JP4255771B2 - オイルポンプロータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インナーロータとアウターロータとの間に形成されるセルの容積変化によって流体を吸入、吐出するオイルポンプロータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車の潤滑油用ポンプや自動変速機用オイルポンプ等として、小型で構造が簡単な内接歯車型のオイルポンプが広範囲に利用されている。このようなオイルポンプは、n(nは自然数)枚の外歯が形成されたインナーロータと、この外歯に噛み合うn+1枚の内歯が形成されたアウターロータと、流体が吸入される吸入ポートおよび流体が吐出される吐出ポートが形成されたケーシングとを備えており、インナーロータを回転させることによって外歯が内歯に噛み合ってアウターロータを回転させ、両ロータ間に形成される複数のセルの容積変化によって流体を吸入、吐出するようになっている。
【0003】
このような内接歯車型のオイルポンプでは、雑音の低減、機械効率の向上を目的として、両ロータの歯先間に適切な大きさのチップクリアランスを設定したり、サイクロイド曲線等により構成される歯形を補正する等の工夫が加えられている。具体的には、アウターロータの歯形について均等追い込みを行うことで両ロータの歯面間にクリアランスを設けたり、サイクロイド曲線を平坦化する補正等の、様々な対策が講じられている。
【0004】
【特許文献1】
特開平05−256268号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、歯形の均等追い込みによるチップクリアランスの設定や、サイクロイド曲線を創成する転円径を調整したり歯形の一部分を直線で構成したりすることによるサイクロイド曲線の平坦化などのような従来検討されてきた対策では、チップクリアランスが適切に設定される一方で歯面全体のクリアランスが大きくなってしまい、ロータ間のがたつきや歯面間の滑り等によるトルク伝達の損失増大、ロータ同士の衝撃による騒音等の問題があった。
さらに、歯面形状の設定により歯面間のクリアランスが不適切になると、流体の圧力脈動が発生あるいは増大し、これによるポンプ性能や機械効率の低下、騒音等が発生するという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、互いに噛み合うインナーロータおよびアウターロータの歯形を適切な形状に設定し、ポンプ性能や機械効率の低下防止、騒音の発生防止を図ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のオイルポンプロータは、歯先部を形成するサイクロイド曲線をその中央点で2等分して基礎円の周方向およびサイクロイド曲線の中央点で引いた接線方向に沿って互いに離間させることにより、歯先部の歯幅を広げ、両ロータの噛み合いにおける歯幅方向の歯面間隔(クリアランス)を小さくすることを特徴としている。
【0008】
すなわち、請求項1の発明に係るオイルポンプロータは、インナーロータの歯先部が、基礎円Diに外接して滑りなく転がる外転円Aiによって創成される外転サイクロイド曲線をその中央点で2等分し、得られた2つの外歯部分曲線を外転サイクロイド曲線の中央点で引いた接線方向に沿って変位させた後に基礎円Diの周方向に沿って変位させて離間させ、離間させたこれら2つの外歯部分曲線を曲線または直線でつないで滑らかに連続させることで描かれる曲線を歯形として形成されることを特徴としている。
【0009】
このオイルポンプロータにおいて、インナーロータの歯溝部の歯形は、基礎円Diに内接して滑りなく転がる内転円Biによって創成される内転サイクロイド曲線を基にして形成されている。また、アウターロータは、基礎円Doに外接して滑りなく転がる外転円Aoによって創成される外転サイクロイド曲線を歯溝部の歯形とし、基礎円Doに内接して滑りなく転がる内接円Boによって創成される内転サイクロイド曲線を歯先部の歯形として形成されている。
なお、インナーロータの歯溝部は、その周方向幅を減少させて形成され、前記インナーロータの歯面形状が全周にわたって滑らかに連続させられている。
【0010】
そして、このオイルポンプロータでは、チップクリアランスの大きさ(インナーロータの外歯の歯先部先端と、アウターロータの内歯の歯先部先端とが正対する回転位置において、両ロータの中心を結ぶ線上で両歯面間に生じる隙間の合計)をt、離間させた外歯部分曲線間の距離をαとするとき、両ロータは、
t/4≦α≦3t/4
を満たして形成される。
【0011】
また、このオイルポンプロータにおいて、離間させた外歯部分曲線間の距離αが、
2t/5≦α≦3t/5
を満たすことがより好ましい。
【0012】
