以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
<画像形成装置の概略構成>
図1は、本発明に係る画像形成装置の一構成例の概略を示す図である。画像形成装置1は、フルカラー画像形成を可能とするために、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各単色トナーにより色分解された画像を用紙上に順次重ね合わせるべく、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応した複数の感光体上に光走査装置により色分解された画像に対応した画像信号により潜像をそれぞれ走査露光し、各単色画像を現像し、各単色画像を中間転写体上に順次転写して形成したフルカラーのトナー像を記録媒体上に一括転写するタンデム方式の構成としている。
具体的には、画像形成装置1は、画像出力部10と、光走査装置20とを備えている。画像出力部10は、3個の搬送ローラ12A〜12Cと、搬送ローラ12A〜12Cに巻き掛けられた無端の転写ベルト14と、転写ベルト14を挟んで搬送ローラ12Cと対向配置された転写ローラ16と、色別の画像形成部18(それぞれに参照子Y,M,C,Kを付して示す)とを備えている。
転写ベルト14の側方には、転写ベルト14が回転駆動されたときの転写ベルト14の移動方向(図1(A)矢印A方向)に沿って、イエロー(Y)の単色画像を形成するための画像形成部18Y、マゼンダ(M)の単色画像を形成するための画像形成部18M、シアン(C)の単色画像を形成するための画像形成部18C、ブラック(K)の単色画像を形成するための画像形成部18Kが略等間隔で順に配置されている。
図1では詳細な図示を省略しているが、個々の画像形成部18は、転写ベルト14の移動方向と直交するように各々配置され図中の矢印B方向に回転する感光体ドラム19を備え、また画像形成部18Yにて示しているように、各感光体ドラム19の周囲に、感光体ドラム19を帯電させるための帯電器18a、光走査装置20によって感光体ドラム19上に形成された静電潜像を所定色(Y,M,C,K)のトナーによって現像してトナー像を形成させる現像器18b、感光体ドラム19上に形成されたトナー像を転写ベルト14に転写する転写器18c、感光体ドラム19に残されたトナーを除去する清掃器18dが順に配置されて構成されている。転写器18cは、転写ベルト14を挟んで感光体ドラム19と対向配置される。
個々の画像形成部18の感光体ドラム19に形成された互いに異なる色のトナー像は、転写ベルト14のベルト面上で互いに重なり合うように転写ベルト14に各々転写される。これにより、転写ベルト14上にカラーのトナー像が形成され、形成されたカラーのトナー像は、搬送ローラ12Cと転写ローラ16との間に移動方向(図1矢印C方向)に送り込まれた転写材22に転写される。そして、転写材22は図示しない定着装置に送りこまれ、転写されたトナー像が定着される。これにより転写材22上にカラー画像(フルカラー画像)が形成される。
画像形成部18Y,18M,18C,18Kの近傍には、光走査装置20が配されている。この光走査装置20は、複数本の光ビームを出射する光源24と、モータ46と、このモータ46により回転駆動されるポリゴンミラー(回転多面鏡)28とを有する。
また、光走査装置20は、回転多面鏡28の光ビーム射出側の光路上に、主走査方向にのみパワーを有するfθレンズ32を構成する2枚のレンズ33,34と、複数本のビーム光をそれぞれ所定本のビーム光のグループに分離する分離ミラー36と、シリンドリカルミラー38とを有する。
なお、図1では、分離ミラー36を1枚構成のもので示しているが、この分離ミラー36は、後述する図2のように、複数枚の分離ミラーの組合せで構成することもできる。
シリンドリカルミラー38は、分離ミラー36で分離された色別の各グループのビーム光を対応する画像形成部18に入射させるべく、そのY,M,C,Kの色別に、各色用の画像形成部18に対応するように配される(それぞれ38Y,38M,38C,38Kと記す)。また、シリンドリカルミラー38は、副走査方向にのみパワーを有するものであり、さらに、回転多面鏡28と感光体ドラム19の外周面を副走査方向において共役にする面倒れ補正機能も有している。
光源24から発せられた光ビームは、回転多面鏡28によって偏向・反射された後、fθレンズ32を介して分離ミラー36に入射され、この分離ミラー36にて色別のシリンドリカルミラー38Y,38M,38C,38Kに向けて所定本ずつ分離・反射される。分離ミラー36から射出された光ビームは、副走査方向の結像位置が感光体ドラム19上に一致するようにシリンドリカルミラー38によって各々反射され、対応する色別の画像形成部18Y,18M,18C,18Kに設けられた感光体ドラム19に各々入射する。
ここで、感光体ドラム19に入射される光ビームは、回転中の感光体ドラム19の外周面上を略等速で移動し、かつ主走査方向の結像位置が感光体ドラム19の外周面上に一致するようにfθレンズ32によって屈折される。
<光走査装置の構成>
図2は、光走査装置20の走査光学系の詳細構成例を示す図である。なお、図1では、分離ミラー36を1枚構成のもので示したが、ここでは、複数枚のミラーの組合せで分離ミラー36を構成する形態のもので示す。ここで、図2(A)は、光走査装置20の全体概要を示す平面図であり、図2(B)は、感光体ドラム19への入射経路に着目して示した図2(A)のZ−Z線上の断面図である。
光源24は、回路基板30上に設けられるとともに、光源24が光走査装置20の筐体20aに取付けられている。
回路基板30上には、光源24を駆動制御するためのレーザ駆動回路および出力量補正処理回路などを具備した光源制御部の一例であるLD制御部50が構成され、LD制御部50は、ケーブル31によって、装置外部に設けられる装置制御部と接続されるようになっている。
光源24とポリゴンミラー28との間の入射光学系26は、コリメータレンズ26a、ハーフミラー26b、およびシリンドリカルレンズ26cを光路順に具備して構成されている。光源24から出射された光ビームの一部はハーフミラー26bで反射されるようになっている。
光源24から射出された複数本の光ビームは、光源24のビーム射出側に配置されたコリメータレンズ26aによって各々平行光束とされた後に、側面に複数の反射面が形成された単一の回転多面鏡28の同一の反射面に各々入射され、fθレンズ32を通して分離ミラー36に入射される。ここで、分離ミラー36は、fθレンズ32を通った光ビームをY,M,C,K別のグループに分離するべく、複数枚の反射ミラー(フラットミラー)を具備している。
ポリゴンミラー28は、モータ46(図1を参照)の駆動力が伝達されることで、図2中の矢印D方向に高速で回転し(高精度に一定速度で回転)、同一の反射面に入射された複数本の光ビームを主走査方向に沿って各々偏向走査させる。これにより、光ビームは図2の矢印E方向に走査される。
また、光走査装置20は、fθレンズ32のビーム射出側に、光ビームの走査範囲のうち走査開始側の端部(SOS:Start Of Scan )に相当する位置にピックアップミラー40を具備するとともに、このピックアップミラー40の光ビーム射出側に、ピックアップミラー40で反射された光ビームを検知する主走査同期センサ(以下SOSセンサと記す)42を備えている。図示の構成では、ブラックに対応する光ビームで走査開始信号SOS を出力する構成となっている。
ポリゴンミラー28で走査された光ビームのうち、走査開始端に相当する位置の光ビームは、ピックアップミラー40により反射されて、SOSセンサ42に入射する。SOSセンサ42は、光ビームの入射に応じた信号出力を行なうものであり、1走査ごとに、その走査開始タイミングを検出することができる。このSOSセンサ42の出力信号である走査開始信号SOS により、走査方向の画像の書出タイミングの同期が取られる。
また、光走査装置20は、ハーフミラー26bの光の反射方向に、集光レンズ44と、光検出手段として機能する光量検知センサ45とを備えている。光源24から出射された光ビームは、ポリゴンミラー28に入射される前に、ハーフミラー26bにより反射され光量検知センサ45へ入射する。光量検知センサ45は、入射した光ビームを受光し、受光量に応じた電流を出力する。すなわち、光量検知センサ45により、光ビームの光量を測定することができる。
本実施形態で用いる光源24としては、レーザビームを発光する発光点数を増やし、複数本の光ビームを同時に走査することにより画像を形成可能にしている。1チップからn本の光ビーム(レーザ光)を発光することが可能なレーザダイオード(LD)を使用することによりポリゴンミラー28の回転数を1本のビームを発光するレーザダイオードに比べ1/nにすることができ、これによって感光体ドラム19上を走査する速度を低下させることができ、画像クロックの周波数を低下させることができる。
このような、複数の発光点を持つレーザダイオードとして、本実施形態では、VCSEL(垂直共振器型面発光レーザ)を用いる。VCSELは、1つのチップ上に比較的容易に多数のレーザ光源部を形成することが可能であるため、複数発光点を持つレーザ光源として有用である。
レーザ光源を用いた電子写真方式の画像形成装置1では、光ビームの光量を安定して走査させるために、光ビームの自動出力量補正処理(APC)を行なう。光源24としてVCSELを用いた場合、光ビームの出射方向が、半導体基板に対して垂直方向であるため、バックビームを持たないので、端面発光のレーザ光源とは異なり、パッケージ内にモニタフォトダイオード(MPD)を持つことは困難であることから、パッケージ外部に光量検知センサ45を設け、光源24から出射した光ビームをハーフミラー26bで分離して光量検知センサ45に入射させることで光源24の出射光量を検知し、検知した光量に応じた電流値を電圧に変換し、目標とする光量に応じた基準電圧と比較することにより目標とする光量に制御するようになっている。
VCSELから出射される光ビームの本数は、非常に多く(たとえば32本)なるため、光量検知センサ45を光ビーム数分設けることは出射ビームの分離が必要となることやセンサの配置スペース、コストなどにより実質的に困難であるため、本実施形態では、光量検知センサ45を1個配置し、時系列に各光ビームを点灯駆動し、APC制御を実行して、各光ビームを所定の光量となるようにする。
<複数ビームの構成例>
図3は、光源24が出射する複数本の光ビームの構成例を示す図である。ここでは、光源24として、32個の発光点を具備した構成のもので説明する。光源24からは、Y,M,C,Kの各単色画像を形成するための4群で32本の光ビームが各々射出される。なお、光源24は、VCSELに限らず、32個のレーザダイオード(LD)25が複数のLDアレイによる構成でもよいし、一体化されて単一のパッケージから32本の光ビームを射出する構成でもよい。VCSELも含めて、便宜上、単一パッケージの場合も、個々の発光源をレーザダイオード25と称することにする。
前述のように、本実施形態では、VCSELを用いることにしており、一例として、4×8で2次元状に配置された計32個の発光源(レーザダイオード25)を具備するものを用いる。このVCSELのような多ビームの光源を使用する場合には、1色に対して複数のビームを使用することが可能となるが、何れのグループ分けで色別に対応させるかは、典型的には、以下の2つを取り得る。
たとえば、図示のように、4×8のマトリックス状にレーザダイオード25を配置させて、32本の光ビームを使用することを考える。なお、各レーザダイオード25は、列と行を区別するべく、(列番号−行番号)で表記する。
図3(A)に示す第1例では、8行×4列で使用するようにして、1行目と2行目の計8個(2行×4列分)のレーザダイオード25((1−1)〜(4−1)および(1−2)〜(4−2))のグループがブラック(K)色を担当するグループである。同様に、3行目と4行目の計8個(2行×4列分)のレーザダイオード25((1−3)〜(4−3)および(1−4)〜(4−4))のグループがシアン(C)色を担当するグループであり、5行目と6行目の計8個(2行×4列分)のレーザダイオード25((1−5)〜(4−5)および(1−6)〜(4−6))のグループがマゼンタ(M)色を担当するグループであり、7行目と8行目の計8個(2行×4列分)のレーザダイオード25((1−7)〜(4−7)および(1−8)〜(4−8))のグループがイエロー(Y)色を担当するグループである。よって、第1例では、1つの感光体ドラム19に8本の光ビームが走査されることになる。
一方、図3(B)に示す第2例では、4行×8列で使用するようにして、1行目の計8個(1行×8列分)のレーザダイオード25((1−1)〜(8−1))のグループがブラック(K)色を担当するグループである。同様に、2行目の計8個(1行×8列分)のレーザダイオード25((1−2)〜(8−2))のグループがシアン(C)色を担当するグループであり、3行目の計8個(1行×8列分)のレーザダイオード25((1−3)〜(8−3))のグループがマゼンタ(M)色を担当するグループであり、4行目の計8個(1行×8列分)のレーザダイオード25((1−4)〜(8−4))のグループがイエロー(Y)色を担当するグループである。よって、第2例でも、1つの感光体ドラム19に8本の光ビームが走査されることになる。
なお、本実施形態では、4×8のレーザダイオード25を有する光源24を用いて、色別の各感光体ドラム19をそれぞれ8本の光ビームで走査する場合を説明するが、これに限らず、少なくとも各色について1本の光ビームが対応すればよい。したがって、光源24は、少なくとも4つのレーザダイオード25を有するVCSELなどの光源24を用いることができる。
<出力量補正処理系;基本>
図4は、光ビームの出力量補正処理を実施するための制御系の概略を説明する機能ブロック図である。ここで、図4は基本構成例を説明する図であり、2つの比較例と本実施形態が採用する基本構成例とを示す。
本構成においては、先ず、光走査装置20内に搭載される光源24からの光ビーム数を増加させる。この場合、光ビーム数の増加に伴い、出力量補正処理を実施する光ビーム数も増加する。このとき、光ビームごとに光量検知センサ(モニター・フォト・ダイオード:MPD)を設けることは、配置スペースやコスト的な制約が生じる。そこで、本実施形態では、各発光点を時系列に点灯させて単一の光量検知センサで全ての光ビームの光量を時分割で検知する仕組みを採る。これに応じて、ビーム出力制御装置のAPC制御系では、時分割で出力される各光ビームの光量と基準光量を示す基準信号Vref とを比較することで、両者が一致するように光量補正を実行する。
ここで、APC制御系としては、図3に示したように、各色に使用する光ビームが異なる場合に、時系列に点灯させてAPC制御を実行するVCSELを使用した場合には、先ず考えられることは、図4(A)に示す比較例1のように、1ビームごとに基準電圧信号(Vref )を時分割で出力する色別の基準電圧生成回路(図示せず)を具備した出力量補正処理部(光量制御部)52や色別のレーザ駆動部51を用いることである。この場合、色別に各回路を用いる分だけ回路構成が複雑化する。
一方、図4(B),(C)に示す構成のように、画像制御部56から供給される色別の光量設定データ(基準データ)DVrefの元で色別の基準信号を生成し時分割で光量設定データDVref(もしくはアナログにした基準信号Vref )を出力する基準信号生成部68を画像制御部56側もしくはLD制御部50側に設け、出力量補正処理部52では、色別を時分割で表わした基準信号Vref を用いてレーザ駆動部51を制御する構成を採ることが考えられる。
つまり、各色に対応する目標とする光量に応じた基準電圧の値となる基準信号をビームの色グループごとに時分割で出力可能に構成し、APC実行時にその基準信号を切り替えて使用することが考えられる。
なお、図4(B)に示す比較例2と図4(C)に示す本実施形態が採用する構成との違いは、基準信号生成部68を走査ユニット側のLD制御部50に置くのかコントローラ部側の画像制御部56に置くのかである。基準信号生成部68をLD制御部50側に搭載した比較例2の構成では、色別の光量設定データDVrefをLD制御部50の基準信号生成部68にて時分割変換してから出力量補正処理部52に渡す構成であるので、コントローラ部と走査ユニットとの間の基準信号線が色別に必要になる。
これに対して、基準信号生成部68をコントローラ部側の画像制御部56に搭載した本実施形態の構成では、色別の光量設定データDVrefを画像制御部56の基準信号生成部68にて時分割変換してから、LD制御部50側の出力量補正処理部52に渡す構成であるので、コントローラ部と走査ユニットとの間の基準信号線を単一にすることができる利点がある。
つまり、走査ユニット側の出力量補正処理部52が、基準信号を時分割して取り込むに当たっては、その前段のコントローラ部側(本例では画像制御部56)で、予め、複数のビームのそれぞれに対応して設定される各基準値を用意しておき、出力量補正処理順に従って、時分割で出力量補正処理部52側に渡す構成を採ることで、基準信号線の本数を減らす構成を採るのがよいのである。
しかしながら、このような図4(C)に示す本実施形態の構成を採用したとしても、感光体ドラム19が異なれば、その環境条件や特性バラツキなどに応じて目標光量値を個別に設定する必要が生じる場合があるので、たとえば、多色画像を形成する場合には、感光体ドラム19ごと(つまり色ごと)に目標光量を異なるものとしなければならず、色ごとに個別の出力量補正処理が必要である。
VCSELのように単一パッケージのものであれば発光特性が揃っているので、同一色内での各光ビーム対応の基準電圧信号を切替出力する際の基準電圧差は小さいが、色が異なると基準電圧差が大きくなってしまう。この場合、制御系の応答速度との関係で、色対応の基準電圧の切替え後の整定期間に時間を要する場合には、安定するまでに光量補正を実行すると色グループ切替時の最初の幾つかのビームについては、正常な光量補正を実行できない。また、各色用の目標光量差が大きい場合に、安定してから光量補正処理を実行すると、安定するまでに時間を要するので、APC制御時間が長くなってしまうという問題が発生する。
