JP2007277252A - 腫瘍の治療及び予防のための自己抗体の使用方法 - Google Patents

腫瘍の治療及び予防のための自己抗体の使用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】腫瘍の治療及び予防のための自己抗体の使用方法の提供。
【解決手段】哺乳動物に、腫瘍細胞の表面と死んだ腫瘍細胞から放出されたタンパク質の一方または両方に結合する自己抗体、例えば加齢した哺乳動物から得られる自己抗核抗体を投与することによって、哺乳動物に存在する腫瘍細胞の成長を抑制する方法。また、加齢した哺乳動物から得られる自然およびモノクローナル自己抗核抗体、並びにモノクローナル自己抗核抗体を産生するハイブリドーマ細胞系。
【選択図】なし

Description

発明の背景
本発明は、腫瘍の治療及び予防のための自己抗体の使用方法に関する。
新形成はよく、体細胞突然変異によって発生する。これらの突然変異が年齢と共に蓄積されてゆくと、その機能の一つとして新形成を調節する免疫系の負担が増加する。しかしながら年齢とともに癌による死亡率が増加するのにもかかわらず、年をとった人の多くは腫瘍が大きくならない。このような免疫力を説明する一説は、ある種の自然抗体が体液性の抗腫瘍免疫で機能していることである(非特許文献1参照)。しかしながらこのような抗体の抗原特異性については、ほとんど知られていない。
免疫系で見いだされている自然抗体の一つのタイプは、自己抗体である。これらの自己抗体は、表だった疾患のない年を重ねた人や実験動物において、若い対照に比べて有意に高い力価で繰り返し検出されている(非特許文献2、3、4参照)。異なる年齢のマウスから得られた自然自己抗体を産生するハイブリドーマについて記載されている(非特許文献5参照)。
加齢で発生する自己抗体は、無調節の免疫系のマーカーとして役立つものと考えられており、最近これらの抗体が腫瘍の成長を促進する性質があるとの文献がある(非特許文献6参照)。さらに以前になされた研究で他の研究者らは、高いレベルの血清自己抗体が自己免疫系疾患を悪化させる可能性があること(非特許文献7参照)、また免疫抑制薬のシクロホスファミドによる自己抗核抗体の抑制が増殖性のリンパ球産生新生物の成長と関連する可能性があること(非特許文献8参照)に気づいていた。非特許文献9には、シクロホスファミドがリンパ球産生新生物、癌腫、及び肉腫などの新生組織の形成性を高めることを結論づけている。
Chow et al., Int. J. Cancer, 27: 459-469, 1981 Whitaker, et al., Clin. Res., 14: 143, 1966 Cammarata, et al., JAMA, 199: 115-118, 1967 Siegel, et al., Immunology, 22: 457-463, 1972 Sakharova, et al., Zh. Obshch. Biol., 47: 625-630, 1986 Ben-Yehudam, et al., Cancer Invest., 10: 525-531, 1992 Dixon, et al., Progress in Immunology, 959-995, New York: Academic Press, 1980 Walker, et al., Clin. Exp. Immunol., 24: 210-217, 1976 Hahn et al., Arthrit. Rheumat., 18: 145-152 (1975)
発明の概要
本発明は、自然自己抗核抗体(ANA)、例えば年を取った人から得られる自己抗体が、新形成(現存するする腫瘍も)の治療に使用でき、また予防手段としても用いることができるという発見に基づく。この防護効果は、年を取ったBALB/cマウスから得られた自然モノクローナルANA(2C5)について示されており、該ANAは、若いマウスにおいて侵襲性同質遺伝子のEL4 T細胞リンパ腫の増殖を劇的に抑制するが、同じアイソタイプの対照の抗体には何の効果もなかった。
本発明の抗体は、以下のような特徴を有する。(1)自己抗体であり、(2)生きた腫瘍細胞、例えばEL4 Tリンパ腫細胞の表面に結合するが、正常のT細胞には結合せず、(3)自己抗核抗体、即ち細胞核に存在する抗原、例えばデオキシリボヌクレオプロテイン(DNP)に結合し、および/または(4)死んだ腫瘍細胞から放出されるDNPなどのタンパク質に結合することに特徴を持つ。この自己抗体は年老いた哺乳動物に高い力価で存在するが、同様に若い哺乳動物に存在することもある。
一般的に本発明は、哺乳動物おいて腫瘍細胞の成長を抑制するために用いられる組成物を特徴とする。この組成物は、以下に示すような自己抗体を含む。(i)生きた腫瘍細胞の表面、例えばEL4、グリーンモンキーの腎臓から得られたベロ新生組織の上皮細胞、ヒトリンパ腫細胞、ヒト骨髄腫細胞、ヒト肉腫細胞、または類似の細胞、及び(ii)例えばDNPなどの死んだ腫瘍細胞から放出されるタンパク質、または前記腫瘍細胞の核に存在する抗原と、特異的に結合し、かつ (iii)正常なT細胞の表面に結合しない。
本発明はまた、例えばヒトなどの哺乳動物において腫瘍細胞の成長、例えば増殖または大きさの事実上の増大を、本発明の自己抗体を含む組成物をその哺乳動物に投与することによって抑制する方法であることを特徴とする。また本発明は、哺乳動物において腫瘍細胞の成長を抑制する医薬品を製造するために本発明の自己抗体を含有する組成物を利用する方法に特徴がある。
自己抗体は、加齢した哺乳動物、例えばヒトまたはマウスなどの哺乳動物の血清から単離された実質的に純粋な自己抗体であってもよいし、または加齢した哺乳動物から得られた細胞のハイブリドーマによって産生されたモノクローナル抗体であってもよい。
この組成物または医薬品は、ヒトの肉腫、骨髄腫、癌腫、またはリンパ腫細胞などを含むヒトの種々の腫瘍細胞を治療するために用いることもできるし、または腫瘍細胞を哺乳動物で検出する前、例えば哺乳動物に腫瘍細胞の成長が始まるのを予防的に抑制するために投与してからその後で自己抗体を投与してもよいし、または腫瘍細胞を哺乳動物で検出した後、自己抗体を投与する前にその哺乳動物に存在する腫瘍細胞が更に成長するのを阻止するために投与してもよい。
