JP2007250522A - 導電性膜 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】酸化亜鉛粒子及び/又は酸化チタン粒子を親水性バインダーに分散させたバインダー溶液を紙又は不織布からなる基材に塗布又は含浸させてなるシート抵抗が105Ω/□〜1012Ω/□である導電性膜。この導電性膜で食品を包装し電場中で冷却して過冷却状態とし、電場をなくして急速に凍結させることにより、大氷結晶の生成を抑制して良好な凍結状態を形成し、食品を鮮度よく凍結保存することができる。また、この導電性膜は耐電防止材、抗菌材としての用途がある。
【選択図】図6
Description
最近の消費者の健康志向などを背景とした生鮮野菜への根強いこだわりや、食品の鮮度保持に対する意識の高まり、コールドチェーンの発達、女性の就労率の増加に伴う家事時間の減少及び食生活の多様化等を背景として、鮮度保持、長期保存及び調理の簡便性等の観点から、冷凍状態又は冷蔵状態での食品の流通・保存・販売が急激に増加している。そして、このような冷凍食品需要の高まりの中で、冷蔵庫の本質機能としてこれら食品の新鮮保存に対する要望が強くなっており、2004年度の家庭用冷凍冷蔵庫の需要は、年間で約440万台が見込まれ、ここ数年では、400L以上の大型冷蔵庫の構成比が増加する傾向がある。
しかしながら、これらのシート又はフィルムは食品そのものの凍結状態を改善して食品の鮮度を保持することを目的とするものではない。
しかしながら、上記の未凍結温度領域での保存では、細菌の活動を抑えることによってある程度の期間は鮮度が維持されるが、長期保存することはできない。長期保存のためには−15℃以下の凍結保存が必要であり、長期保存のために食品を凍結しても食品の細胞組織が破壊して品質を劣化させることがないような凍結技術が必要となっている。
従って、食品を凍結させる場合、氷の結晶が生成する最大氷結晶生成帯をできるだけ早く通過して急速に冷凍させる必要がある。
特許文献4〜6には、最大氷結晶生成帯を急速に通過する技術として、アルコールの比較的高い熱伝導率を冷媒として利用した液体凍結、あるいはブライン凍結を一般の冷凍庫に合わせこむ技術がある。
しかしながら、このような不凍液などの冷媒を組込んだ冷凍庫はコスト的に高価であること、アルコールの攪拌が難しく、その結果、大量に凍結することができないなど、大量に凍結する必要がある業務用での利用には課題がある。
また、この装置は(i)0〜マイナス5℃に温度調節される低温室の一部または全部とする電場処理室、(ii)当該処理室に高電圧電極と、これに対向して配設された平板電極、(iii)前記高電圧電極と平板電極に高電圧を付加する高圧電源から成る構成を備えており、具体的には高電圧の範囲を1kV以上とし、電場処理室内に電導性物質を満載しても電気容量は1mW/m2を越えないように高圧電極と電場処理室内壁面とが絶縁されている冷蔵庫であり、電極から及ぼされる電場雰囲気は高電圧ほど影響範囲が広く、低電圧になるほど影響範囲が狭くなるので、実用上はかなり高い電圧を必要としているため、業務用としては適当でなく、また、高電圧を発生させるための装置や高い電圧に対する安全の面に課題が残る。
しかしながら、この方法においても具体的な電圧としては1000V程度の交流高電圧を印加しており、やはり、一般の業務用には適したものではない。
帯電防止材としては一般に難燃硬質塩化ビニールシートが用いられている。
この難燃硬質塩化ビニールシートは、特殊配合技術により、難燃性・耐熱性を高めた硬質塩化ビニールシートに対し、精密カレンダー技術を用いて金属板や金属箔を貼り合わせた複合商品である。一般の硬質塩化ビニールシートに比べ、難燃性・耐熱性に優れた帯電防止材や電磁波(より長波長側)シールド材として使用できる。シート抵抗は、ほぼ5×1011Ω/□である。
また、帯電防止エアーパッキンは通常のエアーパッキンに帯電防止剤を練りこんだ商品である。空気を閉じ込めた気泡緩衝材のため、クッション性に優れ、内容物を外側からの衝撃より守ることに特徴がある。主にプリント基板・電子部品・光学機器等の静電気やホコリを嫌うものの梱包・包装に最適である。シート抵抗は、1010Ω/□台である。
