JP2007240686A - 光拡散シート、その製造方法及び透過型スクリーン並びに背面投射型表示装置 - Google Patents

光拡散シート、その製造方法及び透過型スクリーン並びに背面投射型表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】設計どおりの精度のよいBSパターンを有する光拡散シート及びその製造方法並びに透過型スクリーンを提供する。
【解決手段】厚さ方向の一方の面S1に多数の集光レンズ(凸シリンドリカルレンズ13A)が設けられた光拡散シート本体12と、その光拡散シート本体12の厚さ方向の他方の面S2上に形成された、光照射により液体との接触角が変化する接触角変化層14と、その接触角変化層14上に形成された光透過部15と、その光透過部15間に形成された光吸収部16とを有する光拡散シートであって、光透過部15に光拡散剤を含ませることにより、上記課題を解決した。
【選択図】図1

Description

本発明は、精度よく形成されたストライプ状の光吸収部(以下、ブラックストライプパターン又はBSパターンということがある。)を有する光拡散シート、その製造方法及び透過型スクリーン並びに背面投射型表示装置に関するものである。
背面投射型表示装置であるプロジェクションテレビジョンには、光源から発せられた映像光を拡大投影する透過型スクリーンが備えられている。この透過型スクリーンは、一般に、光源から拡大投射される映像光を観察者側へ平行光又は略平行光(以下、略平行光という)に偏向させるためのフレネルレンズシートと、その略平行光を拡散させて画像の視野角を広くするためのレンチキュラーレンズシートとを有している。
レンチキュラーレンズシートは、一般的に、光が入射する側の面(以下、入光面ともいう。)には、光を水平方向へ拡散させて視野角を拡大するための縦長で鉛直方向に延びた凸シリンドリカルレンズが水平方向に多数配列されている。さらに、視野角を拡大するための有効な手段として、例えば粒子状の光拡散剤をレンチキュラーレンズシート中に含有させて光を水平方向及び垂直方向に拡散させることも一般的に行われている。一方、光が出射する側の面(以下、出光面ともいう。)上には、前記の各凸シリンドリカルレンズで屈折した光の光路以外の領域にBSパターンが形成されている。BSパターンが形成されたレンチキュラーレンズシートは、BSパターンがそのレンチキュラーレンズシートの前面側(観察者側のこと。)から入射する外光を吸収するので、映像のコントラストを向上させることができる。
このような背面投射型表示装置の光源としては、従来、三原色が別々の管から投射される3管方式のCRT光源が一般的であったが、近年、LCDやDLPを用いた単管方式の光源も使用されてきている。単管方式の光源を用いた背面投射型表示装置においては、LCD等のセル構造に起因する格子パターンが透過型スクリーン上に投影されるので、周期的な構造を有するレンチキュラーレンズシート上に画像を投影して観察すると、レンチキュラーレンズシートのサンプリング効果によりモアレが発生する可能性がある。このため、モアレが発生する可能性を効果的に低減するには、凸シリンドリカルレンズのピッチを一般的に用いられていた0.6mm〜1.0mmの寸法から、0.2mm以下の小さな寸法に変更することが必要であるが、凸シリンドリカルレンズのピッチを小さくする場合は、BSパターンのピッチも小さくする必要がある。
このようなレンチキュラーレンズシートにおいて、BSパターンを形成する方法としては、転写方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
転写方法は、図10に示すように、先ず、一方が平坦面で、他方が複数の凸シリンドリカルレンズ101が形成された面からなるシート本体100を作製し(図10(A)参照)、その平坦面に紫外線硬化型樹脂層102を形成した後、必要に応じて保護フィルム107を設ける(図10(B)参照)。次に、シート本体100の略法線方向からの平行光である紫外線103を凸シリンドリカルレンズ101側から入射させる。紫外線103は各凸シリンドリカルレンズ101で集光されて所定の部位の紫外線硬化型樹脂層102を照射する。紫外線103が照射された部位の紫外線硬化型樹脂層102は硬化して硬化部分102aとなり、紫外線103が照射されない部位の紫外線硬化型樹脂層102は未硬化で粘着性が大きい未硬化部分102bとなる(図10(C)参照)。その後、黒色の着色層104を有する転写シート105を、その着色層104が紫外線硬化型樹脂層102に接触するようにシート本体100に重ね合わせる(図10(D)参照)。未硬化部分102bの粘着性を利用して着色層104を未硬化部分102bにのみ付着させた後、転写シート105をシート本体100から剥離する(図10(E)参照)。これにより、硬化部分102aに接触していた着色層104は、シート本体100に転写されずに転写シート105に付いたままとなり、未硬化部分102bに接触していた着色層104のみがシート本体100に転写されて、BSパターン106が形成される。こうしてBSパターンを有するレンチキュラーレンズシートが作製される。
特開2000−47329号公報(段落0017、図4) 特開2004−184778号公報(光触媒含有層について記載されている) 特許第3529306号(光触媒含有層について記載されている)
しかしながら、上述の転写方法において、BSパターンよりも光源側のシート本体100に光拡散剤が含まれている場合、凸シリンドリカルレンズ101側から入射させて紫外線硬化型樹脂層を硬化させるための紫外線103は、その光拡散剤に当たって拡散してしまう。その結果、硬化部分102aと未硬化部分102bとの境界が曖昧になってその境界部分の粘着性にバラツキが生じ、着色層104の転写により形成されるBSパターンを精度よく形成することができないという問題がある。この問題は、着色層が転写形成されたBSパターンの縁が、硬化部分と未硬化部分との境界から未硬化部分側にずれたり硬化部分側にずれたりして、着色層が硬化部分と未硬化部分との境界に沿ってきれいに転写されないことがある。その結果、設計どおりのBSパターンを精度よく形成することができず、外観上、筋状に見えるという問題を引き起こすことがある。特に、光源としてLCDやDLPを用いた場合には、凸シリンドリカルレンズのピッチを小さくする必要からBSパターンのピッチも小さくしなければならず、設計どおりのBSパターンを所望の位置に精度よく形成することが要求される。しかしながら、上述の転写方法において、BSパターンよりも光源側のシート本体100に光拡散剤が含まれている場合には、十分にその要求を満足させることができない。
さらに、光源側のシート本体100に光拡散剤が含まれているレンチキュラーレンズシートにおいては、光源から投射された映像光がシート本体に含まれる光拡散剤に当たって拡散するので、拡散した映像光の一部が観察者側に透過せずにBSパターンで吸収されてしまう。その結果、輝度が低下したりコントラストが低下したりするという問題がある。
一方、BSパターンよりも観察者側に配置された層又は部材に光拡散剤が含まれているレンチキュラーレンズシートにおいては、外光がBSパターンで吸収させる前に光拡散剤で散乱したり反射したりするので、コントラストが低下してしまうという問題がある。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、その目的は、設計どおりの精度のよいBSパターンを有する光拡散シート、その製造方法及び透過型スクリーン並びに背面投射型表示装置を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、BSパターン間に位置する光透過部に光拡散機能を持たせることにより上記課題を解決した。すなわち、本発明の光拡散シートは、厚さ方向の一方の面に多数の集光レンズが設けられた光拡散シート本体と、当該光拡散シート本体の厚さ方向の他方の面上に形成された、光照射により液体との接触角が変化する接触角変化層と、当該接触角変化層上に形成された光透過部と、当該光透過部間に形成された光吸収部とを有する光拡散シートであって、前記光透過部が、光拡散剤を含むことを特徴とする。
この発明によれば、光拡散シート本体の厚さ方向の他方の面上に接触角変化層が設けられ、その接触角変化層上に光拡散剤を含む光透過部が形成されているので、光吸収部よりも光源側の光拡散シート本体に含まれる光拡散剤の量を減少させることができる。その結果、光拡散シート本体に含まれる光拡散剤に当たって拡散する映像光の一部が、光吸収部(BSパターン)で吸収されるのを抑制することができ、輝度が低下したりコントラストが低下したりするという従来の問題を解決できる。また、同様に、光吸収部よりも観察者側の層又は部材に含まれる光拡散剤の量を減少又は無くすことができる。その結果、観察者側から入射する外光が光吸収部で吸収される前に光拡散剤で散乱したり反射したりするのを抑制できるので、コントラストが低下してしまうという従来の問題を解決することができる。
さらに、この発明によれば、光透過部よりも光源側の光拡散シート本体に含まれる光拡散剤の量を減少させることができるので、光照射により液体との接触角が変化する接触角変化層をセルフアライメント(自己整合)的に精度よく、すなわち集光レンズで集光された光が通過する集光領域と通過しない非集光領域との境界を精度よく形成することができ、上述した転写方法と比べても、光透過部と光吸収部とを精度よく形成することができる。その結果、外観上、筋状に見えるという従来の問題を解決することができる。特に、光源としてLCDやDLPを用いた場合のように、光吸収部(BSパターン)のピッチを小さくしなければならない場合に好ましく適用でき、設計どおりの光吸収部(BSパターン)を所望の位置に精度よく形成することができる。
上記本発明の光拡散シートにおいて、前記光透過部は前記集光レンズによって集光された光が通過する集光領域に形成され、前記光吸収部は前記集光レンズによって集光された光が通過しない非集光領域に形成されていることを特徴とする。この発明によれば、光透過部及び光吸収部をセルフアライメント(自己整合)的に精度よく形成できる。
