JP2007281229A - 磁気抵抗ランダムアクセスメモリ、その書き込み方法、およびテスト方法 - Google Patents

磁気抵抗ランダムアクセスメモリ、その書き込み方法、およびテスト方法 Download PDF

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山 昌 彦 中
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Abstract

【課題】誤書き込みを可及的に低減することを可能にするとともに所望の反転特性を得ることを可能にする。
【解決手段】第1の配線10と、第1の配線に交差する第2の配線20と、第1および第2の配線の交差領域に対応して設けられ、磁化の方向が固着される基準層2と、磁化容易軸方向が磁化困難軸方向に比べて長い第1の磁性体部6aおよびこの第1の磁性体部の中央部の磁化困難軸方向に設けられた第2の磁性体部6b、6cを有し、外部磁界に応じて磁化方向が変化する記録層6とを備えている磁気抵抗効果素子1と、を含み、記録層は、180度回転対称性を有するとともに鏡映対称性を有しない平面形状を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ、その書き込み方法、およびテスト方法に関する。
磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(以下、MRAM(Magnetoresistive random access memory)とも云う)とは、情報を記憶するセル部に磁気抵抗効果を持つ磁気素子を用いたメモリ装置で、高速動作、大容量、不揮発性を特徴とする次世代メモリ装置として注目されている。磁気抵抗効果とは、強磁性体に磁界を印加すると強磁性体の磁化の向きに応じて電気抵抗が変化する現象である。こうした強磁性体の磁化の向きを情報の記録に用い、それに対応する電気抵抗の大小で情報を読み出すことによりメモリ装置として動作させることができる。近年、2つの強磁性層の間に絶縁層(トンネルバリア層)を挿入したサンドイッチ構造を含む強磁性トンネル接合において、トンネル磁気抵抗効果(TMR効果)にり20%以上の磁気抵抗変化率(Magnet Resistance Ratio)が室温で得られるようになったことをきっかけとして、強磁性トンネル接合(以下、MTJ(Magnetic Tunnel Junction)とも云う)を有する磁気抵抗効果素子(以下、TMR素子とも云う)を用いたMRAMが期待と注目を集めている。
このMRAMの磁気抵抗効果素子において、2つの強磁性層の一方は、記憶層とよばれ、他方は参照層と呼ばれる。参照層の磁化は1方向に固着されており、100Oe程度の磁場では反転をしないようになっている。一方、記憶層は軟磁性材料から成り、10Oeオーダーの小さい磁場で反転する。絶縁層の厚さは1nmのオーダーの非常に薄い膜からなる。
記憶層と参照層との間に0.5V程度の電圧をかけた場合、トンネル電流が流れる。その抵抗値は記憶層と参照層の磁化の向きが平行(同方向)の場合に低抵抗になる。この時の抵抗値をR0とする。これに対して、記憶層と参照層の磁化の向きが反平行(逆方向)の場合には上記抵抗値は高抵抗となる。この時の抵抗値をR1とする。高抵抗の状態と低抵抗の状態の抵抗差を使ってメモリとしての機能を持たせる。R1とR0との差と、R0との比が磁気抵抗変化率MRであり、MR=(R1−R0)/R0となる。MRの値はMTJを構成する材料によって異なるが、数10%から200%程度の値をとる。読み出しのマージン(RM)はMRの値とR0およびR1の標準偏差σR0およびσR1から求まり、RM=MR/(σR0+σR1)になる。MRが大きく、抵抗ばらつきσR0、σR1が小さい程読み出しマージンは大きくなる。
MRAMはマトリクス状に配列された複数のメモリセルを有し、各メモリセルはTMR素子を記憶素子として有している。そして、2本の書き込み配線であるビット線およびワード線がTMR素子に対して互いに反対側に直交するように配置されている。ワード線はTMR素子の記録層の磁化容易軸方向(すなわち長辺方向)に配置され、ビット線は磁化困難軸方向(すなわち短辺方向)に配置される。これらの書き込み配線に電流を流すことにより、誘導磁界が発生する。2つの書き込み配線は直交しているため、電流を流した時に発生する誘導磁界も直交する。この2つの配線から発生する電流磁場を用いて、TMR素子内の記憶層の磁化を反転させることにより、書き込みを行う。ビット線の電流によって発生する磁界は、TMR素子の記録層の長辺方向つまり容易軸方向を向いているので、書き込み後の磁化の向きを決定する。
MRAMにおいては、選択されるメモリセルに対して、ビット線の電流によって発生する容易軸方向の磁場Hxとワード線の電流によって発生する困難軸方向の磁場Hyとによる合成磁場を印加し、TMR素子の記憶層に情報を書き込む。このとき、非選択のメモリセルには、全く磁場が印加されないか、単一方向のみに磁場が印加される。ここで、単一方向にのみ磁場が印加されたメモリセルは半選択メモリセルと呼ばれる。
MRAMの記憶層の磁化の反転特性は、一斉回転モデルを用いて計算すると、アステロイド曲線で表される。このアステロイド曲線において、容易軸方向及び困難軸方向に磁場を印加した場合の磁化反転に必要な磁場Hswは、容易軸方向のみに磁場を加えた場合の反転磁場Hcよりも小さくなる。このとき、選択メモリセルに情報を書き込むために必要な単一方向の磁場Hxは磁場Hcよりも小さく設定できるので、理想的には半選択メモリセルへの誤書き込みは起こらない。しかしながら、現実のメモリセルには反転磁場のばらつきが存在するため、HswをHcよりも十分に小さくしなければ、半選択メモリセルへの誤書き込みが起こる可能性がある。
誤書き込みの問題を解決するために、記憶層の膜面形状として中央部の幅を端部分に比較して広くとり、中央部の磁化困難軸方向に突出したものとすることが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。以下では簡単のため、この膜面形状を膜面形状Aと呼ぶ。膜面形状Aを有する記憶層の磁化の反転特性を計算すると、情報書き込みに必要な磁場HswはHcに対して十分に小さくなっており、半選択メモリセルへの誤書き込みをなくすために適した反転特性を示すことが上記非特許文献1に開示されている。強磁性体に膜面形状Aをもたせることで、特有の磁気的構造、特にエッジドメインを制御され、書込み磁場を低減するために好適であることが理論的に示されており、磁気ランダムアクセスメモリの誤書込み問題を解決するための有効な手段と考えられている。
T. Kai, et al., "Improvement of robustness against write disturbance by novel cell design for high density MRAM," International Electron Devices Meetings Tech. Dig., pp. 583-586, 2004.
