JP2007279357A - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低濃度補正カーブを調整して、階調の立ち上がり位置の調整及び低濃度のグレーバランス調整を自動的に行える画像形成装置を提供する。
【解決手段】低濃度部分における階調パターンで構成されたチャートを出力する出力部2と、前記チャートから各パッチの濃度を読み取る読取部3と、前記濃度からガンマ補正を行うための調整値を算出する算出部4と、前記算出した調整値に基づいて低濃度部分における出力を調整する出力調整部5とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、低濃度部における補正を自動で行う画像形成装置、及びそれを制御する画像形成方法に関する。
画像形成装置で画像を形成する場合、その画像形成装置が有する階調特性のために、オリジナルの画像の情報が変質してしまう。そこで、従来から画像形成装置が有するガンマ値を補正しオリジナルの画像に近づけるために、ガンマ補正が行われてきた。
通常のプリンタは、入力値が0から上昇し出したばかりでは、出力値はほとんど増加せず、途中から出力値は指数関数的に増加し、ある程度入力値があがると出力値の増加がほとんど無くなるS字の特性曲線を有する。そこで、この階調特性のガンマ値を1にするため、原点を通る傾き1の直線に対してプリンタの特性曲線にほぼ対象な階調補正カーブを与え、ガンマ値を1に近づける方法がガンマ補正であり、これにより、リニアなプリンタ階調を実現している(例えば、特許文献1参照。)。
特開平7−230213号公報
しかし、中間以下の濃度部分である低濃度部分では、ある程度大きい入力値にならないと紙に色がのり出す立ち上がりが始まらない。そのため、前記低濃度部分を補正するためには調整値を他の部分よりも大きくする必要がある。ここで、全ての濃度領域において前記階調補正カーブを利用して補正を行う場合は、全ての濃度領域で適切な補正を行うために前記階調補正カーブを滑らかにすると、前記低濃度部分では色がのらなくなってしまい、前記低濃度部分の色がのるように前記階調補正カーブを調整すると、カーブの滑らかさがなくなり補正が不適切なものになってしまう。そのため、前記低濃度部分を自動的に補正することが困難であった。
そこで、従来は前記低濃度部分の出力を補正するため、手動で適当な値を入力し前記低濃度部分に低濃度補正カーブを加え補正して、補正したものを出力し、その出力した色が期待する出力の範囲に収まっているかどうかを操作者が目で確認し、前記範囲に収まっていない場合には操作者が適当と思う変更を加えた補正値を再度入力して再び出力し色を確認する、ということを前記範囲に収まるまで繰り返していた。しかし、これでは操作者の手間が掛かり煩雑であり、また、前記入力値の決定は操作者の感覚で行っていたため、短時間で正確な補正を行うことが困難であった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、通常のガンマ補正に加えて、通常のガンマ補正では補正が困難な中間以下の濃度部分である低濃度部分を補正する低濃度補正を自動的に行うことにより、低濃度部の階調特性を安定的に出力できるようにすること、特に低濃度補正カーブにより、階調の立ち上がり位置の調整及び低濃度のグレーバランスの調整を自動的に行い、操作者の手間を削減するとともに、短時間で正確な補正を行うことを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の画像形成装置は、低濃度部分における階調パターンで構成されたチャートを出力する出力部と、前記チャートから各パッチの濃度を読み取る読取部と、前記濃度からガンマ補正を行うための調整値を算出する算出部と、前記算出した調整値に基づいて低濃度部分における出力を調整する出力調整部とを備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記出力調整部が、階調特性を全体的に補正するための階調補正カーブ、及び前記調整値をパラメータとして含む低濃度補正カーブを基にガンマ補正を行うものであって、前記算出部は、前記濃度から調整の基準とする入力値を抽出し、さらに、調整するためのターゲット値を受けて、前記基準とする入力値と前記ターゲット値を基に前記階調補正カーブと前記低濃度補正カーブを参照して、低濃度補正の調整用オフセット値を前記調整値として算出することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記基準とする入力値が、低濃度部分の階調における色がのり出す値であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記基準とする入力値が、低濃度部分の基準とするグレーの値であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