JP2007279584A - レンズ鏡筒 - Google Patents

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Abstract

【課題】光学系のふたつの異なった動作を任意に選択できかつ光学素子群を連続的に駆動できる構造が簡単なレンズ鏡筒を提供する。
【解決手段】複数の光学素子群L1、L2が光軸A方向に沿って配列された光学系と、固定部20と、固定部20に対する相対移動に応じて光学素子群L1、L2を光軸A方向に駆動する第1の駆動部40と、アクチュエータ131と、アクチュエータ131の出力を第1の駆動部40に伝達する動力伝達部31、42とを備えるレンズ鏡筒10において、動力伝達部31、42は、第1の駆動部40に対し、第1の駆動部40を第1の方向に駆動する第1の位置と、第1の駆動部40を第1の方向とは逆の第2の方向に駆動する第2の位置との間で相対移動し、動力伝達部31、42の第1の駆動部40に対する相対移動に応じて、光学素子群L2を光軸A方向に駆動する第2の駆動部80を備える構成とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、カメラ等の撮像装置に備えられたレンズ鏡筒に関するものである。
レンズ鏡筒は、複数のレンズ群のうちズーミング用のレンズ群及びフォーカシング用のレンズ群を駆動するモータをひとつにして構成を簡素化したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このようなワンモータ式のレンズ鏡筒は、従来、ズーミングを行う領域とフォーカシングを行う領域とが交互に配置されるとともに連続して形成されたカム筒によってレンズ群を駆動するタイプのものが知られている。
しかし、この従来のレンズ鏡筒は、ズーミングとフォーカシングが交互に行われるため、ズーミング時におけるレンズ群の動作が間欠的になり、デジタルスチルカメラのように液晶ディスプレイにスルー画を表示する場合は、その表示が不自然になるという問題があった。
また、このレンズ鏡筒は、ズーミングを行う領域においてはフォーカシングを行うことができないため、撮影者が任意の倍率でのフォーカシングができないという問題もあった。
特開平6−110112号公報
本発明の課題は、光学系のふたつの異なった動作を任意に選択できかつ光学素子群を連続的に駆動できる構造が簡単なレンズ鏡筒を提供することである。
本発明は、以下の解決手段により、前記課題を解決する。
請求項1の発明は、複数の光学素子群が光軸方向に沿って配列された光学系と、固定部と、前記固定部に対する相対移動に応じて前記光学素子群を前記光軸方向に駆動する第1の駆動部と、アクチュエータと、前記アクチュエータの出力を前記第1の駆動部に伝達する動力伝達部とを備えるレンズ鏡筒において、前記動力伝達部は、前記第1の駆動部に対し、前記第1の駆動部を第1の方向に駆動する第1の位置と、前記第1の駆動部を前記第1の方向とは逆の第2の方向に駆動する第2の位置との間において相対移動し、前記動力伝達部の前記第1の駆動部に対する前記相対移動に応じて、前記光学素子群を前記第1の駆動部とは異なった態様で前記光軸方向に駆動する第2の駆動部を備えることを特徴とするレンズ鏡筒である。
請求項2の発明は、請求項1に記載のレンズ鏡筒において、前記第1の駆動部は、前記光学素子群を前記光軸方向に駆動してズーミングを行い、前記第2の駆動部は、前記光学素子群を前記光軸方向に駆動してフォーカシングを行うことを特徴とするレンズ鏡筒である。
請求項3の発明は、請求項2に記載のレンズ鏡筒において、前記光学系は、前記ズーミング時に無限遠に略合焦した状態で保持されることを特徴とするレンズ鏡筒である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のレンズ鏡筒において、前記第1の駆動部及び前記第2の駆動部は、前記固定部に対して前記光軸と略平行な軸線回りにそれぞれ回転可能に設けられ、前記光学素子群を前記光軸方向に駆動するカムを備えるカム筒であることを特徴とするレンズ鏡筒である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のレンズ鏡筒において、前記アクチュエータは、回転出力部を備え、前記動力伝達部は、前記アクチュエータの回転方向の変化に応じて、前記第1の駆動部に対し前記第1の位置と前記第2の位置との間において前記相対移動をすることを特徴とするレンズ鏡筒である。