上記のように、半選択メモリセルへの誤書込みをなくし、さらに熱安定性が高いメモリセルを構築することは、磁気ランダムアクセスメモリの基本動作を保証する上で必要不可欠であり、先に上げた膜面形状Aをもつ記憶層を用いることが提案されている。
しかし、膜面形状Aの記録層を有するTMR素子を現実に作成した場合には、短辺近傍の磁区が互いに平行になる場合と反平行になる場合があるため、反転磁界ばらつきが大きくなり、目的とする反転特性を示さないという問題があった。
また、1回のテストでは半選択メモリセルへの誤書き込みや選択セルへの書き込みエラーがなくても、続く繰り返し試験の途中で誤書き込みが生じるという問題があった。
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであって、誤書き込みを可及的に低減することができるとともに所望の反転特性を有する磁気ランダムアクセスメモリ、その書き込み方法、およびそのテスト方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様による磁気ランダムアクセスメモリは、第1の配線と、前記第1の配線に交差する第2の配線と、前記第1および第2の配線の交差領域に対応して設けられ、磁化の方向が固着される基準層と、磁化容易軸方向が磁化困難軸方向に比べて長い第1の磁性体部およびこの第1の磁性体部の中央部の磁化困難軸方向に設けられた第2の磁性体部を有し、外部磁界に応じて磁化方向が変化する記録層とを備えている磁気抵抗効果素子と、を含み、前記記録層は、180度回転対称性を有するとともに鏡映対称性を有しない膜面形状を備えていることを特徴とする。
また、本発明の第2の態様による磁気ランダムアクセスメモリは、第1の配線と、前記第1の配線に交差する第2の配線と、前記第1および第2の配線の交差領域に対応して設けられ、磁化の方向が固着される基準層と、磁化容易軸方向が磁化困難軸方向に比べて長い第1の磁性体部およびこの第1の磁性体部の前記磁化容易軸方向に沿った対向する一対の辺の中央部に設けられた一対の第2の磁性体部を有し、外部磁界に応じて磁化方向が変化する記録層とを備えている磁気抵抗効果素子と、を含み、前記記録層は、180度回転対称性を有するとともに鏡映対称性を有しない膜面形状を備えていることを特徴とする。
なお、前記第1の磁性体部の第1対角線上の一対の第1の角部の曲率半径は、前記第1の磁性体部の第2対角線上の一対の第2の角部の曲率半径よりも大きくてもよい。
なお、前記第1の磁性体部の前記磁化容易軸方向に離れて対向する一対の辺は前記磁化困難軸方向に実質的に平行であってもよい。
なお、前記第1の磁性体部の前記磁化容易軸方向に離れて対向する一対の辺は前記磁化困難軸方向に対して傾いていてもよい。
なお、前記第1の磁性体部と前記第2の磁性体部との接合部分は丸みを帯びていてもよい。
なお、前記第1の磁性体部の前記磁化容易軸方向に離れて対向する一対の辺が半楕円形状であるとともに、前記第2の磁性体部の外形形状が半楕円形状であってもよい。
また、本発明の第3の態様による磁気ランダムアクセスメモリは、第1の配線と、前記第1の配線に交差する第2の配線と、前記第1および第2の配線の交差領域に対応して設けられ、磁化の方向が固着される基準層と、外部磁界に応じて磁化方向が変化し、端部分の磁化困難軸方向の長さに比べて中央部分の磁化困難軸方向の長さが長くかつ180度回転対称性を有するとともに鏡映対称性を有しない膜面形状を有する記録層とを備えている磁気抵抗効果素子と、を含んでいることを特徴とする。
なお、前記磁気抵抗効果素子は、前記基準層と前記記録層との間にトンネルバリア層を備えていてもよい。
また、本発明の第4の態様は、上記のいずれかに記載の磁気ランダムアクセスメモリに書き込みを行う磁気ランダムアクセスメモリの書き込み方法であって、前記磁気抵抗効果素子の記録層の磁化困難軸に実質的に平行な第1の磁場を発生する第1の電流パルスを前記第1および第2の配線の一方に流した後、前記第1の磁場の作用期間と重なるように前記記録層の磁化容易軸に実質的に平行な第2の磁場を発生する第2の電流パルスを前記第1および第2の配線の他方に流すステップを備えていることを特徴とする。
また、本発明の第5の態様は、上記のいずれかに記載の磁気ランダムアクセスメモリのテストを行う磁気ランダムアクセスメモリのテスト方法であって、前記磁気抵抗効果素子の記録層の磁化容易軸に実質的に平行な第1の磁場を発生する第1の電流パルスを前記第1および第2の配線の一方に流した後、前記第1の磁場の作用期間と重なるように前記記録層の磁化困難軸に実質的に平行な第2の磁場を発生する第2の電流パルスを前記第1および第2の配線の他方に流すステップを備えていることを特徴とする。
なお、上述の磁気ランダムアクセスメモリは、前記磁気抵抗効果素子の記録層の磁化容易軸に実質的に平行な第1の磁場を発生する第1の電流パルスを前記第1および第2の配線の一方に流し、その後、前記第1の磁場の作用期間と重なるように前記記録層の磁化困難軸に実質的に平行な第2の磁場を発生する第2の電流パルスを前記第1および第2の配線の他方に流す第1のタイミング制御回路と、前記磁化困難軸に実質的に平行な第1の磁場を発生する第1の電流パルスを前記第1および第2の配線の一方に流した後、前記第1の磁場の作用期間と重なるように前記磁化容易軸に実質的に平行な第2の磁場を発生する第2の電流パルスを前記第1および第2の配線の他方に流す第2のタイミング制御回路と、前記第1のタイミング制御回路と前記第1および第2の配線との間の電気的接続と前記第2のタイミング制御回路と前記第1および第2の配線との間の電気的接続とを切り換える切換スイッチと、を更に備えていてもよい。
本発明によれば、誤書き込みを可及的に低減することができるとともに所望の反転特性を有する磁気ランダムアクセスメモリ、その書き込み方法、そのテスト装置、およびそのテスト方法を提供することができる。
