JP2007262345A - 発泡性スチレン系樹脂粒子、スチレン系樹脂発泡粒子及びスチレン系樹脂発泡成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発泡剤を含むスチレン系樹脂からなる発泡性スチレン系樹脂粒子において、嵩発泡倍数40倍に発泡させて得られる発泡粒子の表層部と中央部とで平均気泡径が異なり、前記表層部の平均気泡径が25μm以下であり、前記表層部の厚みが75μm以下であり、前記中央部の平均気泡径が80μm〜800μmの範囲である発泡粒子が得られ、さらに該発泡性スチレン系樹脂粒子は、嵩発泡倍数40倍に発泡させて得られる発泡粒子中に平均気泡径30μm〜70μmの範囲の気泡が連続する気泡群を発生させる少なくとも1箇所のトリガー部を有することを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子。
【選択図】図1
Description
0.4≦(表層部の気泡の平均気泡径/中央部の気泡の平均気泡径)≦0.8
を満たすことを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子が開示されている。
本発明は、前記事情に鑑みてなされ、型内発泡成形した場合に放冷時間を短縮でき、十分な強度や外観を持ったスチレン系樹脂発泡成形品を短時間の成形サイクルで製造可能な発泡性スチレン系樹脂粒子の提供を目的とする。
このスチレン系樹脂は、一部又は全部に、スチレン系樹脂回収品を用いることができる。スチレン系樹脂回収品としては、食品トレーや魚箱や家電製品梱包材などのスチレン系樹脂発泡成形品などの回収品をリモネンなどの溶媒に溶かした後、溶媒を留去して得られたスチレン系樹脂回収品を用いることができる。また、前記スチレン系樹脂発泡成形品などの回収品を粉砕して(場合によってはさらに加熱減容して)得られたスチレン系樹脂回収品を用いることができる。あるいは、家電製品(テレビ、冷蔵庫、エアコン、プリンター、コピー機)等のハウジング部材として使用されていたスチレン系樹脂成形品などの回収品を粉砕して得られたスチレン系樹脂回収品を用いることができる。これらのスチレン系樹脂回収品は、押出機内で溶融混練され、押出機から押出してペレット化されたものを用いることが好ましい。2種以上のスチレン系樹脂材料を混合して用いる場合には、各材料を押出機に投入し、押出機内で溶融混練し、押出機から押し出す際にペレット化する方法を用いることが好ましい。
前記式(1)、(2)、(3)は、嵩発泡倍数40倍である予備発泡粒子の表層部の平均気泡径、中央部の平均気泡径、気泡群の平均気泡径の関係から、嵩発泡倍数X倍である予備発泡粒子の表層部の平均気泡径D1、中央部の平均気泡径D2、気泡群の平均気泡径D3の関係を導いたものである。予備発泡粒子の嵩発泡倍数が40倍に満たない、あるは40倍を超える場合でも、発泡による体積変化は3次元の変化なので、(X/40)を3乗根することにより1次元の気泡径の変化として換算できる。
また、表層部の厚みが75μmを超えると、予備発泡粒子が著しく収縮し易くなり、型内発泡成形時に著しく収縮してしまうために、製品化が困難になってしまう。この表層部の厚みは、70μm以下であることがより好ましい。
また、嵩発泡倍数X倍に発泡させた時の中央部の平均気泡径D2が前記式(2)の範囲より小さいと、全体的にセル膜が薄くなって耐熱性が低下し、予備発泡粒子を型内発泡成形する際の成形性(成形品の表面外観、発泡粒子同士の融着率)が悪化する。また中央部の平均気泡径D2が前記式(2)の範囲を超えると、その予備発泡粒子を型内発泡成形して得られる発泡成形体の曲げ強度が低下してしまう。
さらに、嵩発泡倍数X倍に発泡させた時の気泡群の平均気泡径D3が前記式(3)の範囲より小さいと、セル膜が薄くなって耐熱性が低下し、予備発泡粒子を型内発泡成形する際の成形性(成形品の表面外観、発泡粒子同士の融着率)が悪化する。また気泡群の平均気泡径D3が前記式(3)の範囲を超えると、型内発泡成形時に成形サイクルを短縮できなくなる。
