ここで、上記のように循環及び換気のためのファンや風路を別に構成してしまうと浴室乾燥機自体が非常に大型化してしまうため、限られた大きさの浴室に取り付けることが非常に困難になる。そこで循環風路や換気風路及びファン等を共通化することにより、浴室乾燥機を軽量、コンパクトにすることが現在の主流となっており、このように共通化することで、例えば循環風路を用いた乾燥モードの時であっても換気風路の一部やファンなども使用されるため上記のようなカビや錆の発生もなく好適と言える。
しかし、このように共通化された浴室乾燥機に、空気中の水分を吸着する除湿器を搭載しようとした場合に、この除湿器の使用状態によっては水分だけでなく、水分中に溶けた入浴剤や洗髪剤等の有機成分や、入浴剤や洗髪剤等が気化した有機ガスが付着したりカビが発生してしまうことがあるという問題が新たに生じた。特に、空気中の水分を吸着する複数の小さな除湿通路からなる回転除湿ロータを備えたデシカント式除湿器においては、この回転除湿ロータ(以下デシカントという)の上記小さな通路に上述の有機成分等が付着することにより除湿性能が低下したり、カビが発生してしまうという問題が顕著になる恐れがあった。
詳細には、除湿器のデシカントは浴室の空気吸込口から取り入れた多湿の空気を除湿する目的から空気吸込口の下流の循環風路内に設ける必要がある。この循環風路が先のように除湿器専用の循環風路ではなく、コンパクトにするために換気や乾燥モードの風路と兼用した場合には、除湿モードのみならず、換気や乾燥モードでもデシカントの小さな通路内を空気が常に通過することとなる。
ここで、デシカントは水分を積極的に吸着するゼオライト等の部材で構成されているため、換気や乾燥時の多湿空気が通過する際に水分の吸着を積極的に行うが、その際、水分だけでなく水分中に溶けた入浴剤や洗髪剤等の有機成分や、入浴剤や洗髪剤等が気化した有機ガスも一緒に吸着してしまう。ここで、除湿器の使用頻度が高ければ、除湿の際に再生ヒータが動作させられ、デシカントを高温化することで水分を蒸発させるとともに、この高温化に伴って吸着した有機成分等も放出されるため除湿性能が低下してしまうという問題を起こす心配は無い。
しかし、浴室乾燥機の使用形態の多くは換気モードで、次が乾燥モードであり、除湿モードの使用頻度はさほど高くない。よって、場合によっては上述の有機成分等の吸着により除湿性能を低下させてしまったり、これによってカビが発生してしまうという問題を生じてしまうおそれがあった。
そこで、本発明は、コンパクトな除湿機能付きの浴室乾燥機を提供するとともに、回転除湿ロータが水分中に溶けた入浴剤や洗髪剤等の有機成分や、入浴剤や洗髪剤等が気化した有機ガスを吸着して除湿性能が低下したり、カビが発生して異臭が発生したりすこともない除湿機能付きの浴室乾燥機を提供するものである。
請求項1に係る発明は、浴室の屋根裏に固定され、浴室内の空気を浴室外に排気、及び浴室内の空気を循環させる浴室乾燥機において、前記浴室内の空気を吸引する吸引口と、前記吸引口から吸引された空気中の水分を取り除く除湿器と、該除湿器に設けられ、前記吸引口から吸引された空気が通過する際に空気中の水分を吸着する複数の除湿通路からなる回転除湿ロータと、前記除湿器に設けられ、前記回転除湿ロータの下側で、かつ平面視で前記複数の除湿通路の一部と重なるように設けられた再生ヒータと、前記除湿器に設けられ、前記回転除湿ロータの上側で、かつ前記再生ヒータと対応する位置に入口が設けられた再生排気風路と、前記除湿器に設けられ、前記再生排気風路内に設けられた再生ファンと、前記吸引口から吸引され、前記回転除湿ロータの除湿通路を通過した空気を前記浴室内に吹き出すための循環吹出口と、前記吸引口から吸引され、前記回転除湿ロータの除湿通路を通過した空気を外部へ排出するための排気口と、前記回転除湿ロータと前記循環吹出口を連結する循環風路と、前記循環風路の途中から分岐していて、前記循環風路と前記排気口とを連結する排気風路と、前記循環風路と前記排気風路との分岐箇所に設けられた切換えダンパと、前記切換えダンパの上流の循環風路内に設けられた循環換気ファンと、前記浴室乾燥機を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記循環換気ファンを動作させて、前記浴室内の空気を循環させる循環モード、前記循環換気ファンを動作させて、前記浴室内の空気を外部へ排出する換気モード、前記回転除湿ロータを回転させながら、前記再生ヒータ及び前記再生ファンを動作させる除湿モード、及び前記回転除湿ロータをクリーニングするクリーニングモードを備えているとともに、所定タイミングで前記クリーニングモードを強制的に実行するように構成されている。
本発明に係る浴室乾燥機は、除湿器が使用されない循環モード及び換気モードの際にも、浴室から吸引する空気が回転除湿ロータを通過する構成になっている。この構成を採用することにより、浴室乾燥機全体をコンパクトなサイズで実現することができるが、その一方で、除湿を行わないときも小さな通路から構成される回転除湿ロータ中を多湿の空気が通過するので、回転除湿ロータが水分を吸着するとともに水分中に溶けた入浴剤や洗髪剤等の有機成分や、入浴剤や洗髪剤等が気化した有機ガスを吸着して除湿性能が低下するという問題が生じる。そこで、請求項1に係る本発明によれば、回転除湿ロータに吸着した水分および有機成分等を放出するクリーニングモードを備え、このクリーニングモードを所定のタイミングで実行することにより、回転除湿ロータの除湿性能を回復させることができる。
請求項2に係る発明は、前記クリーニングモードは、前記回転除湿ロータを回転させながら、前記再生ヒータ及び前記再生ファンを動作させるものであって、前記クリーニングモードが実行される所定タイミングは前記除湿モードとは異なる時間帯で強制的に実行されるものであることを特徴とする。
これによれば、クリーニングモードは、除湿モードと異なる時間帯に実行され、同時に実行されることはないため無駄が生じない。そして、除湿モードで動作していないときであっても、クリーニングモードとして回転除湿ロータを回転させながら再生ヒータ及び再生ファンが動作し、回転除湿ロータを高温にすることで吸着されている有機成分等を放出させ、除湿性能を回復させるよう構成したため、別途のクリーニング用の装置も必要がない。