本発明はまた、自己抗体が腫瘍細胞、例えばEL4、グリーンモンキーの腎臓から得られたベロ新生物の上皮細胞、ヒトリンパ腫細胞、ヒト骨髄腫細胞、ヒト肉腫細胞、または類似の細胞などの腫瘍細胞の成長を抑制できるかどうかを、以下のように決定する方法を特徴とする。(a)候補の自己抗体を得る工程、(b)腫瘍細胞表面へのその自己抗体の結合性をテストする工程、(c)正常のT細胞の表面へのその自己抗体の結合性をテストする工程、及び(d)死んだ腫瘍細胞から放出されるタンパク質、例えばDNPへ、または前記の腫瘍細胞の核に存在する抗原への自己抗体の結合をテストする工程を行う。ここでその自己抗体が工程(b)及び(d)の両工程で陽性であってかつ工程(c)において陰性である場合にその自己抗体が腫瘍細胞の成長を抑制する能力があるとする。
更に本発明は、例えばヒトなどの哺乳動物において腫瘍細胞の成長を抑制するための組成物を特徴とし、それは例えば細胞傷害性の薬物またはサイトカインなどの生物活性の薬物に、例えば共有結合または非共有結合で結合した自己抗体を含んでいる。細胞傷害性の薬物にはサポニン、リチン、リチンA鎖、アブリン、アブリンA鎖、ジフテリア毒素、ジフテリア毒素A鎖、外毒素A鎖、ダウノマイシン(daunomycin)、ダウノルビシン(daunorubicin)、ドキソルビシン(doxorubicin)、ミトマイシンC、5−フルオロウラシル、シトシンアラビノシド、コルヒチン、サイトカラシンB、ブレオマイシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、及びメソトレキセートなどが含まれるがこれに限られない。サイトカインには、インターロイキン、例えばIL−2や、成長因子、例えばGM−CSFや、インターフェロン、例えばガンマインターフェロンなどが含まれるがこれらに限られない。
本発明はまた、哺乳動物における腫瘍細胞の成長を抑制する自己抗体を産生するハイブリドーマ細胞を特徴とする。本発明の自己抗体は、加齢した哺乳動物から得られるポリクローナルANAであってもよいし、または、ハイブリドーマ細胞、例えばA.T.C.C.受託番号CRL11667のハイブリドーマ細胞系から得られるハイブリドーマ細胞によって産生される、例えば自己抗核抗体2C5のようなモノクローナル抗体であってもよい。
「実質的に純粋な」とは、本発明によって提供された抗体が少なくとも60重量%であって、自然界で関与しているタンパク質や天然に発生する有機分子が含まれないことを意味している。好ましくはその調製物は少なくとも75重量%、更に好ましくは少なくとも90重量%、そして最も好ましくは少なくとも99重量%の自己抗体である。実質的に純粋な抗体は例えば、ヒトなどの哺乳動物の血清のような自然界に存在する起源や抗体を産生するハイブリドーマ細胞の調製物から抽出することによって、またはモノクローナル抗体をコードする組換え核酸の発現によって、またはタンパク質を化学的に合成することによって得ることができる。純度は適当な標準的な方法、例えばカラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、またはHPLC分析などによって測定することができる。
本明細書において用いられているように、「加齢した哺乳動物から得られる自己抗体」という語句は、年を取った哺乳動物、即ちその種に対して予測できる生存期間の60%またはそれ以上生きている哺乳動物から直接的に採取された自然自己抗体を意味している。この語句はまた、年を取った哺乳動物から採取された細胞またはその細胞の後代によって、例えばハイブリドーマ細胞の後代によって産生される自己抗体も含んでいる。
特に定義しない限り、本明細書において用いられているすべての技術用語及び科学的用語は、本発明が属する当業者に通常解釈されている意味と同じ意味である。本明細書に記載された方法及び材料に類似または等価の方法及び材料を、本発明を実施したりテストしたりする際に用いることができるが、好ましい方法及び材料は以下に記載した通りである。また、その材料、方法、及び実施例は、例示のためだけに示したものであって、それに限定する意向はない。
本発明の他の特徴及び利点は、詳細な説明、及び請求の範囲より明らかとなろう。
詳細な説明
本出願者らは、加齢した個体から得られるANAのような自然自己抗体が、現存している腫瘍を治療するために、または腫瘍またはその転移を予防的に抑制する手段として用いることができることを発見した。次に加齢したマウスからANAを単離し、特徴を明らかにする方法の説明を行うと共に、哺乳動物における腫瘍細胞の成長を抑制する際に用いられる、マウスから得られたモノクローナルANAの産生及びテスト方法について説明を行う。これらの実施例は、本発明を例示する目的で行われたものであり、限定するように構成されたものではない。さらにこの技術は一般的に、ヒトの血清から抗体を単離する方法、特徴を明らかにする方法、かつ利用する方法に用いることができ、またヒトのモノクローナル自己抗体の産生する方法にも用いることができる。
自己抗体
例えばANAなどの自己抗体は、マウス、ヒトまたはそれに類似の動物を含む哺乳動物種、またはキメラ抗体のような、ヒトの不変部とマウスまたは他の哺乳動物起源の可変部とを有する、それらの組合せから得ることができる。この自己抗体の重要な特徴は、その自己抗体が生きた腫瘍細胞、例えばEL4 Tリンパ腫細胞の表面、または例えばデオキシリボヌクレオプロテインなどの死んだ腫瘍細胞から放出される蛋白質に特異的には結合するが正常なT細胞には結合しないという性質である。
間接蛍光抗体法によるANAの検出
ANAは、例えばラットの肝臓またはヒトの肝臓の細胞系HEP2のような哺乳動物の肝臓の基質を用いた、蛍光抗体間接法によって、ヒト患者などの哺乳動物の血清中で検出することができる。この方法ではヒト血清を、抗核特異性を有する免疫グロブリン分子を結合させるラット肝臓のクリオスタット切片に載せる。ラット肝臓切片を載せたスライドを、リン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄し、蛍光標識したヤギ抗ヒトIgG(Antibodies Inc.)を添加する。もう一度PBSを用いて洗浄した後、蛍光標識したヤギ抗ヒトIgGを蛍光顕微鏡法によって可視化する。血清サンプルをPBSを用いて希釈し、ANAについて陽性を呈する最も高い力価をANAの力価として用いる。
