JP2007259787A - 遺伝子発現制御ポリヌクレオチド - Google Patents

遺伝子発現制御ポリヌクレオチド Download PDF

Info

Publication number
JP2007259787A
JP2007259787A JP2006090838A JP2006090838A JP2007259787A JP 2007259787 A JP2007259787 A JP 2007259787A JP 2006090838 A JP2006090838 A JP 2006090838A JP 2006090838 A JP2006090838 A JP 2006090838A JP 2007259787 A JP2007259787 A JP 2007259787A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tpp
gene
polynucleotide
gene expression
present
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006090838A
Other languages
English (en)
Inventor
Takahiro Yamauchi
山内隆寛
Takafumi Kubodera
窪寺隆文
Mitsuhiro Ban
光博 伴
Akira Nishimura
顕 西村
Daisuke Miyoshi
三好大輔
Naoki Sugimoto
杉本直己
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
HAKUTSURU SAKE BREWING
Hakutsuru Sake Brewing Co Ltd
Original Assignee
HAKUTSURU SAKE BREWING
Hakutsuru Sake Brewing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by HAKUTSURU SAKE BREWING, Hakutsuru Sake Brewing Co Ltd filed Critical HAKUTSURU SAKE BREWING
Priority to JP2006090838A priority Critical patent/JP2007259787A/ja
Publication of JP2007259787A publication Critical patent/JP2007259787A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

【課題】遺伝子発現制御ポリヌクレオチドの提供。
【解決手段】真核生物のチアミン二リン酸(TPP)結合型リボスイッチにおけるステムループ形成領域P1からP5からなるTPP結合構造形成領域を含み、5'末端及び3'末端が、それぞれ、前記TPP結合型リボスイッチにおけるTPP存在下の5'スプライス部位及び3'スプライス部位である本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチド1は、図1に示すとおり、発現制御を行う所望の遺伝子の転写領域内に配置されることにより、TPP又はその類似体の非存在下において前記遺伝子の発現を抑制し、TPP又はその類似体の存在下において前記遺伝子の発現を誘導する。
【選択図】図1

