JP2007276164A - 構造体及び液滴吐出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ベース基板に接合固定されて保持される構成ユニットの温度変動による位置ずれや歪み変形を抑制することができる構造体を得る。
【解決手段】長尺基板40にねじ46で取り付けられたスペーサー部材42に記録ヘッドユニット32がUV硬化型の接着剤Uにより接合固定されて保持されたインクジェット記録ヘッド30において、スペーサー部材42を長尺基板40に固定する接合固定部となるねじ46を長尺基板40の熱歪による変位が略発生しない熱変位中立部HNに設ける。
【選択図】図15

Description

本発明は、構造体及び液滴吐出装置に係り、詳細には、ノズルからインク滴を吐出して記録媒体に画像を記録する記録ヘッドユニットがベース基板に保持されて構成されたインクジェット記録ヘッド等の構造体、及び、インクジェット記録ヘッドからなる構造体を備えたインクジェット記録装置等に適用される液滴吐出装置に関する。
ヘッドを往復走査する従来のPWA方式インクジェット記録装置において、高速印字のためにノズル数を増加すると、ヘッド質量も増加しヘッド走査機構への負荷が大きくなるため、多ノズル化に限界があった。また、往復走査の反転時に余分な走査距離が生じるため、高速化をはかる上で不利になる。
これらを解決する方法として、記録媒体幅方向に解像度と同ピッチで多数のノズルを配置した記録媒体幅対応(フルライン)の非走査型のFWA方式インクジェットラインヘッドが既に知られている。多数のノズルを備えるラインヘッドは、一体ヘッドとして製造すると、歩留りが低下したり、例えば大口径シリコンプロセス装置等の高額な製造設備を必要とするなどの問題がある。
そこで、比較的ノズル数の少ないヘッドユニットをライン状に複数個接続し、長尺化する技術が開示されている。例えば、金属等のベースプレート上に、圧力発生素子が設けられた複数の素子基板(ユニット)をライン状に並べて接着固定し、この素子基板上にノズル及びインク流路を備えた長尺部材を接合してラインヘッドを実現しているものや(例えば、特許文献1参照)、ベースプレートを用いずにヘッドチップ(ヘッドユニットに相当)を並べて接合していく方式があり(例えば、特許文献2参照)、この他、フレームにヘッドチップを千鳥状配列した構造が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
これらの技術は、いずれも、構成部品の中で最も低歩留まりな素子基板をユニット分割して製造する方式であり、隣接ユニット同士を相互に高精度位置決め固定することが必須となる。また、この隣接ユニット同士を位置決めする方法としては、各ユニットの外形を基準とする方法、各ユニットに設けたアライメントマークを基準とする方法、実際に液滴を噴射するノズルを基準とする方法などがあり、これらの方法を使用して各ユニットを所定の位置にアライメントした後、接着剤等を使用してベースプレートに接合固定して長尺ヘッドを構成する。
一方、このようにして作製された長尺ヘッドが装着される液滴吐出装置内部では、使用環境の変化や装置内に存在するモーター等の発熱部品により、温度が変動する。これに伴い、長尺ヘッドを構成するベースプレートやヘッドユニットが伸縮し、両者の熱膨張係数が異なる場合には、伸縮の度合いが異なるので、ベース自体が歪んだり、隣接ユニットのノズル間距離が変動してしまったり、ノズル面が撓んでしまったりして、液滴を吐出したときの液滴の着弾位置が大きくばらつき画質が悪化することになる。
例えば、図25(A)に示す従来のインクジェット記録ヘッド200は、紙幅方向Yに延出されたベースプレートとなる長尺基板202に、紙送り方向Xに斜めに対向する一対の透明なスペーサー部材204がそれぞれ2本のねじ206によって取り付けられ、このスペーサー部材204に、平面形状が略平行四辺形とされた特殊形状の記録ヘッドユニット208がUV(紫外線)硬化型の接着剤Uで接着(接合固定)されて保持されており、このスペーサー部材204を介して長尺基板202に保持された記録ヘッドユニット208が複数個、紙幅方向Yに沿って配列されることによりラインヘッドを構成している。また、長尺基板202には各記録ヘッドユニット208に対応するインク供給ユニット210を配置するための複数の開口部202Aが形成されており、この開口部202Aに対して、スペーサー部材204を長尺基板202に固定している一方のねじ206は横梁部202Bの中央部に配置され、他方のねじ206は横梁部202Bの端部、すなわち、縦梁部202Cの端部に配置されることで、4本のねじ206(接合固定部)が非線対称に配置されている。
このような従来のインクジェット記録ヘッド(ラインヘッド)200では、インクジェット記録装置内の昇温によって長尺基板202に熱変形が生じると、図25(B)に示すように、横梁部202Bは紙幅方向Yに膨張し(矢印EY方向)、縦梁部202Cは紙送り方向Xに膨張する(矢印EX方向)。そして、横梁部202Bの中央部に位置するねじ206は紙幅方向Yへの変位が小さくなり、縦梁部202Cの端部に位置するねじ206は紙送り方向Xへの変位が大きくなり、各ねじ206が非線対称に配置されていることでモーメントのバランスが崩れ、記録ヘッドユニット208に回転方向の位置ずれが起こる。また、長尺基板202は全長方向(紙幅方向Y)に大きく膨張するため、記録ヘッドユニット208を保持している下面側が下方に膨らむよう凹状に撓むなどして、隣接する記録ヘッドユニット208の間隔が変化する。したがって、この温度変動によるユニット自体及びユニット間の位置ずれにより、各記録ヘッドユニット208のノズルから吐出されるインク滴の着弾位置がずれて画質低下を招くことになる。
これに対し、例えば上記のベースプレート(長尺基板)に熱歪を吸収する伸縮吸収部を設けることにより、ベースプレートの撓みや隣接ユニット間のノズルの位置ずれを軽減することが考えられる。
特開平10−181004号公報 特開2003−266710号公報 特開2001−199074号公報
しかしながら、上記の技術によってベースプレートの撓みは抑制できても、温度変動に起因するユニットの位置ずれ、特に回転方向の位置ずれや、ユニットの歪み変形は抑制することができない。これは、伸縮吸収部によってベースプレートの全長方向の伸縮は吸収できるものの、伸縮吸収部間の梁部は温度変動で熱変形するため、ユニットの接合固定部がこの変形の影響を受けてしまうためである。
本発明は上記事実を考慮して、ベース基板又はベース基板に対して着脱可能とされたスペーサー部材に接合固定されて保持される構成ユニットの温度変動による位置ずれや歪み変形を抑制することができる構造体及び液滴吐出装置を提供することを課題とする。
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、ベース基板に構成ユニットが位置決めされ接合固定部を介し接合固定されて保持された構造体において、前記接合固定部は、前記ベース基板の熱歪による変位が略発生しない熱変位中立部に設けられていることを特徴としている。
本発明では、ベース基板に対して位置決めされ接合固定部を介し接合固定されて保持される構成ユニットは、ベース基板への接合固定部が、ベース基板の熱歪による変位が略発生しない熱変位中立部に設けられる。これにより、温度が変動する環境下でも、接合固定部がベース基板の熱歪の影響を受けないようになり、すなわち、変位が略発生しないようになり、この接合固定部を介してベース基板に接合固定された構成ユニットの温度変動に伴う位置ずれや歪み変形を抑制することができる。
請求項2に記載の発明は、ベース基板に対して着脱可能とされたスペーサー部材が接合固定部を介し接合固定され、そのスペーサー部材に構成ユニットが位置決めされ接合固定されて保持された構造体において、前記接合固定部は、前記ベース基板の熱歪による変位が略発生しない熱変位中立部に設けられていることを特徴としている。
本発明では、ベース基板に対して着脱可能とされ接合固定部を介し接合固定されるスペーサー部材は、ベース基板への接合固定部が、ベース基板の熱歪による変位が略発生しない熱変位中立部に設けられる。そして構成ユニットは、このスペーサー部材に位置決めされて接合固定されることにより、スペーサー部材を介してベース基板に保持される。このように、ベース基板に対して着脱可能とされたスペーサー部材に構成ユニットを接合固定し保持する構成であれば、構成ユニットがスペーサー部材とともにベース基板に着脱できるようになり、構成ユニットの交換が可能となる。
