JP2006030596A - レンチキュラーレンズシート、その製造方法、透過型スクリーン及び背面投射型表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 遮光パターンが精度よく形成されたものを得易いレンチキュラーレンズシート、透過型スクリーン及び背面投射型表示装置を提供する。
【解決手段】 厚さ方向の一方の面に複数の単位レンズ4が形成されているシート本体2と、そのシート本体2の厚さ方向の他方の面上に形成されたストライプ状の遮光パターン3と、その遮光パターン間に位置する光透過部5とを有するレンチキュラーレンズシート1であって、遮光パターン3をインクジェットインクにより形成したことにより、上記課題を解決した。
【選択図】 図1
【解決手段】 厚さ方向の一方の面に複数の単位レンズ4が形成されているシート本体2と、そのシート本体2の厚さ方向の他方の面上に形成されたストライプ状の遮光パターン3と、その遮光パターン間に位置する光透過部5とを有するレンチキュラーレンズシート1であって、遮光パターン3をインクジェットインクにより形成したことにより、上記課題を解決した。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ストライプ状の遮光パターン(以下、ブラックストライプパターン又はBSパターンということがある。)を有するレンチキュラーレンズシート、その製造方法、透過型スクリーン及び背面投射型表示装置に関するものである。
背面投射型表示装置であるプロジェクションテレビジョンには、光源から発せられた映像光を拡大投影する透過型スクリーンが備えられている。この透過型スクリーンは、一般に、光源から拡大投射される映像光を観察者側へ平行光又は略平行光に偏向させるためのフレネルレンズシートと、その平行光又は略平行光を拡散させて画像の視野角を広くするためのレンチキュラーレンズシートとを有している。レンチキュラーレンズシートは、一般的に、光が入射する側の面(以下、入光面ともいう。)には光を水平方向へ拡散させるための縦長で鉛直方向に延びたシリンドリカルレンズが水平方向に多数配列されており、光が出射する側の面(以下、出光面ともいう。)上には前記の各シリンドリカルレンズで屈折した光の光路以外の領域にBSパターンが形成されている。BSパターンが形成されたレンチキュラーレンズシートは、BSパターンがそのレンチキュラーレンズシートの前面側(観察者側のこと。)から入射する外光を吸収するので、映像のコントラストを向上させることができる。
このような背面投射型表示装置の光源としては、従来、三原色が別々の管から投射される3管方式のCRT光源が一般的であったが、近年、LCDやDLPを用いた単管方式の光源も使用されてきている。単管方式の光源を用いた背面投射型表示装置においては、LCD等のセル構造に起因する格子パターンが透過型スクリーン上に投影されるので、周期的な構造を有するレンチキュラーレンズシート上に画像を投影して観察すると、レンチキュラーレンズシートのサンプリング効果によりモアレが発生する可能性がある。このため、モアレが発生する可能性を効果的に低減するには、シリンドリカルレンズのピッチを一般的に用いられていた0.6mm〜1.0mmの寸法から、0.2mm以下の小さな寸法に変更することが必要であるが、シリンドリカルレンズのピッチを小さくする場合は、BSパターンのピッチも小さくする必要がある。
このようなレンチキュラーレンズシートにおいて、BSパターンを形成する方法としては、転写方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
転写方法は、図14に示すように、先ず、一方が平坦面で、他方が複数のシリンドリカルレンズ141が賦型された面からなるシート本体140を作製し(図14(A)参照)、その平坦面に紫外線硬化樹脂層142を形成した後、必要に応じて保護フィルム147を設ける(図14(B)参照)。次に、シート本体140の略法線方向からの平行光である紫外線143をシリンドリカルレンズ141側から入射させる。紫外線143は各シリンドリカルレンズ141で屈折して紫外線硬化樹脂層142を照射する。紫外線143が照射された部位の紫外線硬化樹脂層142は硬化して硬化部分142aとなり、紫外線143が照射されない部位の紫外線硬化樹脂層142は未硬化で粘性が大きい未硬化部分142bとなる(図14(C)参照)。その後、黒色の着色層144を有する転写シート145を、その着色層144が紫外線硬化樹脂層142に接触するようにシート本体140に重ね合わせる(図14(D)参照)。未硬化部分142bの粘性を利用して着色層144を未硬化部分142bにのみ付着させ、転写シート145をシート本体140から剥離する(図14(E)参照)。これにより、硬化部分142aに接触していた着色層144は、シート本体140に転写されずに転写シート145に付いたままとなり、未硬化部分142bに接触していた着色層144のみがシート本体140に転写されて、BSパターン146が形成されたレンチキュラーレンズシートが作製される。
特開2000−47329号公報(段落0017、図4)
ところで、前述の転写方法は、紫外線が照射されていない未硬化部分にのみ着色層を転写する方法であるが、未硬化部分に着色層が十分に転写されないことがある。すなわち、前述の転写方法は、着色層を紫外線硬化樹脂層の全表面に接触させて、未硬化部分の粘性を利用してその未硬化部分にのみ着色層を転写する方法であるので、着色層が転写されない硬化部分と着色層が転写される未硬化部分との境界では着色層がその境界に沿ってきれいに転写されない箇所が発生し易い。具体的には、未硬化部分に転写された着色層の縁が、硬化部分と未硬化部分との境界から未硬化部分側にずれたり硬化部分側にずれたりして、着色層が硬化部分と未硬化部分との境界に沿ってきれいに転写されないことがある。その結果、設計どおりのBSパターンを精度よく形成することができず、外観上、筋状に見えるという問題がある。
特に、光源としてLCDやDLPを用いた場合には、シリンドリカルレンズのピッチを小さくする必要からBSパターンのピッチも小さくしなければならず、設計どおりのBSパターンを所望の位置に精度よく形成することが要求される。しかしながら、前述の転写方法では、十分にその要求を満足させることができない。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、その目的は、設計どおりの遮光パターンが形成されたものを得易いレンチキュラーレンズシート、透過型スクリーン及び背面投射型表示装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、設計どおりの遮光パターンを精度よく形成し易いレンチキュラーレンズシートの製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明のレンチキュラーレンズシートは、厚さ方向の一方の面に複数の単位レンズが形成されているシート本体と、該シート本体の厚さ方向の他方の面上に形成されたストライプ状の遮光パターンと、該遮光パターン間に位置する光透過部とを有するレンチキュラーレンズシートであって、前記遮光パターンがインクジェットインクにより形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、遮光パターンをインクジェット法により形成することができるので、遮光パターンを精度よく形成することが可能になる。すなわち、従来の転写方法では、前述したように着色層が転写されない硬化部分と着色層が転写される未硬化部分との境界では着色層がその境界に沿ってきれいに転写されない箇所が発生し、設計どおりの遮光パターンを形成することができないことがある。これに対して、本発明では、インクジェット法により直接遮光パターンを形成するので、設計どおりの遮光パターンを形成することが容易になる。従って、遮光パターンが精度よく形成されたレンチキュラーレンズシートを得易くなる。
本発明のレンチキュラーレンズシートは、上記本発明のレンチキュラーレンズシートにおいて、前記インクジェットインクが、溶媒を含まない電子線硬化インク又は電磁波硬化インクであることが好ましい。この発明によれば、インクジェットインクが溶媒を含まない電子線硬化インク又は電磁波硬化インクであるので、インクジェットインクがインクジェットノズルに詰まり難く、また、ノズル先端の温度を上げてノズル内でのインクの流動性を高めることができるという効果がある。
本発明のレンチキュラーレンズシートは、上記本発明のレンチキュラーレンズシートにおいて、前記シート本体の前記他方の面上に形成された透明親インク膜を更に有し、前記光透過部における該透明親インク膜の少なくとも外表面には撥インク性の領域が形成され、該撥インク性の領域以外の領域上にはインクジェットインクからなる前記遮光パターンが形成されていることが好ましい。この発明によれば、遮光パターンの形成時にインクジェットインクが撥インク性の領域上に流動することが抑制されるので、遮光パターンが精度よく形成されたレンチキュラーレンズシートを更に得易くなる。
