JP2007262963A - 内接型ギヤポンプロータおよび内接型ギヤポンプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】n枚(nは自然数)の外歯11が形成されたインナーロータ10と、外歯11と噛み合う(n+1)枚の内歯21が形成されたアウターロータ20とからなり、両ロータ10、20が噛み合って回転するときにこれら両ロータ10、20の歯面間に形成されるセルCの容積変化により流体を吸入、吐出することによって流体を搬送する内接型ギヤポンプロータであって、アウターロータ20の内歯21の歯底21bの歯形は、この内歯21と外歯11とが噛み合ってセルの容積が最小となる噛み合い位置Kにおいて、この歯底21bと外歯11の歯先頂部11cとの間の、内接型ギヤポンプロータの径方向における隙間t1が1.5mm以上3.0mm以下となるような、このアウターロータ20の軸心を中心とした円弧形状とされている。
【選択図】図1
Description
このような内接型ギヤポンプは、例えば下記特許文献1に示されるように、n(nは自然数)枚の外歯が形成されたインナーロータと、この外歯に噛み合う(n+1)枚の内歯が形成されたアウターロータと、流体が吸入される吸入ポートおよび流体が吐出される吐出ポートが形成されたケーシングとを備え、外歯と内歯とを噛み合わせた状態でインナーロータを回転させることによりアウターロータを回転させ、両ロータ間に形成される複数のセルの容積変化によって流体を吸入、吐出するようになっている。
セルは、その回転方向前側と後側それぞれで、インナーロータの外歯とアウターロータの内歯とが接触することによって個別に仕切られ、かつ両側面をケーシングによって仕切られている。各セルは、両ロータが回転する過程において容積が最小となり、吸入ポートに沿って移動するときに容積を増大させて流体を吸入する。そして、容積が最大となった後、吐出ポートに沿って移動するときに容積を減少させて流体を吐出する。
この発明によれば、アウターロータの内歯の歯底の歯形が、この内歯と前記外歯とが噛み合って前記セルの容積が最小となる噛み合い位置において、この歯底と前記外歯の歯先頂部との間の、内接型ギヤポンプロータの径方向における隙間が1.5mm以上3.0mm以下となるような、このアウターロータの軸心を中心とした円弧形状とされているので、アウターロータに実使用に耐え得る強度を具備させた状態で、前記噛み合い位置において内歯の歯底と外歯の歯先頂部と間の、内接型ギヤポンプロータの径方向における隙間を確保することが可能になり、流体に異物が混入していてもこの異物が前記噛み合い位置で噛み込まれるのを抑制することができる。しかも、このように噛み込まれずにこの隙間内にある異物に対して、両ロータの回転により遠心力が作用することになるので、この異物を内接型ギヤポンプロータ内における1箇所に留めることなくこの隙間内を良好に流動させることが可能になり、その後にセルの容積が増大、減少する過程で外部に放出させることができる。さらに、前記のような作用効果を奏効させるために、インナーロータの外歯の歯丈を従来よりも小さくするのではなく、本発明のように、アウターロータの内歯の歯底を従来よりも深くするので、各セルの液密性を現行同等に維持することも可能になり、流体の搬送効率が低下するのを防ぐことができる。
なお、前記隙間が1.5mmよりも小さくなると、異物の噛み込みを良好に抑えることができず、前記隙間が3.0mmよりも大きくなると、アウターロータの外周部において内歯の歯底と対応する部分の肉厚が小さくなりすぎ、アウターロータに、インナーロータの外歯から受ける回転駆動力に耐え得る強度を具備させることができなくなる。
この場合、前記噛み合い位置において、外歯の歯先頂部と内歯の歯底との間の、内接型ギヤポンプロータの径方向における隙間のみならず、この外歯の歯先において内歯と噛み合う噛み合い部分を除く、歯先頂部よりも前記両ロータの回転方向前側の部分と、内歯との間にも、内接型ギヤポンプロータの周方向に隙間を確保することが可能になる。そのため、異物の噛み込みをより一層確実に抑制することが可能になるばかりでなく、前記遠心力によりこの異物を前記回転方向前側に流動させることも可能になり、異物の放出性を一層向上させることができる。
この場合、いわゆるバックラッシュ量が0.05mm以下とされているので、騒音を発生させることなく前記の作用効果が奏効されることになる。