請求項3の発明に係るオイルポンプロータは、アウターロータの歯先部が、基礎円Doに内接して滑りなく転がる内転円Boによって創成される内転サイクロイド曲線をその中央点で2等分し、得られた2つの内歯部分曲線を内転サイクロイド曲線の中央点で引いた接線方向に沿って変位させた後に基礎円Doの周方向に沿って変位させて離間させ、離間させたこれら2つの内歯部分曲線を曲線または直線でつないで滑らかに連続させることで描かれる曲線で形成されていることを特徴としている。
【0013】
このオイルポンプロータにおいて、アウターロータの歯溝部の歯形は、基礎円Doに外接して滑りなく転がる外転円Aoによって創成される内転サイクロイド曲線を基にして形成されている。
また、インナーロータは、基礎円Diに外接して滑りなく転がる外転円Aiによって創成される外転サイクロイド曲線を歯先部の歯形とし、基礎円Diに内接して滑りなく転がる内転円Biによって創成される内転サイクロイド曲線を歯溝部の歯形として形成されている。
なお、アウターロータの歯溝部は、その周方向幅を減少させて形成され、前記アウターロータの歯面形状が全周にわたって滑らかに連続させられている。
【0014】
そして、このオイルポンプロータでは、チップクリアランスの大きさをt、離間させた内歯部分曲線間の距離をβとするとき、両ロータは、
t/4≦β≦3t/4
を満たして形成される。
【0015】
また、このオイルポンプロータにおいて、離間させた内歯部分曲線間の距離βが、
2t/5≦β≦3t/5
を満たすことがより好ましい。
【0016】
請求項5の発明に係るオイルポンプロータは、インナーロータの歯先部が、基礎円Diに外接して滑りなく転がる外転円Aiによって創成される外転サイクロイド曲線をその中央点で2等分し、得られた2つの外歯部分曲線を外転サイクロイド曲線の中央点で引いた接線方向に沿って変位させた後に基礎円Diの周方向に沿って変位させて離間させ、離間させたこれら2つの外歯部分曲線を曲線または直線でつないで滑らかに連続させることで描かれる曲線を歯形として形成され、かつアウターロータの歯先部が、基礎円Doに内接して滑りなく転がる内転円Boによって創成される内転サイクロイド曲線をその中央点で2等分し、得られた2つの内歯部分曲線を内転サイクロイド曲線の中央点で引いた接線方向に沿って変位させた後に基礎円Doの周方向に沿って変位させて離間させ、離間させたこれら内歯部分曲線を曲線または直線でつないで滑らかに連続させることで描かれる曲線を歯形として形成されていることを特徴としている。
【0017】
このオイルポンプロータにおいて、インナーロータの歯溝部の歯形は、基礎円Diに内接して滑りなく転がる内転円Biによって創成される内転サイクロイド曲線を基にして形成されている。
また、アウターロータの歯溝部の歯形は、基礎円Doに外接して滑りなく転がる外転円Aoによって創成される外転サイクロイド曲線を基にして形成されている。
なお、インナーロータの歯溝部は、その周方向幅を減少させて形成され、前記インナーロータの歯面形状が全周にわたって滑らかに連続させられており、アウターロータの歯溝部は、その周方向幅を減少させて形成され、前記アウターロータの歯面形状が全周にわたって滑らかに連続させられている。
【0018】
そして、このオイルポンプロータでは、チップクリアランスの大きさをt、離間させた外歯部分曲線間の距離をα、内歯部分曲線間の距離をβとするとき、両ロータは、
t/4≦α≦3t/4、t/4≦β≦3t/4
を満たして形成される。
【0019】
また、このオイルポンプロータにおいて、離間させた外歯部分曲線間の距離α、内歯部分曲線間の距離βが、
2t/5≦α≦3t/5、2t/5≦β≦3t/5
を満たすことがより好ましい。
【0020】
この発明によれば、インナーロータおよびアウターロータの少なくともいずれかの歯形が、歯面をサイクロイド曲線の中央点で引いたの接線方向に沿って変位させた後に基礎円の周方向に沿って変位させることにより、歯先の周方向歯厚を僅かに大きくして形成されているので、チップクリアランスだけでなく歯面全体のクリアランスが適切に設定されたオイルポンプロータを得ることができる。
【0021】
すなわち、チップクリアランスが適切に形成されたオイルポンプロータの形状に基づき、サイクロイド曲線の中央点で引いた接線方向および基礎円の周方向に沿って歯先部を大きく形成することにより、歯先の先端位置が変化せずに周方向歯厚が大きくなっているので、従来よりもさらに静粛性や機械性能の優れたオイルポンプロータを得ることができる。
【0022】
なお、インナーロータの外歯の歯数をn枚、(nは自然数)、アウターロータの内歯の歯数を(n+1)枚、インナーロータの基礎円Diの直径をφDi、外転円Aiの直径をφAi、内転円Biの直径をφBi、アウターロータの基礎円Doの直径をφDo、外転円Aoの直径をφAo、内転円Boの直径をφBo、インナーロータとアウターロータとの偏心量をeとして、
