しかしながら、特許文献1に示す現像装置では、線状の摺接部を用いて検知面を清掃するため、流動性の劣化した現像剤がセンサ近傍にて滞留した場合、滞留した現像剤を良好に分散させることができなくなる。特に1成分現像方式の場合、環境条件や使用期間によって現像剤中のトナーの流動性が変化し、検知面の近傍に滞留(堆積)し易くなると、センサの誤検知を引き起こすという問題が生じ得る。
また、センサの検知面の取り付け位置が攪拌スクリューから離れると、少量のトナーでも強い圧力がかかってしまうので、現像機内のトナー量が少ないにもかかわらずトナーが十分にあると検知してしまう。逆に、攪拌スクリューに近すぎると、トナーの動きが悪く、さらに現像側面に押しつける方向の力が働き難く、センサの検知面の清掃用の針金部が通過した部分に微小な空隙が出来た状態が続き、トナーがあるにも関わらず、トナー無しの検知をしてしまう。
この現象は、トナーの劣化が進みトナー表面に酸化チタンやシリカなどの表面処理剤が深く埋め込まれた場合に顕著に現れる。トナーに表面処理剤が深く埋め込まれてしまうと流動性が悪化し、流体ではなくゲル状になってしまう。特に、この現象は粉砕トナーの場合に顕著に現れる。したがって、現像剤の長寿命化を図るには、検知センサを攪拌スクリューに近づけ過ぎない様にするのが好ましい。
トナーが少ないのに有ると検知した場合は、現像ローラ上現像剤の薄層形成不良による画像不良が発生する。トナーが十分あるのに無いと検知した場合は、トナーの過補給が行われ、トナーの急激な劣化や現像装置がロックしたり破損したりする虞がある。
したがって、センサの取り付け位置は、上記問題が発生しないように横方向や高さ方向について、スペースなども考慮して最適化される。従来、攪拌スクリューの軸心から針金部の最遠部までの距離は、攪拌スクリューの軸心から現像ハウジングの内壁面までの距離よりも短くなるように形成されている。そのため、センサの取り付け位置を最適化した結果、攪拌スクリューから針金部の最遠部までの距離が、攪拌スクリューからセンサの検知面の最遠部までの距離よりも短くなってしまう場合がある。この場合、センサの検知面に清掃することが出来ない未清掃エリアが発生する。
通常、未清掃エリアが多少あっても実用可能であるが、トナーが劣化して流動性が悪化した場合、この未清掃エリアの検知面にブロック状にトナーがこびり付き、検知不良を引き起こしてしまう。このような検知不良は、現像ローラ上における現像剤の薄層形成不良を招き、その結果、画像不良が発生することとなる。
未清掃エリアを無くすためには、攪拌スクリューから清掃用の針金部の最遠部までの距離を長くすれば良いが、現像ハウジングの内壁面に針金部の先端が強く擦られ、トナーの凝集物が発生し、凝集物が薄層形成部に引っかかり白筋が発生してしまったり、凝集物による黒点や転写部での白抜け(いわゆるホタル現象)が発生したりする。トナーの凝集を抑制する為に針金部の径を細くすれば良いが、耐久性の問題が発生し、使用時間が長くなると疲労により針金部が破損したり変形してしまったりする虞がある。現像ハウジングの内壁面の半径を大きくすればこのような問題は発生しないが、装置が大型化してしまう。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、装置を大型化することなく、センサの検知精度の安定化を図り、画像品質の安定化を実現することが出来る現像装置を提供することを目的とするものである。
本発明に係る現像装置は、現像剤を貯留する筐体と、前記筐体内の側面に設けられ現像剤量を検知する検知手段と、前記筐体内の現像剤を攪拌する攪拌部材と、前記攪拌部材の回転に伴い前記検知手段の検知面を清掃する清掃部材とを備えた現像装置であって、前記清掃部材は、前記筐体内の側面に固定され前記検知面に平行な方向に弾性変形可能な弾性部と、前記弾性部に接続され前記攪拌部材の回転に伴い前記検知面に摺接する清掃部とを備え、前記攪拌部材は、前記回転軸と一体となって回転する突起部を備え、前記突起部は、前記攪拌部材の回転に伴い前記清掃部を揺動させる。
また、本発明に係る現像装置は、2成分現像剤を貯留する筐体と、前記筐体内の側面に設けられ前記2成分現像剤のトナーとキャリアとの混合比を検知する検知手段と、前記筐体内の現像剤を攪拌する攪拌部材と、前記攪拌部材の回転に伴い前記検知手段の検知面を清掃する清掃部材とを備えた現像装置であって、前記清掃部材は、前記筐体内の側面に固定され前記検知面に平行な方向に弾性変形可能な弾性部と、前記弾性部に接続され前記攪拌部材の回転に伴い前記検知面に摺接する清掃部とを備え、前記攪拌部材は、前記回転軸と一体となって回転する突起部を備え、前記突起部は、前記攪拌部材の回転に伴い前記清掃部を揺動させる。
