JP2007273680A - 研磨組成物、及び、研磨方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも有機粒子と無機砥粒とを含有する研磨組成物であって、該有機粒子の表面の少なくとも一部に、下限臨界共溶温度より低温において水に溶解又は膨潤する性質を有する温度応答性ポリマーを有し、該下限臨界共溶温度が25〜50℃であることを特徴とする研磨組成物、及び、前記研磨組成物を用いた研磨方法。
【選択図】なし
Description
CMPの一般的な方法は、円形の研磨定盤(プラテン)上に研磨パッドを貼り付け、研磨パッド表面を研磨液で浸して、パッドに基板(ウェハ)の表面を押しつけ、その裏面から所定の圧力(研磨圧力)を加えた状態で、研磨定盤及び基板の双方を回転させ、発生する機械的摩擦により基板の表面を平坦化するものである。
CMPに用いる研磨組成物は、一般には砥粒(例えばアルミナ、シリカ)と酸化剤(例えば過酸化水素、過硫酸)とを含むものであって、酸化剤によって金属表面を酸化し、その酸化皮膜を砥粒で除去することで研磨していると考えられている。
すなわち、本発明は、下記の<1>及び<4>に示す通りである。好ましい実施態様である<2>、<3>及び<5>と共に以下に示す。
<1> 少なくとも有機粒子と無機砥粒とを含有する研磨組成物であって、該有機粒子の表面の少なくとも一部に、下限臨界共溶温度以下において水に溶解又は膨潤する性質を有する温度応答性ポリマーを有し、該下限臨界共溶温度が25〜50℃であることを特徴とする研磨組成物、
<2> 該温度応答性ポリマーが、式(I)若しくは式(II)で表される構成単位を含む単重合体又は共重合体である上記<1>に記載の研磨組成物、
本発明における「温度応答性ポリマー」とは、臨界共溶温度において相転移を生じ、可逆的に親水性/疎水性変化を起こす性質を有するポリマーである。
また、「下限臨界共溶温度」とは、温度応答性ポリマーの相転移温度であり、前記相転移温度より低温では温度応答性ポリマーが親水性、前記相転移温度より高温では疎水性となる温度である。すなわち、下限臨界共溶温度より低温において前記温度応答性ポリマーは水可溶性又は水膨潤性であり、下限臨界共溶温度より高温において前記温度応答性ポリマーは水不溶性である。
下限臨界共溶温度の測定方法としては、例えば、温度応答性ポリマーを水溶液とし、該水溶液を徐々に昇温し、目視により相転移を確認する方法や、JIS K2269に記載されているような曇点の測定方法に準じて測定する方法等が好ましく例示できる。
本発明の研磨組成物は、後述の研磨方法に好適に使用することができ、また、半導体デバイスの配線工程における化学的機械的研磨に好適に使用することができる。
以下、本発明の具体的態様について説明する。
〔有機粒子〕
本発明の研磨組成物は、下限臨界共溶温度より低温において水に溶解又は膨潤する性質を有し、該下限臨界共溶温度が25〜50℃である温度応答性ポリマーを表面の少なくとも一部に有する有機粒子を含有する。
本発明に用いることができる有機粒子は、表面の少なくとも一部に前記温度応答性ポリマーを有していればよく、例えば、温度応答性ポリマー以外の樹脂粒子(コア粒子)の表面を温度応答性ポリマーで被覆した粒子や、粒子全体が温度応答性ポリマーである粒子が挙げられる。
また、本発明に用いることができる有機粒子は、粒子表面の50%以上に前記温度応答性ポリマーを有していることが好ましく、粒子表面の90%以上に前記温度応答性ポリマーを有していることがより好ましい。
また、有機粒子の体積平均粒径は、5〜1,000nmが好ましく、10〜200nmがより好ましい。
有機粒子の添加量としては、使用する際の研磨組成物の全重量に対して、0.001〜20重量%であることが好ましく、0.005〜5重量%の範囲であることがより好ましい。
本発明の研磨組成物は、有機粒子を一種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いることができる温度応答性ポリマーとしては、アクリルアミド系ポリマー及びコポリマー、窒素含有アクリレート系ポリマー及びコポリマー、並びに、オキシアルキレン鎖を有するビニルエーテル系ポリマー及びコポリマーが好ましく挙げられ、アクリルアミド系ポリマー及びコポリマー、並びに、窒素含有アクリレート系モノマー及びコポリマーがより好ましく挙げられる。
下限臨界共溶温度の一例としては、N−イソプロピルアクリルアミドの単重合体は、32〜33℃に下限臨界共溶温度を有し、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートの単重合体は、35℃付近に下限臨界共溶温度を有する。
前記共重合体においては、一般に、親水性の他の共重合体を併用すると、単重合体に比べ下限臨界共溶温度が上昇し、疎水性の他の共重合体を併用すると、単重合体に比べ下限臨界共溶温度が下降する傾向がある。
