転舵ECU26に出力する。転舵ECU26は、統合ECU100から入力された転舵角度を利用して、転舵モータ24に駆動信号を入力して転舵モータ24を作動させ、車輪14を入力された転舵角度だけ転舵する。したがって、モード切替スイッチ36は、ユーザによって車輪14の転舵指令が入力される入力部として機能する。このとき、転舵ECU26は、転舵モータ24に入力した駆動信号に関する情報を統合ECU100に出力する。統合ECU100は、この情報を利用して車輪14の転舵角度を算出する。したがって、転舵ECU26および統合ECU100は、車輪14の転舵角度を検出する転舵角度検出手段として機能する。
統合ECU100は、アクセル(図示せず)の操作量、または舵角センサ34によって検出されたステアリングホイール32の操舵角、車輪速センサ22によって検出された車輪14の回転速度を利用して、インホイールモータ20に発生させるべき車輪14の駆動トルクを算出する。算出された駆動トルクはHV−ECU60に出力される。インホイールモータ20の各々は、バッテリ(図示せず)にも接続されている。HV−ECU60は、バッテリからインホイールモータ20に供給される電力を制御することによって、インホイールモータ20が発生する駆動トルクを制御する。HV−ECU60は、統合ECU100から入力された駆動トルクをインホイールモータ20に発生させるよう、インホイールモータ20へ供給する電力を制御する。こうしてインホイールモータ20が作動することにより車輪14に駆動トルクが与えられ、車両10が走行する。
また、統合ECU100は、所定の場合にHV−ECU60に車輪14を振動させる振動情報を出力する。HV−ECU60は、統合ECU100から入力された振動情報を利用して、車両10前進時のインホイールモータ20の回転方向を正転方向、その逆を逆転方向として、インホイールモータ20を正転方向および逆転方向に交互に駆動トルクを発生させるよう制御する。統合ECU100が出力する振動情報には、駆動トルクの変動周波数、振幅としての最大駆動トルク、および駆動トルクを変動させるときの位相に関する情報が含まれる。HV−ECU60は、統合ECU100から入力された振動指令に応じて、インホイールモータ20が正転および逆転を繰り返すようにインホイールモータ20へ供給する電力を制御する。インホイールモータ20は、このように変動する駆動トルクによって車輪14を駆動し、車輪14を振動させる。したがって、インホイールモータ20は、車輪14に含まれるタイヤに振動を与える振動発生アクチュエータとして機能する。また、統合ECU100およびHV−ECU60は、車輪14のタイヤに振動を与えるようインホイールモータ20を制御する振動制御部として機能する。
図3は、第1方向転換モードが選択された場合の車輪14の各々の転舵角度や旋回中心などを示す図である。本図は車両10を上方から見た図である。右前輪14FRの転舵中心を右前輪キングピン位置KFR、左前輪14FLの転舵中心を左前輪キングピン位置KFL、右後輪14RRの転舵中心を右後輪キングピン位置KRR、左後輪14RLの転舵中心を左後輪キングピン位置KRLとする。本実施形態に係るこれらのキングピン位置は、実際には車両上方から見た車輪14の中心に位置しないが、理解を容易なものとするため本図では車輪14の中心にキングピン位置を示す。
右前輪キングピン位置KFRと左前輪キングピン位置KFLを結ぶ直線、右後輪キングピン位置KRRと左後輪キングピン位置KRLを結ぶ直線、右前輪キングピン位置KFRと右後輪キングピン位置KRRとを結ぶ直線、および左前輪キングピン位置KFLと左後輪キングピン位置KRLを結ぶ直線によって囲われる領域を車両内部領域A0とする。右前輪キングピン位置KFRと左前輪キングピン位置KFLとを結ぶ直線の中点を前輪キングピン中点M1とし、右後輪キングピン位置KRRと左後輪キングピン位置KRLとを結ぶ直線の中点を後輪キングピン中点M2とする。
また、右前輪14FRの転舵角度を右前輪転舵角度δFR、左前輪14FLの転舵角度を左前輪転舵角度δFL、右後輪14RRの転舵角度を右後輪転舵角度δRR、左後輪14RLの転舵角度を左後輪転舵角度δRLとする。これらの転舵角度の値は、車両10が直進するときにゼロになるものとする。なお、ステアリングホイール32が運転者によって操舵された操舵角度を操舵角度δMAとする。ここで転舵角度とは、車両10が直進するときの車輪14の位置を基準とした現在の車輪14の転舵方向の回転位置を意味する。
本実施形態に係る車両10では、右前輪14FRおよび左前輪14FLの回転中心軸の車両10内側への延長線が後輪キングピン中点M2を通過するときが、右前輪14FRおよび左前輪14FLの最大転舵角度となる。また、右後輪14RRおよび左後輪14RLの回転中心軸の車両10内側への延長線が前輪キングピン中点M1を通過するときが、右後輪14RRおよび左後輪14RLの最大転舵角となる。車両内部領域A0内で旋回中心Pが位置することができる領域としての旋回中心設定可能領域A1は、車輪14の各々を転舵したときに車輪14の各々の回転軸の車両10内側への延長線が描く軌跡が重なる領域となる。このため、本実施形態における車両10では、旋回中心設定可能領域A1は、後輪キングピン中点M2から右前輪キングピン位置KFRおよび左前輪キングピン位置KFLに向かう2直線と、前輪キングピン中点M1から右後輪キングピン位置KRRおよび左後輪キングピン位置KRLに向かう2直線によって囲まれる菱形となる。
第1方向転換モードとは、後輪キングピン中点M2を旋回中心Pとして車両10を旋回させるモードをいう。ユーザによって第1方向転換モードに対応するモード切替スイッチ36が押されると、第1方向転換モードを示す選択モード情報が統合ECU100に出力される。統合ECU100は、入力された選択モード情報から、ユーザによって第1方向転換モードが選択されたと判定する。
