JP2007248550A - マゼンタトナー - Google Patents

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Abstract


【課題】高着色力で、かつ優れた負帯電性を有するマゼンタトナーを提供する。
【解決手段】少なくともマゼンタ顔料C.I.Pigment RED 184、顔料分散剤に酸価が0〜10mgKOH/g、アミン価が1〜10mgKOH/gの変性ポリウレタン系分散剤、および結着樹脂を含有し、付着量0.3mg/cmのときのIDが1.4〜2.0であり、現像剤として15秒攪拌後の帯電量が20(‐μC/g)以上であることを特徴とするマゼンタトナー
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真方式の複写機、レーザープリンター、ファクシミリなどにおける現像剤に用いられるトナーに関し、カラー画像の形成に用いるのに適したマゼンタ色の電子写真用乾式トナーに関するものである。
電気的潜像を現像剤により現像して可視画像を形成する電子写真方式は、光導電性物質からなる感光体上に電気的潜像を形成し、次いでその潜像をトナーを含有する現像剤で現像してトナー画像とし、必要に応じて紙等にトナー画像を転写した後、加熱、加圧などにより定着して定着画像を得るものである。また、電子写真方式によりフルカラーなどの画像を得るためには、例えば、原稿からの光を色分解フィルターを通して感光体上に露光し、あるいはスキャナーで読みった像をレーザーで書き込み露光して、感光体上にイエロー画像部の電気的潜像を形成し、その電気的潜像をイエロートナーで現像して得られたイエロートナー画像を紙等の転写材に転写し、ついで同様の工程によりマゼンタトナー、シアントナーを用いて得られたマゼンタトナー画像、シアントナー画像を順次イエロートナー画像上に重ね合わせればよい。
従来、電子写真方式には熱可塑性樹脂と共に着色剤である顔料と帯電制御剤などとを混練し、粉砕したトナーが一般に用いられている。この場合、特にマゼンタトナーにおいては、着色剤である顔料が分散されにくいため、分散粒子が光を散乱させ、トナーの透明性を低下させるという問題を生じやすかった。このため、複数のカラートナーを重ね合わせて形成した多色画像の色再現性が劣り、またオーバーヘッドプロジェクター(OHP)用の透明シートに転写、定着して形成した画像の投影画像は、暗く、彩度が低くなるという欠点を有していた。さらにマゼンタトナーにおいては、着色度が低い、あるいは色調が理想的なマゼンタ色とはならない等の欠点があった。
これらの問題に対しては、主にマゼンタトナーに用いる顔料や染料の改良、顔料や染料の併用による改良が提案されている。例えば特許文献1にはキナクリドン系顔料及びキサンテン系染料を併用することにより鮮明なマゼンタ色のトナーが得られ、耐光性が向上し、またシリコンゴムローラーへの染色がないことが開示されている。また特許文献2にはキナクリドン系顔料及びメチン系顔料を併用することにより複写機を汚染することなく鮮明なカラー画像が得られることが開示されている。
また、上記課題を解決するために、いわゆるケミカルトナーの製造方法において特許文献3には、ポリウレタン系顔料分散剤を併用することにより顔料を高分散化し着色力を高める試みが開示されている。
しかしながら、これらの提案によっても、色再現する為に分光反射特性に優れ、鮮明なマゼンタ色を有すること、着色剤の樹脂に対する分散性が良好で高着色を有すること、環境において安定した摩擦帯電特性を有すること、透明性が良好である、などのすべての要求特性を十分に満足する電子写真用マゼンタトナーは得られていない。
特開平1−224777号公報 特開平2−013968号公報 特開2005−181839号公報 特公平2−019844号公報 特開平4−227774号公報 特願平7−250953号公報
そこで本発明の課題はこのような問題点を解決し、色調、着色度、摩擦帯電特性、および透明性などを満足する電子写真用マゼンタトナーを提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、顔料としてC.I.Pigment RED184(以下、PR184とも記す)を用いて、かつ酸価が0〜10mgKOH/g、アミン価が1〜10mgKOH/gである変性ポリウレタン系分散剤を顔料分散剤として用いることにより、着色剤粒子にほとんどの分散剤ポリマーが吸着され、正帯電性になり易いアミン価を有する分散剤ポリマーのトナー表面での存在量が少なくなるため、特に、負帯電性トナーにおいて、負帯電性を阻害することがないことを見出し、本発明を創作するに至った。すなわち、本発明は以下の構成を採用する。
(1)本発明は、少なくともマゼンタ顔料C.I.Pigment RED184と、酸価が0〜10mgKOH/gでアミン価が1〜10mgKOH/gの変性ポリウレタン系分散剤、および結着樹脂と、を含有することを特徴とするマゼンタトナーである。
(2)本発明は、前記変性ポリウレタン系分散剤が、前記結着樹脂と相溶性を有することを特徴とする上記(1)に記載のマゼンタトナーである。
(3)本発明は、前記変性ポリウレタン系分散剤の重量平均分子量が2000以上100000以下であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のマゼンタトナーである。
(4)本発明は、前記変性ポリウレタン系分散剤の添加量が、前記マゼンタ顔料100重量部に対して1重量部以上50重量部以下であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のマゼンタトナーである。
(5)本発明は、前記変性ポリウレタン系分散剤が、トナー中に0.1重量%以上10重量%以下の割合で含有されていることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のマゼンタトナーである。
(6)本発明は、前記マゼンタトナーの体積平均粒径(Dv)が、2.5〜5.5μmであることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のマゼンタトナーである。
(7)本発明は、前記マゼンタトナーの体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)の比(Dv/Dn)が、1.00〜1.20であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載のマゼンタトナーである。
(8)本発明は、前記マゼンタトナーの付着量0.3mg/cm2のときの画像濃度が、
1.4〜2.0であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載のマゼンタトナーである。
(9)本発明は、前記マゼンタトナーを現像剤として15秒攪拌した後の帯電量が、20(−μC/g)以上であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載のマゼンタトナーである。かかる帯電量が20(−μC/g)未満であると、現像ローラとの静電的吸引力が減少し、画像濃度の低下を招くことがある。
(10)本発明は、有機溶媒中に少なくとも、活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体からなる結着樹脂、マゼンタ顔料及び変性ポリウレタン系分散剤を溶解又は分散させ、該溶解又は分散物を水系媒体中で架橋反応及び/又は伸長反応させ、得られた分散液から溶媒を除去することにより得られることを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載のマゼンタトナーである。
(11)本発明は、前記反応可能な部位を有する重合体が、反応可能な置換基を有する変性ポリエステル(i)であることを特徴とする上記(10)に記載のマゼンタトナーである。(12)本発明は、前記変性ポリエステル(i)の反応可能な置換基がイソシアネート基であることを特徴とする上記(11)に記載のマゼンタトナーである。(13)本発明は、前記結着樹脂が、前記変性ポリエステル(i)と共に、変性されていないポリエステル(ii)を含有し、(i)/(ii)の重量比が5/95〜30/70である上記(12)に記載のマゼンタトナーである。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
色調、着色度、及び透明性などの全てを満足する電子写真用乾式マゼンタトナーを得ることができ、種々の環境下において安定した摩擦帯電特性を有する電子写真用乾式マゼンタトナーを得ることができる。