前記式(4)、(5)、(6)は、嵩発泡倍数40倍である予備発泡粒子の表層部の平均気泡径、中央部の平均気泡径、気泡群の平均気泡径の関係から、発泡倍数X倍である発泡成形品の粒界部における微細気泡の平均気泡径D4、中央部の平均気泡径D5、気泡群の平均気泡径D6の関係を導いたものである。発泡成形品の発泡倍数が40倍に満たない、あるは40倍を超える場合でも、発泡による体積変化は3次元の変化なので、(X/40)を3乗根することにより1次元の気泡径の変化として換算できる。
また、表層部の厚みが75μmを超えると、予備発泡粒子が著しく収縮し易くなり、型内発泡成形時に著しく収縮してしまうために、製品化が困難になってしまう。この表層部の厚みは、70μm以下であることがより好ましい。
また、発泡倍数X倍に発泡させた時の中央部の平均気泡径D5が前記式(5)の範囲より小さいと、全体的にセル膜が薄くなって耐熱性が低下し、予備発泡粒子を型内発泡成形する際の成形性(成形体の表面外観、発泡粒子同士の融着率)が悪化する。また中央部の平均気泡径D5が前記式(5)の範囲を超えると、その予備発泡粒子を型内発泡成形して得られる発泡成形品の曲げ強度が低下してしまう。
さらに、発泡倍数X倍に発泡させた時の気泡群の平均気泡径D6が前記式(6)の範囲より小さいと、セル膜が薄くなって耐熱性が低下し、予備発泡粒子を型内発泡成形する際の成形性(成形品の表面外観、発泡粒子同士の融着率)が悪化する。また気泡群の平均気泡径D6が前記式(6)の範囲を超えると、型内発泡成形時に成形サイクルを短縮できなくなる。
スチレン系樹脂として、スチレン系樹脂発泡成形品をリモネンで溶かしたものから得られたスチレン系樹脂回収品(エコライフ土佐社製、リモネン再生原料、重量平均分子量24万)100質量部、気泡調整剤としてポリエチレングリコール11000(日本油脂社製)1質量部を混合し、押出機に投入して加熱溶融し、混練後、押出機吐出口に取り付けた0.5mmの円孔が300個配置された多孔ダイよりカッター室内に押出し、ダイの樹脂吐出面に密接して設置されたカッターの回転刃にて押出物を切断し、冷却、乾燥してポリスチレン樹脂粒子を得た。内容積50Lの反応器に上記ポリスチレン樹脂粒子7.6kg、水32kg、リン酸三カルシウム96g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム10gを仕込み、シクロヘキサン155g、ブタン543gを圧入して115℃に昇温し6時間保った。冷却後、回転数2800rpmのデカンター脱水機で水を分離した。
L=V0×t−0.5at2(m) ・・・(7)
V0=2r×π×N/60(m/s) ・・・(8)
a=F×g/W(m/s2) ・・・(9)
F=Cd×A×ρ×V0 2/2 ・・・(10)
V=V0−a×t ・・・(11)
[式(7)〜(11)中、Vはケーシングに衝突する時の粒子の速度(m/s)を表し(以下、ケーシング衝突速度と記す。)、Lは排出部からケーシングまでの距離(図2参照)を表し、V0は排出部から粒子が飛び出す速度(周速度)を表し、Nはデカンター回転数を表し、aは空気抵抗による減速の加速度を表し、gは重力加速度を表し、Fは粒子が受ける空気抵抗を表し、Cdは空気抗力係数(本実施例では球の値が不明なため、半球の値0.4を採用した)を表し、Wは粒子の質量を表し、Aは粒子の投影面積を表し、ρは空気の密度を表す。]
得られた粒子にブロッキング防止剤としてステアリン酸亜鉛0.1質量部、融着促進剤として1,2−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド0.05質量部をコーティングした。
