JP2007264667A - トナー及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】樹脂粒子表面に微粒子が均一に固着したトナー粒子を有するトナーにおいて、該トナー粒子が、表面上に微粒子が付着された樹脂粒子を水系媒体中に分散させた後、超音波照射を行いながら(ただし、剪断力を加えつつ行う場合を除く。)水系媒体の温度を樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)より高い温度からガラス転移温度Tg+50℃以下の温度の範囲内に制御することによって樹脂粒子表面に微粒子を固着させて得られたものであることを特徴とするトナー。
【選択図】なし
Description
従来、電子写真法としては、特許文献1に記載されている如く多くの方法が知られているが、一般には、光導電性物質からなる感光体を利用し、該感光体上に種々の手段により電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーを用いて現像を行って可視像とし、必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写した後、熱・圧力等により転写材上にトナー画像を定着して複写画像を得るものである。そして、トナーを用いて現像する方法或いはトナー画像を定着する方法等について、従来より各種の方法が提案されている。
しかし、このようなトナーにおいては、特に、キャリアと混合して使用する2成分系現像剤の場合に、現像装置内で現像剤に働く種々の衝撃力、例えば、トナーとキャリア間での摺擦やトナー同士の摺擦によって、流動性向上剤として外添させた微粒子が次第にトナー粒子内に埋没していまい、トナーの流動性の低下や帯電性に変化を生じることがあった。そして、このようなトナーを有する現像剤を用いた場合には、潜像を現像する場合の現像性が低下したり、トナー画像をドラムから転写紙へ転写させる際の転写効率が低下したりして、画質劣化を招く。又、転写効率の低下によるドラムのクリーニング不良や廃トナー量の増大等を発生し易いという問題もある。
静電潜像を顕像化する画像形成方法の代表的なものとして電子写真法が挙げられる。電子写真法は、特許文献5〜7に記載されている如く、一般には、光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーを用いて現像し、必要に応じて直接的或いは間接的手段を用い、紙の如き転写材にトナー画像を転写した後、加熱、加圧、加熱加圧或いは溶剤蒸気等により定着し、複写物或いはプリント物を得るものである。この時に感光体上に転写されず残ったトナーは、必要により種々の方法でクリーニングされて上述の工程が繰り返される。
従って、本発明の目的は、トナー粒子の母体となる樹脂粒子表面に、微粒子、例えば、着色剤である顔料や荷電制御剤や金属酸化物等の微粒子を、均一に且つ確実に耐久性をもって固着させることを可能にすることによって、現像性の低下や転写効率の低下が抑制され、耐久性に優れ、トナー融着等の問題を生じることもなく、長期にわたって初期の流動性及び帯電性が保持され、しかも環境変動に対する帯電挙動も安定で、良好な画像形成を安定して行なうことが可能なトナー及びその製造方法を提供することにある。
従って、本発明の目的は、上記の問題点を解決したトナー及びその製造方法を提供することにある。
即ち、本発明は、画像の高画質化を図るために、高い隠蔽力を有し、高着色力である微粒径且つ粒度分布がシャープなトナー及びその製造方法を提供することを目的とする。
更に、省電力化に鑑み、耐ブロッキング性を満足し、且つ、低温定着可能なトナー及びその製造方法を提供することを目的とする。
更に、低温低湿下でも充分な画像濃度が得られ、耐久によっても画質低下の生じないトナー及びその製造方法を提供することを目的とする。
(第二の発明)
上記の目的は、以下の本発明の第二の発明によって達成される。即ち、本発明の第二の発明は、少なくとも結着樹脂を含有する樹脂粒子を0.1乃至30重量%含有する水系溶媒中で超音波照射しながら、水系媒体の温度を樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)より高い温度からガラス転移温度Tg+50℃以下の温度の範囲内に制御することによって樹脂粒子表面に顔料粒子を固着させて得られたトナー粒子を有するトナーであって、該トナーが、
<1>少なくとも結着樹脂及び着色剤としての顔料粒子を含有し、
<2>0.5乃至6.0μmの個数平均粒径を有し、
<3>0.1乃至20%の個数分布の変動係数を有し、
<4>トナー中の顔料粒子のトナー粒子に対する含有量が下記式(1)の関係を満足しており、
<5>トナー粒子表面近傍に対して顔料粒子が80乃至100%固着されて存在することを特徴とするトナー、及び該トナーの製造方法等である。
本発明の第二の発明によれば、微粒径で、且つ粒度分布のシャープであり、現像/転写性に優れ、高画質化を達成し、隠蔽力に優れ、高着色力であり、且つOHP透明性に優れ、更に、低温定着性と耐ブロッキング性を同時に満足するトナーが提供される。更に、顔料や無機粒子を効率的にトナー表面に固着でき、隠蔽力があり、高着色力であるトナーを良好に製造し得るトナー製造方法が提供される。
以下、本発明の第一の発明の好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
本発明者らは、上記した従来技術の課題について鋭意検討の結果、トナー粒子の母体となる樹脂粒子表面に微粒子を強固に且つ均一に固着させる方法として、微粒子を付着させた樹脂粒子を水系媒体中に分散させた後、超音波照射を行いながら(ただし、剪断力を加えつつ行う場合を除く。)、水系媒体の温度を樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)より高い温度からガラス転移温度Tg+50℃以下の温度の範囲内に制御することが有効であって、このようにしてトナー粒子を構成すれば、種々の機能を有する微粒子を母体である樹脂粒子表面に固着させる場合に、粒子同士が融着したり凝集したり、樹脂粒子中に微粒子が埋没したりすることがなく、樹脂粒子表面に微粒子を均一に且つ確実に固着させることができるため、耐久によっても微粒子の機能を有効に且つ安定して発揮させることができる結果、現像性の低下や転写効率の低下が抑制され、耐久性に優れ、トナー融着等の問題を生じることのない、長期にわたって初期の流動性及び帯電性が保持され、しかも環境変動に対する帯電挙動も安定な、高画質画像を安定して形成することが可能なトナーが得られることを知見して本発明に至った。
