JP4388105B2 - トナー及びその製造方法 - Google Patents
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Description
即ち、本発明は、画像の高画質化を図るために、高い隠蔽力を有し、高着色力である微粒径且つ粒度分布がシャープなトナー及びその製造方法を提供することを目的とする。
更に、省電力化に鑑み、耐ブロッキング性を満足し、且つ、低温定着可能なトナー及びその製造方法を提供することを目的とする。
更に、低温低湿下でも充分な画像濃度が得られ、耐久によっても画質低下の生じないトナー及びその製造方法を提供することを目的とする。
<1>0.5乃至6.0μmの個数平均粒径を有し、
<2>0.1乃至20%の個数分布の変動係数を有し、
<3>トナー中の顔料微粒子のトナー粒子に対する含有量が下記式(1)の関係を満足しており、
<4>トナー粒子表面近傍に対して該顔料微粒子が80乃至100%固着されていることを特徴とするトナー、及び該トナーの製造方法である。
本発明のトナーの特徴は、個数分布において、個数平均粒径が0.5μm乃至6.0μmの範囲にあり、その変動係数が0.1乃至20%の微粒径で且つ非常にシャープな粒度分布を有し、且つ、80乃至100%の顔料微粒子がトナー粒子の表面近傍に存在し、更に、トナー中における顔料の含有量が下記式(1)を満足する範囲内の割合で固着していることにある。更に、樹脂粒子からなるトナー粒子の表面に顔料微粒子を上記の状態で固着させるために、特定温度の水系媒体中で超音波照射しつつ固着させる手段が用いられることを特徴とする。
本発明のトナー製造方法は、重合用溶媒に溶解可能で、且つ、該重合用溶媒に重合によって生成する重合体は溶解しない重合性単量体と、上記重合用溶媒に可溶な重合体組成物を重合用溶媒に溶解して重合反応系を調製する工程;重合反応系中から重合体粒子を得る工程;重合体粒子を有する重合反応系中の重合用溶媒を水の割合が90乃至100重量%である水系溶媒に置換し、且つ、重合体粒子が水系溶媒中に0.1乃至30重量%含有されるように調整する工程;顔料微粒子を湿潤させる溶媒の存在下で水に分散させて顔料分散液を調製する工程;前記重合体粒子が0.1乃至30重量%分散された水系溶媒中に、上記顔料分散液を加え、重合体粒子表面に顔料微粒子を付着させる工程;水系溶媒の温度をトナー粒子のガラス転移温度(Tg)より高い温度からガラス転移温度Tg+50℃の温度範囲に制御しながら超音波照射を行ってトナー粒子を得る工程を有して構成されることを特徴とする。
本発明のトナーは、第1に個数平均粒径が0.5μm乃至6.0μm、好ましくは1.0μm乃至5.0μmであることが重要である。これは、高精細な画像を得るために必要な要件である。即ち、トナーの個数平均粒径が0.5μmよりも小さくなると、ドライパウダーとしての取り扱いが困難になる一方、6μmを超えると、微小ドット潜像を忠実に現像ができなくなってくるために、特に、画像のハイライトの再現性が劣るようになる。
となる。トナー粒子1個の重量をM[g]、比重ρ’[g/m3]として、トナー粒子表面を1個m[g]の顔料粒子で隙間なく覆うとして、n個の顔料粒子が必要とすると、トナー粒子1個に対する顔料粒子n個の合計の含有量[%]は、
と表せる。従って、
と表せる。
となる。よって、
と表せる。
式(5)を式(4)に代入すると、
と表せる。
本発明において用いる重合性単量体としては、具体的には、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン、p−ターシャリーブチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノメチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸エステル類、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの他アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の他、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルエーテル、イソブチルエーテル等のアルキルビニルエーテル類、β−クロルエチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、p−メチルフェニルエーテル、p−クロルフェニルエーテル、p−ブロムフェニルエーテル、p−ニトロフェニルビニルエーテル、p−メトキシフェニルビニルエーテル、ブタジエン等のジエン化合物、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸モノブチル、マレイン酸モノブチル、リン酸含有単量体、具体的には、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート、スルホン酸基含有単量体、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、2−ビニルイミダゾール、N−メチル−2−ビニルイミダゾール、N−ビニルイミダゾールを挙げることができる。これらの単量体は、単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもでき、好ましい特性が得られるような好適な重合体組成となるように適宜に選択して使用することができる。
重合体組成物としては、具体的には、例えば、ポリヒドロキシスチレン、ポリスチレンスルホン酸、ビニルフェノール−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルフェノール−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のポリスチレン誘導体、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリル酸誘導体、ポリメチルビニルエーテル、ポリエチルビニルエーテル、ポリブチルビニルエーテル、ポリイソブチルビニルエーテル等のポリビニルアルキルエーテル誘導体、セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリ酢酸ビニル等のポリ酢酸ビニル誘導体、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリ−2−メチル−2−オキサゾリン等の含窒素ポリマー誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のポリハロゲン化ビニル誘導体、ポリジメチルシロキサン等のシロキサン誘導体、若しくはこれらの共重合体、若しくはこれらの混合物等を挙げることができる。更に好ましくは、重量平均分子量が、3,000以上300,000以下のものを使用すれば、得られるトナーの粒度分布を均一にすることができるので好適である。
この場合の超音波照射に使用する装置としては、例えば、超音波ホモジナイザーが挙げられる。水系溶媒中へ超音波照射することは、キャビテーション等の機構による衝撃的、瞬間的な高圧の働きにより、重合体粒子表面への顔料粒子及び無機粒子の固着を均一にできる点で好ましい。超音波照射によって水系溶媒中に加えられる超音波振動は、一般に用いられる超音波ホモジナイザーによって発生させられるものであれば充分であり、その周波数は20kHz程度であり、その最大出力は分散液に対して300〜600W程度あればよい。
本発明のトナーは、必要によっては、乾燥後、分級操作を行ってもよい。更に、流動性付与のために流動性向上剤を外添処理してもよい。
<分子量分布>
本発明のトナーに含有される樹脂成分、及び本発明で使用する重合用溶媒に可溶な重合体組成物(樹脂成分)の分子量分布は、GPC測定装置(HLC−8120GPC 東ソー(株)社製)を用いて、下記の測定条件で測定した。
(測定条件)
・カラム:TSKgelHM−M(6.0mm×15cm)の2連
・温度:40℃
・溶媒:THF
・流速:0.6ml/min
・検出器:RI
・サンプル濃度:0.1%の試料を10μl
検量線は、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用する。得られた対数曲線(logM)より、分子量極大値を求める。更に、分子量200〜1,000迄の累積曲線から、トナー樹脂中に含まれる極低分子量成分の算出を行う。
本発明のトナーを構成しているトナー粒子の粒径の測定は、平均粒径が1μm以上のトナー粒子についてはレーザースキャン型粒度分布測定装置(CIS−100 GALAI社製)を用いて、0.4μmから60μmの範囲内で測定を行う。測定用の試料は、水100mlに界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)0.2ml加えた溶液に、トナー0.5乃至2mgを加え、超音波分散器で2分間分散した後、マグネットスターラーを入れたキュービックセルに水を8割程度入れ、その中に超音波分散した試料をピペットで1、2滴添加して調製した。これから得られる個数平均粒径(Dn)を求め、更に、Dn及びS.D.(標準偏差)の値をもとに、下記式から変動係数を求めた。
