JP2010069628A - 液体噴射ヘッドの取り付け方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】取り付け対象部材に対して液体噴射ヘッドを位置決め状態で取り付ける際の組み付け精度を向上させることが可能な液体噴射ヘッドの取り付け方法を提供することにある。
【解決手段】ベースプレート24aの規定位置に単位ヘッド11を配置する第1の位置調整工程と、規定位置に単位ヘッドが配置された状態で、単位ヘッドをベースプレートに対して接着剤によって仮固定する仮固定工程と、仮固定された状態で、規定位置に単位ヘッドが配置されるように単位ヘッドの位置を再調整する第2の位置調整工程と、再調整が完了した状態で、単位ヘッド11をベースプレート24aに固定する本固定工程と、を経て、単位ヘッド11をヘッドホルダ24に取り付ける。
【選択図】図5

Description

本発明は、例えば、インクジェット式記録ヘッド等の液体噴射ヘッドの取り付け方法に関し、特に、取り付け対象部材に対して液体噴射ヘッドを位置決め状態で取り付ける際の組み付け精度を向上させることが可能な液体噴射ヘッドの取り付け方法に関する。
例えば、液体噴射装置は、液体を噴射可能な液体噴射ヘッドを備え、この液体噴射ヘッドから各種の液体を噴射する装置である。この液体噴射装置の代表的なものとして、例えば、液体噴射ヘッドとしてのインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)を備え、この記録ヘッドのノズル開口から液体状のインクを記録紙等の記録媒体(噴射対象物)に対して噴射・着弾させてドットを形成することで画像等の記録を行うインクジェット式プリンタ等の画像記録装置を挙げることができる。また、近年においては、この画像記録装置に限らず、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造装置等、各種の製造装置にも液体噴射装置が応用されている。
近年、液体噴射装置の一種であるインクジェット式記録装置(以下、プリンタ)には、ノズル開口を複数列設してなるノズル群を有する記録ヘッド(単位ヘッド)と記録媒体とが相対的に移動する第1の方向と直交する第2の方向に記録ヘッドを複数配列したヘッド群を有し、このヘッド群によって形成されるノズル群の全長が記録媒体の最大記録幅に対応したヘッドモジュールを、記録媒体に対して移動させることなくインクを噴射するように構成したものが提案されている。この構成によれば、記録ヘッドの主走査方向の移動が不要となり、例えば、記録媒体の副走査方向の搬送のみで画像等の記録を行うことができるので、シリアルヘッドを用いる構成と比較して記録時間を短縮化することができる。
このように、記録ヘッドをヘッドホルダなどの保持部材(取り付け対象部材の一種)に複数並べてヘッドモジュールとする構成では、これらの記録ヘッドを高精度に位置決めした状態で保持部材に配置することが肝要となる。特に、各記録ヘッドのノズル開口の平面上の位置を高精度にアライメントした状態、即ち、ノズル開口が規定位置(設計上、望ましい位置)に配置された状態で各記録ヘッドを取り付ける必要があった。このため、従来においては、保持部材に対して様々なアライメント方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に提案されているアライメント方法は、ガラスなどの透明な板材に、ノズル開口の位置を規定するためのアライメントマークを形成し、この板材と保持部材との位置を固定した状態で板材上のアライメントマークを基準として各記録ヘッドのアライメントを行うものである。
特開2004−322606号公報