本発明においては、マゼンタ顔料としてPR184と変性ポリウレタン系分散剤を併用して顔料分散体を作成し、これを用いることを特徴とする。PR184としては、クラリアントジャパン製Toner Magenta F8B LV3162が最適である。
本発明において、顔料分散剤は酸価が0〜10mgKOH/g、アミン価が1〜10mgKOH/gの変性ポリウレタン系分散剤を用いることを特徴とする。本発明では、顔料分散体を作製する際に変性ポリウレタン系分散剤を用いること、および着色剤粒子にPR184を用いることで、着色剤粒子にほとんどの分散剤ポリマーが吸着され、正帯電性になり易いアミン価を有する分散剤ポリマーのトナー表面での存在量が少なくなるため、特に、負帯電性トナーにおいて、負帯電性を阻害することがない。
これが、例えば、PR184以外の顔料を用いた場合、本色調、着色度、および透明性などの特性は満足させることが出来るが、本来、トナーとして負帯電性を有さなければならないところ、顔料分散剤のアミン価により、トナーが正帯電性をもったり、負帯電性を持ったとしても非常に弱い帯電特性になってしまう。
これに対して、顔料としてPR184を用いた場合は前記理由により、帯電特性の不具合が生じず、色調、着色度、摩擦帯電特性、および透明性などの全てを満足させるマゼンタトナーを得ることが出来る。
本発明では、好ましくは酸価が10mgKOH/g以下でありアミン価が1以上10mgKOH/g以下である変性ポリウレタン系分散剤により、着色剤を分散させて使用する。酸価が10mgKOH/gを超えると、高湿下での帯電性が低下し、顔料分散性も不十分となる。また、アミン価が1より小さい場合、および、アミン価が10mgKOH/gを超える場合にも、顔料分散性が不十分となったり、アミン価により負帯電特性に不具合を生じる。なお、酸価はJIS K0070に記載の方法により測定することができ、アミン価はJIS K7237に記載の方法により測定することができる。
また、変性ポリウレタン系分散剤は、顔料分散性の点で、結着樹脂との相溶性が高いことが好ましく、アミノ基を有するシランカップリング剤やジイソシアネートで変性したポリウレタン等のポリウレタン誘導体が好ましい。
着色剤分散後の分散体中の着色剤の粒径は、1μm以下であることが望ましい。1μmより大きいとトナーを形成した際に、着色剤の粒径が大きくなり、画質が低下しやすく、特に、OHPの光透過性が低下しやすい。なお、着色剤の粒径は、レーザー回折/散乱粒度分布測定装置「LA−920」(堀場製作所社製)で求めることができる。
上記の高分子タイプの分散剤を具体的に説明すると、次のような物があげられる。
1)ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の1部を、水酸基1個を有する化合物と反応させ、更に未反応のイソシアネート基の一部と両末端に活性水素を有する化合物とを反応させ、次に上記反応において未反応のイソシアネート基を活性水素を有する置換基、および第3級アミノ基又は複素環基を有する化合物を反応させて得られる分散剤。
2)モノカルボン酸化合物にモノエポキシ化合物、酸無水物およびラクトンを反応させて得られる分子末端に水酸基を有するポリエステル、または、一価アルコールを有する化合物に、モノエポキシ化合物およびラクトン類、場合によってはさらに酸無水物を反応させて得られる分子末端に水酸基を有するポリエステルに、ジイソシアネート化合物を反応させ、さらにヒドロキシル基含有共重合性単量体を反応させてポリエステルマクロマーを得るか、または、上記ポリエステルのいずれかに酸無水物を反応させ、グリシジル(メタ)アクリレートを反応させてポリエステルマクロマーを得、さらに、上記ポリエステルマクロマーのいずれかに3級アミノ基含有共重合単量体を共重合して得られる分散剤。
3)モノカルボン酸化合物とラクトンの反応物、モノカルボン酸化合物と酸無水物およびモノエポキシ化合物との反応物、一価アルコールと酸無水物およびモノエポキシ化合物との反応物、一価アルコールとラクトンの反応物に酸無水物を反応させて得られる化合物、または、重合性ビニル基含有モノマーをカルボキシル基およびメルカプト基を有するラジカル連鎖移動剤を用いて重合して得られる片末端にカルボキシル基を有する化合物のいずれかと、ポリエポキシ化合物を反応させ、ついで分子中に2級アミノ基を1個有する有機アミノ化合物を反応させて得られる分散剤。
これらの3種類の分散剤は、それぞれ1)は特許文献4に、2)は特許文献5に、3)は特許文献6に記載されている。
このような要件を具備する変性ポリウレタン系分散剤としては、具体的には、「EFKA−4060」、「EFKA−4080」、「EFKA−7462」、「EFKA−4015」、「EFKA−4046」、「EFKA−4047」、「EFKA−4055」、「EFKA−4050」(EFKA CHEMICALS社製)などが挙げられる。
変性ポリウレタン系分散剤は、トナー中に、0.1重量%以上10重量%以下の割合で配合することが好ましい。0.1重量%より少ないと顔料分散性が不十分となり、10重量%より多いと高湿下での帯電性が低下する場合がある。
変性ポリウレタン系分散剤の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおけるスチレン換算重量でのメインピークの極大値の分子量で、2000以上が好ましく、3000以上が顔料分散性においてより好ましい。特に、5000〜50000程度が好ましく、5000〜30000がより好ましい。分子量が500より小さいと極性が高くなり、着色剤の分散性が低下しやすく、分子量が100000を超えると溶剤との親和性が高くなり、着色剤の分散性が低下しやすい
変性ポリウレタン系分散剤の添加量は、着色剤100重量部に対して1重量部以上50重量部以下であることが好ましく、5重量部以上30重量部以下であることがより好ましい。1重量部より少ないと分散能が低くなり、50重量部を超えると帯電性が低下しやすいからである。
これら変性ポリウレタン系分散剤は、単独で使用しても良く、また、他の分散剤と併用しても良い。他の分散剤としては、ポリエステル系分散剤、アクリル酸、メタクリル酸および/またはそのエステルの重合体、着色剤の誘導体等を用いることができる。
また、本発明で用いる着色剤は、着色剤と変性ポリウレタン系分散剤をあらかじめ有機溶媒中に分散させて得られた分散液として用いられ、さらに顔料分散時に適度な剪断力を加えるために結着樹脂を加え有機溶媒中に分散させてもよい。
着色剤の分散液における着色剤と有機溶媒との配合割合が5:95から50:50の範囲にあることが好ましい。着色剤の配合割合がこれより少ないとトナー作製時に分散液量が多くなり、トナー作製の効率が低下しやすく、着色剤の配合割合がこれより多いと顔料の分散が不十分になりやすい。
本発明において結着樹脂としては、公知のものならば何如なるものでも使用することができる。具体的には、熱可塑性樹脂、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等の不飽和結合を有するエステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和結合を有するニトリル類、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類、エチレン、プロピレン、ブタジエン等のオレフィン類等の単量体を用いた重合体または共重合体、またはこれらの混合物等があげられ、さらにはエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル系縮合樹脂、これら縮合樹脂に前記ビニル系樹脂を混合したもの、これら重合体の存在下でビニル系単量体を重合することによって得られるグラフト重合体等を使用することができる。
これらのうち、低温定着性、色再現性等に優れる点でポリエステル樹脂を用いることが好ましい。ポリエステル樹脂は、変性ポリエステル(i)、変性されていないポリエステル(ii)を用いることができる。これらは、単独で使用してもかまわないが、低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上するため、(i)および(ii)を併用することが好ましい。以下、(i)および(ii)についての詳細を記す。
本発明においては、変性ポリエステルとは、ポリエステル樹脂中に酸、アルコールのモノマーユニットに含まれる官能基とエステル結合以外の結合基が存在したり、また、ポリエステル樹脂中に構成の異なる樹脂成分が共有結合、イオン結合等により結合した状態のものをいう。