得られた発泡性ポリスチレン樹脂粒子を嵩発泡倍数40倍に予備発泡し、表層部の微細気泡の平均気泡径、微細気泡の表層部の厚み、中央部の平均気泡径、気泡群の平均気泡径、気泡群の面積比を測定した。各測定項目の測定方法は後述する。結果は表1に示した。
図3は、この実施例1において製造した予備発泡粒子の切断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所社製S−3000N)を用いて20倍に拡大撮影した画像である。図3から、実施例1で製造した予備発泡粒子には、通常の平均気泡径を持つ発泡粒子の表層に微細気泡のごく薄い表層部が形成され、さらに発泡粒子中に中心部より細かく表層部より大きい平均気泡径の連続した気泡を持つ気泡群が複数(図3では3箇所)存在していることがわかる。
(2)成形型加熱(成形型を蒸気で加熱) 2秒
(3)一方加熱(一方向から蒸気で予備発泡粒子を加熱) 8秒
(4)逆一方加熱((3)の逆方向から蒸気で予備発泡粒子を加熱) 2秒
(5)両面加熱(型の両面から蒸気で予備発泡粒子を加熱) 8秒
(6)水冷(成形型に水をかけて型を冷やす) 3秒
(1)〜(6)の所要時間は、機械の動作時間も含め、合計66秒とした。
(7)放冷(成形型の蒸気室を真空ポンプで排気・減圧し、水の蒸発潜熱で成形型を冷やす)。放冷時間は、放冷開始から、発泡成形体の成形型にかかる圧力(面圧)が0.015MPaとなるまでに要する時間とした。
(8)取り出し(成形型から発泡成形品を取り出す)。
図4は、この実施例1において製造した発泡成形品の切断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所社製S−3000N)を用いて18倍に拡大撮影した画像である。図4からわかるように、この実施例1で製造した発泡成形品は、微細気泡の界面、通常の平均気泡径を持った気泡部分、その中間の平均気泡径を持った気泡群部分が混在した複雑な気泡構造を有している。
予備発泡させた予備発泡粒子(嵩発泡倍数40倍)を剃刀刃で、予備発泡粒子の中心近傍を通る平面で切断し、その切断された予備発泡粒子の表層部を走査型電子顕微鏡(日立製作所社製S−3000N)を用いて300倍に拡大撮影した画像を作成した。次に予備発泡粒子の最表層の気泡径の長径と短径を測定し、その平均値をその気泡の気泡径とした。最表層の気泡に接する接線から垂直に線を引き、その線上の気泡を最表層から順番に気泡径を測定していく。測定した気泡径が25μmを超える直前の気泡の気泡径まで測定し、その平均値を表層部の平均気泡径A’とする。25μmを超える直前の気泡から表層までの距離を微細気泡の表層部の厚みB’とする。同様にして任意に選択した10列分の平均気泡径A’と微細気泡の表層部の厚みB’を求め、これらの平均値を予備発泡粒子表層部の平均気泡径A、微細気泡の表層部の厚みBとした。
予備発泡させた予備発泡粒子(嵩発泡倍数40倍)から任意に選択した10個の発泡粒子を剃刀刃で、それぞれ発泡粒子の中心近傍を通る平面で切断し、その切断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所社製S−3000N)を用いて20〜200倍に拡大撮影した画像を作成した。次に汎用画像処理ソフト NauHunter NS2K−Pro(ナノシステム社製)を用いて、拡大画像上に表れた気泡において、長径と短径の平均値が30〜70μmの気泡に囲まれた1群以上の連続した気泡群を手動操作にて黒く着色し、着色部の面積を算出する。黒く着色された部分の気泡数とその部分の面積から気泡1個あたりの面積を算出し、その面積を円に換算したときの円の直径を、その発泡粒子の気泡群の気泡径とし、10個の発泡粒子の平均値を気泡群の平均気泡径とした。また、黒く着色された部分の面積をその発泡粒子の気泡群の面積とし、10個の発泡粒子の平均値を気泡群の平均面積とした。