φAi+t/(n+2)=φAo、φBi=φBo
φAi+φBi=2e
φDi=n・(φAi+φBi)
φDo=φDi・(n+1)/n+t・(n+1)/(n+2)
を満たすようにインナーロータおよびアウターロータを形成すれば、両ロータの歯面間のクリアランスが適切となる。
【0023】
また、
φAi=φAo、φBi+t/(n+2)=φBo
φAi+φBi=2e
φDi=n・(φAi+φBi)
φDo=φDi・(n+1)/n+t・(n+1)/(n+2)
を満たすようにインナーロータおよびアウターロータを形成しても、歯面間のクリアランスを適切に形成することができる。
【0024】
また、
φAi+t/2=φAo、φBi−t/2=φBo
φAi+φBi=φAo+φBo=2e
φDi=n・(φAi+φBi)、φDo=(n+1)・(φAo+φBo)
(n+1)・φDi=n・φDo
を満たすようにインナーロータおよびアウターロータを形成しても、歯面間のクリアランスを適切に形成することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1に示すオイルポンプは、n枚(nは自然数、本実施形態においてはn=10)の外歯11が形成されたインナーロータ10と、各外歯11と噛み合う(n+1)枚(本実施形態では11枚)の内歯21が形成されたアウターロータ20とを備え、これらインナーロータ10とアウターロータ20とがケーシング30の内部に収納されている。
【0026】
インナーロータ10、アウターロータ20の歯面間には、両ロータ10,20の回転方向に沿ってセルCが複数形成されている。各セルCは、両ロータ10,20の回転方向前側と後側で、インナーロータ10の外歯11とアウターロータ20の内歯21とがそれぞれ接触することによって個別に仕切られ、かつ両側面をケーシング30によって仕切られており、これによって独立した流体搬送室を形成している。そして、セルCは両ロータ10、20の回転に伴って回転移動し、1回転を1周期として容積の増大、減少を繰り返すようになっている。
【0027】
ケーシング30には容積が増大するときのセルCに連通する吸入ポートと、減少するときのセルCに連通する吐出ポートとが設けられていて、吸入ポートからセルCに吸入された流体が両ロータ10,20の回転に伴い搬送されて吐出ポートから吐出されるようになっている。
【0028】
ここで、各ロータの中心Oi,Ooを結ぶ直線上で正対するインナーロータ10の歯先部12先端とアウターロータ20の歯先部22先端とのクリアランスをチップクリアランスと呼ぶ。このチップクリアランスの大きさtは、この中心Oi,Ooを通る直線上反対側で噛み合うインナーロータ10の歯先部12とアウターロータ20の歯溝部23とのクリアランスがゼロとなるように両ロータ10,20を配置したときの大きさとする。
ロータ駆動時においては、インナーロータ10の中心Oiおよびアウターロータ20の中心Ooは、この中心Oi,Ooを通る直線上2カ所で対向する各歯面間のクリアランスがそれぞれ均等のt/2となるように偏心して配置される。この中心Oi,Ooの偏心量をeとする。
【0029】
インナーロータ10は、回転軸に取り付けられて中心Oiを中心として回転可能に支持されており、インナーロータ10の基礎円Di(直径φDi)に外接して滑りなく転がる外転円Ai(直径φAi)によって創成される外転サイクロイド曲線16と、基礎円Diに内接して滑りなく転がる内転円Bi(直径φBi)によって創成される内転サイクロイド曲線17とを基にして外歯11の歯形が形成されている。
【0030】
アウターロータ20は、中心Ooをインナーロータ10の中心Oiに対して偏心(偏心量:e)させて配置され、ケーシング30内に中心Ooを中心として回転可能に支持されている。アウターロータ20の内歯21は、基礎円Do(直径φDo)に外接して滑りなく転がる外転円Ao(直径φAo)によって創成される外転サイクロイド曲線27と、基礎円Doに内接して滑りなく転がる内転円Bo(直径φBo)によって創成される内転サイクロイド曲線26とを基にして歯形が形成されている。
【0031】
ここで、インナーロータ10とアウターロータ20との間には、以下の関係式が成り立つ。なお、ここでは寸法単位をmm(ミリメートル)とする。
【0032】
インナーロータ10の歯形状を形成する基となる曲線について、外転円Aiおよび内転円Biの転がり距離の和の整数倍(歯数倍)が基礎円Diの円周に等しくなければならないことから、
π・φDi=n・π・(φAi+φBi)
すなわちφDi=n・(φAi+φBi) …(Ia)
【0033】
同様に、アウターロータ20の歯形状を形成する基となる曲線について、外転円Aoおよび内転円Boの転がり距離の和の整数倍(歯数倍)が基礎円Doの円周に等しくなければならないことから、
π・φDo=(n+1)・π・(φAo+φBo)
すなわちφDo=(n+1)・(φAo+φBo) …(Ib)