統合ECU100は、第1方向転換モードが選択されたと判定した場合には、右前輪14FRおよび左前輪14FLの各々の回転中心が後輪キングピン中点M2を通過するときの右前輪転舵角度δFRおよび左前輪転舵角度δFLを目標転舵角度として決定する。なお、第1方向転換モードが選択された場合、ユーザは、ステアリングホイール32を操舵することによって車輪14を回転させて車両10を旋回させることが可能となる。この場合、統合ECU100は、操舵角度δMAに応じて車輪14の駆動トルクが大きくなるようインホイールモータ20が発生すべき目標駆動トルクを算出する。統合ECU100は、算出した目標駆動トルクをHV−ECU60に出力する。HV−ECU60は、目標駆動トルクを発生するようインホイールモータ20を制御する。本図に示されるようにステアリングホイール32が右回転方向に操舵された場合、各キングピン位置が矢印方向に進むよう車輪14が回転駆動される。
なお、第2方向転換モードとは、前輪キングピン中点M1を旋回中心Pとして車両10を旋回させるモードをいう。ユーザによって第2方向転換モードに対応するモード切替スイッチ36が押されると、前述と同様に統合ECU100はユーザによって第2方向転換モードが選択されたと判定する。統合ECU100は、第2方向転換モードが選択されたと判定した場合には、右後輪14RRおよび左後輪14RLの各々の回転中心が前輪キングピン中点M1を通過するときの右後輪転舵角度δRRおよび左後輪転舵角度δRLを目標転舵角度として決定する。なお、第1方向転換モードが選択された場合、ユーザは、ステアリングホイール32を操舵することによって車輪14を回転させて車両10を旋回させることが可能となる点は前述と同様である。
後述する第3方向転換モードおよび第4方向転換モードがユーザによって選択された場合も、車両10の旋回時の旋回中心Pは車両内部領域A0内に位置する。このような範囲に旋回中心Pを設定することにより、車輪14の旋回半径を小さくすることができ、狭いスペースで車両10を旋回させることが可能となる。
図4は、第1方向転換モードが選択された場合の車両制御装置200の動作手順を示すフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、第1方向転換モード以外のモードが選択されている間、所定時間毎に繰り返し実行される。本フローチャートでは、第1方向転換モードが選択された後、4WSモードが選択された場合を例示する。第4方向転換モードとは、車両内部領域A0の範囲外に旋回中心Pを設定して車両10を旋回させるモードをいう。4WSモードについては、第4の実施形態において詳細に説明する。なお、前輪のみが転舵する2WSモードがユーザによって選択可能である場合、本フローチャートでは、4WSモードが選択される代わりに2WSモードが選択された場合も同様の処理が実施される。
ユーザにより第1方向転換モードが選択されると(S11)、統合ECU100は、車輪速センサ22の検出結果を利用して車速Vcがゼロか否かを判定する(S12)。第1方向転換モードへの移行は自動的な車輪14の転舵を伴うため、車両10の走行中における第1方向転換モードへの移行は好ましくない。統合ECU100は、車速Vcがゼロでない、すなわち車両10が走行中と判定した場合(S12のN)、モード選択できない旨を表示して(S26)、ユーザにより再び第1方向転換モードが選択されるまで第1方向転換モードに移行しない。
車速Vcがゼロと判定された場合(S12のY)、転舵ECU26は、右前輪用転舵モータ24FRおよび左前輪用転舵モータ24FLを作動させ、右前輪14FRおよび左前輪14FLの転舵を開始する(S13)。なお、右後輪14RRおよび左後輪14RLが転舵された状態でユーザにより第1方向転換モードが選択された場合、転舵ECU26は、右後輪転舵角度δRRおよび左後輪転舵角度δRLがゼロになるまで右後輪用転舵モータ24RRおよび左後輪用転舵モータ24RLに駆動信号を出力して右後輪14RRおよび左後輪14RLを転舵する。右後輪転舵角度δRRおよび左後輪転舵角度δRLがゼロとなった状態で、ECB−ECUは、右後輪14RRおよび左後輪14RLに制動力を与えるようホイールシリンダ圧を制御する。
右前輪14FRおよび左前輪14FLの転舵が開始されてから、統合ECU100は、右前輪転舵角度δFRおよび左前輪転舵角度δFLが閾値角度δthより大きいか否かを判定する(S14)。ここで閾値角度δthとは、車両10が直進するときの車輪14の位置を基準とした車輪14の所定の転舵方向の回転位置をを意味する。前輪転舵角度δFRおよび左前輪転舵角度δFLが閾値角度δth以下と判定された場合(S14のN)、統合ECU100は、右前輪14FRおよび左前輪14FLの各々のタイヤに振動を発生させることなくS14の判定を所定時間毎に実施する。
前輪転舵角度δFRおよび左前輪転舵角度δFLが閾値角度δthより大きいと判定された場合(S14のY)、統合ECU100はHV−ECU60に振動情報を出力する。HV−ECU60は、入力された振動情報に基づいて右前輪14FRおよび左前輪14FLに、正転方向および逆転方向に交互に駆動トルクを与えるようインホイールモータ20を制御し、右前輪14FRおよび左前輪14FLの各々のタイヤに振動を発生させる(S15)。
このように統合ECU100およびHV−ECU60は、転舵対象となる車輪14のタイヤに振動を発生させる。これによって据え切り転舵の際に転舵対象となる車輪14のタイヤと路面との摩擦力を低減させることが可能となり、据え切り転舵時の転舵機構25への負荷を低減させることができる。なお、S14の判定を省略し、右前輪14FRおよび左前輪14FLの転舵開始と共にこれらの車輪のタイヤに振動を与えてもよいことは勿論である。
また、統合ECU100およびHV−ECU60は、検出された転舵角度が閾値角度δthを超える場合に、転舵対象となる車輪14のタイヤに振動を発生させるようインホイールモータ20を制御する。据え切り転舵では、一般に車輪14の転舵角度が大きい場合、転舵角度が小さい場合に比べ転舵機構へ与えられる負荷が大きい。このように転舵角度が大きく転舵機構への負荷が大きい場合に転舵対象となる車輪14のタイヤを振動させることにより、転舵機構25への負担を効果的に低減させることができる。