予備発泡させた予備発泡粒子(嵩発泡倍数40倍)から任意に選択した10個の発泡粒子を剃刀刃で、それぞれ発泡粒子の中心近傍を通る平面で切断し、その切断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所社製S−3000N)を用いて20倍に拡大撮影した画像を作成した。次に汎用画像処理ソフト NauHunter NS2K−Pro(ナノシステム社製)を用いて切断面の面積を算出し、10個の発泡粒子の平均値を切断面の平均面積とした。前記気泡群の平均面積と切断面の平均面積から下記式により気泡群の面積比Aを算出した。
気泡群の面積比A=気泡群の平均面積/切断面の平均面積
気泡群の面積比Aは、0.05〜0.25の範囲であることが好ましい。
0. 05未満では、型内発泡成形時に成形サイクルを短縮できなくなる。
また0.25を超えるとセル膜が薄くなって耐熱性が低下し、予備発泡粒子を型内発泡成形する際の成形性(成形品の表面外観、発泡粒子同士の融着率)が悪化する。より好ましくは0.15〜0.25の範囲である。
予備発泡させた予備発泡粒子(嵩発泡倍数40倍)から任意に選択した10個の発泡粒子を剃刀刃で、それぞれ発泡粒子の中心近傍を通る平面で切断し、その切断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所社製S−3000N)を用いて20〜200倍に拡大撮影した画像を作成した。次に汎用画像処理ソフト NauHunter NS2K−Pro(ナノシステム社製)を用いて、発泡粒子の1群以上の気泡群と表層部の微細気泡層とを手動操作にて黒く着色し、着色部の面積を算出し、前記切断面の面積から引いた残りの面積を算出する。黒く着色された部分以外の気泡数とその部分の面積から気泡1個あたりの面積を算出し、その面積を円に換算したときの円の直径を、その発泡粒子の中央部の気泡径とし、10個の発泡粒子の平均値を中央部の平均気泡径とした。
予備発泡させた予備発泡粒子を剃刀刃で、それぞれ予備発泡粒子の中心近傍を通る平面で切断し、その切断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所製S−3000N)を用いて20倍に拡大撮影した画像を作成した。次に予備発泡粒子の切断面の画像を基に予備発泡粒子の切断面に内接する第1の真円(内側円)を描く。この第1の真円の直径2/5の半径を有する第2の真円を描き、この内側を中央部とする。中央部に存在する気泡の数と、第2の真円の内側の面積から、気泡1個あたりの面積を算出し、その面積を円に換算した時の円の直径を、その予備発泡粒子の中央部の気泡径C’とした。なお第2の真円の線上にかかる気泡は0.5個と数えた。このようにして任意に選択した10個の予備発泡粒子中央部の気泡径C’を求め、これらの平均値を予備発泡粒子中央部の平均気泡径Cとした。
発泡成形品の外観を目視にて評価した。
○ :粒子接合境界部分も平滑であり、表面光沢性も優れている。
△ :粒子接合境界部分に凹凸があり、平滑性に若干劣る。
× :成形品が収縮している。
長さ400mm、幅300mm、厚み30mmの平板形状の発泡成形体の表面に、一対の長辺の中心同士を結ぶ直線に沿ってカッターナイフで深さ約5mmの切り込み線を入れた後、この切り込み線に沿って発泡成形体を手で二分割し、その破断面における発泡粒子について、100〜150個の任意の範囲について粒子内で破断している粒子の数(a)と粒子どうしの界面で破断している粒子の数(b)とを数え、式[(a)/((a)+(b))]×100に代入して得られた値を融着率(%)とした。
融着率の評価として、融着率70%以上を良好(○)、融着率70%未満を不良(×)とした。
成形型のキャビティ内に予備発泡粒子を充填した後、加熱工程、冷却工程を経て、発泡成形品が成形型から取り出される間での時間を成形サイクルとした。また、放冷開始から発泡成形体の成形型にかかる圧力が0.015MPaに下がるまでの時間を放冷時間とした。