本発明の実施形態を以下に図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)を図1乃至図10を参照して説明する。本実施形態のMRAMは、図2に示すように、複数のビット線10と、この複数のビット線10と交差する複数ワード線20と、ビット線10とワード線20との交差領域に対応して設けられたメモリセル100とを備えている。各メモリセル100は、記憶素子として強磁性トンネル接合を有する磁気抵抗効果素子(TMR素子)を有している。図3(a)、3(b)に示すように、TMR素子1は、磁化の向きが固着された参照層(磁化固着層2と、磁化の向きが可変の記録層(磁化自由層)6と、参照層2と記録層6の間に設けられたトンネルバリア層4とを備えている。記録層6の磁化の向きと参照層2のそれとが平行(同じ向き)の場合(図3(a)参照)にはTMR素子1は低抵抗となり、記録層6の磁化の向きと参照層2のそれとが反平行(逆の向き)の場合(図3(b)参照)にはTMR素子1は高抵抗となる。
各メモリセルの上面図を図4に示し、各メモリセルの断面図を図5に示す。ビット線10はTMR素子1の短辺方向(記録層6の磁化困難軸方向)に平行に配置されている。したがって、ビット線10に電流を矢印12の向きに流すとTMR素子1には矢印14の向き、すなわち記録層6の磁化容易軸方向に電流磁界が作用する。また、ワード線20に電流を矢印22の向きに流すとTMR素子には矢印24の向き、すなわち記録層6の磁化困難軸方向に電流磁界が作用する。なお、ビット線10を記録層6の磁化容易軸と平行に配置し、ワード線20を記録層6の磁化容易軸と直交するように配置した場合には、以後の説明でビット線とワード線を入れ替えて解釈すればよい。
本実施形態に係るTMR素子1の記録層6の平面形状(膜面形状)Sを図1に示す。記録層6は、磁化容易軸方向が磁化困難軸方向に比べて長い第1の磁性体部6aと、この第1磁性体部6aの磁化容易軸方向に沿った対向する1対の辺の中央部に接するように設けられた1対の第2の磁性体部6b、6cとを備えており、いわゆる十字形状となっている。換言すると、記録層6の平面形状は、第1の磁性体部6aの中央部の磁化困難軸方向に第2の磁性体部が突起するように設けられているため、中央部付近における磁化困難軸方向の幅W’が端部における磁化困難軸方向の幅Wよりも広くなっている。
第1の磁性体部6aは、円弧状の第1乃至第4の角部e1,e2,e3,e4を有している。第1及び第3の角部e1,e3は第1の対角線D1上に位置し、第2及び第4の角部e2,e4は第2の対角線D2上に位置する。そして、第1及び第3の角部e1,e3の曲率半径は、第2及び第4の角部e2,e4の曲率半径より大きい。尚、第1及び第3の角部e1,e3の曲率半径はほぼ同じであり、第2及び第4の角部e2,e4の曲率半径はほぼ同じである。
第1の磁性体部6aの磁化容易軸方向における端部の辺f1,f2は、磁化困難軸方向とほぼ平行な方向に延在し、円弧状の第1乃至第4の角部e1,e2,e3,e4につながっている。
本実施形態に係る記録層6の基準形状Sの180度回転対称性及び鏡映対称性を、図6を参照して説明する。尚、図6の記録層6内に印された丸印「○」は、記録層6の180度回転対称性及び鏡映対称性を説明するために便宜的に印したものである。図6に示すように、記録層6の形状Sは、180度回転対称性を有し、かつ、鏡映対称性を有しない膜面内形状を有する。ここで、「180度回転対称性」とは、記録層6の平面形状を180度回転させた場合の形状Saと基準形状Sとが重なる場合の対称性をいう。180度回転対称性は2回回転対称性ともいう。180度回転形状Saは基準形状Sと同じであるため、記録層6の形状Sは180度回転対称性を有している。
「鏡映対称性」とは、磁化困難軸方向の鏡映面Pを基準とした鏡映形状Sbと基準形状Sとの対称性をいう。鏡映形状Sbは基準形状Sと異なるため、記録層6の形状Sは鏡映対称性を有していない。尚、鏡映面Pは、本実施形態では磁化困難軸方向を基準としたが、磁化容易軸を基準とすることも可能である。
次に、記録層6の平面形状が、180度回転対称性を有し、かつ、鏡映対称性を有しないことが望ましい理由について、以下に述べる。
本実施形態に係る記録層6の形状Sと、比較例に係る記録層の形状X,Cとの180度回転対称性及び鏡映対称性を、図7を参照して説明する。尚、図7の記録層6内に印された丸印は、MTJ素子の180度回転対称性及び鏡映対称性を説明するために便宜的に印したものである。まず、以下の説明で用いる形状S,X,Cについて説明する。
図7に示すように、形状S,X,Cは、全てのTMR素子1はいわゆる十字形状になっているが、記録層における第1の磁性体部6a角部の形状がそれぞれ異なっている。形状Sは、本実施形態に係る記録層6の形状である。この形状Sは、上述するように、180度回転対称性を有し、かつ鏡映対称性を有しない。
これに対して、比較例の形状Xは、第1の磁性体部6aは角部が丸まった長方形の形状を有している。この形状Xの場合、180度回転形状Xaは基準形状Xと同じであり、鏡映形状Xbは基準形状Xと同じある。従って、形状Xは、180度回転対称性を有し、かつ鏡映対称性を有する。また、比較例の形状Cは、第1の磁性体部6aが台形である。この形状Cの場合、180度回転形状Caは基準形状Cと異なり、鏡映形状Cbは基準形状Cと同じある。従って、形状Cは、180度回転対称性を有さず、かつ鏡映対称性を有する。
