JP4255798B2 - 内接型ギヤポンプロータおよび内接型ギヤポンプ - Google Patents
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Description
このような内接型ギヤポンプは、n(nは自然数)枚の外歯が形成されたインナーロータと、この外歯に噛み合うn+1枚の内歯が形成されたアウターロータと、流体が吸入される吸入ポートおよび流体が吐出される吐出ポートが形成されたケーシングとを備えており、インナーロータを回転させることによって外歯が内歯に噛み合ってアウターロータを回転させ、両ロータ間に形成される複数のセルの容積変化によって流体を吸入、吐出するようになっている。
請求項1に係る発明は、n枚(nは自然数)の外歯が形成されたインナーロータと、前記外歯と噛み合う(n+1)枚の内歯が形成されたアウターロータとからなり、前記両ロータが噛み合って回転するときにこれら両ロータの歯面間に形成されるセルの容積変化により流体を吸入吐出することによって流体を搬送する内接型ギヤポンプロータであって、前記インナーロータの外歯は、歯先部の歯形が、第1の基礎円に外接して滑りなく転がる外転円によって創成される外転サイクロイド曲線を基にした形状とされるとともに、歯溝部の歯形が、前記第1の基礎円に内接して滑りなく転がる内転円によって創成される内転サイクロイド曲線を基にした形状とされ、前記アウターロータの内歯は、歯先部の歯形が、第2の基礎円に内接して滑りなく転がる内転円によって創成される内転サイクロイド曲線を基にした形状とされるとともに、歯溝部の歯形が、前記第2の基礎円に外接して滑りなく転がる外転円によって創成される外転サイクロイド曲線を基にした形状とされ、前記アウターロータの内歯の少なくとも回転方向後側には、前記サイクロイド曲線を基準として、当該内歯を形成する肉部を欠落させた欠落修正部が、次式、
0.1≦b/(a+b)≦0.5
および−0.2≦c/d≦0.2
ただし、
a:内歯の歯先部側における欠落修正部の端部と、第2の基礎円との法線方向の距離
b:内歯の歯先部側における欠落修正部の端部と、内歯の歯先頂部との法線方向の距離
c:内歯の歯溝部側における欠落修正部の端部と、第2の基礎円との法線方向の距離
d:第2の基礎円と、内歯の歯溝底部との法線方向の距離
を満たす部分に形成されていることを特徴とする。
図1に示す内接型ギヤポンプロータは、n(nは自然数)枚の外歯11が形成されたインナーロータ10と、該外歯11と噛み合う(n+1)枚の内歯21が形成されたアウターロータ20とを備え、この内接型ギヤポンプがケーシング30の内部に収納されている。
アウターロータ20は、n+1(本実施の形態においては10)枚の内歯21を備え、軸心O2をインナーロータ10の軸心O1に対して偏心(偏心量:e)させて内歯21を外歯11に噛み合わせて配置され、軸心O2を中心としてケーシング30の内部にて周方向に回転自在に支持されている。
また、アウターロータ20の内歯21は、歯先部21aの歯形が、第2の基礎円Doに内接して滑りなく転がる第2の内転円Boによって創成される内転サイクロイド曲線を基にした形状とされるとともに、歯溝部21bの歯形が、第2の基礎円Doに外接して滑りなく転がる第2の外転円Aoによって創成される外転サイクロイド曲線を基にした形状とされている。
また、インナーロータ10の外歯11の回転方向後側と前側には、前記サイクロイド曲線を基準として、当該外歯11を形成する肉部を外方へ膨出させた膨出修正部50が形成され、この膨出修正部50の表面形状は、外歯11とアウターロータ20の内歯21とが噛み合って、セルSの容積が最小となるときに、欠落修正部40の表面形状に沿うような形状とされている。
なお、本実施形態においては、全ての内歯21に欠落修正部40が形成され、全ての外歯11に膨出修正部50が形成され、また、欠落修正部40および膨出修正部50はともに、図2,図5,および図6に示すように平面状に形成されている。
