JP2007246720A - 感熱性粘着剤及び感熱性粘着シート - Google Patents

感熱性粘着剤及び感熱性粘着シート Download PDF

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Abstract

【課題】従来の感熱性粘着剤に見られる欠点を克服し、各種被着体に対する粘着力、及び、その経時での粘着力安定性に優れる感熱性粘着剤と感熱性粘着シートの提供。
【解決手段】熱可塑性樹脂及び加熱時に溶融する熱溶融性物質を主成分とした感熱性粘着剤において、感熱性粘着剤調製に用いる熱溶融性物質分散液の分散剤として、下記一般式(I)であらわされる化合物を用いることを特徴とする感熱性粘着剤。
一般式(I)
Figure 2007246720

(n、mは整数をあらわし、分子量500以上)
【選択図】なし

Description

本発明は、感熱性粘着剤及びそれを用いた感熱性粘着シートに関する。
近年、ラベル用粘着シートを、価格表示用ラベル、商品表示(バーコード)用ラベル、品質表示用ラベル、計量表示用ラベル、広告宣伝用ラベル(ステッカー)等のラベル用途として使用することが増加している。
その記録方式もインクジェット記録方式、感熱記録方式、感圧記録方式等様々な方式がある。
従来より、ラベルの情報記録面とは反対面に、粘着剤層と剥離紙を積層した構成の一般的な粘着シートが、貼り合わせ時に剥離紙を剥がし加圧のみで簡便に貼り合わせることが
できるため広く使用されている。
しかし、一般的な構成の粘着シートは、剥離紙を剥離して使用するが、剥離された剥離紙は回収、再利用され難く、ほとんどの場合廃棄処分されている。
そこで近年では、常温では粘着性を示さず剥離紙を必要としない感熱性粘着シートが注目されている。
また、感熱性粘着剤は、非特許文献1に記載されているように、基本的には熱可塑性樹脂と固体可塑剤のような熱溶融性物質及び必要に応じて粘着付与剤を含有してなるものである。
熱可塑性樹脂は粘着力、接着力を付与するものであり、また熱溶融性物質は、常温では固体であるため、樹脂に可塑性は与えないが、加熱により溶融して樹脂を膨潤又は軟化させて粘着性を発現させるものである。
また、粘着付与剤は粘着性を向上させる働きもする。
このような構成からなる感熱性粘着剤は、熱によって粘着性が発現する際、いかにして熱可塑性樹脂の有する粘着特性を引き出すかが、その性能を決める重要なポイントであり、その要因としては、以下の2つを挙げることができる。
(1)感熱性粘着剤中の熱溶融性物質と熱可塑性樹脂との相溶状態
(2)感熱性粘着剤中の粘着阻害物質の排除
通常、感熱性粘着剤中の熱溶融性物質は、加熱により融解し樹脂と混ざり合った状態を形成するが、時間とともに固化や結晶化が進行して粘着性が低下してゆくと考えられることから、経時での粘着性の低下が欠点として存在している。
更に、感熱性粘着剤を作製する際に、熱可塑性樹脂とともに用いる熱溶融性物質は、通常細かく粉砕された分散状態で用いることが一般的であり、その分散液を調製する際には、界面活性剤やポリビニルアルコールなどの水溶性高分子(保護コロイド剤)を分散剤として用いており、これらの分散剤、特に高分子化合物を用いた場合に、粘着阻害を引起し、粘着性の低下となっている。
このように、感熱性粘着剤は、粘着性発現後の粘着力の経時低下に加えて構成材料の粘着阻害による粘着力低下という品質面での問題点を有するものである。
このような問題を解決するために、熱可塑性樹脂、熱溶融性物質等の構成材料や、構成面からの改善の検討が行われている。
例えば、特許文献1、特許文献2においては、熱可塑性樹脂として、ガラス転移点が0℃以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体又はガラス転移点が−5℃以上の熱可塑性樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重合体を除く)等を用いることが提案されている。
しかし、これらはステンレス板等に対する粘着力は比較的良好な結果が得られるものの、塩化ビニルラップやポリオレフィンラップ、段ボール等に対する粘着力は、未だ実用レベルに達していないものであった。
感熱性粘着剤の用途は特に限定されないが、例えば、基材の片面に感熱性粘着剤からなる層 (感熱性粘着剤層という) を設けた感熱性粘着シート、さらに感熱性粘着剤層に加えて基材の他の面に感熱発色層を設けた感熱性粘着シートを挙げることができる。
これらは、各種食料品をラップで包装し、そのラップの上に貼るいわゆる食品POS用として期待が高まっている。しかし、従来の感熱性粘着剤は、塩化ビニルラップ及びポリオレフィンラップ、段ボール等に対する粘着力が不充分であるために、感熱性粘着シート自体の実用化の妨げになっている。
また、特許文献3には、基材と感熱発色層の間に非発泡中空粒子を含有させたアンダーコート層を設けてなる感熱性粘着シートであって、フタル酸ジシクロヘキシルを固体可塑剤とする感熱性粘着剤を用いたものが提案されている。
この感熱性粘着シートはアンダーコート層が設けられているため、感熱発色層の熱感度向上と感熱性化時生じる感熱発色層の地肌発色防止の点でほぼ満足できるレベルであるが、該粘着シートを重ね合わせる際に発生するブロッキング性に関して、それが40℃程度で発生してしまい、実用化レベルとして期待されている50℃程度には達していないものである。
一方、分散剤に対する検討については、感熱性粘着剤の領域では表立った検討は行われておらず、特許公報の請求の範囲への記載はないが、実施例記載などで種々のものが用いられていることがわかる。
例えば、アニオン系界面活性剤(スルホン酸塩型)、アニオン系界面活性剤(カルボン酸塩型)、アニオン系界面活性剤(ポリカルボン酸型)などが挙げられる。(特許文献4、特許文献5等)また、一般に、各種変性タイプのポリビニルアルコールなども水系の分散剤(保護コロイド剤)として広く用いられている。
特開平6−57226号公報 特開平6−57233号公報 特開平9−265260号公報 特開2004−114559号公報 特開2003−114559号公報 「接着便覧」第12版、第131〜135頁、昭和55年、高分子刊行会発行
本発明は、従来の感熱性粘着剤に見られる欠点を克服し、加熱による粘着性発現後も長く粘着力を維持するとともに、粘着力を高くすることを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、熱溶融性物質の分散剤について鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(I)であらわされる化合物を分散剤として用いることで、粘着力の経時特性及び粘着力水準の向上が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の第1は、熱可塑性樹脂及び加熱時に溶融する熱溶融性物質を主成分とした感熱性粘着剤において、感熱性粘着剤の調製に用いる熱溶融性物質分散液の分散剤として、下記一般式(I)であらわされる化合物を用いることを特徴とする感熱性粘着剤に関する。
一般式(I)
Figure 2007246720
(n、mは整数をあらわし、分子量500以上)
本発明の第2は、前記一般式(I)であらわされる分散剤の構造にしめる、エチレンオキサイド(EO)含有量が、50重量%以上であることを特徴とする請求項1記載の感熱性粘着剤に関する。
本発明の第3は、前記一般式(I)であらわされる分散剤の熱溶融性物質に対する含有率が、5〜10重量%であることを特徴とする請求項1または2記載の感熱性粘着剤に関する。
本発明の第4は、該感熱性粘着剤中に粘着付与剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の感熱性粘着剤に関する。
