JP6125493B2 - 転写終結配列 - Google Patents

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Description

本発明は発現系およびポリヌクレオチド構築体の分野に関する。
発現系により産生される組換えタンパク質の十分な収量のためには、ポリヌクレオチド構築体および発現系を設計する際に、数種の側面を検討しなければならない。重要な側面は、宿主細胞培養の種類、ならびに全産生工程の間の細胞生存能力および高発現効率を保証する、適切なトランスフェクションシステムの選択である。(生存に不要な二次タンパク質の)高発現率は細胞の健康および生存に有害であるため、これらの懸案事項は拮抗的であることが多い。発現率および細胞代謝の改変の特的の調節を可能にする、制御可能な発現系が望まれている。発現系の一つの重要な側面は、終結の効率を含む、転写効率である。低い終結効率はリードスルー転写(read−through transcription)、および、それら自身により細胞にとってストレスの多い、非常に長いmRNAの産生を導くが、−特に、プラスミドベクターの分野において−望まれていないタンパク質の発現を導き、導入遺伝子(transgene)構築体の複製制御を妨げ得る。望まれていない複製は同様に、多数のコピー数の導入遺伝子を産生し、それによって、不十分な発現系の問題を増加させる、細胞系への代謝負担(metabolic burden)を上昇させる。
転写は細胞性遺伝子発現の中心にあり、それゆえ、単一の遺伝子または遺伝子群の発現率を操作する、最も強力な選択肢を示し得る。一旦、三成分複合体(ternary complex)が築かれると、それは非終結転写の一時停止あるいは遅延の間、RNAポリメラーゼが解離しないで、毎秒最大100塩基の組み込みを可能にするのに十分に安定していなければならない。それゆえ、鋳型DNAおよび産生RNA転写産物と伸長作業中の(elongating)RNAポリメラーゼの強固な連結が、数百または数千ヌクレオチドの長さを有するmRNAを産生する能力に不可欠である。
転写開始および非常に安定した三成分複合体(ternary complex)の構築の後、酵素は鋳型に沿って移動し、一つずつヌクレオチドを組み込み、所望のRNA鎖を生産する。RNAの合成および単一の遺伝子あるいは転写オペロンのmRNAの解放(release)は、鋳型上の特異的な部位で停止しなければならない。この過程は転写終結と呼ばれ、転写開始の間の事象に似ているが、順番が逆であり、RNAポリメラーゼの解離および転写されたRNAの解放をもたらす。終結は鋳型DNAの明確に定義されたシグナル、いわゆる転写ターミネーターに応答して起こる。すべての生物学的過程のように、終結はのるかそるかの決定とは限らず、従って、100%の範囲では起こらない。実際、ターミネーターは、終結効率(TE)において大きく異なっており、その終結の効率が広く変化する。実際、終結シグナルは、所与のRNAポリメラーゼに高度に特異的である。また、非終結事象がポリメラーゼのリードスルーとして記載される。
ターミネーターは数種のグループに分類することができる。終結シグナルの第一のグループでは、コア酵素が、他の因子の非存在下、ある部位で、インビトロで終結させることができる。これらの終結部位は、内因性ターミネーター(intrinsic terminator)、あるいはクラスIターミネーターとも呼ばれる。内因性ターミネーターは通常、一つの一般的な構造的特徴、いわゆるヘアピンまたはステム−ループ構造、を共有する。一方、ヘアピンは二個一組の対称構造(dyad symmetrical structure)のdG−dCリッチな配列によってコードされる、ステム構造を含む。他方、ターミネーターはまた、3’末端でステム構造に直接続く、dA−dT領域を示す。3’末端のウリジンリッチ領域は、RNAポリメラーゼがヘアピン構造で一時停止する際、転写産物解放を促進すると考えられている。
長い間、ステム構造内のG−C対によって介在されるヘアピンの安定性は、TEに影響する、ヘアピン構造の最も本質的な部分であると信じられていた。ステム構造内への推定塩基の挿入は、より高い全体ΔG値を理論上もたらすはずであり、それゆえ、全体のTEが増大するはずである。驚いたことに、G−C対を挿入することによる熱力学的安定性の増大はより高いTEをもたらさず、ヘアピン構造の安定性だけが終結の本質的な決定因子ではないことを示している。安定性に加え、ヘアピンの三次元構造が終結に重要な役割を果たすことが想定される。最も特徴付けられた内因性ターミネーターに関して、ステム構造の最初の閉鎖塩基対(closing base pair)から最初の終結位置への距離が保存されている。その不変性を、三次構造の重要性に関する推定証拠と見ることができるのではないだろうか。結論として、伸長ポリメラーゼとの相互作用のために、ヘアピンは別個の三次元構造をとらなければならないようである。
Wilsonおよびvon Hippel(PNAS 92,1995;8793−8797)は、tR2ヘアピンターミネーターのバリアントおよび大腸菌(E.coli)RNAポリメラーゼによる終結効率について記載する。最大終結効率のための最適なヘアピン構造は、8または9の大部分G/C塩基対のステム、および6−8rU残基が続く4−8残基のループを有していた。さらなるステムの延長は、終結効率を減少させた。
Oroszら(Eur.J.Biochem 201、1991:653−659)は、大腸菌(E.coli)RNAポリメラーゼによるrrnBの大腸菌(E.coli)ターミネーターの構造的な必要条件を調査した。天然のターミネーター領域は、それぞれ小さなステムを形成することができると考えられる二つの断続的な小リピートを有する、二つのヘアピンターミネーターからなる。興味深いことに、第一のターミネーターを除く全ての構造の欠失は、終結効率の減少を生じなかった。この第一のターミネーターは43%のG/C含量を有していた。
Jengら(J Biol Chem 267(27)、1992:19306−19312)は、バクテリオファージT7 RNAポリメラーゼによるthrアテニュエーターのインビトロ終結について記載する。thrアテニュエーターの終結は、thrアテニュエーターの上流かつ遠位のリモート配列、様々なA/T付加を有する7G/C塩基対のG/Cリッチステムループヘアピン、ヘアピンに先行するデオキシチミジン伸長(stretch)、およびループ構造(thrアテニュエーターの逆配列(inverse sequence)が好適である)に潜在的に影響される。後の調査では、ステムループの上流のアデニン残基伸長は、終結に必要でないと示されている(Yangら、J Biol Chem 270(49)、1995:23330−23336)。
ターミネーターは、プラスミドpAPEC−O1−ColBM(NCBIデータベース登録番号NC_009837.1)または大腸菌(E.coli)APEC O1株(NCBIデータベース登録番号NC_008563.1)において等、微生物配列に含有される。
Carafaら(J Mol Biol 216(4)(1999):835−858)は、Rho非依存性大腸菌(E.coli)転写ターミネーターについて記載する。
Mitraら(Nucleic Acids Research、39(2011):D129−D135)は、WebGeSTerデータベース、転写ターミネーターデータベースの説明を提供する。
Unniramanら(Nucleic Acids Research 30(3)(2002):675−684)は、特定のターミネーター構造および分類の総説を提供する。
QuiagenのQIAexpress pQEベクター(「QIAexpressシステム」、The QIAexpressionist 06/2003、5th ed.、page 15)は、二つのターミネーターを含有する。
Unniramanら(Journal of Biological Chemistry、276(45)(2001):41850−41855)は、真正細菌における内因性転写ターミネーターに関する。
Friedmanら(Annual Review of Genetics、21(1)(1987):453−488)は、タイプIおよびタイプIIターミネーターの総説を提供する。
Lesnikら(Nucleic Acid Research、29(17)(2001):3583−3594)は、内因性rho依存性ターミネーターの検索に使用するためのプログラムRNAMotifについて記載する。
本発明の目的は、効率の良い転写終結、とりわけT7 RNAポリメラーゼのような高進行性(highly processive)RNAポリメラーゼによって、所望の生産物の発現のため効率が増大した、改善された発現系を提供することである。
この目的は、請求項の発明特定事項および本明細書に記載される定義によって、解決される。
発現プラスミドpET30a(Novagen、Merck KgaA、HE、ドイツ)のプラスミドマップ。 改変pET30aプラスミドを保有する大腸菌(E.coli)HMS174(DE3)株の流加(fed−batch)バイオリアクター培養。供給(feed)モードで一世代(7時間)後、工程の終わりに計算された量のCDMに従って、20μmol/g CDMのIPTG濃度を達成する量のインデューサーを添加することにより、細胞を完全に誘導した。16h後、細胞は生育せず、推定組換えタンパク質産生が検出できなかったので、供給開始後最初の16hのみが図示されている。プラスミドI:内因性T7ターミネーター;プラスミドJ:104bp欠失の内因性T7ターミネーター。黒線は、制限無しでの対数増殖を仮定する時の理論上の細胞生育に類似する。プラスミドJは、リードスルーに起因する増大したプラスミドコピー数を示したが、減少したタンパク質(SOD)産生を示した。 4つの終結シグナル(制限部位が示される)。上から下へ:バクテリオファージT3に存在する内因性ターミネーター、オリジナルのT7ターミネーター、変化したテトラループを有する改変T7ターミネーター、およびVSVに由来するクラスIIターミネーター。 人工ターミネーター「T7UUCG」および高度に類似するオリジナルのT7ターミネーターヘアピンループ。(a)野生型T7ターミネーターは6ヌクレオチドのループ配列および二つの不対G−U残基を含む不対領域を含有する。(b)人工合成新規T7UUCG終結シグナルはオリジナルのT7ターミネーターと比べていくつかの改変を示す。ヘキサヌクレオチドループは強力な核形成部位(nucleation site)UUCGに交換されている。ステム構造内の不対領域は、G−Uに代わるG−C塩基対の存在により、削除されている。 示されたpET30a誘導体を保有する大腸菌(E.coli)HMS174(DE3)株の流加バイオリアクター培養。供給モードで一世代(7時間)後、工程の終わりに計算された量のCDMに従って、20μmol/g CDMのIPTG濃度を達成する量でインデューサーを添加することにより、細胞を完全に誘導した。供給開始後最初の16hのみが図示されている。 示されたpET30a誘導体を保有する大腸菌(E.coli)HMS174(DE3)株の流加バイオリアクター培養。供給モードで一世代(7時間)後、実際に存在するCDMに従って、連続的なインデューサーの供給により(0,9μmol/g CDM)、細胞を誘導した。細胞生育および組換えタンパク質産生を、発酵工程全体にわたって観察した。培養は流加段階から28h後に停止した。 限定誘導(limited induction)での大腸菌(E.coli)HMS174(DE3)の流加培養(A:ptZENIT、B:pET30a)。計算上および実際の細胞乾燥重量(CDW)の経過、プラスミドコピー数(PCN)の経過および総生産物収量の経過。 限定誘導での大腸菌(E.coli)HMS174(DE3)の流加培養(A:ptZENIT、B:pET30a)。水溶性の、凝集した、および全体の、特定の組換えタンパク質(ヒトスーパーオキシドジスムターゼ)の経過。 完全誘導(full induction)での大腸菌(E.coli)HMS174(DE3)の流加培養(A:ptZENIT、B:pET30a)。水溶性の、凝集した、および全体の、特定の組換えタンパク質(ヒトスーパーオキシドジスムターゼ)の経過。
第一の態様において、本発明は、少なくとも二つの連続した転写終結シグナルを含むポリヌクレオチドであって、前記連続した転写終結シグナルが、少なくとも、最大で1000ヌクレオチド離れている第一および第二の転写終結シグナルを含み、かつ該終結シグナルの少なくとも一つがRNAヘアピン構造を有するまたはコードする、ポリヌクレオチドを提供する。本発明によると、連続した終結シグナルはもう一方に影響を与えることができ、かつ、とりわけ少なくとも一つのターミネーターがヘアピン構造を含む場合、劇的に増大した終結効率をもたらすことができることが見出された。前記ヘアピンは、少なくとも60%GまたはC(「G/C」)核酸を有する、少なくとも12の内部塩基対のステムを含む構造を有する。好ましい実施形態では、ヘアピンは、第二の態様で定義される特別な構造を有する。本発明は、終結効率を増大できるようにするように、協調作用(concerted action)において、先行するコード配列の転写の後の終結が可能となるように、作動可能に連結された、2、3、4以上の終結シグナルの組み合わせを含む、ポリヌクレオチドを提供する。
第二の態様において、本発明はさらに、配列Y−U/T−NNG−Zを有するヘアピン構造を含む少なくとも一つの転写終結シグナルを含むポリヌクレオチドであって、
Yが少なくとも8ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であって、かつ少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%のG/C含量を有し、
ZがYに対して少なくとも70%相補性を有するヌクレオチド配列であり、
Zの該相補的ヌクレオチドはYのヌクレオチドと塩基対形成し、かつ、配列U/T−NNGは、YまたはZとの塩基対形成が無く、T(U)、A、C、Gから選択される任意のヌクレオチドであるNを有するループであり;好ましくは配列U/T−NNGはU/T−U/T−CGである、ポリヌクレオチドを提供する。この第二の態様は、本発明の第一の態様と組み合わせ可能である:この種のターミネーターはまた、ポリヌクレオチド上の第二のヘアピンとして用いることができ、また第一の態様の限定(少なくとも12ヌクレオチド長であるYおよびZ)に適合することを前提として、最初のヘアピンをさらに定義してもよい。とりわけ、特定の遺伝子または発現構築体のターミネーターとしてのみ用いられる場合、より長いステム構造が好ましい、例えば、少なくとも13、14、15、16以上の塩基対(YおよびZ)。本発明によると、終結効率は、G/C含量、ステム相補性をさらに増大させ、かつ以下に詳細に説明されるループを最適化することにより、増大できる。これらの選択肢は全て、本発明により見出されるような、増大した終結効率をもたらすヘアピン安定性を増大する。一般的に、ヘアピンのギブスエネルギー(dG)の形成は、これらの構造的最適化により低下する。しかしながら、単純なdG最適化は、Wilsonおよびvon Hippel(上記)によって見出されたように、増大した終結効率をもたらすとは限らない:9塩基対を超えてステム長を増加させることは−それはdGを減少させる(かつヘアピン安定性を増大させる)が−終結効率の増大をもたらさなかった。