本発明のトナーの構成材料としては、これらの中でも、その理論ガラス転移温度(Tg)が30〜90℃を示すものが好ましく用いられる。即ち、ガラス転移温度が30℃未満の樹脂を用いた場合には、室温で樹脂粒子同士が融着を起こして凝集してしまう可能性があり取り扱いが困難であり、一方、Tgの値が90℃を超える樹脂を用いた場合には、トナー画像を定着させる定着工程において多大なエネルギーを必要とする等の問題が生じる。
・超高速ホモジナイザー(商品名、バイオトロン)株式会社池田理化製
・T.K.ホモミキサー 特殊機化工業株式会社製
・超高速万能ホモジナイザー(ビスコトロン)株式会社日音理科器械製作所
・エースホモジナイザー 日本精機製作所
・マルチディスパーザー 三田村理研工業株式会社
又、撹拌翼とビーズのようなメディアを使用したタイプの分散機としては、サンドミル、アトライター、アイガーモーターミル等、従来使用されているものを挙げることができる。
又、金属酸化物としては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロチウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等を用いることができる。
本発明のトナーに、外添剤を添加する処理は、例えば、ヘンシェルミキサー等を用いて、微粒子が固着されているトナー粒子と、流動化剤や荷電制御剤等の外添剤を混合し、通常の条件で処理すればよい。
<トナーの平均粒径及び粒度分布>
トナーの平均粒径及び粒度分布は、コールターカウンターTA−II型或いはコールターマルチサイザー(コールター社製)等、種々の装置で測定可能であるが、本発明においては、コールターカウンターTA−II型を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)を接続し、使用する電解質溶液は、1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製して用いた。市販の電解質溶液としては、例えば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)を使用することができる。
本発明においては、トナーの摩擦帯電量を下記の方法によって測定した。現像剤担持体上からサンプリングした二成分系現像剤を、底部に500メッシュの導電性スクリーンを装着した金属製の容器に入れた後、吸引機で吸引し、吸引前後の重量差と容器に接続されたコンデンサーに蓄積された電位から摩擦帯電量を求めた。この際、吸引圧を250mmAqとする。摩擦帯電量は、上記で得られた測定値から下記式を用いて算出する。
(上記式中、W1は吸引前の重量であり、W2は吸引後の重量であり、Cはコンデンサーの容量、及びVはコンデンサーに蓄積された電位である。)
以下、本発明の第二の発明の好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
本発明のトナーの特徴は、個数分布において、個数平均粒径が0.5μm乃至6.0μmの範囲にあり、その変動係数が0.1乃至20%の微粒径で且つ非常にシャープな粒度分布を有し、且つ、80乃至100%の顔料粒子がトナー粒子の表面近傍に存在し、更に、トナー中における顔料の含有量が下記式(1)を満足する範囲内の割合で固着していることにある。更に、トナー粒子の表面に顔料粒子を上記の状態で固着させるために、特定温度の水系媒体中で超音波照射しつつ固着させる手段が用いられること特徴とする。
本発明のトナー製造方法は、重合用溶媒に溶解可能で、且つ、該重合用溶媒に重合によって生成する重合体は溶解しない重合性単量体と、上記重合用溶媒に可溶な重合体組成物を重合用溶媒に溶解して重合反応系を調製する工程;重合反応系中から重合体粒子を得る工程;重合体粒子を有する重合反応系中の重合用溶媒を水の割合が90乃至100重量%である水系溶媒に置換し、且つ、重合体粒子が水系溶媒中に0.1乃至30重量%含有されるように調整する工程;顔料粒子を湿潤させる溶媒の存在下で水に分散させて顔料分散液を調製する工程;前記重合体粒子が0.1乃至30重量%分散された水系溶媒中に、上記顔料分散液を加え、重合体粒子表面に顔料粒子を付着させる工程;水系溶媒の温度をトナー粒子のガラス転移温度(Tg)より高い温度からガラス転移温度Tg+50℃の温度範囲に制御しながら超音波照射を行ってトナー粒子を得る工程を有して構成されることを特徴とする。
本発明のトナーは、第1に個数平均粒径が0.5μm乃至6.0μm、好ましくは1.0μm乃至5.0μmであることが重要である。これは、高精細な画像を得るために必要な要件である。即ち、トナーの個数平均粒径が0.5μmよりも小さくなると、ドライパウダーとしての取り扱いが困難になる一方、6μmを超えると、微小ドット潜像を忠実に現像ができなくなってくるために、特に、画像のハイライトの再現性が劣るようになる。
となる。トナー粒子1個の重量をM[g]、比重ρ’[g/m3]として、トナー粒子表面を1個m[g]の顔料粒子で隙間なく覆うとして、n個の顔料粒子が必要とすると、トナー粒子1個に対する顔料粒子n個の合計の含有量[%]は、
と表せる。従って、
と表せる。
となる。よって、
と表せる。
式(5)を式(4)に代入すると、
と表せる。
本発明において用いる重合性単量体としては、具体的には、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン、p−ターシャリーブチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノメチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸エステル類、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの他アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の他、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルエーテル、イソブチルエーテル等のアルキルビニルエーテル類、β−クロルエチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、p−メチルフェニルエーテル、p−クロルフェニルエーテル、p−ブロムフェニルエーテル、p−ニトロフェニルビニルエーテル、p−メトキシフェニルビニルエーテル、ブタジエン等のジエン化合物、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸モノブチル、マレイン酸モノブチル、リン酸含有単量体、具体的には、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート、スルホン酸基含有単量体、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、2−ビニルイミダゾール、N−メチル−2−ビニルイミダゾール、N−ビニルイミダゾールを挙げることができる。これらの単量体は、単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもでき、好ましい特性が得られるような好適な重合体組成となるように適宜に選択して使用することができる。