記算出部が、前記濃度から前記パッチの入出力特性を基に出力値を求める手段と、前記入出力特性から前記基準とする入力値である調整前の前記色がのり出す値を示す立ち上がり位置を決定する立ち上がり位置決定手段と、前記立ち上がり位置調整前の前記低濃度補正カーブのオフセット値を検出する調整前オフセット値検出手段と、目標とする立ち上がり位置を表すターゲット値を受けて、前記調整前の立ち上がり位置と前記ターゲット値と前記調整前の低濃度補正カーブのオフセット値から前記調整用オフセット値を算出する調整値算出手段とを備えることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記チャートはグレーのグラデーションパターンで構成され、前記算出部は、前記濃度から前記パッチの入出力特性を基に出力値を求める手段と、前記入出力特性から前記基準とする入力値である基準グレー位置を判定するグレー位置判定手段と、グレーバランス調整前の前記低濃度補正カーブのオフセット値を検出する調整前オフセット値検出手段と、グレーバランスを調整するためのターゲット値を受けて、前記調整前の基準とするグレー位置と前記ターゲット値と前記調整前の低濃度補正カーブのオフセット値から前記調整用オフセット値を算出する調整値算出手段とを備えることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記基準とする入力値が、前記低濃度部分の階調における色がのり出す値と前記低濃度部分の基準とするグレーの値の両方であることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記チャートのパターンがランダムであることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記ターゲット値に対する出力値の許容範囲を記憶する記憶部と、前記調整後に前記補正を行って出力された画像を読み込み、その読み込んだ値が前記ターゲット値に対する出力値の許容範囲に入っているかどうかを判定し、前記目標とする範囲内ならば調整を終了し、前記目標とする範囲外ならば低濃度補正カーブの再調整を行う調整値判定部と、前記再調整の回数が設定した上限を超えた場合に調整を終了する調整回数判定部とを更に備えることを特徴とする。
請求項10に記載の画像形成方法は、画像形成装置の階調特性を全体的に補正するための階調補正カーブ、及び低濃度部分を補正するための低濃度補正カーブを基に補正可能な画像形成方法であって、低濃度部分における階調パターンで構成されたチャートを出力する第1の出力段階と、作成した前記チャートにおける各パッチの濃度を読み取る読取段階と、前記濃度から調整の基準とする入力値を抽出し、さらに、調整するためのターゲット値を受けて、前記基準とする入力値と前記ターゲット値を基に補正カーブを参照して低濃度補正の調整用オフセット値を算出する算出段階と、前記調整用オフセット値を基に低濃度補正部分における出力を調整する出力調整段階とを有することを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、前記ターゲット値に対する出力値の許容範囲を記憶する記憶段階と、前記出力調整段階の後に低濃度部分における階調パターンで構成されたチャートを出力する第2の出力段階と、出力されたチャートを読み取り、その読み込んだ値がターゲット値に対する出力値の許容範囲に入っているかどうかを判定し、目標とする範囲内ならば調整を終了する判定段階と、目標とする範囲外ならば前記読取段階、前記算出段階、前記第2の出力段階、及び前記判定段階を繰り返し、出力値を再調整する段階と、再調整の回数が設定した上限を超えた場合に調整を終了する調整回数判定段階とを有することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、出力した低濃度部分における階調パターンで構成されたチャートから読み取った濃度から、操作者の手を煩わさずに、自動的に低濃度部分の出力を調整することが可能である。これにより、出力されたチャートを操作者が見て、適当な補正の値を判断して画像形成装置に入力するという手間が省ける。
請求項2及び請求項10に記載の発明によれば、出力した低濃度部分における階調パターンで構成されたチャートから読み取ったデータを解析して低濃度補正カーブの調整値を算出し、調整された前記低濃度補正カーブを適用した補正値を計算し、前記補正値を画像形成装置に適用することを操作者の手を介さずに行う。これにより、出力されたチャートを操作者が見て、適当な補正の値を判断して画像形成装置に入力するという手間が省けるとともに、確実なガンマ補正の調整が可能になるという特有の効果がある。
請求項3に記載の発明によれば、低濃度部分における立ち上がり位置の調整を操作者の手を介さずに行うことが可能になる。これにより、操作者が感覚で立ち上がり位置の調整値を入力して立ち上がり位置を調整していく手間が省けるという特有の効果がある。