しかしながら、上記アライメント後に記録ヘッドを保持部材に対して接着剤で固定する場合、接着剤の硬化時の収縮によって位置ずれが生じ、位置決め精度が低下する虞があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、取り付け対象部材に対して液体噴射ヘッドを位置決め状態で取り付ける際の組み付け精度を向上させることが可能な液体噴射ヘッドの取り付け方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、液体を噴射するノズル開口を有する液体噴射ヘッドを、取り付け対象部材に対して位置決めした状態で取り付ける液体噴射ヘッドの取り付け方法であって、
前記取り付け対象部材の規定位置に前記液体噴射ヘッドを配置する第1の位置調整工程と、
前記規定位置に前記液体噴射ヘッドが配置された状態で、前記液体噴射ヘッドを前記取り付け対象部材に対して微動可能な状態で仮固定する仮固定工程と、
仮固定された状態で、前記規定位置に前記液体噴射ヘッドが配置されるよう再調整する第2の位置調整工程と、
再調整された状態で、前記液体噴射ヘッドを前記取り付け対象部材に固定する本固定工程と、
を経て取り付けることを特徴とする。
なお、「仮固定」とは、固定後においても液体噴射ヘッドの位置を微調整可能な程度の強度での固定状態にすることを意味する。
また、「本固定」とは、仮固定よりも高い強度で、液体噴射ヘッドを規定位置に留める状態にすることを意味する。
また、「微動可能」とは、液体噴射ヘッドを取り付け対象部材に仮固定し、接着剤等の仮固定手段による仮固定状態(液体噴射ヘッドが取り付け対象物から離脱しない状態)を維持できる範囲内で、仮固定手段の弾性や粘性に抗しながら液体噴射ヘッドが取り付け対象部材に対して移動可能であることを意味する。
この構成によれば、取り付け対象部材の規定位置に液体噴射ヘッドを配置し、当該配置状態で、液体噴射ヘッドを取り付け対象部材に対して接着剤によって仮固定し、仮固定された状態で、液体噴射ヘッドの位置を再調整して規定位置に液体噴射ヘッドを再配置し、再調整された状態で、液体噴射ヘッドを前記取り付け対象部材に固定する本固定工程と、を経て取り付けるので、即ち、仮固定後の接着剤の硬化収縮による位置ずれを修正した状態で取り付け対象部材に対して液体噴射ヘッドを取り付けるので、簡単な構成で取り付け対象部材に対する液体噴射ヘッドの組み付け精度を向上させることができる。
上記構成において、前記本固定工程において、前記仮固定の位置よりも前記液体噴射ヘッドの中心部に対して遠い位置で本固定をする構成を採用することが望ましい。
上記構成によれば、仮固定の位置よりも液体噴射ヘッドの中心部に対して遠い位置で本固定することにより、本固定による固定状態を仮固定よりも安定させることができる。これにより、液体噴射ヘッドの組み付け精度をより向上させることができる。
また、上記構成において、前記第1の位置調整工程においてヘッド保持治具によって前記液体噴射ヘッドを保持した状態で位置調整を行い、前記仮固定工程において仮固定した後、当該ヘッド保持治具による液体噴射ヘッドの保持状態を一時的に解放し、その後、前記ヘッド保持治具によって前記液体噴射ヘッドを再度保持した状態で前記第2の位置調整工程を行う構成を採用することが望ましい。
上記構成によれば、仮固定した後、当該ヘッド保持治具による液体噴射ヘッドの保持状態を一時的に解放し、その後、ヘッド保持治具によって液体噴射ヘッドを再度保持した状態で第2の位置調整工程を行うことにより、即ち、仮固定後の硬化歪を意図的に生じさせてこれを解放させ、その状態で再調整を行うことにより、接着剤の硬化歪みによる位置ずれを効果的に修正することができる。これにより、液体噴射ヘッドの組み付け精度を一層向上させることができる。
また、上記各構成において、前記仮固定工程において接着剤として弾性接着剤を用い、前記本固定工程において前記接着剤による固定よりも強固に固定する構成を採ることが望ましい。
上記構成によれば、弾性接着剤を用いることにより、仮固定後の第2の位置調整工程において液体噴射ヘッドの位置調整が容易となり、また、本固定工程において接着剤による固定よりも強固に固定することで、液体噴射ヘッドの位置決め状態を高い精度で維持することができる。
