JP2007246886A - 接着剤組成物、接着フィルム及び半導体装置の製造方法 - Google Patents

接着剤組成物、接着フィルム及び半導体装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】微細な回路を持つ基板に対する充填性、低温でのラミネート性能、低弾性率かつ接着性、耐熱性に優れた硬化物となり得る接着剤組成物、それを含む接着フィルム及び該接着フィルムを用いた半導体装置の製造方法を提供する
【解決手段】40〜80℃における溶融粘度が10000Pa・s以下であり、80℃〜(T+50)℃で1分〜2時間加熱した後は、100℃〜(T+30)℃において100〜10000Pa・sの溶融粘度を示す接着剤組成物(但し、Tは該組成物の硬化開始温度を表す。)。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体装置の製造に用いられ、特に樹脂モールド型の半導体パッケージ用として好適であり、表面に微細なパターンを有する基板に対する充填性に優れ、低弾性率かつ高接着力を有する接着剤組成物、それを含む接着フィルムおよび該接着フィルムを用いた半導体装置の製造方法に関する。
半導体装置の製造工程は、IC回路が形成された大径のシリコンウエハをダイシング(切断)工程で半導体チップに切り分け、リードフレームに硬化性の液状接着剤(ダイボンド材)等で熱圧着、接着固定(マウント)し、電極間のワイヤボンディングの後、ハンドリング性や外部環境からの保護ため、封止することにより製造されている。この封止形態として、金属封止やセラミック封止などの気密封止型、樹脂による非気密封止型があるが、現在、後者の樹脂によるトランスファーモールド法が、量産性に優れ、安価なため、最も一般的に用いられている。しかし、この樹脂モールドパッケージは、前記の利点がある反面、耐湿・耐熱性、熱応力緩和性、放熱性等において劣る欠点がある。
また、近年の電気・電子機器の小型化、多機能化に伴い、電子部品の高機能化の要請から、半導体装置の配線も、より微細化、高密度化が進んでおり、半導体チップの大型化やリードフレームを有しないエリアアレイ接合型のチップと同サイズの構造(CSP)、あるいはチップの積層された構造(スタックドCSP、SiP)の半導体装置となるため、これらパッケージング(PKG)における熱衝撃(応力)も厳しいものとなってきている。
更にまた、これらの半導体装置のプリント基板への搭載実装プロセス工程において、鉛フリーはんだに対応した耐リフロー性も高温(265℃)となり、厳しいものとなってきている。このため、使用される材料の最適化・高性能化が要求されてきている。特に、パッケージング構成材料において、ダイボンド材は比較的広範囲での特性制御が可能なため、これらの要求に対して容易に対応ができることから、ダイボンド材に対して厳しい熱衝撃(応力)に対応できる低弾性率、高接着、高耐熱性の材料が求められてきている。
また、半導体チップ搭載の支持基板にも微細化が要求され、液状の接着剤では半導体チップ搭載時のチップ端からのはみ出しによる電極の汚染や接着剤層の厚みの不均一によるチップの傾斜によりワイヤボンドの不具合が生じるため、これらの欠点を改善できる接着剤のフィルム化も望まれてきている。
これらの接着剤として、従来、耐熱性に優れた樹脂であるポリイミドやポリアミドイミドに、シロキサン構造を導入した低弾性率材料が開発されてきた。特開平3−189127号公報(特許文献1)などには、いずれもシロキサン変性ポリアミドイミドが提案されているが、低弾性化及び基材に対する接着性が十分でない。
特開平10−60111号公報(特許文献2)には、シロキサン変性ポリアミドイミドにマレイミド基を2個以上有する化合物を配合して、高温特性を改良することが提案されているが、この樹脂組成物は接着力に劣る。
また、特開平7−224259号公報(特許文献3)、特開平8−27427号公報(特許文献4)には接着性、低弾性及び耐熱性に優れたポリイミドシリコーンとエポキシ樹脂から成る耐熱性接着フィルムが提案されているが、接着力は改善されているが、微細な表面凹凸を持つ基板に対する充填性が不十分であり、微細な隙間がダイアタッチ時に発生して、その隙間を起点に接着フィルムの剥離が発生してしまい信頼性が十分でない。また、信頼性を向上させるため、吸水率や線膨張係数の減少を目的として無機充填剤を大量に添加した場合に、100℃以下の低温での半導体ウェハーに対するラミネート性能が低下してしまう。
特開平3−189127号公報 特開平10−60111号公報 特開平7−224259号公報 特開平8−27427号公報 特開平2003−193016号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、上記の欠点を解消すべく、微細な回路を持つ基板に対する充填性、低温でのラミネート性能、低弾性率かつ接着性、耐熱性に優れた硬化物となり得る接着剤組成物、それを含む接着フィルム及び該接着フィルムを用いた半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、特定の加熱操作前後において特定の範囲の溶融粘度を有する接着剤組成物が、微細な回路を持つ基板に対する充填性、低温でのラミネート性能、更に低弾性率、高接着力、高耐熱を有する硬化物となり得ることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
すなわち、本発明は、40〜80℃における溶融粘度が10000Pa・s以下であり、80℃〜(T+50)℃で1分〜2時間加熱した後は、100℃〜(T+30)℃において100〜10000Pa・sの溶融粘度を示す接着剤組成物(但し、Tは該組成物の硬化開始温度を表す。)を提供する。
該組成物は、好ましくは、
(A)ポリマー骨格にジオルガノポリシロキサン鎖及びフェノール性の水酸基を有するポリアミック酸樹脂、並びに、該ポリアミック酸樹脂の閉環誘導体であるポリイミド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂、
(B)エポキシ樹脂、
(C)エポキシ樹脂硬化触媒、ならびに
(D)無機充填剤
を含む組成を有する。
本発明は第二に、基材と、該基材上に設けられた上記接着剤組成物からなる接着フィルムと有する積層体を提供する。該接着フィルムは半導体装置製造用ダイボンディングシートとして有用である。
本発明は第三に、前記接着フィルムを使用して半導体装置を製造する方法であって、
40〜80℃で半導体ウェハーを該接着フィルムを介して基板に熱圧着する工程、及び、
80℃〜(T+50)℃で、1分〜2時間、ワイヤーボンディングを行なう工程
を含む方法(但し、Tは上記と同じである。)
を提供する。
本発明の接着剤組成物より得られる接着フィルムは、熱圧着、加熱硬化により各種基材に対する高い接着力を与え、また低弾性率、高耐熱を有するので、該接着フィルムを用いて高信頼性の樹脂パッケージング半導体装置を製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、室温とは25℃を意味するものである。
本発明の接着フィルムの製造に用いられる接着剤組成物は、室温で形状を保ち、フィルム状薄膜を形成することができ、加熱により可塑状態を経て、硬化するもので、基材に対して優れた接着性を示し、更にその硬化物は低弾性で、耐熱性に優れるものである。
[(A)成分]
(A)成分は、ポリマー骨格にジオルガノポリシロキサン鎖及びフェノール性の水酸基を有するポリアミック酸樹脂、並びに、該ポリアミック酸樹脂の閉環誘導体であるポリイミド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂である。(A)成分としては、下記一般式(3)で表されるポリアミック酸樹脂および下記一般式(4)で表されるポリイミド樹脂を用いることができるが、下記一般式(3)で表されるポリアミック酸樹脂を用いた場合には、ダイボンド工程の加熱硬化時にイミド化(脱水閉環)により水が副生し、接着面の剥離等が生じる場合があるため、予めイミド化(脱水閉環)した下記一般式(4)で表されるポリイミド樹脂を用いることが好ましい。本発明においては、ジオルガノポリシロキサン鎖を含有することが必要であり、また、接着性の点からフェノール性の水酸基を骨格中に有することが好ましい。
Figure 2007246886

