JP2007261113A - 化粧シート - Google Patents

化粧シート Download PDF

Info

Publication number
JP2007261113A
JP2007261113A JP2006089874A JP2006089874A JP2007261113A JP 2007261113 A JP2007261113 A JP 2007261113A JP 2006089874 A JP2006089874 A JP 2006089874A JP 2006089874 A JP2006089874 A JP 2006089874A JP 2007261113 A JP2007261113 A JP 2007261113A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
decorative sheet
layer
resin layer
solvent
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006089874A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5217105B2 (ja
Inventor
Kazuhiro Suga
和宏 須賀
Hiroyuki Atake
浩之 阿竹
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2006089874A priority Critical patent/JP5217105B2/ja
Publication of JP2007261113A publication Critical patent/JP2007261113A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5217105B2 publication Critical patent/JP5217105B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】印刷特性やエアがみ(噛み)の問題が生じることがなく、それでいて、真空成形法や射出成形法において用いられ加熱された場合であっても、溶剤の気化による意匠の乱れがない化粧シートを提供すること。
【解決手段】 着色層が形成された第1樹脂層と、第2樹脂層とを有し、前記第1樹脂層に形成された着色層を挟むように、前記第1樹脂層と第2樹脂層とが接着剤により接着されてなる化粧シートにおいて、前記第1樹脂層に形成された着色層の厚さと、前記接着剤の厚さの和を5〜30μmとし、かつ、前記着色層に残留する溶剤の量と、前記接着剤に残留する溶剤の量の和を10〜80mg/mとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、建築物の内装、建具の内装、車両の内装等に用いられる化粧シートに関する。さらに具体的には、真空成形や射出成形など熱がかかる成形方法において好適に用いることができる化粧シートに関する。
従来から、着色層が形成された樹脂層(第1樹脂層)と、これとは別の樹脂層(第2樹脂層)とを、着色層を挟むように接着剤により接着することにより形成した化粧シートが種々の用途で用いられている(例えば、特許文献1)。
現在においては、このような構成を有する化粧シートを用いて自動車の内装部品やシステムキッチンの各種部品等を装飾することが行われており、これらの部品は真空成形法や射出成形法などによって形成される場合が多い。そして、このような成形法を採用する場合、金型中に化粧シートを予め装着しておき、真空成形法や射出成形法を行う際に同時に当該化粧シートを成形品表面に接着する方法(いわゆる同時加飾)が採用されることが多い。
特開2001−232703号公報
前述のような、着色層が形成された第1樹脂層と、これとは別の第2樹脂層とを、着色層を挟むように接着剤により接着することにより形成された化粧シートにあっては、着色層や接着剤中に溶剤が含有されている。このように着色層中(着色層を形成する印刷インキ中)に溶剤を含有せしめるのは、インキの粘度を調整し、第1樹脂とのなじみを良好にし、印刷特性を向上させるためである。また、接着剤中に溶剤を含有せしめるのは、前記着色層中に溶剤を含有するのと同様に、接着剤の粘度を適当に調整し、着色層が形成された第1樹脂層やこれと接着される第2樹脂層とのなじみを良し、これらを接着する際に化粧シート中に気泡が残存する減少(いわゆるエアがみ(噛み))を防止するためである。
しかしながら、着色層の印刷特性や、接着時のエアがみ(噛み)のみを考慮して化粧シートを設計した場合、当該化粧シート中に溶剤が多量に残存してしまうことがある。そして、溶剤が多量に残存した化粧シートを前述の真空成形法や射出成形法による、いわゆる同時加飾方法に用いると、化粧シートが加熱されるため当該化粧シート中に残存する溶剤が気化して化粧シートの表面側へ移動し、その意匠性が損なわれるという問題が生じる場合があった。
つまり、印刷特性やエアがみ(噛み)の問題と、真空成形や射出成形時の溶剤の気化の問題とは、いわゆるトレードオフの関係にあり、一方のみを考慮して化粧シートを設計下のでは良好な化粧シートとは言えない。
本願発明者はこのような問題を自ら見出し、これを解決するために本発明を完成させた。つまり、本発明は、着色層を有し、接着剤を用いて樹脂を貼り合わせることにより構成される化粧シートにおいて、印刷特性やエアがみ(噛み)の問題が生じることがなく、それでいて、真空成形法や射出成形法において用いられ加熱された場合であっても、溶剤の気化による意匠の乱れがない化粧シートを提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するための本発明は、着色層が形成された第1樹脂層と、第2樹脂層とを有し、前記第1樹脂層に形成された着色層を挟むように、前記第1樹脂層と第2樹脂層とが接着剤により接着されてなる化粧シートであって、前記第1樹脂層に形成された着色層の厚さと、前記接着剤の厚さの和が5〜30μmであり、かつ、前記着色層に残留する溶剤の量と、前記接着剤に残留する溶剤の量の和が10〜80mg/mであることを特徴とする。