本発明に用いることができる他の単量体としては、エチレン性不飽和単量体であることが好ましく、α,β−不飽和エステル化合物、α,β−不飽和カルボン酸化合物、α,β−不飽和アミド化合物、α,β−不飽和ニトリル化合物、不飽和ヒドラジド化合物、アルケン化合物、無置換又は置換ビニル芳香族化合物、無置換又は置換ビニルエステル化合物、無置換又は置換ビニルエーテル化合物等が例示できる。具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、2−アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート、4−シアノアセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、N−(メタ)アクリロイルベンズヒドラジド、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルイミダゾール、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等が好ましく例示できる。
式(I)中、R2は水素原子、アルキル基又はアルコキシアルキル基を表し、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数3〜5のアルコキシアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基であることがより好ましい。
式(I)中、R3はアルキル基又はアルコキシアルキル基を表し、炭素数3のアルキル基又は炭素数3〜5のアルコキシアルキル基であることが好ましく、イソプロピル基であることがより好ましい。
式(II)中、R2は水素原子、アルキル基又はアルコキシアルキル基を表し、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数3〜5のアルコキシアルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基であることがより好ましい。
式(II)中、R3はアルキル基又はアルコキシアルキル基を表し、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数3〜5のアルコキシアルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基であることがより好ましい。
式(II)中、nは2〜6の整数を表し、2〜4であることが好ましく、2であることがより好ましい。
また、R1、R2及びR3は、式(I)及び式(II)においてそれぞれ独立に選択できることは言うまでもない。
本発明の研磨組成物は、無機砥粒を含有する。
砥粒としては、例えば、シリカ(沈降シリカ、フュームドシリカ、コロイダルシリカ、合成シリカ)、セリア、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ゲルマニア、酸化マンガン、炭化ケイ素などが好ましく挙げられ、これらの中でも、シリカであることがより好ましく、コロイダルシリカであることが特に好ましい。
また、無機砥粒の体積平均粒径は、5〜1,000nmが好ましく、5〜200nmがより好ましい。
本発明の研磨組成物は、酸化できる化合物(酸化剤)を含有するのが好ましい。
酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過酸化物、硝酸塩、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、過硫酸塩、重クロム酸塩、過マンガン酸塩、オゾン水、銀(II)塩、及び、鉄(III)塩が挙げられる。
鉄(III)塩としては例えば、硝酸鉄(III)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、臭化鉄(III)など無機の鉄(III)塩の他、鉄(III)の有機錯塩が好ましく用いられる。
ミンジコハク酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、N−(カルボキシメチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、メチルイミノジ酢酸、ニトリロ三酢酸、イミノジ酢酸)を挙げることができる。
酸化剤の中でも、過酸化水素、並びに、鉄(III)のエチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、1,3−ジアミノプロパン−N,N,N’,N’−四酢酸及びエチレンジアミンジコハク酸(SS体)錯体が最も好ましい。
本発明の研磨組成物は、研磨対象が金属である場合、金属表面に不動態膜を形成し基板上での化学反応を抑制する化合物として少なくとも1種の腐食抑制剤を含有することが好ましい。
本発明で用いることができる複素環化合物の複素環の環員数は特に限定されず、単環化合物あっても縮合環を有する多環化合物であっても良い。単環の場合の員数は、好ましくは3〜8であり、さらに好ましくは5〜7であり、特に好ましくは5及び6である。また、縮合環を有する場合の環数は、好ましくは2〜4であり、さらに好ましくは2又は3である。
これらの複素環として具体的に、以下のものが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