本発明のレンチキュラーレンズシートは、上記本発明のレンチキュラーレンズシートにおいて、前記シート本体の略法線方向からの略平行光を前記単位レンズ側から入射させたとき、前記光透過部が該略平行光の光路となる領域に対応していることが好ましい。この発明によれば、このレンチキュラーレンズシートが背面投射型表示装置の透過型スクリーンの構成部材として用いられたとき、投射される映像光を遮ることなく観察者側に透過させることができる。さらに、光触媒反応を利用して、撥インク性領域と親インク性領域を形成する場合に、セルフアライメント(自己整合)的に撥インク性領域と親インク性領域を精度よく形成することができ、結果として、遮光パターンが形成される領域もセルフアライメント(自己整合)的に精度よく形成することができるので、インクジェットインクにより所望の遮光パターンを精度よく形成し易くなる。
本発明のレンチキュラーレンズシートは、上記本発明のレンチキュラーレンズシートにおいて、前記単位レンズがシリンドリカルレンズであることが好ましい。
上記他の目的を達成するための本発明のレンチキュラーレンズシートの製造方法は、厚さ方向の一方の面に複数の単位レンズが形成されているシート本体と、該シート本体の厚さ方向の他方の面上に形成されたストライプ状の遮光パターンと、該遮光パターン間に位置する光透過部とを有するレンチキュラーレンズシートの製造方法であって、前記遮光パターンをインクジェット法により形成することを特徴とする。
この発明によれば、インクジェット法により遮光パターンを形成するので、設計どおりの遮光パターンを形成し易い。従って、遮光パターンを精度よく形成することが容易になる。
本発明のレンチキュラーレンズシートの製造方法は、上記本発明のレンチキュラーレンズシートの製造方法において、前記シート本体の前記他方の面上に透明親インク膜を形成し、該透明親インク膜が形成されたシート本体の略法線方向からの略平行光を前記単位レンズ側から照射して、前記透明親インク膜の少なくとも外表面のうちで前記略平行光の光路となった領域(本願において、光路領域ともいう。)を光触媒反応を利用して撥インク化した後、前記透明親インク膜の少なくとも外表面のうちで前記略平行光の光路とならなかった領域(本願において、非光路領域ともいう。)上にインクジェットインクを用いたインクジェット法により前記遮光パターンを形成することが好ましい。
この発明によれば、上記の透明親インク膜における非光路領域以外の領域、すなわち上記略平行光の光路となった光路領域をセルフアライメント的に精度よく撥インク化することができるので、親インク性領域である非光路領域もセルフアライメント的に精度よく残すことができる。そして、インクジェットインクを用いたインクジェット法により非光路領域上に遮光パターンを形成するので、遮光パターンの形成時にインクジェットインクが撥インク性領域(上記略平行光の光路領域)上に流動することが抑制され、結果として、遮光パターンを精度よく形成することが更に容易になる。従って、この発明によれば、遮光パターンが精度よく形成されたレンチキュラーレンズシートを更に得易くなる。
上記目的を達成するための本発明の透過型スクリーンは、上述した本発明のレンチキュラーレンズシートのいずれかを備えたことを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の背面投射型表示装置は、上述した本発明の透過型スクリーンを備えたことを特徴とする。
以上説明したように、本発明のレンチキュラーレンズシートによれば、遮光パターンがインクジェット法で精度よく形成されるので、遮光パターンのピッチをより一層小さくした場合においても、設計どおりの遮光パターンを有するレンチキュラーレンズシートを得ることができる。その結果、光源としてLCDやDLPを用いた背面投射型表示装置の透過型スクリーンを構成するレンチキュラーレンズシートとして好ましく用いることができ、従来の転写方法で得られたような外観上の問題(筋状外観)が生じることがなく、コントラストを向上させることができる。
また、本発明によれば、光触媒反応を利用して撥インク性領域と親インク性領域を形成する場合に、セルフアライメント(自己整合)的に撥インク性領域と親インク性領域を精度よく形成することができ、結果として、遮光パターンが形成される領域もセルフアライメント(自己整合)的に精度よく形成することができるので、インクジェットインクにより所望の遮光パターンを精度よく形成し易くなる。
また、本発明のレンチキュラーレンズシートの製造方法によれば、設計どおりの遮光パターンを精度よく形成することができるので、ピッチの小さい遮光パターンを有するレンチキュラーレンズシートの製造に有効である。また、本発明のレンチキュラーレンズシートの製造方法によれば、撥インク化処理されない親インク性領域である非光路領域にインクジェットインクを噴射する態様での製造が可能であるので、遮光パターンの形成時にインクジェットインクが撥インク性領域上に流動することが抑制され、結果として、遮光パターンを精度よく形成することが更に容易になる。
また、本発明の透過型スクリーンによれば、位置精度のよい遮光パターンを有したレンチキュラーレンズシートを備えるので、光源としてLCDやDLPを用いた背面投射型表示装置の透過型スクリーンとして好ましく用いることができ、外観上の問題(筋状外観)が生じることがなく、コントラストのよい透過型スクリーンとすることができる。
また、本発明の背面投射型表示装置によれば、位置精度のよい遮光パターンを有したレンチキュラーレンズシートを含む透過型スクリーンを備えるので、光源としてLCDやDLPを用いた場合であっても、外観上の問題(筋状外観)が生じることがなく、コントラストのよい透過型スクリーンを備えた背面投射型表示装置とすることができる。
以下に、本発明のレンチキュラーレンズシート、レンチキュラーレンズシートの製造方法、透過型スクリーン及び背面投射型表示装置について説明する。
(第1実施形態のレンチキュラーレンズシート)
図1は、本発明のレンチキュラーレンズシートの第1実施形態を示す斜視図である。第1実施形態のレンチキュラーレンズシート11は、厚さ方向の一方の面に複数の単位レンズ4が形成されているシート本体2と、そのシート本体2の厚さ方向の他方の面上に形成されたストライプ状のBSパターン(遮光パターン)3と、そのBSパターン3間に位置する光透過部5とを有している。すなわち、このレンチキュラーレンズシート11は、光透過部5がストライプ状のBSパターン3で区画形成された態様になっている。そして、本発明の特徴は、BSパターン3が、インクジェットインクにより形成されていることにある。
図1は、本発明のレンチキュラーレンズシートの第1実施形態を示す斜視図である。第1実施形態のレンチキュラーレンズシート11は、厚さ方向の一方の面に複数の単位レンズ4が形成されているシート本体2と、そのシート本体2の厚さ方向の他方の面上に形成されたストライプ状のBSパターン(遮光パターン)3と、そのBSパターン3間に位置する光透過部5とを有している。すなわち、このレンチキュラーレンズシート11は、光透過部5がストライプ状のBSパターン3で区画形成された態様になっている。そして、本発明の特徴は、BSパターン3が、インクジェットインクにより形成されていることにある。
なお、単位レンズ4の側からシート本体2に入射する入射光6は、通常、映像情報を有する映像光であり、実際の入射光6は平行光と平行光以外の光(略平行光)とを含む。本願においては、この入射光6を「略平行光」として説明する。また、入射光6は単位レンズ4により光透過部5の近傍で集光し、その光透過部5を透過して出射光7として拡散する。
シート本体2は、光透過性の透明又は半透明のシート状部材であり、その厚さ方向の一方の面に多数の単位レンズ4を有している。この単位レンズ4は、入射光6を光透過部5の近傍で集光させる、いわゆるレンチキュラーレンズであり、通常、入射光6側の表面が凸状の曲面を有した縦長に延びるシリンドリカルレンズである。シート本体2の入射光側は、縦長に延びる単位レンズ4がその縦長に延びる方向と直交する方向(幅方向)に並列した態様となっている。一方、シート本体2の厚さ方向の他方の面は平坦面であり、その平坦面上にBSパターン3が形成される。
シート本体2は、ディスプレイ等の光透過性を有する光学シートに用いられる樹脂材料で形成されている。そうした樹脂材料としては、熱可塑性樹脂等を挙げることができ、電子ビーム(EB)等の電子線や紫外線(UV)等の電磁波を透過させる熱可塑性樹脂等を好ましく挙げることができる。
シート本体2を形成する樹脂として、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の樹脂を用いることができ、特にアクリル樹脂が好ましく用いられる。アクリル樹脂で形成されたシート本体2は、表面耐擦傷性、耐候性及び透明性等が良好となる。アクリル樹脂としては、メタクリル酸メチルを主体とする樹脂を好ましく挙げることができ、(i)メチルメタクリレートの単独重合体、又は、(ii)メチルメタクリレートと、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アクリロニトリル、無水マレイン酸、スチレン及びα−メチルスチレンの群から選択される1つ以上の樹脂との共重合体、又は、(iii)メチルメタクリレート単独重合体と上記共重合体との混合物、等を挙げることができる。その中でも特に、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、及び、メタクリル樹脂とスチレン樹脂との共重合体樹脂(MS樹脂)が多く用いられる。なお、こうした重合体樹脂は、後述する他の実施形態で示すように、シート本体2が2層以上の樹脂層で構成された場合において、表面耐擦傷性、耐候性及び透明性等が良好であるという観点から、そのシート本体2の出光側の表面を形成する樹脂層の形成材料であることが好ましい。
シート本体2は、上述した樹脂材料を押出成型機等で押出成形することにより形成される。また、シート本体2は、フィルム状の透明基材の一方の面上に紫外線硬化樹脂を塗布し、塗布された紫外線硬化樹脂をスタンパーで成型すると同時に紫外線照射により硬化させて単位レンズ4を形成する、いわゆる「重合接着」で形成することも可能である。ここで用いる紫外線硬化樹脂としては、エポキシ、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ウレタンアクリレート系等の樹脂が用いられる。
シート本体2の厚さは、単位レンズ4のレンズピッチ、焦点距離、及び所望の視野角範囲によって適宜設定されるが、一方の面に形成された単位レンズ4の凸状部の頂部から他方の平坦面までの厚さは、通常100μm〜200μmの範囲である。
単位レンズ4は、入射光6を光透過部5の近傍で集光させる、いわゆるレンチキュラーレンズであり、通常、入射光6側の表面が凸状の曲面を有した縦長のシリンドリカルレンズである。こうした単位レンズ4は、入射光6を光透過部5の近傍で集光させ、レンチキュラーレンズシートの他の一方の面にストライプ状に形成された光透過部5から出射する出射光7の視野角を広げるように機能する。単位レンズ4の凸状の曲面形状は、入射光6を光透過部5の近傍で集光することができる半球状又は半楕円状等に形成されている。
この単位レンズ4は、その単位レンズ4が縦長に延びる方向と直交する方向(通常は幅方向)に、所定のピッチで多数並列した態様で設けられている。単位レンズ4のピッチは、単位レンズ4とLCD等の画素とのモアレが出ないピッチに設定されていることが好ましい。具体的な単位レンズ4のピッチは、150μm以下であることが好ましい。こうした単位レンズ4は、シート本体2を押出成型する際に、周面に単位レンズ4の賦形型を有する押出成型ロールを用いることにより形成することができる。
BSパターン3は、シート本体2の他の一方の面である平坦面上であって、単位レンズ4が形成されていない側のシート本体表面にストライプ状に形成されている。BSパターン3は、そのシート本体表面であって、単位レンズ側から入射した入射光6の光路とならない領域(非光路領域)に形成されている。このBSパターン3は、レンチキュラーレンズシートの出光面側からの外光を遮断又は吸収してレンチキュラーレンズシート面に結像した画像のコントラストを向上させる作用を有している。
本発明において、BSパターン3は、インクジェット法により形成される。すなわち、BSパターン3は、インクジェットノズルから噴射されたインクジェットインクにより形成されている。インクジェット法には、サーマルジェット法、バブルジェット(登録商標)法、ピエゾジェット法等が挙げられる。
サーマルジェット法は、インクジェットノズルのヘッド内のヒーターでインクジェットインクを加熱して気泡を発生させ、この気泡の圧力を利用してインクジェットインクを放射する方法である。バブルジェット(登録商標)法もサーマルジェット法の一種であり、ヒーターがインクジェットノズルの先端に近い箇所に設けられており、このヒーターにより発生させた気泡の圧力を利用してインクジェットインクを放射する方法である。ピエゾジェット法は、インクジェットノズルのヘッド内のピエゾ素子が変形するときに発生する圧力を利用してインクジェットインクを放射する方法である。ピエゾジェット法においては、常温で固体である熱溶融性のインクジェットインクが用いられる。本発明においては、これらのうち、特にピエゾジェット法が高粘度インクに対する応答性の観点から好ましい。
インクジェットインクは、水性と油性とに分類され、BSパターン3を形成する方法に応じて適宜選択することが好ましい。また、インクジェットインクは、インクジェットインクがインクジェットノズルに詰まり難く、かつ、ノズル先端の温度を上げることができるという観点から、溶媒を含んでいないインクが用いられる。また、インクジェット法に用いるインクジェットインクの粘度は、好ましくは1cps〜10cpsである。この範囲内の粘度となるようにノズル先端の温度を調節する。このインクジェットインクは、揮発し易い溶媒を含んでいないので、使用する際にノズル先端の温度を上げてノズル内のインクの温度を上げることができ、その結果、ノズル先端でのインクの流動性を高めることができるという効果がある。ノズル先端におけるインクの温度としては、上記範囲内の粘度にすることができる温度であれば特に限定されず、40℃〜80℃の範囲内であることが好ましく、例えば50℃であることが好ましい。
インクジェットインクとしては、紫外線硬化インクを用いることが好ましい。具体的には、市販されている紫外線硬化インクの中から任意に選択して用いてもよいし、プレポリマー、モノマー、光重合開始剤及び着色剤を主成分として調製したものであってもよい。このとき、油性・水性の別、ノズルへの詰まり易さ、揮発性、粘度等の観点から各成分を選択し、その配合量等が調節される。
プレポリマーとしては、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート、オリゴアクリレート、アルキドアクリレート、ポリオールアクリレート、シリコンアクリレート等が挙げられ、これらの中のうちの1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
モノマーとしては、スチレン、酢酸ビニル等のビニルモノマー;n−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等の単官能アクリルモノマー;ジエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ヒドロキシピペリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリストールヘキサアクリレート等の多官能アクリルモノマー等が挙げられ、これらの中のうちの1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
光重合開始剤としては、イソブチルベンゾインエーテル、イソプロピルベンゾインエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、1−フェニル−1,2−プロパジオン−2−オキシム、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンジル、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾフェノン、クロロチオキサントン、2−クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、塩素置換ベンゾフェノン、ハロゲン置換アルキル−アリルケトン等が挙げられる。その他必要に応じて脂肪族アミン、芳香族アミン等の光開始助剤、チオキサンソン等の光鋭感剤等を用いてもよい。
着色剤としては、顔料や染料等が用いられる。また、インクジェットインクには、分散性や定着性を向上させるための樹脂を含有させることもできる。そうした樹脂としては、フェノール樹脂、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、ロジン樹脂、ブチラール樹脂等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。また、インクジェットインクには、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤、防腐剤、pH調整剤、消泡剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、又は表面張力調整剤等を必要に応じて含有させてもよい。
こうした紫外線硬化インクは、溶媒を含有しないことが好ましい。すなわち、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジメチルエーテル等のアルコール類、その他の一般によく用いられる有機溶媒を実質的に含有しない紫外線硬化性のインクジェットインクであることが好ましい。この紫外線硬化インクを得るには、前記の成分を所定量混合すればよく、その混合の順序や方法は特に限定されない。