蛍光抗体法のパターンはよく、抗体が指向される特定の抗原に対応している。例えば細胞核内で均一な蛍光抗体法のパターンを示す場合は、DNA、またはヒストンのような特定のDNA結合蛋白質に対する抗体の存在を示唆している。斑点状のパターンは、Sm、Ro、及びLa抗原のような核のリボヌクレオプロテイン(nRNP)に対する抗体の特徴である。
抗体の調製
例えばANAなどの自己抗体は、一度検出して単離すれば、ハイブリドーマを形成してそのハイブリドーマの上清培地中で発現させることによってモノクローナル自己抗体として得ることができるし、または腹水を用いて産生することもできる。この抗体はまた、モノクローナル抗体フラグメント、例えばFAB、F(ab)、Fv、組換え可変部、または類似のフラグメントであってもよい。
加齢した哺乳動物から得られるANAは、免疫した哺乳動物、例えばマウスやヒトなどの血清を集め、続いてその血漿または血清からIgG成分を分画して調製する。モノクローナル抗体を産生するヒトまたはマウスの細胞系は、標準的な転換法及びハイブリドーマ手法によって調製することができる(例えば、Methods in Enzymology, Vol. 121, Sections I and II (1986) eds. J. J. Langone and H. V. Vunakis, Academic Press参照)。
免疫されておらず健康的に加齢したマウスからモノクローナルの自然抗体ANA 2C5(2C5)を採取し、サブクラスのIgG2aに属するものとしてその特徴を明らかにした(Sakharova, et al., Zh. Obshch. Biol., 47: 625-630, 1986参照)。2C5は次のようにして得た。免疫されていない健康的に加齢した(平均寿命が30カ月のものの中から26カ月生存していた)、二匹の雌のBalb/cマウスから採取した脾臓細胞を、マウスの骨髄腫細胞系であるP3X63−Ag8.653(ATCC カタログ番号CRL1580)と融合した。得られた数百個のハイブリドーマクローンを、異なる組織(肝臓、腎臓、脳)のホモジェネートを用いて標準的なラジオイムノアッセイを行い、自己反応性についてテストした。これらの臓器のホモジェネートを、ハイブリドーマクローンの上清とともにインキュベートし、3%のウシ血清アルブミンを添加したリン酸緩衝食塩水(PBS−3)中で3回洗浄した後、PBS−3中で125−I標識した抗マウス抗体とともにインキュベートし、続いてPBS−3で3回洗浄してからγ−カウンターによって分析した。得られたハイブリドーマの約5%がこのテストで陽性となり、3つの標的の全てに陽性であった。したがってこれらの抗体は組織特性がなく、明らかに自己抗体である。
マウスまたはラットの脳の切片について免疫染色間接法のテストを行うことで、2C5の標的についての特徴をさらに明らかにすることができた。クリオスタット切片をアセトンで固定してからPBS−3中で5分間、3回洗浄し、続いて20分間ハイブリドーマの上清を用いてインキュベートしてから、洗浄し、続いてホースラディッシュのペルオキシダーゼで標した抗マウス抗体とともにインキュベートした。標準的な方法で、3,4−ジアミノベンジジンを用い、呈色反応を行った。
ホモジェネートを用いたラジオイムノアッセイで陽性であることがわかったハイブリドーマは全て、マウスまたはラットの脳の切片について行った免疫細胞化学の分析でも陽性であり、全ての細胞の核で反応性が認められた。これとは対照的に、生まれたばかりのマウス(4〜5日齢)または成体の(6カ月齢)免疫されていない健康的に生育したマウスから同様な手法で得られたホモジェネート陽性のハイブリドーマを用いた場合では、抗核反応は認められなかった。均一の、ただし斑点状ではない核の染色パターンは、抗体の標的がDNAまたは何らかのDNA結合タンパク質であることを示していた。したがってこの自己抗体も、抗核性の自己抗体(ANA)であった。
ハイブリドーマ2C5をさらに分析するために選択した、というのは、それが強い核への反応性を示すとともに、EL4マウスの胸腺腫、S49マウスのTリンパ腫、P3X63−Ag8.653マウスの骨髄腫、及びグリーンモンキーの腎臓から得られるベロ新生物上皮細胞系などのインビトロまたはエクスビボの培養物から得られる、形質転換された腫瘍細胞系の表面に高い反応性を示したからである。このモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、1994年6月22日付けでRockville, MarylandにあるA.T.T.Cに、番号CRL11667で寄託された。
モノクローナル抗体2C5及びそのアイソタイプが適合する対照の抗体、UPC10(Cappel, Durham, NC)を、40%の硫酸アンモニウムを用い沈澱させて腹水液から精製し、またはさらに当業者に周知の標準的な方法(例えば、Jiskoot et al., "Two-Step Purification of a Nurine Monoclonal Antibody Intended for Therapeutic Application in Man", J. Immunol. Methods, 124: 143-156, 1989、Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New Tork, 1989、及びFisher, Laboratory Biology, eds., Work and Burdon, Elsevier, 1980参照)を用いてCM−アガロース(Pharmacia Biotech, Inc., Pisoataway, NJ)上でイオン交換クロマトグラフィーを行って精製した。
抗体の純度は、標準的な方法を用いてHPLCで特徴付けた。硫酸アンモニウム沈澱した調製物も、硫酸アンモニウム/CM−アガロース−精製の調製物も、インビボでの実験で同じ結果を示した。