請求項4に記載の発明によれば、低濃度部分におけるグレーバランスの調整を操作者の手を介さずに行うことが可能になる。これにより、操作者が感覚でグレーバランスの調整値を入力してグレーバランスを調整していく手間が省けるという特有の効果がある。
請求項5に記載の発明によれば、調整前の立ち上がり位置における入力値と、ターゲット値が定量的に表され、その入力値の差により立ち上がりのための調整値を算出するので、人の感覚で調整値を決定していくよりも正確に調整を行うことが可能になる。これにより、迅速で正確な低濃度部分の立ち上がり位置を調整した補正が可能になるという特有の効果がある。
請求項6に記載の発明によれば、基準とするグレー位置の現在の入力値と、ターゲット値が定量的に表され、その入力値の差により低濃度部分のグレーバランスのための調整値を算出するので、人の感覚で調整値を決定していくよりも正確に調整を行うことが可能になる。これにより、迅速で正確な低濃度部分におけるグレーバランスを調整した補正が可能になるという特有の効果がある。
請求項7に記載の発明によれば、画像形成装置における低濃度部分における立ち上がり位置の調整とグレーバランスの調整の両方を行うことが可能となる。これにより、立ち上がり位置を調整したためにグレーバランスが崩れたり、グレーバランスを調整したために立ち上がり位置がずれたりせず、両方のバランスがとれた階調特性の調整が可能になるという特定の効果がある。
請求項8に記載の発明によれば、階調特性の調整のために読み込むチャートのパターンがランダムに配置されており、紙面のどの場所に画像が形成されるかにより濃度が異なってしまうといった、チャートを打ち出す紙の特性によるチャートに打ち出されたパッチへの影響が軽減できる。これにより、紙の特性の違いによる影響を抑えた正確なデータを取得することが可能になるという特有の効果がある。
請求項9及び請求項11に記載の発明によれば、階調特性の調整を行っていく場合に、目標とする範囲に階調特性が調整できるまで調整を繰り返すことで、確実な階調特性の調整が可能になるともに、繰り返しが無限に続くことを防止することが出来る。これにより、適当な回数内でより正確な階調特性の調整が行うことが可能になるという特有の効果がある。
本発明に係る画像形成装置の実施の形態の一例について図面を参照しながら詳細に説明する。
〔第1の実施形態〕
図1は本発明に係る画像形成装置のブロック図、図2は本発明で調整の対象となるガンマ特性(以下、階調特性ということがある。)の低濃度部分を示したグラフ、図3は低濃度部分の補正を行うための低濃度補正カーブを表したグラフである。ここで、調整とは低濃度補正カーブのオフセット値や傾きを変更することである。
図1に示すように、装置の構成としては、画像形成装置1、出力部2、読取部3、算出部4、出力調整部5、及び画像形成部6を備えている。そして、これら各部は画像形成装置1が有するCPU7により制御されている。図2は横軸を画像形成装置1で形成しようとするパッチの濃度の入力値、縦軸を入力値に対し実際に読取部3で読み取られたパッチの濃度の出力値である。さらに、階調特性曲線8は補正を行わない場合の画像形成装置1の出力であり、階調補正カーブ9は階調特性曲線8を有する画像形成装置1の全ての濃度領域における補正を行うための従来の階調補正カーブをあらわしている。そして、低濃度部分10は本発明で調整しようとする部分を示している。さらに、図3は軸の取り方は図2と同様であり、低濃度補正カーブ11は低濃度部分10を補正するための補正カーブを表している。そして、画像形成装置1は全体的に補正するための階調補正カーブ9及び低濃度部分10を補正するための低濃度補正カーブ11を基に補正可能な画像形成装置である。また、画像形成装置1は画像形成部6で画像を形成する。階調特性曲線8は、この画像形成部6の特性の影響が大である。
以下、図1、図4及び図5を参照しながら第1の実施形態の画像形成装置1の動作を説明する。まず、図4のステップS01において、低濃度部分における階調パターンで構成されたチャートを出力部2より出力する。次に、図4のステップS02において、出力したチャートにおける各パッチの濃度の出力値を読取部3で読み取る。これにより、補正を加える前の階調特性をそのまま反映した図2に示す低濃度部分10における出力値を読み取ることができる。次に、図4のステップS03において、算出部4が、読取部3で読み取られた濃度の中から、所望の出力値を有するパッチの入力値を、低濃度補正を調整する基準とする入力値として抽出する。さらに、算出部4は、調整するためのターゲット値を受けて、その値における調整後の出力値が、基準とする入力値における調整前の出力値になるように、低濃度補正カーブ11のオフセット値を算出する。ここで、ターゲット値を受ける手段としては、事前に操作者が入力したり、事前に固定値として設定されていたり、ネットワークから読み込んだりする手段が考えられる。本実施形態では事前に操作者が入力する手段を採用している。