(式中、Xは芳香族環又は脂肪族環を含む四価の有機基、Yは二価の有機基、qは1〜300の整数である。)
Figure 2007246886

(式中、Xは芳香族環又は脂肪族環を含む四価の有機基、Yは二価の有機基、qは1〜300の整数である。)
上記一般式(3)において、qは1〜300の整数、好ましくは2〜300の整数、特に好ましくは5〜300の整数であるが、このような繰り返し数を有するポリアミック酸樹脂は、下記の方法により容易に得ることができる。また、上記一般式(4)で表されるポリイミド樹脂については、上記一般式(3)で表されるポリアミック酸樹脂を常法により脱水、閉環することで得ることができる。
一般式(3)で表されるポリアミック酸樹脂は、下記構造式(5)
Figure 2007246886

(但し、Xは上記と同様の意味を示す。)
で表されるテトラカルボン酸二無水物と、下記構造式(6)
2N−Y−NH2 (6)
(但し、Yは上記と同様の意味を示す。)
で表されるジアミンとを常法に従って、ほぼ等モルで有機溶剤中で反応させることによって得ることができる。
ここで、上記式(5)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例を具体的に示すと、下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2007246886
なお、これら上記式(5)で示されるテトラカルボン酸二無水物は、所望により1種単独で用いても2種以上の組み合わせで用いてもよい。
上記式(6)で表されるジアミンのうち、好ましくは1〜80モル%、更に好ましくは1〜60モル%が、下記構造式(1)で表されるジアミノシロキサン化合物であることが、有機溶剤への溶解性、基材に対する接着性、低弾性、柔軟性の点から望ましい。
Figure 2007246886

(式中、R1は同一または異種の炭素原子数3〜9の二価の有機基であり、R2およびR3はおのおの同一または異種の非置換もしくは置換の炭素原子数1〜8の一価炭化水素基であり、mは1〜200の整数である。)
一般式(1)で表されるシロキサンジアミン(又はα,ω−ジアミノポリシロキサン)において、R1で表される炭素原子数3〜9の二価の有機基としては、例えば、−(CH23−,−(CH24−,−CH2CH(CH3)−,−(CH26−,−(CH28−等のアルキレン基、
Figure 2007246886