成形サイクルの評価として、放冷時間(秒)/成形サイクル(秒)が、0.5未満であれば良好(○)、0.5以上であれば不良(×)とした。
JIS A9511に規定された試験法に準じて測定した。(単位:MPa)
曲げ強度の評価として、0.40MPa以上を良好(○)、0.4MPa未満を不良(×)とした。
発泡成形品(発泡倍数40倍)を剃刀刃で切断し、その切断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所製S−3000N)を用いて300倍に拡大撮影した画像を作成した。発泡成形品の粒界部の接線から垂直に線を引き、その線上の気泡を粒界から順番に気泡径を測定し、予備発泡粒子(嵩発泡倍数40倍)の表層部の平均気泡径と同様にして発泡成形品の粒界部の微細気泡の平均気泡径を求めた。
<発泡成形品の粒界部の微細気泡の厚み>
発泡成形品(発泡倍数40倍)を剃刀刃で切断し、その切断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所製S−3000N)を用いて300倍に拡大撮影した画像を作成した。発泡成形品の粒界部の接線から垂直に線を引き、予備発泡粒子(嵩発泡倍数40倍)の微細気泡の表層部の厚みと同様にして発泡成形品の粒界部の微細気泡の表層部の厚みを求めた。
<発泡成形品の気泡群の平均気泡径と平均面積>
発泡成形品(発泡倍数40倍)を剃刀刃で切断し、その切断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所社製S−3000N)を用いて20〜200倍に拡大撮影した画像を作成した。予備発泡粒子(嵩発泡倍数40倍)の気泡群の平均気泡径と平均面積と同様にして発泡成形品の気泡群の平均気泡径と平均面積を求めた。
<発泡成形品の気泡群の面積比A>
発泡成形品(発泡倍数40倍)を剃刀刃で切断し、その切断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所社製S−3000N)を用いて20倍に拡大撮影した画像を作成した。予備発泡粒子(嵩発泡倍数40倍)の気泡群の面積比Aと同様にして発泡成形品の気泡群の面積比Aを求めた。
気泡群の面積比A=気泡群の平均面積/切断面の平均面積
気泡群の面積比Aは、0.05〜0.25の範囲であることが好ましい。
0.05未満では、型内発泡成形時に成形サイクルを短縮できなくなる。
また0.25を超えるとセル膜が薄くなって耐熱性が低下し、予備発泡粒子を型内発泡成形する際の成形性(成形品の表面外観、発泡粒子同士の融着率)が悪化する。より好ましくは0.15〜0.25の範囲である。
<発泡成形品の気泡群が存在する場合の中央部の平均気泡径>
発泡成形品(発泡倍数40倍)を剃刀刃で切断し、その切断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所社製S−3000N)を用いて20〜200倍に拡大撮影した画像を作成した。予備発泡粒子(嵩発泡倍数40倍)の気泡群が存在する場合の中央部の平均気泡径と同様にして発泡成形品の気泡群が存在する場合の中央部の平均気泡径を求めた。
<発泡成形品の気泡群が存在しない場合の中央部の平均気泡径>
発泡成形品を剃刀刃で切断し、その切断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所社製S−3000N)を用いて20倍に拡大撮影した画像を作成した。予備発泡粒子の気泡群が存在しない場合の中央部の平均気泡径と同様にして発泡成形品の気泡群が存在しない場合の中央部の平均気泡径を求めた。
<嵩発泡倍数>
嵩発泡倍数は予備発泡粒子を試料としてメスシリンダー内に自然落下させたのち、メスシリンダーの底をたたいて試料容積を一定にさせ、その容積と質量を測定し下記式により算出した。樹脂比重は、スチレン系樹脂の場合1.0とした。
嵩発泡倍数(倍)=メスシリンダー中の試料容積(mL)/試料質量(g)×樹脂比重