また、温度が変動する環境下でも、接合固定部がベース基板の熱歪の影響を受けないようになり、すなわち、変位が略発生しないようになり、この接合固定部を介してベース基板に接合固定されたスペーサー部材と、そのスペーサー部材に接合固定された構成ユニットの温度変動に伴う位置ずれや歪み変形を抑制することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の構造体において、前記ベース基板は開口部を備え、前記接合固定部は、前記開口部の周囲においてベース基板の前記熱歪により開口部内方への変位と開口部外方への変位の境界領域に存在する前記熱変位中立部に配置されていることを特徴としている。
本発明では、開口部を備えたベース基板の場合、開口部の周囲においては、ベース基板の熱歪で開口部内方へ変位する部位と、開口部外方へ変位する部位があり、その境界領域に熱変位中立部が存在する。そのため、この境界領域に存在する熱変位中立部に接合固定部を配置することにより、ベース基板の熱歪による接合固定部の変位を抑制することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の構造体において、前記ベース基板は、複数の開口部と、その複数の開口部の間に設けられた梁部と、を備え、前記接合固定部は、前記梁部の中央領域に存在する前記熱変位中立部に配置されていることを特徴としている。
本発明では、複数の開口部、及び、その複数の開口部の間に設けられた梁部を備えるベース基板の場合、梁部の中央領域に熱変位中立部が存在する。そのため、この梁部の中央領域に存在する熱変位中立部に接合固定部を配置することにより、ベース基板の熱歪による接合固定部の変位を抑制することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の構造体において、前記ベース基板は前記熱歪による変位を吸収する伸縮吸収部を備え、前記接合固定部は、前記伸縮吸収部を跨いだ少なくとも2箇所に存在する前記熱変位中立部に配置されていることを特徴としている。
本発明では、ベース基板に熱歪による変位を吸収する伸縮吸収部を設けることで、ベース基板の熱歪(熱膨張)が伸縮吸収部によって吸収され撓みが抑えられるため、ベース基板の撓みを起因とする構成ユニットの位置ずれ、特に、ベース基板に複数の構成ユニットが保持される場合の構成ユニット間の位置ずれを抑制することができる。
また、この伸縮吸収部を備えたベース基板の場合、伸縮吸収部を跨いだ領域に熱変位中立部が存在する。そのため、この伸縮吸収部を跨いだ領域に存在する熱変位中立部の少なくとも2箇所に、接合固定部を配置することにより、ベース基板の熱歪による接合固定部の変位を抑制することができる。したがって、上記のベース基板の撓みによる位置ずれの抑制と併せ、構成ユニットの位置ずれ抑制効果が高められる。
請求項6に記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の構造体において、前記ベース基板は、前記熱歪による変位を吸収する複数の前記伸縮吸収部と、その複数の伸縮吸収部の間に設けられた基板構成部と、を備え、前記接合固定部は、前記基板構成部の重心領域に存在する前記熱変位中立部に配置されていることを特徴としている。
本発明では、熱歪による変位を吸収する複数の伸縮吸収部、及び、その複数の伸縮吸収部の間に設けられた基板構成部を備えるベース基板の場合、基板構成部の重心領域に熱変位中立部が存在する。そのため、この基板構成部の重心領域に存在する熱変位中立部に接合固定部を配置することにより、ベース基板の熱歪による接合固定部の変位を抑制することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項6記載の構造体において、前記基板構成部は、開口部と、前記複数の伸縮吸収部の間に設けられて前記開口部を構成する梁部と、を備え、前記接合固定部は、前記梁部の中央領域に存在する前記熱変位中立部に配置されていることを特徴としている。
本発明では、熱歪による変位を吸収する複数の伸縮吸収部、及び、その複数の伸縮吸収部の間に設けられた基板構成部を備えるベース基板において、基板構成部が、開口部、及び、複数の伸縮吸収部の間に設けられて開口部を構成する梁部を備える場合、梁部の中央領域に熱変位中立部が存在する。そのため、この梁部の中央領域に存在する熱変位中立部に接合固定部を配置することにより、ベース基板の熱歪による接合固定部の変位を抑制することができる。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7の何れか1項記載の構造体において、前記構成ユニットは、ノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドユニットであることを特徴としている。
本発明では、ノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドユニットがベース基板又はスペーサー部材に接合固定されて保持された構造体において、温度変動に伴うベース基板に対する液滴吐出ヘッドユニットの位置ずれ、あるいは、液滴吐出ヘッドユニット自体の歪み変形を抑制することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項8記載の構造体において、前記液滴吐出ヘッドユニットを保持する、又は、液滴吐出ヘッドユニットを前記スペーサー部材を介して保持する前記ベース基板は長尺基板であり、その長尺基板に保持された液滴吐出ヘッドユニットを複数備える長尺状の液滴吐出ヘッドであることを特徴としている。
本発明では、複数の液滴吐出ヘッドユニットが長尺基板又はスペーサー部材を介して長尺基板に保持された長尺状の液滴吐出ヘッドからなる構造体において、温度変動に伴う長尺基板に対する各液滴吐出ヘッドユニットの位置ずれ、あるいは、液滴吐出ヘッドユニット自体の歪み変形を抑制することができる。
請求項10に記載の発明は、液滴吐出装置において、請求項8又は請求項9記載の構造体を備えることを特徴としている。
本発明では、液滴吐出ヘッドユニットがベース基板(長尺基板)に温度変動による位置ずれや歪み変形が抑えられて保持された構造体を備える液滴吐出装置が得られる。
本発明の構造体及び液滴吐出装置によれば、ベース基板又はベース基板に対して着脱可能とされたスペーサー部材に接合固定されて保持される構成ユニットの温度変動による位置ずれや歪み変形を抑制することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る構造体であるインクジェット記録ヘッド、及び、そのインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置について説明する。
(第1の実施形態)
図1には、本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録装置が示されている。
図1に示すように、インクジェット記録装置10は、用紙Pをストックすると共に画像記録時に送り出す用紙供給部12、用紙供給部12から送り込まれた用紙Pの姿勢を制御して記録ヘッド部16に送り出すレジ調整部14、レジ調整部14から送り込まれた用紙Pに対しインク滴を吐出して画像を記録する記録ヘッド部16、及び、記録ヘッド部16のメンテナンスを行なうメンテナンス部18を備えた記録部20、記録部20で画像記録された用紙Pが排出される排出部22によって基本構成されている。
用紙供給部12には、複数枚の用紙Pが積層されてストックされるストッカ24と、ストッカ24から1枚ずつ枚葉してレジ調整部14に搬送する搬送装置26とが設けられている。
レジ調整部14には、ループ形成部28と、用紙の姿勢を制御するガイド部材29とが設けられており、用紙供給部12から送り込まれた用紙Pは、これらのループ形成部28及びガイド部材29を通過することにより、用紙Pのコシを利用してスキューが矯正されると共に搬送タイミングが制御されて記録部20に送り込まれる。