ここで、図5を参照して算出部4による調整値の算出方法を詳細に説明する。図5の横軸はパッチデータの入力値、縦軸は入力値に対応した実際の出力値の値が表されている。また、グラフ中の曲線は階調補正カーブ9であり、直線111は調整前の低濃度補正カーブ、直線112は調整後の低濃度補正カーブである。そして、低濃度部分10の調整の影響が高濃度部分に及ばないように、ここでは入力値128で横軸と接するようにしている。この値は他の値をとることも可能である。そして、オフセットをするための調整値αの値を変えることで低濃度補正カーブ11の調整が行われるようにするため、低濃度補正カーブ11の式はy=−{α/(n/2)}x+αと表される。ここで、nは階調数の最大値であり、本実施形態ではn=255としている。ただし、最初の調整時には直線111は調整前には適用されていないので、オフセットは0となる。このような図5において、低濃度補正を調整するための基準とする入力値をA'、低濃度補正カーブ11を調整する前の画像形成装置1に入力値A'を入力したときの出力値をB'+C'、ターゲット値A、低濃度補正カーブ11を調整した後の画像形成装置1に入力値Aを入力したときの出力値B+Cとする。このときB'+C' とB+Cが等しくなるよう、低濃度補正カーブ11のオフセットをするための調整値αを調整するものである。
そして、ステップS04において、出力調整部5が調整値αに基づき低濃度部分10における出力を調整する。
これにより、ターゲット値の入力に対して、基準とする入力値における調整前の出力値を出力するための調整用オフセット値が得られ、所望する入力値と出力値の対応が可能となるので、低濃度部分での補正が適切に行われるようになる。
ここで、本実施形態において、低濃度補正カーブ11を調整して低濃度部分10の補正を行い適切な出力を得るための最良の方法としては、低濃度補正用カーブ11の調整において基準とする入力値を色がのり出す値を表す立ち上がり位置にとることが考えられる。
そこで、以下、立ち上がり位置を調整する場合の、具体的な低濃度補正カーブ11の調整方法について。図5、図6、図7を参照して説明する。図5は調整値算出方法の説明図、図6は立ち上がり位置調整用のチャート、図7は読み取ったデータの解析結果のグラフである。
まず、図6に示す立ち上がり位置調整用チャートを画像形成部6で形成し出力部2で出力する。そのチャートは、階調パターンを施されたパッチを有する。そのチャートを読取部3で各パッチの濃度の出力値であるパッチデータを読み取る(図1参照)。ただし、図6は図示して表されていないが、実際は左側から右へいくほどに濃くなるカラーチャートである。ここでCMYK値のパッチデータは対応したRGB値の画像チャンネルでデータが算出されている。ここで、CMYKの読込みに対応する画像チャンネルとは、CyanはRedと、MagendaはGreenと、YellowはBlueと、BlackはGreenとにそれぞれ対応している。これは、例えばCyanの濃度が変化するのは、白色からRedの吸収される量で決まるからである。また、Blackではもっともダイナミックレンジを広く取れるGreenを使用する。
次に、図7を参照してデータの解析方法を詳細に説明する。まず、図7の横軸はパッチの入力値(画像形成部6で画像形成される前の値であって、予め設定されていても良いし、入力された値であってもよい。)、縦軸は読取部3で実際に読み取ったパッチの出力値を表している。つまり、図7は、画像形成部6を含む画像形成装置としてのパッチに対する入出力特性を示す。そして、グラフ上にRGB輝度値として算出されたパッチデータの値の点を取っていく。例えば、点Tはパッチデータの入力値が225、出力値が165の点を表している。また、入力値に対し平行に伸びている線12は各色の白基準を表している。この白基準は、本来図6における下から2行目の白パッチを読み取ったデータをグラフに表し、それらの点を結んで出来るものである。しかし、読み取った画像の輝度勾配の影響により紙の輝度値が場所によって異なるので、本実施形態では白パッチの平均値を白基準とする。次に、高濃度側の誤差に影響を受けないように、グラフに表した点のうち白基準からRGB輝度値が2以上低く(濃く)なったパッチから10個分のデータを利用して、最小自乗法により近似直線13を得る。そして、得られた近似直線と白基準との交点が調整前の紙の色がのり出す値(立ち上がり位置14)となる。そして、CMYKの各色彩における調整前の立ち上がり位置14の値を読み取る。ここでは一例として、Cyanの調整前の立ち上がり位置14の値をXa'とする。さらに、調整後の立ち上がり位置としたい値をターゲット値15とする。これは通常250付近に設定される。図7ではXaがターゲット値15としてとして表されている。