抗体の人体適応化
ほとんどの場合モノクローナル抗体は、ヒト以外の種で産生されるため、それらは時に、ヒトに対して免疫原性となる。ヒトを治療する際にこれらのモノクローナル抗体をうまく用いるためには、リガンド結合(可変部)に関与するポリペプチドの部分はある種由来のものであり、構造的安定性と他の生物学的機能(不変部)の提供に関与する部分がヒト抗体由来である、キメラの抗体分子を作成する必要があろう。キメラ抗体を作成する方法では、可変部のドメインが一つのホストから誘導され、また不変部のドメインが当業者に既知のもう一つのホストから誘導される。例えば、Neuberger et al., WO Publication No. 86/01533, priority 9/3/84、Morrison et al., EP Publication No. 0 173 494, priority 8/27/84を参照。
もう一つの方法では抗体は、可変部の相補性決定部位(CDR)を望ましい抗原特異性の免疫グロブリンから得られるCDRと置換するだけで作成され、これに関してはWinter(GB Publication No. 1 188 638, priority 3/27/86)によって記載されている。マウスのモノクローナル抗体は、ヒトのFc部位を含む抗体を作成する(Morrison, S. L. (1985) Science 229: 1202-1207参照)ことによって、ヒトの治療に使用するに際して問題が起こらないようにすることができる。確立された手法によって、このようなハイブリッドモノクローナル抗体の構築、発現、及び精製が可能になっている。治療上免疫グロブリンを投与する際の管理方法は、多くの感染症に対して以前から行われている。
また抗体を、Kuncherlapati et al., Wo 94/02602 に記載されたプロトコールにしたがって、免疫原に応答するためのヒトのIg遺伝子座をコードする異種のヒトDNAセグメントを含む、ヒト以外の哺乳動物であるホストによって生成させることもできる。
ここで用いたように「抗体」という用語は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体、完全な、無傷の抗体、または完全な抗体の免疫活性を有する抗体フラグメントを意味する。また「抗体」という用語には、異なるホスト種より得られた可変部及び不変部を有するキメラ抗体、またはCDR(相補性決定部位)を置き換えただけの抗体も含まれる。
ヒトのモノクローナル抗体
いくつかのヒトのANAは2C5と同様に、均一なパターンの核染色を呈するとともに、細胞の原形質膜と反応する(Rekvig, Scand. J. Immunol., 29: 7-13, 1989参照)。したがってヒト自己抗体、例えばANAを産生する完全にヒト起源のハイブリドーマは、ANA陽性で健康的に加齢した個体から得られるB細胞(例えば、末梢血液のB細胞)を、McKnight et al., Human Antibodies and Hybridomas, 1: 77-82 (1990)に記載されているUC 729−6及びSHFP−1のようなヒトの「融合パートナー」である細胞系と融合させることによって得ることができる。
抗腫瘍性自己抗体のテスト
本発明の範囲に含まれる抗−腫瘍性自己抗体は、次に示す標準的なアッセイを用いて特徴を明らかにすることができる。まず初めにそれらは、自己抗体についての標準的なテスト法である例えば標準の自己抗原を用いたELISAを行って検出できるような、自己抗体でなくてはならない。第2番目にそれらは、腫瘍細胞及び/または死んだ腫瘍細胞によって放出されるタンパク質の表面に結合しなくてはならない。これらの二つの結合の特徴は、それぞれ標準的なフローサイトメトリーとELISAアッセイを用いて、下記に記載したように決定することができる。
腫瘍細胞表面への結合についてのアッセイ
モノクローナルANA(例えば、上記に記載した2C5、またはヒトのような加齢した哺乳動物から得られるモノクローナルANA)の腫瘍細胞(例えば、リンパ腫または他の腫瘍細胞であって、マウスまたはヒトから得られる腫瘍細胞)への結合を、標準的な手法を用いたフローサイトメトリーによってモニターした。このアッセイは、与えられたANAが腫瘍細胞の表面抗原に結合するかどうかを調べるため、また与えられた腫瘍細胞が選択されたANAで治療することができるかどうかを調べるために用いることができる。
この方法の開始時の細胞の生存率は、標準のトリパンブルー排除試験を行って決定したところによると、95%以上であった。
単一細胞の懸濁液中の細胞(EL4 Tリンパ腫細胞、S49 Tリンパ腫細胞、及びP3X63−Ag8.653骨髄腫細胞)または単一層の細胞(グリーンモンキーの腎臓の上皮性腫瘍から得られるベロ細胞のような非懸濁性の細胞)を、モノクローナル抗体2C5とともに、またはアイソタイプの適合した対照の骨髄腫の抗体であるUPC10(10%の仔ウシ血清(CM10、HyClone, Logan, UT)を添加した培地に5−10μg/mlの濃度のもの)とともにインキュベートし、続いてHBSS(Cellgrow, Herndon, VA)を用いて二度洗浄し、さらにヤギ抗マウス抗体(Cappel)(CM10で1:100に希釈した溶液)のFITCでラベルされたF(ab)2フラグメントとともに20分間インキュベートし、再びHBSSを用いて二度洗浄してから、4%パラホルムアルデヒドのPBS溶液で固定し、蛍光顕微鏡またはフローサイトメトリーを用いて調べた。全ての工程は20℃で行った。
細胞はFACSCANアナライザー(Becton Dickinson and Co., Bedford, MA)を用いて分析し、製造説明書にしたがって前方及び側方分散を用いた生命ゲートで制御し、有機堆積物と死んだ細胞を排除した。生命ゲート(life gating)とは、生きた細胞だけを分析させる標準的なハードウエアまたはソフトウエアプログラムである。結合したベロ細胞の表面との反応は、蛍光顕微鏡を用いてのみ検出した。トリパンブルー排除試験は、細胞内抗原との相互作用に起因する反応性を排除するために用いた。2C5と、懸濁細胞であるEL4胸腺腫、S49リンパ腫、及びP3/Ag8.653骨髄腫の細胞表面の抗原との反応は、顕微鏡を用いた場合とフローサイトメトリーを用いた場合の両方で認められた。
