JP2007258716A - 露光装置、放射供給及びデバイス製造方法 - Google Patents

露光装置、放射供給及びデバイス製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】比較的照射量が多い放射パルスの照射量を安定的に制御するシステムを提供する。
【解決手段】パルス放射ビームを調整するよう構成されている照明系と、前記パルス放射ビームを少なくとも第1と第2の分割パルス放射ビームとに分割するよう構成されている放射ビーム分割部と、前記パルス放射ビームまたは前記分割パルス放射ビームの放射パルスの照射量を測定するよう構成されているセンサと、前記センサにより放射パルスの照射量が測定された後当該放射パルスを遅延させるよう構成されている光遅延線と、前記センサにより測定された放射パルスの照射量に基づいて、前記第1の分割パルス放射ビームの放射パルスの照射量を調整するよう構成されている第1のパルス放射変調器と、前記第2の分割パルス放射ビームの放射パルスの照射量を調整するよう構成されている第2のパルス放射変調器と、を備えることを特徴とする露光装置。
【選択図】図2

Description

本発明は、露光装置、放射供給及びデバイス製造方法に関する。
露光装置は、所望のパターンを基板または基板の一部に転写する機械である。露光装置は例えばフラットパネルディスプレイや集積回路(IC)、微細構造を有する他のデバイスの製造に用いられる。通常例えばマスクまたはレチクルと称されるパターニング用デバイスを使用して、フラットパネルディスプレイ(または他のデバイス)の各層に対応した回路パターンを形成する。このパターンは、例えば、基板に塗布された照射感応材料(レジスト)層への像形成により(例えばガラスプレートなどの)基板(の一部)に転写される。
パターニング手段を使用して、回路パターンではなく例えばカラーフィルタのパターンやドットのマトリックス状配列などの他のパターンを形成する場合もある。パターニング用デバイスは、それぞれ個別に制御可能である素子の配列(以下「個別制御可能素子アレイ」という場合もある)を備えるパターニングアレイをマスクの代わりに備えてもよい。このような方式ではマスクを使用する方式に比べて迅速かつ低コストにパターンを変更することができる。
フラットパネルディスプレイの基板は長方形であってもよい。この種の基板を露光するための露光装置は、長方形基板の幅全体またはその一部(例えば全幅の半分)をカバーする露光空間を有するように設計される。この露光空間の最下部で基板が走査されるとともに、マスク又はレチクルが基板の走査に同期して放射ビームに対して走査される。このようにして基板にパターンが転写される。露光空間が基板の幅全体をカバーする場合には1回の走査で露光が完了する。露光空間が例えば基板の幅の半分をカバーする場合には、1回目の露光後に横方向に基板を移動させ、通常は基板の残りを露光するための走査をもう一度行う。
いわゆるマスクレス露光装置(つまり、装置内ではマスクがプログラム可能なパターニングアレイによって置き換えられている)によるデバイスの製造では、パルス放射源が用いられてもよい。放射パルスの合間に、プログラム可能なパターニングアレイ上にプログラムされたパターンが更新されてもよく、パターンが付与された放射ビームに対して基板が移動する。その結果、一連のパターン(通常、各パターンは異なる)が基板上に投影される。このような方式では、形成された像全体の質を許容できる水準とするため、連続的な放射パルスの各照射量をできる限り同じにすることが望ましい。それにより、異なるパルスによって基板上に投影された各像の違いが最小化される。例えば、仮に放射系における第1のパルスの照射量が第2のパルスの照射量よりも多い場合、各照射による所望のパターンが同一であっても、第1のパルスにより基板上に投影された像のクリティカルディメンジョン(CD)は、第2のパルスにより基板上に投影された像のクリティカルディメンジョンと異なる。
残念ながら、必要な放射波長とパルス周波数とを備えるパルス放射ビームを提供する一般的に公知の放射源は、パルスの照射量を安定させるのに必要な放射パルスを提供できない。そのため、放射源により放射パルスが生成された後で、パルス放射の照射量を調整する機構が既に提案されている。これにより、各パルスの照射量のばらつきを抑制できる。しかし商用デバイスの製造に用いられるマスクレス露光装置では、放射源は、各パルス放射ごとに照射量をできる限り多くする必要がある。パルスの照射量が多いほど、基板上に投影されるパターンの領域が大きくなるからである。このため、パルス放射の照射量が多いほど、基板に投影される像全体の完成時間が短くなる。それにより基板の処理時間はより短くなり、露光装置はより効率的になり、費用対効果はより高くなる。しかしパルス放射の照射量を調整する既に公知の機構は、商用の露光装置用に照射量が十分に高いパルス照射を生成する放射源との使用に適していない。
本発明の実施形態は、パルス放射源からのパルスの照射量を制御するシステムを提供する。当該システムは、露光装置での使用に対して、十分に高い照射量のパルスを生成する放射源とともに用いられてもよい。
本発明の実施形態では、露光装置が提供される。この露光装置は、
パルス放射ビームを調整するよう構成されている照明系と、
そのパルス放射ビームを少なくとも第1の分割パルス放射ビームと第2の分割パルス放射ビームとに分割するよう構成されている放射ビーム分割部と、
パルス放射ビーム、第1の分割パルス放射ビーム及び第2の分割パルス放射ビームのうち少なくとも1つのパルス放射ビームの放射パルスの照射量を定めるよう構成されている少なくとも1つのセンサと、
少なくとも1つのセンサにより放射パルスの照射量が定められた後、放射パルスを遅延させるよう構成されている光遅延線と、
少なくとも1つのセンサにより定められた放射パルスの照射量に基づいて、第1の分割パルス放射ビームの放射パルスの照射量を調整するよう構成されている第1のパルス放射変調器と、
少なくとも1つのセンサにより定められた放射パルスの照射量に基づいて、第2の分割パルス放射ビームの放射パルスの照射量を調整するよう構成されている第2のパルス放射変調器と、
を備える。
本発明の実施形態では、デバイス製造方法が提供される。このデバイス製造方法は、
パルス放射ビームを調整するステップと、
そのパルス放射ビームを少なくとも第1の分割パルス放射ビームと第2の分割パルス放射ビームとに分割するステップと、
パルス放射ビーム、第1の分割パルス放射ビーム及び第2の分割パルス放射ビームのうち少なくとも1つの放射パルスの照射量を定めるステップと、
少なくとも1つの放射パルスの照射量が定められた後、光遅延線により放射パルスを遅延させるステップと、
少なくとも1つの放射パルスに対して定められた照射量に基づいて、第1の分割パルス放射ビームの放射パルスの照射量を調整するステップと、
少なくとも1つの放射パルスに対して定められた照射量に基づいて、第2の分割パルス放射ビームの放射パルスの照射量を調整するステップと、
を含む。
本発明の実施形態では、パルス放射源との使用に適している放射供給系が提供される。この放射供給系は、
パルス放射ビームを少なくとも第1の分割パルス放射ビームと第2の分割パルス放射ビームとに分割するよう構成されている放射ビーム分割部と、
パルス放射ビーム、第1の分割パルス放射ビーム及び第2の分割パルス放射ビームのうち少なくとも1つの放射パルスの照射量を定めるよう構成されている少なくとも1つのセンサと、
センサにより放射パルスの照射量が定められた後、放射パルスを遅延させるよう構成されている光遅延線と、
少なくとも1つのセンサにより定められた放射パルスの照射量に基づいて、第1の分割パルス放射ビームにおける放射パルスの照射量を調整するよう構成されている第1のパルス放射変調器と、
少なくとも1つのセンサにより定められた放射パルスの照射量に基づいて、第2の分割パルス放射ビームにおける放射パルスの照射量を調整するよう構成されている第2のパルス放射変調器と、
を備える。
図1は本発明の一実施形態に係る露光装置を模式的に示す図である。この装置は、照明光学系IL、パターニング用デバイスPD、基板テーブルWT、及び投影光学系PSを備える。
照明光学系(照明器)ILは放射ビームB(例えばUV放射)を調整するよう構成されている。
パターニング用デバイスPD(例えば個別制御可能素子アレイ)は放射ビームを変調する。普通は個別制御可能素子アレイは投影光学系PSに対して位置が固定されるが、あるパラメタに従って正確に位置決めする位置決め装置に接続されていてもよい。
基板テーブルWTは、基板(例えばレジストが塗布された基板)Wを支持するよう構成されており、あるパラメタに従って基板を正確に位置決めする位置決め装置PWに接続されている。
投影光学系(例えば屈折投影レンズ光学系)PSは、個別制御可能素子アレイにより変調された放射ビームを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ又は複数のダイからなる)に投影するよう構成されている。
照明光学系は、屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子、あるいは他の種類の光学素子などの各種の光学素子、またはこれらの組合せを含み、放射ビームの向きや形状、あるいは他の特性を制御するためのものである。
