JP2007253871A - 車両用空調装置 - Google Patents

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Akira Yuno
晃 油野
Tasuke Takenoshita
太輔 竹野下
Takao Morimoto
隆雄 森本
Tadanori Sakakura
忠則 坂倉
Masaya Nakano
正哉 中野
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Abstract

【課題】空調ユニット及び送風ユニットに分割される車両用空調装置において、両両ユニット間の接続部位における位置ずれを抑えて、シール性を高める。
【解決手段】空調ユニット2及び送風ユニット6の車体側への取付プレート52〜54,66〜67のうち、2つの取付プレート54,65を締結部T1にて共締めするとともに、この共締めの締結部T1を空調ユニットの取付プレート52の締結部T2と共に、ユニット2,6間の接続部位を挟むように、即ちそれらを結ぶ仮想の直線Lが接続部位を通過するように、配置する。
【選択図】図11

Description

本発明は、空調ユニットと送風ユニットとに分割可能な車両用空調装置に関し、特に該両ユニット同士を組み合わせる構造の技術分野に属する。
従来より、この種の車両用空調装置として、例えば特許文献1に記載のように、空調ユニットと送風ユニットとをそれぞれインストルメントパネルに組み付けてサブアセンブリ状態とした後に、それを車体に取り付けるようにしたものが知られている。このものでは、まず、空調ユニットをインストルメントパネルに組み付け、その後、両ユニットにそれぞれ設けた係合部により送風ユニットを位置決めした状態で、この送風ユニットをインストルメントパネルに組み付けるようにしている。
特開2003−127642号公報
しかし、前記のように空調ユニットと係合させて、送風ユニットの位置決めをするようにしていても、それら各ユニットの寸法誤差やインストルメントパネルへの組み付け誤差が重なると、両ユニット間の位置ずれが大きくなってしまい、それらの接続部におけるシールが甘くなることがある。
すなわち、一般に、送風ユニットから空調ユニットへ空気が流通する両ユニット間の接続部には、弾性体からなるシール部材が介在されており、このシール部材が適度に圧縮された状態になることによって、所要のシール性が得られるものであるから、接続部の位置ずれが大きくなって、シール部材の圧縮量が部位により大きくばらつくようになれば、シール性の低下は避けられない。
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、各ユニットをインストルメントパネル等、車体側へ固定する部位と、両ユニット同士の接続部位との相互の位置関係に工夫を凝らし、さらにそれら固定部や接続部の構造にも工夫を凝らして、両ユニット間の特に接続部における位置ずれを抑えることにより、そのシール性を高めることにある。
前記の目的を達成するために、本発明では、空調ユニット及び送風ユニットの車体側への固定部のうち、少なくとも2つを共締めにするとともに、この共締めの固定部を他のいずれか1つの固定部と共に、ユニット間の接続部を挟むように配置したものである。
すなわち、請求項1の発明は、調和空気を生成する空調ユニットと、該空調ユニットへ空調用の空気を送る送風ユニットとに分割可能な車両用空調装置を対象とする。そして、前記送風ユニットが、空調ユニットへの送風口を有するとともに、車体側への固定部が複数、設けられたものであり、同様に、空調ユニットも、前記送風口に接続されて空気を受け入れる受風口を有するとともに、車体側への固定部が複数、設けられたものである場合に、該送風ユニットの複数の固定部と空調ユニットの複数の固定部とのうち、少なくとも2つを共締めで締結するとともに、この共締めの固定部を、他のいずれか1つの固定部と結ぶ仮想の直線が、前記送風ユニットの送風口と空調ユニットの受風口との接続部を通過するように、配置する。
前記の構造では、空調ユニット及び送風ユニットをそれぞれ車体側に固定する複数の固定部のうち、少なくとも2つが共締めとされていて、特にその共締めの固定部の周囲では両ユニット同士の位置ずれが小さくなっている。そして、その共締めの固定部と他のいずれか1つの固定部とを結ぶ仮想の直線が両ユニット間の接続部を通過するように、即ち、共締めの固定部と他の固定部とがユニット間の接続部を挟むように配置されていることから、該接続部におけるユニット間の位置ずれも小さくなり、そのシール性を確保する上で有利になる。