本発明の第5は、該感熱性粘着剤層と基材との間に、微小中空粒子とバインダーを主成分とする中間層を設けることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の感熱性粘着剤に関する。
本発明の第6は、請求項1〜5のいずれかに記載の感熱性粘着剤からなる層を基材の片面に設けてなることを特徴とする感熱性粘着シートに関する。
本発明の第7は、基材に対し感熱性粘着剤層の反対面にロイコ染料と顕色剤を主成分とする感熱記録層を設けることを特徴とする請求項6記載の感熱性粘着シートに関する。
感熱性粘着剤は、一般に加熱により粘着力、接着力を付与する主な成分である熱可塑性
樹脂、粘着付与剤及び加熱により溶融し、粘着剤に粘着性を発現させる作用を有する熱溶
融性物質を主成分とするものである。
本発明の感熱性粘着剤は、熱可塑性樹脂、分散剤及び熱溶融性物質からなり、加熱により、熱溶融性物質が融解して粘着性を発現するものである。このような感熱性粘着剤は、通常、構成成分を溶解液又は分散液の形態で配合して形成されるものであることから、熱可塑性樹脂、分散剤、熱溶融性物質などの成分に加えて、粘着付与剤などの成分も含有されることになる。
このような分散剤としては、一般に界面活性剤や水溶性樹脂からなる保護コロイド剤が用いられることが多いが、これらの成分は、感熱性粘着剤の中において粘着阻害を起こしやすく、本来の粘着特性を低下させてしまう。
このような状況において、本発明では、分散剤として、下記一般式(I)で表される化合物を用いることで、粘着阻害を引起すことなく、高い粘着力を経時で維持することが可能となる。
一般式(I)
Figure 2007246720
(n、mは整数を表し、分子量500以上)
この化合物は、ポリエチレン鎖にエチレンオキサイド鎖が結合したものであり、分子量としては、数百から3000程度のオリゴマーに相当するものであり、優れた分散性を有するだけでなく、ポリエチレン鎖の存在によって、感熱性粘着剤中の熱可塑性樹脂との相溶性にすぐれることから、加熱によって粘着性が発現した際に被分散物である熱溶融性物質の熱可塑性樹脂に対する相溶性を向上させることができ、粘着性の経時安定性の向上に寄与することができる。
尚、ここでいう分子量は、浸透圧法による平均分子量である。
このような一般式であらわされる化合物としては、ノニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテルなども存在するが、これらの界面活性剤は分子量が小さく分散剤として用いた場合に、低分子成分として系内に存在することから、粘着性に対して悪影響を及ぼしやすい。
その理由は明らかではないが、一般式(I)の構造を持ちながら、分子量が低い界面活性剤が系内に存在することで、感熱性粘着剤としての凝集力が低下することから、粘着力が低くなってしまうのではないかと考えている。
また、低分子の界面活性剤が多く存在することで、感熱性粘着剤層に対する支持体の反対側の面への影響も発生しやすく、ロール形態で保管した場合に界面活性剤が、感熱記録紙やインク受容層側へ移行してしまうことも起こりやすくなる。
このような点から、本発明の一般式(I)であらわされる化合物は、類似構造を有する他の化合物より優れた特性をあらわすものと考えられる。
また、熱可塑性樹脂、熱溶融性物質との相溶性に優れる特性を有していることから、他の界面活性剤やポリビニルアルコールをはじめとする水溶性高分子系の保護コロイド剤のように粘着阻害を引起すことなく、高い粘着力を発現することができる。
この化合物の特性は、分子量と分子中のエチレンオキサイド(親水性部位)の占める割合によってきまってくるものであり、分子量としては、およそ2000以下が好ましい。
また、分子中のエチレンオキサイド鎖の割合によって分散剤としての親水性が決ってきており、その値が50%(NMR計算値)以上であることが好ましい。
このような一般式(I)であらわされる化合物の具体例としては、東洋ペトロライト株式会社製ユニトックスシリーズを挙げることができる。
これらの具体的な製品名を挙げるとユニトックス420(分子量560、EO含有量20%)、ユニトックス450(分子量900、EO含有量50%)、ユニトックス480(分子量2250、EO含有量80%)、ユニトックス520(分子量700、EO含有量20%)、ユニトックス550(分子量1100、EO含有量50%)、ユニトックス720(分子量875、EO含有量20%)、ユニトックス750(分子量1400、EO含有量50%)がある。
更に本発明の感熱性粘着剤に用いられる熱溶融性物質は、常温では固体であるため、樹脂に可塑性は与えないが、加熱により溶融して樹脂を膨潤又は軟化させて粘着性を発現し、加熱により溶融した後、ゆっくりと結晶化するため、熱源を取り除いた後も粘着性を長時間持続することができるものである。
この熱溶融性物質としては、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードフェノール系、エステル系化合物、リン系化合物(リン酸エステル系化合物、ホスフィン系化合物)などを用いることができる。
これらの熱溶融性物質は、室温において固体で加熱時に溶融するものが用いられる。
これらの化合物の融点は、70℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましい。
この場合、化合物の融点の上限値は200℃程度である。前記融点が70℃未満であると、感熱性粘着材料としたときに通常の保存環境下温度で粘着力が発現するなど、保存上の不具合が生じることがあり、また、感熱性粘着剤塗布液を支持体に塗布乾燥するときに粘着力が発現するなどの製造上の不具合が生じるときがある。
一方、融点が200℃を超えると、粘着力を発現させるために大量のエネルギーが必要となり、実用上の不具合が生じる。また、感熱記録紙を支持体として用い、大量のエネルギーで粘着力を発現させた場合、感熱記録層が発色することが考えられ、印字画像が読み取れなくなることがある。
また、これらの化合物を2種類以上混合して用いると感熱性化エネルギーを低くすることが可能(高感度化)となり、特に、構造類似な熱溶融性物質を2種類以上混合して用いると効果が向上し、ディレード性もアップするという利点がもあることから、必要に応じて複数種の化合物を混合して用いることも可能である。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、下記一般式(II)であらわされる化合物を挙げることができる。
一般式(II)
Figure 2007246720
前記一般式(II)において、R、Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、ベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基の何れかを示し、Rは水素原子、塩素原子の何れかを示す。
前記一般式(II)であらわされる化合物の具体例としては以下の化合物を挙げることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
[(II)−1]5−クロロ−2(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチル)ベンゾトリアゾール
[(II)−2]5−クロロ−2(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチル)ベンゾトリアゾール
[(II)−3]2(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル)ベンゾトリアゾール
[(II)−4]2(2′−ヒドロキシ−3′−t−ペンチル)ベンゾトリアゾール
[(II)−5]2(2′−ヒドロキシ−3′−メチル)ベンゾトリアゾール
[(II)−6]2〔2′−ヒドロキシ−3′,5′−ビス(α,α−ジメチルベンジル)〕ベンゾトリアゾール