また、上記本発明の化粧シートにあっては、前記着色層の厚さと接着剤の厚さの比率が、着色層の厚さ/接着剤の厚さ=1/10〜3/1であることが好ましい。
また、上記本発明の化粧シートにあっては、真空成形品または射出成形品において用いることが好ましい。
本発明の化粧シートは、着色層が形成された第1樹脂層と、第2樹脂層とを有し、前記第1樹脂層に形成された着色層を挟むように、前記第1樹脂層と第2樹脂層とが接着剤により接着されてなり、前記第1樹脂層に形成された着色層の厚さと、前記接着剤の厚さの和を所定の範囲内(5〜30μm)に限定し、さらに、前記着色層に残留する溶剤の量と、前記接着剤に残留する溶剤の量の和をも所定の範囲内(10〜80mg/m)に限定している。このような本発明によれば、溶剤が用いられる着色層と接着層の層厚の和をコントロールし、かつその中に残存する溶剤の量の和をもコントロールしているため、溶剤が含有されていることによるメリット、具体的には着色層の印刷特性と接着剤によって接着する際のエアがみ(噛み)の防止を良好に保ちつつ、溶剤が多量に含有されることによるデメリット、具体的には、真空成形時や射出成形時の熱により残留溶剤が気化して意匠性を損ねるという問題を生じさせない、バランスのとれた化粧シートとすることができる。
また、このような本発明の化粧シートにおいて、前記着色層の厚さと接着剤の厚さの比率を所定の範囲内(着色層の厚さ/接着剤の厚さ=1/10〜3/1)とすることにより、接着剤を用いて第1樹脂層と第2樹脂層とを接着する際に生じるエアがみ(噛み)を効率的に防止しつつ、着色層による意匠性の付与を良好にすることができる。
このような本発明の化粧シートの上記特性を鑑みれば、真空成形品または射出成形品において用いることが好ましいことは言うまでもない。
以下、本発明の化粧シートについて図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の化粧シートの一例の構成を示す概略断面図である。
図2は、本発明の化粧シートの別の構成を示す概略断面図である。
図1、2に示すように、本発明の化粧シート10は、ベタ着色層13aと絵柄着色層13bとからなる着色層13が形成された第1樹脂層11と、第2樹脂層12とを有し、前記第1樹脂層11に形成された着色層13を挟むように、前記第1樹脂層11と第2樹脂層12とが接着剤14により接着されて構成されており、前記第1樹脂層に形成された着色層13の厚さと、前記接着剤14の厚さの和が5〜30μmであり、さらに、前記着色層13に残留する溶剤の量と、前記接着剤14に残留する溶剤の量の和が10〜80mg/mであることに特徴を有している。
ここで、図1と図2に示す化粧シート10は、着色層13が形成された第1樹脂層11を化粧シート10の表面側に配置するか、裏面側に配置するかの違いのみであり、何れを採用するかは化粧シートの利用分野等に応じて適宜選択することができる。
以下、本発明の化粧シート10をその構成毎に説明する。
(第1樹脂層)
第1樹脂層11は、本発明の化粧シート10に必須のものであり、化粧シート10のベースとなるものである。
第1樹脂層11に用いられる材料としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。このうち、化粧シート10が、耐候性、表面艶(ハイグロス)、表面硬度、さらには真空成形性を重視する用途で用いられる場合には、第1樹脂層11層としてはアクリル系樹脂を用いることが好ましく、一方で、低艶、Vカット加工性を重視する用途で用いられる場合には、ポリオレフィン系樹脂やポリエステル系樹脂を用いることが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂を用いることが好ましい。これらの材料は、製造後の化粧シートを焼却廃棄処分する際に塩素系のガスが発生しないため、安全性が高く、環境の面から好ましく用いられる。
また、図1に示すように、第1樹脂層11を化粧シート10の表面側に配置する場合には、当該第1樹脂層11は透明であることが必要となる。当該第1樹脂層11に形成される着色層13を認識することができるようにするためである。
一方で、図2に示すように、第1樹脂層11を化粧シート10の裏面側(つまり化粧シートが被着される処理物と接する側)に配置する場合には、当該第1樹脂層11は有色不透明であることが好ましい。後述する着色層13の色調の安定性を確保することができ、また、当該化粧シートが被着される処理物の表面色相がばらついていた場合に、ばらついた表面の色相を良好に隠蔽することができるからである。
第1樹脂層11を形成する樹脂としては、透明なポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましく、例えば、ポリエチレン(低密度、又は高密度)、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等の高結晶質の非エラストマーポリオレフィン系樹脂、或いは各種のオレフィン系熱可塑性エラストマーが使用できる。オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば下記(1)〜(7)に記載のものが使用できる。
(1) 特公平6−23278号公報記載の、(A)ソフトセグメントとして、数平均分子量Mnが25,000以上、且つ、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mn≦7の沸騰ヘプタンに可溶なアタクチックポリプロピレン10〜90重量%と、(B)ハードセグメントとして、メルトインデックスが0.1〜4g/10分の沸騰ヘプタン不溶性のアイソタクチックポリプロピレン90〜10重量%、との混合物からなる軟質ポリプロピレン。この種のオレフィン系熱可塑性エラストマーの中でも、所謂「ネッキング」を生じ難く、加熱、加圧により各種形状に成形したりエンボス加工する際に適性良好なものとしては、アイソタクチックポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンとの混合物に於いて、アイソタクチックポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンとの混合割合が、アタクチックポリプロピレンの重量比で5重量%以上50重量%以下のものである。
