JP2007268986A - 保護層転写シート - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポストキレート方式等により得られた画像を保護する保護層を形成するために用いられる保護層転写シートであって、保護層を形成する際の熱エネルギー等によって、保護層が熱転写受像シートへ正常に転写せずに、保護層の基材側と融着したり、印画物の保護層表面が粗面化することがない、耐熱性が高く、印画物を保護する耐久性に優れた保護層転写シートを提供する。
【解決手段】 キレート化可能な熱拡散性染料と反応し得る金属イオン含有化合物を含有する染料受容層12を備えた熱転写受像シート10に、前記熱拡散性染料を転写した後に、前記染料受容層12の表面を保護する保護層を形成するために用いられる保護層転写シート1において、基材2と、前記基材2上に形成され、放射線硬化性樹脂を含有する保護層3と、前記保護層3上に形成されたヒートシール層4とを有することを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、昇華型熱転写方式により印刷された画像を保護する保護層を転写するために用いられる保護層転写シートに関するものである。
画像を形成する種々プリント方式の一つとして、感熱により色材層中の染料が昇華拡散して受像シートに移行する感熱昇華転写がある。このような感熱昇華転写においては、加熱手段として、通常プリンタのサーマルヘッドが使用され、極めて短時間の加熱によって3色または4色の加熱量が調整された多数の色ドットを熱転写受像シートの受容層に転移させ、多色の色ドットにより原稿のフルカラーを再現するものである。この様に形成された画像は、使用する色材が染料であることから、非常に鮮明であり、かつ透明性に優れているため、得られる画像は中間色の再現性や階調性に優れ、従来のオフセット印刷やグラビア印刷による画像と同様であり、かつフルカラー写真画像に匹敵する高品質画像の形成が可能である。
しかしながら、上記の感熱昇華転写方式は、印加するエネルギー量によってドット単位で染料の移行量を制御できるため、階調性画像の形成に優れているが、形成された画像は通常の印刷インキによるものとは異なり、色材が顔料でなく比較的低分子量の染料であり、且つビヒクルが存在しないため耐光性、耐候性、耐摩耗性等の耐久性に劣るという欠点がある。
上記の欠点を改善する手段として、熱転写により色材層中の化合物と受容層中の化合物とを反応させることにより画像を形成する反応型の染料を用いた方法が提案されている。例えば、特許文献1〜4には、色材層側に含有させる化合物として熱拡散性染料を用い、受容層に含有させる化合物として金属イオン含有化合物を用い、熱転写後それらを反応させて熱拡散性染料−金属イオン含有化合物複合体を形成させることにより、画像を形成する方法(以下ポストキレート方式と呼ぶこともある。)が開示されている。
上記ポストキレート方式により形成された画像は、高温及び高湿下に長時間放置しても、染料の褪色及び滲みが起こりにくく、耐光性についても従来の方法より得られる画像に比べて優れている。しかしながら、上記ポストキレート方式により形成された画像であっても、耐光性、耐候性、耐摩耗性等の耐久性が不十分な場合があった。
上記耐久性を改善する手段として、近年、画像が形成された印画物の受容層上に、保護層を設ける方法が提案されている。上記受容層上に保護層を設けると、上述のような、耐光性、耐候性、耐摩耗性等の耐久性等の物理的な耐性を向上させることができる。
また、一方で、ポストキレート方式による熱転写記録においても、最終的な印画物を得るためのプリントの高速化が必要となっている。すなわち、熱転写シートのキレート化可能な熱拡散性染料を含有する染料層から、熱転写受像シートの金属イオン含有化合物を含有する受容層へ、その熱拡散性染料を転写して、熱転写の画像を形成する時、印字時間を速めるために、印字加熱温度を高めたり、そして熱転写の画像形成された受容層上に、保護層を保護層転写シートから熱転写して形成する時、保護層転写の加熱温度を高めることが要求されている。
しかし、従来の保護層転写シートを用いて、また特許文献5に示されるようなポストキレート方式で使用される保護層転写シートを用いて、上記のプリント高速化を行なうと、保護層が熱転写受像シートへ正常に転写せずに、保護層の基材側と融着したり、印画物の保護層表面が粗面化したりして、実用上、問題が生じている。
特開昭59−78893号公報 特開昭59−109394号公報 特開昭60−2398号公報 特開2000−263828公報 特開2002−331763公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ポストキレート方式等により得られた画像を保護する保護層を形成するために用いられる保護層転写シートであって、保護層を形成する際の熱エネルギー等によって、保護層が熱転写受像シートへ正常に転写せずに、保護層の基材側と融着したり、印画物の保護層表面が粗面化することがない、耐熱性が高く、印画物を保護する耐久性に優れた保護層転写シートを提供することを目的とする。
本発明は、キレート化可能な熱拡散性染料と反応し得る金属イオン含有化合物を含有する染料受容層を備えた熱転写受像シートに、前記熱拡散性染料を転写した後に、前記染料受容層の表面を保護する保護層を形成するために用いられる保護層転写シートにおいて、基材と、前記基材上に形成され、放射線硬化性樹脂を含有する保護層と、前記保護層上に形成されたヒートシール層とを有することを特徴とする保護層転写シートを提供する。
本発明によれば、上記保護層に放射線硬化性樹脂が用いられることから、上記保護層転写用シートを製造する際、熱硬化処理等を行う必要がないものとすることができ、効率よく製造された保護層転写用シートとすることができる。また、上記保護層に放射線硬化性樹脂が用いられることから、耐熱性が高く、保護層が熱転写受像シートへ正常に転写せずに、保護層の基材側と融着したり、印画物の保護層表面が粗面化することを防止でき、さらに印画物における耐可塑剤性、耐光性等の耐久性が高いものとすることができる。
上記発明においては、上記放射線硬化性樹脂が、(メタ)アクリロイル基を有するアクリル変性ポリビニルブチラール樹脂であることが好ましく、さらに上記(メタ)アクリロイル基を有するアクリル変性ポリビニルブチラール樹脂が、下記の化学式で表される樹脂であることが好ましい。
Figure 2007268986
(式中におけるR1は、水素原子又はアセチル基を表し、R2は、(メタ)アクリロイル基を有する基であり、式中のl、m、およびnの合計を100とした場合に、lは40〜85、mは15〜50、nは0〜15の整数である。)
これにより、上記保護層の硬化性を良好なものとすることができ、耐可塑剤性をより良好なものとすることができるからである。
本発明は、キレート化可能な熱拡散性染料と反応し得る金属イオン含有化合物を含有する染料受容層を備えた熱転写受像シートに、前記熱拡散性染料を転写した後に、前記染料受容層の表面を保護する保護層を形成するために用いられる保護層転写シートにおいて、基材と、前記基材上に形成され、放射線硬化性樹脂を含有する保護層と、前記保護層上に形成されたヒートシール層とを有することにより、熱転写画像形成の印画速度が大きい場合、熱拡散性染料−金属イオン含有化合物複合体形成のキレート化が不十分になりやすい点を、画像形成された受容層上への保護層転写の際の高温加熱により、上記キレート化を促進し、染料の褪色及び滲みが起こりにくい画像が得られる。また、保護層転写の際の高温加熱条件でも、保護層の耐熱性が高いため、保護層が熱転写受像シートへ正常に転写せずに、保護層の基材側と融着したり、印画物の保護層表面が粗面化することもなく、耐可塑剤性や耐光性などの耐久性に優れた保護層を設けた印画物が得られる。
本発明は、昇華型熱転写方式により印刷された画像を保護する保護層を転写するために用いられる保護層転写シートに関するものである。以下、詳しく説明する。
本発明の保護層転写シートは、キレート化可能な熱拡散性染料と反応し得る金属イオン含有化合物を含有する染料受容層を備えた熱転写受像シートに、前記熱拡散性染料を転写した後に、前記染料受容層の表面を保護する保護層を形成するために用いられるものであり、基材と、前記基材上に形成され、放射線硬化性樹脂を含有する保護層と、前記保護層上に形成されたヒートシール層とを有する構成である。
本発明の保護層転写シートは、例えば図1に示すように、基材2と、その基材2上に形成された保護層3と、その保護層3上に形成されたヒートシール層4とを有する構成の保護層転写シート1とすることができる。また本発明の保護層転写シートは、例えば図2に示すように、画像が印字された熱転写受像シート10の支持体11上に設けられた受容層12と、上記保護層転写用シート1の上記ヒートシール層4とを対向させて配置した状態で、印刷装置のサーマルヘッド13から熱を加えることによって、上記受容層12上に保護層3を転写して用いられるものである。尚、上記受容層12および保護層3は、上記ヒートシール層4を介して積層され、サーマルヘッド13の加熱により、保護層転写シート1の基材2から保護層3と、ヒートシール層4が剥離して、熱転写受像シート10側に転写し、印画物20が得られる。但し、この印画物20の受容層12には、図示しないが、別に用意した基材上に熱拡散性染料を含有する染料層を設けた熱転写シートから、該熱拡散性染料を転写して、受容層に含有する金属イオン含有化合物と、熱拡散性染料とが反応して、キレート化する。この熱拡散性染料が受容層に転写されたものが、熱転写画像となる。
本発明においては、上記保護層に放射線硬化性樹脂が用いられることから、上記保護層形成の際に、例えば処理時間が長く要する熱硬化工程等が必要のないものとすることができる。したがって、上記保護層転写シートが効率よく製造されたものとすることができるのである。本発明では、保護層に放射線で硬化する樹脂を用いるものであるが、「放射線」としては、電磁波が有する量子エネルギーで区分する場合もあるが、本明細書では、すべての紫外線(UV−A、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線を包含するものと定義する。したがって、電離放射線としては、紫外線(UV)、可視光線、ガンマー線、X線、または電子線などが適用できるが、紫外線(UV)が好適であり、波長300〜400nmの紫外線が最適である。
また、本発明においては、上記保護層に放射線硬化性樹脂が用いられることから、上記保護層が耐熱性に優れたものとすることができ、さらに樹脂等に含有されている可塑剤に対しても高い耐性を有するものとすることができる。したがって本発明によれば、昇華型熱転写方式により転写された印画物を良好に保護することができる保護層を転写可能な保護層転写シートとすることができるのである。
