JP2007263998A - 液晶装置、電子機器、及び、液晶装置の製造方法 - Google Patents

液晶装置、電子機器、及び、液晶装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】駆動領域の周辺領域に近い範囲における配向膜の厚みムラに起因する表示品位の低下を抑制する。
【解決手段】本発明の液晶装置は、駆動領域では、それぞれ複数の前記サブ画素に亘って所定方向に沿って平行に伸びるように構成された複数の凹部と、前記複数の凹部同士を連結する連結溝129とが設けられ、周辺領域における少なくとも駆動領域の前記所定方向側の隣接部分Vcxでは、複数の凹部とそれぞれ連続する複数のダミー凹部128Dと、隣接するダミー凹部同士を連結するダミー連結溝129Dとが設けられ、所定方向側の隣接部分では、駆動領域における凹部と連結溝からなる凹凸構造と対応する構造を備えたダミー凹部とダミー連結溝からなるダミー凹凸構造が所定方向に沿って2周期以上設けられていている。
【選択図】図7

Description

本発明は液晶装置、電子機器、及び、液晶装置の製造方法に係り、特に、液晶を配向さ
せるための配向膜を有する液晶装置の構造及び製法に関する。
一般に、液晶装置は、一対の基板間に液晶を封入したセル構造を有し、基板の内面に、
液晶の初期配向状態を規制する配向膜が形成される。配向膜の形成方法としては、たとえ
ば、ポリイミド等の未硬化の樹脂を基板の内面上にスピンコート法や印刷法などにより塗
布し、乾燥あるいは焼成を施すことなどによって形成される。
一方、液晶装置の表示形式としては、バックライト等の照明光を透過させることによっ
て透過光で表示を行う透過型液晶装置と、外光などを反射させて反射光で表示を行う反射
型液晶装置とがあるが、特に、携帯型電子機器には、透過表示と反射表示の双方を可能に
した半透過反射型の液晶装置が搭載されることが多い。この半透過反射型の液晶装置は、
駆動領域内に、バックライトによる透過表示を可能とする透過表示領域と、外光による反
射表示を可能とする反射表示領域を共に備えたサブ画素を配列したものである。
上記の半透過反射型の液晶装置では、透過表示を構成する透過光は液晶層を一回だけ通
過するのに対して、反射表示を構成する反射光は液晶層を往復二回通過するため、透過表
示と反射表示で表示光に対する液晶層の光変調の度合(リタデーション)が大きく異なる
ことになる。このため、透過表示と反射表示における光変調の差を低減するために、通常
、反射表示領域における液晶層の厚みを透過表示領域における液晶層の厚みよりも小さく
している。
具体的には、基板の内面上に透明絶縁膜を部分的に形成することで、液晶層の厚みをコ
ントロールしている。すなわち、サブ画素の反射表示領域には透明絶縁膜を形成し、透過
表示領域には透明絶縁膜を形成しないことにより、一対の基板間に挟まれた液晶層の厚み
を反射表示領域と透過表示領域で異なるものとしている。
ところが、上記の半透過反射型の液晶装置では、基板上に透明絶縁膜が部分的に形成さ
れているため、その基板上に未硬化の配向樹脂を塗布したとき、透明絶縁膜の非形成領域
(透過表示領域)に配向樹脂が溜まり、これが配向膜の厚みムラを招来して、表示品位を
低下させるという問題点があった。そこで、隣接する画素間で凹状の透過表示領域が連続
するように構成することにより、配向樹脂の流動性を高め、配向膜の厚みムラを低減する
ことが提案されている(たとえば、以下の特許文献1参照)。
特開2004−325822号公報(特に、図3、図13乃至図17)
しかしながら、前述の液晶装置では、凹状の透過表示領域が画素間で連続しているため
に配向樹脂の流動性が向上しているものの、透過表示領域における配向膜の厚みムラが充
分に解消されない場合がある。たとえば、サブ画素が配列されてなる駆動領域内では、画
素の配列に対応した一定の凹凸構造が存在するために、サブ画素の凹凸構造に工夫を加え
ることによって配向樹脂の厚みのばらつきをある程度抑制することが可能であるが、駆動
領域の周囲に形成された周辺領域は駆動領域と異なる構造を有するため、駆動領域の外縁
部において周辺領域の存在に起因する配向樹脂の厚みの変化が発生し、これによって駆動
領域の外縁部に表示ムラが生ずるという問題点がある。
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、複数のサブ画素が配
列されてなる駆動領域のうち、特に周辺領域に近い範囲における配向膜の厚みムラに起因
する表示品位の低下を抑制できる液晶装置を実現することにある。
斯かる実情に鑑み、本発明の液晶装置は、一対の基板間に液晶を配置してなり、前記液
晶の配置範囲内に、複数のサブ画素が配列された駆動領域と、該駆動領域の周囲に設けら
れた周辺領域とを有し、前記サブ画素内には少なくとも一方の前記基板の前記液晶側の面
に凹部が設けられるとともに当該液晶側の面上に配向膜が配置されてなる液晶装置におい
て、前記駆動領域では、それぞれ複数の前記サブ画素に亘って所定方向に沿って平行に伸
びるように構成された複数の前記凹部と、前記複数の凹部同士を連結する連結溝とが設け
られ、前記周辺領域における少なくとも前記駆動領域の前記所定方向側の隣接部分では、
前記複数の前記凹部とそれぞれ連続する複数のダミー凹部と、隣接する前記ダミー凹部同
士を連結するダミー連結溝とが設けられ、前記所定方向側の隣接部分では、前記駆動領域
における前記凹部と前記連結溝からなる凹凸構造と対応する構造を備えた前記ダミー凹部
と前記ダミー連結溝からなるダミー凹凸構造が前記所定方向に沿って2周期以上設けられ
ていることを特徴とする。
この発明によれば、駆動領域では複数の凹部とこれらを連結する連結溝が設けられると
ともに、周辺領域における少なくとも駆動領域の所定方向側の隣接部分では、駆動領域内
の複数の凹部とそれぞれ連続する複数のダミー凹部が設けられることによって、駆動領域
と周辺領域の隣接部分との間の少なくとも所定方向に沿った配向膜材料の流動性を確保す
ることができるとともに、上記隣接部分においてダミー凹部間を連結するダミー連結溝が
設けられることによって、ダミー凹部間の配向材料の流動性をも或る程度確保することが
できるため、駆動領域と隣接部分の間の配向材料の配置状況の差を低減することができる
と同時に、隣接部分内の配向材料の偏りも抑制できることから、駆動領域のうち特に周辺
領域に近い範囲の配向膜の厚みムラに起因する表示品位の低下を抑制できる。
特に、周辺領域における駆動領域の所定方向側にある隣接部分に設けられたダミー凹部
とダミー連結溝からなるダミー凹凸構造は、駆動領域における凹部と連結溝からなる凹凸
