JP2007245978A - 懸架装置の支持構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】上部回動機構の軽量・コンパクト化を図ると共に、組立作業性と操縦安定性の向上を図った懸架装置の支持構造を提供する。
【解決手段】ダブルアクスルサスペンションからなる懸架装置の支持構造において、上部支持軸受16が、車輪側ナックル1に内嵌された外方部材17と、外周に内側転走面15aと小径段部15bが形成された上部枢軸15、および小径段部15bに圧入された内輪20からなる内方部材19と、両部材間に収容された複列の転動体18とを備え、上部枢軸15の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部21により上部支持軸受16に予圧を付与した状態で内輪20が固定されると共に、上部枢軸15の加締部21側の端部に六角孔からなる係合部28が形成されているので、固定ボルト14の締結時に上部枢軸15の回り止めを効果的に行うことができ、組立作業性を向上させることができる。
【選択図】図2
【解決手段】ダブルアクスルサスペンションからなる懸架装置の支持構造において、上部支持軸受16が、車輪側ナックル1に内嵌された外方部材17と、外周に内側転走面15aと小径段部15bが形成された上部枢軸15、および小径段部15bに圧入された内輪20からなる内方部材19と、両部材間に収容された複列の転動体18とを備え、上部枢軸15の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部21により上部支持軸受16に予圧を付与した状態で内輪20が固定されると共に、上部枢軸15の加締部21側の端部に六角孔からなる係合部28が形成されているので、固定ボルト14の締結時に上部枢軸15の回り止めを効果的に行うことができ、組立作業性を向上させることができる。
【選択図】図2
Description
本発明は、自動車等、車両の懸架装置の支持構造に関し、特に、ダブルアクスルサスペンション(以下DASと呼ぶ)からなる懸架装置の支持構造に関するものである。
車両の懸架装置としてDASが知られている。このDASは、図5に示すように、懸架装置を構成するナックル51が、懸架装置の上下動を受持つ車体側ナックル51aと、車輪52の旋回を受持つ車輪側ナックル51bの二分割構造になっている。ここで、二股状に形成された車体側ナックル51aの下部は、ロアリンク53の外端部に回動可能に連結されている。ロアリンク53は、車幅方向内方に延びて、その内端部はサスペンションメンバー等の車体側部材(図示せず)に上下方向へ揺動可能に連結されている。また、車体側ナックル51aの上部と車体との上下方向の間にはショックアブソーバ54が配設され、このショックアブソーバ54の外周には、コイルスプリング(図示せず)が略同軸に配置されている。車輪52は、車輪側ナックル51bに対して車輪用軸受55を介して回転自在に支持されている。
ここで、車輪側ナックル51bの上部は、図6に示すように、上部回動機構56を介して車体側ナックル51aに回動可能に支持されている。この上部回動機構56は、車体側ナックル51aに固定ボルト57を介して締結された上部枢軸58と、この上部枢軸58と車輪側ナックル51bとの間に装着された上部支持軸受59とからなる。なお、この上部支持軸受59は、例えば、複列円錐ころ軸受からなり、車輪側ナックル51bに内嵌された外輪60と、この外輪60に複列の円錐ころ61、61を介して回転自在に内挿された一対の内輪62、62を備えている。そして、上部枢軸58は一端部に鍔部58aを有し、この鍔部58aと、車輪側ナックル51bの上部と車体側ナックル51aとの間に介装された蓋部材63とで一対の内輪62、62を挟持した状態で軸方向に固定している。
一方、車輪側ナックル51bの下部は、下部回動機構64を介して車体側ナックル51aに回動可能に支持されている。この下部回動機構64は、車体側ナックル51aに固定ボルト57を介して締結された下部枢軸65と、この下部枢軸65と車輪側ナックル51bとの間に装着された下部支持軸受66とからなる。なお、この下部支持軸受66は針状ころ軸受で構成されている。この下部回動機構64および前述した上部回動機構56で、所謂キングピン軸67が構成されている。このキングピン軸67は、車輪52の中心に対して所定の角度傾斜するように設定され、このキングピン軸67周りに、車輪側ナックル51bが回動可能となっている。
車輪用軸受55は、車輪52を支持するハブ輪68と車輪側ナックル51bとの間に嵌合されている。そして、等速自在継手69によってエンジンからの回転トルクがドライブシャフト70を介してハブ輪68に伝達されると共に、車輪側ナックル51bに対して車輪52が車輪用軸受55を介して回転自在に支承されている。
