JP2009523428A - 直鎖状ベクター、宿主細胞およびクローニング法 - Google Patents

直鎖状ベクター、宿主細胞およびクローニング法 Download PDF

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Abstract

大腸菌のバクテリオファージ由来の直鎖状ベクターおよびクローニングに適した宿主細胞が提供される。直鎖状ベクターは、左テロメアおよび第1選択マーカーを含む左アーム、右テロメアおよび第2選択マーカーを含む右アームならびに左アームと右アームの間に位置するクローニング領域を含む。選択可能なさらなるベクターの構成要素は、転写終結配列、マルチクローニング部位およびレポータースタッファー領域を含む。
【選択図】図1

Description

発明の詳細な説明
関連出願の相互参照
本願は、米国仮特許出願第60/758,479号(出願日:2006年1月12日)および第60/747,733号(出願日:2006年5月19日)(これらは本願に参照として組み込まれる)に基づく優先権を主張する。
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明は米国立衛生研究所が交付した連邦政府による資金提供(Grant No. 1R43HG002627-01)を受けて行われた。アメリカ合衆国は本研究に一定の権利を有する。
序論
ハイスループット配列決定技術における劇的な進歩により、ヒトゲノムおよびいくつかの他の種のゲノムのほぼ完全な解読がもたらされた。これらの技術功績とはまったく対照的に、ゲノム配列分析に必要な組換えクローンライブラリーを作製するために用いるベクターまたは宿主細胞には改善はほとんど見られなかった。毒性、二次構造、複製エラーおよび他のよくわかっていない特性のために、非常に多くの遺伝因子は不安定であるかまたはクローニングできない。従来のベクターは高コピー数まで複製され、挿入フラグメントの転写および翻訳を活発に促進し、クローニングされたプロモーターによりプラスミドの維持が妨げられる。さらに、クローニングの慣用法には主としてスーパーコイルプラスミドDNAが用いられてきたが、これは二次構造のねじり応力および酵素プロセシングによる不安定性の原因となる。これらの要因により引き起こされる不安定性は、配列の積み重なり、クローンギャップ、配列ギャップおよび他の難点をもたらす。
ライブラリー構築のための一般的なベクターであるpUC18およびその誘導体は、青白スクリーニング能力、広いマルチクローニング部位および高コピー数ばかりでなく、バクテリオファージプロモーターおよびM13の複製起点からの一本鎖DNAからのRNA転写産物を生成する能力を含む、一般的なクローニングに有用な多くの特徴を有する。しかしながら、これらの属性の多くは、特定のインサートの安定維持とは両立しがたく、クローンギャップおよび見かけ上“クローニングできない”DNAフラグメントをもたらす。このような問題のある配列は、通常、高AT含量、強固な二次構造、有害なオープンリーディングフレームまたはシス作用領域(例えば、転写プロモーターまたは複製起点)を特徴とする。
直鎖状ベクターは、環状スーパーコイルプラスミドのクローニングへの使用に対する代替手段を提供する。直鎖状ベクターは、環状プラスミドにおいて見られるスーパーコイル化を受けづらいので、スーパーコイル化したとき不安定な一次構造または二次構造を有するインサートを安定に維持できる。このようなさらなる安定性は、ゲノムアセンブリにおける配列決定データの改善ならびに配列ギャップおよびクローニングギャップ数の減少をもたらし得る。直鎖状ベクターはまた、標準法を用いてより大きなインサートをクローニングする能力も示す。コスミドまたはフォスミドクローニングに必要なパッケージングシステムを使わずに、直鎖状ベクタークローニングシステムは中分子域(10〜50kb)のDNAを安定的にクローニングすることができる。BACクローニングに必要な大規模なベクター精製なしに高分子域(>100kb)のフラグメントをクローニングするために、直鎖状ベクタークローニングシステムを用いることもできる。
研究されてきた直鎖状クローニングベクターの1つには大腸菌(E. coli)二本鎖DNA(“dsDNA”)ファージN15由来のものがある。溶原化して宿主の染色体にそのプロファージDNAを物理的に組み込む典型的な溶原性バクテリオファージとは対照的に、共有結合で閉鎖されたヘアピンループ構造を有するテロメアを有する低コピー数の染色体外直鎖状プラスミドとして、N15は溶原菌中で自己複製する。頭部および尾部遺伝子を含むN15のゲノムのほぼ半分は、バクテリオファージラムダ(λ)のゲノムと相同性が高い。転写を調節し、プロファージのイムニティーを決定する因子は、λおよびP22のリプレッサー、オペレーターおよびアンチターミネーターにおいてホモログを有する。N15の溶菌性増殖はλのものと類似し、λ様の形態を有するビリオンを生じ、N15は同様な頻度で溶原化する。直鎖状プロファージの複製および維持に必要なファージN15の部分は、ファージλにおける既知の相当部分を有さない。逆に、Klebsiella oxytocaのファージKO2の頭部および尾部遺伝子は、N15のものとは完全に異なるが、N15とKO2の直鎖状プロファージの複製および維持のための遺伝子は相同性が高い(Sherwood RC et al., J. Bacteriol., 186(6): 1818-32 (March 2004)(その開示は参照により本願に組み込まれる))。
直鎖状N15ベクターの複製には、3つの構成要素:複製起点(Ori)、複製開始タンパク質RepAおよび複製されたテロメアの分離のためのプロテロメラーゼ(protelomerase)TelNを必要とする。プロファージを形成するために、注入された直鎖状DNAの付着末端は結合されて環状中間体を生じる。このプロテロメラーゼは、以前は直鎖状であった分子の中央付近に位置する固有のパリンドローム部位(tel RL)を認識する。このプロテロメラーゼにより、in vitroおよびin vivoの両方で直鎖状または環状DNAが加工されて、閉鎖された末端であるtelLおよびtelRを有する直鎖状分子を生じる。環状形プラスミドの複製に必要な唯一のN15遺伝子はrepAであり、これはヘリカーゼ、プライマーゼおよび複製起点結合活性を有する。複製起点それ自体はrepA遺伝子内にあり、複製は宿主の大腸菌DNAポリメラーゼを用いて双方向に進行する。N15の複製は宿主遺伝子polA、dnaA、dnaJ、dnaK、grpEおよびrecAとは無関係である。N15ゲノムは、F’プラスミド遺伝子への相同性を有するが、セントロメア部位の分散セットを有する分配システム(partition system)(sopBA)を有する。
以前、N15ウイルスは13.8kbのクローニングベクターpG591(配列番号1)に改変された。図1に概略を示すpG591ベクターは、telN(プロテロメラーゼ)、repA(複製因子)およびcB(コピー数調節遺伝子)を含む複製およびコピー数調節に必須である遺伝子を保持しているが、ファージの構造遺伝子が除去されている。このベクターはまた、ベクターの安定維持に必要な分配遺伝子sopBAを欠く。代わりに、大腸菌株DH10B31sopを用いてイントランスでsop機能を供給することができるが、これは染色体に組み込まれたN15 sopオペロンおよびアンチリプレッサー遺伝子を有し、後者はアラビノース誘導性プロモーターの調節下にある。
発明の概要
pG591を用いた分子クローニングの結果、ベクターとしては機能するが、いくつかの大きな欠点を有することが明らかとなった。第1に、12kbのNotIベクターフラグメント(telN-repA-cB-KanR)を含有する左アーム(left arm)は、選択マーカーを欠くインサートまたは右テロメアフラグメントを加えずに細胞を形質転換することができる。ベクターの自己環状化(self-ligation)を脱リン酸化により妨げた場合であっても、多くの異常クローンおよび少しの非組換えクローンが生成する。異常組換えクローンは、12kbのフラグメントの二量体または、telNおよびrepA間の種々の欠失の有り無しでのベクターの環状変異体を含む。このように、pG591は高頻度の空ベクターバックグラウンドおよび代替構造を生成するため、分子クローニング用途には好ましくない。加えて、pG591はクローニングに利用できる制限部位(NotI)を1つしか有さないため、クローンのライブラリー構築または制限酵素分析には便利ではない。さらに、強力なプロモーターは右テロメア領域からNotI部位に向けられており、これは、それらを転写することによりクローニングされたインサートの安定性を損ねるおそれがある。
本発明は、改善された直鎖状クローニングベクターおよび改善された直鎖状クローニングベクターを増殖させるのに適した宿主細胞、直鎖状クローニングベクターおよび宿主細胞株の両方を含むキットならびに直鎖状クローニングベクターを用いるポリヌクレオチド配列のクローニング法に関する。本発明は、従来の環状プラスミドベクターを用いる別の方法ではクローニングできない大きなまたは“困難な”ポリヌクレオチド配列のクローニングを可能にする。例えば、本発明の直鎖状ベクターは、スーパーコイルプラスミド形では不安定なフラグメントを維持できる。直鎖状方式の複製により、反復配列、大きなパリンドロームおよびATリッチDNAの高忠実度の複製が付与される。加えて、本発明はクローニングした配列の簡易化した分子生物学的分析を可能にする。
一側面において、本発明は、大腸菌内で維持させることが可能な、バクテリオファージ由来の直鎖状クローニングベクターを提供する。本発明の直鎖状クローニングベクターは、左テロメア(left telomere)および第1選択マーカーを含む左アーム;右テロメア(right telomere)および第2選択マーカーを含む右アーム(right arm);ならびに左アームと右アームの間に位置するクローニング領域を含む。