以上説明したように、本発明によれば、第1の駆動部によって光学素子群を駆動した後にアクチュエータの駆動方向を逆方向にすると、光学素子群が第2の駆動部によって第1の駆動部とは異なる態様で駆動されるから、アクチュエータの駆動方向によって光学素子群をどちらの態様で駆動するかを任意に選択できる。さらに、第1の駆動部、第2の駆動部の一方によって光学素子群を駆動する場合、光学素子群は、他方による態様で駆動されないので、光学素子群を一方の態様で連続的に駆動することができる。
本発明は、光学系のふたつの異なった動作を任意に選択できかつ光学素子群を連続的に駆動できる構造が簡単なレンズ鏡筒を提供するという課題を、駆動筒の回転方向を反転させることによって、駆動筒の回転力が伝達される対象を、ズーミング時に駆動されるレンズ群を駆動する外側カム筒から、フォーカシング時に駆動されるレンズ群を駆動する内側カム筒に切り替えることができる動力伝達部を設けることによって解決した。
以下、図面を参照して、本発明のレンズ鏡筒の実施例が備えられたカメラについて説明する。
カメラは、沈胴式のレンズ鏡筒を備えたレンズ非交換式のデジタルスチルカメラであって、光学系のズーミング及びフォーカシングをひとつのモータによって行うワンモータ式のカメラである。
図1は、実施例のレンズ鏡筒を備えたカメラの沈胴状態における構成を示すブロック図である。図2は、図1のレンズ鏡筒の光軸を含む断面図である。図3は、図1のレンズ鏡筒において光学系の焦点距離が最小となった状態を示すブロック図である。図4は、図1のレンズ鏡筒において光学系の焦点距離が最大となった状態を示すブロック図である。
カメラ1は、レンズ鏡筒10、鏡筒ベース部100、CCD110、LPF120、動力部130、操作部140、制御部150、記録装置160を備えている。
図2に示すように、レンズ鏡筒10は、光学系を構成する撮像素子群である第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2を備えている。これらの第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2は、協働して2群構成のズームレンズを構成するものであり、光軸A方向に沿って対物側(被写体側)から順次配列されている。また、第2レンズ群L2は、フォーカスレンズとしても機能するようになっている。
このレンズ鏡筒10は、固定筒20、駆動筒30、外側カム筒40、直進ガイド筒50、第1レンズ群筒60、第2レンズ群筒70、内側カム筒80、第2レンズ群枠90を備えている。これらの各要素の構成は、後に詳しく説明する。
鏡筒ベース部100は、カメラ1の図示しない筐体に対して固定された板状の部材である。
CCD110は、光学系が結像する被写体像を電気的な信号に変換する固体撮像素子であり、第2レンズ群L2の射出側に配置されている。このCCD110が取得する被写体像は、カメラ1の撮影時において、ズーミング時、フォーカシング時を含むフレーミング時にカメラ1の筐体に設けられた図示しないLCD等に、いわゆるスルー画として表示されるようになっている。
LPF120(光学ローパスフィルタ)は、CCD110が取得する画像上におけるモアレの発生を防止するものであって、第2レンズ群L2とCCD110の撮像面部との間に設けられている。これらのCCD110及びLPF120は、ともに鏡筒ベース部100に固定されている。
動力部130は、アクチュエータであるモータ131、及び、減速ギア列132を備えている。モータ131は、レンズ鏡筒10に備えられた各筒体を光軸方向に駆動するDCモータであり、鏡筒ベース部100に固定されている。このモータ131の回転出力軸の軸線方向は、光軸Aに対して略平行となっている。
減速ギア列132は、モータ131の出力を駆動筒30に伝達するものであり、モータ131の回転出力軸に設けられたギア132a、及び、レンズ鏡筒10の駆動筒30に設けられた歯部に噛み合うギア132bを含んだ、例えば、4つのギアにより構成されており、モータ131の回転方向と駆動筒30の回転方向は、同じとなっている。
図1に示すように、操作部140は、電源スイッチ141、ズームスイッチ142、シャッタレリーズスイッチ143を備えている。操作部140を構成するこれらのスイッチ群は、例えば、カメラ1の図示しない筐体に備えられた押しボタンであって、撮影者が制御部150のASIC152に対して信号を入力する入力部である。