構造と対応する構造、すなわち、ダミー凹部とダミー連結溝の連結態様が凹部と連結溝の
接続態様と対応した構成を備えるとともに、ダミー凹凸構造が所定方向に沿って2周期以
上設けられていることにより、ダミー凹部とダミー連結溝からなるダミー凹凸構造の終端
部による影響が最も周辺領域に近い駆動領域の外縁部に直接に及ぼされることを防止でき
るため、当該外縁部における配向膜の厚みムラをさらに低減できる。
本発明において、前記ダミー凹凸構造における前記所定方向に沿った前記ダミー連結溝
の形成周期は、前記凹凸構造における前記所定方向に沿った前記連結溝の形成周期と実質
的に同一であることが好ましい。これによれば、ダミー凹凸構造におけるダミー連結溝の
形成周期が駆動領域内の連結溝の形成周期と実質的に同一であることにより、凹凸構造と
ダミー凹凸構造の構成の差に起因する配向材料の配置状況の差が実質的になくなるため、
駆動領域における周辺領域に近い範囲の配向膜の厚みムラをより低減することができる。
本発明において、前記ダミー連結溝の幅が前記連結溝の幅の0.5〜2.0倍であるこ
とが好ましい。これによれば、ダミー連結溝の幅が連結溝の幅の2倍より大きくなったり
半分より小さくなったりすると、ダミー凹部間における配向材料の流動性が駆動領域にお
ける凹部間における配向材料の流動性と大きく異なることになる結果、駆動領域における
周辺領域に近い範囲の配向膜の厚みムラの低減効果が少なくなる。
本発明において、前記周辺領域には前記所定方向に沿って複数の前記ダミー連結溝が設
けられ、前記駆動領域から最も離間した部分に設けられた前記ダミー連結溝は、連結され
る前記ダミー凹部の終端部に接続され、しかも、その幅が他の前記ダミー連結溝の幅より
も小さいことが好ましい。これによれば、駆動領域から最も離間した部分に設けられたダ
ミー連結溝が連結されるダミー凹部の終端部に接続されることにより、ダミー凹部の終端
部間の配向材料の流動性を確保することができるが、当該ダミー連結溝はダミー凹部の終
端部に接続されていることから、他のダミー連結溝と同幅に構成すると、終端部における
ダミー凹部間の配向材料の流動性が過剰になる傾向が生ずるため、当該ダミー連結溝の幅
を他のダミー連結溝の幅より小さくすることで、ダミー凹部の終端部近傍の配向材料の流
動性を他の場所とバランスが取れたものとすることができるため、周辺領域内のダミー凹
部及びダミー連結溝による配向材料の厚みムラをさらに低減することが可能になり、その
結果、駆動領域における周辺領域に近い範囲の配向膜の厚みムラをさらに低減できる。
本発明において、前記周辺領域における少なくとも前記所定方向と直交する方向側の隣
接部分では、前記凹部と平行な少なくとも一つのダミー凹部が設けられていることが好ま
しい。これによれば、所定方向と直交する側の隣接部分でも、駆動領域内の凹部と平行な
ダミー凹部が設けられていることによって当該隣接部分に隣接する駆動領域の範囲におけ
る配向膜の厚みムラをも低減することができる。
本発明において、前記所定方向と直交する方向側の隣接部分の最内縁に設けられた前記
ダミー凹部と、前記駆動領域における前記所定方向と直交する方向の最外縁に設けられた
前記凹部との間に前記所定方向に沿って複数の境界連結溝が形成されていることが好まし
い。この境界連結溝を設けることによって、最内縁のダミー凹部と最外縁の凹部との間の
配向材料の流動性が確保されるため、当該範囲における配向膜の厚みムラをさらに低減で
きる。
次に、本発明の電子機器は、上記のいずれかに記載の液晶装置を搭載したことを特徴と
する。本発明の電子機器は特に限定されるものではないが、携帯電話機、携帯型情報端末
、電子時計などの携帯型電子機器として構成することが効果的である。
また、本発明の液晶装置の製造方法は、一対の基板間に液晶を配置してなり、前記液晶
の配置範囲内に、複数のサブ画素が配列された駆動領域と、該駆動領域の周囲に設けられ
た周辺領域とを有し、前記サブ画素内には少なくとも一方の前記基板の前記液晶側の面に
凹部が設けられるとともに当該液晶側の面上に配向膜が配置されてなる液晶装置の製造方
法において、前記少なくとも一方の基板上に絶縁膜を部分的に形成し、或いは、当該絶縁
膜の厚みを部分的に変えて形成することにより、前記駆動領域では、それぞれ複数の前記
サブ画素に亘って所定方向に沿って平行に伸びるように構成された複数の前記凹部と、前
記複数の凹部同士を連結する連結溝とが設けられると同時に、前記周辺領域における少な
くとも前記駆動領域の前記所定方向側の隣接部分では、前記複数の前記凹部とそれぞれ連
続する複数のダミー凹部と、隣接する前記ダミー凹部同士を連結するダミー連結溝とが設
けられ、さらに、前記所定方向側の隣接部分では、前記駆動領域における前記凹部と前記
連結溝からなる凹凸構造と対応する構造を備えた前記ダミー凹部と前記ダミー連結溝から
なるダミー凹凸構造が前記所定方向に沿って2周期以上設けられる工程と、前記少なくと
も一方の基板の内面上に未硬化の配向材が配置される工程と、を具備することを特徴とす
る。
以下、本発明に係る液晶装置及びその液晶装置の製造方法をその一実施形態を挙げて説
明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されるものではない。なお、本願に添付した
図面は、理解しやすくなるように、或いは、図示の都合上、実際の寸法比率と異なる寸法
比率で構成要素を図示してある。
図1は本発明の一実施形態である液晶装置100の全体構成を示す概略斜視図、図2は
液晶装置100の平面構造を主要構造である素子や配線を中心に図示する概略平面図であ
り、その他の要素は図示を省略している。また、図3は図2に示すB−B線に沿った断面
を示す概略断面図、図4は図2に示すC−C線に沿った概略断面図である。さらに、図5
は、図2の領域Fを拡大して示す拡大部分断面図、図6は図2の領域Gを拡大して示す拡
大部分断面図、図7は図2の領域Hを拡大して示す拡大平面図である。
本実施形態は、3端子型のアクティブ素子であるTFT(Thin Film Diode)素子をス
イッチング素子として用いるアクティブマトリクス方式であって、反射表示と透過表示の
双方が可能に構成された半透過反射型のパネル構造を有するものであり、さらにカラー表
示が可能である液晶装置である。なお、TFT素子には、アモルファスシリコンTFT、
低温ポリシリコンTFT、高温ポリシリコンTFT等のように各種の素子があるが、本実
施形態ではアモルファスシリコンTFTを用いるものとする。もちろん、その他の種類の
TFT素子を用いた液晶表示装置に対して本発明を適用することもできる。
図1において、本実施形態の液晶装置100は、液晶パネル110と、その液晶パネル