本発明はまた、直鎖状ベクターと共に使用するのに適した宿主細胞を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、宿主細胞ゲノムに組み込まれたプロテロメラーゼをコードするポリヌクレオチド配列を有する組換え宿主細胞を提供する。他の側面において、本発明は、本発明の直鎖状クローニングベクターおよび適切な宿主細胞を含むキットを提供する。
さらに他の側面において、本発明は、ポリヌクレオチド配列のクローニング法を提供する。本方法は、本発明の直鎖状クローニングベクターを加工して左アームから右アームを切り離し;ポリヌクレオチド配列の第1末端を右アームに連結し、ポリヌクレオチド配列の第2末端を左アームに連結して連結産物を得;連結産物で宿主細胞を形質転換し;培地上で形質転換宿主細胞を生育させ、直鎖状クローニングベクターの第1および第2選択マーカーに基づいて選択を行うステップを含む。
さらなる側面において、本発明は少なくとも2つの異なるポリヌクレオチドのクローニング法を提供する。本方法は、ポリヌクレオチドのそれぞれを加工してポリヌクレオチドの両端に連結配列(linking sequence)を付加し;本発明の直鎖状クローニングベクターを加工して左アームから右アームを切り離し、各アームのテロメアの反対側の末端に連結配列を付加し;ポリヌクレオチドならびに右および左アームを含む連結産物を調製し、ここで各アームは互いに不連続であり、クローニングされるポリヌクレオチドの両方により切り離されており;連結産物で宿主細胞を形質転換し;培地上で形質転換宿主細胞を生育させ、直鎖状クローニングベクターの第1および第2選択マーカーに基づいて選択を行い、ここで宿主細胞を増殖させることによりポリヌクレオチドをクローニングするステップを含む。
いくつかの実施形態の詳細な説明
本発明の任意の実施形態を詳細に説明する前に、本出願が、以下の説明に記載されたまたは以下の図およ実施例に例示された構築の詳細および構成要素の取り合わせに限定されないことを理解されるべきである。本発明は他の実施形態が可能であり、種々の方法で実行または実施が可能である。同様に、本明細書に用いる述語および用語法は説明目的のものであって、限定と見なしてはならないこともまた理解されるべきである。用語“含有する”、“含む”または“有する”およびそれらの語尾変化は、その後に列挙される事項およびそれらの同義語ばかりでなくさらなる事項をも含むことを意味する。
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いるとき、単数形"a"、"an"および"the"は、内容により明確に別なふうに規定されない限り、複数の指示対象を含む。従って、例えば、“a vector(ベクター)”を含有する組成物への言及は、2以上のベクターの混合物を含む。同様に、用語“または”は一般に、内容により明確に別なふうに規定されない限り、“および/または”を含むその意味で用いられることにも注意する必要がある。
本明細書において参照されるすべての出版物、特許および特許出願は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有するもののレベルを示す。すべての出版物、特許および特許出願は、その同じ範囲を参照することにより、それぞれの出版物または特許出願が個別具体的に参照により示されるように本明細書に明確に組み込まれる。本開示と、組み込まれた特許、出版物および参考文献とが矛盾する場合、本開示が優先するものとする。
本明細書に記載の任意の数値はその低値から高値までのすべての数値を含むということ、すなわち列挙された最も低い数値から最も高い数値までの数値のすべての可能な組み合わせは本願において明確に述べられていると考えられるべきであることもまた明確に了解される。例えば、濃度範囲が1%〜50%であると述べられている場合、例えば2%〜40%、10%〜30%または1%〜3%などの数値は本明細書に明確に列挙されているものとする。上に列挙した数値は、具体的に指定された例に過ぎない。
直鎖状ベクター
一実施形態において、本発明は、染色体外直鎖状プラスミドとして大腸菌内で自己複製することができるバクテリオファージ(本明細書においては“ファージ”ともいう)由来の直鎖状クローニングベクターを提供する。適切には、クローニングベクターを得るために用いるバクテリオファージは、溶原性ファージである。すなわちそれは特徴的な溶原ライフサイクルを有する。本明細書において、バクテリオファージ(またはその宿主細胞)からゲノム構造が単離され、さらなる分子マニピュレーションを受けて直鎖状クローニングベクターが作製されるとき、クローニングベクターはバクテリオファージ“由来の”と呼ばれる。このような分子マニピュレーションは、構造遺伝子または調節配列の欠失および/またはプロモーター、オペレーターもしくはエンハンサー配列、制限部位、テロメア、選択マーカーをコードする配列および/または転写ターミネーター配列などの1以上の配列の導入を含むことができる。明らかなように、クローニングベクターは、直接的に作製されても(例えば、コロニーから精製されて)、間接的に作製されても(例えば、複数ラウンドのクローニングおよびサブクローニング、PCR増幅または合成方法により)バクテリオファージ“由来の”と考えられる。最も適切には、直鎖状ベクターを得るためのファージは、適切には、λ、N15、KO2、PRD1またはPY54から選択される。
本発明の直鎖状クローニングベクターは、左テロメアおよび第1選択マーカーを有する左アーム、右テロメアおよび第2選択マーカーを有する右アーム、ならびに左アームと右アームの間に位置するクローニング領域を含む。本明細書において、“テロメア”は、組換えおよび/またはエキソヌクレアーゼによる消化反応かからDNAの末端を保護するための、直鎖状DNA分子の末端(単数または複数)にあるポリヌクレオチドまたはポリペプチド構造のことを言う。適切なテロメアは、共有結合で閉鎖された末端、末端タンパク質(例えば、PRD1における)に結合できる配列およびポリヌクレオチド反復トラクト(例えば、ポリA、C、G、TまたはUトラクト)を含む。本発明の直鎖状ベクターを構築するのに有用なテロメアの例は、バクテリオファージλ、N15、KO2、PRD1およびPY54由来のものばかりでなく、直鎖状染色体、例えば、ボレリア(Borrelia)種およびアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)由来のものも含む。
本明細書において、“選択マーカー”は、形質転換細胞に付与された表現型形質であって、形質転換細胞の環境、すなわち増殖培地において選択剤から形質転換細胞を保護するもののことを言う。選択マーカーの例は、限定するものではないが、抗生物質耐性マーカー(例えば、カナマイシン、アンピシリン、クロラムフェニコール、ゲンタマイシンまたはトリメトプリムに耐性を示す遺伝子をコードする)および代謝マーカー(例えば、アミノ酸合成遺伝子または転移RNA遺伝子)を含む。当該技術分野で明らかなように、複製起点もまた選択マーカーとして使用できる。場合によっては、第1および第2選択マーカーは抗生物質耐性マーカーであり、かつ互いに異なる。他の場合においては、第1または第2選択マーカーは複製起点(Ori)であることができる。直鎖状ベクターの各アームに異なる選択マーカーを組み込むことにより、組換えクローン中での両アームに基づく同時選択が可能となる。両アームに基づく選択により、組換え体の構造が正しく、正確に1つの左アームおよび1つの右アームを有することが確実になる。
直鎖状ベクターのクローニング領域は制限部位を1つ含むこともでき、あるいは2以上の制限部位を含むマルチクローニング部位(MCS)であることもできる。制限部位の1以上は、適切には固有の制限部位である。すなわち、それらはベクターアームには存在しない。適切には、クローニング領域はレポータースタッファー(stuffer)領域、例えば、lacZα遺伝子または致死遺伝子を含むことができる。レポータースタッファー領域は、レポータースタッファー領域の全体が、クローニングされる1以上のポリヌクレオチドにより置換できるように、制限部位に、より適切にはMCSに隣接することができる。この配置は、好都合には、細胞に有毒なコード配列のクローニングを可能にする。なぜなら、レポーター領域中、またはレポーター領域に隣接した強力なプロモーターは除去され、従って有毒なインサートの転写(およびその後の翻訳)は阻害される。いくつかの実施形態において、このベクターの総クローニング容量はおおよそ50kbである。
場合により、直鎖状クローニングベクターは2以上の転写ターミネーター領域を含む。本明細書および当該技術分野において、“転写ターミネーター領域”は、原核細胞における転写複合体の解離を引き起こす調節配列である。いくつかの実施形態において、直鎖状クローニングベクターはクローニング領域に隣接する一組の転写ターミネーター領域を含む。この配置での転写ターミネーター領域の使用は、クローニング領域からベクターへの転写を抑制または排除し、それにより抗生物質耐性コード配列または複製起点などの選択マーカーの機能の妨害が阻害される。場合により、直鎖状クローニングベクターは、テロメア領域への転写を阻害するために、右アームの選択マーカーの後ろに第3の転写ターミネーター領域を含む。適切な転写ターミネーターはヘアピンループ構造を形成することができるパリンドローム配列である。転写ターミネーター領域は同一であっても異なっていてもよいが、異なる転写ターミネーター領域の使用により、同一のターミネーター配列間の組換えにより引き起こされる欠失の可能性を低下させることによりより安定なベクター構築物をもたらすことができる。転写ターミネーターは一方向性または二方向性であることができる。二方向性ターミネーターは、好都合に、ベクターのプロモーターからインサートへの転写およびインサート内のプロモーターからベクターへの転写を遮断する。適切には、右アームの選択マーカーに続く転写ターミネーターは二方向性転写ターミネーターである。最も適切には、転写ターミネーターは宿主因子の非存在下で機能しうる(すなわちρ非依存性である)。適切な転写ターミネーター配列は、Reynolds, et. al, J. Mol. Biol. (1992) 224:31-51 に記載されているように、trpAターミネーター、T3ターミネーター、T7ターミネーター、rrnB T1ターミネーターなどを含む(その開示は、全体が参照により本願に組み込まれる)。