記録部20では、上下に対向する記録ヘッド部16とメンテナンス部18が設けられており、それらの間には、レジ調整部14から送り込まれた用紙Pが搬送される用紙搬送路が構成されている。記録ヘッド部16には、用紙搬送路に沿って所定の間隔で配列された複数のインクジェット記録ヘッド(ヘッドバー)30が設けられており、用紙搬送路における各インクジェット記録ヘッド30の上流側と下流側には、上下に対向するスターホイール17と搬送ロール19が複数対設けられている。
用紙Pは、これらのスターホイール17と搬送ロール19に挟持されつつ用紙搬送路を連続的に(停止することなく)搬送され、記録ヘッド部16の各インクジェット記録ヘッド30からインク滴が吐出されることにより画像が記録される。そして、排出部22では、記録部20で画像記録された用紙Pが排紙ベルト23により搬送されてトレイ25に収納される。
メンテナンス部18は、複数のインクジェット記録ヘッド30の各々に対向して配置された複数のメンテナンス装置21を備えている。メンテナンス装置21は、インクジェット記録ヘッド30に対するキャッピングを行なうキャップCP(図9参照)を備えており、その他、ワイピング、さらにダミージェットやバキューム等の処理を行うことができる。
インクジェット記録装置10は以上の構成とされており、次に、このインクジェット記録装置10に搭載されたインクジェット記録ヘッド30について詳細に説明する。
図2及び図3に示すように、インクジェット記録ヘッド30は、紙送り方向Xと直交する方向(紙幅方向Y)に沿って配列された、複数の記録ヘッドユニット32を備えている。図3(B)に示すように、記録ヘッドユニット32には、紙幅方向Yに沿ってライン状に複数のノズル54が形成されており、記録ヘッドユニット32は、上記の用紙搬送路を連続的に搬送される用紙Pに対し、ノズル54からインク滴を吐出することで、用紙P上に画像を記録する。なお、インクジェット記録装置10に搭載されたこのインクジェット記録ヘッド30は、例えば、いわゆるフルカラーの画像を記録するために、YMCKの各色に対応して、少なくとも4つ配置されている。
図4に示すように、1つのインクジェット記録ヘッド30にライン状に形成されたノズル54による印字領域幅は、このインクジェット記録装置10での画像記録が想定される用紙Pの用紙最大幅PWよりも長くされており、インクジェット記録ヘッド30を紙幅方向Yに移動させることなく用紙Pの全幅にわたる画像記録が可能とされている(いわゆるFull Width Array(FWA))。ここで、印字領域とは、用紙Pの両端から印字しないマージンを引いた記録領域のうち最大のものが基本となるが、一般的には印字対象となる用紙最大幅PWよりも大きくとっている。これは、用紙が搬送方向に対して所定角度傾斜して(スキューして)搬送されるおそれがあること、また縁無し印字の要請が高いためである。
このインクジェット記録ヘッド30は、図2及び図3に示すように、長尺基板40、上述した複数の記録ヘッドユニット32、及び、複数のスペーサー部材42を含んで構成されている。長尺基板40は、紙幅方向Yに長尺とされ、長手方向に沿って所定の間隔で配列された複数の開口部40Aが形成されている。長尺基板40の長手方向の両端部には、インクジェット記録装置10への取り付け部材となる一対の取り付け板41が設けられており、長尺基板40は、この取り付け板41の紙幅方向Yの内側部分の下面に架け渡されるように配置されている。また、長尺基板40の紙送り方向Xの幅は、記録ヘッドユニット32の同方向の幅よりも狭幅とされており、これによって、インクジェット記録ヘッド30が小型に構成されている。
長尺基板40の下面には、スペーサー部材42が取り付けられている。スペーサー部材42は、透明樹脂材料により形成されて板状とされ、各記録ヘッドユニット32毎に、図5に示すように、紙送り方向Xに互いに離間して2個配置されている。スペーサー部材42は、図6(A)(B)に示すように、長尺基板40に2箇所でねじ46によりねじ止めされている。これにより、スペーサー部材42は長尺基板40から取り外し可能とされている。2個のスペーサー部材42の間には、図示しないインクタンクからインクを記録ヘッドユニット32へ供給するインク供給ユニット44(図5参照)が配置される。2個のスペーサー部材42を、互いに離間して配置することにより、スペーサー部材42自体にインク供給用の流路を設ける必要はなく、離間部分にインク供給ユニット44を配置でき、インク供給経路を確保することが可能となる。更には、スペーサー部材42にインク供給経路を形成する必要が無く、耐インク性を考慮しない材料選定が可能となり、スペーサー部材42に使用する材料選定に自由度が得られる。また、ここでは各記録ヘッドユニット32毎に互いに離間した2個のスペーサー部材を使用する場合を記載したが、この形態に限られるものではなく、例えば、図13に示すように、上記互いに離間した2個のスペーサー部材42を1個のスペーサー部材43とし、インク供給経路を配置する部分にはスペーサー部材42が存在しないようにその一部が離間するような、例えば貫通孔43Bとする形態とすればよい。
また、本実施形態では、各記録ヘッドユニット32毎にスペーサー部材42を用いる場合を示したが、必要に応じて、複数の記録ヘッドユニット32単位に対してスペーサー部材42を用いる形態としても良い。この場合には、複数の記録ヘッドユニット32単位で交換可能となり、使用するスペーサー部材42の数を減らすことができる為、製造コストを低減させることができる(図14参照)。
記録ヘッドユニット32は、図6(A)に示すように、液体中継部材50及びヘッド基板52で構成されている。ヘッド基板52は、インクの吐出側に配置され、ノズル面52A側にはインクを吐出させるノズル54が紙幅方向Yに1列に形成されており、このヘッド基板52には、インクを吐出させるための圧電素子、振動板、圧力室などが備えられている。なお、ここではヘッド基板52にノズルを紙幅方向Yに1列に形成した例を挙げているが、この形態に限らない。例えば高画質化や高速化の為に、ヘッド基板52にはノズルを、紙幅方向Y及び紙送り方向Xの2次元平面にマトリックス配列状となるように形成しても良い(図20(B)参照)。
液体中継部材50は、スペーサー部材42側に配置され、インク供給ユニット44と連通されて各ノズル54へインクを供給する個別供給路50Aが形成されている。
記録ヘッドユニット32は、スペーサー部材42を挟んで、長尺基板40と逆側に配置されている。スペーサー部材42と記録ヘッドユニット32とは、ノズル面52A側からみて、紙幅方向Yに沿った長尺基板40よりも外側の端辺部が、ほぼ同一形状(矩形状)とされている。記録ヘッドユニット32は、紙幅方向Yに沿った両端辺部で、すなわち、記録ヘッドユニット32の長手方向に沿った両端辺部で、スペーサー部材42と接合固定されている。本実施形態では、記録ヘッドユニット32のスペーサー部材42への接合固定は、UV(紫外線)硬化型の接着剤Uで行なわれ、詳細については後述する記録ヘッドユニット32とスペーサー部材42との間の所定箇所に接着剤Uが介在している。
記録ヘッドユニット32とスペーサー部材42との間には、接着剤Uの厚み分のギャップGが構成され、このギャップGを調整することにより、複数の記録ヘッドユニット32のノズル面52Aの高さをそろえることができる。
図6(B)に示すように、スペーサー部材42の長尺基板40が重ねられていない部分には、電気配線用の貫通孔42Aが形成されている。図示しない電気配線は、貫通孔42Aを通って記録ヘッドユニット32と図示しないコントローラーとを接続している。
次に、本実施形態のインクジェット記録ヘッド30の製造方法を、図7(A)〜図7(D)を参照して説明する。
まず、図7(A)に示すように、長尺基板40に、すべてのスペーサー部材42を取り付ける。ここでの取り付けは、ねじ46によるねじ止めで行なう。
次に、図7(B)に示すように、長尺基板40をアライメント接合装置に設けられた接合用下降アームSAに取り付け、取り付けられた長尺基板40と平行に配置されたアライメント接合装置の位置決めステージST上に、1つのインクジェット記録ヘッド30を構成するために必要な個数の記録ヘッドユニット32を1列に並べる。このとき、記録ヘッドユニット32は、各記録ヘッドユニット32間でのノズル54の位置を正確に位置決めして並べる。記録ヘッドユニット32には、所定箇所にUV硬化型の接着剤Uを塗布しておく。