上記本発明の光拡散シートにおいて、前記集光レンズが一次元配列する凸シリンドリカルレンズ又は二次元配列する単位凸レンズであり、前記光透過部がストライプ状又はマトリックス状であり、前記光吸収部がストライプ状又は格子状であることを特徴とする。この発明によれば、集光レンズが一次元配列する凸シリンドリカルレンズである場合には、光透過部と光吸収部はいずれもストライプ状となり、集光レンズが単位凸レンズである場合には、光透過部はマトリックス状となり、光吸収部は格子状となる。なお、単位凸レンズとは、いわゆるハエの目レンズのことであり、通常、厚さ方向の一方の面に多数の単位凸レンズが縦横(二次元的)にそれぞれ一定のピッチで形成されている。
上記本発明の光拡散シートは、前記接触角変化層が、光触媒を含有する光触媒含有層であることを特徴とし、その光触媒としては、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、及び酸化鉄(Fe)から選択される1種又は2種以上の物質であることが好ましい。この発明によれば、接触角変化層が光触媒を含有する光触媒含有層であるので、光触媒反応を利用して、例えば撥インク性を有する接触角変化層14の表面を、セルフアライメント(自己整合)的にストライプ状の親インク性領域に変化させることができる。その結果、ストライプ状の光透過部と光吸収部をセルフアライメント(自己整合)的に精度よく形成することができる。
上記本発明の光拡散シートは、前記光吸収部が、光吸収顔料を含むインキによって形成されていることが好ましい。
上記本発明の光拡散シートは、前記光拡散シート本体が、前記集光レンズが形成された光拡散レンズ部と、当該光拡散レンズ部の基材となる基材シート部とからなることを特徴とする。この発明によれば、光源としてLCDやDLPを用いた場合のように、ピッチの小さい集光レンズを形成することができる。
上記本発明の光拡散シートは、前記集光レンズのピッチが50μm以上150μm以下であり、前記光拡散シート本体の厚さが100μm以上200μm以下であることが好ましい。この発明によれば、光源としてLCDやDLPを用いた場合のように、ピッチの小さい集光レンズを形成した場合に、ピッチの小さいストライプ状又は格子状の光吸収部(BSパターン)を形成することができる。
上記本発明の光拡散シートは、前記光透過部上及び前記光遮光部上に、直接に又は接着層を介して、透明又は半透明の支持体が設けられていることを特徴とする。
上記課題を解決するための本発明の光拡散シートの製造方法は、厚さ方向の一方の面に集光レンズが並設された光拡散シート本体の他方の面上に、光照射により液体との接触角が変化する接触角変化層を形成する工程と、前記接触角変化層上に光拡散剤を含む光透過部を形成する工程と、前記光透過部間に光吸収部を形成する工程と、を有することを特徴とする。
この発明によれば、形成された接触角変化層上に光拡散剤を含む光透過部を形成するので、光吸収部よりも光源側の光拡散シート本体に含まれる光拡散剤の量を減少させた光拡散シートを提供することができる。その結果、光拡散シート本体に含まれる光拡散剤に当たって拡散する映像光の一部が光吸収部(BSパターン)で吸収されるのを抑制することができ、輝度が低下したりコントラストが低下したりすることを抑制した光拡散シートを提供できる。また、同様に、光吸収部よりも観察者側の層又は部材に含まれる光拡散剤の量を減少又は無くすことができ、その結果、観察者側から入射する外光が光吸収部で吸収される前に光拡散剤で散乱したり反射したりするのを抑制できるので、コントラストが低下したりすることを抑制した光拡散シートを提供できる。さらに、この発明によれば、光透過部よりも光源側の光拡散シート本体に含まれる光拡散剤の量を減少させることができるので、光照射により液体との接触角が変化する接触角変化層をセルフアライメント(自己整合)的に精度よく、すなわち集光レンズで集光された光が通過する集光領域と通過しない非集光領域との境界を精度よく形成することができ、上述した転写方法と比べても、光透過部と光吸収部を精度よく形成することができる。
上記本発明の光拡散シートの製造方法において、前記接触角変化層上に光拡散剤を含む光透過部を形成する工程は、前記光拡散シート本体の略法線方向と略平行な光を前記集光レンズ側から照射することにより、前記集光レンズで集光された光が通過する集光領域の接触角変化層の接触角を低下させるステップと、接触角が低下した前記集光領域の接触角変化層上に、光拡散剤を含む樹脂組成物を塗布するステップと、を含むことを特徴とする。
この発明によれば、集光レンズで集光された光が通過する集光領域の接触角変化層の接触角をいわゆるセルフアライメント(自己整合)的に精度よく低下させることができ、さらに接触角が低下した領域に光拡散剤を含む樹脂組成物を塗布するので、所定形状の光透過部を精度よく形成することができる。
上記本発明の光拡散シートの製造方法は、前記接触角変化層上に光拡散剤を含む光透過部を形成する工程において、前記光拡散剤を含む樹脂組成物が放射線硬化型樹脂組成物であり、当該放射線硬化型樹脂組成物を塗布するステップの後に、放射線を照射するステップを有することを特徴とする。
この発明によれば、光透過部を形成する工程において、光拡散剤を含む樹脂組成物が放射線硬化型樹脂組成物であり、放射線硬化型樹脂組成物を塗布するステップの後に放射線を照射するステップを有するので、所定形状の光透過部を容易に形成することができる。
上記本発明の光拡散シートの製造方法において、前記集光レンズが一次元配列する凸シリンドリカルレンズ又は二次元配列する単位凸レンズであり、前記光透過部がストライプ状又はマトリックス状であり、前記光吸収部がストライプ状又は格子状であることが好ましい。この発明によれば、集光レンズが一次元配列する凸シリンドリカルレンズである場合には、光透過部と光吸収部はいずれもストライプ状となり、集光レンズが単位凸レンズである場合には、光透過部はマトリックス状となり、光吸収部は格子状となる。なお、単位凸レンズとは、いわゆるハエの目レンズのことであり、通常、厚さ方向の一方の面に多数の単位凸レンズが縦横(二次元的)にそれぞれ一定のピッチで形成されている。
上記課題を解決するための本発明の透過型スクリーンは、上述した本発明に係る光拡散シートと、フレネルレンズシートとを有することを特徴とする。
この発明によれば、上述した本発明に係る光拡散シートを有するので、輝度の低下やコントラストの低下を抑制できると共に、筋不良の問題もない透過型スクリーンを提供することができる。特に、光源としてLCDやDLPを用いた場合のように、光吸収部(BSパターン)の狭ピッチ化に対応できる透過型スクリーンを提供することができる。
上記課題を解決するための本発明の背面投射型表示装置は、上述した本発明に係る光拡散シートと、フレネルレンズシートとを有する透過型スクリーンを備えたことを特徴とする。この発明によれば、上述した本発明に係る光拡散シートを有する透過型スクリーンンを備えるので、輝度の低下やコントラストの低下を抑制できると共に、筋不良の問題もない背面投射型表示装置を提供することができる。特に、光源としてLCDやDLPを用いた場合のように、光吸収部(BSパターン)の狭ピッチ化に対応した背面投射型表示装置を提供することができる。
以上説明したように、本発明の光拡散シートによれば、光吸収部よりも光源側の光拡散シート本体に含まれる光拡散剤の量を減少させることができるので、光拡散シート本体に含まれる光拡散剤に当たって拡散する映像光の一部が光吸収部(BSパターン)で吸収されるのを抑制することができると共に、輝度が低下したりコントラストが低下したりするという従来の問題を解決できる。また、同様に、光吸収部よりも観察者側の層又は部材に含まれる光拡散剤の量を減少又は無くすことができるので、観察者側から入射する外光が光吸収部で吸収される前に光拡散剤で散乱したり反射したりするのを抑制でき、その結果、コントラストが低下してしまうという従来の問題を解決することができる。
さらに、本発明の光拡散シートによれば、光照射により液体との接触角が変化する接触角変化層をセルフアライメント(自己整合)的に精度よく形成することができるので、外観上、筋状に見えるという従来の問題を解決することができる。特に、光源としてLCDやDLPを用いた場合のように、光吸収部(BSパターン)のピッチを小さくしなければならない場合に好ましく適用でき、設計どおりの光吸収部(BSパターン)を所望の位置に精度よく形成することができる。
また、本発明の光拡散シートの製造方法によれば、上述した効果を奏する本発明の光拡散シートを簡便な手段で提供することができると共に、光照射により液体との接触角が変化する接触角変化層をセルフアライメント(自己整合)的に精度よく形成することができる。その結果、上述した従来の転写方法と比べても、光透過部と光吸収部を精度よく簡便な手段で形成することができる。
また、本発明の透過型スクリーン及び背面投射型表示装置によれば、輝度の低下やコントラストの低下を抑制できると共に、筋不良の問題もない透過型スクリーン及び背面投射型表示装置を提供することができる。特に、光源としてLCDやDLPを用いた場合のように、光吸収部(BSパターン)の狭ピッチ化に対応できる透過型スクリーン及び背面投射型表示装置を提供することができる。
以下に、本発明の光拡散シート、その製造方法、透過型スクリーン及び背面投射型表示装置について、図面を参照しつつ説明する。
(光拡散シート)
図1は、本発明の光拡散シートの一例を示す模式的な斜視図であり、図2は、図1に示す本発明の光拡散シートの模式的な断面図である。また、図3は、本発明の光拡散シートの他の形態を示す、一部切り欠いた状態を示す模式的な斜視図である。本発明の光拡散シート11A,11Bは、図1〜図3に示すように、厚さ方向の一方の面S1に多数の集光レンズが並設された光拡散シート本体(以下、単に「シート本体」という)12と、そのシート本体12の厚さ方向の他方の面S2上に形成された、光照射により液体との接触角が変化する接触角変化層14と、その接触角変化層14上に形成された光透過部15と、その光透過部15間に形成された光吸収部16とを有している。
集光レンズは、図1の光拡散シート11Aに示すように、一次元配列する凸シリンドリカルレンズ13Aであってもよいし、図3の光拡散シートBに示すように、二次元配列する単位凸レンズ13Bであってもよい。なお、図3に示す単位凸レンズ13Bは、いわゆるハエの目レンズのことであり、通常、面S1の縦横(二次元的)にそれぞれ一定のピッチで形成されている。なお、図1及び図3においては、理解を容易にするために、図2に示す接着層18と支持板19を図示していない態様で表している。