等のアリーレン基、これらを組み合わせたアルキレン・アリーレン基、−(CH23−O−,−(CH24−O−等のオキシアルキレン基、
Figure 2007246886

等のオキシアリーレン基やこれらを組み合わせた
Figure 2007246886

等のオキシアルキレン・アリーレン基などの、エーテル酸素原子を含んでもよい二価炭化水素基が挙げられる。
2またはR3で表される炭素原子数1〜8の非置換又は置換の一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基、これらの炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部がフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子等で置換された基、例えば、クロロメチル基、ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基等が挙げられ、中でもメチル基及びフェニル基が好ましい。
これらの上記式(1)で表されるジアミノシロキサン化合物は、所望により1種単独でも2種以上の組み合わせでも使用することができる。
更に上記式(6)で表されるジアミンのうち、上記式(1)で表されるジアミノシロキサン化合物以外のジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(p−アミノフェニルスルホニル)ベンゼン、1,4−ビス(m−アミノフェニルスルホニル)ベンゼン、1,4−ビス(p−アミノフェニルチオエーテル)ベンゼン、1,4−ビス(m−アミノフェニルチオエーテル)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]パーフルオロプロパン等の芳香族環含有ジアミン等が挙げられ、好ましくはp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等である。
また、本発明においては、接着性の点から(A)成分のポリマー骨格にフェノール性の水酸基を有することが好ましく、この水酸基は、エポキシ基と高反応性を有するフェノール性の水酸基を有するジアミン化合物を用いることにより導入することができ、このようなジアミンとしては、例えば、下記構造のものが挙げられる。
Figure 2007246886

(式中、R4は独立に水素原子又はフッ素、臭素、よう素などのハロゲン原子、あるいはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、トリフルオロメチル基、フェニル基などの非置換又は置換の炭素原子数1〜8の一価炭化水素基であり、各芳香環に付いている置換基は全てまたは一部同じでも構わないし、全て異なっていても構わない。ここでnは0〜5の整数である。Aは独立に上に挙げた二価の基のいずれかを示し、Bも独立に上に挙げた二価の基のいずれかを示す。A及びBはおのおの1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。Rは水素原子、ハロゲン原子又は非置換もしくは置換の一価炭化水素基である。)
ここで、R4の非置換又は置換の炭素原子数1〜8の一価炭化水素基としては、例えば、上記R2およびR3について例示したものと同様のもの、ならびにエチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ヘキシニル基等のアルキニル基等を挙げることができる。また、Rが非置換もしくは置換の一価炭化水素基である場合、Rとしては、例えば、上記R4について例示したものと同様のものが挙げられる。
本発明においては、上記フェノール性水酸基を有するジアミン化合物の中でも、特に下記式(2)で表されるジアミン化合物が好ましい。
Figure 2007246886

(式中、R4は上記と同じである。)
なお、本発明において、フェノール性の水酸基を有するジアミン化合物の配合量としては、ジアミン化合物全体の5〜60質量%、特に10〜40質量%であることが好ましい。該配合量がこの範囲内になると、得られる接着剤の接着力が高くなりやすく、接着剤層の柔軟性を十分に確保しやすい。
また、フェノール性水酸基の導入のためにフェノール性水酸基を有するモノアミンを用いることもでき、その例としては下記の構造を有するモノアミンが挙げられる。
Figure 2007246886