また、個別のレーザダイオードの組合せで構成する場合などのように、特性の異なる複数の発光点を持つ光源とする場合にも同様のことが言える。すなわち、同一グループ内でも、各レーザダイオードの特性バラツキに起因して、ダイオードが異なると基準電圧差が大きくなってしまうことも生じる。この場合、規定時間(1つのレーザダイオードの光量補正に要する期間)内に基準信号が安定せず、その結果、切替え後のレーザダイオードについては正常な光量補正を実行できず、目標光量に達しない問題が生じる可能性がある。また、それぞれの目標光量差が大きい場合に、安定してから光量補正処理を実行すると、安定するまでに時間を要するので、APC制御時間が長くなってしまうという問題が発生する。
これらの問題を解消するには、制御系の応答を高速にして、切替え後に基準信号が瞬時に安定電圧に達するようにすることも考えられるが、制御応答速度を上げると、ノイズに対するマージンが少なくなり目標光量が安定しない弊害が生じ得る。
このため、本実施形態では、APC制御系の構成や処理タイミングを工夫することで、各ビームの目標光量が異なる場合に、制御系の応答を高速にしなくても、簡単な構成で各光ビームの光量を高精度かつ確実に制御することができる仕組みを採る。以下、この点を中心に、詳しく説明する。
<出力量補正処理系;詳細例>
図5は、光ビームの出力量補正処理を実施するための制御系の詳細構成例を示す図である。図5に示すように、画像形成装置1の出力量補正処理系は、図2に示した光走査装置20と、光走査装置10が搭載される画像形成装置1全体の動作を制御する中央制御部70を具備したコントローラ部の一例である装置制御部54とを備えている。なお、光源24としては、32個のレーザダイオード25が図3(B)に示した第2例の状態で色別に使用されるものを用いるものとする。
光走査装置20は、光源24を駆動制御する機能部として、レーザ駆動部51および出力量補正処理部52を有する走査ユニット(光走査装置20)側の制御機能部であるLD制御部50を備えている。レーザ駆動部51と出力量補正処理部52とは互いに接続されている。レーザ駆動部51および出力量補正処理部52を含むLD制御部50は、ケーブル31によって、光走査装置20とは別体の装置制御部54と接続されている。
ケーブル31を介して伝達される信号としては、たとえば、SOSセンサ42からの走査開始信号SOS や、出力量補正処理用の基準信号Vref や、点灯ビーム設定信号の一例であるAPC点灯ビーム切替信号Pcng や、発光順(つまり光量補正順序)を示す発光順信号の一例である補正対象ビーム選択信号Psel0あるいはグループ選択信号Psel や、nビットの色別のビデオ信号VIDEO_Y ,VIDEO_M ,VIDEO_C ,VIDEO_K などがある。
装置制御部54は、光走査装置20の動作を制御するもので、画像に関する全般の制御を担当する画像制御部56と装置全体を制御する中央制御部70とを具備しており、中央制御部70から形成画像を示す画像データと、形成する画像の解像度や色ごとの目標光量などの各種データが画像制御部56に入力されるようになっている。画像制御部56は、形成する画像の画像データを処理する画像処理部58と出力量補正処理部52が使用する光量補正処理に使用する各種の信号を生成するAPC制御部60とを含んで構成されている。
LD制御部50の出力量補正処理部52や装置制御部54のAPC制御部60が、それぞれ本発明に係るビーム出力制御装置2の主要要素となっている。出力量補正処理部52やAPC制御部60は、それぞれ種々の回路部材で構成してもよいが、たとえば、それぞれが1パッケージの半導体ICで提供されるものであるのがよい。
画像処理部58は、入力された画像データをYMCK各色の画像データに変換して出力するためのものである。具体的には、画像処理部58は、入力された画像データに基づいて、光源24を構成する各レーザダイオード25(図3を参照)の点灯と消滅を制御する(オン/オフする)ための点灯信号(ビデオ信号VIDEO_Y,VIDEO_M,VIDEO_C,VIDEO_K ))を生成して、走査開始信号SOS と同期してレーザ駆動部51に出力する。
レーザ駆動部51は、この点灯信号に基づいて、各レーザダイオード25を点灯/消滅させることで、各レーザダイオード25から画像データに基づいて変調された光ビームを出力することができる。この各レーザダイオード25から出力された画像データに基づいて変調された光ビームが、光走査装置20により走査されて、感光体ドラム19に照射されることで、感光体ドラム19に、8ライン分の画像が同時に書き込まれる。
また、APC制御部60は、出力量補正処理部52において光源24の各レーザダイオード25の光量を制御するときの指示をするためのものであり、中央制御部70から転送される補正処理順データ(本例では色グループデータDsel0)と各色グループの目標光量設定値を示す光量設定データDVref_Y,DVref_M,DVref_C,DVref_Kとに基づいて光量補正順位(色グループに対するAPC制御順)を決定する光量補正順位調整部61と、光量補正順位調整部61から出力される光量補正順位調整後の情報(色グループデータDsel )に基づいて、光源24の複数の発光点(レーザダイオード25)から出射される各光ビームの選択順を表す補正対象ビーム選択信号Psel0を出力する補正対象ビーム選択部62とを備えている。
なお、補正対象ビーム選択部62は、たとえば、同一グループ内での補正順序を調整せずに、グループ別に補正順序を調整するようにする場合、色グループデータDsel に基づいて光源24の複数の発光点(レーザダイオード25)から出射される各色に対応した光ビームの色グループを表すグループ選択信号Psel を出力する色グループ選択部として機能させることができる。以下では、特に断りのない限り、補正対象ビーム選択部62は、色グループ選択部62であるものとして説明する。
補正対象ビーム選択部62は、光量補正順位調整部61からの色グループデータDselに基づき、各色に対応する色グループを選択するとともに、各色グループ内での点灯順序および色グループごとの点灯順序を設定するためのデータをグループ選択信号Psel として出力する。たとえば、色グループごとの点灯順序に関しては、Y色に対して「1」、M色に対して「2」、C色に対して「3」、K色に対して「4」の順序信号Order を出力する。このグループ選択信号Psel は、データバスなどのパラレル接続でもよいが、信号線数を考慮し、シリアル接続であることが望ましい。
また、APC制御部60は、光源24の複数の発光点である各レーザダイオード25の各々を時系列に順次点灯させるための切替信号(APC点灯ビーム切替信号Pcng )を出力するAPC点灯ビーム切替部64と、目標光量出力部の一例である基準信号生成部68とを備えている。
APC点灯ビーム切替部64は、APC点灯ビーム切替信号Pcng0を生成するAPC点灯ビーム切替信号生成部65と、APC点灯ビーム切替信号を計数する計数処理部66と、計数処理部66の計数到達を示すカウント到達信号CNTarvを参照して、APC制御タイミングを調整するとともにAPC点灯ビーム切替信号Pcng を出力するAPCタイミング制御部67とを備えている。計数処理部66は、APC点灯ビーム切替信号生成部65から出力されるAPC点灯ビーム切替信号Pcng0もしくはAPCタイミング制御部67にてゲート処理が施されたAPC点灯ビーム切替信号Pcng を計数する。
APC制御部60は、光源24の複数の発光点であるレーザダイオード25から各色に対応した光ビームを選択するととともに、出力量補正処理時のAPC点灯順序を選択するためのグループ選択信号Psel を補正対象ビーム選択部62から出力するようになっている。また、走査開始信号SOS と同期して、APCの実行を制御するためのAPC点灯ビーム切替信号Pcng をAPC点灯ビーム切替部64から出力するとともに、基準信号Vref を基準信号生成部68で生成して、出力量補正処理部52へ出力するようになっている。
具体的には、APC点灯ビーム切替部64のAPC点灯ビーム切替信号生成部65には、SOSセンサ42から走査開始信号SOS が供給されるとともに、中央制御部70からマスタークロックCLK0が供給される。APC点灯ビーム切替信号生成部65は、走査開始信号SOS と同期して、マスタークロックCLK0をカウントして、1ビームの出力量補正処理を実施するために必要な時間(たとえば4μsec程度)に相当する周期を持つクロック信号CLK に変換して、これをAPC点灯ビーム切替信号Pcng0として計数処理部66とAPCタイミング制御部67とに出力する。
計数処理部66とAPCタイミング制御部67とは協働して、APC点灯ビーム切替信号生成部65からのAPC点灯ビーム切替信号Pcng0を整形してAPC点灯ビーム切替信号Pcng を生成するとともに、基準信号生成部68を制御するセレクト信号SEL を生成する。
また、計数処理部66とAPCタイミング制御部67とは協働して、補正対象ビーム選択部62から出力されるグループ選択信号Psel で示される色グループ順に適合するように、基準信号生成部68から色別の基準信号Vref が時分割で出力されるように、セレクト信号SEL により基準信号生成部68を制御する。これにより、基準信号生成部68は、補正対象ビーム選択部62から出力されるグループ選択信号Psel で示される色グループ順に連動して、色別の基準信号Vref を生成し得る色別の光量設定データDVrefを時分割で出力量補正処理部52に供給する。
出力量補正処理部52には、光走査装置20内に設けられたSOSセンサ42からの走査開始信号SOS 、および光量検知センサ45からの受光量に応じた光電変換電流信号(光量検知信号)Siが入力される。
また、出力量補正処理部52には、装置制御部54のAPC制御部60から、出力量補正処理の目標とする光量に対応する基準信号Vref が入力される。基準信号Vref としては、所定範囲のアナログ信号や、所定ビット数のデジタルデータや、パルス幅変調信号(PWM)などにより出力量補正処理部52に送られる。たとえば、デジタルデータで受け取る場合、出力量補正処理部52は、入力されたデジタルの基準信号Vref の値をデジタルアナログ変換器などによりアナログの電圧値に変換する。
出力量補正処理部52は、光量検知センサ45から入力された光電変換電流信号Siを電圧信号に変換する。出力量補正処理部52には、外部コントローラとしての装置制御部54から、各ビームの光量の目標値となる基準信号Vref が時分割で入力され、光量検知センサ45からの光電変換電流信号Siに対応する電圧信号と基準信号Vref で示された各ビームに対応する光量目標値とを比較し、光量検知センサ45からの出力を変換した電圧信号が、対応する基準信号Vref に合致するように、光源24の各レーザダイオード25の各ビームの光量を調整する。
つまり、出力量補正処理部52は、基準信号Vref と、光量検知センサ45からの受光量に応じた光電変換電流信号Siによるモニタ電圧とを比較し、その結果を差分信号が零となるように、すなわちモニタ電圧が基準電圧と略一致するように、レーザ駆動部51に対して各レーザダイオード25の発光光量を増減させて、光ビームが所定光量となるように光量調整を行なう。その後は、当該光量調整後の制御値をホールドすることで、当該レーザダイオード25から所定光量の光ビームが得られるように制御する。この光量調整は、APCの実行が許可されている期間(補正可能期間)に行なわれる。この補正可能期間は、少なくとも、1走査期間における画像エリア以外に設定される。
ところで、本実施の形態では、光量検知センサ45は、光源24に対して1つしか設けられていないため、各レーザダイオード25の光量調整は、同時に行なわず、時分割で個別に点灯して行なう。
また、本実施形態では、タンデム型のフルカラー対応の画像形成装置1としており、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応した4つの感光体ドラム19を具備した画像形成部18を使用する。この場合、感光体ドラム19の配置位置による温度差や使用頻度差などにより、各色に対応する感光体ドラム19ごとに露光光量が異なる場合が多く、レーザダイオード25の発光出力量補正処理は、各色独立して行なわなければならない。
このため、本実施形態では、色ごとに、光ビームの光量を増減させながら、画像データに基づいてレーザダイオード25を順番に点灯して、感光体ドラム19に画像を書き込むようにする。したがって、出力量補正処理部52では、同一色内だけでなく、色ごとにも、互いに異なる目標値(基準信号Vref )を用いた出力量補正処理が必要となる。
なお、光源24としてVCSELなど特性の揃ったものを用いると、同一色内では、バラツキが少なく、各光ビーム対応の基準電圧差は小さいので、必ずしも、基準信号Vref を光ビーム別に切り替えなくてもよい。一方、色ごとに互いに異なる目標値(基準信号Vref )を用いた出力量補正処理をするためには、色ごとに基準信号Vref を出力する必要がある。この基準信号Vref ごとに信号線を用いたのでは、信号線数が増大し、装置構成が複雑になる。そこで、本実施形態では、光源24内のレーザダイオード25の点灯順序を選択しつつ色ごとに対応する基準信号Vref を順次出力することにより信号線数を減少させる仕組みを採る。
つまり、光量検知センサ45は、光源24の複数個(本例では32個)のレーザダイオード25に対して1つだけ設けられているので、1つの光量検知センサ45で全ての光ビームの出力量補正処理を行なう場合、複数ビームを同時に出力量補正処理はできないため、光ビームごとに個別に出力量補正処理を行なう。この場合、全ての光ビームに対する出力量補正処理を行なうためには、少なくとも画像形成エリア外領域において、全光ビームを時系列に点灯させ、各光ビームの発光光量を光量検知センサ45で検知し、各光ビームそれぞれを、所定の光量に制御する。
たとえば、APC制御部60から出力量補正処理部52に供給される出力信号は、APC対象のレーザダイオード25を切り替えるためのAPC点灯ビーム切替信号Pcng と、各色に対応するAPC点灯順序を選択するための補正対象ビーム選択部62から出力されるグループ選択信号Psel と、色別に時分割で基準信号生成部68から出力される基準信号Vref とから構成されている。これらは、SOSセンサ42からの走査開始信号SOS に同期して、画像形成エリア外領域においてAPC制御を実行可能なタイミングパルスとなっている(後述する図9を参照)。
APC制御実行時には、走査開始信号SOS に同期して、かつ画像形成エリア外領域において、APC点灯ビーム切替信号Pcng により光源24内の何れかのレーザダイオード25が点灯され、その光量が、APC点灯ビーム切替信号Pcng の計数値に応じて切り替わる基準信号Vref の値となる目標光量に制御される。したがって、出力量補正処理部52は、光源24中の光量調整のために点灯するレーザダイオード25を切り替えながら、基準信号Vref を切り替えて、各レーザダイオード25の光量調整を行なう。
ここで、画像形成エリア外領域においてAPC制御を実行するには、たとえば、1走査期間内の画像形成エリア外領域において全ての色グループのAPC制御を完了させる第1の手法と、複数の走査期間内の各画像形成エリア外領域を使って全ての色グループのAPC制御を完了させる第2の手法の何れかを取り得る。
さらに第2の手法では、さらに、各走査期間内の画像形成エリアで1つもしくは複数の色グループのAPC制御を完了させ、その組合せで全ての色グループのAPC制御を完了させる手法と、各走査期間内の画像形成エリアでは1つの色グループのAPC制御を完了させ、その組合せで全ての色グループのAPC制御を完了させる手法、つまり各色グループのAPC制御(光量補正)の切替えを走査ごとに行なう(1走査で1グループの光量補正を行なう)手法の何れかを採り得るが、後者の方が制御が簡単である。
<光量補正順位調整部の動作>
図6は、光量補正順位調整部61の基本的な動作を説明する図である。光量補正順位調整部61は、通常は、中央制御部70から転送される色グループデータDsel0を、そのまま色グループデータDsel として出力することも可能であるが、本実施形態の特徴点として、基準信号を時分割で使用して光量補正を実行する際に、隣接する目標光量設定値を示す基準信号の差異ができるだけ小さくなるように光量補正順位を決定する。すなわち、光量補正順位調整部61は、連続して調整する目標光量差、つまり時分割で使用される各目標光量の切替前後の光量設定データDVref(基準信号Vref )の差(隣接間差)ができるだけ小さくなるように、光量補正順序を決定する。
特に、各別の画像形成部18(詳細には感光体ドラム19)を縦続配置して、カラー画像を構成するようにした画像形成装置1としている本実施形態の構成では、同一の画像形成部18に使用される各レーザダイオード25用の基準信号Vref の差が小さい場合でも、画像形成部18(感光体ドラム19)ごとに目標光量が異なるのが一般的であるので、各画像形成部18に対応したグループについて連続して光量補正(APC制御)制御を行なう際に、隣接する色グループの目標光量設定値を示す基準信号の差異ができるだけ小さくなるように光量補正順位を決定する。
たとえば、光量補正順位調整部61は、中央制御部70からの各グループ用の光量設定データDVrefを比較する図示しない比較手段を内蔵している。比較手段で、各グループ用の光量設定データDVrefの他のグループ用の光量設定データDVrefとの差をそれぞれ算出し、時分割で順次光量設定データDVref(つまり基準信号Vref )を使用する場合の隣接間差の最大値ができるだけ小さくなるように、光量設定データDVref(つまり基準信号Vref )の使用順序、つまり光量補正の色グループ順を決定する。
この際には、隣接間差の最大値が最も小さくなる補正順を選択するようにしてもよいし、隣接間差の最大値がある閾値TH1を越えないような何れかの補正順(APC制御順序)を決定してもよい。つまり、APC制御順位が、予め設定された閾値TH1以下となるように、光量補正順序を調整する。
ここで、「閾値TH1」は、1回のサイクルで変更追従が可能な目標光量差に対応する基準信号の差である。「1回のサイクルで変更追従が可能」とは、そのサイクルの光量補正処理を開始するまでに、切替後の基準信号が安定値に達することが可能であることを意味する。
隣接間差の最大値がある閾値TH1を越えないような何れかの補正順を決定できる場合には、その補正順を採用し、閾値TH1を越えないような補正順がなければ、隣接間差の最大値が最も小さくなる補正順を選択するのがよい。
閾値TH1を越えないような補正順を選択できる場合には、必ずしも、隣接間差の最大値が最も小さくなる補正順でなくても、切替後の1回のサイクルで基準信号Vref が次の補正対象の基準信号レベルに安定した後に光量補正を実行できる、つまり、1回のサイクル内で基準信号の変更追従と補正実行が可能であり、不都合がないからである。