ここで、図示しない操舵機構を介して操舵力が車輪側ナックル51bに伝達されると、この車輪側ナックル51bは上部および下部回動機構56、64によってキングピン軸67周りに回動し、この車輪側ナックル51bに支持された車輪52が転舵される。また、車体重量は、ショックアブソーバ54、車体側ナックル51a、上部回動機構56、車輪側ナックル51bを介して車輪に支持される。そして、車両が走行路面上の凹凸を通過する等して発生する車輪52の上下動に対しては、ショックアブソーバ54の伸縮によって減衰されると共に、このショックアブソーバ54と同軸に配設されたコイルスプリングの撓みによって吸収される。
EP1319533A1公報
こうした従来のDASにおいて、例えば、車輪側ナックル51bの上部は上部回動機構56を介して車体側ナックル51aに対して回動可能に支持されているが、この上部回動機構56におけるガタの発生を防止して操縦安定性を図ると共に、上部支持軸受59の剛性を高めて耐久性を向上させるため、通常、上部支持軸受59には所定の予圧が付与されている。この場合、上部枢軸58の鍔部58aと、車輪側ナックル51bの上部に介装された蓋部材63とで一対の内輪62、62を挟持した状態で固定ボルト57を所定の締付トルクで緊締することによって上部支持軸受59に予圧を付与しているが、こうした組立現場において、この種の管理作業は煩雑となって作業性が低下し、作業改善が望まれていた。さらに、近年、車両の燃費向上と操縦安定性のために懸架装置および車輪用軸受装置、所謂バネ下重量を軽減するために軽量・コンパクト化が望まれている。
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたもので、上部回動機構の軽量・コンパクト化を図ると共に、組立作業性と操縦安定性の向上を図った懸架装置の支持構造を提供することを目的とする。
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、車輪の旋回を受持つ車輪側ナックルと懸架装置の上下動を受持つ車体側ナックルの二分割構造からなり、前記車輪側ナックルが、車輪用軸受装置を介して車輪を回転自在に支持すると共に、略車幅方向に延在する前記車体側ナックルに上部および下部回動機構を介して回動可能に連結された懸架装置の支持構造において、前記上部回動機構が、前記車体側ナックルに固定ボルトを介して分離可能に結合された上部枢軸と、この上部枢軸と前記車輪側ナックルとの間に装着された上部支持軸受とを備え、この上部支持軸受が、前記車輪側ナックルの筒状部に内嵌され、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、外周に軸方向に延びる小径段部が形成された上部枢軸、およびこの上部枢軸の小径段部に所定のシメシロを介して圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、前記両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体とを備え、前記上部枢軸の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部によって前記内輪が前記上部枢軸に対して軸方向に固定されたセルフリテイン構造とされると共に、当該上部枢軸の端部に工具の係合部が形成されている。
このように、ダブルアクスルサスペンションからなる懸架装置の支持構造において、上部回動機構が、車体側ナックルに固定ボルトを介して分離可能に結合された上部枢軸と、この上部枢軸と車輪側ナックルとの間に装着された上部支持軸受とを備え、この上部支持軸受が、車輪側ナックルの筒状部に内嵌され、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、外周に軸方向に延びる小径段部が形成された上部枢軸、およびこの上部枢軸の小径段部に所定のシメシロを介して圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体とを備え、前記上部枢軸の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部によって前記内輪が前記上部枢軸に対して軸方向に固定されたセルフリテイン構造とされると共に、当該上部枢軸の端部に工具の係合部が形成されているので、軽量・コンパクト化を図ることができると共に、固定ボルトの締結時に上部枢軸の回り止めを効果的に行うことができ、組立作業性を向上させることができる。
また、請求項2に記載の発明のように、前記上部支持軸受に所定の予圧を付与した状態で前記加締部が形成されていれば、従来のように固定ボルトの締付トルクを規制して軸受予圧の管理をするといった煩雑な作業をなくして車両への組立時における予圧管理が不要となり、組立作業性の向上を図ることができると共に、固定ボルトの脱着に拘わらず初期に設定した予圧を維持することができる。また、結合部の緩みを防止して初期の軸受予圧を維持して長期間に亘って耐久性を確保することができ、操縦安定性の向上を図ることができる。