その場合に、前記共締めの固定部と他の固定部とをできるだけ接続部の近くに配置するのが好ましく、従って、当該両固定部は、接続部に最も近い固定部とその次に近い固定部とにするのがよい(請求項2の発明)。特に、前記他の固定部も共締めとするのが好ましい(請求項6の発明)。
また、好ましいのは、前記共締めの固定部で、送風ユニット及び空調ユニットを車体側に上下方向又は車両前後方向のいずれか一方向で締結するとともに、前記他の固定部では上下方向又は車両前後方向の他方向で締結することである(請求項3の発明)。
こうすれば、共締めの固定部周辺においてユニット同士の相対的な位置決めの精度が、上下方向又は車両前後方向のいずれか一方向において高くなるとともに、他の固定部周辺ではいずれかのユニットの車体に対する位置決めの精度が上下方向又は車両前後方向の他方向で高くなるから、両ユニット間の接続部における位置ずれを上下方向及び車両前後方向の両方向について小さくすることが可能になる。
より好ましい構成として、前記送風ユニットの送風口及び空調ユニットの受風口には、それぞれの周縁から相手方に向かって延びるように周壁を形成し、そのいずれか一方の周壁は、車両前方から上下いずれか一方に亘る断面L字状の部位を、それ以外の部位よりも長く延びた長壁部とし、また、他方の周壁は、反対に車両後方から上下の他方に亘る断面L字状の部位を、それ以外の部位よりも長く延びた長壁部とする。そして、前記送風口及び受風口の周壁同士を、それぞれの長壁部が相手方の長壁部以外の部位(以下、短壁部ともいう)に外方から重ね合わさるようにして、接続する(請求項4の発明)。
この構成では、送風ユニットの送風口と空調ユニットの受風口との接続部において互いの周壁のL字状長壁部が、相手方の短壁部を外方から覆うように全周に亘って位置することになり、そうして接続部を取り囲む長壁部とその内方の短壁部との間に弾性体からなるシール部材が介在すれば、それが全体的に且つ適度に圧縮されることによって、所要のシール性を確保できる。
すなわち、前記各周壁のL字状長壁部は、相手方の周壁の短壁部に対して車両前後方向及び上下方向の両方向から重ね合わされるのであるが、上述したように請求項3の発明において、空調ユニット及び送風ユニットの接続部における位置ずれが上下方向及び車両前後方向の両方で小さくなっているので、前記のように重ね合わされるL字状長壁部及び短壁部同士の相対的な位置ずれも上下方向及び車両前後方向の両方で小さくなり、それらの間に介在されたシール部材が全体的に適度に圧縮されることになるのである。
さらに、好ましいのは、前記送風口及び受風口の各周壁に、各々長壁部の周方向両端からそれぞれ周方向乃至径方向外方に延びて、相手方に重ね合わされるようにフランジを設けることである(請求項5の発明)。こうすれば、相対するL字状長壁部の周方向端同士が当接する部位でフランジが重なり合い、その間にもシール部材が介在されれば、接続部のシール性が更に高くなる。
以上のように、本発明によれば、車両用空調装置の空調ユニット及び送風ユニットを車体側に固定する複数の固定部のうち、少なくとも2つを共締めの固定部とし、この共締めの固定部と他のいずれか1つの固定部との間にユニット間の接続部を挟むようにしたから、その接続部におけるユニット間の位置ずれを抑えて、シール性を高めることができる。
特に、前記共締めの固定部及び他の固定部を、それぞれ上下方向又は車両前後方向の固定部とすれば、両ユニット間の接続部における位置ずれを上下方向及び車両前後方向の両方で小さくすることができ、これに加えて当該接続部を、周壁のL字状長壁部と短壁部とが重なり合うものとすれば、それらの間でシール部材を全体的に適度に圧縮された状態として、所要のシール性を確保することができる。
さらに、前記共締めの固定部と他の固定部とをいずれも接続部の近くに配置することで、シール性をより高めることができ、他の固定部も共締めにすればシール性をより一層、高くすることができる。
図1及び図2は、それぞれ、本発明の実施形態に係る車両用空調装置1を車両前後方向の後側及び前側から見た斜視図である。尚、以下の説明では特に説明しない場合、「前」及び「後」はそれぞれ「車両前後方向前」及び「車両前後方向後」を意味しており、「左」及び「右」は、それぞれ車体を基準とした「車幅方向左」(図1の左)及び「車幅方向右」(同図の右)を意味している。
(空調装置の構成)
この実施形態の空調装置1は、図示は省略するが、左ハンドル車においてエンジンルームと車室とを区画するダッシュパネルと、乗員の前方に対向するインストルメントパネルとの間に配置されるものであり、車幅方向の概略中央部に配置される空調ユニット2と、その右側(助手席側)に配置される送風ユニット6と、を備えている。
−空調ユニット−