[(II)−7]2(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチル)ベンゾトリアゾール
[(II)−8]2(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ペンチル)ベンゾトリアゾール
[(II)−9]2(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−メチル)ベンゾトリアゾール
[(II)−10]2〔2′−ヒドロキシ−5′−メチル−3′−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)〕ベンゾトリアゾール
[(II)−11]メチレンビス〔2−(2′−ヒドロキシ−5′−ドデカニルフェニル)ベンゾトリアゾール
リン系化合物の中では、下記一般式(III)及び一般式(IV)で表されるホスフィン系化合物やリン酸エステル系化合物を挙げることができる。
一般式(III)
Figure 2007246720
一般式(IV)
Figure 2007246720
前記一般式(III)(IV)において、Rは、水素原子、炭素数1〜4の分岐していてもよいアルキル基を表し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、などが挙げられる。nは、1〜5の整数を表す。
前記一般式(III)で表される化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
[(III)−1]トリ−2,4−キシレンホスフィン、
[(III)−2]トリ−2,5−キシレンホスフィン、
[(III)−3]トリ−2,6−キシレンホスフィン、
[(III)−4]トリ−3,4−キシレンホスフィン、
[(III)−5]トリ−3,5−キシレンホスフィン、
[(III)−6]トリフェニルホスフィン
前記一般式(IV)で表される化合物としては、具体的には、下記一般式で表される化合物などが好適である。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
[(IV)−1]トリス(o−メトキシフェニル)ホスフィン
[(IV)−2]トリス(m−メトキシフェニル)ホスフィン
[(IV)−3]トリス(p−メトキシフェニル)ホスフィン
[(IV)−4]トリス(p−エトキシフェニル)ホスフィン
[(IV)−5]トリス(p−n−プロピルオキシフェニル)ホスフィン
[(IV)−6]トリス(m−t−ブトキシフェニル)ホスフィン
[(IV)−7]トリス(m−n−ブトキシフェニル)ホスフィン
[(IV)−8]トリス(p−n−ブトキシフェニル)ホスフィン
[(IV)−9]トリス(p−t−ブトキシフェニル)ホスフィン
[(IV)−10]トリス(m−t−ブトキシフェニル)ホスフィン
更に、リン系化合物の中でリン酸エステル系化合物は一般に融点が低く、本発明の熱溶融性物質に適する化合物は少ないが、下記化合物は融点が高く、具体的な化合物として挙げる事ができる。
[(V)−1]レゾルシノールビス〔ジ(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート〕
[(V)−2]ハイドロキノンビス〔ジ(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート〕
また、エステル系化合物も前記リン酸エステル系化合物と同様に融点が低く、本発明の熱溶融性物質に適する化合物は少ないが、下記化合物は融点が高く、具体的な化合物として挙げる事ができる。
[(VI)−1]シュウ酸ジベンジルエステル
[(VI)−2]シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)エステル
[(VI)−3]パラオキシ安息香酸ベンジルエステル、イソフタル酸ジフェニルエステル
[(VI)−4]フタル酸ジフェニルエステル
[(VI)−5]ハイドロキノンジアセテート
[(VI)−6]テレフタル酸ジメチルエステル
[(VI)−7]イソフタル酸ジメチルエステル
更に、本発明においては、各種ヒンダードフェノール系化合物を熱溶融性化合物として用いることが可能であり、その具体的化合物としては、以下の化合物等を挙げることができる。
[(VII)−1]1,3,5−トリス(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌル酸
[(VII)−2]1,3,5−トリス(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン
[(VII)−3]1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン
[(VII)−4]1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン
[(VII)−5]トリス(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート
[(VII)−6]4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)
[(VII)−7]ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
[(VII)−8]テトラキス[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン
[(VII)−9]3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン
[(VII)−10]1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン
[(VII)−11]3,9−ビス1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルプロピオニルオキシ)エチル]−2,4,8,10−エトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン
これら熱溶融性物質は分散されて用いるが、その際の分散方法は、サンドグラインダー、ボールミル、ペイントシェーカーなどを用いた分散方法や乳化分散などの各種分散方法を適宜選定して用いることができる。
分散においては、体積平均粒子径がおおよそ、1〜3μmくらいであることが好ましい。また、1μm以下、0.5μm以下というように更に細かくすることで、動的な感熱性感度が上がり低エネルギーで熱可塑性樹脂と相溶して感熱性粘着剤となる。
また、感熱性感度だけでなく、通常の保存環境下温度での保存性が向上(要するに耐ブロッキング性が向上)する。
本発明の感熱性粘着剤において、感熱性粘着剤中の熱溶融性物質の含有率は、好ましくは、25〜80重量%であり、さらに好ましくは、35〜70重量%である。
熱溶融性物質の含有率が25重量%未満及び80重量%を超えた場合には、いずれも粘着力の低下を来たすことがある。
また、ガラス転移点(Tg)の低い樹脂と組合せた場合、熱溶融性物質の含有率が25重量%未満と少ないと、通常の保存環境下温度で粘着力が発現するなど保存上の不具合が生じる。
本発明の感熱性粘着剤で好ましく併用される熱可塑性樹脂としては、ビニル系モノマーをグラフト共重合した天然ゴムラテックス、天然ゴムラテックス、ポリ酢酸ビニル、アクリル酸エステル重合体、メタクリル酸エステル重合体及び、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステルからなる各種共重合体。更には、これらにアクリロニトリルを共重合させた熱可塑性樹脂、合成ゴム、酢酸ビニル−アクリル酸2エチルヘキシル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、ビニルピロリドン−スチレン共重合体、ビニルピロリドン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体等の高分子樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