BSパターン3は、先ず、上述したインクジェットインクがインクジェットノズルからシート本体2の出光面の非光路領域上に噴射されて塗布され、その後、塗布されたインクジェットインクが紫外線又は可視光線の照射により硬化することにより、形成される。BSパターン3の厚さは、出光面側から入射する外光を遮断又は吸収することができる厚さであれば特に限定されず、入射光6が単位レンズ4により光透過部5の近傍で集光し、その光透過部5を透過して出射光7として拡散するのを阻害しない厚さであれば任意に設定することができる。
光透過部5は、BSパターン3が形成された側の面のBSパターン間に位置する部分であり、単位レンズ4それぞれに対応してストライプ状に形成されている。すなわち、光透過部5は、対応する単位レンズ4の光軸を含み、シート本体2の略法線方向からの略平行光を単位レンズ側から入射させたとき、その略平行光の光路となる領域に対応して形成されている。そして、外観的には、BSパターン3と光透過部5とが水平方向に交互に配列された態様となっている。
以上説明した、図1に示す第1実施形態に係るレンチキュラーレンズシートは、BSパターン3をインクジェット法により形成することができるので、BSパターン3を精度よく形成することが可能になる。
(第2実施形態のレンチキュラーレンズシート)
図2は、本発明のレンチキュラーレンズシートの第2実施形態を示す斜視図である。この第2実施形態のレンチキュラーレンズシート21は、上述した第1実施形態のレンチキュラーレンズシートにおいて、シート本体2に微粒子状の光拡散剤8が含有されている。こうした光拡散剤8は、単位レンズ4が水平方向の視野角特性を制御するものである場合に、垂直方向の視野角を制御する役割を担うものである。
図2は、本発明のレンチキュラーレンズシートの第2実施形態を示す斜視図である。この第2実施形態のレンチキュラーレンズシート21は、上述した第1実施形態のレンチキュラーレンズシートにおいて、シート本体2に微粒子状の光拡散剤8が含有されている。こうした光拡散剤8は、単位レンズ4が水平方向の視野角特性を制御するものである場合に、垂直方向の視野角を制御する役割を担うものである。
光拡散剤8としては、一般的に光学シートに用いられる光拡散剤であればよく、スチレン樹脂微粒子、シリコーン樹脂微粒子、アクリル樹脂微粒子、MS樹脂(メタクリル−スチレン共重合樹脂)微粒子等の有機系微粒子、硫酸バリウム微粒子、ガラス微粒子、水酸化アルミニウム微粒子、炭酸カルシウム微粒子、シリカ(二酸化珪素)微粒子、酸化チタン微粒子、ガラスビーズ等の無機系微粒子等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を樹脂中に含有させることができる。
光拡散剤8は、その屈折率とシート本体2の構成樹脂の屈折率との差が0.1以内であることが好ましく、0.03以内であることがより好ましい。光拡散剤8とシート本体2の構成樹脂との屈折率差をこの範囲内とすることにより、コントラストが損なわれない。そうした範囲内になるように光拡散剤8とシート本体2の構成樹脂とが選定されるが、その一例としては、シート本体2の構成樹脂としてのMS樹脂(メタクリル−スチレン共重合樹脂、屈折率:1.51)と光拡散剤8としてのアクリル樹脂(屈折率:1.49)との組み合わせを挙げることができる。
光拡散剤8の形状は特に限定されないが、通常は球状又は略球状のものが入手の点で有利である。光拡散剤8の平均粒径としては、5〜30μmの範囲内のものが好ましく用いられる。
光拡散剤8は、図2に示すように、シート本体2の全体に含有されていてもよいが、単位レンズ4側にのみ含有された2層構成からなる態様であってもよいし、BSパターン3が形成された側にのみ含有された2層構成からなる態様であってもよい。
(第3実施形態のレンチキュラーレンズシート)
図3は、本発明のレンチキュラーレンズシートの第3実施形態を示す斜視図である。この第3実施形態のレンチキュラーレンズシート31は、上述した第1実施形態のレンチキュラーレンズシートにおいて、シート本体2の入光面を形成する単位レンズ4の表面にティント層9が形成されている。
図3は、本発明のレンチキュラーレンズシートの第3実施形態を示す斜視図である。この第3実施形態のレンチキュラーレンズシート31は、上述した第1実施形態のレンチキュラーレンズシートにおいて、シート本体2の入光面を形成する単位レンズ4の表面にティント層9が形成されている。
このティント層9は、単位レンズ4の表面を沿うように設けられた着色層(Tinted layer)であり、出光面側から入射してシート本体2を透過してきた外光32を吸収するように作用する層である。ティント層9に到達した外光32は、そのティント層9内を沿うように進みながらそのティント層9内で吸収されて減衰する。
一方、レンチキュラーレンズシート31の単位レンズ4側である入光面側から入射する入射光は、そのレンチキュラーレンズシート31に略平行光として入射し、そのティント層9内で反射せずに1パスで通過するので、ティント層9でほとんど減衰されずにシート本体内を透過する。
ティント層9としては、その屈折率が1.51程度のアクリル樹脂で形成することが好ましく、ティント層9の厚さは10μm〜30μm程度に形成されていることが好ましい。こうしたティント層9は、押出成型機等により単位レンズ4を賦形する際の共押し出し等により形成することができる。
なお、この第3実施形態のレンチキュラーレンズシート31を構成するシート本体2には、上述した第2実施形態のレンチキュラーレンズシート21のシート本体2に含有する微粒子状の光拡散剤8を含有させてもよい。
また、第3実施形態のレンチキュラーレンズシート31は、シート本体2にティント層9が形成された2層構造を呈しているが、3層以上の層構造となっていてもよい。このとき、3層以上の樹脂層のうち少なくとも1層を、微粒子状の光拡散剤8を含有する光拡散層としてもよい。この態様における他の樹脂層としては、種々の機能を付加するための透明層を挙げることができ、帯電防止層、非帯電防止層、熱膨張率や吸水伸び率の異なる樹脂層、低反射層、反射防止層、ハードコート層、防眩層等が挙げられる。これらの各樹脂層は、熱可塑性樹脂に光拡散剤、着色剤、帯電防止剤等を含有させたり、熱膨張率や吸水伸び率等の特性の異なる熱可塑性樹脂を選択したりして形成することができる。
(第4実施形態のレンチキュラーレンズシート)
図4は、本発明のレンチキュラーレンズシートの第4実施形態を示す斜視図である。この第4実施形態のレンチキュラーレンズシート41は、上述した第1実施形態のレンチキュラーレンズシートにおいて、シート本体2の出光面上に形成された透明親インク膜42を更に有している。そして、光透過部5における透明親インク膜42の少なくとも外表面(すなわち出光側の表面)には、撥インク性領域43が形成され、その撥インク性領域43以外の領域(親インク性領域44)上には、インクジェットインクからなるBSパターン3が形成されている。
図4は、本発明のレンチキュラーレンズシートの第4実施形態を示す斜視図である。この第4実施形態のレンチキュラーレンズシート41は、上述した第1実施形態のレンチキュラーレンズシートにおいて、シート本体2の出光面上に形成された透明親インク膜42を更に有している。そして、光透過部5における透明親インク膜42の少なくとも外表面(すなわち出光側の表面)には、撥インク性領域43が形成され、その撥インク性領域43以外の領域(親インク性領域44)上には、インクジェットインクからなるBSパターン3が形成されている。
この第4実施態様のレンチキュラーレンズシート41は、シート本体2とBSパターン3との間に撥インク性領域43を形成することが可能な透明親インク膜42を設け、撥インク性領域43以外の親インク性領域44上にBSパターン3を設けた態様であるのに対し、上述した第1実施形態のレンチキュラーレンズシート11は、シート本体2に直接BSパターン3を設けた態様である点で両者の特徴は相違する。
透明親インク膜42は、光触媒反応により撥インク性に変化するという特性を有するものであり、シート本体2の単位レンズ4が形成されていない側の面上に、親インク性の有機材料により形成される。親インク膜/撥インク膜形成用の有機材料で形成された透明親インク膜42が撥インク性の高分子膜に変化する原理としては、親インク性の側鎖を有する高分子膜を光触媒と接触させ、その状態で光を照射することにより、その側鎖が分解して撥インク性の高分子膜に変化する、という例が挙げられる。
こうした有機材料としては、光触媒反応により親インク性から撥インク性に変化する各種の有機材料であって、親インク膜/撥インク膜形成用のフッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、又はアルコキシシラン系化合物等が挙げられる。具体的には、油性のインクジェットインクを用いる場合には、光触媒反応により新インク性である親油性から撥インク性である撥油性に変化する有機材料が用いられる。また、水性のインクジェットインクを用いる場合には、光触媒反応により新インク性である親水性から撥インク性である撥水性に変化する有機材料が用いられる。