上記各構成において、前記仮固定工程において前記液体噴射ヘッドと取り付け対象部材との間に複数箇所で同時に接着剤を塗布して仮固定する構成を採用することが望ましい。
また、本固定工程において前記液体噴射ヘッドと取り付け対象部材との間に複数箇所で同時に接着剤を塗布して本固定する構成を採用することが望ましい。
これらの構成によれば、液体噴射ヘッドと取り付け対象部材との間において接着剤を用いて複数箇所で固定する場合に、接着剤の塗布と硬化を各箇所で同時に行うことにより、各箇所における硬化歪の累積を抑制することができ、位置決め精度の向上に寄与することが可能となる。
また、上記構成において、前記本固定工程では、機械的固定方法により本固定する構成を採用することができる。
さらに、本固定工程において、接着剤による固定方法と機械的固定方法とを併用して本固定する構成を採用することも可能である。
なお、「機械的固定方法」には、ネジ留め、クランプによる固定等が含まれる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。なお、本実施形態では、液体噴射装置の一形態である画像記録装置、詳しくは、ノズル開口群を等間隔で噴射対象物(又は記録媒体)となる記録紙の最大記録幅に相当する長さに配置した長尺な液体噴射ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)を搭載したインクジェット式プリンタ(以下、プリンタという)を例に挙げて説明する。
図1はプリンタ1の概略構成を説明する断面図、図2はプリンタ1におけるヘッドモジュール3の周囲の平面図である。本実施形態のプリンタ1は、搬送ユニット7による記録紙4の搬送方向(本発明における相対送り方向に相当。以下、第1方向X)に直交する方向(以下、第2方向Y)に複数の単位ヘッド11(本発明の液体噴射ヘッドの一種)を配列して構成されるヘッドモジュール3(本発明の液体噴射ヘッドモジュールの一種)と、記録紙4(噴射対象物の一種)を積層状態で収納する給紙トレイ5a及び装置下部に設けられた下段給紙カセット5bからなる給紙部5と、これらの給紙部5a,5bから給紙された記録紙4をヘッドモジュール3の下方を通過させて排紙トレイ10側に搬送する搬送ユニット7と、ヘッドモジュール3によって記録が行われ、搬送ユニット7側から排出された記録紙4を保持する排紙トレイ10とを備え、ヘッドモジュール3を第2方向Yに走査することなく記録紙4の記録領域の全幅にテキストや画像等を記録できるように構成されている。
また、図示しないが、筐体2の内部にはインクを貯留したインクカートリッジ(液体供給源の一種)が配置される。そして、エアポンプ等によるインクカートリッジ内の加圧によって、カートリッジ内に貯留されているインクがインク供給チューブを通じてヘッドモジュール3の各単位ヘッド11に供給(圧送)されるように構成されている。なお、記録紙4に対してヘッドモジュール3を第2方向Yに走査しながら記録を行う構成を採用することもできる。
上記給紙トレイ5aは、上下方向に移動可能に構成されており、記録紙束の上面(最上部の記録紙4の上面)が常にピックアップローラ6と一定圧で当接するように筐体2に対する上下方向の位置が制御されている。そして、ヘッドモジュール3による記録動作の実行タイミングに応じて、記録紙束の最上部から記録紙4がピックアップローラ6により引き出され、分離ローラ12と分離パッド13とにより一枚毎に分離されて下流側へ給送されるようになっている。記録紙4は、図示しない紙センサ間を通った後、上下一対のレジストローラ14a,14bのニップ部に突き当たる。なお、下段給紙カセット5bからの記録紙4は、複数の中間ローラ15を経由してからレジストローラ14a,14bのニップ部に到達する。これにより、記録紙4の先端姿勢が揃い、記録紙4のスキューが補正される。その後、レジストローラ14a,14bは、規定のタイミングで記録紙4を互いにニップした状態で1枚ずつ搬送ユニット7側へと給送し、記録紙4が搬送ユニット7の搬送ベルト17に到達してから所定のタイミングでニップ状態を解放する。