また、請求項3に記載の発明のように、前記上部枢軸の外周に前記複列の外側転走面の対向する一方の内側転走面が直接形成されていれば、上部回動機構の剛性を高めると共に、軽量・コンパクト化を図ることができる。
また、請求項4に記載の発明のように、前記上部枢軸の加締部側の端部に前記係合部が形成されていても良いし、また、請求項5に記載の発明のように、前記上部枢軸の加締部が前記車体側ナックルの下部に対向配置されると共に、前記上部枢軸の反加締部側の端部に前記係合部が形成されていても良い。
本発明に係る懸架装置の支持構造は、車輪の旋回を受持つ車輪側ナックルと懸架装置の上下動を受持つ車体側ナックルの二分割構造からなり、前記車輪側ナックルが、車輪用軸受装置を介して車輪を回転自在に支持すると共に、略車幅方向に延在する前記車体側ナックルに上部および下部回動機構を介して回動可能に連結された懸架装置の支持構造において、前記上部回動機構が、前記車体側ナックルに固定ボルトを介して分離可能に結合された上部枢軸と、この上部枢軸と前記車輪側ナックルとの間に装着された上部支持軸受とを備え、この上部支持軸受が、前記車輪側ナックルの筒状部に内嵌され、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、外周に軸方向に延びる小径段部が形成された上部枢軸、およびこの上部枢軸の小径段部に所定のシメシロを介して圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、前記両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体とを備え、前記上部枢軸の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部によって前記内輪が前記上部枢軸に対して軸方向に固定されたセルフリテイン構造とされると共に、当該上部枢軸の端部に工具の係合部が形成されている。こうした構成を採用することにより、軽量・コンパクト化を図ることができると共に、固定ボルトの締結時に上部枢軸の回り止めを効果的に行うことができ組立作業性が向上する。
車輪の旋回を受持つ車輪側ナックルと懸架装置の上下動を受持つ車体側ナックルの二分割構造からなり、前記車輪側ナックルが、車輪用軸受装置を介して車輪を回転自在に支持すると共に、略車幅方向に延在する前記車体側ナックルに上部および下部回動機構を介して回動可能に連結された懸架装置の支持構造において、前記上部回動機構が、前記車体側ナックルに固定ボルトを介して分離可能に結合された上部枢軸と、この上部枢軸と前記車輪側ナックルとの間に装着された上部支持軸受とを備え、この上部支持軸受が、前記車輪側ナックルの筒状部に内嵌され、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、外周に前記複列の外側転走面に対向する一方の内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる小径段部が形成された上部枢軸、およびこの上部枢軸の小径段部に所定のシメシロを介して圧入され、外周に前記複列の外側転走面に対向する他方の内側転走面が形成された内輪からなる内方部材と、前記両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体とを備え、前記上部枢軸の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部によって当該上部支持軸受に所定の予圧を付与した状態で前記内輪が前記上部枢軸に対して軸方向に固定されたセルフリテイン構造とされると共に、当該上部枢軸の前記加締部側の端部に六角孔からなる係合部が形成されている。
以下、本発明の実施の形態を図面に基いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る懸架装置の支持構造の第1の実施形態を示す縦断面図、図2は、図1の上部回動機構を示す要部拡大図である。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウター側(図面左側)、中央寄り側をインナー側(図面右側)という。
図1は、本発明に係る懸架装置の支持構造の第1の実施形態を示す縦断面図、図2は、図1の上部回動機構を示す要部拡大図である。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウター側(図面左側)、中央寄り側をインナー側(図面右側)という。
この懸架装置は、車輪(図示せず)の旋回を受持つ車輪側ナックル1と、懸架装置の上下動を受持つ車体側ナックル2との二分割構造からなるDASを構成している。車輪側ナックル1は車輪用軸受装置3を介して車輪(図示せず)を回転自在に支持すると共に、略車幅方向に延在してこの車輪側ナックル1の径方向外方側に位置する車体側ナックル2に上部および下部回動機構4、5を介して回動可能に連結されている。