(式中、R4は上記と同じであり、各芳香環に付いている置換基は全てまたは一部同じでも構わないし、全て異なっていても構わない。Dが複数存在するときは同一でも異なってもよい。Dは1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、pは1〜3の整数である。)
フェノール性水酸基を有するモノアミンを用いる場合、この配合量としては、ジアミン化合物全体に対して1〜10モル%である。
上記アミン化合物は、これらに限定されるものではなく、またこれらのアミン化合物は、所望により1種単独でも2種以上の組み合わせとしても使用することができる。
ポリアミック酸樹脂及びポリイミド樹脂の生成反応について具体的な例を挙げると、上述の出発原料を、不活性な雰囲気下で溶媒に溶かし、通常、80℃以下、好ましくは0〜40℃で反応させて、ポリアミック酸樹脂を合成する。更に得られたポリアミック酸樹脂を、通常、100〜200℃、好ましくは150〜200℃に昇温させることにより、ポリアミック酸樹脂の酸アミド部分を脱水閉環させ、目的とするポリイミド樹脂を合成することができる。
上記反応に使用する有機溶媒は、得られるポリアミック酸に不活性なものであれば、前記出発原料を完全に溶解できるものでなくともよい。例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドが挙げられ、好ましくは非プロトン性極性溶媒、特に好ましくはN−メチルピロリドン、シクロヘキサノン及びγ−ブチロラクトンである。これらの溶媒は、1種単独でも2種以上を組み合わせても用いることができる。
上記の脱水閉環を容易にするためには、トルエン、キシレンなどの共沸脱水剤を用いるのが望ましい。また、無水酢酸/ピリジン混合溶液を用いて低温で脱水閉環を行うこともできる。
なお、ポリアミック酸及びポリイミド樹脂の分子量を調整するために、無水マレイン酸、無水フタル酸などのジカルボン酸無水物及び/又はアニリン、n−ブチルアミン、上記に挙げたフェノール性の水酸基を有するモノアミンを添加することもできる。但し、ジカルボン酸無水物の添加量は、テトラカルボン酸二無水物100質量部当たり、通常、0〜2質量部であり、モノアミンの添加量は、ジアミン100質量部当たり、通常、0〜2質量部である。
[(B)成分]
本発明で用いられるエポキシ樹脂(B)としては、1分子中にエポキシ基を少なくとも2個有する化合物が好ましく、分子構造、分子量などには特に制限はない。このようなエポキシ化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン又はこのハロゲン化物のジグリシジルエーテル及びこれらの縮重合物(いわゆるビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等)、ブタジエンジエポキシド、ビニルシクロヘキセンジオキシド、レゾルシンのジグリシジルエーテル、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ジフェニルエーテル、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキセン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、1,2−ジオキシベンゼン或いはレゾルシノール、多価フェノール又は多価アルコールとエピクロルヒドリンとを縮合させて得られるエポキシグリシジルエーテル或いはポリグリシジルエステル、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等のノボラック型フェノール樹脂(或いはハロゲン化ノボラック型フェノール樹脂)とエピクロルヒドリンとを縮合させて得られるエポキシノボラック(即ち、ノボラック型エポキシ樹脂)、過酸化法によりエポキシ化したエポキシ化ポリオレフィン、エポキシ化ポリブタジエン、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、シクロペンタジエン型エポキシ樹脂などが挙げられる。
なお、上記のエポキシ基を1分子中に少なくとも2個有するエポキシ化合物にモノエポキシ化合物を適宜併用することは差し支えなく、このモノエポキシ化合物としては、例えば、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、プロピレンオキシド、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、オクチレンオキシド、ドデセンオキシドなどが挙げられる。また、用いるエポキシ樹脂は必ずしも1種類のみに限定されるものではなく、2種もしくはそれ以上を併用することができる。
(B)成分のエポキシ樹脂の配合量は、(A)成分のポリイミド樹脂100質量部に対して5〜200質量部であることが好ましく、特に10〜100質量部であることが好ましい。該配合量がこの範囲内になると、得られる接着剤の接着力が高くなりやすく、接着剤層の柔軟性を十分に確保しやすい。
・硬化剤
本発明の接着剤組成物には、エポキシ樹脂の硬化剤を用いることができる。この硬化剤としては、従来から知られているエポキシ樹脂用の種々の硬化剤を使用することができ、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、メタキシリレンジアミン、メンタンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンなどのアミン系化合物;エポキシ樹脂−ジエチレントリアミンアダクト、アミン−エチレンオキサイドアダクト、シアノエチル化ポリアミンなどの変性脂肪族ポリアミン;ビスフェノールA、トリメチロールアリルオキシフェノール、低重合度のフェノールノボラック樹脂、エポキシ化もしくはブチル化フェノール樹脂或いは“Super Beckcite”1001[日本ライヒホールド化学工業(株)製]、“Hitanol(登録商標)”4010[(株)日立製作所製]、Scado form L.9(オランダScado Zwoll社製)、Methylon(登録商標) 75108(米国ゼネラルエレクトリック社製)などの商品名で知られているフェノール樹脂などの、分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を含有するフェノール樹脂;“Beckamine(登録商標)”P.138[日本ライヒホールド化学工業(株)製]、“メラン”[(株)日立製作所製]、“U−Van”10R[東洋高圧工業(株)製]などの商品名で知られている炭素樹脂;メラミン樹脂、アニリン樹脂などのアミノ樹脂;式HS(C24OCH2OC24SS)L24OCH2OC24SH(L=1〜10の整数)で示されるような1分子中にメルカプト基を少なくとも2個有するポリスルフィド樹脂;無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、メチルナジック酸、ドデシル無水こはく酸、無水クロレンディック酸などの有機酸もしくはその無水物(酸無水物)などが挙げられる。上記した硬化剤のうちでもフェノール系樹脂(フェノールノボラック樹脂)が、本発明の組成物に良好な成形作業性を与えるとともに、優れた耐湿性を与え、また毒性がなく、比較的安価であるので望ましいものである。上記した硬化剤は、その使用にあたっては必ずしも1種類に限定されるものではなく、それら硬化剤の硬化性能などに応じて2種以上を併用してもよい。
この硬化剤の使用量は、その具体的種類によって好適な配合量が相違するが、一般には前記エポキシ樹脂100質量部に対して1〜100質量部、好ましくは5〜50質量部の範囲であることが好ましい。該配合量がこの範囲内にあると、エポキシ樹脂の濃度が適切な範囲に保たれるので、得られる組成物を、長時間を要することなく良好に硬化させやすく、また、硬化物の物性を維持しやすく、更には、経済的に有利となりやすい。
また、(A)成分として骨格中にフェノール性の水酸基を有するポリイミド樹脂を用いる場合には、エポキシ樹脂とフェノール系樹脂硬化剤との配合比は重要である。この場合、フェノール性の水酸基とエポキシ基との反応を利用して硬化反応が行われる。エポキシ樹脂とフェノール系樹脂硬化剤との混合配合量は、ポリイミド樹脂100質量部に対して、1〜900質量部、好ましくは5〜400質量部であることが望ましい。該混合配合量がこの範囲内にあると、得られる接着剤は、被着体との接着力が十分となりやすく、また弾性率が上昇しにくいため、柔軟な接着剤シートを作製しやすい。
ここで、エポキシ樹脂に対するフェノール系樹脂硬化剤と骨格中にフェノール性の水酸基を有するポリイミド樹脂との総和の化学当量比は特に制限されないが、0.7〜1.3の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.8〜1.2である。該化学当量がこの範囲内にあると、得られる組成物の特性の経時変化を防ぎやすい。
なお、エポキシ樹脂硬化剤としてフェノール系樹脂を用いない場合においても、ポリイミド樹脂とエポキシ樹脂との配合量及び当量比は前記と同様とすることができる。
[(C)成分]
本発明で用いるエポキシ樹脂硬化触媒(C)は特に制限はなく、例えば、リン系触媒、アミン系触媒等が挙げられる。
ここで、リン系触媒としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスホニウムトリフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートや下記に示すような化合物が挙げられる。
Figure 2007246886