一方、閾値TH1を越えないような補正順を選択できない場合に、閾値TH1を超えるものの、隣接間差の最大値が最も小さくなる補正順を選択しておくことで、切り替え後の基準電圧整定期間を極力短くすることで、この基準電圧整定期間に対する適応処理(詳細は後述するが停止手法や重複手法である)の期間を極力短くすることで、全体の補正期間を短くすることができる。
時分割で基準信号Vref を切り替えて光量補正をする際に、各補正時の目標光量設定値を与える基準信号の差異を計算し、基準信号の隣接間差が小さくなるように、つまり順次処理時の目標光量差が小さくなるように光量補正順位を決定して、各光源を順次点灯させて光量検知結果が設定された目標光量となるように制御するのである。
このように、光量補正順序を調整するようにすれば、ある処理順では基準信号の隣接間差が大きい場合であっても、処理順を調整することで、安定した光量補正ができるようになる。
たとえば、図6(A1)に示すように、色別の光量設定データDVref(つまり基準信号Vref で示される目標光量値)がY→K→C→Mの順(グループ内の各ビームには多少のバラツキがあるものとする)である場合に、図6(A2)に示すように、補正対象ビーム選択信号Psel0で示される補正処理順がY→M→C→K→…である場合には、その補正処理順のままで光量設定データDVrefを時分割して出力量補正処理部52に渡すと、隣接間差の最大値Δmax は、最大のY色用の光量設定データDVref_Yと最小のK色用の光量設定データDVref_Kとの差になるので、非常に大きく、切替後の整定期間が長くなる。これに対して、最大→最小間での切替えがないように、たとえば図6(A3)に示すようにY→C→M→K→…の順に変更すれば、隣接間差の最大値Δmax をより小さくでき、切替後の整定期間を短くすることができる。
グループ内でも、ビームごとに特性バラツキがある場合にも、同様のことが言える。たとえば、図6(B1)に示すように、各ビームの光量設定データDVref(つまり基準信号Vref で示される目標光量値)が1→8→6→4→2→7→5→3の順である場合に、図6(B2)に示すように、補正対象ビーム選択信号Psel0で示される補正処理順が1→2→3→4→5→6→7→8…である場合を考える。
この場合には、その補正処理順のままで光量設定データDVrefを時分割して出力量補正処理部52に渡すと、隣接間差の最大値Δmax は、最大の光量設定データDVref_1と最小の光量設定データDVref_3の差になるので、非常に大きく、切替後の整定期間が長くなる。これに対して、最大→最小間での切替えがないように、たとえば図6(B3)に示すように、1→6→2→5→3→7→4→8→…の順に変更すれば、隣接間差の最大値Δmax をより小さくでき、切替後の整定期間を短くすることができる。
なお、「1回のサイクル」は、1走査期間内で複数の色グループについての光量補正を行なう場合には、1つのビーム(レーザダイオード25)について要する光量補正期間以下である。図6(C1)に示すように、1つのビームについての補正可能期間Tc内において、実際にビームを点灯させる期間、たとえばAPC点灯ビーム切替信号Pcng のHレベル期間に到達する前に、基準信号Vref が安定すればよいからである。
また、走査期間ごとに各グループについての光量補正を行なう場合には、各グループの光量補正期間Tg同士の間に設けられる休止期間である。図6(C2)に示すように、各グループの補正可能期間の間には画像エリアなどの休止期間Trestが設けられ、前グループ(本例ではY色用)の最後のビームについての補正を完了した後、次グループ(本例ではM色用)の最初のビームについての補正を開始するまでに次グループ用の基準信号Vref が安定すればよく、事実上、グループ間の休止期間Trest内に基準信号Vref が安定すればよいからである。
閾値TH1、すなわち、1回のサイクルで変更追従が可能な目標光量差に対応する基準信号の差は、基準信号切替え後の変更追従に関わりを持つものであり、これは制御系の応答速度と密接不可分である。よって、閾値TH1は、出力量補正処理回路のアナログ応答速度によって決まる値で、切替直前の補正対象のレーザダイオード25_pre の基準信号Vref_pre が、切替直後の補正対象のレーザダイオード25_backのAPC実行までに、そのレーザダイオード25_backの目標光量に設定可能な基準信号Vref_backと基準信号Vref_pre との差の最大値となる。
各補正対象のレーザダイオード25の光量補正後に空き時間(休止期間)を設けることなく連続して次の補正対象のレーザダイオード25の光量補正を行なう場合には、基準電圧整定期間を設けることが難しく、事実上は、図6(C1)に示すように、1つのレーザダイオード25についての光量補正期間Tc内で基準信号が次のレーザダイオード25についての基準信号Vref に安定する必要がある。
これに対して、図6(D1)に示すように、補正対象の最後のレーザダイオード25の光量補正後に空き時間Tvを設ける場合、図6(C2)からも推測されるように、この空き時間Tvを利用して、次のレーザダイオード25についての基準信号Vref に安定させることができる。つまり、どの程度の空き時間Tvを設けるかによって、閾値TH1(隣接間差の最大値)を調整できる。換言すれば、閾値TH1(隣接間差の最大値)に応じて空き時間Tvを調整することで、基準信号Vref の安定していない期間に光量補正を実行することの問題を解消することができる。
同様のことは、同一グループ内では同一の基準信号Vref を与え、かつグループ別に個別の基準信号Vref を与えるようにする場合にも言えることである。すなわち、前のグループの光量補正終了後に次のグループのAPC実行までに目標光量に設定可能な基準信号差の最大値が閾値TH1となる。
この場合、図6(D2)に示すように、各補正対象のグループの光量補正後に空き時間を設けることなく連続して次の補正対象のグループの光量補正を行なう場合には、基準電圧整定期間を設けることができないので、事実上は、図6(C2)に示したと同様に、1つのレーザダイオード25についての光量補正期間内で基準信号が次のレーザダイオード25についての基準信号Vref に安定する必要がある。
これに対して、詳細は後述するが、各補正対象のグループの光量補正後に空き時間を設ける場合、この空き時間を利用して、次のグループについての基準信号Vref に安定させることができる。つまり、色グループの切替時においても、どの程度の空き時間を設けるかによって、閾値TH1(隣接間差の最大値)を調整できる。換言すれば、閾値TH1(隣接間差の最大値)に応じて空き時間を調整することで、基準信号Vref の安定していない期間に光量補正を実行することの問題を解消することができる。
この場合、グループ内の全てのレーザダイオード25についての光量補正に要する期間とグループ間の空き時間の総計で1回の補正サイクルが規定される。このようなグループごとのAPC制御においては、連続するグループ(Y→M→C→Kの順であれば、Y→M、M→C、C→K、K→Y時)の各隣接間差が、閾値TH1以下の目標光量差を与えるものであれば、1回の補正サイクルで光量補正が可能となる。
隣接間差が、閾値TH1を超えるものが存在する場合、その部分では、図6(D2)から推測されるように、基準信号Vref が安定になっていない時点で光量補正を実行することになるので、全てのグループおよび全てのレーザダイオード25について、確実に基準信号Vref が安定になってから光量補正を実行するようにするための所要の対処が必要になる。具体的には、閾値TH1(隣接間差の最大値)に応じて、さらに空き時間を設定することで、基準信号Vref の安定していない期間に光量補正を実行することの問題を解消することができる。
<APC点灯ビーム切替部と基準信号生成部と出力量補正処理回路の構成例>
図7は、APC制御部60の詳細構成例を示す回路ブロック図である。ここでは、特に、APC点灯ビーム切替部64と基準信号生成部68と計数処理部66について詳しく示している。また、図8は、計数処理部66の動作を説明する図である。
APC点灯ビーム切替信号生成部65は、マスタークロックCLK0のパルス数を計数する計数器(COUNT )71を有している。計数器71は、SOSセンサ42から供給される走査開始信号SOS と同期して、中央制御部70から供給されるマスタークロックCLK0をカウントして、走査開始信号SOS のアクティブエッジ時点から予め定められているカウント数が経過後に、1ビームの出力量補正処理を実施するために必要な時間に相当する周期を持つ分周されたクロック信号CLK に変換して、これをAPC点灯ビーム切替信号Pcng0として出力する。
APCタイミング制御部67は、APC点灯ビーム切替信号Pcng を出力する合成部72と、APC点灯ビーム切替信号出力タイミング信号(以下APCタイミング設定信号LOADと記す)を生成して合成部72に供給する設定部74とを有する。合成部72には、APC点灯ビーム切替部64のカウンタ71から、1ビームの出力量補正処理を実施するために必要な時間に相当する周期のクロックを持つAPC点灯ビーム切替信号Pcng0が入力されるように接続されている。
設定部74は、出力量補正処理部52が出力量補正処理するために基準信号生成部68から出力された基準信号Vref に応じた基準電圧を安定供給するのに充分な時間を考慮しつつ、計数器76からの計数結果(ここではカウント到達信号CNTarv)を参照して、1つの色グループの全て(本例では8個)のレーザダイオード25を調整する期間(たとえばクロック信号CLK 8個分の期間)にアクティブ(本例ではHレベル)となる矩形信号をAPCタイミング設定信号LOADとして発生する。
1つの色グループの光量補正処理終了を表す(1色のレーザダイオード25の計数値、本例では8)ときにインアクティブ(=L)となり、所定期間後に次色のAPC制御用にアクティブ(=H)とするのである。インアクティブ期間をどの程度に設定するかについては後述する。
合成部72は、APC点灯ビーム切替部64のカウンタ71から入力されるクロック信号CLK (APC点灯ビーム切替信号Pcng0)と、設定部74からの入力されるAPCタイミング設定信号LOADとを論理合成した信号をAPC点灯ビーム切替信号Pcng として出力する。
計数処理部66は、APC点灯ビーム切替部64の合成部72から入力されたAPC点灯ビーム切替信号Pcng (計数器71からのAPC点灯ビーム切替信号Pcng0でもよい)のパルス数を計数する計数器(COUNT )76と、計数器76の計数結果CNTout、カウント到達信号CNTarv、および光量補正順位調整部61からの色グループデータDsel に基づいて、基準信号生成部68における色対応の基準信号Vref の選択動作に供されるセレクト信号SEL を生成するデコーダ78とを有する。
計数処理部66は、APC点灯ビーム切替信号Pcng0のパルス数を計数器76で計数して、その計数結果と色グループデータDselとに基づいて、APC点灯ビーム切替信号生成部65が出力したAPC点灯ビーム切替信号Pcng0の色グループを検知する。
本実施形態では、光源24は32個のレーザダイオード25を順次点灯させる。このとき、計数処理部66の計数器76およびデコーダ78では、8個ごとにグループ分け(本例では色分類に相当)するようにしている。すなわち、計数器76は、図8(A)に示すように、APC点灯ビーム切替信号Pcng のクロックを計数して、計数値が「8」増加するごとに、その8個目のクロックの計数後に、その時点の計数値を保持したままでカウント到達信号CNTarvを出力する。
なお、図8(A)では、APC点灯ビーム切替信号Pcng のクロック8個ごとに所定の基準電圧整定期間Tstを設けて、この間はクロック出力を停止しているが、この点については後述する。
なお、図8(B)に示すように、「1」〜「8」の計数値で1色を表す選択信号「1」を生成し、その選択信号を選択信号「4」になるまで順次にインクリメントし、「1」〜「4」の選択信号をサイクリックに出力するようにすると、計数器76は停止期間中は直前の計数値を保持しているので、デコーダ78は、計数動作の再開後でなければセレクト信号SEL を次色用に切り替えることができず、停止期間を設けることによる効果(詳細は後述する)を享受できないので、本実施形態では、図8(B)に示すような処理を採用しない。
デコーダ78は、図8(A),(C)に示すように、計数器76の計数結果をデコードすることで、セレクト信号SEL として、まず「1」〜「8」の計数値を計数してカウント到達信号CNTarvを受け付けるまでは第1色を表す選択信号SEL_1 を出力し、カウント到達信号CNTarvを受け付けた後には、第2色を表す選択信号SEL_2 に切り替え、さらに「9」〜「16」の計数値を計数して次のカウント到達信号CNTarvを受け付けるまでは第2色を表す選択信号SEL_2 を出力し、このような処理を第4色を表す選択信号SEL_4 になるまで順次にインクリメントし、これらの選択信号SEL_1 〜SEL_4 をサイクリックに出力する。
ここで、光量補正順位調整部61が、通常通り、中央制御部70から転送される色グループデータDsel0をそのまま色グループデータDsel として出力する場合には、デコーダ78は、特に、色グループデータDsel を参照したデコード処理は不要である。何故なら、補正対象ビーム選択部62の色グループの選択動作と、基準信号生成部68における各色用の基準信号Vref の選択動作とが予め定められた順序に必ず対応するからである。
たとえば、「1」〜「8(a;カウント到達信号CNTarv出力まで/以下同様)」に対して「1」、「8(b;カウント到達信号CNTarv出力後/以下同様)」および「9」〜「16(a)」に対して「2」、「16(b)」および「17」〜「24(a)」に対して「3」、「24(b)」および「25」〜「32(a)」に対して「4」の選択信号(セレクト信号SEL )をサイクリックに出力すると、グループ選択信号Psel (色グループごとの順序信号Order )で示されるY色に対する「1」、M色に対する「2」、C色に対する「3」、K色に対する「4」のそれぞれと連動するように、確実に、Y→M→C→Kの順で各色に対応することになる。
しかしながら、本実施形態では、光量補正順位調整部61は、各色グループについて連続してAPC制御を行なう際に、隣接する色グループの目標光量設定値の差異ができるだけ小さくなるように光量補正順位を決定するので、光量補正順は、必ずしも、Y→M→C→Kの順とはならない。
したがって、基準信号生成部68の選択動作において、セレクト信号SEL (1,2,3,4の何れか)に基づき、「1」はY,「2」はM,「3」はC,「4」はKと言う対応付けて色別の基準信号Vref の選択処理を行なうと、基準信号生成部68から時分割で出力される基準信号Vref の色グループと、補正対象ビーム選択部62による色グループの選択結果とが整合しなくなる。
この問題を避けるべく、本実施形態のデコーダ78は、光量補正順位調整部61から供給される色グループデータDsel を参照して、「1」〜「8」,「9」〜「16」,「17」〜「24」,「25」〜「32」(それぞれカウント到達信号CNTarv出力までの(a)やカウント到達信号CNTarv出力後(b)を考慮したものとする)の各計数値に対するセレクト信号SEL が、確実に、色グループデータDsel で示される色グループ順と対応するようにデコード処理を行なう。
たとえば、図8(D)に示すように、色グループデータDsel が、「M→K→Y→C」の順であることを示していれば、デコーダ78は、「1」〜「8(a)」に対してM色用の「2」、「8(b)」および「9」〜「16(a)」に対してK色用の「4」、「16(b)」および「17」〜「24(a)」に対してY色用の「3」、「24(b)」および「25」〜「32(a)」に対してC色用の「3」の選択信号(セレクト信号SEL )をサイクリックに出力する。
基準信号生成部68は、色別に設けられた2段構成のフリップフロップ回路(ラッチ)などにより構成されたレジスタ82,84(それぞれ色別に参照子Y,M,C,Kを付して示す)と、各レジスタ84からの色別の信号を切り替える切替器(マルチプレクサMUX)85とを有している。
1段目の各レジスタ82には、中央制御部70から、10ビットデータによる各色の光量設定データDVrefがデータ入力端子Dに個別に入力され、また書込信号WRが各クロック端子CLK (図中の三角マークの端子)に共通に入力されるようになっている。1段目の各レジスタ82は、書込信号WRが入力されることで、光量設定データDVrefを取り込み保持する。
また2段目の各レジスタ84には、1段目の対応するレジスタ82の非反転出力端子Qからの出力信号がデータ入力端子Dに、またAPCタイミング設定信号LOADが読取信号としてクロック端子CLK に入力され、その非反転出力端子Qからの出力信号が切替器85に入力されるようになっている。第2段目の各レジスタ84は、APCタイミング設定信号LOADが入力されることで、アクティブとなる側のエッジに同期して第1段目の対応するレジスタ82に保持された基準信号の値を読み込み保持する(後述の図11を参照)。
なお、実際には、最初の設定のため、初期設定用のパルスをAPCタイミング設定信号LOADに付加してロード信号に変換してからレジスタ84のクロック端子CLK に入力する。こうすることで、APCタイミング設定信号LOADを発して光量補正を実行する前に、レジスタ84に所要の光量設定データDVrefを取り込んでおくことができ、補正処理開始時には第1色目から適正に光量補正を実施できる。
切替器85の制御入力端子CNT には、デコーダ78からのセレクト信号SEL が入力されるようになっている。また、切替器85の出力側は、インタフェース部を介して、光走査装置20の出力量補正処理部52に接続されている。切替器85は、制御入力端子CNT に入力されるセレクト信号SEL に従って、第2段目の各レジスタ84の何れか1つに保持された基準信号の値を選択して出力する。
前述のように、光量補正順位調整部61が光量補正順位を調整した場合でも、デコーダ78により、セレクト信号SEL で示される色グループが色グループデータDsel で示される色グループと確実に対応するようにデコード処理がなされているので、補正対象ビーム選択部62から出力される色グループデータDsel で示される色グループと、切替器85から出力される選択済の基準信号Vref の色グループとが、確実に整合するようになる。
