JP4380175B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の舵取装置であって、車両の走行輪を構成する複数の車輪の転舵角をそれぞれ独立に制御できる車両用操舵装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、通常時は旋回中心を後軸軸線上とし、駐車モードでは旋回中心を前輪と後輪の中央から車幅方向の軸上に設定し、内輪差や外輪差をなくすようにする操舵装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−128008号公報(図4、図8)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の車両用操舵装置にあっては、基本的に旋回中心が後軸線上にあるか、前輪と後輪の中央から車幅方向の軸上に設定するかの2通りを提案されているが、状況によっては車両前縁部に旋回中心を設定したり、車両後縁部に設定したほうが扱い易い場合もあり、全輪が独立に転舵できるという特長を十分に生かしきれていないため、運転者にとって扱い易い操作法を提供できないおそれがある。
【0005】
具体的には、
(1)2通りの旋回の仕方をモード選択で切り替えるため、各輪の転舵角の状況により、モードを切り替える際に、車輪を切り替えられたモードでの転舵角に合わせるために運転者にとっては待ち時間が発生する。
(2)タイヤの据切り状態を余儀なくされたりするため、タイヤの摩耗を促進してしまう。
(3)全輪直進状態といったモードに切り替える時も転舵角に差がでない状態でしかモードの切り替えができい。
という問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、モード切替による旋回中心の設定に比べ、モード変更での待ち時間を解消し、タイヤ摩耗を低減し、転舵角変更禁止や転舵角変更制限を無くすという有利性を持ちながら、旋回軌道を運転者の要求通りに自由に設定することができる車両用操舵装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、車両の走行輪を構成する複数の車輪は、各転舵角をそれぞれ独立に制御できる転舵アクチュエータを有する構成であり、各車輪の回転軸が旋回中心を向くように転舵角を制御する転舵角制御手段を備えた車両用操舵装置において、前記旋回中心の位置設定、並びに、旋回中心の連続的な位置変更を、運転者の操作により指示することができる入力手段を設け、前記入力手段は、車両前後方向へ操作可能であり、車両前方側への操作により旋回中心を車両前方側へ移動させ、車両後方側への操作により旋回中心を車両後方側へ移動させる
【0008】
ここで、「入力手段」は、運転者が旋回中心を規定する位置を1つのレバー操作等で入力する手段としても良いし、また、運転者が旋回中心を規定する車両横方向位置と車両前後方向位置とを独立の操作で入力する「車両横方向位置入力手段」と「車両前後方向位置入力手段」により構成しても良い。
【0009】
「車両横方向位置入力手段」としては、例えば、ステアリングホイール(=ステアリングホイールの回転方向操作)とする。「車両前後方向位置入力手段」としては、例えば、ステアリングホイールの近傍に設けられたスライダ、もしくは、ステアリングホイールの前後方向操作とする。
【0010】
また、「スライダ」には、例えば、旋回中心の車両前後方向位置が車両前端位置と前後軸中央位置と車両後端位置とに相当する操作位置に、操作力の変動があるクリック位置を設定しても良い。
【0011】
さらに、旋回中心の位置設定、並びに、旋回中心の連続的な位置変更を、運転者の視認できる位置にて表示する「旋回中心表示器」を設けても良い。
【0012】
【発明の効果】
よって、本発明の車両用操舵装置にあっては、旋回中心の位置設定、並びに、旋回中心の連続的な位置変更を、運転者の操作により指示することができる入力手段を設けたため、モード切替による旋回中心の設定に比べ、モード変更での待ち時間を解消し、タイヤ摩耗を低減し、転舵角変更禁止や転舵角変更制限を無くすという有利性を持ちながら、旋回軌道を運転者の要求通りに自由に設定することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の車両用操舵装置を実現する実施の形態を、図面に記載された実施例に基づいて説明する。
【0014】
(第1実施例)