搬送ユニット7は、図示しない駆動モータの駆動力によって回転される駆動ローラ18と、駆動ローラ18よりも上流側に配設された従動ローラ19と、駆動ローラ18及び従動ローラ19の間に張設される無端状の搬送ベルト17と、テンションローラ20と、押えローラ21とにより構成されている。テンションローラ20は、駆動ローラ18と、従動ローラ19との間に配設されて搬送ベルト17に内側から当接し、ばね等の付勢部材の付勢力により搬送ベルト17に張力を付与している。また、押えローラ21は、搬送ベルト17を挟んで従動ローラ19の直上に配設され、搬送ベルト上の記録紙4を搬送ベルト17側に押し付けて、記録紙4の搬送ベルト17に対する密着性を高める。
駆動ローラ18は、ヘッドモジュール3の記録動作に同期して駆動されることで搬送ベルト17を回転させ、記録紙4をヘッドモジュール3の下方を通過させて下流側へと搬送するように構成されている。また、搬送ベルト17の回転量は、エンコーダによって検出されるようになっている。そして、このエンコーダの検出信号は、エンコーダパルスとしてプリンタコントローラに出力される。
記録紙4に対し一方の面のみに記録を行う場合は、一方の面の記録が終了した後、搬送ユニット7から排紙トレイ10へと排紙される。一方、記録紙4の両面に記録を行う場合は、一方の面の記録が終了した後、搬送ユニット7の下流に配設されたフラッパ22により、用紙反転経路R2へ搬送される。記録紙4が用紙反転経路のUターン部Tまで到達した後、搬送方向を転換させ、記録紙4は再度レジストローラ14a,14b、搬送ベルト17へと順次送られて他方の面の記録が終了した後、搬送ユニット7から排紙トレイ10へと排紙される。
ヘッドモジュール3は、図2に示すように、ヘッドホルダ24(取り付け対象部材の一種)に複数の単位ヘッド11を第2方向Yに配設して構成されている。そして、複数のヘッドモジュール3、本実施形態においては4つのヘッドモジュール3a〜3dが、ヘッド長手方向を第2方向Yに揃えた姿勢で第1方向Xに一定の配置間隔でモジュール取付枠25に取り付けられている。
図3は、単位ヘッド11の構成を説明する斜視図である。単位ヘッド11は、ノズル開口30に連通する圧力室を含むインク流路を形成する流路ユニットや、圧力室内のインクに圧力変動を生じさせる圧電振動子或いは発熱素子などの圧力発生手段(何れも図示せず)をヘッドケース31に備えており、プリンタコントローラ側からの駆動信号を圧力発生手段に印加して圧力発生手段を駆動することにより、ノズル開口30からインク(本発明における液体の一種)を噴射して記録紙4に着弾させる記録動作を行うように構成されている。
ヘッドケース31は、中空箱体状部材であり、その先端側には、ノズル形成面26を露出させた状態で流路ユニットを固定している。また、ヘッドケース31の内部に形成された収容空部内には圧力発生手段などを収容し、先端面とは反対側の基端面側には、プリンタコントローラ側からの駆動信号を圧力発生手段側に供給するための配線部材33aや流路ユニットにインクを供給するためのインク供給路33bの一部を収容するカバー部材33が配置されている。また、ヘッドケース31の基端側には、側方に向けて延びるフランジ部32が形成されている。
各単位ヘッド11のノズル形成面26には、インクを噴射するノズル開口30を第2方向Yに複数列設してノズル列27(ノズル群の一種)を構成し、このノズル列27を第1方向Xに複数形成している。1つのノズル列27は、例えば360dpiのピッチで開設された360個のノズル開口から成る。そして、各単位ヘッド11には合計2列のノズル列27が第1方向Xに並べて形成されている。