本発明による直鎖状クローニングベクターの典型的で適切な配置は、“pNZKA”(または“pJAZZ-KA”または“NZAN”、配列番号3)“pNZKC”(配列番号45)および“pNZOC”(または“NZTC3”または“pJAZZ-OC”、配列番号2)で示される。これらの直鎖状ベクター構築物を、図1に概略で示す。これらのベクターは、未消化体で提供することもでき、前消化し脱リン酸化した直鎖状ベクターアームで提供することもできる。
本明細書記載の直鎖状クローニングベクターは、λおよび環状プラスミドベクターと比較して少なくとも4つの利点を有する。第1に、モル過剰量のベクターアームにより、ベクターへのインサートの効率的な連結反応を促進して完了させることができる。それに引き換え、プラスミドベクターはベクター対インサート比を最適化するために多くの滴定を必要とする可能性がある。これは、過剰のベクターは、インサートの各末端に連結した独立したベクター分子をもたらし、生存しない組換え分子が生じるからである。第2に、in vitroでのλ DNA packaging extractsは、おおよそ35〜45キロベース(kb)の狭いサイズ範囲にインサートサイズが限定されるが、直鎖状ベクターの挿入には最小サイズはなく、最大サイズは約30〜50kbであることができる。第3に、直鎖状ベクターは、バクテリオファージλベクターのインサートと同様な大きさのインサートを維持するが、一方でベクターおよび組換え体の使用および産生を簡易にする。第4に、直鎖状ベクター系は、連結反応、形質転換およびDNAの単離のために簡単な従来のプロトコルを使用することができ、さらなる構成要素を必要としない(例えば、コスミド/フォスミドのクローニングに必要なλ packaging extracts)。
高い効率の連結反応のための条件には、環状プラスミドよりも直鎖状ベクターが好ましい。環状組換えプラスミドの生成は、2ステップ反応で行われる。プラスミドとインサートとの間の分子間反応および、それに続くハイブリッド分子の末端間の分子内反応による環の生成である。環状プラスミドベクターと大きなインサートDNAとの連結反応は、通常、1つのインサート分子と1つのずっと小さなベクター分子との分子間結合を容易にするために約100〜150マイクロリットルの希薄反応で行う。続く再環状化の条件には、より小さいインサートの方が大きいものより好ましく、満足な結果を得るためには厳密なサイズ選択およびベクターの脱リン酸化を必要とする。それに引き換え、連結反応は、高いDNA濃度または高分子クラウディング条件(macromolecular crowding condition)で最も効率的に行われる。残念なことに、これらの条件は分子間結合に有利であり、コンカテマーの形成には最適であるが、環状プラスミドの作製には有用ではない。直鎖状ベクター調製物には左および右ベクターアームが含まれるが、それぞれは1つの末端のみが連結反応可能であるため、連結反応を促進するために高いベクター対インサート比を用いることができる。従って、直鎖状ベクターは、大きなインサートに対するバイアスを低下させることにより大きなインサートライブラリーを作製するための改良方法を提供する。
宿主細胞
さらなる実施形態において、本発明は直鎖状クローニングベクターを増殖させるのに適した宿主細胞を提供する。“宿主細胞”は、異種DNAにより形質転換されることができる任意の細胞、すなわちコンピテント細胞である任意の細胞である。適切には、宿主細胞は大腸菌細胞である。大腸菌の適切な株は既知であり、例えば、DH10B細胞またはE. CLONI 10G細胞(Lucigen, Middleton, WI)である。いくつかの実施形態において、形質転換効率の向上および/または直鎖状ベクターの維持のために宿主細胞を遺伝子工学的に改変することができる。
宿主細胞は、従来のプラスミドまたは安定に組み込まれた宿主細胞ゲノム上に原核細胞のテロメラーゼ(本明細書および当該技術分野で“プロテロメラーゼ”(あるいは“テロメア・リゾルバーゼ”)と呼ばれる)コード配列を含有することができる。適切なプロテロメラーゼはN15プロテロメラーゼであり、本明細書および当該技術分野で“TelN”と呼ばれる。場合により、直鎖状クローニングベクターによる形質転換の前に、宿主細胞はプロテロメラーゼを発現することができる。適切には、TelNなどのプロテロメラーゼを発現している宿主細胞における直鎖状ベクターの形質転換効率は、プロテロメラーゼコード配列を含有していない宿主細胞におけるよりも10〜100倍高い。
プロテロメラーゼコード配列に加えて、宿主細胞は分配タンパク質(partitioning protein)コード配列をさらに含有することができる。分配タンパク質は、適切には、各娘細胞が直鎖状プラスミドを受け取るように、複製された直鎖状プラスミド分子を娘細胞間に、正確で無作為でなく分配することを確実にする分離安定性を提供する。分配タンパク質コード配列は、宿主細胞の従来のプラスミドまたは安定に組み込まれた宿主細胞ゲノム上に維持できる。適切には、分配タンパク質は、N15ゲノムのsopBA領域によりコードされるsopAおよびsopB遺伝子である。
宿主細胞は、プロテロメラーゼコード配列および/または分配タンパク質コード配列に加えて、アンチリプレッサー(antirepressor)コード配列をさらに含有することができる。適切なアンチリプレッサーコード配列の1つは、N15アンチリプレッサー遺伝子(antA)であり、これはcB抑制を阻止することが知られ、言い換えればRepAタンパク質の発現を調節すると考えられる。従って、antAの誘導は、RepAのより高い発現をもたらし、それによりN15の複製が刺激されプロファージのコピー数は増加する。N15 antA遺伝子は、適切には誘導性プロモーターの調節下に置かれ、プラスミドに含有するかまたは宿主細胞のゲノムに安定に組み込ませることができる。
いくつかの実施形態において、宿主細胞は、プラスミドに含有するかまたは宿主細胞のゲノムに安定に組み込ませることにより、直鎖状ベクターの複製のための適切なポリメラーゼのコード配列を含有する。例として、PRD1ポリメラーゼのコード配列(Bamford et al., Virology 183(2):658-676 (1991)、その開示は参照により本願に組み込まれる)は、適切には、PRD1由来の直鎖状ベクターを複製するために設計された宿主細胞に導入されることができる。
キット
さらなる実施形態において、本発明は、本発明の直鎖状クローニングベクターおよび本明細書記載の宿主細胞を含有するキットを提供する。適切には、宿主細胞は、キットに含まれる直鎖状クローニングベクターの形質転換効率または維持を向上させるために改変された、エレクトロコンピテントまたはケミカルコンピテント細胞である。キットに提供される直鎖状クローニングベクターは、場合により前消化および脱リン酸化を受けている。キットの他の任意成分には、連結反応緩衝液、リガーゼ、連結反応のためのコントロールインサートDNA、配列決定プライマー、制限エンドヌクレアーゼ、ホスファターゼ、ポリメラーゼおよび/またはキナーゼを含めることができる。このキットはまた、適切には、本明細書記載の方法に従ってキットを用いるための使用説明書を提供する。
クローニング法
いくつかの実施形態において、本発明はポリヌクレオチド配列のクローニング法を提供する。クローニングされるポリヌクレオチド配列は、適切には直鎖状である。すなわち、第1末端および第2末端を有する。本方法のステップは、少なくとも、直鎖状クローニングベクターを加工して左アームから右アームを切り離し、ポリヌクレオチド配列の第1末端を右アームに連結し、ポリヌクレオチド配列の第2末端を左アームに連結して連結産物を得、連結産物で適切な宿主細胞を形質転換し、培地上で形質転換宿主細胞を生育させ、直鎖状クローニングベクターの第1および第2選択マーカーに基づいて選択を行うことを含む。
いくつかの実施形態において、本発明の直鎖状クローニングベクターは、適切には、少なくとも2つの異なるポリヌクレオチドすなわちインサート配列をクローニングするために用いられる。これらの実施形態は、適切には例えば、多サブユニットポリペプチドのクローニングおよび発現に用いることができる(例えば、抗体のH鎖およびL鎖)。このようなベクターはまた、適切には、2以上の既知のポリペプチド(例えば、受容体およびそのリガンド(単数または複数))間の相互作用、既知のポリペプチドと、(例えばライブラリーから産生される)未知のポリペプチド間の相互作用または(例えば1以上のライブラリーから産生される)2以上の未知のポリペプチド間の相互作用を分析するためにも用いられる。当業者には明らかなように、2以上のインサートを同時にクローニングすることにより、1回の配列決定反応による複数の配列の配列決定手段、すなわち“多重配列決定”もまた提供される。