まず、構成を説明する。
図1は第1実施例の車両用操舵装置を示す全体システム図である。
図1において、1はステアリングホイール(車両横方向位置入力手段)、2はステアリングシャフト、3は反力発生器、4FRは右前輪、4FLは左前輪、4RRは右後輪、4RLは左後輪、5FRは右前輪転舵アクチュエータ、5FLは左前輪転舵アクチュエータ、5RRは右後輪転舵アクチュエータ、5RLは左後輪転舵アクチュエータである。
【0015】
前記ステアリングホイール1には、運転者による操舵時に反力発生器3により操舵反力が与えられる。
【0016】
前記右前輪4FRは、右前輪転舵アクチュエータ5FRにより転舵角度が自由に制御される。前記左前輪4FLは、左前輪転舵アクチュエータ5FLにより転舵角度が自由に制御される。前記右後輪4RRは、右後輪転舵アクチュエータ5RRにより転舵角度が自由に制御される。前記左後輪4RLは、左後輪転舵アクチュエータ5RLにより転舵角度が自由に制御される。すなわち、車両の走行輪を構成する4つの車輪4FR,4FL,4RR,4RLは、各転舵角をそれぞれ独立に制御できる構成となっている。
【0017】
図1及び図2において、6は操舵コントローラ(転舵角制御手段)、7は操舵角センサ、8は右前輪転舵角センサ、9は左前輪転舵角センサ、10は右後輪転舵角センサ、11は左後輪転舵角センサ、12は車両横方向位置設定器、13は車両前後方向位置設定器、14は旋回中心表示器、15はスライダ(車両前後方向位置入力手段)、16はインストルメントパネルである。
【0018】
前記操舵コントローラ6は、操舵時に前記反力発生器3で発生する操舵反力を制御する機能と、前記各転舵アクチュエータ5FR,5FL,5RR,5RLを設定された旋回中心Pに応じて制御する機能と、前記旋回中心表示器14に対し旋回中心Pの表示指令を出力する機能とを有する。
【0019】
前記操舵角センサ7は、運転者のステアリングホイール1に対する操作量である操舵角を検出し、操舵角信号を操舵コントローラ6に入力する。
【0020】
前記各転舵角センサ8,9,10,11は、左前輪転舵角と右前輪転舵角と右後輪転舵角と左後輪転舵角とをそれぞれ検出し、各転舵角信号を操舵コントローラ6に入力する。
【0021】
前記車両横方向位置設定器12は、運転者によるステアリングホイール1の回転操作に連動して旋回中心Pの車両横方向位置xを設定する手段であり、旋回中心Pの車両横方向位置xは、ステアリングホイール1を回転させることで連続的に変化する。
【0022】
前記車両前後方向位置設定器13は、運転者によるスライダ操作に連動して旋回中心Pの車両前後方向位置yを設定する手段であり、旋回中心Pの車両前後方向位置yは、図2に示すように、ステアリングホイール1の左脇に設けられたスライダ15を略車両前後方向に操作することで連続的に変化する。なお、旋回中心Pの車両前後方向位置yを設定するスライダ15には、例えば、車両前端位置、前軸と後軸の中央位置(内輪差が0となる)、車両後端位置などに相当する箇所に、操作力に変動のあるクリック位置を設けておくと扱いやすい。
【0023】
前記旋回中心表示器14は、図2に示すように、インストルメントパネル16内に設置され、操舵時に連続的に変化する車両横方向位置xと車両前後方向位置yとで設定される旋回中心Pの位置を運転者が視認することができるように表示する。この旋回中心表示器14による表示は、例えば、図3に示すように、ステアリングホイール1の回転にともなって旋回中心Pの車両横方向位置xを表すカーソル14aと、スライダ13aの前後位置に応じて旋回中心Pの車両前後方向位置yを表すカーソル14bと、その交点である旋回中心点Pを表す点14cを表示させる。
【0024】
次に、作用を説明する。
【0025】
[転舵及び表示制御処理]
図4は操舵コントローラ6にて実行される転舵及び表示制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
【0026】
ステップS1では、操舵角センサ7からの操舵角情報、各転舵角センサ8,9,10,11からの転舵角情報、車両横方向位置設定器12からの車両横方向位置情報、車両前後方向位置設定器13からの車両前後位置情報を読み込み、次のステップS2に移行する。
【0027】
ステップS2では、入力された車両横方向位置xと車両前後位置yとの交点により旋回中心Pを設定し、次のステップS3に移行する。
【0028】