例えば、ポリエステル末端をエステル結合以外のもので反応させたもの、具体的には、末端に酸基、水酸基と反応するイソシアネート基等の官能基を導入し、活性水素化合物とさらに反応させ、末端を変性したり伸長反応させたものも含まれる。
さらに、活性水素基が複数存在する化合物であれば、ポリエステル末端同士を結合させたものも含まれる(ウレア変性ポリエステル、ウレタン変性ポリエステル等)。また、ポリエステル主鎖中に二重結合等の反応性基を導入し、そこからラジカル重合を起こして側鎖に炭素−炭素結合のグラフト成分を導入したり、二重結合同士を橋かけしたものも含まれる(スチレン変性、アクリル変性ポリエステル等)。
また、ポリエステルの主鎖中に構成の異なる樹脂成分を共重合させたり、末端のカルボキシル基や水酸基と反応させたもの、例えば、末端がカルボキシル基、水酸基、エポキシ基、メルカプト基によって変性されたシリコーン樹脂と共重合させたものも含まれる(シリコーン変性ポリエステル等)。以下に、具体的に説明する。
ウレア結合で変性されたポリエステル(i)としては、イソシアネート基を有する変性ポリエステル(A)とアミン類(B)との反応物等が挙げられる。イソシアネート基を有する変性ポリエステル(A)としては、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物で、かつ活性水素基を有するポリエステルをさらにポリイソシアネート(3)と反応させた物等が挙げられる。上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基等
が挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
ポリオール(1)としては、ジオール(1−1)及び3価以上のポリオール(1−2)が挙げられ、(1−1)単独又は(1−1)と少量の(1−2)の混合物が好ましい。ジオール(1−1)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものは、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物及びこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上のポリオール(1−2)としては、3〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
ポリカルボン酸(2)としては、ジカルボン酸(2−1)及び3価以上のポリカルボン酸(2−2)が挙げられ、(2−1)単独及び(2−1)と少量の(2−2)の混合物が好ましい。ジカルボン酸(2−1)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸等);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上のポリカルボン酸(2−2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸等)等が挙げられる。なお、ポリカルボン酸(2)としては、上記のものの酸無水物又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてポリオール(1)と反応させてもよい。
ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常、2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
ポリイソシアネート(3)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート等);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等でブロックしたもの及びこれら2種以上の併用が挙げられる。
ポリイソシアネート(3)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常、5/1〜1
/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化し、[NCO]のモル比が1未満では、変性ポリエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。末端にイソシアネート基を有する変性ポリエステル(A)中のポリイソシアネート(3)構成成分の含有量は、通常、0.5〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは2〜20重量%である。0.5重量%未満では、耐ホットオフセット性が悪化すると共に、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になり、また、40重量%を超えると、低温定着性が悪化する。
イソシアネート基を有する変性ポリエステル(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、通常、1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
アミン類(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、及びB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)等が挙げられる。ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタン等);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等);及び脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)等が挙げられる。3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン等が挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン等が挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸等が挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、上記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物等が挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1及びB1と少量のB2の混合物である。
さらに、必要により伸長停止剤を用いてウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。伸長停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン等)及びそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)等が挙げられる。
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有する変性ポリエステル(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常、1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステル(i)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
本発明においては、変性されたポリエステル(i)中に、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常、100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
本発明の変性ポリエステル(i)は、ワンショット法、プレポリマー法により製造され
る。変性ポリエステル(i)の重量平均分子量は、通常、1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。変性ポリエステルの数平均分子量は、後記の変性されていないポリエステル(ii)を用いる場合は特に限定されるものではなく、上記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。(i)単独の場合は、数平均分子量は、通常、20000以下、好ましくは1000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると、低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