【0034】
つぎに、インナーロータ10とアウターロータ20とが噛み合うことから、
φAi+φBi=φAo+φBo=2e …(II)
上記式(Ia),(Ib),(II)から、
(n+1)・φDi=n・φDo …(III)
【0035】
さらに、両ロータ10,20の噛み合い位置から半回転進んだ位置において外歯11の歯先と内歯21の歯先とが対峙するときに両歯先間に形成されるチップクリアランスの大きさから、
φAi+t/2=φAo
φBi−t/2=φBo
の関係を満たす。
【0036】
ここで、インナーロータ10の外歯11の詳細形状について図2(a)〜図2(d)を参照して説明する。インナーロータ10の外歯11は、歯先部12および歯溝部13が周方向に交互に連続して形成されている。
【0037】
歯先部12の形状を描くには、まず、外転円Aiによる外転サイクロイド曲線16(図2(a))を、その中央点Aで2等分し、外歯部分曲線12a,12bとする。ここで、外転サイクロイド曲線16の中央点Aとは、外転円Aiをインナーロータ10の基礎円Di上で滑りなく1回転させて創成される外転サイクロイド曲線16を対称に二分する点であり、換言すれば、外転円Aiが半回転した際に外転円Ai上にあって外転サイクロイド曲線16を描く1点が到達する点である。
次いで、図2(b)に示すように、外歯部分曲線12a,12bを外転サイクロイド曲線16の中央点Aで引いた接線方向に沿って変位させて、両曲線12a,12bの間を距離α’だけ離間させる。
【0038】
さらに、図2(c)に示すように、両曲線12a,12bの間が距離αだけ離間するように、外歯部分曲線12a,12bを基礎円Diの中心Oiまわりにそれぞれ基礎円Diの周方向に沿って角度θi/2ずつ変位させる。
そして、図2(d)に示すように、離間された両曲線12a,12b間を、直線からなる補完線14でつなぎ、得られた連続線を歯先部12の歯面形状とする。
すなわち、歯先部12は、互いに離間された外歯部分曲線12aおよび外歯部分曲線12bと、両曲線12a,12b間をつなぐ補完線14とからなる連続線で形成されている。
【0039】
これによりインナーロータ10の歯先部12は、単純な外転サイクロイド曲線16のみからなる歯先形状と比較して、挿入された補完線14の分だけ周方向に歯厚が大きい形状となっている。なお、本実施形態では、両外歯部分曲線12a,12b間をつなぐ補完線14は直線としているが、補完線14は曲線であってもよい。
【0040】
このように周方向の歯厚が増大された歯先部12に対して、本実施形態では歯溝部13の周方向の幅を減少させて形成し、歯面形状を全周にわたって滑らかに連続させている。
すなわち、歯溝部13の形状を描くには、まず、内転円Biによる内転サイクロイド曲線17(図2(a))を、その中央点Bで2等分し、部分曲線13a,13bとする。ここで、内転サイクロイド曲線17の中央点Bとは、内転円Biをインナーロータ10の基礎円Di上で滑りなく1回転させて創成される内転サイクロイド曲線17を対称に二分する点であり、換言すれば、内転円Biが半回転した際に内転円Bi上にあって内転サイクロイド曲線17を描く1点が到達する点である。
次いで、図2(b)に示すように、変位された状態の両外歯部分曲線12a,12bの端点に、両曲線13a,13bの端点が接続するように、部分曲線13a,13bを内転サイクロイド曲線17の中央点Bで引いた接線方向に沿って変位させる。これにより、両曲線13a,13bは中央点Bを中心として交差する。
【0041】
さらに、図2(c)に示すように、両曲線13a,13bの端点が歯先部12を描く連続線の端点に接続するように、部分曲線13a,13bを基礎円Diの周方向に沿って変位させる。
そして、図2(d)に示すように、両曲線13a,13bを滑らかに接続した連続線を、歯溝部13の歯面形状とする。
これにより歯溝部13は、単純な内転サイクロイド曲線17のみからなる歯溝形状と比較して、歯先部12に挿入された補完線14の分だけ周方向の幅が小さい形状となっている。
【0042】
つまり、インナーロータ10の外歯11は、外転円Aiと内転円Biとによって創成される外転サイクロイド曲線16および内転サイクロイド曲線17をそのまま歯面形状とした場合と比較して、歯先部12の周方向歯厚が増大されるとともに歯溝部13の周方向幅が縮小された形状となる。
【0043】
ここで、インナーロータ10において、2つの外歯部分曲線12a,12b間の距離αが、
t/4≦α
の範囲を満たして設定され、より好ましくは
2t/5≦α
の範囲を満たして設定されることにより、アウターロータ20に対する歯面間のクリアランスが適切となり、十分に静粛性が向上される。
【0044】
また、インナーロータ10において、2つの外歯部分曲線12a,12b間の距離αが、
α≦3t/4
の範囲を満たして設定され、より好ましくは