Description

本発明は、遺伝子発現制御ポリヌクレオチドに関する。
リボスイッチとは、一般的には、メッセンジャーRNA(mRNA)の5'−非翻訳領域(5'−UTR)に見られる構造エレメントであって、ここに小型の代謝物が結合することにより遺伝子発現が制御される。現在知られているすべてのリボスイッチは、リボスイッチ(RNA)と前記代謝物との結合にタンパク質が関与しないという共通の特徴を有する(非特許文献1参照)。
リボスイッチは、最初に大腸菌の遺伝子発現制御機構において見出され、現在では、原核生物に広く存在することが確認されている(非特許文献2及び特許文献1参照)。原核生物におけるリボスイッチの多くは、代謝物の結合により遺伝子発現を“負”に制御する。この負の制御は、大きく分けて2つの方式で行われる。一方は、転写のターミネータ構造を形成することにより完全長mRNAの産生を阻害する方式であり、他方は、完全長mRNAは産生されるが、その翻訳開始を阻害する方式である。リボスイッチに結合する代謝物は多岐にわたり、例えば、グアニン、フラビンモノヌクレオチド(FMN)、リジン、チアミン二リン酸(TPP)、アデニン、グルコサミン‐6リン酸(Glc6P)、グリシンなどが知られている(非特許文献1参照)。
真核生物における最初のリボスイッチは、麹菌アスベルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae、以下、A.oryzaeという。)のチアミン合成遺伝子(thiA)のプロモーター領域(特許文献2参照)の5'−UTRにおいて見出されたTPP結合型リボスイッチである。このA.oryzaeのTPP結合型リボスイッチは、原核生物の多くのリボスイッチと同様にTPPが結合すると遺伝子発現を負に制御するものであるが、その制御方式は、A.oryzaeのTPP結合型リボスイッチにはスプライシングが関与する点で原核生物のリボスイッチとは異なる(非特許文献3及び4参照)。その制御方式の模式図を図2に示す。同図に示すとおり、TPP非存在下においては、リボスイッチが存在するイントロンは正常にスプライシングされ、成熟mRNAが産生され、タンパク質が産生される。一方、TPP存在下においては、TPPの結合によりスプライシングの位置が変化し、未成熟のmRNAが産生され、タンパク質産生が阻害(抑制制御)される。
A.oryzaeのthiA遺伝子のプロモーター領域(729nt)を図3Aに示す。同図において、ヌクレオチド配列は、配列表の配列番号1と同一の配列であり、左の番号は翻訳開始点の1つ手前を−1としたときの位置を示す。同図において、四角の囲み(−528〜−522)が推定上のTATAボックスであり、“○”を付した位置(−475)が推定上の転写開始点である。前記thiA遺伝子の5'−UTRには、2つのイントロン(イントロン1及びイントロン2)が存在するが、同図に、それぞれ、一重下線及び二重下線で示す。前記イントロン2は、0.3kbにわたる大きなイントロンであり、このイントロン2がTPP結合型リボスイッチとして機能する。すなわち、TPP非存在下では、同図において“*”を付した“gt”が5'スプライス部位として機能する正常なスプライシングが起こり、イントロン2全体が切り出される。しかし、TPP存在下では、前記5'スプライス部位の85ヌクレオチド下流の同図において“**”を付した“gt”が5'スプライス部位として機能するスプライシングが起こり、未成熟mRNAが産出される(図2参照)。このスプライシング位置の変化は、図3AにおいてP1からP5で示すステムループ形成領域が図3Bに示すような特殊な二次構造をとるためであると考えられている。ステムループ形成領域P1からP5は、バクテリアのTPP結合型リボスイッチと真菌類のTPP結合型リボスイッチで保存されている。特に、P1、P2、P4及びP5ステムループ形成領域は、例えば、図4に示すとおり、大腸菌とA.oryzaeを含む真菌類とでアライメントすることにより、明確に認識できる(非特許文献2のFigure1、非特許文献3のFig.1及びFig.4、並びに、非特許文献4の図3参照)。
特表2006−500030号公報 特開2004−254670号公報 Tucker, B.J. and Breaker, R.R. "Riboswitches as versatile gene control elements" Curr. Opin. Struct. Biol. vol.15, 342 (2005) Winkler, W. et al. "Thiamine derivatives bind messenger RNAs directly to regulate bacterial gene expression" Nature, vol.419, 952, (2002) Kubodera, T. et al. "Thiamine-regulated gene ezpression of Aspergillus oryzae thiA requires splicing of the intron containing a riboswithc-like domain in the 5'-UTR" FEBS Lett., vol.555, 516 (2003) 窪寺隆文、"転写因子を介しない新規な糸状菌の遺伝子発現制御機構"、第4回糸状菌分子生物学コンファレンス(2004年11月4日、5日)、要旨、オンライン<http://www.biochem.osakafu-u.ac.jp/・fmbsj/4thprogram-J.html>
現在のところ、真核生物のリボスイッチにおいて、“正”の制御をするリボスイッチは存在しない。また、バクテリアのリボスイッチの一部には、正の制御をするものもあるが(非特許文献1参照)、TPP結合型リボスイッチに関しては、バクテリアにおいても正の制御をするものは存在しない。
したがって、本発明は、TPP(チアミン二リン酸)結合型リボスイッチであって正の制御が可能な遺伝子発現制御ポリヌクレオチドを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドは、真核生物のTPP結合型リボスイッチにおけるステムループ形成領域P1からP5からなるTPP結合構造形成領域を含み、5'末端及び3'末端が、それぞれ、前記TPP結合型リボスイッチにおけるTPP存在下の5'スプライス部位及び3'スプライス部位であり、発現制御を行う所望の遺伝子の転写領域内に配置されることにより、TPP又はその類似体の非存在下において前記遺伝子の発現を抑制し、TPP又はその類似体の存在下において前記遺伝子の発現を誘導するポリヌクレオチドである。
本発明者らは、上述したとおり、A.oryzaeのthiA遺伝子のプロモーターが、TPPによって負の制御が可能なプロモーターであること及び前記負の制御がTPP結合型リボスイッチによるものであることを見出した(特許文献2、非特許文献3及び4)。本発明者らは、さらに、前記TPP結合型リボスイッチを改変して正の制御に利用することの着想を得て鋭意研究を重ね、負の制御の原因となる領域、すなわち、上述したイントロン2(図3Aの二重下線部)のうち、TPP存在下で切り取られずに残る部位を削除すればTPPによる正の制御が可能となることを見出し、本発明に到達した(図1参照)。
本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドによれば、TPP又はその類似体による正の制御が可能であるから、例えば、遺伝子発現誘導が著しく容易となる。菌体を用いて有用タンパク質を産生させる場合、培養初期には前記有用タンパク質の産生を抑制し増殖を優先させ、十分な菌体密度に達した時点でタンパク質の産生を開始することが好ましい場合がある。従来の負の制御のリボスイッチを使用してこのような遺伝子発現誘導をする場合、発現抑制のためにあらかじめチアミンなどを加え、発現誘導したい所望の時間でそのチアミンなどを除去することとなる。一旦添加したチアミンなどを環境下から速やかに除去することは困難がともなう。しかしながら、本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドであれば、チアミンなどを加えるという簡便かつ迅速な作業で遺伝子発現を誘導でき、効率的な目的タンパク質の生産が可能となる。