次に、以上で得られたデータから調整値を算出する方法を、図5を参照して詳細に説明する。図5と図7の値の関係は、階調数の最大入力値nから図7での値を引いたものが図5の入力値となる。本実施形態ではn=255である。そこで、まず、得られているRGB輝度値のデータから調整前の入力値とターゲット値を算出する。ここでは、調整前の入力値はA'=255−Xa'、ターゲット値はA=255−Xaである。そして、この値を利用して、調整前の入力値A'における補正による出力値を計算する。図5ではA'に対応する階調補正カーブ9で補正された出力値をB'とする。階調補正カーブ9の値は定まっているので、出力値B'は算出できる。さらに、低濃度補正カーブ11による補正が加わっており、A'における直線111の値はC'なので、実際の出力値はB'+C'となる。これにより、現在の立ち上がり位置の入力値A'における出力値がB'+C'と算出できる。ただし、最初の調整時には直線111は調整前には適用されていないので、オフセットは0であり、その場合出力値はB'となる。
次に、ターゲット値に対する出力値が、現在の立ち上がり位置の入力値に対する出力値となるように調整後の低濃度補正カーブである直線112を決めればよい。図5の例によると、ターゲット値Aでの出力値がB'+C'になるようにαを決定する。ここで、ターゲット値Aにおける階調補正カーブ9で補正された出力値はBである。さらに本実施形態ではn=255である。したがって、B+{−(α/128)A+α}=B'+C'からαが算出できる。よって、求める低濃度部分10を補正するための低濃度補正カーブである直線112が算出でき、これを階調補正カーブ9に加えたものが調整後の補正の曲線になる。
そして、求めたガンマ補正の曲線を図2の階調特性に適用することで、傾き1の原点を通る直線に近似した曲線が作成できる。これにより、低濃度部分10での適切な階調の立ち上がりが実現できる。
〔第2の実施形態〕
本発明に係る第2の実施形態について図5、図8、図9を参照して説明する。図5は調整値算出方法の説明図、図8はグレーバランス調整用のチャート、図9はグレーバランスのデータの解析結果のグラフである。本実施形態は第1の実施形態の画像形成装置1において、基準とする入力値を低濃度部分10の基準とするグレーの値としたものである。
ここで、第2の実施形態は、第1の実施形態とほぼ同じ構成であるが、第1の実施形態とは異なり、低濃度補正カーブ11を調整して低濃度部分10の補正を行い適切な出力を得るための方法として、グレーバランス調整を基準に低濃度補正用カーブ11の調整をおこなう構成としたものである。
まず、図8に示すグレーバランス調整用チャートを出力部2で出力し、そのチャートから読取部3で読み込み、各パッチのCMYK値のデータを取得する(図1参照)。ここで、第1の実施形態と同様、取得したCMYK値のパッチデータを、対応したRGB値の画像チャンネルを用いて変換し、対応したRGB輝度値のパッチデータを算出する。
ここで、図8のグレーバランス調整用チャートを説明する。このチャートは7×7のグラデーションパターンを4つ並べた構成になっている。各パターンはCyanの濃度が固定で、縦方向に下がるほどにYellowが濃くなり、右方向に行くほどにMagentaが濃くなるように濃度が7段階に変化している。そして、図8において(A)、(B)、(C)、(D)の順にグラデーションパターンの濃度が濃くなっている。ただし、低濃度部分10のグレーバランス調整を行うためのものであるから、低濃度のグラデーションパターンになっている。そして、各7×7パターンは中心位置のCMYK値がYellow=Magenta=Cyanの入力値に対応する出力となるように設定されている。したがって、中心位置の出力値が色の偏りが無い基準グレー(すなわちYellow=Magenta=Cyan)に最も近くなる状態が、グレーバランスが取れた状態となる。
次に、データの解析方法を詳細に説明する。まず、算出したRGB値のパッチデータを、3DLUT(3 Demension Look Up Table)などの変換テーブルを用いてL*a*b*値に変換する。次に入力値128での出力をL*a*b*値に変換した値と入力値0での出力をL*a*b*値に変換した値をL*a*b*空間にて結びこれを基準とするグレーの直線とする。そして、チャートを読込み読み取った各パッチデータと基準とするグレーの直線との距離を算出する。この算出された値を読み取ったグラデーションパターンと同じ7×7のチャートの上に表現する。このグラフが図9の(A−1)、(B−1)、(C−1)、(D−1)である。
ここで、図9について説明する。図9の(A−1)(A−2)、(B−1)(B−2)、(C−1)(C−2)、(D−1)(D−2)における7×7のグラフは、それぞれ図8の(A)、(B)、(C)、(D)の7×7のグラデーションパターンに対応している。そして、図9(A−1)、(B−1)、(C−1)、(D−1)はパッチデータと基準とするグレーの直線との距離が等しい点を結んだものであり、さらに、色の濃淡により距離の大小を表している。すなわち、色が濃い場所(黒の場所)がもっとも基準とするグレーの直線からの距離の小さい位置となっており、色が薄くなるにつれて、基準とするグレーの直線からの距離も大きくなっていく。