次に、図7(C)に示すように、平行状態を保ちながら、接合用下降アームSAを位置決めステージSTに近づけていき、ノズル面52Aが所定のノズル面を構成する位置で止める。このとき、記録ヘッドユニット32に塗布されていた接着剤Uは、スペーサー部材42に押し当てられ、所定の厚み以上の厚さ部分は押しつぶされる(接合)。
次に、接合用下降アームSAと位置決めステージSTとの距離を上記の状態で維持したまま接着剤UにUV光を照射して硬化処理を行ない(接合固定)、図7(D)に示すように、接合用下降アームSA及び位置決めステージSTから取り外して、インクジェット記録ヘッド30が完成する。なお、この接着剤Uに照射するUV光は、例えばフォーカス照射やマスク等を用いて、接着剤Uが塗布された所定箇所を含む所定範囲内のみに照射するよう、すなわち、接着剤Uが塗布されていない箇所には照射しないよう照射範囲を制限する。
上記製造方法によれば、スペーサー部材42はねじ止めで長尺基板40へ取り付けられるが、記録ヘッドユニット32の接合前に長尺基板40に取り付けられるので、スペーサー部材42の多少の位置ずれは記録ヘッドユニット32の位置あわせに影響しない。そして、記録ヘッドユニット32は、長尺基板40に取り付けられた状態のスペーサー部材42へ接着剤Uを用いて接合されるので、位置決めステージST上にアライメントした状態で接合固定を行なうことができ、長尺基板40と記録ヘッドユニット32を直接ねじ止めする場合と比較して、正確に位置あわせがなされたまま接合固定することができる。
なお、上記製造方法では、位置決めステージST上に、長尺基板40を構成するために必要なすべての記録ヘッドユニット32を並べて一度に接合固定を行なったが、記録ヘッドユニット32の接合固定は、必ずしも1度で行なう必要はない。例えば、図8に示すように、1個、2個など、一部の記録ヘッドユニット32のみを並べて接合固定を行ない(図8(A)では2個ずつ)、同様の処理を複数回繰り返すことにより、インクジェット記録ヘッド30を完成させてもよい。
次に本実施形態のインクジェット記録装置10の動作について説明する。
インクジェット記録装置10に印字ジョブが入力されて印字(画像記録)動作が開始されると、ストッカ24から用紙Pが1枚ピックアップされ、搬送装置26により、記録部20へ搬送される。
一方、インクジェット記録ヘッド30には、すでにインクタンクからインク供給ポートを介して記録ヘッドユニット32の個別供給路50Aにインクが注入(充填)されている。このとき、ノズル54の先端(吐出口)では、インクの表面が僅かに凹んだメニスカスが形成されている。
用紙Pを所定の搬送速度で搬送しつつ、記録ヘッドユニット32の複数のノズル54から選択的にインク滴を吐出することにより、用紙Pに、画像データに基づく画像を記録する。
記録ヘッドユニット32をメンテナンスする際には、図9に示すように、キャップCPをメンテナンス位置M1に配置し、キャップCPで記録ヘッドユニット32をキャップする。このとき、記録ヘッドユニット32の長手方向(紙幅方向Yと同方向)に沿った端辺部TにはキャップCPが押し当てられる。これにより、インクジェット記録ヘッド30のノズル面52A側がキャップCPに覆われて密閉空間Hが構成される。この状態で、メンテナンス装置21の図示しないポンプが作動されて密閉空間Hが負圧とされ、ノズル54を吸引することにより、ノズル54を詰まらせているインク塊などを排出させることができる。
本実施形態のインクジェット記録ヘッド30は、スペーサー部材42と記録ヘッドユニット32との接合が、上記メンテナンス時にキャップCPにより押圧される端辺部T部分で行なわれているので、押圧により作用される力を接合部で適切に受けることができ、インクジェット記録ヘッド30の変形などを防止することができる。
また、インクジェット記録ヘッド30は、図10に示すように、長尺基板40及び記録ヘッドユニット32の両方を、スペーサー部材42の下側に配置することもできるが、本実施形態のように配置することにより、メンテナンス時にキャップCPによる押圧力を、長尺基板40とスペーサー部材42の両方で受けることができ、強度を向上させることができる。
また、本実施形態では、長尺基板40の紙送り方向Xの幅を、記録ヘッドユニット32の幅よりも狭くしたが、長尺基板40の紙送り方向Xの幅は、図11に示すように、記録ヘッドユニット32の幅と同程度にしてもよい。この場合には、電気配線用の貫通孔42Aは必要なく、離間されたスペーサー部材42の間で長尺基板40の開口部40Aに連通する位置に、電気配線を行なえばよい。
また、本実施形態のスペーサー部材42は透明樹脂製であるため、接着剤Uの硬化処理では、図12に示すように、接着剤Uへ向けて出射されたUV光がスペーサー部材42を透過して、接着剤U全体に照射される。そしてこの場合には、図12(A)のように、長尺基板40の紙送り方向Xの幅を、記録ヘッドユニット32の幅よりも狭くした構成の方が、図12(B)のように、長尺基板40の紙送り方向の幅を、記録ヘッドユニット32の幅と同幅とした構成よりも光照射領域が広くなり、照射効率が向上する。
次に、前述したスペーサー部材42の長尺基板40への接合固定部であるねじ46の配置と、インクジェット記録ヘッド30をスペーサー部材42に接合固定部する接着剤Uの塗布箇所、及び作用について説明する。
図15に示すように、インク供給ユニット44を配置するための開口部40Aが形成された長尺基板40では、例えばインクジェット記録装置10内の昇温によって熱変形すると、開口部40Aの周囲の4つの梁部のうち、紙送り方向Xで対向する紙幅方向Yに沿った2つの横梁部40Bが紙幅方向Yに膨張し(矢印EY方向)、紙幅方向Yで対向する紙送り方向Xに沿った2つの縦梁部40Cが紙送り方向Xに膨張する(矢印EX方向)。また、横梁部40Bは紙送り方向Xにも膨張し、縦梁部40Cは紙幅方向Yにも膨張するため、開口部40Aが全体的に内方に収縮変形する(矢印EI方向)。
このような熱歪(熱変形)を生じる長尺基板40では、開口部40Aの周囲に、長尺基板40の熱歪で開口部内方へ変位する部位と、開口部外方へ変位する部位があり、その境界領域に、開口部内外方向での熱変位中立部が存在する。また、開口部外方への変位は、横梁部40Bの紙幅方向Yへの変位と、縦梁部40Cの紙送り方向Xへの変位とによって引き起こされており、したがって、上記の境界領域には更に、紙幅方向Yへ変位する横梁部40Bと、紙送り方向Xへ変位する縦梁部40Cと、開口部40Aの内方へ変位する部位との熱変位中立部が存在し、その熱変位中立部HNは開口部40Aの4つの角部の外側近傍に存在する。そして本実施形態では、2つのスペーサー部材42を長尺基板40に取り付けるための計4本のねじ46が、上記4箇所の熱変位中立部HNにそれぞれ配置されており、このねじ46によって各スペーサー部材42が長尺基板40に着脱可能に取り付けられ接合固定されている。
また、この2つのスペーサー部材42に接合固定される本実施形態の記録ヘッドユニット32は、直方体状とされており(図2及び図3参照)、図15に示すように、スペーサー部材42への接合面32A(液体中継部材50の上面)が平面視にて矩形状とされている。この接合面32Aに塗布される前述の接着剤Uは、図示のように、接合面32Aにおける4つの角部32Bの近傍にそれぞれほぼ同量塗布される(計4箇所)。すなわち、接着剤Uは、矩形状とされた接合面32Aの周縁(4辺部)における各辺の端部に塗布される。接着剤Uの塗布形状については、例えば図示のように、平面視にて略円形状(点状)などとされている。また、この接着剤Uの塗布にはディスペンサー等の自動塗布装置を用いており、これによって、塗布位置、塗布量、及び塗布形状のばらつきが抑えられている。
そして、接合面32Aの上記4箇所に接着剤Uが塗布された複数の記録ヘッドユニット32は、前述した製造方法により各スペーサー部材42に接合固定される。このようにして、複数の記録ヘッドユニット32が各スペーサー部材42を介して長尺基板40に保持され、これら複数の記録ヘッドユニット32、複数のスペーサー部材42、及び長尺基板40を備えたインクジェット記録ヘッド30は一つの構造体として構成される。