本明細書において「パターニング用デバイス」なる用語は、例えば基板のターゲット部分にパターンを生成する等、放射ビーム断面を変調するのに用い得るいかなるデバイスをも示すよう広く解釈されるべきである。放射ビームに付与されるパターンは、仮に放射ビームのパターンが位相シフトフィーチャあるいはいわゆるアシストフィーチャを例えば含む場合には、基板のターゲット部分に所望されるパターンと厳密に対応していなくてもよい。また、基板に最終的に形成されるパターンは、個別制御可能素子アレイ上に形成されるパターンにどの時点においても対応しないようになっていてもよい。このような事態は、基板の各部に形成される最終的なパターンが所定時間または所定回数の露光の重ね合わせにより形成され、かつこの所定の露光中に個別制御可能素子アレイ上のパターン及び/またはアレイと基板との相対位置が変化する場合に起こりうる。通常、基板のターゲット部分に生成されるパターンは、そのターゲット部分に生成されるデバイス例えば集積回路やフラットパネルディスプレイの特定の機能層に対応する(例えばフラットパネルディスプレイのカラーフィルタ層や薄膜トランジスタ層)。パターニング用デバイスの例としては、レチクル、プログラマブルミラーアレイ、レーザダイオードアレイ、LEDアレイ、グレーティングライトバルブ、及びLCDアレイなどがある。電子的手段(例えばコンピュータ)によりパターンをプログラム可能であるパターニング用デバイスは、例えば複数のプログラム可能な素子を含み、放射ビームの強度を一部変調し得るパターニング用デバイス(例えば1つ前の文章に挙げたものではレチクルを除くすべてのものが該当する)であり、本明細書では総称して「コントラストデバイス」と呼ぶこととする。また、電子的にプラグラム可能であり、複数のプログラム可能な素子を含むパターニング用デバイスが用いられてもよい。このパターニング用デバイスは、放射ビームの一部においてその隣接部に対する位相を変調することにより放射ビームにパターンを付与する。本発明の一実施例ではパターニング用デバイスは少なくとも10個のプログラム可能な素子を備え、または例えば少なくとも100個、少なくとも1000個、少なくとも10000個、少なくとも100,000個、少なくとも1,000,000個、または少なくとも10,000,000個のプログラム可能な素子を備えてもよい。 以下に、これらデバイスの実施例をより詳しく説明する。
[プログラマブルミラーアレイ]
プログラマブルミラーアレイは、粘弾性制御層と反射表面とを有するマトリックス状にアドレス指定可能な表面を備えてもよい。この装置の基本的な原理は、(例えば)反射表面のうちアドレス指定されている区域が入射光を回折光として反射する一方、アドレス指定されていない区域が入射光を非回折光として反射するというものである。適当な空間フィルタを用いることにより、反射光ビームから非回折光を取り除いて回折光だけを基板に到達させるようにすることができる。このようにして、マトリックス状のアドレス指定可能表面にアドレス指定により形成されるパターンに従ってビームにパターンが付与される。なお代替例として、フィルタにより回折光を取り除いて基板に非回折光を到達させるようにしてもよい。同様にして回折光学MEMSデバイスを用いることもできる。回折光学MEMSデバイスは、入射光を回折光として反射する回折格子を形成するよう変形される複数の反射性のリボン状部位を備える。プログラマブルミラーアレイの他の例においては、マトリックス状の微小ミラーの配列が用いられ、各微小ミラーは局所的に電界を適宜付与されることによりまたは圧電駆動手段を使用することにより各々が独立に軸周りに傾斜しうる。繰り返しになるが、ミラーはマトリックス状にアドレス指定可能に構成されており、アドレス指定されたミラーは入射する放射ビームをアドレス指定されていないミラーとは異なる方向に反射する。このようにしてマトリックス状のアドレス指定可能なミラーにより形成されるパターンに従って反射ビームにパターンが付与されうる。必要とされるマトリックス状アドレス指定は、適宜の電子的手段を使用して実行することができる。例えば、米国特許第5,296,891号および第5,523,193号、および国際特許出願WO98/38597およびWO98/33096から、本明細書で参照したミラーアレイについての詳細な情報を得ることができ、その全体をここに引用する。
[プログラマブルLCDアレイ]
この種の構造の実施例は、米国特許第5,229,872号に記載されており、その全体をここに引用する。
露光装置は1つ以上のパターニング用デバイスを備えてもよい。例えば、露光装置は、複数の個別制御可能素子アレイを有し、それぞれの素子が互いに独立に制御されるものであってもよい。この構成においては、個別制御可能素子アレイのうちのいくつかのアレイまたはすべてのアレイが少なくとも1つの照明光学系(または照明光学系の一部)を共有していてもよい。斯かるアレイは当該アレイ用の支持構造及び/または投影光学系(または投影光学系の一部)を共有していてもよい。
本発明の一実施例としては、図1に示される実施形態のように、基板Wは実質的に円形状である。基板Wは周縁部にノッチ及び/または平坦部を有していてもよい。本発明の一実施例としては、基板は例えば長方形などの多角形形状でもよい。本発明の実施例としては、基板の形状が実質的に円形の場合、基板の直径は少なくとも25mmであってもよく、または例えば少なくとも50mm、少なくとも75mm、少なくとも100mm、少なくとも125mm、少なくとも150mm、少なくとも175mm、少なくとも200mm、少なくとも250mm、または少なくとも300mmであってもよい。本発明の一実施例では、基板の直径は長くても500mm、長くても400mm、長くても350mm、長くても300mm、長くても250mm、長くても200mm、長くても150mm、長くても100mm、または長くても75mmである。本発明の実施例としては、基板が例えば長方形などの多角形の場合、基板の少なくとも1辺の長さ、または例えば少なくとも2辺または少なくとも3辺の長さが、少なくとも5cmであってもよく、または例えば少なくとも25cm、少なくとも50cm、少なくとも100cm、少なくとも150cm、少なくとも200cm、または少なくとも250cmであってもよい。本発明の一実施例では、基板の少なくとも1辺の長さが、長くても1000cm、または例えば長くても750cm、長くても500cm、長くても350cm、長くても250cm、長くても150cm、または長くても75cmである。本発明の一実施例では、基板は、長さが約250〜350cmで幅が約250〜350cmの基板である。この基板の厚さは例えば基板材料及び/または基板寸法に応じてある程度変更される。本発明の一実施例では、基板の厚さは、少なくとも50μmであり、または例えば少なくとも100μm、少なくとも200μm、少なくとも300μm、少なくとも400μm、少なくとも500μm、または少なくとも600μmである。本発明の一実施例では、基板の厚さは、厚くても5000μm、例えば厚くても3500μm、厚くても2500μm、厚くても1750μm、厚くても1250μm、厚くても1000μm、厚くても800μm、厚くても600μm、厚くても500μm、厚くても400μm、または厚くても300μmである。基板は露光前または露光後において例えばトラック(典型的にはレジスト層を基板に塗布し、露光後のレジストを現像する装置)、計測装置、及び/または検査装置により処理されてもよい。
本発明の一実施例ではレジスト層が基板に設けられる。本発明の一実施例においては、基板Wはウエハであり、例えば半導体ウエハである。本発明の一実施例ではウエハの材料は、Si(ケイ素)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、SiGeC(シリコンゲルマニウムカーボン)、SiC(炭化ケイ素)、Ge(ゲルマニウム)、GaAs(ガリウムヒ素)、InP(インジウムリン)、InAs(インジウムヒ素)から成るグループから選択される。本発明の一実施例ではウエハはIII−V族化合物半導体ウエハである。本発明の一実施例ではウエハはシリコンウエハである。本発明の一実施例では基板はセラミック基板である。本発明の一実施例では基板はガラス基板である。ガラス基板は例えばフラットパネルディスプレイや液晶ディスプレイの製造に有用である。本発明の一実施例では基板はプラスチック基板である。本発明の一実施例では基板は(ヒトの裸眼で)透明である。本発明の一実施例では基板は有色である。本発明の一実施例では基板は無色である。
本明細書では投影光学系または投影系という用語は、使用される露光光、あるいは液浸露光用液体や真空の利用などの他の要因に関して適切とされるいかなる投影光学系をも包含するよう広く解釈されるべきである。投影光学系には例えば屈折光学系、反射光学系、反射屈折光学系、磁気的光学系、電磁気的光学系、静電的光学系、またはこれらの任意の組み合わせなどが含まれる。以下では「投影レンズ」という用語は、より一般的な用語である投影光学系または投影系という用語と同義に用いられ得る。
投影系は、個別制御可能素子アレイにおけるパターンが基板上にコヒーレントに形成されるように当該パターンの像を形成する。これに代えて投影系は二次光源の像を形成してもよく、この場合個別制御可能素子アレイの各素子はシャッタとして動作してもよい。この場合には投影系は、例えば二次光源を形成し基板上にスポット状に像形成するために、例えばマイクロレンズアレイ(micro lens array、MLAとして知られている)やフレネルレンズアレイなどの合焦用素子のアレイを含んでもよい。本発明の一実施例では合焦用素子のアレイ(例えばMLA)は少なくとも10個の合焦用素子を備え、または例えば少なくとも100個、少なくとも1000個、少なくとも10000個、少なくとも100,000個、または少なくとも1,000,000個の合焦用素子を備えてもよい。本発明の一実施例においては、パターニング用デバイスにおける個別制御可能素子の数と合焦用素子のアレイにおける合焦用素子の数とは等しいか、あるいは、パターニング用デバイスにおける個別制御可能素子の数が合焦用素子のアレイにおける合焦用素子の数よりも多い。本発明の一実施例では、合焦用素子のアレイは、個別制御可能素子アレイにおける1つ以上(例えば2つ以上、または3つ以上、5つ以上、10以上、20以上、25以上、35以上、または50以上)の個別制御可能素子に光学的に連関している合焦用素子を備える。本発明の一実施例では、合焦用素子のアレイは、個別制御可能素子アレイにおける1つ以上の個別制御可能素子に光学的に連関している2つ以上(例えばたいていは各アレイにつき1000以上)の合焦用素子を備える。本発明の一実施例では、MLAは、少なくとも基板に近づく方向及び遠ざかる方向に例えば1以上のアクチュエータを用いて移動可能である。基板に近づく方向及び遠ざかる方向にMLAを移動させることができる場合には、基板を動かすことなく例えば焦点合わせをすることが可能となる。