本発明の直鎖状クローニングベクターは、適切には、少なくとも2つのインサート配列を同時にクローニングするための容量を提供する。いくつかの実施形態において、3つのインサートをクローニングすることができる。いくつかの実施形態において、4つのインサートをクローニングすることができる。いくつかの実施形態において、5つのインサートをクローニングすることができる。いくつかの実施形態において6つのインサートをクローニングすることができる。いくつかの実施形態において、7つのインサートをクローニングすることができる。いくつかの実施形態において、8つのインサートをクローニングすることができる。いくつかの実施形態において、9つのインサートをクローニングすることができる。いくつかの実施形態において、10以上のインサートをクローニングすることができる。本発明の直鎖状クローニングベクターを用いてクローニングすることができるインサート数の上限は、それらの総合サイズに左右されることは明らかであろう。すなわち、上限はベクターの全容量(例えば、いくつかの実施形態において50kb)に左右される。
いくつかの実施形態において、クローニングされるポリヌクレオチドの少なくとも1つは未知の配列を有する。特定の実施形態において、ポリヌクレオチドのそれぞれは未知の配列を有する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのポリヌクレオチドの配列は既知である。他の実施形態において、ポリヌクレオチドの少なくとも1つの配列の1つの少なくとも一部は既知である(例えば、5、10、15、20、25塩基は既知である)。いくつかの実施形態において、クローニングされるポリヌクレオチドは、“ライブラリー”(本明細書においては、これはDNA源、例えば、環境源もしくはゲノムまたは特定の組織もしくは生物由来のcDNA由来の一群のインサート配列のことを言う)由来である。
少なくとも2つの異なるポリヌクレオチド(すなわちインサート配列)のクローニング法は、インサート配列のそれぞれを加工して両末端にリンカー配列を付加するステップを含む。本明細書において、“リンカー配列”は、連結反応において他のリンカー配列と適合するヌクレオチド配列である。クローニングされるポリヌクレオチドのそれぞれは、適切には、a)ベクターアームの1つのリンカー配列と適合する1つの末端上のリンカー配列および1つの他のインサート配列の末端、またはb)2つの他のインサート配列の末端上のリンカー配列と適合する各末端上のリンカー配列、またはc)1つの他のインサート配列の末端上のリンカー配列および1つのベクターアームと適合する各末端上のリンカー配列のいずれかを付加するために加工される。リンカー配列は、例えば、制限、PCR増幅および/またはインサートのへのオリゴヌクレオチドの連結反応により付加できる。リンカー配列は、適切には、12ヌクレオチド未満の長さである。いくつかの実施形態において、リンカー配列はホモポリマーである。限定するものではないが、適切なリンカー配列の例として、AAA、TTT、CCCおよびGGGを含む。他の例はGTG、CAC、GTGTおよびCACAを含む。いくつかの実施形態において、1つのリンカー配列は平滑末端である。いくつかの実施形態において、各インサート配列の末端は互いに適合しない。すなわちこのインサート配列は自己連結できない。適切には、自己環状化は、末端上に適合しないリンカー配列を付加するかまたは遊離5’リン酸基を除去することにより防ぐことができる。
さらなるステップにおいて、本発明の直鎖状クローニングベクターは加工されて右および左アームが切り離される。選択可能なさらなるステップにおいて、右アームは左アームから精製除去することができる。さらなるステップにおいて、アームは加工されて各アーム上のテロメアの反対側の末端にリンカー配列が付加される。場合により、再連結反応を防ぐために、例えば5’末端をホスファターゼで処理することにより、切り離されたベクターアームを加工することができる。いくつかの実施形態において、ベクターアームは加工されて、連結反応時にインサート配列がお互いおよびベクターアームに対して固定配向でのみ組み立てられることができる、“固定配向”マルチインサートクローニングを提供する。
さらなるステップにおいて、連結産物が生成される。連結産物はインサート配列ならびに右および左ベクターアームを含み、ここでアームは互いに不連続であり、インサート配列により切り離されている。最も適切には、インサート配列のそれぞれは連結産物に存在し、かつ1回のみ存在する。いくつかの実施形態において、1回の連結反応により、望ましい連結産物(各インサートならびに右および左ベクターアームを含む)ならびにインサートの1以上を欠く望ましくない連結産物の混合物が得られる。しかしながら、当業者は、標準法、例えば、配列決定または制限酵素分析を用いて、混合物中のどの連結産物が望ましい産物であるか容易に決定できる。本発明の単一連結反応の実施形態は、少ないポリヌクレオチド、例えば、2つまたは3つのインサートをクローニングするのに適しているが、多数のインサート、例えば、インサート配列のコンカテマーをクローニングするのにも適している。
あるいは、連結産物は、インサート配列の数に基づいた適切なスキームで用いることができる多重連結反応の最終産物であることができる。2つのインサートをクローニングするための適切なスキームの1つが実施例12に示されている。3つ以上のインサートをクローニングするための適切なスキームもまた考えられる。いくつかのスキームは、各インサートの特定の末端が他のインサートの特定の末端にのみ連結するように設計されたリンカーを用いることができる。得られた組換え体は、適切には、互いおよびベクターに対して固定配向ですべてのインサートを有する。インサート配列へのベクターアームの連結反応は、適切には、1つの末端のみがさらなる連結反応を行うことができ、他の末端は“不活性”テロメアである連結産物をもたらす。従って、いくつかの実施形態において、先行する連結反応産物にさらなるインサート配列が反復して付加される反復連結反応が行われる。反対のベクターアームを含有するフラグメントを付加することによってのみ生存組換えクローンが作製される。当業者は、本開示を参照して、さらなるインサートをクローニングするための適切なスキームを決定できる。
少なくとも2つのポリヌクレオチドのクローニング法におけるさらなるステップは、連結産物で宿主細胞を形質転換し、培地上で形質転換宿主細胞を生育させ、直鎖状クローニングベクターの第1および第2選択マーカーに基づいて選択を行うことを含む。宿主細胞の増殖によりポリヌクレオチドのそれぞれのクローニングがもたらされることは明らかである。クローニングされたポリヌクレオチドの同定および配向の確認は、標準法、例えば制限酵素分析または配列決定により行うことができる。
実施例
本発明の理解をさらに助けるために以下の実施例が提供される。用いられる特定の物質および条件は本発明をさらに例示することを目的としたもので、添付の特許請求の範囲の妥当な範囲を限定するものではない。
実施例1
直鎖状ベクターのための宿主株の構築
本発明の直鎖状ベクターによる効率的な形質転換のための宿主細胞を作製するために、標準的で一般に入手可能なコンピテント大腸菌株(E. CLONI 10G, Lucigen, Middleton, WI)を用いた。宿主株(本明細書においてはE. CLONI(登録商標)10G-iTelと呼ぶ)を作製するために、以下のプライマー:
telN-F:GCGGATCCCGATATCCAGAGACTTAGAA(BamHI部位には下線を施した)(配列番号42)
telN-R:CGAAGCTTCTTTTAGCTGTAGTACGTTTC(HindIII部位には下線を施した)(配列番号43)
を用いて、ファージN15DNA(Ravin et al., J. Mol. Biol. 299(1):53-73 (May 2000)(その開示は参照により本願に組み込まれる)からtelN遺伝子をPCR増幅した。
IPTGで誘導されるPtacプロモーターの制御下で標的遺伝子のクローニングを可能にするpGZ119EHのBamHI/HindIII部位に、得られたPCR産物をクローニングした(Lessl et al., 1992, J. Bacteriol., 174: 2493-2500、参照により本願に組み込まれる)。pGZ-telNと呼ぶ組換えベクターはtelNタンパク質を発現し、クロラムフェニコール耐性をコードしている。エレクトロポレーションによりpGZ-telN DNAでE. CLONI 10G細胞を形質転換し、クロラムフェニコール耐性株E. CLONI 10G-Ptelを作製した。
10G細胞の染色体中のattB部位にtelN遺伝子を組み込むために、pGZ-telNからPtac-telNを含有するフラグメントを切り離し、アンピシリン耐性をコードする染色体組込みベクターpJW22にクローニングした(Wild J, Hradecna Z, and Szybalski W (2002), Genome 12:1434-44、参照により本願に組み込まれる)。得られた組込みベクター(pJW-telN)をNotIで消化してPtac-telNを含有するフラグメントを切り離し、これをゲル電気泳動で精製し、自己環状化により環状にした。この環状フラグメントでインテグラーゼ産生プラスミドpJW289tを持っているE. CLONI 10G細胞(Lucigen, Middleton, WI)を形質転換した。組み込まれたtelN遺伝子を含有し、pJW289tプラスミドを失ったコロニーをWild J, Hradecna Z, and Szybalski W (2002), Genome 12:1434-44(参照により本願に組み込まれる)の記載に従って選択した。得られたアンピシリン耐性株をE. CLONI 10G-iTelと呼んだ。
E. CLONI 10G-iTelと直鎖状pG591DNAを有する親株のE. CLONI 10Gの形質転換効率を比較することによりtelN発現の影響を試験した。E. CLONI 10GにおけるよりもE. CLONI 10G-iTelにおけるほうが10〜100倍形質転換効率が高かった(データは示さず)。