感熱性粘着剤中の熱可塑性樹脂の含有率は、好ましくは、10〜60重量%、さらに好ましくは、15〜50重量%である。熱可塑性樹脂の含有率が10重量%未満及び60重量%を超えた場合、いずれも粘着力の低下となるので望ましくない。
また、低Tg樹脂の含有率が60重量%を超えた場合には、通常の保存環境下温度で粘着力が発現するなど保存上の不具合が生じる。
さらに、感熱性粘着剤の粘着力を向上させる為に、上記成分に一般的な粘着剤に用いられる粘着付与剤であるロジン誘導体、テルペン系樹脂、石油系樹脂、フェノール系樹脂及びキシレン系樹脂が使われる。
本発明の感熱性粘着剤に特に好ましく用いられる粘着付与剤としては、ロジン誘導体(ロジン、重合ロジン、水添ロジン及びそれらのグリセリン、ペンタエリスリトール等とのエステル、樹脂酸ダイマー等)、テルペン系樹脂(テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水素添加テルペン樹脂)等が挙げられる。
これらの粘着付与剤は、熱可塑性樹脂及び本発明の熱溶融性物質と相溶し、感熱性粘着剤の粘着力が著しく向上する。
また、感熱性粘着剤中の粘着付与剤の融点又は軟化点は、好ましくは、80℃以上でさらに好ましくは、80〜200℃である。80℃未満になると、通常の保存環境下温度で保存上の不具合(耐ブロッキング性が低下)が生じる。
また、感熱性粘着剤中の粘着付与剤の含有率は、好ましくは、5〜30重量%で、さらに好ましくは、5〜20重量%である。5重量%未満であると、粘着力が低下し、30重量%を超えると、通常の保存環境下温度で保存上の不具合(耐ブロッキング性が低下)が生じる。
本発明の感熱性粘着剤においては、上記成分以外に、ブロッキング防止のために、酸化チタン、アルミナ、コロイダルシリカ、カオリン、タルク等の無機物や、ステアリン酸金属塩、パラフィン、天然ワックス、合成ワックス、天然油脂、ポリスチレン粉末等の有機物を、さらに必要に応じて、分散剤、消泡剤、増粘剤等を使用することもできる。
本発明の感熱性粘着剤を基材の片面に塗布することにより、種々の被着体、特に塩化ビニルラップやポリオレフィンラップに対する粘着力が強く、かつ耐ブロッキング性も良好な感熱性粘着シートを得ることができる。この粘着シートは、ラベルとして用いて好適である。
基材の片面に感熱記録層を塗布し、他の面に本発明の感熱性粘着剤を塗布することにより、各被着体、特に塩化ビニルラップやポリオレフィンラップに対する粘着力が強く、かつ耐ブロッキング性も良好な感熱記録用の感熱性粘着シートを得ることができる。
支持体に塗工若しくは印刷の際の乾燥条件は、使用される熱溶融性物質が融解しない温度範囲で乾燥されなければならない。乾燥の手段としては熱風乾燥の他に赤外線、マイクロ波、高周波による熱源を利用した乾燥方法が使用できる。
感熱性粘着剤層の塗布量は、乾燥塗工量で通常2〜35g/m、好ましくは5〜25g/mの範囲で塗布される。感熱性粘着剤層の塗工量が2g/m未満であると、加熱による接着を行う際に十分な接着力が得られない。また、35g/mを越えると接着機能が飽和し経済上好ましくない。
本発明の感熱記録層においては、基材上にロイコ染料及び顕色剤を主成分とする感熱記録層を形成させることができる。
本発明の感熱記録層において用いられるロイコ染料としては、一般にこの種のロイコ系記録材料において知られているロイコ染料が適用され、例えば、トリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、オーラミン系、スピロピラン系、インドリノフタリド系等の染料のロイコ化合物が好ましく用いられる。
このようなロイコ染料の具体例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロルフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロルフルオラン、3−ジメチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンズフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロルフルオラン、3−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−{N−(3′−トリフルオルメチルフェニル)アミノ}−6−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリクロロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−N−メチル−N−アミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)フルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、6′−クロロ−8′−メトキシ−ベンゾインドリノ−ピリロスピラン、6′−ブロモ−3′−メトキシ−ベンゾインドリノ−ピリロスピラン、3−(2′−ヒドロキシ−4′−ジメチルアミノフェニル)−3−(2′−メトキシ−5′−クロルフェニル)フタリド、3−(2′−ヒドロキシ−4′−ジメチルアミノフェニル)−3−(2′−メトキシ−5′−ニトロフェニル)フタリド、3−(2′−ヒドロキシ−4′−ジエチルアミノフェニル)−3−(2′−メトキシ−5′−メチルフェニル)フタリド、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2′,4′−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(2′−メトキシ−4′−ジメチルアミノフェニル)−3−(2′−ヒドロキシ−4′−クロル−5′−メチルフェニル)フタリド、3−モルホリノ−7−(N−プロピル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−トリフルオロメチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(N−ベンジル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−(ジ−p−クロルフェニル)メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ピペリジノフルオラン、2−クロロ−3−(N−メチルトルイジノ)−7−(p−n−ブチルアニリノ)フルオラン、3−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)−5,6−ベンゾ−7−α−ナフチルアミノ−4′−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4′,5′−ベンゾフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2′,4′−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−{1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル}フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−{1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル}−6−ジメチルアミノフタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1−フェニルエチレン−2−イル)フタリド、3−(4′−ジメチルアミノ−2′−メトキシ)−3−(1″−p−ジメチルアミノフェニル−1″−p−クロロフェニル−1″,3″−ブタジエン−4″−イル)ベンゾフタリド、3−(4′−ジメチルアミノ−2′−ベンジルオキシ)−3−(1″−p−ジメチルアミノフェニル−1″−フェニル−1″,3″−ブタジエン−4″−イル)ベンゾフタリド、3−ジメチルアミノ−6−ジメチルアミノ−フルオレン−9−スピロ−3′−(6′−ジメチルアミノ)フタリド、3,3−ビス{2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル}−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−ビス{1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル}−5,6−ジクロロ−4,7−ジブロモフタリド、ビス(p−ジメチルアミノスチリル)−1−ナフタレンスルホニルメタン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリドフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオランスピロ(9,3′)−6′−ジメチルアミノフタリド、3−ジエチルアミノ−6−クロル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−(2−エトキシプロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4′,5′−ベンゾフルオラン、3−N−メチル−N−イソブチル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−イソアミル−6−メチル−7−アニリノフルオラン等を挙げることができる。
また、本発明の感熱記録層においては、顕色剤として電子受容性の種々の化合物、例えば、フェノール性化合物、チオフェノール性化合物、チオ尿素誘導体、有機酸及びその金属塩等を適用することができる。
その具体例としては、4,4′−イソプロピリデンビスフェノール、3,4′−イソプロピリデンビスフェノール、4,4′−イソプロピリデンビス(o−メチルフェノール)、4,4′−セカンダリーブチリデンビスフェノール、4,4′−イソプロピリデンビス(o−ターシャリーブチルフェノール)、4,4′−シクロヘキシリデンジフェノール、4,4′−イソプロピリデンビス(2−クロロフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(6−ターシャリーブチル−2−メチル)フェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ターシャリーブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4′−チオビス(6−ターシャリーブチル−2−メチル)フェノール、4,4′−ジフェノールスルホン、4,2′−ジフェノールスルホン、4−イソプロポキシ−4′−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ベンジロキシ−4′−ヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジフェノールスルホキシド、P−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル、P−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、プロトカテキュ酸ベンジル、没食子酸ステアリル、没食子酸ラウリル、没食子酸オクチル、1,7−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3,5−ジオキサヘプタン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサヘプタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−プロパン、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−2−ヒドロキシプロパン、N,N′−ジフェニルチオ尿素、N,N′−ジ(m−クロロフェニル)チオ尿素、サリチルアニリド、5−クロロ−サリチルアニリド、サリチル−o−クロロアニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、チオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、2−アセチルオキシ−3−ナフトエ酸の亜鉛塩、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ヒドロキシナフトエ酸の亜鉛、アルミニウム、カルシウム等の金属塩、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチルエステル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジルエステル、4−{β−(p−メトキシフェノキシ)エトキシ}サリチル酸、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、2,4′−ジフェノールスルホン、3,3′−ジアリル−4,4′−ジフェノールスルホン、α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−α−メチルトルエンチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールS、4,4′−チオビス(2−メチルフェノール)、3,4−ヒドロキシ−4′−メチル−ジフェニルスルホン、4,4′−チオビス(2−クロロフェノール)等が挙げられる。
本発明の感熱記録層を形成させるためには、ロイコ染料及び顕色剤を基材上に結合支持させればよい。この場合の結合剤としては、慣用の種々の結合剤を適宜用いることができる。
このような結合剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、澱粉及びその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子の他、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリブチルメタクリレート、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体等のエマルジョンやスチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体等のラテックス類等を挙げることができる。
また、本発明により感熱記録層を形成させる場合は、填料として種々の熱溶融性物質を使用することができる。
その具体例としては、ステアリン酸、ベヘン酸等の脂肪酸類、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アミド類、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類、p−ベ