これらの構成によれば、清掃部材は、弾性部により筐体内の側面に固定され、検知面に平行な方向に弾性変形可能であり、弾性部に接続された清掃部により攪拌部材の回転に伴い検知面に摺接する。そして、回転軸と一体となって回転する突起部は、攪拌部材の回転に伴い清掃部を揺動させる。
したがって、回転軸と一体となって回転する突起部によって、攪拌部材の回転に伴い清掃部が揺動されるので、センサの検知面を確実に清掃することができ、装置を大型化することなく、センサの検知精度の安定化を図り、画像品質の安定化を実現することができる。
また、上記の現像装置において、前記弾性部は、前記筐体内の側面に設けられた支持部材に挿入される第1の巻きばね部と、前記第1の巻きばね部の一端を前記筐体内の側面に係止する係止部とを含み、前記清掃部は、接線方向に延ばした前記第1の巻きばね部の他端で構成されることが好ましい。
この構成によれば、第1の巻きばね部が筐体内の側面に設けられた支持部材に挿入され、係止部により第1の巻きばね部の一端が筐体内の側面に係止される。清掃部が、接線方向に延ばした第1の巻きばね部の他端で構成される。したがって、第1の巻きばね部の弾性変形により、清掃部を検知面に摺動させることができる。
また、上記の現像装置において、前記清掃部は、接線方向に延ばした前記第1の巻きばね部の他端で構成される第1清掃部と、前記第1清掃部の先端を前記検知手段の検知面に対して略垂直に折り曲げ、さらにその先端を前記第1清掃部と略垂直となる方向に折り曲げ、さらにその先端を前記第1清掃部と所定の角度を有する方向に折り曲げて形成される第2清掃部と、前記第2清掃部の先端を前記検知面の方向へ略垂直に折り曲げて形成される第3清掃部とを含むことが好ましい。
この構成によれば、第1清掃部が接線方向に延ばした第1の巻きばね部の他端で構成される。そして、第2清掃部が、第1清掃部の先端を検知手段の検知面に対して略垂直に折り曲げ、さらにその先端を第1清掃部と略垂直となる方向に折り曲げ、さらにその先端を第1清掃部と所定の角度を有する方向に折り曲げて形成される。また、第3清掃部が第2清掃部の先端を検知手段の検知面の方向へ略垂直に折り曲げて形成される。
したがって、第1清掃部、第2清掃部及び第3清掃部により、検知面の近傍に滞留した現像剤をさらに効果的に分散させることができ、センサの検知精度の安定化を図ることができる。
また、上記の現像装置において、前記第2清掃部は、前記第1の巻きばね部の付勢力により前記筐体の底部に押しつけられており、前記突起部は、前記回転軸と一体となって回転することにより、前記第2清掃部を押し上げ、前記第1清掃部を前記検知面に摺動させることが好ましい。
この構成によれば、第2清掃部は、第1の巻きばね部の付勢力により筐体の底部に押しつけられている。そして、突起部が、回転軸と一体となって回転することにより、第2清掃部を押し上げ、第1清掃部を検知面に摺動させる。したがって、突起部が第2清掃部を押し上げ、第1清掃部により検知面を清掃した後、突起部が第2清掃部を離れ、第1の巻きばね部が弾性復帰することにより、再度検知面が第1清掃部により清掃されるので、検知面の近傍に滞留した現像剤をさらに効果的に分散させることができる。
また、上記の現像装置において、前記回転軸の軸心から前記筐体の内壁面までの距離は、前記回転軸の半径と、前記軸心に最も近い前記検知手段の検知面の縁部から前記軸心に最も遠い前記検知面の縁部までの長さと、前記回転軸と前記検知手段との間の厚みとを加算した距離よりも短いことが好ましい。
この構成によれば、回転軸の軸心から筐体の内壁面までの距離が、回転軸の半径と、軸心に最も近い検知手段の検知面の縁部から軸心に最も遠い検知面の縁部までの長さと、回転軸と検知手段との間の厚みとを加算した距離よりも短くなるように形成されるので、装置の小型化を実現することができる。
また、上記の現像装置において、前記攪拌部材の回転軸を支持する支持手段をさらに備え、前記支持手段は、前記検知面と同一の前記筐体の側面に設けられており、前記側面に対して内側又は外側に突起していることが好ましい。
