JP2007278803A - 肝細胞癌マーカー及び肝細胞癌の検査法 - Google Patents
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Abstract
Description
現在、肝細胞癌の腫瘍マーカー(診断マーカー)としてAFP、PIVKA−II、AFPレクチン分画が臨床診断で利用されている。これらの3種類の腫瘍マーカーにはそれぞれ特徴がある。AFPは肝炎、肝硬変、肝細胞癌で上昇することから、肝細胞癌の腫瘍マーカーとしての特異性に欠ける。PIVKA−IIはAFPとの相関性がなく、肝細胞癌に対する特異性の高い腫瘍マーカーといわれているが、肝硬変でも上昇することがある。AFPレクチンL3分画は、肝細胞癌と肝硬変とを鑑別することが唯一可能であるといわれるが、小肝細胞癌での陽性率は低いとされている。必要に応じてこれらの腫瘍マーカーを組み合わせて肝細胞癌の検出が試みられるが、現在の臨床検査では肝硬変から肝細胞癌への移行について、約20%強を検出できていない。
本発明は主として上記知見ないし成果に基づくものであり、以下の検査法及びを提供する。
[1]以下の構造式で表されるトリシアリル糖鎖からなる肝細胞癌マーカー。
[3]被験者より採取された検体中の前記肝細胞癌マーカーの量と、該検体中に含まれ、肝細胞癌患者と健常者との間で量の差が小さい特定の糖鎖の量との比率を用いて検査結果を得ることを特徴とする、[2]に記載の肝細胞癌の検査法。
[4]前記特定の糖鎖が、前記検体中に含まれるトリシアリル糖鎖であることを特徴とする、[3]に記載の肝細胞癌の検査法。
[5]以下のステップ(1)及び(2)を含み、被験者より採取された検体中の前記肝細胞癌マーカーの量の増減が調べられることを特徴とする、[2]に記載の肝細胞癌の検査法、
(1)被験者より採取された検体中の前記肝細胞癌マーカーの量を測定するステップ、及び
(2)前記ステップで測定された前記肝細胞癌マーカーの量と、以前に同一の被験者より採取された検体中の前記肝細胞癌マーカーの量とを比較し、前記肝細胞癌マーカーの量の増減を評価するステップ。
[6]以下のステップ(1)及び(2)を含み、被験者より採取された検体中の前記肝細胞癌マーカーの量と、健常者より採取された検体中の前記肝細胞癌マーカーの量との差又は比が評価されることを特徴とする、[2]に記載の肝細胞癌の検査法、
(1)被験者より採取された検体中の前記肝細胞癌マーカーの量を測定するステップ、及び
(2)前記ステップで測定された前記肝細胞癌マーカーの量と、健常者より採取された検体中の前記肝細胞癌マーカーの量とを比較し、両者の差又は比を評価するステップ。
[7]
検査結果が、肝硬変から肝細胞癌へ進行したか否かの判定、又は肝硬変から肝細胞癌へ進行する徴候があるか否かの判定に利用されることを特徴とする、[2]〜[6]のいずれかに記載の肝細胞癌の検査法。
[8]前記ステップ(1)が以下のステップを含む、[5]〜[7]のいずれかに記載の肝細胞癌の検査法、
(1-1)被験者より採取された検体から糖鎖を調製するステップ、
(1-2)調製した糖鎖を標識化するステップ、
(1-3)標識化糖鎖を陰イオン交換カラムに供し、トリシアリル糖鎖画分を分取するステップ、及び
(1-4)分取したトリシアリル糖鎖画分を、ODSシリカカラムを使用した高速液体クロマトグラフィーに供し、該高速液体クロマトグラフィーの溶出パターンを分析して前記肝細胞癌マーカーの量を算出するステップ。
[9]前記検体が血清である、[2]〜[8]のいずれかに記載の肝細胞癌の検査法。
本発明では、肝細胞癌であるか否かの判定を必要とする者(被験者)に由来する検体が使用される。検体としては、被験者より採取された体液(血液、リンパ液、髄液等)が用いられる。好ましくは被験者より採取された血液を分離して得られる血清を検体とする。即ち本発明の好ましい一形態では被験者の血清中に存在するマーカー糖鎖の量が測定される。血清は調製が容易であるという利点を有する。ところで、他の多くの検査の検体として血清が利用されており、このような検査と同時に本発明の検査法が実施されることも想定される。このような場合、本発明の検査法の検体として血清を採用すれば本発明の実施のために改めて検体を調製する必要がなくなり、被験者及び検査する者の負担が軽減し、検査時間の短縮化も図られる。