以下、本発明の保護層転写シートの各構成ごとに詳しく説明する。
(基材)
本発明の保護層転写シートに用いられる基材2について説明する。本発明に用いられる基材としては、保護層を形成可能なものであり、かつ所定の耐熱性と強度を有するものであれば特に限定されるものではない。このような基材としては、例えば、0.5〜50μm、好ましくは1〜10μm程度の厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等が用いられる。
(保護層)
本発明の保護層転写シートに用いられる保護層3について説明する。本発明に用いられる保護層は、上記の基材上に形成され、放射線硬化性樹脂を含有し、昇華転写方式により印画された印画物の表面を保護することが可能な層であり、可視光に対して透過性を有するものであれば、特に限定されるものではない。なお、保護層が放射線硬化性樹脂を含有するとは、後述する放射線硬化性樹脂が保護層の主成分とされていることをいい、上記放射線硬化性樹脂が、放射線照射によって架橋している場合も含むものとする。
ここで、上記保護層は、熱転写受像シート上に転写された際の表面の光沢度が、60°測定において70%以上、中でも85%以上となるものであることが好ましい。上記光沢度は、JIS K7105(1981)に準じて測定される値である。これにより、上記保護層が転写された熱転写受像シートの印画面を良好に観察することが可能となるからである。
本発明においては、上記保護層の軟化点が50℃〜300℃の範囲内とされていることが好ましく、中でも80℃〜250℃の範囲内とされていることが好ましい。これにより、保護層が熱転写受像シートへ正常に転写せずに、保護層基材側と融着したり、印画物の保護層表面が粗面化することのないものとすることができる。なお、上記軟化点は、剛体振り子型表面物性試験機(A&D社製 RPT3000W)により、昇温速度;3℃/minで測定される結果から、もしくはその結果をグラフにして得られる。具体的には、測定対象となる樹脂の粘弾性測定として、温度変化に対して、対数減衰率がピーク値(最大値)となった時の温度を、その樹脂の軟化点としたものであり、図3に示したグラフでは、後述する実施例での製造例1で使用したポリビニルブチラール樹脂を出発原料とし、そのポリビニルブチラール樹脂の軟化点は約120℃である。また、その出発原料を後述した製造例1に示した条件で、化学反応させて得られる放射線硬化性樹脂である(メタ)アクリロイル基を有するアクリル変性ポリビニルブチラール樹脂(グラフではUV硬化ブチラールと表示している)を用いて、実施例1で示した保護層形成用組成物により得られる保護層の被膜の軟化点は約160℃になることを示したものである。このように、出発原料であるポリビニルブチラール樹脂を変性して、(メタ)アクリロイル基を有するアクリル変性ポリビニルブチラール樹脂とすることで、軟化点が向上し、すなわち耐熱性が向上して、熱転写受像シートへの保護層の転写が困難になったり、印画物の保護層表面が粗面化することを防止できる。
またさらに、上記放射線硬化性樹脂は、保護層の固形分中に50質量%〜90質量%程度、中でも55質量%〜85質量%程度、特に60質量%〜80質量%程度含有されていることが好ましい。これにより、保護層が上述したような機能を発揮することが可能となるからである。
このような放射線硬化性樹脂としては、例えば不飽和ポリエステル類、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレート類等が挙げられ、これらを1種または2種以上混合して使用することができる。
本発明においては、上記の中でも、上記放射線硬化性樹脂が、(メタ)アクリロイル基を有するアクリル変性ポリビニルブチラール系樹脂であることが好ましい。これにより、保護層の耐熱性や耐可塑剤性を高いものとすることができるからである。
Figure 2007268986
(式中におけるR1は、水素原子又はアセチル基を表し、R2は、(メタ)アクリロイル基を有する基であり、式中のl、m、およびnの合計を100とした場合に、lは40〜85、mは15〜50、nは0〜15の整数である。なお、上記(メタ)アクリロイル基は、芳香族、脂肪族、脂環族等の連結基を解して結合されているものであってもよい。またこの場合、上記R2の炭素数は、通常2〜8の範囲内とされる。)
また上記化学式は、単に樹脂の各構成要素の量比を表わす為の式であり、その並び方(例えばブロック構造等)を特定するものではない。また上記一般式で表されるアクリル変性ポリビニルブチラール系樹脂中に、本発明の目的を失わない限り、若干量の他の構成要素が含まれていてもかまわない。
また上記(メタ)アクリロイル基を有するアクリル変性ポリビニルブチラール系樹脂の分子量は、3万〜20万の範囲内、中でも5万〜10万の範囲内であることが好ましい。
ここで、上記(メタ)アクリロイル基を有するアクリル変性ポリビニルブチラール系樹脂は、ポリビニルブチラール樹脂を溶解可能な溶剤、例えば、トルエン、ケトン、セルソルブアセテート、ジメチルスルフォキサイド等に溶解させ、この溶液を撹拌させながら、イソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸又はその誘導体を滴下及び反応させることにより製造することができる。上記イソシアネート基が、ポリビニルブチラール樹脂の水酸基と反応してウレタン結合を生じ、このウレタン結合を介して樹脂中に(メタ)アクリロイル基が導入されるのである。この際、上記イソシアネート基含有の(メタ)アクリル酸化合物の使用量は、ポリビニルブチラール樹脂の水酸基とイソシアネート基との比率で水酸基1mol当たりイソシアネート基0.1mol〜10mol(好ましくは0.5〜3mol)の範囲になる量とされる。
また上記イソシアネート基含有の(メタ)アクリル酸化合物としては、例えば下記一般式で示されるものが挙げられる。
Figure 2007268986
(式中、R1は、水素基またはメチル基を表し、R2は、炭素原子数1〜5のアルキレン基(側鎖にアルキル基を有するものも含む)を表す。)
上記一般式で表されるイソシアネート基含有の(メタ)アクリル酸化合物として具体的には、(メタ)アクリロイルオキシイソシアネートや、(メタ)アクリロイルオキシエチレンイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシプロピレンイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシイソプロピレンイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシブチレンイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリロイル基を有するアクリル変性ポリビニルブチラール系樹脂の別の製造方法としては、ポリビニルブチラール樹脂を溶解可能な溶剤、例えば、トルエン、ケトン、セルソルブアセテート、ジメチルスルフォキサイド等に溶解させ、この溶液を撹拌させながら、(メタ)アクリル酸クロライド又はその誘導体を滴下及び反応させる方法とすることができる。この場合、酸クロライド基がポリビニルブチラール樹脂の水酸基と反応してエステル結合を生じ、このエステル結合を介して樹脂中に(メタ)アクリル酸化合物の残基が導入されるのである。この際、(メタ)アクリル酸クロライド又はその誘導体の使用量は、ポリビニルブチラール樹脂の水酸基と酸クロライド基との比率で、水酸基1mol当たり酸クロライド基が0.1mol〜5mol(好ましくは、0.5〜3mol)である。
ここで、上記保護層には上述した放射線硬化性樹脂が主成分として用いられるが、本発明においては、上記放射線硬化性樹脂の他に、例えば保護層の架橋密度を調整する為等に、一般的な熱可塑性樹脂や、アクリル系、その他の単官能又は多官能のモノマー、オリゴマー等の反応性希釈剤を加えてもよい。
例えば、単官能ではテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート等のモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また2官能以上では、骨格構造で分類するとポリオール(メタ)アクリレート(エポキシ変性ポリオール(メタ)アクリレート、ラクトン変性ポリオール(メタ)アクリレート等)、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、その他ポリブタジエン系、イソシアヌール酸系、ヒダントイン系、メラミン系、リン酸系、イミド系、フォスファゼン系等の骨格を有するポリ(メタ)アクリレートや、紫外線、電子線硬化性である様々なモノマー、オリゴマー、ポリマーが挙げられる。
さらに詳しくは、2官能のモノマー、オリゴマーとしてはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられ、3官能のモノマー、オリゴマー、ポリマーとしてはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、脂肪族トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、4官能のモノマー、オリゴマーとしてはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、脂肪族テトラ(メタ)アクリレート等が挙げられ、5官能以上のモノマー、オリゴマーとしてはジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の他、ポリエステル骨格、ウレタン骨格、フォスファゼン骨格を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。官能基数は特に限定されるものではないが、特に3〜20官能のものが用いられること好ましい。これにより、良好な耐熱性や耐可塑剤性を示す保護層とすることが可能となるからである。
上記反応性希釈剤は、上記保護層を形成する際に用いられる上記放射線硬化性樹脂の量を1とした場合に1以下、中でも0.05〜0.5の範囲内で用いられることが好ましい。これにより、形成される保護層の架橋密度を高いものとすることができ、保護層の耐熱性や耐可塑剤性を高いものとすることができるからである。