重合体組成物としては、具体的には、例えば、ポリヒドロキシスチレン、ポリスチレンスルホン酸、ビニルフェノール−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルフェノール−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のポリスチレン誘導体、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリル酸誘導体、ポリメチルビニルエーテル、ポリエチルビニルエーテル、ポリブチルビニルエーテル、ポリイソブチルビニルエーテル等のポリビニルアルキルエーテル誘導体、セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリ酢酸ビニル等のポリ酢酸ビニル誘導体、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリ−2−メチル−2−オキサゾリン等の含窒素ポリマー誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のポリハロゲン化ビニル誘導体、ポリジメチルシロキサン等のシロキサン誘導体、若しくはこれらの共重合体、若しくはこれらの混合物等を挙げることができる。更に好ましくは、重量平均分子量が、3,000以上300,000以下のものを使用すれば、得られるトナーの粒度分布を均一にすることができるので好適である。
この場合の超音波照射に使用する装置としては、例えば、超音波ホモジナイザーが挙げられる。水系溶媒中へ超音波照射することは、キャビテーション等の機構による衝撃的、瞬間的な高圧の働きにより、重合体粒子表面への顔料粒子及び無機粒子の固着を均一にできる点で好ましい。超音波照射によって水系溶媒中に加えられる超音波振動は、一般に用いられる超音波ホモジナイザーによって発生させられるものであれば充分であり、その周波数は20kHz程度であり、その最大出力は分散液に対して300〜600W程度あればよい。
本発明のトナーは、必要によっては、乾燥後、分級操作を行ってもよい。更に、流動性付与のために流動性向上剤を外添処理してもよい。
<分子量分布>
本発明のトナーに含有される樹脂成分、及び本発明で使用する重合用溶媒に可溶な重合体組成物(樹脂成分)の分子量分布は、GPC測定装置(HLC−8120GPC 東ソー(株)社製)を用いて、下記の測定条件で測定した。
(測定条件)
・カラム:TSKgelHM−M(6.0mm×15cm)の2連
・温度:40℃
・溶媒:THF
・流速:0.6ml/min
・検出器:RI
・サンプル濃度:0.1%の試料を10μl
検量線は、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用する。得られた対数曲線(logM)より、分子量極大値を求める。更に、分子量200〜1,000迄の累積曲線から、トナー樹脂中に含まれる極低分子量成分の算出を行う。
本発明のトナーを構成しているトナー粒子の粒径の測定は、平均粒径が1μm以上のトナー粒子についてはレーザースキャン型粒度分布測定装置(CIS−100 GALAI社製)を用いて、0.4μmから60μmの範囲内で測定を行う。測定用の試料は、水100mlに界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)0.2ml加えた溶液に、トナー0.5乃至2mgを加え、超音波分散器で2分間分散した後、マグネットスターラーを入れたキュービックセルに水を8割程度入れ、その中に超音波分散した試料をピペットで1、2滴添加して調製した。これから得られる個数平均粒径(Dn)を求め、更に、Dn及びS.D.(標準偏差)の値をもとに、下記式から変動係数を求めた。
本発明に用いる顔料及び無機粒子の粒径の測定は、走査型電子顕微鏡(FE−SEM S−4500 日立製作所製)を用いて、100,000倍の写真を撮り、その写真をもとに、水平方向フェレ径を0.005μm以上の粒子について累積300個以上になるように測定する。そして、その平均をもって、個数平均粒径とした。
樹脂粒子(重合体粒子)、トナー粒子のガラス転移温度は、DSC測定装置(M−DSC TA−インストルメンツ社製)を用いて測定する。測定試料には、6mgを精秤して用いる。精秤した測定試料をアルミ製パン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲20℃〜200℃の間で、昇温速度4℃/分で常温常湿下で測定を行った。このとき、モジュレーション振幅±0.6℃、周波数1/minで測定する。そして、得られるリバーシングヒートフロー曲線から、ガラス転移温度(Tg)を計算する。計算は、ベースラインと吸熱による曲線の夫々の接線の交点を結ぶ直線の中点を求め、これをTgとする。
トナー粒子表面近傍における顔料粒子の存在状態の測定は、透過型電子顕微鏡で300,000万倍の倍率でトナー粒子の写真を撮り、その写真をもとに顔料粒子の個数を測定し、トナー粒子内の顔料粒子の存在分布を、累計300個以上のトナー粒子について測定することによって得た。具体的には、検体であるトナーをエポキシ樹脂で固めた後、固化物をミクロトーム等のスライサーにて輪切りにし、その中でもトナーの粒径を反映するサイズでスライスされた薄片を用いてトナー粒子の写真撮影を行なった。即ち、輪切りにした際にトナーの中心付近を切った粒子を選択的に見るべく、平均粒径±20%径に入る粒子の切断面をサンプリングし、サンプリングされた300個のトナー粒子の切断面を観察し、トナー粒子の表面に固着している顔料粒子の断面積の総和、及びトナー粒子の表面近傍の断面積を画像処理装置にて測定し、これらの面積比をとり、その値から顔料粒子の存在比率を算出した。尚、スライサーでのトナー粒子切断時にトナーが変形して、例えば、楕円形になってしまった場合には、周囲長を測定し、球形換算からトナー粒径を算出した。