前記空調ユニット2は、送風ユニット6から送られてくる空調用空気を冷却乃至加熱して、温度乃至湿度を調整した調和空気として車室に供給するものであり、図3にも示すように、送風ユニット6からの空気が流通する中間ダクト21が一体となった樹脂製のケース20(以下、空調ケースという)を備えている。この空調ケース20は、下側部分を形成する下側ケース部材20aと、残りの上側部分のうちの右半分を形成する右側ケース部材20bと、左半分を形成する左側ケース部材20cとが、互いに組み合わされてなる。
図4にも示すように、前記空調ケース20の右側壁における前側の部位には、下側ケース部材20aと右側ケース部材20bとに跨って中間ダクト21(詳細は後述する)が形成されている。また、図3に示すように、空調ケース20の上面部前側には左右のケース部材20b,20cに跨って、複数の領域に区分されたデフロスト口22が開口しており、一方、上面部の後側には同様にベント口23が開口している。
さらに、空調ケース20の後側には下方に向かって開口するようにリヤフット用ダクト24が形成されていて、図示しないが、その下端に連結されるダクトが後席の足下空間にまで延びている。また、前記リヤフット用ダクト24の上端付近におけるケース20の左右両側壁には、それぞれ下方に向かって延びるようにフロントフット用ダクト25(左側のみ図示する)が配設されている。
図5にケース20の内部を示すように、前記デフロスト口22及びベント口23には、それぞれの開口を開閉するためのデフロストダンパ26、ベントダンパ27が配置されており、同様に、ケース20内には、フロント及びリヤのフット用ダクト24,25への連通部を開閉するためのフットダンパ28が配置されている。該各ダンパ26〜28は、それぞれ車幅方向に延びる支軸を有し、この支軸の両端が空調ケース20の左右両側壁に回動可能に支持されている。
また、前記各ダンパ26〜28の支軸の一方の端部(この例では右側の端部)は、それぞれ空調ケース20の右側壁を貫通して外方に突出しており、図1、3、4に示すように当該ケース20の右側壁外側に取り付けられたアクチュエータモータ29に対して、リンク機構30を介して接続されている。このアクチュエータモータ29は、リンク機構30との干渉を避けるようにケース右側壁に突設された3つのボス部31,31,…(図6参照)に対し、一側(図4の右側)ではブラケット80を介して、また、他側(同左側)では直接、ねじ32,32,…により締結されている。
前記リンク機構30は、図6に拡大して示すように、アクチュエータモータ29(仮想線で示す)の出力軸29aにより回転駆動される駆動側リンク部材33と、この駆動側リンク部材33からそれぞれ駆動力を伝達されて動作する3つの従動側リンク部材34〜36と、各ダンパ26〜28の支軸に各々固定されて、前記各従動側リンク部材34〜36によりそれぞれ回動されるクランク部材37〜39と、からなる。
前記駆動側リンク部材33は、前記図6とは反対側から見て図7に示すように、樹脂材を射出成形してなる略真円形状の板部材であり、その略中央部を厚み方向に貫通する丸穴33aに図示しないピン部材等が一側(同図の奥側、図6の手前側)から挿入されて、空調ケース20の右側壁に回動可能に取り付けられている。また、中心から所定距離、径方向外方に離れて、モータ出力軸29a(図6に仮想線で示す)に取り付けられるレバー部材先端のピンが回動可能に挿入される丸穴33bも貫通形成されている。
また、図7の手前側に示す面には、駆動側リンク部材33の相対的に外周寄りの部位においてそれぞれ周方向に延びるとともに、半径方向に屈曲する所定形状の3本のカム溝33c,33d,33eが形成されており、それぞれに、前記図6に破線で示すように従動側リンク部材34〜36のピン34a〜36aが摺動可能に嵌合(係合)している。尚、図示の符号33fは、ケース20側のボス部31との干渉を避けるように形成された貫通穴である。
前記従動側リンク部材34〜36は、それぞれ樹脂材を射出成形してなる一方向に長い板部材であり、その長手方向の一方の端部が他方に比べて大きめに形成されるとともに、それらの中間部位から厚み方向の一側に突出して、前記駆動側リンク部材33の各カム溝33c〜33eに各々係合するピン34a〜36a(係合突部)が形成されている。各従動側リンク部材34〜36の相対的に大きな端部(大端部)には、それぞれ厚み方向に貫通する丸穴34b〜36bが形成され、ピン部材等によって空調ケース20の右側壁に回動可能に取り付けられる一方、相対的に小さな端部(小端部)には、それぞれ前記中間部位のピン34a〜36aとは反対側にピン34c〜36cが突設されている。