また、本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドによれば、TPPやチアミン、チアミン一リン酸などにより遺伝子発現誘導が可能であるから、例えば、生体に適用しても安全性の点で問題がなく、ヒトや動物などの生体における医療分野においても利用可能である。
本発明の一態様において、前記TPP結合構造形成領域は、配列表の配列番号1の497番目から669番目で表されるヌクレオチド配列若しくは前記配列の1個以上の塩基が、欠失、置換若しくは付加されたヌクレオチド配列又はそれらの相補配列であることが好ましい。
また、本発明のさらなる態様において、本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドは、
(1)配列表の配列番号2又は11で表されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、
(2)配列表の配列番号2又は11で表されるヌクレオチド配列の1個以上の塩基が、欠失、置換若しくは付加されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドであって、前記ポリヌクレオチドがRNAである場合に、TPP若しくはその類似体を結合可能であるポリヌクレオチド、又は、
(3)前記(1)若しくは(2)のポリヌクレオチドの相補配列からなるポリヌクレオチドである。
本発明の遺伝子ベクターは、本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドを含むベクターである。
本発明の細胞は、本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチド又は本発明の遺伝子ベクターが導入された細胞である。
本発明の遺伝子発現制御方法は、発現制御を行う所望の遺伝子の転写領域内に本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドが組み込まれた遺伝子が導入された細胞又は生命体を準備する工程、及び、前記遺伝子の発現を誘導する場合に、TPP又はその類似体を投与する工程を含む遺伝子発現制御方法である。
以下に、本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドについて説明する。
本発明において、TPP結合型リボスイッチとは、上述のとおり、転写されたmRNAにタンパク質が介在することなくTPP又はその類似体が結合することで遺伝子発現が制御されるRNAエレメントをいう。上述のとおり、天然型TPP結合型リボスイッチは、現在のところ、すべて負の制御を行うリボスイッチである。前記真核生物のTPP結合型リボスイッチとしては、特に制限されないが、例えば、イントロンであって、TPPの存在下でスプライシングの位置が変化して未成熟なmRNAを産出するものが挙げられる。前記真核生物のTPP結合型リボスイッチとしては、例えば、A.oryzaeを含む糸状菌のTPP結合型リボスイッチが挙げられ、より具体的には、上述のとおり、A.oryzaeのthiAの5'−UTRにおけるイントロン2(図3Aの二重下線部、配列表の配列番号1の第392番目〜第712番目)が挙げられる。
本発明において、TPP結合構造形成領域とは、TPP結合型リボスイッチにおけるP1からP5のステムループ形成領域からなるものである。前記P1からP5のステムループ形成領域は、図4に示すとおり、バクテリア及び真菌類で保存された領域であって、TPP存在下で図3Bに示すような二次構造をとると考えられる領域である。P1からP5のステムループ形成領域は、例えば、図4に示すように当業者に公知のソフトウエア又は方法によりアライメントすることで決定でき、又は、当業者に公知のソフトウエアを使用して図3Bに示すような二次構造をとるか否かを調べるにより決定することもできる。なお、ステムループ形成領域P3は、図4に示すとおり、様々な長さを示す領域であるが、例えば、その他のP1、P2、P4及びP5のステムループ形成領域をアライメントして特定することにより、2つのP2領域の間の領域として前記P3ステムループ形成領域を特定することができる。前記A.oryzaeのthiAのイントロン2におけるTPP結合構造形成領域は、配列表の配列番号1の497番目から669番目である。
本発明において、前記TPP結合構造形成領域は、TPPを結合できる範囲で、野生型のP3ステムループ形成領域以外の領域のヌクレオチド配列が、1個から数個、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個又は13個の塩基が、欠失、置換若しくは付加されたヌクレオチド配列であってもよい。また、P3ステムループ形成領域については、上述のとおり、より多くの塩基の欠失などが可能であり、TPPを結合できる範囲で、野生型のP3ステムループ形成領域のヌクレオチド配列が、例えば、1個から100個の範囲の塩基、例えば、2個、3個、4個、5個、10個、20個、40個又は80個の塩基が、欠失、置換若しくは付加されたヌクレオチド配列であってもよい。RNAがTPPを結合するか否かは、公知の方法で調べることができる。例えば、標識RNAをTPP存在下及び非存在下でアルカリ処理又はRNaseによる部分処理し、その処理試料を電気泳動して切断部位の変化し比較することで、TPPの結合を確認することができる。
本発明において、5'スプライス部位及び3'スプライス部位とは、スプライシングにより切り出される領域の5'側及び3'側の少なくとも2塩基、好ましくは、2塩基である。したがって、前記A.oryzaeのthiAのイントロン2において、TPP存在下における5'スプライス部位は、例えば、図3Aにおいて“**”を付した“gt”(配列番号1の第477番目及び第478番目)であり、3'スプライス部位は、例えば、“ag”(配列番号1の第711番目及び第712番目)である。
本発明において、TPPの類似体とは、例えば、チアミン、チアミン一リン酸、ピリチアミン又はこれらの塩などの公知の類似体が挙げられる。チアミン(ビタミンB1)チアミン一リン酸、TPPなどは、生体にとって安全である。したがって、本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドは、細胞や生命体に適用可能である。また、前記TPP結合構造形成領域に結合可能であれば、ジセチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、フルスルチアミン、プロスルチアミン、および、ベンフォチアミンなどのチアミン誘導体並びにこれらの塩を使用してもよい。
本発明において、遺伝子の転写領域とは、前記遺伝子がタンパク質である場合、翻訳領域のみならず、5'及び3'の非翻訳領域を含む領域である。
次に、本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドの製造方法について説明する。本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドは、前記TPP結合構造形成領域の5'側にTPP存在下における5'スプライス部位を配置し、3'側にTPP存在下における3'スプライス部位を配置することで製造することができる。これらの配置は、最も簡単には、図2で示すような真核生物のTPP結合型リボスイッチの場合、イントロン部分からTPP存在下で切り取られず残る領域を削除することで、図1に示すような本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチド1とすることができる。例えば、A.oryzaeのthiAのイントロン2の場合、配列表の配列番号1の第392番目〜第476番目の領域を削除することで本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドとすることができる。