ステップS3では、ステップS2にて設定された旋回中心Pに基づいて、右前輪4FRの目標転舵角を演算し、次のステップS4に移行する。なお、目標転舵角は、旋回中心Pと車輪中心とを結ぶ線に対し直交する角度である。
【0029】
ステップS4では、ステップS2にて設定された旋回中心Pに基づいて、左前輪4FLの目標転舵角を演算し、次のステップS5に移行する。
【0030】
ステップS5では、ステップS2にて設定された旋回中心Pに基づいて、右後輪4RRの目標転舵角を演算し、次のステップS6に移行する。
【0031】
ステップS6では、ステップS2にて設定された旋回中心Pに基づいて、左後輪4RLの目標転舵角を演算し、次のステップS7に移行する。
【0032】
ステップS7では、各転舵アクチュエータ5FR,5FL,5RR,5RLに対しステップS3〜ステップS6にて演算された目標転舵角を得る指令を出力すると共に、旋回中心表示器14に対しステップS2にて設定された旋回中心Pの表示指令を出力する。なお、転舵角制御は、各転舵角センサ8,9,10,11により得られる実転舵角が目標転舵角に一致するようにフィードバック制御により行われる。そして、ステップS7からはステップS1に戻り、上記処理を制御起動周期毎に繰り返す。
【0033】
[転舵制御作用]
例えば、既に旋回状態にある状態において、旋回中心の車両前後方向位置を変更する際に、従来技術のように、車両前後方向位置を後軸上にある「通常旋回モード」と前軸と後軸の中央にある「小回りモード」とかいうモード切替で実施しようとすると、モード切替時に転舵角を急変させる必要があるため、運転者に違和感を与えないように旋回状態ではモード切替そのものを禁止する必要があったり、あるいは急変をさけるために転舵角を徐々に変化させてモード変更するという必要がある。
【0034】
これに対し、第1実施例の車両用操舵装置では、旋回中心Pの位置設定、並びに、旋回中心Pの連続的な位置変更を、運転者の操作により指示することができる入力手段(ステアリングホイール1及びスライダ15)を設けたため、モード切替による旋回中心の設定に比べ、モード変更での待ち時間を解消し、タイヤ摩耗を低減し、転舵角変更禁止や転舵角変更制限を無くすという有利性を持ちながら、旋回軌道を運転者の要求通りに自由に設定することができる。以下、第1実施例装置での転舵制御作用を詳しく述べる。
【0035】
図5は旋回中心Pを表す車両上方から見た平面図である。図中Pが旋回中心であり、旋回中心Pは、車両横方向位置xと車両前後方向位置yを定義することにより設定できる。4つの車輪4FR,4FL,4RR,4RLは、その回転軸がPに向くように舵角が制御される。
【0036】
このように運転者が回転中心の車両横方向位置xと車両前後方向位置yを入力するようにすることにより、運転者が希望する旋回軌跡をたどる自由度が増大する。
【0037】
図6に運転者が操作する入力手段の一例と旋回中心位置との関係を示す。旋回中心Pの車両横方向位置xは、ステアリングホイール1を回転させることにより調整する。直進状態からステアリングホイール1を右方向に回すと、ステアリングホイール1の回転角度に応じて旋回中心Pのx座標は車両右方向の無限大から0(車両中心)まで変化し、車両中心となったところがステアリングホイール1のロック位置と一致する。逆に、直進状態からステアリングホイール1を左方向に回すと、旋回中心Pのx座標は車両左方向無限大から車両中心まで変化させることができる。
【0038】
旋回中心Pの車両前後方向位置yに関しては、ここでは略車両前後方向に操作するスライダ15の例を示している。スライダ15を前後させることにより、旋回中心Pのy座標を前後に変化させることができる。
【0039】
このようにして運転者から入力された旋回中心Pの位置に基づき、図4に示すフローチャートにしたがって、操舵コントローラ6が各車輪4FR,4FL,4RR,4RLの転舵角制御を行なう。以下、本転舵角制御が生かされる具体例として、「縦列駐車を行う時」と「直角の曲がり角を左に曲がる時」の作用を説明する。
【0040】
[縦列駐車を行う時]
図7に縦列駐車を行なう際の旋回方法の一例を示す。図7において駐車車両Aと駐車車両Bの間に駐車を行なう場合を考える。まずは旋回中心Pの車両前後方向位置yを通常走行時に使用する後軸上に設定したままの状態でステアリングホイール1を左回りに切り込み、自車の車両前方を駐車車両Aの後部近傍まで誘導する(▲1▼の動作)。
【0041】