そして、前記各従動側リンク部材34〜36の小端部が、それぞれピン34c〜36cによって各ダンパ26〜28のクランク部材37〜39に対し回動可能に、且つ該各クランク部材37〜39の長手方向に摺動可能に連結されている。すなわち、各クランク部材37〜39は、それぞれ樹脂材を射出成形してなる一方向に長い板部材であり、その長手方向の一方の端部が各々ダンパ26〜28の支軸に回動不能に固定されるとともに、その固定部位を除く長手方向の略全体に亘って長穴37a〜39aが形成されていて、そこに前記各従動側リンク部材34〜36の小端部のピン34c〜36cが各々回動可能に、且つ該各長穴37a〜39aに沿って摺動可能に嵌合している。
そのような構成により、アクチュエータモータ29によって駆動側リンク部材33が回動されると、その各カム溝33c〜33eに係合するピン34a〜36aの変位に応じて各従動側リンク部材34〜36が大端部の周りに揺動し、その小端部に各々ピン34c〜36cにより連結されたクランク部材37〜39が、ダンパ26〜28の各支軸と一体に揺動する。これにより、3つのダンパ26〜28が互いに同期してそれぞれ揺動することになる。
さらに、空調ケース20の内部には、前記図5に矢印で示すように、中間ダクト21から導入された空気が前記デフロスト口22、ベント口23並びにフロント及びリヤのフット用ダクト24,25へと至る経路を、その途中で加熱通路と非加熱通路とに分けるように温調ダンパ40が配置されている。この温調ダンパ40は、図示しないが、空調ケース20内を左右に概略半分に仕切る仕切壁を挟んで、その左右両側に1つずつ配置され、それぞれが前記デフロストダンパ26等と同じく車幅方向の支軸を有し、その一方の端部がケース外に突出して、図1、3、4に右側のものについて示すように、リンク部材41等を介してアクチュエータモータ42に接続されている。
再び図5に示すように、空調ケース20内の前部には、中間ダクト21内を流通した空気が最初に導入される導入空間部が形成され、この導入空間部と前記温調ダンパ40との間に、空気を冷却するための熱交換器としてエバポレータ44が配置されている。エバポレータ44は、詳細は図示しないが、例えばアルミ合金製のチューブと伝熱フィンとが交互に並べられて一体化された所謂チューブアンドフィンタイプのものであり、この例では縦置きに配置されて、その前面が導入空間部に臨んでいる。
前記エバポレータ44の右側には、冷媒の流入タンク及び流出タンクが設けられていて、それぞれに対し冷媒の入口側配管45及び出口側配管46が接続されている。図1、3、4に示すように、それらの配管45,46は、空調ケース20の右側壁を貫通し、中間ダクト21の上方からその前方に引き回された後に、空調ケース20の前端から右側に延出するシールブロック47を貫通して、エンジンルーム側に延びている。この配管45,46を介して図示しないエンジンルーム内の冷媒回路から低温低圧の液冷媒が流入するようになっており、この液冷媒がチューブ内を流通しつつ蒸発することで周囲の熱を奪い、これにより、伝熱フィンの間を通過する空気が冷却される。
そうしてエバポレータ44を通過した空気の流れは温調ダンパ40によって、下方の加熱通路と上方の非加熱通路とのいずれかに振り分けられる。すなわち、温調ダンパ40の後方斜め下方には、空気を加熱するための熱交換器であるヒータコア48が若干後傾した状態で縦置きに配置されており、温調ダンパ40により下側に振り分けられた空気の流れが伝熱フィンの間を通過する間に、チューブ内を流通する高温のエンジン冷却水と熱交換して、加熱されるようになっている。
前記ヒータコア48は、エバポレータ44と同じくチューブアンドフィンタイプのものであり、エンジン側から高温の冷却液を導入するための導入管49と、ヒータコア48内の冷却液をエンジン側に戻す導出管50とが接続されている(図2参照)。これら導入管49及び導出管50は、空調ケース20の左側壁を貫通してその前面を中間ダクト21の前方まで引き回された後、エバポレータ44の配管45,46と同様にシールブロック47を貫通して、エンジンルーム側に延びている。
そして、前記温調ダンパ40が図5に実線で示す最大加熱位置にあるときには、エバポレータ44を通過した空気が全て加熱通路に向かうことになり、一方、図に仮想線で示す最大冷気位置にあるときには空気が全て非加熱通路に向かうことになる。温調ダンパ40はアクチュエータモータ42により駆動されて、前記最大冷気位置と最大加熱位置との間の複数の開度位置に位置付けられるようになっており、この開度位置に応じて、加熱通路及び非加熱通路を流通する空気の配分が変化することになる。