ポリプロピレン系のオレフィン系熱可塑性エラストマー自体は既に公知のものであるが、包装容器等従来公知の用途に用いられる場合は、強度を重視する為に、ソフトセグメントとなるアタクチックポリプロピレンの重量比が5重量%未満のものが専ら使用されていた。しかしながら、Vカット加工をしたり、三次元形状、乃至凹凸形状に成形したりするという新規な用途にこれを適用しようとすると、前記の如くネッキングを生じて良好な加工が不可能であった。そこで、従来の組成の設計とは逆に、ポリプロピレン系のオレフィン系熱可塑性エラストマーに於いて、アタクチックポリプロピレンの重量比を5重量%以上とすることにより、Vカット加工したり、三次元形状、乃至凹凸形状の物品表面形状に成形する際のネッキングによる不均一なシートの変形、及びその結果としての皺、絵柄の歪み等の欠点を解消することができる。特にアタクチックポリプロピレンの重量比が20重量%以上の場合が良好である。一方、アタクチックポリプロピレンの重量比が増加し過ぎると、シート自体が変形し易くなり、シートを印刷機に通したときにシートが変形し、絵柄が歪んだり、多色刷りの場合に見当が合わなくなる等の不良が発生し易くなる。また、成形時にも破れ易くなる為に好ましくない。アタクチックポリプロピレンの重量比の上限としては、輪転グラビア印刷等の通常の輪転印刷機を用いて装飾層等を印刷し、また、シートのエンボス加工、真空成形、Vカット加工、射出成形同時ラミネート等を採用する場合は50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。
(2) エチレン−プロピレン−ブテン共重合体樹脂からなる熱可塑性エラストマー。ここで、そのブテンとして、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレンの3種の構造異性体のいずれも用いることができる。共重合体としては、ランダム共重合体で、非晶質の部分を一部含む。上記エチレン−プロピレン−ブテン共重合体の好ましい具体例としては次の(i)〜(iii)が挙げられる。
(i) 特開平9−111055号公報記載のもの。これは、エチレン、プロピレン及びブテンの三元共重合体によるランダム共重合体である。単量体成分の重量比はプロピレンが90重量%以上とする。メルトフローレートは、230℃、2.16kgで1〜50g/10分のものが好適である。そして、このような三元ランダム共重合体100重量部に対して、燐酸アリールエステル化合物を主成分とする透明造核剤を0.01〜50重量部、炭素数12〜22の脂肪酸アミド0.003〜0.3重量部を熔融混練してなるものである。
(ii) 特開平5−77371号公報記載のもの。これは、エチレン、プロピレン、1−ブテンの三元共重合体であって、プロピレン成分含有率が50重量%以上の非晶質重合体20〜100重量%に、結晶質ポリプロピレンを80〜0重量%添加してなるものである。
(iii) 特開平7−316358号公報記載のもの。これは、エチレン、プロピレン、1−ブテンの三元共重合体であって、プロピレン及び/又は1−ブテンの含有率が50重量%以上の低結晶質重合体20〜100重量%に対して、アイソタクチックポリプロピレン等の結晶質ポリオレフィン80〜0重量%を混合した組成物に対して、N−アシルアミノ酸アミン塩、N−アシルアミノ酸エステル等の油ゲル化剤を0.5重量%添加してなるものである。
なお、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体樹脂は、単独で用いても良いし、上記(i)〜(iii)に必要に応じ更に他のポリオレフィン系樹脂を混合して用いても良い。
(3) 特公昭53−21021号公報記載の如き、(A)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のオレフィン重合体(結晶性高分子)をハードセグメントとし、これに(B)部分架橋したエチレン−プロピレン共重合体ゴム、不飽和エチレン−プロピレン−非共役ジエン三元共重合体ゴム等のモノオレフィン共重合体ゴムをソフトセグメントとし、これらを均一に配合し混合してなるオレフィン系エラストマー。なお、モノオレフィンゴム/オレフィン重合体=50/50〜90/10(重量比)の割合で混合する。
(4) 特公昭53−34210号公報等に記載の如き、(B)未架橋モノオレフィン共重合体ゴム(ソフトセグメント)と、(A)オレフィン系共重合体(結晶性、ハードセグメント)と架橋剤とを混合し、加熱し剪断応力を加えつつ動的に部分架橋させてなるオレフィン系エラストマー。なお、(B)モノオレフィンゴム/(A)オレフィン系共重合体=60/40〜80/20(重量比)である。
(5) 特公昭56−15741号公報等に記載の如き、(A)アイソタクチックポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体等のペルオキシドと混合・加熱すると分子量を減じ、流動性を増すペルオキシド分解型オレフィン重合体(ハードセグメント)と、(B)エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三元共重合体ゴム等のペルオキシドと混合・加熱することにより、架橋して流動性が減じるペルオキシド架橋型モノオレフィン共重合体ゴム(ソフトセグメント)、(C)ポリイソブチレン、ブチルゴム等のペルオキシドと混合・加熱しても架橋せず、流動性が不変の、ペルオキシド非架橋型炭化水素ゴム(ソフトセグメント兼流動性改質成分)、及び(D)パラフィン系、ナフテン系、芳香族系等の鉱物油系軟化剤、とを混合し、有機ペルオキシドの存在下で動的に熱処理してなるオレフィン系エラストマー。なお、(A)が90〜40重量部、(B)が10〜60重量部で、(A)+(B)=100重量部として、これに、(C)及び/又は(D)が5〜100重量部の配合比となる。
(6) 特開平2−139232号公報に記載の如き、エチレン−スチレン−ブチレン共重合体からなるオレフィン系熱可塑性エラストマー。