次に、旋回中心Pの車両前後方向位置yをスライダ15を前方向に操作することにより車両前端部近傍に設定しつつ、車両横方向位置xをステアリングホイール1を右に回転させることにより車両右端部近傍に設定することにより、旋回中心Pを車両右前端近傍に設定し、その点を中心に車両を右回転させることにより車両後部を駐車車両Bの前部におさめる(▲2▼の動作)。
【0042】
こうすることにより後退という動きをせずに、縦列駐車を実施することができるとともに、後退動作を伴う現状車両よりも駐車車両Aと駐車車両Bとの間隔が小さくても駐車を遂行することができる。この動きは旋回中心Pの車両前後方向位置yを前軸と後軸の中央に設定する内輪差・外輪差なしという動きでは実現しえない動きである。
【0043】
図8には前記▲2▼の動作のときの各車輪4FR,4FL,4RR,4RLの転舵状況を表す図を示す。車両前右端部近傍に設定された旋回中心Pに各車輪4FR,4FL,4RR,4RLの回転軸が向かっている状態となり、その輪が駆動輪であるならば、駆動力は各輪が図中の矢印の方向に進む向きに作用させることになる。
【0044】
図9には縦列駐車の状態から発進するときの動きを示す。まず、旋回中心Pを車両後右端近傍に設定した状態で、車両前部を駐車車両Aから横に出す(▲3▼の動作)ことにより離脱することができる。
【0045】
[直角の曲がり角を左に曲がる時]
図10に直角の曲がり角を左に曲がる場合を示す。図10では、まず直進であるところまで車両を進めてから車両の左前端部近傍を旋回中心として90度向きを変えるという極端な動作を示しているが、旋回前の道路幅が広く、旋回先の道路幅が狭い場合は、旋回中心Pの車両前後方向位置yを車両前方寄りにしたほうが、旋回時に張出す部分を広い道路側に割り当てることができ、内輪差や右前部の張出しに注意しなければならない程度が減り、狭い道に入っていきやすい。
【0046】
この様子を図11を用いて説明を加える。図11(a)から図11(c)の3つの図は旋回中心Pの車両前後方向位置yの位置違いでの車両(4つの車輪4FR,4FL,4RR,4RL位置)の移動軌跡の様子を示している。図11(a)が前軸上に旋回中心Pの車両前後方向位置yがあるもの、図11(b)が旋回中心Pの車両前後方向位置yが前軸と後軸の中央にあるもの、図11(c)は旋回中心Pの車両前後方向位置yが後軸上にあるもの、である。旋回内側の鉤線は直進時に車両左方向に一定間隔のおいた場合に曲がることができる直角の角の位置を示し、旋回内側の鉤線は旋回外側に必要な道幅を示す。
【0047】
旋回中心Pの車両前後方向位置yが車両前方にいくほど旋回外側の後輪の張出しが大きくなり、旋回開始位置も角より手前方向になるが、旋回先の道幅は小さくて済むことがわかる。逆に、旋回中心Pの車両前後方向位置yが車両後方にいくほど、旋回前半の旋回外側の後輪の張出しは小さくなり、旋回開始位置も角に近づくが、旋回先の道幅が大きく必要となる。
【0048】
図12には狭い道から広い道への曲がり角を左に曲がる場合を示す。図12ではやはり、まず直進であるところまで車両を進めてから車両の左後端部近傍を旋回中心Pとして90度向きを変える、という極端な動作を示しているが、狭い道から広い道に曲がっていく場合には、旋回中心Pの車両前後方向位置yを車両後方側にもっていくほうが、やはり張出し部分を広い道路側に割り当てることができ、内輪差や右後部の張出しに注意しなければならない程度が減少し、運転者の負担が減少する。これは前述の図11(c)の状態である。
【0049】
このように旋回中心Pの車両前後方向位置yを運転者が調整できることにより、周辺状況に応じた車両軌跡をとれるようになる。また、旋回中心Pの車両前後方向位置yが前軸と後軸の中央にある内輪差のない状態(図11(b))は小回り時に有効とされるが、運転者は旋回外側後輪の張出しに注意する必要がある。このような際には、まずは旋回中心Pの車両前後方向位置yを後軸上に設定しておいて旋回外側への張出しを防止し、徐々に旋回中心Pの車両前後方向位置yを車両前方に移動させることにより小回りを実現することができる(図13)。
【0050】
次に、効果を説明する。
第1実施例の車両用操舵装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0051】