請求項3に係る発明は、前記循環モード及び換気モードの少なくともいずれか一方の実行時に前記再生ヒータを非動作で前記回転除湿ロータを回転動作させる異物集中付着抑制制御を実行するように構成するとともに、所定のタイミングで前記クリーニングモードを実行するように構成したことを特徴とする。
循環または換気モードの動作中に、再生ヒータを非動作で前記回転除湿ロータを回転動作させる異物集中付着抑制制御を備えたため、回転除湿ロータの特定部分が集中的に汚れるのを抑制でき、長時間のクリーニングを行うことなくクリーニング性能を向上できる。すなわち、回転除湿ロータの再生排気風路入口に対応する部分を除く部分については、空気が通過する。従って、空気が通過した部分には、水分中に溶けた入浴剤や洗髪剤等の有機成分や、入浴剤や洗髪剤等が気化した有機ガスが付着するなどして回転除湿ロータの除湿性能が低下する。このとき、回転除湿ロータを回転させないと、空気が通過する部分だけが集中的に除湿性能が低下してしまう。しかし、本発明によれば、換気や循環モードでも回転除湿ロータを回転させることにより、回転除湿ロータの除湿性能の低下の偏りを防止できる。さらに、除湿性能が低下する部位が集中することを防止し、全体の除湿性能の低下度合いが均等になるようにできるため、再生ヒータで除湿性能を回復させる場合も効率的に行うことができるようになる。
請求項4に係る発明は、前記異物集中付着抑制制御は、前記回転除湿ロータを、所定時期に所定角度ずつ回転送りするように構成されていることを特徴とする。
これによれば、回転除湿ロータを所定時期に所定角度ずつ回転送りさせることにより、回転除湿ロータの汚れ方に偏りがなく、全体の汚れ具合を薄く均等にすることができ、一部分だけが目詰まりを起こすようなこともない。さらに、回転除湿ロータを所定時期に所定角度ずつ回転させることにより、一定時間ゆっくり回転させ続ける場合よりも節電効果が高いとともに、所定の時間回転除湿ロータが停止した状態が保たれるので、除湿性能の回復状態にムラをなくすことができる。
請求項5に係る発明は、前記異物集中付着抑制制御は、前記浴室内の湿度が高いほど前記除湿回転ロータの所定時間あたりの回転量が増加するよう構成されていることを特徴とする。
空気中の水分量が多い高湿度の場合の方が、回転除湿ロータが水分を吸着するとともに、水分中に溶けた入浴剤や洗髪剤等の有機成分や、入浴剤や洗髪剤等が気化した有機ガスを付着させてしまう。そこで、本発明によれば、浴室内の湿度が高いほど、回転除湿ロータの回転頻度を高くしたり、あるいは回転速度を速くする等で回転除湿ロータの所定時間あたりの回転量が増加するように構成することにより、回転除湿ロータへの有機成分等の付着の集中化を確実に防止でき汚れ具合を薄くより均等にすることができる。
請求項6に係る発明は、前記異物集中付着抑制制御における前記回転除湿ロータの所定時間あたりの回転量が、前記除湿モードにおける所定時間あたりの回転量よりも小さくなるよう構成されていることを特徴とする。
これにより、回転除湿ロータを回転させる場合、除湿モードで回転除湿ロータを回転させるときの回転速度よりも遅くすることにより、無駄にエネルギを使うことなく、有機成分等の付着の集中化を防止することができる。
請求項7に係る発明は、前記クリーニングモードの前記回転除湿ロータの回転速度は、前記除湿モードの回転速度よりも小さくなるよう構成されていることを特徴とする。
これにより、クリーニングを行うときに、除湿モードのときよりも回転除湿ロータの回転速度を遅くすることにより、回転除湿ロータに付着した有機成分等の放出を促進することができる。つまり、回転除湿ロータの回転速度が速いと、回転除湿ロータを高温化するのに時間やエネルギを多く必要となるが、回転速度を低下させることによって短時間で効率的に再生ヒータで有機成分等を十分に放出させることができ省エネルギ化を図ることができる。
請求項8に係る発明は、前記クリーニングモードでの前記再生ヒータの温度は、前記除湿モードの再生ヒータの温度よりも高くなるよう構成されていることを特徴とする。
クリーニングモードでの再生ヒータの温度を、除湿モードで回転除湿ロータが吸着した水分を放出させるために加熱するときの温度よりも高くすることにより、回転除湿ロータに付着した有機成分等を短時間で確実に放出させることができる。つまり、回転除湿ロータから水分を放出させるための加熱を行うときよりも、高い温度で加熱することで、回転除湿ロータに付着した有機成分等が放出され尽くされるようになる。
請求項9に係る発明は、前記クリーニングモードが実行される所定タイミングは、前記除湿モード以外のモードでの運転が開始されてから所定時間経過後であることを特徴とする。
これにより、除湿モード以外のモードでの運転が開始されてから所定時間が経過してから回転除湿ロータのクリーニングが実行されるので、クリーニングの開始時は浴室内の湿度が高く回転除湿ロータが水分の吸着とともに有機成分等も吸着している最中であるためクリーニングを行っても、終了後に再度汚れている可能性が高く、カビの発生等が懸念される。本請求項に基づけば、所定時間経過後で湿度もある程度低下した状態になってから回転除湿ロータのクリーニングを行うように構成しているため回転除湿ロータに有機成分等が付着した時点でクリーニングを実行させることになり、さらに終了時点では再度有機成分等が付着する可能性も低くなっているので、有機成分等の付着によるカビの発生等を防止できる。
請求項10に係る発明は、前記クリーニングモードが実行される所定タイミングは、前記除湿モードが選択された時であって、該除湿モードを実行する前に強制的にクリーニングモードを実行し、クリーニングモードの終了で除湿モードに移行するよう構成されていることを特徴とする。
除湿モードが実行されるにあたり、回転除湿ロータに有機成分等が付着していたり、カビが発生していると、再生ヒータの熱により、有機成分やカビが除去され、それが浴室内に循環して戻ってくるため、異臭等によって使用者に不快感を与えるという問題がある。本請求項に基づけば除湿モードの実行時にまず回転除湿ロータのクリーニングを行うと同時に換気を行うことにより、除湿モード開始時に生じることがあった異臭の発生を防止することができる。つまり、除湿モードで回転除湿ロータを加熱すると、回転除湿ロータに付着した有機成分等カビなどに起因する異臭が生じることがあるが、このときにクリーニングを行って有機成分等カビなどを事前に回転除湿ロータから放出させてしまうとともに、換気を行って浴室の空気を排気することにより、浴室内に異臭が発生しないようにすることができる。