特許文献10には、酸化亜鉛とグリシン、アラニン、フェニルアラニン、グルタミン酸塩及びサルコシンの群から選ばれるアミノ酸とを有効成分とする抗菌性消臭剤が、特許文献11には、オキソリニック酸と酸化亜鉛とを含有する抗菌剤組成物が、特許文献12には、二酸化チタンと酸化亜鉛とを含有するシリカ膜を表面に有する紙を殺菌用に用いることが、特許文献13には、超微粒子状の酸化亜鉛と酸化ジルコニウム超微粒子との混合物とバインダーからなる抗菌性コーティング剤がそれぞれ記載されている。しかしながら、これらは他の薬剤と併用するものであり、本件発明におけるように酸化亜鉛を単独で使用して紙又は不織布からなる基材に分散含有させて導電性膜としたものではない。
すなわち、本発明は以下に記載する通りのものである。
(1) 紙又は不織布からなる基材と、この基材に塗布又は含浸させた酸化亜鉛粒子及び/又は酸化チタン粒子を分散含有する親水性バインダーとからなる導電性膜。
(2)前記親水性バインダーが、−COOM基含有の酢酸ビニル-マレイン酸共重合体化合物、親水性セルロース誘導体、ポリビニルアルコール誘導体、天然高分子化合物及び親水基含有ポリエステル誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする上記(1)に記載の導電性膜。
(3) 前記親水性バインダーが添加剤として、IA族金属元素、IIIB族金属元素及びIVB族金属元素、よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を金属単体あるいはその酸化物の状態で含むことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の導電性膜。
(4) 前記添加剤がアルミニウム、ガリウム、シリコン及びリチウムよりなる群から選ばれる少なくとも一種の元素の金属単体あるいはその酸化物であることを特徴とする上記(3)に記載の導電性膜。
(5) 前記酸化亜鉛粒子が、酸化亜鉛微粉末の1次粒子が集合して2次粒子を形成してなる酸化亜鉛粒子であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の導電性膜。
(6) 酸化亜鉛粒子及び/又は酸化チタン粒子と親水性バインダーとからなる混合物が紙又は不織布を構成する繊維間に存在していることを特徴とする上記(1)〜(5)の何れかに記載の導電性膜。
(7) シート抵抗が105Ω/□〜1012Ω/□であることを特徴とする上記(1)〜(6)の何れかに記載の導電性膜。
(8) 上記(1)〜(7)のいずれかに記載の導電性膜からなる食品包装材。
(9) 上記(1)〜(7)のいずれかに記載の導電性膜からなる食品用弁当箱。
(10)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の導電性膜からなる抗菌材。
(11) 上記(1)〜(7)のいずれかに記載の導電性膜からなる帯電防止材。
(12) 上記(1)〜(7)のいずれかに記載の導電性膜によって水分を含有する物体を包装し、電場中で氷結温度以下に冷却して過冷却状態とした後、電場をなくして物体を瞬時に凍結させることを特徴とする水分を含有する物体の凍結方法。
(13) 前記物体が食品又は医療用臓器であることを特徴とする上記(12)に記載の凍結方法。
また、本発明の導電性膜は帯電性防止材として有効に機能し、また毒性がないため廃棄しても環境問題を引き起こすという問題もない。
更に本発明の導電性膜は、汎用されている粒子径の酸化亜鉛、酸化チタンを用いることによっても優れた抗菌性を示すので、安価な抗菌材として用いることができる。
本発明の導電性膜は、基材としての紙又は不織布と、酸化亜鉛及び/又は酸化チタンと親水性バインダーとを主たる構成成分として含む。
基材としての紙又は不織布の材料には特に制限はなく、天然素材又は合成素材のいずれもが使用できる。
疎水性バインダーの場合には、粉体酸化亜鉛同士の引力が効かず、粉落ちなどが生じやすいので、バインダーとしては、前記、親水性バインダーが望ましい。
本発明の導電性膜は、酸化亜鉛粒子及び/又は酸化チタン粒子を親水性バインダーに分散してなるバインダー液を紙又は不織布の基材に塗布又は含浸することによって得ることができる。
基材原反1をアルミローラ4を介してグラビアロール2に導いて塗布用溶液3を基材に塗布し、これを乾燥機5に導いて乾燥させた後、エキスパンダで張力を付加して巻き取ることによって導電性膜を製品7として得る。