なお、切替器85からの出力信号は、10ビットデジタルの信号である。そこで、光走査装置(ROS)20の出力量補正処理部52との間において、そのデジタル信号をそのまま伝送する場合は、図中右側の上方部に示す接続のように、そのまま出力信号を接続する。出力量補正処理部52がアナログ信号処理により制御する場合は、図中右側のインタフェース部における中腹部に示す接続のように、デジタルアナログ(D/A)変換器86を介して接続する。さらに、基準信号Vref をPWM変調で伝送する場合には、インタフェース部における下方部に示す接続のように、PWM変換器88を介して接続する。
なお、PWM変換器88の先は、そのまま出力量補正処理部52に設けられるPWM回路に接続する場合や、アナログ処理する出力量補正処理部52の回路に接続する場合に備えてフィルタリング回路89を介して接続する場合もある。切替器85の出力先の信号は出力量補正処理部52の対応に応じたものであればよく、その限りにおいて、これらの何れでもよい。
このように、光源24の各レーザダイオード25は、出力量補正処理部52により発光光量が所定光量となるように制御されるときに、APC点灯ビーム切替部64、補正対象ビーム選択部62、および基準信号生成部68からの各信号に基づいて点灯制御がなされるようになっている。
上記構成のAPC制御部60における全体動作を簡単に説明すると以下の通りである。光量設定データDVrefは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色ごとに10ビットのデジタルデータで基準信号生成部68の1段目のレジスタ82に入力され、書込信号WRによって各色に対応した1段目のレジスタ82にセットされる。
この後、基準信号生成部68の2段目のレジスタ84にAPCタイミング設定信号LOADが入力されると、各色に対応した光量設定データDVrefが各色に対応したレジスタ84にセットされ、切替器85に各色の光量設定データDVrefが入力される。またこのとき、1段目のレジスタ82に次の光量設定データDVrefをセットしておくことも可能である。
切替器85のセレクト信号SEL の初期値は、光量補正順位調整部61によって調整された光量補正順位における第1色(たとえばイエロー)を示す選択信号となっており、最初は第1色に対応した光量設定データDVref_1が切替器85から出力される。たとえば、第1色がイエローであれば、光量設定データDVref_Yが切替器85から出力される。
APCタイミング設定信号LOADが基準信号生成部68のレジスタ84に入力されるのと同期して、計数処理部66ではカウント動作を開始し、APC点灯ビーム切替信号Pcng0の切替数(立上りエッジなど)をカウントする。
計数器76は、カウント値が1グループ内の全てのレーザダイオード25の数に対応する所定数(本例では8)になるとカウント到達信号CNTarvを出力し、カウント動作を停止する。デコーダ78は、計数器76から出力された計数結果CNToutに基づき、切替器85が使用するセレクト信号SEL を第2色用の選択信号に切り替える。これを受けて、切替器85は、第2色に対応した光量設定データDVref_2を出力する。たとえば、第2色がマゼンタであれば、光量設定データDVref_Mが切替器85から出力される。
このような動作を、繰返し行なうことで、切替器85は、光量補正順位調整部61によって調整された光量補正順位に従って、出力量補正処理部52に供給する光量設定データDVrefを、光量設定データDVref_1→DVref_2→DVref_3→DVref_4の順に選択して出力する。たとえば、第1色がイエロー、第2色がマゼンタ、第3色がシアン、第4色がブラックであれば、切替器85は、光量設定データDVref_Y→DVref_M→DVref_C→DVref_Kの順に選択して出力する。
<出力量補正処理タイミング;基本>
図9および図10は、光源24の各レーザダイオード25を点灯制御する際の各信号のタイミング(出力量補正処理タイミング)の基本例を説明する図である。ここで、図9(A)はレーザダイオード25の出力量補正処理期間を説明する図、図9(B)は出力量補正処理部52での基準信号Vref の特性図、図9(C)はAPC点灯ビーム切替信号Pcng に対する出力タイミングを示すAPCタイミング設定信号LOADの特性図、図9(D)はAPC点灯ビーム切替信号Pcng の特性図、図9(E)はレーザダイオード25の配置図である。また、図10は、APC点灯ビーム切替信号Pcng のクロックを色グループの切替時に停止する必要性を説明する図である。
なお、以下の説明では、光源24のレーザダイオード25の各々出力量補正処理として、1走査期間内の画像エリア外でかつ走査開始信号SOS の検知以前、つまり画像非記録領域内において、32個のレーザダイオード25について目標光量となるように、各々を調整するものとする(図9(E)参照)。
図5(E)に示すように、光源24は、4×8のレーザダイオード25のうち、1行目の8個レーザダイオード25((1−1)〜(8−1))がK色、2行目の8個レーザダイオード25((1−2)〜(8−2))がC色、3行目の8個レーザダイオード25((1−3)〜(8−3))がM色、4行目の8個レーザダイオード25((1−4)〜(8−4))がY色を担当する。
これらの32個のレーザダイオード25の各々を、各色グループについて連続してAPC制御を行なう際に、隣接する色グループの目標光量設定値の差異ができるだけ小さくなるような光量補正順で、順次点灯させて光量を調整する。たとえば、色グループデータDsel0で示される光量補正順が、イエロー→マゼンタ→シアン→ブラックであって、この順序で光量補正を行なうとしたときの隣接する色グループの目標光量設定値の差異が所定の閾値以下のときには、イエロー→マゼンタ→シアン→ブラックでAPC制御を行なうことで、全体の光量補正を行なう。
先ず、光量補正順位調整部61に対し、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、の各色に使用するビームを設定する基本的な色グループデータDsel0と各色用の光量設定データDVrefが、中央制御部70から転送される。色グループデータDsel0の設定は、画像形成装置1の仕様により予め設定されるものでもよいし、外部入力手段などにより設定されるものでもよい。
光量補正順位調整部61は、各色グループについて連続してAPC制御を行なう際に、隣接する色グループの目標光量設定値の差異ができるだけ小さくなるように光量補正順位を決定する。
ここでは、色グループデータDsel0で示される光量補正順が、イエロー→マゼンタ→シアン→ブラックであって、この順序で光量補正を行なうとしたときの隣接する色グループの目標光量設定値の差異が所定の閾値以下であるものとして説明を続ける。この場合、光量補正順位調整部61は、色グループデータDsel0を、そのまま補正対象ビーム選択部62に出力する。
補正対象ビーム選択部62では、APC実行時に色ごとに光ビームをまとめ、各色に使用する光ビームが連続して点灯するように、さらに色グループごとに順次APCが実行されるように時系列に点灯する光ビームの順序を決定する。
光走査装置20は、SOSセンサ42で検知される走査開始信号SOS を基準とし、主走査方向に光源24から発せられる光ビームを走査することにより感光体ドラム19上に潜像を形成する。
図9(A)に示すように、APC制御は、画像を形成する画像エリアから次ラインの走査の基準となる走査開始信号SOS が出力されるまでの1走査期間内の非画像領域内で実行される。このAPC制御の実行時には、補正対象ビーム選択部62で決定された色グループごとに各色グループ内において、補正対象ビーム選択部62により選択された光ビームが時系列に点灯され、光ビームごとにAPC制御が実行される。
本例では、色グループデータDsel0で示される光量補正順がイエロー→マゼンタ→シアン→ブラックであって、この順序で光量補正を行なっても、隣接する色グループの目標光量設定値の差異が所定の閾値以下であるので、色グループごとのAPC制御の順序は、イエロー→マゼンタ→シアン→ブラックの順とする。そして、先ず、イエローグループ内はY色の8個のレーザダイオード25(1−4)〜25(8−4)の各々を順次点灯させる。同様に、マゼンタグループ内は、M色の8個のレーザダイオード25(1−3)〜25(8−3)の各々を順次点灯させ、シアングループ内は、C色の8個のレーザダイオード25(1−2)〜25(8−2)の各々を順次点灯させ、ブラックグループ内は、K色の8個のレーザダイオード25(1−1)〜25(8−1)の各々を順次点灯させる。
APC点灯ビーム切替信号生成部65は、走査開始信号SOS に同期して、図9(A)に示す画像エリア終了後の所定のタイミング(Ta)で、図9(D)に示すように、APC点灯ビーム切替信号Pcng0を発生し出す。
APCタイミング制御部67は、APC点灯ビーム切替信号生成部65から出力されるAPC点灯ビーム切替信号Pcng0を図9(C)に示すようなAPCタイミング設定信号LOADでゲートすることで、Y,M,C,Kの色ごとに8個のパルス信号からなる信号群を4回(Ta,Tb,Tc,Tdの都度)、連続的に出力し、これをAPC点灯ビーム切替信号Pcng として出力量補正処理部52に供給する。
図9(B)に示すように、出力量補正処理の基準となる光量設定データDVrefとしては、APCタイミング制御部67で生成されるAPCタイミング設定信号LOADに同期して、まずイエローに対応する光量設定データDVref_Yが基準信号生成部68から出力される(Ta)。
出力量補正処理部52では、イエローに対応する光量設定データDVref_Yを基準とし、APC点灯ビーム切替信号Pcng に同期して、レーザダイオード25(1−4)〜25(8−4)の各々を順次点灯させAPC制御を実行する。
このとき、計数処理部66では、APC点灯ビーム切替信号Pcng0のパルス数を計数器76で計数して、その計数結果に基づきAPC点灯ビーム切替信号Pcng0の色グループを検知して基準信号生成部68を制御するセレクト信号SEL を生成するとで、基準信号生成部68から出力される基準信号Vref の色グループを制御する。
出力量補正処理部52では、このような色別の基準信号Vref の時分割出力と連動して、APC点灯ビーム切替信号Pcng に同期して、補正対象ビーム選択部62から供給されるグループ選択信号Psel により設定された各色を形成するためのレーザダイオード25の各々を順次点灯させる。
出力量補正処理部52では、基準信号生成部68より時分割で入力された色ごとの目標光量に対応する光量設定データDVref(図9(B)参照)の値をアナログ信号に変換した基準信号Vref を時系列で取得し、この基準信号Vref と光量検知センサ45の出力信号の電圧とを比較して、両者が一致するようにAPC制御(出力量補正処理)を実行する。
たとえば、先ず計数器76がAPC点灯ビーム切替信号Pcng の切替数(立上りエッジなど)をカウントし、所定カウント値になるとデコーダ78はセレクト信号SEL を第2色(たとえばマゼンタ)用に変更する。すなわち、本例ではイエローに使用するビーム数は8本であることから、デコーダ78は計数器76のAPC点灯ビーム切替信号Pcng0の切替数が8になるとセレクト信号SEL を第2色(たとえばマゼンタ)に対応する選択信号に切り替えるとともに、計数器76はカウント動作を停止しカウント到達信号CNTarvを出力する。計数器76は、その時点のカウント値(ここでは切替数=8)を保持したままである。
セレクト信号SEL が第2色(たとえばマゼンタ)に対応した選択信号に切り替えられると、基準信号生成部68の切替器85は、マゼンタに対応する光量設定データDVref_Mを基準信号Vref として出力する(Tb)。出力量補正処理部52では、マゼンタに対応する光量設定データDVref_Mを基準とし、APC点灯ビーム切替信号Pcng に同期して、レーザダイオード25(1−3)〜25(8−3)の各々を順次点灯させAPC制御を実行する。
このとき、計数処理部66の計数器76は、前述と同様に、再びAPC点灯ビーム切替信号Pcng の切替数をカウントし、所定カウント値になるとデコーダ78はセレクト信号SEL を第3色(たとえばシアン)用に変更する。すなわち、本例ではマゼンタに使用するビーム数は8本であることから、デコーダ78は計数器76のAPC点灯ビーム切替信号Pcng0の切替数が8になるとセレクト信号SEL を第3色(たとえばシアン)に対応する選択信号に切り替えるとともに、計数器76はカウント動作を停止しカウント到達信号CNTarvを出力する。計数器76は、その時点のカウント値(ここでは切替数=16)を保持したままである。
セレクト信号SEL が第3色(たとえばシアン)に対応した選択信号に切り替えられると、基準信号生成部68の切替器85は、シアンに対応する光量設定データDVref_Cを基準信号Vref として出力する(Tc)。出力量補正処理部52では、シアンに対応する光量設定データDVref_Cを基準とし、APC点灯ビーム切替信号Pcng に同期して、レーザダイオード25(1−2)〜25(8−2)の各々を順次点灯させAPC制御を実行する。
このとき、計数処理部66の計数器76は、前述と同様に、再びAPC点灯ビーム切替信号Pcng の切替数をカウントし、所定カウント値になるとデコーダ78はセレクト信号SEL を第4色(たとえばブラック)用に変更する。すなわち、本例ではシアンに使用するビーム数は8本であることから、デコーダ78は計数器76のAPC点灯ビーム切替信号Pcng0の切替数が8になるとセレクト信号SEL を第4色(たとえばブラック)に対応する選択信号に切り替えるとともに、計数器76はカウント動作を停止しカウント到達信号CNTarvを出力する。計数器76は、その時点のカウント値(ここでは切替数=24)を保持したままである。
セレクト信号SEL が第4色(たとえばブラック)に対応した選択信号に切り替えられると、基準信号生成部68の切替器85は、ブラックに対応する光量設定データDVref_Kを基準信号Vref として出力する(Td)。出力量補正処理部52では、ブラックに対応する光量設定データDVref_Kを基準とし、APC点灯ビーム切替信号Pcng に同期して、レーザダイオード25(1−1)〜25(8−1)の各々を順次点灯させAPC制御を実行する。
このとき、計数処理部66の計数器76は、前述と同様に、再びAPC点灯ビーム切替信号Pcng の切替数をカウントし、所定カウント値になると基準信号Vref を次色用に変更しようとする。本例ではブラックに使用するビーム数は8本であることから計数器76のAPC点灯ビーム切替信号Pcng の切替数がさらに8加算されて32になると、全光ビームのAPC制御が終了したと判断し、計数器76はカウント到達信号CNTarvを出力する。このとき、計数器76は計数出力を一旦リセット状態にする。カウント値(ここでは切替数)はゼロにクリアされることになる(Te)。
なお、全光ビームのAPC制御が終了したことを判断するためには、使用するVCSELの全光ビーム数を予めメモリなどに記憶させ、計数器76に設定してもよいし、外部入力手段などにより設定されるものでもよい。
実際の装置においては、全光ビームのAPC制御が終了すると、引き続き、最初から、前述の動作を繰り返す。これにより、露光動作中は、APC制御が停止されず、常に何れかの光源の光量補正を実施する。本例でいえば、Y→M→C→Kが終了すると、続けてYのAPC動作に遷移する。
このようにして色グループ間の目標光量を別々に設定する場合、感光体ドラム19における色ごとの経時的な変化の差や特性の差が大きい場合、目標光量が非常に大きくなる場合がある。
複数の出力量補正処理回路を有して、各グループに対して駆動制御を実施することは可能であるが、1つの光量検知センサ45の出力信号を光電変換して使用し、かつ時分割してAPCを行なうタンデム構成に対応した簡易なシステム構成では、複数の出力量補正処理回路を持つことは無駄が多い。本実施形態では、1つの出力量補正処理部52で各色グループの光量を補正するように構成しているので、前述の問題を解消できる。
一方、出力量補正処理部52は、可能な限り応答速度を低くして、画像データなどから発生する高周波のノイズの影響を抑えるように設計することが望ましい。したがって、1つの出力量補正処理部52で各色グループの光量を補正する場合、各色グループの目標光量変動が大きいと、制御応答速度がネックとなり得る。
つまり、規定時間(本例では1つのレーザダイオード25の光量補正に要する1クロック分)内に基準信号Vref が安定しないということが起こり得る。その結果、色グループ切替時の最初の幾つかのレーザダイオード25については、正常な光量補正を実行できず、目標光量に達しない問題が生じる可能性がある。この問題を解消するには、制御応答速度を上げることが考えられるが、反面、ノイズに対するマージンが少なくなり、目標光量が安定しない可能性が生じる。
本願発明者は、制御応答速度の問題を解消しつつ、1つの出力量補正処理部52で各色グループの光量を補正する方法として、APC点灯ビーム切替信号Pcng を色グループの切替時に、切替後の一定期間を停止期間としたり、切替後の一定期間に対応する分の光ビームについて適正な出力で無くなる分を補正するように出力量補正処理を重複して実行したり、切替時の基準信号の差ができるだけ小さくなるように補正処理順を調整したりすることが有効であることを見出した。
たとえば、色グループ単位で基準信号Vref を切り替える場合には、基準信号Vref の切替時にAPC点灯ビーム切替信号を所定時間停止し、基準信号Vref が完全に所望の値に切り替わってからAPC点灯ビーム切替信号Pcng を出力することが効果的であることが分かった。
たとえば、出力量補正処理部52では、基準信号生成部68より入力された色ごとの目標光量に対応する光量設定データDVrefの値をアナログ信号に変換した基準電圧を先ず得る。出力量補正処理部52では、この基準電圧と光量検知センサ45の出力信号の電圧により、出力量補正処理を実行する。
このとき、図10に示すように、色グループごとの目標光量値の変化が僅かであっても、実際の回路構成においては、基準信号Vref を次色用に切り替えようとしてから完全に所望の値に安定するまでに遅れを発生する、つまり目標光量値が即座に安定しないことがある。
たとえば、Y色の8番目のレーザダイオード25(8−4)の点灯から、次色であるM色の1番目のレーザダイオード25(1−3)の点灯に切り替る際には、フリップフロップ回路(ラッチ)などで構成されるレジスタ82,84や、光量設定データDVrefをアナログ信号に変換する際のディレイなどにより、基準電圧の立上りまたは立下りが急峻にならずになだらかになる。