本発明に用いる顔料及び無機粒子の粒径の測定は、走査型電子顕微鏡(FE−SEM S−4500 日立製作所製)を用いて、100,000倍の写真を撮り、その写真をもとに、水平方向フェレ径を0.005μm以上の粒子について累積300個以上になるように測定する。そして、その平均をもって、個数平均粒径とした。
樹脂粒子(重合体粒子)、トナー粒子のガラス転移温度は、DSC測定装置(M−DSC TA−インストルメンツ社製)を用いて測定する。測定試料には、6mgを精秤して用いる。精秤した測定試料をアルミ製パン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲20℃〜200℃の間で、昇温速度4℃/分で常温常湿下で測定を行った。このとき、モジュレーション振幅±0.6℃、周波数1/minで測定する。そして、得られるリバーシングヒートフロー曲線から、ガラス転移温度(Tg)を計算する。計算は、ベースラインと吸熱による曲線の夫々の接線の交点を結ぶ直線の中点を求め、これをTgとする。
トナー粒子表面近傍における顔料粒子の存在状態の測定は、透過型電子顕微鏡で300,000万倍の倍率でトナー粒子の写真を撮り、その写真をもとに顔料粒子の個数を測定し、トナー粒子内の顔料粒子の存在分布を、累計300個以上のトナー粒子について測定することによって得た。具体的には、検体であるトナーをエポキシ樹脂で固めた後、固化物をミクロトーム等のスライサーにて輪切りにし、その中でもトナーの粒径を反映するサイズでスライスされた薄片を用いてトナー粒子の写真撮影を行なった。即ち、輪切りにした際にトナーの中心付近を切った粒子を選択的に見るべく、平均粒径±20%径に入る粒子の切断面をサンプリングし、サンプリングされた300個のトナー粒子の切断面を観察し、トナー粒子の表面に固着している顔料粒子の断面積の総和、及びトナー粒子の表面近傍の断面積を画像処理装置にて測定し、これらの面積比をとり、その値から顔料粒子の存在比率を算出した。尚、スライサーでのトナー粒子切断時にトナーが変形して、例えば、楕円形になってしまった場合には、周囲長を測定し、球形換算からトナー粒径を算出した。
本発明で使用する摩擦帯電量は、下記の方法により測定した。トナーとキャリアとを用いて現像剤化するときに、適当な混合量(2〜15重量%)となるように混合し、ターブラミキサーで180秒混合して測定用試料を調製する。次に、この混合粉体(現像剤)を底部に635メッシュの導電性スクリーンを装着した金属製の容器に入れ、吸引機で吸引し、吸引前後の重量差と容器に接続されたコンデンサーに蓄積された電位から摩擦帯電量を求める。この際、吸引圧を250mmAqとする。この方法によって、摩擦帯電量(Q)を下記式を用いて算出する。
(上記式中、W1は吸引前の重量であり、W2は吸引後の重量であり、Cはコンデンサーの容量、及びVはコンデンサーに蓄積された電位である。)
<実施例I>
・メタノール 270重量部
・ポリビニルピロリドン 22重量部
・スチレン 78重量部
・n−ブチルアクリレート 22重量部
・2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 5重量部
更に、トナーの樹脂成分の重量平均分子量分布を測定したところ、ピーク値(Mp)は21,000であり、分子量200乃至1,000の範囲の成分はトナー中0.2重量%であった。又、トナー粒子を透過型電子顕微鏡により観察し、顔料粒子の存在状態を測定したところ、粒子表面に98%存在することが判明した。
得られたトナー粒子の物性を表Iに示した。
上記で得られたトナー5gをポリカップに入れ、45℃及び50℃の条件下でブロッキング試験を行った。ブロッキング試験は、熱風式オーブンを所定の温度にセットし、その中で2日間放置した後、ポリカップを傾けて、その流動性を目視で観察し、下記の基準で評価した。
(評価基準)
A:さらさらとして、非常に良好
B:15°傾けて流動しないが、ポリカップの底を床にあてるとショックによりさらさらの状態に戻り、良好
C:ショックによりぼそぼそした流動を示すが、実用上問題なし
D:ショックにより流動はするが、部分的に固まっている
E:全てが固まっている、不可