本発明の凍結方法は上記特許文献7に記載の凍結方法の原理を利用したものである。
すなわち、特許文献7に記載の凍結方法は、被凍結物体に電場を与えることによって被冷凍物体の水分の氷結温度を降下させて水分の凍結を抑制しつつ物体を通常の氷結温度以下に過冷却した後、磁場または電場の発生若しくは変動を停止することによって過冷却状態を解き、被凍結物体を低温下で瞬時に冷凍させて大氷結晶を生成することなく凍結させるというものである。しかしながら、この方法は1000V程度の高電圧を必要とする。
これに対し、本発明の導電性膜によって食品を包装して冷凍装置又は冷凍庫に入れると、数10Vという商用電源の電圧よりも低い電圧の電場をかけるだけで、食品中の水分が過冷却状態となり、次いで電場をなくすことによって瞬時に食品中の水分が大氷結晶を生成することなく凍結し、特許文献7に記載の方法におけると同様の効果を奏することができる。
印加電圧は高いほど好ましいが、実用性の点から数V〜100Vの範囲が好ましい。もちろん100Vを超える電源であればより効果的である。
本発明の導電性膜が前記の効果を奏するメカニズムは次のようなものであると推察される。
すなわち、前記の効果は、本発明の導電性膜によって食品を包装することで、導電性膜が電極として働き、食品近傍から食品に対して電場の影響を与え、電場による効果を数10Vという弱い電圧でも伝達することができることによって奏されると考えられる。
また、本発明の導電性膜を用いた凍結方法は食品に限らず、細胞を破壊することなく凍結保存する必要がある例えば医療用臓器の凍結保存などにも適用できる。
本発明の導電性膜は紙と親水性バインダーと酸化亜鉛粒子及び/又は酸化チタンとを少なくとも主たる構成要素としているので、紙として天然素材を用いた場合には、燃えるゴミとして容易に廃棄することができる。
以下に示す実施例1〜7では本発明の導電性膜のシート抵抗値を明らかにし、実施例3、5では本発明の導電性膜の食品包装材としての作用効果を明らかにする。
実施例1〜7で使用した酸化亜鉛粉末は、すべて、ハクスイテック株式会社製、商品名:酸化亜鉛23−Kである。平均粒径は0.2μm、体積抵抗率は150Ωcmであり、添加剤としてアルミニウムを1重量%程度添加した。
まず、実施例において用いた測定方法について述べる。
<シート抵抗>
導電性膜のシート抵抗の測定には高抵抗計HIRESTA IP(MCP-HT260 三菱油化)を用い、試料上の3点について500Vを印加測定し、その中央の値を代表値とした。
(初回試験)
坪量(紙・板紙の基準となる重さを表し、単位面積あたりの質量)80g/m2の“紙ニューとき”(北越製紙株式会社製、商品名:ニューとき)に対して、酸化亜鉛粉末を240gと酢酸ビニル系バインダー(日本合成化学工業株式会社製、固形分50%)1800gとノントルエン系有機溶剤(大阪印刷インキ製造株式会社製、商品名:GOF-V♯1)3000gを混合したものを、エアブラシを用いて塗布し、塗布量35.8g/m2である導電性膜を得た。この導電性膜のシート抵抗は1.43×108Ω/□であった。また、酸化亜鉛未塗布の場合のシート抵抗は9.81×1011Ω/□であった。
(連続機械加工試験)
坪量155g/m2の“紙NPiフォーム135(日本製紙株式会社製、商品名:NPiフォーム)”に対して、酸化亜鉛2600gと酢酸ビニル系バインダー(日本合成化学工業株式会社製、固形分50%)1600gとメタノール3000gを混合したものを、グラビア深度200μm、150μm、60μmのグラビアロールを用いて塗布し、おのおの塗布量32.6g/m2、26.6g/m2、14.4g/m2である導電性膜を得た。
この導電性膜のシート抵抗は、それぞれ、1.40×108Ω/□、1.39×108Ω/□、3.18×108Ω/□であった。また、酸化亜鉛未塗布の場合のシート抵抗は9.81×1011Ω/□である。
(弁当箱)
坪量155g/m2の“紙NPiフォーム135” (日本製紙株式会社製、商品名:NPiフォーム)に対して、酸化亜鉛1500gと酢酸ビニル系バインダー(日本合成化学工業株式会社製、固形分50%)3000gとメタノール5000gを混合したものを、グラビア深度60μmのグラビアロールを用いて塗布し、塗布量4.1g/m2である導電性膜を得た。
この導電性膜のシート抵抗は5.50×1010Ω/□であった。また、酸化亜鉛未塗布の場合のシート抵抗は9.81×1011Ω/□であった。