そうして温調ダンパ40により一旦、加熱通路及び非加熱通路に振り分けられた空気の流れは当該温調ダンパ40の上方で合流し、温度乃至湿度の調整された調和空気となる。すなわち、温調ダンパ40の上方で、デフロストダンパ26やベントダンパ27の下方の空間は、冷気と加熱空気とが混ざり合うエアミックス空間部であり、ここで生成された調和空気がデフロスト口22、ベント口23並びにフロント及びリヤのフット用ダクト24,25へと送り出されて、所定カ所から車室内へ供給されるようになっている。
尚、この実施形態では、前記図1〜4に示すように、空調ユニット2のエバポレータ44にて発生する凝縮水を外部に排出するための排水ダクト51が、空調ユニット2のケース20から中間ダクト21の下縁に沿って送風ユニット6の側に延びるように設けられている。この排水ダクト51には、空調ユニット2をダッシュパネルに固定するための板状の取付プレート52が一体に形成され、それに設けられた貫通孔52aに、図示しないがダッシュパネルに設けられているスタッドボルトが挿通されて、ナットにより締結されるようになっている。
また、前記図1〜4に示すように、空調ケース20の左右両側壁には、それぞれの上端付近において左右外方に延びる板状の取付プレート53,54が一体に形成されている。この各取付プレート53,54は、それぞれ、図示しないインストルメントパネルのフレーム部材(以下、インパネメンバという)に上下方向から重ね合わされて、締結されるものであり、その上面である締結面には、インパネメンバに設けられているスタッドボルト(図示せず)が挿通される貫通孔53a,54aが開口している。
−送風ユニット−
次に、前記空調ユニット2へ空調用空気を送給する送風ユニット6について説明する。この実施形態の送風ユニット6は、空調ケース20側の中間ダクト21に接続される接続枠部61(図8参照)が一体に形成された樹脂製のケース60(以下、送風ケースという)を備えており、送風ケース60は、車幅方向に分割された右側ケース部材60a及び左側ケース部材60bの2つの分割体が互いに組み合わされてなる。
図8及び図9にも示すように、送風ケース60の上部は、車幅方向に延びる蒲鉾形状を基本とし、その後半部が後側ほど下方に傾斜する円弧面とされ、そこには車内の空気を取り入れるための格子状の内気取入口62が形成されている。一方、ケース上部の前半部には、前方斜め上方に向かって延びる略矩形断面の外気取入ダクト63が形成されており、このダクト63内の通路に連通する送風ケース60内の上部空間が、車室内又は車室外のいずれかから空気を取り入れる空気取入空間部とされている。
また、送風ケース60の下部は、その外周側の部位が上下方向の軸心を中心とする渦巻き状に形成され、その内部の渦状通路の内周側には、図示しないが、前記空気取り入れ空間部に取り入れられた空気を吸い込んで、外周側に送り出す遠心式多翼ファンが収容されている。一方、前記渦状通路の終端は、送風ケース60の左側壁の前側下部に開口して、空調ユニット2への送風口を構成し、この開口の周縁から外方(左側)に延びて、空調ケース20の中間ダクト21に接続される接続枠部61が形成されている(詳細は後述)。
また、前記のように蒲鉾状に形成されたケース上部と渦巻き状に形成されたケース下部との中間部位は、前後左右を囲む矩形状に形成され、そこには、空気取り入れ空間部に取り入れられた空気を濾過するためのエアフィルタが配置されるようになっている。このケース中間部位の後部には、図示しないがエアフィルタを交換するための矩形状の開口部が形成されていて、この開口部を開閉する蓋部材64が設けられている。
さらに、前記送風ケース60には、図8、9の他、図1、2にも示すように、送風ユニット6をダッシュパネルに固定するための取付プレート65,66,67が一体に形成されている。すなわち、取付プレート65は、送風ケース60の上部左側壁から外方に延びるように設けられ、略水平な取付面に上下方向の貫通孔65aが開口する横板部と、その後端から垂下する縦板部とからなる断面L字状とされており、図1に示すように、空調ケース20の右側壁に形成された取付プレート54と重ね合わされて、図外のインパネメンバに共締めされるようになっている。
また、取付プレート66,67は、それぞれ、送風ケース60の上部及び下部の右側壁の後端付近から後方斜め右側に延出した後に、折れ曲がってさらに右側に延びていて、前後方向の貫通孔66a,67aが形成された板部材からなる。この上下の各取付プレート66,67は、それぞれ図示しないインパネメンバに前後方向から重ね合わされ、そこに設けられているスタッドボルトが貫通孔66a,67aを挿通し、これにナットが螺合することで、インパネメンバに締結される。