本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドの製造方法において、前記5'スプライス部位及び/または3'スプライス部位と前記TPP結合構造形成領域との間の領域に欠失、置換若しくは付加を施すことで、TPP存在下のスプライシング効率や発現誘導効率を向上させたり、TPP非存在下の発現抑制効率をより向上させたりすることができる。前記イントロン2に由来する本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドにおいて、5'スプライス部位とTPP結合構造形成領域との間の領域に5塩基(配列表の配列番号1の第484番目〜第488番目)の欠失を導入し遺伝子発現誘導効率を向上させた一例が、配列表の配列番号2で表されるヌクレオチド配列からなる本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドである。
したがって、本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドは、好ましい一態様として、
(1)配列表の配列番号2で表されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、
(2)配列表の配列番号2で表されるヌクレオチド配列の1個以上の塩基が、欠失、置換若しくは付加されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドであって、前記ポリヌクレオチドがRNAである場合に、TPP若しくはその類似体を結合可能であるポリヌクレオチド、又は、
(3)前記(1)若しくは(2)のポリヌクレオチドの相補配列からなるポリヌクレオチドである。前記欠失、置換若しくは付加される塩基数としては、上述のとおり、例えば、P3ステムループ形成領域以外の領域であれば、1個から数個、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個又は13個であり、P3ステムループ形成領域であれば、例えば、1個から100個の範囲の塩基、例えば、2個、3個、4個、5個、10個、20個、40個又は80個である。また、RNAがTPPを結合するか否かは、上述のとおり、公知の方法で調べることができる。
また、本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドのその他の例として、前記イントロン2から配列表の配列番号1の第392番目〜第476番目の領域を削除し、さらに、5'スプライス部位とTPP結合構造形成領域との間の領域に9塩基(配列表の配列番号1の第479番目〜第487番目)の欠失を導入し遺伝子発現誘導効率を向上させた配列表の配列番号11で表されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドが挙げられる。したがって、本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドは、その他の態様として、(1')配列表の配列番号11で表されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、(2')配列表の配列番号11で表されるヌクレオチド配列の1個以上の塩基が、欠失、置換若しくは付加されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドであって、前記ポリヌクレオチドがRNAである場合に、TPP若しくはその類似体を結合可能であるポリヌクレオチド、又は、(3')前記(1')若しくは(2')のポリヌクレオチドの相補配列からなるポリヌクレオチドである。前記欠失、置換若しくは付加される塩基数としては、上述のとおりである。
本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドの起源となる真核生物のTPP結合型リボスイッチは、A.oryzaeのthiAのイントロン2に制限されず、当業者は、上述の記載に基づき、その他のTPP結合型リボスイッチに基づき本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドを製造することができる。
次に、本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドの使用方法について説明する。本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドは、発現制御をする遺伝子の転写領域の任意の箇所に挿入して使用することができる。挿入箇所としては、5'−UTRが好ましい。例えば、まず、本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドを任意のプロモーターの下流に連結させ、さらにその下流に目的タンパク質をコードする遺伝子、さらに下流に任意のターミネータを連結したベクターを構築する。次に、このベクターを任意の宿主細胞に導入し、遺伝子導入細胞を得る。そして、この遺伝子導入細胞を十分増殖させた時点でTPP又はその類似体を添加し、効率的に目的タンパク質を産生させる。前記ベクターを導入する宿主細胞は、本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドにTPP又はその類似体が結合した場合にスプライシングが生じる真核細胞であれば、特に制限されず、例えば、ヒト、動物、植物、真菌の細胞が挙げられ、前記真菌としては、例えば、糸状菌、アスベルギルス属の菌、及び、A.oryzaeが挙げられる。
次に、本発明の遺伝子ベクターについて説明する。本発明の遺伝子ベクターは、本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドを含むベクターである。本発明の遺伝子ベクターの1つの態様としては、任意の遺伝子(例えば、タンパク質の遺伝子)を発現させるための発現ベクターであって、任意のプロモーター、その下流に配置される本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチド、さらにその下流に発現目的の遺伝子をクローニングするクローニング部位、及び、さらにその下流に任意のターミネータを備え、TPP及びその類似体により正の発現制御を受けるベクターが挙げられる。本発明の遺伝子ベクターのその他の態様としては、特定の遺伝子(例えば、タンパク質の遺伝子)を発現させるための発現ベクターであって、任意のプロモーター、前記特定遺伝子、任意のターミネータをこの順に含み、この遺伝子の転写領域内のいずれかに本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドが配置され、TPP及びその類似体により正の発現制御を受けるベクターが挙げられる。本発明の遺伝子ベクターは、例えば、必要に応じて目的の遺伝子を連結させ、任意の真核生物細胞に導入し、上述のようにタンパク質の産生などに使用できる。前記プロモーターやターミネータは、導入する細胞の種類に応じて適宜選択できる。本発明の遺伝子ベクターを導入する細胞の例は、上述のとおりである。