また上記保護層は、熱可塑性樹脂を含有するものであってもよい。本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、例えばポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルエステル、ポリビニルアセタール等のビニルポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等が挙げられ、これらを1種または2種以上混合して用いることができる。
また本発明において、上記放射線硬化性樹脂を紫外線によって硬化させる場合には、上記保護層を形成する際に、光増感剤を添加することが必要である。なお、電子線によって上記放射線硬化性樹脂を硬化させる場合には、光増感剤は不要である。本発明に用いられる光増感剤としては、一般的に紫外線硬化型塗料の光増感剤として用いられている各種の光増感剤、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチルベンゾイン、α−フェニルベンゾイン等のベンゾイン系化合物;アントラキノン、メチルアントラキノン等のアントラキノン系化合物;ベンジル:ジアセチル;アセトフェノン、ベンゾフェノン等のフェニルケトン化合物;ジフェニルジスルフィド、テトラメチルチウラムスルフィド等のスルフィド化合物;α−クロルメチルナフタリン;アントラセン及びヘキサクロロブタジエン、ペンタクロロブタジエン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。このような光増感剤は上記放射線硬化性樹脂100質量部当たり約0.5〜10質量部の範囲で使用することが好ましい。
また、上記保護層は、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、カテコール、ハイドロキノンモノメチルエーテル等のフェノール類;ベンゾキノン、ジフェニルベンゾキノン等のキノン類;フェノチアジン類:銅類等の重合防止剤を含有するものとしてもよい。これにより、保護層を形成するための保護層形成用組成物の貯蔵安定性を向上させることが可能となる。またさらに、必要に応じて、促進剤や、粘度調節剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤等の各種助剤が含有されていてもよい。また、スチレン・ブタジエンラバー等の高分子体が含有されていてもよい。また、上記保護層には可塑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤など公知の添加剤が含有されていてもよい。
本発明において、上記保護層を形成する方法としては、上述した放射線硬化性樹脂と、上述した各種添加剤等とを添加した組成物に、溶剤や希釈剤等を加え、十分に混練して、保護層形成用組成物を調整する。その後、後述する基材上に、例えば、グラビア印刷法や、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の手段により塗布し、乾燥させた後、放射線を照射することにより形成する方法とすることができる。上記保護層形成用組成物の塗工量は、乾燥時で0.5g/m2〜4.0g/m2とされることが好ましい。塗工量が乾燥時で0.5g/m2未満である場合には、受像シートの印画面を良好に保護することが困難となるからである。また上記塗工量が上記量より多い場合には、コスト面で好ましくなく、また乾燥時間や硬化時間が多く必要となり、生産性等が低下するからである。
上記保護層形成用組成物の硬化に用いられる紫外線や電子線等については、一般的な放射線硬化性樹脂の硬化に用いられるものと同様とすることができる。
また、上記保護層形成用組成物に用いられる溶剤としては、上述したような放射線硬化性樹脂が溶解するような有機溶剤であれば特に限定されるものではないが、塗工性や乾燥性を考慮すると、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ系有機溶剤が挙げられ、特にこれらの溶剤からなる混合溶剤が好ましく使用される。上記保護層形成用組成物中における放射線硬化性樹脂の固形分濃度は、特に限定されないが、一般的には重量基準で1質量%〜50質量%の範囲とされることが好ましい。
(ヒートシール層)
次に、本発明の保護層転写シートに用いられるヒートシール層4について説明する。本発明に用いられるヒートシール層としては、上記保護層上に形成されており、上記保護層と、熱転写受像シートの印画面(受容層)とを接着することが可能な層であり、可視光に対して透過性を有するものであれば、特に限定されるものではない。
ここで上記ヒートシール層の形成に用いられる樹脂としては、上記保護層と、受像シートの印画面とを接着可能なものであれば特にその種類等は限定されるものではなく、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−イソブチルアクリレート共重合樹脂、ブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニルおよびその共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂、アクリル系・メタクリル系などの(メタ)アクリル系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリメチルメタクリレート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニル系樹脂、マレイン酸樹脂、アルキッド樹脂、ポリエチレンオキサイド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、メラミン・アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂、スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(SBS)、スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(SIS)、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEPS)等の熱可塑性樹脂を用いることができる。本発明においては、上記の中でも180℃以下の温度でヒートシールが可能な組成物が用いられることが好ましい。特に、保護層材料との密着性を考慮するとブチラール系、アクリル系・メタクリル系などの(メタ)アクリル系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。
また、上記ヒートシール層には、上記ヒートシール層の切れ性を良好なものとするために、微粒子が含有されていてもよい。上記微粒子の平均粒径としては、0.05μm〜10μm、中でも0.05μm〜6μmであることが好ましい。上記微粒子の平均粒子径が、上記範囲内より小さい場合には、ヒートシール層の切れ性を向上させることが難しく、また上記範囲より大きい場合には、分散性が悪くヒートシール層の平滑性が損なわれる可能性があるからである。なお、上記平均粒子径は、レーザー法によって測定される値である。レーザー法として具体的には、微粒子を溶媒に分散させて、その分散溶媒にレーザー光線を照射し、その微粒子により散乱された光を解析することにより得られるものである。本発明においては、特にリーズ&ノースラップ(Leeds & Northrup)社製粒度分析計 マイクロトラックUPA Model−9230を使用して算出した値である。
また、このような微粒子の含有量としては、ヒートシール層を構成する上記樹脂100質量部に対して10質量部〜500質量部、中でも20質量部〜200質量部であることが好ましい。上記微粒子の含有量が、上記範囲内より少ない場合には、上記機能を発揮させることができず、また上記範囲内より多い場合には、分散性が悪く、ヒートシール層の切れ性が不安定となるからである。またさらに、受像シートの印画面との接着力の低下が起こる可能性もあるからである。また、微粒子の形状としては、特に限定されるものではなく、例えば球状、直方状、板状、燐片状、針状、中空体等であってもよい。
上記微粒子(フィラー)としては、有機微粒子及び/または無機微粒子、すなわち、有機微粒子、無機微粒子、有機物と無機物との混合物、または無機物の周囲に有機物をコーティングしたもの等を用いることができる。
無機微粒子としては、例えば炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、ガラス、珪藻土、雲母粉、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン等が適用できる。
また有機微粒子としては、ガラス転移点温度が120℃以上の熱可塑性樹脂であることが好ましく、例えばWAX、ポリエチレン、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、メタアクリル系樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリスチレン、スチレン及び/又はα−メチルスチレンと他の単量体(例えば無水マレイン酸、フェニルマレイミド、メタクリル酸メチル、ブタジエン、アクリロニトリル等)との共重合体(例えばAS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、耐熱ABS樹脂等)等の微粒子が適用できる。これにより、ヒートシール層の切れ性を良好なものとすることができるからである。また、有機微粒子を用いた場合には、ヒートシール層を構成する合成樹脂との屈折率が比較的近いことから、ヒートシール層により透明性を持たせることができる。またさらに、無機微粒子と比較して粒子表面の官能基を制御することで容易にヒートシール層の切れ性を改善できるという利点も有している。
また本発明においては、上記ヒートシール層に必要に応じて、分散剤、充填剤、可塑剤、帯電防止剤等の添加剤を適宜加えてもよい。帯電防止剤としては、非イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤等や、ポリアミドやアクリル酸誘導体等が適用できる。
上記ヒートシール層の形成方法としては、例えば上記樹脂バインダと、上記微粒子とを、溶媒へ分散または溶解させて、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、コンマコート、バーコート、ワイヤーバーコート、ロッドコート、キスコート、ナイフコート、ダイコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート等のコーティング法で上記保護層上に塗布し、乾燥および/または硬化させて形成される。