このとき、HV−ECU60は、転舵対象となる右前輪14FRおよび左前輪14FLの各々のタイヤに同位相の振動を与えるようインホイールモータ20を制御する。ここで、図5に、タイヤに振動を発生させるときに右前輪用インホイールモータ20FRおよび左前輪用インホイールモータ20FLが発生する駆動トルクを、横軸を時間tとして表す。縦軸は駆動トルクTであり、上方向に行くにしたがって正転方向の駆動トルクが大きくなることを意味し、下方向に行くにしたがって逆転方向の駆動トルクが大きくなることを意味する。
HV−ECU60は、右前輪14FRおよび左前輪14FLに同位相の波形の駆動トルクを与えるよう右前輪用インホイールモータ20FRおよび左前輪用インホイールモータ20FLの作動を制御することにより、右前輪14FRおよび左前輪14FLの各々のタイヤに振動を発生させる。本実施形態では、HV−ECU60は、右前輪転舵角度δFRおよび左前輪転舵角度δFLが閾値角度δthと目標転舵角度δTとの間にあるときは、駆動トルクの振幅および周波数を一定に維持する。ここで目標転舵角度δTとは、車両10が直進するときの車輪14の位置を基準として、車輪14の回転させるべき回転位置を意味する。
右前輪14FRおよび左前輪14FLに逆位相の波形による駆動トルクを与えると、タイヤと路面との摩擦力によって、車両10に上方から見て回転する方向に力が与えられる。このためタイヤと路面とがうまくスリップせず、タイヤと路面との間が静止摩擦状態から動摩擦状態へと円滑に移行することが困難となる。本実施形態に係る車両制御装置200のように、右前輪14FRおよび左前輪14FLに同位相の波形による駆動トルクを与えることにより、タイヤと路面とを適当にスリップさせることが可能となり、タイヤと路面との間を動摩擦状態としてタイヤと路面との摩擦力を低減することが可能となる。
右前輪14FRおよび左前輪14FLに振動発生されると、統合ECU100は、前輪転舵角度δFRおよび左前輪転舵角度δFLが目標転舵角度δTに達したか否かを判定する(S16)。前輪転舵角度δFRおよび左前輪転舵角度δFLが目標転舵角度δTに達していない場合(S16のN)、統合ECU100は、前輪転舵角度δFRおよび左前輪転舵角度δFLが目標転舵角度δTに達するまでS16の判定を所定時間毎に繰り返す。
前輪転舵角度δFRおよび左前輪転舵角度δFLが目標転舵角度δTに達したと判定された場合(S16のY)、統合ECU100およびHV−ECU60は、転舵モータ24およびインホイールモータ20の作動を停止させ、右前輪14FRおよび左前輪14FLの転舵およびこれらの車輪への振動の発生を停止させる(S17)。また、ECB−ECUは、右後輪14RRおよび左後輪14RLに与えていた制動力を解除させるようホイールシリンダ圧を制御する。
第1方向転換モードにある状態でユーザにより4WSモードが選択されると(S18)、統合ECU100は、車速Vcがゼロか否かを判定する(S19)。車速Vcがゼロでない、すなわち車両10が走行中と判定された場合(S19のN)、モード選択できない旨を表示して(S27)、ユーザにより再び第1方向転換モードが選択されるまで4WSモードに移行しない。
車速Vcがゼロと判定された場合(S19のY)、統合ECU100は、HV−ECU60に振動情報を出力する。HV−ECU60は、右前輪14FRおよび左前輪14FLに前述と同様に同位相の波形の駆動トルクを与えるよう右前輪用インホイールモータ20FRおよび左前輪用インホイールモータ20FLを制御し、右前輪14FRおよび左前輪14FLの各々のタイヤに振動を発生させる(S20)。
右前輪14FRおよび左前輪14FLの各々のタイヤに振動を発生させると、転舵ECU26は、右前輪用転舵モータ24FRおよび左前輪用転舵モータ24FLへの駆動信号の供給を開始し、右前輪14FRおよび左前輪14FLの転舵を開始する(S21)。
右前輪14FRおよび左前輪14FLが転舵開始されると、統合ECU100は、前輪転舵角度δFRおよび左前輪転舵角度δFLのそれぞれについて閾値角度δthまで減少したが否かを判定する(S22)。前輪転舵角度δFRまたは左前輪転舵角度δFLが閾値角度δthまで減少していないと判定した場合(S22のN)、統合ECU100は、前輪転舵角度δFRおよび左前輪転舵角度δFLのそれぞれについて閾値角度δthまで減少するまでS22の判定を所定時間毎に繰り返す。前輪転舵角度δFRまたは左前輪転舵角度δFLが閾値角度δthまで減少したと判定された場合(S22のY)、HV−ECU60は、転舵角度が閾値角度δthまで減少した車輪14に対応するインホイールモータ20の作動を停止させ、その車輪14のタイヤに発生させていた振動を停止させる(S23)。
また、統合ECU100は、前輪転舵角度δFRおよび左前輪転舵角度δFLのそれぞれについてゼロまで減少したか否かを判定する(S24)。前輪転舵角度δFRまたは左前輪転舵角度δFLがゼロまで減少していない場合(S24のN)、統合ECU100は、前輪転舵角度δFRおよび左前輪転舵角度δFLのそれぞれについてゼロに減少するまでS24の判定を所定時間毎に繰り返す。前輪転舵角度δFRまたは左前輪転舵角度δFLがゼロまで減少したと判定された場合(S24のY)、転舵ECU26は、転舵角度がゼロまで減少した車輪14に対応する転舵モータ24の作動を停止させ、その車輪14の転舵を停止させる(S25)。こうして、転舵ECU26は、右前輪14FRおよび左前輪14FLを転舵角度δがゼロとなるまで転舵するよう制御する。
(第2の実施形態)
図6は、第3方向転換モードが選択された場合の車輪14の各々の転舵角度や旋回中心などを示す図である。本図は車両10を上方から見た図である。車両10の構成は第1の実施形態と同様である。なお、第1の実施形態と同様の箇所については、同一の符号を付して説明を省略する。
図6は、第3方向転換モードが選択された場合の車輪14の各々の転舵角度や旋回中心などを示す図である。本図は車両10を上方から見た図である。車両10の構成は第1の実施形態と同様である。なお、第1の実施形態と同様の箇所については、同一の符号を付して説明を省略する。