したがって、本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチド又は本発明の遺伝子ベクターが導入された細胞は、本発明の一態様を構成する。前記ポリヌクレオチド又はベクターを導入する方法は、特に制限されず。導入目的の細胞に応じた従来公知の遺伝子導入方法を選択できる。さらに、本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチド又は本発明の遺伝子ベクターを含み、必要に応じて、取扱説明書を含む遺伝子発現制御のためのキットもまた、本発明のその他の態様を構成してもよい。
本発明の遺伝子発現制御方法は、発現制御を行う所望の遺伝子の転写領域内に本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドが組み込まれた遺伝子が導入された細胞又は生命体を準備する準備工程、及び、前記遺伝子の発現を誘導する場合に、TPP又はその類似体を投与する誘導工程を含む遺伝子発現制御方法である。前記準備工程は、例えば、上述したとおり、本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチド及び所望の遺伝子(例えば、タンパク質の遺伝子)を含むベクターを細胞に導入する工程などが挙げられる。前記誘導工程において、TPP又はその誘導体の投与量は、適宜調節することができる。上述のとおり、チアミン(ビタミンB1)チアミン一リン酸、TPPなどは、生体にとって安全であり、また、水溶性である点で、大量の投与も可能である。本発明の遺伝子発現制御方法は、例えば、タンパク質の誘導時期を細胞の増殖の程度に応じて調節することが可能なタンパク質の産生方法に使用できる。また、本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドが組み込まれた遺伝子が導入された細胞をヒトや動物の目的患部に導入し、TPP又はその類似体を効果的かつ集中的に送り込むことにより有用タンパク質を選択的に発現させて治療効果を高めるなど、医療分野にも適用可能である。
本発明は、TPP結合型の真核生物のリボスイッチについて言及しているが、TPP以外の代謝物結合型の真核生物のリボスイッチでも、TPP結合型と同様に、イントロン部分に存在している場合がある。したがって、TPP以外の代謝物結合型の真核生物のリボスイッチを用いて得られる遺伝子発現制御ポリヌクレオチド、遺伝子ベクター、これらが導入された細胞、及び、これらを用いた遺伝子発現方法も、本発明の一態様となりうる。
以下に、実施例を用いて本発明を説明する。
配列表の配列番号2で表される本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドによるレポーター遺伝子の遺伝子発現制御を、A.oryzae細胞内で確認した。
(プラスミドpNG1の作成)
プラスミドpNG1は、図5の模式図に示すとおり、麹菌A.oryzaeへの形質転換用選択マーカーである“niaD”遺伝子(硝酸還元酵素遺伝子)[Mol.Gen. Genet., 218, 99, 1989]、レポーター遺伝子である大腸菌の“uidA”遺伝子(β−グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子)[Proc. Natl. Actad. Sci., 83, 8447, 1986]、及び、前記uidA遺伝子の下流に配置されたA.oryzaeのamyB遺伝子ターミネータ(terminator)を含むプラスミドである。pNG1は、niaD遺伝子を含むプラスミドpUN1[Biosci. Biotech. Biochem., 61, 1367, 1997]のSalI−SphIサイトに、PCR法により増幅したuidA遺伝子とその下流に位置するamyB遺伝子ターミネータとを含むDNA断片を挿入して作成した。前記PCRは、プラスミドpGAPG1[Curr. Genet., 22, 85, 1992]を鋳型として、SalIサイトを付加した上流プライマーSalus(5'-ggtcgacatgttacgtcctgtagaaacccc-3':配列番号3)及びSphIサイトを付加した下流プライマーSphua(5'-ccgcatgcctttcctataatagactagcg-3':配列番号4)を用いて行った。
(thiA遺伝子プロモーター領域の改変)
上述したとおり、野生型A.oryzaeのthiA遺伝子プロモーター領域のイントロン2(図3Aの二重下線部)は“負”の制御を行うTPP結合型リボスイッチであるが、このリボスイッチを改変することで、“正”の制御を行うリボスイッチ(配列表の配列番号2)とした。具体的には、図3Aに示す配列表の配列番号1において、第392番目〜第476番目を削除し、さらに、第484番目〜第488番目を削除した改変thiA遺伝子プロモーター領域を作成した。
前記改変は以下のようにして行った。まず、野生型thiA遺伝子プローター領域(配列表の配列番号1)を有する鋳型(例えば、プラスミドpNGTH[FEBS Lett., 555, 516, 2003])から前記thiA遺伝子プローター領域の全長を増幅可能な1組のプライマーPptrs3(配列番号5)及びPptras1(配列番号6)、並びに、改変部位特異的変異導入用プライマーF−On1(配列番号7)及びR−On1(配列番号8)を準備した。なお、F−On1とR−On1とは相補的である。
Pptrs3:ggcccggggacagacgggcaattgattacg
Pptras1:ccgtcgacgtttcaagttgcaatgac
F−On1:ccaaaccaaccgacaatgtatcttacgtctttgg
R−On1:ccaaagacgtaagatacattgtcggttggtttgg
次に、プライマーPptrs3とR−On1のペアと、プライマーF−On1とPptras1のペアでそれぞれPCRを行った。それぞれのPCR産物は、プライマーR−On1とF−On1に対応する領域で相補的となる。そこで、両PCR産物を混合し、プライマーPptrs3とPptras1により全長遺伝子断片を増幅した。得られた遺伝子断片はTaKaRa BKL Kit(タカラバイオ社製)を用いて5'末端をリン酸化した。すべてのPCRはKOD−plus(東洋紡績社製)を用い、反応条件は、(94℃, 15秒)→(55℃, 30秒)→(68℃, 1分)で20サイクル行った。PCR増幅後の反応液はQIAquick Gel Extraction Kit(キアゲン社製)を用いて精製した。
上記のようにして得られた改変thiA遺伝子プローター領域を、前記プラスミドpNG1上のuidA遺伝子(レポーター遺伝子)の上流に位置するSmaIサイトに挿入して解析用プラスミドを得た。
(解析用プラスミドの組み換え導入)
前記解析プラスミドをA.oryzaeのniaD変異株に導入(形質転換)し、前記解析用プラスミドがniaD遺伝子を介した相同組み換えにより前記変異株ゲノムに導入された形質転換株を作成した。具体的には、A.oryzaeのniaD変異株niaD300(独立行政法人酒類総合研究所)をデキストリン−ペプトン培地(2%デキストリン、1%ポリペプトン、0.5%酵母エキス、0.5% KH2PO4、0.05% MgSO4・7H2O、pH 5.5)で30℃、145rpm、20時間回転振とう培養後、得られた菌体を滅菌水で洗浄した。この菌体をプロトプラスト化緩衝液(0.6M (NH42SO4、50mM マレイン酸緩衝液、pH5.5、0.5% Yatalase(タカラバイオ社製))に懸濁し、30℃、2時間、緩やかに振とうすることによりプロトプラスト化した。得られたプロトプラストを乾熱滅菌した3G−2のグラスフィルターでろ過して残存する菌体を除去した後、TF液1(1.2M ソルビトール、50mM CaCl2、35mM NaCl、10mM トリス−塩酸緩衝液 pH7.5)で2回洗浄した。次にこのプロトプラストをTF液1に2×108個/mlとなるように懸濁してコンピテントセルを調製した。