以上の構成とされた本実施形態のインクジェット記録ヘッド30では、長尺基板40にねじ46で取り付けられたスペーサー部材42は、長尺基板40への接合固定部となるねじ46が、長尺基板40の熱歪による変位が略発生しない熱変位中立部に設けられており、記録ヘッドユニット32は、このスペーサー部材42に位置決めされて接着剤Uで接合固定されることにより、スペーサー部材42を介して長尺基板40に保持されている。これにより、インクジェット記録装置10の内部で、使用環境の変化や装置内に存在するモーター等の発熱部品により温度が変動しても、ねじ46が長尺基板40の熱歪の影響を受けないようになり、すなわち、変位が略発生しないようになり、このねじ46を介して長尺基板40に接合固定されたスペーサー部材42と、そのスペーサー部材42に接合固定された記録ヘッドユニット32の温度変動に伴う位置ずれや歪み変形が抑えられる。
図16に、本実施形態の比較例を示す。この比較例では、図16(A)に示すように、4本のねじ46の位置が開口部40Aの4つの角部から外側に離間して、横梁部40Bと縦梁部40Cとが繋がれた領域に配置されている。この場合、長尺基板40が熱変形すると、横梁部40Bの紙幅方向Yの膨張と、縦梁部40CのX方向の膨張で、各ねじ46は間隔が大きくなる方向へ変移する。特にここでは、膨張変形に対する自由度の高い紙送り方向Xへ大きく膨張するため、2つのスペーサー部材42が離間する方向へより大きく変位する。そのため、図16(B)に示すように、2つのスペーサー部材42に接合固定された記録ヘッドユニット32は、特に紙送り方向Xに大きく歪み変形するようになり、ノズル54の位置ずれを起こして、吐出するインク滴の着弾位置ずれによる画質低下を招くことになる。
これに対し、本実施形態では、長尺基板40の全長方向(紙幅方向Y)への膨張による撓みで発生する記録ヘッドユニット間の位置ずれは軽減できないものの、上述したように、記録ヘッドユニット自体の温度変動に伴う位置ずれや歪み変形は抑制されるため、このような画質低下を改善することができる。
また、本実施形態では、長尺基板40に対して着脱可能とされたスペーサー部材42に記録ヘッドユニット32を接合固定して、長尺基板40に保持していることにより、製造過程、あるいはインクジェット記録装置10の使用中に一部の記録ヘッドユニット32のみに不具合が生じた場合でも、長尺基板40とスペーサー部材42を固定しているねじ46を緩めることで、その不具合が生じた記録ヘッドユニット32だけを簡単に取り外し、新しい記録ヘッドユニット32と交換することができる。
また、本実施形態では、UV硬化型(光硬化型)の接着剤を用いていることにより、例えば熱硬化型接着剤を用いた場合の高温加熱処理で生じる記録ヘッドユニット32の熱膨張/収縮や、記録ヘッドユニット32とスペーサー部材42及び長尺基板40の間での熱膨張差による位置ずれが抑えられるとともに、UV光の照射処理によって迅速に硬化できるため、常温硬化型等に比べて硬化時間の短縮化が図られ生産性が向上する。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、1つの記録ヘッドユニット32を上述した2分割のスペーサー部材42ではなく、図13に示すような単一のスペーサー部材43に接合固定する場合の例である。
図17に示すように、本実施形態のインクジェット記録ヘッド60は、上述した長尺基板40、長尺基板40に2本のねじ46で取り付けられた複数のスペーサー部材43、及び各スペーサー部材43に接着剤Uによって接合固定された複数の記録ヘッドユニット32を備えている。
このインクジェット記録ヘッド60においても、長尺基板40の縦梁部40Cは紙幅方向Yに熱膨張/収縮するが、この縦梁部40Cの中央領域(重心領域)にも、長尺基板40の熱歪による変位が略発生しない熱変位中立部HNが存在する。そこで、本実施形態では、単一のスペーサー部材43を長尺基板40に取り付けるための2本のねじ46を、縦梁部40Cの中央部領域に配置しており、これによって、各ねじ46が熱変位中立部HNにそれぞれ配置された構成となっている。
このように、本実施形態のインクジェット記録ヘッド60の場合も、長尺基板40の撓みで発生する記録ヘッドユニット間の位置ずれは抑えられないが、スペーサー部材43を固定する2本のねじ46が長尺基板40の熱歪の影響を受けず、変位が略発生しないようになるため、このねじ46によって長尺基板40に取り付けられたスペーサー部材43と、スペーサー部材43に接合固定された記録ヘッドユニット32との温度変動に伴う位置ずれや歪み変形は抑えられるようになり、画質低下を改善することができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、熱歪による変位を吸収する伸縮吸収部を備えた長尺基板に対して本発明を適用した場合の例である。
図18(A)に示すように、本実施形態のインクジェット記録ヘッド70は、紙幅方向Y方向に沿って長尺とされた長尺基板72、長尺基板72にそれぞれ2本のねじ46で取り付けられ紙幅方向Yに沿って配列された2分割構成の複数のスペーサー部材42、及び各スペーサー部材42に接着剤Uによって接合固定され紙幅方向Y方向に沿って配列された複数の記録ヘッドユニット32を備えている。
また、長尺基板72には、インク供給ユニット44が配置される複数の開口部72Aが紙幅方向Yに沿って形成されており、各開口部72Aの中間部となる縦梁部72Cに、長尺基板72の熱歪による全長方向の変位を吸収する伸縮吸収部74が設けられている。
伸縮吸収部74は、縦梁部72Cにマトリックス状に配置された複数の矩形孔76によって、紙送り方向Xには高剛性であり、紙幅方向Yには低剛性で圧縮変形しやすくなるよう構成されている。この伸縮吸収部74が、主に横梁部72Bの紙幅方向Yへの膨張時に圧縮変形することで、横梁部72Bの膨張、すなわち、長尺基板72の紙幅方向Yへの熱歪を吸収するよう機能する。
このように、伸縮吸収部74によって全長方向への熱歪が抑制される長尺基板72では、横梁部72Bの中央領域に長尺基板72の熱歪による変位が略発生しない熱変位中立部HNが存在する。そこで、本実施形態では、スペーサー部材42を長尺基板72に取り付けるための2本のねじ46が、伸縮吸収部74を跨いで横梁部72Bの中央領域(熱変位中立部HN)に配置されており、このねじ46によってスペーサー部材42が長尺基板72に着脱可能に取り付けられ接合固定されている。
以上の構成により、本実施形態のインクジェット記録ヘッド70では、長尺基板72の熱歪(熱膨張)が伸縮吸収部74によって吸収され撓みが抑えられるため、長尺基板72の撓みを起因とする記録ヘッドユニット32の位置ずれ、特に記録ヘッドユニット間の位置ずれが抑えられる。また、スペーサー部材42を固定するための2本のねじ46が長尺基板72の熱歪の影響を受けず、変位が略発生しないようになるため、このねじ46によって長尺基板72に取り付けられたスペーサー部材42と、スペーサー部材42に接合固定された記録ヘッドユニット32の温度変動に伴う位置ずれや歪み変形が抑えられる。
図18(B)に、本実施形態の比較例を示す。この比較例に係るインクジェット記録ヘッド71では、長尺基板72にスペーサー部材42を取り付けているねじ46が開口部72の4つの角部から外側に離間して、横梁部40Bの両端部である伸縮吸収部74の近くに配置されている。この場合、長尺基板72が熱変形すると、横梁部40Bの紙幅方向Yのへ膨張と、それに伴う伸縮吸収部74の圧縮変形で、各ねじ46は紙幅方向Yの間隔が大きくなる方向へ変移する。そのため、記録ヘッドユニット32はスペーサー部材42に接合固定された上縁部及び下縁部が紙幅方向Yに膨張して歪み、やはり、ノズル54の位置ずれを起こして、吐出するインク滴の着弾位置ずれによる画質低下を招くことになる。
これに対し、本実施形態では、上述したように、長尺基板72の撓み防止による記録ヘッドユニット32間の位置ずれ抑制効果と、温度変動で接合固定部(ねじ46)が略変位しないスペーサー部材42への接合固定で記録ヘッドユニット32自体の位置ずれ及び歪み抑制効果が得られるため、ノズル54の位置ずれとそれに起因するインク滴の着弾位置ずれが抑えられ、画質低下をより確実に防止することができる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、第3の実施形態で説明した伸縮吸収部を有する長尺基板に対し、第2の実施形態で説明した単一のスペーサー部材を用いて記録ヘッドユニットを保持する場合の例である。
図19(A)に示すように、本実施形態のインクジェット記録ヘッド80は、紙幅方向Y方向に沿って長尺とされた長尺基板82、長尺基板82にそれぞれ2本のねじ46で取り付けられ紙幅方向Yに沿って配列された単一構成の複数のスペーサー部材43、及び各スペーサー部材43に接着剤Uによって接合固定され紙幅方向Y方向に沿って配列された複数の記録ヘッドユニット32を備えている。