この構成によれば、攪拌部材の回転軸を支持する支持手段は、検知面と同一の筐体の側面に設けられており、側面に対して内側又は外側に突起している。したがって、攪拌部材の回転軸を支持する支持手段を、筐体の側面に対して内側又は外側に突起させた場合であっても、上記のように清掃部材を構成することにより、センサの検知精度の安定化を図ることができる。特に、支持手段を外側に突起させた場合、支持手段にある程度の厚みが必要であるため検知手段を回転軸に近づけることに限界があるが、上記のように清掃部材を構成することにより、検知手段が回転軸から僅かに離れたとしても、検知面を確実に清掃することができる。また、支持手段を内側に突起させた場合、通常、検知手段を回転軸から遠ざけて配置するため装置が大型化するが、上記のように清掃部材を構成することにより、装置を大型化することなく検知面を確実に清掃することができる。
また、上記の現像装置において、前記検知手段は、圧電センサであることが好ましい。この構成によれば、検知手段として圧電センサを用いることにより、現像剤の存在をより正確に検知することができ、現像装置内の現像剤量を適切な量に調節することができる。
本発明によれば、回転軸と一体となって回転する突起部によって、攪拌部材の回転に伴い清掃部が揺動されるので、センサの検知面を確実に清掃することができ、装置を大型化することなく、センサの検知精度の安定化を図り、画像品質の安定化を実現することができる。
以下、本発明の一実施の形態に係る現像装置について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る現像装置を用いたプリンタの構成を示す図である。なお、図1に示すプリンタは、画像形成装置の一例である。このプリンタ100は、現像装置101、感光体ドラム102、帯電部103、画像書込部104、トナー貯留部105、転写部106、クリーニング部107、記録紙収容部108、搬送部109、定着部110及び排紙部111から構成されている。
感光体ドラム102は、例えばアルミドラムに感光層が積層されたものであり、帯電部103により、表面を帯電させるようになっている。そして、画像書込部104からのレーザビームを受けた表面に帯電を減衰させた静電潜像を形成する。なお、上記の感光層は、特に限定するものではないが、例えば耐久性に優れるアモルファスシリコン(a―Si)等が好ましい。
帯電部103は、放電(例えばコロナ放電)することで感光体ドラム102の表面を帯電させるものである。例えば帯電部103は、細いワイヤー等を有しており、これを電極として、高電圧を印加されることで放電する。
画像書込部104は、画像データに基づいて、光ビーム(例えばレーザビーム)を感光体ドラム102に照射させ、その感光体ドラム102に静電潜像を形成させる。なお、画像データは不図示のパーソナルコンピュータ(PC)から送信される。
現像装置101は、感光体ドラム102の静電潜像にトナーを付着させて、トナー像を形成させる。なお、本実施形態において、現像装置101に収容されている現像剤としては、例えば磁性トナーのみから構成される磁性1成分現像剤が挙げられる。また、トナーは、粉砕トナーであり、流動性向上のための外添処理が施されている。現像装置101の詳細については後述する。
トナー貯留部105は、現像剤(以下、単にトナーという)を貯留するとともに、現像装置101内部のトナーが不足した場合にその現像装置101にトナーを供給する。転写部106は、感光体ドラム102表面に形成したトナー像を、搬送部109を搬送されてくる記録紙に移行させるものである。
クリーニング部107は、トナー像が記録紙に移行(転写)された後に、感光体ドラム102の表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。例えば、クリーニング部107は、感光体ドラム102の長手方向に線接触するブレード材等を含む。記録紙収容部108は、最終的に画像(トナー像)が印刷される記録紙(用紙やOHP等)を収容するとともに、搬送部109に記録紙を送り出す。
搬送部109は、記録紙収容部108から排紙部111まで記録紙を搬送する。定着部110は、例えば熱や圧力等のエネルギーを付与することにより、粉体状態のトナー像を溶融させ、記録紙に転写されたトナー像を定着させる。排紙部111は、定着部110を経た記録紙、すなわちトナー像が印刷され装置外部に排出された記録紙を収容する。
そして、このようなプリンタ100では、画像データに基づいて、画像書込部104が感光体ドラム102にレーザビーム(光線)を発することで、その画像データに基づく静電潜像をその感光体ドラム102の表面に形成させる。その後、現像装置101が、静電潜像にトナーを付着させるとともに(トナー像を形成するとともに)、転写部106が、記録紙にそのトナー像を転写する。次に、定着部110が、そのトナー像の転写された記録紙に熱等を加え、トナー像を定着させる。