電源スイッチ141は、カメラ1に備えられた図示しないバッテリに電気的に接続され、カメラ1のモータ131や制御部150等へ供給される電源のオン、オフの切り替えを行うものである。
ズームスイッチ142は、撮影者がズームレンズの焦点距離を変化させる際に操作するものであり、撮影状態においてズームレンズをワイド側からテレ側に移行させる(ズームレンズの焦点距離を長くさせる)テレ側移行用ズームスイッチ(ZSWT)142a、及び、ズームレンズをテレ側からワイド側に移行させる(ズームレンズの焦点距離を短くさせる)ワイド側移行用ズームスイッチ(ZSWW)142bを備えている。
シャッタレリーズスイッチ143は、フォーカシングスイッチ143a、シャッタユニット駆動スイッチ143bを備えている。フォーカシングスイッチ143aは、押しボタンスイッチであるシャッタレリーズスイッチ143のストロークを半分程度にした、いわゆる半押し操作がされることによって、後述する制御部150のASIC152に対してフォーカシングを行わせるようになっている。
また、シャッタユニット駆動スイッチ143bは、上記半押し状態より押しボタンが押し込まれた全押し操作がされることによって、ASIC152にレンズ鏡筒10に備えられたシャッタユニット73を駆動させるようになっている。
制御部150は、MDIC(モータドライバIC)151、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)152、レンズ位置検出スイッチ153、エンコーダ154、駆動筒位置検出スイッチ155を備えている。
MDIC151は、モータ131、ASIC152、エンコーダ154、及び、駆動筒位置検出スイッチ155に電気的に接続されており、ASIC152から出力される信号に基づいてモータ131の回転方向及び回転量を制御するものである。
また、MDIC151は、シャッタユニット73に対しても電気的に接続されており、ASIC152からの信号に応じて、シャッタユニット73を駆動させるようになっている。
ASIC152は、レンズ鏡筒に備えられたCCD110、操作部140を構成する各スイッチ、MDIC151、記録装置160等を統括的に制御するMPUを備えた情報処理部である。
レンズ位置検出スイッチ153は、レンズ鏡筒10の内部であって、第2レンズ群L2の射出面側に配置され、第2レンズ群L2に追従して光軸A方向に駆動されるものである。このレンズ位置検出スイッチ153は、第2レンズ群L2が第2レンズ群筒70に対して予め設定された基準位置にあるかを検出してASIC152に信号を出力するようになっている。
エンコーダ154は、フォトインタラプタ(PI)154aと、複数のスリットを有する円盤状に形成された遮光板154bとが組み合わされたものである。このエンコーダ154は、PI154aが鏡筒ベース部100に、遮光板154bがモータ131の出力軸に接続されたギア132aにそれぞれ設けられており、モータ131の回転に応じてパルス信号を出力するようになっている。
駆動筒位置検出スイッチ155も、エンコーダ154と同様のPI155a及び遮光板155bからなり、PI155aがカメラ1の鏡筒ベース部100に固定され、遮光板155bがレンズ鏡筒10の駆動筒30の光軸方向像側の端部からさらに光軸方向像側に突き出して形成されている。
この駆動筒位置検出スイッチ155は、撮影が終了したレンズ鏡筒10を沈胴状態に復帰させる際に駆動筒30が固定筒20に対して予め設定された沈胴位置に達したかを検出してASIC152に信号を出力するようになっている。ASIC152は、この出力に応じて、カメラ1の電源がオフになるように制御を行う。
記録装置160は、例えば、不揮発性の半導体メモリ等を備えており、MDIC151からの出力に基づいて、レンズ鏡筒10の沈胴状態から撮影状態への移行、及び、撮影状態におけるテレ側とワイド側との間の移行に伴うモータ131の駆動時における回転方向、回転数等に関するデータを保持している。
次に、レンズ鏡筒10の構成を説明する。
固定筒20は、レンズ鏡筒10を構成する筒体のうち最も外径側に配置された筒体であって、鏡筒ベース部100に固定された固定部である。この固定筒20は、内周面部にネジ溝が形成されたネジ部を備えている。