車輪用軸受装置3は、ハブ輪6と、このハブ輪6に圧入固定された車輪用軸受7からなる。ハブ輪6は等速自在継手8に分離可能に、かつトルク伝達可能に連結され、エンジン(図示せず)からの回転トルクをドライブシャフト9を介して車輪(図示せず)に伝達している。
ハブ輪6は、アウター側の端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジ10を一体に有し、外周にこの車輪取付フランジ10から軸方向に延びる円筒状の小径段部6aが形成されると共に、内周にトルク伝達用のセレーション(またはスプライン)6bが形成されている。このハブ輪6はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中炭素鋼からなり、車輪取付フランジ10の基部から小径段部6aに亙って高周波焼入れによって表面硬さを50〜64HRCの範囲に硬化処理されている。
車輪用軸受7は車輪側ナックル1の嵌合孔1aに内嵌されると共に、ハブ輪6の小径段部6aに所定のシメシロを介して圧入され、等速自在継手8とハブ輪6とで挟持された状態で固定されている。また、車輪用軸受7は内周に複列の外側転走面11a、11aが形成された外方部材11と、外周にこれら複列の外側転走面11a、11aに対向する内側転走面12aが形成された一対の内輪12、12と、両転走面11a、12a間に転動自在に収容された複列の転動体(ボール)13、13とを備え、複列のアンギュラ玉軸受を構成している。
車輪側ナックル1の下部は、下部回動機構5を介して車体側ナックル2に回動可能に支持されている。この下部回動機構5は、車体側ナックル2に固定ボルト14を介して締結された下部枢軸26と、この下部枢軸26と車輪側ナックル1との間に装着された下部支持軸受27とからなる。この下部支持軸受27は針状ころ軸受からなる。
一方、上部回動機構4は、車体側ナックル2に固定ボルト14を介して固定された上部枢軸15と、この上部枢軸15と車輪側ナックル1の筒状部1bとの間に装着された上部支持軸受16を備えている。この上部回動機構4と前述した下部回動機構5とでキングピン軸K/Sが構成されている。このキングピン軸K/Sは、図示しない車輪の中心に対して所定の角度傾斜するように設定され、車体側ナックル2に対してこのキングピン軸K/Sの周りに車輪側ナックル1が回動可能となっている。
上部支持軸受16は、図2に拡大して示すように、車輪側ナックル1の筒状部1bに内嵌された外方部材17と、この外方部材17に複列の転動体(円錐ころ)18、18を介して回転自在に内挿された内方部材19とを備えた複列円錐ころ軸受からなる。外方部材17は、内周に複列のテーパ状の外側転走面17a、17aが形成されている。
一方、内方部材19は、外周に複列の外側転走面17a、17aの一方に対向する内側転走面15aと、この内側転走面15aから軸方向に延びる小径段部15bが形成された上部枢軸15、およびこの上部枢軸15の小径段部15bに所定のシメシロを介して圧入され、外周に複列の外側転走面17a、17aの他方に対向するテーパ状の内側転走面20aが形成された内輪20からなる。
上部枢軸15における内側転走面15aの大径側に転動体18を案内する大鍔15cと、小径側に転動体18の脱落を防止する小鍔15dが形成されている。また、上部枢軸15と同様、内輪20における内側転走面20aの大径側に転動体18を案内する大鍔20bと、小径側に転動体18の脱落を防止する小鍔20cが形成されている。そして、上部枢軸15の小径段部15bの端部を径方向外方に塑性変形、所謂揺動加締によって形成した加締部21によって、上部支持軸受16に所定の予圧が付与された状態で内輪20が軸方向に固定されている。
上部枢軸15はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中炭素鋼からなり、内側転走面15aをはじめ小径段部15bに亙って高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。なお、加締部21は、鍛造後の素材表面硬さ25HRC以下の未焼入れ部としている。また、外方部材17および内輪20は、SUJ2等の高炭素クロム鋼からなり、ズブ焼入れによって芯部まで58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。
外方部材17と内方部材19との間に形成される環状空間の開口部にはシール22、22が装着され、軸受内部に封入された潤滑グリースの漏洩と、外部から軸受内部に雨水やダスト等の異物が侵入するのを防止している。なお、ここでは、上部枢軸15の外周に直接内側転走面15aが形成された構成を例示したが、これに限らず、図示はしないが、上部枢軸の小径段部に一対の内輪が圧入されている構成であっても良い。また、上部支持軸受16として、転動体18に円錐ころを使用した複列円錐ころ軸受を例示したが、これに限らず、転動体18にボールを使用した複列アンギュラ玉軸受であっても良い。
上部枢軸15の端部内周には雌ねじ23が形成され、この雌ねじ23に固定ボルト14が締結され、上部枢軸15がばねワッシャ24を介して車体側ナックル2に分離可能に結合されている。また、25は補強リングで、上部枢軸15の大径側端部に係合して上部枢軸15に負荷される荷重を支持している。