ここに説明される本装置は反射型(例えば反射型の個別制御可能素子アレイを用いる)である。透過型(例えば透過型の個別制御可能素子アレイを用いる)の装置を代替的に用いてもよい。
露光装置は2つ以上(2つの場合にはデュアルステージと呼ばれる)の基板テーブルを備えてもよい。このような多重ステージ型の装置においては、追加されたテーブルは並行して使用されるか、あるいは1以上のテーブルで露光が行われている間に1以上の他のテーブルで準備工程が実行されるようにしてもよい。
露光装置は、基板の少なくとも一部が「液浸露光用の液体」で覆われるものであってもよい。この液体は比較的高い屈折率を有する例えば水などの液体であり、投影系と基板との間の空隙を満たす。液浸露光用の液体は、例えばパターニング用デバイスと投影系との間などの露光装置の他の空間に適用されるものであってもよい。液浸技術は投影系の開口数を増大させる技術として周知である。本明細書では「液浸」という用語は、基板等の構造体が液体に完全に浸されているということを意味するのではなく、露光の際に投影系と基板との間に液体が存在するということを意味するに過ぎない。
図1に示されるように照明器ILは放射源SOから放射ビームを受け取る。本発明の一実施例では、少なくとも5nm、または例えば少なくとも10nm、少なくとも50nm、少なくとも100nm、少なくとも150nm、少なくとも175nm、少なくとも200nm、少なくとも250nm、少なくとも275nm、少なくとも300nm、少なくとも325nm、少なくとも350nm、または少なくとも360nmの波長を有する放射が供される。本発明の一実施例では、放射源SOにより生成される放射は、長くても450nm、または例えば長くても425nm、長くても375nm、長くても360nm、長くても325nm、長くても275nm、長くても250nm、長くても225nm、長くても200nm、または長くても175nmの波長を有する。本発明の一実施例では、この放射は、436nm、405nm、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、及び/または126nmの波長を含む。本発明の一実施例では、この放射は365nm程度、または355nm程度の波長を含む。本発明の一実施例では、この放射は例えば365nm、405nm、及び436nmの波長を含む広帯域の波長を含む。355nmの波長のレーザ光源を使用し得る。例えば光源がエキシマレーザである場合には、光源と露光装置とは別体であってもよい。この場合、光源は露光装置の一部を構成しているとはみなされなく、放射ビームは光源SOから照明器ILへとビーム搬送系BDを介して受け渡される。ビーム搬送系BDは例えば適当な方向変更用ミラー及び/またはビームエキスパンダを含んで構成される。あるいは光源が水銀ランプである場合には、光源は露光装置に一体に構成されていてもよい。光源SOと照明器ILとは、またビーム搬送系BDが必要とされる場合にはこれも合わせて、放射系と総称される。例えばレーザダイオードアレイやLEDアレイのように、パターニング用デバイス自体が光源である場合には露光装置は、照明系がない構成であってもよいし、または少なくとも簡易的な照明系(例えば放射源SOが省略された照明系)を備えていてもよい。
照明器ILは放射ビームの角強度分布を調整するためのアジャスタADを備えてもよい。一般にはアジャスタADにより、照明器の瞳面における強度分布の少なくとも半径方向外周部及び/または内周部での量(通常それぞれ「シグマ−アウタ(σ−outer)」、「シグマ−インナ(σ−inner)」と呼ばれる)が調整される。加えて照明器ILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の要素を備えてもよい。照明器はビーム断面における所望の均一性及び強度分布を得るべく放射ビームを調整するために用いられる。照明器IL及び追加の関連構成要素は放射ビームを複数の分割ビームに分割するように構成されていてもよい。例えば各分割ビームが個別制御可能素子アレイの1つまたは複数の個別制御可能素子に対応するように構成してもよい。放射ビームを分割ビームに分割するのに例えば二次元の回折格子を用いてもよい。本明細書においては「放射ビーム」という用語は、放射ビームがこれらの複数の分割ビームを含むという状況も包含されるが、これに限定されないものとする。
放射ビームBは、パターニング用デバイスPD(例えば、個別制御可能素子アレイ)に入射して、当該パターニング用デバイスにより変調される。放射ビームはパターニング用デバイスPDにより反射され、投影系PSを通過する。投影系PSはビームを基板Wのターゲット部分Cに合焦させる。位置決め装置PWと位置センサIF2(例えば、干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサなど)により基板テーブルWTを正確に移動させることができる。基板テーブルWTは例えば放射ビームBの経路に異なる複数のターゲット部分Cをそれぞれ位置決めするように移動される。個別制御可能素子アレイ用の位置決め手段が設けられ、例えば走査中にビームBの経路に対してパターニング用デバイスPDの位置を正確に補正するために用いられてもよい。本発明の一実施例においては、ロングストロークモジュール(粗い位置決め用)及びショートストロークモジュール(精細な位置決め用)により基板テーブルWTの移動を実現する。ロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールは図1には明示されていない。本発明の一実施例では基板テーブルWTを移動させるためのショートストロークモジュールを省略してもよい。個別制御可能素子アレイを位置決めするためにも同様のシステムを用いることができる。必要な相対運動を実現するために、対象物テーブル及び/または個別制御可能素子アレイの位置を固定する一方、放射ビームBを代替的にまたは追加的に移動可能としてもよいということも理解されよう。この構成は装置の大きさを小さくするのに役立ち得る。例えばフラットパネルディスプレイの製造に適用可能な更なる代替例として、基板テーブルWT及び投影系PSを固定し、基板Wを基板テーブルWTに対して移動させるように構成してもよい。例えば基板テーブルWTは、実質的に一定の速度で基板Wを走査させるための機構を備えてもよい。
図1に示されるように放射ビームBはビームスプリッタBSによりパターニング用デバイスPDに向けられるようにしてもよい。このビームスプリッタBSは、放射ビームがまずビームスプリッタBSにより反射されてパターニング用デバイスPDに入射するように構成される。ビームスプリッタを使わずに放射ビームをパターニング用デバイスに入射させるようにすることもできる。本発明の一実施例では放射ビームは0度から90度の間の角度でパターニング用デバイスに入射する。または例えば5度から85度の間、15度から75度の間、25度から65度の間、または35度から55度の間の角度であってもよい(図1には90度の例が示されている)。パターニング用デバイスPDは放射ビームBを変調し、再度ビームスプリッタBSに向かって戻るように放射ビームBを反射する。ビームスプリッタBSは変調されたビームを投影系PSへと伝達する。しかしながら放射ビームBをパターニング用デバイスPDに入射させ、そのまま更に投影系PSに入射させるという代替的な構成も可能であることも理解されよう。特に透過型のパターニング用デバイスが用いられる場合には図1に示される構成は必要とはされない。
図示の装置は、望ましい4つのモードで使用することができる。
1.ステップモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンの全体が1回の照射でターゲット部分Cに投影される間、個別制御可能素子アレイ及び基板は実質的に静止状態とされる(すなわち1回の静的な露光)。そして基板テーブルWTがX方向及び/またはY方向に移動されて、異なるターゲット部分Cが露光される。ステップモードでは露光フィールドの最大サイズによって、1回の静的露光で結像されるターゲット部分Cの寸法が制限されることになる。
2.スキャンモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、個別制御可能素子アレイ及び基板は同期して走査される(すなわち1回の動的な露光)。個別制御可能素子アレイに対する基板の速度及び方向は、投影系PSの拡大(縮小)特性及び像反転特性により定められる。スキャンモードでは露光フィールドの最大サイズが1回の動的露光でのターゲット部分Cの(非走査方向の)幅を制限し、走査移動距離がターゲット部分の(走査方向の)長さを決定する。