本発明で使用する摩擦帯電量は、下記の方法により測定した。トナーとキャリアとを用いて現像剤化するときに、適当な混合量(2〜15重量%)となるように混合し、ターブラミキサーで180秒混合して測定用試料を調製する。次に、この混合粉体(現像剤)を底部に635メッシュの導電性スクリーンを装着した金属製の容器に入れ、吸引機で吸引し、吸引前後の重量差と容器に接続されたコンデンサーに蓄積された電位から摩擦帯電量を求める。この際、吸引圧を250mmAqとする。この方法によって、摩擦帯電量(Q)を下記式を用いて算出する。
(上記式中、W1は吸引前の重量であり、W2は吸引後の重量であり、Cはコンデンサーの容量、及びVはコンデンサーに蓄積された電位である。)
(第一の発明)
<実施例1>
[樹脂粒子の製造]
・プロポキシ化ビスフェノールとフマル酸を縮合して得られたポリエステル樹脂
(重量平均分子量Mw:11,000、ガラス転移温度(Tg):56℃)
100部
・フタロシアニン顔料 4部
・ジ−tert−ブチルサリチル酸のクロム錯塩 2部
上記組成をヘンシェルミキサーによって充分に予備混合し、3本ロールミルで少なくとも2回以上溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて約1〜2mm程度に粗粉砕し、次いで、エアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。更に、得られた微粉砕物を多段割分級機によって分級を行い、重量平均粒径8.3μmの樹脂粒子を得た。
次に、水/メタノール=50/50の水系媒体1kg中に、上記で得られたシリカが表面に付着している樹脂粒子(以下、シリカ微粒子付着樹脂粒子と呼ぶ)100gを分散させた。この分散液の温度は45℃であった。次に、超音波ホモジナイザー(日本精機社製:US−600T)を用いて処理しながら、ウォーターバスによって水系分散液を75℃になるように加熱した。液温が75℃になったところで10分間保持し処理を終了した。
次に、上記樹脂粒子分散液を減圧ろ過した後、真空乾燥を行ってシアントナーを得た。得られたシアントナーを走査型電子顕微鏡(FE−SEM)で観察したところ、樹脂粒子表面にシリカ微粒子の表面が一部露出する形で均一に埋め込まれた状態にあることが判明した。
その結果、初期から2万枚まで画像濃度が1.45〜1.55と安定で、且つカブリも全くなく、細線再現性に優れた画像が得られた。更に、クリーニング不良も発生せず、又、ドラムから紙へのトナーの転写効率を測定したところ、初期95%であり、2万枚耐久時では93%と高く、転写効率の低下も認められなかった。又、耐久試験におけるトナーの摩擦帯電量の変化について測定したところ、初期は−27.5(mC/kg)であり、2万枚後は−29.2(mC/kg)であり、安定していた。
超音波ホモジナイザーでシリカ微粒子付着樹脂粒子を処理して固着処理しないこと以外は実施例1と同様にしてトナーを作製した。そして、これを用いて、実施例1と同様にして二成分系現像剤を調製し、実施例1と同様にして複写耐久試験を行った。その結果、初期におけるトナーの帯電量が−65(mC/kg)と高く、画像濃度が0.9と低かった。又、耐久枚数2万枚時では、トナーの帯電量は−15(mC/kg)と低下しており、画像濃度が1.9とかなり高くなっていた。又、トナー飛散による画像汚れが発生していた。2万枚耐久後の現像剤の状態を走査型電子顕微鏡で観察したところ、キャリア表面に、シリカの付着がかなり認められた。又、ドラムから紙へのトナーの転写効率を測定したところ、初期が80%であり、2万枚耐久時では75%であり、実施例のトナーの場合と比べて低かった。
実施例1と同様にして樹脂粒子を作製した。次に、平均粒径50nmのシリカ微粒子4重量部を前記樹脂粒子100重量部に対して混合した後、ハイブリダイザー(奈良機械製作所製)によって5,000rpmの回転速度で1分間の処理を行ないトナーとした。得られたトナーの表面を走査型電子顕微鏡(FE−SEM)で観察したところ、樹脂粒子表面にシリカ微粒子が埋め込まれており、又、樹脂粒子表面にかなり凹凸が生じていることが判明した。次に、このトナーを用いて実施例1と同様にして現像剤を作製し、複写耐久試験を行った。
その結果、耐久初期から画像濃度が1.1と低く、又、ガサツキやカブリが目立った。この時のドラムから紙へのトナーの転写効率を測定したところ、70%と低かった。又、耐久枚数3,000枚時にドラムへのトナー融着によって生じたスジが画像上に発生したため、耐久試験を中止した。
イオン交換水709重量部に0.1M−Na3PO4水溶液451重量部を投入した後、該溶液を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて12,000rpmの回転速度にて撹拌した。これに1.0M−CaCl2の水溶液67.7重量部を徐々に添加して、微細なCa3(PO4)2を含む分散媒体を得た。
・2エチルヘキシルアクリレート 30重量部
・パラフィンワックス(m.p.75℃) 10重量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 10重量部
・スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体(Mw=5.1万、
Mw/Mn=3.0、酸価70) 10重量部
・ジ−tert−ブチルサリチル酸金属化合物 3重量部
一方、先ず、上記材料のうち、C.I.ピグメントブルー15:3とジ−tert−ブチルサリチル酸金属化合物とスチレンだけをエバラマイルダー(荏原製作所製)を用いて予備混合し、次に、他の材料を加えて上記材料の全てを60℃に加温し、溶解、分散して重合性単量体を含む混合物を調製した。更に、60℃に保持しながら、重合性開始剤ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート10重量部を加えて溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
更に、重合反応終了後、反応系を冷却し、5Nの塩酸27重量部を加えてパドル撹拌翼で更に2時間撹拌し、Ca3(PO4)2を溶解した後、濾過、水洗を数回繰り返し、最後に乾燥することによって懸濁重合法による樹脂粒子を得た。得られた樹脂粒子について、その粒径をコールターカウンターで測定したところ重量平均径は8.3μmであった。又、樹脂のガラス転移温度は62℃であった。