駆動筒30は、固定筒20の内径側に挿入される筒体であって、光軸方向像側の外周面部の一部にギア132bと噛み合う歯部が形成されている。また、この歯部には、固定筒20のネジ部に係合するネジ溝が併せて形成されている。
外側カム筒40は、固定筒20の内径側であって、駆動筒30よりも光軸A方向の対物側に挿入される筒体である。この外側カム筒40は、その内周面部に第1レンズ群筒60及び第2レンズ群筒70を光軸A方向に案内するカム溝41を備えた第1の駆動部である。
直進ガイド筒50は、駆動筒30の内径側に挿入される筒体であって、光軸A方向に延在して形成された長孔である直進ガイド孔51を備えている(図5参照)。この直進ガイド孔51は、第1レンズ群筒60及び第2レンズ群筒70にそれぞれ形成されたカムフォロワピン61、71が貫通するようになっている。また、直進ガイド筒50は、後述する内側カム筒80の突起81が貫通する光軸A方向に延在して設けられた図示しない長孔を備えている。
この直進ガイド筒50は、光軸方向像側の端部に外径側に突き出して形成された円環状のフランジ部を備えており、このフランジ部は、駆動筒30の内周面部に形成された溝部に嵌合している。これによって、直進ガイド筒50は、駆動筒30の光軸方向への移動に伴ってこれと一体に光軸A方向に移動するようになっている。また、直進ガイド筒50は、固定筒20に対する光軸A回りの回転が規制されており、駆動筒30が回転して光軸A方向に駆動される際も光軸A方向に直進するようになっている。
第1レンズ群筒60は、その内径側に第1レンズ群L1が固定された筒体であって、直進ガイド筒50の内径側であって、その光軸A方向の中央部分よりも対物側の部分に挿入されている。この第1レンズ群筒60の光軸方向像側の外周縁部には、外側カム筒40のカム溝41に挿入されるカムフォロワピン61が形成されている。
第2レンズ群筒70は、その内径側に第2レンズ群枠90が挿入される筒体であって、直進ガイド筒50の内径側であって、その光軸A方向の中央部分よりも像側の部分に挿入されている。第2レンズ群筒70の光軸方向対物側の外周縁部には、外側カム筒40のカム溝41に挿入されるカムフォロワピン71が形成されている。
この第2レンズ群筒70における光軸A方向の中間部分は、その外径寸法が他の部分より小さくなっており、直進ガイド筒50との間に隙間が形成されている。
また、第2レンズ群筒70は、光軸方向の中央部分に光軸A方向に延在して形成された長孔である直進案内孔72が設けられている(図6参照)。この直進案内孔72は、後述する第2レンズ群枠90のカムフォロワピン91が貫通するものである。
第2レンズ群筒70は、その光軸方向対物側の端部にシャッタユニット73を備えている。このシャッタユニット73は、それぞれ図示しない露光時間を調整するシャッタ幕と通過光量を調整する絞り部とを備えるとともに、MDIC151を介してASIC152に接続されており、シャッタレリーズスイッチ143からの信号に応じて駆動されるようになっている。
内側カム筒80は、上述の直進ガイド筒50と第2レンズ群筒70との間に形成される隙間に挿入される筒体であって、その外周面部に径方向外側に向けて突き出した突起81を備えている。この突起81は、直進ガイド筒50の長孔を貫通して駆動筒30の内周面部に光軸Aと略平行な方向に延在して形成された直進案内溝32に挿入されている(図5参照)。これによって、内側カム筒80は、駆動筒30と一体に固定筒20に対して光軸A回りに回転するようになっている。
この内側カム筒80は、光学系のフォーカシング時に第2レンズ群枠90(第2レンズ群L2)を光軸方向に駆動する第2の駆動部であり、その内周面部に第2レンズ群枠90のカムフォロワピン91を光軸A方向に案内するカム溝82が形成されている。このカム溝82の形状については、後に詳しく説明する。
第2レンズ群枠90は、その内径側に第2レンズ群が固定される円環状の部材であって、その外周面部に外径側に突き出して形成されたカムフォロワピン91が形成されている。このカムフォロワピン91は、第2レンズ群筒70に形成された直進案内孔72を貫通するとともに、内側カム筒80に形成されたカム溝82に挿入されるものである。
また、レンズ鏡筒10は、駆動筒30に形成された押圧部31及び外側カム筒40に形成された開口部42によって構成され、駆動筒30の回転力を外側カム筒40に伝達する動力伝達部を備えている。
以下、この動力伝達部について説明する。
図5は、動力伝達部の構成を示すレンズ鏡筒の展開図である。