本明細書で用いる場合、ヌクレオチド配列における「/」または括弧内に示されるヌクレオチドは、DNA配列におけるTの代わりのRNA配列における代替的なUなどの、代替的なヌクレオチドを指す。それゆえ、U/TまたはU(T)は、UまたはTのいずれかとすることができる一つのヌクレオチド位置を示す。同様に、A/TはヌクレオチドAまたはTを指す;G/CはヌクレオチドGまたはCを指す。UとTの間の機能的同一性に起因して、本明細書におけるUまたはTへのあらゆる言及は、TまたはUの他方としての開示としても見られるべきである。例えば、配列UUCG(RNA上)は、配列TTCG(対応するDNA上)の開示としても理解されるべきである。簡単にするためだけに、これらの選択肢の一つだけが本明細書において記載され得る。
相補的ヌクレオチドまたは塩基は、AおよびT(またはU);GおよびC;GおよびUなど、塩基対合できるものである。
ヘアピンまたはステムループは、ステム内に(内部)塩基対を形成し、ステム部分の間の中間のループ配列では塩基対合しない、それ自身の上で折りたたむ、RNA一本鎖部分のRNA構造である。ループは、好ましくは短く、例えば3、4、5、6、7または8ヌクレオチド長である。本発明のポリヌクレオチドは、少なくとも12塩基対、好ましくは14から26塩基対の範囲の、より長いステム長を有する少なくとも一つを有する、本明細書で定義される少なくとも1、2、3または4である、1、2、3、4以上のヘアピンを有し得る。
本発明のポリヌクレオチドは、DNA(通常、ターミネーターをコードする)またはRNA(通常、ヘアピン構造に折りたたむことができ、かつ本発明のターミネーターを含み得る)とすることができる。ポリヌクレオチドは一本鎖(特にRNAについて)または二本鎖(特にDNAについて)とすることができる。
本明細書で用いる場合、「同一性」は、配列が、配列一致を最大にするように、すなわち、ギャップおよび挿入を考慮して、アラインメントされる場合の、二以上の配列における対応する位置での同一のヌクレオチドのパーセンテージを意味する。同一性を決定する方法は、検証される配列間の最大の一致を与えるように設計される。さらに、同一性を決定する方法は、公的に入手可能なコンピュータープログラムに分類されている。二つの配列間の同一性を決定するコンピュータープログラム法には、限定するものではないが、GCGプログラムパッケージ、BLASTP、BLASTN、およびFASTAが挙げられる。BLASTプログラムはNCBIおよび他の供給元から公的に入手可能である(BLAST Manual、Altschul、S.、et al.、NCBI NLM NIH Bethesda、Md.20894; Altschul、S.、et al.、J.Mol.Biol.215:403−410(1990))。よく知られているSmith Watermanアルゴリズムもまた、同一性を決定するために用いられ得る。BLASTNは、例えば11.0のオープンギャップペナルティおよび1.0のエクステンディッドギャップペナルティを備える初期設定パラメータを用いて、blosum−62マトリックスを利用して、実行することができる。
本明細書で用いる場合、「含む(comprising)」は、類似するまたは他の特徴のさらなる要素を認める、開放定義(open definition)として理解されるべきである。「からなる(consisting of)」は、限定された範囲の特徴に関する閉鎖定義(closed definition)として理解されるべきである。
本明細書で用いられる「終結」は、他に断らない限り、転写終結を指す。「終結シグナル」または単に「ターミネーター」は、他に断らない限り、「転写終結シグナル」を指す。ターミネーターはポリメラーゼの転写を妨げるまたは停止させる配列である。本発明のターミネーターは、とりわけ、T7 RNAポリメラーゼ用に最適化されているが、ある程度、他のRNAポリメラーゼに対する終結ももたらすことができる。
「ORF」または「オープンリーディングフレーム」は、ポリペプチドに翻訳できるヌクレオチド配列である。そのような配列の伸張のコード配列(「CDS」)は、終止コドンによって中断されない。終止コドンは、遺伝子発現の間に切除されるイントロ(intro)に存在してもよい。完全なタンパク質のためのコード配列を表すORFは、「開始」コドン、通常ATG、で始まり、「終止」コドンの一つで終結する。本願の目的のため、ORFは、開始および/または終止コドン有りまたは無しの、コード配列の任意の部分であってもよい。「ORF」および「CDS」は、遺伝子産物をコードする配列に関して、互換可能に用いられ得る。
本明細書で用いる場合、ORFに関連して、例えば、発現カセットにおいて、用語「作動可能に連結される(operably linked)」または「作動可能に配置される(operably positioned)」は、本発明のターミネーター活性を有する配列が、核酸分子の別のヌクレオチド成分と機能的な関係にあることを意味する。例えば、ターミネーターは、それがコード配列の転写に影響する場合、コード配列に作動可能に連結される。かかる作動可能な連結は、例えば、遺伝子のコード配列と同一のDNA分子上の本発明のターミネーターを提供することによることができる。二以上のターミネーターは、それらが先行するコード配列の協調終結(concerted termination)を提供するよう、互いに位置する場合、作動可能に連結できる。特に好ましくは、ターミネーター配列はコード配列の下流、すなわちコード配列の3’位置上にある。ターミネーターは、例えば、コード配列の少なくとも1、少なくとも10、少なくとも30、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500ヌクレオチド下流、または直接隣接させることができる。これと組み合わせて、またはこれとは別に、ターミネーター配列は、コード配列の下流の10000未満、8000未満、6000未満、5000未満、4500未満、4000未満、3500未満、3000未満、2500未満、2000未満、1500未満、1000未満、750未満、500未満、250未満、100未満のヌクレオチドとすることができる。
本発明の好ましい実施形態では、ポリヌクレオチドは、任意にRNAヘアピン構造を含むまたはコードする、第三の転写終結シグナル(上で定義され、しかしながら、任意の他のヘアピンターミネーター、あるいは他から独立して選択されるものなど)を含んでもよく、前記第三の転写終結シグナルは、第一または第二の転写終結シグナルから最大で1000ヌクレオチド離れている。第一、第二および任意に第三のターミネーターは、遺伝子またはコード配列の転写を停止させるため、(同一の)遺伝子またはコード配列の終わりに配置され得る。ポリヌクレオチドはさらなるターミネーターを含んでもよい。
第一および第二のターミネーターの間、第一および第三の間、ならびに/または第二および第三の間のヌクレオチド距離は、それぞれ個別に、以下の範囲、最大で1000ヌクレオチド、最大で900ヌクレオチド、最大で800ヌクレオチド、最大で700ヌクレオチド、最大で600ヌクレオチド、最大で500ヌクレオチド、最大で400ヌクレオチド、最大で300ヌクレオチド、最大で250ヌクレオチド、最大で200ヌクレオチド、最大で180ヌクレオチド、最大で160ヌクレオチド、最大で150ヌクレオチド、最大で140ヌクレオチド、最大で130ヌクレオチド、最大で120ヌクレオチド、最大で110ヌクレオチド、最大で100ヌクレオチド、最大で90ヌクレオチド、最大で80ヌクレオチド、最大で70ヌクレオチド、最大で60ヌクレオチド、最大で50ヌクレオチド、のいずれかから選択され得る。さらにまた、第一および第二のターミネーターの間、第一および第三の間、ならびに/または第二および第三の間のヌクレオチド距離は、それぞれ個別に、以下の範囲、少なくとも10ヌクレオチド、少なくとも15ヌクレオチド、少なくとも20ヌクレオチド、少なくとも30ヌクレオチド、少なくとも40ヌクレオチド、少なくとも50ヌクレオチド、少なくとも60ヌクレオチド、少なくとも70ヌクレオチド、少なくとも80ヌクレオチド、のいずれかから選択され得る。ポリヌクレオチド上のターミネーターの配置は、他のターミネーターの終結に影響を及ぼす、作動可能な位置決めを認め得る。
ヘアピンは、分子内塩基対合を含むステムループ構造であり、かつ一本鎖DNAまたは、より一般に、RNAにおいて生じ得るパターンである。その構造はヘアピンループとしてもまた知られている。それは、不対ループで終了する二重ヘリックスを形成するために、反対方向に読んだ場合ヌクレオチド配列において大部分相補的である、同一鎖の二つの領域が塩基対合する場合に生じる。ステムループ構造の形成は、結果として生じるヘリックスおよびループ領域の安定性に依存する。もちろん、第一の要件は、対合した二重ヘリックスを形成するように、それ自身の上で折りたたまれ得る配列の存在である。このヘリックスの安定性は、その長さ、それが含むミスマッチまたは膨らみ(bulge)の数(少ない数は認容できる、特に長いヘリックスにおいて)、および対合領域の塩基組成によって決定される。グアニンとシトシンの間の対合は3つの水素結合を有し、2つしか有していないアデニン−ウラシル対合に比べ、より安定である。RNAでは、2つの水素結合を特色とするグアニン−ウラシル対合もまた、一般的であり好ましい。好ましい配向(orientation)で塩基の芳香環のパイ軌道を整列させる、塩基の積み重ね(base stacking)の相互作用もまた、ヘリックス形成を促進する。
特に好ましい実施形態では、ヘアピン構造は、配列Y−X−Z、ここで、Yは少なくとも8塩基長のヌクレオチド配列であって、かつ少なくとも40%、少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも60%のG/C含量を有し、
Xが3から9塩基長のヌクレオチド配列であり、かつ
ZがYに対して少なくとも70%相補性を有するヌクレオチド配列であり、
Zの該相補的ヌクレオチドはYのヌクレオチドと塩基対形成し、かつ、XはYまたはZとの塩基対形成が無い(またX内でも内部的にそうではない)ループである、によって定義される。好ましくは、Xは3、4、5、6、7または8ヌクレオチド長を有する。この一般的な構造は、ステムのG/C含量を増大させること、ループを最適化すること、およびYとZの間の相補性を増大させることにより改良される、さらなるTEである。Xについてテトラループ(長さが4)構造が特に好ましい。Xは、U(T)、A、C、Gから選択される任意のヌクレオチドであるNを有する、配列U/T−NNGまたはその逆を含むかまたはからなり;好ましくは配列U/T−NNGはU/T−NCG、特にU/T−U/T−CGである、を含んでもよく、またはそれからなる。YおよびZ上に隣接するG/Cを有するテトラループは、非常に高い終結効率を示した、本発明の最も好ましい実施形態にある、非常に安定したループ構造を形成する。
そのような式X−Y−Zのヘアピン構造は、第一、第二および/または第三の転写終結シグナルにあってもよい。さらに、転写シグナルは、他のヘアピンターミネーターまたは代替的な非ヘアピン(例えば、クラスII)ターミネーターを、あるいは、もちろん個別に選択されるY、XおよびZを有する式X−Y−Zのヘアピンのターミネーターもまた、含み得る。好ましい実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは二つのヘアピンターミネーター、特に好ましくは本発明のX−Y−Z構造である一つまたは二つ、を含む。
本発明はまた、前記配列Y−U/T−NNG−Zを有するヘアピン構造を含む少なくとも一つの転写終結シグナルを含むポリヌクレオチドであって、
Yが少なくとも10ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であって、かつ少なくとも60%のG/C含量を有し、
ZがYに対して少なくとも70%相補性を有するヌクレオチド配列であり、
Zの該相補的ヌクレオチドはYのヌクレオチドと塩基対形成し、かつ、配列U/T−NNGは、YまたはZとの塩基対形成が無く、T(U)、A、C、Gから選択される任意のヌクレオチドであるNを有するループであり;好ましくは配列U/T−NNGはU/T−U/T−CGである、ポリヌクレオチドを提供する。U/T−NNG(もちろん、任意にその逆も含まれる)であるXを有する上記のY−X−Z構造を有する、かかるポリヌクレオチドは、特に、他のターミネーターからは独立して配置される、例えばORFまたはORFが挿入され得るクローニングサイトに作動可能に連結される、たった1つのターミネーターを含んでもよい。X−Y−Zヘアピンに言及する場合、上記および以下は本発明の全ての態様に適用される。
ヘアピンのステムにおける高G/C含量は(YまたはZまたは両者共に)、エネルギー的に好ましく、同様に終結効率を増大させる、高度に安定したヘアピンをもたらす。好ましい実施形態では、G/C含量は、YまたはZまたは両者のいずれかのヌクレオチドの、少なくとも50%、少なくとも52%、少なくとも54%、少なくとも56%、少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%である。
好ましい実施形態では、少なくとも一つの転写終結シグナル(第一、第二および/または第三)は、少なくとも75%、AまたはT(U)を含む、少なくとも4、好ましくは少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または少なくとも10ヌクレオチド長のA/T(U)−リッチ領域を含み、ここで、好ましくは前記A/T(U)−リッチ領域はヘアピンの下流にあり、特に好ましくは前記ヘアピンから20ヌクレオチド以下離れている。A/T(U)−リッチ領域は、好ましくは最大で1、最大で2、最大で3のG/Cヌクレオチドを有するA/T(U)から選択される、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または少なくとも10ヌクレオチドを含んでもよい。特に好ましくは、A/T(U)−リッチ領域は、最大で20ヌクレオチド、好ましくは最大で15ヌクレオチド、最大で12ヌクレオチド、最大で10ヌクレオチド、最大で8ヌクレオチド、最大で7ヌクレオチド、最大で6ヌクレオチド、最大で5ヌクレオチド、最大で4ヌクレオチド、最大で3ヌクレオチド、最大で2ヌクレオチド、最大で1ヌクレオチド、ヘアピンから離れている(通常、下流)、または直接隣接している。A/T(U)−リッチ領域はT(U)−リッチであってもよく、好ましくは、少なくとも3T(U)、少なくとも4T(U)、少なくとも5T(U)、少なくとも6T(U)、少なくとも7T(U)、または少なくとも8T(U)を含む。A/T(U)−リッチ領域は、最大20、最大15、最大12、最大10、最大8ヌクレオチド長とすることができる。ヘアピンの下流のA/T(U)−リッチ領域は、通常、終結効率を増大させる。それはステム(Z)とオーバーラップしていてもよい。この場合、好ましくは、Zの最後の1、2、3、4または5ヌクレオチドが、AまたはT(U)、好ましくはT(U)であってもよい。