請求項11に係る発明は、前記クリーニングモードが実行される所定タイミングは、前記再生ヒータが非動作の状態で運転される運転モードの累積時間である第1累積時間が所定時間以上になった時であり、該第1累積時間は前記再生ヒータが動作される運転モードの実行で累積時間がリセットされるように構成されていることを特徴とする。
これにより、再生ヒータが以前に動作してから非動作の状態、つまり、除湿モードやクリーニングモード等の再生ヒータが動作しないモードでの運転時間の累積が所定時間以上になると、回転除湿ロータに有機成分等が吸着している可能性が高い。よって、その時点でクリーニングを行うことにより効率的に、かつ確実に回転除湿ロータの再生ができる。
請求項12に係る発明は、前記クリーニングモードが実行される所定タイミングは、前記浴室乾燥機の電源がオンされている累積時間である第2累積時間が所定時間以上になった時であり、該第2累積時間は前記再生ヒータが動作される運転モードの実行で累積時間がリセットされるように構成されていることを特徴とする。
これにより、再生ヒータが以前に動作してから浴室乾燥機の電源がオンされている時間、すなわち何ら運転を行わない時間を含めた第2累積時間が所定時間以上になった時も、浴室は高温多湿であるため、何等の運転がなされなかったとしても回転除湿ロータに有機成分が吸着している可能性が高い。本請求項に基づけば、浴室乾燥機の電源がオンされている時間の累積が所定時間以上になると、その時点でクリーニングを行うことにより効率的に、かつ確実に回転除湿ロータの再生を行うことができる。
請求項13に係る発明は、前記クリーニングモードが実行される所定タイミングは、予め設定された所定の時刻であることを特徴とする。
これにより、所定の時刻になると強制的にクリーニングモードを実行するため回転除湿ロータの有機成分等を除去でき常に衛生的に保つ事ができる。
請求項14に係る発明は、設定登録することで所定時間後に前記換気モードまたは循環モードを動作させるタイマ予約機能を備え、前記制御手段は、前記クリーニングモードが実行される所定タイミングであると判断しても、前記タイマ機能によるタイマ予約が設定登録されている場合は前記クリーニングモードの実行を中止し、前記タイマ予約された運転モードの実行時にクリーニングモードを実行させるように構成していることを特徴とする。
これにより、クリーニングモードが実行される所定タイミングであるとしても、現時刻以降にタイマー予約運転が実行されるようであれば、現時点でのクリーニングを中止し、タイマー予約運転時にそれを実行するように構成したことで、省エネルギ化することができる。すなわち、現時点でクリーニングを行っても、タイマー予約運転が実行されることで回転除湿ロータは汚れるため無駄であるとともに、タイマー予約運転でクリーニングモードが実行されなければ有機成分等の付着によるカビの発生等の懸念もある。すなわち、タイマー予約が設定されている時はすぐ後に運転が行われることが解っているので効率的にクリーニングを行うようにしたものである。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る除湿機能付き浴室乾燥機(以下、「浴室乾燥機」と略記する)について説明する。
まず、図1〜図13を参照して、その浴室乾燥機の概要を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る浴室乾燥機の使用形態の一例を示す。
本実施形態に係る浴室乾燥機1は、浴室400の天井裏に設置される。この浴室乾燥機1は、浴室400内の乾燥、暖房或いは除湿など、様々なことを行うことができる。
図2は、浴室乾燥機1の下方からの斜視図である。以下の説明では、浴室側を「下」と言い、その反対側を「上」と言うことがある。
浴室乾燥機1には、ケース503に収納される乾燥機本体501があり、乾燥機本体501には、乾燥機本体501の下面の少なくとも一部(例えば図示のように実質的に全域)を覆うカバーが取り付けられる。例えば、乾燥機本体501の下面に、内部グリル911が取り付けられ、その内部グリル911の下面に、カバーとして表面グリル509が取り付けられる。ケース503は、直方体状の箱となっているが、形状はそれに限らず種々の形状を採用し得る。
乾燥機本体501の一側面には、浴室内から吸われた空気を浴室乾燥機1の外に排出するための図示しない排気口があり、ケース503には、その排気口から排出される空気が流れる図示しない排気ダクトが取り付けられる。
乾燥機本体501の下面には、浴室内への空気の吹出口507と、その吹出口507からの風の向きを調節する可動ルーバー505とが備えられる。空気の乾燥機本体501の下面全域を覆う表面グリル509には、可動ルーバー505を目視でき可動ルーバー505の開閉動作の妨げとならないようなサイズの窓508が設けられている。
乾燥機本体501の下面と表面グリル509との間には、或る程度の隙間があり、その隙間が、浴室乾燥機1にとっての吸込口511となっている。換言すれば、浴室乾燥機1の側面全て或いは一部に、吸込口511が設けられ、いわゆる側面吸気が行われるようになっている。吸込口511から吸い込まれた空気は、乾燥機本体501の下面から乾燥機本体501の内部に入る。
内部グリル911の側面には、フィルタ挿入口513が形成されている。そこから、フィルタ枠515に固定されたフィルタ517を差し込むことができる。フィルタ517は、吸込口511から吸い込まれた空気に含まれている塵やほこりが、乾燥機本体501の内部に侵入しないようにするためのものである。
図3は、浴室乾燥機1の乾燥機本体501の下方からの斜視図である。すなわち、この図3は、図2に示した浴室乾燥機1から内部グリル911、表面グリル509及びケース503を除去した場合の外観図である。
乾燥機本体501からの空気の吹出口である本体吹出口990に、可動ルーバー505があり、可動ルーバー505の近傍に、可動ルーバー505を駆動するモータ(以下、ルーバー用モータ)533が備えられる。
乾燥機本体501の下面全周には、フランジ539が設けられている。そのフランジ539に、内部グリル911が取り付けられる。