α≦3t/5
の範囲を満たして設定されることにより、アウターロータ20に対するクリアランスが小さくなりすぎることを防ぎ、オイルポンプロータの回転不能・摩耗量の増大・耐久性の低下を防止することができる。
【0045】
つぎに、アウターロータ20の内歯21の詳細形状について図3(a)〜図3(d)を参照して説明する。内歯21は、歯先部22および歯溝部23が基礎円の周方向に交互に連続して形成されている。
【0046】
歯先部22の形状を描くには、まず、内転円Boによる内転サイクロイド曲線26(図3(a))を、その中央点Cで2等分し、内歯部分曲線22a,22bとする。ここで、内転サイクロイド曲線26の中央点Bとは、内転円Boをアウターロータ20の基礎円Do上で滑りなく1回転させて創成される内転サイクロイド曲線26を対称に二分する点であり、換言すれば、内転円Boが半回転した際に内転円Bo上にあって内転サイクロイド曲線26を描く1点が到達する点である。
次いで、図3(b)に示すように、内歯部分曲線22a,22bを内転サイクロイド曲線26の中央点Cで引いた接線方向に沿って変位させて、両曲線22a,22b間を距離β’だけ離間させる。
【0047】
さらに、図3(c)に示すように、両曲線22a,22b間が距離βだけ離間するように、内歯部分曲線22a,22bを基礎円Doの中心Ooまわりに基礎円Doの周方向に沿ってそれぞれ角度θo/2ずつ変位させる。
そして、図3(d)に示すように、離間された内歯部分曲線22a,22b間を、直線からなる補完線24でつなぎ、得られた連続線を歯先部22の形状とする。
すなわち、歯先部22は、互いに離間された内歯部分曲線22aおよび内歯部分曲線22bと、両曲線22a,22b間をつなぐ補完線24とからなる連続線で形成されている。
【0048】
これにより歯先部22は、単純な内転サイクロイド曲線26のみからなる歯先形状と比較して、挿入された補完線24の分だけ周方向に歯厚が大きい形状となっている。なお、本実施形態では、両内歯部分曲線22a,22b間をつなぐ補完線24は直線としているが、補完線24は曲線であってもよい。
【0049】
このように周方向の歯厚が増大された歯先部22に対して、本実施形態では歯溝部23の周方向の幅を減少させて形成し、歯面形状を全周にわたって滑らかに連続させている。
すなわち、歯溝部23の形状を描くには、まず、外転円Aoによる外転サイクロイド曲線27(図3(a))を、その中央点Dで2等分し、部分曲線23a,23bとする。ここで、外転サイクロイド曲線27の中央点Dとは、外転円Aoをアウターロータ20の基礎円Do上で滑りなく1回転させて創成される外転サイクロイド曲線27を対称に二分する点であり、換言すれば、外転円Aoが半回転した際に外転円Ao上にあって外転サイクロイド曲線27を描く1点が到達する点である。
次いで、図3(b)に示すように、両内歯部分曲線22a,22bの端点に両曲線23a,23bの端点が接続するように、部分曲線23a,23bを外転サイクロイド曲線27の中央点Dで引いた接線方向に沿って変位させ、中央点Dを中心として交差させる。
【0050】
さらに、図3(c)に示すように、部分曲線23a,23bを基礎円Doの周方向に沿って変位させ、両曲線23a,23bの端点を歯先部22を描く連続線の端点に接続させる。
そして、図3(d)に示すように、これら部分曲線23a,23bを滑らかに接続した連続線を形成して、歯溝部23の歯面形状とする。
これにより歯溝部23は、単純な外転サイクロイド曲線27のみからなる歯溝形状と比較して、歯先部22に挿入された補完線24の分だけ基礎円周方向の幅が小さい形状となっている。
【0051】
つまり、アウターロータ20の内歯21は、外転円Aoと内転円Boとによって創成される外転サイクロイド曲線27および内転サイクロイド曲線26をそのまま歯面形状とした場合と比較して、歯先部22の周方向歯厚が増大されるとともに、歯溝部23の周方向幅が縮小された形状となる。
【0052】
ここで、アウターロータ20において、2つの内歯部分曲線22a,22b間の距離βが、
t/4≦β
の範囲を満たして設定され、より好ましくは
2t/5≦β
の範囲を満たして設定されることにより、インナーロータ10に対する歯面間のクリアランスが適切となり、十分に静粛性が向上される。
【0053】
また、アウターロータ20において、2つの内歯部分曲線22a,22b間の距離βが、
β≦3t/4
の範囲を満たして設定され、より好ましくは
β≦3t/5
の範囲を満たして設定されることにより、インナーロータ10に対するクリアランスが小さくなりすぎることを防ぎ、回転不能・摩耗量の増大・耐久性の低下を防止することができる。
【0054】
なお、図1は、φDi=52mm、φAi=2.5mm、φBi=2.7mm、φDo=57.2mm、φAo=2.56mm、φBo=2.64mm、e=2.6mm、t=0.12mmを満たし、両外歯部分曲線12a,12b間の距離αおよび両内歯部分曲線22a,22b間の距離βを、