本発明の光拡散シート11A,11Bの特徴は、図2に示すように、光透過部15が光拡散剤17を含むことにあり、更に詳しくは、図1に示すように、集光レンズに入射した入射光が通過して液体との接触角が変化した領域14a(集光領域14aともう。)の接触角変化層14上に、光拡散剤17を含む光透過部15が形成されていることにある。本発明において、光照射により液体との接触角が変化した集光領域14aは、シート本体12の略法線方向からの平行光を集光レンズ側から入射させ、いわゆるセルフアライメント(自己整合)的に平面視でストライプ状に形成した領域である。図1において、符号14aは、液体との接触角が変化した集光領域であり、符号14bは、集光レンズに入射した入射光が通過しないために液体との接触角が変化しない領域(非集光領域ともう。)であり、この非集光領域14b上には、光吸収部16が設けられる。
図1において、凸シリンドリカルレンズ13Aの側からシート本体12に入射する入射光6は、通常、映像情報を有する映像光であり、実際の入射光6は平行光と平行光以外の光(略平行光)とを含む。本願においては、この入射光6を「略平行光」として説明する。また、入射光6は凸シリンドリカルレンズ13Aにより接触角変化層14表面の近傍で集光し、その接触角変化層14及び光透過部15を透過して出射光7として拡散する。
本発明において、図1に示すように、集光レンズが一次元配列する凸シリンドリカルレンズ13Aである場合には、光透過部15と光吸収部16はいずれもストライプ状となり、図3に示すように、集光レンズが単位凸レンズ13Bである場合には、光透過部15はマトリックス状となり、光吸収部16は格子状となる。すなわち、図1に示す光拡散シート11Aは、光を主に水平方向に拡散させる多数の凸シリンドリカルレンズ13Aを有するレンチキュラーレンズシートであるのに対し、図3に示す光拡散シート11Bは、光を水平方向及び鉛直方向に拡散させる多数の単位凸レンズ13Bを有するマイクロレンズアレイシートである点で相違するが、それ以外の具体的な構成は本願の趣旨の範囲で同様のものとすることができる。以下においては、図1に示す、集光レンズが一次元配列する凸シリンドリカルレンズ13Aである場合について説明する。
(シート本体)
シート本体12は、光透過性の透明又は半透明のシート状部材であり、その厚さ方向の一方の面S1に多数の凸シリンドリカルレンズ13Aが並設されている。図1に示す凸シリンドリカルレンズ13Aは、入射光6を接触角変化層表面の近傍で集光させる、いわゆるレンチキュラーレンズであり、通常、入射光6側の表面S1が凸状の曲面を有した縦長に延びるレンズである。シート本体12の入射光側の面S1は、縦長に延びる凸シリンドリカルレンズ13Aがその縦長に延びる方向と直交する方向(幅方向)に一次元的に並列した態様となっている。
一方、シート本体12の厚さ方向の他方の面S2は実質的な平坦面であり、その平坦面上に光透過部15と光吸収部16とが交互にストライプ状に形成されている。なお、前記の「実質的な」としたのは、他方の面S2が厳密な平担面のみを指すのではなく、例えば反射防止等のための微細凹凸を有する面等を含む意味である。
シート本体12は、ディスプレイ等の光透過性を有する光学シートに用いられる樹脂材料で形成されている。そうした樹脂材料としては、熱可塑性樹脂等を挙げることができ、電子ビーム(EB)等の電子線や紫外線(UV)等の放射線を透過させる熱可塑性樹脂等を好ましく挙げることができる。
シート本体12を形成する樹脂として、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、又は、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の樹脂を用いることができ、特にアクリル樹脂が好ましく用いられる。アクリル樹脂で形成されたシート本体12は、表面耐擦傷性、耐候性及び透明性等が良好となる。アクリル樹脂としては、メタクリル酸メチルを主体とする樹脂を好ましく用いることができ、(i)メチルメタクリレートの単独重合体、又は、(ii)メチルメタクリレートと、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アクリロニトリル、無水マレイン酸、スチレン及びα−メチルスチレンの群から選択される1つ以上の樹脂との共重合体、又は、(iii)メチルメタクリレート単独重合体と上記共重合体との混合物、等を用いることができる。その中でも特に、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、又は、メタクリル樹脂とスチレン樹脂との共重合体樹脂(MS樹脂)が多く用いられる。なお、こうした重合体樹脂は、後述する他の実施形態で示すように、シート本体12が2層以上の樹脂層で構成された場合において、表面耐擦傷性、耐候性及び透明性等が良好であるという観点から、そのシート本体12の出光側の表面を形成する樹脂層の形成材料であることが好ましい。
シート本体12は、上述した樹脂材料を例えば押出成形機等で押出成形することにより形成される。また、シート本体12は、透明な基材シートの一方の面上に紫外線硬化樹脂を塗布し、塗布された紫外線硬化樹脂をスタンパーで成型すると同時に紫外線照射により硬化させて凸シリンドリカルレンズ13Aを形成する、いわゆる「重合接着」で形成することも可能である。ここで用いる紫外線硬化樹脂としては、エポキシ、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ウレタンアクリレート系等の樹脂が用いられる。すなわち、後者のシート本体12は、図1及び図2に示すように、凸シリンドリカルレンズ13Aが形成された光拡散レンズ部12aと、その光拡散レンズ部12aの基材となる基材シート部12bとで構成されている。こうした構成からなる後者のシート本体12は、光源としてLCDやDLPを用いた場合のように、レンズピッチの小さい凸シリンドリカルレンズ13Aを形成する場合に特に好ましい。
シート本体12の厚さは、凸シリンドリカルレンズ13Aのレンズピッチ、焦点距離、及び所望の視野角範囲によって適宜設定されるが、光源側になる一方の面S1に形成された凸シリンドリカルレンズ13Aの凸状部の頂部から、観察者側となる他方の平坦面S2までの厚さは、通常、100μm以上200μm以下の範囲内である。
凸シリンドリカルレンズ13Aは、入射光6を光透過部15の近傍で集光させる、いわゆるレンチキュラーレンズであり、通常、入射光6側の表面が凸状の曲面を有した縦長の凸シリンドリカルレンズである。こうした凸シリンドリカルレンズ13Aは、入射光6を光透過部15の近傍で集光させ、光拡散シートの他の一方の面にストライプ状に形成された光透過部15から出射する出射光7の視野角を広げるように機能する。凸シリンドリカルレンズ13Aの凸状の曲面形状は、入射光6を光透過部15の近傍で集光することができる半球状又は半楕円状等に形成されている。
この凸シリンドリカルレンズ13Aは、レンズが縦長に延びる方向と直交する方向(通常は幅方向)に、所定のピッチで多数並列した態様で設けられている。凸シリンドリカルレンズ13Aのピッチは、凸シリンドリカルレンズ13AとLCD等の画素とのモアレが出ないピッチに設定されていることが好ましい。具体的な凸シリンドリカルレンズ13Aのピッチは、50μm以上150μm以下であることが好ましい。こうした凸シリンドリカルレンズ13Aは、シート本体12を押出成形する際に、周面に凸シリンドリカルレンズ13Aの賦形型を有する押出成形ロールを用いることにより形成することができる。
(接触角変化層)
接触角変化層14は、図1及び図2に示すように、上述したシート本体12の厚さ方向の他方の面S2(すなわち、凸シリンドリカルレンズ13Aが形成されていない側の面)上に形成されている。この接触角変化層14は、光照射により液体との接触角が変化する層であり、光照射される前は液体との接触角が高く、光照射された後には液体との接触角が低下する性質を有する層である。
本願において、光照射における光とは、波長400nm以下の光であり、通常、波長380以下の紫外線が好ましく使用される。また、本願における液体とは、光照射によって接触角が変化した接触角変化層14の上に設けられる光透過部形成用の塗布液のことであり、接触角変化層14を形成する材料は、その光透過部形成用塗布液が油性であるか水性であるかにより任意に選択される。更に詳しくは、油性の光透過部形成用塗布液を用いる場合には、光照射によって油性塗布液との接触角が低下する材料で接触角変化層14を形成することが望ましく、水性の光透過部形成用塗布液を用いる場合には、光照射によって水性塗布液との接触角が低下する材料で接触角変化層14を形成することが望ましい。
接触角変化層14は、光が照射されない部分においては、表面張力40mN/mの液体との接触角が10°以上、好ましくは表面張力30mN/mの液体との接触角が10°以上、特に表面張力20mN/mの液体との接触角が10°以上であることが好ましい。本発明において、光が照射されない部分は、光透過部形成用塗布液(以下、光透過部形成用インクともいう)が塗布されない部分であることから、前記のような10°以上の接触角とすることにより、撥インク性が十分となり、その部分に光透過部形成用インクが残存するのを防ぐことができる。一方、液体との接触角が小さい(例えば10°未満)場合は、撥インク性が十分でなく、その部分に光透過部形成用インクが残存する可能性が生じる。
一方、光が照射された部分においては、液体との接触角が低下し、表面張力40mN/mの液体との接触角が10°未満、好ましくは表面張力50mN/mの液体との接触角が10°以下、特に表面張力60mN/mの液体との接触角が10°以下となる接触角変化層14であることが好ましい。本発明において、光が照射された部分は、光透過部形成用塗布液が塗布される部分であることから、前記のような10°未満又は10°以下の接触角とすることにより、親インク性が十分となり、その部分に光透過部形成用インクが満遍なく広がるのでムラ無く塗布することができる。一方、液体との接触角が大きい(例えば10°以上又は10°超)場合は、親インク性が十分でなく、その部分に光透過部形成用インクが満遍なく広がらないので、所望の精度でストライプ状の光透過部15及び光吸収部16を形成するすることができなくなることがある。