(1)車両の走行輪を構成する4つの車輪4FR,4FL,4RR,4RLは、各転舵角をそれぞれ独立に制御できる転舵アクチュエータ5FR,5FL,5RR,5RLを有する構成であり、各車輪4FR,4FL,4RR,4RLの回転軸が旋回中心Pを向くように転舵角を制御する操舵コントローラ6を備えた車両用操舵装置において、前記旋回中心Pの位置設定、並びに、旋回中心Pの連続的な位置変更を、運転者の操作により指示することができる入力手段(ステアリングホイール1及びスライダ15)を設けたため、モード切替による旋回中心の設定に比べ、モード変更での待ち時間を解消し、タイヤ摩耗を低減し、転舵角変更禁止や転舵角変更制限を無くすという有利性を持ちながら、旋回軌道を運転者の要求通りに自由に設定することができる。
【0052】
(2)旋回中心Pを車両横方向位置xと車両前後方向位置yによる二次元座標系により規定し、前記入力手段を、運転者が車両横方向位置と車両前後方向位置とを独立の操作で入力する車両横方向位置入力手段(ステアリングホイール1)と車両前後方向位置入力手段(スライダ15)により構成したため、車両横方向位置xを固定したまま車両前後方向位置yのみを連続的に変更する場合や、車両前後方向位置yを固定したまま車両横方向位置xのみを連続的に変更する場合に、容易に運転者の操作により指示することができる。
【0053】
(3)車両横方向位置入力手段は、ステアリングホイール1であり、車両前後方向位置入力手段は、ステアリングホイール1の近傍に設けられたスライダ15であるため、運転者がステアリングホイール1を把持したままで車両横方向位置xを連続的に変更することができる。
【0054】
(4)スライダ15は、旋回中心Pの車両前後方向位置yが車両前端位置と前後軸中央位置と車両後端位置とに相当する操作位置に、操作力の変動があるクリック位置が設定されているため、運転者が習熟すればブライド操作により車両前後方向位置yを連続的に変更することができる。
【0055】
(5)旋回中心Pの位置設定、並びに、旋回中心Pの連続的な位置変更を、運転者の視認できる位置にて表示する旋回中心表示器14を設けたため、旋回時に運転者が旋回中心Pの位置がどこにあるかを常に視覚により確認することができると共に、旋回中心Pの位置を変更したい場合においても、運転者は旋回中心表示器14をチェックしながら容易に旋回中心Pの位置を変更を行うことができる。
【0056】
(第2実施例)
この第2実施例は、ステアリングホイール1を旋回中心Pの車両横方向位置xおよび車両前後方向位置yの入力手段として兼用する例である。
【0057】
すなわち、図14に示すように、ステアリングホイール1を回転させる(図中、Aの方向)ことにより、旋回中心Pの車両横方向位置xの入力手段として使用し、ステアリングホイール1を車両前後方向に押し引きする(図中、Bの方向)ことにより、旋回中心Pの車両前後方向位置yの入力手段として使用する。ここで、ステアリングホイール1を車両前方に押すことにより旋回中心Pの位置は車両前方に移動し、ステアリングホイール1を車両後方に引くことにより旋回中心Pの位置は車両後方に移動する。
【0058】
次に作用を説明する。
【0059】
第1実施例装置においてスライダ15の操作を怠った場合、ステアリングホイール1の操作角が同じであるのにスライダ15の操作位置によって旋回軌跡が異なるということが発生するため、旋回中心Pの車両前後方向位置yもステアリングホイール1を回転させて連続的に変化させる車両横方向位置xと同様に運転者が連続的に変化させることができることが望ましい。
【0060】
これに対し、第2実施例装置においては、ステアリングホイール1を回転させることにより旋回中心Pの車両横方向位置xが移動し、ステアリングホイール1を車両前後方向に押し引きすることにより、旋回中心Pの車両前後方向位置yが移動する。こうすることにより運転者はステアリングホイール1を両手で保持した状態で、旋回中心Pの車両横方向位置xと車両前後方向位置yとの調整が可能となる。
【0061】
次に、効果を説明する。
第2実施例の車両用操舵装置にあっては、第1実施例装置の(1),(2),(5)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
【0062】
(6)車両横方向位置入力手段を、ステアリングホイール1の回転方向操作とし、車両前後方向位置入力手段を、ステアリングホイール1の前後方向操作としたため、運転者はステアリングホイール1を両手で保持した状態で、旋回中心Pの車両横方向位置xと車両前後方向位置yとの調整を行うことができる。
【0063】