110に実装された半導体要素としての液晶駆動回路103(図示例ではICチップ10
3A、103B,103Cで構成される。)と、を有する。また、図示を省略するが、そ
の液晶パネル110を背後から照明する照明装置(バックライト)を備えている。この液
晶装置100に関しては、図1に示す矢印Aが描かれた側が観察側であり、上記の照明装
置は、液晶パネル110に関して観察側と反対側に配置されてバックライトとして機能す
る。
液晶パネル110は、枠状のシール材113によって互いに貼り合わされた一対の基板
111及び112を有する。これらの基板111,112はいずれも矢印A方向から見て
長方形又は正方形に形成されている。基板111はスイッチング素子が形成される素子基
板である。また、基板112はカラーフィルタが形成されるカラーフィルタ基板である。
シール材113はその一部に液晶注入口113aを有し、この液晶注入口113aを介し
て素子基板111とカラーフィルタ基板112との間に液晶、例えばTN液晶が注入され
る。こうして、電気光学物質層としての液晶層114が形成される。液晶注入口113a
は液晶の注入が完了した後に樹脂によって封止される。なお、液晶のモードとしてはTN
液晶の他に、必要に応じて種々の液晶を採用できる。例えば、負の誘電率異方性を持つ液
晶、すなわち垂直配向モードの液晶でも良い。
図2に示すように、液晶パネル110には、シール材113によって液晶114が封入
されてなる液晶封入領域中に駆動領域(有効表示領域)Viが形成され、この駆動領域V
iにおいては、複数のサブ画素Dがマトリクス状(縦横)に配列されている。サブ画素D
はそれぞれ独立に液晶114の光学特性を制御可能な範囲であり、本実施形態のようにカ
ラー表示可能な液晶表示体である場合には、上記サブ画素Dが複数(カラーフィルタの色
数、図示例の場合には3つ)集まって一つの色を表現する画素P(図7参照)が構成され
る。
また、上記の液晶封入領域中における駆動領域Viの周辺にある範囲は、液晶114の
光学特性が制御されない周辺領域Vcとなっている。この周辺領域Vcは、図示例の場合
、平面視矩形状の駆動領域Viの周囲に矩形枠状に構成されている。
本実施形態の液晶駆動回路103は、基板111の基板112の外形より張り出してな
る基板張出領域116上に実装されたICチップ103A、103B,103Cによって
構成される。これらのICチップ103A,103B,103Cは基板張出領域116上
に形成された入力配線144並びに走査線147及びデータ線148に対して異方性導電
膜(ACF;Anisotropic Conductive Film)146を介して導電接続されている。IC
チップ103Aは入力端子144の一部と走査線147に導電接続されている。複数の走
査線147は基板張出領域116から液晶封入領域内に導入され、そのまま駆動領域Vi
内にて各サブ画素Dに設けられたスイッチング素子(TFT;薄膜トランジスタ)103
Aのゲートに接続されている。ここで、一つの走査線147は駆動領域Vi内のサブ画素
Dの一つの列に対応して設けられ、この列に含まれる複数のサブ画素Dのそれぞれのスイ
ッチング素子131に接続されている。また、ICチップ103B,103Cは入力端子
144の残部とデータ線148に導電接続されている。複数のデータ線148は基板張出
領域116から液晶封入領域内に導入され、そのまま駆動領域Vi内にて上記走査線14
7と直交する方向に伸び、各サブ画素Dに設けられたスイッチング素子131のソースに
接続されている。ここで、一つのデータ線148は駆動領域Vi内のサブ画素Dの一つの
行に対応して設けられ、この行に含まれる複数のサブ画素Dのそれぞれのスイッチング素
子131に接続されている。なお、各サブ画素Dに設けられたスイッチング素子131は
サブ画素Dを画成する画素電極121aに接続されている。
なお、図示例では、ICチップ103Aに走査線駆動回路が構成され、ICチップ10
3B及び103Cにデータ線駆動回路が構成されているが、これらの走査線駆動回路及び
データ線駆動回路を共通の駆動用IC(単一のICチップ)で構成しても良い。
基板張出領域116の辺端には、図1に示すように、可撓性を備えた配線基板であるF
PC(Flexible Printed Circuit)基板117が、例えば上記と同様の異方性導電膜(A
CF)を用いて接続されている。FPC基板117、或いは、このFPC基板117に接
続された図示しない回路基板には、液晶パネル110を駆動するために必要となる複数の
電子部品(図示せず)が実装される。この電子部品としては、例えば、抵抗、コイル、コ
ンデンサ、電源IC等が考えられる。また、FPC基板117や上記回路基板上には、外
部の入力用機器(例えば、携帯電話機等といった電子機器の制御回路)や外部電源等が接
続される。そして、液晶パネル110を駆動するための信号や電力が、FPC基板117
を通して入力用機器や外部電源から供給される。
図3及び図4に示すように、素子基板111は、観察側(図1の矢印A側)から見て長
方形または正方形の第1の透光性の基板111aを有する。この第1透光性基板111a
は、例えば透光性のガラス、透光性のプラスチック等によって形成される。また、この第
1透光性基板111aの外側表面には偏光板115aが、例えば、貼着等によって装着さ
れる。必要に応じて、偏光板115a以外の光学要素、例えば位相差板を付加的に設ける
こともできる。
第1透光性基板111aの内側表面には、アクティブ素子又はスイッチング素子(TF
T素子)131が複数個形成される。これらのスイッチング素子131を覆うように絶縁
層としての層間絶縁膜125が形成されている。この層間絶縁膜125は、例えば、透光
性、感光性、及び絶縁性を有する樹脂、例えばアクリル樹脂をフォトリソグラフィ処理に
よってパターニングすることによって形成される。
層間絶縁膜125の表面には複数の画素電極121aが設けられている。これらの画素
電極121aは、例えばITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)等といった金
属酸化物を材料としてフォトエッチング処理によって形成される。複数の画素電極121
aは、観察側から見て個々がドット状に形成されており、それらが縦横方向、すなわち行
列方向、すなわち図2に示すX−Y方向へマトリクス状に配列されている。
画素電極121aと層間絶縁膜125との間には、図5に示すように、光反射層126
が、例えばAl(アルミニウム)、Al合金等によって形成される。本実施形態において
、光反射層126は、複数の画素電極121aのそれぞれに設けられている。また、光反