その結果、初期から2万枚まで画像濃度1.50〜1.65と安定で、且つカブリも全くなく、細線再現性に優れた画像が得られた。又、トナーの帯電量を測定したところ、初期は−35(mC/kg)であり、2万枚耐久後でも−32(mC/kg)と安定していた。更に、耐久試験中はクリーニング不良も発生せず、又、ドラムから紙へのトナー画像の転写効率を測定したところ、初期99%、2万枚耐久時では96%と高く、転写効率の低下も認められなかった。
サンドミルでシリカ微粒子付着樹脂粒子を処理しないこと以外は参考例2と同様にして2成分系現像剤を作製し、同様に複写耐久試験を行った。その結果、初期においてはトナーの帯電量が−55(mC/kg)と高く、画像濃度が1.1と低かった。又、耐久枚数2万枚時では反射画像濃度が1.8となり、トナー飛散による画像汚れが発生した。この状態の現像剤を走査型電子顕微鏡で観察したところ、キャリア表面にシリカ微粒子がかなり付着しているが認められた。又、耐久2万枚時のトナーの帯電量を測定したところ、−17(mC/kg)と低下していた。又、ドラムから紙へのトナーの転写効率を測定したところ、初期92%であったのに対して、2万枚耐久時では78%と低下していた。
参考例2で得られたトナーに、トナー粒子100重量部に対して0.3重量部のヘキサメチルジシラザンで処理したシリカ微粒子(摩擦帯電量−50mC/kg、BET比表面積230m2/g)を混合した後、ヘンシェルミキサーで撹拌してトナーを得た。
得られたトナーを参考例2と同様にして評価したところ、初期から2万枚まで画像濃度が1.43〜1.52と安定で、且つカブリも全くなく、細線再現性に優れた画像が得られた。又、クリーニング不良の発生も認められなかった。又、ドラムから紙へのトナーの転写効率を測定したところ、初期98%であり、2万枚耐久時では95%と高く、転写効率の低下も認められなかった。又、耐久試験中のトナーの摩擦帯電量を測定したところ初期は、−27.5(mC/kg)であり、2万枚後でも−28.2(mC/kg)と安定していた。
参考例2と同様にして得られた樹脂粒子200重量部に対して、銅フタロシアニン顔料(平均粒径0.1μm)8重量部と、荷電制御剤(ジ−tert−ブチルサリチル酸錯塩)2重量部、及び疎水性シリカ(平均粒径15nm)2重量部を混合した後、3Lのヘンシェルミキサーを用いて4500rpmで10分間撹拌した。次に、得られた樹脂粒子を水/メタノール=40/60の混合溶体中に分散した後、ヒーターで溶液の温度を80℃に加熱し、次いでφ=1mmのガラスビーズを用いたサンドミルを用いて80℃を保持しながら、3,000rpmにて15分間処理を行なった後、樹脂粒子をろ別、真空乾燥してシアントナーとした。サンドミル処理後の、顔料、荷電制御剤及びシリカが固着している樹脂粒子の表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、顔料、荷電制御剤及びシリカが樹脂粒子に均一に固着しており、特に、顔料の一部が樹脂粒子の表面から露出した状態で固着されていることが判明した。
参考例2と同様にして得られた樹脂粒子200重量部に対して、銅フタロシアニン顔料(平均粒径0.1μm)8重量部と、荷電制御剤(ジ−tert−ブチルサリチル酸錯塩)2重量部、疎水性シリカ(平均粒径15nm)2重量部を混合した後、3Lのヘンシェルミキサーを用いて4,500rpmで10分間撹拌した。次に、得られた樹脂粒子を水/メタノール=40/60の混合溶体中に分散した後、ヒーターで溶液の温度を75℃に加熱し、T.K.ホモミキサーM型(特殊機化工業株式会社製:高剪断力乳化分散機)を用い、タービンの回転数を毎分10,000回転(撹拌翼先端の周速約13.1m/sec)で撹拌しながら、同時に超音波ホモジナイザーを用いて10分間処理を行なった後、樹脂粒子をろ別、真空乾燥してシアントナーとした。超音波ホモジナイザーによる処理後の、顔料、荷電制御剤及びシリカの固着樹脂粒子の表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、顔料、荷電制御剤及びシリカが樹脂粒子に均一に固着しており、特に顔料の一部が樹脂粒子の表面から露出した状態で固着されていることが判明した。
その結果、初期から2万枚まで画像濃度1.45〜1.52と安定で、且つカブリも全くなく、細線再現性に優れた画像が得られた。又、トナーの帯電量を測定したところ、初期は、−33(mC/kg)であり、2万枚耐久後でも−30(mC/kg)と安定していた。更に、耐久試験中はクリーニング不良も発生せず、又、ドラムから紙へのトナーの転写効率を測定したところ、初期98%、2万枚耐久時では96%と高く、転写効率の低下も認められなかった。
イオン交換水709重量部に0.1M−Na3PO4水溶液451重量部を投入し60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて12,000rpmにて撹拌した。これに1.0M−CaCl2水溶液67.7重量部を徐々に添加し、Ca3(PO4)2を含む水系分散媒体を得た。
・2エチルヘキシルアクリレート 30重量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 10重量部
・スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体(Mw=5.1万、
Mw/Mn=3.0、酸価70) 10重量部
一方、先ず、上記材料のうち、C.I.ピグメントブルー15:3とジ−tert−ブチルサリチル酸金属化合物とスチレンだけをエバラマイルダー(荏原製作所製)を用いて予備混合を行った。次に、上記材料の全てを60℃に加温し、溶解、分散して重合性単量体を含む混合物を調製した。更に、60℃に保持しながら、重合性開始剤ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート10重量部を加えて溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
重合反応終了後、反応系を冷却し、5Nの塩酸27重量部を加えてパドル撹拌翼で更に2時間撹拌し、Ca3(PO4)2を溶解した後、濾過、水洗を数回繰り返して、最後に乾燥することにより、懸濁重合法による樹脂粒子を得た。粒径をコールターカウンターで測定したところ、重量平均径8.1μmであり、又、樹脂のガラス転移温度は62℃であった。
その結果、初期から2万枚まで画像濃度1.50〜1.65と安定で、且つカブリも全くなく、細線再現性に優れた画像が得られた。又、耐久試験中のトナーの摩擦帯電量を測定したところ初期は、−26.5(mC/kg)であり、2万枚後でも−24.7(mC/kg)と安定していた。更に、クリーニング不良も発生せず、又、ドラムから紙へのトナーの転写効率を測定したところ、初期99%であり、2万枚耐久時では94%と高く、転写効率の低下も認められなかった。