前記のような送風ケース60内の上部に形成された空気取入空間部には、内気取入口62と外気取入ダクト63内の通路とを択一的に閉じるように内外気切換ダンパ70が配置されている。この内外気切換ダンパ70は、車幅方向の軸心回りに揺動するロータリダンパであり、図10に示すように、揺動軸心Yに略直交して径方向外方に向かい拡幅しつつ延びる概略楔形状の一対の側壁部71,71と、その外周縁同士を繋ぐように一体に形成された外周壁部72と、前記両側壁部71,71の内周端からそれぞれ揺動軸心Yに沿って外方に突出する支軸部73,73と、を備えている。
また、前記側壁部71,71の揺動方向の両側縁には、それぞれ揺動軸心Y方向外方に突出するようにフランジ74a,74aが形成されるとともに、前記外周壁部72にも、揺動方向の両側縁においてそれぞれ径方向外方に突出するようにフランジ74b,74bが形成され、それらのフランジ74a,74bが各側壁部71及び外周壁部72の連なる角部を回り込んで互いに繋がっていて、内外気切換ダンパ70の全体を周回するようにフランジ74が構成されている。このフランジ74には、それを挟むように発泡樹脂製のシール部材75が取り付けられている。
前記内外気切換ダンパ70の両支軸部73,73は、それぞれ、送風ケース60の左右両側壁に回動可能に支持されており、そのうちの一方の支軸部73(この例では左側の支軸部)の先端が送風ケース60の左側壁を貫通して外方に突出していて、前記図8に示すようにリンク部材76を介してアクチュエータモータ77に接続されている。
そして、そのアクチュエータモータ77により内外気切換ダンパ70が駆動されて、外気取入ダクト63内の通路を全開とする外気取入状態では、内気取入口62が全閉となり、外気取入ダクト63を介して車室外の空気のみを取り入れるようになる。反対に外気取入ダクト63内の通路を全閉とすれば、内気取入口62が全開となり、ここから車室内の空気のみを取り入れるる内気取入状態になる。
そうして車室内外のいずれかから送風ケース60内の空気取入空間部に取り入れられた空気は、その下方のエアフィルタを通過して濾過された後に遠心式多翼ファンに吸い込まれ、その外周を囲むケース下部の渦状通路に吐き出される。この渦状通路で向きを変えた空気の流れは、送風ケース60の左側壁に開口する渦状通路の終端から中間ダクト21を介して、空調ユニット2へと送り出される。
(ユニット同士の組み付け構造)
次に、本発明の特徴として、上述の空調ユニット2及び送風ユニット6の組み付け構造について、詳細に説明する。
図1〜4等を参照して既述したように、この実施形態の空調ユニット2は、ケース20の右側壁に設けられた中間ダクト21の下縁に沿って、排水ダクト51と一体に取付プレート52が設けられ、この取付プレート52がダッシュパネルに対して車両前後方向に締結されるようになっている。また、空調ケース20の左右両側壁の上端付近に設けられた取付プレート53,54は、それぞれインパネメンバに対して上下方向に締結される。
一方、図1、2、8、9を参照して既述したように、送風ユニット6は、そのケース60の上部左側壁に設けられた取付プレート65が空調ケース20の取付プレート54と重ね合わされて、インパネメンバに対して上下方向に締結(共締め)されるとともに、当該送風ケース60の右側壁の上下にそれぞれ設けられた取付プレート66,67が、インパネメンバに対して車両前後方向に締結されるようになっている。
そして、前記のように空調ケース20の取付プレート54と送風ケース60の取付プレート65とが車体側に共締めされる上下方向の締結部T1(共締めの固定部)と、中間ダクト21に一体的に設けられた取付プレート52の車両前後方向の締結部T2(他の固定部)とは、図11及び図12に示すように、それらを結ぶ仮想の直線Lが、中間ダクト21の先端に接続された送風ケース60の接続枠部61を通過するように、即ち、それらの接続部位を2つの締結部T1,T2が間に挟むように、配置されている。
また、図1、2、11から分かるように、前記締結部T2は、空調ケース20及び送風ケース60を車体側に固定する複数の部位(取付プレート52〜54,66〜67)の中で、接続枠部61に最も近いものであり、これに次いで近いのが前記共締めの締結部T1である。
つまり、空調ユニット2及び送風ユニット6の車体側への複数の締結部のうち、両ユニット2,6の接続部位に近い順に1番目、2番目の締結部T2,T1を、それらの間に当該接続部位を挟むように配置し、且つそのうちの少なくとも一方を共締めにすることで、両ユニット2,6間の接続部における位置ずれを抑えて、シール性を高めるようにしている。
しかも、前記2つの締結部T1,T2を、一方は上下方向の締結部とし、他方は車両前後方向の締結部としている。こうすると、上下方向の締結部T1周辺ではユニット2,6同士の相対的な位置決め精度を上下方向に高くなり、また、前後方向の締結部T2周辺では空調ユニット2の車体側への位置決め精度が車両前後方向に高くなるから、その両締結部T1,T2間に挟まれた接続部においてユニット2,6間の位置ずれを上下及び前後の両方向について小さくすることができる。