射層126は、個々のサブ画素D内における画素電極121aが形成された範囲のうちの
一部に設けられている。つまり、個々のサブ画素Dにおいては、図3に示すように、画素
電極121aと層間絶縁膜125との間に光反射層126が有る領域Rと光反射層126
が無い領域Tとが形成される。光反射層126が有る領域Rは、外部光L0を用いて反射
型表示を行う領域、すなわち反射表示領域Rである。一方、光反射層126が無い領域T
は、照明装置からの光L1を用いて透過型表示を行う領域、すなわち透過表示領域Tであ
る。
層間絶縁膜125は、図5に示すように、反射表示領域Rに対応する部分の表面に光散
乱用の凹凸パターンを有している。そのため、この凹凸パターン上にある光反射膜126
及び画素電極121aにも凹凸パターンが形成される。このため、光反射膜126で反射
した光は散乱光となる。これにより、光反射層126で鏡面反射(正反射)が生じること
を防止でき、幻惑や背景の写りこみ等を回避できる。
また、画素電極121aの下に層間絶縁膜125を設けることにより、画素電極121
aの層とスイッチング素子131の層とを別の層に分けている。この構造は、画素電極1
21aとスイッチング素子131とを同じ層に形成する構造に比べて、素子基板111の
表面を有効に活用できる。例えば、画素電極121aの面積、すなわち画素面積を大きく
することができるので、液晶装置100において表示を見易くできる。
層間絶縁膜125はスイッチング素子131を覆うように形成される。画素電極121
aは、この層間絶縁膜125の上に形成されている。この層間絶縁膜125には、画素電
極121aとスイッチング素子131とを電気的に接続するためのコンタクトホール12
4が形成される。このコンタクトホール124は、層間絶縁膜125をフォトグラフィ処
理によって形成する際に同時に形成される。このコンタクトホール124は、平面的に見
てスイッチング素子131とは重ならない位置であって、画素電極121aと重なる位置
に形成される。
本実施形態で用いるスイッチング素子131はアモルファスシリコンTFTであり、こ
のTFT素子131は、ゲート電極133、ゲート絶縁層134、a−Si(アモルファ
スシリコン)等によって形成された半導体層135、ソース電極136、そしてドレイン
電極132を有する。ドレイン電極132は、その一端が半導体層135に接続され、そ
の他端が画素電極121aにコンタクトホール124を介して接続される。ソース電極1
36は図5の紙面垂直方向に延びるデータ線148の一部として形成されている。また、
ゲート電極133は、データ線148と直交する方向すなわち図5の左右方向に延びる走
査線147からサブ画素Dごとに延出されてなる。
図4において、複数の画素電極121aの間の領域、すなわち遮光領域又はブラックマ
スク領域であって、この遮光領域における層間絶縁膜125上には複数のスペーサ(柱状
スペーサ)122aが適宜の間隔で形成されている。これらのスペーサ122aは、例え
ば、感光性樹脂をフォトリソグラフィ処理によってパターニングすることによって形成さ
れる。スペーサ122aは、例えば、立設状態の円柱又は角柱形状に形成されており、セ
ルギャップが均一に設定されるように基板間隔を規制する。
画素電極121a及びスペーサ122aの上には配向膜123aが形成される。そして
、この配向膜123aに配向処理、例えばラビング処理が施され、これにより、その配向
膜123aの近傍の液晶分子の初期配向が決められる。配向膜123aは、例えば、ポリ
イミド溶液を塗布及び焼成して形成したり、オフセット印刷によって形成したりする。
図3及び図4に示すように、素子基板111に対向するカラーフィルタ基板112は、
観察側から見て長方形または正方形の第2の透光性の基板112aを有する。この第2透
光性基板112aは、例えば透光性のガラス、透光性のプラスチック等によって形成され
る。また、この第2透光性基板112aの外側表面には偏光板115bが、例えば、貼着
によって装着される。必要に応じて、偏光板115b以外の光学要素、例えば位相差板を
付加的に設けることもできる。
第2透光性基板112aの内側表面には複数の着色要素142が設けられる。これらの
着色要素142はB(青),G(緑),R(赤)又はC(シアン),M(マゼンタ),Y
(イエロー)のいずれかに着色され、観察側から見て所定の配列に並べられる。本実施形
態では、図7に示すように、B,G,Rが縦1列に並べられるストライプ配列を採用する
ものとする。なお、その他の配列、例えば、モザイク配列、デルタ配列等を採用すること
もできる。これらの着色要素142の間には遮光部材141aが矢印A方向から見てスト
ライプ状に設けられている。これらの遮光部材141aは、色の異なる着色要素42、例
えばB,G,Rの3色の着色要素142を全て重ねることにより、又はそれらのうちの2
色を重ねることによって形成することができる。なお、遮光部材141aは、Cr等とい
った遮光性の金属材料によって形成することもできる。
図3及び図4に示すように、遮光部材141a及び着色要素142の上には第1のオー
バーコート層143aが設けられる。そしてその上に、第2のオーバーコート層143b
が設けられる。第1オーバーコート層143a及び第2オーバーコート層143bの上に
は共通電極121bが設けられ、さらにその上に配向膜123bが設けられる。共通電極
121bは、例えば、ITOを材料としてフォトエッチング処理によって形成される。こ
の共通電極121bは第2透光性基板112a上に一様な厚さで形成された面状電極であ
る。上記の配向膜123bには配向処理、例えばラビング処理が施され、これにより、そ
の配向膜123bの近傍の液晶分子の初期配向が決められる。この配向膜123bは、例
えば、ポリイミド溶液を塗布及び焼成して形成したり、オフセット印刷によって形成した
りする。
第2オーバーコート層143bは、図3に示すように、対向する素子基板111の画素
電極121aの形成範囲のうちの反射表示領域Rに対応する位置にのみ形成される。第1
オーバーコート層143a及び第2オーバーコート層143bは、例えば、エポキシ系又
はアクリル系の樹脂材料を塗布及び焼成して形成したり、あるいは、必要に応じて、エポ
キシ系又はアクリル系の樹脂材料にフォトリソグラフィ処理を施したりすることによって
形成される。
第2オーバーコート層143bは、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの間で液晶層1
14の層厚を調整するための層厚調整膜として機能する。具体的には、図5に示すように
光反射層126が設けられる反射表示領域Rに所定の層厚を有する第2オーバーコート層