式Y−X−Zの本発明のヘアピにおいて、好ましくは、Yは9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30ヌクレオチド長である。Yの長さは、(同一のヌクレオチド長から選択できる、相補性により)Zの長さを決定する。実質的に相補的なYおよびZ、ヘアピンのステム、の長さは、塩基対でステム長を決定する。以下に記載されるように、ステムは必ずしも100%相補的ではないが、YおよびZについて、限定された非相補的な対向する(opposing)塩基を有する。
特に、YおよびZはmヌクレオチド長とすることができ、ここで、Yはヌクレオチドyからyからなり、Zはヌクレオチドzからzからなり、ヘアピンは、配列ymym−1ym−2...y−X−z...zm−1からなる。好ましくは、zはyに対して相補的であり、zはyに対して相補的であり、ヘアピンのステムの両終端が相補的であることを意味する。さらにまた、1からmまでの整数であるaを有する、yのいずれか一つをzと相補的とすることができ、とりわけ、yとzの間の相補性は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30およびそれらの任意の組み合わせであるaに関してとすることができる。特に好ましくは、ステムの最初および/または最後の1、2、3、4または5ヌクレオチドが相補的である。
YおよびZは、効率良く安定したヘアピン形成のために高い相補性を有するべきであり、例えば、YおよびZは少なくとも80%相補的、好ましくは少なくとも82%相補的、少なくとも84%相補的、少なくとも85%相補的、少なくとも86%相補的、少なくとも88%相補的、少なくとも90%相補的、少なくとも92%相補的、少なくとも94%相補的、少なくとも95%相補的、少なくとも96%相補的、少なくとも97%相補的、少なくとも98%相補的、少なくとも99%相補的、または100%相補的でさえある。相補性は、少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%、G−CまたはA−T(U)相補性であることが、最も好ましい。
XおよびZで形成されるステム構造において、非相補性は限定されるべきではない。いくつかの限定された非相補性が可能であるが、「バブル」またはさらなるループの形成を阻むために、互いに隣接して配置されるべきではない。好ましい実施形態では、ヘアピンにおいて、YとZのヌクレオチドの間で、最大で3、2または1のG−U相補性が別のG−U相補性に隣接し、好ましくは、ヘアピンは隣接したG−U相補性を有さない。
本発明の特に好ましいターミネーターは、配列番号4によってコードされる。本発明は、配列番号4によってコードされるターミネーターと、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%配列同一性を有する、さらなる相同的なターミネーターにまで及ぶ。好ましくは、上に定義される非同一性が残っており、かつ、例えば、上述のような非相同的ステム構造またはA/Tリッチ領域を形成しない、または限定されたそれらを形成する。配列番号4には、ステム(nts 1から16、21から36)、ループ(nts 17から20)およびステムに続くA/Uリッチ領域(nts 37から40)を有する、人工最適化ターミネーターが記載されている。それは、ステム構造において78%のG/C含量を有する(25/32 nts)。
好ましい実施形態では、本発明のポリヌクレオチドの少なくとも一つのターミネーターがクラスIIターミネーターである。
通常のヘアピン様ターミネーターとは対照的に、終結事象、クラスIIターミネーターの作用は、非コード鎖の存在を必要とし、それゆえ、二本鎖駆動(double strand driven)過程である(He et al.、J Biol Chem 267、1998:19306−19312)。これらの新規な配列での終結シグナル、いわゆるクラスII終結シグナル、が、クラスI終結経路から独立したメカニズムを介して介在されるというさらなる証拠は、変異T7ポリメラーゼによるインビトロ転写解析に由来する。20kDaのN末端部分と80kDaのC末端断片の間の変異は、クラスII終結シグナルでは終結することができないが、転写ヘアピンがクラスI終結シグナルを含有する場合には、まだ伸長を停止することができる、「ニックが入った」形態のポリメラーゼをもたらす(Lyakhov et al.、J Mol Biol 269、1997:28−40)。それゆえ、大腸菌(E.coli)における転写終結を達成できる二つの異なるメカニズムが存在し、両経路は互いに独立して作動する。
推定生物の配列解析から、さらなるクラスII終結シグナルの存在が明らかとなった。これらの稀な配列は、大腸菌(E.coli)rrnB T1終結部位内に、水疱性口内炎ウイルス(VSV)のcDNAコピーにおいて、アデノウイルスDNAにおいて、およびバクテリオファージラムダDNA内に存在する(Zhang and Studier、1995)(Sousa et al.、1992)。これらの新たに発見された配列の全ては、7bp長のコンセンサス配列(非鋳型鎖によればATCTGTT)、および、内因性終結シグナルでのU−ラン(run)に比べて、3’末端に不均一に長いウリジンのラン(run)を共有する。
Figure 0006125493
(Lyakhov et al.、J Mol Biol 280(1998):201−213より)
ウリジン(非鋳型鎖ではT)の隣接するラン(run)を欠くコンセンサス配列は、複製T7 DNAのコンカテマージャンクション(CJ)の末端に存在する(Lyakhov et al.、1997)。ウリジン区域(tract)の欠如のため、この7bp長配列の重要性が、内因性T7ポリメラーゼを「ニックが入った」形態へ変異させることにより、これまでに解析された。ニックが入ったT7ポリメラーゼを発現するファージは、潜在的クラスII終結部位を認識できない。
本発明によれば、本発明のクラスIIターミネーターは7つの例全てに共通するコンセンサス配列TCTGTTを含み、好ましくはTが前記TCTGTT配列の3’の2ヌクレオチド内にある。好ましくは、クラスIIターミネーターは、少なくとも40%のT含量を有する、少なくとも20ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも22、少なくとも24または少なくとも26ヌクレオチド長の配列を含む(コンセンサス配列を含む)。8ヌクレオチド長内の少なくとも40%TのTリッチ領域は、コンセンサス配列に3’または5’で隣接している。
クラスII終結シグナルはヘアピン終結シグナルに隣接できる。かかるクラスIIターミネーターは、中間のヌクレオチドがほとんど無い、または中間のヌクレオチドが全く無い、好ましくは最大で10、9、8、7、6、5、4、3、2、1の中間のヌクレオチドを有する、または中間のヌクレオチドが全く無い、ヘアピンの直前または直後とすることができる。ヘアピンに続くA/T(U)−リッチ、とりわけT(U)リッチ領域は、ヘアピンと隣接するクラスIIターミネーターの間にあってもよい。
PTH遺伝子に存在するクラスII終結部位を含有する鋳型を用いるインビトロ転写アッセイから、約55%の転写効率であり、それゆえ、そのターミネーターはT7ターミネーターを形成するヘアピンよりも効率が悪いことが明らかになった(天然のT7ターミネーターは約80%のTEを示す)。しかしながら、本発明によれば、組み合わせでは、クラスIおよびクラスIIターミネーターは、驚くほど増大した全体効率を有することがわかった。
作動可能に連結される、少なくとも二つのターミネーターシグナルを含む、可能な本発明のポリヌクレオチドは、以下である:
1)配列Y−X−Zで定義されるヘアピン構造を含む第一のターミネーターシグナルであって、Yが少なくとも14ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であって、かつ少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%のG/C含量を有し、
Xが3から9ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であり、かつ、
ZがYに対して少なくとも90%相補性を有するヌクレオチド配列であり、
Zの該相補的ヌクレオチドはYのヌクレオチドと塩基対形成し、かつ、XはYまたはZとの塩基対形成が無い(またX内でも内部的にそうではない)ループである、第一のターミネーターシグナル;
配列Y−X−Zで定義されるヘアピン構造を含む第二のターミネーターシグナルであって、Yが少なくとも8ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であって、かつ少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも60%のG/C含量を有し、
Xが3から9ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であり、かつ、
ZがYに対して少なくとも70%相補性を有するヌクレオチド配列であり、
Zの該相補的ヌクレオチドはYのヌクレオチドと塩基対形成し、かつ、XはYまたはZとの塩基対形成が無い(またX内でも内部的にそうではない)ループである、第一のターミネーターシグナル;第一および第二のターミネーターは、第一および第二の終結シグナルによって協調終結(concerted termination)を提供するよう、最大で1000ヌクレオチド離れている。第一および第二のターミネーターのY、X、およびZは上述のように独立して選択できる。ターミネーターシグナルは、任意の順番または上記のような順番とすることができる。
2)配列Y−X−Zで定義されるヘアピン構造を含む第一のターミネーターシグナルであって、Yが少なくとも12ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であって、かつ少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%のG/C含量を有し、
Xが3から9ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であり、かつ、
ZがYに対して少なくとも80%相補性を有するヌクレオチド配列であり、
Zの該相補的ヌクレオチドはYのヌクレオチドと塩基対形成し、かつ、XはYまたはZとの塩基対形成が無い(またX内でも内部的にそうではない)ループである、第一のターミネーターシグナル;
クラスII終結シグナルを含む、好ましくはコンセンサス配列TCTGTTを含む、より好ましくは少なくとも40%のT含量を有する少なくとも20ヌクレオチド長の配列を含む、第二のターミネーターシグナル;第一および任意のさらなるターミネーターのY、X、およびZならびにクラスII終結シグナルのパラメータは、上述のように独立して選択できる。ターミネーターシグナルは、任意の順番または上記のような順番とすることができる。クラスII終結シグナルは、上記またはさらなるヘアピン終結シグナルの一つに隣接することができる。
3)配列Y−X−Zで定義されるヘアピン構造を含む第一のターミネーターシグナルであって、Yが少なくとも12ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であって、かつ少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%のG/C含量を有し、
Xが3から9ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であり、かつ、
ZがYに対して少なくとも80%相補性を有するヌクレオチド配列であり、
Zの該相補的ヌクレオチドはYのヌクレオチドと塩基対形成し、かつ、XはYまたはZとの塩基対形成が無い(またX内でも内部的にそうではない)ループである、第一のターミネーターシグナル;
配列Y−X−Zで定義されるヘアピン構造を含む第二のターミネーターシグナルであって、Yが少なくとも8ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であって、かつ少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも60%のG/C含量を有し、
Xが3から9ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であり、かつ、
ZがYに対して少なくとも70%相補性を有するヌクレオチド配列であり、
Zの該相補的ヌクレオチドはYのヌクレオチドと塩基対形成し、かつ、XはYまたはZとの塩基対形成が無い(またX内でも内部的にそうではない)ループである、第二のターミネーターシグナル;
配列Y−X−Zで定義されるヘアピン構造を含む第三のターミネーターシグナルであって、Yが少なくとも8ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であって、かつ少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも60%のG/C含量を有し、
Xが3から9ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であり、かつ、
ZがYに対して少なくとも70%相補性を有するヌクレオチド配列であり、
Zの該相補的ヌクレオチドはYのヌクレオチドと塩基対形成し、かつ、XはYまたはZとの塩基対形成が無い(またX内でも内部的にそうではない)ループである、第三のターミネーターシグナル;第一、第二および第三のターミネーターは、第一、第二および第三の終結シグナルによって協調終結(concerted termination)を提供するよう、最大で1000ヌクレオチド離れている。第一、第二または第三のターミネーターのY、X、およびZは上述のように独立して選択できる。終結シグナルは、任意の順番または上記のような順番とすることができる。
4)配列Y−X−Zで定義されるヘアピン構造を含む第一のターミネーターシグナルであって、Yが少なくとも12ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であって、かつ少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%のG/C含量を有し、
Xが3から9ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であり、かつ、
ZがYに対して少なくとも80%相補性を有するヌクレオチド配列であり、
Zの該相補的ヌクレオチドはYのヌクレオチドと塩基対形成し、かつ、XはYまたはZとの塩基対形成が無い(またX内でも内部的にそうではない)ループである、第一のターミネーターシグナル;
クラスII終結シグナルを含む、好ましくはコンセンサス配列TCTGTTを含む、より好ましくは少なくとも40%のT含量を有する少なくとも20ヌクレオチド長の配列を含む、第二のターミネーターシグナル;