本発明においては、上記変性されたポリエステル(i)単独使用だけでなく、この(i)と共に、変性されていないポリエステル(ii)をトナーバインダー成分として含有させることもできる。(ii)を併用することにより、低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、単独使用より好ましい。(ii)としては、上記(i)のポリエステル成分と同様なポリオール(1)とポリカルボン酸(2)との重縮合物等が挙げられ、好ましいものも(i)と同様である。また、(ii)は無変性のポリエステルだけでなく、例えば、ウレア結合やウレタン結合で変性されていてもよい。(i)と(ii)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。したがって、(i)のポリエステル成分と(ii)は類似の組成が好ましい。(ii)を含有させる場合の(i)と(ii)の重量比は、通常、5/95〜30/70、好ましくは5/95〜25/75、特に好ましくは7/93〜20/80である。(i)の重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化すると共に、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
トナーのピーク分子量は、通常、1000〜30000、好ましくは1500〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。1000未満では耐熱保存性が悪化し、30000を超えると低温定着性が悪化する。
ここで、本発明におけるトナーのピーク分子量は、具体的に次のような手順で決定される。
(トナーのピーク分子量の測定)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定装置:GPC−8220GPC(東ソー社製)
カラム:TSKgel SuperHZM―H 15cm 3連(東ソー社製)
温度:40℃
溶媒:THF
流速:0.35ml/min
試料:0.15%の試料を0.4ml注入
試料の前処理:トナーをテトラヒドロフランTHF(安定剤含有 和光純薬製)に0.15wt%で溶解後0.2μmフィルターで濾過し、その濾液を試料として用いる。前記THF試料溶液を100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、昭和電工社製ShowdexSTANDARDのStd.No S−7300、S−210、S−390、S−875、S−1980、S−10.9、S−629、S−3.0、S−0.580、トルエンを用いた。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
トナーの水酸基価は、5mgKOH/g以上であることが好ましく、さらに好ましくは10〜120mgKOH/g、特に好ましくは20〜80mgKOH/gである。5mgKOH/g未満では耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。トナーの酸価は通常1〜40mgKOH/g、好ましくは5〜30mgKOH/g、更に好ましくは15〜
28mgKOH/gである。酸価を持たせることにより、負帯電性となりやすい傾向があり、また、定着時における紙との親和性が増大し、定着力が強くなる。
ここで、本発明における酸価(AV)、水酸基価(OHV)とは、具体的に次のような手順で決定される。
測定装置 :電位差自動滴定装置 DL−53 Titrator(メトラー・トレド社製)
使用電極 :DG113−SC (メトラー・トレド社製)
解析ソフト:LabX Light Version 1.00.000
装置の校正:トルエン120mlとエタノール30mlの混合溶媒を使用する。
測定温度 :23℃
測定条件は以下のとおりである。
Stir
Speed [%] 25
Time [s] 15
EQP titration
Titrant/Sensor
Titrant CH3ONa
Concentration [mol/L] 0.1
Sensor DG115
Unit of measurement mV
Predispensing to volume
Volume [mL] 1.0
Wait time [s] 0
Titrant addition Dynamic
dE(set) [mV] 8.0
dV(min) [mL] 0.03
dV(max) [mL] 0.5
Measure mode Equilibrium controlled
dE [mV] 0.5
dt [s] 1.0
t(min) [s] 2.0
t(max) [s] 20.0
Recognition
Threshold 100.0
Steepest jump only No
Range No
Tendency None
Termination
at maximum volume [mL] 10.0
at potential No
at slope No
after number EQPs Yes
n = 1
comb.termination conditions No
Evaluation
Procedure Standard
Potential 1 No
Potential 2 No
Stop for reevaluation No
(酸価の測定方法)
JIS K0070−1992に記載の測定方法に準拠して以下の条件で測定を行う。
試料調整 :トナー0.5g(酢酸エチル可溶成分では0.3g)をトルエン120mlに添加して室温(23℃)で約10時間撹拌して溶解する。更にエタノール30mlを添加して試料溶液とする。
測定は上記記載の装置にて計算することが出来るが、具体的には次のように計算する。
あらかじめ標定されたN/10苛性カリ〜アルコール溶液で滴定し、アルコールカリ液の消費量から次の計算で酸価を求める。
酸価=KOH(ml数)×N×56.1/試料重量(ただしNはN/10KOHのファクター)
(水酸基価の測定方法)
試料0.5gを100mlのメスフラスコに精秤し、これにアセチル化試薬5mlを正しく加える。その後100℃±5℃の浴中に浸して加熱する。1〜2時間後フラスコを浴から取り出し、放冷後水を加えて振り動かして無水酢酸を分解する。更に分解を完全にするため再びフラスコを浴中で10分間以上加熱し放冷後、有機溶剤でフラスコの壁を良く洗う。この液を前記電極を用いてN/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液で電位差滴定を行いOH価を求める(JISK0070−1966に準ずる。)。
本発明において、トナーのガラス転移点(Tg)は、通常、40〜70℃、好ましくは45〜60℃である。40℃未満では、トナーの耐熱保存性が悪化し、70℃を超えると、低温定着性が不十分となる。変性ポリエステル樹脂の共存により、本発明の乾式トナーにおいては、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
ここで、本発明におけるガラス転移点(Tg)とは、具体的に次のような手順で決定される。測定装置として島津製作所製TA−60WS、及びDSC−60を用い、次に示す測定条件で測定した。
測定条件
サンプル容器:アルミニウム製サンプルパン(フタあり)
サンプル量:5mg
リファレンス:アルミニウム製サンプルパン(アルミナ10mg)
雰囲気:窒素(流量50ml/min)
温度条件
開始温度:20℃
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
保持時間:なし
降温温度:10℃/min
終了温度:20℃
保持時間:なし
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
測定した結果は前記島津製作所製データ解析ソフト(TA−60、バージョン1.52)を用いて解析を行った。解析方法は2度目の昇温のDSC微分曲線であるDrDSC曲線のもっとも低温側に最大ピークを示す点を中心として±5℃の範囲を指定し、解析ソフトのピーク解析機能を用いてピーク温度を求める。次にDSC曲線で前記ピーク温度+5
℃、及び−5℃の範囲で解析ソフトのピーク解析機能をもちいてDSC曲線の最大吸熱温度を求める。ここで示された温度がトナーのTgに相当する。