開口部42は、外側カム筒40の光軸方向像側の端部に設けられている。この開口部42は、外側カム筒40のカム溝41が形成された部分以外の部分を切り欠いたように形成され、外側カム筒40の周方向に離間して配置された一対の壁面部43を備えている。
一方、押圧部31は、駆動筒30の光軸A方向における対物側の端部に形成され、光軸方向対物側に突き出して形成されるとともに、開口部42に挿入されている。
この押圧部31は、外側カム筒40の周方向に沿った方向の寸法が開口部42の壁面部43間の寸法(開口寸法)よりも小さくなっており、駆動筒30及び外側カム筒40の光軸A回りの相対回転に応じて、壁面部43の一方に当接する第1の位置と、他方に当接する第2の位置との間において移動するようになっている。
動力伝達部は、押圧部31が壁面部43を押圧した状態で駆動筒30が回転すると、その回転力を外側カム筒40に伝達する。これによって、外側カム筒40は、駆動筒30と共回りし、第1レンズ群筒40、第2レンズ群筒70が光軸A方向に駆動される。この共回り状態から、駆動筒30の回転方向が逆転されると、押圧部31が壁面部43の他方に達するまで壁面部43が押圧されないため外側カム筒40は回転せず、駆動筒30が単独で固定筒20に対して光軸A回りの回転(空回り)をするようになっている。
以下、駆動筒30が第1レンズ群筒40、第2レンズ群筒70を光軸方向対物側に繰り出す際に回転する方向を正転方向と称し、同様に駆動筒30を正転方向に回転させるモータ131の回転方向を正転方向と称して説明する。
また、壁面部43は、駆動筒30の正転時に押圧部31に押圧される側(カム溝41の沈胴端寄りの壁面部)を正転側壁面部43aと称し、これと反対の側を逆転側壁面部43bと称して説明する。
ここで、レンズ鏡筒10は、上記のように駆動筒30が空回りする際、第1レンズ群筒60及び第2レンズ群筒70が光軸A方向に駆動されないのに対し、第2レンズ群枠90が内側カム筒80によって光軸A方向に駆動されるようになっている。
以下、この第2レンズ群枠90の駆動機構を図5及び図6を用いて説明する。
図6は、内側カム筒の内周面を示す展開図である。
内側カム筒80に形成されたカム溝82は、内側カム筒80の周方向に対してそれぞれ逆方向に傾斜した2つの領域を、内側カム筒80の回転軸線と平行な線を対象軸として略線対象に組み合わせて略V字状に形成したものである。また、このカム溝82の2つの領域の境界部は、光軸A方向の対物側に設けられており、第2レンズ群枠90は、ズーミング時において光軸方向像側から光軸方向対物側に駆動されるようになっている。
この内側カム筒80におけるカム溝82の周方向の長さは、前述の開口部42の壁面部43の間の距離と略同じになっており、第2レンズ群枠90のカムフォロワピン91は、駆動筒30の押圧部31が壁面部43を押圧した状態、すなわちズーミング時において、このカム溝80の光軸方向像側のいずれかの端部近傍に位置し、この状態において、ズームレンズは、無限遠に略合焦するようになっている。
また、第2レンズ群枠90は、ズーミング時において光軸方向像側から光軸方向対物側に駆動され、このときズームレンズは、常時無限遠に略合焦するようになっている。
以下、このカム溝82の2つの領域のうち、駆動筒30が正転方向に回転する際にカムフォロワピン91を駆動する側の領域を正転側領域82a、逆転方向に回転する際にカムフォロワピン91を駆動する側の領域を逆転側領域82bと称して説明する。
次に、カメラ1のズーミング時の動作について説明する。
沈胴状態(収納状態)のカメラ1は、電源スイッチ141が撮影者によってオン操作されるとモータ131が正転方向に回転し、駆動筒30の押圧部31が外側カム筒40に形成された開口部42の正転側壁面部43aを押圧することによってレンズ鏡筒10の固定筒20を除く各筒体が光軸方向対物側に繰り出されて沈胴状態から図3に示す撮影状態に移行する。
この図3に示す撮影状態において、レンズ鏡筒10のズームレンズは、焦点距離が最も短くなっている。以下、この状態をレンズ鏡筒10のワイド位置と称して説明する。
このときASIC152は、レンズ位置検出スイッチ153からの出力に応じて、第2レンズ群枠90が第2レンズ群筒70に対して所定の基準位置に達してから、記録部に予め記録された回転数だけモータ131を回転させる。