次に、クロラムフェニコール耐性マーカーに加えてN15のsopBA領域をE. CLONI 10G細胞の染色体に組み込み、クロラムフェニコール耐性株DH10B31sopを作製した。この株はまた、araBADプロモーターの制御下にあるアンチリプレッサーAntAを含有する。この株にテロメラーゼ遺伝子を加えるために、プラスミドpGZ-TelNのアンピシリン耐性遺伝子をゲンタマイシン耐性をコードする遺伝子で置き換えた。このプラスミドでDH10Bsop31を形質転換し、GTS-8株(クロラムフェニコールおよびゲンタマイシン耐性)を作製した。GTS-8は、pNZKAを用いる高効率の形質転換を可能にし、アラビノースの添加によりコピー数を誘導できる。
以下のように、telN遺伝子、sopBAオペロンおよびantA遺伝子を含有するカセットをE. CLONI 10G細胞の染色体に組み込んだ:ファージN15 sopBAオペロン(それ自身のプロモーターの制御下にある)およびantAアンチリプレッサー遺伝子(アラビノース誘導性araPBADプロモーターの制御下にある)を含むDNAフラグメントをXhoI-MroNIフラグメントとしてプラスミドpCD31sop(Mardanov A.V., and Ravin N.V., Abstracts of the conference “Lomonosov-2004”, v.1, p.21, Moscow, Russia (2004)、その開示は参照により本願に組み込まれる)から切り離し、前述のプラスミドpJWtelN(ベクターpJW22にに挿入されたtelN遺伝子を含有する)のHindIII部位にクローニングした。得られたベクター(pJW-telN31sop)をNotIで部分消化し、telN-sopBA-antAを含有するフラグメントを切り離し、これをゲル電気泳動で精製し、自己環状化で環状にした。この環状フラグメントでλインテグラーゼ産生プラスミドpJW289tを持っているE. CLONI 10G細胞を形質転換した。telN遺伝子、sopBAオペロンおよびantAアンチリプレッサーを含む組み込みフラグメントを含有し、pJW289tプラスミドを失ったコロニーをWild J, Hradecna Z, and Szybalski W, Genome 12:1434-44 (2002) (その開示は参照により本願に組み込まれる)の記載に従って選択した。得られたアンピシリン耐性株(E. CLONI 10G-telN31SあるいはBIGEASY TSA Cellsと呼ぶ)により、直鎖状ベクターを用いる効率的な形質転換が可能となり、コピー数を誘導できる。
実施例2
直鎖状ベクターの構築
a)NZCK3の構築
一般的なクローニングに適した直鎖状ベクターはpG591(配列番号1)から誘導した(Ravin et al., NUcleic Acids Res. 31(22):6552-60 (2003)、その開示は参照により本願に組み込まれる)。pG591をNotIで消化し、リン酸化された平滑末端を生成するDNA修復酵素の混合物(DNATERMINTOR(登録商標)Kit, Lucigen, Middleton, WI)で処理した。左テロメア、telN、repAおよびカナマイシン耐性を含有する12kbのフラグメントをゲルで単離した。同様に、pG591をBglIIで消化し、右テロメアを含有する1.3kbのフラグメントをゲルで単離した。
lacZαおよびアンピシリン遺伝子を含有するフラグメントを以下のように構築した:2つの重複する順方向プライマーT7RC-NotF(配列番号16)およびNSAS-LacZ-F(配列番号17)ならびに逆方向プライマーNNASA-LacZ-R(配列番号18)を用いてベクターpEZ BACのlacZα遺伝子(配列番号15、ヌクレオチド155-598)をPCR増幅し、TerZと呼ばれるフラグメントを作製した。2つの重複する順方向プライマーrrn-Fd(配列番号19)およびrrn-pCmF2(配列番号20)ならびに逆方向プライマーTonAmpR(配列番号21)を用いてPCRによりpSMART-HCAmp(配列番号44、ヌクレオチド97-1063)からアンピシリン耐性遺伝子を増幅した。得られたフラグメントをrrn-FdおよびTonB-R(配列番号22)を用いて再増幅し、フラグメントTAmpTを生成した。TerZおよびTAmpTフラグメントをそれぞれNcoIで消化し、連結した。TerZにTAmpTを加えた連結産物のサイズに対応するバンドをゲルで単離し、プライマーT7del(配列番号23)およびTonBR2(配列番号24)で再増幅した。このPCR産物をpSMART HCKanのHincII部位に連結し、EcoRVおよびBglIIを用いる消化によりベクターを切り離した。EcoRV-BglIIフラグメントをpG591の平滑11kbフラグメントとBglIIフラグメントとに連結し、直鎖状ベクターNZAN(配列番号3、本明細書においては“pJAZZ(登録商標)-KA”とも呼ぶ)を作製した。ベクターNZANのlacZフラグメントをプライマーLacANN-For(配列番号25)およびLacANN-Rev(配列番号26)を用いるPCRにより増幅した。得られたPCR産物をプライマーLacApSA-For(配列番号27)およびLacAsSA-Rev(配列番号28)を用いて再増幅した。この産物をApaIおよびAscIで消化し、ベクターNZANの12kbのApaIフラグメントと2kbのAscIフラグメントとに連結し、E. CLONI 10G-Ptel細胞を形質転換し、アンピシリンおよびカナマイシンを含有するプレート上で選択した。得られた直鎖状ベクターをNZASA(配列番号4)と呼んだ。
配列決定プライマーのためのクローニング部位および結合部位をさらに加えるために、lacZフラグメントをプライマーLacE-SL1-F(配列番号29)およびLacA SR2-Rev(配列番号30)を用いてNZASAから増幅した。得られたPCR産物をAflIIIで消化し、ベクターNZASAの、末端を修復した10kbのNotIフラグメントと3kbのNcoIフラグメントとに連結し、E. CLONI 10G-Ptel細胞を形質転換し、アンピシリンおよびカナマイシンを含有するプレートで選択した。得られた直鎖状ベクターをNZAhd(配列番号5)と呼んだ。
BIGEASY TSA細胞と共に用いるための直鎖状ベクターのバージョンを作製するために、NZAhdのアンピシリン耐性遺伝子をクロラムフェニコール耐性遺伝子と置き換えた。マルチクローニング部位のAhdI部位にクローニングすることを可能にするために、ベクター骨格のAhdI制限部位もまた破壊した。得られたベクター(NZCK3(配列番号6)と呼ぶ)は、4つのフラグメントの連結反応により作製した。第1(最左)フラグメントには、左テロメア、telN遺伝子およびrepA遺伝子の一部を含むNZAhdの7.8kbのAhdIフラグメントを用いた。第2フラグメントには、AhdI部位およびLacA-SR2-Rev(配列番号30)を破壊する変異を導入するプライマー7847-F2(配列番号31)を用いてPCRによりNZAhdから増幅したおおよそ4.5kbの領域を用いた。dGTPの存在下でこのフラグメントをTfl DNAポリメラーゼで処理し、3’末端に1個のG尾部を付加した。これをSpeIでさらに消化し、フラグメントの右側からlacZ領域を除去した。第3のフラグメントには、クロラムフェニコール耐性遺伝子に続いて、マルチクローニング部位(MCS)に隣接するlacZ領域を含有する〜1.3kbの領域を用いた。プライマーLacE-SL1-F(配列番号29)およびCamTonB-Rev(配列番号32)を用いるPCRによりこのフラグメントをNZAhdから増幅し、次いでこれをSpeIおよびBglIIで消化した。第4のフラグメントには、右テロメアを含有するNZANの1.3kbのBglIIフラグメントを用いた。これら4つのフラグメントを含有する連結反応物でE. CLONI 10G-Ptel細胞を形質転換し、NZCK3を含有する組換え体を、クロラムフェニコールおよびカナマイシンを含有するプレート上で選択した。
b)NZOCの構築
左アームに選択マーカーとして複製起点を用い、右アームに選択マーカーとしてクロラムフェニコール耐性遺伝子を用いる直鎖状ベクターを構築した。3つのフラグメントの連結反応により、このベクター(NZTC2(配列番号7)と呼ぶ)を作製した。第1フラグメント(最左フラグメント)にはNZASA(配列番号4)からの10kbのXbaIフラグメントを用いたが、これは左テロメア、telN遺伝子およびrepA遺伝子を含有する。dNTPの存在下でT4DNAポリメラーゼを用いてXbaI制限部位を平滑にした。lacZ遺伝子および隣接DNAを含有する第2フラグメントを、プライマーT7-RC-Del(配列番号8)およびpCmOR(配列番号9)を用いるPCRでNZCK3から増幅し、AscIIで消化した。第3フラグメントには、クロラムフェニコール耐性遺伝子および右テロメアを含有する、NZCK3からの〜2.2kbのAscIフラグメントを用いた。これらのフラグメントの連結反応物でE. CLONI 10G iTel細胞(実施例1において調製)を形質転換し、クロラムフェニコールを含有するアガロース上にプレーティングした。正しいNZTC2クローンは配列決定により確認した。