本発明において、特定の部分を「基」と称した場合には、当該部分はそれ自体が置換されていなくても、一種以上の(可能な最多数までの)置換基で置換されていても良いことを意味する。例えば、「アルキル基」とは置換又は無置換のアルキル基を意味する。本発明で用いる複素環化合物に使用できる置換基は、例えば以下のものが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
また、本発明において、研磨組成物はキレート剤を含有することも好ましい。
キレート剤としては、研磨組成物作製時若しくは研磨時に混入する金属イオン、特に多価金属イオンなどの悪影響を低減させるため、前記金属イオンに対し金属塩化合物や錯塩を形成する化合物、又は、金属イオンへの配位により金属錯体を形成する化合物であれば、特に限定なく用いることができ、例えば、ポリカルボン酸であるシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸や、ポリホスホン酸であるニトリロトリスメチレンホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、ポリスルホン酸である1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸、あるいはアミノ酸又はアミノポリカルボン酸が好ましく、水溶性のアミノ酸又は水溶性のアミノポリカルボン酸が特に好ましい。
グリシン、L−アラニン、β−アラニン、L−2−アミノ酪酸、L−ノルバリン、L−バリン、L−ロイシン、L−ノルロイシン、L−イソロイシン、L−アロイソロイシン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、サルコシン、L−オルニチン、L−リシン、タウリン、L−セリン、L−トレオニン、L−アロトレオニン、L−ホモセリン、L−チロシン、3,5−ジヨード−L−チロシン、β−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−L−アラニン、L−チロキシン、4−ヒドロキシ−L−プロリン、L−システィン、L−メチオニン、L−エチオニン、L−ランチオニン、L−シスタチオニン、L−シスチン、L−システィン酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、S−(カルボキシメチル)−L−システィン、4−アミノ酪酸、L−アスパラギン、L−グルタミン、アザセリン、L−アルギニン、L−カナバニン、L−シトルリン、δ−ヒドロキシ−L−リシン、クレアチン、L−キヌレニン、L−ヒスチジン、1−メチル−L−ヒスチジン、3−メチル−L−ヒスチジン、エルゴチオネイン、L−トリプトファン、アクチノマイシンC1、アパミン、アンギオテンシンI、アンギオテンシンII及びアンチパイン等のアミノ酸。
その中でも、グリシン、L−アラニン、β−アラニン、L−ヒスチジン、L−プロリン、L−リシン、ジヒドロキシエチルグリシンが特に好ましい。
式(1)におけるR2及びR3は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又は、アリール基を表す。
式(1)におけるR4及びR5は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルキル基、又は、アシル基を表す。
ただし、R1が単結合である場合、R4及びR5の少なくともいずれか1つは水素原子ではない。
上記アルキレン基が有していてもよい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子などを挙げることができる。
式(1)におけるR2及びR3としてのシクロアルキル基は、好ましくは炭素数5〜15であり、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基を挙げることができる。
式(1)におけるR2及びR3としてのアルケニル基は、好ましくは炭素数2〜9であり、例えば、ビニル基、プロペニル基、アリル基を挙げることができる。
式(1)におけるR2及びR3としてのアルキニル基は、好ましくは炭素数2〜9であり、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基を挙げることができる。
これらの基におけるアルキレン鎖中には、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を有していてもよい。
式(1)におけるR2及びR3としての各基が有してもよい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、芳香環(好ましくは炭素数3〜15)、カルボキシル基、アミノ基などを挙げることができる。
アシル基は、好ましくは炭素数2〜9であり、例えば、メチルカルボニル基を挙げることができる。
式(1)におけるR4及びR5としての各基が有してもよい置換基としては、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子を挙げることができる。