次に、現像装置101の構成について説明する。図2は、本発明に係る現像装置の概略構成を示す斜視図であり、図3は、図2に示す現像装置の概略構成を示す側面図であり、図4は、図2に示す現像装置を上方から見た正面図である。図5は、図3のC−C線断面図であり、図6は、図4に示す矢印D方向から清掃部材を見た図であり、図7は、図4のE−E線断面図である。なお、図2は、便宜上、蓋部分(カバー部分)を除外して表現し、図4及び図5は後述する第1攪拌スクリューを重点的に表現している。
これらの図に示すように、現像装置101は、ケーシング(筐体)5、カバー(筐体)6、第1攪拌スクリュー7、第2攪拌スクリュー8、現像ローラ11、規制ブレード12及びトナー量検知センサ13を備える。
ケーシング5は、トナーを貯留するとともに、上記の第1攪拌スクリュー7等を収容している。そして、このケーシング5内には、仕切り板9によって分けられた第1貯留室15と第2貯留室16とが形成されている。第1貯留室15には第1攪拌スクリュー7が配設されており、第2貯留室16には第2攪拌スクリュー8が配設されている。カバー6は、ケーシング5に収容されたトナーが外部に漏れないように封止するものである。ケーシング5及びカバー6は、一体となって現像装置101の筐体を構成する。
第1攪拌スクリュー7は、第1貯留室15に貯留されているトナーを攪拌しながら、図2の矢印P方向へと搬送して第2貯留室16に導く。第2攪拌スクリュー8は、第2貯留室16に搬送されてきたトナーを攪拌しながら、図2の矢印Q方向へと搬送して現像ローラ11に供給する。また、第2攪拌スクリュー8によって送られたトナーは、仕切り板9により側壁5aに強く押し当てられることとなる。
なお、第1攪拌スクリュー7及び第2攪拌スクリュー8は、それぞれ回転軸7a,8aを中心とし、そのまわりに螺旋羽7b,8bを設けた構成になっており、互いに平行な状態でケーシング5に回転可能に軸支されている。また、図5に示すように、第1攪拌スクリュー7の回転軸7aの端部71は、側壁5aに突出しており、側壁5aに形成された突起部5b内に挿入される。突起部5bは、検知面13aと同一のケーシング5の側壁5aに設けられており、側壁5aに対して外側に突起しており、第1攪拌スクリュー7の回転軸7aを回転自在に支持する。なお、本実施形態において突起部5bは、ケーシング5の側壁5aに対して外側に突起しているが、本発明は特にこれに限定されず、ケーシング5の側壁5aに対して内側に突起してもよい。
このように、第1攪拌スクリュー7の回転軸7aを支持する突起部5bは、検知面13aと同一のケーシング5の側壁5aに設けられており、側壁5aに対して内側又は外側に突起している。したがって、第1攪拌スクリュー7の回転軸7aを支持する突起部5bを、ケーシング5の側壁5aに対して内側又は外側に突起させた場合であっても、後述するように清掃部材1を構成することにより、トナー量検知センサ13の検知精度の安定化を図ることができる。
特に、突起部5bを外側に突起させた場合、突起部5bにある程度の厚みが必要であるためトナー量検知センサ13を回転軸7aに近づけることに限界があるが、後述するように清掃部材1を構成することにより、トナー量検知センサ13が回転軸7aから僅かに離れたとしても、検知面13aを確実に清掃することができる。また、突起部5bを内側に突起させた場合、通常、トナー量検知センサ13を回転軸から遠ざけて配置するため装置が大型化するが、後述するように清掃部材1を構成することにより、装置を大型化することなく検知面13aを確実に清掃することができる。
現像ローラ11は、感光体ドラム102(図1参照)の回転に応じて回転することで、その感光体ドラム102の感光層にトナーを供給する。なお、磁性方式のトナーを用いる現像装置の場合、現像ローラ11として、内面に永久磁石から成る磁界発生部材(図示せず)が固定されたマグネットローラが使用される。この磁界発生部材の磁力により現像ローラ11の表面にトナーを付着(担持)させてトナー薄層を形成する。一方、非磁性方式のトナーを用いる現像装置の場合は、現像ローラ11としてゴムローラ等が使用される。
現像ローラ11は、第1攪拌スクリュー7及び第2攪拌スクリュー8と平行な状態で、ケーシング5に回転可能に軸支されている。第1攪拌スクリュー7、第2攪拌スクリュー8及び現像ローラ11は、図示しない駆動手段により回転駆動される。