このようなヒートシール層の膜厚は、保護層転写シートの種類や、熱転写受像シートの種類等により、適宜選択されるものであるが、乾燥時の塗工量で、0.5g/m2〜11g/m2程度、好ましくは0.5g/m2〜6g/m2程度とされる。上記範囲未満の塗工量では、受像シートの印画面との接着が十分でなく、この範囲を超える塗工量は、ヒートシール層の切れ性が悪く、また、転写する際の加熱温度を高めなければならないからである。
本発明の保護層転写シートは、上記基材、保護層、およびヒートシール層を有するものであれば、その構成等は特に限定されるものではなく、例えば上記基材上に、保護層の他に、画像を印画するための染料層等が形成されているものであってもよい。上記染料層としては、例えば単色からなるものであってもよく、また例えばイエロー、シアン、マゼンタの3色からなるもの等であってもよい。上記の染料層については、印画の際に組み合わせて使用する熱転写受像シートの受容層に、金属イオン含有化合物を含み、該金属イオン含有化合物と反応して、キレート化可能な熱拡散性染料を含有する条件のものである。この染料層については、後で詳細に説明する。また本発明においては、上記基材の保護層が形成された側と反対側の面に、サーマルヘッドの熱によるステッキングや印字しわ等の悪影響を防止するため、耐熱滑性層等が形成されたものであってもよい。
上記耐熱滑性層を形成する樹脂としては、従来公知のものであればよく、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタン又はエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂からなる耐熱滑性層に添加あるいは上塗りする滑り性付与剤としては、リン酸エステル、シリコーンオイル、グラファイトパウダー、シリコーン系グラフトポリマー、フッ素系グラフトポリマー、アクリルシリコーングラフトポリマー、アクリルシロキサン、アリールシロキサン等のシリコーン重合体が挙げられるが、好ましくは、ポリオール、例えば、ポリアルコール高分子化合物とポリイソシアネート化合物及びリン酸エステル系化合物とすることが好ましい。またさらに充填剤を添加することがより好ましい。
耐熱滑性層は、基材上に、上述した樹脂、滑り性付与剤、更に充填剤を、適当な溶剤により、溶解又は分散させて、耐熱滑性層形成用塗工液を調製し、これを、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の形成手段により塗工し、乾燥して形成することができる。耐熱滑性層の塗工量は、固形分で、0.1g/m2〜3.0g/m2とされることが好ましい。
またさらに、本発明においては、上記基材と上記保護層との間に離型層が形成されていてもよい。これにより、保護層を熱転写する際に、容易に保護層と基材とが剥離するものとすることができるからである。上記離型層を形成する材料としては、離型性を有する材料であれば、特に限定されるものではないが、例えば、シリコーン樹脂、有機樹脂変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アミノアルキド樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、エマルジョン型、溶剤型、無溶剤型のいずれも使用することができる。
また、このような離型層の厚さは、特に制限はないが、通常、乾燥時の塗工量で、0.01g/m2〜3g/m2程度、0.05g/m2程度〜1g/m2程度とすることができる。この厚みが0.01g/m2未満である場合には、基材の被覆が十分ではなく剥離不良が発生するからである。一方、厚みが3g/m2より厚い場合には、未反応物や低分子のシリコーンの絶対量が増え、低分子シリコーンの移行やブロッキングの原因となるからである。本発明においては、安定した離型性や加工性の点で、ポリジメチルシロキサンを主成分とする付加及び/または重縮合型の硬化型シリコーン樹脂が好ましい。
このような離型層は、離型層成分を分散および/または溶解した離型層形成用塗工液を、上記基材の片面に塗布し、加熱乾燥および/または硬化させて形成する。上記離型層形成用塗工液の塗布方法としては、公知で任意の塗布方法が使用でき、例えば、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、コンマコート、バーコート、ワイヤーバーコート、ロッドコート、キスコート、ナイフコート、ダイコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート等である。また、離型層は必要に応じて、基材の全面、または一部に形成すればよい。
次に本発明の保護層転写シートは、熱転写受像シートの受容層に、昇華型熱転写方式により、キレート化可能な熱拡散性染料を転写して得られる画像を保護するものであるが、以下にキレート化可能な熱拡散性染料を含有する染料層を有する熱転写シートについて、説明する。この熱転写シートに用いる基材は、前記の保護層転写シートの基材と同様のものが使用でき、また基材の裏面側に設ける耐熱滑性層についても、保護層転写シートで説明した耐熱滑性層と同様のものが使用できる。
(染料層)
熱転写受像シートの受容層に、画像形成する際に使用する熱転写シートは、基材上に、染料層を設けた構成であり、その染料層は、本発明では、キレート化可能な熱拡散性染料を含有するものであり、バインダー樹脂と該熱拡散性染料を主成分としたものである。まず、染料層のバインダー樹脂としては、色素が熱拡散しやすく、かつ、保存時色素がブリードしたり、熱転写時受像シートと熱融着する、等の不具合が発生するものでなければ、特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。具体的には、アクリル系樹脂及びその誘導体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース及びその誘導体が挙げられる。
上記熱拡散性染料としては、熱転写受像シートの受容層に含まれる金属イオン含有化合物とキレート反応可能なものであれば、特に限定されるものではなく、一般的なイエロー染料、マゼンタ染料、シアン染料等を使用することができる。中でも、下記一般式(3)〜(8)、(10)、(11)で表される熱拡散性染料であることが好ましい。
(a)一般式(3)で表される熱拡散性染料
Figure 2007268986
(式中、R11は置換基を表し、R12はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはシクロアルキル基を表し、R13及びR14は水素原子または置換基を表し、R15、R16、R17及びR18は水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。Z11は5又は6員の含窒素複素環を形成するために必要な非金属原子群を表す。)
上記R11で表される置換基は、特に制限はないが、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルケニル基、ハロゲン原子、アルキニル基、ヘテロ環基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ホスホノ基、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シロキシ基、アシルオキシ基、スルホン酸基、スルホン酸の塩、アミノカルボニルオキシ基、アミノ基、アニリノ基、イミド基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環チオ基、チオウレイド基、カルボキシル基、カルボン酸の塩、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトロ基等の各基が挙げられる。
これらの置換基は、同様の置換基によって更に置換されていてもよい。
12が表すアルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはシクロアルキル基は、上記R11で表される置換基と同様の置換基によって置換されていてもよい。
一般式(3)において、R13及びR14は水素原子または置換基を表す。R13及びR14が表す置換基としては、上記R11で表される置換基と同様の基を挙げることができ、これらの置換基は、さらに同様の置換基によって置換されていてもよい。
一般式(3)において、R15、R16、R17及びR18は水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。R15、R16、R17及びR18が表すアルキル基及びアリール基は、上記R11おけるアルキル基及びアリール基と同様の基を挙げることができる。
15、R16、R17及びR18が表すアルキル基及びアリール基は、上記R11で表される置換基と同様の置換基によって置換されていてもよい。
一般式(3)において、Z11は5又は6員の含窒素複素環を形成するために必要な非金属原子群を表す。
このような複素環の具体例として、ピリジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環、チアゾール環、オキサゾール環、キノリン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環等の各環を挙げることができる。これらの環は置換基を有していてもよく、置換基としては、上記R11で表される置換基と同様の基を挙げることができる。
(b)一般式(4)で表される熱拡散性染料
Figure 2007268986
(式中、R21は、トリフルオロメチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、アミノ基、シアノ基を表し、R22は、アルキル基、アシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基を表し、R23は、アルキル基、アルケニル基、アリール基を表す。但し、R21とR22の炭素数の総和は3以上である。X21は、−CR2425−、−S−、−O−、−NR26−を表し、R24、R25は、水素原子、ハロゲン原子、置換基を表し、R26は、水素原子、置換基を表す。Y21は、5〜6員環を形成するのに必要な原子群を表す。)
置換基としては、上述した一般式(3)における置換基と同様であるので、ここでの説明は省略する。
一般式(4)中、R21は、トリフルオロメチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、アミノ基、シアノ基を表す。
上記R21として、好ましくは、アルキル基、トリフルオロメチル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、カルバモイル基、シアノ基であり、更に好ましくはアルキル基である。