また、式(1)において、R1が単結合、R2及びR4が水素原子であることが特に好ましい。この場合、R3は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又はアリール基を表すが、特に水素原子、アルキル基が好ましい。R5は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルキル基、又はアシル基を表すが、特にはアルキル基が好ましい。R3としてのアルキル基が有してもよい置換基として、水酸基、カルボキシル基又はアミノ基が好ましい。R5としてのアルキル基が有してもよい置換基として、水酸基又はアミノ基が好ましい。
式(2)におけるR7及びR8は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又は、アリール基を表す。
式(2)におけるR9は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、又は、アルキル基を表す。
式(2)におけるR10はアルキレン基を表す。
ただし、R10が−CH2−である場合、R6は単結合ではないか、又は、R9が水素原子ではないかの少なくともいずれかである。
上記アルキレン基及びフェニレン基が有していてもよい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子などを挙げることができる。
式(2)におけるR7及びR8としてのシクロアルキル基は、好ましくは炭素数5〜15であり、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基を挙げることができる。
式(2)におけるR7及びR8としてのアルケニル基は、好ましくは炭素数2〜9であり、例えば、ビニル基、プロペニル基、アリル基を挙げることができる。
式(2)におけるR7及びR8としてのアルキニル基は、好ましくは炭素数2〜9であり、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基を挙げることができる。
これらの基におけるアルキレン鎖中には、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を有していてもよい。
式(2)におけるR7及びR8としての各基が有してもよい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、芳香環(好ましくは炭素数3〜15)などを挙げることができる。
式(2)におけるR9としてのアシル基は、好ましくは炭素数2〜9であり、例えば、メチルカルボニル基を挙げることができる。
これらの基におけるアルキレン鎖中には、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を有していてもよい。
式(2)におけるR9としての各基が有してもよい置換基としては、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基を挙げることができる。
また、式(2)において、R9は水素原子でないことが好ましい。
本発明に用いることができるチオシアン酸塩としては特開2004−235319号公報に記載のチオシアン酸塩を好ましく挙げることができ、チオエーテル類としては特開2004−235318号公報に記載のチオエーテル類を好ましく挙げることができ、チオ硫酸塩としては特開2004−235326号公報に記載のチオ硫酸塩を好ましく挙げることができ、また、メソイオン化合物としては特開2004−235320号公報に記載のメソイオン化合物を好ましく挙げることができる。
本発明の研磨組成物は更に酸を含有することが好ましい。ここでいう酸とは、金属を酸化するための酸化剤とは構造が異なる化合物であり、前述の酸化剤として機能する酸を包含するものではない。ここでの酸は、酸化の促進、pH調整、緩衝剤としての作用を有する。
酸の例として、その範囲で、例えば、無機酸、有機酸が挙げられる。
無機酸としては、硫酸、硝酸、ホウ酸、燐酸などが挙げられ、無機酸の中では燐酸、硝酸が好ましい。
有機酸としては、水溶性のものが望ましい。以下の群から選ばれたものがより適している。ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−メチル酪酸、n−ヘキサン酸、3,3−ジメチル酪酸、2−エチル酪酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸乳酸、及びそれらのアンモニウム塩やアルカリ金属塩等の塩、硫酸、硝酸、アンモニア、アンモニウム塩類、又はそれらの混合物等が挙げられる。これらの中ではギ酸、酢酸、グリコール酸が好適である。
本発明の研磨組成物は、更に、界面活性剤及び/又は親水性ポリマーを含有することが好ましい。
界面活性剤と親水性ポリマーは、いずれも被研磨面の接触角を低下させる作用を有して、均一な研磨を促す作用を有する。用いられる界面活性剤及び/又は親水性ポリマーとしては、以下の群から選ばれたものが好適である。