次に、形状S,X,Cを記録層として有しているTMR素子1によるアステロイド特性の違いについて説明する。図8は、本実施形態に係る記録層の形状S、X,CのTMR素子のアステロイド特性を示す図である。ここで、図8における各実験値は、100ビット程度の素子を測定して平均化したものである。なお、図8の横軸は磁化容易軸方向の磁場であり、縦軸は磁化困難軸方向の磁場である。図8に示すように、本実施形態に係る形状Sは、比較例の形状X,Cと比較して、容易軸方向の反転磁場Hcが書き込み点における反転磁場Hswに対して十分大きく、書き込みマージンが大きいことが分かる。
したがって、本実施形態に係る形状Sは、半選択セルの誤書き込みを抑制する効果が高いと言える。形状Sで良好なアステロイド特性が得られた原因は、上述するように形状Sは、180度回転対称性を有しているが鏡映対称性を有していないことから、角部の残留磁区状態が安定化しているためと考えられる。尚、磁場Hswは、原点から45度傾いた直線g1とアステロイド曲線とが交わる点における磁化反転に必要な書き込み磁場(容易軸及び困難軸方向における合成磁場)であり、磁場Hcは、磁化反転に必要な書き込み磁場(容易軸方向のみの磁場)である。
次に、TMR素子がいわゆる十字形状の場合、容易軸方向の反転磁場Hcが大きくなる条件について考える。この考察では、上述した形状Xを用いる。比較例に係る形状Xが取り得る残留磁区状態と容易軸方向に磁場を印加した際の磁区状態を図9に示す。ここで、図9に示す実線矢印は、膜面内の磁化の向きを模式的に表している。形状Xは、180度回転対称性及び鏡映対称性を有するために、図9に示すように、S型磁区及びC型磁区の2つの残留磁区状態を取り得る。
まず、S型残留磁区の場合は、容易軸方向に磁場を印加すると、中央部分に突き出した突出部10b,10cがあるために生じる困難軸方向への磁気異方性と、端部における磁化が同じ方向を向いているために生じる静磁エネルギーとの関係から、系全体のエネルギーを下げるために素子中央部における磁化は端部磁区に対して逆方向を向く(図9中実線)。それに伴い、図9中の点線で示すような2つのC型磁区が生じる。一般に、C型磁区はエネルギー的に安定であるため、容易軸の反転磁場はC型磁区ができない場合に比べて格段に大きな値をとる。
他方、C型残留磁区の場合は、突き出した第2の磁性体部6b、6cによる困難軸方向への異方性は付与されるが、両端部の磁化の向きが異なっている。このため、S型残留磁区の場合と異なり、図9中の点線で示すような1つのC型磁区しか現れず、磁場HcはS型残留磁区状態に比べて小さくなる。
以上のことから、記憶層6の形状がいわゆる十字形状で磁場Hcを十分大きくする条件は、S型の残留磁区状態をとることであると結論される。
次に、S型残留磁区状態のみが安定化される条件を考える。
一般に強磁性体の残留磁区状態は、磁気モーメント間に働く交換磁気相互作用と、面内形状端部に生ずる磁極がもつ静磁エネルギーにより決定される系全体のエネルギーを最小にするようにして決定される。S型磁区とC型磁区のどちらが安定化するかは膜面内形状の対称性と関係している。
図10(a)及び図10(b)は、本実施形態に係る形状Sにおいて、S型残留磁区状態とC型残留磁区状態を仮定した場合の模式図を示す。図10(b)に示すように、C型残留磁区状態を仮定すると、図中点線で示した領域で大きな磁極が現れ、静磁エネルギーが上昇する。一方、図10(a)に示すように、S型残留磁区状態では、磁区と形状の対称性が同一であるために、点線で示した領域ではほぼ磁極が生じず、静磁エネルギーは上昇しない。したがって、形状Sでは、S型残留磁区のみを安定にもつと考えられる。
尚、図7に示す比較例に係る形状CではC型残留磁区が安定化され、形状XではS型残留磁区とC型残留磁区の両方の残留磁区が安定に存在される。このため、比較例に係る形状X及びCではS型残留磁区状態のみをもつ条件を満たさない。
以上をまとめると、本実施形態に係るTMR素子1は、いわゆる十字形状で、180度回転対称性を有し、かつ鏡映対称性を有しない形状を有している。これにより、容易軸方向の反転磁場Hcが書き込み点における反転磁場Hswに対して十分大きく、書き込みマージンが大きい素子を得ることができる。すなわち、誤書き込みを可及的に低減することができるとともに所望の反転特性を得ることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態によるMRAMを説明する。
本実施形態のMRAMは、第1実施形態によるMRAMにおいて、各TMR素子1の記録層6を図11に示す形状S1の記録層に置き換えた構成となっている。図11は、本実施形態に係る記録層の平面図である。
図11に示すように、本実施形態に係る記録層の形状S1は、第1実施形態と同様に、磁化容易軸方向が磁化困難軸方向に比べて長い第1の磁性体部6aと、この第1磁性体部6aの磁化容易軸方向に沿った対向する1対の辺の中央部に接するように設けられた1対の第2の磁性体部6b、6cとを備えており、いわゆる十字形状となっている。換言すると、記録層6の平面形状は、第1の磁性体部6aの中央部の磁化困難軸方向に第2の磁性体部が突起するように設けられているため、中央部付近における磁化困難軸方向の幅W’が端部における磁化困難軸方向の幅Wよりも広くなっている。そして、第1実施形態の場合と同様に、180度回転対称性を有し、かつ、鏡映対称性を有していない。
第1の磁性体部6aは、円弧状の第1乃至第4の角部e1,e2,e3,e4を有している。第1及び第3の角部e1,e3は第1の対角線D1上に位置し、第2及び第4の角部e2,e4は第2の対角線D2上に位置する。そして、第1及び第3の角部e1,e3の曲率半径は、第2及び第4の角部e2,e4の曲率半径より大きい。尚、第1及び第3の角部e1,e3の曲率半径はほぼ同じであり、第2及び第4の角部e2,e4の曲率半径はほぼ同じである。
本実施形態に係る記録層6aが、第1実施形態の記録層と異なる点は、第1の磁性体部6aの磁化容易軸方向における端部の辺f1,f2が磁化困難軸方向に対して同一方向に同じ角度で傾いたほぼ直線で形成されている点である。従って、第2実施形態に係る記録層6の第1の磁性体部6aは、平行四辺形に近い形状になっている。