(7) 極性基として水酸基又は/及びカルボキシル基を持たせた、上記(1)から(6)のオレフィン系熱可塑性エラストマー。例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のグラフト重合で水酸基を導入したオレフィン系熱可塑性エラストマー、また、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の共重合体でカルボキシル基を導入したオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いる。これら水酸基、カルボキシル基はどちらか一方、又は両方を併用してもよく、これら極性基は、絵柄印刷層等の装飾層、接着層等の他の層との接着性を向上させる作用を持つ。
これらのポリオレフィン系樹脂からなるポリオレフィン系樹脂フィルムとしては、延伸タイプと無延伸タイプのフィルムがあり、未延伸タイプが好ましく用いられる。この未延伸タイプのフィルムは、柔軟性を有しており、ラッピング、Vカット加工、真空成形、射出成形同時ラミネート等の加工適性に優れ、また、加熱収縮率にも優れたものであるので、第1樹脂層11として好適に用いられる。
アクリル系樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなる樹脂が挙げられる。なお、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを意味する。これらのアクリル系樹脂は、単体又は2種以上の混合物として、単層又は2層以上の積層体として第1樹脂層11に用いられる。
ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、エチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体、ポリアリレート等の熱可塑性のポリエステル樹脂が挙げられる。
また、上述した第1樹脂層11の材料には、必要に応じて着色剤、充填剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種の添加剤が配合されていてもよい。
添加剤として用いられる着色剤は、化粧シートとして必要な色彩を第1樹脂層11に持たせる役割を果たす。用途に応じて着色剤を選択し、第1樹脂層11を有色透明に着色することもできるし、有色不透明に着色することもできる。着色剤としては、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、バンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4A、フタロシアニンブルー等の有機顔料あるいは染料、アルミニウム、真鍮等の箔粉からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸亜鉛等の箔粉からなる真珠光沢顔料等が用いられる。また、必要に応じて、無機充填剤を添加してもよく、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク、シリカ(二酸化珪素)、アルミナ(酸化アルミニウム)等の粉末等が挙げられる。着色剤の添加量は、通常、上述の第1樹脂層11用の樹脂材料100重量部に対し、1〜50重量部程度である。
第1樹脂層11は、上述した樹脂材料を、カレンダー法、インフレーション法、Tダイ押出し法等の成膜方法により、シートとすることができる。
形成した第1樹脂層11の厚さは、化粧シートが使用される用途や要求される性能に基づいて任意に設定される。例えば、20〜300μm程度の範囲のものが適用される。
こうして形成された第1樹脂層11の表面には、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の易接着処理を施すことしてもよい。
(着色層)
着色層13は、前述の第1樹脂層11上に形成される層であり、図示するように、ベタ着色層13aおよび/または絵柄着色層13bから構成される。
ベタ着色層13aは、化粧シート全体にわたって意匠性を付与する目的(図1、2参照)や、第1樹脂層の地肌の隠蔽等の目的(図2参照)で設けられ、通常は模様のない全ベタ状の着色層として形成される。一方、絵柄着色層13bは、図形、文字、記号、色彩、それらの組み合わせ等により、所望の模様ないし色彩を有し、ベタ着色層13aの表面側に、平面状、凹凸状、凸状(図1、2を参照)の層として形成される。なお、絵柄着色層13bがベタ着色層13aの作用を兼ねる場合もあり、ベタ着色層13aのみ、または絵柄着色層13bのみから着色層13が構成されることもある。
本発明の化粧シートにあっては、図1に示すように、着色層13を、ベタ着色層13aと絵柄着色層13bとから構成し、第1樹脂層11に絵柄着色層13bを設けた後、これを覆うようにベタ着色層13aを形成してよい。一方で、図2に示すように、第1樹脂層11にベタ着色層13aを形成した後、絵柄着色層13bを形成してもよい。
このような着色層13は、バインダー樹脂を主成分とし、溶媒、その他の添加剤から構成される着色層13用塗工剤により形成される。溶媒として水または/および水溶性有機溶剤を用いた水系塗工剤や、溶媒として非水溶性有機溶剤等を用いた溶剤系塗工剤を用いることができる。
水系塗工剤により着色層13が形成された場合には、化粧シートから有機溶剤が時間をかけて染み出さず、例えば住宅等の建築物の内装材に化粧シートを使用しても、染みだした有機溶剤が室内に放出され人体へ悪影響を及ぼす懸念が起きないため、好ましく用いられる。
水系塗工剤用のバインダー樹脂としては、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等のニトリル系モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド系モノマー、該アミド系モノマーのN−アルコキシ置換体、同N−メチロール置換体、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー、ジアリルフタレート、アリルグリジジルエーテル、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系モノマー、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン等の重合性二重結合を有するモノマー等の1種ないし2種以上と、カルボキシル基を有するアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、その他等の不飽和カルボン酸の一種ないしそれ以上との共重合体からなるアルカリ溶液可溶性(メタ)アクリル系共重合体を使用することができる。