図2に示すように、本実施形態においては、第1のヘッドモジュール3aと第2のヘッドモジュール3bとが対となり、また、第3のヘッドモジュール3cと第4のヘッドモジュール3dとが対となっている。対を成す2つのヘッドモジュール3は、第2方向Yで見て全体としてノズル開口が360dpiで並ぶような配置間隔で単位ヘッド11が互い違いに2段の千鳥状に並ぶような配置レイアウトとなっている。なお、1つのヘッドモジュール3における単位ヘッド11の個数は、プリンタ1が対応可能な記録紙4の最大サイズに応じて決定される。モジュール取付枠25は、矩形枠体状の部材であり、金属等によって形成されている。このモジュール取付枠25の枠内は空部29となっており、この空部29内にヘッドモジュール3の各単位ヘッド11が配置されるようになっている。
図4に示すように、ヘッドホルダ24は、第2方向Yに長尺なベースプレート24a(狭義の取り付け対象部材)と、このベースプレート24aの長手方向両縁部からそれぞれ上方に起立した両側の側壁部24bと、各側壁部24bの上端部から側方(ベースプレート24a側とは反対側)に延びる固定部24cとから構成される。そして、各ヘッドモジュール3は、ヘッドホルダ両側の固定部24cでモジュール取付枠25に取り付けられている。ここで、ベースプレート24aの長手方向の全長W1は、モジュール取付枠25の空部29の第2方向Yの内寸W2よりも少しだけ小さく設計されており、この空部29内にベースプレート24aが配置されるようになっている。
図5は、ヘッドホルダ24に対し単位ヘッド11を取り付けるための装置構成を説明する模式図である。なお、同図において、左右方向が第2方向Y、奥行き方向(図に垂直な方向)が第1方向Xとなっている。また、カメラ等の撮像手段37とヘッドホルダ24とは、高い精度で位置決めされた状態で相対位置が固定されている。ヘッドホルダ24におけるベースプレート24aの各単位ヘッド11の配置領域には、位置決めガイド穴34が開設されている。本実施形態における位置決めガイド穴34は、単位ヘッド11のカバー部材33側(フランジ部32よりも基端面側の部分。以下、ヘッド基端部11′)の平面形状よりも少し大きく且つフランジ部32の外形よりも小さい矩形の貫通穴となっている。そして、ヘッドホルダ24に取り付けられる単位ヘッド11は、ヘッド基端部11′を位置決めガイド穴34に挿通してフランジ部32をベースプレート24aにおける位置決めガイド穴34周縁部に当接させ、ノズル形成面26をカメラ等の撮像部37に対向させた姿勢でセットされる。このようにヘッド基端部11′を位置決めガイド穴34に挿通することで、ヘッドホルダ24に対する単位ヘッド11の大まかな配置位置が規定される。位置決めガイド穴34はヘッド基端部11′の平面形状よりも少し大きく設計されているので、位置決めガイド穴34の内周面とヘッド基端部11′の側面との間には、間隙が形成される。この間隙が、ヘッドホルダ24に対する単位ヘッド11の配置位置の調整代となる。
ヘッド移動機構41は、ヘッドホルダ24のベースプレート24aに向けて延びる複数の位置調整ピン39(本発明におけるヘッド保持治具の一種)を有している。このヘッド移動機構41は、各位置調整ピン39を単位ヘッド11のフランジ部32に形成されたピン挿通穴32′にそれぞれ挿入し、この状態でモータ等の駆動源によってX方向若しくはY方向に移動、又は、ノズル形成面方向に回転することで、ヘッドホルダ24のベースプレート24aに対する単位ヘッド11の配置位置を位置決めガイド穴34の範囲内で調整するように構成されている。なお、単位ヘッド11のフランジ部32とベースプレート24aとの間で直接的に位置決めする構成以外にも、単位ヘッド11に金属製の補助プレートを取り付け、この補助プレートをベースプレート24aとの間に介在させた状態で、ヘッドホルダ24のベースプレート24aに対する単位ヘッド11の位置調整を行う構成を採用することもできる。