記録層の形状がS、S1である本発明の第1実施形態及び第2実施形態に係るTMR素子1のアステロイド特性の実験結果を図12に示す。
図12に示すように、第2実施形態に係る記録層6の形状S1についても、上記180度回転対称性に対する条件が満たされているため、残留状態がS磁区状態で安定化し、磁場Hswに比較して磁場Hcが十分に大きいアステロイド特性が得られ、書き込みマージンが大きいことが分かる。このため、誤書き込みを可及的に低減することができるとともに所望の反転特性を得ることができる。
なお、第1および第2実施形態においては、第1の磁性体部と、第2の磁性体部との接合部分は丸みを帯びていてもよい。
また、第1および第2実施形態においては、第1の磁性体部6aの磁化容易軸方向に離れて対向する一対の辺f1、f2は、半楕円形状であってもよい。また、第2の磁性体部6b、6cの外形形状は半楕円形状であってもよい。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態によるMRAMの書き込み方法を説明する。
図13に本実施形態による書き込み方法に用いられる書き込み電流波形の第一の例を示す波形図である。本実施形態の書き込み方法は、第1または第2実施形態のMRAMに用いられる。まず、ワード線電流を立ち上げて磁化困難軸に平行な電流磁場を引加した(区間t1)後、ビット線電流を立ち上げ磁化容易軸に平行な電流磁場を引加する(区間t2)。磁化困難軸および磁化容易軸に並行な磁場が選択セルに引加されている状態(区間t3)で書き込み時間経過後、ビット線の電流を立ち下げ(区間t4)、その後ワード線の電流を立ち下げる(区間t5)。この書き込みシーケンスをWBBWと表記する。初めの記号WBは書き込み電流の立ち上げ順番を示し、ワード線、ビット線の順で書き込み電流を立ち上げた事を意味する。次の記号BWは書き込み電流の立ち下げ順番を示し、ビット線電流、ワード線電流の順で立ち下げを行ったことを意味する。t1,t2がパルスの立ち上がり時間、t3が書き込み時間、t4,t5がパルスの立ち下がり時間である。書き込み時間t3は通常1ns〜数10nsであるが、今回の実験ではt3=100nsを用いた。
図14に、本実施形態の書き込み方法に用いられる書き込み入力波形の第二の例を示す。立ち上げのシーケンスは、図13と同様にワード線を先に立ち上げ、その後ビット線を立ち上げる。立ち下げシーケンスはワード線が先になり、その後ビット線を立ち下げる。このシーケンスはWBWBと表記する。先ほどと同様に初めのWBは書き込み電流の立ち上げの順番を示し、次のWBは立ち下げの順番を示す。ビット線電流を先に立ち上げた場合も同じ規則で書き込みシーケンスを表記することにする。
図13あるいは図14に示すようにワード線を先に立ち上げる書き込みシーケンスと、ビット線を先に立ち上げる書き込みシーケンスとを比較した場合、異なる効果が現れることが実験によって明らかになった。以下にこれを説明する。
平面形状がS1である記録層6を有する第2実施形態に係るTMR素子を備えたメモリセルが1kビットのMRAMにおいて、磁化困難軸に平行な磁場を先に立ち上げる図13に示すシーケンスWBBWを用いてチェッカーボードテストを1回行った結果を図15(a)に示す。図15(a)の横軸はビット線の書き込み電流、縦軸はワード線の書き込み電流を示している。各メッシュのパターンは1kビットのメモリセルのうち、何%がチェッカーボードテストをパスしたかを示している。図15(a)の左下の領域は、書き込み電流がスイッチング電流よりも小さいため全てのセルで書き込みに失敗し、パス率がゼロ%になっている。これに対して、ビット線電流が大きい右端の領域およびワード線電流が大きい上端の領域のパス率が低いのは、それぞれビット線、およびワード線の半選択状態において間違って反転をしてしまうためである。図15(a)に示す中央の実線で囲まれた白い部分がチェッカーボード1回のテストで1k全てのセルがパスした条件を示している。中間の領域は1kビットの一部がパスしており、パス率は各メッシュのパターンで示されている。
スイッチング電流の分布は正規分布になることが予想される。正規分布関数の確率分布は図16(a)に示されるように平均値μを中心とした釣鐘型の分布をしている。図16(b)は同じ正規分布を−∞からの累積確率で示したグラフである。なお、図16(a)、16(b)の横軸は確率変数を示し、「0」は確率変数が平均値μを取るとき、「+1」は確率変数がμ+σ、「−1」は確率変数が「μ−σ」を取るときを示す。したがって、横軸の値を「i」とすると、このときの確率変数の値はμ+iσとなる。ここで、σは標準偏差を表す。この分布関数を用いて累積確率から正規分布の確率変数を求めることができる。例えば矢印で示したように累積確率0.8の場合の確率変数が0.84(μ+0.84σ)と求められる。この関係をチェッカーボードのパス率に対して適用したのが図15(b)である。図15(b)は、チェッカーボードテストを100%パスした領域の中心点を通る直線(図15(a)に示す点線)に沿ったデータをプロットした図である。図15(b)の横軸がビット線電流を示しており、縦軸はチェッカーボードテストのパス率を与える正規分布の確率変数を示している。左側の線が書き込み反転電流の閾値の分布を示しており、右側の線がビット線半選択状態において誤書き込みとなる電流の分布を示している。これらの点が直線にのることから、反転電流の分布が正規分布であることが示される。また、図15(b)の左側の直線と右側の直線の交点が7.0σとなり、この値がセルアレイで書き込みシーケンスWBBWを用いた場合の書き込みマージンになる。正規分布を仮定し、交点の電流で書き込みを行った場合のパス率は正規分布で7σに相当する値になり、誤書き込みの確率は1.3×10−12であると予想される。