配列Y−X−Zで定義されるヘアピン構造を含む第三のターミネーターシグナルであって、Yが少なくとも8ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であって、かつ少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも60%のG/C含量を有し、
Xが3から9ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であり、かつ、
ZがYに対して少なくとも70%相補性を有するヌクレオチド配列であり、
Zの該相補的ヌクレオチドはYのヌクレオチドと塩基対形成し、かつ、XはYまたはZとの塩基対形成が無い(またX内でも内部的にそうではない)ループである、第三のターミネーターシグナル;第一、第二および第三のターミネーターは、第一、第二および第三の終結シグナルによって協調終結(concerted termination)を提供するよう、最大で1000ヌクレオチド離れている。第一または第三のターミネーターのY、X、およびZならびにクラスII終結シグナルのコンセンサスおよびT−リッチ配列は、上述のように独立して選択できる。終結シグナルは、任意の順番または上記のような順番とすることができる。クラスII終結シグナルは、上記またはさらなるヘアピン終結シグナルの一つに隣接することができる。
5)配列Y−X−Zで定義されるヘアピン構造を含む第一のターミネーターシグナルであって、Yが少なくとも12ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であって、かつ少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%のG/C含量を有し、
Xが3から9ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であり、かつ、
ZがYに対して少なくとも80%相補性を有するヌクレオチド配列であり、
Zの該相補的ヌクレオチドはYのヌクレオチドと塩基対形成し、かつ、XはYまたはZとの塩基対形成が無い(またX内でも内部的にそうではない)ループである、第一のターミネーターシグナル;
配列Y−X−Zで定義されるヘアピン構造を含む第二のターミネーターシグナルであって、Yが少なくとも8ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であって、かつ少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも60%のG/C含量を有し、
Xが3から9ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であり、かつ、
ZがYに対して少なくとも70%相補性を有するヌクレオチド配列であり、
Zの該相補的ヌクレオチドはYのヌクレオチドと塩基対形成し、かつ、XはYまたはZとの塩基対形成が無い(またX内でも内部的にそうではない)ループであり、かつ、好ましくはコンセンサス配列TCTGTTを含む、より好ましくは少なくとも40%のT含量を有する少なくとも20ヌクレオチド長の配列を含む、ヘアピン構造に隣接するクラスII終結シグナルである、第二のターミネーターシグナル;
配列Y−X−Zで定義されるヘアピン構造を含む第三のターミネーターシグナルであって、Yが少なくとも8ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であって、かつ少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも60%のG/C含量を有し、
Xが3から9ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であり、かつ、
ZがYに対して少なくとも70%相補性を有するヌクレオチド配列であり、
Zの該相補的ヌクレオチドはYのヌクレオチドと塩基対形成し、かつ、XはYまたはZとの塩基対形成が無い(またX内でも内部的にそうではない)ループである、第三のターミネーターシグナル;第一、第二および第三のターミネーターは、第一、第二および第三の終結シグナルによって協調終結(concerted termination)を提供するよう、最大で1000ヌクレオチド離れている。第一、第二または第三のターミネーターのY、X、およびZならびにクラスII終結シグナルのコンセンサスおよびT−リッチ配列は、上述のように独立して選択できる。終結シグナルは、任意の順番または上記のような順番とすることができる。クラスII終結シグナルは、上記またはさらなるヘアピン終結シグナルの一つに隣接することができる。
好ましくは、本発明のポリヌクレオチドは、容易な取り扱いに適した形態で、例えば限定された長さで提供される。それゆえ、ポリヌクレオチドは、ゲノム配列または大きなゲノム断片を除いてもよい。好ましい実施形態では、ポリヌクレオチドは、最大で30,000 nts(ヌクレオチド)、最大で25,000 nts、最大で20,000 nts、最大で15,000 nts、最大で12,500 nts、最大で10,000 nts、最大で9,000 nts、最大で8,000 nts、最大で7,000 nts、最大で6,000 ntsを含む。
好ましくは、本発明のポリヌクレオチドは、前記転写終結シグナルに挟まれた一以上の制限部位および/もしくは転写終結シグナルの上流のクローニングサイト、または転写終結シグナルの上流のコード配列(CDS)を含み、好ましくはさらにプロモーターに作動可能に連結される。かかるポリヌクレオチドは、作動可能に連結されたCDSの転写の間、機能的に高い転写率を可能にする。選択されたCDSは、ポリヌクレオチド分子上の制限部位を提供することにより挿入できる。本発明のターミネーターは、(コード配列が挿入され得る)マルチクローニングサイトの転写産物の終結のために、作動可能に位置され得る。用語「マルチクローニングサイト」は、制限酵素のための少なくとも2部位を含む部位を指すが、好ましくは、それは様々な制限酵素のための多数の部位を含む。
プロモーターは転写を開始するために用いることができる。好ましくは、T7 RNAポリメラーゼが用いられる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、その5’末端および/または3’末端で、エンドヌクレアーゼ制限部位に挟まれている。末端制限部位は、ベクターまたは発現カセットなどの他の核酸分子内への組み込みのため、本発明のポリペプチドの取り扱いを容易にする。
本発明のターミネーター配列は、T7 RNAポリメラーゼと共に、特に良く機能する。好ましい実施形態では、新たなターミネーターを有する本発明のポリヌクレオチドは、T7ターミネーターを含む任意のポリヌクレオチドまたはベクターから、本発明のターミネーター配列でT7ターミネーターを置き換えることにより、得ることができる。
T7ターミネーターはバクテリオファージT7のゲノム内にその起源を有し、プラスミドベクターpET30などの人工ベクターにおいて、広く用いられてきた。市販のpET30aベクター(Novagen、Merck kgaA、HE、Germany;図1;配列番号1、逆相補配列:配列番号2)において、T7ターミネーターDNA配列(配列番号3)は、逆相補配列(配列番号2)の位置5345から5417に見られる。T7ターミネーターは、さらに、例を挙げると、ベクターpIGDMCT7RS(NCBIデータベースDQ485721.1)、pLM99(NCBIデータベースAF308739.1)、pLM100(NCBIデータベースAF308740.1)、pLM101(NCBIデータベースAF308741.1)、pXZ240(NCBIデータベースAF316555.1)、pJH391(NCBIデータベースAF316554.1)、pJH370(NCBIデータベースAF316553)、pT7RS(NCBIデータベースAY923866.1)、pLM3(NCBIデータベースAF179892.1)、pLS13(NCBIデータベースAF169190.1)、pLS3(NCBIデータベースAF169189.1)、pZH3(NCBIデータベースAF168612)、pBIT(NCBIデータベースJF275063.1)、pNit::ET(NCBIデータベースGU459073.1)、pYUBDuet(NCBIデータベースHQ247815.1)、pYUB28b(NCBIデータベースHQ247814.1)、pSB4316(NCBIデータベースHQ343239.1)において、用いられる。T7ターミネーターを有するさらなるベクターは、NCBIデータベース、EMBL−EBIデータベース、DDBJデータバンクなどの、入手可能なヌクレオチド配列データベースにおけるBLAST検索によって、容易に決定できる。BLASTプログラムは、NCBIおよびその他の供給元から公的に入手可能である(BLAST Manual、Altschul、S.、et al.、NCBI NLM NIH Bethesda、Md.20894; Altschul、S.、et al.、J.Mol.Biol.215:403−410(1990)。機能的に同等なターミネーターは、配列番号3と少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有するさらなる配列において見出され得る。任意のかかる配列およびベクターは、本発明の転写終結シグナルによって転写終結を改変するために用いることができる。
本発明のさらなる実施形態では、上で定義される核酸の配列、および遺伝子産物の配列(すなわちコード配列、ORF)を含む発現カセットであって、本発明のターミネーター配列が遺伝子産物の転写終結のために作動可能に配置される、発現カセットが提供される。発現カセットはまた、単離および/または精製され得る。かかる発現カセットは、例えば、宿主細胞のトランスフェクションのために好適なベクターにおいて提供される。また、発現カセットは、宿主細胞の改変されたゲノムにおいて提供され得る。ゲノムは、例えば、組換え技術、特にノックイン法または人工染色体を提供することにより、改変できる。
好ましくは、本発明の発現カセットは、容易な取り扱いに適した形態で、例えば限定された長さで提供される。それゆえ、発現カセットは、ゲノム配列または大きなゲノム断片を除いてもよい。好ましい実施形態では、発現カセットは、最大で30,000 nts(ヌクレオチド)、最大で25,000 nts、最大で20,000 nts、最大で15,000 nts、最大で12,500 nts、最大で10,000 nts、最大で9,000 nts、最大で8,000 nts、最大で7,000 nts、最大で6,000 ntsを含む。好ましい実施形態では、発現カセットは、その5’末端および/または3’末端で、エンドヌクレアーゼ制限部位に挟まれている。
さらなる好ましい実施形態では、発現カセットは、翻訳されず、転写と翻訳の間で切除される、イントロン配列を含む。かかるイントロン配列は、例えば、プロモーター配列とコード配列の開始コドンの間、またはコード配列内に位置され得る。かかるイントロン配列が、転写プロセシングとの機構的関係に起因して、遺伝子発現を増大できることが見出されている。
本発明のさらなる態様において、上で定義される核酸分子の配列を含むベクターが提供される。ベクターはまた、上述した発現カセットを含んでもよい。それは単離および/または精製され得る。好ましくは、ベクターは発現ベクターまたはファージなどの生物学的に機能的なベクターである。
遺伝子転写終結活性を有する本発明の配列は、好ましくはエンドヌクレアーゼ部位に挟まれて位置される。ターミネーター活性を有する本発明の配列に作動可能に連結されたこのベクターへの、コード配列のクローニングを容易にする。プラスミドは、以下の一以上を含んでもよい:原核生物複製起点、マーカーもしくは抗生物質耐性遺伝子配列、加えて、本発明のターミネーターと作動可能に配置される、マルチクローニングサイトまたはコード配列。
さらなる実施形態では、本発明は、上で定義されるポリヌクレオチドまたは発現カセットまたはベクターを含む細胞に関する。好ましい実施形態では、ポリヌクレオチド、発現カセットまたはベクターは、前記細胞のゲノム内に安定的にインテグレートされる。あるいは、これらのポリヌクレオチド、発現カセットまたはベクターを一過性に組み込むことも可能である。
細胞は本発明のポリヌクレオチドから遺伝子産物を発現するのに適しているだろう。遺伝子産物の発現に適した宿主細胞は、例えば、原核生物、真核生物、酵母、とりわけ、微生物細胞、哺乳動物細胞、鳥類細胞、植物細胞または昆虫細胞である。好ましい実施形態では、細胞は、極めて精密であり、かつ、ヘアピンターミネーター(クラスIターミネーター)−野生型かつニックの入った形態のT7ポリメラーゼ−を、かつ任意にクラスIIターミネーター−野生型であるがニックの入った形態でないT7ポリメラーゼ−も認識できるT7プロモーター配列を伴う、DNA配列を正確に転写する、T7 RNAポリメラーゼを発現する。大腸菌(E.coli)RNAポリメラーゼと比べ、T7ポリメラーゼは最大5転写する。T7 RNAポリメラーゼの発現は、内因性(例えば宿主細胞、特に宿主細胞のゲノムによってコードされるT7ポリメラーゼ)、あるいは人工的なトランスフェクションによって(例えばベクター上にあるが、ゲノムにインテグレートされてもよいT7ポリメラーゼ)、のいずれかとすることができる。好ましくは、細胞は原核生物、とりわけ大腸菌(E.coli)である。好ましくは、細胞は微生物細胞培養物であり、好ましくは大腸菌(E.coli)の非病原性株、例えば株MG1655、BL21、HMS174または前記株のDE3溶原菌のような、非病原性培養物である。
さらなる態様において、本発明のポリヌクレオチド、発現カセットまたはベクターは、遺伝子産物の発現(または産生)のために用いることができる。一つの例は、本発明の発現カセットにおいて単離された細胞または細胞株をトランスフェクトすること、および遺伝子産物を発現することを含み、任意に発現された遺伝子産物を単離することをさらに含む、遺伝子産物、好ましくはタンパク質を発現する方法である。遺伝子産物を産生する本発明の方法は、上述した細胞を提供すること、および前記遺伝子の発現を可能にする条件下で前記細胞を培養することを含んでもよい。
あるいは、遺伝子産物は、人工/細胞外翻訳系で、エクスビボで発現できる。
本発明は、本発明のターミネーターシグナルを有するポリヌクレオチド、および前記転写終結シグナルの上流のコード配列を提供すること、ならびに前記ポリヌクレオチドをT7 RNAポリメラーゼと接触させることを含む、mRNAを産生するインビトロの方法を提供する。インビトロ転写は、プロモーターを含有する、ポリヌクレオチド鋳型、通常DNA、リボヌクレオチド三リン酸、マグネシウムイオンを含むバッファー系、および適当なファージRNAポリメラーゼ、好ましくはT7 RNAポリメラーゼを必要とする。産生されたmRNAは、次いで、解析的使用のため、および/または遺伝子産物を発現するために用いることができる。最も頻繁に用いられる無細胞翻訳系は、ウサギ網状赤血球、小麦胚芽および大腸菌(Escherichia coli)由来の抽出物からなる。全て、外因性RNAの翻訳に必要とされる全ての高分子成分(70Sまたは80Sリボソーム、tRNAs、アミノアシル−tRNAシンテターゼ、開始、伸長および終結因子等)を含有する粗抽出物として、調製される。効率のよい翻訳を確実にするために、各抽出物は、アミノ酸、エネルギー源(ATP、GTP)、エネルギー再生系(真核細胞系のためにクレアチンリン酸およびクレアチンホスホキナーゼ、ならびに大腸菌(E.coli)溶解物のためにピルビン酸およびピルビン酸キナーゼ)、および当技術分野で知られている他の補因子(cofactor)が、添加されるだろう。