また、本発明のトナーには、結着樹脂、着色剤とともに離型剤を含有させることもできる。本発明の離型剤としては公知のものが使用でき、例えばポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素(パラフィンワックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。これらのうち好ましいものは、カルボニル基含有ワックスである。カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミドなど);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミドなど);およびジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスのうち好ましいものは、ポリアルカン酸エステルである。
本発明のワックスの融点は、通常40〜160℃であり、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。融点が40℃未満のワックスは耐熱保存性に悪影響を与え、160℃を超えるワックスは低温での定着時にコールドオフセットを起こしやすい。
また、ワックスの溶融粘度は、融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1000cpsが好ましく、さらに好ましくは10〜100cpsである。1000cpsを超えるワックスは、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果に乏しい。
トナー中のワックスの含有量は通常0〜40重量%であり、好ましくは3〜30重量%である。
本発明のトナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有していてもよい。帯電制御剤としては、公知のものが全て使用でき、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及びサリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的には、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
本発明における荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一律に決定されるものではないが、好ましくは、バインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を越える場合には、トナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。これ
らの帯電制御剤、離型剤は、マスターバッチ、樹脂と共に溶融混練することもでき、有機溶剤に溶解、分散する際に加えてもよい。
本発明で得られた着色粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するために用いられる外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。この無機微粒子の一次粒径は、5μm〜2μmであることが好ましく、特に5μm〜500μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無
機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%であることが好ましい。無機微粒子の具体例としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等を挙げることができる。
この他、高分子系微粒子、例えば、ソープフリー乳化重合、懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロン等の重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる
このような流動化剤は、表面処理を行って疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル等が好ましい表面処理剤として挙げられる。
感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合等によって製造されたポリマー微粒子等を挙げることができる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好ましい。
本発明の乾式トナーの製法を例示する。
例えば、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、トナーバインダーは以下の方法等で製造することができる。ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイド等公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を溜去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで、40〜140℃にて、これにポリイソシアネート(3)を反応させ、イソシアネート基を有する変性ポリエステル(A)を得る。さらに、(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア結合で変性されたポリエステルを得る。(3)を反応させる際及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。
使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレン等);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等);エステル類(酢酸エチル等);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)及びエーテル類(テトラヒドロフラン等)等のイソシアネート(3)に対して不活性なものが挙げられる。ウレア結合で変性されていないポリエステル(ii)を併用する場合は、水酸基を有するポリエステルと同様な方法で(ii)を製造し、これを上記(i)の反応完了後の溶液に溶解し、混合する。乾式トナーは、以下の方法で製造することができるが、これに限定されるものではない。
本発明に用いる水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。水と混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブ等)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)等が挙げられる。
トナー粒子は、水系媒体中で反応可能な置換基を有する変性ポリエステル(A)からなる分散体を(B)と反応させて形成してもよく、あらかじめ製造した変性ポリエステル(i)を用いてもよい。水系媒体中で変性ポリエステル(i)や反応可能な置換基を有する変性ポリエステル(A)からなる分散体を安定して形成させる方法としては、水系媒体中に変性ポリエステル(i)や反応可能な置換基を有する変性ポリエステル(A)からなるトナー原料の組成物を加えて、せん断力により分散させる方法等が挙げられる。反応可能な置換基を有する変性ポリエステル(A)と他のトナー組成物(以下、トナー原料という)である着色剤、着色剤マスターバッチ、離型剤、荷電制御剤、未変性ポリエステル樹脂等は、水系媒体中で分散体を形成させる際に混合してもよいが、あらかじめトナー原料を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させた方がより好ましい。
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波等の公知の設備が適用できる。顔料分散体、離型剤分散体等の分散体中の顔料、離型剤の粒径を0.1〜20μmにするためには高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常、1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常、0.1〜5分である。分散時の温度としては高温な方が、変性ポリエステル(i)や反応可能な置換基を有する変性ポリエステル(A)からなる分散体の粘度が低く、分散が容易な点で好ましい。