上記コンピテントセル0.2mlに導入するプラスミドを20μg加え、氷上で30分間静置後、TF液2(60% PEG4000、50mM CaCl2、10mM トリス−塩酸緩衝液 pH7.5)1.35mlを加えてさらに15分間室温で静置した。これにTF液1 10mlを添加後、1800rpm、5分間遠心してプロトプラストを回収し、再度TF液1 0.5mlに懸濁した。このプロトプラスト懸濁液を再生用下層最少平板培地(0.6% NaNO3、0.152% KH2PO4、0.052% KCl、0.052% MgSO4・7H2O、1%グルコース、1.2M ソルビトール、1μg/ml FeSO4・7H2O、8.8μg/ml ZnSO4・7H2O、0.4μg/ml CuSO4・5H2O、0.15μg/ml MnSO4・4H2O、0.1μg/ml Na2BO7・10H2O、0.05μg/ml (NH4)6Mo724・4H2O、2% agar、pH6.5)上にのせ、さらに事前に45℃に保温しておいた再生用上層最少培地(再生用下層最少平板培地のagar濃度を0.5%に、グルコース濃度を5%にしたもの)5mlを重層してプロトプラストを包埋した。30℃、10日間培養後、niaD遺伝子の導入により硝酸資化能が相補されて最少培地上で生育可能となった形質転換株を釣菌した。
さらにサザン解析によって、形質転換株の中からniaD座位にプラスミドが1コピー導入された菌株を選抜した。各形質転換株より抽出したゲノムDNAをSalIで完全消化し、0.8%アガロース電気泳動により分離してナイロンメンブレン・ハイボンドN+ (アマシャムバイオサイエンス社製)にブロットした。プローブとしてPCR法により増幅したniaD遺伝子の塩基配列の一部を用いた。プローブを増幅するため鋳型としてはpUN1を用い、プライマーは上流側として、Prnis(5'-ggcaaccatcaccgaggtgcgg-3':配列番号9)、下流側として、Prnia(5'-ggtaagacgcggttgtcattg-3':配列番号10)を用いた。
プローブのラベリングおよびシグナルの検出はECL Direct Nucleic Acid Labelling and Detection System(アマシャムバイオサイエンス社製)を用いた。宿主であるA.oryzaeのniaD300変異株においては8.2kbのシグナルが現れるが、プラスミドがniaD座位に1コピー導入した形質転換株はこのシグナルが消失し、代わりに8.5kb及び11kbの2本のシグナルが現れる。これに基づいて目的の形質転換株である改変thiA遺伝子プロモーター領域導入株を選抜した。
(GUS活性測定による発現制御の確認)
得られた改変thiA遺伝子プロモーター領域導入株についてチアミン存在下、非存在下の培養条件下における菌体内のGUS活性を測定し、改変したリボスイッチのスプライシング効率の指標とした。GUS活性は公知の方法[Proc. Natl. Sci. USA, 83, 8447, 1986]に準じて測定した。すなわち、最少培地(0.6% NaNO3、0.152% KH2PO4、0.052% KCl、0.052% MgSO4・7H2O、1μg/ml FeSO4・7H2O、8.8μg/ml ZnSO4・7H2O、0.4μg/ml CuSO4・5H2O、0.15μg/ml MnSO4・4H2O、0.1μg/ml Na2BO7・10H2O、0.05μg/ml(NH4)6Mo724・4H2O、pH6.5)100mlに2%グルコース、又は2%グルコースと10μMチアミンを添加した2種類の液体培地へ形質転換体の分生子を5×107個/100mlとなるよう接種し、30℃、48時間、180rpmで回転振とう培養した。菌体を3G−1のグラスフィルターで回収、滅菌水で3回洗浄、濾紙にはさんで十分脱水の後、液体窒素で凍結して乳鉢で破砕した破砕菌体0.5gを抽出緩衝液(50mM NaH2PO4・2H2O、10mM 2-mercaptoethanol、0.1% triton X-100、10 mM EDTA・Na2、0.1% N-lauroyl sarcosine、pH 7.0)5mlに懸濁した。これを室温で1 分間ボルテックスミキサーにより攪拌後、15000rpm、10分間遠心し、上清を粗酵素液とした。
上記粗酵素液0.05mlをGUS反応液(50mM NaH2PO4・2H2O、10mM 2-mercaptoethanol、0.1% triton X-100、1mM p-nitrophenyl-β-D-glucuronide、pH 7.0)0.45mlに加え、37℃、30分間反応させ、反応停止液(2.5M 2-amino-2-methyl-1,3-propandiol)0.2mlを混和した後、415nmの吸光度を測定し、遊離したp-nitrophenol量を求めた。粗酵素液のタンパク質濃度はウシ血清アルブミンを標準物質とし、日本バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社のプロテインアッセイを用いて定量した。GUS活性は基質であるp-nitrophenyl-β-D-glucuronideから1分間に1nmolのp-nitrophenolを遊離する活性を1Uとして表した。得られた結果を表1に示す。
Figure 2007259787
2%グルコースの培地に10μMチアミンを添加した場合、未添加のものに比べてGUS活性が約5倍に増加し、GUSタンパク質の発現をチアミンによって制御することができた。
配列表の配列番号11で表される本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドによるレポーター遺伝子の遺伝子発現制御を、A.oryzae細胞内で確認した。プラスミドの構築、形質転換株の製造、及び、GUS活性の測定は、実施例1で使用したプライマーF−On1及びR−On1に換えて下記F−On2(配列番号12)及びR−On2(配列番号13)を使用した以外は実施例1と同様にして行った。得られた結果を表2に示す。
F−On2:ccaaaccaaccgacaatgtaacgtctttggcgtg
R−On2:cacgccaaagacgttacattgtcggttggtttgg
Figure 2007259787
2%グルコースの培地に10μMチアミンを添加した場合、未添加のものに比べてGUS活性が約4倍に増加し、GUSタンパク質の発現をチアミンによって制御することができた。
以上説明したとおり、本発明によれば、チアミンなどによる遺伝子発現の“正”の制御が可能であるから、例えば、細胞を用いたタンパク質産生に関する分野、例えば、食品、栄養補助食品、医薬、医療の分野で有用である。
図1は、本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチドの機能を説明する模式図である。 図2は、従来の真核生物TPP結合型リボスイッチの機能を説明する模式図である。 図3Aは、麹菌A.oryzaeのthiA遺伝子のプロモーター領域を説明する図であり、図3Bは、TPPを結合するRNAエレメント(TPP結合構造形成領域)が形成すると考えられる二次構造の模式図である。 図4は、TPP結合構造形成領域の大腸菌と真菌類とのアライメントの図である。 図5は、プラスミドpNG1の構成を説明する図である。
符号の説明
1・・本発明の遺伝子発現制御ポリヌクレオチド
配列番号2:TPP結合型リボスイッチ
配列番号3:プライマー Salus
配列番号4:プライマー Sphua
配列番号5:プライマー Pptrs3
配列番号6:プライマー Pptras1
配列番号7:プライマー F−On1
配列番号8:プライマー R−On1
配列番号9:プライマー Prnis
配列番号10:プライマー Prnia
配列番号11:TPP結合型リボスイッチ
配列番号12:プライマー F−On2
配列番号13:プライマー R−On2