3.パルスモードにおいては、個別制御可能素子アレイは実質的に静止状態とされ、パルス放射源により基板Wのターゲット部分Cにパターンの全体が投影される。基板テーブルWTが実質的に一定の速度で移動して、放射ビームBは基板上を線状に走査させられる。個別制御可能素子アレイ上のパターンは放射系からのパルス間に必要に応じて更新される。パルス照射のタイミングは、基板上の複数のターゲット部分Cが連続して露光されるように調整される。その結果、基板上の1つの短冊状領域にパターンが完全に露光されるよう放射ビームBにより基板Wが走査されることになる。この短冊状領域の露光を順次繰り返すことにより基板Wは完全に露光される。
4.連続スキャンモードにおいては、変調された放射ビームBに対して基板Wが実質的に等速で走査され、放射ビームBが基板W上を走査して露光するとともに個別制御可能素子アレイ上のパターンが更新されることを除いては基本的にパルスモードと同様である。個別制御可能素子アレイのパターンの更新に同期させるようにした、実質的に一定の放射源またはパルス放射源を用いることができる。
上記で記載したモードを組み合わせて動作させてもよいし、モードに変更を加えて動作させてもよく、さらに全く別のモードで使用してもよい。
リソグラフィでは基板上のレジスト層にパターンが露光される。そしてレジストが現像される。続いて追加の処理工程が基板に施される。基板の各部分へのこれらの追加の処理工程の作用は、レジストへの露光の程度によって異なる。特にこの処理は、所与の線量閾値を超える照射量を受けた基板の部位が示す反応と、その閾値以下の照射量を受けた部位が示す反応とが異なるように調整されている。例えば、エッチング工程においては上記の閾値を超える照射量を受けた基板上の区域は、レジスト層が現像されることによりエッチングから保護される。一方、この閾値以下の照射量を受けたレジストは露光後の現像工程で除去され、基板のその区域はエッチングから保護されない。このため、所望のパターンにエッチングがなされる。特に、パターニング用デバイス内の個別制御可能素子は、パターンに含まれる図形内部となる基板上の区域での露光中の照射量が線量閾値を超えるように実質的に高強度であるように設定される。基板の他の領域は、ゼロまたはかなり低い放射強度を受けるように対応の個別制御可能素子が設定されることにより、線量閾値以下の放射を受ける。
実際には、パターン図形端部での照射量は所与の最大線量からゼロへと急激に変化するわけではない。この照射量は、たとえ図形の境界部分の一方の側への放射強度が最大となり、かつその図形境界部分の他方の側への放射強度が最小となるように個別制御可能素子が設定されていたとしても急激には変化しない。回折の影響により、照射量の大きさは移行領域を介して低下するからである。パターン図形の境界位置は最終的にレジストの現像により形成される。その境界位置は、照射された線量が閾値を下回る位置によって定められる。この移行領域での線量低下のプロファイル、ひいてはパターン図形の境界の正確な位置は、当該図形境界上または近傍に位置する基板上の各点に放射を与える個別制御可能素子の設定により、より正確に制御できるであろう。これは、強度レベルの最大値または最小値を制御するだけではなく、当該最大値及び最小値の間の強度レベルにも制御することによっても可能となるであろう。これは通常「グレイスケーリング」と呼ばれる。
グレイスケーリングによれば、個別制御可能素子により基板に2値の放射強度(つまり最大値と最小値)だけが与えられるリソグラフィーシステムよりも、パターン図形の境界位置の制御性を向上させることができる。本発明の一実施例では、少なくとも3種類の放射強度が基板に投影されてもよく、または例えば少なくとも4種類の放射強度でも、少なくとも8種類の放射強度でも、少なくとも16種類の放射強度でも、少なくとも32種類の放射強度でも、少なくとも64種類の放射強度でも、少なくとも128種類の放射強度でも、または少なくとも256種類の放射強度でもよい。
グレイスケーリングは上述の目的に加えてまたは上述の目的に代えて使用されてもよい。例えば、照射された線量レベルに応じて基板の各領域が2種以上の反応を可能とするように、露光後の基板への処理が調整されていてもよい。例えば、第1の線量閾値以下の放射を受けた基板の部位では第1の種類の反応が生じ、第1の線量閾値以上で第2の線量閾値以下の放射を受けた基板の部位では第2の種類の反応が生じ、第2の線量閾値以上の放射を受けた基板の部位では第3の種類の反応が生じるようにしてもよい。したがって、グレイスケーリングは、基板上での線量のプロファイルが2以上の望ましい線量レベルを有するようにするのに用いることができる。一実施例では、線量のプロファイルは少なくとも2つの所望の線量レベルを有し、または例えば少なくとも3つの所望の線量レベル、少なくとも4つの所望の線量レベル、少なくとも6つの所望の線量レベル、または少なくとも8つの所望の線量レベルを有してもよい。
線量プロファイルの制御は、上述のように基板上の各点が受ける放射強度を単に制御するという方法以外の方法によっても可能である。例えば、基板上の各点が受ける照射量は、各点への露光時間を代替的にまたは追加的に制御することによっても制御することができる。他の例として、基板上の各点は、連続的な複数の露光により放射を受けてもよい。このような連続的複数露光から一部の露光を選択して用いることにより代替的にまたは追加的に各点が受ける照射量を制御することが可能となる。
基板上に要求されるパターンを形成するために、露光処理中の各段階でパターニング用デバイスの各個別制御可能素子を必要な状態に設定する必要がある。よって、この必要状態を表す制御信号が各個別制御可能素子に伝達されなければならない。好ましくは、露光装置はこの制御信号を生成する制御部を含む。基板に形成されるべきパターンは、例えばGDSIIなどのベクトルで規定されるフォーマットで露光装置に供給されうる。デザイン情報を各個別制御可能素子用の制御信号に変換するために、制御部は、1つ以上のデータ処理装置を含む。各データ処理装置は、パターンを表すデータストリームに処理を施すように構成されている。データ処理装置は「データパス」とも総称される。
このデータパス及びデータ処理装置は、次に示す機能の1つ以上を実行するように構成されていてもよい。その機能とは、ベクトルベースのデザイン情報をビットマップのパターンデータに変換すること、ビットマップのパターンデータを必要とされる線量マップ(つまり基板上で必要とされる線量のプロファイル)に変換すること、必要とされる線量マップを各個別制御可能素子用の必要放射強度値に変換すること、及び、各個別制御可能素子用の必要放射強度値を対応する制御信号に変換することである。
図2は、本発明に係る露光装置の一例を示す図である。この実施例は例えばフラットパネルディスプレイの製造に用いることができる。図1に示される構成要素に対応するものには図2においても同じ参照符号を付している。また、基板やコントラストデバイス、MLA、放射ビームなどについてのさまざまな構成例などを含む上述のさまざまな変形例は同様に適用可能である。
図2に示されるように、投影系PSは、2つのレンズL1、L2を備えるビームエキスパンダを含む。第1のレンズL1は、変調された放射ビームBを受け、開口絞りASの開口部で合焦させる。開口部には他のレンズALを設けてもよい。そして放射ビームBは発散し、第2のレンズL2(例えばフィールドレンズ)により合焦させられる。
投影系PSは、拡大された変調放射ビームBを受けるように構成されているレンズアレイMLAをさらに備える。変調放射ビームBの異なる部分はそれぞれレンズアレイMLAの異なる部分を通過する。この変調放射ビームBの異なる部分は、パターニング用デバイスPDの異なる個別制御可能素子に対応している。各レンズMLは変調放射ビームBの各部分を基板W上の点に合焦させる。このようにして基板W上に照射スポットSの配列が露光される。図示されているレンズアレイMLAには8つのレンズMLが示されているだけであるが、レンズアレイは数千のレンズを含んでもよい(パターニング用デバイスPDとして用いられる個別制御可能素子アレイについても同様である)。
図3は、基板W上にどのようにパターンが生成されるのかを模式的に示す図である。図中の黒丸は、投影系PSのレンズアレイMLAによって基板に投影されるスポットSの配列を示す。基板は、基板上での露光が進むにつれて投影系に対してY方向に移動する。図中の白丸は、基板上で既に露光されている露光スポットSEを示す。図示されるように投影系PSのレンズアレイMLAによって基板に投影された各スポットは基板W上に露光スポット列Rを形成する。各スポットSの露光により形成される露光スポットSEの列Rがすべて合わさって、基板にパターンが完全に形成される。このような方式はよく「ピクセルグリッド結像」と称される。
照射スポットSの配列が基板Wに対して角度θをなして配置されている様子が示されている(基板の端部はそれぞれX方向及びY方向に平行である)。これは、基板が走査方向(Y方向)に移動するときに、各照射スポットが基板の異なる領域を通過するようにするためである。これにより、照射スポットSの配列により基板の全領域がカバーされることになる。本発明の一実施例では、角度θは大きくても20°または10°であり、または例えば大きくても5°、大きくても3°、大きくても1°、大きくても0.5°、大きくても0.25°、大きくても0.10°、大きくても0.05°、または大きくても0.01°である。本発明の一実施例では、角度θは小さくても0.001°である。