変性ポリエステル(i)や反応可能な置換基を有する変性ポリエステル(A)を含むトナー組成物100部に対する水系媒体の使用量は、通常、50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満では、トナー組成物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いた方が、粒度分布がシャープになると共に分散が安定である点で好ましい。
トナー原料が分散された油性相を、水が含まれる液体に乳化、分散するために用いる分散剤としてはアルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等の陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等の非イオン界面活性剤、例えば、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン等の両性界面活性剤が挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、きわめて少量でその効果を上げることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ〕−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、
3−[オメガ−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102、(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)等が挙げられる。
また、カチオン界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級又は二級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキン工業社製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)等が挙げられる。
また、水に難溶の無機化合物分散剤としてはリン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等も用いることができる。
また、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させてもよい。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸等の酸類、又は水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えば、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等、又はビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば、酢酸ピニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド又はこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等の酸クロライド類、ピニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等の窒素原子又はその複素環を有するもの等のホモポリマー又は共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニ
ルエステル等のポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類等が使用できる。
なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩等の酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗する等の方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他、酵素による分解等の操作によっても除去できる。分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、伸長及び/又は架橋反応後、洗浄除去する方がトナーの帯電面から好ましい。
さらに、トナー原料の粘度を低くするために、変性ポリエステル(i)や(A)が可溶の溶剤を使用することもできる。溶剤を用いた方が粒度分布がシャープになる点で好ましい。この溶剤は、沸点が100℃未満の揮発性であることが除去が容易である点から好ましい。このような溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等を単独又は2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒及び塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。反応可能な置換基を有する変性ポリエステル(A)100部に対する溶剤の使用量は、通常、0〜300部、好ましくは0〜100部、さらに好ましくは25〜70部である。溶剤を使用した場合は、伸長及び/又は架橋反応後、常圧又は減圧下にて加温し、除去する。
ウレア変性ポリエステルの場合、伸長及び/又は架橋反応時間は、反応可能な置換基を有する変性ポリエステル(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常、10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができ、具体的には、ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート等が挙げられる。
得られた乳化分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。また、乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合せて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルン等により、短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。
乳化分散時の粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行われた場合、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整えることができる。分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことができる。乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行ってもよいが、液体中で行うことが効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子または粗粒子は、再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。その際微粒子又は粗粒子はウェットの状態でも構わない。用いた分散剤は得られた分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、上記の分級操作と同時に行うのが好ましい。
得られた乾燥後のトナーの粉体を離型剤微粒子、帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子、着色剤微粒子等の異種粒子と共に混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによ
って表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士又は複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法等がある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧力を下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢等が挙げられる。
このような製造法によれば、粉体流動性、転写性に優れ、小粒径で高画質な画像を提供するトナーを得ることができる。さらには、低温定着性、耐ホットオフセット性にも優れ、かつフィルミング・スペントを生じることもない。このように、各種要求特性を満足するようなトナーは、粉砕トナーも含め、従来得られていなかったものである。