参考例2と同様にして懸濁重合により作製した樹脂粒子に、TiO2微粉体(T−805:日本アエロジル社製)3重量%をヘンシェルミキサーで外添して付着させた後、水/メタノール=50/50の混合媒体中に分散した。次に、この樹脂粒子分散溶液をヒーターで溶液の温度を75℃に加熱してアイガーモーターミル(アイガージャパン社製)を用いて10分間処理を行ない、ろ別、真空乾燥してトナーを得た。得られたトナーを走査型電子顕微鏡(FE−SEM)で表面観察したところ、TiO2微粒子が樹脂粒子の上に、均一に且つ一部表面を露出した状態で埋め込まれていることが判明した。
又、このトナー5重量部と、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体で表面被覆した平均粒径45μmのCu−Zn−Fe系フェライトキャリア95重量部とを混合し、2成分系現像剤とした。
この現像剤を用いて、常温常湿(23℃/60%)環境下でカラー複写機(カラーレーザーコピア500、キヤノン社製)の改造機を用いて2万枚の複写耐久試験を行った。
参考例2と同様にして懸濁重合により作製した樹脂粒子に、Al2O3微粉体(BET比表面積100m2/g)3重量%をヘンシェルミキサーで外添して付着させた後、水/メタノール=50/50の混合媒体中に分散した。次に、この樹脂粒子分散溶液をヒーターで溶液の温度を70℃に加熱してナノマイザー(ナノマイザー社製)を用いて処理を行ない、樹脂粒子をろ別、真空乾燥してトナーを得た。得られたトナーを走査型電子顕微鏡(FE−SEM)で表面観察したところ、Al2O3微粉体が樹脂粒子の上に、均一に且つ一部表面を露出した状態で埋め込まれていることが判明した。
参考例2と同様にして懸濁重合により作製した樹脂粒子に、TiO2微粉体(T−805:日本アエロジル社製)3重量%をヘンシェルミキサーで外添して付着させた後、水/メタノール=40/60の混合媒体中に分散した。次に、この樹脂粒子分散溶液を、ヒーターで溶液の温度を70℃に加熱しながら溶媒中にホモジナイザーと超音波プローブ(日本精機社製)を浸漬して5分間処理を行ない、樹脂粒子をろ別、真空乾燥してトナーを得た。得られたトナーを走査型電子顕微鏡(FE−SEM)で表面観察したところ、TiO2微粉体が樹脂粒子の上に均一に且つ一部表面を露出した状態で埋め込まれていることが判明した。
以下、本発明の第二の発明について、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳細に説明する。尚、本発明は実施例によって何ら制限されるものではない。
<実施例I>
・メタノール 270重量部
・ポリビニルピロリドン 22重量部
・スチレン 78重量部
・n−ブチルアクリレート 22重量部
・2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 5重量部
更に、トナーの樹脂成分の重量平均分子量分布を測定したところ、ピーク値(Mp)は21,000であり、分子量200乃至1,000の範囲の成分はトナー中0.2重量%であった。又、トナー粒子を透過型電子顕微鏡により観察し、顔料粒子の存在状態を測定したところ、粒子表面に98%存在することが判明した。
得られたトナー粒子の物性を表Iに示した。
上記で得られたトナー5gをポリカップに入れ、45℃及び50℃の条件下でブロッキング試験を行った。ブロッキング試験は、熱風式オーブンを所定の温度にセットし、その中で2日間放置した後、ポリカップを傾けて、その流動性を目視で観察し、下記の基準で評価した。
(評価基準)
A:さらさらとして、非常に良好
B:15°傾けて流動しないが、ポリカップの底を床にあてるとショックによりさらさらの状態に戻り、良好
C:ショックによりぼそぼそした流動を示すが、実用上問題なし
D:ショックにより流動はするが、部分的に固まっている
E:全てが固まっている、不可
上記で得た本実施例のトナー6重量部に対して、平均粒径が35μmのフェライトコアにシリコーン樹脂コートしたキャリアを94重量部加えてポリ瓶に入れ、ターブラーミキサーで混合撹拌して二成分系現像剤を得た。得られた二成分系現像剤について帯電量測定を行ったところ、−40.5mC/kgであった。
キヤノン製フルカラーレーザーコピア複写機CLC−700改造機に、上記で得た二成分系現像剤を入れ、ベタ画像及び極小スポットによるハーフトーン画像の形成を行い、画像評価を行った。上記改造機は、現像装置の現像剤担持体表面粗さをRz=10になるようにマット化し、更に、ハーフトーン再現性を緻密に評価するために、通常のレーザースポット径を20%絞ったものである。ハーフトーンの画質評価は、転写紙(キヤノン製カラーレーザーコピア用紙)上に形成された画像により行った。
極小スポットにより形成されるハーフトーンの再現性の評価については、1画素内でのレーザーのパルス幅変調(PWM)による多値記録により、極小スポット(400dpi)に対するトナーの再現性について転写紙上表面を顕微鏡観で観察することによって行ない、以下の評価基準に基づいて評価した。この結果、ハーフトーンのドット再現性は、非常に良好であった。
A:ドットの乱れがなく、極小ドットまで再現でき、非常に良好
B:飛び散りはなく、ドット形状はややばらつきであるが、良好
C:飛び散りが見られ、ドット形状にばらつきがあるが、ドット形成されており実用上問題なし
D:飛び散りが見られ、ドット形状のばらつきが顕著で、一部ドット形成されていない
E:ドット形成が殆どなされず、又は飛び散りがひどい
これらの結果を表IIに示した。
ベタ画像の画像濃度は、トナーのり量0.5mg/cm2の単色ベタ画像で光沢度を10〜15になるように定着温度を調整した画像について反射濃度計RD918(マクベス社製)により測定した。この結果、ベタ画像の画像濃度(Dmax)は、1.44と高く、均一なベタ画像であった。
又、OHP画像の透過性を調べたところ非常に透明性のよい画像であった。評価方法及び評価基準は下記のようにした。
透過率の測定は、島津自記分光光度計UV2200(島津製作所製)を使用し、OHPフィルムの単独の透過率を100%とし、単位面積あたりのトナー重量1.0mg/cm2のときのOHPの透過率をマゼンタトナーの場合(650nm)、イエロートナーの場合(500nm)、シアントナーの場合(600nm)で測定する。
A:60%以上
B:55%以上60%未満
C:50%以上55%未満
D:50%未満