本実施形態におけるヘッド取付工程は、単位ヘッド11を位置調整ピン39によって保持した状態で、当該単位ヘッド11をX方向又はY方向に移動させることにより、或いは、ノズル形成面方向に回転させることによりベースプレート24aに対する位置決め(位置調整)を行う。より具体的には、ベースプレート24aの規定位置(設計上の目標位置)に単位ヘッド11を配置する第1の位置調整工程と、規定位置に単位ヘッド11が配置された状態で、単位ヘッド11をベースプレート24aに対して接着剤によって仮固定する仮固定工程と、仮固定された状態で、規定位置に単位ヘッド11が配置されるように単位ヘッド11の位置を再調整する第2の位置調整工程と、再調整が完了した状態で、単位ヘッド11をベースプレート24aに固定する本固定工程と、を経る。以下、ヘッド取付工程の詳細について説明する。
まず、第1の位置調整工程では、ヘッド基端部11′を位置決めガイド穴34に挿通してフランジ部32をベースプレート24aにおける位置決めガイド穴34の周縁部に当接させ、ノズル形成面26を撮像部37に対向させた姿勢で単位ヘッド11をセットする。撮像手段37によって撮像された画像は、図示しないモニタに映し出され、画像認識によりベースプレート24aに対する単位ヘッド11の位置決めが行われる。例えば、このモニタには、単位ヘッド11のノズル開口30の配置位置を規定するノズルマークが、撮像された画像に重畳する状態で映し出される。このノズルマークは、モニタの画像において、例えば規定位置に配置された仮想的な単位ヘッド11の複数のノズル列27のうちの何れかのノズル列27の両端に位置するノズル開口30a,30b(ノズル基準部の一種)に対応する位置に表示される。即ち、モニタに画像として映し出される単位ヘッド11のノズル開口30a,30bがそれぞれ対応するノズルマークに重なるように、当該単位ヘッド11の位置を調整することで、ベースプレート24a上の規定位置に単位ヘッド11を配置することができる。また、画像認識において、予め定められた座標情報(例えば、ノズル開口30a,30bが配置されるべき座標)に基づいて単位ヘッド11の位置を規定する構成を採用することも可能である。
なお、ヘッドホルダ24のベースプレート24aに対する単位ヘッド11の位置決め方法としては、画像認識によるものには限られず、例えば、フォトリソグラフィによってアライメントマークが形成されたガラス板等のアライメント基板を用いて行う方法を採用することもできる。
また、ノズルマークに対して基準ノズル開口30a,30bを合わせることで位置決めを行う構成には限らず、例えば、ノズル形成面26にノズル開口30の形成位置から外れた位置に基準マークを形成し、この基準マークをノズルマークに合わせることで位置決めを行う構成を採用することもできる。
この他、ベースプレート24aに、単位ヘッド11のフランジ部32の端面に当接する度当て面を有する位置決め片を配設し、この位置決め片によって単位ヘッド11を位置決めする構成を採用しても良い。
第1の位置調整工程において単位ヘッド11を規定位置に配置したならば、続いて、仮固定工程が行われる。この仮固定工程では、単位ヘッド11がベースプレート24aの規定位置に配置された状態で、単位ヘッド11をベースプレート24aに仮固定用接着剤40によって仮固定する。本実施形態において、この仮固定用接着剤40として、変成シリコーンポリマー等から成る弾性接着剤を用いる。このような弾性接着剤を用いて仮固定することにより、単位ヘッド11が、ベースプレート24aに対して微動可能な状態で固定される。そして、この仮固定用接着剤40は、図5に示すように、単位ヘッド11のフランジ部32とベースプレート24aとの間において、本固定用接着剤41及び止着ネジ42による本固定の予定位置よりも単位ヘッド11の中心部に近い位置、具体的には、位置決めガイド穴34の開口周縁部に沿って複数箇所塗布される。この仮固定用接着剤40の塗布および硬化は、各箇所で同時に行うことが望ましい。これにより、各箇所における硬化歪の累積を抑制することができ、位置決め精度の向上に寄与することが可能となる。