本発明のさらなる態様は、ターミネーター活性を有する本発明の配列の一つに相補的な配列を含むポリヌクレオチド分子に関する。かかる相補的な分子は、通常、いわゆる「アンチ−ターミネーター」として、本発明の配列に結合する。アンチ−ターミネーターは、例えば、Sooncheolら(Nucleic Acids Research 38(18)、2010:6045−6053)に記載される。相補的な分子は、好ましくは、本発明のターミネーターのステム−ループ配列に結合し、かつステム配列の少なくとも一部に競合的に結合することにより、適切なステム形成を阻むまたは妨げる。好ましくは、アンチ−ターミネーターは、ステム配列の3、4、5、6、7以上の核酸に相補的である。かかる相補配列を用いて、例えば、例えば遺伝子の発現を制御するために、ターミネーター活性を有する本発明の配列に安定的に結合することができる。かかる相補配列の安定した結合で、終結は増強または抑制され、特に抑制される。相補配列を有する核酸分子は、任意のヌクレオチドタイプ、好ましくはターミネーター活性を有する本発明の配列を有するDNA分子に強く結合するヌクレオチドタイプであってもよい。高い結合活性を有するかかる核酸タイプは、例えば、RNA、LNA(ロックト核酸(locked nucleic acids))、またはPNA(ペプチド核酸)である。
本発明は、さらに、上述した相補配列を有する核酸分子を、発現カセットと細胞に投与することを含む、上で定義される発現カセットによる、遺伝子産物の終結および/または発現を制御する方法に関する。
本発明は、以下の図および実施例によってさらに説明されるが、本発明のこれらの例示的な実施形態に限定されるものではない。
実施例:
1.材料および方法
1.1:菌株
クローニング法のため、大腸菌(E.coli)DH5α株(F− endA1 glnV44 thi−1 recA1 relA1 gyrA96 deoR nupG Φ80dlacZΔM15 Δ(lacZYA−argF)U169、hsdR17(rK− mK+)、λ−)が宿主として用いられ、大腸菌(E.coli)HMS174(DE3)(F− recA1 hsdR(rK12− mK12+)(DE3)(Rif R))(Novagen、Merck KgaA、HE、ドイツ)が産生株として用いられた。従って、T7ポリメラーゼの発現は、IPTGの添加により誘導できる。
1.2:プラスミド
標準的な発現ベクターとして、pET30a(Novagen、Merck KgaA、HE、ドイツ;図1;配列番号1および2を参照のこと)が利用された。該プラスミドは、カナマイシン耐性遺伝子およびリプレッサー分子LacIをコードする推定遺伝子を保有する。外来DNAのクローニングのため、マルチクローニングサイト(MCS)内の多数の制限部位が利用できる。挿入された遺伝子は、誘導性T7/lacハイブリッドプロモーターの制御下にあり、T7ポリメラーゼに介在される転写は、3’末端の単一のT7終結シグナルによって止められる。複製は、ColE1様複製起点を介して介在される。
1.3:発現遺伝子
組換えヒトスーパーオキシドジスムターゼ(rhSOD)がモデルタンパク質として選択された。今まで、大腸菌(E.coli)内で発現された場合、hSODの非毒性効果を観察することができた、それゆえ、外来遺伝子の発現によって引き起こされる、宿主の細胞負担(cellular burden)は、もっぱら産生率(qP)のレベルによって引き起こされる。
その活性中心におけるCu/Znと複合体形成したhSODは、酸素にさらされるほとんど全ての細胞の細胞質において、抗酸化防御に参加する。とりわけ、赤血球と肝細胞は、2つの酸素ラジカルの減少を触媒し、過酸化水素の形成をもたらす、高レベルの活性hSOD酵素を有する。該タンパク質は32kDaの分子量を有し、その活性形態において、該酵素は、その活性中心において一つのZnと一つのCu原子と複合体形成した、2つの非共有結合した同一のサブユニット(それぞれ153AA)からなる。
hSODをコードする遺伝子が、制限酵素XbaIおよびBamHIの認識配列をそれらの5’末端に含有するプライマー(プライマーGTCGTCGGATCCTTACTATTGGGCGATCCC(配列番号5)およびGTCGTCTCTAGAAATAATTTTGTTTAAC(配列番号6))を用いて増幅された。結果として生じる断片が、hSODをオリジナルのpET30aベクターへクローニングするために用いられた。
1.4:クローニング方法
クローニング法は(Sambrook and Russel、2001)に従って行った。制限酵素および他の修飾酵素は、New England Biolabs(Ipswich、MA、米国)から購入し、製造業者の推奨に従って適用した。全てのプライマーおよび合成オリゴヌクレオチドは、Sigma Aldrich(St.Louis、MO、米国)から入手した。
プライマー設計、インシリコクローニング、配列解析および二次構造予測は、CLC main workbenchを用いて行った。適切な配列領域にわたるPCRを用いて、断片の正しい挿入を確認し、アガロースゲル電気泳動を介して、増幅産物を長さに関して検証した。正しいクローニング産物を有するクローンを液体培地で増幅し、標準的なプラスミド調製キット(PromegaからのWizard Plus SV Minipreps DNA 精製システム、Cat.No:A1330)を用いて各プラスミドを単離した。精製したプラスミドを配列解析のためAGOWA(AGOWA genomics GmbH、B、ドイツ)に送付した。サンプルの大部分が顕著な二次構造を示す配列領域を含有しているという事実によって、配列解析は、シングルエコノミーリードモードで変性試薬の存在下、行われた。
1.5:内因性ターミネーター欠失
プラスミドコピー数制御の調節解除(deregulation)での、不十分な転写終結の役割を調査するために、内因性T7ターミネーターを欠くpET30a誘導体を産生した。開始材料として、モデルタンパク質としてクローニングされた(XbaI/BamHI)hSODを有するオリジナルのpET30プラスミドを用いた。そのプラスミドはプラスミド_Iと命名され、全ての続く解析のための参照プラスミドとして機能する。
オリジナルのpET30a上の内因性T7終結シグナルを欠失するために、インバースPCRが設計された。プライマーが、それらの3’末端に従って、反対方向にDNA鋳型に結合するように構築された(プライマーTTAGCAGCCGGATCTCAGTGGTGG(配列番号7)およびGGAGGAACTATATCCGGATTGGCG(配列番号8)。それゆえ、二つのプライマー結合部位の間に存在するDNA配列は欠失される。再び、KOD Hifi ポリメラーゼ(Merck KgaA、HE、ドイツ)を、PCR反応のために選択した。結果として生じるプラスミドはPlasmid_Jと命名され、鋳型として用いられたプラスミド_Iよりも104bp短い。終結シグナルの正しい欠失を、適切な領域を配列解析することにより確認した。
1.6:インビトロ転写
変化した終結シグナルを有する数種のpET30a誘導体の構築の後、T7ポリメラーゼ介在転写を終結させるそれらの個々の能力を、Epicentre Biotechnologies(Biozym Sci−entific GmbH、NI、ドイツ)からのAmpliScribe(商標) T7 High Yield Transcriptionキットを用いて検証した。
鋳型として、QIAfil−ter Plasmid Midiキットで精製された純粋プラスミド溶液が用いられた。使用前に、鋳型はSmaIでの制限により線状化された。その制限部位は全ての鋳型に存在し、消化後、平滑末端を有する二本鎖DNAが産生される。SmaI部位は、最長の可能性のある転写産物を示す、pET30aのMCSの約1000bp下流に位置する。終結産物およびリードスルー産物は、約1000bpの大きさの点で異なり、電気泳動による分離の後、区別できた。約2μgの異なる鋳型DNAを、SmaIで3時間、25℃で消化した。続いて、制限酵素は65℃で20分間のインキュベーションにより不活化され、反応混合液はWizard SV Gel and PCR Clean−Upシステムで精製された。約200ngの線状化精製プラスミドDNAを含有する容量を、続くインビトロ転写のために用いた。
転写法(transcription approach)全体は、37℃で2h−3hの間インキュベートした。続いて、任意のDnase I消化を実行し、鋳型DNAを取り除いた。その目的のため、1μlのRnas−フリーDnase I溶液(1MBU/μl)をインビトロ転写反応混合液に添加して、さらなる15分間、37℃で消化を行った。Dnase Iの1分子生物学的単位(Molecular Biology Unit(MBU))は、1μgのpUC19DNAを37℃で10分間にオリゴヌクレオチドに分解するのに十分な酵素の量として定義される。
1.7:転写解析および終結効率(TE)の計算
精製したRNAサンプルを、それらの大きさに従って解析し、Agilent Technologies(Santa Clara、CA、米国)から提供されたバイオアナライザー2100システムを用いて定量した。原理的には、該システムは伝統的な電気泳動に基づくが、支持材としての機能を果たすガラスにマイクロチャンネルをエッチングすることにより、チップ形態へ移されている。チップ形態は、分離時間ならびにサンプルおよび試薬消費を劇的に減少させる。詳細には、25ng−250ngのRNAを含むほんの1μlが、単回の測定に十分である。該システムは、デジタル形式で自動化された大きさ情報および定量情報を提供する。
分離のため、マイクロチャンネルはふるいポリマーおよび蛍光色素で満たされる。サンプルをロードした後、電圧がかけられ、それゆえ、核酸のような荷電した生体分子は正に帯電したポールへ移動する。一定の質量電荷比(mass−to−charge ratio)およびふるいポリマーマトリックスの存在のため、分子は大きさによって分離される。小さいフラグメントは、大きいものよりもより速く移動する。色素分子はDNAまたはRNA鎖にインターカレートし、それらの複合体はレーザー誘起蛍光測定により検出される。データはゲル様画像(バンド)またはエレクトロフェログラム(ピーク)に移される。既知の大きさの成分を含むラダーを活用して、移動時間対フラグメントサイズの標準曲線をプロットする。サンプル中の各フラグメントに関して測定された移動時間から、大きさが算出される。ラダーはまた、異なる濃度の成分を含み、それゆえ、ラダー領域の計算、および続くサンプルピーク領域との比較により、定量を行うことができる(http://www.chem.agilent.com)。
インビトロ転写されたRNAの分離および定量のため、Agilent RNA 6000 Nano LabChip(登録商標)キットが用いられた。サンプル調製および解析は、製造業者の推奨に従って行った。全ての測定について、200ngのRNAを含む約1μlが、チップにロードされた。各インビトロ転写アッセイを、一つのチップに少なくとも3サンプルロードすることにより、検証した。さらに一つの転写アッセイに由来するRNAサンプルの大部分を、二つの異なるチップにロードすることにより、検証した。両方の場合で、計算された終結効率(TE)の標準偏差は非常に小さな範囲で異なり、±0.4は決して超えなかった。稀に、異なるインビトロ転写アッセイからもTEが計算され、それによって、計算されたTEが約±1%のより高い標準偏差値を示した。
大きさに従ったRNA転写産物の分離後、各RNAフラクションの量が、領域ピークの計算、および続くラダー領域との比較により評価された。終結効率は、終結した転写産物と、終結した転写産物とリードスルー転写産物の合計の間でのモル比として計算され、少なくとも三回の測定の平均値が採られた。
1.8:細胞培養条件
全ての発酵は流加(fed batch)モードで実行した。調節された生育速度、インデューサーの量、および培地供給速度が、誘導方法に供された(工程設計および組換えタンパク質の誘導を参照のこと)。接種材料として、1ml(OD600)の融解したマスター細胞バンク(MCB)バイアルを、無菌状態で注入した。発酵工程は、以下の工程パラメータとの下で実行され、示された装置で観察された。
標準的な制御ユニット(Siemens PS7、Intellution iFIX)を備える、MBR Bioreactor AG(Wetzikon、スイス)からの20Lバイオリアクター(14L実容量、4Lバッチ容量)を用いた。温度は37℃±0.5℃に維持され、Pt100温度プローブで測定された。pHは25%アンモニア溶液(ACROS Organics)の添加によりpH7.0±0.05で維持された。キャリブレーションのため、市販バッファー溶液が適用された。泡立ちは、1リットル培地当たり0.5ml アンチフォーム(PPG 2000 Sigma Aldrich)の添加により抑制された。
pO測定はクラークプローブで実施した。キャリブレーションは、培養条件(37°および800rpm)で、バイオリアクターの殺菌の後、行った。0%飽和のための点を設定するために、NガスまたはOシミュレーター(Mettler Toledo)が用いられた。100%飽和を与えるために、圧縮された空気が流された(12l/分)。発酵の間、pOは、撹拌速度の調節により、30%以上に一定に保持された。1200rpmの最大撹拌速度に達した時、流入空気(inlet air)は段階的に増加された。
所望の値で生育率を維持するために、指数関数的プロフィールの後、バイオリアクターへ基質が添加された。供給制御は、基質タンクの重量喪失の積載フィードバック制御で、指数関数的生育アルゴリズムに従ってポンプ速度を増加することにより達成された。全ての化学物質は、特に断りのない限りMerckから購入した。これらの培養のために用いられた最少培地は、1リットル当たり3g KHPOおよび6g KHPO*3HOを含有した。これらの濃度は、必要とされるバッファー能力を提供し、その上P−またはK−源としての機能を果たす。他の成分は、生産されるグラム細胞乾燥質量(CDM)に関して加えられた:Na−クエン酸塩*2HO(ACROS organics) 0.25g、MgSO*7HO 0.10g、CaCl*2HO 0.02g、微量元素溶液50μlおよびグルコース*HO 3g。組換えhSODとの培養のため微量元素溶液に加え、1g CDM当たり4mg CuCl*2HOおよび3.2mg ZnSO*7HOが添加された。微量元素溶液:5N HCl(g*l−1)に調製される:FeSO*7HO 40.0、MnSO*HO 10.0、AlCl*6HO 10.0、CoCl(Fluka)4.0、ZnSO*7HO 2.0、NaMoO*2HO 2.0、CuCl*2HO 1.0、HBO 0.50。