試料中のマーカー糖鎖量の測定には高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、核磁気共鳴(NMR)、質量分析などを利用することができる。但し、分離能、定量性、及び簡便性などの観点から、逆相クロマトグラフィーカラムを使用した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を利用してマーカー糖鎖量を測定することが好ましい。
糖鎖の分離能に優れた逆相クロマトグラフィーカラムとしてODSシリカカラムが頻用されており、本発明においてもこれを利用することができる。ここで、ODSシリカカラムとは、担体としてのシリカゲルにオクタデシルシリル(Octadecylsilyl)基を結合させたカラムであり、例えばShim-pack HRC-ODS(島津製作所社製)、Union UK-C18(インタクト社製)、Cadenza CD-C18(インタクト社製)等の名称で市販されている。
(1)糖鎖の調製
まず、被験者より採取された検体から糖鎖を調製する。具体的には被験者より採血した後、血清を分離し、次いで糖鎖を遊離させる。採血及び血清の分離は常法で行うことができる。糖鎖の遊離法としては酵素を利用した方法(酵素化学的手法)と、無水ヒドラジンを利用した方法(化学的手法)が知られている。これらの中のいずれを採用することにしてもよいが操作に熟練を必要としないことや試薬の取り扱いの面から、酵素を利用した方法の方が好ましい。酵素を利用した糖鎖の遊離法の詳細については、糖蛋白質糖鎖研究法 生物化学実験法(高橋禮子著、学会出版センター)等を参照することができる。酵素を利用した糖鎖の遊離法では、グリコペプチダーゼA(グリコアミダーゼ、N-グリカナーゼなどとも呼称される、EC 3.5.1.52)(N.Takahashi、Biochemical and Biophysical Research Communications Volume 76,Issue 4,20 june 1977,1194-1201)が使用される。グリコペプチダーゼAは市販されており(例えば生化学工業社製のグリコペプチダーゼA;アーモンド)、容易に入手可能である。グリコペプチダーゼAの使用法は製品に添付された説明書又は上掲の文献などに従えばよい。但し、グリコペプチダーゼAを作用させる操作に先立って、試料に対してタンパク質分解酵素(好ましくはペプシン)を作用させることが好ましい。グリコペプチダーゼが作用し易くなり、糖鎖の遊離を効率的に行うことができるからである。尚、グリコペプチダーゼの作用を妨げない限りにおいて、タンパク質分解酵素をグリコペプチダーゼと同時に作用させてもよい。
糖鎖を遊離させた後、糖鎖を分離精製する。例えば、グリコペプチダーゼAを作用させた後の試料に対して蛋白分解酵素(プロナーゼ、ブロメライン(EC 3.4.22.)など)を更に作用させる。これによって残存するペプチドが断片化される。次に、試料をゲルろ過カラムに供し、分子量の差に基づいて糖鎖を分画する。
糖鎖の標識法としては2−アミノピリジンで蛍光標識する方法(PA化法)と、トリチウムラベルで放射線標識する方法等が知られている。試薬が取り扱い易く、検出も高速液体クロマトグラフィーで行えて比較的容易である点などを考慮すれば、2−アミノピリジンによる蛍光標識法を採用することが好ましい。2−アミノピリジンによる蛍光標識法として、2−アミノピリジン塩酸溶液を蛍光標識剤として、水素化シアノホウ素ナトリウム(NABH3CH)を還元剤として使用する方法(S.Hase, et.al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 85, 257-263 (1978)、S.Hase, T.Ibuki, T.Ikenaka,J.Biochem, Vol.95, 197-203(1984))と、2−アミノピリジン無水酢酸溶液を蛍光標識剤として、ボランジメチルアミンコンプレックスを還元剤として使用する方法(Kondo,et.al. Agric. Biol. Chem. 54, 2169 〜2170 (1990))が知られている。前者は使用する装置が少なく、簡便である。また、後者については専用の装置(GlycoTAG(登録商標)、タカラバイオ株式会社)が市販されており、当該装置を利用することもできる。PA化の際の還元剤として上記の還元剤の他、ボラン-N,N-ジエチルアニリンコンプレックス(C6H5N(C2H5)2・BH3)、ボラン−ピリジンコンプレックス(C5H5N・BH3)などを利用してもよい。