第3方向転換モードとは、前輪キングピン中点M1と後輪キングピン中点M2とを結ぶ直線の中点Oを旋回中心Pとして車両10を旋回させるモードをいう。ユーザによって第3方向転換モードに対応するモード切替スイッチ36が押されると、第3方向転換モードを示す選択モード情報が統合ECU100に出力される。統合ECU100は、入力された選択モード情報から、ユーザによって第3方向転換モードが選択されたと判定する。
統合ECU100は、第3方向転換モードが選択されたと判定した場合には、右前輪14FRおよび左前輪14FLの各々の回転中心が後輪キングピン中点M2を通過するときの右前輪転舵角度δFRおよび左前輪転舵角度δFLを目標転舵角度として決定する。なお、第3方向転換モードが選択された場合、ユーザは、ステアリングホイール32を操舵することによって車輪14を回転させて車両10を旋回させることが可能となる点は第1方向転換モードが選択された場合と同様である。
図7は、第3方向転換モードが選択された場合の車両制御装置200の動作手順を示すフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、第3方向転換モード以外のモードが選択されている間、所定時間毎に繰り返し実行される。本フローチャートでは、第3方向転換モードが選択された後、4WSモードが選択された場合を例示する。なお、前輪のみが転舵する2WSモードもユーザによって選択可能である場合、本フローチャートでは、4WSモードが選択される代わりに2WSモードが選択された場合も同様の処理が実施される。
ユーザにより第3方向転換モードが選択されると(S31)、統合ECU100は、車輪速センサ22の検出結果を利用して車速Vcがゼロか否かを判定する(S32)。第1方向転換モードと同様、第3方向転換モードへの移行も自動的な車輪14の転舵を伴うため、車両10の走行中の移行は好ましくない。統合ECU100は、車速Vcがゼロでない、すなわち車両10が走行中と判定した場合(S32のN)、モード選択できない旨を表示して(S46)、ユーザにより再び第3方向転換モードが選択されるまで第3方向転換モードに移行しない。
車速Vcがゼロと判定された場合(S32のY)、転舵ECU26は、全ての転舵モータ24を作動させ、全ての車輪14の転舵を開始する(S33)。車輪14の転舵が開始されてから、統合ECU100は、4つの車輪14の各々の転舵角度δが閾値角度δthより大きいか否かを判定する(S34)。転舵角度δが閾値角度δth以下の車輪14があると判定された場合(S34のN)、統合ECU100は、その車輪14のタイヤに振動を発生させることなくS34の判定を所定時間毎に実施する。
いずれかの車輪14の転舵角度δが閾値角度δthより大きいと判定された場合(S34のY)、統合ECU100はHV−ECU60に振動情報を出力する。HV−ECU60は、入力された振動情報に基づいて転舵角度δが閾値角度δthより大きいと判定された全ての車輪14に、正転方向および逆転方向に交互に駆動トルクを与えるようインホイールモータ20を制御し、全ての車輪14の各々のタイヤに振動を発生させる(S35)。このように、本実施形態においても、統合ECU100およびHV−ECU60は、転舵対象となる車輪14のタイヤに振動を発生させる。
HV−ECU60は、右前輪14FRおよび左前輪14FLに同位相の波形の駆動トルクを与えるよう右前輪用インホイールモータ20FRおよび左前輪用インホイールモータ20FLの作動を制御することにより、右前輪14FRおよび左前輪14FLの各々のタイヤに振動を発生させる。また、HV−ECU60は、右後輪14RRおよび左後輪14RLに同位相の波形の駆動トルクを与えるよう右後輪用インホイールモータ20RRおよび左後輪用インホイールモータ20RLの作動を制御することにより、右後輪14RRおよび左後輪14RLの各々のタイヤに振動を発生させる。このとき、HV−ECU60は、右前輪14FRおよび左前輪14FLに与える駆動トルクの波形と、右後輪14RRおよび左後輪14RLに与える駆動トルクの波形とが逆位相となるように、インホイールモータ20の作動を制御する。
ここで、図8(a)に、タイヤに振動を発生させるときに右前輪用インホイールモータ20FRおよび左前輪用インホイールモータ20FLが発生する駆動トルクを、横軸を時間軸として表し、図8(b)に、タイヤに振動を発生させるときに右後輪用インホイールモータ20RRおよび左後輪用インホイールモータ20RLが発生する駆動トルクを、横軸を時間tとして表す。図8(a)および(b)において、縦軸は駆動トルクTであり、上方向に行くにしたがって正転方向の駆動トルクが大きくなることを意味し、下方向に行くにしたがって逆転方向の駆動トルクが大きくなることを意味する。
HV−ECU60は、図8(a)に示すように、同位相の矩形の波形により右前輪14FRおよび左前輪14FLに対して正転方向および逆転方向に交互に駆動トルクを発生させ、これらの車輪の各々のタイヤに振動を発生させる。また、HV−ECU60は、図8(b)に示すように、同位相の矩形の波形により右後輪14RRおよび左後輪14RLに対して正転方向および逆転方向に交互に駆動トルクを発生させ、これらの車輪の各々のタイヤに振動を発生させる。このとき、HV−ECU60は、図8(a)に示される右前輪14FRおよび左前輪14FLに与える駆動トルクの波形と、図8(b)に示される右後輪14RRおよび左後輪14RLに与える駆動トルクの波形とが逆位相となるよう、インホイールモータ20の作動を制御する。
前輪と後輪に同位相の波形の駆動トルクが与えられると、車両10が前後方向に移動してしまうためタイヤは路面に対してうまくスリップすることができず、タイヤと路面との間が静止摩擦状態から動摩擦状態へと円滑に移行することが困難となる。本実施形態に係る車両制御装置200のように、前輪と後輪に相互に逆位相の波形による駆動トルクを与えることでタイヤと路面とを適当にスリップさせることが可能となり、タイヤと路面との間を動摩擦状態にしてタイヤと路面との摩擦力を低減することが可能となる。