透明親インク膜42は、透明親インク膜形成用の有機材料をシート本体2の出光面全面に、ダイコート、カーテンコート、ディップコート、ロールコート等の塗布手段や各種の印刷手段で塗布して形成することができる。透明親インク膜42の厚さは、1μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。
形成された透明親インク膜42は、単位レンズ4側からシート本体2に略平行光(入射光6)を入射させたときに、その略平行光の光路となる領域(光路領域)に対応するところが撥インク性に変化した撥インク性領域43となる。一方、その略平行光の光路とならない領域(非光路領域)に対応するところは、撥インク性に変化しない親インク性領域44となる。
この撥インク性領域43は、単位レンズ4側からの略平行光で起こる光触媒反応を利用して形成した撥インク性の領域であることから、上述した第1実施形態のレンチキュラーレンズシート11における光透過部5に対応した形状で形成されることになる。
したがって、撥インク性領域43以外の親インク性領域44のみに、インクジェットインクを塗布することにより、BSパターン3を形成することができる。よって、後述する光触媒反応を利用して撥インク性領域43を形成する際にセルフアライメント(自己整合)的に撥インク性領域43を精度よく形成することができ、結果として、BSパターン3が形成される親インク性領域44もセルフアライメント(自己整合)的に精度よく形成することができる。
インクジェットインクは、BSパターン3の形成時に親インク性領域44に塗布されるが、撥インク性領域43上への流動は抑制され、親インク性領域44にのみ形成される。したがって、BSパターン3をシート本体2の出光面上に精度よく形成することができる。
(第5及び第6実施形態のレンチキュラーレンズシート)
図5は、本発明のレンチキュラーレンズシートの第5実施形態(A)及び第6実施形態(B)を示す斜視図である。
図5は、本発明のレンチキュラーレンズシートの第5実施形態(A)及び第6実施形態(B)を示す斜視図である。
第5実施形態のレンチキュラーレンズシート51は、上述した第4実施形態のレンチキュラーレンズシートにおいて、シート本体2に微粒子状の光拡散剤8が含有されている。光拡散剤8は、上述した第2実施形態のレンチキュラーレンズシート21で説明したのと同じ作用効果を奏するものであり、その光拡散剤8の種類等についても、上述した態様と同様であるのでここでは省略する。
第6実施形態のレンチキュラーレンズシート61は、上述した第4実施形態のレンチキュラーレンズシートにおいて、シート本体2の入光面を形成する単位レンズ4の表面にティント層9が形成されている。ティント層9は、上述した第3実施形態のレンチキュラーレンズシート31で説明したのと同じ作用効果を奏するものであり、そのティント層9の詳細についても、上述した態様と同様であるのでここでは省略する。
(第7〜第9実施形態のレンチキュラーレンズシート)
図6は、本発明のレンチキュラーレンズシートの第7〜第9実施形態を示す断面図である。この第7〜第9実施形態のレンチキュラーレンズシートは、図6の(A)〜(C)に示すように、上述した第1〜第3実施形態のレンチキュラーレンズシートのBSパターン3側の上に光透過性の支持体64を有してなるものである。なお、上述した第4〜第6実施形態のレンチキュラーレンズシートのBSパターン3側の上に支持体64を設けた態様については示していないが、図6の実施形態では、透明親インク膜を撥インク性領域と親インク性領域に区分けした第4〜第6実施形態のレンチキュラーレンズシートのBSパターン3側の上に支持体64を設けたものであってもよい。
図6は、本発明のレンチキュラーレンズシートの第7〜第9実施形態を示す断面図である。この第7〜第9実施形態のレンチキュラーレンズシートは、図6の(A)〜(C)に示すように、上述した第1〜第3実施形態のレンチキュラーレンズシートのBSパターン3側の上に光透過性の支持体64を有してなるものである。なお、上述した第4〜第6実施形態のレンチキュラーレンズシートのBSパターン3側の上に支持体64を設けた態様については示していないが、図6の実施形態では、透明親インク膜を撥インク性領域と親インク性領域に区分けした第4〜第6実施形態のレンチキュラーレンズシートのBSパターン3側の上に支持体64を設けたものであってもよい。
支持体64は、レンチキュラーレンズシート61の光透過部5から光が拡散することができる光透過性と、比較的薄いシート本体2のたわみを防いで結像した画像のゆがみを防ぐことができる剛性とを有していることが望ましく、図6に示すように、BSパターン3上に接着剤層65を介して設けられる。
支持体64は、光透過性の透明又は半透明のシート状部材であり、ディスプレイ等の光透過性を有する光学シートに用いられる樹脂材料で形成されている。光透過性を有する材料としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、セルロース系樹脂、シクロオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。好ましくは、光透過性と剛性に他に、表面耐擦傷性及び耐候性を考慮して選択されることが望ましい。
支持体64は、上述した樹脂材料を押出成型機等で押出成形することにより形成される。支持体64の厚さは、光透過性及び剛性を考慮して適宜設定されるが、通常1mm〜5mmの範囲である。
支持体64は、図6に示すように1層の樹脂層で形成されていてもよいが、2層以上の樹脂層で形成されていてもよい。また、シート本体2に微粒子状の光拡散剤が含有されていない場合には、支持体64に光拡散剤を含有させたり、光拡散剤を有する拡散層を備える支持体64であってもよい。また、支持体64には、種々の機能を付加するための透明層、反射防止層、低反射層、ハードコート層、帯電防止層、防眩層、汚染防止層、偏光フィルタ層、及び電磁波シールド層等を、その目的に応じて設けてもよい。
(透過型スクリーン及び背面投射型表示装置)
図7は、本発明の透過型スクリーン73の一例を示す説明図である。本発明の透過型スクリーン73は、図7に示すように、本発明のレンチキュラーレンズシート71と、フレネルレンズシート72とを有している。レンチキュラーレンズシート71については、上述した本発明に係る第1〜第9実施形態のレンチキュラーレンズシートを適用することができる。
図7は、本発明の透過型スクリーン73の一例を示す説明図である。本発明の透過型スクリーン73は、図7に示すように、本発明のレンチキュラーレンズシート71と、フレネルレンズシート72とを有している。レンチキュラーレンズシート71については、上述した本発明に係る第1〜第9実施形態のレンチキュラーレンズシートを適用することができる。
透過型スクリーン73は、レンチキュラーレンズシート71の映像光源側にフレネルレンズシート72を備えている。フレネルレンズシート72は、映像光源から拡大投射される映像光74を観察者側に配置されたレンチキュラーレンズシート71へ略平行光75に屈折させるレンズシートである。フレネルレンズシート72としては、そうした機能を有するフレネルレンズシートであれば、図7に示したようなサーキュラーフレネルレンズシートであっても、図8(A)の背面投射型表示装置81に設けられるような全反射フレネルレンズシート87(図8(B)に例示した概略断面図を参照。)であってもよい。この全反射フレネルレンズシート87は、屈折面88から入った映像光83を全反射させる全反射面89を備えたフレネルレンズ90で構成されている。また、全反射フレネルレンズを一部に有するフレネルレンズシートであってもよい。
レンチキュラーレンズシート71は、上述した第1〜第9実施形態のレンチキュラーレンズシートを適用でき、フレネルレンズシート72から入射した略平行光75を拡散させて画像の視野角を広くする。
このような透過型スクリーン73を使用することにより、映像光源からの映像光74を所定の角度範囲に拡散させることができるので、透過型スクリーン73の正面から水平方向(左右方向)にずれた位置で観察しても、良好な映像を観察することができる。
本発明の透過型スクリーン73は、BSパターン3が所望の位置に精度よく形成されたレンチキュラーレンズシート71を備えるので、外光の反射防止の向上と、映像のコントラストの向上を実現できる。また、本発明の透過型スクリーン73は、レンチキュラーレンズシート71のBSパターン3がインクジェットノズルから噴射されたインクジェットインクで形成されているので、ピッチが小さくても精度のよいBSパターン3が得られる。その結果、光源としてLCDやDLPを用いた背面投射型表示装置の透過型スクリーンとして好ましく用いることができ、コントラストのよい透過型スクリーンとすることができる。