標識化操作に続いて標識化糖鎖の精製を行う。例えば、標識化後の試料をゲルろ過カラムに供し、分子量の差に基づく分画によって夾雑物を除去する。標識化糖鎖の精製方法としてアミノカラムを使用する方法も提案されており(特開平8−228795号公報)、当該方法を採用してもよい。
標識化糖鎖を、DEAE(diethlaminoethil)カラム等の陰イオン交換カラムに供し、シアル酸残基の数によって中性糖鎖、モノシアリル糖鎖、ジシアリル糖鎖、トリシアリル糖鎖を分離する。トリシアリル糖鎖を分画できる限り、使用する陰イオン交換カラムの種類は特に限定されない。DEAEカラムとしては、市販のTSK−GEL DEAE-5PW(トーソー社製)等を利用することができる。
(5)ODSシリカカラムを使用したHPLC分析
HPLC装置にODSカラムを装填し、常法に従い平衡化する。続いて、市販の標準PA化グルコース重合体混合物をカラムに流し、カラムの状態を確認するとともに、溶出位置の補正規格化を行う。これによって、目的の糖鎖(即ちマーカー糖鎖)の溶出時間(溶出位置)が決定される。次に、上記の方法で調製したトリシアリル糖鎖画分をカラムに流す。得られたHPLCの溶出パターン(チャート)から、溶出時間を指標として目的の糖鎖のピークを特定し、その面積を求める。得られた面積から、検体(血清)中のマーカー糖鎖の量を算出する。また、目的の糖鎖の面積と他の糖鎖の面積とを比較する。
本発明では、以上のようにして算出された検体中のマーカー糖鎖量を用いて肝細胞癌の判定に有用な情報を得る。
(1)糖鎖bの量/糖鎖aの量、(2)糖鎖bの量/糖鎖cの量、(3)糖鎖bの量/(糖鎖aの量+糖鎖cの量)、(4)糖鎖bの量/(糖鎖aの量+糖鎖bの量+糖鎖cの量)
尚、各糖鎖の量としてはHPLC分析の溶出チャートのピーク面積(又はピーク面積比)を用いることができる。
健常者の検体中のマーカー糖鎖量の測定は、被験者の検体中のマーカー糖鎖量の測定と同様の手順で行われる。また、予め健常者についてのマーカー糖鎖量が明らかになっている場合は、当該マーカー糖鎖量を比較対照として用いても良い。
この態様においても、上記の態様と同様に、同一の検体中に含まれる特定の標準糖鎖(内部標準)の量を利用してマーカー糖鎖量を評価することにしてもよい。即ち、以下の(1)〜(4)のいずれかで算出される値(マーカー糖鎖の比率)を用いてマーカー糖鎖の量を評価してもよい。この場合、エピメル化されていない糖鎖とエピメル化後の糖鎖の総量、エピメル化されていない糖鎖の量、又はエピメル化された糖鎖の量を用いることができる。
(1)糖鎖bの量/糖鎖aの量、(2)糖鎖bの量/糖鎖cの量、(3)糖鎖bの量/(糖鎖aの量+糖鎖cの量)、(4)糖鎖bの量/(糖鎖aの量+糖鎖bの量+糖鎖cの量)
治療と並行して本発明の検査法を実施して病態の変化をモニターすれば、治療効果を確認することができ、的確な治療方針の決定を可能にする。このように本発明の方法は、肝疾患に罹患した患者に対する的確な治療方針の決定に有益な情報を与えるものであり、患者のQOL(生活の質)向上に多大な貢献をする。
尚、この態様での評価についても、上記の態様と同様に、同一の検体中に含まれる特定の標準糖鎖(内部標準)の量を利用して行うことにしてもよい。即ち、以下の(1)〜(4)のいずれかで算出される値(マーカー糖鎖の比率)を用いてマーカー糖鎖の量を評価してもよい。この場合、エピメル化されていない糖鎖とエピメル化後の糖鎖の総量、エピメル化されていない糖鎖の量、又はエピメル化された糖鎖の量を用いることができる。