更に、CLC−500と同じ構成を有する外部定着器による定着試験を行った。ローラーの直径は60mmであり、プロセススピードは0.16m/secで行った。定着試験は、A4サイズの転写紙上に長手方向に紙端から50mm余白を空けて幅20mm、長さ100mmのベタ画像出力した短冊を作り、得られた未定着画像の定着を、外部定着器の上部ローラーの温度をモニターしながら短冊の長さ方向に沿ってローラーを通過させることによって行ない、短冊の後部にオフセットが見られるか否かで定着性を判断した。定着性は、10℃毎に温度を上げていき、オフセットが発生しなくなる温度を求め、更に、その温度よりも−10℃低い温度から、1℃毎に温度を上げていって上記と同じようにして定着試験を行い、定着開始温度を求めた。その結果、131℃であれば、良好な定着性が得られることがわかった。
実施例Iで用いた樹脂粒子分が20%分散含有されている水分散スラリー液を用い、アントラキノン顔料(比表面積:80m2/g)7.0重量部、疎水性シリカ(比表面積=300m2/g)2.0重量部、カチオン系界面活性剤0.015重量部とを予めアトライターにより2時間混合した顔料分散液を先のスラリー液に入れ、これを実施例Iと同様にして超音波ホモジナイザーで撹拌しながら分散液の温度を90℃に加熱して1時間処理を行って、顔料粒子とシリカ粒子を樹脂粒子表面に固着させてトナー粒子を調製した。
得られたイエロー系トナー粒子の個数平均粒径は、3.20μmであり、その変動係数は12.1%であった。又、トナー粒子のTgは、樹脂粒子と同じく61℃であった。走査電子顕微鏡観察の結果、顔料粒子及びシリカ粒子の固着処理前後の粒子の合一は見られず、実施例Iと同様に、トナーとした場合にも粒度分布は殆ど変わらなかった。
又、トナーの樹脂成分の重量平均分子量分布を測定したところ、ピーク値(Mp)は20,900であり、トナー中の分子量200乃至1,000の範囲の成分は0.2重量%であった。
実施例Iで用いたと同様の樹脂粒子が20%含有されている水分散スラリー液を用い、個数平均粒子径0.036μmのカーボンブラック(比表面積:150m2/g)を7.0重量部、疎水性シリカ(比表面積:300m2/g)2.0重量部、ノニオン性界面活性剤0.014重量部を予めアトライターにより2時間混合したものを先のスラリー液に入れ、これを実施例Iと同様にして超音波ホモジナイザーで撹拌した後、アトライターに入れ、3分間処理したものを先の樹脂粒子分散スラリー液に入れ、次に超音波ホモジナイザーで撹拌しながら、分散液を加熱し、85℃で1時間処理を行って、カーボンブラックとシリカ粒子を樹脂粒子表面に固着させてトナー粒子を調製した。
又、得られたトナーの樹脂成分の重量平均分子量分布を測定したところ、ピーク値(Mp)は21,000であり、分子量200乃至1,000の範囲の成分はトナー中0.2重量%であった。又、トナー粒子を透過型電子顕微鏡により観察し、カーボン粒子の存在状態を測定したところ、粒子表面に99%存在することが判明した。
・メタノール 280重量部
・ポリヒドロキシスチレン 20重量部
・スチレン 78重量部
・n−ブチルアクリレート 22重量部
・2,2’−アゾビスイソバレロニトリル 6.0重量部
冷化工業製膜乳化POEMシステムを用いてエマルション粒子を作り、それを重合させた。その際、分散層及び連続層を隔離する多孔質体として細孔径0.8μmの分相ガラス多孔質体(表面はシラノール基)を用いた。又、分散層及び連続層として下記のものを用いた。
(分散相)
・スチレン 85重量部
・n−ブチルアクリレート 15重量部
・2,2’アゾビスイソバレロニトリル 5.0重量部
(連続相)
・イオン交換水 1000重量部
・ポリビニルアルコール 1重量部
・ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム 0.05重量部
・水 600重量部
・SDS(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム) 1重量部
・ポリアクリル酸 (重量平均分子量(Mw)=48,200) 2重量部
・ポリビニルアルコール(重量平均分子量(Mw)=10,200) 1重量部
・スチレン 80重量部
・n−ブチルアクリレート 20重量部
・2,2’−アゾビスイソバレロニトリル 4.5重量部
得られた樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)を測定したところ、55.0℃であった。実施例Iと同様にして銅フタロシアニン顔料、疎水性シリカ、カチオン性界面活性剤を入れ、超音波ホモジナイザーで撹拌した後、アトライターに入れ、3分間処理した。この時のpHを測定した結果、4.5であった。この中に実施例Iと同様の銅フタロシアニンと疎水性シリカを加え、実施例Iと同様にして超音波照射による固着処理を行った。
得られたトナー粒子の物性を表Iに示し、ブロッキング試験、及び実施例Iと同様にして現像剤化したものの定着試験、画像評価結果を表II示した。
・メタノール 160重量部
・エタノール 130重量部
・ポリビニルピロリドン 40重量部
・スチレン 80重量部
・n−ブチルアクリレート 20重量部
・2,2’−アゾビスイソバレロニトリル 6.0重量部
からなる組成物を反応容器中に投入し、窒素を400ml/minでバブリングしながら溶液を20℃で30分よく混合した。重合開始時の溶存酸素量を測定したところ0.6mg/lであった。次いでオイルバスの温度を78℃にして12時間窒素雰囲気下で重合した。
トナーの樹脂成分の重量平均分子量分布を測定したところ、ピーク値(Mp)は17,300であり、分子量200乃至1,000の範囲の成分はトナー中0.3重量%であった。
その結果、ブロッキング試験は、ほぼ良好であった。実施例Iとトナー濃度10%に変える以外は同様にして現像剤化したものの現像剤の帯電量測定は、−22.4mC/kgであった。定着試験は、定着温度132℃で良好であった。しかし、ベタ画像の画像濃度1.52と高かったが、ハーフトーンのドット再現性が実施例Iに比較して劣っていた。
以上説明したように、本発明の第二の発明によれば、微粒径で、且つ粒度分布のシャープであり、現像/転写性に優れ、高画質化を達成し、隠蔽力に優れ、高着色力であり、且つOHP透明性に優れ、更に、低温定着性と耐ブロッキング性を同時に満足するトナーが提供される。更に、顔料や無機粒子を効率的にトナー表面に固着でき、隠蔽力があり、高着色力であるトナーを良好に製造し得るトナー製造方法が提供される。
Claims (16)