図8は、本発明の背面投射型表示装置81の一例を示す構成図である。本発明の背面投射型表示装置81は、本発明の透過型スクリーン73を備えたものである。この背面投射型表示装置81は、比較的薄型の筐体86の底部に映像光源82が配置され、筐体86の後部壁内面に近接して、画面の垂直方向と平行にミラー85が配置されている。透過型スクリーン73は、筐体86の前面側の窓部に装着されている。
映像光源82から出射した映像光83は、ミラー85で透過型スクリーン73側に反射され、透過型スクリーン73に入射した後、前述したフレネルレンズシートで略平行光に偏向され、さらにレンチキュラーレンズシートで所望の拡散光84に偏向されて、透過型スクリーン73から観察者側に向かって出射する。
(レンチキュラーレンズシートの製造方法)
次に、本発明のレンチキュラーレンズシートの製造方法について説明する。図9は、本発明のレンチキュラーレンズシートの製造方法の一例を示す工程図であり、図10は、図9に示すレンチキュラーレンズシートの製造方法の説明図である。
次に、本発明のレンチキュラーレンズシートの製造方法について説明する。図9は、本発明のレンチキュラーレンズシートの製造方法の一例を示す工程図であり、図10は、図9に示すレンチキュラーレンズシートの製造方法の説明図である。
本発明のレンチキュラーレンズシートの製造方法は、厚さ方向の一方の面に複数の単位レンズ4が形成されているシート本体2と、そのシート本体2の厚さ方向の他方の面上に形成されたストライプ状のBSパターン3と、そのBSパターン間に位置する光透過部5とを有するレンチキュラーレンズシートの製造方法であって、上述した第1〜第9実施態様に示したBSパターン3をインクジェット法により形成することを特徴とするものである。なお、レンチキュラーレンズシートを製造するためのその他の製造、例えば、シート本体2、単位レンズ4の製造については、従来公知の方法と同様である。
BSパターン3は、図9に示すように、単位レンズ4が賦形されていない側の平坦面上に、インクジェットノズル91からインクジェットインク92を噴射することによって形成される。
BSパターン3の形成方法としては、図9及び図10に示すように、単位レンズ4側に光源を配置し、その光源から発した略平行光101をインクジェットノズル側に配置された受光装置によって検知し、検知した光強度102が高い部分の所定幅5aに相当する平坦面上の領域5bが光透過部5となるように、隣接する二つの領域5b間にインクジェットインク92で細長いラインを形成することにより行われる。
BSパターン3の形成に用いられる光学系としては、図13に示すように、光源として半導体レーザー131を用い、その半導体レーザー131から照射されたレーザー光線135をポリゴンミラー132でスキャンし、さらにコリメーターレンズ133で略平行光101にし、その略平行光101を単位レンズ4側からシート本体2に照射し、そのシート本体2を透過した光の光強度102をCCDセンサー134等の受光装置で検知する光学系を例示できる。本発明においては、こうした光学系により、上述した光強度102を検知でき、その検知結果を上記のように応用して、隣接する二つの領域5b間にインクジェットインク92で細長いラインを形成することができる。
すなわち、光透過部5とする光強度の最も高い部分を中心にした所定幅5aに相当する領域5bが光透過部5となるので、それ以外の部分3aに相当する領域3bが、インクジェットインク92を塗布する箇所となる。
本発明のレンチキュラーレンズシートは、こうした方法により製造されるので、設計どおりのBSパターン3を精度よく形成することができる。
図11は、本発明のレンチキュラーレンズシートの製造方法の他の一例を示す工程図である。
このレンチキュラーレンズシートの製造方法は、厚さ方向の一方の面に複数の単位レンズ4が形成されているシート本体2と、そのシート本体2の厚さ方向の他方の面上に形成されたストライプ状のBSパターン3と、そのBSパターン間に位置する光透過部5とを有するレンチキュラーレンズシート(図4に示す第4実施形態のレンチキュラーレンズシート41)の製造方法である。インクジェットインクとしてインクジェットインクを用いた場合においては、図11に示すように、シート本体2の他方の面上に透明親インク膜42を形成し、その透明親インク膜42が形成されたシート本体2の略法線方向からの略平行光111を単位レンズ4側から照射して、透明親インク膜42の少なくとも外表面のうちで略平行光111の光路となった領域112を光触媒反応を利用して撥インク化した後、透明親インク膜42の少なくとも外表面のうちで略平行光111の光路とならなかった領域113上にインクジェットインク92を用いたインクジェット法によりBSパターン3を形成する。なお、「少なくとも外表面」とは、外表面のみが撥インク化したものであっても、外表面を含む所定の厚さからなる層が撥インク化したものであっても、透明親インク膜の厚さ方向全体が撥インク化したものであってもよいことを意味している。
この製造方法において、透明親インク膜42の少なくとも外表面のうちで略平行光111の光路となった領域(光路領域)112は、撥インク性領域43となって、インクジェットインクをはじく領域となる。一方、透明親インク膜42の少なくとも外表面のうちで略平行光111の光路とならなかった領域(非光路領域)113は、親インク性領域44となって、インクジェットインクが濡れる領域となる。
以下、図11を参照しつつ説明する。先ず、図11(A)に示すように、単位レンズ4が賦形されたシート本体2を用意する。
次いで、図11(B)に示すように、そのシート本体2の出光面側の全面に、撥インク化処理可能な透明親インク膜42を形成する。この工程において、撥インク化処理可能な透明親インク膜42を形成するための樹脂としては、上述したような親インク膜形成用樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、シート本体2の出光面全面にダイコート、カーテンコート、ディップコート、ロールコート等の塗布手段や各種の印刷手段で塗布される。
次いで、図11(C)に示すように、この透明親インク膜42が形成されたシート本体2に略平行光111を照射して、透明親インク膜42の少なくとも観察者側の外表面のうちで略平行光111の光路となった領域を光触媒反応を利用して撥インク化処理する。
この工程において、光触媒反応を利用した撥インク化処理方法とは、透明親インク膜42の近傍(透明親インク膜42の出射光側の近傍)に、図11(C)に示すように、酸化チタン等の光触媒粒子を含有する光触媒反応用シート114を配置した後に、シート本体2の単位レンズ4に略平行光111を照射して単位レンズ4からの出射光115によりその光路上の透明親インク膜42を露光する方法である。こうした方法により、露光された部分の側鎖が光触媒反応により分解し、その分解部分が撥インク化処理される。
光触媒反応用シート114は、樹脂バインダー中に光触媒である酸化チタン等が含有されたものである。酸化チタンは、アナターゼ型のものが好ましく、また、樹脂バインダー中にシート全体の重量に対して20〜40重量%の割合で含有していることが好ましい。酸化チタンの平均粒径は、およそ5〜20μmであることが好ましい。酸化チタンの代わりに、ZnO等を光触媒として用いてもよい。
光触媒反応の原理は以下の通りである。酸化チタンを含有する光触媒反応用シート114に380nm以下の略平行光111を照射することにより、光触媒粒子内で光電気化学反応が起こって水や酸素等から活性酸素種等が発生する。活性酸素種等は、光触媒粒子内での光電気化学反応に基づいて生じる活性酸素又は活性水酸基であり、それらの活性酸素種等が親油性である透明親インク膜42の側鎖(例えばアルキル側鎖)にアタックし、その側鎖の結合が切断される。側鎖が切断された部分には、その活性酸素種等が入れ替わって結合して撥油性(撥インク性)に変化する。こうして、出射光115の光路112が撥油性(撥インク性)で、非光路領域113が親油性(親インク性)を呈した透明親インク膜42が形成される。この場合においては、油性のインクジェットインクが好ましく用いられる。
透明親インク膜42と光触媒反応用シート114との間隔は、光触媒反応により活性酸素種等がその隙間に容易に発生して透明親インク膜42に作用し、透明親インク膜42を撥インク性に変化させることができる間隔であることが好ましく、およそ5μm〜20μmの範囲であることが好ましい。また、シート本体2の単位レンズ4に照射する光としては、略平行光111であることが好ましい。なお、略平行光111により撥インク化処理を行う場合には、外光等が透明親インク膜42に影響されないように、暗室等で行うことが好ましい。また、ここでは、光触媒用シート114を透明親インク膜42に対向させて撥インク化処理を行ったが、酸化チタン等の光触媒を親インク膜内に含有させて撥インク化処理を行うようにしてもよい。
次に、図11(D)に示すように、透明親インク膜42の外表面のうちで略平行光111の光路とならなかった領域113上に、インクジェットインク92をインクジェット法により塗布する。