図2Aに示されているようにモノクローナル抗体2C5は、インビトロの培養物から得られたEL4 T細胞リンパ腫に結合するが、無傷の5週齢のC57BL/6マウスから得た胸腺細胞には結合しなかった(図2B)。これらの二つのグラフでは、FITCでラベルした抗マウスF(ab)2フラグメント単独の相対的蛍光強度が実線で示されており、また対照の抗体であるUPC10にFITCでラベルした抗マウスF(ab)2フラグメントを添加した場合の相対的蛍光強度が間隔の広い点線で示されており、そして2C5にFITCでラベルした抗−マウスF(ab)2フラグメントを添加した場合の相対的蛍光強度が間隔の狭い点線で示されている。したがって図2Aは、間隔の狭い方の点線の相対的蛍光強度のみが増加していることを示しており、また図2Bは、相対的蛍光強度の増加が全くみられないことを示している。
図3に示されているように、2C5もS49 Tリンパ腫(間隔の狭い点線)に結合していたが、これに対して対照の抗体であるUPC10は結合していなかった。抗体2C5はまた、P3/Ag8.653骨髄腫細胞及びグリーンモンキーの腎臓の上皮性腫瘍細胞にも結合していた。これらの結果に基づく、2C5はヒト腫瘍細胞を含む他の腫瘍細胞にも結合できるはずである。
ELISAアッセイ
標準的なELISAアッセイは、与えられた自己抗体が核内抗原及び/または死んだ癌細胞から放出されるタンパク質に結合するかどうかを調べるために用いることができる。2C5のような抗腫瘍ANAに対する核内抗原は、クロマチン形成において構造上の役割を果たしているヒストン、並びにLa−及びKu抗原のようなDNAの転写や複製を調節する非ヒストンタンパク質を含んでいる。
モノクローナル抗体の2C5と種々の核内自己抗原との相互作用は、Diamedix Corp., Miami, FL.より入手した、下記の表1に列挙した核内自己抗体で被膜を施した96ウェルプレートを用いてテストした。死んだEL4リンパ腫細胞から放出された自己抗体でELISAプレートを被膜するために、死んだ細胞から得られた上清とともに1時間インキュベートした。上清を調製するために、2×10個のEL4細胞を、1mlのHBSS溶液中で、37℃、7%COで16時間培養した。抗原で被覆されたウェルを洗浄し、PBS−T溶液(0.05%v/vのTWEEN 20(商品名)を添加したリン酸緩衝食塩水)とともに30分間インキュベートした。テストした抗体0.5mlを100mlのPBS−Tに添加したそれぞれのウェルに加えた。ペルオキシダーゼ標識したヤギ抗マウス抗体(Cappel, Durham, NC)を加え、続いて基質を加えることによって、結合したものを検出した。405nmでの可視スペクトルの吸収を、それぞれのウェルで相対的な反応性を示す指標として、Multiscan Reader(Flow Labs., East Costa Mesa, CA)を用いて記録した。405nmで吸収を示す反応のみ、それはバックグラウンドの吸収を5SD越えたものであるが、そのような反応のみを陽性として評価し、「+」で印をつけた(表1参照)。
Figure 2007277252
表1に示されているように、2C5は死んだEL4細胞から得られた上清、及びDNP(Diamedix Corp.)にのみ結合した。対照の抗体であるUPC10は抗原のどれとも結合しなかった。
自己抗体の抗腫瘍効果
腫瘍
哺乳動物(好ましくはヒトまたはマウス)の癌細胞(例えば、リンパ腫細胞、癌腫細胞、肉腫細胞、または骨髄腫細胞)の集団を、加齢した哺乳動物から得られたANAのような自己抗体の抗腫瘍効果をテストする目的で用いることができる。EL4 T細胞リンパ腫を、C57BLマウスでテストするために選択した。というのはそれが非常に侵襲性が高い、つまり約10個の腫瘍細胞だけでもマウスを殺すには充分であって、既知の化学療法に耐性があるためである(Tarnovski, et al., Cancer Res., 39: 3964-3967, 1979参照)。さらにマウスはEL4細胞に反応する自然抗体を持っていないし(Pierotti, et al., Int. J. Cancer, 18: 223-229, 1976参照)、またマウスはこの実質的に非−免疫原性の腫瘍に対する適当な抗体を生じない(Rees, et al., Chemotherapy, 28: 283-290, 1982参照)からである。したがってこのタイプの腫瘍は、治療が最も困難なものの一つであり、このような理由があるためにテストを行うように選択した。
インビトロにおける腫瘍の抑制
例えばヒト患者から得られる選ばれた腫瘍細胞の成長に対する、与えられた自己抗体またはANAの効果を、当業者に周知の標準的な技術を用いてインビトロでテストする。例えば、ヒト悪性腫瘍の細胞を患者から抽出し、適当な培養培地で標準的な技術によってインビトロで培養した。加齢した哺乳動物(この動物ではANAの自然抗体またはモノクローナル抗体であって、哺乳動物は例えばマウスまたはヒトである)から得たANAなどの自己抗体を、補体、及び/または例えば好中球やマクロファージなどの細胞傷害性の細胞のような、マウスまたはヒトなどの免疫系エフェクターの存在するところで培養したヒトの腫瘍細胞とインビトロで接触させる。
成長は、例えばラベルした外因性のチミジンの誘導体、例えば(メチル[H]チミジン15Cimmol−1)(Amersham International, U. K. )が、治療を行った腫瘍細胞の培養物のDNAと対照の培養物のDNAとに導入されるのをモニターすることによって決定することができる。例えば、Curtin et al., Br. J. Cancer, 53: 361-368 (1986)参照。標準的な細胞傷害性試験は、その培養物中に存在する死んだ細胞のパーセントを測定するために用いることができる。例えば、死んだ細胞から培養培地へのラベルしたクロミウム(例えばNa 51CrO,Amersham,Arlington Heights,IL)の選択的な放出をモニターすればよい。