タイヤに振動が与えられると、統合ECU100は、車輪14の各々の転舵角度δが目標転舵角度δTに達したか否かを判定する(S36)。転舵角度δが目標転舵角度δTに達していない場合(S36のN)、統合ECU100は、転舵角度δが目標転舵角度δTに達するまでS36の判定を所定時間毎に繰り返す。
転舵角度δが目標転舵角度δTに達したと判定された場合(S36のY)、統合ECU100およびHV−ECU60は、転舵角度δが目標転舵角度δTに達した車輪14に対応する転舵モータ24およびインホイールモータ20の作動を停止させ、その車輪14の転舵およびその車輪14への振動の発生を停止させる(S37)。これにより、ユーザはステアリングホイール32を操舵することにより、中点Oを中心に車両10を旋回させて方向転換することが可能となる。
第3方向転換モードにある状態でユーザにより4WSモードが選択されると(S38)、統合ECU100は、車速Vcがゼロか否かを判定する(S39)。車速Vcがゼロでない、すなわち車両10が走行中と判定された場合(S39のN)、モード選択できない旨を表示して(S47)、ユーザにより再び第3方向転換モードが選択されるまで4WSモードに移行しない。
車速Vcがゼロと判定された場合(S39のY)、統合ECU100は、HV−ECU60に振動情報を出力する。HV−ECU60は、全ての車輪14のタイヤに振動を発生させる(S40)。このとき、HV−ECU60は、S35と同様に、右前輪14FRおよび左前輪14FLに同位相の波形の駆動トルクを与えるよう右前輪用インホイールモータ20FRおよび左前輪用インホイールモータ20FLの作動を制御することにより、右前輪14FRおよび左前輪14FLの各々のタイヤに振動を発生させる。また、HV−ECU60は、右後輪14RRおよび左後輪14RLに同位相の波形の駆動トルクを与えるよう右後輪用インホイールモータ20RRおよび左後輪用インホイールモータ20RLの作動を制御することにより、右後輪14RRおよび左後輪14RLの各々のタイヤに振動を発生させる。このとき、HV−ECU60は、右前輪14FRおよび左前輪14FLに与える駆動トルクの波形と、右後輪14RRおよび左後輪14RLに与える駆動トルクの波形とが逆位相となるように、インホイールモータ20の作動を制御する。これにより、第3方向転換モードを解除して4WSモードに移行する場合においても、転舵機構25への負担を軽減することができる。
車輪14の各々のタイヤに振動を発生させると、転舵ECU26は、右前輪用転舵モータ24FRおよび左前輪用転舵モータ24FLへの駆動信号の供給を開始し、右前輪14FRおよび左前輪14FLの転舵を開始する(S41)。
車輪14の転舵が開始されると、統合ECU100は、車輪14の各々の転舵角度δが閾値角度δthまで減少したか否かを判定する(S42)。転舵角度δが閾値角度δthまで減少していないと判定した場合(S42のN)、統合ECU100は、これらの転舵角度δが閾値角度δthに減少するまでS42の判定を所定時間毎に繰り返す。転舵角度δが閾値角度δthまで減少したと判定された場合(S42のY)、HV−ECU60は、転舵角度δが閾値角度δthまで減少した車輪14に対応するインホイールモータ20の作動を停止させ、その車輪14のタイヤに発生させる振動を停止させる(S43)。
また、統合ECU100は、車輪14の各々の転舵角度δがゼロまで減少したか否かを判定する(S44)。転舵角度δがゼロまで減少していない場合(S44のN)、統合ECU100は、転舵角度δがゼロに減少するまでS44の判定を所定時間毎に繰り返す。転舵角度δがゼロまで減少したと判定された場合(S44のY)、転舵ECU26は、転舵角度δがゼロとなった車輪14に対応する転舵モータ24の作動を停止させ、その車輪14の転舵を停止させる(S45)。こうして、転舵ECU26は、全ての車輪14を転舵角度δがゼロとなるまで転舵するよう制御する。
(第3の実施形態)
図9は、第4方向転換モードが選択された場合の車輪14の各々の転舵角度や旋回中心などを示す図である。本図は車両10を上方から見た図である。車両10の構成は第1の実施形態と同様である。なお、第1の実施形態と同様の箇所については、同一の符号を付して説明を省略する。
図9は、第4方向転換モードが選択された場合の車輪14の各々の転舵角度や旋回中心などを示す図である。本図は車両10を上方から見た図である。車両10の構成は第1の実施形態と同様である。なお、第1の実施形態と同様の箇所については、同一の符号を付して説明を省略する。
第4方向転換モードとは、車両内部領域A0内においてヨー角に応じて旋回中心Pを移動させながら車両10を旋回させるモードをいう。具体的には、第4方向転換モードでは、後輪キングピン中点M2に旋回中心Pが位置する状態を旋回開始状態として、ヨー角に応じて前輪キングピン中点M1に向かって直線的に旋回中心Pを移動させる。ユーザによって第4方向転換モードに対応するモード切替スイッチ36が押されると、第4方向転換モードを示す選択モード情報が統合ECU100に出力される。統合ECU100は、入力された選択モード情報から、ユーザによって第4方向転換モードが選択されたと判定する。
統合ECU100は、第4方向転換モードが選択されたと判定した場合には、第1方向転換モードが選択された場合と同様に、右前輪14FRおよび左前輪14FLの各々の回転中心が後輪キングピン中点M2を通過するときの右前輪転舵角度δFRおよび左前輪転舵角度δFLを目標転舵角度として決定する。なお、第3方向転換モードが選択された場合、ユーザは、ステアリングホイール32を操舵することによって車輪14を回転させて車両10を旋回させることが可能となる点は第1方向転換モードが選択された場合と同様である。
本図に示されるように、第4方向転換モードが選択された場合、車輪14の各々の軌跡が破線となるよう車両10が旋回する。このように車両10を旋回させることによって、車両10外側への張り出し量を抑制しながら狭いスペースにおいて車両10の方向転換を実現することが可能となる。