上記で得た本実施例のトナー6重量部に対して、平均粒径が35μmのフェライトコアにシリコーン樹脂コートしたキャリアを94重量部加えてポリ瓶に入れ、ターブラーミキサーで混合撹拌して二成分系現像剤を得た。得られた二成分系現像剤について帯電量測定を行ったところ、−40.5mC/kgであった。
キヤノン製フルカラーレーザーコピア複写機CLC−700改造機に、上記で得た二成分系現像剤を入れ、ベタ画像及び極小スポットによるハーフトーン画像の形成を行い、画像評価を行った。上記改造機は、現像装置の現像剤担持体表面粗さをRz=10になるようにマット化し、更に、ハーフトーン再現性を緻密に評価するために、通常のレーザースポット径を20%絞ったものである。ハーフトーンの画質評価は、転写紙(キヤノン製カラーレーザーコピア用紙)上に形成された画像により行った。
極小スポットにより形成されるハーフトーンの再現性の評価については、1画素内でのレーザーのパルス幅変調(PWM)による多値記録により、極小スポット(400dpi)に対するトナーの再現性について転写紙上表面を顕微鏡観で観察することによって行ない、以下の評価基準に基づいて評価した。この結果、ハーフトーンのドット再現性は、非常に良好であった。
A:ドットの乱れがなく、極小ドットまで再現でき、非常に良好
B:飛び散りはなく、ドット形状はややばらつきであるが、良好
C:飛び散りが見られ、ドット形状にばらつきがあるが、ドット形成されており実用上問題なし
D:飛び散りが見られ、ドット形状のばらつきが顕著で、一部ドット形成されていない
E:ドット形成が殆どなされず、又は飛び散りがひどい
これらの結果を表IIに示した。
ベタ画像の画像濃度は、トナーのり量0.5mg/cm2の単色ベタ画像で光沢度を10〜15になるように定着温度を調整した画像について反射濃度計RD918(マクベス社製)により測定した。この結果、ベタ画像の画像濃度(Dmax)は、1.44と高く、均一なベタ画像であった。
又、OHP画像の透過性を調べたところ非常に透明性のよい画像であった。評価方法及び評価基準は下記のようにした。
透過率の測定は、島津自記分光光度計UV2200(島津製作所製)を使用し、OHPフィルムの単独の透過率を100%とし、単位面積あたりのトナー重量1.0mg/cm2のときのOHPの透過率をマゼンタトナーの場合(650nm)、イエロートナーの場合(500nm)、シアントナーの場合(600nm)で測定する。
A:60%以上
B:55%以上60%未満
C:50%以上55%未満
D:50%未満
更に、CLC−500と同じ構成を有する外部定着器による定着試験を行った。ローラーの直径は60mmであり、プロセススピードは0.16m/secで行った。定着試験は、A4サイズの転写紙上に長手方向に紙端から50mm余白を空けて幅20mm、長さ100mmのベタ画像出力した短冊を作り、得られた未定着画像の定着を、外部定着器の上部ローラーの温度をモニターしながら短冊の長さ方向に沿ってローラーを通過させることによって行ない、短冊の後部にオフセットが見られるか否かで定着性を判断した。定着性は、10℃毎に温度を上げていき、オフセットが発生しなくなる温度を求め、更に、その温度よりも−10℃低い温度から、1℃毎に温度を上げていって上記と同じようにして定着試験を行い、定着開始温度を求めた。その結果、131℃であれば、良好な定着性が得られることがわかった。
実施例Iで用いた樹脂粒子分が20%分散含有されている水分散スラリー液を用い、アントラキノン顔料(比表面積:80m2/g)7.0重量部、疎水性シリカ(比表面積=300m2/g)2.0重量部、カチオン系界面活性剤0.015重量部とを予めアトライターにより2時間混合した顔料分散液を先のスラリー液に入れ、これを実施例Iと同様にして超音波ホモジナイザーで撹拌しながら分散液の温度を90℃に加熱して1時間処理を行って、顔料粒子とシリカ粒子を樹脂粒子表面に固着させてトナー粒子を調製した。
得られたイエロー系トナー粒子の個数平均粒径は、3.20μmであり、その変動係数は12.1%であった。又、トナー粒子のTgは、樹脂粒子と同じく61℃であった。走査電子顕微鏡観察の結果、顔料粒子及びシリカ粒子の固着処理前後の粒子の合一は見られず、実施例Iと同様に、トナーとした場合にも粒度分布は殆ど変わらなかった。
又、トナーの樹脂成分の重量平均分子量分布を測定したところ、ピーク値(Mp)は20,900であり、トナー中の分子量200乃至1,000の範囲の成分は0.2重量%であった。