α=β=t/2(=0.06mm)
として形成されたインナーロータ10およびアウターロータ20を示している。
【0055】
このインナーロータ10およびアウターロータ20において、αおよびβが極めて小さく実サイズでは各部分曲線の変位がわかりにくいので、図2(a)〜図2(d)および図3(a)〜図3(d)では、歯面の詳細形状を説明するために各変位量を大きく誇張して示しており、図1に示す実際の形状とは異なる形状となっている。
【0056】
なお、上記実施形態では、インナーロータ10およびアウターロータ20の両方について歯先部12,22の周方向歯厚を増大させた形状としたが、本発明はこれに限定されず、インナーロータ10およびアウターロータ20のいずれか一方の歯先部を増大させた形状として、他方は上述した補正を加えずサイクロイド曲線そのものを歯面形状として形成してもよい。
【0057】
また、上述した補正を加える基となる曲線として、インナーロータ10とアウターロータ20とで以下の関係式が成り立つ曲線を採用することもできる。
【0058】
すなわち、インナーロータ10の歯形状を形成する基となる曲線について、外転円Aiおよび内転円Biの転がり距離の和の整数倍(歯数倍)が基礎円Diの円周に等しくなければならないことから、
π・φDi=n・π・(φAi+φBi)
すなわちφDi=n・(φAi+φBi) …(Ia)
【0059】
同様に、アウターロータ20の歯形状を形成する基となる曲線について、外転円Aoおよび内転円Boの転がり距離の和の整数倍(歯数倍)が基礎円Doの円周に等しくなければならないことから、
π・φDo=(n+1)・π・(φAo+φBo)
すなわちφDo=(n+1)・(φAo+φBo) …(Ib)
【0060】
つぎに、インナーロータ10の歯溝中央部とアウターロータ20の歯先中央部とのクリアランスを適正に形成するために、内転円Bi,Boの関係を
φBi=φBo
とする一方で、アウターロータ20の基礎円Doを
φDo=φDi・(n+1)/n+t・(n+1)/(n+2)
を満たすものとする。
【0061】
これに伴い、外転円Aoおよび内転円Boの転がり距離の和の整数倍(歯数倍)が基礎円Doの円周に等しくなければならないことから、外転円Aoを
φAo=φAi+t/(n+2)
とする。
本発明のオイルポンプロータは、以上のような関係を満たす曲線を基にして形成することができる。
【0062】
また、以下のような関係を満たす曲線を基にすることもできる。
すなわち、インナーロータ10の歯形状を形成する基となる曲線について、外転円Aiおよび内転円Biの転がり距離の和の整数倍(歯数倍)が基礎円Diの円周に等しくなければならないことから、
π・φDi=n・π・(φAi+φBi)
すなわちφDi=n・(φAi+φBi) …(Ia)
【0063】
同様に、アウターロータ20の歯形状を形成する基となる曲線について、外転円Aoおよび内転円Boの転がり距離の和の整数倍(歯数倍)が基礎円Doの円周に等しくなければならないことから、
π・φDo=(n+1)・π・(φAo+φBo)
すなわちφDo=(n+1)・(φAo+φBo) …(Ib)
【0064】
つぎに、インナーロータ10の歯先中央部とアウターロータ20の歯溝中央部とのクリアランスを適正に形成するために、外転円Ai,Aoの関係を
φAi=φAo
とする一方で、アウターロータ20の基礎円Doを
φDo=φDi・(n+1)/n+t・(n+1)/(n+2)
を満たすものとする。
【0065】
これに伴い、外転円Aoおよび内転円Boの転がり距離の和の整数倍(歯数倍)が基礎円Doの円周に等しくなければならないことから、内転円Boを
φBo=φBi+t/(n+2)
本発明のオイルポンプロータは、以上のような関係を満たす曲線を基にして形成することができる。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のオイルポンプロータによれば、インナーロータおよびアウターロータの少なくともいずれかの歯形が、チップクリアランスが適切に形成されたオイルポンプロータの形状に基づいて、歯面を形成するためのサイクロイド曲線をその中央点で2等分し、得られた2つの部分曲線を、サイクロイド曲線の中央点で引いた接線方向および基礎円の周方向に沿って変位させて形成されることにより、歯先部の先端位置が変化せずに周方向歯厚が大きくなっているので、従来よりもさらに静粛性や機械性能の優れたオイルポンプロータを得ることができる。
【0067】
特に、外歯部分曲線間の距離αおよび内歯部分曲線間の距離βを、チップクリアランスの1/4以上とし、より好ましくは2/5以上することにより、両ロータの歯面間のクリアランスを小さくすることができるので、歯面間のクリアランスが大きいことにより生じるロータ同士のがたつきや脈動を防ぎ、機械効率がよく静粛性が高いオイルポンプを提供することができる。