インビボにおける腫瘍の抑制
ヒト腫瘍細胞または他の腫瘍細胞の成長に対する、選ばれた自己抗体の効果についてのインビボでのテストを、ヒト、または、好ましくは免疫抑制された例えばヌードマウスのような動物で、ヒト、マウス、または他の動物から得られた腫瘍細胞を人工的に移植したものが増殖した外因性の腫瘍を保有するものについて行う。例えば、加齢した哺乳動物から得たANAなどの自己抗体を生理学的に許容できる担体中に処方し、腫瘍を保有するマウスに注射してから増殖をモニターした。
例えば次のヌードマウスのアッセイは、特定のヒト腫瘍に対して選択されたANAの抗腫瘍効果をテストするために用いることができる。雄の無胸腺ヌード BALB/cマウス(21〜24g)(Life Sciences, St. Petersburg, FL)を、病原物質がなく、温度制御の行われている隔離した敷地内で飼育し、光制御のなされた昼間を過ごさせた(光の照射、0700−1900h)。餌は標準の食物(Autoclavable Rodent Chow No. 5010、Ralston Purina, Sy. Louis, MO)でよく、水は任意に与えた。
12匹の麻酔をかけたマウスに、肩甲骨間の左右対照に形成した切開部分を通して、わき腹の皮下に2mmの断片にした腫瘍を異種移植する(マウス1匹あたらい腫瘍2個)。マウスを毎週体重測定するとともに、週に二度、腫瘍をカリパスで測定し、さらに腫瘍の表面積を1時間二本の最大の垂直線腫瘍直径を用いて計算する。腫瘍の倍増時間を、移植から経過した日数に対する腫瘍の面積の片対数グラフより算出する。実験の終了時にマウスを頚椎脱臼で殺し、その後で腫瘍と膵臓の摘出を行う。組織を液体窒素で凍結し、アッセイを行うまでの間、−70℃で保存する。
移植された腫瘍を保有するマウスを無作為に二つのグループに分け、それぞれに対して一週間に3回、0.1mlを腹膜内注射する。対照群のマウスには食塩水を注射し、治療群のマウスには選択したANAを食塩水に添加して(例えば、マウス一匹あたり、一回の注射で50〜100μg、好ましくは400−500μg)注入する。
以下のテストを、マウスに存在するEL4 T細胞リンパ腫に対する2C5の抗腫瘍抗かを明らかにするために行った。加齢したマウスには血清ANAの上昇を背景として新生物の細胞が現れており、そのような自然な状況を模擬実験するために、実験用の若いマウスに腫瘍細胞を接種する1日前(−1日目)に2C5を注射した。腫瘍の増殖の早期に、モノクローナル抗体のレベルが充分にされるように、さらに1日目、3日目、そして5日目に注射を行った。
実験群及び対照群のマウスに、0日目に培養したEL4リンパ腫細胞を一度だけ接種した(マウス一匹あたり、0.02×10個の細胞が含まれている0.5mlのハンクス緩衝塩溶液(HBSS))。生理学的に許容できる担体中に処方した抗体を、−1、1、3、及び5日目に腹膜内に注射した(一回の注射でマウス一匹あたり、70mgの精製抗体を添加した0.5mlのHBSSを注射する)。0.02 × 10個の腫瘍細胞を注射した後の15日目に、また0.2 × 10個及び2 × 10個の腫瘍細胞を注射した後の13日目に、頚椎脱臼によってマウスを殺した。この実験を行っている間、動物には標準の餌を与えた。腫瘍の大きさ及び外観を写真に記録してから皮下の腫瘍を切り取り、その重さを測定した。相対的な腫瘍重量を統計学的に分析し、「p」値を計算した(例えば、Siegel, Nonparametric Statistics for the Behavioral Sciences, pp. 152-158. New York: McGraw-Hill Book Company, Inc., 1956参照)。
腹水及び血清のどちらも含まれないハイブリドーマの上清から精製されたモノクローナル抗体2C5には、UPC10骨髄腫(Cappel)によって産生されたアイソタイプの適合する抗体を注射した対照のマウスに比較して、C57BL/6マウスにおける同系のEL4リンパ腫の増殖を抑制する効果があった。皮下腫瘍の成長速度を実質的に抑制した。20,000個のEL4リンパ腫細胞を注射した実験群マウスの25パーセント末端に15日目以降に実質的な腫瘍の成長が見られなかったのに対して、対照群では75%以上に実質的な腫瘍の成長が見られた(図1A及び1B、及び表2)。
Figure 2007277252
それぞれの実験で5−6匹のマウスを用い、3回の実験を累積したデータ
**それぞれの実験で4−6匹のマウスを用い、4回の実験を累積したデータ
腫瘍成長の抑制は、注射したリンパ腫細胞の量が、マウス一匹あたりの細胞数で0.02×10個から2×10個へと増加するにつれて徐々に減少した(表2参照)。これらのデータは、自然な腫瘍の成長または転移の発生を制御するという点で、加齢した動物から採取したANAが予防的な役割を果たすことを証明している。
選択した自己抗体の予防的な効果をさらに明らかにする目的で、それを薬剤学的に許容される担体によって、正常な動物に一定の間隔で投与し、血液中の抗体レベルが相対的に一定になるように維持できる。次に、対照群の動物において癌細胞を既知の速度で発生させるような既知の発癌物質または特定量のUV照射に、その動物をさらす。同様に腫瘍を発生するように受精させた既知のトランスジェニック動物を、自己抗体の予防的な効果をテストするために用いることができる。
上記に記載した2C5の結合特性は、抗腫瘍活性のもととなっている二つの異なるメカニズムについての証拠を提供する。第1に、フローサイトメトリーのデータ(図2A及び2B)は、2C5が生きているEL4 Tリンパ腫細胞の表面に結合するが正常なT細胞には結合しないことを示している。また2C5は、S49 Tリンパ腫、P3X63−Ag8.653骨髄腫、及びベロ細胞(グリーンモンキーの腎臓の上皮性腫瘍細胞系)のような種々の他の腫瘍細胞の表面に結合し、このことはモノクローナル抗体である2C5によって認識される抗原決定基が進化の過程で保存されていることを示している(Klinman, J. Immunol., 148: 1353-1358, 1992)。