実施例Iで用いたと同様の樹脂粒子が20%含有されている水分散スラリー液を用い、個数平均粒子径0.036μmのカーボンブラック(比表面積:150m2/g)を7.0重量部、疎水性シリカ(比表面積:300m2/g)2.0重量部、ノニオン性界面活性剤0.014重量部を予めアトライターにより2時間混合したものを先のスラリー液に入れ、これを実施例Iと同様にして超音波ホモジナイザーで撹拌した後、アトライターに入れ、3分間処理したものを先の樹脂粒子分散スラリー液に入れ、次に超音波ホモジナイザーで撹拌しながら、分散液を加熱し、85℃で1時間処理を行って、カーボンブラックとシリカ粒子を樹脂粒子表面に固着させてトナー粒子を調製した。
又、得られたトナーの樹脂成分の重量平均分子量分布を測定したところ、ピーク値(Mp)は21,000であり、分子量200乃至1,000の範囲の成分はトナー中0.2重量%であった。又、トナー粒子を透過型電子顕微鏡により観察し、カーボン粒子の存在状態を測定したところ、粒子表面に99%存在することが判明した。
・メタノール 280重量部
・ポリヒドロキシスチレン 20重量部
・スチレン 78重量部
・n−ブチルアクリレート 22重量部
・2,2’−アゾビスイソバレロニトリル 6.0重量部
冷化工業製膜乳化POEMシステムを用いてエマルション粒子を作り、それを重合させた。その際、分散層及び連続層を隔離する多孔質体として細孔径0.8μmの分相ガラス多孔質体(表面はシラノール基)を用いた。又、分散層及び連続層として下記のものを用いた。
(分散相)
・スチレン 85重量部
・n−ブチルアクリレート 15重量部
・2,2’アゾビスイソバレロニトリル 5.0重量部
(連続相)
・イオン交換水 1000重量部
・ポリビニルアルコール 1重量部
・ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム 0.05重量部
・水 600重量部
・SDS(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム) 1重量部
・ポリアクリル酸 (重量平均分子量(Mw)=48,200) 2重量部
・ポリビニルアルコール(重量平均分子量(Mw)=10,200) 1重量部
・スチレン 80重量部
・n−ブチルアクリレート 20重量部
・2,2’−アゾビスイソバレロニトリル 4.5重量部
得られた樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)を測定したところ、55.0℃であった。実施例Iと同様にして銅フタロシアニン顔料、疎水性シリカ、カチオン性界面活性剤を入れ、超音波ホモジナイザーで撹拌した後、アトライターに入れ、3分間処理した。この時のpHを測定した結果、4.5であった。この中に実施例Iと同様の銅フタロシアニンと疎水性シリカを加え、実施例Iと同様にして超音波照射による固着処理を行った。
得られたトナー粒子の物性を表Iに示し、ブロッキング試験、及び実施例Iと同様にして現像剤化したものの定着試験、画像評価結果を表IIに示した。
・メタノール 160重量部
・エタノール 130重量部
・ポリビニルピロリドン 40重量部
・スチレン 80重量部
・n−ブチルアクリレート 20重量部
・2,2’−アゾビスイソバレロニトリル 6.0重量部
からなる組成物を反応容器中に投入し、窒素を400ml/minでバブリングしながら溶液を20℃で30分よく混合した。重合開始時の溶存酸素量を測定したところ0.6mg/lであった。次いでオイルバスの温度を78℃にして12時間窒素雰囲気下で重合した。
トナーの樹脂成分の重量平均分子量分布を測定したところ、ピーク値(Mp)は17,300であり、分子量200乃至1,000の範囲の成分はトナー中0.3重量%であった。
その結果、ブロッキング試験は、ほぼ良好であった。実施例Iとトナー濃度10%に変える以外は同様にして現像剤化したものの現像剤の帯電量測定は、−22.4mC/kgであった。定着試験は、定着温度132℃で良好であった。しかし、ベタ画像の画像濃度1.52と高かったが、ハーフトーンのドット再現性が実施例Iに比較して劣っていた。
Claims (12)
- 少なくとも結着樹脂を含有してなるトナーを構成するための樹脂粒子を0.1乃至30重量%含有する水系溶媒中で、超音波照射しながら、水系媒体の温度を該樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)より高い温度からガラス転移温度Tg+50℃以下の温度の範囲内に制御することによって樹脂粒子表面に少なくとも着色剤としての顔料微粒子を固着させて得られたトナー粒子を有するトナーであって、該トナーが、