乾燥機本体501の内部には、図示しない後述の除湿ロータが搭載され、その除湿ロータの下側に対向した場所に、除湿ロータケース523が取り付けられる。除湿ロータケース523の除湿ロータに対向するエリアには、空気の通過の妨げにならないような格子(以下、除湿ロータケース格子)527が張られている。また、乾燥機本体501の内部には、図示しない後述の再生ヒータが搭載され、乾燥機本体501の下面において、再生ヒータに対向するエリアには、エキスパンドメタル531が取り付けられる。
本実施形態では、乾燥機本体501の下面に、空気の吸込口(以下、浴室乾燥機1の側面の吸込口511と混同しないようにするため、「本体吸込口」という言葉を用いる)540が設けられ、上記側面吸気された空気が本体吸込口540を介して乾燥機本体501に吸い込まれる。本体吸込口540は、例えば、図3に例示するように、後述の循環ファンが回転することによって吸い込まれる空気の吸込口(以下、循環ファン吸込口)540Aと、後述の再生ファンが回転することによって吸い込まれる空気の吸込口(以下、再生ファン吸込口)540Bとに仕切ることができる(仕切ることなく一つの共通の吸込口とされてもよい)。
図4は、図3の乾燥機本体501の上方からの斜視図である。
フランジ539を有しqの字状の収納スペースを有するケース(以下、「内部ケース」と言う)504に、浴室乾燥機1の種々の構成要素(例えば、後述する循環ファンや、その循環ファンを駆動するためのモータ(以下、循環ファン用モータ)541など)が備えられる。この内部ケース504では、循環ファンから吹出された空気が、排気風路100を経て、排気口521から図示しない排気ダクトへ排出される。
内部ケース504におけるqの字状の収納スペース以外の空いたスペースに、図示しない後述の再生ファンを駆動するためのモータ(以下、再生ファン用モータ)535と、浴室乾燥機1の種々の構成要素を制御するための制御装置519とが備えられる。
図5Aは、浴室乾燥機1の底面図である。図5Bは、浴室乾燥機1の上面図である。図6は、図5Aの6−6断面図である。図7は、図5Bの7−7断面図である。以下の説明では、便宜上、排気口521が存在する側を「左」と言い、それと逆の側を「右」と言い、図6の紙面表側(排気口がある面を正面とした場合の左側)を「前」と言い、図6の紙面裏側を「後」と言う。これは、図5A及び図6を参照した説明に限らず、他の図を参照する場合(例えば、図7のように、図6の浴室乾燥機1とは左右逆にして示されている場合)にも同様である。
内部グリル911に、表面グリル509を係止するための溝(以下、係止溝)609がある。表面グリル509の上面に設けられた爪(グリル係止爪)607が係止溝609に引っ掛かることにより、表面グリル509が内部グリル911に係止される。
浴室乾燥機1内の右側の部分に、除湿ロータ10、除湿ロータ用モータ60、再生ヒータ40、循環ファン20及び循環ファン用モータ541が備えられる。一方、浴室乾燥機1内の左側の部分に、可動ルーバー505、吹出口507、暖房ヒータ30、ダンパ70、ダンパ用モータ611、再生ファン50及び再生ファン用モータ535が備えられる。乾燥機本体501内には、循環ファン20へ連通し後述の循環風路900へと続く風路と、後述の再生風路200とが形成されている。これにより、循環ファン20及び再生ファン50のうち循環ファン20のみを回転させた場合には、浴室乾燥機1の側面にある吸込口511から循環ファン吸込口540Aを経て除湿ロータ10を介して上方へと空気が吸引される。循環ファン20及び再生ファン50の両方を回転させた場合には、浴室乾燥機1の側面にある吸込口511から吸い込まれた空気の一部が循環ファン吸込口540Aを経て除湿ロータ10を介して上方へと吸引され、残りの一部が再生ファン吸込口540Bを経て除湿ロータ10を介して再生風路200へと吸引される。以下、これらの点や各構成要素について詳細に説明する。
除湿ロータ10は、円盤状のデシカント部材であり、上下方向に空気が通過できるような風路を有している(例えば上下方向に貫けた多数の孔がある)。具体的には、例えば、除湿ロータ10は、水分を吸着するための吸着剤(例えば、ゼオライト及び/又はシリカゲル)が担持された、セラミックス製のペーパであり、いわゆるハニカム構造になっている。つまり、除湿ロータ10の上下方向の空気が通過する風路は、細かく区切られた複数の風路の集合となっていて、各風路で水分の吸着が行われる。除湿ロータ10の直径は、例えば150乃至300ミリメータ程度であり、その厚みは15乃至50ミリメータ程度である。除湿ロータ10は、乾燥機本体501の下面にある本体吸込口540の付近に設けられ、本体吸込口540から入った空気の全部或いは大部分が通るようなサイズに構成されている。
除湿ロータ用モータ60は、除湿ロータ10の中心を回転軸として除湿ロータ10を回転させるモータである。除湿ロータ用モータ60は、除湿ロータ10と循環ファン20との間の空間内の所定の場所(例えば、除湿ロータ10の上面付近)に搭載される。
再生ヒータ40は、除湿ロータ10の上流側、例えば、除湿ロータ10の下面の或る部分の真下に搭載される。再生ヒータ40の水平方向のサイズは、除湿ロータ10の水平方向のサイズよりも小さい(例えば除湿ロータ10の水平方向サイズの4分の1以下である)。再生ヒータ40の発熱により、除湿ロータ10が、吸着した水分を放出し、それにより、除湿ロータ10の除湿能力が再生する。具体的には、除湿ロータ10を回転させつつ再生ヒータ40が発熱すれば、再生ヒータ40により加熱された空気が除湿ロータ10を通ることにより、除湿ロータ10の各部で吸着した水分が放出されるので、水分を吸着したことによって低下した除湿ロータ10の除湿能力を再生することができる(その際、再生ファン50を回転させることにより、除湿ロータ10から放出された水分を浴室外へ排出することができる)。また、再生ヒータ40が発熱することにより、除湿ロータ10に付着した異物(例えば水分中に溶けた入浴剤や洗髪剤等の有機成分や、入浴剤や洗髪剤等が気化した有機ガス)を放出させることもでき、それにより、除湿ロータ10の除湿性能の低下を解消することもできる。