単位ヘッド11をベースプレート24aの規定位置に仮固定したならば、次に、フランジ部32のピン挿通穴32′から位置調整ピン39を一旦抜き取り、位置調整ピン39による単位ヘッド11の保持状態を一時的に解放する。これにより、仮固定用接着剤40の硬化歪を意図的に生じさせる。したがって、仮固定後に単位ヘッド11が規定位置からずれる場合がある。その後、ピン挿通穴32′に位置調整ピン39を挿入して、当該位置調整ピン39によって単位ヘッド11を保持した状態で、第2の位置調整工程が行われる。即ち、ベースプレート24aにおける単位ヘッド11の位置を上記画像認識を用いて再調整(微調整)することで、仮固定用接着剤40の硬化歪みによる位置ずれを修正して、規定位置に単位ヘッド11を再度配置する。本実施形態においては、仮固定用接着剤40として弾性接着剤を用いているので、仮固定用接着剤40は硬化後も弾性を有する。このため、ベースプレート24aに対して単位ヘッド11の位置を容易に微調整することができる。
上記の第2の位置調整工程が完了した状態で、続いて、ベースプレート24aに単位ヘッド11を本固定する本固定工程が行われる。この固定方法としては、接着、溶接、溶着、ロウ接合、或いは、ネジ留めやクランプ等の機械的固定を含む種々の固定方法(単独又はこれらの組み合わせ)を採用することができるが、固定後の位置ずれを防止すべく、より強固に固定できる方法が好ましい。本実施形態においては、本固定用接着剤41によってフランジ部32とベースプレート24aとの間を接着すると共に、止着ネジ42を用いてフランジ部32とベースプレート24aとをネジ留めすることで、単位ヘッド11をベースプレート24aの規定位置に本固定する。本実施形態において、本固定用接着剤41として紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化型のアクリル樹脂系接着剤を用いる。そして、この本固定用接着剤41を、図5に示すように、単位ヘッド11のフランジ部32とベースプレート24aとの間において、仮固定用接着剤40による仮固定位置よりも単位ヘッド11の中心部から遠い位置、具体的には、フランジ部32の外周縁部における複数箇所に塗布する。このように、仮固定の位置よりも液単位ヘッド11の中心部に対して遠い位置で本固定することにより、本固定による固定状態を仮固定よりも安定させることができる。これにより、液体噴射ヘッドの組み付け精度をより向上させることができる。また、本固定用接着剤41の塗布および硬化についても、各箇所で同時に行うことが望ましい。これにより、各箇所における硬化歪の累積を抑制することができ、位置決め精度の向上に寄与することが可能となる。
このような手順でヘッド取付工程を行うことにより、仮固定後の接着剤の硬化収縮による位置ずれを修正した状態でヘッドホルダ24のベースプレート24aに対して単位ヘッド11を取り付けるので、簡単な構成でコストを抑えつつヘッドホルダ24に対する単位ヘッド11の組み付け精度を向上させることができる。これにより、記録紙4等の噴射対象物に対するインクの着弾位置ずれを抑制することができ、その結果、記録画像の画質の低下を防止することが可能となる。
また、仮固定した後、位置調整ピン39による単位ヘッド11の保持状態を一時的に解放し、その後、位置調整ピン39によって単位ヘッド11を再度保持した状態で第2の位置調整工程を行うことにより、即ち、仮固定後の仮固定用接着剤41の硬化歪を解放させ、その状態で単位ヘッド11の配置位置の再調整を行うことにより、接着剤の硬化歪みによる位置ずれを効果的に修正することができる。これにより、単位ヘッド11の組み付け精度を一層向上させることができ、なお且つ、組み立て後の環境条件変化(温度や湿度の変化)に対しても組み付け精度を維持することができる。
なお、本発明は、液体噴射ヘッドをヘッドホルダに位置決め状態で取り付ける構成を採用するものであれば、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等の他の液体噴射ヘッド、及び、これを備える液体噴射装置にも適用することができる。