なお、接触角変化層14は、少なくとも、光透過部形成用塗布液が塗布される側の表面が所望の接触角に変化していればよく、接触角変化層の厚さ方向全部に亘って所望の接触角に変化している必要はない。また、液体との接触角は、種々の表面張力を有する液体との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)し、その結果から、又はその結果をグラフにして得たものである。また、この測定に際して、種々の表面張力を有する液体としては、純正化学株式会社製のぬれ指数標準液を用いた。
接触角変化層14は、光触媒を含有する光触媒含有層であり、少なくとも光触媒とバインダー(結着剤ともいう)とから構成されている。接触角変化層14である光触媒含有層は光照射による光触媒の作用で臨界表面張力を高くすることができ、液体との接触角を低くすることができる。光触媒の作用機構は必ずしも明確ではないが、光照射によって生成したキャリアが、近傍の化合物との直接反応、あるいは、酸素、水の存在下で生じた活性酸素種によって、有機物の化学構造に変化を及ぼすものと考えられている。本発明において、接触角変化層14として光触媒含有層を用いた場合、光触媒作用により、バインダーの一部である有機基や添加剤の酸化、分解等を生じさせることができ、光が照射された部分の濡れ性を変化させて親インク性とし、光が照射されない撥インク性部分との濡れ性に大きな差を生じさせることができる。その結果、光透過部形成用塗布液を親インク性部分にのみ塗布することができる。
接触角変化層14である光触媒含有層は、少なくとも、光触媒と、光触媒作用により撥インク性から親インク性に変化するバインダーとを含有している。バインダーは、光触媒反応によって液体との接触角が低下する樹脂材料であり、例えば、光触媒反応により親インク性から撥インク性に変化する、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、アルコキシシラン系化合物、塩素化樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂等が挙げられる。このとき、光透過部形成用塗布液が油性である場合には、光触媒反応により、撥油性から親油性に変化するバインダー樹脂材料が用いられ、光透過部形成用塗布液が水性である場合には、光触媒反応により、撥水性から親水性に変化するバインダー樹脂材料が用いられる。バインダー用樹脂材料は、適当な溶剤で希釈され、さらに光触媒を配合して接触角変化層形成用塗布液として調整され、グラビアコート、カーテンコート、ロールコート、インクジェット等の公知の塗布手段や印刷手段で塗布される。その後、溶媒を除去して接触角変化層が形成される。接触角変化層14の厚さは、1μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。
光触媒としては、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、及び酸化鉄(Fe)から選択される1種又は2種以上の物質を用いることが好ましい。この発明によれば、接触角変化層14が光触媒を含有する光触媒含有層であるので、光触媒反応を利用して、例えば撥インク性を有する接触角変化層14の表面を、セルフアライメント(自己整合)的にストライプ状の親インク性領域に変化させることができる。
上記の光触媒のうち、酸化チタン(TiO)が好ましく用いられる。酸化チタンとしては、アナターゼ型とルチル型のいずれも使用することができるが、アナターゼ型酸化チタンは、バンドギャップエネルギーが高く、化学的にも安定で毒性も無く、入手も容易であるので特に好ましい。
光触媒の粒径については、光透過部15に含まれて悪影響を及ぼさない程度の粒径であり且つ所望の光触媒作用を発揮することができれば特に限定されないが、例えばアナターゼ型酸化チタンについて言えば、粒径が小さいものの方が光触媒反応が効率的に起こるので好ましい。具体的には、アナターゼ型酸化チタンの平均粒径としては、50nm以下のものが好ましく、20nm以下のものが特に好ましい。例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(石原産業製、STS−02、平均結晶子径7nm)、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産化学製、TA−15、平均結晶子径12nm)を挙げることができる。
光触媒含有層は、光触媒がバインダー中に分散した状態で形成されている。光触媒は、バインダーをも光励起により分解するおそれがあるため、本発明に適用するバインダーは光触媒の光酸化作用に対して十分な抵抗性を有するものであることが好ましい。
バインダーの具体的な材料としては、例えば、主骨格がシロキサン結合(−Si−O−)を有するシリコーン樹脂を好ましく使用することができる。シリコーン樹脂は、ケイ素原子に有機基が結合しており、光触媒を光励起すれば、シリコーン分子のケイ素原子に結合した有機基は光触媒作用により酸素含有基に置換されて濡れ性が向上するので、濡れ性が変化する物質としての機能を示す。
シリコーン樹脂としては、一般式YSiX4−n(n=1〜3)で表されるケイ素化合物の1種又は2種以上の加水分解縮合物、共加水分解縮合物を使用することができる。Yは、アルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、又はエポキシ基を挙げることができ、Xは、ハロゲン、メトキシル基、エトキシル基、又はアセチル基を挙げることができる。具体的には、例えば上述した特許文献2に記載のように、メチルトリクロルシラン、メチルトリブロムシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン;エチルトリクロルシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリt−ブトキシシラン;n−プロピルトリクロルシラン、n−プロピルトリブロムシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリt−ブトキシシラン;n−ヘキシルトリクロルシラン、n−ヘキシルトリブロムシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリイソプロポキシシラン、n−ヘキシルトリt−ブトキシシラン;n−デシルトリクロルシラン、n−デシルトリブロムシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−デシルトリイソプロポキシシラン、n−デシルトリt−ブトキシシラン;n−オクタデシルトリクロルシラン、n−オクタデシルトリブロムシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリイソプロポキシシラン、n−オクタデシルトリt−ブトキシシラン;フェニルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリt−ブトキシシラン;ジメトキシジエトキシシラン;ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン;ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン;フェニルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン;トリクロルヒドロシラン、トリブロムヒドロシラン、トリメトキシヒドロシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリイソプロポキシヒドロシラン、トリt−ブトキシヒドロシラン;ビニルトリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシシラン;γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリt−ブトキシシラン;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン;及び、それらの部分加水分解物;及びそれらの混合物を使用することができる。
また、シリコーン分子は、ケイ素原子に結合したオルガノ基としてフルオロアルキル基を含有してもよい。この場合には、光が照射されない部分の臨界表面張力を更に低下させることができる。したがって、光透過部形成用塗布液と、光が照射されない部分との反撥性が増し、光が照射されない部分(すなわち光吸収部16が形成される部分)への光透過部形成用塗布液の付着を妨げることができると共に、使用可能な光透過部形成用塗布液の構成材料の選択肢が増すこととなる。
具体的には、下記のフルオロアルコキシシランの1種又は2種以上の加水分解縮合物、共加水分解縮合物から形成される。また、フルオロアルキル基を含有する化合物としては、上述した特許文献2に記載の下記の化合物を挙げることができ、一般にフッ素系シランカップリング剤として知られているものを使用しても良い。
CF(CFCHCHSi(OCH、CF(CFCHCHSi(OCH、CF(CFCHCHSi(OCH、CF(CFCHCHSi(OCH、(CFCF(CFCHCHSi(OCH、(CFCF(CFCHCHSi(OCH、(CFCF(CFCHCHSi(OCH、CF(C)CSi(OCH、CF(CF(C)CSi(OCH、CF(CF(C)CSi(OCH、CF(CF(C)CSi(OCH、CF(CFCHCHSiCH(OCH、CF(CFCHCHnSiCH(OCH、CF(CFCHCHSiCH(OCH、CF(CFCHCHSiCH(OCH、(CFCF(CFCHCHSiCH(OCH、(CFCF(CFCHCHSiCH(OCH、(CFCF(CFCHCHSiCH(OCH、CF(C)CSiCH(OCH、CF(CF(C)CSiCH(OCH、CF(CF(C)CSiCH(OCH、CF(CF(C)CSiCH(OCH、CF(CFCHCHSi(OCHCH、CF(CFCHCHSi(OCHCH、CF(CFCHCHSi(OCHCH、CF(CFCHCHSi(OCHCH、CF(CFSON(C)CHCHCHSi(OCH
本発明のバインダーとしては、反応性の線状シリコーン、好ましくはジメチルポリシロキサンを低架橋密度で架橋することにより得られるシリコーンが好ましく、そうした反応性シリコーン化合物としては、縮合して架橋を行うものでも、架橋剤を用いて架橋を行うものであってもよい。反応性シリコーン化合物として、水性エマルジョン型のものを用いてもよい。水性エマルジョン型の化合物は、水性溶媒を用いるので、取り扱いが容易である。また、本発明のバインダーとして使用する反応性シリコーン化合物と共に、ジメチルポリシロキサンのような架橋反応をしない安定なオルガノシロキサン化合物を混合することによって撥インク性(撥油性)を高めてもよい。