この長尺基板82にも、長尺基板82の熱歪による紙幅方向Yの変位を吸収する伸縮吸収部74が紙幅方向Yに所定の間隔で複数設けられているが、伸縮吸収部74間には開口部が形成されておらず、長尺基板82を構成する平面視矩形状の基板構成部82Aが設けられている。
このように、開口部が存在しない長尺基板82では、伸縮吸収部74間の基板構成部82Aにおける重心領域に長尺基板82(基板構成部82A)の熱歪による変位が略発生しない熱変位中立部HNが存在する。そこで、本実施形態では、スペーサー部材43を長尺基板82に取り付けるための2本のねじ46が、伸縮吸収部74を跨いで基板構成部82Aの重心領域(熱変位中立部HN)に配置されており、このねじ46によってスペーサー部材43が長尺基板82に着脱可能に取り付けられ接合固定されている。
以上の構成により、本実施形態のインクジェット記録ヘッド80の場合も、長尺基板82の熱歪(熱膨張)が伸縮吸収部74によって吸収され撓みが抑えられるため、長尺基板82の撓みを起因とする記録ヘッドユニット32の位置ずれ、特に記録ヘッドユニット間の位置ずれが抑えられる。また、スペーサー部材43を固定するための2本のねじ46が長尺基板82の熱歪の影響を受けず、変位が略発生しないようになるため、このねじ46によって長尺基板82に取り付けられたスペーサー部材43と、スペーサー部材43に接合固定された記録ヘッドユニット32の温度変動に伴う位置ずれや歪み変形が抑えられる。
図19(B)に、本実施形態の比較例を示す。この比較例に係るインクジェット記録ヘッド81では、長尺基板82にスペーサー部材43を取り付けている各ねじ46が基板構成部82Aの四隅近傍に配置されている。この場合、長尺基板82が熱変形すると、基板構成部82Aの紙幅方向Yのへ膨張と、それに伴う伸縮吸収部74の圧縮変形で、各ねじ46は紙幅方向Yの間隔が大きくなる方向へ変移する。また、開口部の無い基板構成部82Aは紙送り方向Xへも大きく膨張するため、この影響も受けて、記録ヘッドユニット32はスペーサー部材43に接合固定された上縁部及び下縁部が紙幅方向Y及び紙送り方向Xに膨張して歪み、やはり、ノズル54の位置ずれを起こして、吐出するインク滴の着弾位置ずれによる画質低下を招くことになる。
これに対し、本実施形態では、上述したように、長尺基板82の撓み防止による記録ヘッドユニット32間の位置ずれ抑制効果と、温度変動で接合固定部(ねじ46)が略変位しないスペーサー部材43への接合固定で記録ヘッドユニット32自体の位置ずれ及び歪み抑制効果が得られるため、ノズル54の位置ずれとそれに起因するインク滴の着弾位置ずれが抑えられ、画質低下をより確実に防止することができる。
(第5の実施形態)
第5の実施形態は、ノズルがマトリックス状に形成された特殊な平面形状の記録ヘッドユニットを長尺基板に複数個保持したライン状のインクジェット記録ヘッドに関するものであり、以下、その特殊形状の記録ヘッドユニットを備える第5の実施形態のインクジェット記録ヘッドの構成について説明する。
図20に示すように、本実施形態のインクジェット記録ヘッド100は、紙幅方向Yに長尺とされた長尺基板102、長尺基板102に着脱可能に取り付けられた複数のスペーサー部材42、及び、各スペーサー部材42に接合固定された複数の記録ヘッドユニット92を備えており、第1実施形態のインクジェット記録ヘッド30と同様に長尺ヘッド(FWAヘッド)として構成されている。
長尺基板102の下面に、ねじ46によって着脱可能に取り付けられたスペーサー部材42は、透明樹脂製で板状に形成されており、図20(B)に示すように、各記録ヘッドユニット92毎に、紙送り方向Xに互いに離間して斜め向いに2個配置されている。なお、このスペーサー部材42についても、前述したスペーサー部材43と同様に、上記の2個を組み合わせた形状の1個のスペーサー部材に置き換えることができる。
スペーサー部材42の下面に接着剤Uによって接合固定された本実施形態の記録ヘッドユニット92は、平面視が略平行四辺形状(紙送り方向Xの中央部が平行四辺形状)で、ノズル面93の中央部にインクを吐出させるノズル94がマトリクス状に形成されており、上記の斜め向いに配置された一対のスペーサー部材42に架け渡されるように配置されている。また、このインクジェット記録ヘッド100も、長尺基板102の紙送り方向Xの幅が記録ヘッドユニット92の同方向の幅よりも狭幅とされて、ヘッド全体が小型に構成されている。
また、図21(A)に示すように、長尺基板102は、インク供給ユニット44が配置される複数の開口部102Aが紙幅方向Yに沿って形成されており、各開口部102Aの中間部となる縦梁部102Cに、長尺基板102の熱歪による紙幅方向Yの変位を吸収する伸縮吸収部74が設けられている。
したがって、この伸縮吸収部74によって紙幅方向Yへの熱歪を抑制できる本実施形態の長尺基板102も、横梁部102Bの中央領域に長尺基板102の熱歪による変位が略発生しない熱変位中立部HNが存在する。そして本実施形態では、スペーサー部材42を長尺基板102に取り付けるための2本のねじ46が、伸縮吸収部74を跨いで横梁部102Bの中央領域(熱変位中立部HN)に配置されており、このねじ46によってスペーサー部材42が長尺基板102に着脱可能に取り付けられ接合固定されている。
また、本実施形態の記録ヘッドユニット92も接合面の所定箇所にUV硬化型の接着剤Uが塗布され、図20(A)、(B)に示すように紙幅方向Yに沿って一列に配列された状態で、前述した製造方法により各スペーサー部材42に接合固定される。このようにして、複数の記録ヘッドユニット92が各スペーサー部材42を介して長尺基板102に保持され、これら複数の記録ヘッドユニット92、複数のスペーサー部材42、及び長尺基板102を備えた本実施形態のインクジェット記録ヘッド100も一つの構造体として構成される。
以上の構成により、本実施形態のインクジェット記録ヘッド100では、ノズル94がマトリックス状に配列された記録ヘッドユニット92を備えていることにより、画像記録の高画質化及び高速化が図られる。
また、長尺基板102の熱歪(熱膨張)が伸縮吸収部74によって吸収され撓みが抑えられるため、長尺基板102の撓みを起因とする記録ヘッドユニット92の位置ずれ、特に記録ヘッドユニット間の位置ずれが抑えられる。また、スペーサー部材42を固定するための2本のねじ46が長尺基板102の熱歪の影響を受けず、変位が略発生しないようになるため、このねじ46によって長尺基板102に取り付けられたスペーサー部材42と、スペーサー部材42に接合固定された記録ヘッドユニット92の温度変動に伴う位置ずれや歪み変形が抑えられる。
図21(B)に、本実施形態の比較例を示す。この比較例に係るインクジェット記録ヘッド101では、記録ヘッドユニット92が接合固定される2つのスペーサー部材42が斜めに対向して非線対称に配置され、各スペーサー部材42を長尺基板102に取り付けているねじ46が横梁部102Bの両端部である伸縮吸収部74の近くに配置されている。この場合、長尺基板102が熱変形すると、横梁部102Bの紙幅方向Yのへ膨張と、それに伴う伸縮吸収部74の圧縮変形で、各ねじ46は紙幅方向Yの間隔が大きくなる方向へ変移し、各スペーサー部材42の先端側が紙幅方向Yに沿って互いに反対方向へ変位する。そのため、記録ヘッドユニット92はスペーサー部材42に接合固定された上縁部及び下縁部が紙幅方向Yに沿って反対方向に変位するようになり、回転方向の位置ずれや歪みが発生してノズル94の位置ずれを起こし、やはり、インク滴の着弾位置ずれによる画質低下を招くことになる。
これに対し、本実施形態では、上述したように、長尺基板102の撓み防止による記録ヘッドユニット92間の位置ずれ抑制効果と、温度変動で接合固定部(ねじ46)が略変位しないスペーサー部材42への接合固定で記録ヘッドユニット92自体の位置ずれ、特に回転方向の位置ずれと、歪み変形に対する抑制効果が得られるため、ノズル94の位置ずれとそれに起因するインク滴の着弾位置ずれが抑えられ、画質低下を確実に防止することができる。
(第6の実施形態)
第6の実施形態は、第5の実施形態で説明したノズルがマトリックス状に形成された記録ヘッドユニットをスペーサー部材を用いずに長尺基板に直接固定して保持したライン状のインクジェット記録ヘッドに関するものであり、以下、その第6の実施形態のインクジェット記録ヘッドの構成について説明する。