発泡成形品の発泡倍数は試験片(例50×50×25mm)の寸法と質量を有効数字3桁以上になるように測定し、下記式により算出した。樹脂比重は、スチレン系樹脂の場合1.0とした。
発泡倍数(倍)=試験片体積(cm3)/試験片質量(g)×樹脂比重
気泡調整剤としてポリエチレングリコール11000の添加量を0.5質量部とした以外は、実施例1と同様に行った。
気泡調整剤としてポリエチレングリコール11000の添加量を1.5質量部とした以外は、実施例1と同様に行った。
気泡調整剤としてポリエチレングリコール1540(日本油脂社製)を使用した以外は、実施例1と同様に行った。
気泡調整剤としてオキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体のプロノン208(日本油脂社製)を使用した以外は、実施例1と同様に行った。
スチレン系樹脂として、スチレン系樹脂発泡成形品を粉砕したものから得られたスチレン系樹脂回収品(エフピコ社製、OPS再生原料、重量平均分子量22万)100質量部とした以外は実施例1と同様に行った。
気泡調整剤としてポリエチレングリコール11000の添加量を0.4質量部とした以外は、実施例1と同様に行った。
気泡調整剤としてポリエチレングリコール11000の添加量を1.6質量部とした以外は、実施例1と同様に行った。
脱水工程において、得られた発泡性ポリスチレン樹脂粒子のスラリーをろ布に移し、セントル脱水機で水を分離した以外は、実施例1と同様に行った。
図5は、この比較例3において製造した予備発泡粒子の切断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所社製S−3000N)を用いて20倍に拡大撮影した画像である。図3から、実施例1で製造した予備発泡粒子には、通常の平均気泡径を持つ発泡粒子の表層に微細気泡のごく薄い表層部が形成されているが、実施例1と異なり、気泡群が存在していないことがわかる。
気泡調整剤としてポリエチレングリコール1540を0.15質量部、硫酸ナトリウムを0.1質量部混合し、実施例1と同様に行った後、得られた発泡性ポリスチレン樹脂粒子のスラリーをろ布に移し、セントル脱水機で水を分離した。得られた粒子のコーティング、予備発泡、型内発泡成形は実施例1と同様に行った。
図6は、比較例4で製造した予備発泡粒子の切断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所社製S−3000N)を用いて20倍に拡大撮影した画像であり、また図7は、同じ予備発泡粒子の断面の表層部を300倍に拡大撮影した画像である。この比較例4の予備発泡粒子は、特許文献1に開示された従来技術を意図したものであり、図6及び図7に示すように、この比較例4では微細気泡を持った表層部が形成されず、予備発泡粒子の中央から表層まで、ほぼ均一な気泡径の予備発泡粒子が得られた。
スチレン径樹脂として、スチレン系樹脂発泡成形品をリモネンで溶かしたものから得られたスチレン系樹脂回収品(エコライフ土佐社製、リモネン再生原料、重量平均分子量24万)100質量部を押出機に投入して加熱溶融し、混練後、発泡剤としてイソペンタン5.5質量部を押出機途中より圧入した。発泡剤添加溶融樹脂を押出機吐出口に取り付けた0.5mmの円孔が300個配置された多孔ダイよりカッター室内に押出し、ダイの樹脂吐出面に密接して設置されたカッターの回転刃にて押出物を切断し、冷却、乾燥して発泡性ポリスチレン樹脂粒子を得た。得られた粒子のコーティング、予備発泡、型内発泡成形は実施例1と同様に行った。
この予備発泡粒子は、型内発泡成形して発泡成形体を製造する際に、微細気泡の表層部が形成されない従来品(比較例4)の予備発泡粒子の型内発泡成形よりも、成形サイクルにおける放冷時間を短縮でき、従来品よりも短い成形サイクルで外観、融着率及び曲げ強度が同等の発泡成形品を製造することができた。また本発明に係る実施例1〜6の予備発泡粒子は、気泡群が存在しないこと以外は実施例1と同等の構造を持った比較例3の予備発泡粒子よりも、放冷時間が短くて済み、成形サイクルをさらに短縮することができた。