循環ファン20の上に循環ファン用モータ541が取り付けられている。循環ファン20は、例えば遠心型のファンであり、循環ファン用モータ541の駆動により回転する。この循環ファン20が回転することにより、浴室乾燥機1の側面にある吸込口511から浴室内の空気が吸われ、その吸われた空気が、循環ファン吸込口540Aから除湿ロータ10を介して上方へと流れる。上方へと流れたその空気は、ダンパ70の開閉状態に応じて、排気風路100と循環風路900の下流部900Bとのうちの少なくとも一方に流れる。なお、除湿ロータ10よりも上流の空気の温度を検出するための温度センサ551Aと、その空気の相対湿度を検出するための湿度センサ553が、除湿ロータ10と本体吸込口540との間の空間における所定の場所に備えられる。具体的には、例えば、各センサ551A、553は、再生ヒータ40の高さ位置と同程度の位置に備えられる。
循環ファン20により除湿ロータ10を介して吸われた空気は、循環ファン20から左側にかけた空間に流れる。循環ファン20の左隣には、更に左へと延設され途中から下へと延びた循環風路900が設けられている。循環風路900は、左へと延設された部分(換言すれば、循環ファン20の左隣の空間)である上流部(以下、循環風路上流部)900Aと、上流部900Aから下へと延びた下流部(以下、循環風路下流部)900Bとで構成することができる。循環風路上流部900Aは、循環風路下流部900Bと、左方向の排気口521へと延びた排気風路100とに分岐している。排気風路100を流れる空気は、排気口521及び排気ダクト555を介し浴室外に排出される。一方、循環風路下流部900Bを流れる空気は、吹出口507から浴室内に排出される。循環ファン20の左に流れた空気が排気風路100と循環風路下流部900Bとのどちら又は両方に流れるかは、循環風路上流部900A(循環ファン20の左隣空間)に設けられたダンパ70の開閉状態によって決まる。ダンパ70の開閉状態は、ダンパ用モータ611の駆動を制御することにより、調節することができる。これらの点については、図10以降を参照して詳細に説明する。
循環風路900の下流側(例えば吹出口507の付近)に、暖房ヒータ30が備えられる。暖房ヒータ30が発熱することにより、暖房ヒータ30を通る空気が暖められ、暖められた空気が、吹出口507から浴室内へと出される。なお、暖められた空気の温度を検出するための温度センサ551Bが所定の場所に備えられる。具体的には、例えば、温度センサ551Bは、暖房ヒータ30の下流側、より具体的には、例えば、暖房ヒータ30と可動ルーバー505との間に備えられる。暖房ヒータ30や再生ヒータ40としては、種々のヒータを採用し得るが、例えば、PTC(Positive Temperature Coefficient:正温度係数)ヒータを用いることができる。PTCヒータは、抵抗体の電気抵抗値が、温度上昇と共に増加するために、自己温度制御性を有する。
排気風路100の途中(例えば排気口521の近傍)に、再生風路200の出口563が備えられる。再生風路200は、除湿ロータ10の下流側の或る位置(例えば、除湿ロータ10を介して再生ヒータ40に対向した位置)から左へと延び、或る途中位置(例えば乾燥機本体501の左面付近)から上へと延び、再生ファン50の有る位置から前と延びて排気風路100の途中に繋がる。再生風路200を流れる空気は、排気風路100に出て、排気口521及び排気ダクト555を介し浴室外に排出される。なお、再生風路200の途中には、下流へと進んだ多湿の空気が浴室内へと逆流しないようにするための逆流防止弁613が設けられている。
再生ファン50の上に再生ファン用モータ535が取り付けられている。再生ファン50は、例えば遠心型のファンであり、再生ファン用モータ535の駆動により回転する。この再生ファン50が回転することにより、浴室乾燥機1の側面にある吸込口511から浴室内の空気が吸われ、その吸われた空気が、再生ファン吸込口540Bから再生ヒータ40を通り除湿ロータ10を介して上方へと流れる。上方へと流れたその空気は、再生風路200へと流れる。
以上が、浴室乾燥機1の構成の概要である。なお、浴室乾燥機1には、浴室とは別の部屋からの空気が流れるダクト(以下、便宜上「他室用吸気ダクト」と言う)557が接続され、他室用吸気ダクト557を介して別部屋の空気を乾燥機本体501内に吸気しても良い。吸気された空気が、所定の場所、例えば、除湿ロータ10の下流側に出るように構成することができる。この場合、循環ファン20によって吸われた空気と同様に、排気口512から排気するか、或いは、浴室内に出すかを制御することができる。別部屋の空気を吸気するか否かは、例えば、他室用吸気ダンパ601の開閉状態(例えば開くか閉じるか)によって、制御することができる。この制御は、例えば、制御装置519が行うことができる。
図8は、浴室乾燥機1の制御系を示すブロック図である。
制御装置519は、例えば、CPU625やメモリ621を備えている。CPU625は、例えば、操作パネル700、温度センサ551A、551B及び湿度センサ553のうちの少なくとも一つから信号を受けた場合、その信号を基に、循環ファン用モータ541、再生ファン用モータ535、除湿ロータ用モータ60、ダンパ用モータ611、暖房ヒータ30、再生ヒータ40及びルーバー用モータ623のうちの少なくとも一つを必要に応じて制御することができる。換言すれば、例えば、CPU625は、循環ファン20の回転、再生ファン50の回転、除湿ロータ10の回転、ダンパ70の開閉の度合い、暖房ヒータ30による発熱、再生ヒータ40による発熱、及び可動ルーバー505を制御することができる。
図9は、操作パネル700の一例を示す。
操作パネル700は、浴室乾燥機1のユーザインタフェース(例えばリモートコントローラ)である。操作パネル700には、浴室乾燥機1が実行できる複数の運転モードにそれぞれ対応した複数の運転モードスイッチが備えられている。具体的には、例えば、「換気」、「衣類乾燥」、「浴室除湿」、「暖房」、「涼風」、「24時間換気」及び「カビ対策」などの運転モードにそれぞれ対応した運転モードスイッチが搭載されている。ユーザは、浴室乾燥機1に実行してもらいたい運転モードに対応した運転モードスイッチを操作することにより、所望の運転モードを浴室乾燥機1に実行させることができる。
制御装置519は、操作パネル700の或る運転モードスイッチの投入信号を受けた場合、温度センサ551A、551B及び湿度センサ553のうちの少なくとも一つの検出結果(例えば相対湿度)から、循環ファン20、暖房ヒータ30、再生ヒータ40、再生ファン50、除湿ロータ用モータ60及びダンパ70のうちの少なくとも一つを制御し、それにより、投入されたスイッチに対応する運転モードを実行する。