このワイド位置において撮影者がZSWT142aを操作すると、レンズ鏡筒10のズームレンズは、テレ側に移行する。具体的には、第1レンズ群筒60及び第2レンズ群筒70が外側カム筒40及び直進ガイド筒50に案内されて光軸方向像側に繰り出され、これに伴って第2レンズ群枠90も光軸方向像側に移動する。
ズームレンズは、カムフォロワピン61、71がカム溝41のテレ端に到達することによって、焦点距離が最も長くなる(図4参照)。以下、この状態をレンズ鏡筒10のテレ位置と称して説明する。
このときMDIC151は、上述のワイド位置からのモータ131の回転数をエンコーダ154からの出力に基づいて監視し、記録装置160に予め記録された回転数に到達した場合にモータ161の駆動を停止させるようになっている。
次いで、図4のテレ位置から撮影者によってZSWW142bが操作されると、モータ131が逆転方向に回転することによって駆動筒30、外側カム筒40が逆転し、第1レンズ群筒60及び第2レンズ群筒70が光軸方向像側に駆動され、ズームレンズはワイド側に移行する。
また、レンズ鏡筒10がワイド位置、テレ位置にある状態を含むレンズ鏡筒10の撮影状態において、撮影者が電源スイッチ141をオフ操作した場合もモータ131は逆転方向に回転し、レンズ鏡筒10は、図1に示す沈胴状態に復帰する。
次にレンズ鏡筒10のフォーカシング時の動作を図6乃至図9を用いて説明する。
図6は、内側カム筒の内周面部を示す展開図であり、(a)は、フォーカシング動作前、(b)は、フォーカシング動作後をそれぞれ示している。
図7は、レンズ鏡筒が沈胴状態からワイド位置に移行した場合における動力伝達部の構成を示すレンズ鏡筒の展開図であって、(a)は、レンズ鏡筒がワイド位置に停止した状態を示し、(b)は、フォーカシング時の動作を示している。
このレンズ鏡筒10のフォーカシングは、フォーカシングを行う直前の回転方向とは逆の方向にモータ131を回転させて行うようになっており、具体的には、モータ131が正転方向に回転されてズームレンズがテレ側に駆動された場合は、モータ131を逆転方向に、モータ131が逆転方向に回転されてズームレンズがワイド側に駆動された場合は、モータ131を正転方向にそれぞれ回転させる。
レンズ鏡筒10が図5に示す沈胴状態から図7に示すワイド位置に移行した場合、モータ131の直前の回転方向は正転方向であることから、図7(a)に示すように駆動筒30の押圧部31は、開口部42の正転側壁面部43aに当接している。また、第2レンズ群枠90のカムフォロワピン91は、カム溝82において、正転側領域82aの光軸方向像側の端部近傍に位置する(図6(a)参照)。
図7(a)に示す状態からシャッタレリーズスイッチ143が撮影者によって半押し操作されると、ASIC152は、モータ131(駆動筒30)を回転させてフォーカシングを行う。
ここで、フォーカシングを行うときのモータ131の回転方向は、レンズ鏡筒10の直前の回転方向によって決定される。このモータ131の直前の回転方向は、記録装置160に記録されている。レンズ鏡筒10が沈胴状態からワイド位置に移行した直後にフォーカシングを行う場合、モータ131の直前の回転方向は正転方向であり、ASIC152は、モータ131(駆動筒30)を逆転方向に回転させるようにMDIC151に指示を発する。
駆動筒30が逆転方向に回転すると、駆動筒30の押圧部31は、開口部42の正転側壁面部43aから逆転側壁面部43bに向けて移動する。この間、外側カム筒40は駆動筒30から回転力の伝達を受けないので回転せず、第1レンズ群筒60、第2レンズ群筒70は、光軸A方向に駆動されない。
一方、駆動筒30が回転すると、駆動筒30に対して突起81によって接続された内側カム筒80が駆動筒30に伴って回転する。第2レンズ群筒70は、直進ガイド筒50によって回転が規制されているから、内側カム筒80が回転すると、第2レンズ群枠90のカムフォロワピン91がカム溝82及び第2レンズ群筒70の直進案内孔72に案内されて、第2レンズ群枠90が光軸A方向に駆動される(図6参照)。このとき、カムフォロワピン91は、カム溝82の正転側領域82a内を移動する。
このフォーカシングは、例えば、CCD110に接続された図示しない画像処理部からの出力に応じてASIC152に備えられたMPUが、撮影画像における特定のフォーカスエリアのコントラストを検出し、このコントラストが所定の閾値以上となった場合に合焦しているとみなすことによって行う。
次に、レンズ鏡筒10がテレ位置からワイド位置に移行した後のフォーカシングの動作について説明する。