その他の水系塗工剤用のバインダー樹脂としては、例えば、ポリアルリルアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリN−ビニルピロリドン系樹脂、水溶性ポリウレタン系樹脂(2液硬化型ポリウレタン系樹脂)、水溶性ポリエステル系樹脂、水溶性ポリアミド系樹脂、水溶性アミノ系樹脂、水溶性フェノール系樹脂、その他等の水溶性合成樹脂、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、多糖類、等の水溶性天然高分子、その他等も使用することができる。
また、その他の水系塗工剤用のバインダー樹脂としては、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリ酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリウレタン−ポリアクリル系樹脂変性ないし混合樹脂、その他の樹脂を使用することができる。上記のような樹脂は1種ないし2種以上を使用する。
さらには、水系塗工剤用のバインダー樹脂としては、アクリル変性ウレタン樹脂、ポリエステル変性ウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体変性ウレタン樹脂等のウレタン系樹脂、ポリオール系樹脂、或いは塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル系樹脂との混合樹脂等を使用することができる。
上記水系塗工剤用のバインダー樹脂は、溶解、エマルション化、マイクロカプセル化、その他の方法で水性化されて、水系塗工剤に用いられる。
水系塗工剤の溶媒としては、水やアルコール等の水溶性有機溶剤を用いることができる。水としては、通常の工業用水を使用することができる。また、水とアルコール等からなる水溶性有機溶剤として、水のほかにメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、N−プロピルアルコール等の低級アルコール、グリコール類およびそのエステル類等を使用して調整することができる。
このような低級アルコール、グリコール類およびそのエステル類を溶剤として用いることにより、インキの流動性改良、被印刷体である第1樹脂層への濡れの向上など、いわゆる印刷特性を良好にすることができる。しかしながら一方で、このような溶剤が化粧シート中に一定量以上残留すると、当該化粧シートを真空成形法等において用いた場合、熱により溶媒が気化し、化粧シート全体の意匠性に問題が生じるため、本発明にあっては、当該溶媒の残留量を限定している。この特徴点については後に纏めて説明する。
次に、溶剤系塗工剤について説明する。溶剤系塗工剤用のバインダー樹脂として、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を混合して用いられる。
溶剤系塗工剤の溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等の非水溶性有機溶剤、またはこれらの混合溶剤等が用いられる。
このような溶剤にあっても、前記水系塗工剤の場合と同様に、いわゆる印刷特性の向上には有効である一方で、これが化粧シート中に一定量以上残留すると意匠性に問題が生じる場合があるため、本発明においては、当該溶媒の残留を限定している。この特徴点については後に纏めて説明する。
添加剤は、水系塗工剤、溶剤系塗工剤に共通に用いられる。添加剤としては、顔料等の色素(着色剤または着色顔料ともいう。)、ワックス類、分散剤、消泡剤、レベリング剤、安定剤、充填剤、潤滑剤、滑剤等が挙げられる。
着色顔料としては、通常使用される有機又は無機系の顔料が使用できる。黄色顔料としては、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン等の有機顔料、黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー、アンチモン黄等の無機顔料が使用できる。赤色顔料としては、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、キナクリドン等の有機顔料、弁柄、朱、カドミウムレッド、クロムバーミリオン等の無機顔料が使用できる。青色顔料としては、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー等の有機顔料、紺青、群青、コバルトブルー等の無機顔料が使用できる。黒色顔料としては、アニリンブラック等の有機顔料、カーボンブラック等の無機顔料が使用できる。白色顔料としては、二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモン等の無機顔料が使用できる。
着色層13用塗工剤は、溶媒を用いる場合には、樹脂組成物(バインダー樹脂)と、必要に応じてその他の添加剤を溶媒に含有させて、公知の方法により溶解、分散、混合させて調製される。
着色層13は、着色層13用塗工剤を塗工または印刷等によって設けた後、乾燥、硬化させて形成される。このうち、ベタ着色層13aは、塗工や印刷により設けられ、絵柄着色層13bは、通常、印刷により設けられる。着色層13用塗工剤を塗工する場合には公知の各種方法、例えばロールコート、カーテンフローコート、ワイヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、エアナイフコート、キスコート、ブレードコート、スムーズコート、コンマコート、スプレーコート、かけ流しコート、刷毛塗り等の方法を用いることができる。また、着色層13用塗工剤を印刷する場合は、クラビア、活版、フレキソ等の凸版印刷、平版オフセット,ダイリソ印刷等の平版印刷、シルクスクリーン等の孔版印刷、静電印刷、インキジェットプリント、転写シートからの転写印刷等の公知の各種方法や、その他に手描き法等を用いることができる。