比較例2は、気泡調整剤の配合量を多くした結果、予備発泡粒子の中央部の平均気泡径が943μmと、本発明の範囲(80μm〜800μm)を超えた。この予備発泡粒子を型内発泡成形して得られた発泡成形体は、実施例1〜6の発泡成形体よりも曲げ強度が低かった。
比較例3では、発泡性スチレン系樹脂粒子にトリガー部を設けず、予備発泡後に得られる予備発泡粒子に気泡群が存在していないこと以外は、実施例1と同等の構造を持った予備発泡粒子を製造した。この比較例3の予備発泡粒子は、型内発泡成形における放冷時間が実施例1〜6よりも長くかかり、成形サイクルが長くなった。
比較例4は、気泡調整剤にポリエチレングリコールと硫酸ナトリウムを併用した結果、予備発泡粒子は中央部から表層部までほぼ均一な気泡構造となり、微細気泡の表層部は形成されなかった。この予備発泡粒子を型内発泡成形して発泡成形品とする場合、放冷時間が実施例1〜6よりも長くかかった結果、成形サイクルが長くなった。
比較例5は、気泡調整剤を用いなかった結果、微細気泡の表層部は形成されなかった。この予備発泡粒子を型内発泡成形して発泡成形品とする場合、放冷時間が実施例1〜6よりも長くかかった結果、成形サイクルが長くなった。
Claims (9)
- 発泡剤を含むスチレン系樹脂からなる発泡性スチレン系樹脂粒子において、
嵩発泡倍数40倍に発泡させて得られる発泡粒子の表層部と中央部とで平均気泡径が異なり、前記表層部の平均気泡径が25μm以下であり、前記表層部の厚みが75μm以下であり、前記中央部の平均気泡径が80μm〜800μmの範囲である発泡粒子が得られ、さらに該発泡性スチレン系樹脂粒子は、嵩発泡倍数40倍に発泡させて得られる発泡粒子中に平均気泡径30μm〜70μmの範囲の気泡が連続する気泡群を発生させる少なくとも1箇所のトリガー部を有することを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子。 - 前記スチレン系樹脂100質量部に対し、気泡調整剤として多価アルコールを0.5〜1.5質量部の範囲で含むことを特徴とする請求項1に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子。
- 前記多価アルコールが、重量平均分子量1500〜20000の範囲のポリエチレングリコール又はポリエチレングリコール誘導体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子。
- 前記トリガー部が、発泡性スチレン系樹脂粒子に局部的な衝撃を与えて生じた局部的な歪み又は微小クラックであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の発泡性スチレン系樹脂粒子。
- 前記スチレン系樹脂は、少なくとも一部に、スチレン系樹脂回収品から得られた回収スチレン系樹脂を含むものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の発泡性スチレン系樹脂粒子。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の発泡性スチレン系樹脂粒子を加熱し予備発泡させて得られたものであることを特徴とする請求項6に記載のスチレン系樹脂発泡粒子。
- 請求項6又は7に記載のスチレン系樹脂発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填し、成形型を蒸気加熱し型内発泡成形して得られたものであることを特徴とするスチレン系樹脂発泡成形品。
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