陰イオン界面活性剤として、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩が挙げられ、カルボン酸塩として、石鹸、N−アシルアミノ酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド;スルホン酸塩として、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼン及びアルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩;硫酸エステル塩として、硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩;リン酸エステル塩として、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテルリン酸塩を挙げることができる。
非イオン界面活性剤として、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型が挙げられ、エーテル型として、ポリオキシエチレンアルキル及びアルキルフェニルエーテル、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルが挙げられ、エーテルエステル型として、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、エステル型として、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステル、ショ糖エステル、含窒素型として、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミド等が例示される。
また、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
本発明の研磨組成物は、必要に応じて、pH調整のためにアルカリ剤、さらにはpHの変動抑制の点から緩衝剤を含有することができる。
その中でも、特に好ましいアルカリ剤としては、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム及びテトラメチルアンモニウムハイドロキサイドである。
なお、本発明の研磨組成物は水を含まない形態であってもよい。この場合、pH2〜8である研磨組成物とは、研磨組成物を水に溶かした場合に上記pHを示すものを表す。
本発明の研磨組成物は、分散媒を含有していてもよい。
本発明に用いることができる分散媒としては、水単独、又は水を主成分(分散媒中、50〜99重量%)とし、アルコール等の水と相溶性の溶剤を副成分(1〜30重量%)として配合したものが使用できる。
水は、できる限り巨大粒子を含まない純水又はイオン交換水が好ましい。
水と相溶性の溶剤として具体的には、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、アセトニトリル、酢酸エチル、N−メチルピロリドン、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、アセトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−フェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルーエーテル、ジエチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等が例示できる。
研磨組成物中に占める分散媒の含有量は、75〜95重量%であることが好ましく、85〜90重量%であることがより好ましい。研磨組成物の基板上への供給性の観点から75重量%以上であることが好ましい。
本発明の研磨方法は、本発明の研磨組成物を研磨定盤上の研磨パッドに供給し、研磨パッドと被研磨面とを接触させた状態で相対運動させて研磨することを特徴とする。
本発明の研磨方法は、少なくとも有機粒子と無機砥粒とを含有する研磨組成物であって、該有機粒子の表面の少なくとも一部に、下限臨界共溶温度より低温において水に溶解又は膨潤する性質を有する温度応答性ポリマーを有し、該下限臨界共溶温度が25〜50℃であることを特徴とする本発明の研磨組成物を用いることにより、研磨速度に優れ、ディッシングが抑制される。
本発明においては、研磨する対象は、例えばLSI等の半導体における配線であり、好ましくは金属配線、より好ましくは銅金属及び/又は銅合金からなる配線、特には銅合金からなる配線が好ましい。更には、銅合金の中でも銀を含有する銅合金が好ましい。銅合金に含有される銀含量は、40重量%以下が好ましく、特には10重量%以下、さらには1重量%以下が好ましく、0.00001〜0.1重量%の範囲である銅合金において最も優れた効果を発揮する。
なお、前記のように本発明の研磨組成物は、LSI等の半導体における金属配線の研磨、特に化学的機械的研磨に好適に用いることができる研磨組成物であるが、該金属配線の研磨に付随して酸や砥粒等の効果により、シリコン基板や酸化シリコン、窒化シリコン、樹脂、バリア層、絶縁膜等を一部研磨するものであってもよいことは言うまでもない。
本発明においては、研磨する対象である半導体が、例えば、DRAMデバイス系ではハーフピッチで0.15μm以下の配線を持つLSIであることが好ましく、0.10μm以下であることがより好ましく、0.08μm以下であることがさらに好ましい。一方、MPUデバイス系では0.12μm以下の配線を持つLSIであることが好ましく、0.09μm以下であることがより好ましく、0.07μm以下であることがさらに好ましい。