これらの各端部40a,40bは、内歯21の前記歯面上のうち、次式で示される部分に位置している。すなわち、図2において、第2の基礎円Doと、歯先部側端部40aとの法線方向の距離をaとし、内歯21の歯先頂部21cと、歯先部側端部40aとの法線方向の距離をbとしたときに、次式、
0.1≦b/(a+b)≦0.5
を満たす部分に歯先部側端部40aが位置し、また、図2において、第2の基礎円Doと、歯溝部側端部40bとの距離をcとし、内歯21の歯溝底部21dと、第2の基礎円Doとの距離をdとしたときに、次式、
−0.2≦c/d≦0.2
を満たす部分に歯溝部側端部40bが位置している。なお、前記距離cについては、歯溝部側端部40bが第2の基礎円Doより歯溝部21b側に位置した場合(図2参照)を正(+)とし、歯溝部側端部40bが第2の基礎円Doより歯先部21a側に位置した場合を負(−)として表記している。
膨出修正部50は、インナーロータ10の外歯11のうち、セルSの容積が最小となるときに、欠落修正部40と対向する位置に形成され、外歯11の歯面と欠落修正部40との間隔を埋めるように形成されている。また、セルSの容積が最小となるときに、前述したように、膨出修正部40の表面と欠落修正部40の表面とは略平行となり、欠落修正部40と膨出修正部50との距離が、これらの形成領域内では略一定となるような構成となっている。
セルSの容積が最小となるのは、外歯11の歯先と内歯21どうしの間の歯溝とが正対したときである。
この図において、インナーロータ10がこの軸心O1を中心に回転するときに、外歯11がアウターロータ20の内歯21に接触し、外歯11の歯先が内歯21の歯溝に噛み合い始める点(噛み合い始点)k1、および外歯11が内歯21から離間し始め、噛み合いが終わる点(噛み合い終点)k2を形成する外歯11および内歯21の歯面上の点はそれぞれについて、常に一定となる。ひとつの内歯21について見れば、噛み合い始点k1は回転方向後側に形成され、噛み合い終点k2は回転方向前側に形成される。また、ひとつの外歯11について見れば、噛み合い始点k1は回転方向前側に形成され、噛み合い終点k2は回転方向後側に形成される。
セルSの容積が最大となるのは、外歯11どうしの間の歯溝と内歯21どうしの間の歯溝とが正対したときである。このとき、セルSmaxの回転方向前方に位置する外歯11の歯先と内歯21の歯先とが接触点P1にて接触するとともに、セルSmaxの回転方向後方に位置する外歯11の歯先と内歯21の歯先とが接触点P2にて接触する。セルSの容積が最大となる接触点P1、P2を形成する内歯21の歯面上の点は常に一定であり、これらの点を内歯21の前接触点p1、後接触点p2とみなす。ひとつの内歯21について見れば、前接触点p1は回転方向前側に形成され、後接触点p2は回転方向後側に形成される。
そして、外歯11と内歯21との噛み合いを終え、前記吸入ポートに沿ってセルSの容積が増大する過程に移ると、従来インナーロータ20の外歯21と接触していたアウターロータ20の内歯21の回転方向後側に欠落修正部40が設けられているために、セルSの前後において外歯11と内歯21との接触が回避される。
さらに、欠落修正部40が内歯21に、アウターロータ20の歯幅方向の端部に至らせて形成されているので、この欠落修正部40が形成された部分におけるアウターロータ20とケーシング30との間の接触が回避され、これら各部20、30の間に生じる摺動抵抗も小さくなる。
まず、本発明に係る実施例および比較例の概略構成を説明する。
アウターロータ20の外径を25mm、内歯21の数を9個とし、インナーロータ10の外歯11の数を8個とし、これら各歯21、11の歯幅を6mmとして、これら両ロータ10、20からなる内接型ギヤポンプロータをケーシング30内に収納して内接型ギヤポンプを形成した。この構成において、両ロータ10、20の偏心量eを0.985mmとし、理論吐出量を0.57cm3/rev.とし、吐出圧力を250kPaとした。
まず、本発明に係る実施例および比較例の概略構成を説明する。
アウターロータの外径を27.5mm、内歯21の数を13個とし、インナーロータの外歯の数を12個とし、これら各歯の歯幅を7mmとして、これらの両ロータからなる内接型ギヤポンプロータをケーシング内に収納して内接型ギヤポンプを形成した。