143bを設ける。これにより、反射表示領域Rに対応する液晶層114の層厚t0を薄
く設定する。一方、光反射層26が設けられない透過表示領域Tには第2オーバーコート
層143bを設けない。つまり透過表示領域Tには第1オーバーコート層143aのみが
設けられる。これにより、透過表示領域Tに対応する液晶層114の層厚t1をt0に比
べて厚く、すなわちt1>t0に設定する。
反射型表示が行われる際、反射光L0は液晶層114を往復で2回通過する。これに対
し、透過表示が行われる際、透過光L1は液晶層114を1回だけ通過する。従って、液
晶層114がt1=t0に設定されていると、反射型表示と透過型表示との間で表示態様
が大きく変化するおそれがある。これに対し、本実施形態のようにt1>t0に設定すれ
ば、反射光L0と透過光L1との間で液晶層114を通過する光路の長さを等しく又は近
づけることができるため、両光に対する液晶層114のリタデーションの差を低減するこ
とができるから、反射型表示と透過型表示とを近似した表示態様とすることができる。
なお、図5に示す実施形態では、透過表示領域Tにおいて第2オーバーコート層143
bを設けない、つまり第2オーバーコート層143bの層厚をゼロとしたが、液晶層11
4の層厚をt1>t0に設定できれば、透過表示領域Tにおける第2オーバーコート層1
43bの層厚は必ずしもゼロに限定されるものではない。また、本実施形態では、第1オ
ーバーコート層143aと第2オーバーコート層143bの2つのオーバーコート層を設
けるようにしたが、液晶層114の層厚をt1>t0に設定できれば、オーバーコート層
を1層とすることもできる。すなわち、オーバーコート層の層厚を反射表示領域Rに比べ
て透過表示領域Tで薄くすることにより、反射表示領域Rに対応する液晶層114の層厚
を透過表示領域Tに比べて薄くなるようにすれば良い。
図3において、素子基板111上に形成された複数の画素電極121aは駆動領域Vi
内においてドットマトリクス状に配列され、これらの画素電極121aは共通電極121
bと平面的に重なっている。このように画素電極121aと共通電極121bとが重なる
領域は液晶層114の光学特性を独立して制御可能な最小単位である上記のサブ画素Dを
構成する。また、カラーフィルタ基板112上の個々の着色要素142はサブ画素領域D
に対応して設けられている。着色要素142を用いない白黒表示の場合は1つのサブ画素
領域Dによって1つの画素P(図7参照)が形成されるが、本実施形態のように3色の着
色要素142を用いてカラー表示を行う構造の場合には、B,G,R又はC,M,Yの3
色の着色要素142の集まりによって1つの画素Pが形成される。
図示例においては、図7に示すように、サブ画素Dは長手方向に3分割され、長手方向
の両側部分は光反射層126によって規定される反射表示領域Rであり、長手方向の中央
部分が光反射層126が形成されない透過表示領域Tとなっている。ただし、サブ画素D
を長手方向に2分割し、その長手方向の片側が反射表示領域Rとなり、その反対側が透過
表示領域Tとなるように構成してもよい。
本実施形態の駆動領域Viにおいては、上述のように、カラーフィルタ基板112の内
面(上記オーバーコート層143b及び共通電極121bの表面)は、オーバーコート層
143a,143bの厚みを変化させる(オーバーコート層143bを形成しない)こと
により、上記サブ画素D内の透過表示領域Tに対応する部分が凹んだ構造とされ、その上
に配向膜123bが形成されている。この凹んだ構造とされた部分が凹部128であり、
駆動領域Viにおいては複数の凹部128が所定方向(図2のX方向、図示例ではデータ
線148の延長方向、以下、単に「X方向」という。)に沿ってそれぞれ複数のサブ画素
Dに亘って伸びるように構成されている。図7に示すように、複数の凹部128はX方向
に帯状に伸び、駆動領域Viの全体に亘って伸びて、全体としてストライプ状に構成され
ている。また、図示のサブ画素Dの構造では、各サブ画素Dは、1本の凹部128が通過
する透過表示領域Tと、この凹部128に対してX方向と直交する方向(図2のY方向、
図示例では走査線147の延長方向、以下、単に「Y方向」という。)の両側にそれぞれ
配置される反射表示領域Rとから構成されている。すなわち、一つのサブ画素Dには必ず
一つの凹部128が通過するように構成されている。
凹部128の幅は通常、30〜100μm程度であり、複数のサブ画素Dに亘って一定
の幅を有していることが好ましい。本実施形態では、サブ画素Dの境界部分でもサブ画素
D内と同一の幅を有するため、凹部128に沿った配向材料の流動性を充分に確保するこ
とができる。
また、駆動領域Viにおいては、図6及び図7に示すように、上記凹部128間を連結
するように構成される連結溝129が形成されている。この連結溝129はサブ画素Dの
境界領域に沿って形成されており、連結溝129は遮光部材141aと平面的に重なるよ
うになっている。これによって、連結溝129の存在による液晶の配向不良による光抜け
などを低減でき、表示のコントラストの低下を抑制できる。連結溝129はY方向に隣接
した凹部128間を連結するようにY方向に伸びる細幅の溝であり、上記オーバーコート
層143a、143bの厚みを変化させたり、オーバーコート層143bを形成しなかっ
たりすることによって形成される。この連結溝129は、図4に示すように凹部128と
実質的に同じ深さとなるように構成してもよい。また、例えばオーバーコート層143b
の厚み方向の一部を残したり、細幅の溝内に充填される共通電極の厚みが変化したりする
ことなどによって、図6に示すように凹部128よりも浅くなるように形成してもよい。
この連結溝129は後述するように凹部128間における配向材料の流通性乃至は流動性
をある程度確保するためのものであり、必要とされる配向材料の流通性乃至は流動性の程
度に応じてその深さを設定すればよい。
連結溝129は、基本的には、各画素P内において同じ数だけ同じ位置に同じ深さとな
るように形成されることが好ましい。図示例の場合、図7に示すようにX方向に3つのサ
ブ画素Dが配列されて一つの画素Pが構成されており、連結溝129は画素PごとにX方
向に一つずつ形成されている。すなわち、連結溝129はX方向に沿って一つの画素P(
3つのサブ画素D)に相当する間隔で周期的に形成されている。
連結溝129の幅は、上記遮光材料141aの幅より小さく構成されることが好ましい
。この連結溝129の幅は、例えば、10〜20μm程度である。
一方、本実施形態では、図5及び図7に示すように、周辺領域Vcのうち、駆動領域V
iのX方向側の隣接部分Vcxにおいても、上記凹部128とそれぞれ連続する複数のダ