規制ブレード12は、感光体ドラム102に供給するトナー量を規制する。規制ブレード12は、磁性方式のトナーを用いる現像装置の場合、例えばSUS430等の磁性体のSUS(ステンレス)が用いられる。そして、規制ブレード12の先端に対向して設けられた磁界発生部材により現像ローラ11と規制ブレード12との間に磁界を発生させ、規制ブレード12と現像ローラ11との間隔だけでなく、磁界の強さによって現像ローラ11へのトナー付着量を厳密に規制している。これにより、数十ミクロンのトナー薄層の形成が可能となる。
トナー量検知センサ13は、例えば圧電センサで構成され、ケーシング5内に貯留されるトナー量(またはトナー濃度等)を検知する。圧電センサは、外部から衝撃や振動が加わると、その大きさに比例した電圧が発生するという圧電素子の性質を利用し、衝撃や振動を電気信号として取り出すもので、小型、軽量、高感度という特長を有する。そして、このトナー量検知センサ13は、第1貯留室15と第2貯留室16との連通付近のケーシング5の側壁5aに設けられている。また、このトナー量検知センサ13は、後述する検知面13aが第1貯留室15及び第2貯留室16側、即ち内側に向くように設けられている。
このトナー量検知センサ13の検知面13aは、第1貯留室15及び第2貯留室16に充分に現像剤が貯留されているとき、その現像剤によって一定の圧をかけられることで、トナーが充分に貯留されているものと検知する。一方、充分なトナー量が第1貯留室15、第2貯留室16に貯留されていないとき、トナー量検知センサ13はトナーによって一定以上の圧をかけられることはない。かかる場合、トナー量検知センサ13はトナー量が充分に足りていないと検知するようになっている。
トナー量検知センサ13によりトナーが充分に貯留されていると検知された場合は、検知信号を画像形成装置に設けられたCPU等の制御手段に送信し、制御手段はトナー貯留部105(図1参照)から現像装置101内へのトナーの供給を停止させる。そして現像装置101内のトナー量が減少し、トナーが検知面13aに接触しなくなると、制御手段はトナー貯留部105よりトナーの供給を再開する。
なお、上述の説明では、圧電センサを用いて説明しているが、本発明の現像装置101に用いられるセンサは、圧電センサに限定されるものではない。例えば、光学式のセンサや磁気式のセンサであっても構わない。また、本発明の現像装置101に使用されるトナーも特に限定されるものではなく、1成分のトナーであっても2成分のトナーであっても良く、さらに磁性方式でも非磁性方式でも構わない。
また、一般的に、2成分現像剤の場合、透磁率センサを用いてT/C(トナーとキャリアとの混合比)が検出される。そこで、現像装置101は、トナー量検知センサ13に換えて、2成分現像剤のトナーとキャリアとの混合比を検知する透磁率センサを備えてもよい。透磁率センサは、現像装置内における一定量の現像剤を共振回路のコイルが設けられた流路を通過させることで,キャリアへのトナー付着量の多少をインダクタンスの変化として検知する。
ここで、本発明の現像装置101の特徴的な構成について説明する。この現像装置101では、ケーシング5の側壁5aに、第1巻きばね部1aと、係止部1bと、第1清掃部1cとを備えた清掃部材1が設けられている。清掃部材1の第1清掃部1cが第1攪拌スクリュー7の回転に伴い図3の矢印B方向に揺動するため、第1清掃部1cによりトナー量検知センサ13の検知面13aが清掃される。第1清掃部1cの先端は、検知面13aと反対方向に1回、第1清掃部1cに略垂直な方向に略垂直に1回、第1清掃部と所定の角度を有する方向に1回、さらにトナー量検知センサ13方向に1回の計4回直角に折り曲げられて、第1折曲部17、第2折曲部18、第2清掃部19及び第3清掃部20が形成されている。
第1攪拌スクリュー7は、回転軸7aよりも検知面13a側に設けられた突起部7cを備える。突起部7cは、回転軸7aと一体となって回転する。また、突起部7cは、回転軸7aと一体に形成され、回転軸7aの軸心に平行な略円柱状の部材である。
清掃部材1は、弾性を有する1本の金属製の線材(ばね材)を用いて一体形成される第1巻きばね部1a、係止部1b及び第1清掃部1cから構成されている。線材の線径は、0.1mm〜0.6mmの範囲が好ましい。線材の線径がこの範囲より細くなると、変形、破損及びトナー抵抗による動作不良などが発生する虞がある。また、線材の線径がこの範囲より太くなると、トナー凝集が発生しやすくなる。なお、より好ましい線材の線径は、0.2mm〜0.4mmの範囲である。また、線材の材質は、ばね用ステンレス鋼線が好ましい。