本発明のトナーの体積平均粒径(Dv)及び個数平均粒径(Dn)は、粒度測定器(「マルチサイザーIII」、ベックマンコールター社製)を用い、アパーチャー径100μm
で測定し、解析ソフト(Beckman Coulter Multisizer 3 Version3.51)にて解析を行った。具体的にはガラス製100mlビーカーに10wt%界面活性剤(アルキルベンゼンスルフォン酸塩ネオゲンSC−A;第一工業製薬性)を0.5ml添加し、各トナー0.5g添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、次いでイオン交換水80mlを添加した。得られた分散液を超音波分散器(W−113MK−II本多電子社製)で10分間分散処理した。前記分散液を前記マルチサイザーIIIを用い
、測定用溶液としてアイソトンIII(ベックマンコールター製)を用いて測定を行った。
測定は装置が示す濃度が8±2%に成るように前記トナーサンプル分散液を滴下した。本測定法は粒径の測定再現性の点から前記濃度を8±2%にすることが重要である。この濃度範囲であれば粒径に誤差は生じない。
本発明のトナーの体積平均粒径は、2.5〜5.5μmであることが好ましい。5.5μmより大きいと、付着量が0.3mg/cm2では高画質の画像を得るのが困難になり
、2.5μmよりも小さいと転写性、クリーニング性が低下したり、フィルミングやキャリアへのスペント等が発生しやすくなる。
本発明において、トナーの体積平均粒径Dvと個数平均粒径Dnとの比、Dv/Dnは好ましくは1.00〜1.20である。このようなトナーにより、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れ、とりわけフルカラー複写機などに用いた場合に画像の光沢性に優れ、更に二成分現像剤においては、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒径の変動が少なくなり、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性が得られる。また、一成分現像剤として用いた場合においても、トナーの収支が行われても、トナーの粒径の変動が少なくなると共に、現像ローラーへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着がなく、現像装置の長期の使用(攪拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られた。
本発明のトナーを2成分系現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いればよく、現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100重量部に対して、トナー1〜10重量部が好ましい。磁性キャリアとしては、粒径20〜200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリア等従来から公知のものが使用できる。また、被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げら
れる。また、ポリビニル及びポリビニリデン系樹脂、例えば、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂及びスチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂及びポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー及びシリコーン樹脂等が使用できる。また必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電粉は、平均粒径1μm以下のものが好ましい。平均粒径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。
また、本発明のトナーはキャリアを使用しない1成分系の磁性トナー又は非磁性トナーとしても用いることができる。
本発明のトナーはオフセット印刷並みの高画質を得るために、定着後のトナー層を従来より薄くし、かつトナー中の着色剤を高分散化し、画像濃度(ID)が高いことを特徴とする。このため、本発明のトナーは付着量0.3mg/cm2のとき、IDが1.4以上
であることを特徴とする。
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
−−微粒子分散液1の調製−−
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)11部、スチレン83部、メタクリル酸83部、アクリル酸ブチル110部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液1]を得た。[微粒子分散液1]をLA−920で測定した体積平均粒径は、105nmであった。[微粒子分散液1]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のTgは59℃であり、重量平均分子量は15万であった。
−−ポリエステル樹脂(1)の合成−−
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529質量部、テレフタル酸208質量部、アジピン酸46質量部及びジブチルチンオキサイド2質量部を入れ、常圧、230℃で8時間反応させ、更に10〜15mmHgの減圧で5時聞反応させた後、該反応容器に無水トリメリット酸30質量部を入れ、180℃、常圧で2時間反応させることにより、ポリエステル樹脂(1)を得た。該ポリエステル樹脂(1)は、重量平均分子量(Mw)が6,700であり、ガラス転移温度(Tg)が43℃であり、酸価が20mgKOH/gであった。
−−水相の調製−−
水990質量部、前記微粒子分散液183質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスル
ホン酸ナトリウムの48.5質量%の水溶液(「エレミノールMON−7」;三洋化成工業製)37質量部、及び酢酸エチル90質量部を混合撹拌し、乳白色の液体(水相)を得た。
−−低分子ポリエステルの合成−−
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81質量部、テレフタル酸283質量部、無水トリメリット酸22質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を仕込み、常圧下、230℃にて5時間反応させて、低分子ポリエステルを合成した。
得られた低分子ポリエステルは、数平均分子量(Mn)が2,100、重量平均分子量(Mw)が9,500、ガラス転移温度(Tg)が55℃、酸価が0.5mgKOH/gであり、水酸基価が51であった。
−−反応可能な置換基を有する変性ポリエステルの合成−−
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、前記低分子ポリエステル410質量部、イソホロンジイソシアネート89質量部、及び酢酸エチル500質量部を仕込み、100℃にて5時間反応させて、反応可能な置換基を有する変性ポリエステル(前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体)を合成した。
得られた反応可能な置換基を有する変性ポリエステルの遊離イソシアネート含有量は、1.53質量%であった。
−マスターバッチの調製−
水1200質量部、着色剤としてのPR184(クラリアントジャパン製Toner Magenta F8B LV3162)540質量部、ポリマー分散剤である「EFKA−4080」(変性ポリウレタン アミン価:3.6〜4.1、EFKA Chemicals社製)108部及び前記ポリエステル樹脂(1)1200質量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合した。該混合物を二本ロールで150℃にて30分混練した後、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン社製)で粉砕して、顔料分散体を調製した。
−−有機溶媒相の調製−−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、前記ポリエステル樹脂(1)378質量部、カルナバワックス110質量部、及び酢酸エチル947質量部を仕込み、撹拌下、80℃まで昇温し、80℃のまま30時間保持した後、1時間かけて30℃まで冷却して原料溶解液を得た。