(式中、R5〜R12は水素原子;フッ素、臭素、よう素などのハロゲン原子;アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、トリフルオロメチル基、フェニル基などの非置換もしくは置換の炭素原子数1〜8の一価炭化水素基;又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基であり、総てまたは一部の置換基が同一でも、おのおの異なっていても構わない。)
ここで、R5〜R12が一価炭化水素基である場合、その例としては、上記R4で例示したものと同様のものが挙げられる。また、R5〜R12が炭素原子数1〜8のアルコキシ基である場合、その例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基などを挙げることができる。
またアミン系触媒としては、例えば、ジシアンジアミド、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体などが挙げられる。
本発明におけるエポキシ樹脂硬化触媒は、これらの中から1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。なお、エポキシ樹脂硬化触媒(C)の配合量は、触媒としての有効量とすることができる。
[(D)成分]
本発明で用いられる無機充填剤(D)としては、シリカ微粉末、アルミナ、酸化チタン、カーボンブラック、銀粒子等の導電性粒子の充填剤、無機系あるいは有機系の顔料、染料等の着色剤、濡れ向上剤、酸化防止剤、熱安定剤等の添加剤などを目的に応じて添加することができる。これらの配合量としては接着剤組成物の5〜90質量%が好ましく、さらに好ましくは10〜70質量%が好ましい。該配合量がこの範囲内にあると、無機充填剤の配合目的である導電性、熱伝導性、低吸水性、低線膨張性等の性能を発揮しやすく、また、高粘度化を防ぎやすいので、フィルムの貼り付け性能を維持しやすく、フィルム表面の性状を良好に保ちやすく均一なフィルムを得やすい。また無機充填剤の平均粒径は、0.1〜10μmが好ましく、さらに好ましくは0.5〜7μmである。無機充填剤の平均粒径がこの範囲内にあると、フィルムの溶融粘度が上昇しにくいので、貼り付け性能を維持しやすく、フィルム表面の性状を良好に保ちやすく、均一なフィルムを得やすい。また、最近の接着剤層の厚みの要求として15〜50μmとなっているが、無機充填剤の平均粒径が前記範囲内にあると、2次凝集した粒子が存在しても、その部分がフィルムの要求厚み以上となりにくいために、品質に対する要求を満たしやすい。
[接着剤組成物]
本発明の接着剤組成物は40〜80℃での溶融粘度(即ち、40〜80℃の全温度範囲にわたる溶融粘度)が10000Pa・s以下であり、好ましくは8000Pa・s以下である。かかる粘度は、本発明の組成物を半導体装置製造用のボンディングシートとして使用した場合に、ウェハーを該ボンディングシートを介して基板に熱圧着するのに好適である。熱圧着は40〜80℃で行なうことが好ましく、前記溶融粘度が10000Pa・sより大きい場合は、接着剤組成物を半導体ウェハー裏面に貼り付けようとしたときに、充分な接着力が得られないために貼り付けられないか、また張り付いた場合でも次工程においてウェハーと接着剤組成物との接着力が不十分なために、ウェハーの細断工程でウェハー細片のフライングが発生してしまったり、細断工程後のウェハーの取り出し工程において、接着剤層がウェハーに付着してこないでウェハーのみを取り出してしまったりする。ここで溶融粘度を低下させるために、貼り付け温度を80℃より上にして貼り付けを行うことも可能であるが、高温でウェハーと接着剤とを貼り付けた場合に、接着剤とウェハーの線膨張係数の違いから、室温まで放冷した場合に、張り合わせた接着剤とウェハーに反りが発生したり、最悪の場合に工程中にウェハーの破壊を引き起こしてしまったりする。
さらに、本発明の組成物は、80℃〜(T+50)℃(Tは該組成物の硬化開始温度を表す。以下、同じ)で1分〜2時間加熱した後には100℃〜(T+30)℃において100〜10000Pa・sの溶融粘度を示すことを特徴とする。