Claims (6)

  1. 遺伝子発現制御ポリヌクレオチドであって、
    真核生物のチアミン二リン酸(TPP)結合型リボスイッチにおけるステムループ形成領域P1からP5からなるTPP結合構造形成領域を含み、
    5'末端及び3'末端が、それぞれ、前記TPP結合型リボスイッチにおけるTPP存在下の5'スプライス部位及び3'スプライス部位であり、
    発現制御を行う所望の遺伝子の転写領域内に配置されることにより、TPP又はその類似体の非存在下において前記遺伝子の発現を抑制し、TPP又はその類似体の存在下において前記遺伝子の発現を誘導することを特徴とするポリヌクレオチド。
  2. 前記TPP結合構造形成領域が、配列表の配列番号1の497番目から669番目で表されるヌクレオチド配列若しくは前記配列の1個以上の塩基が、欠失、置換若しくは付加されたヌクレオチド配列又はそれらの相補配列である請求項1記載のポリヌクレオチド。
  3. (1)配列表の配列番号2又は11で表されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、
    (2)配列表の配列番号2又は11で表されるヌクレオチド配列の1個以上の塩基が、欠失、置換若しくは付加されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドであって、前記ポリヌクレオチドがRNAである場合に、TPP又はその類似体を結合可能であるポリヌクレオチド、及び、
    (3)前記(1)又は(2)のポリヌクレオチドの相補配列からなるポリヌクレオチド、
    からなる群から選択される請求項1又は2に記載のポリヌクレオチド。
  4. 遺伝子ベクターであって、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  5. 請求項1から3のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド又は請求項4記載のベクターが導入された細胞。
  6. 遺伝子発現制御方法であって、発現制御を行う所望の遺伝子の転写領域内に請求項1から3のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドが組み込まれた遺伝子が導入された細胞又は生命体を準備する工程、及び、前記遺伝子の発現を誘導する場合に、TPP及びその類似体を投与する工程を含む遺伝子発現制御方法。