こうして形成された接触角変化層14は、凸シリンドリカルレンズ13A側からシート本体12に略平行光(入射光6)を入射させたときに、その略平行光が凸シリンドリカルレンズ13Aで集光して通過する領域(集光領域14aという)に対応するところが、撥インク性から親インク性に変化した親インク性領域となる。一方、その略平行光が凸シリンドリカルレンズ13Aで集光して通過しない領域(非集光領域14bという)に対応するところは、撥インク性から親インク性に変化しない撥インク性領域となる。この親インク性領域は、凸シリンドリカルレンズ13A側からの略平行光で起こる光触媒反応を利用して形成された領域であり、この親インク性領域上に、後述する光透過部形成用塗布液が塗布されて、光透過部15が形成されることになる。
なお、上記の親インク性領域の上に光透過部形成用塗布液が塗布されて光透過部15を形成し、また、上記の撥インク性領域の上に光吸収部形成用塗布液が塗布されて光吸収部16が形成されるが、セルフアライメントによる製造段階での集光領域14a(親インク性領域)及び非集光領域14b(撥インク性領域)の幅と、完成品時での光透過部15及び光吸収部16の幅とが異なる場合がある。そのため、製造段階では、完成品時における所望幅の光透過部15及び光吸収部16を形成するために、適宜、入射させる略平行光の強度、照射時間、入射角度等を調整して、所定幅の集光領域と非集光領域を形成する。
(光透過部)
光透過部15は、接触角変化層上にストライプ状に形成されている。光透過部15が形成される接触角変化層14上の領域は、シート本体12の略法線方向と略平行な光を凸シリンドリカルレンズ13A側から照射することにより、凸シリンドリカルレンズ13Aで集光された光路に位置する、接触角が低下した集光領域14aである。接触角が低下した集光領域14aは、セルフアライメント(自己整合)的に精度よく形成されているので、その集光領域14a上に、その集光領域14aと親インク性のある光透過部形成用塗布液を塗布することにより、精度よく光透過部15を形成することができる。なお、光透過部形成用塗布液は、集光領域14aが親油性である場合には油性のものが用いられ、集光領域14aが親水性である場合には水性のものが用いられる。
光透過部15は、少なくとも光拡散剤17とバインダーとから構成されている。バインダーとしては、特に限定されない公知の印刷インキ用樹脂を用いることができ、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂等を挙げることができる。バインダーの特性として、集光領域14aが油性インクに対して親インク性である場合には、バインダーとして油性のものを用いることが好ましく、集光領域14aが水性インクに対して親インク性である場合には、バインダーとして水性のものを用いることが好ましい。こうした、親インク性や撥インク性の調整は、親インク性の樹脂成分や撥インク性の樹脂成分をバインダー中に含有させることにより行うことができる。例えば、撥インク性のシリコーン樹脂やフッ素樹脂等を含有させたり、シリコーン化合物やフッ素化合物等を添加させたりすることができる。
光拡散剤17としては、一般的に光学シートに用いられる光拡散性微粒子等の光拡散剤であればよく、例えば、スチレン樹脂微粒子、シリコーン樹脂微粒子、アクリル樹脂微粒子、MS樹脂(メタクリル−スチレン共重合樹脂)微粒子等の有機系微粒子、硫酸バリウム微粒子、ガラス微粒子、水酸化アルミニウム微粒子、炭酸カルシウム微粒子、シリカ(二酸化珪素)微粒子、酸化チタン微粒子、ガラスビーズ等の無機系微粒子等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を上記のバインダー中に含有させることができる。
光透過部15中の光拡散剤17の含有量は、所望の光拡散性能に合わせて調整され、通常、0.1重量%以上30重量%以下の範囲内で含有させることができる。光拡散剤17の含有量が0.1重量%未満では、光透過部15において十分な光拡散性能を発揮させることができず、光拡散剤17の含有層が30重量%を超えると、光透過部15中での光拡散剤の分散性が悪くなったり、光透過性が顕著に低下したりすることがある。本発明においては、光透過部15内にこのような範囲内で光拡散剤を含有させるので、光支持板光吸収部よりも光源側の光拡散シート本体に含まれる光拡散剤の量を減少させることができる。その結果、光拡散シート本体に含まれる光拡散剤に当たって拡散する映像光の一部がストライプ状の光吸収部で吸収されるのを抑制することができると共に、輝度が低下したりコントラストが低下したりするという従来の問題を解決できる。また、同様に、光吸収部16よりも観察者側の層又は部材に含まれる光拡散剤の量を減少又は無くすことができるので、観察者側から入射する外光が光吸収部16で吸収される前に光拡散剤で散乱したり反射したりするのを抑制でき、その結果、コントラストが低下してしまうという従来の問題を解決することができる。
特に光拡散剤の含有量を1重量%以上20重量%以下の範囲内で含有させることが好ましく、この範囲とすることにより、視野角を拡大できると共に、輝度低下の抑制やコントラスト低下の抑制という格別の効果を奏する。
こうした光透過部15は、少なくとも光拡散剤とバインダーとを含む光透過部形成用塗布液を塗布することにより形成される。光透過部形成用塗布液には、更に必要に応じて、コーティング適性等を持たせるための溶剤を加えたり、添加剤等を加えたりすることができる。例えば、溶剤としては、アルコール系、エステル系、ケトン系、水等が挙げられ、添加剤としては、レベリング剤、分散剤等が挙げられる。
取り扱いが容易な光透過部形成用塗布液として、溶剤を含まない電離放射線硬化型塗布液(インキ)に光拡散剤を含有させたものを用いることができる。電離放射線硬化型塗布液は、通常、プレポリマー、モノマー、光重合開始剤を主成分とするが、電子線硬化型の塗布液の場合は光重合開始剤を含まなくてもよい。プレポリマーとしては、例えば、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート、オリゴアクリレート、アルキドアクリレート、ポリオールアクリレート、シリコンアクリレート等が挙げられ、これらの中のうちの1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。モノマーとしては、例えば、スチレン、酢酸ビニル等のビニルモノマー;n−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等の単官能アクリルモノマー;ジエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ヒドロキシピペリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリストールヘキサアクリレート等の多官能アクリルモノマー等が挙げられ、これらの中のうちの1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。光重合開始剤としては、例えば、イソブチルベンゾインエーテル、イソプロピルベンゾインエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、1−フェニル−1,2−プロパジオン−2−オキシム、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンジル、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾフェノン、クロロチオキサントン、2−クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、塩素置換ベンゾフェノン、ハロゲン置換アルキル−アリルケトン等が挙げられる。その他必要に応じて脂肪族アミン、芳香族アミン等の光開始助剤、チオキサンソン等の光鋭感剤等を用いてもよい。
本発明においては、光透過部形成用塗布液を、接触角が低下したストライプ状の集光領域14aのみに塗布し、その後に硬化させることにより光透過部15を形成することができる。形成された光透過部15は、いわゆる土手状となり、その後に、非集光領域14bに塗布される光吸収部形成用塗布液を堰き止めるように作用する。光透過部形成用塗布液の塗布方法としては、グラビアコート、ロールコート、ビードコート、スプレイコート、インクジェット等公知の方法を適用することができる。
上記のように油性のバインダーを含む光透過部形成用塗布液で光透過部15を形成した場合には、後述する光吸収部形成用塗布液を水性のものとすることにより、光吸収部形成用塗布液が光透過部15上に付着するのを防ぐことができ、その結果、光透過部15と光吸収部16との境界を明確に区分けすることができる。一方、水性のバインダーを含む光透過部形成用塗布液で光透過部15を形成した場合には、後述する光吸収部形成用塗布液を油性のものとすることにより、光吸収部形成用塗布液が光透過部15上に付着するのを防ぐことができ、その結果、光透過部15と光吸収部16との境界を明確に区分けすることができる。
なお、上記のように、光透過部15は、形成された集光領域14a上に光透過部形成用塗布液を塗布して形成されるが、他の方法としては、光透過部15を形成した後にシート本体12の他方の面S2側から光を照射し、その照射領域について光吸収部形成用塗布液と接触角変化層14との濡れ性をよくしてもよい。
(光吸収部)
光吸収部16は、上述したストライプ状の光透過部間に、同じくストライプ状に形成されている。光吸収部16が形成される接触角変化層14上の領域は、上記光吸収部16が形成されない領域、すなわち、シート本体12の略法線方向と略平行な光を凸シリンドリカルレンズ13A側から照射することにより、凸シリンドリカルレンズ13Aで集光された光路以外の非集光領域14bである。上記光透過部15は精度よくストライプ状に形成されているので、その光透過部間の非集光領域14b上に、光吸収部形成用塗布液を塗布することにより光吸収部16を精度よく形成することができる。この光吸収部16は、光拡散シート11Aの出光面側からの外光を遮断又は吸収して光拡散シート面に結像した画像のコントラストを向上させる作用を有している。