供給段階のための最少培地は、合計で386gのCDM(30 g/L)を達成するように設計された。グルコースを除く、流加培地に必要とされる全ての成分は、約5000gに等しい容量で混合された。グルコースは、3500gに等しい容量で別に溶解された。両方の溶液は、独立してオートクレーブされ、冷却後に混ぜ合わされた。pH制御のための25%アンモニア溶液を混合することにより、窒素レベルは固定された。全てを混ぜ合わせた後、実量が決定され、自動供給制御アルゴリズムのためのインプットとしての機能を果たした。集団の最初の生育を加速するために、複合体成分(complex component)酵母抽出物(0.15g/g CDM)が、バッチ培地への最少培地へ添加され、さらに、2.5g/L 塩化アンモニウム(NHClおよび2.1g/L硫酸アンモニウム((NHSO)が、バッチ段階におけるN制限(N−limitation)を避けるために添加された。最小バッチ培地は、22.5g CDM(5.62g/l)に達すると計算され、かつ、成分は3800gに等しい容量に溶解された。グルコースは、再び300gに等しい容量で別に溶解された。オートクレーブ後、両方の溶液を無菌的に混合した。
組換えタンパク質産生の誘導の前に、流加条件に適応できるようにするために、細胞は非誘導状態で生育された。一回の倍加時間(約7h)の後、細胞はIPTG(イロプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)で誘導された。誘導のため、二つの異なる方法が実施された。第一の実験計画では、細胞は高濃縮IPTGの単一添加により、完全に誘導された。必要量のインデューサーを計算して、20μmol/CDM(細胞乾燥質量)のIPTG濃度で、工程の終わりに386gの予測CDMを供給した。その古典的パルス誘導は、IPTG溶液を、無菌的に、無菌フィルタを備える注射器でバイオリアクターへ直接添加することにより達成される。
第二の誘導方法は、Striednerら(Striedner et al.、2003、Biotechnol Prog 19: 1427−1432)に従って実施された。生産されたバイオマスへの、一定比で限定された量のインデューサーの添加は、組換えタンパク質を産生する細胞の能力の最適利用(optimal exploitation)を可能にする。IPTG濃度は、0.9μmol/g CDMの生理学的に許容できるレベルで維持される(限定誘導条件)。 古典的方法でのように、細胞はまた、一世代後に、注射器を用いることによるIPTGの外部添加により、誘導される。後で、IPTGは指数関数的レジーム(exponential regime)に従って供給される。その目的のため、供給培地の流入のために実施されたその配置と同様に、外部インデューサー供給が実施された。インデューサー溶液を含有するタンクが平衡に置かれ、細菌の指数関数的生育に従って、IPTGが添加された。インデューサーの流入は、ポンプ速度を調節することにより制御され、自動化された流入アルゴリズムにより重量喪失に起因して制御された。バイオマスの増加は、インデューサーの指数関数的供給により上昇し、全体の工程にわたってバイオマスに対するインデューサーの一定比をもたらす。IPTG濃度の減少は、転写速度を減少させ、それゆえ、外来遺伝子の転写は、より許容できるレベルに減少し、より高い生産物収量となる。
1.9:工程モニタリング
発酵培養液の濁度を決するために、サンプルが、波長λ=600nmで、分光測光計(Amersham Biosciences Ultrospec 500 pro、Pharmacia Biotech Ultrospec 1000E)で測定された。比例領域(linear range)(OD600=0.1−0.6)内の測定を確保するために、サンプルはRO−H2Oで希釈され、水もまた参照として用いられた。
細胞乾燥重量(CDW)を決定するため、10mlの細胞材料がバイオリアクターから無菌的に採取され、10分間、5000rpmで遠心分離された(Heraeus Laborfuge 200)。上清を捨て、細胞を5ml RO−H2Oに再懸濁し、再び遠心分離した。過剰な水を除去した後、細胞を再びRO−H2Oに再懸濁し、予め重さを測定したビーカーへ直ちに移した。全てのビーカーを24時間、105℃で乾燥させ、再度重さを測定した。バイオリアクターにおける総CDMの決定のため、サンプルが採取された時点での総培養液容量を計算しなければならない。バイオリアクターにおける総容量は、バッチ容量、供給培地の消費量、および25%アンモニア溶液の流入を要約することにより提供される。その値は、採取されたサンプルの容量を引くことにより減少され、異なる時点でバイオリアクターに存在する容量と等しい。総容量と決定されたCDM/mlをかけることで、サンプル採取時点でのバイオリアクターにおける総CDMが示される。
プラスミド安定性を決定するために、細胞が、カナマイシン存在下および非存在下で寒天プレート状に播種された。そのため、1mlの適切な細胞希釈系列がペトリ皿上にピペットで移され、55℃に予め温められた栄養寒天と混合された。その発明者に従って、その方法はコッホプレーティングと名付けられる。
細菌細胞内のプラスミド分子の数を決定するため、染色体DNAに対するプラスミドDNA(pDNA)の割合が計算された。標準的なプラスミド抽出キット(PromegaからのWizard Plus SV Minipreps DNA 精製システム、Cat.No:A1330)を用いることにより、pDNAは単離された。総DNAの測定は、リゾチームおよびSDSによる細胞の破壊の後、Hochst色素H33258で蛍光定量的に行った。精製の間のpDNAの喪失を決定するため、精製の前に、内部標準(pUC19)の添加によりサンプルは処理された。精製後、プラスミドDNAの量およびその完全性(integrity)が、キャピラリー電気泳動(Agilent 2100 Bioanalyzer)を介して解析された。
誘導された細胞は、組換えタンパク質を産生することにより高度にストレスを与えられ、それゆえ、コロニーを形成するために増殖することができない。抗生物質耐性の数を検査するため、非産生細胞、サンプルが、カナマイシンおよびIPTGを含有する寒天プレート上に注がれた。1mlのサンプルが、生理活性生理食塩水(0.9%)に、10−9の最終希釈へ、希釈された。それぞれの10−7から10−9希釈段階から、カナマイシン無しで、およびカナマイシンの存在下(100mg/l)で、予め温められた栄養培地寒天と共に1mlが3回プレーティングされた。10−3から10−5希釈から、カナマイシン(100mg/l)およびIPTG(200mg/l)を含有する栄養培地寒天プレート上に1mlが注がれた。プレートを24時間、37℃でインキュベートし、コロニー形成ユニット(CFU)を計測した。
細胞質における可溶性hSODの量を定量するため、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)が実施された。その目的のため、hSODは、適切なマイクロタイタープレートの表面に同様に固定される、一次SOD抗体に結合することにより固定化される。過剰な試薬を洗浄した後、二次モノクローナル抗体が添加される。その二次抗体は、hSODに結合した一次抗体を含有する複合体を認識し、かつ、黄色がかった生産物の形成をもたらす、色素生成物質p−ニトロフェニルリン酸を利用することができる、アルカリフォスファターゼに結合している。有色基質の量は、光度計を用いて405nmで測定でき、それゆえ、放射光線の強度は結合したhSODの量と相関し、かつ産生された組換えタンパク質の定量を可能にする。
実施例1:ターミネーター設計およびインビトロ試験
4つの異なるターミネーター(図3を参照のこと)が、T7ターミネーターをコードする、産生プラスミドpET30a(Plasmid_I)の上流にクローニングされた(SalI/HindIII)。挿入されたターミネーター配列:
VSV: TCGACCTAGCATATCCATGATATCTGTTAGTTTTTTTCCTGAAAGA(配列番号16)
T3: TCGACCTAGCATAAACCCCTTGGGTTCCCTCTTTAGGAGTCTGAGGGGTTTTTT−GCTGAAAGA(配列番号17)
T7: TCGACCTAGCATAACCCCTTGGGGCCTCTAAACGGGTCTTGAGGGGTTTTTTGCTGAAAGA(配列番号18)
T7UUCG: TCGACCTAGCATAACCCCGCGGGGCCTCTTCGGGGGTCTCGCGGGGTTTTTT−GCTGAAAGA(配列番号19)
それらのターミネーターの3つは典型的な内因性ターミネーターである。T7ターミネーターは良く知られたヘアピン終結シグナルであり、オリジナルのpET30aでも用いられている。T3はバクテリオファージT3に由来し、その構造はT7のものと類似している。第三のターミネーターはオリジナルのT7とほとんど同一であるが、数個の変異を保有している(配列番号4)。最初にヘキサループが以上に安定したテトラループUUCGに交換されている(そのため「T7UUCG」なる名前が本明細書で用いられる)、かつステム構造内の二つの弱いG−U塩基対が、より安定したG−C塩基対に交換されている(図4を参照のこと)。
オリジナルのT7ターミネーターはステム構造内により弱く結合したG−U塩基対を含有するが、それらのいくつかは、T7ポリメラーゼとの重要な相互作用部位として記載されていた(Schwartz et al.、2003)。驚いたことに、A−TおよびG−C相補性を増大させることで、終結効率が増大した。最後の終結シグナルは、水疱性口内炎ウイルス(VSV)に由来する、既知のクラスII終結シグナルである。全体で、4つの新規なプラスミド、すなわちプラスミド_V、プラスミド_ K、プラスミド_Lおよびプラスミド_Mが生成され(表1を参照のこと)、全て、T7終結シグナルをコードする内因性プラスミドに加え、第二の終結シグナウルを含有する。単独で存在する場合の4つのターミネーターのTEを得るため、オリジナルのpET30aの内因性T7ターミネーターが削除され(プラスミド_J)、4つのインサートがまた結果として生じるプラスミドのMCS内にクローニングされた(SalI/HindIII)。それゆえ、4つの推定プラスミド(プラスミド_S、プラスミド_R、プラスミド_Q、およびプラスミド_O)が生成され(表1を参照のこと)、これらのプラスミドはクローニングされたhSOD遺伝子の3’末端で単一の終結シグナルを含有するだけである。
その線状化形態におけるこれらのプラスミドの全てが、インビトロ転写アッセイにおける鋳型として用いられた。終結効率を計算するために、精製されたRNAフラクションをバイオアナライザー2100システムで解析した。用いられたシステムから得られた結果を検証するため、T7ターミネーターを含有するそのオリジナルの終結領域を備えるプラスミド_Iが、インビトロ転写に用いられ、またバイオアナライザーシステムを用いて続く電気泳動解析が実行された。RNA純度が計算されたTEに影響を及ぼす最も重要な要因であると判明した。その目的のため、Wizard Plus SV Miniprepsから得られた十分に純粋でないプラスミド調製を、QIAGENからのQIAfilter Plasmid Midiキットを利用することに由来する、より純粋なプラスミドフラクションで置き換えた。第二の作用として、RNA沈殿の間に95%のエタノールを用いるさらなる精製ステップが実行された。それらの二つの段階から、バイオアナライザーシステムでRNA転写産物を解析した場合、極めてはっきりとしたピークが得られた。それらの電気泳動図に基づいて計算されたTEは、プラスミド_Iに存在するT7ターミネーターで、79.45%±0.35のTEを示した。それゆえ、その値は、文献中に言及されたT7ターミネーターに関する80%のTEとよく適合する。
最初の8つの生成されたプラスミドの解析から、いくつかの非常に興味深く新規な特徴が明らかとなった。個々の計算された終結効率は、表1に要約される。
プラスミド_Vで達成されるような、第二の同一のT7終結シグナルの導入は、TEの顕著な増大は引き起こさない。Jengら(上記)で記載されるように、導入された終結シグナルは、オリジナルのターミネーターでの終結事象の二分(bisection)を引き起こすだけである。同一の結果が、高度に類似したT3ターミネーターがクローニングされた場合に観察できた(プラスミド_K)。驚いたことに、プラスミド_Lで実施される、T7UUCGと記される人工終結シグナルと内因性T7終結シグナルの同時存在は、93.2%の値まで、全体の終結効率を劇的に増大する。それゆえ、ステムにおける相補性を増強するための調節された改変は、より高いTEのきっかけとなる。2つの異なるタイプのRho非依存性終結シグナルの組み合わせを保有する、プラスミド_Mにおいて、ほとんど同一の効果が観察できた。
Figure 0006125493
上述のように、4つの終結インサートが、個々のTEを決定するために、プラスミド_JのMCS内にクローニングされた。最初の見解では、テンプレートとしてこれらのプラスミドを利用するインビトロ転写から得られた結果(表1)は、多少驚くべきものであった。例えば、短縮されたプラスミド(プラスミド_S)のMCS内にクローニングされたT7ターミネーターは、48.08%のTEを示すだけである、一方、野生型プラスミド(プラスミド_I)における同一のシグナルは、およそ80%の計算されたTEを示す。それゆえ、同一のターミネーターが、実際の周辺の配列に依存して、転写を終結する著しく異なる能力を有する。その知見は、ほんのわずかの周辺ヌクレオチドの変化が、異なる終結シグナルのTEに劇的に影響を及ぼしうる、という観察と完全に適合する。異なるターミネーターが異なるクローニングベクターに存在する場合、包含する配列へのその依存は、計算されたTEの点での違いを説明できる。恐らく、それらのより小さなヘアピンは終結に役立ち、かつプラスミド_J誘導体中の減少した観察されたTEの理由である。表1に見られるように、プラスミド_JのMCSにクローニングされた全てのターミネーターが、80%未満のTEを示し、それゆえ、オリジナルのT7ターミネーターほど効率的ではない。終結効率に影響するかもしれない、104bp欠失におけるさらなる要素の存在が、一つの説明かもしれない。
実施例2:一時停止シグナルの導入
終結効率をさらに増大させるため、プラスミド_V、プラスミド_Kおよびプラスミド_Lの二つの内因性ターミネーターの間に一時停止シグナルT7−CJをクローニングした。挿入配列:
HindIII_T7−CJ: AGCTTTGTGTCCCTATCTGTTACAGTCTCCTGC(配列番号20
NotI_T7−CJ: GGCCGCAGGAGACTGTAACAGATAGGGACACAA(配列番号21)