(1)糖鎖bの量/糖鎖aの量、(2)糖鎖bの量/糖鎖cの量、(3)糖鎖bの量/(糖鎖aの量+糖鎖cの量)、(4)糖鎖bの量/(糖鎖aの量+糖鎖bの量+糖鎖cの量)
新規な肝細胞癌マーカーを見出すことを目的として、肝細胞癌患者の血清の糖鎖プロファイリング(構造解析)を実施した。
1.実験方法
肝細胞癌と診断された合計9名の患者について、肝細胞癌発症前及び発症後の血清を用意した(9検体×2)。肝細胞癌発症前の検体は、肝細胞癌発症後よりも6〜8年前のものである。これらの患者は全てC型肝炎ウイルス(Hepatitis C virus,以下「HCV」と略記する)感染者であった。比較対照として健常者4名の血清を用いた。以上の13名22検体について、血清中のN結合型糖鎖の構造を解析した。構造解析には3-Dマッピング法(Trendes in Glycosciene and Glycotechnology Vol15 No.84 july2003)を利用した。3-Dマッピング法とは、糖タンパク質より切り出されたN-結合型糖鎖を蛍光ラベル化した後、3種類のカラム(DEAEカラム、ODSカラム、Amideカラム)を利用した高速液体クロマトグラフィー(HPLC;SHIMAZU LabSolutionを使用)で分離し、溶出位置から構造を決定する方法であり、GALAXY(Glycoanalysis by the three axes of MS and chromatography)としてインターネット上で公開されている(http://www.glycoanalysis.info/)。3-Dマッピング法では、各カラムでの溶出時間から糖鎖の構造を決定できる。
以下に上記の各HPLC分析の条件を記載する。DEAEカラムを用いたHPLC分析、ODS逆相カラムを用いたHPLC分析、Amideカラムを用いたHPLC分析の条件を記載する。
(1)DEAEカラムを用いたHPLC分析
カラム温度:30℃
溶出条件:B液0%(5min)〜20%(45min)の連続勾配
A液:10%アセトニトリル含有0.01%トリエチルアミン水溶液
B液:10%アセトニトリル含有7.4%トリエチルアミン水溶液(pH7.25〜7.34)
(2)ODS逆相カラムを用いたHPLC分析
カラム温度55℃
溶出条件:B液20%(0min)〜B液50%(60min)の連続勾配、流速1ml/min
検出条件:励起波長320nm、蛍光波長400nm
A液:0.01Mリン酸緩衝液(pH3.8)
B液:ブタノールを終濃度0.5%でA液に添加して得られた溶液
(3)Amideカラムを用いたHPLC分析
カラム温度:40℃
溶出条件: B液0%(0min)〜B液60%(30min)の連続勾配、流速1ml/min
検出条件:励起波長320nm、蛍光波長400nm
A液:10%アセトニトリル含有7.4%トリエチルアミン水溶液(pH7.25〜7.34)とアセトニトリルを35:55の比率で混合した溶液
B液:10%アセトニトリル含有7.4%トリエチルアミン水溶液(pH7.25〜7.34)とアセトニトリルを50:40の比率で混合した溶液
今回の分析で確認できる全てのトリシアリル糖鎖の構造を図1の表に示す。一方、肝細胞癌患者検体のODS分析結果(溶出チャート)の代表例を図2(肝細胞癌発症前)及び図3(肝細胞癌発症後)に示す。肝細胞癌発症前の溶出チャート(図2)では、10min〜15minの間に3種類の糖鎖(Ta、Tb、Tc)が認められる。他方、肝細胞癌発症後の溶出チャート(図3)ではTa及びTcのピークは認められるものの、Tbのピークが消失している。このように、ODS逆相カラムを用いたHPLC分析の結果、血清中のトリシアリル糖鎖群の中に肝細胞癌発症前後で量が顕著に変動する糖鎖を認めた。Amideカラムを用いたHPLC分析、及びその後の候補標準品との共打ち試験による構造解析の結果、当該トリシアリル糖鎖(ピーク番号Tb)が以下の構造からなり、Code No 3A2-300.8で表される糖鎖であることが判明した。
表の左欄には、各糖鎖のピーク面積(TA、TB、TC)及びトリシアリル糖鎖全体のピーク面積(Tri-Total)を示した。尚、TAはTaのピーク面積値とTa'のピーク面積値を合算したものであり、エピメル化された分も含めた糖鎖aの量に対応する。同様に、TBはTbのピーク面積値とTb'のピーク面積値を合算したもの、TCはTcのピーク面積値とTc'のピーク面積値を合算したものである。一方、表の右欄にはピーク面積比を示した。