図4は、どのようにしてフラットパネルディスプレイの基板W全体が複数の光学エンジンを用いて1回の走査で露光されるのかを模式的に示す図である。照射スポットSの配列SAが8つの光学エンジン(図示せず)により形成される。光学エンジンはチェス盤のように2つの列R1、R2に配置されている。照射スポットの配列の端部が隣接の照射スポット配列の端部に(走査方向であるY方向において)少し重なるように形成される。本発明の一実施例では光学エンジンは少なくとも3列、例えば4列または5列に配列される。このようにして、照射の帯が基板Wの幅を横切って延び、1回の走査で基板全体の露光が実現されることとなる。光学エンジンの数は適宜変更してもよい。本発明の一実施例では、光学エンジンの数は少なくとも1個であり、または例えば少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、または少なくとも17個である。本発明の一実施例では、光学エンジンの数は40個未満であり、または例えば30個未満または20個未満である。
各光学エンジンは、上述の照明系IL、パターニング用デバイスPD、及び投影系PSを別個に備えてもよい。あるいは2個以上の光学エンジンが1以上の照明系、パターニング用デバイス、及び投影系の少なくとも一部を共有してもよい。
図5は、本発明の実施形態に用いることができる照射量制御系5を示す。照射量制御系5によりパルス放射の照射量が制御され得る。パルス放射は、パルス放射エミッタ10から照射量制御系5に提供される。パルス放射エミッタ10は、例えば、放射ビームを調整できる放射源SOや照明器ILであってもよい。別の方法として、以下で説明するように、パルス放射の照射量を制御し本発明に係る照射量制御系5は、露光装置内の放射ビームの経路において別の位置に配置されていてもよい。
1つのパルスにおける放射強度は、放射強度センサ11により検出されてもよい。放射強度センサの測定結果から1つのパルスの照射量を定めるため放射強度センサ11は、1つのパルスの期間を通して放射強度を継続的に監視するよう構成されていてもよい。これにより放射強度センサ11は、1つのパルスの総照射量を正確に定めることができる。別の方法として放射強度センサは、例えば、パルス放射の特性を測定するよう構成されていてもよい。総照射量はこの特性から定められる。例えば、パルス放射強度のプロファイル形状が所与の照射量と一定の関係にある場合、この関係を利用することにより決定される照射量は十分に正確な値となり得る。例えば、パルス放射強度の頂点から、または放射強度が所与の閾値を超える1つのパルスの総時間から照射量を定めてもよい。パルス制御部(パルス変調器)12が、例えば前もって設定されたアルゴリズムにより、または前もって設定された参照テーブルを用いることにより放射強度センサ11によって測定された特性から1つのパルスの照射量を定めてもよい。
代替的にまたは追加的にパルス放射の全体または一部の照射量を直接的に測定する照射量センサが用いられてもよく、照射量センサは照射量の測定結果をパルス制御部12に提供する。例えばHV真空ダイオードが、照射量を直接的に測定するために用いられてもよい。
更にパルス制御部12は、1つのパルスの照射量が所望の照射量を超える量を決定し、その超過量を除去するために照射量制御系5の残りの部材を制御する。その結果、除去されずに残ったパルスの照射量が必要な照射量となる。
1つのパルスの照射量を低減するため、パルス制御部12が上述の決定を行い、照射量制御系5の残りの部材に必要に応じて設定するのにパルス制御部12に十分な時間を与えることを目的として、光遅延線13が設けられている。光遅延線13は、照射量制御系5の残りの部材へのパルス放射の伝達を遅らせる
光遅延線13は、例えば光ファイバケーブル等の細長い光学素子から形成されていてもよいし、平行に配置された一対の反射体であってもよい。この反射体は、パルス放射が一方の平面反射体に入射し、平面反射体間の空間から抜け出す前に平面反射体の間で前後に何度も反射されるよう構成されている。光学素子の長さまたは平面反射体間の反射回数をそれぞれ制御することにより、光遅延線13による遅延時間を制御できる。当然のことながら本発明は、特定の光遅延線の使用に制限されず、本発明に適したいかなる光遅延線またはパルスストレッチャと組み合わせたものが用いられてもよい。
パルス放射は光遅延線13を通過した後、パルス制御部12の制御の下でそのパルス放射から照射量の一部を除去するシステムに向けられる。図5に示されるように、この機能はポッケルセル14と偏光フィルタとにより提供されてもよい。ポッケルセル14は電気光学材料を含む。この電気光学材料は、パルス制御部12により電気光学材料に印加された電圧に応じて、直線的に偏光された放射の方向を回転させる。この場合、偏光ビームスプリッタである偏光フィルタ15は、直線偏光された放射の方向に応じてパルスから照射量の一部を除去する。そのため、例えば、ポッケルセル14による直線偏光された放射の回転が大きくなるほど、偏光フィルタ15によりパルスから取り除かれる照射量が多くなる。別の方法として、この除去するシステムは逆の趣旨で構成されていてもよい。つまり、ポッケルセル14による直線偏光された放射方向の回転が大きくなるほど、偏光フィルタ15により取り除かれる照射量が少なくなってもよい。
ポッケルセル14及び偏光フィルタ15により実現される制御を最大にするため、望ましくは、ポッケルセル14に入力された放射は所与の方向に応じて直線偏光される。このため、パルス放射エミッタ10により提供される放射は、必要な方向に応じて直線偏光されてもよい。代替的にまたは追加的に、直線偏光の処理が、パルス放射エミッタ10とポッケルセル14と間のビーム経路上の都合の良い位置で行われてもよい。仮に、直線偏光の処理が放射強度センサ11とポッケルセル14との間で行われる場合、放射強度センサ11による照射量の決定と、ポッケルセル14及び偏光フィルタ15による照射量の調整との間におけるパルスの照射量に影響を与える。同様に、光遅延線13が照射量に影響を与えてもよい。このため、直線偏光の処理及び光遅延線13による処理によって生じる照射量へのこうした影響を考慮してパルス制御部12が調整されてもよい。
図5に示されるように、偏光フィルタ15によりパルスから除去されなかった放射は、例えば1つ以上の個別制御可能素子アレイのように本装置の残りの部材16に伝達される。図5に示されるように、偏光ビームスプリッタが偏光フィルタ15として用いられており、パルス放射から除去された放射は放射シンク17に向けられてもよい。放射シンク17は向けられた放射を吸収し、分離された放射が本装置の残りの部材16に伝達されるのを防止する。更に線量エラーが生じるのを防止する。本装置の残り部材に対して熱変形を引きおこす、放射シンクの加熱を防止するため放射シンク17は冷やされてもよい。
図6aは、所定の時間における、1つのパルス放射の典型的な放射強度プロファイルを示す。図示されるように縦軸は、1つのパルス照射が通過する際に所与の位置で測定された放射強度を示す。横軸は時間の経過を示す。パルスの照射量は、放射強度曲線20の下の面積21に比例する。
パルスの照射量を低減するため、パルス制御部12は、最初の期間に全放射強度が本装置の残りの部材16に実質的に伝達し、残りのパルス放射を本装置の残りの部材に実質的に伝達させないようにしてもよい。このため、最初の期間の長さを調整することにより、本装置の残りの部材16に伝達されるパルスの照射量が調整される。例えば図6bに示されるように、パルス制御部12は、本装置の残りの部材16を通過させるため、時間t1までのパルスの全放射強度を実質的に伝達させてもよい。その後、パルス制御部12は、本装置の残りの部材16にいかなる放射も伝達させないとしてもよい。このため、放射強度曲線20の下で、時間t1までの面積22に対応するパルスの照射量が本装置の残りの部材16に伝達される。一方、放射強度曲線20の下で、時間t1から先の面積23に対応する照射量は取り除かれて、例えば放射シンク17に向けられる。当然のことながら、この構成は逆であってもよい。つまり、パルス制御部12は、所与の時間までの照射量をパルス放射から除去させた後、その後の照射量を本装置の残りの部材16に伝達させる。しかし、このような構成ではより長い光遅延線が必要とされる。
図6cは、更に別の構成を示す。この場合、パルス制御部12は、1つのパルス放射の時間におけるパルス放射強度の所与の割合を除去するよう構成されていてもよい。これにより、除去されるパルスの割合を調整することにより、パルスの総照射量を調整することができる。例えば図6cに示されるように、放射強度の所与の割合が除去されることにより、パルスの放射強度曲線20が変更後の放射強度曲線20'へと低下してもよい。これにより、変更された放射強度曲線20'の下の面積24に対応する照射量は本装置の残りの部材16に伝達される。一方、変更前の放射強度曲線20と変更後の放射強度曲線20'との間の面積25に対応する照射量は除去され、例えば放射シンク17に伝達される。
当然のことながら、上述の方式を組み合わせて使用してもよい。例えば、パルス制御部12は、所定の時間まで且つ所与の割合までパルスの強度を低減させてもよく、本装置の残りの部材16に残りのパルスを実質的に伝達させないようにしてもよい。同様にパルス制御部12は、1つのパルスが放射される時間を複数の時間に分割してもよく、分割された時間ごとに独立して制御された割合により、それらの分割時間におけるパルスの放射強度を低減させてもよい。本装置の残りの部材16に伝達された放射強度の割合を制御するにあたりその制御は、1つ以上のこうした分割時間の間にまたはパルス放射時間全体に渡って継続的に行われてもよい。
更に本発明は、照射量を調整するためポッケルセルと偏光フィルタを組み合わせる場合について述べられているが、パルスの照射量を調整するためのシステムとして、いかなる適当なシステムが用いられてもよい。例えば機械シャッタ、音響光学変調器(AOM)または開口制御が用いられてもよい。