この工程は、インクジェット法によりストライプ状のBSパターン3を形成する工程であると共に、BSパターン3間の光透過部5を形成する工程でもある。この工程では、図11(D)に示すように、インクジェットノズル91を非光路領域113の長手方向に相対的に移動させると共に、インクジェットノズル91からインクジェットインク92を非光路領域113に向けて噴射する。この動作を繰り返し行うことにより、インクジェットインク92が非光路領域113上に細長いラインとして塗布されてBSパターン3が形成される。
このとき、図12に示すように、複数のノズル91を所定のピッチで斜めに配列させたノズル群121を形成し、このノズル群121を図11に示す非光路領域113の長手方向に相対的に移動させることにより、複数の非光路領域113上にインクジェットインク92を塗布することができる。このノズル群121をシート本体2の幅方向に複数個配列することにより、同時に複数のBSパターン3を形成することができる。BSパターン3のピッチは、ノズル91の間隔、斜めに配列したノズル群121の角度、ノズル群121のピッチ等で調節することができる。
このように、インクジェットノズル91を非光路領域113の長手方向に相対的に移動させると共に、このインクジェットノズル91からインクジェットインク92を非光路領域113上に噴射させることにより、非光路領域113上にインクジェットインク92が塗布される。塗布した後、紫外線を非光路領域113上に塗布されたインクジェットインク92に照射して硬化することにより、BSパターン3が形成される。
こうして、図11(E)に示すように、BSパターン3が精度よく形成されたレンチキュラーレンズシート42を製造することができる。BSパターン3はインクジェットノズル91からインクジェットインク92を噴射して塗布された後に紫外線等により硬化されて形成されるので、インクジェットノズル91から噴射されたインクジェットインク92が他の部材と接触して、インクジェットインク92の一部が他の部材に付着することがない。その結果、BSパターン3を精度よく形成することができる。
以上説明したレンチキュラーレンズシートの製造方法は、非光路領域113以外の領域、すなわち略平行光111の光路となった光路領域112をセルフアライメント的に精度よく撥インク化することができるので、親インク性領域である非光路領域113もセルフアライメント的に精度よく残すことができる。そして、インクジェットインク92を用いたインクジェット法により非光路領域113上にBSパターン3を形成するので、BSパターン3の形成時にインクジェットインク92が撥インク性領域43(上記略平行光111の光路領域112)上に流動することが抑制され、結果として、BSパターン3を精度よく形成することが更に容易になる。
本発明のレンチキュラーレンズシートの製造方法は、図9〜図11に示した2つの態様の製造方法により製造することが可能である。
なお、上述した第1〜第9実施形態のレンチキュラーレンズシートは、撥インク性と親インク性とで区分けしているが、より具体的には、例えば油性のインクジェットインクを用いる場合、シート本体上に親インク性の透明親油膜を形成し、その透明親油膜が形成されたシート本体の略法線方向からの略平行光を単位レンズ側から照射して、透明親油膜の少なくとも外表面のうちで略平行光の光路となった光路領域を光触媒反応を利用して撥油化した後、透明親油膜の少なくとも外表面のうちで略平行光の光路とならなかった非光路領域上に油性のインクジェットインクを用いたインクジェット法によりBSパターン3を形成する。また、例えば水性のインクジェットインクを用いる場合、シート本体上に親インク性の透明親水膜を形成し、その透明親水膜が形成されたシート本体の略法線方向からの略平行光を単位レンズ側から照射して、透明親水膜の少なくとも外表面のうちで略平行光の光路となった光路領域を光触媒反応を利用して撥水化した後、透明親水膜の少なくとも外表面のうちで略平行光の光路とならなかった非光路領域上に水性のインクジェットインクを用いたインクジェット法によりBSパターン3を形成する。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
シート本体2の作製;軟化温度98℃のメタクリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(MBS樹脂)ペレットを押出成形装置のホッパーに投入して溶融させ、溶融したMBS樹脂を押し出し、シリンドリカル状のレンチキュラーレンズからなる単位レンズ4の賦形型を外周に備えた型ロールで型押しを行なった。このとき、型ロールの表面温度を80℃に設定し、型ロールの引き取り速度を3m/分に設定した。この条件により、入光側となる面にピッチが150μmの複数の単位レンズ4を形成した。形成された単位レンズ4は、入光側の表面が凸状の曲面を有した縦長のシリンドリカルレンズであり、その長手方向がシート本体2の搬送方向と平行になるように設けられている。なお、シート本体2の総厚さを約150μmとした。
シート本体2の作製;軟化温度98℃のメタクリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(MBS樹脂)ペレットを押出成形装置のホッパーに投入して溶融させ、溶融したMBS樹脂を押し出し、シリンドリカル状のレンチキュラーレンズからなる単位レンズ4の賦形型を外周に備えた型ロールで型押しを行なった。このとき、型ロールの表面温度を80℃に設定し、型ロールの引き取り速度を3m/分に設定した。この条件により、入光側となる面にピッチが150μmの複数の単位レンズ4を形成した。形成された単位レンズ4は、入光側の表面が凸状の曲面を有した縦長のシリンドリカルレンズであり、その長手方向がシート本体2の搬送方向と平行になるように設けられている。なお、シート本体2の総厚さを約150μmとした。
BSパターン3の形成;作製されたシート本体2を一定速度で搬送しながらストライプ状のBSパターン3を形成した。BSパターン3は、図12及び図13で説明した方法で形成した。先ず、半導体レーザー131から照射されたレーザー光線135をポリゴンミラー132でスキャンし、さらにコリメーターレンズ133で略平行光101にし、その略平行光101を単位レンズ4側からシート本体2に照射した。略平行光101は単位レンズ4で集光・拡散してシート本体2を透過する。その透過光はCCDセンサー134で検出され、その検出データをもとにしてBSパターン3を油性のインクジェットインクを用いたインクジェット法により形成した。
インクジェット法によるBSパターン3の形成は、5個のインクジェットノズル91をピッチ0.5mmで斜めに並べたノズル群121をシート本体2の幅方向に1500個並べたピエゾジェット法インクジェットを用いた。このインクジェットのノズル群121を、CCDセンサー134の検出結果に基づいて光量が最小となった位置にノズル91がくるように角度調整し、調整後のノズル群121を用いてシート本体2の非光路領域113にBSパターン3を描画した。
インクジェットノズルの各温度を50℃に加温し、油性のインクジェットインクの粘度を6cpsとした。これにより、シート本体2の出光側の表面の非光路領域113に、幅100μmでピッチ150μmのストライプ状のBSパターン3を形成した。なお、BSパターン3間の光透過部5は、50μmの幅で形成した。こうして実施例1のレンチキュラーレンズシートを製造した。
(実施例2)
シート本体2は実施例1と同様の方法で作製した。作製したシート本体2の単位レンズ4側の反対面である出光面には、透明親インク膜42を形成した。この実施例2においては、実施例1と同様の製法により、入光側となる面にピッチが90μmの複数の単位レンズ4を形成した。
シート本体2は実施例1と同様の方法で作製した。作製したシート本体2の単位レンズ4側の反対面である出光面には、透明親インク膜42を形成した。この実施例2においては、実施例1と同様の製法により、入光側となる面にピッチが90μmの複数の単位レンズ4を形成した。
油性のインクジェットインクに対して親油性を示す透明親インク膜をシート本体上に形成し、その透明親インク膜が形成されたシート本体の略法線方向からの略平行光を単位レンズ側から照射して、透明親インク膜の少なくとも外表面のうちで略平行光の光路となった光路領域を光触媒反応を利用して撥油化した後、透明親インク膜の少なくとも外表面のうちで略平行光の光路とならなかった非光路領域上の親油性領域に油性のインクジェットインクを用いたインクジェット法によりBSパターン3を形成する。透明親インク膜42形成用のコート剤として、イソプロピルアルコール30gとフルオロアルキルシランが主成分であるMF−160E(トーケムプロダクツ(株)製)0.4gとトリメトキシメチルシラン(東芝シリコーン(株)製、TSL8113)3gと、光触媒である酸化チタン水分散体であるST−K01(石原産業(株)製)20gとを混合し、100℃で20分間撹拌し、これをイソプロピルアルコールにより3倍に希釈した光触媒含有層用組成物を用いた。この組成物をシート本体2の出光面上にロールコート法により塗布し、150℃で10分間の乾燥処理を行うことにより、透明な光触媒含有層からなる透明親インク膜42(厚み5μm)を形成した。