(接着剤)
次に接着剤(層)14について説明する。
接着剤(層)14は、上述した着色層13が形成された第1樹脂層11と、後述する第2樹脂層12とを接着して化粧シート10を形成するために必須の層である。当該接着剤(層)14は、第1樹脂層11に形成された着色層13と第2樹脂層との密着性を向上させるプライマー層ないしアンカー層としての役割を有するものであり、耐久性や長期にわたる外観維持性を向上させる作用がある。こうした作用は、形成された絵柄を長期間保持することができ、極めて有効である。
接着剤(層)14は、樹脂組成物、溶媒、その他の添加剤とから構成される。溶媒は特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等の非水溶性有機溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール等の水溶性有機溶剤、水、またはこれらの混合溶剤等が用いることができる。
樹脂組成物としては、ゴム系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられる。このうち、ウレタン系樹脂が好ましく用いられる。ウレタン系樹脂を用いることにより、より強力な接着強度が得られ、可撓性に優れた化粧シートが提供できる。
ウレタン系樹脂は、ポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするポリウレタンである。
ポリオールは、分子中に2個以上の水酸基を有するものである。ポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が用いられる。
イソシアネートは、ポリウレタンの製造に通常用いられるものが本発明においても用いられる。イソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,4,8−トリイソシアネートオクタン、1,3,6−トリイソシアネートヘキサン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアネート−5−イソシアネートメチルオクタン等の脂肪族ポリイソシアネート、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(慣用名:イソホロンジイソシアネート)、1,3,5−トリイソシアネートシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアネートシクロヘキサン、2−(3−イソシアネートプロピル)−2,5−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ(2,2,1)ヘプタン等の脂環族ポリイソシアネート、1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物、1,3−または1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3,5−トリイソシアネートメチルベンゼン等の芳香脂肪族ポリイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トリフェニルメタンー4,4’,4”一トリイソシアネート、4,4’一ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、および、これらのポリイソシアネートの誘導体等が用いられる。これらのポリイソシアネートは、2種以上併用してもよい。こうしたポリイソシアネートのうち、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートおよび芳香脂肪族ポリイソシアネート、およびこれらのポリイソシアネート誘導体等が好ましく用いられる。これらのポリイソシアネートは、安全性、衛生性および耐候性に優れたものである。
接着剤は、溶媒を用いる場合には、樹脂組成物と、必要に応じてその他の添加剤を溶媒に含有させて、公知の方法により溶解、分散、混合させて調製される。
接着剤は、第1樹脂層11上の着色層13の表面に塗工し、乾燥、硬化させて形成される。塗工方法としては、公知の各種方法、例えば、ロールコート、グラビアコート、エアナイフコート、コンマコート等が用いられ、生産性の面から、グラビアコート、コンマコートが好ましく用いられる。
(着色層と接着剤の厚さと残留溶剤について)
以上説明した本発明の化粧シート10における着色層13と接着剤(層)14にあっては、その厚さの和が5〜30μmであり、かつ、これら各層に残留する溶剤の量の和が10〜80mg/mであることに特徴を有している。前述したように、これら各層には溶剤が用いられており、当該溶剤のメリット(印刷特性やエアがみ(噛み)の防止)とデメリット(気化することによる意匠の崩れ)とのバランスを調整するためには、上記それぞれのパラメータをこのような範囲とすることが好ましい。
それぞれの層の厚さの和が5μmより薄いと、その分、着色層13も薄くなるため、所望の意匠を再現することができない場合があり、また接着剤(層)14が薄くなると、化粧シートを構成する各層間の接着強度が損なわれ層間剥離の原因となる。一方で、それぞれの層の厚さの和が30μmより厚いと、これらの層それぞれに使用される溶剤の量が増え、その分だけ残留する溶剤の量が増えてしまい、溶剤によるデメリットが大きくなってしまうからである。
ここで、本発明の化粧シート10においては、各層の和を限定しているにすぎず、各層(着色層13と接着剤(層)14)単独の厚さについては、特に限定することはなく、それぞれの層の和が所定の範囲内にあればよいが、例えば、着色層13の厚さと接着剤(層)14の比率を、着色層の厚さ/接着剤の厚さ=1/10〜3/1とすることが好ましい。当該比率を1/10より小さくすると、着色層の厚さが薄すぎてしまい所望の意匠を表現することが困難となる場合があり、一方で、当該比率を3/1より大きくすると、接着剤の量が少なすぎてしまい、当該接着剤によって着色層表面の凹凸を平滑にすることが困難となりエアがみ(噛み)を発生する要因となってしまう場合があるからである。