これらのLSIに対して、本発明の研磨組成物は特に優れた効果を発揮する。
本発明において、研磨パッドの研磨面と被研磨面との平均相対運動速度(平均相対速度)は、被研磨面の中心を通る直線の、半径方向の相対運動速度の平均値とする。
例えば、被研磨面及び研磨面が共に回転体であるとき、それぞれの回転中心間の距離を中心間距離Lとする。この中心間を結ぶ線上における、被研磨面の相対運動速度を求めて平均相対速度とする。
図1は、平均相対速度を説明するための研磨面と被研磨面を含む回転式研磨面の平面図である。
図1において、被研磨面中心Bと研磨面中心Oとの距離をL(m)、研磨面の半径をRp(m)、被研磨面の半径をRw(m)とし、研磨面の角速度をωp(rad/s)、被研磨面の角速度をωw(rad/s)とする。Rp>RwのときのA点、B点、C点の各点における相対運動速度Va、Vb、Vcは下記の式で表される。
A:Va=(L−Rw)*ωp+Rw*ωw
B:Vb=L*ωp
C:Vc=(L+Rw)*ωp−Rw*ωw
上記の要領で、被研磨面の半径方向A−Cの速度分布を求め、それらの和を測定点数で除した平均値を平均相対運動速度として求める。
本発明において、平均相対速度は、0.5〜5.0m/sであることが好ましく、1.0〜3.5m/sであることがより好ましく、1.0〜3.0m/sであることが特に好ましい。
本発明において、研磨面と被研磨面との接触部分にかかる力を、その接触面積で除した値を接触圧力とする。例えば、径がφ200mmの被研磨面全面をφ600mmの研磨面に400Nの力で押し付けた場合は、接触面積は(0.1)2π=3.14・10-2m2であるので、接触圧力は400/(3.14・10-2)=12,732Paである。
本発明の研磨方法に適用される接触圧力は、1,000〜25,000Paであることが好ましく、2,000〜17,500Paであることがより好ましく、3,500〜17,000Paであることがさらに好ましい。
本発明の研磨組成物を用いることができる装置としては、特に限定されないが、例えば、Mirra Mesa CMP、Reflexion CMP(アプライドマテリアルズ社製)、FREX200、FREX300((株)荏原製作所製)、NPS3301、NPS2301(ニコン社製)、A−FP−310A、A−FP−210A(東京精密(株)製)、2300TERES(ラムリサーチ社製)、Momentum(SpeedFam−IPEC社製)を好ましい例として挙げることができる。
本発明の研磨方法について、さらに説明する。
本発明の研磨工程において、研磨している間、研磨パッドには研磨組成物をポンプ等で連続的に供給することが好ましい。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に研磨組成物で覆われていることが好ましい。研磨終了後の半導体基板は、流水中で良く洗浄した後、スピンドライヤ等を用いて半導体基板上に付着した水滴を払い落としてから乾燥させることが好ましい。
本発明の研磨方法では、研磨組成物を希釈する際に使用する水溶液は、前記水溶液中に含有した成分と希釈される研磨組成物の成分とを合計した成分が、研磨組成物を使用して研磨する際の成分となるようにする。研磨組成物を水溶液で希釈して使用する場合は、溶解しにくい成分を水溶液の形で配合することができ、より研磨組成物を濃縮することができる。
また、溶解度の低い添加剤成分を2つの構成成分(A)と(B)に分け、酸化剤、添加剤及び界面活性剤を1つの構成成分(A)とし、酸、添加剤、界面活性剤及び水を1つの構成成分(B)とし、それらを使用する際に水又は水溶液を加え構成成分(A)と構成成分(B)を希釈して使用する。この例の場合、構成成分(A)と構成成分(B)と水又は水溶液をそれぞれ供給する3つの配管が必要であり、希釈混合は、3つの配管を研磨パッドに供給する1つの配管に結合してその配管内で混合する方法や、2つの配管を結合してから他の1つの配管を結合する方法が用いられる。
本発明においては、半導体が銅金属及び/又は銅合金からなる配線を用いている場合、配線と層間絶縁膜との間に、銅の拡散を防ぐためのバリア層を設けることが好ましい。バリア層としては低電気抵抗のメタル材料が好ましく、TiN、TiW、Ta、TaN、W、WN、Ruがより好ましく、Ta、TaN、Ruが特に好ましい。
層間絶縁膜としては、低誘電率の絶縁性物質の薄膜が好ましく、好適な絶縁性物質としては比誘電率が3.0以下である物質であり、より好ましくは2.8以下の物質である。好ましい低誘電率物質として具体的には、BlackDiamond(アプライドマテリアルズ社製)、FLARE(Honeywell Electronic Materials社製)、SILK(Dow Chemical社製)、CORAL(Novellus System社製)、LKD(JSR(株)製)及びHSG(日立化成工業(株)製)を挙げることができる。
本発明に用いることができる研磨用のパッドは、大きくは無発泡構造パッドでも発泡構造パッドでもよい。前者はプラスチック板のように硬質の合成樹脂バルク材をパッドに用いるものである。また、後者は更に独立発泡体(乾式発泡系)、連続発泡体(湿式発泡系)、2層複合体(積層系)の3つがあり、特には2層複合体(積層系)が好ましい。発泡は、均一でも不均一でもよい。