NZTC2はrepA遺伝子にAhdI部位を含有していた。この部位を欠く誘導体を3つのフラグメントから作製した。第1(最左)フラグメントには、左テロメア、telN遺伝子およびrepA遺伝子の一部を含むNZAhd(配列番号5)の7.8kbのAhdIフラグメントを用いた。第2フラグメントには、AhdI部位を破壊する変異を導入する順方向プライマーとしてNZg7847a-F2(配列番号10)およびNZg7847a-F3(配列番号11)の混合物を用い、逆方向プライマーNZ-RevB(配列番号12)を用いてPCRによりNZTC2から増幅したおおよそ4.5kbの領域を用いた。このフラグメントを、順方向プライマーとしてNZg7847a-F2、逆方向プライマーとしてNZ-RevA(配列番号13)およびNZ-RevC(配列番号14)の混合物を用いて再増幅した。このフラグメントをdGTPの存在下でTfl DNAポリメラーゼで処理し、末端に1個の3’Gオーバーハングを付加し、SwaIでさらに消化してフラグメントの右側に平滑部位を生成させた。第3のフラグメントには、右テロメアを含有するNZTC2の2.2kbのSwaIフラグメントを用いた。これらの3つのフラグメントの連結反応物でE. CLONI BigEasy TSA細胞を形質転換し、NZOCを含有する組換え体(“NZTC3”または“pJAZZ-OC”とも呼ぶ)(配列番号2)をクロラムフェニコールを含有するプレート上で選択した。配列決定により正しいクローンを確認した。
実施例3
テトラヒメナ・サーモフィラ(Tetrahymena thermophila)6〜20kbゲノムライブラリーの構築
T.サーモフィラ(T. thermophila)は、自由生活性で広く分布する原生動物繊毛虫である。この生物の細胞、構造および機能の複雑さはヒトおよび他の後生動物細胞のそれと匹敵する。その大核(体細胞性)ゲノムは160Mbからなり、in vivoで〜300のサブ染色体フラグメントに加工される。>6kbのインサートを用いてライブラリーを構築するすることは、このゲノムに関しては極めて困難であるが、おそらくAT含量が75〜85%であるからと考えられる。
直鎖状pNZKAベクターを用いて、大きなATリッチフラグメントのライブラリーをクローニングすることに成功した。断片化し末端を修復した大核DNAをpNZKAの平滑消化物に連結することにより、テトラヒメナゲノムの5〜10kbのフラグメントのライブラリーを作製した。分析した54個のクローンのうち、51個が予期されたサイズのインサートを有していた(データは示さず)。
同様に、我々が知る限りで、今までクローニングされたテトラヒメナフラグメントの中で最も大きいライブラリーを表す6〜20kbのクローンを用いてライブラリーを作製するのに成功した。ゲノムDNAを6〜20kbに断片化し、末端を修復し、ゲル精製し、pNZKAのSmaI消化物に連結した。DH10B31sop細胞に連結反応物をエレクトロポレーションで導入し、カナマイシンおよびアンピシリンを含有するプレート上で選択した。これらのクローンは選択プレート上で大きなコロニーを形成し、培地中で活発に増殖し、標準的なアルカリ溶解ミニプレップ法により比較的高収量の直鎖状プラスミドDNAが得られた。各ミニプレップからのDNAの5分の1をNotIと共にインキュベートし、インサートを切り離してゲル電気泳動にかけた。結果を図2に示す。ベクターバンドは12kbおよび2.2kbである。インサートは6〜20kbである。さらにまた、配列決定反応には、直鎖状ベクターを用いて作製されたクローンからのDNA150ngのみを必要とした。
実施例4
Oxytricha trifallaxの8〜20kbのゲノムライブラリー
クローニングすることが大変困難であった他のゲノムには、原生動物繊毛虫であるOxytricha trifallaxのゲノムがある。オキシトリカ(Oxytricha)の体細胞性大核中のDNAは、in vivoでおよそ2〜40kb(75%AT)の“ナノ染色体”に加工され、各フラグメントは通常単一遺伝子を含有する。環状ベクターを用いて、ゲノム配列決定のためにあらかじめこのDNAのライブラリーを作製する試みを行った結果、クローニングされた最大のインサートは〜6kb未満であった。
オキシトリカ大核ゲノムのlarge-insertゲノムライブラリーを作製するために、DNAの末端を修復して平滑末端を生成させ、8〜20kbにサイズを選択し、pNZKAに連結した。連結反応物で、Sop BA領域を含有する大腸菌DH10B31sop細胞および、実施例1のように作製されるE. CLONI 10G-Ptelを形質転換した。形質転換細胞を、カナマイシンおよびアンピシリンを含有する培地にプレーティングし、ベクターの両アームに基づいて選択した(細胞株は両方ともクロラムフェニコール耐性である)。E. CLONI 10G-PtelはDH10B31sop細胞よりもおおよそ12倍のコロニーを生じた。各ライブラリーについて、18クローンを分析した。図3に示すように、15〜17個のクローンは8〜20kbのインサートを有していた。ベクターバンドは12kbおよび2.2kbである。このサイズのオキシトリカインサートを有するライブラリーは、以前には作製されなかった。
実施例5
ニューモシスチス・カリニの8〜20kbのゲノムライブラリーの構築
免疫不全患者における重篤な肺炎の原因菌であるニューモシスチス・カリニ(Pneumocystis carinii)由来のゲノムDNAをクローニングするためにpNZKAベクターを用いた。P.カリニ(P. carinii)感染の疫学はよくわかっておらず、そのライフサイクルは不明のままである。P.カリニゲノムの大規模配列決定により、病原性の分子的基盤ならびに薬剤およびワクチンの標的のスピード開発を解明するのに役立つであろう。P.カリニDNAを環状ベクターにクローニングすることは、小さいフラグメントであっても困難であることがわかっている。
P.カリニゲノムDNAを8〜20kbに断片化し、末端を修復して平滑末端を生成させ、サイズを8〜20kbに選択し、SmaIで消化したpNZKAに連結した。連結反応物で大腸菌DH10B31sopおよびE. CLONI 10G-Ptelを形質転換した。複製起点を選択マーカーとして首尾よく使用できることを示すために、カナマイシンおよびアンピシリンを含有する培地(図4A)ならびにアンピシリンのみを含有する培地(図4B)にライブラリーをプレーティングした。分析のために、コロニーを無作為に選択した。図4における各レーンは、ミニプレップ1.5mlからのDNAの1/5を含有し、NotIで切断してインサートを切り離した。ベクターバンド12kbおよび2.2kbである。インサートは8〜20kbであった。図4に示すように、カナマイシンの存在にかかわらず、正しい構造を有するコロニー数および組換え体クローンのフラクションの両方は不変である。この結果は、複製起点が、クローンの生存性に必須であるので、選択マーカーとして役立つことができることを示している。従って、複製起点を含有する、ベクターの左アームに基づく薬剤選択は必要がない。
実施例6
右アームに選択マーカーを導入することにより、非組換え体はほとんど生じない
ベクターの右アームの選択マーカーの効果を調べるために、lacZα遺伝子フラグメントを含有する2kbのコントロールインサートをベクターpNZKCに連結した。このベクターおよびこのインサートをNotIで消化し、このベクターをさらに脱リン酸化処理した。このベクター調製物を自己連結させるかまたは連結させなかった(すなわち、リガーゼまたはインサートDNAなしでインキュベートされた)。連結反応物でアンピシリン耐性のE. CLONI 10G-iTel細胞を形質転換し、クロラムフェニコールにプレーティングし、ベクターの右アームに基づいて選択した。同様に、連結反応物でクロラムフェニコール耐性のE. CLONI 10G-Ptel細胞を形質転換し、ベクターの右アームに基づく選択をいずれも削除した。
ベクターの右アームに基づく選択を可能にする細胞への形質転換により、0.1%未満の非組換え体しか生じなかったが、表1に示すように、右アーム選択の欠如により、ほぼ20%の非組換え体(白色コロニー)を生じた。
Figure 2009523428
実施例7
イモ貝cDNAライブラリー構築
クローニングが特に難しいインサートの例には、イモ貝(Conus sp.)の毒管(poison duct)由来のcDNAがある。イモ貝毒管RNAからcDNAを生成させ、末端を修復し、0.3〜0.7kb(“セットA”)および0.7〜2kb(“セットB”)のサイズ範囲に分画した。cDNAにリンカーを連結し、リンカーに相補的なプライマーを用いてPCRによりこれを増幅した。PCR産物をpNZKCに連結し、E. CLONI iTel細胞を形質転換し、カナマイシンおよびクロラムフェニコール培地上にプレーティングした。無作為に選択したコロニーからプラスミドDNAを単離し、NotIで消化し、ゲル電気泳動でサイズを分画した。
図5に示すように、直鎖状ベクターは予期された0.3〜2kbのサイズ範囲のクローンのみを形成した。従来の環状プラスミドへのイモ貝cDNAの連結反応および形質転換は、主に空ベクターまたは<100bpのインサートをもたらした(データは示さず)。
実施例8
左アームのみを含有する直鎖状ベクターは環状プラスミドに変換される
pNZKCをSmaIで消化し、lacZスタッファー領域および右アームから離して12kbの左アームをゲル精製した。断片化(Hydroshear device(Gene Machines, San Carlos, CA)を用いて)により、Thauera selenatisのゲノムから単離したDNAの1〜2kbのフラグメントを調製した。フラグメントの末端を修復し、ゲル精製し、pNZKCの精製左アームのSmaI消化物に連結した。連結反応物をE. CLONI 10G-iTel細胞にエレクトロポレーションで導入し、カナマイシンを含有するプレート上で選択した。分析のために18個のカナマイシン耐性コロニーを無作為に選択し、ミニプレップ1.5mlからのDNAの1/5を、アガロースゲル電気泳動を用いて分離した。
結果(図6に示す)は、18個のクローンのうち少なくとも10個が環状プラスミド(スーパーコイル形および弛緩型環状形を示す)に変換されたことを示し、残りの8個のクローンは直鎖状と思われた。18例のすべてにおいて、クローンはクロラムフェニコールを含有するプレート上で生存することができず、それらが右アームを欠いていることを示していた。図6において、異常クローンは“*”で示されている。
実施例9
左および右アームの両方に基づく選択は直鎖状ベクターに好都合である