以上、本発明の車両用操舵装置を第1実施例及び第2実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0064】
例えば、入力手段としては、運転者が旋回中心を規定する位置を1つのレバー操作で入力するレバー操作器等を適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の車両用操舵装置を示す全体システム図である。
【図2】第1実施例の車両用操舵装置の車両搭載例を示す斜視図である。
【図3】第1実施例の車両用操舵装置における旋回中心表示器を示す図である。
【図4】第1実施例装置の操舵コントローラにて実行される転舵及び表示制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】旋回中心位置と車輪の転舵の状況を示す車両上方から見た図である。
【図6】操作入力と旋回中心位置との関係を示す図である。
【図7】縦列駐車の場合の操作例を示す図である。
【図8】旋回中心位置と各輪の転舵角及び駆動方向を示す図である。
【図9】縦列駐車からの離脱の際の操作例を示す図である。
【図10】左折時の操作例を示す図である。
【図11】左折時の車両の旋回軌跡例を示す図である。
【図12】左折時の操作例を示す図である。
【図13】左折時の車両の旋回軌跡例を示す図である。
【図14】第2実施例の車両用操舵装置の車両搭載例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール(車両横方向位置入力手段)
2 ステアリングシャフト
3 反力発生器
4FR 右前輪
4FL 左前輪
4RR 右後輪
4RL 左後輪
5FR 右前輪転舵アクチュエータ
5FL 左前輪転舵アクチュエータ
5RR 右後輪転舵アクチュエータ
5RL 左後輪転舵アクチュエータ
6 操舵コントローラ(転舵角制御手段)
7 操舵角センサ
8 右前輪転舵角センサ
9 左前輪転舵角センサ
10 右後輪転舵角センサ
11 左後輪転舵角センサ
12 車両横方向位置設定器
13 車両前後方向位置設定器
14 旋回中心表示器
15 スライダ(車両前後方向位置入力手段)

Claims (6)

  1. 車両の走行輪を構成する複数の車輪は、各転舵角をそれぞれ独立に制御できる転舵アクチュエータを有する構成であり、
    各車輪の回転軸が旋回中心を向くように転舵角を制御する転舵角制御手段を備えた車両用操舵装置において、
    前記旋回中心の位置設定、並びに、旋回中心の連続的な位置変更を、運転者の操作により指示することができる入力手段を設け
    前記入力手段は、車両前後方向へ操作可能であり、車両前方側への操作により旋回中心を車両前方側へ移動させ、車両後方側への操作により旋回中心を車両後方側へ移動させることを特徴とする車両用操舵装置。
  2. 請求項1に記載された車両用操舵装置において、
    前記旋回中心を車両横方向位置と車両前後方向位置による二次元座標系により規定し、
    前記入力手段を、運転者が車両横方向位置と車両前後方向位置とを独立の操作で入力する車両横方向位置入力手段と車両前後方向位置入力手段により構成したことを特徴とする車両用操舵装置。
  3. 請求項2に記載された車両用操舵装置において、
    前記車両横方向位置入力手段は、ステアリングホイールであり、前記車両前後方向位置入力手段は、ステアリングホイールの近傍に設けられたスライダであることを特徴とする車両用操舵装置。
  4. 請求項3に記載された車両用操舵装置において、
    前記スライダは、旋回中心の車両前後方向位置が車両前端位置と前後軸中央位置と車両後端位置とに相当する操作位置に、操作力の変動があるクリック位置が設定されていることを特徴とする車両用操舵装置。
  5. 請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載された車両用操舵装置において、
    前記旋回中心の位置設定、並びに、旋回中心の連続的な位置変更を、運転者の視認できる位置にて表示する旋回中心表示器を設けたことを特徴とする車両用操舵装置。
  6. 請求項2に記載された車両用操舵装置において、
    前記車両横方向位置入力手段は、ステアリングホイールの回転方向操作であり、前記車両前後方向位置入力手段は、ステアリングホイールの前後方向操作であることを特徴とする車両用操舵装置。
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