この構成において、両ロータの偏心量eを0.79mmとし、理論吐出量を0.67cm3/rev.とし、吐出圧力を250kPaとした。
この図8に示すように、式b/(a+b)が0.1以上0.5以下を満たし、かつ式c/dが−0.2以上0.2以下を満たす実施例1から5の内接型ギヤポンプロータを有するギヤポンプは、搬送効率が72%以上で、かつ機械効率が30%以上であり、搬送効率、機械効率ともに高い水準を実現できることが確認できた。
また、欠落修正部40および膨出修正部50を各々の歯21,11の歯幅方向全域にわたって形成した構成を採用したが、この方向における少なくも一部に形成されていればよい。
また、内歯21および外歯11を形成する転円の数はいずれであってもよい。
11 外歯
11a 外歯の歯先部
11b 外歯の歯溝部
20 アウターロータ
21 内歯
21a 内歯の歯先部
21b 内歯の歯溝部
21c 内歯の歯先頂部
21d 内歯の歯溝底部
30 ケーシング
40 欠落修正部
50 膨出修正部
Ai 第1の外接円
Ao 第2の外接円
Bi 第1の内接円
Bo 第2の内接円
Di 第1の基礎円
Do 第2の基礎円
S セル
Claims (4)
- n枚(nは自然数)の外歯が形成されたインナーロータと、前記外歯と噛み合う(n+1)枚の内歯が形成されたアウターロータとからなり、
前記両ロータが噛み合って回転するときにこれら両ロータの歯面間に形成されるセルの容積変化により流体を吸入吐出することによって流体を搬送する内接型ギヤポンプロータであって、
前記インナーロータの外歯は、歯先部の歯形が、第1の基礎円に外接して滑りなく転がる外転円によって創成される外転サイクロイド曲線を基にした形状とされるとともに、歯溝部の歯形が、前記第1の基礎円に内接して滑りなく転がる内転円によって創成される内転サイクロイド曲線を基にした形状とされ、
前記アウターロータの内歯は、歯先部の歯形が、第2の基礎円に内接して滑りなく転がる内転円によって創成される内転サイクロイド曲線を基にした形状とされるとともに、歯溝部の歯形が、前記第2の基礎円に外接して滑りなく転がる外転円によって創成される外転サイクロイド曲線を基にした形状とされ、
前記アウターロータの内歯の少なくとも回転方向後側には、前記サイクロイド曲線を基準として、当該内歯を形成する肉部を欠落させた欠落修正部が、次式、
0.1≦b/(a+b)≦0.5
および
−0.2≦c/d≦0.2
ただし、
a:内歯の歯先部側における欠落修正部の端部と、第2の基礎円との法線方向の距離
b:内歯の歯先部側における欠落修正部の端部と、内歯の歯先頂部との法線方向の距離
c:内歯の歯溝部側における欠落修正部の端部と、第2の基礎円との法線方向の距離
d:第2の基礎円と、内歯の歯溝底部との法線方向の距離
を満たす部分に形成されていることを特徴とする内接型ギヤポンプロータ。 - 請求項1記載の内接型ギヤポンプロータにおいて、
前記インナーロータの外歯の少なくとも回転方向前側には、前記サイクロイド曲線を基準として、当該外歯を形成する肉部を外方へ膨出させた膨出修正部が、前記外歯と前記アウターロータの内歯とが噛み合って、前記セルの容積が最小となるときに、前記欠落修正部の表面形状に沿った表面形状とされて形成されていることを特徴とする内接型ギヤポンプロータ。 - 請求項1または2に記載の内接型ギヤポンプロータにおいて、
前記インナーロータおよび前記アウターロータのうち少なくとも一方は、粘弾性特性を有する合成樹脂からなることを特徴とする内接型ギヤポンプロータ。 - 請求項1から3のいずれかに記載の内接型ギヤポンプロータと、
流体が吸入される吸入ポートおよび流体が吐出される吐出ポートが形成されたケーシングと、
前記インナーロータを回転駆動する直流モータとを備え、
前記両ロータの歯面間に形成されるセルの容積変化により、内燃機関などに使用される燃料を吸入吐出することによって該燃料を搬送する構成とされたことを特徴とする内接型ギヤポンプ。
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