ンジルビフェニル、ターフェニル、トリフェニルメタン、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、β−ベンジルオキシナフタレン、β−ナフトエ酸フェニルエステル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチルエステル、ジフェニルカーボネート、テレフタル酸ジベンジルエステル、テレフタル酸ジメチルエステル、1,4−ジメトキシナフタレン、1,4−ジエトキシナフタレン、1,4−ジベンジルオキシナフタレン、1,2−ビス(フェノキシ)エタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン、1,4−ビス(フェノキシ)ブタン、1,4−ビス(フェノキシ)−2−ブテン、1,2−ビス(4−メトキシフェニルチオ)エタン、ジベンゾイルメタン、1,4−ビス(フェニルチオ)ブタン、1,4−ビス(フェニルチオ)−2−ブテン、1,2−ビス(4−メトキシフェニルチオ)エタン、1,3−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、p−(2−ビニルオキシエトキシ)ビフェニル、p−アリールオキシビフェニル、p−プロパギルオキシビフェニル、ジベンゾイルオキシメタン、1,3−ジベンゾイルオキシプロパン、ジベンジルジスルフィド、1,1−ジフェニルエタノール、1,1−ジフェニルプロパノール、p−(ベンジルオキシ)ベンジルアルコール、1,3−ジフェノキシ−2−プロパノール、N−オクタデシルカルバモイル−p−メトキシカルボニルベンゼン、N−オクタデシルカルバモイルベンゼン、蓚酸ジベンジルエステル、1,5−ビス(p−メトキシフェニルオキシ)−3−オキサペンタン等が挙げられる。
また、本発明においては、必要に応じ、この種の感熱記録層に慣用される補助添加成分、例えば、界面活性剤、滑剤等を併用することができる。
この場合、滑剤としては、高級脂肪酸及びその金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、動物性、植物性、鉱物性又は石油系の各種ワックス類等が挙げられる。
なお、本発明においては必要に応じ、基材と感熱記録層との間にアンダーコート層を設けたり、また、感熱記録層の上に画像信頼性を向上させる目的等で例えば、水溶性樹脂を主成分とする保護層を設けたりすることもできる。この場合、これらの層を構成する成分としては、上記の填料、結合剤、熱溶融性物質、界面活性剤等を用いることができる。
さらに、保護層上及び保護層を設けない場合は直接感熱記録層の上に、印刷画像を形成することができ、印刷インクとしては、例えば、UV硬化性インクが用いられる。
本発明の感熱記録層は、一般に知られている方法により形成することができる。
例えば、先ず、ロイコ染料、顕色剤を別々に結合剤水溶液と共に、ボールミル、アトライター、サンドミル等の分散機により、分散粒径が1〜3μmになるまで粉砕分散した後、必要に応じて填料、熱溶融性物質(増感剤)分散液等と共に、一定処方で混合して感熱記録層塗布液を調製し、基材に塗布することによって感熱記録層を形成することができる。
基材に熱転写記録用の受容紙を用い、片面に本発明の感熱性粘着剤を塗布することにより、各被着体、特に塩化ビニルラップやポリオレフィンラップに対する粘着力が強く、かつ耐ブロッキング性も良好な熱転写記録用の感熱性粘着シートを得ることができる。
本発明の熱転写記録用の受容紙片面に、熱転写記録媒体用フィラーと水溶性樹脂を主成分とするインク受容層を設けることができ、他の面に感熱性粘着剤を塗布することにより熱転写記録用の感熱性粘着シートを得ることができる。
また、インク受容層に耐水化剤を含有させることができる。これら粘着シートをラベルとして用いることは最適である。
本発明の熱転写記録用受容紙のインク受容層において、インク受容層に含有させるフィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、水酸化アルミニウム、クレー、焼成クレー、ケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ホワイトカーボン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、表面処理された炭酸カルシウムやシリカ、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン等の微粉末等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
また、インク受容層に用いる水溶性樹脂としては、慣用の種々の水溶性樹脂を適宜用いることができ、例えばポリビニルアルコール、デンプン及びその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子を挙げることができる。
インク受容層における上記フィラーと水溶性樹脂の割合は、ブロッキング性に関わり、フィラー対水溶性樹脂の含有重量比(固形分)を1:0.1〜0.2とすることが好ましい。
また、インク受容層に用いる耐水化剤の具体例としては、例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、クロムミョウバン、メラミン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂等が挙げられる。
この耐水化剤と水溶性樹脂の割合もブロッキング性に関わり、その含有重量比(固形分)は、水溶性樹脂1に対して、耐水化剤0.3〜0.5が好ましい。
このようにインク受容層はフィラー及び水溶性樹脂を、またさらに、水溶性樹脂と耐水化剤を特定の比率で含有させて形成させるが、さらに、インク受容層の表面をキャレンダーなどにより、平滑度500秒以上に処理することにより、上記フィラーによる効果に加えて印字品質を一層向上させることができる。
本発明の感熱性粘着剤を種々の基材上に塗布することによって、感熱性粘着シートが得られるが、上記のように、基材と感熱性粘着剤層との間に中間層を設けることができる。又、感熱性粘着剤層と反対側に感熱発色層が設けられた粘着シートの場合には、基材と感熱発色層の間にアンダーコート層を設けることができる。
これらの中間層及び/又はアンダーコート層を設ける場合には、断熱性であることが好ましく、このような層を設けることによって感熱発色層の熱感度が向上し、かつ感熱性化時における感熱発色層の地肌発色が防止でき、感熱性時の熱エネルギーを効率よく活用することができる。
上記の中間層及び/又はアンダーコート層が断熱性である場合、以下、断熱層と言う。
断熱層としては、熱可塑性樹脂を殼としてなる中空度30〜95%程度の微小中空粒子又はポーラスな顔料を用いた非発泡性断熱層及び発泡性フィラーを用いた発泡性断熱層が挙げられる。
断熱層に用いられる熱可塑性樹脂を殼としてなる中空度が30〜95%程度の微小中空粒子は、内部に空気その他の気体を含有するもので、すでに発泡状態となっている微小中空粒子である。
この微小中空粒子の体積平均粒子径は、0.2〜20μmのものが好ましく、より好ましくは0.5〜10μmの微小中空粒子が好ましい。この体積平均粒子径(粒子外径)が0.2μmより小さいものは、技術的に中空にするのが難しい事や断熱層の役割が不十分となる。
また、逆に20μmより大きいものは、塗布乾燥後の表面の平滑性が低下するため、感熱性粘着剤層の塗布が不均一になり、さらに均一にするために必要量以上の感熱性粘着剤を塗布しなければならない。
従って、このような微小中空粒子の分布は粒子径が上記の範囲にあると同時に、バラツキの少ない分布スペクトラムの均一なものが望ましい。
さらに、本発明において、プラスチック球状中空粒子は、中空度が30%以上のものが使用できるが、50%以上のものがより好ましい。中空度が30%未満のものは、断熱性が不十分なため、熱エネルギーが基材を通じて外へ放出され、粘着剤活性化の熱の効率が悪くなるので望ましくない。
ここで言う中空度とは、中空微粒子の外径基準の体積と内径基準の体積の比である。
本発明で用いる微小中空粒子は上述の様に、熱可塑性樹脂を殼とするものであるが、この熱可塑性樹脂としては、特に塩化ビニリデンとアクリロニトリルを主体とする共重合体樹脂が好ましい。