本実施形態では、上部支持軸受16は所定の予圧が付与された状態で塑性結合によりユニット化され、所謂セルフリテイン構造を提供している。これにより、上部回動機構4の軽量・コンパクト化を図ると共に、従来のように固定ボルトの締付トルクを規制して軸受予圧の管理をするといった煩雑な作業をなくし、車両への組立時における予圧管理が不要となり、組立作業性の向上を図ることができる。また、固定ボルト14の脱着に拘わらず初期に設定した予圧を維持することができると共に、結合部の緩みを防止して初期の軸受予圧を維持して長期間に亘って耐久性を確保することができ、操縦安定性の向上を図ることができる。
ここで、上部枢軸15における加締部21側の端部には六角孔からなる係合部28が形成されている。そして、この係合部28に六角レンチ29を係合した状態で固定ボルト14が締結される。これにより、締結時に上部枢軸15の回り止めを行うことができ、一層組立作業性が向上する。
図3は、本発明に係る懸架装置の支持構造の第2の実施形態を示す要部拡大図である。また、図4(a)〜(d)は、図3の係合部の他の実施形態を示す断面図である。なお、前述した実施形態と同一部品同一部位あるいは同一機能を有する部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
上部回動機構30は、車体側ナックル2に固定ボルト14を介して固定された上部枢軸31と、この上部枢軸31と車輪側ナックル1の筒状部1bとの間に装着された上部支持軸受32とを備えている。上部支持軸受32は、車輪側ナックル1の筒状部1bに内嵌された外方部材17と、この外方部材17に複列の転動体18、18を介して回転自在に内挿された内方部材33とを備えた複列円錐ころ軸受からなる。
内方部材33は、外周に複列の外側転走面17a、17aの一方に対向する内側転走面31aと、この内側転走面31aから軸方向に延びる小径段部31bが形成された上部枢軸31、およびこの上部枢軸31の小径段部31bに所定のシメシロを介して圧入され、外周に複列の外側転走面17a、17aの他方に対向するテーパ状の内側転走面20aが形成された内輪20からなる。
上部枢軸31における内側転走面31aの大径側に転動体18を案内する大鍔31cと、小径側に転動体18の脱落を防止する小鍔31dが形成されている。そして、上部枢軸31の小径段部31bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部21によって、上部支持軸受32に所定の予圧が付与された状態で内輪20が軸方向に固定されている。
上部枢軸31の端部内周には雌ねじ23が形成され、この雌ねじ23に固定ボルト14が締結され、上部枢軸31がばねワッシャ24を介して車体側ナックル2に分離可能に結合されている。また、車体側ナックル2に当接した状態で上部支持軸受32の端部を覆うように鋼板製のカバー34が装着され、外部から雨水やダスト等の異物が結合部や軸受内部に侵入するのを防止している。
本実施形態では、前述した実施形態と同様、上部支持軸受32は所定の予圧が付与された状態で塑性結合によりユニット化されセルフリテイン構造を提供している。これにより、上部回動機構30の軽量・コンパクト化を図ると共に、車両への組立時における予圧管理が不要となり、組立作業性の向上を図ることができる。
ここで、上部枢軸31における反加締部21側の端部には六角面を有する突出した係合部35が形成されている。そして、この係合部35にスパナ(図示せず)係合した状態で固定ボルト14が締結される。これにより、締結時に上部枢軸31の回り止めを行うことができ、一層組立作業性が向上する。
なお、本発明に係る係合部は六角面に限らず、図4に示す種々な構成の係合部を例示することができる。図4(a)に示す係合部36は、対向する平面36a、36aを有する円孔からなる。(b)の係合部37は、断面が円形の凸部の外周に周方向等配に係合用の切欠き37aが形成されている。(c)の係合部38は、断面が円形の凸部の外周に周方向等配に係合用の突起38aが形成されている。(d)の係合部39は、断面が円形の凸部の外周に周方向等配に係合用の円孔39aが形成されている。なお、(a)〜(c)に示す係合部36、37、38は無論凹部であっても凸部であっても良い。これにより、レンチ等の標準的な工具を適宜使用して回り止め工具とすることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明に係る懸架装置の支持構造は、懸架装置を構成するナックルが、懸架装置の上下動を受持つ車体側ナックルと、車輪の旋回を受持つ車輪側ナックルの二分割構造からなるDASに適用できる。
1・・・・・・・・・・・・車輪側ナックル
1a・・・・・・・・・・・嵌合孔
1b・・・・・・・・・・・筒状部
2・・・・・・・・・・・・車体側ナックル
3・・・・・・・・・・・・車輪用軸受装置