ケーシング5の検知面13aを含む側壁5aには、円柱状の支持部材5cが形成されている。第1巻きばね部1aは、清掃部材1をケーシング5の検知面13aを含む側壁5aに取り付けるための部材であり、線材をコイル状に巻き回すことにより形成され、内部を支持部材5cが貫通している。第1巻きばね部1aの伸縮方向は、トナー量検知センサ13の検知面13aに垂直な方向であり、第1攪拌スクリュー7の軸方向と同一である。
係止部1bは、第1の巻きばね部1aの一端をケーシング5内の側壁5aに係止する。図6に示すように、巻きばね部1aの一端は、接線方向に延ばされ、先端が係止部1bに係止される。即ち、第1巻きばね部1a及び係止部1bは、清掃部材1をケーシング5内の側壁5aに固定する。
第1清掃部1cは、第1巻きばね部1aの他端を接線方向に延ばして形成される。第1清掃部1cは、第1巻きばね部1aから検知面13aの全域(直径)を含む程度の長さのピン(針金)状に形成されており、トナー量検知センサ13の検知面13aに摺接する。第1清掃部1cは、第1巻きばね部1aの付勢力により側壁5aに向かって押進(押圧)される。その結果、第1清掃部1cは検知面13aを摺接できるように、ケーシング5の側壁5aに近接して配置される。
また、第1清掃部1cの先端を検知面13aと反対方向に略垂直に折り曲げて第1折曲部17が形成され、第1折曲部17の先端を第1清掃部1cと略垂直となる方向に折り曲げて第2折曲部18が形成されている。さらに、第2折曲部18の先端を検知面13aに平行であり第1清掃部1cと所定の角度を有する方向に折り曲げて第2清掃部19が形成されている。この構成により、回転軸7aの回転に伴い清掃部材1が揺動すると、第1清掃部1cが検知面13aに摺接するとともに第2清掃部19が検知面13aから第1折曲部17の長さだけ離れた位置を通過するため、第1清掃部1cにより検知面13a上の現像剤を掻き落とすとともに、第2清掃部19により検知面13aからやや離れた位置に発生するトナーのブリッジを効果的に崩すことができる。
第2清掃部19は、第1巻きばね部1aの付勢力によりケーシング5の底部に押しつけられており、突起部7cは、回転軸7aと一体となって回転することにより、第2清掃部19を図3の矢印B方向へ押し上げ、第1清掃部1cを検知面13aに摺動させる。さらに、突起部7cが第2清掃部19から離れると、第2清掃部19は矢印B’方向へ弾性復帰し、第2清掃部19がケーシング5の底部に押しつけられた状態に戻る。
また、図3に示すように、第1清掃部1cと第2清掃部19とは互いに平行ではなく、ねじれの位置となっている。第1清掃部1cと第2清掃部19とを平行とした場合は、第1清掃部1cと第2清掃部19との間隔が狭くなり、第1清掃部1c、第1折曲部17及び第2清掃部19で囲まれたコ字状部分にトナーがブリッジを形成する可能性がある。
この状態で清掃部材1が揺動すると、コ字状部分が通過する範囲のトナーが一度に除去されてしまい、トナー量が十分であるにも係わらず、検知面13aに圧力が掛からずトナー量検知センサ13がトナー不足であると誤検知するおそれがある。一方、第1清掃部1cと第2清掃部19とをねじれの位置とした場合は、第1清掃部1cと第2清掃部19との間隔が広くなるため、トナーのブリッジが形成されにくくなり、トナー量検知センサ13の誤検知を防止することができる。
さらに本実施形態では、攪拌スクリュー7の回転方向を反時計回り方向としているので、図3に示すように、第2清掃部19は第1折曲部17に対し攪拌スクリュー7の回転方向上流側に位置している。第2清掃部19が回転方向下流側となるようにしても良いが、清掃部材1の揺動時にトナーの抵抗を受けて、第2清掃部19の先端に付着した異物等が外れにくくなるため、本実施形態のように第2清掃部19が回転方向上流側となるように配置する方が好ましい。なお、仮に異物等が第2清掃部19の先端に付着したとしても、第2清掃部19は矢印B及びB’方向へ揺動するので、異物等が外れやすくなる。
さらにまた、本実施形態では、清掃部材1の第2清掃部19の先端をさらにトナー量検知センサ13方向に略垂直に折り曲げて第3清掃部20が形成されている。清掃部材1が揺動したとき、トナー量検知センサ13の検知面13aを通過する位置に第3清掃部20を形成することにより、トナー量検知センサ13の検知面13a付近に付着したトナーを効率良く掻き落とすことができ、さらに第3清掃部20の先端で検知面13aを傷つけるおそれもなくなる。
また、回転軸7aの軸心からケーシング5の内壁面までの距離は、第1攪拌スクリュー7の回転軸7aの端部71の半径と、トナー量検知センサ13の検知面13aの径と、回転軸7aとトナー量検知センサ13との間の厚みとを加算した距離よりも短くなるように形成されている。例えば、第1攪拌スクリュー7の回転軸7aの端部71の半径が1.5mmであり、トナー量検知センサ13の検知面13aの径が11mmであり、回転軸7aとトナー量検知センサ13との間の厚みが2mmである場合、回転軸7aの軸心からケーシング5の内壁面までの距離を12mm(<1.5mm+11mm+2mm)とする。