図8は、レンズ鏡筒がテレ位置からワイド位置に移行した場合における動力伝達部の構成を示すレンズ鏡筒の展開図であって、(a)は、レンズ鏡筒がワイド位置にある状態を示し、(b)は、フォーカシング時の動作を示している。
レンズ鏡筒10をテレ位置からワイド位置に移行する場合、モータ131の直前の回転方向は逆転方向であることから、図8(a)に示すように駆動筒30の押圧部31は、開口部42の逆転側壁面部43bに当接している。
このとき、第2レンズ群枠90のカムフォロワピン91は、カム溝82において、逆転側領域82bの光軸方向像側の端部近傍に位置する。
この状態からフォーカシングを行う場合、モータ131(駆動筒30)は、正転方向に回転され、カムフォロワピン91は、カム溝82の逆転側領域82b内を移動する(図8(b)参照)。
次に、レンズ鏡筒10がワイド位置からテレ位置に移行した後のフォーカシングの動作について説明する。
図9は、レンズ鏡筒がワイド位置からテレ位置に移行した場合における動力伝達部の構成を示すレンズ鏡筒の展開図であって、(a)は、レンズ鏡筒がテレ位置にある状態を示し、(b)は、フォーカシング時の動作を示している。
レンズ鏡筒10をワイド位置からテレ位置に移行する場合、モータ131の直前の回転方向は正転方向であることから、図9(a)に示すように駆動筒30の押圧部31は、開口部42の正転側壁面部43aに当接している。
このとき、第2レンズ群枠90のカムフォロワピン91は、カム溝82において、正転側領域82aの光軸方向像側の端部近傍に位置する。
この状態からフォーカシングを行う場合、モータ131(駆動筒30)は、逆転方向に回転され、カムフォロワピン91は、カム溝82の正転側領域82a内を移動する(図9(b)参照)。
なお、レンズ鏡筒10のフォーカシングは、以上説明したテレ位置、ワイド位置に限らず、任意の倍率(ズームレンズの任意の位置)で行うことができ、この場合も、直前の回転方向とは逆の方向にモータ131を回転させて行う。
以上説明したように、本実施例のレンズ鏡筒10によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)モータ131(駆動筒30)の回転方向に応じて、光学素子群(第1レンズ群L1、第2レンズ群L2)の駆動態様を切り替えることができる動力伝達部(押圧部31、開口部42)を設けたから、ズーミング、フォーカシングを行う動力源(モータ131)を共用することができるのでレンズ鏡筒10の構成を簡素化できる。
また、レンズ鏡筒10は、フォーカシング用のレンズ、ズーミング用のレンズを駆動するモータ131を共用化してひとつにしたから、これらを個別のモータによって駆動する2モータ式のレンズ鏡筒に比べ軽量化するので、カメラ1の操作性が向上する。さらにモータ131を制御する回路の構成の簡単になる。
(2)フォーカシングを行う際に第2レンズ群L2を光軸A方向に駆動させるカム筒(内側カム筒80)は、ズーミングを行う際に第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2を光軸A方向に駆動させるカム筒(外側カム筒40)に対して独立した駆動が可能であるから、任意の倍率においてフォーカシングを行うことができる。
(3)ズーミングを行う際、モータ131の回転方向を反転させない限りフォーカシングがされないので、連続してズーミングを行うことができる。
(4)ズームレンズは、常に無限遠に略合焦した状態でズーミングされるから、CCD110が取得した画像をLCD等にリアルタイムに表示するスルー画がズーミング時であっても無限遠に合焦しており、撮影者はズーミング操作を快適に行うことができる。
(変形例)
以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
(1)実施例のレンズ鏡筒は、デジタルスチルカメラに備えられたものであったが、本発明のレンズ鏡筒が用いられるものはこれに限らず、例えば、フィルムカメラ、動画を撮影するムービーカメラ等であってもよい。また、レンズ鏡筒の構成は、適宜変更可能であって、例えば、実施例のレンズ鏡筒は、2群構成のズームレンズを備えていたが、光学素子群の構成は、2群以上の構成であってもよい。