そして、グレーの直線からの距離がもっとも近いパッチを4つ抽出する。このパッチを抽出した図が、図9(A−2)、(B−2)、(C−2)、(D−2)である。そして、図9(A−2)、(B−2)、(C−2)、(D−2)に表されている抽出した点のうち、基準グレーからの距離の近い上位3点を用い、各点の基準グレーからの距離を重み付けとして重心をもとめ、グレーバランスからの距離が最小となる点を求める。この点が、基準グレー位置となる。
以上から得られたデータから調整値を算出する方法を、図5を参照して説明する。調整の概要としては、7×7グラデーションパターンの中心での入力値に対する出力値が、求めた重心での入力値での現在の出力値になるよう調整すればよい。図5での一例としては、図8(A)の中心(Cyan=Magenta=Yellow)での値がターゲット値A、基準グレー位置の入力値がA'となる。そして、以下は第1の実施形態と同様の計算により低濃度補正カーブ11の調整値を算出する。
そして、求めた調整値に基づき低濃度補正部分における出力を調整することで、傾き1の原点を通る直線に近似した補正曲線で補正された出力を得ることができる。これにより、低濃度部分10でのグレーバランスが維持できる。
〔第3の実施形態〕
本発明に係る第3の実施形態について説明する。本実施形態は第1の実施形態とほぼ同じ構成であるが、第1の実施形態とは異なり、画像形成装置1における低濃度補正カーブ11の調整において、立ち上がり位置の調整とグレーバランスの調整の両方の調整を行うことが可能な構成にしたものである。
本実施形態では、まず立ち上がり位置の調整を第1の実施形態と同様の方法で行い、次にグレーバランスの調整を第2の実施形態と同様の方法で行う。これにより、安定した階調の立ち上がり、及びおおよそのグレーバランスの維持が可能になる。
また、本実施形態では、両方の調整を行うときに、各別のチャートを出力するのは面倒なため、立ち上がり調整用チャートとグレーバランス調整用チャートをひとつにまとめたチャートを使用することも可能である。
〔第4の実施形態〕
本発明に係る第4の実施形態について説明する。本実施形態は第1〜3の実施形態とほぼ同じ構成であるが、第1〜3の実施形態とは異なり、出力部2から出力される階調特性の調整のためのチャートのパターンをランダムにしたものである。
図10は本実施形態において出力されるチャートの一例である。このチャートでは、図示して表されてはいないが、カラーチャートであり、図6の立ち上がり位置調整用チャートを構成しているCyan、Magenta、Yellow、Black、の各パッチと、図8のグレーバランス調整用チャート構成しているグレーのグラデーションパターンの各パッチ、さらに複数の白パッチを、1つのチャート上にランダムに配置している。
これにより、紙面上にパッチを規則的に並べた場合には、紙面の特定の部分に一定の濃度のパッチが集まってしまい、紙面の特性の影響が特定の濃度でのみ出てしまうことがあるが、ランダムに各濃度のパッチを配置すれば、紙面全体に全ての濃度のパッチが均等に出力されるので、紙面の特性の影響を特定の濃度のパッチだけが受けてしまうということがない。したがって、より正確な出力値を測定することができ、その値を使って低濃度補正カーブ11の調整を行えば、より正確な補正が可能になる。
さらに、本実施形態では、全てのパッチを2つずつばらばらに配置することも考えられる。具体的には、図6の立ち上がり位置調整用チャートを構成する各パッチと、図8のグレーバランス調整用チャートを構成する各パッチを2組ずつ用意し、これに複数の白パッチを加えたものを、1つのチャート上にランダムに配置したものである。こうすることで、同じ濃度のパッチが紙面の異なる場所に出力されるので、紙の特性によるパッチ出力の影響をより抑えることが可能になる。
〔第5の実施形態〕
本発明に係る第5の実施形態について、図11、図12を参照しながら説明する。本実施形態は第1〜3の実施形態とほぼ同じ構成であるが、第1〜3の実施形態とは異なり、調整した出力がターゲット値に対する出力値の許容範囲に収まるまで繰り返す構成である。
図11に示すように、本実施形態の画像形成装置1は、出力部2、読取部3、算出部4、出力調整部5、画像形成部6、記憶部16、調整値判定部17、及び調整回数判定部18を有する構成である。そして、各部がCPU7で制御されている。ここで、記憶部16はターゲット値を入力したときに出力される値の調整された出力として許容される範囲を記憶するものである。また、調整値判定部17は、調整された後のチャートから読み取った出力が調整された出力として許容される範囲に収まっているか否かを判定するものである。さらに、調整回数判定部18は低濃度補正用カーブの調整を行う毎に、カウンターを増やしていき、低濃度補正用カーブの調整が上限として設定された回数以上行われているか否かを判定するものである。