また、それぞれの層に残留する溶剤の量の和が10mg/mより少ないと、溶剤によるメリット、つまり印刷特性やエアがみ(噛み)の防止を効果的に発揮させることができず、着色層13の形成歩留まりが低下したり、エアがみが多発したりする場合があり、一方で、それぞれの層に残留する溶剤の量の和が80mg/mより多いと、溶剤によるデメリット、つまり溶剤が気化することにより意匠性が低下する問題が生じうる。
ここで、本発明において、「残留する溶剤の量」とは、各層を印刷等により形成した後乾燥等をし、最終的な化粧シートとなった状態で、各層に残留する溶剤の量を意味する。なお、本発明における当該残留溶剤の量は、サンプルとして5cm×10cmの化粧シートを用意し、これを0.5cm×2.5cmの短冊状に切断し、これをサンプルビンに入れてガスクロマトグラフィー(株式会社島津製作所製)により当該サンプル中に残存する溶剤の量を測定した値である。
(第2樹脂層)
次に第2樹脂層12について説明する。
第2樹脂層12も、前記第1樹脂層11と同様に本発明の化粧シート10に必須の層である。
図1に示すように、第1樹脂層11を化粧シート10の表面側に配置した場合、当該第2樹脂層12は化粧シートが被着される処理物と接する側に位置することとなり、この場合には、いわゆるバッカー層として機能することとなる。一方で、図2に示すように、第1樹脂層11を化粧シート10の裏面側に配置した場合、当該第2樹脂層12は化粧シートの表面側に位置することとなり、この場合には、いわゆる表面保護創として機能することになる。従って、図1に示すように、いわゆるバッカー層として機能する場合には、有色不透明であることが好ましく、一方で、図2に示すように、いわゆる表面保護層として機能する場合には透明であることが好ましい。
このような第2樹脂層12の材質等については、前述の第1樹脂層11と同様とすることができ、前述の記載から適宜選択することができるので、ここでの説明は省略する。
以下に、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明する。
(実施例1)
本発明の実施例1の化粧シートとして、図1に示すような層構成を有する化粧シートを作成した。具体的に以下の通りである。
第1樹脂層としては、厚さ125μmのアクリル樹脂製シートを用いた。また、第2樹脂層としては、厚さ400μmのABS樹脂製シートを用いた。
前記第1樹脂層には、ベタ着色層と絵柄着色層とからなる着色層を形成した。この着色層の形成にあっては、溶剤としてメチルエチルケトン、酢酸エチル、およびメチルイソブチルケトンを含む溶剤系塗工剤を用いた。
着色層が形成された第1樹脂層と第2樹脂層とを接着するための接着剤としては、溶剤として酢酸エチルを含む二液硬化型ウレタン系樹脂を用いた。
このような本発明の実施例1の化粧シートにおける前記着色層の厚さと接着剤の厚さの和は10μmとし、また、当該化粧シートの着色層と接着剤に残留する溶剤の量は20mg/mとした。なお、当該残留する溶剤の量の測定は、前述の通りの方法でガスクロマトグラフィーを用いて行った。
このような本発明の実施例1の化粧シートについて、(1)着色層の印刷特性、(2)層間強度、(3)接着する際のエアがみ、および(4)真空成形法および射出成形法を用いた同時加飾後の意匠性、のそれぞれについて試験を行った。
なお、ここで、(1)着色層の印刷特性とは、当該実施例1の化粧シートを形成する段階、つまり第1樹脂層に着色層を形成する段階での印刷特性を意味し、具体的には、グラビア印刷及びコーティングを行い、印刷塗工時のムラ、スジ、ピンホール抜けの有無を目視により確認することで行った。また、併せて巻き返し時のブロッキング評価として、印刷面の艶変化を目視により確認することも行った。
また(2)層間強度は、当該実施例1の化粧シートを40℃で3日間放置し、その後引張り試験機を用いて第1樹脂層と第2樹脂層とを180°方向に引き剥がすことで測定した。
さらに、(3)接着する際のエアがみとは、当該実施例1の化粧シートを形成する段階、つまり、着色層が形成された第1樹脂層と、第2樹脂層とを接着する際にエアがみが生じたか否かの試験であり、具体的には、接着剤塗布直後に第2樹脂層を強制的に剥離し、剥離した表面をルーペを用いて、若しくは肉眼で観察することにより行った。この場合、エアがみ(噛み)が生じていた場合には、第2樹脂層の表面にはエアがみ(噛み)の形跡としての凹部が観察される。
また、(4)真空成形法および射出成形法を用いた同時加飾後の意匠性とは、当該実施例1の化粧シートを形成後、この化粧シートを用いて真空成形法および射出成形法による同時加飾を行い、この時に化粧シートの意匠性がどのように変化したかの試験であり、具体的には、ヒーターを用いて化粧シートを170℃に加熱し、その後真空成形法により所定の形状とし、さらにこれを射出成形用型に装着して射出成形を行い、完成した形成品の外観を肉眼で観察することにより行った。なお、真空成形法を行うにあたり用いた金型の形状は、天面が平坦な略直方体を呈し、その角には半径10mmのR(丸み)が形成されているものを用いた。
上記実施例1の化粧シートにおける主要なパラメータ、および上記(1)〜(4)の評価結果を以下の表1に示す。
(実施例2〜4、および比較例1〜3)
上記実施例1の化粧シートと同じ要領にて、本発明の実施例2〜4の化粧シート、および比較例1〜3の化粧シートを作成し、上記実施例1の化粧シートと同様の評価を行った。各実施例、比較例における主要なパラメータ、および上記(1)〜(4)の評価結果を、実施例1の化粧シートと同一の表1に示す。なお、表1中にないパラメータ等については、全て実施例1の化粧シートと同一である。
Figure 2007261113
上記実施例と比較例とを対比すれば明らかなように、本発明の化粧シートは、印刷特性が良好であり、形成時にエアがみが生じることがなく、また形成後にあっては層間強度が良好であり、さらに真空成形法および射出成形法の同時加飾において用いも意匠性に問題が生じることがない、優れた化粧シートであることが分かった。
本発明の化粧シートの一例の構成を示す概略断面図である。 本発明の化粧シートの他の一例の構成を示す概略断面図である。
符号の説明
10 … 化粧シート
11 … 第1樹脂層
12 … 第2樹脂層
13 … 着色層
14 … 接着剤