- 樹脂粒子表面に微粒子が均一に固着したトナー粒子を有するトナーにおいて、該トナー粒子が、表面上に微粒子が付着された樹脂粒子を水系媒体中に分散させた後、超音波照射を行いながら(ただし、剪断力を加えつつ行う場合を除く。)水系媒体の温度を樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)より高い温度からガラス転移温度Tg+50℃以下の温度の範囲内に制御することによって樹脂粒子表面に微粒子を固着させて得られたものであることを特徴とするトナー。
- 微粒子が、顔料、荷電制御剤及び金属酸化物の群の中から選ばれた少なくとも一以上の微粒子である請求項1に記載のトナー。
- 少なくとも結着樹脂を含有する樹脂粒子を0.1乃至30重量%含有する水系溶媒中で超音波照射しながら、水系媒体の温度を樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)より高い温度からガラス転移温度Tg+50℃以下の温度の範囲内に制御することによって樹脂粒子表面に顔料粒子を固着させて得られたトナー粒子を有するトナーであって、該トナーが、
<1>少なくとも結着樹脂及び着色剤としての顔料粒子を含有し、
<2>0.5乃至6.0μmの個数平均粒径を有し、
<3>0.1乃至20%の個数分布の変動係数を有し、
<4>トナー中の顔料粒子のトナー粒子に対する含有量が下記式(1)の関係を満足しており、
<5>トナー粒子表面近傍に対して顔料粒子が80乃至100%固着されて存在する請求項1又は2に記載のトナー。
- 無機粒子が、疎水性シリカ粒子、疎水性アルミナ粒子又は疎水性酸化チタン粒子から選択される請求項4に記載のトナー。
- トナーを構成するための樹脂粒子が0.1乃至30重量%含有されている水系溶媒中に顔料粒子がノニオン系界面活性剤及びアニオン又はカチオン系界面活性剤によって分散される工程、及び、超音波照射しながら水系溶媒の温度を上記樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)より高い温度からガラス転移温度Tg+50℃の温度範囲内に制御する工程を経て、樹脂粒子表面に顔料粒子を固着させて得られたトナー粒子を有するトナーであって、該トナーが、
<1>少なくとも結着樹脂及び着色剤としての顔料粒子を含有し、
<2>0.5乃至6.0μmの個数平均粒径を有し、
<3>0.1乃至20%の個数分布の変動係数を有し、
<4>トナーに含有される樹脂成分のGPCによるポリスチレン換算の分子量分布において、分子量2,000乃至100,000の範囲に極大値(Mp)を有し、
<5>トナーに含有される樹脂成分のGPCによるポリスチレン換算の分子量分布において、分子量200乃至1,000の成分を0乃至2重量%含有する請求項1又は2に記載のトナー。 - 無機粒子が、疎水性シリカ粒子、疎水性アルミナ粒子又は疎水性酸化チタン粒子から選択される請求項7に記載のトナー。
- 樹脂粒子表面上に微粒子を付着させた後、該樹脂粒子を水系媒体中に分散させ、超音波照射を行いながら(ただし、剪断力を加えつつ行う場合を除く。)水系媒体の温度を樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)より高い温度からガラス転移温度Tg+50℃以下の温度の範囲内に制御することによって樹脂粒子表面上の微粒子を固着させてトナーを構成するトナー粒子を作製することを特徴とするトナーの製造方法。
- 微粒子が、顔料、荷電制御剤及び金属酸化物の群の中から選ばれた少なくとも一以上の微粒子である請求項9に記載のトナーの製造方法。
- <1>少なくとも結着樹脂及び着色剤としての顔料粒子を含有し、
<2>0.5乃至6.0μmの個数平均粒径を有し、
<3>0.1乃至20%の個数分布の変動係数を有し、
<4>トナー中の顔料粒子のトナー粒子に対する含有量が下記式(1)の関係を満足しており、
<5>トナー粒子表面近傍に対して顔料粒子が80乃至100%固着されて存在するトナーを製造するトナーの製造方法であり、
重合用溶媒に溶解可能で、且つ、該重合用溶媒に重合によって生成する重合体は溶解しない重合性単量体と、上記重合用溶媒に可溶な重合体組成物を重合用溶媒に溶解して重合反応系を調製する工程;
重合反応系中で重合性単量体を重合して重合体粒子を生成する工程;
重合体粒子を有する重合反応系中の重合用溶媒を水の割合が90乃至100重量%である水系溶媒に置換し、且つ、重合体粒子が水系溶媒中に0.1乃至30重量%含有されるように調整する工程;
顔料粒子を湿潤させる溶媒の存在下で水に分散させて顔料分散液を調製する工程;
前記重合体粒子が0.1乃至30重量%分散された水系溶媒中に、上記顔料分散液を加え、重合体粒子表面に顔料粒子を付着させる工程;
水系溶媒の温度をトナー粒子のガラス転移温度(Tg)より高い温度からガラス転移温度Tg+50℃の温度範囲に制御しながら超音波照射を行って重合体粒子表面に顔料粒子を固着させてトナー粒子を得る工程;を有する請求項9又は10に記載のトナーの製造方法。
- 無機粒子が、疎水性シリカ粒子、疎水性アルミナ粒子又は疎水性酸化チタン粒子から選択される請求項12に記載のトナーの製造方法。
- <1>少なくとも結着樹脂及び着色剤としての顔料粒子を含有し、
<2>0.5乃至6.0μmの個数平均粒径を有し、
<3>0.1乃至20%の個数分布の変動係数を有し、
<4>トナーに含有される樹脂成分のGPCによるポリスチレン換算の分子量分布において、分子量2,000乃至100,000の範囲に極大値(Mp)を有し、
<5>トナーに含有される樹脂成分のGPCによるポリスチレン換算の分子量分布において、分子量200乃至1,000の成分を0乃至2重量%含有するトナーを製造するトナーの製造方法において、
トナーを形成する樹脂粒子を0.1乃至30重量%含有する水系溶媒中にノニオン系界面活性剤及びアニオン又はカチオン系界面活性剤により顔料粒子を分散させる工程、及び、超音波照射しながら水系溶媒の温度を樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)より高い温度からガラス転移温度Tg+50℃の温度範囲に制御することによって樹脂粒子表面に顔料粒子を固着させてトナー粒子を得る工程を有する請求項9又は10に記載のトナーの製造方法。 - 無機粒子が、疎水性シリカ粒子、疎水性アルミナ粒子又は疎水性酸化チタン粒子から選択される請求項15に記載のトナーの製造方法。
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CN104252106A (zh) * | 2014-09-18 | 2014-12-31 | 南京理工大学 | 一种采用原位细乳液聚合及静电凝聚制备的彩色墨粉及其方法 |
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