[実施形態1]
図7は、本発明の実施形態1に係るシステムを示す。図示されるようにこのシステムは、上述したシステムと同様の構成であり、パルス放射エミッタ10、放射強度センサ11及び光遅延線13を備える。更にこのシステムは放射ビーム分割部を備える。放射ビーム分割部は、異なる2つの放射ビーム経路31、32に光遅延線13からの放射を分割する。このため、パルス放射エミッタ10により放射された各パルス放射は、同時に存在する2つのパルスに分割され、第1の放射ビーム経路31と第2の放射ビーム経路32にそれぞれ進む。第1の放射ビーム経路31に対応する、第1の制御部(パルス変調器)33、第1のポッケルセル34及び第1の偏光フィルタ35が設けられている。これにより、図5及び図6a〜cに関して説明したように、放射強度センサ11により検出された放射強度に基づいて、第1の放射ビーム経路31におけるパルス放射の照射量を調整できる。その結果、パルス放射を変調する個別制御可能素子アレイ36に所望の照射量が伝達される。上述のように放射シンク37が、パルスから取り除かれた放射を吸収するよう設けられていてもよい。
同様に第2のパルス制御部38、第2のポッケルセル39及び第2の偏光フィルタ40が、第2の放射ビーム経路32におけるパルス放射の照射量を調整するよう設けられている。そして、第2の放射ビーム経路32において照射量が調整されたパルスは、第2の個別制御可能素子アレイ41により変調されてもよい。第2の放射シンク42は、パルス放射から除去された放射を吸収するよう第2の放射ビーム経路32に設けられていてもよい。別の方法として双方の放射ビーム経路から放射を除去するため、両経路が共有する放射シンクが用いられてもよい。
パルス放射の照射量を調整する前にパルス放射ビームを分割することにより、パルス放射の照射量を調整する各システムにより調整される照射量が低減される。このため、パルス放射エミッタ10により放射される各パルスの全エネルギが、パルス放射の照射量を調整する各システムが制御できる照射量の最大値を超えない範囲でより大きくなってもよい。
第1のパルス制御部33は第1のポッケルセル34を、第2のパルス制御部38は第2のポッケルセル39をそれぞれ制御することにより、第1の偏光フィルタ35及び第2の偏光フィルタ40を通過した双方のパルスの照射量が実質的に同じになるよう照射量を調整するシステムが構成されていてもよい。よって、例えばパルス制御部33、38は、放射ビーム分割部30により分割された第1の放射ビーム経路31と第2の放射ビーム経路32とにおける照射量の違いを補正してもよい。代替的にまたは追加的に、パルス制御部33、38は、異なる照射量のパルスが第1の放射ビーム経路31と第2の放射ビーム経路32とのそれぞれから生成されるよう構成されていてもよい。このため、照射量制御部43が設けられていてもよい。照射量制御部は、パルスの照射量を必要な水準に設定するため、第1のパルス制御部33及び第2のパルス制御部38を制御してもよい。
よって、照射量を調整するシステムは、第1の個別制御可能素子アレイ36及び第2の個別制御可能素子アレイ41に入力される照射量を独立して制御してもよい。このような構成が有益な場合がある。例えば、第1の個別制御可能素子アレイ36及び第2の個別制御可能素子アレイ41によりそれぞれ変調された放射ビームにより、異なるパターンが基板に投影される場合、並びに/または、第1の放射ビーム経路31及び第2の放射ビーム経路32上のこれらのアレイの次の素子で2つのばらつきを補正する場合である。当該次の素子としては、例えば第1の個別制御可能素子アレイ36と第2の個別制御可能素子アレイ41とにそれぞれ対応する別の投影系などが挙げられる。図7では、第1のパルス制御部33、第2のパルス制御部38及び照射量制御部43が別々に設けられているが、これら制御部のいずれかまたは全てが1つの制御系として組み合わせられていてもよい。
更に、図7に示される構成では放射ビーム分割部30は、パルス放射エミッタ10から放射されたパルス放射を第1の放射ビーム経路31と第2の放射ビーム経路32とへ分割するが、放射ビーム分割部30はこのパルス放射を幾つの放射ビーム経路へと分割してもよい。これらの放射ビーム経路のそれぞれには、対応するパルス制御部、ポッケルセル及び偏光フィルタが設けられていてもよい。
更に本発明は、露光装置に用いられることや、複数の個別制御可能素子アレイに照射するためにパルス放射エミッタからのパルス放射を分割する際に用いられることを想定して説明されている。しかし、パルス放射ビームが、パルスの照射量が制御された複数のパルス放射ビームに分割されるいかなる状況にも、本発明は適用可能である。
[実施形態2]
図8は、本発明の実施形態2に係るシステムを示す。実施形態2のほとんどが実施形態1と同様であり、双方の実施形態の差異のみを説明する。更に実施形態1に関して上述した変形は、実施形態2にも同様に適用される。
図示されるように、実施形態2の基本構成は実施形態1と同様である。しかし、第1の個別制御可能素子アレイ36に代えて第1の放射ビーム経路31上に第2の放射ビーム分割部50が設けられている。第2の放射ビーム分割部50は、第1の偏光フィルタ35から伝達されたパルス放射を3つの個別制御可能素子アレイ51、52、53へと分割する。同様に、第2の放射ビーム経路32には第3の放射ビーム分割部54が設けられている。第3の放射ビーム分割部は、第2の偏光フィルタ40から伝達されたパルス放射を3つの個別制御可能素子アレイ55、56、57へと分割する。
このため、第1のパルス制御部33及び第2のパルス制御部38の各制御部は、個別制御可能素子アレイの第1の組と個別制御可能素子アレイの第2の組とのそれぞれにより変調されることになるパルスの照射量を制御する。パルス放射エミッタからの各パルスにおける全放射エネルギを、パルス放射の照射量を調整する少なくとも2つのシステムに分割する際であって多数の個別制御可能素子アレイが必要とされる場合、各個別制御可能素子アレイが、それぞれ対応するパルス制御部、ポッケルセル及び偏光フィルタ(つまりパルス放射の照射量を調整するための専用の系)を備える構成よりもこのような構成の方がより単純な構成となる。実施形態1と同様に、第1の放射ビーム分割部30は、パルス放射エミッタ10により放射されたパルス放射を3つ以上の放射ビーム経路へと分割してもよい。また、分割された各放射ビーム経路のパルスの照射量は、パルスが個別制御可能素子アレイへと更に分割される前に、パルス制御部並びに対応するポッケルセル及び偏光フィルタにより調整されてもよい。
更に、一方の放射ビーム経路におけるパルス放射は、他方の放射ビーム経路と異なる数の個別制御可能素子へと分割されてもよい。また、一方の放射ビーム経路は、複数の個別制御可能素子へと更に分割されなくてもよい。
[実施形態3]
図9は、本発明の実施形態3に係るシステムを示す。この実施形態ではパルス放射エミッタ10により放射されたパルス放射は、放射ビーム分割部60により第1の放射ビーム経路61と第2の放射ビーム経路62とへ分割される。第1の放射ビーム経路61へと伝達されたパルスの照射量は、第1の放射強度センサ63により検出され、第1の光遅延線64により遅延する。この照射量は、第1の放射強度センサ63の検出結果から定められた照射量に基づいて第1のパルス制御部65により調整される。調整は、第1のパルス制御部の下、第1のポッケルセル66と第1の偏光フィルタ67とを用いて行われる。上述の通り、パルスから取り除かれた放射は第1の放射シンク68または共有の放射シンクにより吸収されてもよい。照射量が調整されたパルスは、第1の個別制御可能素子アレイ69により変調されてもよい。また、実施形態2に対応する構成とすることで当該パルスは、複数の個別制御可能素子アレイによる変調処理の前に更に分割されてもよい。第2の放射ビーム経路62へと進むパルス放射は、第1の放射ビーム経路と同様に、第2の放射強度センサ70、第2の光遅延線71、第2のパルス制御部72、第2のポッケルセル73、第2の偏光フィルタ74、(必要に応じて)第2の放射シンク75及び第2の個別制御可能素子アレイ76より処理される。また、当該パルス放射は、第1の放射ビーム経路61と同様に、複数の第2の個別制御可能素子アレイによる変調処理の前に更に分割されてもよい。
実施形態1と同様に、パルス制御部65、72を制御するため照射量制御部77が設けられていてもよい。これにより、照射量が必要な量に補正され、第1の放射ビーム経路及び第2の放射ビーム経路におけるパルス放射が制御される。実施形態1及び実施形態2と同様に、放射ビーム分割部は、パルス放射エミッタ10により放射されたパルス放射を3つ以上の放射ビーム経路へと分割してもよい。その場合、各放射ビーム経路に対応する放射強度センサ、光遅延線、パルス制御部、ポッケルセル、偏光フィルタ、(必要に応じて)放射シンク及び個別制御可能素子アレイが設けられていてもよい。また、各放射ビーム経路は、複数の個別制御可能素子アレイに放射を供給するよう更に分割されてもよい。
このため、実施形態1との比較による実施形態3の違いは、各放射ビーム経路が専用の放射強度センサと光遅延線とを備えることである。専用の部材を備えることで、放射ビーム分割部60により各放射ビーム経路へ放射強度が分割される際に誤り及び/またはばらつきが生じたとしても、各放射ビーム経路におけるパルスの照射量が正確に制御される。更に、専用の光遅延線が各経路に設けられることにより、各放射ビーム経路へと進むそれぞれのパルス放射に異なる遅延が適用されてもよい(この別の放射ビーム経路は、専用の個別制御可能素子アレイまたは一群の専用個別制御可能素子アレイと対応していてもよい)。そのため、各経路に専用の個別制御可能素子アレイまたは一群の専用個別制御可能素子アレイが設けられている場合、基板に像を形成する露光のタイミングをアレイごとに変えることができる。例えばタイミングを変化させることにより、基板上に投影される像の位置を調整できる。その例として、放射系からの複数パルスの連続的照射の間に基板が投影光学系に対して走査される場合が挙げられる。