このように、第1攪拌スクリュー7の回転軸7aの軸心からケーシング5の内壁面までの距離が、回転軸7aの端部71の半径と、回転軸7aの軸心に最も近いトナー量検知センサ13の検知面13aの縁部から軸心に最も遠い検知面13aの縁部までの長さと、回転軸7aとトナー量検知センサ13との間の厚みとを加算した距離よりも短くなるように形成されるので、装置の小型化を実現することができる。
現像装置の構成によっては、回転軸7aとトナー量検知センサ13との間の厚みがない場合がある。この場合、回転軸7aの軸心からケーシング5の内壁面までの距離は、第1攪拌スクリュー7の回転軸7aの端部71の半径と、回転軸7aの軸心に最も近いトナー量検知センサ13の検知面13aの縁部から軸心に最も遠い検知面13aの縁部までの長さとを加算した距離よりも短くなるように形成してもよい。また、本実施の形態におけるトナー量検知センサ13の検知面13aは円形状であるが、本発明は特にこれに限定されず、四角形状、多角形状及び楕円形状などの他の形状であってもよい。
なお、本実施形態において、ケーシング5及びカバー6が筐体の一例に相当し、トナー量検知センサ13が検知手段の一例に相当し、第1攪拌スクリュー7が攪拌部材の一例に相当し、清掃部材1が清掃部材の一例に相当し、第1巻きばね部1a及び係止部1bが弾性部の一例に相当し、第1清掃部1cが清掃部の一例に相当し、突起部7cが突起部の一例に相当し、支持部材5cが支持部材の一例に相当し、第1巻きばね部1aが第1の巻きばね部の一例に相当し、係止部1bが係止部の一例に相当し、第1清掃部1cが第1清掃部の一例に相当し、第2清掃部19が第2清掃部の一例に相当し、第3清掃部20が第3清掃部の一例に相当し、突起部5bが支持手段の一例に相当する。
ここで、清掃部材1の動作について説明する。図8は、清掃部材の動作について説明するための図である。
第1攪拌スクリュー7の回転に伴い、回転軸7aに設けられた突起部7cが矢印Aの方向へ回転する。突起部7cが清掃部材1に接触しない通常状態において、第2清掃部19は、第1巻きばね部1aの付勢力によりケーシング5の底部の第1貯留室15及び第2貯留室16の境界部分に押しつけられている。そして、突起部7cは、回転軸7aと一体となって回転することにより、第2清掃部19を矢印B方向へ押し上げ、第1清掃部1cを検知面13aに摺動させる。第1清掃部1cが検知面13aを通過する際に、当該検知面13a付近に滞留した現像剤が第1清掃部1cによって掻き取られる。
そして、第1清掃部1cが検知面13aの全面を通過した後、突起部7cは、第2清掃部19から離れる。突起部7cが第2清掃部19から離れると、清掃部材1は、元の通常状態に弾性復帰する。すなわち、第1清掃部1は、先程とは逆方向の矢印B’方向に検知面13aを再度通過する。突起部7cが第2清掃部19から離れるとき、清掃部材1は急激に弾性回復する。このように、清掃部材1が急激に弾性回復することにより、検知面13a付近に滞留した現像剤を弾き飛ばすことができ、トナー量検知センサ13の検知精度の安定化を図ることができる。
また、清掃部材1が弾性復帰する際に、第2清掃部19がケーシング5の底部(第1貯留室15及び第2貯留室16の境界部分)に当たることとなる。このとき、第2清掃部19がケーシング5の底部に当たることで第1巻きばね部1aが振動し、この振動が検知面13aに伝わる。したがって、トナー量検知センサ13付近のトナーが崩れやすくなり、トナーを容易に掻き取ることができるようになる。さらに、第2清掃部19がケーシング5の底部に当たることでケーシング5が振動し、トナー量検知センサ13付近のトナーが崩れやすくなる。さらにまた、第1巻きばね部1a全体が振動することにより、第1巻きばね部1a付近のトナーが崩れやすくなる。
このように、清掃部材1は、係止部1bにより筐体内の側面に固定され、第1巻きばね部1aにより検知面13aに平行な方向に弾性変形可能であり、第1巻きばね部1aに接続された清掃部1cにより攪拌スクリュー7の回転に伴い検知面13aに摺接する。そして、回転軸7aと一体となって回転する突起部7cは、攪拌スクリュー7の回転に伴い清掃部1cを揺動させる。