また、本発明の断熱層に用いられるポーラスな顔料としては、尿素ホルムアルデヒド樹脂等の有機顔料やシラス土等の無機顔料があるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
本発明の非発泡性断熱層を形成させるには、上記の微小中空粒子やポーラスな顔料をバインダーと共に水に分散し、これを基材上に塗布し、乾燥することによって得られる。この場合、微小中空粒子の塗布量は支持体1m当たり少なくとも1g以上であり、さらに好ましくは2〜15g程度が好ましい。
また、バインダー樹脂の塗布量は、断熱層を基材に強く結合させるに足る量でよく、通常は、該微小中空粒子とバインダー樹脂との合計量に対して、2〜50重量%である。
非発泡性断熱層を形成する際に使用されるバインダーとしては、従来公知の水溶性高分子及び/又は水性高分子エマルジョンから適宜選択される。
その具体例としては、水溶性高分子として例えば、ポリビニルアルコール、澱粉及びその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。
また、水性高分子エマルジョンとしては、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体等のラテックスや酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル/アクリル酸共重合体、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル樹脂、ポリウレタン樹脂等のエマルジョン等が挙げられる。
また、本発明において用いる発泡性フィラーは、熱可塑性樹脂を殼とし、内部に低沸点溶媒の発泡剤を含有する中空状のプラスチックフィラーであり、種々のものが適用されるが、その粒子直径に関しては、未発泡の状態の場合、2〜50μmであり、発泡状態では10〜100μm、好ましくは、10〜50μmである。
このプラスチックフィラーの殼となる熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、又はそれらの共重合体が挙げられる。
また、殼内に含まれる発泡剤としては、プロパンやブタンその混合物等が一般的に用いられる。
基材上に発泡性断熱層を形成させるには、上記した発泡性プラスチックフィラーを、結着剤と共に支持体上に塗布乾燥した後、その塗布面に熱板を密着させ、プラスチックフィラーを加熱発泡させればよい。
プラスチックフィラーの塗布量は、支持体1mに対し未発泡フィラーとして、少なくとも1g以上であり、好ましくは2〜5g程度である。
また、結着剤の使用量は、発泡性断熱層を支持体上に対し強く結着させるような量であればよく、通常は、未発泡フィラーと結着剤の合計量に対し、5〜50重量%である。
また、加熱発泡温度は、フィラーの殼を構成する熱可塑性樹脂を軟化させる温度である。発泡倍率は、通常、2〜4倍、好ましくは、2〜3倍程度であり、上記の発泡が達成されるように適宜、選択される。
上記のようにし、基材上に形成された発泡性断熱層の表面は、かなり凹凸が生じているために、発泡性断熱層形成後(加熱発泡後)キャレンダー処理により平面を平滑にすることが好ましく、また、必要に応じて、発泡性断熱層の表面又は下面に1層又は複数のアンダーコート層を設けることもできる。
なお、本発明の断熱層においては、上記微小中空粒子、ポーラスな顔料又は発泡性フィラー及びバインダーと共に、必要に応じて、フィラー、熱溶融性物質(増感剤)、界面活性剤等を併用することができる。
この場合、フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、タルク、表面処理されたカルシウムやシリカ等の無機系微粉末の他、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂等の有機系の微粉末を挙げることができ、また、熱溶融性物質(増感剤)としては、例えば、高級脂肪酸又はそのエステル、アミドもしくは金属塩の他、各種ワックス類、芳香族カルボン酸とアミンとの縮合物、安息香酸フェニルエステル、高級直鎖グリコール、3,4−エポキシ−ヘキサヒドロフタル酸ジアルキル、高級ケトン、p−ベンジルビフェニル他の熱可融性有機化合物等50〜200℃程度の融点を持つものが挙げられる。
また、本発明で使用する基材としては、特に限定されず、上質紙、アート紙、コート紙等、紙以外でもポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロース等のセルロース誘導体フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム或いはこれらを貼り合わせたフィルム等を使用することができる。
上記塗工層を設ける塗工方法として、ブレード塗工法、グラビア塗工法、グラビアオフセット塗工法、バー塗工法、ロール塗工法、ナイフ塗工法、エアナイフ塗工法、コンマ塗工法、Uコンマ塗工法、AKKU塗工法、スムージング塗工法、マイクログラビア塗工法、リバースロール塗工法、4本あるいは5本ロール塗工法、ディップ塗工法、落下カーテン塗工法、スライド塗工法、ダイ塗工法、等公知の塗工方法が利用可能である。
本発明によれば、従来の感熱性粘着剤に見られる欠点を克服し、各種被着体に対する粘着力、及び、その経時での粘着力安定性に優れる感熱性粘着剤と感熱性粘着シートが提供される。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によってなんら限定されるものではない。
なお、以下に示す部及び%は、いずれも重量基準である。
実施例1
[A液]熱溶融性物質分散液
[(II)−1]の化合物 30.0部
表1記載の一般式(I)の化合物Y−1(10%水溶液又は分散液) 30.0部
水 40.00部
上記組成からなる混合物を、体積平均粒子径が1.0μmとなるようにサンドミルを用
いて分散して分散液[A1液]を得た。
[B液]感熱性粘着剤液
メチルメタアクリレート−ブチルアクリレート共重合体エマルジョン
(Tg−62℃,不揮発分50%) 10部
重合ロジンエマルジョン(軟化点145℃,不揮発分50%) 6.5部
熱溶融性物質分散液[A1液] 3.3部
上記組成からなる感熱性粘着剤液[B液]を80g/mの片面コート紙の裏面に乾燥重量16g/mとなるように塗布乾燥し、感熱性粘着シートを得た。
Figure 2007246720
実施例2
表1記載の化合物Y−1の代わりに、Y−2を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱性粘着シートを作製した。
実施例3
表1記載の化合物Y−1の代わりに、Y−3を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱性粘着シートを作製した。
実施例4
表1記載の化合物Y−1の代わりに、Y−4を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱性粘着シートを作製した。
実施例5
表1記載の化合物Y−1の代わりに、Y−5を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱性粘着シートを作製した。
実施例6
実施例2の熱溶融性物質分散液[A液]の調製において、表1記載の化合物Y−2(10%水溶液)の添加量を、15部に変更した以外は、実施例2と同様にして感熱性粘着シートを作製した(この場合、Y−2の添加量に応じて、水の量を調整した)。
実施例7
実施例2の熱溶融性物質分散液[A液]の調製において、表1記載の化合物Y−2(10%水溶液)の添加量を、10部に変更した以外は、実施例2と同様にして感熱性粘着シートを作製した(この場合、Y−2の添加量に応じて、水の量を調整した)。