【0068】
さらに、外歯部分曲線間の距離αおよび内歯部分曲線間の距離βを、チップクリアランスの3/4以下とし、より好ましくは3/5以下とすることにより、両ロータの歯面間のクリアランスを確保することができるので、円滑に回転し耐久性のよいオイルポンプロータを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態によるオイルポンプロータを示す図である。
【図2】 図1に示すオイルポンプロータを構成するインナーロータの歯形状を示す部分拡大図である。
【図3】 図1に示すオイルポンプロータを構成するアウターロータの歯形状を示す部分拡大図である。
【符号の説明】
10 インナーロータ
11 外歯
12 歯先部
12a 外歯部分曲線
12b 外歯部分曲線
13 歯溝部
13a 部分曲線
13b 部分曲線
14 補完線
20 アウターロータ
21 内歯
22 歯先部
22a 内歯部分曲線
22b 内歯部分曲線
23 歯溝部
23a 部分曲線
23b 部分曲線
24 補完線

Claims (9)

  1. n枚(nは自然数)の外歯が形成されたインナーロータと、該外歯と噛み合う(n+1)枚の内歯が形成されたアウターロータと、流体が吸入される吸入ポートおよび流体が吐出される吐出ポートが形成されたケーシングとを備え、両ロータが噛み合って回転するときに両ロータの歯面間に形成されるセルの容積変化により流体を吸入吐出することによって流体を搬送するオイルポンプに用いられるオイルポンプロータにおいて、
    前記アウターロータが、基礎円Doに外接して滑りなく転がる外転円Aoによって創成される外転サイクロイド曲線を歯溝部の歯形とし、基礎円Doに内接して滑りなく転がる内転円Boによって創成される内転サイクロイド曲線を歯先部の歯形として形成され、
    前記インナーロータの歯溝部の歯形が、基礎円Diに内接して滑りなく転がる内転円Biによって創成される内転サイクロイド曲線を基にして形成され、
    前記インナーロータの歯先部が、基礎円Diに外接して滑りなく転がる外転円Aiによって創成される外転サイクロイド曲線をその中央点で2等分し、得られた2つの外歯部分曲線を前記外転サイクロイド曲線の前記中央点で引いた接線方向に沿って変位させた後に基礎円Diの周方向に沿って変位させて離間させ、離間させたこれら2つの外歯部分曲線を曲線または直線でつないで滑らかに連続させることで描かれる曲線を歯形として形成され、
    チップクリアランスの大きさをt、離間させた前記外歯部分曲線間の距離をαとするとき、
    t/4≦α≦3t/4を満たすとともに、
    前記インナーロータの歯溝部は、その周方向幅を減少させて形成され、前記インナーロータの歯面形状が全周にわたって滑らかに連続させられていることを特徴とするオイルポンプロータ。
  2. 離間させた前記外歯部分曲線間の距離αが、
    2t/5≦α≦3t/5
    を満たすことを特徴とする請求項1に記載のオイルポンプロータ。
  3. n枚(nは自然数)の外歯が形成されたインナーロータと、該外歯と噛み合う(n+1)枚の内歯が形成されたアウターロータと、流体が吸入される吸入ポートおよび流体が吐出される吐出ポートが形成されたケーシングとを備え、両ロータが噛み合って回転するときに両ロータの歯面間に形成されるセルの容積変化により流体を吸入吐出することによって流体を搬送するオイルポンプに用いられるオイルポンプロータにおいて、
    前記インナーロータが、基礎円Diに外接して滑りなく転がる外転円Aiによって創成される外転サイクロイド曲線を歯先部の歯形とし、基礎円Diに内接して滑りなく転がる内転円Biによって創成される内転サイクロイド曲線を歯溝部の歯形として形成され、
    前記アウターロータの歯溝部の歯形が、基礎円Doに外接して滑りなく転がる外転円Aoによって創成される外転サイクロイド曲線を基にして形成され、
    前記アウターロータの歯先部が、基礎円Doに内接して滑りなく転がる内転円Boによって創成される内転サイクロイド曲線をその中央点で2等分し、得られた2つの内歯部分曲線を前記内転サイクロイド曲線の前記中央点で引いた接線方向に沿って変位させた後に基礎円Doの周方向に沿って変位させて離間させ、離間させたこれら2つの内歯部分曲線を曲線または直線でつないで滑らかに連続させることで描かれる曲線を歯形として形成され、
    チップクリアランスの大きさをt、離間させた前記内歯部分曲線間の距離をβとするとき、t/4≦β≦3t/4を満たすとともに、
    前記アウターロータの歯溝部は、その周方向幅を減少させて形成され、前記アウターロータの歯面形状が全周にわたって滑らかに連続させられていることを特徴とするオイルポンプロータ。
  4. 離間させた前記内歯部分曲線間の距離βが、