したがって、回転軸7aと一体となって回転する突起部7cによって、攪拌スクリュー7の回転に伴い清掃部1cが揺動されるので、トナー量検知センサ13の検知面を確実に清掃することができ、装置を大型化することなく、トナー量検知センサ13の検知精度の安定化を図り、画像品質の安定化を実現することができる。
また、トナーに表面処理剤が深く埋め込まれて流動性が悪化したトナーであっても、センサの検知不良を起こすことが無く、トナーの長寿命化を図ることができる。さらに、トナーの流動性が悪化した場合であっても、トナー量検知センサ13の検知不良を改善することができるので、高温高湿の特殊環境におけるトナー量検知センサ13の検知性能を向上させることができる。
さらにまた、トナー量検知センサ13の検知面13aに未清掃エリアがある場合、検知不良が発生する虞がある。そのため、開発時において、性能確認及び改善に多大な時間を要することとなる。しかしながら、本発明では、トナー量検知センサ13の検知面13aを確実に清掃することができるので、性能確認に要する時間が少なくて済み、開発効率を向上させることができる。また、流動性の悪化したトナーであっても安定してトナー量を検知することができるので、トナーの設計の自由度が広がり、トナーの小粒径化に伴う画像品質の向上やトナーの製造コスト低減に寄与することができる。
また、第1巻きばね部1aがケーシング5内の側壁5aに設けられた支持部材5cに挿入され、係止部1bにより第1巻きばね部1aの一端がケーシング5内の側壁5aに係止される。また、清掃部1cが、接線方向に延ばした第1巻きばね部1aの他端で構成される。したがって、第1巻きばね部1aの弾性変形により、清掃部1cを検知面13aに摺動させることができる。
さらに、第1清掃部1cが接線方向に延ばした第1巻きばね部1aの他端で構成される。そして、第2清掃部19が、第1清掃部1cの先端をトナー量検知センサ13の検知面13aに対して略垂直に折り曲げ、さらにその先端を第1清掃部1cと略垂直となる方向に折り曲げ、さらにその先端を第1清掃部1cと所定の角度を有する方向に折り曲げて形成される。また、第3清掃部20が第2清掃部19の先端をトナー量検知センサ13の検知面13aの方向へ略垂直に折り曲げて形成される。
したがって、第1清掃部1c、第1折曲部17、第2折曲部18、第2清掃部19及び第3清掃部20により、検知面13aの近傍に滞留した現像剤をさらに効果的に分散させることができ、トナー量検知センサ13の検知精度の安定化を図ることができる。
さらにまた、第2清掃部19は、第1巻きばね部1aの付勢力によりケーシング5の底部に押しつけられている。そして、突起部7cが、回転軸7aと一体となって回転することにより、第2清掃部19を押し上げ、第1清掃部1cを検知面13aに摺動させる。したがって、突起部7cが第2清掃部19を押し上げ、第1清掃部1cにより検知面13aを清掃した後、突起部7cが第2清掃部19を離れ、第1巻きばね部1aが弾性復帰することにより、再度検知面13aが第1清掃部1cにより清掃されるので、検知面13aの近傍に滞留した現像剤をさらに効果的に分散させることができる。
なお、本実施形態では、磁性1成分現像剤を用いているが、本発明は特にこれに限定されず、例えば、非磁性トナーのみから構成される非磁性1成分現像剤であってもよい。また、トナーとキャリアとから構成される2成分現像剤、平均粒径が70μm以下、好ましくは60〜70μmの小粒径キャリアを用いた現像剤、及び樹脂キャリアを用いた現像剤であってもよい。これらの現像剤を用いた場合、劣化により流動性が悪化する。そこで、本発明に係る現像装置を適用することにより、本発明と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施形態における第1攪拌スクリュー7及び第2攪拌スクリュー8は、それぞれ回転軸7a,8aのまわりに螺旋羽7b,8bを設けたスパイラル構造であるが、本発明は特にこれに限定されず、パドル構造、シート羽根を用いた構造、スパイラルとパドルとを用いた構造、及び棒状部材を屈曲させた構造などであってもよい。
また、本実施形態では、現像ローラ11から離れた第1攪拌スクリュー7に突起部7cを設けているが、本発明は特にこれに限定されず、現像ローラ11に近い第2攪拌スクリュー8に突起部を設けてもよい。この場合、少量のトナーであっても、トナー量検知センサ13の検知面13aに対して強い圧力がかかる。そこで、検知不良を防止するために、第2攪拌スクリュー8の回転軸8aから多少離れた位置にトナー量検知センサ13を設ける必要がある。したがって、このような場合にも本発明を適用することにより、本発明と同様の効果を得ることができる。