ANAのような自己抗体と細胞表面との相互作用についての、可能な異なるメカニズムに関する記載がある。これらの中には細胞表面における核内抗原の発現(Prabhakar, et al., J. Clin. Invest., 86: 1301-1305, 1990、Bachman, et al., Exp. Cell Res., 191: 171-180, 1990)、核と細胞表面の抗原との間で起こる可能性のある交叉反応(Lafer, et al., J. Exp. Med., 153: 897-909, 1981)、及び免疫複合体の一部としての、ANAの細胞表面への結合(Jacob, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86: 4669-4673, 1989)の記載がある。相互作用のメカニズムがどのようなものであっても、得られたデータは、免疫侵襲性のIgG2aのアイソタイプ(Scholz, et al., Cancer Immunol. Immunother., 33: 153-157, 1991参照)に属する2C5が、インビボで抗体依存性の細胞傷害性及び/または補体依存性の腫瘍細胞の溶解を仲介するという結論を支持している。IgG3のような他のアイソタイプも機能するに違いない。与えられた自己抗体が属するこのクラスのIgGは、標準的な技術を用いて決定することができる。
第2に、2C5を、インビトロで死んだ腫瘍細胞から培養物に放出されたタンパク質と反応させる(表1)。この結果は、補体依存性の溶解と同時に起きて得る腫瘍の増殖における、2C5のインビボでの作用についてのもう一つの可能性のあるメカニズムを支持している。どの腫瘍も多数の増殖している細胞とともに、いくつかの死んだ、または死につつある細胞を含んでいることがわかっている(Wyllie, A. H., Anticancer Res., 5: 131-136, 1985参照)。死んだ細胞から放出された細胞内抗原は循環血中に入り、局所濃度は腫瘍の血管で高くなる。血液中の自己抗体はそれら細胞内抗原のうちのいくつかと免疫複合体を形成するため、腫瘍の脈管でそのような複合体の局所濃度が高められる。これらの複合体は、体内にあるナチュラルキラー細胞、好中球、及びマクロファージのような、さらなる腫瘍の増殖を強く抑制する免疫エフェクター細胞に局所的な刺激をもたらす。
使用
生理学的に許容される担体に処方された、例えばマウスまたはヒト起源のANAのような自己抗腫瘍抗体を投与する(好ましくは静脈内注射または皮下注射によって)ことによって、現存する腫瘍をインビボで治療する。治療のための投与に適切な用量は、個々の患者の年齢及び体重、ならびに腫瘍の大きさによって内科医がそれぞれの場合に対して決定する。その用量は、血液中の結合部位及び腫瘍細胞の表面にある結合部位が確実に飽和されるように、患者の体重1kgあたり1〜20mgの範囲内である。投与は腫瘍が消滅するまで続けられるか、または他の抗腫瘍療法または手術に対して腫瘍が消滅するか除去されるまでの補助療法として用いられる。
一旦悪性腫瘍の位置が決定されると、自己抗体はまた、腫瘍の二次的な転移を有利に抑制するためにも用いられる。この応用の際には、原発の腫瘍が自己抗体の効果によって破壊され、または、外科的にまたは化学療法により除去されるまで、抗体を周期的に投与し、血液中の抗体のレベルを相対的に一定にする。哺乳動物、例えばヒトなどにおける自己抗体の半減期は平均数日間であり、そのためその都度決めた用量を抗体の種類に応じておよそ3日〜7日に一度投与しなくてはならない。血中の自己抗体のレベルを示す標準的な血液検査に基づいて個々の管理を行う。注射一回あたりの用量は、患者の体重1kgあたり1〜20mgの範囲内である。
他の予防的な使用、例えば増殖性の腫瘍ができる前に利用する場合に際して、用量はやはり内科医が決定することができるが、この場合には腫瘍が存在する場合に必要とされた用量よりは幾分低く、例えば患者の体重1kgあたり0.1〜5.0mg/kgの範囲内である。それは例えば家系やDNA検査などに基づいて、患者が潜在的に持っている腫瘍感受性によって決定される。
健康的に加齢したヒト血清より単離されて直接的に投与されるヒト抗腫瘍自己抗体、または加齢したヒトの細胞由来のヒトモノクローナル抗体に含まれるヒト抗腫瘍性自己抗体は、仮にあったとしてもほんのわずかの毒性作用しかないはずである。
寄託申告
モノクローナル抗体2C5を産生するハイブリドーマ培養物は、Rockville, Marylandに所在するA.T.C.C.に、1994年6月22日に寄託番号ATCC CRL11667が付与されて寄託された。この培養物は、37CFR1.14及び35USC122の下で権利を与えられるように特許商標庁長官に決定されるべくこの特許出願が継続している間、その培養物の入手が確実にできるような状況に維持されている。寄託は、外国の国別の特許法、即ち本出願の対応出願、またはその子出願(プロジェニー(progeny))が出願されている国の特許法で要求された場合の求めに応じられる。しかしながら、政府の意見によって付与される特許権が減縮された場合、寄託の有効性はこの対象の発明を実施するライセンスの構成要素とはならないことを理解すべきである。
またこの対象の培養物の寄託は、微生物の寄託に関するブタペスト協定の規定に一致するように保存され、大衆に供給できる。即ちそれは、最後になされた寄託サンプルの供給要請の後の少なくとも5年間、場合によっては寄託をした日から30年間、またはその培養物を開示して付与された特許の実施可能な存続期間に最後の寄託サンプル要請の後の5年間をプラスした期間だけその細胞を生きたままそしてコンタミネーションが起こらないように保つべく、全ての必要な注意を払って保存される。寄託者は、寄託の条件によっては寄託物供給の要請があった場合、サンプルを供給できない寄託機関の寄託物を置き換える義務があることを認めている。対象の寄託培養物を大衆に供給させる際の制限のすべては、それらを開示している特許が付与された場合に取り消し不可能に排除されるであろう。
その他の態様