ミー凹部128Dが形成されている。また、この隣接部分Vcxでは、図6及び図7に示
すように、これらの複数のダミー凹部128D間を連結するダミー連結溝129Dが形成
されている。図示例の場合、周辺領域Vc内に設けられたダミー凹部128D及びダミー
連結溝129Dで構成されるダミー凹凸構造は、駆動領域Vi内に設けられた凹部128
及び連結溝129で構成される凹凸構造に対して同じ周期及び同じ位相となるように、駆
動領域Vi内から連続するように形成されている。したがって、ダミー凹部128Dは凹
部128と同幅で、Y方向の同じ位置に形成されており、しかも、そのY方向の形成周期
はサブ画素のY方向に沿った形成周期と同じである。また、ダミー連結溝129Dは連結
溝129とY方向の同じ位置に形成されており、そのX方向の形成周期は連結溝129と
同じでX方向の画素(3つのサブ画素)の形成周期と同じである。
また、ダミー凹部128D及びダミー連結溝129Dからなるダミー凹凸構造は、駆動
領域Viから周辺領域Vcの隣接部分VcxへとX方向に向けて、凹部128及び連結溝
129からなる凹凸構造に対応する周期構造が2周期以上存在していることが好ましい。
この場合、図7に示すように形成周期の寸法は必ずしも凹凸構造と同一でなくてもよいが
、駆動領域Vi内の凹凸構造の周期の0.8倍〜1.2倍の範囲内であることが好ましい
。このようにすると、隣接部分Vcxに設けられた駆動領域Viに最も近接した1の周期
部分よりもさらに離間したもう一つの周期部分が少なくとも存在することとなるため、駆
動領域Vi内の最外縁の凹凸構造における配向材料の分布が、隣接部分Vcxの終端部(
駆動領域Viから最も離間した部分)による配向材料の偏りに直接影響されることがなく
なるため、駆動領域Viの最外縁の配向材料の偏りを低減できるからである。
本実施形態の場合、ダミー連結溝129Dの幅は、上記連結溝129の幅と同一であっ
てもよいが、図示例の場合、ダミー連結溝129Dの幅は連結溝129のそれと異なるよ
うに設定されている。図示例の場合、ダミー凹凸構造が2周期以上設けられることによっ
てX方向に沿って複数のダミー連結溝129Dが存在することとなるが、終端部のダミー
連結溝129D以外のダミー連結溝129Dの幅は15〜25μm程度と、連結溝129
の幅よりも大きく形成されている。これは、周辺領域Vcでは遮光材料141aが全体に
亘って形成されているので、連結溝129とは異なり、ダミー連結溝129Dの幅を制限
する必要がないとともに、ダミー連結溝129Dの幅を大きくすることで、周辺領域Vc
における配向材料の流動性(特にY方向の流動性)を高め、周辺領域Vc内の配向膜12
3bの厚みムラを低減することができるからである。このように周辺領域Vc内の配向膜
123bの厚みムラが低減されると、駆動領域Viの外縁部の配向膜123bの厚みムラ
も必然的に低減される。
ただし、本実施形態では、最も終端部側に形成されたダミー連結溝129Dの幅を連結
溝129の幅よりも小さくしている。これは、最も終端部側に形成されたダミー連結溝1
29Dの幅を大きくすると、ダミー凹部128の終端部よりも外側の配向材料が当該ダミ
ー連結溝129Dに全て流れ込むとともに、隣接するダミー凹部128D間の配向材料の
流動性が高くなりすぎるため、このダミー連結溝129Dからダミー凹部128Dを介し
て周辺領域Vcの配向材料が駆動領域Viにまで多く流れ込みやすくなることから、駆動
領域Viの外縁部に「ざらしみ」が発生するからである。
特に、この傾向は周辺領域Vcにおいて比較的少ない幅で(図7に示すように2〜3周
期程度の)ダミー凹凸構造が設けられている場合には高くなるため、最も終端側の上記ダ
ミー連結溝129Dの幅を小さくすることが効果的である。また、本実施形態の場合、ダ
ミー凹凸構造の終端部、すなわちダミー凹部128Dの終端に最も終端側のダミー連結溝
129Dが接続されている。このような場合には、特に終端よりも外側の配向材料が最も
終端側のダミー連結溝129Dにさらに流れ込みやすくなるため、やはりその幅を小さく
することが効果的である。なお、最も終端側のダミー連結溝129Dの幅は、連結溝12
9の幅よりも小さければよいが、例えば、5〜10μm程度とすることが好ましい。
ダミー連結溝129Dの幅は、一般的には連結溝129の幅の0.5〜2.0倍の範囲
内であることが好ましい。0.5倍未満、或いは2.0倍を越える幅になると、ダミー連
結溝129Dの幅が連結溝129に対して大幅に変化することとなるので、配向材料の流
動性が過小若しくは過大となり、駆動領域Viにおける流動性と大きく異なる結果、駆動
領域Viの外縁部の配向膜123bの厚みムラが却って増大するからである。
次に、駆動領域ViのY方向側にある隣接部分Vcyでは、駆動領域Vi内の凹部12
8と平行なダミー凹部128Eが形成されている。このダミー凹部128Eは、凹部12
8と同じ幅、或いは、凹部128の幅の0.8倍から1.2倍の範囲内であることが好ま
しい。例えば、ダミー凹部128Eの幅は30〜100μm程度である。この幅を上記範
囲より小さくすると、駆動領域Viの外縁部の配向材料が多くなりやすくなり、上記範囲
より大きくすると駆動領域Viの外縁部の配向材料が少なくなりやすくなるため、いずれ
にしても配向膜123bの厚みムラが発生する。
また、上記と同じ理由から、ダミー凹部128Eと最外縁の凹部128との間隔は、凹
部128同士の間隔と同じに設定されていることが望ましく、或いは、凹部128同士の
間隔の0.8倍〜1.2倍の範囲内であることが望ましい。
さらに、隣接部分Vcyには複数のダミー凹部128EがY方向に沿ってストライプ状
に配置されていてもよい。このようにして複数のダミー凹部128Eを設けると、駆動領
域Viの外縁部の配向膜123bの厚みムラをさらに低減できる。
本実施形態では、隣接部分Vcyの最も内側に形成されたダミー連結溝128Eと、駆
動領域Viの最も外側に形成された連結溝128とを連結する境界連結溝129Eが形成
されている。この境界連結部129Eは駆動領域Vi内の連結溝129と同じ幅、同じX
方向の周期、同じX方向の位相で形成されることが好ましいが、それぞれの連結溝129
の値の0.8倍から1.2倍の範囲内であってもよい。このダミー連結溝128Eを設け
ることで、駆動領域Viと周辺領域Vcの境界部分が駆動領域Vi内の近似した凹凸構造
を有するものとなるため、駆動領域Viの外縁部における配向膜123bの厚みムラをさ
らに低減できる。
なお、図示例のように隣接部分Vcyに複数のダミー凹部128Eが形成されている場
合には、これらのダミー凹部128E間にもダミー連結溝129Fを形成することが好ま