図10は、第4方向転換モードが選択された場合の車両制御装置200の動作手順を示すフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、第4方向転換モード以外のモードが選択されている間、所定時間毎に繰り返し実行される。なお、本フローチャートでは、第4方向転換モードが選択された後、4WSモードが選択された場合を例示する。なお、S51乃至S57およびS66は、図4におけるS11及至S17およびS26と同様であることから説明を省略する。
第4方向転換モードにある状態でユーザにより4WSモードが選択されると(S58)、統合ECU100は、車速Vcがゼロか否かを判定する(S59)。車速Vcがゼロでない、すなわち車両10が走行中と判定された場合(S59のN)、モード選択できない旨を表示して(S67)、ユーザにより再び第3方向転換モードが選択されるまで4WSモードに移行しない。
前述したように、第4方向転換モードでは、旋回中心Pは後輪キングピン中点M2と前輪キングピン中点M1との間を直線的に移動する。このため、旋回中は全ての車輪14が転舵され、旋回中の車両10の停止位置によって車輪14の各々の転舵角度δは様々な値となる。このため、車速Vcがゼロと判定された場合(S59のY)、統合ECU100は、閾値角度δthより転舵角度δが大きい車輪14のタイヤに振動を発生させるよう、HV−ECU60に振動情報を出力する。HV−ECU60は、閾値角度δthより転舵角度δが大きい車輪14のタイヤに振動を発生させる(S60)。
このとき、右前輪転舵角度δFRおよび左前輪転舵角度δFLが閾値角度δthより大きい場合、HV−ECU60は、右前輪14FRおよび左前輪14FLに同位相の波形の駆動トルクを与えるよう右前輪用インホイールモータ20FRおよび左前輪用インホイールモータ20FLの作動を制御することにより、右前輪14FRおよび左前輪14FLの各々のタイヤに振動を発生させる。また、右後輪転舵角度δRRおよび左後輪転舵角度δRLが閾値角度δthより大きい場合、HV−ECU60は、右後輪14RRおよび左後輪14RLに同位相の波形の駆動トルクを与えるよう右後輪用インホイールモータ20RRおよび左後輪用インホイールモータ20RLの作動を制御することにより、右後輪14RRおよび左後輪14RLの各々のタイヤに振動を発生させる。全ての車輪14の転舵角度δが閾値角度δthよりも大きい場合、HV−ECU60は、右前輪14FRおよび左前輪14FLに与える駆動トルクの波形と、右後輪14RRおよび左後輪14RLに与える駆動トルクの波形とが逆位相となるように、インホイールモータ20の作動を制御する。これにより、第4方向転換モードを解除して4WSモードに移行する場合においても、転舵機構25への負担を軽減することができる。
右前輪14FRおよび左前輪14FLの各々のタイヤに振動を発生させると、転舵ECU26は、転舵角度δがゼロでない車輪14に対応する転舵モータ24への駆動信号の供給を開始し、その車輪14の転舵を開始する(S61)。
S62乃至S65は、図7のS42乃至S45と同様であることから説明を省略する。なお、統合ECU100は、第4方向転換モードが選択された場合に、前輪キングピン中点M1に旋回中心Pを設定し、ヨー角が大きくなるにしたがって後輪キングピン中点M2に向かって直線的に旋回中心Pを移動してもよい。これによっても、車両10の張り出し量を抑制することができるとともに、狭いスペースでの車両10の旋回が可能となる。
(第4の実施形態)
図11は、4WSモードでの車輪14の各々の転舵角度や旋回中心などを示す図である。本図は車両10を上方から見た図である。本図は車両10を上方から見た図である。車両10の構成は第1の実施形態と同様である。なお、第1の実施形態と同様の箇所については、同一の符号を付して説明を省略する。
図11は、4WSモードでの車輪14の各々の転舵角度や旋回中心などを示す図である。本図は車両10を上方から見た図である。本図は車両10を上方から見た図である。車両10の構成は第1の実施形態と同様である。なお、第1の実施形態と同様の箇所については、同一の符号を付して説明を省略する。
第4方向転換モードとは、車両内部領域A0の範囲外に旋回中心Pを設定して車両10を旋回させるモードをいう。車両内部領域A0の範囲外において旋回中心Pが位置できる領域である旋回中心設定可能領域A2は、転舵し得る車輪14の転舵角度によって決定される。たとえば本図に示すように、車両10が左に旋回するときの旋回中心設定可能領域A2は、左前輪14FLを転舵したときに左前輪14FLの回転軸の車両10外側への延長線が描く軌跡と、左後輪14RLを転舵したときに左後輪14RLの回転軸の車両10外側への延長線が描く軌跡が重なる領域となる。本図には示されていないが、車両10が右に旋回するときの旋回中心設定可能領域A2は、右前輪14FRを転舵したときに右前輪14FRの回転軸の車両10外側への延長線が描く軌跡と、右後輪14RRを転舵したときに右後輪14RRの回転軸の車両10外側への延長線が描く軌跡が重なる領域となる。
統合ECU100は、車輪速センサ22により検出された車輪14の各々の車輪速と、舵角センサ34により検出されたステアリングホイール32の操舵角度δMAを利用して、車両10を操舵するために適した旋回中心Pを演算する。このように、車両10を走行させるときに4WSモードを選択することにより、運転者は車両を良好に旋回させることが可能となる。本実施形態に4WSモードでは、車両10が停止中においても、ステアリングホイール32が据え切り操舵された場合に右後輪14RRおよび右後輪14RRも転舵される。なお、車両10が停止中はステアリングホイール32が据え切り操舵された場合に、右後輪14RRおよび左後輪14RLは、右後輪転舵角度δRRおよび左後輪転舵角度δRLがゼロの状態のまま転舵されなくてもよい。
図12は、4WSモードでの車両制御装置200の動作手順を示すフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、4WSモードが選択されている間、所定時間毎に繰り返し実行される。