前記硬化開始温度は、アルミニウムセルに分取した該組成物10mgを、空のアルミニウムセルを参照試料として、空気下で室温から300℃まで10℃/分の割合で昇温するした場合に得られた示差走査熱分析(DSC)曲線の形状から次のようして決定される。本発明の組成物、特に前記の(A)〜(D)成分を含む好ましい組成物について上記条件で測定されたDSC曲線は一般に二つの直線部分を有する。第一の直線部分は少なくとも90〜140℃の範囲内に現れる。その後温度上昇とともに該曲線は上方に立ち上がり後上昇しピークに向かうが、立ち上がり後ピークに至る途中に第二の直線部分が現れる。前記硬化開始温度はこれら二つの直線部分により決定される2本の直線の交点として決定される。
通常、ボンディングシートの接着層は、基板上にボンディングされた後に、熱履歴を受ける。特に、ワイヤーボンディング工程は加熱時間が長い。該工程で、接着層の硬化がある程度進行する。本発明の組成物は、該硬化が進行しても、基板上の凹部をボイドで残すことの無い溶融粘度を示す。上記溶融粘度範囲であれば、後続の樹脂封止工程における成形圧力で、接着剤が凹部を埋めることができる。該溶融粘度が前記上限値より高い場合、得られる接着剤は、微細な表面凹凸を有する回路基板の凹凸を埋めることができずに、信頼性低下の原因となる。逆に前記下限値未満の場合においても、エポキシモールディングコンパウンドでモールド時に、樹脂粘度が低すぎるために圧力が充分にかからない為に、微細な隙間が充分に埋まらずにこれも信頼性低下の原因となる。好ましくは、100℃〜(T+30)℃における溶融粘度が、300〜3000Pa・sである。
80℃〜(T+50)℃での1分〜2時間の加熱、好ましくは150℃〜(T+50)℃での2〜90分間の加熱、より好ましくは150℃〜(T+50)℃での3〜60分間の加熱は、ワイヤーボンディング工程で行なうことができる。なお、本発明組成物をワイヤーボンディングを含まない工程で使用する場合には、上記温度範囲で別途加熱処理することが好ましい。
前記接着剤組成物は、所要の成分を、例えば上述の好ましい実施形態の場合には、(A)ポリイミド樹脂、(B)エポキシ樹脂、(C)エポキシ樹脂硬化触媒、(D)無機充填剤、及びその他の成分を常法に準じて混合することにより調製することができる。
[使用方法および接着フィルム]
例えば、上記で得られた接着剤組成物をトルエン、シクロヘキサノン、NMPなどの非プロトン性極性溶媒に適当な濃度で溶解し、基板上に塗布して乾燥させた後、該接着剤組成物に被着体を圧着し該接着剤組成物を加熱硬化させることで、該基板と該被着体とを接着することができる。また、溶媒に適当な濃度で溶解した接着剤組成物を支持基材上に塗布し、乾燥させ、接着剤層を形成させることにより該支持基材と該接着剤層(該層を接着フィルムという)とを有する積層体を得る。ダイボンディングに際しては接着フィルムを支持基材から剥離後、基板と被着体との間に挟み、圧着し、加熱硬化させることで、該基板と該被着体とを接着することもできる。このフィルム形成支持基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、紙、金属箔等、あるいはこれらの表面を離型処理したものを用いることができる。基板としては、例えばパッケージ、リードフレーム等を挙げることができる。
前記接着剤層を形成させるときの乾燥は、室温〜200℃、特に80〜150℃で1分〜1時間、特に3〜10分間行うことが好ましい。
この接着剤層の膜厚は特に制限はなく、目的に応じ選択することができ、10〜100μmであることが好ましく、特に15〜50μmであることが好ましい。また、該接着剤層は、硬化させる場合には、圧力0.01〜10MPa、特に0.1〜2MPaで圧着した後、温度100〜200℃、特に120〜180℃で30分〜5時間、特に1〜2時間硬化させることが好ましい。
本発明の接着剤は、電子部品の製造だけでなく、接着の伴う種々の工程で用いることができる。
以下、実施例及び参考例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[合成例1]
ポリイミド樹脂の合成
還流冷却器を連結したコック付きの25ml水分定量受器、温度計、攪拌器を備えた1Lのセパラブルフラスコに、下記構造式で表わされるジアミノシロキサン:KF−8010(信越化学社製)44.03質量部、反応溶媒として2−メチルピロリドン100質量部を仕込み、80℃で攪拌し、ジアミンを分散させた。これに酸無水物として6FDA(2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物)38.72質量部と2−メチルピロリドン100質量部との溶液を滴下して室温で2時間攪拌反応を行うことにより、酸無水物リッチのアミック酸オリゴマーを合成した。
Figure 2007246886