しい。このようにすれば、駆動領域Viの外縁部における配向膜123bの厚みムラをさ
らに低減することができる。
図4及び図6に示すように、周辺領域Vc内であってダミー凹部128D、128Eに
重ならない場所の素子基板111の層間絶縁膜125上にはスペーサ122bが形成され
ている。このスペーサ122bは、駆動領域Vi内に形成されているスペーサ122aと
同じく、感光性樹脂をフォトリソグラフィ処理によってパターニングすることによって、
例えば、立設状態の円柱又は角柱形状に形成される。このスペーサ122bは、駆動領域
Vi内のスペーサ122aと同時に形成できる。このように周辺領域Vcにスペーサ12
2bを設けることにより、周辺領域Vcにおいても液晶層114の層厚を一定に保持する
ことができる。これにより、駆動領域Viと周辺領域Vcとの境界近傍において、液晶層
114の層厚の変化による表示のムラが発生することを防止できる。
以上のように構成された液晶装置100によれば、液晶装置100が明るい室外や明る
い室内に置かれる場合は、太陽光や室内光といった外部光を用いて反射型の表示を実現で
きる。一方、液晶装置100が暗い室外や暗い室内に置かれる場合は、図示しない照明装
置をバックライトとして用いて透過型の表示を実現できる。
上記の反射型表示を行う場合、観察側からカラーフィルタ基板112を通して液晶パネ
ル110内へ入射した外部光L0は、偏光板115bを通過した後に液晶層114を通過
して素子基板111へ入った後、反射表示領域Rにおいて光反射膜126で反射して再び
液晶層114へ供給される。他方、上記の透過型表示を行う場合、照明装置から出射され
た光が偏光板115aを通過した後に符号L1で示すように透過表示領域Tにおいてカラ
ーフィルタ基板112を透過して液晶層114へ入射する。
以上のようにして液晶層114へ光が供給される間、素子基板111側の画素電極12
1aとカラーフィルタ基板112側の共通電極121bとの間には、走査信号及びデータ
信号によって特定される所定の電圧が印加され、これにより、液晶層114内の液晶分子
の配向がサブ画素D毎に制御され、この結果、液晶層114に供給された光がサブ画素D
ごとに変調される。この変調された光が、カラーフィルタ基板112側の偏光板115b
を通過するとき、その偏光板115bの偏光特性に従ってサブ画素Dごとに所定の透過率
となるように設定され、これにより、カラーフィルタ基板112の表面に文字、数字、図
形等といった像が表示され、これが観察側から視認される。
図5乃至図7に示すダミー凹部128D、128E、ダミー連結溝129D、129F
、境界連結溝129Eといったダミー凹凸構造を有していない従来の液晶表示装置では、
カラーフィルタ基板上に配向膜を形成する際、周辺領域内に塗布された配向膜の材料が、
駆動領域内であって周辺領域より低い部分、すなわち透過表示領域内に流れ込むことがあ
った。これにより、駆動領域と周辺領域との境界部分で配向膜が厚く形成されるおそれが
あった。こうなると、駆動領域において配向膜の厚さが不均一になり、配向膜が厚く形成
された部分で配向不良が発生し、表示の輝度にムラが生じるおそれがあった。
これに対し、本実施形態の液晶装置100によれば、図5及び図6に示す配向膜123
bをカラーフィルタ基板112上に塗布した際、周辺領域Vcに塗布された配向膜123
bの材料が、ダミー凹部128D、128Eに流動することができる。従って、配向膜1
23bの材料が駆動領域Vi、特に、周辺領域Vcに隣接する外縁部の透過表示領域Tに
必要以上に流れ込むことを防止できるので、駆動領域Viと周辺領域Vcの隣接部分Vc
x、Vcyとの間で配向膜123bを均一に塗布することができる。その結果、液晶装置
100の表示に輝度のムラが発生することを防止できる。特に、ダミー凹部128Dは凹
部128と連結するように設けられているため、X方向に沿った配向材料の流動性を充分
に確保できるため、駆動領域Viと周辺領域Vcの境界近傍の配向膜123bの厚みムラ
を低減できる。
本実施形態では、X方向に連続し、Y方向に配列された複数の凹部128やダミー凹部
128D、128E間に連結溝129、ダミー連結溝129D、129F、境界連結溝1
29Eなどが形成されているため、凹部やダミー凹部間における配向材料の流通性乃至は
流動性をも確保することができ、さらに、これらは駆動領域Viと周辺領域Vcの隣接部
分Vcx,Vcyの双方で確保されている。したがって、駆動領域Viの特に外縁部にお
ける配向膜123bの厚み変化や厚みムラを低減することができるため、外縁部によく観
察される「ざらしみ」の発生を効果的に防止できる。
なお、上記液晶装置100の製造方法では、上記のダミー凹部128D、128E、ダ
ミー連結溝129D、129F、境界連結溝129Eは、駆動領域Vi内の凹部128や
連結溝129と同時に形成される。すなわち、オーバーコート層143a、143bの形
成によって同時にそれぞれが形成される。したがって、従来構造と何ら変わらない製造工
程でオーバーコート層のパターン形状のみを変えることによって容易に製造できる。
また、配向膜123bは、未硬化の配向樹脂を印刷法、スピンコーティング法、ロール
コーティング法等によって塗布し、乾燥・焼成することによって形成される。配向樹脂の
塗布方法としては、特に印刷法(例えばオフセット印刷、凸版印刷)によることが製造効
率上好ましい。本実施形態の構造では、印刷法を用いた場合でも、配向膜123bの厚み
ムラを充分に低減することができるので、表示ムラのない高い表示品位を実現できた。
最後に、上記の液晶装置100を搭載した電子機器について説明する。図8及び図9は
上記液晶装置100を搭載した電子機器を示す概略斜視図である。
図8は、本発明に係る電子機器の一実施形態であるノート型パーソナルコンピュータを
示している。このパーソナルコンピュータ200は、複数の操作ボタン201aや他の操
作装置201bを備えた本体部201と、この本体部201に接続され、表示画面202
aを備えた表示部202とを備えている。図示例の場合、本体部201と表示部202は
開閉可能に構成されている。表示部202の内部には上述の液晶装置100が内蔵されて
おり、表示画面202aに所望の表示画像が表示されるようになっている。この場合、パ
ーソナルコンピュータ200の内部には、上記液晶装置100を制御する表示制御回路が
設けられる。この表示制御回路は、液晶装置100に対して映像信号その他の入力データ
や所定の制御信号を送り、その動作態様を決定するように構成されている。
図9は、本発明に係る電子機器の他の実施形態である携帯電話機を示している。ここに
示す携帯電話機300は、複数の操作ボタン301a,301b及び送話口などを備えた