統合ECU100は、現在選択されているモードが4WSモードか否かを判定する(S71)。ユーザによってモード切替スイッチ36が操作されると、選択モード情報が統合ECU100に出力される。統合ECU100は入力された選択モード情報を、統合ECU100に含まれるRAMなどのメモリに格納する。統合ECU100は、格納された選択モード情報を参照することにより、現在選択されているモードが4WSモードか否かを判定する。本フローチャートは、4WSモードが選択されている場合の処理を示すものであるため、現在選択されているモードが4WSモードでないと判定された場合(S71のN)、本フローチャートにおける処理を終了する。
現在選択されているモードが4WSモードと判定された場合(S71のY)、統合ECU100は、車速Vcがゼロか否かを判定する(S72)。車両10が走行中は、車両10停止中の据え切り操舵時に比べ、車輪14を転舵することによる転舵機構25への負荷は少ない。このため、車速Vcがゼロでない、すなわち車両10が走行中であると判定された場合(S72のN)、転舵機構25への負荷を低減する本フローチャートの処理は実施されない。
車速Vcがゼロ、ずなわち車両10が停止中と判定された場合(S72のY)、転舵ECU26は、ステアリングホイール32が操舵中であるか否かを判定する(S73)。4WSモードでは、前述の第1乃至第4方向転換モードと異なり、ステアリングホイール32が運転者によって操舵されなければ車輪14は転舵されない。ステアリングホイール32が操舵中でないと判定された場合(S73のN)、車輪14は転舵されずタイヤと路面との摩擦力を低減させる必要が認められないため、HV−ECU60は、その車輪14のタイヤを振動させない(S76)。すなわち、現状その車輪14のタイヤが振動していなければ、その状態を継続させる。ステアリングホイール32が操舵されて車輪14のタイヤに振動が与えられていた場合は、その振動を停止させる。これによって、タイヤを振動させる機会を低減することができ、運転者に振動を感じさせる機会を低減させることができる。
ステアリングホイール32が操舵中であると判定された場合(S73のY)、統合ECU100は、転舵の対象となる車輪14のうち、転舵角度δが閾値角度δthより大きい車輪14があるか否かを判定する(S74)。転舵角度δが閾値角度δth以下である車輪14がある場合(S74のN)、HV−ECU60は、その車輪14のタイヤを振動させない(S76)。すなわち、現状その車輪14のタイヤが振動していなければ、その状態を継続させる。今まで転舵角度δが閾値角度δthより大きく車輪14のタイヤに振動が与えられていた場合は、その振動を停止させる。これによって、タイヤを振動させる機会を低減することができ、運転者に振動を感じさせる機会を低減させることができる。
転舵角度δが閾値角度δthより大きい車輪14があると判定された場合(S74のY)、HV−ECU60はその車輪14のタイヤに振動を発生させる(S75)。本実施形態では、このように運転者によってステアリングホイール32が据え切り操舵される場合においても、タイヤに振動を与えてタイヤと路面との摩擦力を制御する。これによって、転舵機構25への負担を軽減することができる。
本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、各実施形態の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。以下、そうした例をあげる。
4WSモード、方向転換モードの他に、たとえば2WSモードなどが設けられていてもよい。この場合、ユーザは、モード切替スイッチ36のうち2WSモードに対応するスイッチを押すことにより2WSモードを選択する。モード切替スイッチ36は、2WSモードが選択されたことを示す選択モード情報を統合ECU100に出力する。統合ECU100は、2WSモードが選択された状態では、ユーザによってステアリングホイール32が操舵された場合、統合ECU100は右後輪14RRおよび左後輪14RLを転舵させず右後輪転舵角度δRRおよび左後輪転舵角度δRLをゼロのまま維持し、右前輪14FRおよび左前輪14FLを転舵させる。
ステアリングホイール32と転舵機構25とは機械的に連結されていてもよい。この場合、ステアリングホイール32が運転者によって転舵されることで車輪14が転舵される。第4の実施形態においてステアリングホイール32と転舵機構25とが機械的に連結されている場合、運転者がステアリングホイールを操舵する操作力も低減させることができる。この場合、パワーステアリング装置が装着されている車両においては、パワーステアリング装置への負荷も低減させることができる。
また、ステアリングホイール32と転舵機構25とが機械的に連結されている場合、統合ECU100およびHV−ECU60はトルクセンサ35の検出結果を利用して、タイヤへの振動の発生を制御してもよい。この場合、たとえば統合ECU100およびHV−ECU60は、車両停止時に、トルクセンサ35によって検出された操舵トルクが所定の値より大きい場合、車輪14に波形の駆動トルクを与えるようインホイールモータ20を制御してタイヤを振動させる。また、統合ECU100およびHV−ECU60が、トルクセンサ35によって検出された操舵トルクに応じて、タイヤに与える振動の振幅や周波数を変化させてもよいことは勿論である。これによって、運転者によるステアリングホイール32の操作力を効果的に低減することができる。
車両10は、4輪が独立して転舵可能でなくてもよく、右前輪14FRおよび左前輪14FLのみが転舵可能であってもよい。この場合においても、第1方向転換モードや2WSモードは実現することが可能となる。