22は、アルキル基、アシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基を表す。
23は、アルキル基、アルケニル基、アリール基を表す。
上記X21は、−CR2425−、−S−、−O−、−NR26−を表し、好ましくは、−CR2425−、−S−、−O−である。
24、R25は、水素原子、ハロゲン原子、置換基を表す。
置換基としては、上述した一般式(3)における置換基と同様であるので、ここでの説明は省略する。
上記置換基として、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基である。
26は、水素原子、置換基を表す。
置換基としては上記R24、R25の例として挙げたものと同様の置換基が挙げられる。
21は、5〜6員環を形成するのに必要な原子群を表す。好ましくは、6員環を形成するのに必要な原子群である。例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、ベンゼン環、ピリジン環、ナフタレン環などが挙げられる。
(c)一般式(5)で表される熱拡散性染料
Figure 2007268986
上記一般式(5)において、R1及びR2で表される各々の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(炭素数1〜12のアルキル基で、酸素原子、窒素原子、硫黄原子もしくはカルボニル基で連結する置換基が置換するか、またはアリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、シアノ基もしくはハロゲン原子が置換していてもよい。
3で表されるアルキル基及びアリール基としては、R1及びR2で表されるアルキル基、アリール基と同じものを挙げることができる。
1で表される2個の炭素原子と共に構成される5〜6員の芳香族環としては、具体的には、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピラジン、ピリダジン、ピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾールなどの環を挙げることができ、これらの環は更に他の芳香族環と縮合環を形成してもよい。これらの環上には置換基を有していてもよく、該置換基としてはR1及びR2で表される置換基と同じものを挙げることができる。
以上の一般式(3)〜(5)で表される熱拡散性染料は、イエロー染料である。
(d)一般式(6)で表される熱拡散性染料
Figure 2007268986
(式中、Y31はアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、シアノ基、パーフルオロアルキル基を示す。Z31、Z32は−CR32=または−N=を表し、L31は下記一般式(6−a)で表される基を表し、X31は、無置換または置換されたアルキルアミノ基を表し、R31は置換または無置換のアルキル基を表し、nは0以上の整数を表す。R32は水素原子または置換基を表す。)
Figure 2007268986
(式中、B31は複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。)
31は一般式(6−a)で表される基を表し、複素環を形成するのに必要な非金属原子群B31を含む。一般式(6−a)で表される基としては、2−ピロリル基、イミダゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、3−ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基、2−ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、3H−インドドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノザリニル基、キナゾリニル基等を表す。これら複素環は更に置換基を有してもよく、該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、複素環基が挙げられる。
31は無置換または置換されたアルキルアミノ基を表し、置換基としては、アリール基、アシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホン酸基、スルホンアミド基、アシルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基が挙げられる。
31は置換または無置換のアルキル基を表す。R32は水素原子または置換基を表し、置換基としてはアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
(e)一般式(7)で表される熱拡散性染料
Figure 2007268986
(式中、Y41は上述の Y31と同様の置換基を表し、Z41、Z42は−CR43=または−N=を表し、L41は一般式(7−a)、(7−b)で表される基を表し、X41は、無置換または置換されたアルキルアミノ基を表し、R41は置換または無置換のアルキル基を表し、R43は水素原子または置換基を表し、nは0以上の整数を表す。)
Figure 2007268986
(式中、R42は水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基を表し、Rbは置換基を表し、pは0〜4の整数を表し、Bは−CR42=と共に複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。)
41は一般式(7−a)、(7−b)で表される基を表し、一般式(7−a)で表される−CR42=およびB41と共に複素環を形成した基としては、ピロリル基、イミダゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、3H−インドドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノザリニル基、キナゾリニル基等が挙げられる。R42は水酸基、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ等)、アリールオキシ基、アミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基を表す。これら複素環は更に置換基を有してもよく、該置換基としては、例えばハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、複素環基が挙げられる。
41は無置換または置換されたアルキルアミノ基を表し、置換基としては、アリール基、アシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホン酸基、スルホンアミド基、アシルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基が挙げられる。
41は置換または無置換のアルキル基を表す。R42は水素原子または置換基を表し、置換基としてはアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
bで表される置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、複素環基等が挙げられる。
(f)一般式(8)で表される熱拡散性染料
Figure 2007268986
上記一般式(8)において、Xは少なくとも2座のキレート形成可能な基または原子の集まりを表し、Yは5員もしくは6員の芳香族炭化水素環または複素環を形成する原子の集まりを表し、R1、R2は各々水素原子、ハロゲン原子または1価の置換基を表す。nは0、1、2を表す。
Xとして特に好ましくは、下記一般式(9)で表される基である。
Figure 2007268986
上記一般式(9)において、Z2は少なくとも一つのキレート化可能な窒素原子を含む基で置換された芳香族性含窒素複素環を形成するに必要な原子群を表す。該環の具体例としてはピリジン、ピリミジン、チアゾール、イミダゾール等の各環が挙げられる。これらの環は、更に他の炭素環(ベンゼン環等)や複素環(ピリジン環等)と縮合環を形成しても良い。
上記一般式(8)において、Yは5員もしくは6員の芳香族炭化水素環または複素環を形成する原子の集まりを表し、該環上には更に置換基を有していても良く、縮合環を有していても良い。該環の具体例としては、3H−ピロール環、オキサゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、3H−ピロリジン環、オキサゾリジン環、イミダゾリジン環、チアゾリジン環、3H−インドール環、ベンズオキサゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、キノリン環、ピリジン環等が挙げられる。これらの環は更に他の炭素環(例えば、ベンゼン環)や複素環(例えば、ピリジン環)と縮合環を形成してもよい。環上の置換基としてはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子等であり、それらの基は更に置換されていても良い。
1、R2は各々水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子)または1価の置換基を表すが、1価の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、ヘテロ環基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アシル基、アシルアミノ基等が挙げられる。
Xは少なくとも2座のキレート形成可能な基または原子の集まりを表し、一般式(6)として色素を形成できるものなら何でもよく、例えば、5−ピラゾロン、イミダゾール、ピラゾロピロール、ピラゾロピラゾール、ピラゾロイミダゾール、ピラゾロトリアゾール、ピラゾロテトラゾール、バルビツール酸、チオバルビツール酸、ローダニン、ヒダントイン、チオヒダントイン、オキサゾロン、イソオキサゾロン、インダンジオン、ピラゾリジンジオン、オキサゾリジンジオン、ヒドロキシピリドン、またはピラゾロピリドンが好ましい。
以上の一般式(6)〜(8)で表される熱拡散性染料は、マゼンタ染料である。
(g)一般式(10)で表される熱拡散性染料
Figure 2007268986