4、30・・・・・・・・・上部回動機構
5・・・・・・・・・・・・下部回動機構
6・・・・・・・・・・・・ハブ輪
6a、15b、31b・・・小径段部
6b・・・・・・・・・・・セレーション
7・・・・・・・・・・・・車輪用軸受
8・・・・・・・・・・・・等速自在継手
9・・・・・・・・・・・・ドライブシャフト
10・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
11、17・・・・・・・・外方部材
11a、17a・・・・・・外側転走面
12、20・・・・・・・・内輪
12a、15a、20a・・内側転走面
13、18・・・・・・・・転動体
14・・・・・・・・・・・固定ボルト
15、31・・・・・・・・上部枢軸
15c、20b・・・・・・大鍔
15d、20c・・・・・・小鍔
16、32・・・・・・・・上部支持軸受
19、33・・・・・・・・内方部材
21・・・・・・・・・・・加締部
22・・・・・・・・・・・シール
23・・・・・・・・・・・雌ねじ
24・・・・・・・・・・・ばねワッシャ
25・・・・・・・・・・・補強リング
26・・・・・・・・・・・下部枢軸
27・・・・・・・・・・・下部支持軸受
28、35・・・・・・・・係合部
29・・・・・・・・・・・六角レンチ
34・・・・・・・・・・・カバー
36、37、38、39・・係合部
36a・・・・・・・・・・平面
37a・・・・・・・・・・切欠き部
38a・・・・・・・・・・突起
39a・・・・・・・・・・円孔
51・・・・・・・・・・・ナックル
51a・・・・・・・・・・車体側ナックル
51b・・・・・・・・・・車輪側ナックル
52・・・・・・・・・・・車輪
53・・・・・・・・・・・ロアリンク
54・・・・・・・・・・・ショックアブソーバ
55・・・・・・・・・・・車輪用軸受
56・・・・・・・・・・・上部回動機構
57・・・・・・・・・・・固定ボルト
58・・・・・・・・・・・上部枢軸
58a・・・・・・・・・・鍔部
59・・・・・・・・・・・上部支持軸受
60・・・・・・・・・・・外輪
61・・・・・・・・・・・円錐ころ
62・・・・・・・・・・・内輪
63・・・・・・・・・・・蓋部材
64・・・・・・・・・・・下部回動機構
65・・・・・・・・・・・下部枢軸
66・・・・・・・・・・・下部支持軸受
67・・・・・・・・・・・キングピン軸
68・・・・・・・・・・・ハブ輪
69・・・・・・・・・・・等速自在継手
70・・・・・・・・・・・ドライブシャフト
K/S・・・・・・・・・・キングピン軸
1a・・・・・・・・・・・嵌合孔
1b・・・・・・・・・・・筒状部
2・・・・・・・・・・・・車体側ナックル
3・・・・・・・・・・・・車輪用軸受装置
4、30・・・・・・・・・上部回動機構
5・・・・・・・・・・・・下部回動機構
6・・・・・・・・・・・・ハブ輪
6a、15b、31b・・・小径段部
6b・・・・・・・・・・・セレーション
7・・・・・・・・・・・・車輪用軸受
8・・・・・・・・・・・・等速自在継手
9・・・・・・・・・・・・ドライブシャフト
10・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
11、17・・・・・・・・外方部材
11a、17a・・・・・・外側転走面
12、20・・・・・・・・内輪
12a、15a、20a・・内側転走面
13、18・・・・・・・・転動体
14・・・・・・・・・・・固定ボルト
15、31・・・・・・・・上部枢軸
15c、20b・・・・・・大鍔
15d、20c・・・・・・小鍔
16、32・・・・・・・・上部支持軸受
19、33・・・・・・・・内方部材
21・・・・・・・・・・・加締部
22・・・・・・・・・・・シール
23・・・・・・・・・・・雌ねじ
24・・・・・・・・・・・ばねワッシャ
25・・・・・・・・・・・補強リング
26・・・・・・・・・・・下部枢軸
27・・・・・・・・・・・下部支持軸受
28、35・・・・・・・・係合部
29・・・・・・・・・・・六角レンチ
34・・・・・・・・・・・カバー
36、37、38、39・・係合部
36a・・・・・・・・・・平面
37a・・・・・・・・・・切欠き部
38a・・・・・・・・・・突起
39a・・・・・・・・・・円孔
51・・・・・・・・・・・ナックル
51a・・・・・・・・・・車体側ナックル
51b・・・・・・・・・・車輪側ナックル
52・・・・・・・・・・・車輪
53・・・・・・・・・・・ロアリンク
54・・・・・・・・・・・ショックアブソーバ
55・・・・・・・・・・・車輪用軸受
56・・・・・・・・・・・上部回動機構
57・・・・・・・・・・・固定ボルト
58・・・・・・・・・・・上部枢軸
58a・・・・・・・・・・鍔部
59・・・・・・・・・・・上部支持軸受
60・・・・・・・・・・・外輪
61・・・・・・・・・・・円錐ころ
62・・・・・・・・・・・内輪
63・・・・・・・・・・・蓋部材
64・・・・・・・・・・・下部回動機構
65・・・・・・・・・・・下部枢軸