テトラヒメナゲノムDNAを4〜10kbに断片化し、末端を修復し、ゲル精製し、pNZKCのSmaI消化物の左および右アームに連結した。連結反応物をE. CLONI 10G-iTel細胞にエレクトロポレーションで導入し、カナマイシンのみを含有するプレート(ベクターの左アームのみに基づいて選択する)またはカナマイシンおよびクロラムフェニコールを含有するプレート(ベクターの両アームに基づいて選択する)上で選択した。分析のためにコロニーを無作為に選択し、ミニプレップ1.5mlからのDNAの1/5をNotIで切断してインサートを切り離し、アガロースゲル電気泳動を用いて分離した。
図7に示すように、右アームがクロラムフェニコールにより選択されていない場合、18個のクローンのうち8個のクローンは予期される2.2kbのNotIフラグメント(これはベクターの右アームを表す)を欠く直鎖状分子であると思われ(図7、上パネル)、クローンのうち2個(レーン6および10)は直鎖状ベクターではなく環状プラスミドであると思われた。それに引き換え、右アームがクロラムフェニコールによる選択を受けている場合、18個のクローンのうち17個は予期される2.2kbのNotI右アームフラグメントを含有していた(図7、下パネル)。複製起点はベクターの生存性に必須であるため、左アームは、用いられる抗生物質にかかわらず選択を受けている。
実施例10
telN遺伝子を含有する株での改善された形質転換効率
Oxytricha trifallaxおよびニューモシスチス・カリニからのゲノムDNAを8〜20kbに断片化し、末端を修復し、ゲル分画し、精製した。直鎖状ベクターpNZKAをSmaIで消化し、脱リン酸化した。調製されたゲノムDNAのそれぞれのおおよそ300ngを50ナノグラムの調製された直鎖状ベクターに別々の反応で連結した。連結反応物を熱失活させ、エレクトロコンピテントにした宿主株を形質転換した。宿主株には、telNプロテロメラーゼコード配列を含有するE. CLONI 10G-PtelおよびtelNコード配列を含有しないDH10B31sop細胞を含めた。形質転換細胞の10分の1を、カナマイシン、アンピシリン、XGALおよびIPTGを含有する培地上にプレーティングした。終夜増殖させた後、各連結反応物はtelN株において〜12倍多いコロニーを生じた(表2)。
Figure 2009523428
別の実験において、pUC19 DNAを用いてエレクトロポレーションを行った場合、2つの宿主株は同様な形質転換効率を有することが示されたが、これは2つの株がDNAを取り込む能力が同様であることを示している。数ラウンドの冷凍、希釈および再増殖後に、直鎖状ベクターは細胞の両方の株に維持されていたが、これは両方の株において直鎖状プラスミドが安定に維持されていることを示している。
実施例11
単一抗生物質耐性直鎖状ベクターの構築および使用
ピロミセス(Piromyces)種E2株は、ツボカビ門(Chytridiomycota)の真菌である。この微生物由来のゲノムDNAはおおよそ85%ATであり、2kb程度の小さいフラグメントのクローニングであっても標準的な環状ベクターにおいては大変困難である。それに引き換え、2〜6kb程度の大きいこのゲノムのフラグメントはNZOCベクターに首尾よくクローニングできる。
PiromycesのDNA10マイクログラムをHydroShear Device(Gene Machines)を用いて物理的に2〜6kbに断片化し、末端をDNATERMINATOR(登録商標)キット(Lucigen, Middleton, WI)を用いて修復した。ゲルデンシトメトリーソフトウェア(Alpha Innotech, San Leandro, CA)DNA質量標準に対してDNAを定量し、pJAZZ(登録商標)OCベクターの平滑消化物に連結した。連結反応物は、おおよそ100ngのインサートDNA、50ngの消化pJAZZR OC、リガーゼ緩衝液および2 U T4 DNAリガーゼを含有していた。反応物を室温で2時間インキュベートし、70℃で15分間熱処理し、エレクトロコンピテントE. CLONI(登録商標)BIGEASY(登録商標)TSA細胞を形質転換するために用いた。12.5ug/mlクロラムフェニコール、XGALおよびIPTGを含有する寒天プレート上に細胞を撒いた。標準的なアルカリ溶解および珪藻土への結合を用いる精製を用いて直鎖状プラスミドDNAを単離した。DNAをNot Iで消化し、アガロースゲル電気泳動で分析した。図8に示すように、ほぼすべての組換えクローンが2〜6kbのインサートを含有していた。12個のサンプルの配列を決定し、これらがPiromyces由来のゲノムDNAを含有していることを確認した。これらのクローンのあるもののAT含量は96%に達した。以前には報告されたことのないこのレベルのAT含量のクローンが得られた。
実施例12
直鎖状ベクターにおける二重インサートクローニング
本実施例により、直鎖状ベクターにおける二重インサートライブラリーの構築を説明する。インサートDNAは、製造業者の推奨に従って、Phusionポリメラーゼ(New England Biolabs)を用いるPCRにより大腸菌ゲノムDNAから増幅した10kbの確定したフラグメントであった。PCR増幅には以下のプライマーを用いた。
プライマー1:TTCTTATGGCCAGGGAGGCCGCTCTGGGTATAAGCGTAAGG(配列番号33)
プライマー2:AACTAGTGGCCAGGGAGGCCATCAGCCAGGCGACGAATCAG配列番号34)
プライマー3:GGACTTGGGCCACCCAGGCCTTGTAAATGCAGTATGGATTG(配列番号35)
プライマー4:ATCCTAGGGCCACCCAGGCCAGATATTGGAGAGTTGCACCAG(配列番号36)
プライマー1および2を用いてPCR産物の1つ(“EC39”と呼ぶ)を増幅し、プライマー3および4を用いて第2の産物(“EC40”)を増幅した。これらのプライマーはまた、制限酵素SfiIの認識部位(上記で下線を施した)を含有し、それらは消化後、二本鎖DNA増幅産物の3’鎖に3塩基対のオーバーハングを残す。
EC39はSfiIで消化すると-CCCの3’伸長を生じ;EC40のSfiIによる消化により-GGGの3’伸長が作製される。従って、EC39インサートの消化産物は、それ自身に連結してコンカテマーを形成することができない。同様に、EC40の消化産物は自己連結できない。大部分のゲノムにおけるSfiI部位の稀少性に矛盾せず、増幅のために選択された領域は内部のSfiI部位を有さない。10kbのSfiI消化産物を精製し、定量した。
ベクターpNZ-Sfi(配列番号37)は、pNZKAのマルチクローニング部位およびlacZスタッファーを、制限酵素SfiIに対する部位を含む異なるマルチクローニング部位に隣接するlacZスタッファーを含有するDNAフラグメントで置き換えることによりpNZKAから誘導した。プライマーlacFSfi(配列番号38)およびlacRSfi(配列番号39)を用いるベクターNZAhdを用いるlacZ領域のPCR増幅により、新しいlacZスタッファーを生成させた。PCRを実施する前にT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いてこれらのプライマーをリン酸化した。得られたPCR産物を精製し、ベクターNZAhdのSmaI消化物に連結した。連結反応物でE. CLONI GTS-8細胞を形質転換し、アンピシリン、カナマイシン、XGALおよびIPTGを含有するアガロースプレート上で形質転換体を選択した。正しいpNZ-Sfiクローンを配列決定により確認した。
SfiIを用いる消化により-GGGの3′伸長を有する10kbの左アーム、-CCCの3′伸長を有する2kbの右アームおよび0.5kbのlacZスタッファーフラグメントを生じるようにベクターのSfiI部位を設計した。左アームの-GGG伸長はEC39のSfiI消化により作製される-CCC伸長と適合し、同様に、右アームはEC40のSfiI消化物と適合する。ベクターアームの再連結反応を防ぐためにCalf Intestinal Phosphataseで処理して、ベクターのSfiIフラグメントから5’リン酸塩を除去した。消化したベクターフラグメントをアガロースゲルで分画し、バンドをそれぞれ切り離し、精製し、定量した。
図9で図解されるように二重インサートクローニングを行った。SfiIで消化した左アームをSfiIで消化した等モル量のEC39と連結した。別の連結反応物において、SfiIで消化した右アームをSfiIで消化した等モル量のEC40と連結した。連結反応を少なくとも50%完了まで進行させた後、2つの連結反応物のアリコートを互いに混合した。左アーム/EC39分子とEC40/右アーム分子との連結反応を促進するためにさらにインキュベーションを行った。最終連結反応物を熱失活させ、この産物でGTS8細胞(Lucigen, Middleton, WI)を形質転換した。自己環状化の頻度を測定するために、Sfi-Iで消化された左および右ベクターアームのみを用いてさらに連結反応を行った。
直鎖状ベクターの両アームに基づいて選択するために、カナマイシンおよびアンピシリンを含有する培地上に形質転換体の10分の1をプレーティングした。lacZスタッファーフラグメントを含有するアンカットベクターまたは組換え体に対してスクリーニングするために、プレートにはXGAL+IPTGもまた含有させた。二重インサート連結/形質転換反応物は2200個の白色コロニーおよび26個の青色コロニーを形成した。自己環状化/形質転換反応物は208個の白色コロニーおよび23個の青色コロニーを生じた。