この発明によれば、内接型ギヤポンプロータにおいて、流体に異物が混入していた場合においても、この異物が噛み込まれるのを抑制することが可能になるとともに、良好に外部に放出させることが可能になるので、流体に異物が混入していたことによって内接型ギヤポンプの回転駆動が停止したり、歯面が損傷したりするのを確実に抑制することができる。
内接型ギヤポンプロータは、n(nは自然数)枚の外歯11が形成されたインナーロータ10と、外歯11と噛み合う(n+1)枚の内歯21が形成されたアウターロータ20とからなり、ケーシング30の内部に収納されている。なお、本実施形態では、外歯11は10枚、内歯21は11枚とされている。
アウターロータ20は、その軸心O2をインナーロータ10の軸心O1に対して偏心(偏心量:e)させて内歯21を外歯11に噛み合わせて配置され、軸心O2を中心としてケーシング30の内部にて周方向に回転自在に支持されている。
また、アウターロータ20の内歯21において歯底21bと直線部21dとは、このアウターロータ20の径方向外方に向けてへこむ凹曲面部を介して連結されている。
内接型ギヤポンプで搬送する流体としては、例えば軽油等の燃料や潤滑油等その種類は限定されるものではない。
さらに、外歯11および内歯21の各個数は前記実施形態のものに限られるものではない。
まず、本発明に係る実施例および比較例の概略構成を説明する。
アウターロータ20の外径を52mm、内歯21の数を7個とし、インナーロータ10の外歯11の数を6個とし、これら各歯21、11の歯幅をそれぞれ10mmとした両ロータ10、20をケーシング30内に収納して内接型ギヤポンプを形成した。この構成において、両ロータ10、20の偏心量eを2.62mmとし、理論吐出量を5.3cm3/rev.とし、吐出圧力を600kPaとした。
実施例として、図1および図2に示す内接型ギヤポンプにおいて、前記隙間t1をそれぞれ1.5mm(実施例1)、および3.0mm(実施例2)とした2種類の内接型ギヤポンプロータを用意し、また、比較例として、前記隙間t1をそれぞれ1.2mm(比較例1)、および3.2mm(比較例2)とした2種類の内接型ギヤポンプロータを用意した。
11 外歯
11a 外歯の歯先
11b 外歯の歯底
11c 外歯の歯先頂部
11k 外歯の噛み合い部分
20 アウターロータ
21 内歯
21a 内歯の歯先
21b 内歯の歯底
21d 直線部
21k 内歯の噛み合い部分
C セル
K 噛み合い位置
O1 インナーロータの軸心
O2 アウターロータの軸心
t1 隙間
Claims (4)
- n枚(nは自然数)の外歯が形成されたインナーロータと、前記外歯と噛み合う(n+1)枚の内歯が形成されたアウターロータとからなり、
前記両ロータが噛み合って回転するときにこれら両ロータの歯面間に形成されるセルの容積変化により流体を吸入、吐出することによって流体を搬送する内接型ギヤポンプロータであって、
アウターロータの内歯の歯底の歯形は、この内歯と前記外歯とが噛み合って前記セルの容積が最小となる噛み合い位置において、この歯底と前記外歯の歯先頂部との間の、内接型ギヤポンプロータの径方向における隙間が1.5mm以上3.0mm以下となるような、このアウターロータの軸心を中心とした円弧形状とされていることを特徴とする内接型ギヤポンプロータ。 - 請求項1記載の内接型ギヤポンプロータにおいて、
前記アウターロータの内歯において前記外歯と噛み合う噛み合い部分と前記歯底とは、このアウターロータの径方向に延びる直線部を介して連結されていることを特徴とする内接型ギヤポンプロータ。 - 請求項1または2に記載の内接型ギヤポンプロータにおいて、
前記噛み合い位置における前記外歯および前記内歯の各歯面において、互いに噛み合う噛み合い部分に、内接型ギヤポンプロータの回転方向後側で対向する部分同士の間の、この回転方向における隙間が0.05mm以下とされていることを特徴とする内接型ギヤポンプロータ。 - 請求項1から3のいずれかに記載の内接型ギヤポンプロータと、
この内接型ギヤポンプロータが内部に収納されるとともに、流体が吸入される吸入ポートおよび流体が吐出される吐出ポートが形成されたケーシングと、
前記インナーロータを回転駆動する駆動部とを備えていることを特徴とする内接型ギヤポンプ。
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