図15(a)、(b)で用いたTMRセルアレイを書き込みシーケンスBWBWを用いてチェッカーボートテストを1回行った結果を図17(a)に示す。図17(b)は、チェッカーボードテストを100%パスした領域の中心点を通る直線(図17(a)に示す点線)に沿ったデータをプロットした図である。図17(b)に示したように書き込みマージンは7.7σであり、WBBWでテストを行った図15(a)の結果よりも大きな値が得られた。図15(b)、図17(b)に示す左右の直線の傾きの逆数がセル間の反転電流閾値のばらつきになる。セル間の反転電流ばらつきは書き込みシーケンスを変えても同程度であった。図17(c)は、チェッカーボートテストを1回行った場合の反転電流閾値のアレイ平均の値を書き込みシーケンスWBBWとBWBWで比較した図である。ビット線半選択状態の平均反転電流は図17(c)の矢印Dで示すように、書き込みシーケンスによらず一定であるのに対し、矢印Sで示される選択セルの反転電流はBWBWの方が小さかった。書き込みマージンは選択セルの反転電流と半選択セルの反転電流の差に比例するため、書き込みマージンはBWBWの方が大きい値になった。同様の実験を書きこみシーケンスで立ち上げの順番は同じで立ち下げの順番を変えた条件で行ったが、WBBWとWBWBの実験結果は同じで、BWBWとBWWBの結果は同じとなり、立ち上げの順番のみに依存し、立ち下げの順番には依存しなかった。
図18(a)、18(b)は同じアレイのチェッカーボードテストを256回繰り返した結果を示す図である。図18(a)は書き込み図13に示すシーケンスWBBWでテストを行った結果を示し、図18(b)はBWBWで書き込みを行った結果を示す。図18(a)、18(b)の実線で囲まれた白い領域が256回全てのテストでパスした領域である。一方点線で囲まれた領域は図17(a)の1回のテストの100%パス領域を示し、点線の内側でかつ実線の外側の領域は1回のテストではパスしたが繰り返しテストでフェールビットが発生した領域を示している。磁化困難軸方向の磁場を先に立ち上げた図18(a)は繰り返しテストに100%パスの領域の減少はわずかである。しかし、磁化容易軸方向の磁場を先に立ち上げた図18(b)では繰り返し試験によって領域でフェールが発生した領域が大きく、全テストでパスした領域が小さくなっている。繰り返しテストによるフェールの増え方は書き込みパルスの立ち上げシーケンスに強く依存し、ワード線電流を先に立ち上げた場合にはフェールする領域があまり増えないのに対し、ビット線電流を先に立ち上げた場合にはフェールする領域が大きくなる。
図18(a)、18(b)のチェッカーボードの繰り返しテストで1つのTMR素子に着目する。着目した1つのTMR素子の反転電流は1回の測定毎にわずかに変動する。この変動を反転電流の自己変動と呼ぶ。反転電流の自己変動の分布を正規分布で近似して分散を求め、その分散の1kビット分のヒストグラムを図19に示す。横軸の値は自己変動のσを書き込み電流値に対する割合で示してある。縦軸は、頻度を示す。BWWBおよびBWBWは磁化容易軸方向の磁場を先に立ち上げた場合、WBWB,WBBWは磁化困難軸方向の磁場を先に立ち上げた場合の結果である。磁化容易軸方向の磁場を先に立ち上げて書き込みを行った場合、磁化困難軸方向の磁場を先に立ち上げた場合と比較して自己変動が倍程度大きくなる。
図17(a)、17(b)で示したように1回のテストでは磁化困難軸方向の磁場を先に立ち上げた場合でも磁化容易軸方向の磁場を先に立ち上げた場合でも大きな書き込みマージンが得られる。しかし、図18(a)、18(b)に示す繰り返しテストを行う場合には、磁化容易軸方向の磁場を先に立ち上げた書き込みシーケンスを用いると100%パスの領域が非常に小さくなってしまう。この原因は図19に示す自己変動が書き込みシーケンスに依存することが原因であることがわかる。尚、自己変動は図15(b)、図17(b)に示す直線の傾きから求まるセル間ばらつきとは異なる量であることに注意が必要である。
次に、磁化容易軸方向の磁場の先立ち上げと磁化困難軸方向の磁場の先立ち上げで、自己変動に差がでる原因について考察する。図20(a)、20(b)はLLG(Landau-Lifsitz-Gilbert)シミュレーションを行って得られたTMR素子の磁化反転過程の磁化を示す図である。パルスの立ちあがり時間を10nsとして計算している。図20(a)は磁場のかかっていない初期状態を示し、ほとんどの磁化は磁化容易軸方向を向いている。端部磁区では磁化は短辺とほぼ平行方向を向いており、S型の残留磁区となっている。WBBWの書き込みシーケンスに従って磁場を引加していった場合、ワード線磁場が立ち上がった直後では図20(b)に示すように磁化がほぼ磁化困難軸方向に配向する。この状態でビット線電流を立ち上げて磁化容易軸方向に磁場をかけると、磁化困難軸方向を向いていた磁化が一斉回転的に反転する。磁化容易軸方向の磁場を先に立ち上げた場合のシミュレーション結果を図21(a)、21(b)に示す。初期状態は図20(a)に示した場合と同じである。図21(a)はビット線電流を立ち上げた直後の磁化の状態である。磁場の向きは図21(a)で左向きにかかっている。記録層の中心では、磁化の方向が図21(a)で上向きであるのに対し、左右の端部では下向きになっており、中心と端で磁化の方向が逆になっている。この状態からさらに図面で上向き方向に磁化困難軸方向の磁場を加えた場合の磁化の状態を図21(b)に示す。図21(b)においては、中心と端部で磁化の方向が違うことにより生じる磁壁が丸印で示してある。この磁壁が図21(b)の左方向に移動し掃き出されることにより磁化反転が起こっている。このように形状Sを有する記録層の磁化反転において、ワード線電流を先に立ち上げた場合には一斉回転に近い磁化反転をするのに対し、ビット線電流を先に立ち上げた場合にはより複雑な磁壁移動による磁化反転が起こる。このため、ビット線先立ち上げシーケンスでは、色々な反転モードが存在し、自己変動が大きくなると考えられる。