Claims (3)

  1. 着色層が形成された第1樹脂層と、第2樹脂層とを有し、前記第1樹脂層に形成された着色層を挟むように、前記第1樹脂層と第2樹脂層とが接着剤により接着されてなる化粧シートであって、
    前記第1樹脂層に形成された着色層の厚さと、前記接着剤の厚さの和が5〜30μmであり、
    かつ、前記着色層に残留する溶剤の量と、前記接着剤に残留する溶剤の量の和が10〜80mg/mであることを特徴とする化粧シート。
  2. 前記着色層の厚さと接着剤の厚さの比率が、着色層の厚さ/接着剤の厚さ=1/10〜3/1であることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  3. 真空成形品または射出成形品において用いられることを特徴とする請求項1または2に記載の化粧シート。
JP2006089874A 2006-03-29 2006-03-29 化粧シート Active JP5217105B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006089874A JP5217105B2 (ja) 2006-03-29 2006-03-29 化粧シート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006089874A JP5217105B2 (ja) 2006-03-29 2006-03-29 化粧シート

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007261113A true JP2007261113A (ja) 2007-10-11
JP5217105B2 JP5217105B2 (ja) 2013-06-19

Family

ID=38634577

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006089874A Active JP5217105B2 (ja) 2006-03-29 2006-03-29 化粧シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5217105B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101544157A (zh) * 2008-03-28 2009-09-30 大日本印刷株式会社 用于成型的装饰膜
JP2014195999A (ja) * 2014-05-26 2014-10-16 大日本印刷株式会社 加飾シートの製造方法、加飾シート及びそれを用いてなる加飾樹脂成形品
JP2014214280A (ja) * 2013-04-30 2014-11-17 日東電工株式会社 光学部材の製造方法

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08156215A (ja) * 1994-12-05 1996-06-18 Riken Vinyl Kogyo Kk 化粧シートおよびその製造方法
JPH09226071A (ja) * 1996-02-22 1997-09-02 Idemitsu Petrochem Co Ltd 化粧フィルム・シート及び化粧材料
JPH11115096A (ja) * 1997-10-15 1999-04-27 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 樹脂積層金属板およびその製造方法
JP2000108293A (ja) * 1998-10-02 2000-04-18 Dainippon Printing Co Ltd 化粧シート
JP2002187238A (ja) * 2000-12-22 2002-07-02 Dainippon Ink & Chem Inc 光輝性積層シート
JP2002273828A (ja) * 2001-03-21 2002-09-25 Dainippon Printing Co Ltd 化粧シート
JP2002283506A (ja) * 2001-03-27 2002-10-03 Dainippon Printing Co Ltd 加飾シート
JP2005001280A (ja) * 2003-06-12 2005-01-06 Dainippon Printing Co Ltd 化粧シート及び化粧部材
JP2005053086A (ja) * 2003-08-05 2005-03-03 Fujicopian Co Ltd 化粧シートおよびラミネート化粧材

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08156215A (ja) * 1994-12-05 1996-06-18 Riken Vinyl Kogyo Kk 化粧シートおよびその製造方法
JPH09226071A (ja) * 1996-02-22 1997-09-02 Idemitsu Petrochem Co Ltd 化粧フィルム・シート及び化粧材料
JPH11115096A (ja) * 1997-10-15 1999-04-27 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 樹脂積層金属板およびその製造方法
JP2000108293A (ja) * 1998-10-02 2000-04-18 Dainippon Printing Co Ltd 化粧シート
JP2002187238A (ja) * 2000-12-22 2002-07-02 Dainippon Ink & Chem Inc 光輝性積層シート
JP2002273828A (ja) * 2001-03-21 2002-09-25 Dainippon Printing Co Ltd 化粧シート
JP2002283506A (ja) * 2001-03-27 2002-10-03 Dainippon Printing Co Ltd 加飾シート
JP2005001280A (ja) * 2003-06-12 2005-01-06 Dainippon Printing Co Ltd 化粧シート及び化粧部材
JP2005053086A (ja) * 2003-08-05 2005-03-03 Fujicopian Co Ltd 化粧シートおよびラミネート化粧材

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101544157A (zh) * 2008-03-28 2009-09-30 大日本印刷株式会社 用于成型的装饰膜
JP2009234159A (ja) * 2008-03-28 2009-10-15 Dainippon Printing Co Ltd 成形用加飾フィルム
JP2014214280A (ja) * 2013-04-30 2014-11-17 日東電工株式会社 光学部材の製造方法
JP2014195999A (ja) * 2014-05-26 2014-10-16 大日本印刷株式会社 加飾シートの製造方法、加飾シート及びそれを用いてなる加飾樹脂成形品

Also Published As

Publication number Publication date
JP5217105B2 (ja) 2013-06-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101345529B1 (ko) 화장 시트
JP4821615B2 (ja) 化粧シート、およびこれを用いた化粧板
JP2009078394A (ja) 化粧材
JP4397572B2 (ja) 化粧シートおよび水系塗工液
JP5217105B2 (ja) 化粧シート
JP2005206724A (ja) 装飾フィルム
CN107652761A (zh) 一种具有抗反粘功能的免上胶柔性热转印油墨组合物及其制造方法
JP4853085B2 (ja) 化粧シートの製造方法
JP4737656B2 (ja) 導電性化粧シート
JP4675131B2 (ja) 水性塗料からなる絵柄模様層の密着性が高いポリオレフィン系発泡壁紙
JP4270662B2 (ja) 化粧シート
CN101588921A (zh) 用于向表面上施加色彩的制品及方法
JP2007083643A (ja) 化粧シート
JP2019155687A (ja) 化粧シートおよび化粧部材
JP4882454B2 (ja) 真空成形品および射出成形品の製造方法
JP6698673B2 (ja) オフセット印刷用複合材、並びに、これを用いた粘着シート、はがき、及びウィンドウフィルム
JP6311419B2 (ja) 光輝性化粧シート
JP4496829B2 (ja) 化粧シート
JP6923054B1 (ja) 加飾フィルム及び加飾成形体
JP2000136360A (ja) 粘着シ―ト
JP5502231B1 (ja) インキ組成物及び転写シート
JP4629352B2 (ja) 接着層用水系塗工液、積層体および積層体の製造方法
JP6923055B1 (ja) 加飾フィルム及び加飾成形体
JP2003285411A (ja) 化粧シートの製造方法および化粧シート
JP3722322B2 (ja) 化粧シート及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090216

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110209

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110315

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110705

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110927

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20111125

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20111130

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120529

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120727

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130205

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130218

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160315

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5217105

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150