図22に示すように、本実施形態のインクジェット記録ヘッド110は、紙幅方向Yに長尺とされた長尺基板112と、長尺基板112に接着剤Uによって接合固定された複数の記録ヘッドユニット92を備えている。
この記録ヘッドユニット92に用いられる長尺基板112は、アクリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、及びポリエチレンテレフタレートといった透明樹脂材料、又は、透明ガラスにより形成されている。また、図23(A)に示すように、長尺基板112には、図示しないインク供給ユニットが配置される複数の開口部112Aが紙幅方向Yに沿って形成されており、この開口部112Aは平行四辺形とされ、各開口部112Aの間を占める傾斜梁部112Cに、長尺基板112の熱歪による紙幅方向Yの変位を吸収する伸縮吸収部114が傾斜梁部112Cに沿って設けられている。なお、本実施形態の伸縮吸収部114も前述した伸縮吸収部74と同じく、傾斜梁部112Cにマトリックス状に配置された複数の矩形孔116によって、傾斜梁部112Cに沿った方向には高剛性で、紙幅方向Yには低剛性で圧縮変形しやすくなるよう構成されており、この複数の矩形孔116が、主に横梁部112Bの紙幅方向Yへの膨張時に圧縮変形することで、横梁部112Bの膨張、すなわち、長尺基板112の紙幅方向Yへの熱歪を吸収するように機能する。
長尺基板112の下面には、複数の記録ヘッドユニット92が長尺基板112の長手方向に沿って配列され、記録ヘッドユニット92の接合面に塗布されたUV硬化型接着剤Uによって直接、接合固定される。ここで、伸縮吸収部114によって紙幅方向Yへの熱歪を抑制できる本実施形態の長尺基板112も、横梁部112Bの中央領域に長尺基板112の熱歪による変位が略発生しない熱変位中立部が存在することから、図22に示すように、記録ヘッドユニット92を長尺基板112に接合固定するための各接着剤Uが、伸縮吸収部114を跨いで横梁部112Bの中央領域に配置されている。この接着剤Uは、前述したように、接合前に記録ヘッドユニット92の接合面に予め塗布され、長尺基板112への接合後に、長尺基板112を通してUV光が照射されることで硬化処理される。
このようにして、複数の記録ヘッドユニット92が長尺基板112に直接接合固定されて保持された本実施形態のインクジェット記録ヘッド110も長尺ヘッド(FWAヘッド)として一つの構造体に構成されている。
以上により、本実施形態のインクジェット記録ヘッド110の場合も、長尺基板112の熱歪(熱膨張)が伸縮吸収部114によって吸収され撓みが抑えられるため、長尺基板112の撓みを起因とする記録ヘッドユニット92の位置ずれ、特に記録ヘッドユニット間の位置ずれが抑えられる。また、記録ヘッドユニット92を接合固定している各接着剤Uは長尺基板112の熱歪の影響を受けず、変位が略発生しないようになるため、この接着剤Uによって長尺基板112に接合固定された記録ヘッドユニット92の温度変動に伴う位置ずれや歪み変形が抑えられる。
図23(B)に、本実施形態の比較例を示す。この比較例に係るインクジェット記録ヘッド111では、長尺基板112に記録ヘッドユニット92を固定している各接着剤Uが横梁部112Bの両端部である伸縮吸収部114の近傍に位置して非線対称に配置されている。この場合、長尺基板112が熱変形すると、横梁部112Bの紙幅方向Yのへ膨張と、それに伴う横梁部112Bの圧縮変形で、各接着剤Uは紙幅方向Yの間隔が大きくなる方向へ変移する。そのため、記録ヘッドユニット92は長尺基板112に接合固定された上縁部及び下縁部が紙幅方向Yに沿って反対方向に変位するようになり、回転方向の位置ずれや歪みが発生してノズル94の位置ずれを起こし、やはり、インク滴の着弾位置ずれによる画質低下を招くことになる。
これに対し、本実施形態では、上述したように、長尺基板112の撓み防止による記録ヘッドユニット92間の位置ずれ抑制効果と、温度変動で接合固定部(接着剤U)が略変位しないことによる記録ヘッドユニット92自体の位置ずれ、特に回転方向の位置ずれと、歪み変形に対する抑制効果が得られるため、ノズル94の位置ずれとそれに起因するインク滴の着弾位置ずれが抑えられ、画質低下を確実に防止することができる。
(第7の実施形態)
第7の実施形態は、第6の実施形態で説明した記録ヘッドユニット92が直接接合固定される長尺基板の変形例に関するものであり、以下、その第7の実施形態のインクジェット記録ヘッドの構成について説明する。
図24(A)に示すように、本実施形態のインクジェット記録ヘッド120は、紙幅方向Yに長尺とされた長尺基板122と、長尺基板122に接着剤Uによって接合固定された複数の記録ヘッドユニット92を備えている。
このインクジェット記録ヘッド120に用いられる長尺基板122も光透過性材料で形成されており、図24(B)に示すように、全長方向(紙幅方向Y)に沿って、第6の実施形態の長尺基板112よりも狭い間隔で複数の開口部122Aが形成されている。この開口部122Aは、図示のようにY方向の寸法が狭くされた平行四辺形状であり、各開口部122Aの間を占める傾斜梁部122Cに、長尺基板122の熱歪による紙幅方向Yの変位を吸収する伸縮吸収部114が傾斜梁部122Cに沿って設けられている。
このように、伸縮吸収部114によって紙幅方向Yへの熱歪を軽減できる本実施形態の長尺基板122も、横梁部122Bの中央領域に長尺基板122の熱歪による変位が略発生しない熱変位中立部が存在することから、図24(A)に示すように、記録ヘッドユニット92を長尺基板122に接合固定するための各接着剤Uが、伸縮吸収部114を跨いで横梁部122Bの中央領域に配置されている。
以上により、本実施形態のインクジェット記録ヘッド120では、伸縮吸収部114がより多く設けられていることにより、第6実施形態のインクジェット記録ヘッド110よりも長尺基板122の撓み抑制効果が高められ、長尺基板112の熱膨張による撓み要因の記録ヘッドユニット92の位置ずれ、特に記録ヘッドユニット間の位置ずれ抑制効果が向上する。また、第6実施形態のインクジェット記録ヘッド110と同じく、記録ヘッドユニット92を接合固定している各接着剤Uは長尺基板122の熱歪の影響を受けず、変位が略発生しないようになるため、この接着剤Uによって長尺基板122に接合固定された記録ヘッドユニット92の温度変動に伴う位置ずれや歪み変形が抑えられ、画質低下を確実に防止することができる。
以上、本発明を上述した第1〜第7の実施形態により詳細に説明したが、本発明はそれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の形態が実施可能である。
例えば、上述の実施形態においては、紙幅対応のFWAの例について説明したが、本発明のインクジェット記録ヘッドは、これに限定されず、主走査機構と副走査機構を有するPartial Width Array(PWA)の装置にも適用することができる。
その他、上記実施例のインクジェット記録装置10では、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のインクジェット記録ヘッド30から画像データに基づいて選択的にインク滴が吐出されてフルカラーの画像が用紙Pに記録されるようになっているが、本発明におけるインクジェット記録は、用紙P上への文字や画像の記録に限定されるものではない。
すなわち、記録媒体は紙に限定されるものでなく、また、吐出する液体もインクに限定されるものではない。例えば、高分子フィルムやガラス上にインクを吐出してディスプレイ用カラーフィルターを作成したり、溶接状態の半田を基板上に吐出して部品実装用のバンプを形成するなど、工業的に用いられる液滴吐出(噴射)装置全般に対して、本発明に係るインクジェット記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)を適用することができる。