別の変形例では、統合ECU100およびHV−ECU60は、車輪14の転舵角度に応じて、車輪14に与える駆動トルクの波形の振幅を変化させるようインホイールモータ20を制御してタイヤに与える振動の振幅を変化させる。具体的には、統合ECU100およびHV−ECU60は、車輪14の転舵角度が大きくなるにしたがって振幅である駆動トルクを大きくする。一般的に、車輪14の転舵角度が大きくなれば、転舵機構25への負荷は大きくなる。本変形例によって、転舵機構25の負荷に応じた適切な振幅の振動をタイヤに与えることが可能となる。このため、インホイールモータ20の負荷を低減させることができ、運転者が感じる振動を抑制することができる。
また、別の変形例では、統合ECU100およびHV−ECU60は、車輪14の転舵角度に応じて、車輪14に与える駆動トルクの波形の周波数を変化させるようインホイールモータ20を制御してタイヤに与える振動の周波数を変化させる。具体的には、統合ECU100およびHV−ECU60は、車輪14の転舵角度が大きくなるにしたがって駆動トルクが変化する周波数を高める。本変形例によっても、転舵機構25の負荷に応じた適切な振幅の振動をタイヤに与えることが可能となる。このため、インホイールモータ20の負荷を低減させることができ、運転者が感じる振動を抑制することができる。
統合ECU100は、転舵ECU26から入力される駆動信号情報の代わりに、ボールねじ機構27の転舵軸の変位を検出する変位センサの検出結果を利用して車輪14の転舵角度を検出してもよい。これにより、駆動信号情報を利用するよりも直接的に車輪14の転舵角度を検出することが可能となる。
また、統合ECU100およびHV−ECU60は、右輪のいずれかおよび左輪のいずれかが転舵対象となる場合、転舵対象となる右輪および左輪に相互に逆位相の波形の駆動トルクを与えるようインホイールモータ20の作動を制御してもよい。また、統合ECU100およびHV−ECU60は、前輪のいずれかおよび後輪のいずれかが転舵対象となる場合、転舵対象となる前輪および後輪の各々に同位相の波形の駆動トルクを与えるようインホイールモータ20の作動を制御してもよい。車輪14の転舵角度によってはこのようにインホイールモータ20が作動しても、路面に対してタイヤを適当にスリップさせることが可能となる。このため、このようにインホイールモータ20の作動を制御することにより、タイヤと路面との摩擦力を低減させることが可能となる。
10 車両、 12 車体、 14 車輪、 20 インホイールモータ、 22 車輪速センサ、 24 転舵モータ、 25 転舵機構、 26 転舵ECU、 32 ステアリングホイール、 34 舵角センサ、 35 トルクセンサ、 36 モード切替スイッチ、 60 HV−ECU、 100 統合ECU、 200 車両制御装置。
Claims (9)
- タイヤに振動を与える振動発生アクチュエータと、
車両停止時に車輪を転舵させる場合に、転舵対象となる車輪のタイヤに振動を与えるよう前記振動発生アクチュエータを制御して、転舵対象となる車輪のタイヤと路面との間の摩擦力を変化させる振動制御部と、
を備えることを特徴とする車両制御装置。 - ユーザによって車輪の転舵指令が入力される入力部を更に備え、
前記振動制御部は、ユーザによって転舵指令が入力された場合に、転舵対象となる車輪のタイヤに振動を与えるよう前記振動発生アクチュエータを制御することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。 - 車輪の転舵角度を検出する舵角センサを更に備え、
前記振動制御部は、検出された転舵角度が所定の値を超える場合に、転舵対象となる車輪のタイヤに振動を与えるよう前記振動発生アクチュエータを制御することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。 - 車輪の転舵角度を検出する転舵角度センサを更に備え、
前記振動制御部は、検出された転舵角度に応じてタイヤに与える振動の振幅を変化させるよう前記振動発生アクチュエータを制御することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。 - 車輪の転舵角度を検出する転舵角度センサを更に備え、
前記振動制御部は、検出された転舵角度に応じてタイヤに与える振動の周波数を変化させるよう前記振動発生アクチュエータを制御することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。 - 前記振動発生アクチュエータは、車輪を回転駆動するモータであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の車両制御装置。
- 前記振動制御部は、右輪のいずれかおよび左輪のいずれかが転舵対象となる場合、転舵対象となる右輪および左輪に同位相の波形の駆動トルクを与えるよう前記モータの作動を制御することを特徴とする請求項6に記載の車両制御装置。
- 前記振動制御部は、前輪のいずれかおよび後輪のいずれかが転舵対象となる場合、転舵対象となる前輪および後輪の各々に相互に逆位相の波形の駆動トルクを与えるよう前記モータの作動を制御することを特徴とする請求項6または7に記載の車両制御装置。
- 右前輪の転舵中心位置をKFR、左前輪の転舵中心位置をKFL、右後輪の転舵中心位置をKRR、および左後輪の転舵中心位置をKRLとした場合、
前記振動制御部は、KFRとKFLとを結ぶ直線、KRRとKRLとを結ぶ直線、KFRとKRRとを結ぶ直線、およびKFLとKRLとを結ぶ直線によって囲まれる領域の所定箇所に車両の旋回中心を移動させるよう車輪を転舵する場合に、転舵対象となる車輪のタイヤに振動を与えるよう前記振動発生アクチュエータを制御することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の車両制御装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2006
- 2006-04-04 JP JP2006102775A patent/JP2007282330A/ja active Pending
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