光吸収部16は、少なくとも光吸収性顔料と、バインダーとを有する光吸収部形成用塗布液で形成される。バインダーとしては、上記の光透過部形成用塗布液の場合と同様、特に限定されない公知の印刷インキ用樹脂を用いることができ、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂等を挙げることができる。バインダーの特性として、非集光領域14bが油性インクに対して親インク性である場合には、バインダーとして油性のものを用いることが好ましく、非集光領域14bが水性インクに対して親インク性である場合には、バインダーとして水性のものを用いることが好ましい。こうした、親インク性や撥インク性の調整は、親インク性の樹脂成分や撥インク性の樹脂成分をバインダー中に含有させることにより行うことができる。例えば、撥インク性のシリコーン樹脂やフッ素樹脂等を含有させたり、シリコーン化合物やフッ素化合物等を添加させたりすることができる。
光吸収性顔料としては、一般的に光学シートに用いられる光吸収性顔料であればよく、カーボンブラックが好ましく用いられる。光吸収部形成用塗布液中の光吸収性顔料の含有量は、所望の光吸収性能に合わせて調整され、通常、5重量%以上50重量%以下の範囲内で含有させることができる。光吸収性顔料の含有量が5重量%未満では、光吸収部16において十分な光吸収性能を発揮させることができず、光吸収性顔料の含有層が50重量%を超えると、コーティング適性が悪くなることがある。
光吸収部形成用塗布液には、更に必要に応じて、コーティング適性等を持たせるための溶剤を加えたり、添加剤等を加えたりすることができる。例えば、溶剤としては、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、水等が挙げられ、添加剤としては、レベリング剤、分散剤等が挙げられる。取り扱いが容易な光透過部形成用塗布液として、溶剤を含まない電離放射線硬化型塗布液(インキ)に光拡散剤を含有させたものを用いることができる。電離放射線硬化型塗布液は、通常、プレポリマー、モノマー、光重合開始剤を主成分とするが、電子線硬化型の塗布液の場合は光重合開始剤を含まなくてもよい。プレポリマー、モノマー、光重合開始剤、及び塗布方法については、上述した光透過部形成用塗布液の場合と同じであるので、ここでは省略する。
光吸収部形成用塗布液の塗布方法としては、グラビアコート、ロールコート、ビードコート、スプレイコート、インクジェット等公知の方法を適用することができる。光吸収部16の厚さは特に限定されない。
(支持板)
支持体19は、光拡散シート11Aの光透過部15で拡散した光を透過することができる光透過性と、比較的薄いシート本体12のたわみを防いで結像した画像のゆがみを防ぐことができる剛性とを有していることが望ましく、光透過部15上及び光吸収部上に、直接又は接着層18を介して設けられる。
支持体19は、光透過性の透明又は半透明のシート状部材であり、ディスプレイ等の光透過性を有する光学シートに用いられる樹脂材料で形成されている。光透過性を有する材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、セルロース系樹脂、シクロオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。好ましくは、光透過性と剛性に他に、表面耐擦傷性及び耐候性を考慮して選択されることが望ましい。
支持体19は、上述した樹脂材料を例えば押出成形機等で押出成形することにより形成される。支持体19の厚さは、光透過性及び剛性を考慮して適宜設定されるが、通常1mm〜5mmの範囲である。支持体は、1層の樹脂層で形成されていてもよいが、2層以上の樹脂層で形成されていてもよい。また、上記の光透過部15の説明箇所に挙げた光拡散剤を含有させた支持体19であってもよいし、その光拡散剤を有する拡散層を備える支持体であってもよいが、その含有量は、本発明の所期の目的を達成できる程度であることが好ましい。また、支持体には、種々の機能を付加するための透明層、反射防止層、低反射層、ハードコート層、帯電防止層、防眩層、汚染防止層、偏光フィルタ層、及び電磁波シールド層等を、その目的に応じて設けてもよい。
接着層18は、例えば、放射線硬化型の接着剤やポリマー粘着剤で形成される。放射線硬化型の接着剤としては、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂等の接着剤が好ましく用いられ、ポリマー粘着剤としては、アクリル系ポリマー粘着剤等が好ましく用いられる。接着層18の厚さは特に限定されないが、通常10〜100μm程度である。
(透過型スクリーン及び背面投射型表示装置)
図4〜図6は、本発明の透過型スクリーンの例を示す模式的な斜視図である。本発明の透過型スクリーン31,32,41は、図4〜図6に示すように、本発明の光拡散シート(11A,11B)と、フレネルレンズシート(21,22)とを有している。具体的には、図4は、凸シリンドリカルレンズ13Aが形成された光拡散シート11Aと、フレネルレンズシート21とを有する透過型スクリーン31を示す模式的な斜視図であり、図5は、単位凸レンズ13Bが形成された光拡散シート11Bと、フレネルレンズシート21とを有する透過型スクリーン32を示す模式的な斜視図であり、図6は、凸シリンドリカルレンズ13Aが形成された光拡散シート11Aと、他の形態のフレネルレンズシート22とを有する透過型スクリーン41を示す模式的な斜視図である。なお、図5においては、支持板19を便宜上省略していると共に、図4や図6に示すような支持板19と光拡散シート11Bとの間の層を便宜上省略しているが、それらは図4や図6と同様に含まれる。
透過型スクリーン31,32,41は、光拡散シート11A、11Bの映像光源側にフレネルレンズシート21,22を備えている。フレネルレンズシート21,22は、映像光源から拡大投射される映像光を観察者側に配置された光拡散シート11A,11Bへ略平行光に屈折させるレンズシートである。フレネルレンズシートとしては、そうした機能を有するフレネルレンズシートであれば、図4及び図5に示したように、フレネル中心がシート面内に存在するサーキュラーフレネルレンズシート21であってもよいし、図6に示したように、フレネル中心がシート面内に存在しない全反射フレネルレンズシート22であってもよい。この全反射フレネルレンズシート22は、屈折面から入った映像光を全反射させる全反射面を備えたフレネルレンズで構成されている。また、全反射フレネルレンズを一部に有するフレネルレンズシートであってもよい。
なお、本発明の透過型スクリーン31,32,41に用いられるフレネルレンズシート21,22は、通常、シート状の基材21a,22aと、その基材上に設けられたフレネルレンズ部21b,22bとで構成され、近年の単光源に対応したファインピッチで形成されている。その形成材料としては、放射線硬化型樹脂、具体的にはウレタン系、ポリエステル系、エポキシ系等のアクリレート系樹脂材料が用いられる。そうしたフレネルレンズシート21,22の形成は、上記放射線硬化型樹脂をフレネルレンズの賦形型に塗布し、さらにその上に載せた基材上から放射線(例えば紫外線や電子線等)を照射して放射線硬化型樹脂を硬化させることにより行うことができる。その後、賦形型からシートを剥離してフレネルレンズシートを作製する。
光拡散シート11A,11Bは、上述した本発明に係る光拡散シートを適用でき、フレネルレンズシート21,22から入射した略平行光を拡散させて画像の視野角を広くする。
このような透過型スクリーン31,32,41を使用することにより、映像光源からの映像光を所定の角度範囲に拡散させることができるので、透過型スクリーン31,32,41の正面から水平方向(左右方向)にずれた位置で観察しても、良好な映像を観察することができる。
本発明の透過型スクリーン31,32,41は、光透過部15と光吸収部16とが所望の位置に精度よく形成された光拡散シート11A,11Bを備えるので、外光の反射防止の向上と、映像のコントラストの向上を実現できる。また、本発明の透過型スクリーン31,32,41は、光拡散シート11A,11Bの光透過部15と光吸収部16とがいわゆるセルフアライメント(自己整合)的に形成されているので、ピッチが小さくても精度のよい光透過部15と光吸収部16とが得られる。その結果、光源としてLCDやDLPを用いた背面投射型表示装置の透過型スクリーンとして好ましく用いることができ、コントラストのよい透過型スクリーンとすることができる。
(背面投射型表示装置)
図7は、本発明の透過型スクリーンが装着された背面投射型表示装置の例を示す模式的な構成図である。図7(A)は、フレネル中心がシート面内にあるサーキュラーフレネルレンズを有する透過型スクリーン31(図4参照)が装着された背面投射型表示装置の例であり、図7(B)は、フレネル中心がシート面外にある全反射型のサーキュラーフレネルレンズを有する透過型スクリーン41(図6参照)が装着された背面投射型表示装置の例である。
背面投射型表示装置50a,50bは、本発明の透過型スクリーン31,41を前面側の窓部に備えたものであり、比較的薄型の筐体51a,51bの底部に光源52が配置され、筐体51a,51bの後部壁内面には光源52からの光54を透過型スクリーン31,41に向かって反射させるミラー53a,53bが配置されている。このときの光源52は、LCD(Liquid Crystal Display)やDLP(Digital Light Processing)を用いた単管方式の単光源である。光源52から出射した光54は、ミラー53a,53bで透過型スクリーン31,41側に反射され、透過型スクリーン31,41に入射した後、前述したフレネルレンズシート21,22で略平行光に偏向され、さらに光拡散シート11Aで所望の拡散光55に偏向されて、透過型スクリーン31,41から観察者側に向かって出射する。
(光拡散シートの製造方法)
次に、本発明の光拡散シートの製造方法について説明する。図8は、本発明の光拡散シートの製造方法の一例を示す工程図である。以下においては、集光レンズとして凸シリンドリカルレンズ13Aが形成された例で説明しているが、上述と同様、凸シリンドリカルレンズ13Aの代わりに、単位凸レンズ13Bが集光レンズとして形成されたものであってもよい。