この遅れ期間を基準電圧整定期間Tstと称するが、この基準信号Vref が安定しない基準電圧整定期間Tstに次色に対する出力量補正処理を開始すると、次色の最初にAPC制御を行なう光ビームの光量が目標とする光量に制御できなくなってしまう。全体のAPC制御としては、不完全な期間が存在することになる。
よって、次色のAPC制御が不完全となることが予想される基準電圧整定期間Tstに、APC点灯ビーム切替信号Pcng を所定時間停止し(図9のT1〜T2,T3〜T4,T5〜T6および図10を参照)、基準信号Vref が完全に所望の値に切り替わってからAPC点灯ビーム切替信号Pcng のクロックを出力することにすれば、基準電圧整定期間Tst内には光ビームの出力量補正処理が停止され、不安定な目標光量値に対する出力量補正処理を実行することがないため、光量誤差の発生を回避することができる。
つまり、基準信号Vref が安定する前に次色用のAPC制御が開始されることがなくなるため、確実に所定の光量に制御することができることが予想される。このような手法を、整定期間停止手法と称する。
あるいは、次色のAPC制御が不完全となることが予想される基準電圧整定期間TstにAPC制御を実行しつつ、さらに同一ビームについてAPC制御を重複して実行することにすれば、不安定な目標光量値に対する出力量補正処理を実行した分を、同一色に対する後のAPC制御によって補正することができるので、光量誤差の発生を回避することができ、確実に所定の光量に制御することができることが予想される。このような手法を、整定期間重複手法と称する。
また、APC制御が不完全となる原因は、各レーザダイオード25(本例では特に色グループ別)に対応した基準信号Vref を時分割で使用して各レーザダイオード25について(本例では特に色グループ別に)時分割でAPC制御を行なう際に、それぞれの基準信号Vref の差(本例では色グループ別の基準信号Vref の差)が大きいことによるものである。
したがって、時分割で使用される各目標光量の隣接間差が小さくなるような順序で各レーザダイオード25用の基準信号Vref を時分割で出力するように光量補正順位(各レーザダイオード25に対するAPC制御順)を調整すれば、APC制御が不完全となる原因を小さくすることで光量誤差の発生を軽減することができることが予想される。このような手法を、光量補正順位調整手法と称する。
ここで、整定期間停止手法や整定期間重複手法を実現する際の考え方としては、APC点灯ビーム切替信号Pcng のアクティブ出力を、色グループの切替えの都度、整定期間に対応する所定期間だけ停止する、あるいは整定期間を補間する所定期間だけ同一色の同一ビームに対してAPC制御を重複実行すればよいのであるが、その停止期間や重複期間の設定の仕方として、様々な手法を採ることが考えられる。
たとえば、停止期間や重複期間を自由に設定してAPC制御の安定化を図る第1の手法と、停止期間や重複期間をある単位で設定する方法、およびこれらの組合せの何れかを採用することができる。また、後者の手法では、1つの光ビームに対する出力量補正処理を単位としてAPC制御の安定化を図る第2の手法と、色グループに対する出力量補正処理を単位としてAPC制御の安定化を図る手法の何れかを採用することができる。
また、さらに色グループに対する出力量補正処理を単位とする手法では、1走査期間内の画像形成エリア外領域において全ての色グループのAPC制御を完了させる手法との組合せとして、1走査期間内(もちろん非画像期間内)での色グループに対する出力量補正処理を単位としてAPC制御の安定化を図る第3の手法と、各色グループのAPC制御の切替えを走査ごとに行なう手法の組合せとして、色グループに対する出力量補正処理に割り当てられる1走査期間を単位としてAPC制御の安定化を図る第4の手法の何れかを採用することができる。
第1の手法を利用する場合は、停止期間や重複期間を自由に設定することができるから自由度がある反面、出力量補正処理部52における基準信号の安定期間として予め定めておく必要があり、設定処理が煩雑になり得る。これに対して、第2〜第4の手法のように、出力量補正処理期間との関わりを持つ単位で停止期間や重複期間を設定する手法を利用する場合は、単位数を幾つにするかだけを決めればく、設定が簡易である。
また、第2〜第4の手法の内、1つの光ビームに対する出力量補正処理を単位とする第2の手法では、停止期間や重複期間として設定されるクロック数に合わせて、APC点灯ビーム切替信号Pcng およびグループ選択信号Psel を調整する必要が生じるのに対して、色グループに対する出力量補正処理を単位とする第3および第4の手法では、グループ選択信号Psel のみを調整すればよく、第3の手法よりも第4の手法の方が制御が簡単である。
以下、停止期間や重複期間をある単位で設定する第2〜第4の手法を適用した整定期間停止手法や整定期間重複手法と、光量補正順位調整手法とについて、具体的に説明する。
<1ビーム単位とする整定期間停止手法>
図11は、出力量補正処理に関係するタイムチャートであって、1ビームに対する出力量補正処理を単位としてAPC制御の安定化を図る第2の手法(その1)を説明する図である。ここで、図11(A)は切替器85に入力される光量設定データDVref、図11(B)はAPCタイミング制御部67から切替器85に供給されるセレクト信号SEL 、図11(C)は切替器85から時分割で出力される光量設定データDVrefを示している。また、図11(D)はAPC点灯ビーム切替信号Pcng0、図11(E)はAPCタイミング設定信号LOAD、図11(F)はAPC点灯ビーム切替信号Pcng 、図11(G)は出力量補正処理部52でアナログ化された状態の基準信号Vref を示している。
この第2の手法(その1)は、基準電圧整定期間Tstに、APC点灯ビーム切替信号Pcng の出力を1ビーム分を単位として数サイクル分だけ停止する態様である。図9に示した例では、基準電圧整定期間TstにAPC制御を実行することによる制御結果の不安定さを回避する。具体的には、Y色の8番目のレーザダイオード25(8−4)の点灯から次色であるC色の1番目のレーザダイオード25(1−3)の点灯の間、M色の8番目のレーザダイオード25(8−3)の点灯から次色であるC色の1番目のレーザダイオード25(1−2)の点灯の間、C色の8番目の25(8−2)の点灯から、K色の1番目のレーザダイオード25(1−1)の点灯の間について、一定期間(図9では基準電圧整定期間Tst)、APC点灯ビーム切替信号Pcng を出力せず停止している。
色グループの切替時に、基準電圧差が大きくAPC制御に不安定さを生じ得る期間には、APC点灯ビーム切替信号Pcng 用のクロック信号の出力を停止することで、出力量補正処理部52におけるAPC制御を未実施にして、基準信号Vref のアナログ応答が安定するのを待つのである。
詳細には、計数処理部66とAPCタイミング制御部67とが協働して、APC点灯ビーム切替信号生成部65から入力されたAPC点灯ビーム切替信号Pcng0(図11(D)参照)と、設定部74から出力されたAPCタイミング設定信号LOAD(図11(E)参照)を論理合成して、APC点灯ビーム切替信号Pcng (図11(F)参照)を生成する。
具体的には、設定部74は、所定色についてのAPCタイミング設定信号LOADをアクティブにした後、計数処理部66からカウント到達信号CNTarvの供給を受けると、APCタイミング設定信号LOADをインアクティブにするが、この後、次色用にAPCタイミング設定信号LOADをアクティブにする際、基準信号Vref を安定供給するに充分な予め定めた時間(たとえば数クロック分の時間)は、クロック信号CLK の出力を停止させる。
たとえば、図11(E)に示すように、ある色グループのAPC制御が完了し、基準電圧整定期間Tstが開始すると(Ts)、計数器76はカウント到達信号CNTarvを出力するとともにカウント動作を停止し、その時点のカウント値(たとえば8)を保持する。APCタイミング制御部67は、1つの光ビームに対する出力量補正処理を単位として、APCタイミング設定信号LOADでAPC点灯ビーム切替信号Pcng0をゲートすることで、次色用のAPC点灯ビーム切替信号Pcng の出力を一定期間(ここでは基準電圧整定期間TstTs〜Teと同等)停止させる。
この後、基準電圧整定期間Tstが経過すると(Te)、計数器76は、保持しておいたカウント値(本例では8)から計数動作を再開する。たとえば、基準電圧整定期間Tstの情報が3クロック分であれば、9,10,11とカウントする。
デコーダ78は、計数器76から出力される計数結果CNToutとカウント到達信号CNTarvとに基づいてセレクト信号SEL を生成するので、基準電圧整定期間Tstが開始するときには(Ts)、セレクト信号SEL を、次色(本例ではM色)用の光量設定データDVrefを選択するための「2」に切り替える。これにより、基準信号生成部68は、出力量補正処理部52への光量設定データDVrefを、Y色用の光量設定データDVref_YからM色用の光量設定データDVref_Mに切り替える。
したがって、基準信号生成部68は、基準電圧整定期間Tstが開始する時点で光量設定データDVrefを次色用のデータに変更しておくことができる。また、APCタイミング制御部67は、基準電圧整定期間Tstが経過した後に(Te)、次色用の色グループ内の全てのレーザダイオード25(本例では8個)について出力量補正処理を行なうためのクロック数を持つAPC点灯ビーム切替信号Pcng を出力量補正処理部52側に出力することができる。
計数処理部66とAPCタイミング制御部67は協働して、基準値切替直後の所定期間は、後続ビームの補正処理を停止し、所定期間経過後に、停止ビームの補正処理を開始できるように補正タイミングを調整したビーム対応のクロックを生成した上でAPC点灯ビーム切替信号Pcng を出力量制御部52に出力する。
APC点灯ビーム切替信号Pcng として、基準電圧整定期間経過後に次色用のクロックが出力される前に、基準信号生成部68から次色用の光量設定データDVrefが出力されているので、出力量補正処理部52では、次色用の光量補正を開始する前に基準信号Vref が安定になるのを待つことができるのである。
すなわち、出力量補正処理部52において基準信号生成部68から出力された光量設定データDVrefの値をアナログ信号に変換するときに信号電圧が安定する迄の期間は、APC点灯ビーム切替信号Pcng が出力量補正処理部52に入力されることはない。
これによって、出力量補正処理部52では、制御系の応答を高速にしなくても、安定したアナログの基準信号Vref を生成した後に供給されるAPC点灯ビーム切替信号Pcng の各クロックを使って、次色の色グループ内の全てのレーザダイオード25について出力量補正処理を時分割で実行することができる。制御応答速度を上げる必要はないので、ノイズに対するマージンを大きく取ることができ、目標光量を確実に安定させることができる。
このような整定期間停止手法を採用することで、1つの光源24から発光される複数の光ビームを色別に設けられた画像形成部18の異なる感光体ドラム19上に分離してそれぞれ走査させてフルカラー画像を形成する際に、簡単な構成で制御信号を増加させることなく、各色に対応する複数ビームの出力量補正処理を時分割で安定に実行することができる。
ただし、1ビーム単位とする整定期間停止手法では、1つの光ビームに対する出力量補正処理を単位として停止期間を設けるので、この停止期間後に、次色用の全て(本例では8個)のレーザダイオード25について出力量補正処理を実行するべく、8個のパルス信号からなる信号群を次色用のAPC点灯ビーム切替信号Pcng として生成する必要があるので、APCタイミング設定信号LOADとAPC点灯ビーム切替信号Pcng の生成とが協働してなされる必要があり、計数処理部66とAPCタイミング制御部67とは、互いに相手方の出力結果を参照した動作が必要となり、ゲート遅延などを考慮した高精度のタイミングの管理が必要になる。
<整定期間停止手法と光量補正順位調整手法との組合せ>
図12は、整定期間停止手法を適用した第2の手法(その1)と光量補正順位調整手法との組合せ手法を説明する図である。
本実施形態の画像形成装置1のように、色別の画像形成部18(感光体ドラム19)を用いてカラー画像を形成するタンデム構成では、前述のような整定期間停止手法を適用した第2の手法(その1)を実行する場合、感光体ドラム19の特性のバラツキや感光体ドラム19の経時的な変化の差などに起因して、各色に対応する目標光量を示す光量設定データDVrefが異なることが一般的であり、各色グループの目標光量を示す光量設定データDVref(基準信号Vref )を時分割で設定すると、すなわち処理対象の色グループの切替りごとに色別の光量設定データDVref(基準信号Vref )を切り替えると、ほぼ確実に基準電圧整定期間Tstが必要になる。したがって、全体の処理時間としては、停止期間を設ける分だけ長く掛かることになる。
このことから、APCタイミング設定信号LOADのインアクティブ期間に対応する停止期間をどの程度に設定するかについては、各色グループの目標光量を示す基準信号Vref を時分割で設定する際の隣接間差に応じて決めるのが好ましい。隣接間差が大きければ、処理対象の色グループを切り替え後に基準信号Vref が安定するまでの期間(基準電圧整定期間Tst)が長くなるので、インアクティブ期間(停止期間)も長く設定する必要がある。場合によっては、1走査期間内の非画像エリアにて、全ての色グループについての全ての光量補正を実行できなくなる可能性も生じる。
たとえば、図12(A)に示すように、色グループデータDsel0で示されている順に従ってY→M→C→Kの順で光量補正を実行する場合に、C色用の基準信号Vref_C とK色用の基準信号Vref_K との差が、他の隣接間差に比べて著しく大きい場合、C色からK色への切替り時には、Y→M,M→C,K→Yへの切替り時に比べて基準電圧整定期間Tstが相当程度長くなる。その結果として、基準信号Vref の安定後に光量補正を実行すると、対応した停止期間もかなり長く設定しなければならず、その分だけAPC制御時間が長くなってしまい、1走査期間内の非画像領域内で全てのレーザダイオード25についての光量補正を完了させることができなくなる事態も起こり得る。
これに対して、色グループデータDsel0で示されている順ではなく、隣接間差が小さくなるように、光量補正順位調整部61にて光量補正順位を決定するようにすれば、基準電圧整定期間Tstをより短くすることができ、場合によっては、全てではないが、隣接間差がほぼゼロとなる順、つまり、規定時間(1つのレーザダイオードの光量補正に要する期間)内に基準信号が安定するような順序を持つ組合せを選択できることもある。
このときの、補正順序の決定に際しては、次のように、時分割で使用される基準信号Vref の切替前後の差である隣接間差の最大値ができるだけ小さくなるようにする。より具体的には、隣接間差の最大値Δmax が、所定の閾値Δsよりも小さくなるような順序を選択する。
先ず、光量補正順位調整部61は、色グループデータDsel0で示される初期の補正順(Y→M→C→K→…)のときにおける、Y/M/C/Kの各色の目標光量値に対応する光量設定データDVref(基準信号Vref )の差Δを、下記式(1)に従って求める。
次に光量補正順位調整部61は、基準信号Vref の各隣接間差ΔV1〜ΔV4と、閾値ΔVsとを比較して、隣接間差ΔV1〜ΔV4の全てが閾値Δs以下であれば、APC制御順の変更は必要がなく、色グループデータDsel0を、そのま色グループデータDsel として色グループ選択部62に渡す。一方、隣接間差ΔV1〜ΔV4の何れかが閾値Δsを超える場合には、光量補正順位調整部61は、APCの制御順位(光量補正順序)を変更する必要があると判断する。
4色の場合、基準信号Vref の制御の組合せは、24種類となるので、各組合せにおける最大の隣接間差ΔVn=Δmax を求めて、閾値ΔVs以下となるAPC順位の何れかを選択すればよい。このとき、全ての組合せで最大のΔVn=Δmax が閾値ΔVs以上となってしまう場合は、先ず、Δmax が最小となる組合せを選択する。
これにより、4色の各目標光量に大きな差がある場合であっても、1つの出力量補正処理部52で、効率よくAPC制御を実行することができる。
たとえば、順序変更前の各色の基準信号Vref が図12(A)に示すものである場合に、図12(B)に示すように、Y→K→M→C→…の順で光量補正を実行するようにすれば、Y/M/C/Kの各色の目標光量値に対応する光量設定データDVref(基準信号Vref )の差Δは、下記式(2)になる。
これにより、それぞれの隣接間差の最大値Δmax を、Y→M→C→K→Yの順で光量補正を実行する場合に比べて小さくでき、その分、全体の停止期間を短くすることができる。基準信号Vref の安定後に光量補正を実行するようにしても、停止期間を短くできるので、1走査期間内の非画像領域内で全てのレーザダイオード25についての光量補正を完了させることができるようになる。
また、順序を調整することで、隣接間差がほぼゼロとなる順を持つ組合せにできることもある。たとえば、図12(C)に示すように、Y色用とC色用の基準信号Vref が同程度であれば、図12(D)に示すように、Y→C→M→K→Yの順で光量補正を行なうようにすれば、隣接間差がほぼゼロとなる切替時には、停止期間を設けないようにすることで、全体の処理期間をさらに短くすることもできる。その分、1グループ当りに割り当てる光量補正期間を長く取ることができ、その結果、1つのレーザダイオード25に割り当てる光量補正期間を長く取ることができる。
この1つのレーザダイオード25に割り当てる光量補正期間内で基準電圧整定期間Tstが収まれば停止期間を設けなくてもよい訳であるから、光量補正順序を調整して光量補正期間を長く取ることができるようにすると言うことは、制御応答速度を下げることができることを意味し、ノイズに対するマージンを大きく取ることができ、目標光量安定化にとって有利な方向となる。
また、1ビーム単位とする整定期間停止手法と光量補正順位調整手法とを組み合せる場合には、1ビーム単位で停止期間を調整できるので、極端な手法としては、色グループ順にとらわれることなく、全グループの全ビームについて、隣接間差ができるだけ小さくなるように、光量補正順序を調整することもできる。もちろん、この場合、出力量補正処理部52側においても、その調整後の順序と連動した補正対象ビームの選択動作が必要になるので、光量補正順位調整部62は、光量補正順位調整部61により調整された補正順序を表わす補正対象ビーム選択信号Psel0を出力量補正処理部52に供給する必要がある。