ここで、本実施形態に係る浴室乾燥機の運転モードには、大きく分けて「換気」モードと「乾燥制御」モードとがある。「換気」モードは、浴室内の空気を外部へ排気することを目的とするモードである。「乾燥制御」モードは、空気を循環させて、浴室内を乾燥させることを目的とするモードであり、複数の動作モードが含まれる。例えば、本実施形態では、以下に説明する「除湿」モード、「衣類乾燥」モード、「涼風」モード、「暖房」モード及び「カビ対策」モードが「乾燥制御」モードに含まれる。
以下、図10〜図13を参照して、各運転モードにおける空気の流れを説明する。
図10は、「除湿」モードの場合のダンパの状態や空気の流れを示す。なお、図10は、空気の流れやダンパの状態を説明するための模試的な図であるため、排気風路100を通った空気と再生風路200を通った空気が別々の排気口から排出されるように見えるが、本実施形態では、排気口512は前述したように一つである。これは、他の図11〜13についても同様である。
制御装置519は、「除湿」モードの場合、図10に示すように、除湿ロータ10を或る回転速度(例えば、毎分0.5回転程度)で回転させる。また、制御装置519は、循環ファン20及び除湿ロータ10を回転させ、ダンパ70を全閉状態(排気風路100の入口を完全に遮断し、循環ファン20の左側の空間に出た空気の全てが循環風路下流部900Bに流れる状態)にし、暖房ヒータ30の電源をオフ状態とする。また、制御装置519は、再生ファン50を回転させ、再生ヒータ40の電源をオン状態とする。これにより、矢印A、B、C及びDに示すように、浴室内の空気が除湿されつつ循環し、また、矢印F、G及びHに示すように、多湿の空気が再生風路200から排気ダクトを介して浴室外に排出される。つまり、「除湿」モードによれば、浴室から多湿の空気を吸引し、除湿ロータ10で水分を吸着することにより湿気の少なくなった空気を浴室に吹出すようになっており、その間、水分を吸着することにより低下した除湿ロータ10の除湿能力が再生ヒータ40により再生されるので、浴室内を除湿することができる。
なお、例えば、暖房ヒータ30や再生ヒータ40に、発熱量を調節できる機能が搭載されているような場合には、電源オン状態の代わりに所定量以上の発熱、電源オフ状態の代わりに所定量以下の発熱という制御が行われても良い。
図11は、「衣類乾燥」モード及び「涼風」モードの場合のダンパの状態や空気の流れを示す。
制御装置519は、「衣類乾燥」モードの場合、図11に示すように、循環ファン20を回転させるが、除湿ロータ10及び再生ファン50を回転させない。また、制御装置519は、暖房ヒータ30の電源をオン状態とするが、再生ヒータ40の電源はオフ状態とする。さらに、制御装置519は、ダンパ70を半開状態(排気風路100の入口と循環風路下流部900B入口との両方を完全には遮断せず、循環風路上流部900Aに出た空気の一部が排気風路100に流れ残りの一部が循環風路下流部900Bに流れる状態)にする。これにより、「衣類乾燥」モードによれば、矢印A、B、C及びEに示すように、循環ファン20に吸われた空気の一部が排気風路100から排気ダクトを介して浴室外に排出され、矢印A、B、C及びDに示すように、浴室内の空気を加熱しながら循環させることで、浴室内に干された衣類の乾燥を促進させることができる(しかし、「除湿」モードと違って、除湿ロータ10及び再生ファン50は回転せず再生ヒータ40の発熱が行われないので、除湿ロータ10の再生は行われない)。
なお、「涼風」モードの場合は、暖房ヒータ30の電源もオフ状態とされる点が「衣類乾燥」モードの場合と異なるが、他は同じである。
図12は、「暖房」モードの場合のダンパの状態や空気の流れを示す。
制御装置519は、「暖房」モードの場合、図12に示すように、循環ファン20を回転させるが、除湿ロータ10及び再生ファン50を回転させない。また、制御装置519は、暖房ヒータ30の電源をオン状態とするが、再生ヒータ40の電源はオフ状態とする。さらに、制御装置519は、ダンパ70を全閉状態にする。これにより、「暖房」モードでは、矢印A、B、C及びDに示すように、浴室内の空気が暖められつつ循環する(「暖房」モードでも、除湿ロータ10及び再生ファン50は回転せず再生ヒータ40の発熱が行われないので、除湿ロータ10の再生は行われない)。
図13は、「換気」モードの場合のダンパの状態や空気の流れを示す。
制御装置519は、「換気」モードの場合、図13に示すように、循環ファン20を回転させるが、除湿ロータ10及び再生ファン50を回転させない。また、制御装置519は、暖房ヒータ30の電源も再生ヒータ40の電源もオフ状態とする。さらに、制御装置519は、ダンパ70を全開状態(循環風路下流部900Bの入口を完全に遮断し、循環風路上流部900Aに出た空気の全てが排気風路100に流れる状態)とする。これにより、「換気モード」では、矢印A、B、C及びEに示すように、浴室内の空気が排気風路100から排気ダクトを経て浴室外に排出される(「換気」モードでも、除湿ロータ10及び再生ファン50は回転せず再生ヒータ40の発熱が行われないので、除湿ロータ10の再生は行われない)。なお、「換気」モードでは、循環ファン20の回転に代えて又は加えて、再生ファン50を回転させてもよい。
上述するように、本実施形態に係る浴室乾燥機は、「除湿」モード以外のモードで運転を行った場合でも、循環ファン20が回転することで、浴室内の空気が除湿ロータ10を通過して循環風路900へと吸い込まれる。従って、「除湿」モード以外のモードで運転を行うと、除湿ロータ10には空気中の水分だけでなく、水分中に溶けた入浴剤や洗髪剤等の有機成分や、入浴剤や洗髪剤等が気化した有機ガスが付着する。これを放置すると、除湿ロータ10の除湿性能が低下したり、カビが発生したりする原因となる。そこで、本実施形態に係る浴室乾燥機は、除湿ロータ10のクリーニングを行うクリーニングモードを備えている。以下、クリーニングモードを実行するか否かの判定などを行うクリーニング判定制御について説明する。
本実施形態に係る浴室乾燥機のクリーニング判定制御には、5つの態様がある。各クリーニング判定制御は、いずれも、本実施形態に係る浴室乾燥機の電源がオンされている間、適当なタイミングで実行される。第1〜第5のクリーニング判定制御について、図14〜図20を用いて説明する。
図14は、制御装置519による第1のクリーニング判定制御の処理手順を示す。第1のクリーニング判定制御では、強制的にクリーニングモードを実行する。