本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成を示す概略構成図である。 本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの斜視図である。 図2のインクジェット記録ヘッドの(A)は正面図、(B)は下面図である。 図2のインクジェット記録ヘッドによる印字領域を示す図である。 図2のインクジェット記録ヘッドのスペーサー部材の取り付け部分の構成を示す上面図である。 図2のインクジェット記録ヘッドの記録ヘッドユニットの取り付け部分の構成を示す(A)は正面図、(B)は側面図である。 本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドを製造する工程(A)、(B)を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドを製造する工程(C)、(D)を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドを製造する工程の変形例を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドのメンテナンス時におけるキャップとの位置関係を示す側面図である。 本発明の適用された他の実施形態のインクジェット記録ヘッドのメンテナンス時におけるキャップとの位置関係を示す側面図である。 本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの変形例を示す側面図である。 本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの他の変形例を示す側面図である。 本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドのスペーサー部材の取り付け部分の他の構成を示す上面図である。 本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドにおけるスペーサー部材の変形例を示す正面図である。 本発明の第1の実施形態に係る記録ヘッドユニットの温度変動による位置ずれや歪み変形を抑制するための接合固定部の配置を示す上面図である。 (A)、(B)は本発明の第1の実施形態に対する比較例に係る記録ヘッドユニットの接合固定部の配置を示す上面図である。 本発明の第2の実施形態に係る記録ヘッドユニットの温度変動による位置ずれや歪み変形を抑制するための接合固定部の配置を示す上面図である。 (A)は本発明の第3の実施形態に係る記録ヘッドユニットの温度変動による位置ずれや歪み変形を抑制するための接合固定部の配置を示す下面図、(B)は本発明の第3の実施形態に対する比較例に係る記録ヘッドユニットの接合固定部の配置を示す下面図である。 (A)は本発明の第4の実施形態に係る記録ヘッドユニットの温度変動による位置ずれや歪み変形を抑制するための接合固定部の配置を示す下面図、(B)は本発明の第4の実施形態に対する比較例に係る記録ヘッドユニットの接合固定部の配置を示す下面図である。 本発明の第5の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの(A)は正面図、(B)は下面図である。 (A)は本発明の第5の実施形態に係る記録ヘッドユニットの温度変動による位置ずれや歪み変形を抑制するための接合固定部の配置を示す下面図、(B)は本発明の第5の実施形態に対する比較例に係る記録ヘッドユニットの接合固定部の配置を示す下面図である。 本発明の第6の実施形態に係る記録ヘッドユニットの温度変動による位置ずれや歪み変形を抑制するための接合固定部の配置を示す下面図である。 (A)は本発明の第6の実施形態に係る記録ヘッドユニットが備える長尺基板を示す下面図、(B)は本発明の第6の実施形態に対する比較例に係る記録ヘッドユニットの接合固定部の配置を示す下面図である。 (A)は本発明の第7の実施形態に係る記録ヘッドユニットの温度変動による位置ずれや歪み変形を抑制するための接合固定部の配置を示す下面図、(B)は本発明の第7の実施形態に係る記録ヘッドユニットが備える長尺基板を示す下面図である。 (A)、(B)は従来の記録ヘッドユニットで発生する温度変動による位置ずれや歪み変形を示す説明図である。
符号の説明
10 インクジェット記録装置(液滴吐出装置)
30 インクジェット記録ヘッド(構造体)
32 記録ヘッドユニット(構成ユニット)
40 長尺基板(ベース基板)
40A 開口部
40B 横梁部
40C 縦梁部
42 スペーサー部材
43 スペーサー部材
46 ねじ(接合固定部)
60 インクジェット記録ヘッド(構造体)
70 インクジェット記録ヘッド(構造体)
72 長尺基板(ベース基板)
72A 開口部
72B 横梁部
72C 縦梁部
74 伸縮吸収部
76 矩形孔
80 インクジェット記録ヘッド(構造体)
82 長尺基板(ベース基板)
82A 基板構成部
92 記録ヘッドユニット(構成ユニット)
100 インクジェット記録ヘッド(構造体)
102 長尺基板(ベース基板)
102A 開口部
102B 横梁部
102C 縦梁部
110 インクジェット記録ヘッド(構造体)
112 長尺基板(ベース基板)
112A 開口部
112B 横梁部
112C 傾斜梁部
114 伸縮吸収部
116 矩形孔
120 インクジェット記録ヘッド(構造体)
122 長尺基板(ベース基板)
122A 開口部
122B 横梁部
122C 傾斜梁部
U 接着剤(接合固定部)
HN 熱変位中立部

Claims (10)

  1. ベース基板に構成ユニットが位置決めされ接合固定部を介し接合固定されて保持された構造体において、
    前記接合固定部は、前記ベース基板の熱歪による変位が略発生しない熱変位中立部に設けられていることを特徴とする構造体。
  2. ベース基板に対して着脱可能とされたスペーサー部材が接合固定部を介し接合固定され、そのスペーサー部材に構成ユニットが位置決めされ接合固定されて保持された構造体において、
    前記接合固定部は、前記ベース基板の熱歪による変位が略発生しない熱変位中立部に設けられていることを特徴とする構造体。
  3. 前記ベース基板は開口部を備え、
    前記接合固定部は、前記開口部の周囲においてベース基板の前記熱歪により開口部内方への変位と開口部外方への変位の境界領域に存在する前記熱変位中立部に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の構造体。
  4. 前記ベース基板は、複数の開口部と、その複数の開口部の間に設けられた梁部と、を備え、
    前記接合固定部は、前記梁部の中央領域に存在する前記熱変位中立部に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の構造体。
  5. 前記ベース基板は前記熱歪による変位を吸収する伸縮吸収部を備え、
    前記接合固定部は、前記伸縮吸収部を跨いだ少なくとも2箇所に存在する前記熱変位中立部に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の構造体。
  6. 前記ベース基板は、前記熱歪による変位を吸収する複数の前記伸縮吸収部と、その複数の伸縮吸収部の間に設けられた基板構成部と、を備え、
    前記接合固定部は、前記基板構成部の重心領域に存在する前記熱変位中立部に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の構造体。
  7. 前記基板構成部は、開口部と、前記複数の伸縮吸収部の間に設けられて前記開口部を構成する梁部と、を備え、
    前記接合固定部は、前記梁部の中央領域に存在する前記熱変位中立部に配置されていることを特徴とする請求項6記載の構造体。
  8. 前記構成ユニットは、ノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドユニットであることを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか1項記載の構造体
  9. 前記液滴吐出ヘッドユニットを保持する、又は、液滴吐出ヘッドユニットを前記スペーサー部材を介して保持する前記ベース基板は長尺基板であり、その長尺基板に保持された液滴吐出ヘッドユニットを複数備える長尺状の液滴吐出ヘッドであることを特徴とする請求項8記載の構造体。
  10. 請求項8又は請求項9記載の構造体を備えることを特徴とする液滴吐出装置。
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