次に本サンプルで、B5版ほどの面積、高さ3cmをもつ弁当箱を作成し、マイナス15℃設定の冷凍庫に、商用電源から変圧器を介して30Vに調整された片方の端子を封鎖し、もう片方の端子を冷凍庫内に置かれた厚さ1mmのポリエチレン製絶縁板の上に置かれたアルミニウム製バットに被覆線で接続し、これら2つの端子間に電圧を与えられる冷凍実験装置を作製した。試作した弁当箱に、ご飯とうなぎの蒲焼をうな重の形で入れ、上記アルミニウム製バットの上にのせて30Vを印加して冷凍し、熱電対で測定しながら、マイナス7℃に達した後、印加電圧を切り、その後、3時間ほど冷凍状態を保った。解凍後試食した結果、良好な食味であった。本発明による弁当箱では、うな重を冷凍、解凍したものは、ドリップも少なく、その結果、食品の見かけも冷凍前と変化せず、味も良好であることがわかった。
(親水性のない不織布)
坪量50g/m2と100g/m2のPP製メルトブロー不織布(ニッポン高度紙工業株式会社製)に対して、酸化亜鉛300gと酢酸ビニル系バインダー(日本合成化学工業株式会社製、固形分50%)600gとメタノール1000gを混合したものを、ワイヤーバーを用いて、おのおの塗布量33.5g/m2と30.4g/m2の導電性膜を得た。
この導電性膜のシート抵抗はいずれも1×107Ω/□以下であった。また、酸化亜鉛未塗布の場合のシート抵抗は5.5×1013Ω/□である。
(耐水性和紙)
坪量14g/m2の和紙(森製紙株式会社製、商品名:パーマネント紙)に対して、酸化亜鉛300gと酢酸ビニル系バインダー(日本合成化学工業株式会社製、固形分50%)600gとメタノール1000gを混合したものを、グラビア深度25μmおよびグラビア深度60μmのグラビアロールを用いて塗布し、塗布量1.9g/m2および9.2g/m2である導電性膜を得た。
この導電性膜のシート抵抗は1.81×1011Ω/□、およびで3.00×1010Ω/□であった。また、酸化亜鉛未塗布の場合のシート抵抗は9.81×1011Ω/□であった。本実施例では、帯電防止材としての機能は格別でないが、環境安全性については効果がある。
本サンプルによる冷凍効果を試みた。マイナス15℃設定の冷凍庫に、商用電源から変圧器を介して20Vに調整された片方の端子を封鎖し、もう片方の端子を冷凍庫内に置かれた厚さ1mmのポリエチレン製絶縁板の上に置かれたアルミニウム製バットに被覆線で接続する。試作したサンプルで作った袋の中に巨峰ぶどうを入れ、袋の余る部分を折りたたみ、上記アルミニウム製バットの上にのせて20Vを印加ししながら、マイナス7℃まで、冷凍し、その後、電圧を閉じた。3時間後、解凍後、試食した結果、ドリップも少なく、その結果、ぶどうの色合いなど、見かけも冷凍前と変化せず、良好な食味であった。
本実施例は、同一基材を用いた実施例2と比較するものである。酸化亜鉛の量を実施例2と比べて、およそ1桁落とし、グラビア深度も小さくすることで、塗布量を減少させた。
予想通り、シート抵抗は大きく増大することが確認された。シート抵抗は同一基材であれば、酸化亜鉛量と塗布量とが主たる制御因子であることがわかった。
(実施例6−1)
坪量155g/m2の“紙NPiフォーム135” (日本製紙株式会社製、商品名:NPiフォーム)に対して、酸化亜鉛300gと酢酸ビニル系バインダーb(日本合成化学工業株式会社製、商品名:ビニロールSH、固形分50%)700gとメタノール1000gを混合したものを、グラビア深度45μmのグラビアロールで塗布し、塗布量6.4g/m2である導電性膜を得た。この導電性膜のシート抵抗は、1.55×1011Ω/□であった。また、酸化亜鉛未塗布の場合のシート抵抗は9.81×1011Ω/□であった。
酸化亜鉛300gと酢酸ビニル系バインダーa(ビニロールSH;固形分50%)700gとメタノール1000gを混合したものを、グラビア深度45μmのグラビアロールで塗布し、塗布量6.4g/m2である導電性膜を得た。この導電性膜のシート抵抗は1.705×1011Ω/□であった。また、酸化亜鉛未塗布の場合のシート抵抗は9.81×1011Ω/□である。
上記の実施例6−1〜6−2で得られた導電性膜について基材への酸化亜鉛の接着性を比較すると、酢酸ビニル系バインダーaよりも酢酸ビニル系バインダーbの方が、基材に対する酸化亜鉛微粉末の接着性を向上させる効果をもつ。