図12のフローチャートを参照して、本実施形態のフローを説明する。まずステップS1からステップS4で1度目の立ち上がり位置調整を第1の実施形態と同様に行い、ステップS3で調整回数判定部18の第1カウンターをインクリメントする。次に、ステップS5で調整した低濃度補正カーブ11が加えられた補正が適用された画像形成装置1から、調整用チャートを出力部2で出力し、ステップS6で再度その調整用チャートを読取部3で読み込み調整回数判定部18の第1カウンターをインクリメントする。次に、ステップS7で目標としていた立ち上がり位置のパッチの範囲に読み込んだデータの立ち上がり位置が収まっているかを調整値判定部17で判定する。
そこでまず、判定した結果が範囲外だった場合について説明する。その場合には、まず、ステップS8で第1カウンターの値が設定値n以上かを判定する。設定値n以上の場合、読み込んだチャートからのデータを使用して、ステップS4で再び第1の実施形態と同様の立ち上がり位置調整を行い、ステップS5で調整用チャートを出力し、ステップS6で再び調整用チャートを読込み、第1カウンターをインクリメントする。さらに、ステップS7で立ち上がり位置が目標の範囲内かどうかを判定し、範囲外であれば同様の調整を繰り返し、カウンターもインクリメントしていく。
そうして、このような立ち上がり位置調整を繰り返し、ステップS8でカウンターが事前に設定してある閾値を超えた場合には、立ち上がり位置調整を終了しグレーバランス調整に移る。
次に、判定した結果が範囲内の場合について説明する。この場合には、調整用チャートから読み込んだデータを使用して、ステップS9でグレーバランス調整を第2の実施形態と同様に行う。そして、グレーバランス調整した低濃度補正カーブ11が加えられた補正が適用された画像形成装置1から、ステップS10で調整用チャートを出力し、ステップS11で再度その調整用チャートを読み込み、第2カウンターをインクリメントする。次に、ステップS12において調整の目標としていたグレーバランスの規格値以内に出力値が収まっているかどうかを判定する。
そこで、出力値が規格以外ならば、読み込んだ調整チャートを使用して、ステップS9からステップS11で、再度グレーバランス調整を繰り返すとともにカウンターをインクリメントしていき、規格以内ならば、ステップS14で調整を終了する。この場合も、ステップS12で事前に設定してある閾値nをカウンターが超えている場合にはグレーバランス調整を終了する。
本実施形態では、立ち上がり位置が目標の範囲内に収まった後に、グレーバランスの調整を行い、グレーバランスの規格値以内に出力値が収まっているかを判定している。しかし、立ち上がり位置調整とグレーバランス調整の2項の両立が困難な場合も考えられるので、ステップS10からステップS13までのグレーバランスの判定を行わずにステップS9の後ステップS14で終了する構成も考えられる。
画像形成装置のブロック図 画像形成装置の階調特性を示したグラフ ガンマ補正と低濃度部分の補正を重ねたグラフ 本発明に係る第1の実施形態におけるフローチャート 調整値算出方法の説明図 立ち上がり位置調整用チャート RGB輝度値の入力値と、測定した出力値を表したグラフ グレーバランス調整用チャート グレーバランスのデータ解析結果を表したグラフ パッチをランダムに配置した立ち上がり位置及びグラデーション調整用チャート 本発明に係る第5の実施形態における画像形成装置のブロック図 本発明に係る第5の実施形態におけるフローチャート
符号の説明
1 画像形成装置
2 出力部
3 読取部
4 算出部
5 出力調整部
6 画像形成部
7 CPU
8 階調特性曲線
9 階調補正カーブ
10 低濃度部分
11 低濃度補正カーブ
111 調整前の低濃度補正カーブ
112 調整後の低濃度補正カーブ
12 CMYK各色彩の白基準
13 CMYK各色彩の近似直線
14 CMYK各色彩の立ち上がり位置
15 ターゲット値
16 記憶部
17 調整値判定部
18 調整回数判定部

Claims (11)

  1. 低濃度部分における階調パターンで構成されたチャートを出力する出力部と、
    前記チャートから各パッチの濃度を読み取る読取部と、
    前記濃度からガンマ補正を行うための調整値を算出する算出部と、
    前記算出した調整値に基づいて低濃度部分における出力を調整する出力調整部と
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記出力調整部は、階調特性を全体的に補正するための階調補正カーブ、及び前記調整値をパラメータとして含む低濃度補正カーブを基にガンマ補正を行うものであって、