操作部301と、表示画面302aや受話口などを備えた表示部302とを有し、表示部
302の内部に上記の液晶装置100が組み込まれてなる。そして表示部302の表示画
面302aにおいて液晶装置100により形成された表示画像を視認することができるよ
うになっている。この場合、携帯電話機300の内部には、上記液晶装置100を制御す
る表示制御回路が設けられる。この表示制御回路は、液晶装置100に対して映像信号そ
の他の入力データや所定の制御信号を送り、その動作態様を決定するように構成されてい
る。
尚、本発明の液晶装置及び電子機器は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、
本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば
、上記図示例のサブ画素Dでは反射表示領域Rが透過表示領域Tの両側に配置されている
が、反射表示領域Rと透過表示領域Tがそれぞれサブ画素Dの一側と他側に配置された平
面構成を有するものであってもよく、また、サブ画素D内で透過表示領域Tが反射表示領
域Rの両側にそれぞれ配設された平面構成を有するものであってもよい。
実施形態の液晶装置の全体構成を示す概略斜視図。 実施形態の液晶装置の全体構成を示す概略平面図。 実施形態の液晶装置のB−B線に沿った断面を示す概略断面図。 実施形態の液晶装置のC−C線に沿った断面を示す概略断面図。 実施形態の液晶装置の矢印Fの部分を示す概略拡大断面図。 実施形態の液晶装置の矢印Gの部分を示す概略拡大断面図。 実施形態の液晶装置の矢印Hの部分を示す概略平面図。 実施形態の液晶装置を搭載した電子機器の一例を示す概略斜視図。 実施形態の液晶装置を搭載した電子機器の他の例を示す概略斜視図。
符号の説明
100…液晶装置、103…液晶駆動回路、110…液晶パネル、111…素子基板、1
21a…画素電極、121b…共通電極、112…カラーフィルタ基板、143a…第1
オーバーコート層、143b…第2オーバーコート層、D…サブ画素、P…画素、Vi…
駆動領域、Vc…周辺領域、Vcx、Vcy…隣接部分、128…凹部、128D、12
8E…ダミー凹部、129…連結溝、129D、129F…ダミー連結溝、129E…境
界連結溝

Claims (8)

  1. 一対の基板間に液晶を配置してなり、前記液晶の配置範囲内に、複数のサブ画素が配列
    された駆動領域と、該駆動領域の周囲に設けられた周辺領域とを有し、前記サブ画素内に
    は少なくとも一方の前記基板の前記液晶側の面に凹部が設けられるとともに当該液晶側の
    面上に配向膜が配置されてなる液晶装置において、
    前記駆動領域では、それぞれ複数の前記サブ画素に亘って所定方向に沿って平行に伸び
    るように構成された複数の前記凹部と、前記複数の凹部同士を連結する連結溝とが設けら
    れ、
    前記周辺領域における少なくとも前記駆動領域の前記所定方向側の隣接部分では、前記
    複数の前記凹部とそれぞれ連続する複数のダミー凹部と、隣接する前記ダミー凹部同士を
    連結するダミー連結溝とが設けられ、
    前記所定方向側の隣接部分では、前記駆動領域における前記凹部と前記連結溝からなる
    凹凸構造と対応する構造を備えた前記ダミー凹部と前記ダミー連結溝からなるダミー凹凸
    構造が前記所定方向に沿って2周期以上設けられていることを特徴とする液晶装置。
  2. 前記ダミー凹凸構造における前記所定方向に沿った前記ダミー連結溝の形成周期は、前
    記凹凸構造における前記所定方向に沿った前記連結溝の形成周期と実質的に同一であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
  3. 前記ダミー連結溝の幅が前記連結溝の幅の0.5〜2.0倍であることを特徴とする請
    求項1又は2に記載の液晶装置。
  4. 前記周辺領域には前記所定方向に沿って複数の前記ダミー連結溝が設けられ、前記駆動
    領域から最も離間した部分に設けられた前記ダミー連結溝は、連結される二つの前記ダミ
    ー凹部の終端部に接続され、しかも、その幅が他の前記ダミー連結溝の幅よりも小さいこ
    とを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液晶装置。
  5. 前記周辺領域における少なくとも前記所定方向と直交する方向側の隣接部分では、前記
    凹部と平行な少なくとも一つのダミー凹部が設けられていることを特徴とする請求項1に
    記載の液晶装置。
  6. 前記所定方向と直交する方向側の隣接部分の最内縁に設けられた前記ダミー凹部と、前
    記駆動領域における前記所定方向と直交する方向の最外縁に設けられた前記凹部との間に
    前記所定方向に沿って複数の境界連結溝が形成されていることを特徴とする請求項5に記
    載の液晶装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液晶装置を搭載したことを特徴とする電子機器
  8. 一対の基板間に液晶を配置してなり、前記液晶の配置範囲内に、複数のサブ画素が配列
    された駆動領域と、該駆動領域の周囲に設けられた周辺領域とを有し、前記サブ画素内に
    は少なくとも一方の前記基板の前記液晶側の面に凹部が設けられるとともに当該液晶側の
    面上に配向膜が配置されてなる液晶装置の製造方法において、
    前記少なくとも一方の基板上に絶縁膜を部分的に形成し、或いは、当該絶縁膜の厚みを
    部分的に変えて形成することにより、前記駆動領域では、それぞれ複数の前記サブ画素に
    亘って所定方向に沿って平行に伸びるように構成された複数の前記凹部と、前記複数の凹
    部同士を連結する連結溝とが設けられると同時に、前記周辺領域における少なくとも前記
    駆動領域の前記所定方向側の隣接部分では、前記複数の前記凹部とそれぞれ連続する複数
    のダミー凹部と、隣接する前記ダミー凹部同士を連結するダミー連結溝とが設けられ、さ
    らに、前記所定方向側の隣接部分では、前記駆動領域における前記凹部と前記連結溝から
    なる凹凸構造と対応する構造を備えた前記ダミー凹部と前記ダミー連結溝からなるダミー
    凹凸構造が前記所定方向に沿って2周期以上設けられる工程と、
    前記少なくとも一方の基板の内面上に未硬化の配向材が配置される工程と、を具備する
    ことを特徴とする液晶装置の製造方法。
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