実施例8
実施例2の熱溶融性物質分散液[A液]の調製において、表1記載の化合物Y−2(10%水溶液)の添加量を、40部に変更した以外は、実施例2と同様にして感熱性粘着シートを作製した(この場合、Y−2の添加量に応じて、水の量を調整した)。
実施例9
実施例2の感熱性粘着剤液[B液]の調製において、重合ロジンエマルジョン(粘着付与剤)を添加しない以外は、実施例2と同様にして感熱性粘着シートを作製した(この場合、重合ロジンエマルションの量に応じて水の量を調整した)。
実施例10
支持体である片面コート紙と感熱性粘着剤層との間に下記中間層液[C液]からなる中間層を乾燥後の付着量5g/mとなるように塗布乾燥し、次いで、実施例2と同様にして感熱性粘着シートを作製した。
[C液]中間層塗工液
微小中空粒子(アクリロニトリル/塩化ビニリデンを主体とする共重合樹脂)
(固形分濃度41%、平均粒子径3.6μm、中空度90%) 14.6部
2−エチルヘキシルアクリレート/メチルメタアクリレート/スチレンの共重合体
(Tg−65℃)(固形分濃度55.4%、昭和高分子製) 21.7部
水 63.7部
実施例11
<感熱記録用の断熱層の作製>
[D液]非発泡性断熱層形成用塗液
微小中空粒子分散体
アクリロニトリル/塩化ビニリデンを主体とする共重合樹脂
(固形分濃度41%、平均粒子径3.6μm、中空度90%) 30部
スチレン/ブタジエン共重合体ラテックス(Tg+4℃) 10部
水 60部
上記組成からなる混合物を攪拌分散して非発泡性断熱層形成用塗液[E液]を調製した。
<感熱発色層液の調整>
[E液]発色剤分散液
3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 20部
ポリビニルアルコ−ル(10%水溶液) 10部
水 70部
[F液]顕色剤分散液
4−イソプロポキシ−4′−ヒドロキシジフェニルスルホン 10部
ポリビニルアルコ−ル(10%水溶液) 25部
炭酸カルシウム 15部
水 50部
上記組成からなる混合物を、それぞれ平均粒径が1.5μm程度となるようにサンドミ
ルを用いて分散して[E液]と[F液]を調製し、次に[E液]:[F液]=1:8とな
るように混合攪拌して感熱発色層塗工液[G液]を得た。
上記[D液]を、基材の表面に乾燥後重量が4g/mとなるように塗布乾燥して非発
泡性断熱層を設けた。
この上に、上記[G液]を乾燥後重量が5g/mとなるように塗布乾燥して感熱発色
層を設けた。
(保護層塗布液の調製)
下記組成の混合物を縦型サンドミルで体積平均粒径が1μm以下になるように粉砕、分
散化して保護層一次分散液を調製した。
[保護層一次分散液]
水酸化アルミニウム 20重量部
10重量%ポリビニルアルコール(PVA)水溶液 20重量部
水 40重量部
次に、前記保護層一次分散液を使って、下記組成の保護層塗布液を調製した。
〔保護塗布液の組成〕
保護層一次分散液 10重量部
10質量%PVA水溶液 20重量部
12.5質量%エピクロヒドリン水溶液 5重量部
30質量%ステアリン酸亜鉛分散液 2重量部
次に、実施例1において適用した片面コ−ト紙の代わりに、上記感熱記録紙を使用した。その他の条件は、実施例2と同様にして、感熱性粘着ラベルを作製した。
比較例1
実施例1において、[A液]において用いた一般式(I)記載の化合物(Y−1)の代わりに、カルボン酸変性タイプのポリビニルアルコール(10%水溶液)を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱性粘着シートを作製した。
比較例2
実施例1において、[A液]において用いた一般式(I)記載の化合物(Y−1)の代わりに、スルホン酸変性タイプのポリビニルアルコール(10%水溶液)を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱性粘着シートを作製した。
比較例3
実施例1において、[A液]において用いた一般式(I)記載の化合物(Y−1)の代わりに、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(第一工業製薬製 ノイゲンET−65)の10%水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱性粘着シートを作製した。
<粘着特性>
(1)直後粘着力測定
本発明の感熱性粘着シートを40mm×150mmの長方形にカットし、大倉電気製感
熱印字装置TH−PMDを用いて、
ヘッド条件 各エネルギー0.5mJ/dot
印字スピード 4ms/line
プラテン圧 6kgf/line
の条件にて感熱性粘着シートを感熱性化させる。
ついで被着体(段ボール)に加圧2kgのゴムローラーで長手方向に貼り付けて、2分後に剥離角度180度、剥離速度300mm/minの条件で剥離させた。そのときの粘着力をフォースゲージで測定し、0.1秒間隔でデータを読み取り平均化した数値を表に示した。なお単位はgf/40mmであり、22℃、65%RHで実施した。
実施例1〜10、比較例1〜3について、その粘着特性の測定結果を表2に示す。
尚、粘着力ランクは、
◎ : 1000gf/40mm以上
○ : 500gf/40mm以上
△ : 100gf/40mm以上500gf/40mm未満
× : 100gf/40mm以下とした。
<ディレード性>
上記<粘着特性>評価と同様にして感熱性粘着剤の粘着性を発現させた後、22℃65%RHの環境下で1分間放置した後、被着体(段ボール)に加圧2kgのゴムローラーで長手方向に貼り付けて、2分後に剥離角度180度、剥離速度300mm/minの条件で剥離させた。そのときの粘着力をフォースゲージで測定し、0.1秒間隔でデータを読み取り平均化した数値を表に示した。
実施例1〜10、比較例1〜3について、その粘着特性の測定結果を表2に示す。
Figure 2007246720
表2にあるように本発明の感熱性粘着剤及び感熱性粘着シートは、初期の粘着特性に優れるだけでなく、粘着性が発現してからの経時保管後の粘着性も高くディレード性に優れるものであることがわかる。

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂及び加熱時に溶融する熱溶融性物質を主成分とした感熱性粘着剤において、感熱性粘着剤調製に用いる熱溶融性物質分散液の分散剤として、下記一般式(I)であらわされる化合物を用いることを特徴とする感熱性粘着剤。
    一般式(I)
    Figure 2007246720
    (n、mは整数をあらわし、分子量500以上)
  2. 一般式(I)であらわされる分散剤の構造にしめる、エチレンオキサイド(EO)含有量が、50重量%以上であることを特徴とする請求項1記載の感熱性粘着剤。
  3. 一般式(I)であらわされる分散剤の熱溶融性物質に対する含有率が、5〜10重量%であることを特徴とする請求項1または2記載の感熱性粘着剤。
  4. 該感熱性粘着剤中に粘着付与剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の感熱性粘着剤。
  5. 該感熱性粘着剤層と基材との間に、微小中空粒子とバインダーを主成分とする中間層を設けることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の感熱性粘着剤。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の感熱性粘着剤からなる層を基材の片面に設けてなることを特徴とする感熱性粘着シート。
  7. 基材に対し感熱性粘着剤層の反対面にロイコ染料と顕色剤を主成分とする感熱記録層を設けることを特徴とする請求項6記載の感熱性粘着シート。
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