坪量355g/m2の“カード紙Sカードグリーン100(王子製紙株式会社製、商品名:Sカードグリーン)”に対して、酸化亜鉛300gと酢酸ビニル系バインダー(日本合成化学工業株式会社製、固形分50%)850gと溶剤1000gとを混合したものを、グラビア深度160μmのグラビアロールを用いて塗布し、塗布量17.0g/m2である導電性膜を得た。
この導電性膜のシート抵抗は8.30×1010Ω/□であった。また、酸化亜鉛未塗布の場合のシート抵抗は9.81×1011Ω/□であった。
図1、2に本サンプルの表面走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)像を、また、図3〜5に本サンプルの断面SEM像を示す。図3〜5は、亜鉛を鮮明に表示することを目的に2次電子ビームを照射してSEM像を得たものである(2次電子像)。
図1、2が示すように、紙表面に酸化亜鉛粉末(白っぽく見えている)がほぼ一様に分散されて、ネットワークを構成する形状において分布している様子がわかる。
また、図3〜5が示すように、紙のセルロース上に酸化亜鉛粉末(白く見える部分)が互いに隣接している。図1、2で表示されている酸化亜鉛粉末ネットワーク形成と共に、これが酸化亜鉛未塗布の当該サンプル紙に比べて、酸化亜鉛粉末を塗布された当該サンプル紙において、その導電性が向上する原因である。また酸化亜鉛粉末層と紙の層との界面付近では、酸化亜鉛粉末層の下にある紙の層において、構成成分である繊維と繊維との間に、酸化亜鉛粉末がバインダーとともに侵入していることがわかる。そのようなミックス構造は、酸化亜鉛粉末層と紙の層との界面における密着性を向上させる役割を担っている。
また本発明による導電性膜は、いずれもがそのシート抵抗値が1011Ω/□以下である。この場合、電荷の漏洩時間が1秒以下と非常に速く、静電気障害防止梱包材としての役割を果たすことが可能である。難燃硬質塩化ビニールシートは、シート抵抗が1011Ω/□の半ばであるが、これは特殊配合技術により、難燃性・耐熱性を高めた硬質塩化ビニールシートに対し、精密カレンダー技術を用いて金属板や金属箔を貼り合わせた複合商品であり、コスト高である。
実施例8〜15の導電性膜の作製方法を以下に示す。
酸化亜鉛150gとメタノール500gと酢酸ビニル系バインダー(日本合成化学工業株式会社製、商品名:ゴーセニール M50-Y0)425gとの混合物をグラビア深度200μmのグラビアロールによって基材(KP40g)に塗布し実施例8〜15の導電性膜(検体1〜8)を得た。
各実施例で用いた酸化亜鉛の種類、および塗布に用いた原料酸化亜鉛粉末の一次粒子の平均粒子径(この値は酸化亜鉛粉末製品カタログ値あるいは製造元からの仕様書から抜粋した)及び塗布量を表2に示す。
各検体1〜8についてJIS Z2801(2000)に基づいて抗菌性試験を行った。
試験の概要は次の通りである。
<試験方法>
(試験片の調製)
製品の平らな部分を50±2mm角(厚さ10mm以内)の正方形に切り取り、これを標準の大きさの試験片とする。これらを無加工試験片は6個、抗菌加工試験片は各3個準備する。無加工試験片には、微生物の発育に影響を及ぼさない材質で、吸水性のないもので、厚さは特に規定しないが、密着性のよいフィルムとしてポリエチレンを使用する。試験片の調整に当たっては微生物汚染、製品間の相互汚染及び汚れに十分注意する。
(試験菌液の接種)
試験片を試験面を上にして滅菌済みシャーレ内に置く。所定の試験菌液をピペットで正確に0.4ml採取し、これシャーレ内の各試験片に滴下する。滴下した試験菌液の上にフィルムをかぶせ、菌液がフィルムの端からこぼれないように注意しながら試験菌液がフィルム全体に行きわたるように軽く押さえつけた後、シャーレのふたをする。
(試験菌液を接種した試験片の培養)
試験菌液を接種した試験片(無加工試験片各3個と抗菌加工試験片3個)の入ったシャーレを温度35±1℃、相対湿度90%以上で24±1時間培養する。
今回は、JISには規定されていないが、経過を知る目的で、6±1時間の培養を追加し、白癬菌は通常の生育環境を考慮して、25±1℃で培養した。
細菌としては大腸菌、黄色ブドウ球菌及び白癬菌を使用した。大腸菌及び黄色ブドウ球菌は、接種直後、35℃6時間後、35℃24時間後のそれぞれにおける生菌数を測定した。白癬菌は、接種直後、25℃6時間後、25℃24時間後のそれぞれにおける生菌数を測定した。