JP2006090838A 2006-03-29 2006-03-29 遺伝子発現制御ポリヌクレオチド Pending JP2007259787A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006090838A JP2007259787A (ja) 2006-03-29 2006-03-29 遺伝子発現制御ポリヌクレオチド

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006090838A JP2007259787A (ja) 2006-03-29 2006-03-29 遺伝子発現制御ポリヌクレオチド

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007259787A true JP2007259787A (ja) 2007-10-11

Family

ID=38633410

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006090838A Pending JP2007259787A (ja) 2006-03-29 2006-03-29 遺伝子発現制御ポリヌクレオチド

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007259787A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2139319A2 (en) * 2007-03-22 2010-01-06 Yale University Methods and compositions related to riboswitches that control alternative splicing
US8313901B2 (en) 2005-12-21 2012-11-20 Yale University Methods and compositions related to the modulation of riboswitches
US8440810B2 (en) 2002-09-20 2013-05-14 Yale University Riboswitches, methods for their use, and compositions for use with riboswitches
WO2013178674A1 (en) * 2012-05-31 2013-12-05 Novozymes A/S Improved selection in fungi

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8440810B2 (en) 2002-09-20 2013-05-14 Yale University Riboswitches, methods for their use, and compositions for use with riboswitches
US8313901B2 (en) 2005-12-21 2012-11-20 Yale University Methods and compositions related to the modulation of riboswitches
EP2139319A2 (en) * 2007-03-22 2010-01-06 Yale University Methods and compositions related to riboswitches that control alternative splicing
EP2139319A4 (en) * 2007-03-22 2011-02-23 Univ Yale METHODS AND COMPOSITIONS RELATED TO RIBGREGATORS CONTROLLING ALTERNATE SPLICE
WO2013178674A1 (en) * 2012-05-31 2013-12-05 Novozymes A/S Improved selection in fungi
CN104395454A (zh) * 2012-05-31 2015-03-04 诺维信公司 改善的真菌选择
JP2015517816A (ja) * 2012-05-31 2015-06-25 ノボザイムス アクティーゼルスカブ 真菌における改善された選択
US9487767B2 (en) 2012-05-31 2016-11-08 Novozymes A/S of Krogshoejvej 36 Selection in fungi
EP3327113A3 (en) * 2012-05-31 2018-08-08 Novozymes A/S Improved selection in fungi
US10351861B2 (en) 2012-05-31 2019-07-16 Novozymes A/S Selection in fungi
US10351863B2 (en) 2012-05-31 2019-07-16 Novozymes A/S Selection in fungi
CN104395454B (zh) * 2012-05-31 2021-11-30 诺维信公司 改善的真菌选择

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102061438B1 (ko) 표적화 dna 서열 중의 핵산 염기가 특이적으로 전환되어 있는 단자엽식물 게놈 서열을 전환시키는 방법, 및 그것에 사용되는 분자 복합체
JP6125493B2 (ja) 転写終結配列
JP2755421B2 (ja) 高いコピー数で安定して組み込まれた外来dnaを含む細胞の製造方法、この方法により製造した細胞、及び外来dnaによりコードされるポリペプチドを製造する為のこれらの細胞の使用
EP3199632A1 (en) Temperature-inducible crispr/cas system
Yang et al. Translation of trpG in Bacillus subtilis is regulated by the trp RNA-binding attenuation protein (TRAP)
CN110527697B (zh) 基于CRISPR-Cas13a的RNA定点编辑技术
US20230287439A1 (en) Pathway integration and expression in host cells
CN110891965A (zh) 植物中使用的抗crispr蛋白的方法和组合物
JPS61502166A (ja) 植物細胞の形質転換のための改良された方法及びベクタ−
KR20210107680A (ko) 개선된 프럭토오스 이용을 위해 조작된 미생물 균주
JP2007259787A (ja) 遺伝子発現制御ポリヌクレオチド
CN103732751A (zh) 在幽门螺杆菌中的基因表达和根除系统
JP2010246532A (ja) コウジ酸の産生に必須の遺伝子を利用してコウジ酸の産生量を向上する方法
JP2018068292A (ja) 糸状菌の形質転換方法
EP0469523A2 (de) Klonierung und Überexpression von Glucose-6-Phosphat-Dehydrogenase aus Leuconostoc dextranicus
JP4109489B2 (ja) 遺伝子高発現系
CN106676129A (zh) 提高基因组编辑效率的方法
US11203760B2 (en) Gene therapy DNA vector GDTT1.8NAS12 and the method for obtaining thereof
CN106755075A (zh) 提高基因组编辑效率的方法
WO2003027280A1 (fr) Systeme de surexpression genique
US20210254086A1 (en) Composition For Editing Flavonoid Biosynthetic Gene By Using CRISPR/CAS9 System, And Use Thereof
JP3968618B2 (ja) シゾサッカロミセス・ポンベで使用可能な誘導プロモータ、誘導発現ベクター、およびそれらの利用
JP3910248B2 (ja) トランスポゼースを用いるin vitro反応によるDNA入れ子型欠失の作製方法
HU213418B (en) Process for producing polypeptides using bacterial host cells containing expression plasmids with deo promoter
JP5818312B2 (ja) プラスミド除去用組み換えプラスミドおよびその利用

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110818

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111014

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120410