(式中、R51及びR52はそれぞれ、置換又は無置換の脂肪族基を表し、R53は置換基を表す。nは0〜4の整数を表し、nが2以上の時、複数のR53は同じでも異なってもよい。R55、R56はアルキル基を表す。但し、R55、R56の少なくとも1つは2級アルキル基を表す。)
一般式(10)において、R51およびR52は置換または無置換の脂肪族基を表し、R51およびR52は同じでも異なっていてもよい。脂肪族基の例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。アルキル基の例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基などを挙げることができ、これらのアルキル基を置換しうる基としては、直鎖あるいは分岐のアルキル基、シクロアルキル基、およびアルケニル基、アリール基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、カルボニル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、カルボニルオキシ基、ウレタン基、スルホニルオキシ基、アミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルホニル基、スルファモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、および複素環チオ基等が挙げられる。
シクロアルキル基、アルケニル基の例としては、上記置換基と同様である。また、アルキニル基の例としては、1−プロピン、2−ブチン、1−ヘキシン等が挙げられる。
51、R52で非芳香族性の環状構造(例えばピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環等)を形成するのも好ましい。
53は置換基を表し、置換基の例としては、上記R51、R52の置換基の例が挙げられる。上記置換基の中でもアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシルアミノ基が好ましい。nは0〜4の整数を表し、nが2以上の場合、複数のR53は同じでも異なっていてもよい。
55およびR56はアルキル基を表す。また、R55、R56の少なくとも1つは2級アルキル基を表す。R56の2級アルキル基は、置換されていても良いが、すべて炭素原子と水素原子からなる置換基で置換されており、その他の原子を含む置換基で置換されるものではない。R55とR56は同じでも良いし、異なっていても良い。
(h)一般式(11)で表される熱拡散性染料
Figure 2007268986
上記一般式(11)において、R11及びR12は各々置換または無置換の脂肪族基を表し、R11及びR12は同じでも異なっていてもよい。脂肪族基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。これらのアルキル基を置換しうる基としては、直鎖あるいは分岐のアルキル基、シクロアルキル基、及びアルケニル基、アリール基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、カルボニル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、カルボニルオキシ基、ウレタン基、スルホニルオキシ基、アミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルホニル基、スルファモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基等が挙げられる。
シクロアルキル基、アルケニル基の例としては、上記置換基と同様である。
11、R12として、非芳香族性の環状構造(例えば、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環等)を形成する基も好ましい。
13は上記置換基の中でもアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシルアミノ基が好ましい。nは0〜4の整数を表し、nが2以上の場合、複数のR13は同じでも異なっていてもよい。
14はアルキル基であり、好ましくは2級または3級アルキル基である。R14のアルキル基は、置換されていても良いが、すべて炭素原子と水素原子からなる置換基で置換されており。その他の原子を含む置換基で置換されるものではない。
15はアルキル基であり、好ましくは2級または3級アルキル基である。R15のアルキル基は、置換されていても良いが、すべて炭素原子と水素原子からなる置換基で置換されており。その他の原子を含む置換基で置換されるものではない。
16はアルキル基を表し、特に好ましい置換基は、炭素数3以上の直鎖のアルキル基である。なお、R16のアルキル基は、置換されていても良いが、すべて炭素原子と水素原子からなる置換基で置換されており、その他の原子を含む置換基で置換されるものではない。
以上の一般式(10)〜(11)で表される熱拡散性染料は、シアン染料である。
次に、保護層転写シートの保護層が転写される熱転写受像シートについて説明する。熱転写受像シートは、通常、支持体と、上記支持体上に形成された受容層とを有するものであり、上記受容層は、キレート化可能な熱拡散性染料と反応し得る金属イオン含有化合物を含有するものである。
上記熱転写受像シートにおいては、上記受容層に上記熱拡散性染料が転写された際に、
上記熱拡散性染料が、上記金属イオン含有化合物と反応し、熱拡散性染料−金属イオン含有化合物複合体となり、画像を形成する。このようにして形成された画像は、高温及び高湿下に長時間放置しても、染料の褪色及び滲みが起こりにくく、従来の感熱昇華転写に比べて、優れた耐光性等の耐久性を示す。上記方法により形成された画像、および受容層の表面を保護する保護層を形成するために、本発明の保護層転写シートが用いられる。
(支持体)
熱転写受像シートに用いられる支持体11は、受容層を保持するという役割を有するとともに、熱転写時には熱が加えられるため、過熱された状態でも取り扱い上支障のない程度の機械的強度を有することが好ましい。
このような支持体の材料としては特に限定されず、例えば、コンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、またはサイズ度の高い紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等、セルロース繊維紙、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−エチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等のフィルムが挙げられ、また、これらの合成樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明フィルムあるいは発泡させた発泡シートも使用できる。さらに、上記支持体の任意の組み合わせによる積層体も使用できる。
上記支持体と上記受容層との接着強度を大きくする等の目的で、支持体の表面に各種プライマー処理やコロナ放電処理を施すのが好ましい。
(受容層)
上記熱転写受像シートに用いられる受容層12は、上記金属イオン含有化合物およびバインダー樹脂を含有するものである。
(a)金属イオン含有化合物
上記熱転写受像シートの受容層に用いられる金属イオン含有化合物は、前述した熱拡散性染料と反応し、受容層中で熱拡散性染料−金属イオン含有化合物複合体を形成する。
上記金属イオン含有化合物の受容層における含有量としては、特に限定されるものではないが、後述するバインダー樹脂に対して5〜80質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましい。
上記熱転写受像シートの受容層に用いられる金属イオン含有化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、金属イオンの無機または有機の塩、および金属錯体が挙げられ、中でも有機酸の塩および錯体が好ましい。金属としては、周期律表の第I〜VIII族に属する1価及び多価の金属が挙げられるが、中でもAl、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、Sn、Ti及びZnが好ましく、Ni、Cu、Cr、Co及びZnがより好ましく、特にNiが好ましい。このような金属イオン含有化合物の具体例としては、Ni2+、Cu2+、Cr2+、Co2+およびZn2+と酢酸やステアリン酸等の脂肪族との塩、あるいは安息香酸、サルチル酸等の芳香族カルボン酸の塩等が挙げられる。また、下記一般式(12)で表される錯体は特に好ましく用いることができる。
一般式(12) [M(Q11(Q2m(Q3np+(Y-p
但し、上記式中、Mは金属イオン、好ましくはNi2+、Cu2+、Cr2+、Co2+、Zn2+を表す。Q1、Q2、Q3は各々Mで表される金属イオンと配位結合可能な配位化合物を表し、互いに同じであっても異なっていても良い。これらの配位化合物としては、例えばキレート科学5(上野景平著、南江堂、1975年)に記載されている配位化合物から選択することができる。Yは有機アニオン基を表し、具体的にはテトラフェニルホウ素アニオンやアルキルベンゼンスルホン酸アニオン等を挙げることができる。lは1、2又は3の整数を表し、mは1、2又は0を表し、nは1又は0を表すが、これらは上記一般式(12)で表される錯体が2座配位、4座配位か、6座配位かによって決定されるか、あるいはQ1、Q2、Q3の配位子の数によって決定される。Pは0、1又は2を表す。P=0は、Qで表される配位化合物がアニオン性化合物であり、Qで表されるアニオン性化合物とMで表される金属カチオンとが電気的に中和された状態であることを意味する。
アニオン性化合物としては下記一般式(13)で表される化合物が好ましい。
Figure 2007268986
式中R1、R3は各々同じであっても異なっていても良く、アルキル基又はアリール基を表し、R2はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、水素原子を表す。R1、R2及びR3は、前述した一般式(3)におけるR11で表される置換基と同様の置換基によって置換されていても良い。
本発明においては、特に、上記金属イオン含有化合物が、下記構造式で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2007268986
(b)バインダー樹脂