なお、ある光ビームへの切替時には停止期間を設け、ある光ビームへの切替時には停止期間を設けないといったきめ細かな制御を行なうには、前述のような単純な繰返しの制御では行なうことができず、各色グループについて、あるいは、色グループ内の各レーザダイオード25について、個別に、停止期間を設けるか否かを自由に設定可能な回路構成を採る必要があるが、その変更の具体的な回路構成については説明を割愛する。
このような停止手法は、APC点灯ビーム切替信号Pcng を停止することで、APC点灯ビーム切替信号Pcng の出力回数=APCのビーム数となり、1対1の関係となる。この場合、APC点灯ビーム切替信号Pcng をトリガとしてステートマシンでビーム切替を実施できるなど回路の構成自由度が上がる利点がある。
<1ビーム単位とする整定期間重複手法>
図13および図14は、1ビームに対する出力量補正処理を単位としてAPC制御の安定化を図る第2の手法(その2)を説明する図である。ここで、図13の各図は、図11の各図に対応する。また、図14は、第2の手法(その2)を実現するための回路変更例を説明する図である。
この第2の手法(その2)は、図11と図13との比較から分かるように、基準電圧整定期間TstにもAPC点灯ビーム切替信号Pcng 用のクロック信号CLK を出力し、その後、この基準電圧整定期間Tstに対応する期間にも再度、そのグループについて再度APC点灯ビーム切替信号Pcng 用のクロック信号CLK を出力するようにしている点が第2の手法(その1)と異なる。
色グループの切替時に、基準電圧差が大きくAPC制御に不安定さを生じ得る期間には、APC点灯ビーム切替信号Pcng 用のクロック信号を出力し出力量補正処理部52においてAPC制御を実施するが、この間のAPC制御の不安定さを補償するべく、再度、同一の光ビーム用にAPC点灯ビーム切替信号Pcng (対応するクロック信号)を出力することで、出力量補正処理部52においてAPC制御を再度実施するのである。つまり、出力量補正処理部52では、基準電圧整定期間Tstに対応するレーザダイオード25については、APC制御を複数サイクル実施して光量補正を行なうのである。
このような整定期間重複手法に適応したパルス信号を生成するには、たとえば、補正対象ビーム選択部62やAPCタイミング制御部67の動作と計数処理部66の構成を工夫すればよい。
先ず、APCタイミング制御部67は、設定部74に設定される基準電圧整定期間Tstの情報に基づいて、基準電圧整定期間Tstだけでなく、基準電圧整定期間経過後にも基準電圧整定期間Tst分のクロックを補うようにしてAPC点灯ビーム切替信号Pcng から所定数のクロックが出力されるようにAPCタイミング設定信号LOADを調整する。
また、APCタイミング制御部67の合成部72は、APC点灯ビーム切替部64のカウンタ71から入力されるクロック信号CLK (APC点灯ビーム切替信号Pcng0)と、設定部74からの入力されるAPCタイミング設定信号LOADの全グループ分を示すゲートパルスGate1とを論理合成した信号をAPC点灯ビーム切替信号Pcng として出力する。
計数処理部66は、図14に示すように、計数器76が計数動作を開始する直前に、その時点のカウント値を保持するラッチなどで構成されたカウント値保持部77を追加する。カウント値保持部77は、たとえば、保持データをゼロにクリアしておき、この後、APCタイミング制御部67からのカウント到達信号CNTarvをトリガとして、計数器76のカウント値を取り込む。
また、計数器76は、色グループ切替時や基準電圧整定期間経過後に計数動作を開始する直前に、カウント値保持部77に保持されているカウント値をロードしてから計数動作を開始するように変更する。たとえば、カウント値保持部77は、初期設定として、計数開始時のカウント値をゼロにクリアしておき、この後、計数器76は、APCタイミング制御部67からのAPCタイミング設定信号LOADの両エッジに同期して、カウント値保持部77のカウント値を取り込み、このカウント値から計数動作を再開する。
また、補正対象ビーム選択部62は、APCタイミング制御部67に設定される基準電圧整定期間Tstの情報に基づき、整定期間重複手法に適応した各色グループ内での点灯順序を設定するデータと、色グループごとの点灯順序を設定するためのデータとを生成し、グループ選択信号Psel として出力量補正処理部52に出力する。
これにより、図13に示すように、ある色グループのAPC制御が完了し、基準電圧整定期間Tstが開始すると(Ts1 )、カウント値保持部77は、その時点の計数器76のカウント値(本例では8)を取り込む。基準電圧整定期間Tstに入ると、計数器76は、先ず、カウント値保持部77に保持されているカウント値(本例では8)をロードしてから、引き続き、計数動作を継続する。たとえば、基準電圧整定期間Tstの情報が3クロック分であれば、9,10,11とカウントする。
デコーダ78は、計数器76から出力される計数結果CNToutとカウント到達信号CNTarvとに基づいてセレクト信号SEL を生成するので、このときには、セレクト信号SEL を、次色(本例ではM色)用の光量設定データDVrefを選択するための「2」に切り替える。これにより、基準信号生成部68は、出力量補正処理部52への光量設定データDVrefを、Y色用の光量設定データDVref_YからM色用の光量設定データDVref_Mに切り替える。
この後、基準電圧整定期間Tstが経過すると(Te1 =Ts2 )、計数器76は、再度、カウント値保持部77に保持されているカウント値(本例では8)をロードし直してから、引き続き、計数動作を継続する。
したがって、基準電圧整定期間Tstが経過した後に、改めて、次色用の色グループ内の全てのレーザダイオード25(本例では8個)について出力量補正処理を行なうためのクロック数を持つAPC点灯ビーム切替信号Pcng を出力量補正処理部52側に出力することができる。
また、APCタイミング制御部67に設定される基準電圧整定期間Tstの情報を元に、各色グループ内での基準電圧整定期間Tstと重複期間とについては、同一のレーザダイオード25について重複した点灯が順次なされるように、補正対象ビーム選択部62は補正対象ビーム選択信号Psel0により点灯順序を調整する。たとえば、基準電圧整定期間Tstが3クロック分であれば、Y色からM色に移行後は、基準電圧整定期間Tstに対応する(1−3),(2−3),(3−3)を先ず設定し、この後には、再度(1−3),(2−3),(3−3)を設定してから(4−3),(5−3),(6−3),(7−3),(8−3)を設定する。
APCタイミング制御部67の合成部72は、APC点灯ビーム切替部64のカウンタ71から入力されるAPC点灯ビーム切替信号Pcng0を、APCタイミング設定信号LOADの全グループ分を示すゲートパルスGate1で論理合成によりゲートして、APC点灯ビーム切替信号Pcng として出力量補正処理部52に渡す。
つまり、補正対象ビーム選択部62と計数処理部66とAPCタイミング制御部67は協働して、基準値切替直後の所定期間は、後続ビームについて出力量補正処理を実行し、所定期間が経過した後には、再度、後続ビームについての出力量補正処理をし直すことができるように補正タイミングを調整したビーム対応のクロックを生成した上でAPC点灯ビーム切替信号Pcng を出力量制御部52に出力する。
出力量補正処理部52において基準信号生成部68から出力された光量設定データDVrefの値をアナログ信号に変換するときに信号電圧が安定する迄の期間には、APC点灯ビーム切替信号Pcng が出力量補正処理部52に入力されるので、出力量補正処理部52では次色用の出力量補正処理を実行する。
また、安定したアナログの基準信号Vref を生成した後にも、再度次色の色グループ内の全てのレーザダイオード25について供給されるAPC点灯ビーム切替信号Pcng の各クロックを使って、次色の色グループ内の全てのレーザダイオード25について出力量補正処理を時分割で実行することができる。
基準電圧整定期間Tst(Ts1〜Te1 )が経過した後の最初の「基準電圧整定期間Tst」に対応する期間(重複期間と称する)(Ts2 〜Te2 )は、基準電圧整定期間Tst(Ts1〜Te1 )に光量補正を行なっていたレーザダイオード25について再度光量補正を実行できる。要するに、基準電圧整定期間Tst(Ts1〜Te1 )に該当する複数個のレーザダイオード25については、APC制御を複数サイクル実施して光量補正を行なうことになる。
制御系の応答を高速にしなくても、安定したアナログの基準信号Vref を生成した後に供給されるAPC点灯ビーム切替信号Pcng の各クロックを使って、次色の色グループ内の全てのレーザダイオード25について出力量補正処理を時分割で実行することができる点は、整定期間停止手法を採用した第2の手法(その1)と同様である。制御応答速度を上げる必要はないので、ノイズに対するマージンを大きく取ることができ、目標光量を確実に安定させることができる。
このような整定期間重複手法を採用しても、1つの光源24から発光される複数の光ビームを色別に設けられた画像形成部18の異なる感光体ドラム19上に分離してそれぞれ走査させてフルカラー画像を形成する際に、簡単な構成で制御信号を増加させることなく、各色に対応する複数ビームの出力量補正処理を時分割で安定に実行することができる。
ただし、1ビーム単位とする整定期間重複手法では、1つの光ビームに対する出力量補正処理を単位として重複期間を設けるので、基準電圧整定期間Tst期間後に、次色用の全て(本例では8個)のレーザダイオード25について出力量補正処理を実行するべく、8個のパルス信号からなる信号群を次色用のAPC点灯ビーム切替信号Pcng として生成する必要がある。よって、APCタイミング設定信号LOADとAPC点灯ビーム切替信号Pcng の生成とが協働してなされる必要があり、計数処理部66とAPCタイミング制御部67とは、互いに相手方の出力結果を参照した動作が必要となり、ゲート遅延などを考慮した高精度のタイミングの管理が必要になる。
また、たとえば、Y色についての光量補正処理後に、一旦計数器76にて、9,10,11と計数してM色についての光量補正処理を実施した後、再度、計数器76にて、9,10,11と計数し直してM色についての光量補正処理を実施するなど、補正対象ビーム選択部62から発せられるグループ選択信号Psel (補正対象ビーム選択信号Psel0)によって示される同一グループ内の光量補正順との連動が必要になる。前述の停止手法と比べたときには、複雑なタイミング制御が必要である点では不利である。
なお、図を用いた説明は割愛するが、整定期間重複手法を適用した第2の手法(その2)に対しても光量補正順位調整手法を組み合わせることができ、整定期間停止手法を適用した第2の手法(その1)に対して光量補正順位調整手法を組み合わせたのと同様の効果が得られる。
<1ビーム単位とする整定期間重複手法;変形例>
図15および図16は、1ビームに対する出力量補正処理を単位としてAPC制御の安定化を図る第2の手法(その2)の変形例を説明する図である。ここで、図15の各図は図13の各図に対応する。また、図16は、この変形例を実現するための回路変更例を説明する図である。
この変形例においては、図13の手法と同様に、基準電圧整定期間TstにもAPC点灯ビーム切替信号Pcng 用のクロック信号CLK を出力するようにしている点が第2の手法(その1)と異なる。ただし、図13(F)と図15(F)との比較から分かるように、基準電圧整定期間Tstにおける補正対象ビーム選択に相違がある。
すなわち、補正対象ビーム選択部62は、APCタイミング制御部67に設定される基準電圧整定期間Tstの情報に基づき、整定期間重複手法に適応した各色グループ内での点灯順序を設定するデータと、色グループごとの点灯順序を設定するためのデータとを生成してグループ選択信号Psel (補正対象ビーム選択信号Psel0)として出力量補正処理部52に出力する際に、基準電圧整定期間Tst内では、補正対象ビームを、切替後の最初の光ビームに固定しておく。
色グループの切替時に、基準電圧差が大きくAPC制御に不安定さを生じ得る期間には、APC点灯ビーム切替信号Pcng 用のクロック信号を出力し出力量補正処理部52において補正対象ビームを固定(図示した例では1−3に固定)したままでAPC制御を実施し、基準電圧が安定になってから、次の補正対象ビームに順次切り替えていくのである。つまり、出力量補正処理部52では、基準電圧整定期間Tstに対応する1つのレーザダイオード25については、APC制御を複数サイクル実施して光量補正を行なうのである。
このような整定期間重複手法に適応したパルス信号を生成するには、たとえば、補正対象ビーム選択部62やAPCタイミング制御部67の動作と計数処理部66の構成を工夫すればよい。
先ず、APCタイミング制御部67は、設定部74に設定される基準電圧整定期間Tstの情報に基づいて、基準電圧整定期間Tstには計数処理部66におけるカウントアップ動作を停止するようにAPCタイミング設定信号LOADを調整する。
また、APCタイミング制御部67は、APC点灯ビーム切替部64のカウンタ71から入力されるクロック信号CLK (APC点灯ビーム切替信号Pcng0)をそのままAPC点灯ビーム切替信号Pcng として出力する。事実上、合成部72が不要である。
計数処理部66は、図16に示すように、計数器76のカウント動作を基準電圧整定期間Tstには一時的に停止させるべくAPCタイミング設定信号LOADが計数器76に入力される。計数器76は、APCタイミング設定信号LOADがHigh(アクティブ)では、カウントアップし、Low(インアクティブ)ではカウントアップしない(Disable )ようにする。
また、補正対象ビーム選択部62は、APCタイミング制御部67に設定される基準電圧整定期間Tstの情報に基づき、色グループごとの点灯順序を、基準電圧整定期間Tstについては切替後の最初のビームを補正対象ビームに固定するようなグループ選択信号Psel を出力量補正処理部52に出力する。
これにより、図15に示すように、ある色グループのAPC制御が完了し、基準電圧整定期間Tstが開始すると(Ts)、計数器76は、カウント到達信号CNTarvを出力するとともに、その時点の計数結果CNTout(図示の例では8)を保持する。
デコーダ78は、計数器76から出力される計数結果CNToutとカウント到達信号CNTarvとに基づいてセレクト信号SEL を生成するので、このときには、セレクト信号SEL を、次色(本例ではM色)用の光量設定データDVrefを選択するための「2」に切り替える。これにより、基準信号生成部68は、出力量補正処理部52への光量設定データDVrefを、Y色用の光量設定データDVref_YからM色用の光量設定データDVref_Mに切り替える。
基準電圧整定期間Tstが開始した後にも、APC点灯ビーム切替信号Pcng が出力量補正処理部52側に出力されるが、基準電圧整定期間Tst内では、補正対象ビーム選択信号Psel0により補正対象ビームが切替後の最初のビーム(本例では1−3)に固定されているので、出力量補正処理部52は、基準電圧整定期間Tstに入った最初のビーム(1−3)について、APC点灯ビーム切替信号Pcng のクロックに基づき繰返し光量補正を実行することになる。
この後、基準電圧整定期間Tstが経過すると(Te)、計数器76は、カウントアップ動作を再開する。本例では、計数器76は、計数結果CNToutとして「8」を保持していたので、「9」からカウントアップする。
これに応じて、補正対象ビーム選択部62は、補正対象ビーム選択信号Psel0を、通常の選択サイクルに戻す。本例であれば、(1−3),(2−3),(3−3),…というように設定する。基準電圧整定期間Tstが経過した後の重複期間は、事実上、(1−3)についての1クロック分で済む。
基準電圧整定期間TstにもAPC点灯ビーム切替信号Pcng (=APC点灯ビーム切替信号Pcng0)のクロックを出力したままとしておき、出力量補正処理部52は、基準信号Vref の切替後の最初のビームを補正対処ビームとして光量補正を実施して基準信号Vref が安定になるのを待ち、安定した状態から補正対処ビームを順次切り替えるのである。
つまり、補正対象ビーム選択部62と計数処理部66とAPCタイミング制御部67は協働して、基準値切替直後の所定期間は、後続の最初のビームについて繰返し出力量補正処理を実行し、所定期間が経過した後には、通常の補正対象ビームの選択動作に戻って出力量補正処理を実行することができるように補正タイミングを調整したビーム対応のクロックを生成した上でAPC点灯ビーム切替信号Pcng を出力量制御部52に出力する。
出力量補正処理部52において基準信号生成部68から出力された光量設定データDVrefの値をアナログ信号に変換するときに信号電圧が安定する迄の期間には、APC点灯ビーム切替信号Pcng が出力量補正処理部52に入力されるので、出力量補正処理部52では次色用の出力量補正処理を実行する。この際、補正対象ビームが切替直後の1つのビームに固定されている点が図13の手法と異なるのである。要するに、基準電圧整定期間Tst(Ts〜Te)に該当する1つのレーザダイオード25については、APC制御を複数サイクル実施して光量補正を行なうことになる。
また、安定したアナログの基準信号Vref を生成した後には、通常の補正対象ビームの選択動作に戻って、次色の色グループ内の全てのレーザダイオード25について供給されるAPC点灯ビーム切替信号Pcng の各クロックを使って、次色の色グループ内の全てのレーザダイオード25について出力量補正処理を時分割で実行する。
制御系の応答を高速にしなくても、安定したアナログの基準信号Vref を生成した後に供給されるAPC点灯ビーム切替信号Pcng の各クロックを使って、次色の色グループ内の全てのレーザダイオード25について出力量補正処理を時分割で実行することができる点は、整定期間停止手法を採用した第2の手法(その1)と同様である。制御応答速度を上げる必要はないので、ノイズに対するマージンを大きく取ることができ、目標光量を確実に安定させることができる。
このような整定期間重複手法の変形例を採用しても、1つの光源24から発光される複数の光ビームを色別に設けられた画像形成部18の異なる感光体ドラム19上に分離してそれぞれ走査させてフルカラー画像を形成する際に、簡単な構成で制御信号を増加させることなく、各色に対応する複数ビームの出力量補正処理を時分割で安定に実行することができる。