(2)実施例のレンズ鏡筒は、ズーミング時、フォーカシング時において駆動されるレンズ群が、その一部(第2レンズ群)において重複する構成であったが、駆動するレンズ群の組み合わせはこれに限らず適宜変更可能である。例えば、ズーミング時、フォーカシング時において、異なる(重複しない)レンズ群、又は、完全に重複するレンズ群を駆動してもよい。
(3)実施例において、モータはDCモータであったが、モータの種類は、これに限定されず、例えば、ステッピングモータであってもよい。
(4)実施例は、駆動筒の回転方向を逆転させることによって駆動筒と外側カム筒との係合を解除した際にフォーカシングを行っていたが、これに限らず、実施例とは逆に外側カム筒を回転させることによってフォーカシングを行い、駆動筒の回転方向を逆転して内側カム筒を回転させることによってズーミングを行ってもよい。
(5)実施例は、駆動筒の回転運動によってズーミング、フォーカシングの動作を切り替えていたが、この切替は回転運動に限らず、例えば、直線運動であってもよい。また、光学素子群を光軸方向に駆動する機構もカム筒に限られず、例えば、送りネジ等であってもよい。
実施例のレンズ鏡筒を備えたカメラの沈胴状態における構成を示すブロック図である。 図1のレンズ鏡筒の光軸を含む断面図である。 図1のレンズ鏡筒において光学系の焦点距離が最小となった状態を示すブロック図である。 図1のレンズ鏡筒において光学系の焦点距離が最大となった状態を示すブロック図である。 動力伝達部の構成を示すレンズ鏡筒の展開図である。 内側カム筒の内周面部を示す展開図である。 レンズ鏡筒が沈胴状態からワイド位置に移行した場合における動力伝達部の構成を示すレンズ鏡筒の展開図である。 レンズ鏡筒がワイド位置からテレ位置に移行した場合における動力伝達部の構成を示すレンズ鏡筒の展開図である。 レンズ鏡筒がテレ位置からワイド位置に移行した場合における動力伝達部の構成を示すレンズ鏡筒の展開図である。
符号の説明
1 カメラ : 10 レンズ鏡筒 : 20 固定筒 : 30 駆動筒
31 押圧部 : 40 外側カム筒 : 41 カム溝 : 42 開口部
43 壁面部 : 80 内側カム筒 : L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群

Claims (5)

  1. 複数の光学素子群が光軸方向に沿って配列された光学系と、
    固定部と、
    前記固定部に対する相対移動に応じて前記光学素子群を前記光軸方向に駆動する第1の駆動部と、
    アクチュエータと、
    前記アクチュエータの出力を前記第1の駆動部に伝達する動力伝達部と
    を備えるレンズ鏡筒において、
    前記動力伝達部は、前記第1の駆動部に対し、前記第1の駆動部を第1の方向に駆動する第1の位置と、前記第1の駆動部を前記第1の方向とは逆の第2の方向に駆動する第2の位置との間において相対移動し、
    前記動力伝達部の前記第1の駆動部に対する前記相対移動に応じて、前記光学素子群を前記第1の駆動部とは異なった態様で前記光軸方向に駆動する第2の駆動部を備えること
    を特徴とするレンズ鏡筒。
  2. 請求項1に記載のレンズ鏡筒において、
    前記第1の駆動部は、前記光学素子群を前記光軸方向に駆動してズーミングを行い、
    前記第2の駆動部は、前記光学素子群を前記光軸方向に駆動してフォーカシングを行うこと
    を特徴とするレンズ鏡筒。
  3. 請求項2に記載のレンズ鏡筒において、
    前記光学系は、前記ズーミング時に無限遠に略合焦した状態で保持されること
    を特徴とするレンズ鏡筒。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のレンズ鏡筒において、
    前記第1の駆動部及び前記第2の駆動部は、
    前記固定部に対して前記光軸と略平行な軸線回りにそれぞれ回転可能に設けられ、前記光学素子群を前記光軸方向に駆動するカムを備えるカム筒であること
    を特徴とするレンズ鏡筒。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のレンズ鏡筒において、
    前記アクチュエータは、回転出力部を備え、
    前記動力伝達部は、前記アクチュエータの回転方向の変化に応じて、前記第1の駆動部に対し前記第1の位置と前記第2の位置との間において前記相対移動をすること
    を特徴とするレンズ鏡筒。

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