上記熱転写受像シートの受容層に用いられるバインダー樹脂としては、色素が染着しやすいものであれば特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。具体的には、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのハロゲン化樹脂;塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂などのハロゲン化樹脂と他のビニル系モノマーとの共重合体;ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどのビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂;ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、フェノキシ樹脂、エチレンやプロピレンなどのオレフィンと他のビニル系モノマーとの共重合体;ポリウレタン;ポリカーボネート;アクリル樹脂;アイオノマー;セルロース誘導体等を用いることができ、これらの中でもハロゲン化樹脂と他のビニル系モノマーとの共重合樹脂、ポリエステル系樹脂およびビニル系樹脂が好ましい。なお、上記バインダー樹脂は、単体で用いても良く、混合物で用いても良い。
受容層は、上記の金属イオン含有化合物と、バインダー樹脂と、必要に応じて離型剤などの各種添加剤から構成されている。受容層は、染料層との熱融着を防止するために、離型剤を添加することが好ましい。離型剤としては、反応硬化型シリコーン、リン酸エステル系界面活性剤、フッ素系化合物などを用いることができるが、この中でも、特に反応硬化型シリコーン、具体的には、ビニル変性シリコーンやアミノ変性シリコーンとエポキシ変性シリコーンの反応硬化物が、好ましく用いられる。離型剤の添加量は、受容層固形分に対し、0.5〜10質量%が好ましい。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、例中の部又は%は特に断りのない限り質量基準である。
(製造例1)
温度計、撹拌機、滴下ロート及び冷却管を取り付けた4つ口フラスコにポリビニルブチラール(商品名 エスレックBM−1、積水化学工業社製)2.5g、メチルエチルケトン(以下、MEKともいう。)97g、及びジブチルチンジラウレート0.03gを仕込み、温度を50℃にして撹拌した。
これにメタクリロイルオキシイソシアネート(商品名 カレンズMOI、昭和電工社製)1.07gを滴下した。滴下後、50℃にて加熱反応を行い、アクリル変性ポリビニルブチラール−1を得た。反応は、反応液のイソシアネート量を逆滴定分析により測定し、仕込んだイソシアネートが90%以上反応していることを確認して終了とした。
(製造例2)
製造例1と同様に、反応器にポリビニルブチラール(商品名 エスレックBM−1 積水化学工業社製)2.5g、MEK97g、及びトリエチルアミン0.68gを仕込み、温度を60℃にして撹拌した。これにアクリル酸クロイド(東京化成製)1.06gを滴下し、滴下後60℃にて加熱反応を行い、反応終了後に析出した、トリエチルアミン塩酸塩を遠心分離器にて取り除き、アクリル変性ポリビニルブチラール−2を得た。
(製造例3)
製造例1と同様に、反応器にポリビニルブチラール(商品名 エスレックBM−1 積水化学工業社製)2.5g、及びMEK97gを仕込み、温度を50℃にして撹拌した。これにメタクリロイルイソシアネート(商品名 MAI、日本ペイント社製)2.93gを滴下し、滴下後50℃にて加熱反応を行い、アクリル変性ポリビニルブチラール−3を得た。
(製造例4)
製造例1と同様に反応器にポリビニルブチラール(商品名 エスレックBL−SH 積水化学工業社製)2.5g、MEK97g、及びジブチル錫ジラウレート0.03gを仕込み、温度を50℃にて撹拌した。これに上記カレンズMOIの0.65gを滴下し、滴下後50℃にて加熱反応を行い、アクリル変性ポリビニルブチラール−4を得た。
<実施例1>
(耐熱滑性層の形成)
PETフィルム(厚さ6μm)の一方の面に、下記の組成を有する耐熱滑性層形成用塗工液をグラビアコーティング法により、乾燥塗布量が1.0g/m2となるように塗布、乾燥させて耐熱滑性層を形成した。
[耐熱滑性層形成用塗工液]
ポリビニルブチラール樹脂(商品名 エスレックBM−1 積水化学工業社製)
13.6部
ポリイソシアネート硬化剤(商品名 タケネートD218 武田薬品工業社製)
0.6部
リン酸エステル(商品名 プライサーフA208S 第一工業製薬社製)
0.8部
メチルエチルケトン 42.5部
トルエン 42.5部
(保護層の形成)
下記の組成を有する保護層形成用組成物を、メチルエチルケトン/トルエン(1/1)で希釈して固形分が25%となるように調整した。その後、希釈された保護層形成用組成物を背面に上記耐熱滑性層が形成されたPETフィルムの、上記耐熱滑性層が形成された側と反対側の面上にバーコーターにて塗工した。続いて、80℃のオーブンで5分間乾燥させた後、紫外線硬化(UV照射装置 フュージョンUVシステムズジャパン社製、光源;Hバルブ、500mJ/cm2)させて、保護層を形成した。この保護層は、乾燥塗工量が1.5g/m2となるようにした。
[保護層形成用組成物]
アクリル変性ポリビニルブチラール−1(上記製造例1による)(固形分基準)
100部
光重合開始剤(商品名 Irg.184 チバスペシャルティケミカルズ社製)
6.5部
光硬化性モノマー(商品名 KAYARAD DCPA−120 日本化薬社製)
30部
(ヒートシール層の形成)
続いて、アクリル樹脂(商品名 BR−87 三菱レイヨン株式会社製)を、上記保護層上にバーコーターにて塗工した。続いて、100℃のオーブンで1分間乾燥させて、ヒートシール層を形成し、本発明の保護層転写シートAを得た。ヒートシール層の塗工量は1.0±0.1g/m2(乾燥時)とした。
<実施例2>
下記の組成を有する保護層形成用組成物を、メチルエチルケトン/トルエン(1/1)で希釈して固形分が25%となるように調整して用いた以外は、実施例1と同様に、保護層およびヒートシール層を形成し、本発明の保護層転写シートBを得た。
[保護層形成用組成物]
アクリル変性ポリビニルブチラール−2(上記製造例2による)(固形分基準)
100部
光重合開始剤(商品名 Irg.184 チバスペシャルティケミカルズ社製)
5部
光硬化性モノマー(商品名 KAYARAD DCPA−60 日本化薬社製)
20部
<実施例3>
下記の組成を有する保護層形成用組成物を、メチルエチルケトン/トルエン(1/1)で希釈して固形分が25%となるように調整して用いた以外は、実施例1と同様に、保護層およびヒートシール層を形成し、本発明の保護層転写シートCを得た。
[保護層形成用組成物]
アクリル変性ポリビニルブチラール−3(上記製造例3による)(固形分基準)
100部
ポリビニルアセタール樹脂(商品名 エスレックBX−L 積水化学工業社製)
10部
光重合開始剤(商品名 Irg.651 チバスペシャルティケミカルズ社製)
7部
光硬化性モノマー(商品名 KAYARAD HX−220 日本化薬社製)
40部
<実施例4>
下記の組成を有する保護層形成用組成物を、メチルエチルケトン/トルエン(1/1)で希釈して固形分が25%となるように調整して用いた以外は、実施例1と同様に、保護層およびヒートシール層を形成し、本発明の保護層転写シートDを得た。
[保護層形成用組成物]
アクリル変性ポリビニルブチラール−4(上記製造例4による)(固形分基準)
100部
ポリビニルブチラール樹脂(商品名 エスレックBM−1 積水化学工業社製)
20部
光重合開始剤(商品名 Irg.184 チバスペシャルティケミカルズ社製)
6部
<比較例1>
下記の組成を有する保護層形成用組成物を、メチルエチルケトン/トルエン(1/1)で希釈して固形分が10%となるように調整して用い、紫外線硬化させなかった以外は、実施例1と同様に、保護層およびヒートシール層を形成し、保護層転写シートEを得た。
[保護層形成用組成物]
ポリビニルブチラール樹脂(商品名 エスレックBM−1 積水化学工業社製)
100部
(評価)
実施例1〜4および比較例1により得られた保護層転写シートの性能を確認するために、以下の条件にて保護層が転写形成された印画物を作製した。
<熱転写シートの作製>
上記の保護層転写シートで使用した耐熱滑性層が形成されたPETフィルムを用い、該耐熱滑性層が形成された側と反対側の面上に、下記組成の塗工液を用いて、イエロー染料層(Y)、マゼンタ染料層(M)、シアン染料層(C)を、バーコーターにて、乾燥塗布量が各0.6g/m2となるように塗布、乾燥させて、流れ方向で面順次に、染料層が繰り返し形成された(Y、M、C、Y、M、C、・・)熱転写シートを用意した。
[イエロー染料層形成用塗工液]
下記化学式で示される熱拡散性染料 4部
ポリビニルブチラール樹脂(商品名 KS−5 積水化学工業社製) 3.5部
メチルエチルケトン 50部
トルエン 50部
Figure 2007268986
[マゼンタ染料層形成用塗工液]
下記化学式で示される熱拡散性染料 4部
ポリビニルブチラール樹脂(商品名 KS−5 積水化学工業社製) 3.5部
メチルエチルケトン 50部
トルエン 50部
Figure 2007268986
[シアン染料層形成用塗工液]
下記化学式で示される熱拡散性染料 4部
ポリビニルブチラール樹脂(商品名 KS−5 積水化学工業社製) 3.5部
メチルエチルケトン 50部
トルエン 50部
Figure 2007268986
<熱転写受像シートの作製>
合成紙の上に、下記組成の塗工液を用いて、バーコーターにて、乾燥塗布量が4g/m2となるように塗布、乾燥させて、受容層を形成して、熱転写受像シートを用意した。
[受容層形成用塗工液]
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 100部
(日信化学工業株式会社製 ソルバインC)
下記化学式で示される金属イオン含有化合物 45部
エポキシ変性シリコーン 1部
(信越化学工業株式会社製 KF−393)
アミノ変性シリコーン 1部
(信越化学工業株式会社製 KS−343)
メチルエチルケトン 240部
トルエン 240部
Figure 2007268986
以上に用意した熱転写受像シートの受容層と、上記熱転写シートの染料層とを対向させて重ね合わせ、Y、M、Cの順番で、サーマルヘッドを用い下記条件で熱転写記録を行い、グラデーション画像を形成した。
(Y、M、C印画条件)
・サーマルヘッド
・発熱体平均抵抗値:5300(Ω)
・主走査方向印字密度:300dpi
・副走査方向印字密度:300dpi
・印加電力:0.15(w/dot)
・1ライン周期:1(msec.)