その一時停止シグナルは、全ての既知のクラスII終結シグナルのコンセンサス配列を共有するが、3’末端でのウリジンの隣接するラン(adjacent run)を欠く。RNAポリメラーゼを一時停止させる配列が、終結が起こることができる猶予時間を大きくするので、より効率のよい終結に役立つかもしれないと仮定される。一方、下流に位置する一時停止シグナルの存在は、新たに合成されるヘアピン構造の核形成(nucleation)が起こることができる時間を大きくするので、ヘアピン構造のより効率のよい形成をもたらすことができるかもしれない。それゆえ、ヘアピン形成が、競合的DNA−RNAハイブリッド形成に比べ、好まれる。一方、終結配列の前の一時停止シグナルは、伸長RNAポリメラーゼの減速(deceleration)をもたらし、それゆえ、終結を増大できるかもしれない。表1に示されるように、一時停止シグナルは確かに、第一ターミネーターでTEを増強するが、一時停止シグナルを有さないターミネーターの組み合わせと比較して、1例(プラスミド_W)では全体の終結効率がわずかに増大され、残りの2例(プラスミド_Zおよびプラスミド_T)では減少さえする−しかし、天然のpET30 T7ターミネーターとの比較では、なお増大した。
実施例3:リボソーム終結シグナルのクローニング
T7UUCGおよびT7の組み合わせを含有するプラスミドで最も高いTEが測定されたので、このプラスミドがさらなるクローニング方法に採用された。rrnB遺伝子の3’末端に位置される、拡大された終結領域のターミネーター1(T1)は、クラスIおよびクラスII終結シグナルの両方を含む。それゆえ、rrnBT1の挿入は、クラスIIターミネーターを有するプラスミドを提供する。加えて、リボソームターミネーターが3’末端に存在する二次構造を増強するだろう。リボソームターミネーターは、最初に導入されたT7UUCGシグナルのすぐ続きに、プラスミド_LのMCS内にクローニングされた。クローニングのために用いられた制限部位は、HindIIIおよびNotIであった。配列:
NotI_rrnBT1: GGCCGCAGCGACAAACAACAGATAAAACGAAAGGCCCAG−TCTTTCGACTGAGCCTTTCGTTTTATTTGA(配列番号22)
HindIII_rrnBT1: AGCTTCAAATAAAACGAAAGGCTCAGTCGAAA−GACTGGGCCTTTCGTTTTATCTGTTGTTTGTCGCTGC(配列番号23)
改変されたプラスミドの生成後、インビトロ転写アッセイが実行され、転写産物がバイオアナライザーシステムを用いて再び分離された。表1に見られるように、さらなる終結シグナルは再び、全体のTEのさらなる増大をもたらす(第一ターミネーター(T7UUCG)で60% TE、第二ターミネーター(rrnBT1)で32% TEおよび第三ターミネーター(天然のT7)で7% TE)。計算された全体のTEは、今や、約98.5%の値を示し、この拡大された終結領域が終結反応の二分(bisection)に起因する全体の減少無しで、非常に効率の良い転写終結を有することを明らかにする。リードスルー転写産物は劇的に減少し、転写を停止するその著しい可能性により、この終結シグナルはZENITと命名され、そのシグナルを保有するpET30a誘導体はptZENITと命名された。
実施例4:組換えタンパク質合成の完全誘導の間の宿主細胞反応でのT7ターミネーター欠失の効果を特徴付けるための、プラスミド−Jおよびプラスミド_Iを有する大腸菌(E.coli)HMS174(DE3)の流加培養。
例1.5に記載するように、モデルタンパク質としてhSODを有するpETプラスミドを、内因性ターミネーター(プラスミド_I)およびターミネーターの104bp欠失(プラスミド_J)と、生成した。プラスミドを大腸菌(E.coli)HMS174(DE3)細胞内に形質転換し、発酵過程の間のそれらの挙動を調査した。供給相における一世代の後、細胞を高用量のインデューサーIPTG(工程の最後に、計算された量のCDMに従って、20μmol/g CDM)によって完全に誘導した。
図2に表されるように、転写T7ターミネーターの欠如は、宿主の生育挙動において、生産物収量において、およびプラスミドコピー数制御において、重大な影響を示した。野生型のプラスミドを利用すると、最大PCNは1個のセル当たり約350のコピーを含み、供給時間14で達し、かつ後にPCNはその値で安定する。対照的に、転写ターミネーターの欠如は、細胞内のプラスミドの数を劇的に増加させ、かつ、供給時間15で、PCNはおよそ600の値に達する。PCN曲線の形によれば、PCNは供給時間15で最大に達しておらず、もっと正確に言えば、PCNは一層の増加を示すだろう、ということが仮定できる。データから、転写終結の欠如が、プラスミド複製の制御に強く干渉する、ということが明らかに示される。
プラスミド_Jを保有する細胞は、1個のセル当たりのプラスミドのすさまじい上昇を示すが、より高い量のプラスミドを維持する推定負担は、生育速度の低下を生じなかった。もっと正確に言えば、プラスミド_Jを含有する株は、工程の終わりにより高い総細胞乾燥質量(CDM)に達し、理論的なバイオマス成長からの偏差(deviation)が、プラスミド_Iを有する株(9h)と比較して、約一時間後に(10h)生じる。それゆえ、細胞増殖相は野生型プラスミドを保有する株と比較して、1hの間拡大する。生産物収量を得る際、発現ベクターが転写ターミネーターを含まない時、特定量の組換えタンパク質(hSOD/g CDM)ならびにhSODの総量(−17%)の両方が減少する。従って、終結シグナルの欠如は、総CDMの増加において顕著である、宿主の代謝負担の低下を引き起こし、それゆえ、生育段階の拡大を引き起こし、減少した生産物形成率を引き起こす。PCNで観察された増加を維持するために、プラスミド複製に由来する代謝負担は、細胞増殖に対する影響をほとんど示さず、それほど重要でないように見える。
実施例5:組換えタンパク質合成の完全に、または限定誘導の間の宿主細胞反応でのtZENITターミネーターの効果を特徴付けるための、プラスミドptZENITを保有する大腸菌(E.coli)HMS174(DE3)の流加培養。
実施例3に記載されるように、pET30a誘導体ptZENITが、非常に効率のよい転写終結領域であると特徴付けられる。不十分な転写終結事象が、プラスミド複製を調節解除(deregulate)する能力を持っているという仮定の下では、そのような増強された終結は、プラスミドコピー数制御に顕著な効果を有するはずである。それゆえ、大腸菌(E.coli)HMS174(DE3)がプラスミドptZENITで形質転換され、その産生株をバイオリアクター培養工程において特徴づけた。組換えタンパク質産生は、供給培地で一世代後に、IPTG(20μmol/g CDM)を注入することにより誘導され、それゆえ細胞は完全に誘導された。
図5に与えられた結果を検討する際、明らかに、ptZENITを有する場合、PCNは、劇的に参照株(プラスミド_Iを備えた大腸菌(E.coli)HMS174(DE3))における約350の最大値から、約150の値に減少する。両方の場合で、それらの最大プラスミドコピー数に供給時間約14で達し、次いで、全工程にわたって維持される。総CDMなどのパラメータを維持することを検討する際、特定の生産物含量および総hSOD量は、野生型のプラスミドを保有する参照株において測定されたものからの偏差を検知することができなかった。PCNデータを除外する場合、プラスミド_IまたはptZENITを保有する大腸菌(E.coli)HMS174(DE3)株の挙動は、非常に似ている。しかしながら、転写終結およびプラスミド複製の間の推定上の相関性を立証する詳細な証拠が得られた。完全に誘導された発酵条件下では、組換えタンパク質産生に由来する代謝負担は、高すぎるように見える、従って、より低いプラスミドコピー数を維持するための減少したエネルギー消費および減少した遺伝子量の副作用は、全く重大ではないように見え、バイオマスの増大した生育を引き起こさない。
発現ベクターとしてptZENITを保有する場合の、宿主の生存能力における結果をさらに特徴付けるため、推定バイオリアクター培養が実行された。今回、細胞は完全には誘導されず、代わりにIPTG濃度は0.9μmol/CDMの限界インデューサー濃度の下、維持された。図6に見られるように、より中等度の工程設計が、工程全体にわたる細胞生育の永続化を示し、宿主細胞の生存能力を大幅に増大させた。プラスミド_Iを保有し、同一条件下で培養された大腸菌(E.coli)HMS174(DE3)株との比較において、総CDMは約+26%上昇する。その増強された細菌細胞の生育は、発現ベクターとしてptZENITを用いる場合、酸性状態下で、より低いストレスレベルを示す。標準的な培養条件下で既に観察されたように、再び、PCNの減少および安定化が確認された。生産物収量を検討する際、特定のhSOD含量および総hSODの両方の著しい増加が観察できた。特定の組換えタンパク質産生は、同一時間間隔でのptZENIT保有する細胞の場合に、約170mg/g CDMのほぼ一定の値から、約240mg/g CDMの値まで、供給時間17h−28hの間に、上昇する。産生されたバイオマスの増加ならびに特定のhSOD形成の増加の両方は、総hSOD収量を約+64%の値まで上昇させる。それは、hSODの総収量が、25gから約41gの総回収まで増加することを意味する。従って、オリジナルのpET30aプラスミドにおける転写T7ターミネーターシグナルの改良が、プラスミドコピー数を安定化する(図5および図6を参照のこと)とわかり、また組換えタンパク質収量に積極的に影響を及ぼす能力を有することが示された。
実施例6:生産物品質
組換えタンパク質(SOD)の生産物品質が、完全誘導条件(1g CDM当たり20μmol IPTG)および限定誘導条件(1g CDM当たり0.9μmol IPTG)の間、調査された。ストレス産生の間、細胞は凝集体および封入体をもたらす不正確にフォールディングされたタンパク質を産生しがちである。この調査のため、産生されたSODを可溶性SODとSOD凝集体の間で区別した。pTZENITと天然のpET30aプラスミドの間の違いが実証された。既に述べたように、プラスミド計測はpTZENITについてより低かったが、総タンパク質産生は増大した(図7)。限定および完全誘導に関して、産生されたSODの種類は、図8および9にそれぞれ示される。明らかに、凝集したSODに対して、総産生ならびに可溶性が、pTZENITに関してより高く、効率の良い終結を介するストレスが減少した発現条件に起因して、産生品質が増大したことを実証する。

Claims (37)

  1. 少なくとも二つの連続した転写終結シグナルを含むポリヌクレオチドであって、前記連続した転写終結シグナルが、少なくとも、最大で1000ヌクレオチド離れている第一および第二の転写終結シグナルを含み、かつ該終結シグナルの少なくとも一つがRNAヘアピン構造を有するまたはコードし、前記ヘアピン構造が少なくとも12の内部塩基対のステムを含むことを特徴とし、
    前記ヘアピン構造が配列Y−X−Zで定義され、ここで、
    Yは少なくとも12ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であって、かつ少なくとも70%のG/C含量を有し、
    Xは4ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であり、
    Xは、U(T)、A、C、Gから選択される任意のヌクレオチドであるNを有する、配列U/T−NNGからなり、かつ
    ZはYに対して少なくとも70%相補性を有するヌクレオチド配列であり、
    Zの該相補的ヌクレオチドはYのヌクレオチドと塩基対形成し、かつ、XはYまたはZとの塩基対形成が無いループである、
    ポリヌクレオチド。
  2. 第三の転写終結シグナルを含む、請求項1に記載のポリヌクレオチドであって、前記第三の転写終結シグナルが第一または第二の転写終結シグナルから最大で1000ヌクレオチド離れている、ポリヌクレオチド。
  3. 第三の転写終結シグナルがRNAヘアピン構造を含むまたはコードする、請求項2に記載のポリヌクレオチド。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドであって、Xが配列U/T−NCGからなることを特徴とする、ポリヌクレオチド。
  5. Xが配列U/T−U/T−CGからなる、請求項4に記載のポリヌクレオチド。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドであって、前記第一、第二および/または第三の転写終結シグナルが請求項1から5のいずれか一項に定義される前記ヘアピン構造を含むことを特徴とする、ポリヌクレオチド。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドであって、少なくとも一つの終結シグナルがクラスIIターミネーターである、ポリヌクレオチド。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドであって、少なくとも一つの転写終結シグナルが、少なくとも75%AまたはT(U)を含む、少なくとも4ヌクレオチド長のA/T(U)−リッチ領域を含むことを特徴とする、ポリヌクレオチド。
  9. A/T(U)−リッチ領域がヘアピンの下流である、請求項8に記載のポリヌクレオチド。
  10. A/T(U)−リッチ領域がヘアピンから20ヌクレオチド以下離れている、請求項9に記載のポリヌクレオチド。
  11. 請求項1から10のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドであって、Yが12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30ヌクレオチド長のものであることを特徴とする、ポリヌクレオチド。
  12. 請求項1から11のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドであって、YおよびZがmヌクレオチド長であり、Yはヌクレオチドyからyからなり、かつZはヌクレオチドzからzからなり、ヘアピンは、配列ym−1m−2...y−X−z...zm−1からなり、ここで、zはyに対して相補的であり、zはyに対して相補的であることを特徴とする、ポリヌクレオチド。
  13. 請求項1から12のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドであって、YおよびZが少なくとも80%相補的であることを特徴とする、ポリヌクレオチド。
  14. YおよびZが100%相補的であることを特徴とする、請求項13に記載のポリヌクレオチド。
  15. 請求項1から14のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドであって、ヘアピンにおいて、YとZのヌクレオチドの間で、最大で3、2または1のG−U相補性が別のG−U相補性に隣接することを特徴とする、ポリヌクレオチド。
  16. ヘアピンが隣接したG−U相補性を有さない、請求項15に記載のポリヌクレオチド。
  17. DNAまたはRNAである、請求項1から16のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