本実施形態に係る浴室乾燥機は、強制クリーニングを実行したか否かを示すフラグFを有し、制御装置519が、強制クリーニング実行前はフラグFを0、強制クリーニング実行後はフラグFを1とする。
まず、このクリーニング判定制御が開始されると、制御装置519は、浴室乾燥機の電源投入時であるか否かを判定する(S101)。そして、電源投入時であれば(S101:Yes)、フラグFに0をセットし(S102)、電源投入時でなければ(S101:No)、フラグFに1がセットされているか否かを判定する(S103)。そして、フラグFが1であれば(S103:Yes)、処理を終了する。
つぎに、フラグFが0であるか、あるいはフラグFに0がセットされた後、制御装置519は、現在「除湿」モードで動作中であるか否かを判定する(S104)。そして、「除湿」モードで動作中であれば、このクリーニング判定制御を終了する(S104:Yes)。つまり、クリーニングモードは、「除湿」モードとは異なる時間帯に実行され、同時に実行されることはない。
「除湿」モードで動作中でなければ、制御装置519は、他の動作モードを動作させるためのタイマがセットされているか否かを判定する(S105)。タイマが設定されている場合は、タイマにより他の動作モードが起動される時刻になっているか否かを判定する(S106)。タイマ起動時刻になっていないときは、このクリーニング判定制御を終了する(S106:No)。
一方、タイマが設定されていない場合は(S105:No)、制御装置519は、浴室内の湿度が所定値以下であるか否かを判定する(S107)。そして、湿度が所定値以下でないときは(S107:No)、電源投入から所定時間が経過したか否かを判定する(S108)。電源投入から所定時間が経過していないときは(S108:No)、このクリーニング判定制御を終了する。
この結果、ステップS106でタイマが設定されているときに、タイマの起動時刻になったとき(S106:Yes)、ステップS107で湿度が所定湿度以下であるとき(S107:No)、または、ステップS108で電源投入から所定時間が経過したとき(S108:Yes)のいずれかの条件が満たされた場合に、フラグFに1をセットして、強制的にクリーニングモードを実行する(S109、S110)。
これにより、他の運転モードで動作しているときは、その動作中にクリーニングモードを実行すると消費電力の節約になる。また、所定の湿度以下のときにクリーニングモードを実行すると、除湿ロータ10に付着した有機成分等を効率的に放出することができる。さらに、浴室乾燥機の電源がオンの状態が所定時間以上になれば、運転時間が短くても除湿ロータに有機成分等が付着することがあるので、そのような場合にも強制クリーニングを行うことができる。
ここで、クリーニングモードの具体的な処理内容を、図15及び図16を参照して説明する。
図15及び図16は、制御装置519が行うクリーニングモードの第1及び第2の処理手順を示すフローチャートである。
図15を参照すると、制御装置519は、まず、再生ヒータ40の電源をオンする(S211)。このとき、ヒータの強度を最高とする。これは、除湿ロータ10に付着した有機成分等を完全に放出させるためである。
また、制御装置519は、除湿ロータ用モータ60を回転させて、除湿ロータ10を回転させる(S212)。このとき、回転速度は最低速度とする。これは、回転速度が速いと除湿ロータ10を高温とするのに長時間を要するからである。
さらに、このとき、制御装置519は、再生ファン50をオンして、再生風路200からの排気を行う(S213)。
そして、クリーニングモードを開始してから除湿ロータ10が所定の回転数だけ回転するまで、再生ヒータ40による加熱、及び再生ファン50による排気を継続する(S214)。除湿ロータ10が所定の回転数だけ回転したら(S214:Yes)、再生ヒータ40、除湿ロータ10、及び再生ファン50をいずれもオフして、クリーニングモードを終了する(S215)。
図16を参照すると、制御装置519は、まず、除湿ロータ10を所定の送り角度だけ回転させる(S221)。この送り角度は、例えば1/4回転くらいでよい。そして、制御装置519は、再生ヒータ40の電源をオンする(S222)。
さらに、このとき、制御装置519は、再生ファン50をオンして、再生風路200からの排気を行う(S223)。
ここで、図15の場合と異なり、再生ヒータ40で加熱しているとき、除湿ロータ10は停止している。そこで、制御装置519は、この停止した状態が所定時間経過したかどうかを判定する(S224)。この停止した状態が所定時間経過すると、制御装置519は、クリーニングモードを開始してからの除湿ロータ10の回転数が、所定の回転数に達したか否かを判定する(S225)。
ここで、終了条件となる回転数は、図16の処理の方が図15の処理よりも少なくてよい。なぜならば、図15の処理では、再生ヒータ40で加熱している間、常時除湿ロータ10を回転させているのに対して、図16の処理では、除湿ロータ10を所定時間停止させ、集中的に加熱するからである。
除湿ロータ10が所定回転数に達しない間は(S225:No)、ステップS221へ戻って処理を繰り返す。所定回転数に達すると(S225:Yes)、再生ヒータ40、除湿ロータ10、及び再生ファン50をいずれもオフして、クリーニングモードを終了する(S226)。
次に、図17は、制御装置519による第2のクリーニング判定制御の処理手順を示す。
まず、制御装置519は、浴室乾燥機が除湿モードで運転中であるか否かを判定する(S121)。除湿モードで運転中は、処理を終了する(S121:Yes)。
除湿モードで運転中でないときは(S121:No)、制御装置519は、除湿ロータ10を所定時間ごとに所定角度ずつ回転させる(S122)。この回転角度は、例えば1/2回転、あるいは1/4回転などでよいが、これに限定されない。
ここで、「除湿」モード以外のモードでは、再生ファン40を回転させず、循環ファン20を回転させている。従って、この場合には、主に、除湿ロータ10の循環風路900の入口に対応する部分を空気が通過し、再生風路200の入口に対応する部分は空気が通過しない。従って、除湿ロータ10を回転させないで長時間「除湿」モード以外のモードで運転すると、空気が通過する循環風路900の入口に対応する部分に有機成分等が付着する一方、空気が通過しない再生風路200の入口に対応する部分は、ほとんど付着しない。つまり、除湿ロータ10の汚れ具合に偏りが生じることになる。