・印字開始温度:25(℃)
・階調制御方法:1ライン周期中に、1ライン周期を256に等分割したパルス長を持つ分割パルスの数を0から255個まで可変できるマルチパルス方式のテストプリンターを用い、各分割パルスのDuty比を90%固定とし、階調によって、ライン周期あたりのパルス数を0ステップでは0個、1ステップでは17個、2ステップでは34個と0から255個まで17個毎に順次増加させることにより、0ステップから15ステップまでの16階調を制御した。
(保護層転写)
次いで、上記のように形成したグラデーション画像上に保護層を転写形成した。上記の熱転写記録を行った印画物について、実施例および比較例の保護層転写シートを、保護層転写シートのヒートシール層面と、印画物の受像面とを対向させて重ね合わせ、下記印字条件でサーマルヘッドにより、印画面全面に保護層を転写して形成した。
(保護層印画条件)
・サーマルヘッド
・発熱体平均抵抗値:5300(Ω)
・主走査方向印字密度:300dpi
・副走査方向印字密度:300dpi
・印加電力:0.10(w/dot)
・1ライン周期:2(msec.)
・印字開始温度:25(℃)
・階調制御方法:1ライン周期中に、1ライン周期を256に等分割したパルス長を持つ分割パルスの数を0から255個まで可変できるマルチパルス方式のテストプリンターを用い、各分割パルスのDuty比を90%固定とし、また、階調を256に固定し印画した。
(保護層転写性)
上記の保護層転写の際、保護層転写性の評価を以下の基準にて行なった。
○:保護層が熱転写受像シートへ正常に転写せずに、保護層の基材側と融着することが全くなく、また印画物の転写された保護層表面が粗面化することがなく、保護層表面は平滑であった。
△:保護層が熱転写受像シートへ正常に転写せずに、保護層の基材側と融着することはないが、印画物の転写された保護層表面は少し粗面化している。(肉眼での観察)
×:保護層が熱転写受像シートへ正常に転写せずに、保護層の基材側と融着してしまうか、あるいはそれらが融着することはないが、両者は離型しづらく、印画物の転写された保護層表面は粗面化している。(肉眼での観察)
上記の操作により、保護層を備える印画物を得た。本発明においては、上記印画物に対して、耐光性評価を行った。
(耐光性評価)
耐光性評価の条件は以下の通りである。
・照射試験器:アトラス社製Ci35
・光源:キセノンランプ
・フィルター:内側=IRフィルター 外側=ソーダライムガラス
・ブラックパネル温度:45(℃)
・照射強度:1.2(W/m2)−420(nm)での測定値
・照射エネルギー:400(kJ/m2)−420(nm)での積算値
上記の耐光性条件の照射前後の光学反射濃度の変化を光学濃度計(グレタグマクベス社製 spectrolino)により測定し、照射前の光学反射濃度が1.0近傍のステップについて、下記式により残存率を算出し、この残存率を基に下記評価基準で耐光性を評価した。
(耐光性の評価基準)
残存率(%)=(照射後の光学反射濃度/照射前の光学反射濃度)×100
評価基準
◎:残存率が90%以上で、耐光性が良好である。
○:残存率が80%以上で耐光性が良好である。
△:残存率が60%〜70%であり、耐光性がやや劣る。
(耐可塑剤性)
上記保護層を転写した印画物と、可塑剤入り軟質塩ビシート(三菱化学社製アルトロン♯480、厚み400μm)とを重ね合わせ、荷重を70.2g/cm2となるようにかけ、50℃環境下に32時間保存した。その後、可塑剤による印画物のダメージを下記の評価基準により、目視にて評価した。
○:ダメージなし
△:軟質塩ビシートに染料移行が少ない
×:軟質塩ビシートに染料移行が多い
(耐熱性試験)
上記保護層を転写した印画物を、80℃の環境下で、96時間保存した際に、ひび割れがあるか否かを下記の評価基準で目視にて判断した。
○:ひび割れ無し。
△:ひび割れが確認できる。
(耐ブロッキング性)
上記の保護層転写シートの転写面と背面とを重ね合わせ、50℃、湿度80%RHの環境下で、20kg/cm2の荷重をかけ、96時間保存した際に、背面側と転写面との貼りつきがあるか否かを下記の評価基準で目視にて判断した。
○:背面側に貼りつきがない。
△:一部転写面と背面との貼りつきがある。
×:転写面と背面とが貼りついている。
上記の保護層転写性評価、耐光性評価、耐可塑剤性評価、耐熱性評価及び耐ブロッキング性評価の結果を、表1に示す。
Figure 2007268986
表1より明らかなように、実施例で作製された保護層転写シートは、保護層転写性評価、耐光性評価、耐可塑剤性評価、耐熱性評価及び耐ブロッキング性評価の全てにおいて、良好な結果が得られた。これに対して、比較例で作製された保護層転写シートは、保護層転写性評価、耐光性評価、耐可塑剤性評価、耐熱性評価のいずれかにおいて、良好な結果が得られなかった。したがって、本発明の保護層転写シートは、保護層転写性、耐光性評価、耐可塑剤性評価、耐熱性評価及び耐ブロッキング性評価について、総合的に優れていることが明らかになった。
本発明の保護層転写シートの一例を示す概略断面図である。 本発明の保護層転写シートを説明する説明図である。 出発原料であるポリビニルブチラール樹脂と、その出発原料を化学反応させて得られる(メタ)アクリロイル基を有するアクリル変性ポリビニルブチラール樹脂の粘弾性測定結果のグラフであり、対数減衰率のピーク値が軟化点を示すものである。
符号の説明
1 保護層転写シート
2 基材
3 保護層
4 ヒートシール層
10 熱転写受像シート
11 支持体
12 受容層
13 サーマルヘッド
20 印画物

Claims (3)

  1. キレート化可能な熱拡散性染料と反応し得る金属イオン含有化合物を含有する染料受容層を備えた熱転写受像シートに、前記熱拡散性染料を転写した後に、前記染料受容層の表面を保護する保護層を形成するために用いられる保護層転写シートにおいて、基材と、前記基材上に形成され、放射線硬化性樹脂を含有する保護層と、前記保護層上に形成されたヒートシール層とを有することを特徴とする保護層転写シート。
  2. 前記放射線硬化性樹脂が、(メタ)アクリロイル基を有するアクリル変性ポリビニルブチラール樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の保護層熱転写シート。
  3. 前記(メタ)アクリロイル基を有するアクリル変性ポリビニルブチラール樹脂が、下記の化学式で表される樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の保護層転写シート。
    Figure 2007268986
    (式中におけるR1は、水素原子又はアセチル基を表し、R2は、(メタ)アクリロイル基を有する基であり、式中のl、m、およびnの合計を100とした場合に、lは40〜85、mは0〜10、nは15〜50の整数である。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8754144B2 (en) * 2012-10-15 2014-06-17 Rohitha Muthumala Jayasuriya Radiation cureable heat seal blister-coating compositions

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