[実施形態4]
図10は、本発明の実施形態4に係るシステムを示す。本実施形態の大部分は実施形態3と同一であり、双方の実施形態の差異のみを説明する。
図示されるように、実施形態3との比較による実施形態4の違いは、第1の放射ビーム経路61と第2の放射ビーム経路62とが1つの光遅延線80を共有していることである。
図11aは、2つ以上の放射ビーム経路により共有される光遅延線80を示す。図示されるように、光遅延線80は第1の反射面81と第2の反射面82とを備え、2つの反射面が平行となるように設けられている。第1の放射ビーム経路83における放射は、第1の放射ビーム経路83の一端に位置する第1の素子84(当該素子は、図10に示される構成では放射強度センサ63であってもよい)から放射され、第1の反射面81に斜めに入射する。その後、当該放射は、光遅延線80を抜け出すまで第1の反射面81と第2の反射面82とを往復するように何度も反射され、第1の放射ビーム経路83の他端に位置する第2の素子85(当該素子は、図10に示される構成では第1のポッケルセル66であってもよい)に向けられる。
同様に、第2の放射ビーム経路86における放射は、第2の放射ビーム経路86の一端に位置する第2の素子87(当該素子は、図10に示される構成の場合、第2の放射強度センサ70であってもよい)から放射され、第2の反射面82に斜めに入射する。その後、第2の放射ビーム経路における放射は、光遅延線を抜け出し、第2の放射ビーム経路86の他端に位置する第2の素子88(当該素子は、図10に示される構成では第2のポッケルセル73であってもよい)に入射するまで第2の反射面82と第1の反射面81とを往復するように何度も反射される。図11aは模式的に示されており、実際には第1の放射ビーム経路83及び第2の放射ビーム経路86は、第1の反射面81及び第2の反射面82にほぼ垂直にそれぞれ入射している。反射面81、82を所定の長さとすることにより、第1の反射面81と第2の反射面82との間ではより多くの反射が繰り返され、結果としてパルス放射の遅延がより大きくなる。
図11bは光遅延線90を示し、光遅延線80とは別の構成である。光遅延線90は、2つ以上の放射ビーム経路91、92により共有されるよう構成されている。放射が第1の反射面93に最初に入射し、その後、光遅延線90の第1の反射面93と第2の反射面94とを往復して反射するよう両放射ビーム経路が構成されているという点で、この構成は、図11aに示される構成とは異なる。この構成では、第1の放射ビーム経路91及び第2の放射ビーム経路92の間隔は、光遅延線の長さ方向に垂直な方向に離れた状態で設けられている。そのため、第1の放射ビーム経路91と第2の放射ビーム経路92とは干渉しない。
3つ以上の放射ビーム経路が、図11bのように構成された光遅延線を共有してもよい。更に、図11a及び図11bに示される構成を組み合わせることにより、より多くの放射ビーム経路が1つの光学遅延線を共有してもよい。
図11aまたは図11bのいずれかの構成による光遅延線により導入されたパルスの遅延は、第1の反射面と第2の反射面との距離を調整することにより、及び/または反射面に最初に入射する際の放射ビームの入射角を調整することにより調整されてもよい。1つの光遅延線を共有する2つの放射ビーム経路において独立して遅延を調整するため、後者の方式が用いられてもよい。システムにおいて適当な調整を実行できるよう、全ての放射ビーム経路において同時に、または各放射ビーム経路において独立して遅延が調整されてもよい。上述の通り、代替的にまたは追加的に、像が投影されている基板上の像の位置を調整するため、光遅延線により導入された遅延が用いられてもよい。例えば、放射系からの複数パルスの連続的照射の間に基板が投影光学系に対して走査される場合が挙げられる。
実施形態3及び実施形態4は、放射強度センサを備える放射ビーム分割部60へと続く各放射ビーム経路に関して説明されているが、本発明はこうした構成に制限されるものではない。特に、放射ビーム分割部60によって放射強度を各放射ビーム経路に分割する際、一定の強度に分割できることが十分に明らかな場合、複数の放射ビーム経路のうちの1つの経路に1つの放射強度センサを設けるだけで十分である。そのため、放射強度センサが設けられた放射ビーム経路の照射量に基づいて、他の放射ビーム経路におけるパルスの照射量が定められてもよい。
実施形態1に関して上述したように、実施形態2、3及び4の構成は、露光装置での使用に制限されない。このため、照射量が調整されたパルス放射が、上述の個別制御可能素子アレイによる変調に代えて、システムの他の素子に提供されてもよい。
本説明においては露光装置の用途を特定の装置(例えば集積回路やフラットパネルディスプレイ)の製造としているが、ここでの露光装置は他の用途にも適用することが可能であるものと理解されたい。他の用途としては、集積回路や光集積回路システム、磁区メモリ用ガイダンスおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド、微小電気機械素子(MEMS)などの製造に用いることが可能であり、これらに限られない。また、例えばフラットパネルディスプレイに関しては、本発明に係る装置は、例えば薄膜トランジスタ層及び/またはカラーフィルター層などのさまざまな層の製造に用いることができる。
上述のように本発明の具体的な実施形態が説明されたが、本発明は上述の形式以外の形式でも実施可能であると理解されたい。例えば本発明は、上述の方法が記述された機械で読み取り可能な1以上の一連の指示を含むコンピュータプログラムの形式、またはこのようなコンピュータプログラムが記録された(半導体メモリや磁気・光ディスクなどの)データ記録媒体の形式をとってもよい。
以上、本発明の具体的な実施形態について説明した。その変形例の多くが当業者にとって容易に想定され、提案され得るものであることを理解されたい。よって、本発明は、以下のクレームの趣旨によってのみ制限される。
本発明の一実施形態に係る露光装置を示す図である。 本発明の他の実施形態に係る露光装置を示す図である。 図2に示される本発明の実施形態を用いることにより基板にパターンを転写する1つのモードを示す図である。 光学エンジンの配置を示す図である。 パルス放射の照射量を制御するための構成を示す図である。 パルス放射の照射量を制御する方法を示す図である。 パルス放射の照射量を制御する方法を示す図である。 パルス放射の照射量を制御する方法を示す図である。 本発明の実施形態1を示す図である。 本発明の実施形態2を示す図である。 本発明の実施形態3を示す図である。 本発明の実施形態4を示す図である。 本発明での使用に対して光遅延線の可能な構成を示す図である。 本発明での使用に対して光遅延線の可能な構成を示す図である。
符号の説明
5 照射量制御系、 10 パルス放射エミッタ、 11 放射強度センサ、 12 パルス制御部、 13 光遅延線、 14 ポッケルセル、 15 偏光フィルタ、 16 本装置の残りの部材、 17 放射シンク、 30 放射ビーム分割部、 31、32 放射ビーム経路、 33、38 パルス制御部、 34、39 ポッケルセル、 35、40 偏光フィルタ、 36、41 個別制御可能素子アレイ、 37、42 放射シンク、 43 照射量制御部、 50、54 放射ビーム分割部、 51、52、53、55、56、57 個別制御可能素子アレイ、 60 放射ビーム分割部、 61、62 放射ビーム経路、 63、70 放射強度センサ、 64、71 光遅延線、 65、72 パルス制御部、 66、73 ポッケルセル、 67、74 偏光フィルタ、 68、75 放射シンク、 69、76 個別制御可能素子アレイ、 77 照射量制御部、 80 光遅延線、 81、82 反射面、 83、86 放射ビーム経路、 84、85、87、88 素子、 90 光遅延線、 91、92 放射ビーム経路、 93、94 反射面。

Claims (21)

  1. パルス放射ビームを調整するよう構成されている照明系と、
    前記パルス放射ビームを少なくとも第1の分割パルス放射ビームと第2の分割パルス放射ビームとに分割するよう構成されている放射ビーム分割部と、
    前記パルス放射ビームまたは、前記第1の分割パルス放射ビーム及び前記第2の分割パルス放射ビームの放射パルスの照射量を測定するよう構成されている少なくとも1つのセンサと、
    前記少なくとも1つのセンサにより放射パルスの照射量が測定された後、当該放射パルスを遅延させるよう構成されている光遅延線と、
    前記少なくとも1つのセンサにより測定された放射パルスの照射量に基づいて、前記第1の分割パルス放射ビームの放射パルスの照射量を調整するよう構成されている第1のパルス放射変調器と、
    前記少なくとも1つのセンサにより測定された放射パルスの照射量に基づいて、前記第2の分割パルス放射ビームの放射パルスの照射量を調整するよう構成されている第2のパルス放射変調器と、
    を備えることを特徴とする露光装置。
  2. 前記放射ビーム分割部は、前記パルス放射ビームを少なくとも3つの分割パルス放射ビームに分割し、
    前記露光装置は、複数のパルス放射変調器を備え、