本発明の光拡散シートの製造方法は、図8に示すように、厚さ方向の一方の面S1に多数の凸シリンドリカルレンズ13Aが形成された光拡散シート本体12の他方の面S2上に、光照射により液体との接触角が変化する接触角変化層14を形成する工程と、その接触角変化層14上に光拡散剤17を含む光透過部15を形成する工程と、その光透過部15,15間に光吸収部16を形成する工程とを有することに特徴がある。なお、光拡散シートを製造するためのその他の製造、例えば、シート本体12、凸シリンドリカルレンズ13Aの製造については、従来公知の方法と同様である。
接触角変化層14上に光拡散剤17を含む光透過部15を形成する工程は、光拡散シート本体12の略法線方向と略平行な光6を凸シリンドリカルレンズ13A側から照射することにより、凸シリンドリカルレンズ13Aで集光された光が通過する領域(集光領域14a)の接触角変化層14の接触角を低下させるステップと、接触角が低下した領域(集光領域14a)の接触角変化層14上に、光拡散剤17を含む樹脂組成物を塗布するステップとを含んでいる。
接触角変化層14の集光領域14aに光を集光させて接触角を低下させるのに用いられる光学系としては、図9に示すように、光源として半導体レーザー81を用い、その半導体レーザー81から照射されたレーザー光線85をポリゴンミラー82でスキャンし、さらにコリメーターレンズ83で略平行光101にし、その略平行光86を凸シリンドリカルレンズ13A側から光拡散シート11Aに照射し、その光拡散シート11Aを透過した光の光強度をCCDセンサー84等の受光装置で検知する光学系を例示できる。本発明においては、こうした光学系により、光触媒作用によって接触角変化層14の集光領域の接触角を低下させることができる。また、水銀灯にルーバーを組み合わせて略平行光とした紫外線を、シート本体12の凸シリンドリカルレンズ13A側より照射することによっても接触角を低下させることができる。
以下、図8を参照しつつ、本発明の光拡散シートの製造方法について工程順に説明する。
先ず、図8(A)に示すように、凸シリンドリカルレンズ13Aが賦形されたシート本体12を用意する。なお、このシート本体12は、従来公知の種々の方法で形成できるが、例えば樹脂材料を押出成形機等で押出成形することにより形成したり、透明な基材シート部12bの一方の面上に紫外線硬化樹脂を塗布し、塗布された紫外線硬化樹脂をスタンパーで成型すると同時に紫外線照射により硬化させて、その基材シート部12b上に凸シリンドリカルレンズ13Aを形成したりすることができる。なお、図8(A)中、符号S1は光源側(入光面側)の面を指しており、符号S2は観察者側(出光面側)の面を指している。こうして、厚さ方向の一方の面S1に凸シリンドリカルレンズ13Aが並設された光拡散シート本体12を形成する。
次いで、図8(B)に示すように、そのシート本体12の観察者側(出光面側)の面S2に、光照射により液体との接触角が変化する接触角変化層14を形成する。この工程において、接触角変化層14は、上述したような光触媒とバインダー用樹脂材料とを含む接触角変化層形成用塗布液を塗布することにより形成される。この接触角変化層用塗布液は、シート本体12の観察者側の面にダイコート、カーテンコート、ディップコート、ロールコート等の塗布手段や各種の印刷手段で塗布される。
次いで、図8(C)に示すように、この接触角変化層14が形成されたシート本体12の凸シリンドリカルレンズ13A側から略平行光6を照射する。この光照射により、接触角変化層14の少なくとも観察者側の外表面のうちで略平行光6の光路となった集光領域14aは、後で塗布される光吸収部形成用塗布液との接触角を低下させるように、光触媒反応によって親インク化処理される。なお、「少なくとも外表面」とは、接触角変化層14の観察者側の外表面S2のみが親インク化したものであっても、外表面S2を含む所定の厚さからなる層が親インク化したものであってもよいことを意味している。
この工程において、光触媒反応によって接触角を低下させる親インク化処理方法とは、酸化チタン等の光触媒粒子を含有する接触角変化層14を露光する方法である。すなわち、図8(C)に示すように、凸シリンドリカルレンズ13A側からシート本体12に略平行光6を照射し、その略平行光6を凸シリンドリカルレンズ13Aで集光した集光領域14aを露光する方法である。こうした方法により、接触角変化層14の観察者側表面S2における露光された部分の側鎖が光触媒反応により分解し、その分解部分が、光吸収部形成用塗布液との接触角を低下させるように親インク化処理される。
光触媒反応の原理は以下の通りである。酸化チタンを含有する接触角変化層14に380nm以下の略平行光6を照射することにより、光触媒粒子内で光電気化学反応が起こって水や酸素等から活性酸素種等が発生する。活性酸素種等は、光触媒粒子内での光電気化学反応に基づいて生じる活性酸素又は活性水酸基であり、それらの活性酸素種等が親油性である接触角変化層14の側鎖(例えばアルキル側鎖)にアタックし、その側鎖の結合が切断される。側鎖が切断された部分には、その活性酸素種等が入れ替わって結合して親インク性に変化する。こうして、集光領域14aが親インク性で、非集光領域14bが撥インク性を呈した接触角変化層14が形成される。この場合において、親インク性が、油性インクに対するものでるか、水性インクに対するものであるかは、既述したように、光透過部形成用塗布液と光吸収部形成用塗布液とを選択することによって任意に選定される。
シート本体12の凸シリンドリカルレンズ13Aに照射する光としては、略平行光6であることが好ましい。なお、略平行光6により親インク化処理を行う場合には、外光等が接触角変化層14に影響しないように、暗室等で行うことが好ましい。
次に、図8(D)に示すように、接触角変化層14の外表面のうちで略平行光6の光路となった集光領域14a上に、光拡散剤17を含有する光透過部形成用塗布液を塗布し、ストライプ状の光透過部15を形成する。上述したように、集光領域14aは、光照射による光触媒反応によって、光透過部形成用塗布液に対する接触角が低下しているので、接触角が低下した集光領域14aに係る接触角変化層14上に光透過部形成用塗布液を塗布することにより、光拡散剤とバインダーとを有する光透過部15を精度よく形成することができる。光透過部形成用塗布液の塗布方法は、既述したのでここでは省略する。
この工程において、光透過部形成用塗布液として、放射線硬化型樹脂組成物をバインダー用樹脂材料として用いた場合には、その放射線硬化型樹脂組成物を塗布するステップの後に、放射線を照射するステップを行うことが望ましい。放射線硬化型樹脂組成物で光透過部形成用塗布液を構成することは、工程時間の短縮と寸法精度の点で好ましい。
次に、図8(E)に示すように、接触角変化層14の外表面S2のうちで略平行光6の光路とならなかった非集光領域14b上に、少なくとも光吸収性顔料を含む光吸収部形成用塗布液を既述した各種の方法で塗布し、光透過部間にストライプ状の光吸収部16を形成する。具体的には、例えば光吸収部形成用塗布液を全面に塗布した後にドクターによって光透過部15上の塗布液を掻き落とす等の方法で光吸収部16を形成することができる。この光吸収部形成用塗布液も、上記の光透過部形成用塗布液と同様に、放射線硬化型樹脂組成物を主成分とするものであってもよい。
特に、光吸収部形成用塗布液が、非集光領域14bに対しては親インク性を有し(すなわち濡れ性がよく)、光透過部15に対しては撥インク性を有する(すなわち濡れ性がよくない)ものを選択することが好ましい。こうすることにより、光吸収部形成用塗布液が光透過部15上に残る、いわゆる「カブリ」等の問題を極力少なくすることができる。
次に、図8(F)に示すように、接着層18を形成し、さらに支持板19をその接着層18を介して光拡散シート11Aと貼り合わせる。こうして光透過部15と光吸収部16とがストライプ状に精度よく形成された光拡散シート11Aを製造することができる。
以上説明した光拡散シート11Aの製造方法は、非集光領域14b以外の領域、すなわち略平行光6の光路となった集光領域14aをセルフアライメント的に精度よく形成することができるので、非集光領域14bもセルフアライメント的に精度よく形成することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
シート本体12の作製;軟化温度98℃のメタクリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(MBS樹脂)ペレットを押出成形装置のホッパーに投入して溶融させ、溶融したMBS樹脂を押し出し、シリンドリカル状のレンチキュラーレンズからなる凸シリンドリカルレンズ13Aの賦形型を外周に備えた型ロールで型押しを行なった。このとき、型ロールの表面温度を80℃に設定し、型ロールの引き取り速度を3m/分に設定した。この条件により、入光側となる面にピッチが150μmの複数の凸シリンドリカルレンズ13Aを形成した。形成された凸シリンドリカルレンズ13Aは、入光側の表面が凸状の曲面を有した縦長の凸シリンドリカルレンズであり、その長手方向がシート本体12の搬送方向と平行になるように設けられている。なお、シート本体12の総厚さを約150μmとした。
接触角変化層の形成;作製したシート本体12の凸シリンドリカルレンズ13A側の反対面である出光面に、接触角変化層14を形成した。接触角変化層14を形成するための接触角変化層用塗布液として、イソプロピルアルコール30gとフルオロアルキルシランが主成分であるMF−160E(トーケムプロダクツ(株)製)0.4gとトリメトキシメチルシラン(東芝シリコーン(株)製、TSL8113)3gと、光触媒である酸化チタン水分散体であるST−K01(石原産業(株)製)20gとを混合し、100℃で20分間撹拌し、これをイソプロピルアルコールにより3倍に希釈した光触媒含有層用組成物を用いた。
上記の接触角変化層用塗布液を、シート本体12の凸シリンドリカルレンズ13A側の反対面である出光面に塗布し、150℃で10分間の乾燥処理を行うことにより、光触媒を含有した透明な接触角変化層を形成した。
光照射による接触角の変化;凸シリンドリカルレンズ13A側から略平行光を照射して、集光領域14aの接触角を変化させた。略平行光は、図9に示したように、半導体レーザー81から照射されたレーザー光線85をポリゴンミラー82でスキャンし、さらにコリメーターレンズ83で略平行光86にし、その略平行光86を凸シリンドリカルレンズ13A側からシート本体12に照射した。略平行光86は凸シリンドリカルレンズ13Aで屈折してシート本体12を透過する。その透過光はCCDセンサー84で検出し、その検出データをもとにして照射条件を設定した。