更に研磨に用いる砥粒(例えば、セリア、シリカ、アルミナ、樹脂など)を含有したものでもよい。また、それぞれに硬さは軟質のものと硬質のものがあり、どちらでもよく、積層系ではそれぞれの層に異なる硬さのものを用いることが好ましい。材質としては不織布、人工皮革、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート等が好ましい。また、研磨面と接触する面には、格子溝/穴/同心溝/らせん状溝などの加工を施してもよい。
本発明の研磨組成物を用いてCMPを行うウェハは、径が200mm以上であることが好ましく、特には300mm以上が好ましい。300mm以上である時に顕著に本発明の効果を発揮する。
(有機粒子A−1の作製)
アルドリッチ社製N−イソプロピルアクリルアミド及び和光純薬工業(株)製メチレンビスアクリルアミドを各5g、超純水950gを4口丸底フラスコに入れ、窒素置換後、重合開始剤として和光純薬工業(株)製過硫酸カリウム1gを添加し、80rpmで撹拌しながら70℃で8時間重合反応を行った。その後、取り出した有機粒子を純水中で繰り返し洗浄を行った。粒子径の測定は、動的散乱法で行った。
市販の粒子径48nmのポリスチレン粒子(JSR(株)製スタデックスSC−0050−D)160g、アルドリッチ社製2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート14.2g、アルドリッチ社製エチレングリコールジメタクリレート0.48g、重合開始剤としてアルドリッチ社製V−50 3.3g、超純水822gを4口丸底フラスコに入れ、窒素置換後、80rpmで撹拌しながら60℃で8時間重合反応を行った。その後、取り出した有機粒子を純水中で繰り返し洗浄を行った。粒子径の測定は、動的散乱法で行った。
市販の粒子径48nmのポリスチレン粒子(JSR(株)製スタデックスSC−0050−D)を純水中で繰り返し洗浄を行った。粒子径の測定は、動的散乱法で行った。
下記に示す研磨組成物を調製し、研磨試験を行い、評価した。
<研磨組成物の調製>
コロイダルシリカ(平均粒子径47nm) 50g/L
有機粒子 5g/L
ベンゾトリアゾール(BTA) 47mg/L
過酸化水素(30%過酸化水素として30mL/L) 30g/L
グリシン 10g/L
純水を加えて全量 1,000mL
硝酸及びアンモニアを用いて、pHを6.8に調整した。
研磨装置として荏原製作所製装置「FREX−300」を使用し、下記の条件で、スラリーを供給しながら各ウェハに設けられた膜を研磨し、その時の研磨速度を算出した。
基板:12inch銅膜付きシリコンウェハ
テーブル回転数:104rpm
ヘッド回転数:105rpm
(加工線速度=1.0m/s)
研磨圧力:105hPa
研磨パッド:ローム アンド ハース社製 品番IC-1400 (K−grv)+(A21)
スラリー供給速度:300ml/分
研磨速度の測定:研磨前後の電気抵抗から膜圧を換算した。具体的には、研磨速度(nm/分)=(研磨前の銅膜の厚さ−研磨後の銅膜の厚さ)/研磨時間で測定した。
研磨装置として荏原製作所製装置「FREX−300」を使用し、下記の条件で、スラリーを供給しながらパターン形成された各ウェハに設けられた膜を研磨し、その時の段差を測定した。
基板:フォトリソグラフィー工程と反応性イオンエッチング工程によりシリコン酸化膜をパターニングして、幅0.09〜100μm、深さ600nmの配線用溝と接続孔を形成、さらに、スッパタリング法により厚さ20nmのTa膜を形成し、続いてスッパタリング法により厚さ50nmの銅膜を形成後、メッキ法により合計厚さ1,000nmの銅膜を形成した12inchウェハを使用した。
テーブル回転数:50rpm
ヘッド回転数:50rpm
研磨圧力:168hPa
研磨パッド:ロデール・ニッタ株式会社製 品番IC−1400
スラリー供給速度:200ml/分
段差の測定:触針式の段差測定計を用い、100μm/100μmのL/Sでの段差を測定した。
下記表4に示す有機粒子を用いた以外は実施例1と同様に研磨組成物を調製し、研磨試験を行い、評価した。
Claims (5)
- 少なくとも有機粒子と無機砥粒とを含有する研磨組成物であって、
該有機粒子の表面の少なくとも一部に、下限臨界共溶温度より低温において水に溶解又は膨潤する性質を有する温度応答性ポリマーを有し、
該下限臨界共溶温度が25〜50℃であることを特徴とする
研磨組成物。 - 該温度応答性ポリマーが、N−イソプロピルアクリルアミド若しくはN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの単重合体又は共重合体である請求項2に記載の研磨組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1つに記載の研磨組成物を研磨定盤上の研磨パッドに供給し、研磨パッドと被研磨面とを接触させた状態で相対運動させて研磨することを特徴とする
研磨方法。 - 被研磨面が銅又は銅合金である請求項4に記載の研磨方法。
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