66・・・・・・・・・・・下部支持軸受
67・・・・・・・・・・・キングピン軸
68・・・・・・・・・・・ハブ輪
69・・・・・・・・・・・等速自在継手
70・・・・・・・・・・・ドライブシャフト
K/S・・・・・・・・・・キングピン軸
Claims (5)
- 車輪の旋回を受持つ車輪側ナックルと懸架装置の上下動を受持つ車体側ナックルの二分割構造からなり、前記車輪側ナックルが、車輪用軸受装置を介して車輪を回転自在に支持すると共に、略車幅方向に延在する前記車体側ナックルに上部および下部回動機構を介して回動可能に連結された懸架装置の支持構造において、
前記上部回動機構が、前記車体側ナックルに固定ボルトを介して分離可能に結合された上部枢軸と、
この上部枢軸と前記車輪側ナックルとの間に装着された上部支持軸受とを備え、
この上部支持軸受が、前記車輪側ナックルの筒状部に内嵌され、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、
外周に軸方向に延びる小径段部が形成された上部枢軸、およびこの上部枢軸の小径段部に所定のシメシロを介して圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
前記両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体とを備え、
前記上部枢軸の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部によって前記内輪が前記上部枢軸に対して軸方向に固定されたセルフリテイン構造とされると共に、当該上部枢軸の端部に工具の係合部が形成されていることを特徴とする懸架装置の支持構造。 - 前記上部支持軸受に所定の予圧を付与した状態で前記加締部が形成されている請求項1に記載の懸架装置の支持構造。
- 前記上部枢軸の外周に前記複列の外側転走面の対向する一方の内側転走面が直接形成されている請求項1または2に記載の懸架装置の支持構造。
- 前記上部枢軸の加締部側の端部に前記係合部が形成されている請求項1乃至3いずれかに記載の懸架装置の支持構造。
- 前記上部枢軸の加締部が前記車体側ナックルの下部に対向配置されると共に、前記上部枢軸の反加締部側の端部に前記係合部が形成されている請求項1乃至3いずれかに記載の懸架装置の支持構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006073714A JP2007245978A (ja) | 2006-03-17 | 2006-03-17 | 懸架装置の支持構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006073714A JP2007245978A (ja) | 2006-03-17 | 2006-03-17 | 懸架装置の支持構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007245978A true JP2007245978A (ja) | 2007-09-27 |
Family
ID=38590703
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006073714A Pending JP2007245978A (ja) | 2006-03-17 | 2006-03-17 | 懸架装置の支持構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007245978A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106080766A (zh) * | 2016-08-30 | 2016-11-09 | 昆山莱捷有色金属有限公司 | 一种高强度的转向节支架 |
JP2020083198A (ja) * | 2018-11-29 | 2020-06-04 | Ntn株式会社 | 操舵機能付ハブユニットおよびこれを備えた車両 |
-
2006
- 2006-03-17 JP JP2006073714A patent/JP2007245978A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106080766A (zh) * | 2016-08-30 | 2016-11-09 | 昆山莱捷有色金属有限公司 | 一种高强度的转向节支架 |
JP2020083198A (ja) * | 2018-11-29 | 2020-06-04 | Ntn株式会社 | 操舵機能付ハブユニットおよびこれを備えた車両 |
JP7236850B2 (ja) | 2018-11-29 | 2023-03-10 | Ntn株式会社 | 操舵機能付ハブユニットおよびこれを備えた車両 |
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