(式中、n=10(平均値))
次に、下記式:
Figure 2007246886

で示されるフェノール性水酸基を有する芳香族ジアミン(ジアミン−1)17.25質量部と100質量部の2−メチルピロリドンを、還流冷却器が連結されたコック付きの25ml水分定量受器、温度計、攪拌器を備えた1Lのセパラブルフラスコに仕込み、分散させ、前出の酸無水物リッチのアミック酸オリゴマーを滴下した後、室温で16時間攪拌し、ポリアミック酸溶液を合成した。その後、キシレン25mlを投入してから温度を上げ、約180℃で2時間還流させた。水分定量受器に所定量の水がたまっていること、水の流出が見られなくなっていることを確認し、水分定量受器にたまっている流出液を除去しながら、180℃でキシレンを除去した。反応終了後、大過剰のメタノール中に得られた反応液を滴下し、ポリマーを析出させ、減圧乾燥して、骨格中にフェノール性の水酸基を有するポリイミド樹脂を得た。
得られたポリイミド樹脂の赤外吸光スペクトルを測定したところ、未反応の官能基があることを示すポリアミック酸に基づく吸収は現れず、1780cm-1及び1720cm-1にイミド基に基づく吸収を確認し、3500cm-1にフェノール性水酸基に基づく吸収を確認した。
[実施例1〜5、参考例1〜2]
合成例1で得られたポリイミド樹脂50質量部をシクロヘキサノン50質量部に溶解して溶液を得た。この溶液、エポキシ樹脂RE310S(日本化薬社製)、ジシアンジアミド(DICY)硬化触媒(四国化成社製)、無機充填剤としてシリカ(商品名:SE2050、アドマテックス社製)の70質量%シクロヘキサノン溶液を下記表1に示す配合量(質量部)で混合し、接着剤組成物を調製した。各組成物について下記の方法により特性を測定し、その結果を表1に示した。
(1)接着剤組成物の特性
15μmギャップフィル性能
5mm×5mm×500μmの透明ガラス板の一方の面に、実施例1〜5および参考例1〜2に示す樹脂組成物からなる接着剤層(膜厚:25μm)を形成させた。得られた接着剤層付き透明ガラス板を、平均15μmの凹凸パターンを有するPCB(Printed circuit board)上に、該接着剤層が該PCBの凹凸パターンを有する層と接するように、160℃、0.3MPa、2秒の条件でダイボンドした。その後、175℃、6MPa、30分の条件でプレスし、得られた擬似デバイス(ガラス板とPCBの一体成型物)におけるボイドの有無を顕微鏡にて透明ガラス面から観察して、15μmのギャップが充填されているかどうかを確認した。
硬化開始温度
硬化開始温度は、アルミニウムセルに分取した該組成物10mgを、空のアルミニウムセルを参照試料として、Rigaku社製の示差走査熱計Thermoplus DSC8230により、空気下で室温から300℃まで10℃/分の割合で昇温することにより得られた示差走査熱分析(DSC)チャートを用いて測定した。
例えば実施例1の接着剤組成物の硬化開始温度は次のようにして求めた。図1は、実施例1の接着剤組成物のDSCチャートである。図1に示すように、DSC曲線1は少なくとも90〜140℃の温度範囲内に認められる直線部分Lを有する。DSC曲線1は上方への立ち上がり後ピークPに到達するまでに別の直線部分Lを有する。Lの延長により決定される直線2と、Lの延長により決定される直線3との交点4を求めた。該交点4で示される温度180℃を該組成物の硬化開始温度とした。
(2)硬化前接着フィルムの特性
前記で得られた接着剤組成物を、厚さ50μmのPETフィルム(以下、基材フィルムとする。)のフッ素シリコーン離型剤で被覆した面に塗布し、塗布された接着剤組成物の上にもう一枚の基材フィルムのフッ素シリコーン離型剤で被覆した面を載せ、120℃で10分間加熱乾燥して、約50μmの接着剤層を形成させることにより、基材フィルム付き接着フィルムを作製した。
加熱前溶融粘度
前記で得られた基材フィルム付き接着フィルムから基材フィルムを剥離させて得られた厚さ50μmの接着フィルムを20枚積層して厚さ1mmの積層体を作製した。この積層体の80℃での溶融粘度を、HAAKE社製MRAS測定装置で測定した。
加熱後溶融粘度
また、同積層体を表1に示す加熱温度で表1に示す加熱時間、加熱して、加熱済み積層体を得た。この加熱済み積層体の175℃での溶融粘度を前記と同様に測定した。
(3)硬化後接着フィルムの特性
接着フィルムを硬化させて得られた硬化接着フィルムの特性(動的貯蔵弾性率、ガラス転移点、基板とのせん断接着力、湿熱後のせん断接着力)を下記方法により評価した。
動的貯蔵弾性率
前記で得られた基材フィルム付き接着フィルムを175℃で1時間熱処理し、硬化させた。基材フィルムを剥離させた20mm×5mm×50μmの硬化接着フィルムに関して動的貯蔵弾性率を測定した。測定には動的粘弾性測定装置を用い、引張りモード、チャック間距離15mm、測定温度25℃、測定周波数30Hzの条件で動的貯蔵弾性率を測定した。
ガラス転移点
前記で得られた基材フィルム付き接着フィルムを175℃で1時間熱処理し、硬化させた。基材フィルムを剥離させた20mm×5mm×50μmの硬化接着フィルムに関してガラス転移点を測定した。測定には熱機械特性の測定装置であるTMA−2000(商品名、アルバック理工製)を用い、引張りモード、チャック間距離15mm、測定温度25〜300℃、昇温速度10℃/分、測定荷重10gの条件でガラス転移点を測定した。
せん断接着力
前記で得られた基材フィルム付き接着フィルムを5mm×5mmに切断し、一方の面の基材フィルムを剥離させて、接着剤層を露出させた。この接着フィルムを18mm×18mmの42アロイ(商品名:KAKU−42、凸版印刷社製、42アロイの試験片)に、露出した接着剤層が該42アロイと接するように、80℃、0.01MPaの条件で30秒熱圧着し、固定させた。その後、残りの基材フィルムを剥離させて、露出した接着剤層に別の18mm×18mmの42アロイを前記と同条件で熱圧着し、固定させた。このようにして得られた積層体を175℃で1時間加熱して接着剤層を硬化させ、接着力測定用試験片を作製した。この接着力測定用試験片について、(株)島津製作所製のオートグラフ引張り試験機を用いて、速度2.0mm/分でせん断接着力を測定した。
湿熱後のせん断接着力
85℃/85%RH条件下で168時間放置した前記の接着力測定用試験片について、(株)島津製作所製のオートグラフ引張り試験機を用いて、速度2.0mm/分でせん断接着力を測定した。
Figure 2007246886
実施例1の接着剤組成物の示差走査熱分析チャートである。
符号の説明
1 DSC曲線
2 直線部分L1により決定される直線
3 直線部分L2により決定される直線
4 交点
L1 直線部分
L2 直線部分
P DSC曲線のピーク