また、図13,図14に示した態様と比べた場合、計数器76に対するAPCタイミング設定信号LOADを用いたカウントアップ動作の制御と、補正対象ビーム選択部62による補正対処ビームの選択指令によって対処でき、たとえば、カウント値保持部77や合成部72が不要であり、回路構成をコンパクトにできる利点がある。
<色グループ単位で1走査期間内とする整定期間停止手法;その1>
図17および図18は、1走査期間内で全ての光量補正を完了させるようにするとともに、色グループ単位で、すなわち色グループ内の全てのレーザダイオード25に対する出力量補正処理を単位としてAPC制御の安定化を図る第3の手法(その1)の第1例を説明する図である。ここで、図17は、出力量補正処理に関係するタイムチャートであり、図18は、図17に示す各パルス信号を出力可能にするための回路変更例を説明する図である。
この第3の手法(その1)の第1例は、基準電圧整定期間Tstに、APC点灯ビーム切替信号Pcng の出力を色グループ単位で停止する態様の第1例を示すものである。図17に示した例では、基準電圧整定期間TstにAPC制御を実行することによる制御結果の不安定さを回避するために、前色と次色の切替り時に一定期間、APC点灯ビーム切替信号Pcng を出力せず停止している点では、第2の手法(その1)と同様であるが、停止期間の設定に違いがあり、色グループ単位で停止期間を設定するようにしている。
こうすることで、実際の基準電圧整定期間Tstよりも十分な安定期間を設けることができる。詳細には、APC点灯ビーム切替信号Pcng0の8クロック分で光量補正を実行した後にはAPC点灯ビーム切替信号Pcng0の8クロック分の停止期間をおき、その後に、APC点灯ビーム切替信号Pcng0の8クロック分で次色の光量補正を実行するようにする。
このような色グループ単位での整定期間停止手法に適応したパルス信号を生成するには、図7に示した構成のままでもよいが、たとえば、計数処理部66の構成やAPCタイミング制御部67の動作を工夫することでも対処できる。
先ず、APCタイミング制御部67の合成部72は、APC点灯ビーム切替部64のカウンタ71から入力されるクロック信号CLK (APC点灯ビーム切替信号Pcng0)と、設定部74からの入力されるAPCタイミング設定信号LOADとを論理合成した信号をAPC点灯ビーム切替信号Pcng として出力する。
計数処理部66は、図18に示すように、計数器76が計数動作を開始する直前に、その時点のカウント値を保持するラッチなどで構成されたカウント値保持部77を追加する。この点は、図14に示した第2の手法(その2)に対応していた回路構成と同様である。なお、計数器76は、APC点灯ビーム切替信号Pcng0を計数するようにする。
カウント値保持部77は、保持データをゼロにクリアしておき、この後、色グループ切替時に計数器76のカウント値を取り込む。たとえば、APCタイミング制御部67からのカウント到達信号CNTarvではなく、APCタイミング制御部67からのAPCタイミング設定信号LOADの立下りエッジをトリガとして、計数器76のカウント値を取り込む。
また、計数器76は、基準電圧整定期間経過後に計数動作を開始する直前に、カウント値保持部77に保持されているカウント値をロードしてから計数動作を開始するようにする。たとえば、APCタイミング制御部67からのAPCタイミング設定信号LOADの立上りエッジに同期して、カウント値保持部77のカウント値を取り込み、このカウント値から計数動作を再開する。
APCタイミング制御部67は、計数器76からのカウント到達信号CNTarvをトリガにして、出力論理を反転することで、APCタイミング設定信号LOADを生成する。
これにより、ある色グループのAPC制御が完了し、基準電圧整定期間Tstが開始すると(Ts)、APCタイミング制御部67は、計数器76からのカウント到達信号CNTarvをトリガにして、APCタイミング設定信号LOADをインアクティブ(=L)にする。カウント値保持部77は、その時点の計数器76のカウント値(本例では8)を取り込む。基準電圧整定期間Tstに入ると、計数器76は、引き続き、計数動作を継続する。
デコーダ78は、計数器76から出力される計数結果CNToutとカウント到達信号CNTarvとに基づいてセレクト信号SEL を生成するので、このときには、セレクト信号SEL を、次色(本例ではM色)用の光量設定データDVrefを選択するための「2」に切り替える。これにより、基準信号生成部68は、出力量補正処理部52への光量設定データDVrefを、Y色用の光量設定データDVref_YからM色用の光量設定データDVref_Mに切り替える。
この後、8クロック分が経過すると(Te)、計数器76は、次の8クロックの到達を示すカウント到達信号CNTarvを出力する。これを受けてAPCタイミング制御部67は、APCタイミング設定信号LOADをアクティブにする。計数器76は、APCタイミング設定信号LOADのアクティブエッジに同期して、カウント値保持部77に保持されているカウント値(本例では8)をロードし直してから、引き続き、計数動作を継続する。
以下、同様の処理を繰り返すことで、図17に示すような、1グループ分を停止期間とするタイミングパルスが得られる。カウント到達信号CNTarvを利用した簡単なトグル動作でAPCタイミング設定信号LOADを制御すればよく、また、これに連動して、計数器76とカウント値保持部77とが動作すればよいので制御が簡単である。
したがって、基準信号生成部68は、基準電圧整定期間Tstが開始する時点で光量設定データDVrefを次色用のデータに変更しておくことができる。また、APCタイミング制御部67は、基準電圧整定期間Tstが経過した後に(Te)、次色用の色グループ内の全てのレーザダイオード25(本例では8個)について出力量補正処理を行なうためのクロック数を持つAPC点灯ビーム切替信号Pcng を出力量補正処理部52側に出力することができる。
APC点灯ビーム切替信号Pcng として、色グループ分の全クロック期間を持つ基準電圧整定期間経過後に次色用のクロックが出力される前に、基準信号生成部68から次色用の光量設定データDVrefが出力されているので、出力量補正処理部52では、次色用の光量補正を開始する前に基準信号Vref が十分に安定になるのを待つことができるのである。出力量補正処理部52において基準信号生成部68から出力された光量設定データDVrefの値をアナログ信号に変換するときに信号電圧が安定する迄の8クロック分、すなわち1つの色グループ用の光量補正期間に相当する期間は、APC点灯ビーム切替信号Pcng が出力量補正処理部52に入力されることはない。
これによって、出力量補正処理部52では、十分に長い基準電圧整定期間Tstを利用して安定したアナログの基準信号Vref を生成した後に供給されるAPC点灯ビーム切替信号Pcng の各クロックを使って、次色の色グループ内の全てのレーザダイオード25について出力量補正処理を時分割で実行することができる。
このような色グループを単位とする整定期間停止手法を採用することで、1つの光源24から発光される複数の光ビームを色別に設けられた画像形成部18の異なる感光体ドラム19上に分離してそれぞれ走査させてフルカラー画像を形成する際に、簡単な構成で制御信号を増加させることなく、各色に対応する複数ビームの出力量補正処理を時分割で、安定に実行することができる。
また、計数処理部66とAPCタイミング制御部67とは、互いに相手方の出力結果を参照した動作が必要となるが、実際には、色グループを単位として停止期間を設定するので、前述のように、カウント到達信号CNTarvを利用した簡単なトグル動作で制御すればよく、制御が簡単である。
<色グループ単位で1走査期間内とする整定期間停止手法;その2>
図19および図20は、1走査期間内で全ての光量補正を完了させるようにするとともに、色グループ単位で、すなわち色グループ内の全てのレーザダイオード25に対する出力量補正処理を単位としてAPC制御の安定化を図る第3の手法(その1)の第2例を説明する図である。ここで、図19は、出力量補正処理に関係するタイムチャートであり、図20は、図19に示す各パルス信号を出力可能にするための回路変更例を説明する図である。
この第2例は、基準電圧整定期間Tstに、APC点灯ビーム切替信号Pcng の出力を色グループ単位で停止する態様である。前記第1例の説明では、停止期間を1つの色グループ分(8クロック分)としていたが、図19に示すように、複数単位の停止期間を設定可能に構成する点が異なる。
このような色グループ単位での整定期間停止手法に適応したパルス信号を生成するには、図20に示すように、図18に示す第1例の構成に対して、若干の修正を加えればよい。具体的には、計数器76は、カウント到達信号CNTarvを遅延回路(DT)177で少し遅延させたパルスでカウント値保持部77のカウント値を取り込むようにする。設定部74は、計数器76からカウント到達信号CNTarvを受け取るとAPCタイミング設定信号LOADをインアクティブ(=L)にし、さらにその後に所定数のカウント到達信号CNTarvが入力されたときに、APCタイミング設定信号LOADをアクティブ(=H)にするという動作を繰り返す。
カウント値保持部77は、たとえば、保持データをゼロにクリアしておき、この後、色グループ切替時に計数器76のカウント値を取り込む。たとえば、APCタイミング制御部67からのカウント到達信号CNTarvではなく、APCタイミング制御部67からのAPCタイミング設定信号LOADの立下りエッジをトリガとして、計数器76のカウント値を取り込む。
これにより、ある色グループのAPC制御が完了し、基準電圧整定期間Tstが開始すると(Ts)、APCタイミング制御部67は、計数器76からのカウント到達信号CNTarvをトリガにして、APCタイミング設定信号LOADをインアクティブ(=L)にする。カウント値保持部77は、APCタイミング設定信号LOADのインアクティブになる側のエッジに同期して、その時点の計数器76のカウント値(本例では8)を取り込む。基準電圧整定期間Tstに入ると、計数器76は、先ず、カウント値保持部77に保持されているカウント値(本例では8)を、遅延回路177の出力に基づきロードしてから、引き続き、計数動作を継続する。
デコーダ78は、計数器76から出力される計数結果CNToutとカウント到達信号CNTarvとに基づいてセレクト信号SEL を生成するので、このときには、セレクト信号SEL を、次色(本例ではM色)用の光量設定データDVrefを選択するための「2」に切り替える。これにより、基準信号生成部68は、出力量補正処理部52への光量設定データDVrefを、Y色用の光量設定データDVref_YからM色用の光量設定データDVref_Mに切り替える。
この後、たとえば、基準電圧整定期間Tstの情報が2グループ分であれば、先ず、8クロック分が経過すると(Te1 )、計数器76は、次の8クロックの到達を示すカウント到達信号CNTarvを出力する。これを受けて、計数器76は、カウント値保持部77に保持されているカウント値(本例では8)を、遅延回路177の出力に基づきロードしてから、引き続き、計数動作を継続する。
そしてさらに8クロック分が経過すると(Te2 )、計数器76は、次の8クロックの到達を示すカウント到達信号CNTarvを出力する。APCタイミング制御部67の設定部74は、計数器76からのカウント到達信号CNTarvの数を計数しており、停止期間として2グループ分が経過したとき、つまりTs後にカウント到達信号CNTarvが2個目になったとき、APCタイミング設定信号LOADをアクティブ(=H)にする。カウント値保持部77は、APCタイミング設定信号LOADのインアクティブになる側のエッジに同期して、その時点の計数器76のカウント値(本例では16)を取り込む。
以下、同様の処理を繰り返すことで、図19に示すような、2グループ分を停止期間とするタイミングパルスが得られる。
カウント到達信号CNTarvを利用した簡単な動作でAPCタイミング設定信号LOADを制御すればよく、また、これに連動して、計数器76とカウント値保持部77とが動作すればよいので制御が簡単である。グループ分を単位として、停止時間を簡単に調整することができる利点がある。その他の点は、第1例と同じである。なお、この第2例の構成でも、設定ゲートに1グループ分を設定することで、第1例の構成と同様に、1グループ分を停止期間に設定することができる。
<色グループ単位で1走査期間内とする整定期間重複手法>
図21および図22は、1走査期間内で全ての光量補正を完了させるようにするとともに、色グループ単位で、すなわち色グループ内の全てのレーザダイオード25に対する出力量補正処理を単位としてAPC制御の安定化を図る第3の手法(その2)を説明する図である。ここで、図21は、出力量補正処理に関係するタイムチャートであり、図22は、図21に示す各パルス信号を出力可能にするための回路変更例を説明する図である。
この第3の手法(その2)は、基準電圧整定期間Tstにも、APC点灯ビーム切替信号Pcng の出力を行ない、その後、この基準電圧整定期間Tstに対応する期間にも重複してAPC制御を実行する態様である。このような色グループ単位での整定期間重複手法に適応したパルス信号を生成するには、基本的には、前述の図20に示す構成を採用しておくとよい。ただし、基準電圧整定期間TstにもAPC点灯ビーム切替信号Pcng としてクロックを出力するべく、合成部72の動作を修正する。
すなわち、基準電圧整定期間TstにもAPC点灯ビーム切替信号Pcng の出力を行なうので、APCタイミング制御部67の合成部72は、APC点灯ビーム切替部64のカウンタ71から入力されるクロック信号CLK (APC点灯ビーム切替信号Pcng0)と、設定部74からの入力されるAPCタイミング設定信号LOADの全グループ分を示すゲートパルスGate1とを論理合成した信号をAPC点灯ビーム切替信号Pcng として出力する。
こうすることで、第3の手法(その2)の動作として示した図19における停止期間にも、次色用の光量補正を実行するクロックを出力することができ、出力量補正処理部52では、APC制御を複数サイクル実施して光量補正を行なうことになる。
このような色グループを単位とする整定期間重複手法を採用しても、1つの光源24から発光される複数の光ビームを色別に設けられた画像形成部18の異なる感光体ドラム19上に分離してそれぞれ走査させてフルカラー画像を形成する際に、簡単な構成で制御信号を増加させることなく、各色に対応する複数ビームの出力量補正処理を時分割で、安定に実行することができる。
また、計数処理部66と67とは、基準電圧整定期間Tstに対応する所定単位の色グループ期間を、停止期間にするのか重複期間にするのかに関わらず、同様の動作にすればよい。基準電圧整定期間Tstを、停止期間にするのか重複期間にするのかの切替えは、APCタイミング制御部67の合成部72がゲートに使用するパルスを、APCタイミング設定信号LOADにするか、APCタイミング設定信号LOADの全グループ分を示すゲートパルスGate1にするのかの切替えで実現でき、設定が簡単である。
<色グループ単位で1走査期間内とする整定期間停止手法や整定期間重複手法と光量補正順位調整手法との組合せ>
図23は、整定期間停止手法を適用した第3の手法(その1)や整定期間重複手法を適用した第3の手法(その2)と光量補正順位調整手法との組合せ手法を説明する図である。1ビーム単位とする整定期間停止手法である第2の手法(その1)に光量補正順位調整手法を組み合わせたのと同様に、色グループ単位で1走査期間内とする整定期間停止手法を適用した第3の手法(その1)や整定期間重複手法を適用した第3の手法(その2)についても光量補正順位調整手法を組み合わせることができる。
この場合、第2の手法(その1)に光量補正順位調整手法を組み合わせたときのような、色グループ順にとらわれることなく全グループの全ビームについて隣接間差ができるだけ小さくなるように光量補正順序を調整するのではなく、色グループ単位での隣接間差ができるだけ小さくなるように、1走査期間内で色グループ単位で光量補正順序を調整することで、出力量補正処理部52における補正対象ビームの選択動作との連動性を容易にできるようになる。
また、ある色グループへの切替時には停止期間や重複期間を設け、ある色グループへの切替時には停止期間や重複期間を設けないといったきめ細かな制御を行なう際には、グループ別に、停止期間や重複期間を設けるか否かを自由に設定可能な回路構成を採る必要があるが、色グループ単位で扱えば良く、ビームごとに制御する場合に比べて、回路構成や制御が簡単になる。
たとえば、図20に示すような回路構成を採用しつつ、設定部74にて、停止期間や重複期間を設けるか否かに応じてAPCタイミング設定信号LOADをアクティブにするタイミングを制御するようにすることで、簡単に、色グループ単位で停止期間や重複期間を設けるか否かを制御できる。
たとえば、Y色とC色の各基準信号Vref がほぼ同じである場合に、図23(A)に示すように、Y→M→C→Kの順で光量補正を実行する場合には、各切替時に隣接間差を持つので、設定部74は、計数器76からのカウント到達信号CNTarvを受け取る都度APCタイミング設定信号LOADをトグル動作で論理反転する。
一方、図23(B)に示すように、光量補正順位調整部61にて、Y→C→M→Kの順で光量補正を実行するように修正すれば、Y→Cへの切替時には、隣接間差がゼロであるから、設定部74は、計数器76からのカウント到達信号CNTarvを受け取ると、APCタイミング設定信号LOADを一旦インアクティブにするが、そのときには停止期間を「0」グループ分に設定することで、直ちにAPCタイミング設定信号LOADをアクティブにする。これによって、事実上、Y→Cへの切替時には停止期間をゼロにできる。また、その他のM→Y,C→K,K→Mの切替時には、設定ゲートに対して1グループ分を指示することで、それぞれ1グループ分の停止期間を設けることができる。このようにしても、隣接間差の最大値を変えることはない。
なお、何れの場合も、停止期間を設ける場合には、合成部72において、APC点灯ビーム切替信号生成部65(計数器71)からのAPC点灯ビーム切替信号Pcng0をAPCタイミング設定信号LOADで論理合成してAPC点灯ビーム切替信号Pcng として出力量補正処理部52に渡せばよい。こうすることで、APCタイミング設定信号LOADのインアクティブ期間にはクロックのないAPC点灯ビーム切替信号Pcng が出力量補正処理部52に渡される。