二重インサートプレートから30個の白色コロニーをランダムに選択し、カナマイシンおよびアラビノースを含有するTB培地中で終夜増殖させた。プラスミドDNAを標準的なアルカリ溶解法で単離し、SpeI、NgoMIVまたはNotIで制限消化した。SpeIは左アームのクローニング部位の近くに単一の認識部位を有し、EC40フラグメント内に1つの部位を有する。NgoMIVはEC39フラグメント内に単一の部位を有するが、ベクターまたはEC40内に部位は有さない。NotIはクローニング部位のそれぞれの近くに部位を有し、EC39またはEC40内に部位を有さない。従ってNotIは二重インサートの全体を切り離す。分析した30個のクローンのすべてにおいて、これらの酵素を用いる制限酵素分析により、図10に示すように、予期される左アーム-EC39-EC40-右アームの相対位置に各フラグメントおよび各ベクターアームの厳密に1つのコピーが存在することが確認された。
実施例13
ファージPRD1からの直鎖状ベクターの作製
ファージPRD1由来のゲノムDNAをBsrBIで消化し、ゲノムDNAから左テロメアおよびその関連末端タンパク質を除去する。アガロースゲル電気泳動により3kbのBsrBIフラグメントを単離する。ファージゲノムDNAの他のアリコートをXmnIで消化し、右テロメアおよびその関連タンパク質を除去する。アガロースゲル電気泳動により1kbのXmnIフラグメントを単離する。選択マーカーを含有し、場合により可視スクリーニングマーカーを含有するDNAフラグメントを増幅するためにPCRを用いる。TAmpTおよびTerZセグメントを含有するこのようなフラグメントの作製は実施例2に記載されている。
ファージPRD1のDNAポリメラーゼ(GenBank ACCESSION NC001421)を、プライマーPRD1POL-F(配列番号40)およびPRD POL R(配列番号41)を用いるPCRで増幅する。1.7kbのPCR産物を精製し、SphIで消化し、細菌発現ベクター(例えば、pET24、Novagen)にクローニングする。
PRD POL発現ベクターでE. CLONI細胞を形質転換し、PRD1ポリメラーゼ遺伝子を発現しているクローンを配列分析により確認する。アクリルアミドゲル状のおおよそ65kDのさらなるバンドの存在によりPRD1ポリメラーゼの発現を確認する。
あるいは、例えば、実施例1においてtelN遺伝子の組込みのために説明した方法を用いて、PRD1ポリメラーゼ遺伝子をプロモーター配列に付加し、E. CLONI細胞のゲノムに組み込む。
標準法によりPRD1発現クローンはコンピテントにされる。1kbのBsrBIフラグメント、TAmpT-TerZフラグメントおよび3kbのXmnIフラグメントを含有する連結反応物でコンピテントPRD1発現細胞を形質転換する。青色を発現し、アンピシリン耐性のコロニーをさらなる増殖のために選択する。プラスミドDNAの制限酵素分析および配列決定によりPRD-AmpLacZベクターの存在を確認する。
N15ファージ、pG591プラスミドならびに本発明の3つの直鎖状クローニングベクター(pNZKA、pNZKCおよびpNZOC)の概略図である。図のように、pNZKA、pNZKCおよびpNZOCは、複製およびコピー数の調節に必須であるtelN、repAおよびcB遺伝子を持っている。プロモーターは矢印で示され、転写ターミネーターは“T”で示される。黒丸はテロメアを表す。一組のマルチクローニング部位(MCSs)に間に位置しているlacZ“スタッファー”フラグメントは、インサートへの連結反応の前に除去される。 本発明の直鎖状ベクターであるpNZKAにより作製されたテトラヒメナゲノムDNAクローンのクローンNotI消化物を分離するために用いた電気泳動ゲルの写真である。それぞれ12および2.2kbに、ベクターの左および右アームの移動が示されている。 本発明の直鎖状ベクターであるpNZKAにより作製されたオキシトリカゲノムクローンのNotI消化物を分離するために用いた電気泳動ゲルの写真である。 本発明の直鎖状ベクターであるpNZKAにより作製されたニューモシスチスゲノムクローンのNotI消化物を分離するために用いた電気泳動ゲルの写真である。図4Aは、カナマイシン+アンピシリンで選択した結果を示し、図4Bはアンピシリンのみで選択した結果を示す。 pNZKCベクターに挿入したイモ貝cDNAライブラリーのNotI消化物を分離するために用いた電気泳動ゲルの写真である。セットAは0.3〜0.7kbのインサートを示し、セットBは0.7〜2kbのインサートを示す。“M”と表示したレーンはサイズマーカーを示し、“V”は空ベクター対照を示す。 pNZKCの精製左アームの存在下で連結したアンカットThauera selenatisゲノムDNAクローンを分離するために用いた電気泳動ゲルの写真である。環状分子で移動する異常クローンが示されている。 pNZKCにより作製され、カナマイシンプレート(上パネル)またはクロラムフェニコールプレート(下パネル)により選択されたテトラヒメナゲノムDNAクローンのNotI消化物を分離するために用いた電気泳動ゲルの写真である。環状または欠失直鎖状分子で移動する異常クローンが示されている。直鎖状ベクターの左および右アームの移動が示されている。 pNZOCにより作製されクロラムフェニコールプレートにより選択されたピロミセス種E2株ゲノムDNAクローンのNotI消化物を分離するために用いた電気泳動ゲルの写真である。 本発明の直鎖状ベクター(pNZ-Sfi)を用いる二重インサートクローニングのプロセスを示す概略図である。ベクターおよびインサートフラグメントは、原寸どおりには描かれていない。 NZSfi二重インサート組換え体の制限酵素消化物を分離するために用いた電気泳動ゲルの写真である。 予期される制限フラグメントを示す概略図である。

Claims (17)

  1. 大腸菌バクテリオファージ由来の直鎖状クローニングベクターであって、
    a)左テロメアおよび第1選択マーカーを含む左アーム;
    b)右テロメアおよび第2選択マーカーを含む右アーム;ならびに
    c)左アームと右アームの間に位置するクローニング領域
    を含む前記直鎖状クローニングベクター。
  2. クローニング領域に隣接する一組の転写ターミネーター領域さらに含み、前記転写ターミネーター領域が同一または異なり、かつ、一方向性または二方向性である、請求項1記載のベクター。
  3. 第2選択マーカーの後ろに転写ターミネーター領域をさらに含む、請求項2記載のベクター。
  4. クローニング領域がマルチクローニング領域を含む、請求項1記載のベクター。
  5. クローニング領域がスタッファー領域を含む、請求項1記載のベクター。
  6. スタッファー領域が、同一または異なる制限部位の一つの組に隣接するレポーター遺伝子を含む、請求項5記載のベクター。
  7. 請求項1記載のベクターを含む宿主細胞。
  8. プロテロメラーゼをコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む、請求項7記載の宿主細胞。
  9. プロテロメラーゼをコードするポリヌクレオチド配列が宿主細胞ゲノムに組み込まれる、請求項8記載の宿主細胞。
  10. 分配タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列、アンチリプレッサーをコードするポリヌクレオチド配列またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項8記載の宿主細胞。
  11. プロテロメラーゼをコードするポリヌクレオチド配列であって、宿主細胞ゲノムに組み込まれる前記ポリヌクレオチド配列を含む組換え宿主細胞。
  12. 分配タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列、アンチリプレッサーをコードするポリヌクレオチド配列またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項11記載の組換え宿主細胞。
  13. 請求項1記載の直鎖状クローニングベクターおよび請求項11記載の組換え細胞を含むキット。
  14. 第1末端および第2末端を有するポリヌクレオチド配列のクローニング法であって、
    a)請求項1記載の直鎖状クローニングベクターを加工して左アームから右アームを切り離し;
    b)ポリヌクレオチド配列の第1末端を右アームに連結し、ポリヌクレオチド配列の第2末端を左アームに連結して連結産物を得;
    c)連結産物で宿主細胞を形質転換し;
    d)培地上で形質転換宿主細胞を生育させ、直鎖状クローニングベクターの第1および第2選択マーカーに基づいて選択を行うこと
    を含む前記クローニング法。
  15. ステップc)で用いる宿主細胞が請求項11記載の組換え宿主細胞である、請求項14記載の方法。
  16. 少なくとも2つの異なるポリヌクレオチドのクローニング法であって、
    a)ポリヌクレオチドのそれぞれを加工してポリヌクレオチドの両端に連結配列を付加し;
    b)請求項1記載の直鎖状クローニングベクターを加工して左アームから右アームを切り離し、各アームのテロメアの反対側の末端に連結配列を付加し;
    c)ポリヌクレオチドならびに右および左アームを含む連結産物を調製し、ここで各アームは互いに不連続であり、ポリヌクレオチドにより切り離されており;
    d)連結産物で宿主細胞を形質転換し;
    e)培地上で形質転換宿主細胞を生育させ、直鎖状クローニングベクターの第1および第2選択マーカーに基づいて選択を行い、ここで宿主細胞を増殖させることによりポリヌクレオチドをクローニングすること
    を含む前記クローニング法。
  17. ベクターにクローニングされたポリヌクレオチドの存在および配向を立証するために、クローニングされたポリヌクレオチドを制限酵素処理することをさらに含む、請求項16記載の方法。
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