Claims (7)

  1. 40〜80℃における溶融粘度が10000Pa・s以下であり、80℃〜(T+50)℃で1分〜2時間加熱した後は、100℃〜(T+30)℃において100〜10000Pa・sの溶融粘度を示す接着剤組成物(但し、Tは該組成物の硬化開始温度を表す。)。
  2. (A)ポリマー骨格にジオルガノポリシロキサン鎖及びフェノール性の水酸基を有するポリアミック酸樹脂、並びに、該ポリアミック酸樹脂の閉環誘導体であるポリイミド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂、
    (B)エポキシ樹脂、
    (C)エポキシ樹脂硬化触媒、ならびに
    (D)無機充填剤
    を含む、請求項1に係る接着剤組成物。
  3. (A)成分のポリイミド樹脂が、テトラカルボン酸二無水物と、下記式(1):
    Figure 2007246886

    (式中、R1は同一または異種の炭素原子数3〜9の二価の有機基であり、R2およびR3はおのおの同一または異種の非置換もしくは置換の炭素原子数1〜8の一価炭化水素基であり、mは1〜200の整数である。)
    で表されるジアミンを含むジアミン化合物とを反応させて得られるポリイミド樹脂を含有する請求項2に係る接着剤組成物。
  4. (A)成分のポリイミド樹脂が、テトラカルボン酸二無水物と、下記式:
    Figure 2007246886

    〔式中、R4は独立に水素原子、ハロゲン原子、又は非置換もしくは置換の炭素原子数1〜8の一価炭化水素基であり、nは0〜5の整数であり、Aは独立に
    Figure 2007246886

    (式中、R4は上記と同じであり、Rは独立に水素原子、ハロゲン原子又は非置換もしくは置換の一価炭化水素基である。)
    であり、Bは独立に
    Figure 2007246886

    (式中、R4は上記と同じである。)
    である。〕
    で表されるジアミンとを反応させて得られるポリイミド樹脂を含むものである請求項2または3に係る接着剤組成物。
  5. 前記ジアミンが下記式(2):
    Figure 2007246886

    (式中、R4は上記と同じである。)
    で表されるジアミンである請求項4に係る接着剤組成物。
  6. 基材と、該基材上に設けられた請求項1〜5のいずれか1項に記載の接着剤組成物からなる接着フィルムとを有する積層体。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の接着剤組成物からなる接着フィルムを使用して半導体装置を製造する方法であって、
    40〜80℃で半導体ウェハーを該接着フィルムを介して基板に熱圧着する工程、及び、
    80℃〜(T+50)℃で、1分〜2時間、ワイヤーボンディングを行なう工程
    を含む方法(但し、Tは上記と同じである。)
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