    前記複数のパルス放射変調器のそれぞれは、複数に分割された分割パルス放射ビームの1つと対応し、前記少なくとも1つのセンサにより測定された放射パルスの照射量に基づいて、対応する分割パルス放射ビームの放射パルスの照射量を調整するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  3. 前記露光装置は、前記照明系により調整された前記パルス放射ビームの放射パルスの照射量を、前記放射ビーム分割部により前記パルス放射ビームが分割される前に測定するよう構成されているセンサを備え、
    前記第1のパルス放射変調器は、前記放射ビーム分割部により前記パルス放射ビームが前記第1の分割パルス放射ビーム及び前記第2の分割パルス放射ビームに分割される前に得られた当該パルス放射ビームの放射パルスの照射量測定結果に基づいて前記第1の分割パルス放射ビームの第1の放射パルスの照射量を調整し、
    前記第2のパルス放射変調器は、前記照射量測定結果に基づいて前記第2の分割パルス放射ビームの第2の放射パルスの照射量を調整することを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  4. 前記露光装置は、
    前記第1の分割パルス放射ビームの第1の放射パルスの照射量を測定するよう構成されている第1のセンサと、
    前記第2の分割パルス放射ビームの第2の放射パルスの照射量を測定するよう構成されている第2のセンサと、
    を備え、
    前記第1のパルス放射変調器は、前記第1のセンサによる前記第1の放射パルスの照射量の測定結果に基づいて前記第1の放射パルスの照射量を調整し、
    前記第2のパルス放射変調器は、前記第2のセンサによる前記第2の放射パルスの照射量の測定結果に基づいて前記第2の放射パルスの照射量を調整することを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  5. 前記光遅延線は、前記放射ビーム分割部により前記パルス放射ビームが前記第1の分割パルス放射ビームと前記第2の分割パルス放射ビームとに分割される前に、前記パルス放射ビームの放射パルスを遅延させるよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  6. 前記露光装置は、前記第1の分割パルス放射ビーム及び前記第2の分割パルス放射ビームの放射パルスをそれぞれ遅延させるよう構成されている第1の光遅延線及び第2の光遅延線を備えることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  7. 前記光遅延線は、前記第1の分割パルス放射ビームの放射パルスと前記第2の分割パルス放射ビームの放射パルスとを遅延させるよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  8. 前記第1の分割パルス放射ビームの放射パルスを変調するよう構成されている第1の個別制御可能素子アレイと、
    前記第2の分割パルス放射ビームの放射パルスを変調するよう構成されている第2の個別制御可能素子アレイと、
    を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  9. 前記露光装置は、
    少なくとも1つの別の放射ビーム分割部と、
    複数の個別制御可能素子アレイと、
    を更に備え、
    前記別の放射ビーム分割部は、各パルス放射変調器が前記第1の分割パルス放射ビーム及び前記第2の分割パルス放射ビームの放射パルスの照射量を調整した後、前記第1の分割パルス放射ビーム及び前記第2の分割パルス放射ビームの少なくとも1つの分割パルス放射ビームを分割するよう構成されており、
    前記複数の個別制御可能素子アレイの各アレイは、前記第1の分割パルス放射ビーム、前記第2の分割パルス放射ビーム及び前記別の放射ビーム分割部により分割された分割パルス放射ビームのうちのいずれかの放射パルスを変調するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  10. 前記第1のパルス放射変調器及び前記第2のパルス放射変調器のうちの少なくとも1つのパルス放射変調器は、
    印加された制御電圧に応じて、入力され直線偏光された放射の方向を回転させるよう構成されているポッケルセルと、
    直線偏光された放射の方向に応じて、放射を通過させるよう構成されている偏光フィルタと、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  11. 前記偏光フィルタは、偏光ビームスプリッタであり、
    前記偏光ビームスプリッタは、第1の方向に直線偏光された放射を反射し、前記第1の方向に対して垂直な第2の方向に直線偏光された放射を通過させ、
    前記偏光ビームスプリッタにより反射された放射と、前記偏光ビームスプリッタにより通過させられた放射のいずれか1つの放射が、第1の分割パルス放射ビーム及び第2の分割パルス放射ビームに対応するビーム経路上の次の素子へと向けられることを特徴とする請求項10に記載の露光装置。
  12. 前記偏光ビームスプリッタにより反射された放射と、前記偏光ビームスプリッタにより通過させられた放射のいずれか1つの放射であって、前記次の素子へと向けられない放射は、放射シンクに向けられ、
    前記放射シンクは、向けられた放射を吸収するよう構成されていることを特徴とする請求項11に記載の露光装置。
  13. 前記第1のパルス放射変調器及び前記第2のパルス放射変調器は、放射シンクを共有することを特徴とする請求項12に記載の露光装置。
  14. 前記第1のパルス放射変調器及び前記第2のパルス放射変調器のうちの少なくとも1つのパルス放射変調器は、第1の期間中に、実質的に十分な強度の放射パルスを通過させ、第2の期間中に、放射パルスを実質的に通過させないことにより、放射パルスの照射量を調整するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  15. 前記第1のパルス放射変調器及び前記第2のパルス放射変調器のうちの少なくとも1つのパルス放射変調器は、実質的に一定な割合に基づいてパルスの時間における放射パルスの強度を低減することにより、放射パルスの照射量を調整するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  16. 前記露光装置は、前記第1のパルス放射変調器により調整された放射パルスの照射量が、前記第2のパルス放射変調器により調整された放射パルスの照射量と実質的に同一となるよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  17. 前記露光装置は、照射量制御部を更に備え、
    前記照射量制御部は、前記第1の分割パルス放射ビームの放射パルスの第1の必要照射量と前記第2の分割パルス放射ビームの放射パルスの第2の必要照射量とを定め、前記第1の分割パルス放射ビームの放射パルスの照射量を前記第1の必要照射量に調整するため前記第1のパルス放射変調器を制御し、前記第2の分割パルス放射ビームの放射パルスの照射量を前記第2の必要照射量に調整するため前記第2のパルス放射変調器を制御することを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  18. パルス放射ビームを調整するステップと、
    前記パルス放射ビームを少なくとも第1の分割パルス放射ビームと第2の分割パルス放射ビームとに分割するステップと、
    前記パルス放射ビームまたは前記第1の分割パルス放射ビーム及び前記第2の分割パルス放射ビームの少なくとも1つの放射パルスの照射量を測定するステップと、
    放射パルスの照射量が測定された後、光遅延線により当該放射パルスを遅延させるステップと、
    前記少なくとも1つの放射パルスの測定照射量に基づいて前記第1の分割パルス放射ビームの放射パルスの照射量を調整するステップと、
    前記少なくとも1つの放射パルスの測定照射量に基づいて前記第2の分割パルス放射ビームの放射パルスの照射量を調整するステップと、
    を含むことを特徴とするデバイス製造方法。
  19. 前記第1の分割パルス放射ビーム及び前記第2の分割パルス放射ビームの調整された各照射量を基板に投影するステップを更に含むことを特徴とする請求項18に記載のデバイス製造方法。
  20. 前記基板は、フラットパネルディスプレイ及び集積回路デバイスのいずれかであることを特徴とする請求項19に記載のデバイス製造方法。
  21. パルス放射源との使用に適している放射供給系であって、
    前記放射供給系は、
    パルス放射ビームを少なくとも第1の分割パルス放射ビームと第2の分割パルス放射ビームとに分割するよう構成されている放射ビーム分割部と、
    前記パルス放射ビームまたは、前記第1のパルス放射ビーム及び前記第2のパルス放射ビームの放射パルスの照射量を測定するよう構成されている少なくとも1つのセンサと、
    前記センサにより放射パルスの照射量が測定された後、当該放射パルスを遅延させるよう構成されている光遅延線と、
    前記少なくとも1つのセンサにより測定された放射パルスの照射量に基づいて、前記第1の分割パルス放射ビームの放射パルスの照射量を調整するよう構成されている第1のパルス放射変調器と、
    前記少なくとも1つのセンサにより測定された放射パルスの照射量に基づいて、前記第2の分割パルス放射ビームの放射パルスの照射量を調整するよう構成されている第2のパルス放射変調器と、
    を備えることを特徴とする放射供給系。
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