そして、前記両ユニット2,6の接続部においては、上述したように空調ユニット2の中間ダクト21と送風ユニット6の接続枠部61とが接続されている。中間ダクト21は、図3、12に示すように、空調ケース20の右側壁から送風ユニット6側に延びる断面矩形状の筒状体であり、その内部の通路が送風ユニット6からの空気を受け入れる受風口を構成している。一方、送風ケース60側の接続枠部61は、図8に示すように、空調ユニット2への送風口を囲んで、その周縁から空調ユニット2側に延びている(他方の周壁に相当する)。
前記中間ダクト21の先端側(一方の周壁に相当)においては、車両前方から下方に亘る断面L字状の範囲がそれ以外の範囲よりも長く延びた長壁部21aとされている(以下、車両後方から上方に亘る残りのL字状範囲を便宜上、短壁部21bという)。また、その長壁部21aの周方向両端、即ち車両前方の壁部の上端と下方の壁部の後端とには、それぞれ上方及び下方に延びるフランジ21c,21cが一体成形されている。
一方、前記接続枠部61は、送風ケース60の送風口を囲んで、車両後方から上方に亘る断面L字状の長壁部61aと、車両前方から下方に亘る断面L字状の短壁部61bとからなり、その長壁部61aの周方向両端(車両後方の壁部の下端と、上方の壁部の前端)には、それぞれ下方及び上方に延びるフランジ61c,61cが一体成形されている。
すなわち、前記中間ダクト21の先端側と接続枠部61とには、それぞれ上下方向及び前後方向に相対向するように断面L字状の長壁部21a,61aが設けられており、図12に中間ダクト21を実線で、また接続枠部61を仮想線で示すように、それらの接続部では相対向するL字状長壁部21a,61a同士が組み合わされて、相手方の短壁部61b,21bを外方から覆いながら、ダクト全周を取り囲むようになっている。
そうして中間ダクト21及び接続枠部61の接続部位を取り囲む一対のL字状長壁部21a,61aと、その内方にそれぞれ位置するL字状短壁部61b,21bとの間には、図示は省略するが発泡樹脂製のシール部材が介在されており、このシール部材が全周に亘って概略均一に、且つ適度に圧縮された状態になることで、高いシール性が得られるようになっている。
すなわち、この実施形態では、上述したように両ユニット2,6の接続部位に最も近い2つの締結部T1,T2を、中間に当該接続部位を挟むように配置し、そのうちの一方を共締めにするとともに、この共締めの締結部T1を上下方向にて、また、他方の締結部T2を車両前後方向にて、それぞれ車体側に締結したことで、接続部におけるユニット2,6の位置決め精度が上下及び前後の両方向について高くなり、両者の位置ずれが小さくなっている。
そのため、前記接続部において上下及び前後方向に重ね合わされるL字状長壁部21a,61aと同じく断面L字状の短壁部61b,21bとの間で、シール部材は上方方向及び前後方向の両方について部位に依らず概略、均一にかつ適度に圧縮されるようになり、これによりシール性が向上するのである。
さらに、この実施形態では、前記接続部位において組み合わされる断面L字状の長壁部21a,61a同士が、その両端のフランジ21c,61cにおいて重ね合わされるようになっており、その間にも発泡樹脂製のシール部材が介在されているので、シール性は更に高くなる。
したがって、この実施形態に係る車両用空調装置1によると、空調ユニット2及び送風ユニット6の車体側への複数の締結部(取付プレート52〜54,66〜67)のうち、両ユニット2,6の接続部位に最も近い締結部T1,T2の中間に当該接続部位を配置するとともに、一方の締結部T1を共締めとしたことで、両ユニット2,6間の接続部における位置ずれを抑えて、シール性を高めることができる。
また、それらの締結部T1,T2の一方を上下方向の締結部とし、他方を車両前後方向の締結部として、それらに挟まれた接続部における両ユニット2,6の位置ずれを上下及び前後の両方向について軽減するとともに、その接続部においては断面L字状の長壁部21a,61aと短壁部61b,21bとを上下及び前後方向に重ね合わせる構造としたので、それらの間でシール部材をダクト全周に亘り概略均一に且つ適度に圧縮された状態として、所要のシール性を確保することができる。
尚、この実施形態では、空調ユニット2及び送風ユニット6の接続部を挟む2つの締結部T1,T2のうち、一方(T1)のみを共締めにし、他方の締結部T2は空調ユニット2のケース20を車体側に締結するものとしているが、これに限らず、他方の締結部T2も空調ユニット2及び送風ユニット6を共締めするものとすれば、より好ましい。