    2t/5≦β≦3t/5
    を満たすことを特徴とする請求項3に記載のオイルポンプロータ。
  5. n枚(nは自然数)の外歯が形成されたインナーロータと、該外歯と噛み合う(n+1)枚の内歯が形成されたアウターロータと、流体が吸入される吸入ポートおよび流体が吐出される吐出ポートが形成されたケーシングとを備え、両ロータが噛み合って回転するときに両ロータの歯面間に形成されるセルの容積変化により流体を吸入吐出することによって流体を搬送するオイルポンプに用いられるオイルポンプロータにおいて、
    前記インナーロータの歯溝部の歯形が、基礎円Diに内接して滑りなく転がる内転円Biによって創成される内転サイクロイド曲線を基にして形成され、
    前記アウターロータの歯溝部の歯形が、基礎円Doに外接して滑りなく転がる外転円Aoによって創成される外転サイクロイド曲線を基にして形成され、
    前記インナーロータの歯先部が、基礎円Diに外接して滑りなく転がる外転円Aiによって創成される外転サイクロイド曲線をその中央点で2等分し、得られた2つの外歯部分曲線を前記外転サイクロイド曲線の前記中央点で引いた接線方向に沿って変位させた後に基礎円Diの周方向に沿って変位させて離間させ、離間させたこれら2つの外歯部分曲線を曲線または直線でつないで滑らかに連続させることで描かれる曲線を歯形として形成され、
    前記アウターロータの歯先部が、基礎円Doに内接して滑りなく転がる内転円Boによって創成される内転サイクロイド曲線をその中央点で2等分し、得られた2つの内歯部分曲線を前記内転サイクロイド曲線の前記中央点で引いた接線方向に沿って変位させた後に基礎円Doの周方向に沿って変位させて離間させ、離間させたこれら2つの内歯部分曲線を曲線または直線でつないで滑らかに連続させることで描かれる曲線を歯形として形成され、
    チップクリアランスの大きさt、離間させた前記外歯部分曲線間の距離をα、前記内歯部分曲線間の距離をβとするとき、
    t/4≦α≦3t/4、t/4≦β≦3t/4を満たすとともに、
    前記インナーロータの歯溝部は、その周方向幅を減少させて形成され、前記インナーロータの歯面形状が全周にわたって滑らかに連続させられており、前記アウターロータの歯溝部は、その周方向幅を減少させて形成され、前記アウターロータの歯面形状が全周にわたって滑らかに連続させられていることを特徴とするオイルポンプロータ。
  6. 離間させた前記外歯部分曲線間の距離α、前記内歯部分曲線間の距離βが、
    2t/5≦α≦3t/5、2t/5≦β≦3t/5
    を満たすことを特徴とする請求項5に記載のオイルポンプロータ。
  7. 前記インナーロータの基礎円Diの直径をφDi、外転円Aiの直径をφAi、内転円Biの直径をφBi、前記アウターロータの基礎円Doの直径をφDo、外転円Aoの直径をφAo、内転円Boの直径をφBo、インナーロータとアウターロータとの偏心量をeとして、
    φAi+t/(n+2)=φAo、φBi=φBo
    φAi+φBi=2e
    φDi=n・(φAi+φBi)
    φDo=φDi・(n+1)/n+t・(n+1)/(n+2)
    を満たすことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のオイルポンプロータ。
  8. 前記インナーロータの基礎円Diの直径をφDi、外転円Aiの直径をφAi、内転円Biの直径をφBi、前記アウターロータの基礎円Doの直径をφDo、外転円Aoの直径をφAo、内転円Boの直径をφBo、インナーロータとアウターロータとの偏心量をeとして、
    φAi=φAo、φBi+t/(n+2)=φBo
    φAi+φBi=2e
    φDi=n・(φAi+φBi)
    φDo=φDi・(n+1)/n+t・(n+1)/(n+2)
    を満たすことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のオイルポンプロータ。
  9. 前記インナーロータの基礎円Diの直径をφDi、外転円Aiの直径をφAi、内転円Biの直径をφBi、前記アウターロータの基礎円Doの直径をφDo、外転円Aoの直径をφAo、内転円Boの直径をφBo、インナーロータとアウターロータとの偏心量をeとして、
    φAi+t/2=φAo、φBi−t/2=φBo
    φAi+φBi=φAo+φBo=2e
    φDi=n・(φAi+φBi)、φDo=(n+1)・(φAo+φBo)
    (n+1)・φDi=n・φDo
    を満たすことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のオイルポンプロータ。
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