このように、1回のチェッカーボードテストではワード線パルスを先に立ち上げた方が書き込みマージンは小さいが、繰り返し試験を行った後の最終的な書き込み領域が大きくなる。よって、メモリ動作として使う場合にはワード線パルスを先に立ち上げたほうが望ましい。一方、良品チップを選別するダイソート試験においては、より厳しい条件で試験を行なった方が、試験回数および試験時間を短縮ができる。よってダイソート試験ではビット線パルスを先に立ち上げた後、ワード線パルスを立ち上げる書き込みシーケンスを採用して、テストを行うことが望ましい。図22はダイソートテストではビット線先立ち上げシーケンスでテストを行い、メモリ動作ではワード線先立ち上げシーケンスにより動作させるテスト装置のブロック図である。タイミング制御回路80aではビット線先立ち上げの書き込みパルスを発生させ、タイミング制御回路80bではワード線先立ち上げの書き込みパルスを発生させる。これらのタイミング制御回路80a、80bの出力はモード切替スイッチ82を介して書き込みデコーダー84に接続され、さらにセルアレイ86に接続される。ダイソートテストではモード切替スイッチ82をタイミング制御回路80a側に接続してテストを行い、実際のメモリ動作(書き込み動作)を行う際にはモード切替スイッチ82をタイミング制御回路80b側に接続することによって動作させる。
タイミング制御回路90a、90bと、切替スイッチ92と、デコーダー94とが、MRAMと同一のチップ上に形成された場合の例を図23に示す。この場合、タイミング制御回路90a、90bの制御および切換スイッチ92の切換の制御は、チップ外部からの指令信号によって制御される。すなわち、ダイソートテストでは、チップ外部からの指令信号によってモード切替スイッチ92のトランジスタ92aをオンさせることによりタイミング制御回路90aとデコーダー94とを接続し、タイミング制御回路90aからビット線パルスを先に立ち上げた後、ワード線パルスを立ち上げる書き込みパルスを発生させてテストを行う。他方、実際のメモリ動作を行う際には、チップ外部からの指令信号によってモード切替スイッチ92のトランジスタ92bをオンさせることによりタイミング制御回路90bとデコーダー94とを接続し、タイミング制御回路90bからワード線パルスを先に立ち上げた後、ビット線パルスを立ち上げる書き込みパルスを発生させてメモリ動作(書き込み動作)を行う。そして、製品の出荷時には、モード切替スイッチ92のトランジスタ92bのみがオンするようにする。
本発明の第1実施形態に係る記録層の形状を示す平面図。 MRAMを示す平面図。 第1実施形態に係るTMR素子の構成を示す断面図。 第1実施形態に係るメモリセルの平面図。 第1実施形態に係るメモリセルの断面図。 第1実施形態に係る記録層の形状の特徴を説明する図。 第1実施形態に係る記録層の形状と、比較例に係る記録層の形状とを説明する図。 第1実施形態に係る記録層と、比較例に係る記録層とのアステロイド特性を示す図。 比較例に係る記録層の、残留磁区状態と、磁化容易軸方向の磁場を印加したときの磁区状態とを示す図。 第1実施形態に係る記録層の残留磁区状態を示す図。 本発明の第2実施形態に係る記録層の形状を示す平面図。 第1および第2実施形態に係る記録層のアステロイド特性を示す図。 本発明の第3実施形態によるMRAMの書き込み方法に用いられる書き込み電流波形の第1の例を示す図。 本発明の第3実施形態によるMRAMの書き込み方法に用いられる書き込み電流波形の第2の例を示す図。 第2実施形態による1kビットのMRAMに図13に示す書き込み電流波形を用いてチェッカーボードテストを行った結果を示す図。 正規分布を説明する図。 第2実施形態による1kビットのMRAMに、ビット線方向の電流パルスを先に立ち上げる書き込み電流波形を用いてチェッカーボードテストを行った結果を示す図。 第2実施形態による1kビットのMRAMに図13に示す書き込み電流波形およびビット線方向の電流パルスを先に立ち上げる書き込み電流波形を用いてチェッカーボードテストを256回繰り返した結果を示す図。 TMR素子の反転電流の自己変動が正規分布であるとして仮定して求めた分散の、TMR素子1kビット分のヒストグラムを示す図。 磁化困難軸方向の磁場を先に立ち上げた場合のLLGシミュレーションによって得られた記録層の磁化反転過程の磁化を示す図。 磁化容易軸方向の磁場を先に立ち上げた場合のLLGシミュレーションによって得られた記録層の磁化反転過程の磁化を示す図。 メモリ動作させる場合と、ダイソート試験を行う場合の書き込みパルスをメモリセルアレイに印加するためのテスト装置を示す図。 メモリ動作させる場合と、ダイソート試験を行う場合の書き込みパルスをメモリセルアレイに印加するためのテスト装置がメモリセルと同一基板上に形成された磁気ランダムアクセスメモリを示す図。
符号の説明
1 TMR素子
2 参照層(磁化固着層)
4 トンネルバリア層
6 記録層(磁化自由層)
6a 第1の磁性体部
6b 第2の磁性体部
6c 第2の磁性体部
10 ビット線
20 ワード線

Claims (12)

  1. 第1の配線と、
    前記第1の配線に交差する第2の配線と、
    前記第1および第2の配線の交差領域に対応して設けられ、磁化の方向が固着される基準層と、磁化容易軸方向が磁化困難軸方向に比べて長い第1の磁性体部およびこの第1の磁性体部の中央部の磁化困難軸方向に設けられた第2の磁性体部を有し、外部磁界に応じて磁化方向が変化する記録層とを備えている磁気抵抗効果素子と、