そこで、ステップS122では、これを防止して、除湿ロータ10への有機成分の付着度合いが均等になるように、「除湿」モード以外のときに除湿ロータ10を回転させる、異物集中付着抑制制御を行う。除湿ロータの汚れ方が均等になることにより、クリーニングを効率的に行うことができる。
そして、除湿ロータ10が所定の回転数、例えばここでは2回転したときは(S123:Yes)、クリーニングを実行する(S124)。
図18は、制御装置519による第3のクリーニング判定制御の処理手順を示す。
第3のクリーニング判定制御は、第2のクリーニング判定制御と除湿ロータ10の回転させ方が異なるようになっている。すなわち、第2のクリーニング判定制御では、除湿ロータ10を所定時間ごとに所定角度ずつ回転させたが(S122)、第3のクリーニング判定制御では、除湿ロータ10を最も遅い回転速度で連続的に回転させる、異物集中付着抑制制御を行う(S132)。
そして、除湿ロータ10の回転数が所定回転数、ここでは5回転になると、(S133:Yes)、クリーニングを実行する(S134)。
ここで、クリーニングを実行するか否かの判定を行う基準の回転数が、クリーニング判定制御2では2回転であるのに対して、クリーニング判定制御3では5回転と回数を多くしているのは、クリーニング判定制御3では除湿ロータ10を連続回転させているからである。
なお、クリーニング判定制御2、及びクリーニング判定制御3の場合において、浴室内の湿度が高いほど除湿ロータ10の回転頻度を高くし、または回転速度を速くするようにしてもよい。これは、空気中の水分量が多いほど、除湿ロータ10に有機成分等が付着しやすくなるからである。
次に、図19は、制御装置519による第4のクリーニング判定制御の処理手順を示す。
制御装置519は、浴室乾燥機がいずれかの運転モードで動作中であるか否かを判定する(S141)。そして、浴室乾燥機がいずれの動作モードでも運転中でないときは(S141:No)、予め定められているクリーニング開始の設定時刻であるか否かを判定する(S142)。設定時刻になっていれば(S142:Yes)、クリーニングモードを実行する(S145)。
これにより、ユーザが設定した時刻にクリーニングを実行することができる。
一方、浴室乾燥機がいずれかの動作モードで運転中の場合(S141:Yes)、その運転モードが「除湿」モードであり、かつ「除湿」モードの運転開始タイミングであれば(S143:Yes)、制御装置519は、「換気」モードに設定する。つまり、「除湿」モードの運転を実行する前に、強制的に換気モードに設定した後、クリーニングモードを実行する(S145)。
これにより、「除湿」モードの運転を実行する前に、まず換気運転を行いつつ、除湿ロータ10のクリーニングを行うことができる。そして、クリーニング終了後は、そのまま「除湿」モードに移行する。こうすることで、「除湿」モードの開示前に、強制的にクリーニングを実行して、除湿ロータ10に付着した有機成分、カビなどに起因して発生することがある異臭を防止できる。
次に、図20は、制御装置519による第5のクリーニング判定制御の処理手順を示す。ここで、第3のクリーニング判定制御では、クリーニング要否を示すフラグG(フラグG=1の場合、クリーニング要)と、前回のクリーニングモードを終了したときからの経過時間をカウントするカウンタTxとを用いる。カウンタTxは、浴室乾燥機の電源がオンされている累積時間(Tx1)、電源がオフされている累積時間(Tx2)、「除湿」モード以外のモードで運転された累積時間(Tx3)、及び再生ヒータ40の連続通電時間(Tx4)を計測できる。
まず、制御装置519は、フラグGが1であるか否かを判定する(S151)。
フラグGが1でないときは(S151:No)、電源が投入されている時間の累積カウンタTx1が、所定時間Tb以上であるか否かを判定する(S152)。カウンタTx1が所定時間Tb以上でないときは(S152:No)、電源が投入されていない時間の累積カウンタTx2が、所定時間Tc以上であるか否かを判定する(S153)。
そして、カウンタTx1が所定時間Tb以上であるとき(S152:Yes)、またはカウンタTx2が所定時間Tc以上であるときは(S153:Yes)、クリーニングが必要な状態であると判断され、フラグGに1をセットして終了する(S154)。
カウンタTx2が、所定時間Tc以上でないときは(S153:No)、さらに、再生ヒータ40がオンされているか否かを判定する(S155)。再生ヒータ40がオンされている場合には(S155:Yes)、カウンタTx4が所定時間以上であるか否かを判定する(S156)。カウンタTx4が所定時間を経過していないときは、そのまま処理を終了する(S156:No)。
所定時間が経過しているときは(S156:Yes)、カウンタTx1〜3をリセットし、フラグGに0をセットする(S157,S158)。これは、所定時間以上再生ヒータ40がオンされていれば、除湿ロータ10に付着した有機成分等が放出され尽くされ、クリーニングと同様の効果が得られるからである。
一方、ステップS155で再生ヒータ40がオンされていないときは(S155:No)、除湿モード以外の運転モードでの運転時間の累積カウンタTx3が、所定時間Td以上であるか否かを判定する(S159)。Td以上であれば、クリーニングが必要な状態であると判断され、フラグGに1をセットする(S160)。
ステップS151において、フラグGに1がセットされていれば、制御装置519はクリーニングモードを実行する(S161)。クリーニングモード実行後、カウンタTx1〜2をリセットし、フラグGに0をセットして、処理を終了する(S162,S163)。
なお、Tdは、Tb及びTcよりも短い時間が設定されている。これは、何らかの運転モードで動作させた場合の方が、除湿ロータの汚れる速度が速いからである。
1…浴室乾燥機 10…除湿ロータ 20…循環ファン 30…再生ファン 40…再生ヒータ 50…再生ファン 60…除湿ロータ用モータ 70…ダンパ 100…排気風路 200…再生風路 501…乾燥機本体 509…表面グリル 511…吸込口 512…排気口 519…制御装置 900…循環風路 900A…循環風路上流部 900B…循環風路下流部