得られた原料溶解液1324質量部を反応容器に移し、ビーズミル(「ウルトラビスコミル」;アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、及び0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填した条件で9時間分散して、前記カルナバワックスの分散を行った。
次いで、該分散液に前記低分子ポリエステルの65質量%酢酸エチル溶液1324質量部を添加し、前記マスターバッチ500質量部、及び酢酸エチル500質量部を仕込み、1時間混合した。次いで前記混合液を25℃に保ちエバラマイルダー(入り口側よりG、M、Sの組み合わせ)で、流量1kg/minで4パスし、有機溶媒相(顔料・ワックス分散液)を調製した。
得られた有機溶媒相の固形分濃度は(130℃、30分)は、50質量%であった。
−−乳化・分散−−
反応容器中に、前記有機溶媒相749質量部、前記反応可能な置換基を有する変性ポリエステル115質量部、及びイソホロンジアミン(和光純薬製)化合物2.9質量部を仕
込み、ホモミキサー(特殊機化製TKホモミキサーMKII)を用いて5,000rpmにて1分間混合した後、反応容器中に前記水相1200質量部を添加し、前記ホモミキサーで、回転数9,000rpmにて3分間混合した。その後攪拌機で20分攪拌し、乳化スラリーを調製した。 次に、撹拌機及び温度計をセットした反応容器中に、前記乳化スラリーを仕込み、25℃にて脱溶剤行った。有機溶剤を除去した後45℃にて15時間熟成を行い、分散スラリーを得た。
−洗浄工程−
前記分散スラリー100質量部を減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水100質量部を添加し、ホモミキサーで混合(回転数8,000rpmにて10分間)した後、濾過した。ここで得た濾過ケーキにイオン交換水100質量部を添加し、ホモミキサーで混合(回転数8,000rpmにて10分間)した後、減圧濾過した。ここで得た濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液100質量部を添加し、ホモミキサーで混合(回転数8,000rpmにて10分間)した後、濾過した。ここで得た濾過ケーキに10質量%塩酸100質量部を添加し、ホモミキサーで混合(回転数8,000rpmにて10分間)した後、濾過した。ここで得た濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、ホモミキサーで混合(回転数8,000rpmにて10分間)した後で濾過する操作を2回行い、最終濾過ケーキを得た。ここで得られた最終濾過ケーキを循風乾燥機で45℃にて48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩うと、実施例1のトナー母体粒子が得られた。
−外添剤処理−
得られた実施例1のトナー母体粒子2.5質量部と、外添剤としてのシリコーンフェライトキャリア(芯材粒径45μm)97.5質量部をターブラーミキサー(シンマルエンタープライゼス社製)を用いて攪拌処理し、実施例1のトナー1を製造した。
(実施例2)
実施例1の顔料分散剤をEFKA−4060(アミン価1〜6)に変更した以外は実施例1と同様にトナー2を得た
(比較例1)
実施例1の顔料をPR57:1(大日本インキ化学工業製)に変更した以外は実施例1と同様にトナー3を得た
(比較例2)
ポリマー分散剤「EFKA−4080」(変性ポリウレタン アミン価:3.6〜4.1、EFKA Chemicals社製)を加えなかった以外は実施例1と同様にトナー4を得た
(トナーの評価)
得られた各トナー10gとフェライトキャリア100gとを温度28℃、湿度80%の環境内で混合し、ブローオフ法にてトナーの帯電量を測定した。また、このときの帯電分布はシャープであった。トナーの粒径は、前記マルチサイザーIII(ベックマンコールタ
ー社製)で測定した。
画像濃度(ID)は、リコー製imagio Neo 450を用いて、普通紙及び厚紙の転写紙(リコー製 タイプ6200及びNBSリコー製複写印刷用紙<135>)にベタ画像で、0.3±0.02mg/cm2のトナーが現像される様に調整を行い、定着
ベルトの温度が可変となる様に調整を行ってベタ画像出力後、画像濃度をX−Rite(X−Rite社製)により測定した。これを5点測定しマゼンタ色の画像濃度の平均を求
めた。
次に、このトナー100重量部に外添剤として「シリカR972」(日本エアロジル社製)1重量部を加え、サンプルミルで1分間混合したシリカ外添トナーを電子写真方式のフルカラー複写機「imagio Neo 450」(リコー社製)の改造機で、定着用フューザーオイル無しで定着を行いOHP定着像を作成した。
濁度は、OHP用の透明シートにベタのカラー画像を定着し、濁度測定装置を用いて測定した。
Figure 2007248550
上記結果より、本発明によれば、高着色力で、かつ優れた負帯電性を有するマゼンタトナーを得ることが出来る。

Claims (13)

  1. 少なくとも、マゼンタ顔料C.I.Pigment RED184と、酸価が0〜10mgKOH/gでアミン価が1〜10mgKOH/gの変性ポリウレタン系分散剤と、および結着樹脂と、を含有することを特徴とするマゼンタトナー。
  2. 前記変性ポリウレタン系分散剤が、前記結着樹脂と相溶性を有することを特徴とする請求項1に記載のマゼンタトナー。
  3. 前記変性ポリウレタン系分散剤の重量平均分子量が、2000以上100000以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のマゼンタトナー。
  4. 前記変性ポリウレタン系分散剤の添加量が、前記マゼンタ顔料100重量部に対して1重量部以上50重量部以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマゼンタトナー。
  5. 前記変性ポリウレタン系分散剤が、トナー中に0.1重量%以上10重量%以下の割合で含有されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のマゼンタトナー。
  6. 前記マゼンタトナーの体積平均粒径(Dv)が、2.5〜5.5μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のマゼンタトナー。
  7. 前記マゼンタトナーの体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)の比(Dv/Dn)が、1.00〜1.20であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のマゼンタトナー。
  8. 前記マゼンタトナーの付着量0.3mg/cm2のときの画像濃度が、1.4〜2.0
    であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のマゼンタトナー。
  9. 前記マゼンタトナーを現像剤として15秒攪拌した後の帯電量が、20(−μC/g)以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のマゼンタトナー。
  10. 有機溶媒中に少なくとも、活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体からなる結着樹脂、マゼンタ顔料及び変性ポリウレタン系分散剤を溶解又は分散させ、該溶解又は分散物を水系媒体中で架橋反応及び/又は伸長反応させ、得られた分散液から溶媒を除去することにより得られることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のマゼンタトナー。
  11. 前記反応可能な部位を有する重合体が、反応可能な置換基を有する変性ポリエステル(i)であることを特徴とする請求項10に記載のマゼンタトナー。
  12. 前記変性ポリエステル(i)の反応可能な置換基が、イソシアネート基であることを特徴とする請求項11に記載のマゼンタトナー。
  13. 前記結着樹脂が、前記変性ポリエステル(i)と共に、変性されていないポリエステル(ii)を含有し、(i)/(ii)の重量比が5/95〜30/70である請求項12に記載のマゼンタトナー。
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