    前記算出部は、前記濃度から調整の基準とする入力値を抽出し、さらに、調整するためのターゲット値を受けて、前記基準とする入力値と前記ターゲット値を基に前記階調補正カーブと前記低濃度補正カーブを参照して、低濃度補正の調整用オフセット値を前記調整値として算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記基準とする入力値は、前記低濃度部分の階調における色がのり出す値であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記基準とする入力値は、前記低濃度部分の基準とするグレーの値であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  5. 前記算出部は、前記濃度から前記パッチの入出力特性を基に出力値を求める手段と、前記入出力特性から前記基準とする入力値である調整前の前記色がのり出す値を示す立ち上がり位置を決定する立ち上がり位置決定手段と、前記立ち上がり位置調整前の前記低濃度補正カーブのオフセット値を検出する調整前オフセット値検出手段と、目標とする立ち上がり位置を表すターゲット値を受けて、前記調整前の立ち上がり位置と前記ターゲット値と前記調整前の低濃度補正カーブのオフセット値から前記調整用オフセット値を算出する調整値算出手段とを備えることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
  6. 前記チャートはグレーのグラデーションパターンで構成され、
    前記算出部は、前記濃度のデータから前記パッチの入出力特性を基に出力値を求める手段と、前記入出力特性から前記基準とする入力値である基準グレー位置を判定するグレー位置判定手段と、グレーバランス調整前の前記低濃度補正カーブのオフセット値を検出する調整前オフセット値検出手段と、グレーバランスを調整するためのターゲット値を受けて、前記調整前の基準とするグレー位置と前記ターゲット値と前記調整前の低濃度補正カーブのオフセット値から前記調整用オフセット値を算出する調整値算出手段とを備えることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
  7. 前記基準とする入力値は、前記低濃度部分の階調における色がのり出す値と前記低濃度部分の基準とするグレーの値の両方であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  8. 前記チャートのパターンがランダムであることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  9. 前記ターゲット値に対する出力値の許容範囲を記憶する記憶部と、前記調整後に前記補正を行って出力された画像を読み込み、その読み込んだ値が前記ターゲット値に対する出力値の許容範囲に入っているかどうかを判定し、前記目標とする範囲内ならば調整を終了し、前記目標とする範囲外ならば低濃度補正カーブの再調整を行う調整値判定部と、前記再調整の回数が設定した上限を超えた場合に調整を終了する調整回数判定部とを更に備えることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  10. 画像形成装置の階調特性を全体的に補正するための階調補正カーブ、及び低濃度部分を補正するための低濃度補正カーブを基に補正可能な画像形成方法であって、
    低濃度部分における階調パターンで構成されたチャートを出力する第1の出力段階と、
    作成した前記チャートにおける各パッチの濃度を読み取る読取段階と、
    前記濃度のデータから調整の基準とする入力値を抽出し、さらに、調整するためのターゲット値を受けて、前記基準とする入力値と前記ターゲット値を基に補正カーブを参照して低濃度補正の調整用オフセット値を算出する算出段階と、
    前記調整用オフセット値を基に低濃度補正部分における出力を調整する出力調整段階と
    を有することを特徴とする画像形成方法。
  11. 前記ターゲット値に対する出力値の許容範囲を記憶する記憶段階と、
    前記出力調整段階の後に低濃度部分における階調パターンで構成されたチャートを出力する第2の出力段階と、
    出力されたチャートを読み取り、その読み込んだ値がターゲット値に対する出力値の許容範囲に入っているかどうかを判定し、目標とする範囲内ならば調整を終了する判定段階と、
    目標とする範囲外ならば前記読取段階、前記算出段階、前記第2の出力段階、及び前記判定段階を繰り返し、出力値を再調整する段階と、
    再調整の回数が設定した上限を超えた場合に調整を終了する調整回数判定段階と
    を有することを特徴とする請求項10に記載の画像形成方法。
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