    を含み、前記記録層は、180度回転対称性を有するとともに鏡映対称性を有しない膜面形状を備えていることを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリ。
  2. 第1の配線と、
    前記第1の配線に交差する第2の配線と、
    前記第1および第2の配線の交差領域に対応して設けられ、磁化の方向が固着される基準層と、磁化容易軸方向が磁化困難軸方向に比べて長い第1の磁性体部およびこの第1の磁性体部の前記磁化容易軸方向に沿った対向する一対の辺の中央部に設けられた一対の第2の磁性体部を有し、外部磁界に応じて磁化方向が変化する記録層とを備えている磁気抵抗効果素子と、
    を含み、前記記録層は、180度回転対称性を有するとともに鏡映対称性を有しない膜面形状を備えていることを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリ。
  3. 前記第1の磁性体部の第1対角線上の一対の第1の角部の曲率半径は、前記第1の磁性体部の第2対角線上の一対の第2の角部の曲率半径よりも大きいことを特徴とする請求項1または2記載の磁気ランダムアクセスメモリ。
  4. 前記第1の磁性体部の前記磁化容易軸方向に離れて対向する一対の辺は前記磁化困難軸方向に実質的に平行であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁気ランダムアクセスメモリ。
  5. 前記第1の磁性体部の前記磁化容易軸方向に離れて対向する一対の辺は前記磁化困難軸方向に対して傾いていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁気ランダムアクセスメモリ。
  6. 前記第1の磁性体部と前記第2の磁性体部との接合部分は丸みを帯びていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の磁気ランダムアクセスメモリ。
  7. 前記第1の磁性体部の前記磁化容易軸方向に離れて対向する一対の辺が半楕円形状であるとともに、前記第2の磁性体部の外形形状が半楕円形状であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の磁気ランダムアクセスメモリ。
  8. 第1の配線と、
    前記第1の配線に交差する第2の配線と、
    前記第1および第2の配線の交差領域に対応して設けられ、磁化の方向が固着される基準層と、外部磁界に応じて磁化方向が変化し、端部分の磁化困難軸方向の長さに比べて中央部分の磁化困難軸方向の長さが長くかつ180度回転対称性を有するとともに鏡映対称性を有しない膜面形状を有する記録層とを備えている磁気抵抗効果素子と、
    を含んでいることを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリ。
  9. 前記磁気抵抗効果素子は、前記基準層と前記記録層との間にトンネルバリア層を備えていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の磁気ランダムアクセスメモリ。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載の磁気ランダムアクセスメモリに書き込みを行う磁気ランダムアクセスメモリの書き込み方法であって、
    前記磁気抵抗効果素子の記録層の磁化困難軸に実質的に平行な第1の磁場を発生する第1の電流パルスを前記第1および第2の配線の一方に流した後、前記第1の磁場の作用期間と重なるように前記記録層の磁化容易軸に実質的に平行な第2の磁場を発生する第2の電流パルスを前記第1および第2の配線の他方に流すステップを備えていることを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリの書き込み方法。
  11. 請求項1乃至9のいずれかに記載の磁気ランダムアクセスメモリのテストを行う磁気ランダムアクセスメモリのテスト方法であって、
    前記磁気抵抗効果素子の記録層の磁化容易軸に実質的に平行な第1の磁場を発生する第1の電流パルスを前記第1および第2の配線の一方に流した後、前記第1の磁場の作用期間と重なるように前記記録層の磁化困難軸に実質的に平行な第2の磁場を発生する第2の電流パルスを前記第1および第2の配線の他方に流すステップを備えていることを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリのテスト方法。
  12. 前記磁気抵抗効果素子の記録層の磁化容易軸に実質的に平行な第1の磁場を発生する第1の電流パルスを前記第1および第2の配線の一方に流し、その後、前記第1の磁場の作用期間と重なるように前記記録層の磁化困難軸に実質的に平行な第2の磁場を発生する第2の電流パルスを前記第1および第2の配線の他方に流す第1のタイミング制御回路と、
    前記磁化困難軸に実質的に平行な第1の磁場を発生する第1の電流パルスを前記第1および第2の配線の一方に流した後、前記第1の磁場の作用期間と重なるように前記磁化容易軸に実質的に平行な第2の磁場を発生する第2の電流パルスを前記第1および第2の配線の他方に流す第2のタイミング制御回路と、
    前記第1のタイミング制御回路と前記第1および第2の配線との間の電気的接続と前記第2のタイミング制御回路と前記第1および第2の配線との間の電気的接続とを切り換える切換スイッチと、
    を更に備えていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の磁気ランダムアクセスメモリ。
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