また、前記の実施形態では、2つの締結部T1,T2のうちの一方(T1)を上下方向の締結部とし、他方(T2)を車両前後方向の締結部としているが、これは反対であってもよいし、或いは、両方の締結部T1,T2をいずれも上下方向又は車両前後方向のいずれか一方向で車体側に締結することもできる。
以上、説明したように、本発明は、簡単な構成でもって、空調ユニットと送風ユニットとの間の接続部におけるシール性を高めることができるので、両ユニットを別々に車体側に組み付ける場合に特に有利なものであり、自動車用の空調装置として好適である。
実施形態に係る車両用空調装置の車両前後方向後側から見た斜視図である。 同じく前側から見た斜視図である。 車両用空調装置の空調ユニットを車両前後方向後側から見た斜視図である。 空調ユニットを車幅方向右側から見た側面図である。 空調ユニットの内部を車幅方向右側から見たレイアウト図である。 車幅方向右側から見たリンク機構の拡大図である。 駆動側リンク部材の正面図である。 送風ユニットを車両前後方向後側の斜め左側から見た斜視図である。 同じく斜め右側からの斜視図である。 内外気切換ダンパの斜視図である。 両ユニットの組み付け構造を示す正面図である。 空調ユニットを車幅方向右側から見て、中間ダクトと接続枠部との接続状態を示す説明図である。
符号の説明
1 車両用空調装置
2 空調ユニット
6 送風ユニット
20 空調ケース
21 中間ダクト(受風口の周壁)
21a L字状長壁部
21b 短壁部(長壁部位外の部位)
21c フランジ
52〜54,66〜67 取付プレート(固定部)
60 送風ケース
61 接続枠部(送風口の周壁)
61a L字状長壁部
61b 短壁部(長壁部位外の部位)
L 仮想直線
T1 共締めの締結部(共締めの固定部)
T2 他の締結部(他の固定部)

Claims (6)

  1. 調和空気を生成する空調ユニットと、該空調ユニットへ空調用の空気を送る送風ユニットとに分割可能な車両用空調装置であって、
    前記送風ユニットは、空調ユニットへの送風口を有するとともに、車体側への固定部が複数、設けられ、
    前記空調ユニットは、前記送風口に接続されて空気を受け入れる受風口を有するとともに、車体側への固定部が複数、設けられ、
    前記送風ユニットの複数の固定部と空調ユニットの複数の固定部とのうち、少なくとも2つが共締めで締結され、
    その共締めの固定部は、これを他のいずれか1つの固定部と結ぶ仮想の直線が、前記送風ユニットの送風口と空調ユニットの受風口との接続部を通過するように配置されていることを特徴とする車両用空調装置。
  2. 共締めの固定部と、これとを結ぶ仮想直線が送風口及び受風口の接続部を通過する他の固定部とは、接続部に最も近い固定部とその次に近い固定部とであることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
  3. 共締めの固定部は、送風ユニット及び空調ユニットを車体側に、上下方向又は車両前後方向のいずれか一方向で締結するものであり、
    前記共締めの固定部とを結ぶ仮想直線が送風口及び受風口の接続部を通過する他の固定部は、前記送風ユニット乃至空調ユニットを上下方向又は車両前後方向の他方向で締結するものであることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の車両用空調装置。
  4. 送風ユニットの送風口及び空調ユニットの受風口には、それぞれの周縁から相手方に向かって延びるように周壁が形成され、
    前記送風口及び受風口のいずれか一方の周壁は、車両前方から上下いずれか一方に亘る断面L字状の部位が、それ以外の部位よりも長く延びた長壁部とされ、他方の周壁は、車両後方から上下の他方に亘る断面L字状の部位が長壁部とされており、
    前記送風口及び受風口の周壁同士が、それぞれの長壁部を相手方の長壁部以外の部位に外方から重ね合わせて、接続されていることを特徴とする請求項3に記載の車両用空調装置。
  5. 送風口及び受風口の各周壁には、その長壁部の周方向両端からそれぞれ周方向乃至径方向外方に延びて、相手方に重ね合わされるようにフランジが設けられていることを特徴とする請求項4に記載の車両用空調装置。
  6. 共締めの固定部とを結ぶ仮想直線が送風口及び受風口の接続部を通過する他の固定部も、車体側に共締めで締結されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
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