次に、水銀灯にルーバーを組み合わせて略平行光とした紫外線を、シート本体2の単位レンズ4側より照射した。このときの紫外線の照射強度は1mJ/cm2であり、その紫外線が単位レンズ4で屈折して反対面近傍で集光して出光面側に透過する際に、透明親インク膜42中の酸化チタン光触媒の作用により、その紫外線の光路領域112にかかる透明親インク膜42が、親油性から撥油性に変化する。
この実施例2においては、撥油化処理されていない親油性領域に、上述した実施例1と同様の方法により油性のインクジェットインクを塗布して、幅63μmでピッチ90μmのストライプ状のBSパターン3を形成した。油性のインクジェットインクは、撥油化処理されていない親油性領域(親インク性領域44)には濡れ性よく塗布できるが、撥油化処理された撥油性領域(撥インク領域43)ではインクをはじいて塗布されない。したがって、実施例2のレンチキュラーレンズシートは、親インク性領域44がBSパターン3となり、撥インク性領域43が光透過部5となる。
(評価)
実施例1及び2のレンチキュラーレンズシートは、筋状のラインがない良好な外観を呈していた。また、このレンチキュラーレンズシートを背面投射型表示装置の透過型スクリーンの構成部材として用いた場合、コントラストにおいても問題のないものであった。
実施例1及び2のレンチキュラーレンズシートは、筋状のラインがない良好な外観を呈していた。また、このレンチキュラーレンズシートを背面投射型表示装置の透過型スクリーンの構成部材として用いた場合、コントラストにおいても問題のないものであった。
11、21,31,41,51,52,61,62,63,71 レンチキュラーレンズシート
2 シート本体
3 遮光パターン(BSパターン)
4 単位レンズ
5 光透過部
6 入射光
7 出射光
8 光拡散剤
9 ティント層
32 外光
42 透明親インク膜
43 撥インク性領域
44 親インク性領域
64 支持体
65 接着剤層
72 フレネルレンズシート
73 透過型スクリーン
74 映像光
75 略平行光
81 背面投射型表示装置
82 映像光源
83 映像光
84 拡散光
85 ミラー
86 筐体
87 フレネルレンズシート
88 屈折面
89 全反射面
90 フレネルレンズ
91 インクジェットノズル
92 インクジェットインク
101,111 略平行光
102 光強度
112 光路領域
113 非光路領域
114 光触媒反応用シート
115 出射光
121 ノズル群
131 半導体レーザー
132 ポリゴンミラー
133 コリメーターレンズ
134 CCDセンサー
135 レーザー光線
2 シート本体
3 遮光パターン(BSパターン)
4 単位レンズ
5 光透過部
6 入射光
7 出射光
8 光拡散剤
9 ティント層
32 外光
42 透明親インク膜
43 撥インク性領域
44 親インク性領域
64 支持体
65 接着剤層
72 フレネルレンズシート
73 透過型スクリーン
74 映像光
75 略平行光
81 背面投射型表示装置
82 映像光源
83 映像光
84 拡散光
85 ミラー
86 筐体
87 フレネルレンズシート
88 屈折面
89 全反射面
90 フレネルレンズ
91 インクジェットノズル
92 インクジェットインク
101,111 略平行光
102 光強度
112 光路領域
113 非光路領域
114 光触媒反応用シート
115 出射光
121 ノズル群
131 半導体レーザー
132 ポリゴンミラー
133 コリメーターレンズ
134 CCDセンサー
135 レーザー光線
Claims (9)
- 厚さ方向の一方の面に複数の単位レンズが形成されているシート本体と、該シート本体の厚さ方向の他方の面上に形成されたストライプ状の遮光パターンと、該遮光パターン間に位置する光透過部とを有するレンチキュラーレンズシートであって、
前記遮光パターンがインクジェットインクにより形成されていることを特徴とするレンチキュラーレンズシート。 - 前記インクジェットインクが、溶媒を含まない電子線硬化インク又は電磁波硬化インクであることを特徴とする請求項1に記載のレンチキュラーレンズシート。
- 前記シート本体の前記他方の面上に形成された透明親インク膜を更に有し、前記光透過部における該透明親インク膜の少なくとも外表面には撥インク性の領域が形成され、該撥インク性の領域以外の領域上にはインクジェットインクからなる前記遮光パターンが形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレンチキュラーレンズシート。
- 前記シート本体の略法線方向からの略平行光を前記単位レンズ側から入射させたとき、前記光透過部が該略平行光の光路となる領域に対応していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレンチキュラーレンズシート。
- 前記単位レンズが、シリンドリカルレンズであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のレンチキュラーレンズシート。
- 厚さ方向の一方の面に複数の単位レンズが形成されているシート本体と、該シート本体の厚さ方向の他方の面上に形成されたストライプ状の遮光パターンと、該遮光パターン間に位置する光透過部とを有するレンチキュラーレンズシートの製造方法であって、
前記遮光パターンをインクジェット法により形成することを特徴とするレンチキュラーレンズシートの製造方法。 - 前記シート本体の前記他方の面上に透明親インク膜を形成し、該透明親インク膜が形成されたシート本体の略法線方向からの略平行光を前記単位レンズ側から照射して、前記透明親インク膜の少なくとも外表面のうちで前記略平行光の光路となった領域を光触媒反応を利用して撥インク化した後、前記透明親インク膜の少なくとも外表面のうちで前記略平行光の光路とならなかった領域上にインクジェットインクを用いたインクジェット法により前記遮光パターンを形成することを特徴とする請求項6に記載のレンチキュラーレンズシートの製造方法。
- 前記請求項1〜5のいずれか1項に記載のレンチキュラーレンズシートを備えたことを特徴とする透過型スクリーン。
- 前記請求項8に記載の透過型スクリーンを備えたことを特徴とする背面投射型表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004209452A JP2006030596A (ja) | 2004-07-16 | 2004-07-16 | レンチキュラーレンズシート、その製造方法、透過型スクリーン及び背面投射型表示装置 |
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ID=35897024
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JP2004209452A Withdrawn JP2006030596A (ja) | 2004-07-16 | 2004-07-16 | レンチキュラーレンズシート、その製造方法、透過型スクリーン及び背面投射型表示装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007240686A (ja) * | 2006-03-07 | 2007-09-20 | Dainippon Printing Co Ltd | 光拡散シート、その製造方法及び透過型スクリーン並びに背面投射型表示装置 |
WO2008102822A1 (ja) | 2007-02-20 | 2008-08-28 | Fujifilm Corporation | 紫外線吸収剤を含む高分子材料 |
WO2008123504A1 (ja) | 2007-03-30 | 2008-10-16 | Fujifilm Corporation | 紫外線吸収剤組成物 |
WO2009022736A1 (ja) | 2007-08-16 | 2009-02-19 | Fujifilm Corporation | ヘテロ環化合物、紫外線吸収剤及びこれを含む組成物 |
WO2009123141A1 (ja) | 2008-03-31 | 2009-10-08 | 富士フイルム株式会社 | 紫外線吸収剤組成物 |
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CN115443426A (zh) * | 2020-04-07 | 2022-12-06 | 斯纳普公司 | 光学装置 |
-
2004
- 2004-07-16 JP JP2004209452A patent/JP2006030596A/ja not_active Withdrawn
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