プリンタの構成を説明する断面図である。 ヘッドモジュールの構成を示す平面図である。 単位ヘッドの構成を説明する斜視図である。 ヘッドホルダの構成を説明する断面図である。 ヘッドホルダに対する単位ヘッドの取り付け工程を説明する模式図である。
符号の説明
1…プリンタ,3…ヘッドモジュール,4…記録紙,11…単位ヘッド,24…ヘッドホルダ,26…ノズル形成面,30…ノズル開口,31…ヘッドケース,32…フランジ部,34…位置決めガイド穴,39…位置調整ピン,40…仮固定用接着剤,41…本固定用接着剤,42…止着ネジ

Claims (8)

  1. 液体を噴射するノズル開口を有する液体噴射ヘッドを、取り付け対象部材に対して位置決めした状態で取り付ける液体噴射ヘッドの取り付け方法であって、
    前記取り付け対象部材の規定位置に前記液体噴射ヘッドを配置する第1の位置調整工程と、
    前記規定位置に前記液体噴射ヘッドが配置された状態で、前記液体噴射ヘッドを前記取り付け対象部材に対して微動可能な状態で仮固定する仮固定工程と、
    仮固定された状態で、前記規定位置に前記液体噴射ヘッドが配置されるよう再調整する第2の位置調整工程と、
    再調整された状態で、前記液体噴射ヘッドを前記取り付け対象部材に固定する本固定工程と、
    を経て取り付けることを特徴とする液体噴射ヘッドの取り付け方法。
  2. 前記本固定工程において、前記仮固定の位置よりも前記液体噴射ヘッドの中心部に対して遠い位置で本固定をすることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッドの取り付け方法。
  3. 前記第1の位置調整工程においてヘッド保持治具によって前記液体噴射ヘッドを保持した状態で位置調整を行い、前記仮固定工程において仮固定した後、当該ヘッド保持治具による液体噴射ヘッドの保持状態を一時的に解放し、その後、前記ヘッド保持治具によって前記液体噴射ヘッドを再度保持した状態で前記第2の位置調整工程を行うことを特徴とする請求項2に記載の液体噴射ヘッドの取り付け方法。
  4. 前記仮固定工程において接着剤として弾性接着剤を用い、前記本固定工程において前記接着剤による固定よりも強固に固定することを特徴とする請求項3に記載の液体噴射ヘッドの取り付け方法。
  5. 前記仮固定工程において前記液体噴射ヘッドと取り付け対象部材との間に複数箇所で同時に接着剤を塗布して仮固定することを特徴とする請求項4に記載の液体噴射ヘッドの取り付け方法。
  6. 前記本固定工程において前記液体噴射ヘッドと取り付け対象部材との間に複数箇所で同時に接着剤を塗布して本固定することを特徴とする請求項5に記載の液体噴射ヘッドの取り付け方法。
  7. 前記本固定工程において、機械的固定方法により本固定することを特徴とする請求項4に記載の液体噴射ヘッドの取り付け方法。
  8. 前記本固定工程において、接着剤による固定方法と機械的固定方法とを併用して本固定することを特徴とする請求項7に記載の液体噴射ヘッドの取り付け方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010274393A (ja) * 2009-05-29 2010-12-09 Konica Minolta Holdings Inc ラインヘッドユニットの組立方法
JP2015140020A (ja) * 2014-01-30 2015-08-03 ヒューレット−パッカード インダストリアル プリンティング リミテッド 調節可能なプリントヘッド
JP2016074137A (ja) * 2014-10-06 2016-05-12 セイコーエプソン株式会社 液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置

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