集光領域14aの接触角は、表面張力50mN/mの液体(純正化学株式会社製、ぬれ指数標準液No.50)に対する接触角に換算して7°以下となった。なお、光照射されない非集光領域14bの接触角は、表面張力30mN/mの液体(純正化学株式会社製、エチレングリコールモノエチルエーテル)に対する接触角に換算して30°となっていた。このときの接触角は、接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)した。このように、光照射(露光)された集光領域14aが親インク性領域となり、光照射(露光)されない非集光領域14bが撥インク性領域となり、集光領域14aと非集光領域14bとの濡れ性(接触角)の相違によるパターンを、シート本体12が有する凸シリンドリカルレンズ13Aでセルフアライメント(自己整合)的に精度よく形成することができた。
光透過部の形成;上記のように接触角が低下した集光領域14a(親インク性領域)に光透過部形成用塗布液を塗布して光透過部15を形成した。光透過部形成用塗布液としては、バインダーとしてアクリル系樹脂を30重量部、光拡散剤としてスチレン樹脂微粒子を3重量部、さらに撥インクとしてシリコン化合物を5重量部、更に希釈溶剤としてトルエンとメチルエチルケトンの混合溶剤(配合比1:1)を用いた。この光透過部形成用塗布液をロールコート法でシート本体12上に塗布することにより、この光透過部形成用塗布液に対する接触角が小さい集光領域14aにのみ塗布液を塗布することができ、その後、80℃30秒の条件で熱風乾燥して硬化させることにより、光透過部15を接触角が低下した集光領域14aにのみ形成することができた。
光吸収部の形成;上述の光透過部間である非集光領域14bに光吸収部形成用塗布液を塗布して光吸収部16を形成した。光吸収部形成用塗布液としては、バインダーとしてウレタン系エマルジョン樹脂を30重量部、光吸収性顔料としてカーボンブラックを15重量部、さらに溶剤として水とアルコールの混合溶剤(配合比1:1??)を用いた。この光吸収部形成用塗布液をロールコート法で、光透過部15が形成された面の全面に塗布することにより、非集光領域14bにのみ塗布液を塗布することができ、その後、80℃30秒の条件で熱風乾燥して硬化させることにより、光吸収部16を接触角が低下しない非集光領域14bにのみ形成することができた。こうしてフレネルレンズシート中間体を作製した。
支持板の接着;支持板18としては、MS樹脂(メタクリル−スチレン共重合体樹脂:新日鐵化学株式会社製のMS−600)中にアクリル系の光拡散剤(積水化成品工業株式会社製、MBX−12)を1重量%含有させた厚さ2mmのものを、押出により作製した。作製された支持板18上に、接着層形成用のウレタンアクリレート樹脂を硬化後の接着層の厚さが50μmになるように所定量を塗布し、その上に、上記のようにして作製されたフレネルレンズシート中間体を載せて加圧しながら貼り合わせ、その後、支持板19の側から紫外線を照射して紫外線硬化型樹脂を硬化させ、最終的に50インチサイズ(1130mm×650mm)の光拡散シート11Aを作製した。こうして本発明に係る実施例1の光拡散シートを作製した。
実施例1の光拡散シートは、光拡散シート本体に含まれる光拡散剤に当たって拡散する映像光の一部がストライプ状の光吸収部で吸収されるのを抑制することができると共に、輝度が低下したりコントラストが低下したりするという従来の問題が生じていなかった。また、従来のものに比べて支持体に含まれる光拡散剤の量を減少させることができた。その結果、観察者側から入射する外光が光吸収部で吸収される前に光拡散剤で散乱したり反射したりするのを抑制でき、コントラストの低下を抑制できた。また、光透過部15と光吸収部16をセルフアライメント(自己整合)的に精度よく形成することができ、外観上、筋状に見えるという問題は起きなかった。
本発明の光拡散シートの一例を示す模式的な斜視図である。 図1に示す本発明の光拡散シートの模式的な断面図である。 本発明の光拡散シートの他の形態を示す、一部切り欠いた状態を示す模式的な斜視図である。 本発明の透過型スクリーンの一例を示す模式的な斜視図である。 本発明の透過型スクリーンの他の一例を示す模式的な斜視図である。 本発明の透過型スクリーンのさらに他の一例を示す模式的な斜視図である。 本発明の透過型スクリーンが装着された背面投射型表示装置の例を示す模式的な構成図である。 本発明の光拡散シートの製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の光拡散シートの製造方法において、接触角変化層に光照射を行うための光学系の一例を示す模式的な構成図である。 レンチキュラーレンズシートにBSパターンを形成する従来の転写方法の一例を示す工程図である。
符号の説明
11A,11B 光拡散シート
6 入射光(略平行光)
7 出射光
12 シート本体
12a 光拡散レンズ部
12b 基材シート部
13A 凸シリンドリカルレンズ
13B 単位凸レンズ
14 接触角変化層
14a 集光領域
14b 非集光領域
15 光透過部
16 光吸収部
17 光拡散剤
18 接着層
19 支持板
21,22 フレネルレンズシート
21a,22a シート状の基材
21b,22b フレネルレンズ部
31,32,41 透過型スクリーン
50a,50b 背面投射型表示装置
51a,51b 筐体
52 光源
53a,53b ミラー
54 映像光
55 拡散光
S1 集光レンズ側の面
S2 S1と反対側の面

Claims (15)

  1. 厚さ方向の一方の面に多数の集光レンズが設けられた光拡散シート本体と、当該光拡散シート本体の厚さ方向の他方の面上に形成された、光照射により液体との接触角が変化する接触角変化層と、当該接触角変化層上に形成された光透過部と、当該光透過部間に形成された光吸収部とを有する光拡散シートであって、前記光透過部が、光拡散剤を含むことを特徴とする光拡散シート。
  2. 前記光透過部は前記集光レンズによって集光された光が通過する集光領域に形成され、前記光吸収部は前記集光レンズによって集光された光が通過しない非集光領域に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光拡散シート。
  3. 前記集光レンズが一次元配列する凸シリンドリカルレンズ又は二次元配列する単位凸レンズであり、前記光透過部がストライプ状又はマトリックス状であり、前記光吸収部がストライプ状又は格子状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光拡散シート。
  4. 前記接触角変化層が、光触媒を含有する光触媒含有層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光拡散シート。
  5. 前記光触媒が、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、及び酸化鉄(Fe)から選択される1種又は2種以上の物質であることを特徴とする請求項4に記載の光拡散シート。
  6. 前記光吸収部が、光吸収顔料を含むインキによって形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光拡散シート。
  7. 前記光拡散シート本体が、前記集光レンズが形成された光拡散レンズ部と、当該光拡散レンズ部の基材となる基材シート部とからなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光拡散シート。
  8. 前記集光レンズのピッチが50μm以上150μm以下であり、前記光拡散シート本体の厚さが100μm以上200μm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の光拡散シート。
  9. 前記光透過部上及び前記光遮光部上に、直接に又は接着層を介して、透明又は半透明の支持体が設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の光拡散シート。
  10. 厚さ方向の一方の面に集光レンズが並設された光拡散シート本体の他方の面上に、光照射により液体との接触角が変化する接触角変化層を形成する工程と、
    前記接触角変化層上に光拡散剤を含む光透過部を形成する工程と、
    前記光透過部間に光吸収部を形成する工程と、を有することを特徴とする光拡散シートの製造方法。
  11. 前記接触角変化層上に光拡散剤を含む光透過部を形成する工程は、前記光拡散シート本体の略法線方向と略平行な光を前記集光レンズ側から照射することにより、前記集光レンズで集光された光が通過する集光領域の接触角変化層の接触角を低下させるステップと、接触角が低下した前記集光領域の接触角変化層上に、光拡散剤を含む樹脂組成物を塗布するステップと、を含むことを特徴とする請求項10に記載の光拡散シートの製造方法。
  12. 前記接触角変化層上に光拡散剤を含む光透過部を形成する工程において、前記光拡散剤を含む樹脂組成物が放射線硬化型樹脂組成物であり、当該放射線硬化型樹脂組成物を塗布するステップの後に、放射線を照射するステップを有することを特徴とする請求項11に記載の光拡散シートの製造方法。
  13. 前記集光レンズが一次元配列する凸シリンドリカルレンズ又は二次元配列する単位凸レンズであり、前記光透過部がストライプ状又はマトリックス状であり、前記光吸収部がストライプ状又は格子状であることを特徴とする請求項10〜12の何れか1項に記載の光拡散シートの製造方法。
  14. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光拡散シートと、フレネルレンズシートとを有することを特徴とする透過型スクリーン。
  15. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光拡散シートと、フレネルレンズシートとを有する透過型スクリーンを備えた背面投射型表示装置。
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