また、重複期間を設ける場合には、合成部72において、APC点灯ビーム切替信号生成部65(計数器71)からのAPC点灯ビーム切替信号Pcng0を、設定部74からの入力されるAPCタイミング設定信号LOADの全グループ分を示すゲートパルスGate1と論理合成してAPC点灯ビーム切替信号Pcng として出力量補正処理部52に渡せばよい。こうすることで、APCタイミング設定信号LOADのインアクティブ期間にもクロックの存在するAPC点灯ビーム切替信号Pcng が出力量補正処理部52に渡される。
<色グループ単位で走査期間ごととする整定期間停止手法>
図24および図25は、1つの色グループの光量補正を1つの走査期間内で行なうようにするとともに、色グループ単位で、すなわち色グループ内の全てのレーザダイオード25に対する出力量補正処理を単位としてAPC制御の安定化を図る第4の手法を説明する図である。ここで、図24は、この第4の手を実行するための各種のパルス信号を生成する回路構成例を説明する図である。また、図25は、出力量補正処理に関係するタイムチャート(A:基本例/B:変形例)の一例である。
この第4の手法は、1走査期間を1グループの光量補正処理期間に割り当てる際、基準電圧整定期間Tstに、APC点灯ビーム切替信号Pcng の出力を停止する態様を示すものである。第3の手法(その1)との違いは、1走査期間内で全ての光量補正を完了させるのか、1つの色グループの光量補正を1つの走査期間内で行ない、色グループ数分の走査期間を使って全ての光量補正を完了させるようにする点であるから、この相違に応じた修正を加えればよい。
図24に示すように、先ず、計数処理部66やAPCタイミング制御部67としては、前述の図20に示す構成をベースとして、走査期間ごとに1つの色グループ内の全てのレーザダイオード25に対して光量補正を実行可能に変更する。
たとえば、図24に示すように、APCタイミング制御部67の設定部74は、各色グループ用のAPC点灯ビーム切替信号Pcng の走査開始信号SOS のアクティブエッジ後、出力開始タイミングになると、1グループ内の全てのレーザダイオード25に対して光量補正を実行するに必要な分のクロックを持つAPC点灯ビーム切替信号Pcng0を生成する。
この出力開始タイミングは、画像を形成する画像エリアから次ラインの走査の基準となる走査開始信号SOS が出力されるまでの1走査期間内の非画像領域内で光量補正が実行されるように、画像エリア後の所定時点とする。
設定部74は、出力開始タイミングになると、APCタイミング設定信号LOADをアクティブにする。これにより、計数器76にAPC点灯ビーム切替信号Pcng のクロックが供給され計数器76はカウント動作を始める。このとき、計数器76は、先ずAPCタイミング設定信号LOADを遅延回路177で少し遅延させたパルスをトリガにカウント値保持部77に保持されているカウント値をロードしてから計数動作を開始する。ここでは最初であるので、「0」をロードし、1,2,…と計数を開始する。
なお、カウント値保持部77を外して、カウント動作を停止させたままとしておくような構成にしてもよい。
計数器76は、グループ内の全てのレーザダイオード25についての光量補正に要する分のクロック(本例では8個分)を計数し終えるとカウント到達信号CNTarvをAPCタイミング制御部67の設定部74に出力する。これを受けて、設定部74は、APCタイミング設定信号LOADをインアクティブにする。これにより、APCタイミング制御部67は、計数器76へのAPC点灯ビーム切替信号Pcng におけるクロックの供給を一時的に停止する。カウント値保持部77は、このインアクティブ時点の計数器76のカウント値(本例では8)を取り込む。
デコーダ78は、計数器76から出力される計数結果CNToutとカウント到達信号CNTarvとに基づいてセレクト信号SEL を生成するので、このときには、図25(A)に示す基本例のように、セレクト信号SEL を、次色(本例ではM色)用の光量設定データDVrefを選択するための「2」に切り替える。これにより、基準信号生成部68は、出力量補正処理部52への光量設定データDVrefを、Y色用の光量設定データDVref_YからM色用の光量設定データDVref_Mに切り替える。
なお、所要の回路修正を加えることで、図25(B)に示す変形例のように、画像エリアの開始時点で基準信号Vref が切り替るような形態へ変形することもできる。
この後、次の出力開始タイミングになると、設定部74は、APCタイミング設定信号LOADをアクティブにする。これにより、計数器76にAPC点灯ビーム切替信号Pcng のクロック供給が再開され計数器76はカウント動作を再開する。このとき、計数器76は、先ずAPCタイミング設定信号LOADを遅延回路177で少し遅延させたパルスをトリガにカウント値保持部77に保持されているカウント値をロードしてから計数動作を開始する。ここでは、「8」をロードし、9,10,…と計数を再開する。
計数器76は、グループ内の全てのレーザダイオード25についての光量補正に要する分のクロック(本例では8個分)を計数し終えるとカウント到達信号CNTarvをAPCタイミング制御部67の設定部74に出力する。これを受けて、設定部74は、APCタイミング設定信号LOADをインアクティブにする。これにより、APCタイミング制御部67は、計数器76へのAPC点灯ビーム切替信号Pcng におけるクロックの供給を一時的に停止する。カウント値保持部77は、このインアクティブ時点の計数器76のカウント値(本例では8)を取り込む。
デコーダ78は、計数器76から出力される計数結果CNToutとカウント到達信号CNTarvとに基づいてセレクト信号SEL を生成するので、このときには、セレクト信号SEL を、次色(本例ではC色)用の光量設定データDVrefを選択するための「3」に切り替える。これにより、基準信号生成部68は、出力量補正処理部52への光量設定データDVrefを、M色用の光量設定データDVref_MからC色用の光量設定データDVref_Cに切り替える。
このような動作を繰り返すことで、走査期間ごとに、1つの色グループの全てのレーザダイオード25についての光量補正を行なうための8個分のクロックを持つAPC点灯ビーム切替信号Pcng が順次出力量補正処理部52に供給される。
各走査開始信号SOS に同期して、走査開始信号SOS を検知(サーチ)する期間(SOSサーチ期間)と、画像エリアと、非画像エリアとが順に並び、その内の非画像エリアが光量補正に使用可能であるので、1走査期間内では複数の色グループの光量補正を連続して行なわずに、1走査期間に1つの色グループについての光量補正を実行するようにすれば、光量補正が実行される非画像領域以外の期間を基準信号Vref が安定になる基準電圧整定期間Tstに割り当てることができる。
たとえば、印字している間(つまり画像エリア)を使用して出力量補正処理部52で目標光量を生成することができるため、応答速度が遅くても十分な時間で目標とする光量を生成することができる。
したがって、第2の手法や第3の手法で取っていたように、色グループの切替りごとに、積極的に停止処理や重複処理を行なうようなタイミング制御を行なわなくても、自動的に設けられるSOSサーチ期間や画像エリアを基準電圧整定期間Tstとして使うことで、事実上、整定期間停止手法を実行することができる。
特に、本例では、デコーダ78は、前グループの光量補正が完了すると即時に、次色用の光量設定データDVrefに切り替えるためのセレクト信号SEL を計数処理部66の切替器85に出力するので、SOSサーチ期間と画像エリアの双方を確実に基準電圧整定期間Tstとして使うことができ、非画像領域に到達するまでのほぼ全ての期間を基準電圧整定期間Tstに割り当てることができる利点がある。
また、各走査期間内の各非画像エリアの全体(詳しくは画像エリア期間後からSOSサーチ期間開始まで)を各色グループの光量補正期間に割り当てることができ、1走査期間内で全ての色グループについての光量補正を実行する場合に比べて、制御系の応答を低くすることができる。制御系の応答を低速にすることで、ノイズに対するマージンをより大きく取ることができるようになるので、極めて安定した光量補正を実現できる。
たとえば、VCSELではなく個別のレーザダイオード25の組合せで光源24を構成した場合、それぞれの特性バラツキにより、同一グループ内でも、それぞれのレーザダイオード25に応じた目標光量が異なり、その各別の目標光量に対応した光量設定データDVref(基準信号Vref )を時分割で使って光量補正を実行する必要が生じる。
この場合、各走査期間内の各非画像エリアの全体を使って各色グループの光量補正を実行するようにすれば、1つ当たり(各レーザダイオード25について)の補正期間を長く取ることができ、その分だけ、基準信号Vref の隣接間差に対するマージンが大きくなるので、各レーザダイオード25に対応した基準信号Vref の切替えの都度、積極的に停止期間を設けなくてもよくなる。基準信号Vref の隣接間差が大きく、1つ当たりの補正期間内で安定しないようなものについてのみ停止期間を設定し、その後に光量補正を実行することで対処することもできる。
もちろん、光量補正順位調整部61にて、同一グループ内でも、時分割で使用される各目標光量の隣接間差ができるだけ小さくなるように光量補正順序を決定すれば、1つ当たりの補正期間内で安定しないような順序の組合せをできるだけ回避しつつ、順序変更では対処し得ないものについてのみ停止期間を設定し、その後に光量補正を実行することで対処するようにすることもできる。これにより、停止期間の設定箇所をより少なくすることができ、その分、各レーザダイオード25についての光量補正期間を長くすることができ、隣接間差に対するマージンをさらに大きくすることができる。
なお、同一グループ内でも、個別に基準信号Vref を切り替える場合、基準信号生成部68の構成を、その切替えに適合するように所要の変更を加える必要があるが、その変更の具体的な回路構成については説明を割愛する。
<光量補正順位調整手法/整定期間停止手法や整定期間重複手法との組合せ>
図26〜図28は、色グループ単位で走査期間ごととする整定期間停止手法を適用した第4の手法と光量補正順位調整手法、あるいは整定期間停止手法や整定期間重複手法との組合せ手法を説明する図である。ここで、図26および図27は、光量補正に関わるタイミングチャートであり、図28は、整定期間重複手法との組合せに適応した回路変形例を説明する図である。
第4の手法についても、色グループ単位での隣接間差ができるだけ小さくなるように、色グループ単位で光量補正順序を調整することで、出力量補正処理部52における補正対象ビームの選択動作との連動性を容易にできるようになる。
また、走査期間を単位として、整定期間停止手法や整定期間重複手法を組み合わせることもできる。1走査期間内には既に基準電圧整定期間Tstが存在するが、さらに、走査期間を単位として、整定期間停止手法や整定期間重複手法を適用するのである。
基本的な考え方は、図12に示したことと同じである。先ず、光量補正順位調整部61は、色グループデータDsel0で示される初期の補正順(Y→M→C→K)のときにおける、Y/M/C/Kの各色の目標光量値に対応する光量設定データDVref(基準信号Vref )の差Δを、式(1)に従って求める。
次に光量補正順位調整部61は、基準信号Vref の各隣接間差ΔV1〜ΔV4と、閾値ΔVsとを比較して、隣接間差ΔV1〜ΔV4の全てが閾値Δs以下であれば、APC制御順の変更は必要がなく、色グループデータDsel0を、そのま色グループデータDsel として色グループ選択部62に渡す。一方、隣接間差ΔV1〜ΔV4の何れかが閾値Δsを超える場合には、光量補正順位調整部61は、APCの制御順位(光量補正順序)を変更する必要があると判断する。
4色の場合、基準信号Vref の制御の組合せは、24種類となるので、各組合せにおける最大の隣接間差ΔVn=Δmax を求めて、閾値ΔVs以下となるAPC順位の何れかを選択すればよい。このとき、全ての組合せで最大のΔVn=Δmax が閾値ΔVs以上となってしまう場合は、先ず、Δmax が最小となる組合せを選択する。
また、Δmax が閾値ΔVs以上となってしまう場合は、1走査期間内の基準電圧整定期間Tstでは目標光量が生成できないケースとなるので、次の走査期間では、整定期間停止手法や整定期間重複手法を適用する。さらに、それでも不十分なほど目標光量差が大きい場合は、複数回のAPC未実施サイクルを割り当てる。
これにより、4色の各目標光量に大きな差がある場合であっても、1つの出力量補正処理部52で、効率よくAPC制御を実行することができる。たとえば、順序変更前の各色の基準信号Vref が図26に示すものである場合に、図26(B)に示すように、Y→K→M→C→…の順で光量補正を実行するようにすれば、Y/M/C/Kの各色の目標光量値に対応する光量設定データDVref(基準信号Vref )の差Δは、式(2)になる。
これにより、それぞれの隣接間差の最大値Δmax を、Y→M→C→K→Yの順で光量補正を実行する場合に比べて小さくでき、その分、全体の停止期間を短くすることができる。基準信号Vref の安定後に光量補正を実行するようにしても、停止期間を短くできるので、1走査期間内の非画像領域内で全てのレーザダイオード25についての光量補正を完了させることができるようになる。
また、このような光量補正順の変更では不十分なほど、目標光量差が大きい場合、たとえば図27(A)に示すように、次の走査期間におけるAPC点灯ビーム切替信号Pcng のクロック出力を停止することで、その走査期間の全体を、APC未実施のサイクルに割り当てる。補正順序を変更しても、まだ、Δmax が閾値ΔVsを超える場合には、1走査期間分、完全にAPC制御を未実施にして、基準信号Vref が安定になるのを待つのである。
光量補正順位調整部61において目標光量差が小さくなるように補正処理順位を変更した後で、各別の感光体ドラム19に対応した色グループ間での基準光量差がかなり大きく、なおも連続する目標光量差が閾値以上となる場合は、次の走査期間における光量補正サイクルでの光量補正を飛ばして、つまり1走査期間分を飛ばして、基準信号Vref のアナログ追従を待ち、基準光量の遷移が完了してから光量補正を実施するのである。
このような走査期間を単位とする停止処理は、設定部74が、次の走査期間の出力開始タイミングになっても、APCタイミング設定信号LOADをアクティブにするのを保留することで簡単に実現できる。要するに、APCタイミング設定信号LOADをアクティブにするのを、1走査期間分保留するのである。また、それでも不十分なほど目標光量差が大きい場合は、連続する複数の走査期間に亘って保留すればよい。
あるいは、光量補正順の変更では不十分なほど、目標光量差が大きい場合、たとえば図27(B)に示すように、次の走査期間におけるAPC点灯ビーム切替信号Pcng のクロック出力を出力し、次の走査期間では、再度、同じグループについてAPC制御を実施するように処理順序を割り当てるようにしてもよい。補正順序を変更しても、まだ、Δmax が閾値ΔVsを超える場合には、1サイクル分を重複してAPC制御を行なうようにするのである。この場合にも、後の方のAPC制御では、基準信号Vref が安定になるのを待つことができるのである。
光量補正順位調整部61において目標光量差が小さくなるように補正処理順位を変更した後で、各別の感光体ドラム19に対応した色グループ間での基準光量差がかなり大きく、なおも連続する目標光量差が閾値以上となる場合は、基準信号Vref のアナログ追従が完了するまでの走査期間については、各走査期間内での光量補正サイクルで光量補正を実行するし、また基準光量の遷移が完了してからも、再度、走査期間内での光量補正サイクルで光量補正を実行する。基準信号Vref のアナログ追従が完了するまで、N回の補正を続けるのである。要するに、目標光量を設定できるまで、複数回に亘って光量補正処理を同一グループに対して実施する。
停止処理では、目標光量に到達してから光量補正処理を実施することで、基準信号Vref が安定になってからの1回に限って光量補正処理を実施するが、重複処理では、基準信号Vref のアナログ追従が完了するまでの各走査期間における光量補正処理の実施タイミングでも必ず光量補正処理を実施し、さらに、目標光量に到達してからも光量補正処理を実施する、つまり目標光量が設定できるまで連続して同一グループに対して複数回に亘って光量補正処理を同一グループに対して実施する点が異なる。
このような走査期間を単位とする重複処理に適応した回路構成とするには、図24に示した構成に対して修正を加えるとよい。具体的には、図28に示すように、カウント値保持部77を、2段構成とし、また、各カウント値保持部77a,77bの出力値を、重複処理を行なうか否かに応じて選択する選択部77cを設ける。なお、前段のカウント値保持部77aを外して、カウント動作を停止させたままとし、1段のカウント値保持部77bのみを設けるような構成にしてもよい。
選択部77cは、重複処理を行なわないときには、前段のカウント値保持部77aのカウント値を計数器76に渡し、重複処理を行なうときには、後段のカウント値保持部77bのカウント値を計数器76に渡す。
こうすることで、図27(B)に示す状態において、一旦、25〜32と計数した後に、次の走査期間では、改めて、25〜32と計数でき、デコーダ78は、計数器76の計数結果などを参照して、このような処理順に適合したセレクト信号SEL を切替器85に供給することができる。
停止手法および重複手法の何れについても、グループ間の目標光量の最小値が、ある一定以上であっても光量補正処理を短時間で制御できるメリットがある。これにより、4色の各目標光量に大きな差がある場合であっても、1つ出力量補正処理部52で、効率よく光量補正処理を実施することができる。
1…画像形成装置、2…ビーム出力制御装置、10…画像出力部、18…画像形成部、19…感光体ドラム(被走査体の一例)、20…光走査装置、24…光源、42…SOSセンサ、45…光量検知センサ、50…LD制御部、51…レーザ駆動部、52…出力量補正処理部、54…装置制御部、56…画像制御部、58…画像処理部、60…APC制御部、61…光量補正順位調整部、62…色グループ選択部、62…補正対象ビーム選択部、64…APC点灯ビーム切替部、65…APC点灯ビーム切替信号生成部、66…計数処理部、67…APCタイミング制御部、68…基準信号生成部、70…中央制御部