本発明は詳細な説明に関連付けて記載されているが、前述した説明は例示のためになされたものであって本発明の範囲を限定するものではなく、本発明は添付した請求の範囲によって記載されていることを理解すべきである。本発明の技術範囲に含まれる他の目的、効果、及び変形は、本発明が属する当事者にとって明らかであろう。
例えば本発明の抗腫瘍性の自己抗体は、これらの自己抗体自体について明らかにされた自然抗腫瘍効果を増加させるように、既知の抗腫瘍生物活性の薬物に結合することのできる腫瘍細胞標的薬物として用いることもできる。
例えばこの自己抗体を、サポニン、リチン、リチンA鎖、アブリン、アブリンA鎖、ジフテリア毒素、ジフテリア毒素A鎖、外毒素A鎖、ダウノマイシン(daunomycin)、ダウノルビシン(daunorubicin)、ドキソルビシン(doxorubicin)、ミトマイシンC、5−フルオロウラシル、シトシンアラビノシド、コルヒチン、サイトカラシンB、ブレオマイシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、メソトレキセート、及び当業者に知られているこの他の天然のまたは合成の商業的に入手可能な細胞毒(例えば、Sigma Chemical Co., St. Louis, MOより入手できるもの)のような細胞傷害性の薬物に共有結合させてもよい。
自己抗体はまた、例えばIL−2のようなインターロイキン、例えばガンマインターフェロンのようなインターフェロン、及び例えばGM−CSF(Genzyme, Cambrodge, MA)のような成長因子などのサイトカインに結合させることもできる。
生物活性の薬剤を、毒素物が効果を持つように癌細胞に取り入れられる場合には、開裂可能な結合によってその抗体に結合させてもよい。例えば、細胞の細胞質に取り入れられる抗体細胞毒素または抗体−サイトカイン複合体の開裂可能な結合は、酵素的に影響を受けやすく(ペプチド結合のように)、また細胞外のマトリックスの酵素によって加水分解され易い。この複合体の結合はとってpH不安定であり、貪食されてリソソームの低いpHの環境に入る。
この抗体は、当業者によく知られている方法によって血清アルブミン(特にヒト血清アルブミン)、ポリアミノ酸、及びデキストランのような担体分子によって生物活性の薬剤に直接的にまたは間接的に結合されている。適当な結合にはジスルフィド類、イミド類、ヒドラゾン類、アミド類、及びその類似のものが含まれる。複数の薬剤が、抗体に結合した同一の分子または薬剤の混合物でありうる。抗体に結合した分子の数は、生物活性の薬剤の大きさによって変えることができる。
自己抗体−細胞傷害性複合体または自己抗体−サイトカイン複合体は、抗体単独について上記に記載したように、腫瘍細胞の増殖を抑制する目的で哺乳動物に投与される。
図1A及び1Bはそれぞれ、モノクローナルANA 2C5存在下、腫瘍の成長が抑制されることと、アイソタイプの適合する対照の抗体の存在下腫瘍の成長が進展することとを示す5匹のマウスの写真である。 図2A及び2Bはそれぞれ、インビトロの培養物から得られたEL4 T細胞リンパ腫細胞に結合しているモノクローナルANA 2C5のフローサイトメトリー分析、及び5週齢のマウスから得られた、胸腺細胞に結合していないモノクローナル抗体ANA 2C5のフローサイトメトリー分析を示すグラフである。 図3は、インビトロの培養物から得られたS49T細胞リンパ腫細胞に結合するモノクローナルANA 2C5のフローサイトメトリー分析を示すグラフである。

Claims (15)

  1. 哺乳動物において腫瘍細胞の成長を抑制するために用いられる組成物であって、(i)生きた腫瘍細胞の表面と(ii)死んだ腫瘍細胞から放出されるタンパク質またはその腫瘍細胞の核に存在する抗原とに特異的に結合し、かつ(iii)正常なT細胞の表面に結合しない自己抗体を含む組成物。
  2. 哺乳動物において腫瘍細胞の成長を抑制する医薬品を製造するための組成物であって、(i)生きた腫瘍細胞の表面と(ii)死んだ腫瘍細胞から放出されるタンパク質または該腫瘍細胞の核に存在する抗原に特異的に結合し、かつ(iii)正常なT細胞の表面に結合しない自己抗体を含む組成物。
  3. 自己抗体が、抗核自己抗体である、請求の範囲1または2に記載された組成物。
  4. 自己抗体が、加齢した哺乳動物の血清から単離された実質的に純粋な自己抗体である、請求の範囲1または2に記載された組成物。
  5. 加齢した哺乳動物がヒトである、請求の範囲4に記載された組成物。
  6. 加齢した哺乳動物がマウスである、請求の範囲4に記載された組成物。
  7. 死んだ腫瘍細胞のタンパク質がデオキシリボヌクレオプロテインである、請求の範囲1または2に記載された組成物。
  8. 腫瘍細胞が、ヒト肉腫細胞、骨髄腫細胞、癌腫細胞、またはリンパ腫細胞である、請求の範囲1または2記載の組成物。
  9. 自己抗体が、加齢した哺乳動物から得られた細胞のハイブリドーマによって産生されたモノクローナル抗体である、請求の範囲1または2記載の組成物。
  10. 加齢した哺乳動物がマウスである、請求の範囲9記載の組成物。
  11. 加齢した哺乳動物がヒトである、請求の範囲9記載の組成物。
  12. A.T.C.C受託番号CRL11667を有するハイブリドーマ細胞系。
  13. 請求の範囲12記載のハイブリドーマ細胞系によって産生されるモノクローナル抗体2C5。
  14. 自己抗体が腫瘍細胞の増殖を抑制できるかどうかを検出する方法であって、
    (a)哺乳動物から候補の自己抗体を得る工程、
    (b)腫瘍細胞表面に対する該自己抗体の結合を試験する工程、
    (c)正常T細胞の表面への該自己抗体の結合を試験する工程、及び
    (d)死んだ腫瘍細胞から放出されるタンパク質または該腫瘍細胞の核に存在する抗原に対する該自己抗体の結合を試験する工程、
    を含み、該自己抗体が工程(b)及び(d)の両工程で陽性であってかつ工程(c)において陰性である場合に、該自己抗体が腫瘍細胞の成長を抑制する能力がある、検出方法。
  15. 該死んだ腫瘍細胞のタンパク質がデオキシヌクレオプロテインである、請求の範囲14記載の方法。
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