一方、肝細胞癌患者9名中6名の肝細胞癌発症後の検体(1B、2B、3B、4B、5B、7B)では糖鎖bの量(TBのピーク面積値)が健常者の糖鎖bの量(平均値)よりも少ない。即ち、肝細胞癌発症後の検体では糖鎖bの量が健常者に比較して少ない傾向にある。このことから、肝細胞癌の判定の指標として糖鎖bの量が有用であるといえる。
一方、肝細胞癌発症前後で糖鎖bの量の比率(TB/TA、TB/TC、TB/Tri total)を比較すれば、一部の例外を除いて、肝細胞癌発症後の方がその値が小さい。このように、糖鎖bの量の比率が減少することと、肝細胞癌への移行との間に高い相関が認められた。換言すれば、糖鎖bの量の比率は、肝細胞癌の移行を判定するための有効な指標であることが示された。
本発明の肝細胞癌マーカーは肝癌患者の血清中に見出され、少量の血清を用いてその量の評価を行うことが可能である。従って、本発明の肝細胞癌マーカーを指標とすれば、通常の生化学検査や血清検査のために採血されたわずかな検体(血清)の一部を用いた糖鎖分析によって肝細胞癌の検査・診断が可能となる。
一方、本発明の肝細胞癌マーカーを研究目的での使用に供してもよい。例えば、肝細胞癌の発症メカニズムの研究に本発明の肝細胞癌マーカーを利用することができる。
本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
Claims (9)
- 被験者より採取された検体中における、請求項1に記載の肝細胞癌マーカーの量を指標として用いた、肝細胞癌の検査法。
- 被験者より採取された検体中の前記肝細胞癌マーカーの量と、該検体中に含まれ、肝細胞癌患者と健常者との間で量の差が小さい特定の糖鎖の量との比率を用いて検査結果を得ることを特徴とする、請求項2に記載の肝細胞癌の検査法。
- 前記特定の糖鎖が、前記検体中に含まれるトリシアリル糖鎖であることを特徴とする、請求項3に記載の肝細胞癌の検査法。
- 以下のステップ(1)及び(2)を含み、被験者より採取された検体中の前記肝細胞癌マーカーの量の増減が調べられることを特徴とする、請求項2に記載の肝細胞癌の検査法、
(1)被験者より採取された検体中の前記肝細胞癌マーカーの量を測定するステップ、及び
(2)前記ステップで測定された前記肝細胞癌マーカーの量と、以前に同一の被験者より採取された検体中の前記肝細胞癌マーカーの量とを比較し、前記肝細胞癌マーカーの量の増減を評価するステップ。 - 以下のステップ(1)及び(2)を含み、被験者より採取された検体中の前記肝細胞癌マーカーの量と、健常者より採取された検体中の前記肝細胞癌マーカーの量との差又は比が評価されることを特徴とする、請求項2に記載の肝細胞癌の検査法、
(1)被験者より採取された検体中の前記肝細胞癌マーカーの量を測定するステップ、及び
(2)前記ステップで測定された前記肝細胞癌マーカーの量と、健常者より採取された検体中の前記肝細胞癌マーカーの量とを比較し、両者の差又は比を評価するステップ。 - 検査結果が、肝硬変から肝細胞癌へ進行したか否かの判定、又は肝硬変から肝細胞癌へ進行する徴候があるか否かの判定に利用されることを特徴とする、請求項2〜6のいずれかに記載の肝細胞癌の検査法。
- 前記ステップ(1)が以下のステップを含む、請求項5〜7のいずれかに記載の肝細胞癌の検査法、
(1-1)被験者より採取された検体から糖鎖を調製するステップ、
(1-2)調製した糖鎖を標識化するステップ、
(1-3)標識化糖鎖を陰イオン交換カラムに供し、トリシアリル糖鎖画分を分取するステップ、及び
(1-4)分取したトリシアリル糖鎖画分を、ODSシリカカラムを使用した高速液体クロマトグラフィーに供し、該高速液体クロマトグラフィーの溶出パターンを分析して前記肝細胞癌マーカーの量を算出するステップ。 - 前記検体が血清である、請求項2〜8のいずれかに記載の肝細胞癌の検査法。
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