  18. 最大で10000ヌクレオチド長の大きさを有する、請求項1から17のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
  19. 請求項1から18のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドであって、ポリヌクレオチドが、前記転写終結シグナルに挟まれた一以上の制限部位および/もしくは転写終結シグナルの上流のクローニングサイト、または転写終結シグナルの上流のコード配列を含むことを特徴とする、ポリヌクレオチド。
  20. コード配列がプロモーターに作動可能に連結される、請求項19に記載のポリヌクレオチド。
  21. 請求項1から20のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドであって、
    配列Y−X−Zで定義されるヘアピン構造を含む第一の終結シグナル、ここで、
    Yは少なくとも12ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であって、かつ少なくとも70%のG/C含量を有し、
    Xは4ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であり、
    Xは、U(T)、A、C、Gから選択される任意のヌクレオチドであるNを有する、配列U/T−NNGからなり、かつ、
    ZはYに対して少なくとも80%相補性を有するヌクレオチド配列であり、
    Zの該相補的ヌクレオチドはYのヌクレオチドと塩基対形成し、かつ、XはYまたはZとの塩基対形成が無いループである、第一の終結シグナル;
    クラスII終結シグナルを含む、第二の終結シグナル、
    を含む、ポリヌクレオチド。
  22. クラスII終結シグナルが、コンセンサス配列TCTGTTを含む、または少なくとも40%のT含量を有する少なくとも20ヌクレオチド長の配列を含む、請求項21に記載のポリヌクレオチド。
  23. 請求項1から20のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドであって、
    配列Y−X−Zで定義されるヘアピン構造を含む第一の終結シグナル、ここで、
    Yは少なくとも14ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であって、かつ少なくとも70%のG/C含量を有し、
    Xは4ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であり、
    Xは、U(T)、A、C、Gから選択される任意のヌクレオチドであるNを有する、配列U/T−NNGからなり、かつ、
    ZはYに対して少なくとも80%相補性を有するヌクレオチド配列であり、
    Zの該相補的ヌクレオチドはYのヌクレオチドと塩基対形成し、かつ、XはYまたはZとの塩基対形成が無いループである、第一の終結シグナル;
    配列Y−X−Zで定義されるヘアピン構造を含む第二の終結シグナル、ここで、
    Yは少なくとも8ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であって、かつ少なくとも40%のG/C含量を有し、
    Xは3から9ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であり、かつ、
    ZはYに対して少なくとも70%相補性を有するヌクレオチド配列であり、
    Zの該相補的ヌクレオチドはYのヌクレオチドと塩基対形成し、かつ、XはYまたはZとの塩基対形成が無いループである、第二の終結シグナル;第一および第二の終結シグナルは、第一および第二の終結シグナルによって協調終結を提供するよう、最大で1000ヌクレオチド離れており、ここで、第一および第二の終結シグナルのY、X、およびZは独立して選択できる、
    を含む、ポリヌクレオチド。
  24. 請求項1から20のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドであって、
    配列Y−X−Zで定義されるヘアピン構造を含む第一の終結シグナル、ここで、
    Yは少なくとも12ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であって、かつ少なくとも70%のG/C含量を有し、
    Xは4ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であり、
    Xは、U(T)、A、C、Gから選択される任意のヌクレオチドであるNを有する、配列U/T−NNGからなり、かつ、
    ZはYに対して少なくとも80%相補性を有するヌクレオチド配列であり、
    Zの該相補的ヌクレオチドはYのヌクレオチドと塩基対形成し、かつ、XはYまたはZとの塩基対形成が無いループである、第一の終結シグナル;
    クラスII終結シグナルを含む、第二の終結シグナル、
    を含む、ポリヌクレオチド。
  25. クラスII終結シグナルが、コンセンサス配列TCTGTTを含む、または少なくとも40%のT含量を有する少なくとも20ヌクレオチド長の配列を含む、請求項24に記載のポリヌクレオチド。
  26. 請求項1から20のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドであって、
    配列Y−X−Zで定義されるヘアピン構造を含む第一の終結シグナル、ここで、
    Yは少なくとも12ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であって、かつ少なくとも70%のG/C含量を有し、
    Xは4ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であり、
    Xは、U(T)、A、C、Gから選択される任意のヌクレオチドであるNを有する、配列U/T−NNGからなり、かつ、
    ZはYに対して少なくとも80%相補性を有するヌクレオチド配列であり、
    Zの該相補的ヌクレオチドはYのヌクレオチドと塩基対形成し、かつ、XはYまたはZとの塩基対形成が無いループである、第一の終結シグナル;
    配列Y−X−Zで定義されるヘアピン構造を含む第二の終結シグナル、ここで、
    Yは少なくとも8ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であって、かつ少なくとも40%のG/C含量を有し、
    Xは3から9ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であり、かつ、
    ZはYに対して少なくとも70%相補性を有するヌクレオチド配列であり、
    Zの該相補的ヌクレオチドはYのヌクレオチドと塩基対形成し、かつ、XはYまたはZとの塩基対形成が無いループである、第二の終結シグナル;
    配列Y−X−Zで定義されるヘアピン構造を含む第三の終結シグナル、ここで、
    Yは少なくとも8ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であって、かつ少なくとも40%のG/C含量を有し、
    Xは3から9ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であり、かつ、
    ZはYに対して少なくとも70%相補性を有するヌクレオチド配列であり、
    Zの該相補的ヌクレオチドはYのヌクレオチドと塩基対形成し、かつ、XはYまたはZとの塩基対形成が無いループである、第三の終結シグナル;第一、第二および第三の終結シグナルは、第一、第二および第三の終結シグナルによって協調終結を提供するよう、最大で1000ヌクレオチド離れており、ここで、第一、第二または第三の終結シグナルのY、X、およびZは独立して選択できる、
    を含む、ポリヌクレオチド。
  27. 請求項1から20のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドであって、
    配列Y−X−Zで定義されるヘアピン構造を含む第一の終結シグナル、ここで、
    Yは少なくとも12ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であって、かつ少なくとも70%のG/C含量を有し、
    Xは4ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であり、
    Xは、U(T)、A、C、Gから選択される任意のヌクレオチドであるNを有する、配列U/T−NNGからなり、かつ、
    ZはYに対して少なくとも80%相補性を有するヌクレオチド配列であり、
    Zの該相補的ヌクレオチドはYのヌクレオチドと塩基対形成し、かつ、XはYまたはZとの塩基対形成が無いループである、第一の終結シグナル;
    クラスII終結シグナルを含む、第二の終結シグナル;
    配列Y−X−Zで定義されるヘアピン構造を含む第三の終結シグナル、ここで、
    Yは少なくとも8ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であって、かつ少なくとも40%のG/C含量を有し、
    Xは3から9ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であり、かつ、
    ZはYに対して少なくとも70%相補性を有するヌクレオチド配列であり、
    Zの該相補的ヌクレオチドはYのヌクレオチドと塩基対形成し、かつ、XはYまたはZとの塩基対形成が無いループである、第三の終結シグナル;第一、第二および第三の終結シグナルは、第一、第二および第三の終結シグナルによって協調終結を提供するよう、最大で1000ヌクレオチド離れており、ここで、第一または第三の終結シグナルのY、X、およびZならびにクラスII終結シグナルのコンセンサスおよびT−リッチ配列は独立して選択できる、
    を含む、ポリヌクレオチド。
  28. クラスII終結シグナルが、コンセンサス配列TCTGTTを含む、または少なくとも40%のT含量を有する少なくとも20ヌクレオチド長の配列を含む、請求項27に記載のポリヌクレオチド。
  29. 請求項1から20のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドであって、
    配列Y−X−Zで定義されるヘアピン構造を含む第一の終結シグナル、ここで、
    Yは少なくとも12ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であって、かつ少なくとも70%のG/C含量を有し、
    Xは4ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であり、
    Xは、U(T)、A、C、Gから選択される任意のヌクレオチドであるNを有する、配列U/T−NNGからなり、かつ、
    ZはYに対して少なくとも80%相補性を有するヌクレオチド配列であり、
    Zの該相補的ヌクレオチドはYのヌクレオチドと塩基対形成し、かつ、XはYまたはZとの塩基対形成が無いループである、第一の終結シグナル;
    配列Y−X−Zで定義されるヘアピン構造を含む第二の終結シグナル、ここで、
    Yは少なくとも8ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であって、かつ少なくとも40%のG/C含量を有し、
    Xは3から9ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であり、かつ、
    ZはYに対して少なくとも70%相補性を有するヌクレオチド配列であり、
    Zの該相補的ヌクレオチドはYのヌクレオチドと塩基対形成し、かつ、XはYまたはZとの塩基対形成が無いループであり、かつ、ヘアピン構造に隣接するクラスII終結シグナルである、第二の終結シグナル;
    配列Y−X−Zで定義されるヘアピン構造を含む第三の終結シグナル、ここで、
    Yは少なくとも8ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であって、かつ少なくとも40%のG/C含量を有し、
    Xは3から9ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であり、かつ、
    ZはYに対して少なくとも70%相補性を有するヌクレオチド配列であり、
    Zの該相補的ヌクレオチドはYのヌクレオチドと塩基対形成し、かつ、XはYまたはZとの塩基対形成が無いループである、第三の終結シグナル;第一、第二および第三の終結シグナルは、第一、第二および第三の終結シグナルによって協調終結を提供するよう、最大で1000ヌクレオチド離れており、ここで、第一、第二または第三の終結シグナルのY、X、およびZならびにクラスII終結シグナルのコンセンサスおよびT−リッチ配列は、独立して選択できる、
    を含む、ポリヌクレオチド。
  30. 終結シグナルの少なくとも一つが、配列番号4、配列番号16、配列番号17、配列番号18、または配列番号19から選択される配列を含む、請求項1から29のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
  31. 請求項1から30のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドおよびコード配列を含む発現カセットであって、配列がコード配列の終結のために作動可能に配置される、発現カセット。
  32. 請求項1から30のいずれか一項に定義されるポリヌクレオチドまたは請求項31に記載の発現カセットを含む、ベクター。
  33. プラスミドである、請求項32に記載のベクター。
  34. 請求項1から30のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたは請求項32に記載のベクターの転写終結シグナルに作動可能に連結された遺伝子を有するポリヌクレオチド分子を含む、細胞。
  35. 請求項34に記載の細胞であって、T7 RNAポリメラーゼまたはT7 RNAポリメラーゼをコードするポリヌクレオチドを含む、細胞。
  36. 遺伝子産物を産生するインビトロの方法であって、請求項34または35に記載の細胞を提供すること、および前記細胞を前記遺伝子の発現を可能にする条件下で培養することを含む、方法。
  37. mRNAを産生するインビトロの方法であって、請求項1から30のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドおよび前記転写終結シグナルの上流のコード配列を提供すること、および前記ポリヌクレオチドをT7 RNAポリメラーゼと接触させることを含む、方法。
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