試験結果を表3−1〜3−3に示す。
また、JISL1902(2002)に規定されているハロー法(シャーレ内の寒天培地に菌液を接種し、直径28mmの円形の試験片を、培地表面を傷つけないように培地中央に軽く置いて密着させ、37±1℃で24〜48時間培養後、試験片の周囲にできたハローと呼ばれる無菌帯の幅を測定する。)では、ハローの幅がゼロである。このときの試料の観察では、周囲にハローの発生はないが、試料上には菌が繁殖していない。このことから、酸化亜鉛は白癬菌などに対しては菌を殺す力は弱くても、菌をその上で繁殖させない力はあると考えられる。
以上、本件の実施例が示すように、導電性酸化亜鉛粉体が有する抗菌作用においては、その粒径依存性はないことが判明した。すなわち、表面積の体積に対する割合が大きいほど、抗菌性が優れるという傾向は見られず、コスト的には高価な超微粒子を用いる必要がないことが本件で明白となった。すなわち、汎用的かつコスト的に有利となる粒径の大きいものが抗菌効果からも使用できるといった産業応用上、望ましいという結果が、導電性酸化亜鉛粉体において、得られている。尚、原料に用いる酸化亜鉛粒子は、菌の大きさが数μmであること、及び二次凝集を考慮した上で、平均粒子径10nm〜5μmが望ましい。
2 グラビア版
3 塗布用溶液
4 アルミローラ
5 乾燥炉
6 エキスパンダ
7 製品
Claims (13)
- この基材に塗布又は含浸させた酸化亜鉛粒子及び/又は酸化チタン粒子を分散含有する親水性バインダーとからなる導電性膜。
- 前記親水性バインダーが、−COOM基含有の酢酸ビニル-マレイン酸共重合体化合物、親水性セルロース誘導体、ポリビニルアルコール誘導体、天然高分子化合物及び親水基含有ポリエステル誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の導電性膜。
- 前記親水性バインダーが添加剤として、IA族金属元素、IIIB族金属元素、及びIVB族金属元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を金属単体あるいはその酸化物の状態で含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性膜。
- 前記添加剤がアルミニウム、ガリウム、シリコン及びリチウムよりなる群から選ばれる少なくとも一種の元素の金属単体あるいはその酸化物であることを特徴とする請求項3に記載の導電性膜。
- 前記酸化亜鉛粒子が、酸化亜鉛微粉末の1次粒子が集合して2次粒子を形成してなる酸化亜鉛粒子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の導電性膜。
- 酸化亜鉛粒子及び/又は酸化チタン粒子と親水性バインダーとからなる混合物が紙又は不織布を構成する繊維間に存在していることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の導電性膜。
- シート抵抗が105Ω/□〜1012Ω/□であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の導電性膜。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の導電性膜からなる食品包装材。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の導電性膜からなる食品用弁当箱。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の導電性膜からなる抗菌材。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の導電性膜からなる帯電防止材。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の導電性膜によって水分を含有する物体を包装し、電場中で氷結温度以下に冷却して過冷却状態とした後、電場をなくして物体を瞬時に凍結させることを特徴とする水分を含有する物体の凍結方法。
- 前記物体が食品又は医療用臓器であることを特徴とする請求項12に記載の凍結方法。
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