<1>0.5乃至6.0μmの個数平均粒径を有し、
<2>0.1乃至20%の個数分布の変動係数を有し、
<3>トナー中の顔料微粒子のトナー粒子に対する含有量が下記式(1)の関係を満足しており、
<4>トナー粒子表面近傍に対して該顔料微粒子が80乃至100%固着されていることを特徴とするトナー。
- 無機微粒子が、疎水性シリカ微粒子、疎水性アルミナ微粒子又は疎水性酸化チタン微粒子から選択される請求項2に記載のトナー。
- トナーを構成するための樹脂粒子が0.1乃至30重量%含有されている水系溶媒中に、顔料微粒子がノニオン系界面活性剤及びアニオン又はカチオン系界面活性剤によって分散される工程、及び、超音波照射しながら水系溶媒の温度を上記樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)より高い温度からガラス転移温度Tg+50℃の温度範囲内に制御する工程を経て、樹脂粒子表面に少なくとも着色剤としての顔料微粒子を固着させて得られたトナー粒子を有するトナーであって、該トナーが、
<1>0.5乃至6.0μmの個数平均粒径を有し、
<2>0.1乃至20%の個数分布の変動係数を有し、
<3>トナーに含有される樹脂成分のGPCによるポリスチレン換算の分子量分布において、分子量2,000乃至100,000の範囲に極大値(Mp)を有し、
<4>トナーに含有される樹脂成分のGPCによるポリスチレン換算の分子量分布において、分子量200乃至1,000の成分を0乃至2重量%含有する請求項1に記載のトナー。 - 無機微粒子が、疎水性シリカ微粒子、疎水性アルミナ微粒子又は疎水性酸化チタン微粒子から選択される請求項5に記載のトナー。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のトナーの製造方法であって、結着樹脂を含有してなるトナーを構成するための樹脂粒子を0.1乃至30重量%の範囲で含有する水系溶媒中で、超音波照射しながら、水系媒体の温度を樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)より高い温度からガラス転移温度Tg+50℃以下の温度の範囲内に制御することによって樹脂粒子表面に少なくとも着色剤としての顔料微粒子を含む微粒子を固着させてトナーを構成するトナー粒子を作製することを特徴とするトナーの製造方法。
- 微粒子が、荷電制御剤及び金属酸化物の群の中から選ばれた少なくとも一以上の微粒子を更に含む請求項7に記載のトナーの製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナーを製造するトナーの製造方法であり、
重合用溶媒に溶解可能で、且つ、該重合用溶媒に重合によって生成する重合体は溶解しない重合性単量体と、上記重合用溶媒に可溶な重合体組成物を重合用溶媒に溶解して重合反応系を調製する工程;
重合反応系中で重合性単量体を重合して重合体粒子を生成する工程;
重合体粒子を有する重合反応系中の重合用溶媒を水の割合が90乃至100重量%である水系溶媒に置換し、且つ、重合体粒子が水系溶媒中に0.1乃至30重量%含有されるように調整する工程;
顔料微粒子を湿潤させる溶媒の存在下で水に分散させて顔料分散液を調製する工程;
前記重合体粒子が0.1乃至30重量%分散された水系溶媒中に、上記顔料分散液を加え、重合体粒子表面に顔料微粒子を付着させる工程;
水系溶媒の温度をトナー粒子のガラス転移温度(Tg)より高い温度からガラス転移温度Tg+50℃の温度範囲に制御しながら超音波照射を行って重合体粒子表面に顔料微粒子を固着させてトナー粒子を得る工程;を有することを特徴とするトナーの製造方法。 - 請求項4〜6のいずれか1項に記載のトナーを製造するトナーの製造方法であり、
トナーを形成する樹脂粒子を0.1乃至30重量%含有する水系溶媒中にノニオン系界面活性剤及びアニオン又はカチオン系界面活性剤により顔料微粒子を分散させる工程、及び、超音波照射しながら水系溶媒の温度を樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)より高い温度からガラス転移温度Tg+50℃の温度範囲に制御することによって樹脂粒子表面に顔料微粒子を固着させてトナー粒子を得る工程を有することを特徴とするトナーの製造方法。
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